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1953-06-22 第16回国会 衆議院 海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十二日(月曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 山下 春江君    理事 庄司 一郎君 理事 高橋  等君    理事 臼井 莊一君 理事 柳田 秀一君    理事 受田 新吉君       逢澤  寛君    小平 久雄君       佐藤洋之助君    田中 龍夫君       中川源一郎君    白浜 仁吉君       大石ヨシエ君    安藤  覺君       岡田 春夫君  出席政府委員         外務事務官         (アジア局長) 倭島 英二君         厚生政務次官  中山 マサ君         引揚援護庁長官 木村忠二郎君  委員外出席者         外務事務官         (アジア局第五         課長)     鶴見 清彦君     ————————————— 六月十八日  委員有田八郎辞任につき、その補欠として岡  田春夫君が議長指名委員に選任された。 六月二十二日  委員迫兼光辞任につき、その補欠として柴  田義男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  中共地区残留同胞引揚問題に関する件     —————————————
  2. 山下春江

    山下委員長 これより会議を開きます。  本日は、中共地区残留同胞引揚に関する件について議事を進めたいと存じます。中共地区残留同胞引揚げについては、三月二十三日第一次帰還船舞鶴入港より今日まで、第三次船の引揚げが支障なく終り、第四次配船を行うに至つている次第であります。これにつきまして、一応引揚援護庁当局より、現在までの経過を御説明を願うことといたします。引揚援護庁長官
  3. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 中共地域からの引揚げにつきましては、御承知通り経過によりまして、中共の北京におきまする十二月一日の放送が基礎になりまして、日本側から日本赤十字社日中友好協会平和連絡会、この三つ団体代表先方派遣いたしまして、こちらに帰すにつきましての手続等について打合せをいたしました。これを基礎といたしまして三月から帰還が始まつたのであります。  引揚援護庁といたしましては、中共地域からの引揚者のありますることにつきましては、従来から一日千秋の思いをもつて待つておつたわけでありまして、これに対しまする受入れにつきまして万全を期したい、かように考えまして、受入れ援護業務を進めて参りました。御承知通り情勢で、舞鶴引揚援護局は、その後の引揚げがストップとなりましたために、逐次人が減員されまして、現在では常置の職員が百八十数名、二百名足らずの状況なつておる際でありますので、これに対しまする臨時職員を入れまして、そうしてこの受入れについての態勢を強化する、また設備等につきましても、これの補修をいたしまして、これによりまして、受入れに対して遺憾ないように処置いたしたい、かように考えまして、話がきまりましてから急速にその準備をいたしたのであります。  なお、こちらに帰つて参りました人人援護の問題につきましても、従来の引揚者に対しまするよりは手厚い援護をいたさなければならない、——これは大体の考え方といたしましては、従来の終戦直後の状態と今日とは、国外におきまする情勢も違いまするし、国内の情勢も違つておりますので、こういうような情勢から見まして、できるだけ手厚い援護をいたしたい、かように考えまして、受入れ援護対策を立てたわけであります。この援護対策としましては、帰還輸送船内——先方に船を派遣いたしまして、この船の中での援護、それから援護局におきまして入国の手続、その他援護に対しまする諸般手続をいたしまする、その期間内におきまする援護局内援護、それから援護局からそれぞれのおちつき先の郷里まで帰りまする陸上輸送機関内の援護、それから定着いたしました先におきまする援護、大体こういうようにわけまして、この間の援護に遺憾なきを期するようにいたしたいと考えたのであります。  帰還輸送船内におきましては、従来の船内における給養とはさらにその内容をよくするということを考慮いたしまして、船内の寝具の準備もいたしまするし、また船中の食事につきましては、一人一日百七十円という単価で、三千カロリーを確保するということにいたしまして、主食は六百グラム、副食が八百四十グラム、調味料若干をその内容とする給食を行う。これは従来の引揚船におきまする食事内容と比べますれば、質において大体副食物は二倍以上の質を持つことに相なつたのであります。それから船内医療につきましても、帰還輸送船内医療のための人として、医師、看護婦を乗せるのでございますが、これも従来の引揚船と違いまして、婦女子、それから未成年者子供が多いというような状況にかんがみまして、そういう人たちの数も多くいたしたのであります。さらに、これにつきましては、第一次の引揚状況にかんがみまして、中共からの帰還者には予想外病人が多い、こういう情勢から見まして、その内容をさらに強化いたしたのであります。また引揚者世話をいたしまするために、普通の船員だけでは不十分であると考えまして、船側にこれに必要なる世話人を存置させることにいたしまして、そのためにその経費を特に政府において負担することにいたしたのであります。  それから、舞鶴援護局に着きましてからは、まず検疫を行い、入国査証を行いまして、さらに税関検査を行うのであります。大体三泊四日ここに置くのでございますが、その間の給養につきましては、大体船内と同様の給養をいたすことにいたしたのであります。そのほかに、留守宅に対する通信、これは留守宅電報を一回だけ打つことができるようにいたしております。これは無料でやるようにいたしております。それから、留守宅からの通信がございますれば、これを引揚者の方に交付する、またここで入浴をさせるといつたようなことをいたしております。なお、諸種の問題につきまして身の上相談をいたす必要がありますので、これに必要なる人を局の中に置きまして、関係各省からの係官の派遣を請い、あるいは問題によりましては、それに適当なる人を置きまして、それらの相談に応じさせておるのであります。就職につきましては、労働省及び京都府の職業安定関係職員戸籍関係の問題その他の法務問題につきましては、家庭裁判所方々に来ていただきまして、また教育関係の問題につきましても文部省の方に来ていただいて、御相談を受けております。その他、先方にありましたところの各種の事業についておりました人々の便宜をはかりまするために、これらの方面に経験のありまする方を当局臨時職員として採用いたしまして、これにその相談に応じさせておるのであります。それから、引揚げて参りまして定着いたしましたあとにおきまするところの食糧の配給その他援護物資交付、そういうようないろいろな援護の万全を期するために、この人方が引揚者であるということを明らかにいたしまする必要があります。そのために引揚証明書をここで交付いたします。それから、元軍人軍属でありました人につきましては、この際に復員の手続をここでいたします。それから、被服その他若干の日用品をここで援護物資として交付することにいたしております。なお、ここから帰りまして郷土におちつきまする間の雑費といたしまして、応急援護金を一人当り千円ないし三千円、子供につきましてはその半額を交付いたします。また、今回の新しい措置といたしましては、引揚者のおちつきましてから後の生活の援護並びに就職のための準備といつたようなことを考慮いたしまして、一律に一人当り、おとな一万円、子供五千円の帰還手当交付するのであります。これは、当初におきましては、帰還者であつて向うから持帰り金のたくさんない人々にこれを交付するという考えつたのでありまするけれども、実際にその手続におきましても非常にめんどうでありまするし、また荷物持帰り金との関係もございますので、第二回船から、これを全員一律に交付することといたしまして、さらに第一次船の人々につきましても追給するようにいたしたのであります。なお、病気の人々に対しましては、入院を要する人々舞鶴国立病院に収容いたしまして、そこで医療を行い、大体本人希望いたしまして帰郷し得る状態になりました人々につきましては、これをそれぞれの適当な地の病院に移送するというようにいたしたのであります。なお、帰りましたあとのいろいろな国内事情というものを明らかにしまするほかに、郷里帰りました上でいろいろな郷里府県との連絡ということも考えまして、局内に郷土室を設けて、そこに都道府県から援護員派遣を求めまして、そこで郷里実情についての紹介あるいは定着についての手引といつたようなことをさせるようにいたしておるのであります。さらに、第一次帰還船実情にかんがみまして、子供が相当大勢おりまして、しかも割合小さい子供がおりますので、引揚げに関する業務を円滑にいたしまするために、舞鶴援護局内引揚げ幼児世話をするために託児施設を設けまして、ここに保母を置いて、託児事業も行うようにいたしておるのであります。  三泊四日の滞在期間引揚げ業務が終りまして郷里まで帰りまする陸上輸送につきましては、従来通り乗車券援護局におきまして交付いたしまして、そうして東舞鶴駅から帰郷地までの鉄道輸送本人並びに荷物につきましてやるようにいたしてございます。これは東舞鶴を出ましてから郷里に着くまでの汽車賃をこちらで支払うということにいたしておるのでございます。なお、車中の食糧につきましては、途中の駅におきまして、適当な場所において車中食糧を弁当をもつて交付するようにいたしております。その他、帰郷の途中におきましては、主要なる駅におきまして湯茶の接待、あるいは休養所相談所というものを設けまして、中間の援護を各府県をして行わしめております。病人につきましては、担送を要する人々のために先般来患者専用車を特にとりつけまして、患者の輸送に遺憾なきを期しておるのであります。  定着地につきましてからは、親戚あるいは知人等のところに参りますことのできる人は、そちらに一応おちついてもらうのでありますが、そういうおちつき先のない人々につきましては、先ほど申しました郷土室において連絡をとりまして、これらの引揚者がただちにおちつき先がなくて困ることのないようにいたしまするために、各府県の主要の場所に一時収容所を設けまして、そこへそれらの方々定着するまでの間応急収容することにいたしておるのであります。これらの方々の中で住宅の得られないという人々のために、今回三千四百六十戸ばかりの建物を全国につくることにいたしました。この建物につきましては、すでに四百六十戸ばかりが二十七年度中につくられまして、さらに二十八年度におきましては、千戸を今建築いたしまして、さらに次の千戸に手をつけておるのであります。引揚者住宅につきましては、帰られた方々定着地がいまだ明らかでないのでありますから、帰られて定着いたしました上で適当な場所にこれを設置するように手配いたしたのであります。定着地におきましては、日用品、特に厨房用品を持つてない人人のために、応急家財を支給することにしておるのであります。これにつきましては、都道府県をしてこの交付をなさしめております。それから、帰つて参りました人々が、こちらに帰られてただちに入院いたしました場合の医療の問題でありますが、これについては、入院費を二十五日分国庫において負担いたしております。それから、引揚者で生業のために資金を必要とする者に対しましては、国民金融公庫に二億円のわくを設けまして、更生資金貸付を行わせております。その第一次の貸付につきましては、現在手続中であります。貸しつけたものが若干あるようであります。それから、職業のあつせん、あるいは教育の問題、戸籍に関する問題、これは、先ほど申しました通り、それぞれの省におきまして特別な措置を講ずることにいたしまして、各省において特に努力いたしております。特に就職の問題につきましては、これは最も重要であることは申し上げるまでもないのでありまして、労働省におきましては、その就職のあつせんのために特別なる措置を講じておるのでありまして、現在までの就職状況は、一般就職状況よりははるかに良好な成績をあげておりまして、なお一般民間諾団体に対しましても、この就職あつせんにつきまして御協力をいただきますように、各方面に御連絡をいたしまして、お願いしておるようなわけであります。  以上のような状況でありまして、現在まで帰られました方々は、第一次から第三次までの間に一万四千五百五十名であります。これらの方々定着状況につきましては、先ほど申しましたように、現在なお就職のあつせんその他について努力いたしておりますし、住宅につきましても、東京都におきましては、すでに第一次、第二次に帰られた方々につきましては、家族を持つておる人々は大体住宅に収容できておるのであります。第三次につきましては、現在建築を進めておりますので、そのうちに帰られた家のない方々も収容できるだろうと考えております。  次に、第四次の配船でございますが、これにつきましては、中共側におきまして、こちらに配船通告がしばらくとだえたのであります。従来の例によりますると、こちらの船が帰つて来まする以前に、次の配船の計画が通告になつたのでありまするが、第四次につきましては、これが来ませんで、在日華僑先方帰還したいという希望の者についての向うへの送還がどうなるかという点についての連絡をして参りました。それについての返事のあつた上で先方からこちらに通報するということがございましたので、これにつきましては、三団体、特に赤十字社の申入れに従いまして、当局といたしましては、在日華僑のうちで先方帰還したいという者についての向うへの帰還援護ということについての措置を考慮いたしまして、これに対する各般の手続を終えまして、これができましたので、先般、そのやり方等につきまして、日本赤十字社連絡をとつた上で、これが決定したものによりまして、三団体におきまして先方に、こちらからの配船日程希望を申し入れました。これに対しまする向う通告に従いまして、本月の二十三日ないし二十八日の間に中共に船がつくように船を出す準備をいたしたのであります。この準備をいたしまして、船の出帆ができるようにいたしますと同時に、在日華僑のうちの第一陣の五百数十名、六百名ばかりの人を先方帰還させる諸般手続を急速に進めましてそうして、これをそのうちの最終船興安丸に乗せまして向うに帰ることができるように手続を今進めておるわけでございます。これによりまして、興安丸に乗りまする、在日華僑のうちで先方帰還することを希望いたしまする人々は、十九日の晩こちらを立ちまして、舞鶴に着きました。途中いろいろなごたごたがあつたようであります。けれども、現在舞鶴援護局に入りました。これから出国についての各種業務を行うように相なつております。  なお、現在のところ、先方に参りまする帰還輸送船高砂丸白山丸白龍丸三つの船につきましては、高砂丸は、先般門司に参りまして、予定の出港日に二団体代表者が乗らないということのために、出港できない状態なつておりまして、現在これが乗船されるのを待つております。白山、白龍丸につきましては、現在舞鶴から門司に向つて行きつつあるのでありまして、これにつきましては、門司からあと団体がお乗りになるかどうかということによりまして、この帰還が円滑に行くかどうかということがきまるのではないかというふうに考えております。
  4. 山下春江

    山下委員長 本件に関する質疑を許します。質疑通告順にこれを許可いたします。小平久雄君。
  5. 小平久雄

    小平(久)委員 国民の久しく待つておりました中国からの引揚げにつきましては、各方面の御努力によりまして、その端緒が開かれ、逐次実現されておりますことは、まことに喜びにたえないところであります。しこうして、ただいまその間の経過につきまして御説明がございましたが、さしあたりわれわれ国民が、また特に留守家族方々が、あるいは中国にありまして祖国に一日も早く帰りたいと望んでおられる方々が一番心配いたしておりますことは、ただいま最後にお話のありました第四次引揚船出港の遅れておる問題であろうと思います。この問題につきましては、ただいまの御説明にもありましたごとく、多少いざこざがあるということでありますが、われわれが新聞等承知をいたしておりますところによりますと、そのいざこざの中心をなしますものは、何か中国人遺骨送還するという問題のようであります。しかし、われわれがまた承知をいたしておるところでは、第四次引揚船配船、これに関しましては、華僑引揚げの問題、これが関連いたしておりましたことは承知をいたしておりまするが、中国人遺骨送還の問題までもが関連をいたしておつたとは承知をしないのであります。また中国の紅十字会におかれましても、それまでも条件を付しておられたとは承知をいたしておらないのであります。そういう点につきまして、当局といたしましてはどういう考えを持つておられるのか、まずその点を伺いたいと思います。
  6. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 御承知通りに、中共地域におりまする日本人をこちらに帰すことにつきましては、昨年の十二月一日の北京放送によりまして、帰すという意思の表示がありまして、そうして、これにつきましての打合せをするために、日本から適当な機関代表派遣を求めるということで、三団体代表者先方中国紅十字会に折衝いたしましたが、その折衝の結果を共同コミュニケをもつて発表されて、そうしてお帰りなつたわけでございます。これによりますれば、中国におきまする日本人帰還につきましては、あの協定によつてやるということで話合いがついております。その協定によつてなされることになると思うのであります。その席におきまして、存日華僑の中で先方帰還希望いたしまする者の向うへの送還につきましての各種の問題が出て、それを日本赤十字において何とか援助をしていただきたいという御希望があつたということは聞いております。その際におきましてやはり遺骨の問題についても話があつたということは、その後において承つておるのであります。ただ、これが中共地域におりまする邦人がこちらに引揚げて参りますることと関連性が航るというふうには考えられていないのではないかと私ども考えております。共同コミュニケには何らそういうことは出ておりませんが、あとでそういう話合いがあつたということは承つておるのであります。それで、今回の第四次船につきましても、中国紅十字会からこちらに参つておりまする電報によりますれば、在日華僑向う帰還いたしまする方々送還についてはどうなつておるか、その返事をもらつた上で配船の通知をするということでありました。これに対しまして、こちらから、その送還手続につきましては、どういうふうにしてやり、これに対しまする援護をどうするかということにつきましての連絡をいたしました。そうして向うからのこちらの配船計画に対しまする承認があつたのであります。この際におきましては、他の面ではどういう点があつたか知りませんが、われわれの承つておりまするところによりますれば、その問題は先方との間に交換をしておらないことは事実でございます。われわれ引揚援護庁といたしましては、本来戦争あと始末という意味でもつて、外国から引揚げて参ります人と、戦争によりましてこちらから向うに帰れなくなつて戦後向うに帰られます人との援護という建前からいたしまして、政府の決定によりまして、在日華僑向う送還いたしまする場合の援護事務をいたしておるわけでございますが、われわれとしましては、華僑送還につきましては、一応在日華僑中共帰ります者の世話をいたしておりまする華僑総会、これと日本赤十字におきまして十分連絡をとりまして、そうして日本赤十字を通し、これらの人の援護についてのとりきめの話合いをいたしまして、その諸準備をいたしたわけであります。三団体におきましては、そういう話合いのありましたその了解のもとに向う電報をお打ちになつたものと考えております。従つて、現在三団体代表方々が乗船しないというために船が出ることができない、事実上末可能になつておるという状況は、われわれとしましては、はなはだ遺憾にたえません
  7. 小平久雄

    小平(久)委員 われわれが承知いたしておりまするところでは、華僑送還の問題につきましては、政府としましては日本赤十字に対しましてこれをおまかせしたというふうに承知いたしておるのでありますが、その点は、赤十字社だけにおまかせしたのか、あるいは、いわゆる三団体におまかせしたのか、この点もひとつはつきり御説明を願いたいと思います。
  8. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この点はいろろな問題があるのでございますが、向う帰ります人々輸送につきましては、赤十字船でもつて向う輸送するということに相なつております。それから船内及びこちらにおきまする援護の点につきましては、これは引揚援譲庁が、ものによりましては直接いたしまするし、ものによりましては赤十字社に委託いたしてやる、こういうことになつております。その他の全般的な問題につきましては、どういうふうになつておるのか、よくわかりませんけれども援護の問題は私どもの方でやる。そうして私の方で赤十字社に委託してやりますが、ただその中で、たとえば援護局の中におきまする給食であるとか、あるいはそこで宿泊させるとか、あるいはそこで入浴させるとかいうようなお世話は、援護局を通して私どもの方で直接やります。その他のいろいろな世話は、日本赤十字社に委託してやることにいたしております。こういうような仕事を委託いたします団体としては、やはり日本赤十字社の、ようなしつかりした組織を持つた団体にまかせなければできませんので、この団体に委託してやるということをいたしておるのであります。
  9. 小平久雄

    小平(久)委員 ただいまの御説明からいたしますと、政府が少くとも直時委託を申し上げたのは日本赤十字社だけである、こう解してよろしゆうございますか。
  10. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 政府が直接委託しましたのは、ただいま申しましたように日本赤十字社だけでございます。
  11. 小平久雄

    小平(久)委員 赤十字社以外の二団体が乗船をこばんでおる、そのために帰還船が出られないということと、ただいまの御説明による華僑を送るということを赤十字社だけに頼んだのだということとの間は、どうもわれわれからしますと了解に苦しむように感を抱くのでありますが、その辺のところは当局ではどういうふうに解しておられますか。
  12. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 華僑送還の問題につきましては、現在のところ意思の齟齬しておるところはないのじやないかと思つております。華僑送還につきまして、これに対する援護をするということに話がつきまして、帰還の方法としましては赤十字船に乗せて帰すということで話がつきまして、三団体電報向うへお打ちになりました。そうして日程がきまりまして、船を出す準備ができたのでありますから、引揚船そのものにつきましては何らそこに問題はなかろうかと思います。従つて、これについて乗船されたい、——乗船されなければ船が出せないことは、共同コミユニケにおきまして、三団体代表は乗つて来なければならないことになつておりますから、そういう協定をされました方々としましては、お乗せになるのは当然だろうと思います。われわれとしまして、船に乗らない場合は船を出すことができないということも、やむを得ないところだと思います。従いまして、われわれとしましては、現在なぜ乗らないかということにつきましては理解できないのであります。
  13. 小平久雄

    小平(久)委員 次に伺いたいことは、ただいま御説明にありました通り、この遺骨の問題が解決しないために、二団体が乗船を拒んでいるよう所ありますが、もちろん中国人遺骨に対しましても、われわれはできるだけ早くこれを送還してやつたらよろしい、当然そうすべきであるというふうに考えておりますが、その点については政府はどういう計画をお持ちですか、それをひとつ御説明願いたい。
  14. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 引揚援護庁といたしましては、軍人軍属の御遺骨以外につきましては主管いたしておりませんので、私の方といたしましては、これについて意見を申し上げることはできなかろうと思います。
  15. 小平久雄

    小平(久)委員 そうすると、援護庁では軍人軍属以外は主管しておらぬ上いうことでありますが、政府はどこでそういうことを主管しておりますか。外務省と援護庁しかいないのですが、その点外務省でわかりませんか。
  16. 倭島英二

    ○倭島政府委員 どうも、主管ということになると、いろいろむずかしいことがあるかもしれませんが、主管の問題は、私自身どこだということを申し上げるだけの用意をしておりませんから、ごかんべん願いたいと思います。主管の問題は別にしましても、実際現在問題になつ遺骨中国送還ということについては、実質上少くとも話が進んでおり、ついているのじやないかと思つております。
  17. 小平久雄

    小平(久)委員 私がその点をお尋ねいたしますのは、今船が出るか出ないかという際におきまして、特に先方と二十三日ないし二十八日にはこちらの引揚船をやるという打合せもできて、出港直前において、この遺骨の問題が解決をしないから船に乗り込まぬというようなことは、われわれからすれば、はなはだ心外のことであります。しかしながら、一面から考えますならば、われわれが同胞の引揚げなり、あるいは同胞の遺骨の交換なりを希望するがごとく、なるべく早い機会において、この中国人に対しましてもわれわれはできるだけのことをしてやることがまた当然ではないか。これは人道的に考えて、さように私は考えます。そういう見地からして、一体政府では、この中国人遺骨引揚げという問題に対して、今どういう処置をとり、どういう考えを持つているかということを私はお尋ねいたしているのです。もちろん、繰返して申しますが、今出港まぎわになつた、この問題が解決しないから、船に乗り込まぬというようなことにつきましては、これは国民とひとしく私も心外に思つておりますが、また日本としましては、この中国人遺骨につきましても一応の計画があるのが当然じやないかというふうに私は考えるから、お尋ねしているのです。
  18. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この問題につきましては、私はかように考えているのでございます。この遺骨の問題が問題になりましてから、いろいろとその解決につきましては、向うへお送りすることについてお世話をしておる方々がおられるのでありますが、それらの方方と華僑と一緒になりまして、いろいろなそれについての手配をなさつておられたようでございますが、これの問題が解決しない限りは在日華僑向うへは帰らないというような話もありまして、この問題が解決したということでもつて、十九日の日に汽車にお乗りになることになつたのであろうと思つております。十九日に汽車にお乗りになるということは、帰国の意思を御決定になつたものとわれわれは考えざるを得ないのであります。従つて、その際一旦解決しているものが、その後にまた問題になつているということにつきましては、私は理解できないのであまりす。
  19. 小平久雄

    小平(久)委員 最後に、私は委員長にお願いしておきますが、この問題につきましては、ただいま御説明もありましたように、華僑総会なり、あるいは慰霊実行委員会ですか、そういうものがあつて、大谷瑩潤氏のごときが中になつてこれのお世話をやつてつたように伺つておるのであります。ですから、明日にでもこれらの関係者の方方に当委員会に参考人としておいで願つて、その間の事情を究明いたしたいと思うのですが、委員長において適当におとりはからいを願つておきます。これでもつて私の質問は終ります。
  20. 山下春江

    山下委員長 小平委員のお申出、委員長においてとりはからいたいと思います。臼井莊一君。
  21. 臼井莊一

    ○臼井委員 私のお伺いしたいことも、ただいま小平委員から御質問があつたので、大体は了解いたしたのでありますが、ただ、二団体が船に乗らないという理由につきまして、いろいろ新聞紙上においては発表しておる向きもあるようでありますけれども、いま少しは、その同どういうわけで乗らないのだということを当局においてわかつておられる範囲内でひとつ御説明もいただきたい。——ただいま小平委員のお望みのように、二団体に来ていただいて、その間の真相を直接伺うということは、私も賛成でありまして、ぜひそういうおとりはからいを願いたいと思いますが、当局においてわかつておる範囲内でお話をいただきたいと思います。
  22. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 私の方でわかつております範囲は、先ほど申しただけであります。それ以上になりますと推測になりますので、私から申し上げるわけにはいかぬと思います。私といたしましては、なぜ乗らないのかということは、まつたく理解に苦しんでおるのであります。日本帰ります引揚者向うで集結しておる、大体集結が済んだと向うから電報が参つております。こちらでも、三団体中国紅十字会と話合いがついた日に船の手配は運輸省においていたしております。船に乗らなければ船が出ないということは、共同コミュニケをお出しになつた方は十分御承知だと思います。われわれは、三団体方々に船に乗れということを命令する権限もありませんし、それを強制することもできないのであります。そういう話合いをおつけになりまして、そしてこの計画をお立てになり、そしお政府に船を配船させておきまして、お乗りにならないということは、まつたく理解ができないのであります。
  23. 臼井莊一

    ○臼井委員 ただいままでのお話を伺うと、一応話合いが三団体中共との方でついていて、配船まで政府にさせておきながら、乗らぬということは、それだけのことを見ますと、まことにわれわれも理解に苦しむのでありまして、中共におられる同胞の方々も、一日もすみやかにお引揚げになりたいし、またその家族の方、われわれ国民としても、一日もすみやかにお引揚げをお迎えしたいということが熱望なんでありますし、またおそらくこの三団体にしても、その真意のもとにやつておられるにかかわらず、伝えられる遺骨の問題等にからんで、それがために延びておるということは、われわれとしても遺憾に考えております。しかし、これ以上当局に伺つても御説明願えないというふうに思いますので、ひとつさつきゆうに先ほどの二団体に来ていただき、また二団体ばかりでなく、三団体がとりきめた問題でありますので、三団体においでいただいて、そして実際の真相を伺つてみることが、国民の疑惑も解くし、われわれとしてもやはりその責任があると思いますので、この点を委員長によろしくお願いいたしまして、私はこれで一応終ります。
  24. 山下春江

    山下委員長 承知いたしました。受田新吉君。
  25. 受田新吉

    ○受田委員 遺骨引揚げのことについては、遺骨を尊重するという点においては、日本国としても十分意を用いなければならない。なくなられた霊に対して深い敬意をささげ、その霊が静かに帰られるということに協力を日本政府として惜しんではならないと思います。その点について、遺骨の祖国引揚げに関して三団体間に協調がとれないでごたごたしておるということは、はなはだ遺憾なことなのでありますが、政府の方へ入つている情報として、この三団体間のごたごたはどういうところから来ているか、何らかの情報は入つていないのでありますか、この点をまずお伺いしたいのであります。
  26. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 先ほど私が申し上げましたように、遺骨の問題は、引揚援護庁の方では全然所管いたしておらないのであります。われわれの方で所管いたしておりますのは、軍人軍属遺骨を、復員業務の一環といたしまして、これにつきましてどういうふうにするかということは、しなければならぬということに相なつておりますので、これにつきましては、われわれの仕事としまして、いたしております。その他の問題につきまして、われわれの方でこれをどうするかということにつきましては、職務上は何らこれについては意見を申し上げることはできないのであります。ただ、今受田先生がお話になりました通りに、そういう御遺骨を丁重に扱わなければならぬということは、言うまでもないことであります。従つて、この御遺骨先方にお送りするということにつきましては、これは万事物事を円満に話をつけまして、そうしてその円満な話の上で丁重にお送りするのが当然だろうと思います。それができる際にそれをすべきであるとわれわれは考えておりまして、これらにつきまして、なお現在のところ、どういうことか知りませんけれども、円滑にこれがお送りすることができないような状態にあるのではないかと、私は一応推測するのであります。と申しますのは、これによりましていろいろごたごたがあるように新聞等にも載つておりまするし、これによりましていろいろ問題が起つておるようでございます。それで、そういうような状態のもとに、ごたごたしたままお送りするのは、われわれとしては、これは日本政府として適当でなかろうと、一応考えております。そうして、その問題と関係のない引揚げの問題がこのためにとまつておるということは、われわれといたしましては最も心外といたすところでございます。
  27. 受田新吉

    ○受田委員 倭島局長にお伺いをしたいと思います。こうした重要な人道問題は、政治的にも十分尊重されなければならないと私は思うのです。何となれば、遺骨があちらへ帰られるについて、日本政府としても、今木村長官のお言葉のように、十分これを丁重に取扱うことに協力するということでありますが、外務省として、この遺骨が帰られることについて積極的に協力してあげる、もしその間に紛争があるならば、それについてもできれば何らか解決の道も一役買つてやる、こういうような親心を持つておるかどうか、これをそのまま荏苒月日を費して、このごたごたを見のがしておくようなことしかないんだというような考え方を持つておられるか、そのいずれであるかをお伺いしたいのであります。
  28. 倭島英二

    ○倭島政府委員 外務省といたしましても、できるだけ各方面了解が円満について、その目的が達せられるように従来も努力しております。しかしながら、残念ながら現在までのところ、各方面了解が円満についたという状態には、先ほど援護庁長官のお話のように、まだなつておりません。外務省としては、本件もできるだけ円満な各方面了解のもとに行われることを希望しておるわけであります。従来も努力いたしましたし、今後も努力するつもりでおります。
  29. 受田新吉

    ○受田委員 各方面了解というのは、それを解剖すればどういうことになりましようか。
  30. 倭島英二

    ○倭島政府委員 この問題については、申すまでもなく、御存じだと思いますが、台北にある国民政府との関係があるわけであります。その関係につきましては、遺憾ながら公開の席上では申し上げかねると存じます。
  31. 受田新吉

    ○受田委員 公開の席でお答えいただけなければ、非公開の形ででもわれわれはこれをお伺いする必要があると用います。それに非常に重大な問題であるので、これを委員長においてとりはからうことをお願いいたします。  次に、それを保留しておきまして、残された質疑を続けます。この問題とあわせて、あちらに残つておる残留者の状況をわれわれは心から憂えておるのであります。ところがおととい共同通信の宍戸特派員が共同通信の本社へあてて送つて来た電報があるのですけれども、その電報によると、「在華邦人帰国希望者数は中国紅十字会の推定によると、当初三万余名とされていたが、三十日同社副秘書長林士笑氏は帰国希望は第四次にほとんど帰ることになると言明したが、当初の推定約三万名に対し、帰国実数は一万余名の開きがあるので留守家族の相当の反響があると思われる。」その林氏の談話の内容は、中華民国在留邦人の帰国者二万余名は第四次までに帰ることになるが、あるいは第五次に及ぶかもしれない、その場合四隻が必要かどうかはわからないが、七月半ばごろまでには全部帰国を終りたい、帰国者の数がはつきりしないのは、中国人と結婚した女性が、当初帰国を申請したが夫婦の愛情にひかれて取消したりするためで、当方としては帰国希望者はいつでも申し出れば帰国の便宜をはかる方針である、と語つておることを電文で知らせておるのであります。私は、これに関係して政府に次のことをお伺いしたいと思います。この共同通信の記事に対して政府はどういう見解を持つておるか。その次は、第二点として、あとに残つている人の状況は、留守家族はもちろん日本国民全部が非常に心配をしておる。ところが、政府はその残留者に対してだれだれが残つておるというようなことをこつちへ帰られた人々からどのように調査されたか。これは帰国した人が当然、だれが残つておるくらいのことは報告してくれていいのであつて、自分だけ帰ればあとのはどうでもいいというような帰国者はないと思う。だれがあとに残つておるということは十分御調査いただいておると私は思う。この点について政府はどういう措置をとつておられるか。以上二点についてお伺いをしたいのであります。
  32. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 ただいま御指摘になりました共同通信社の特派員からのこちらにもたらしました情報につきましては、われわれもその情報を承りまして、承知いたしておるのであります。われわれといたしましては、そのときにも記者の方に申し上げたのでありますが、当初三万余人の在華日本人向うにおる、そのうち帰国を希望する者はこの際全部帰す、ただいま帰国を希望しなくも、後に帰国を希望すれば必ず帰す、これについてはできるだけの援助を惜しまないということがこの話のもとになつているということは、十分皆さんと同じように承知いたしているのであります。今回、その中で帰国を希望する者が二万余りしかいないという情報が参りましたことにつきましては、三万余の在留同胞の中で帰国を希望する者が二万余しか今いないということであるかと思うのでありますが、これにつきましては、従来われわれが聞いておりますところとは、はなはだしく齟齬いたしておるのでありまして、われわれといたしましては、どうもこの数字につきましては十分納得が行くわけには行かないのでありまして、この情報につきましては、正しい情報が参つておりません。これに対しましてこちらとして意見を言うべき時期ではあるまいというふうに考えております。今出ております数字からいたしますると、私といたしましては、どうも理解がしかねるのであります。なお、それにもございまする通り、第四次船が最終船であるとは申されておらないのでありまして、第四次船まででは、帰ります者が約一万九千名であります。従つて先方が申しておりますところに従いましても、千余名の者は、向うになお残留を希望してはいるが帰る準備をしていると考えざるを得ません。第四次船でなにし第五次船があるものというように一応期待できるものと考えております。  それから、残留者の状況というものにつきましては、われわれは留守家族方々と同じような気持でもつて心配いたしているのであります。これにつきましては、残留者の方々の消息を、帰還した方々から十分にこれを明らかにするようにいたさなければならぬというふうに考えておりまして、これにつきましては、帰還された方々につきまして、いろいろな方法をもちまして、それを知らせていただくようにお願いしているのでありますが、特に帰還した方々の記憶を呼び起していただくためには、帰還した方々が、こちらからお伺いした場合に、この方はどうなつているかということをお伺いする場合の手がかりが必要なのであります。その手がかりといたしまして、旧軍人につきましては、復員局はおかれまして、帰られた方々にいろいろのことをお聞きいたすことにいたしております。また外務省当局におきまして、一般邦人の方々の残留状況をお知りになるために、やはり一定の調査をすることにいたしておるのでありまするが、この調査に対しましては、現在までのところ、これに対する妨害がございまして、この妨害のために事務ができないのであります。帰国者の方々に対しましては、極力その趣旨をお話いたしまして、御協力を願つておりのでありまして、話のおわかりになりました方方は御協力になつておるのでありますけれでも、現在までのところこれが十分に得られるに至つていない。この資料を、情報の調査と申しまするか、情報を収集するための資料にし、あるいは思想調査をするために用いるものであるというように誣言をいたしまして、この記載の阻止する印刷物を船中及び援護局内において配つておる者があるのであります。従いまして、この行為が阻止されませんと、この完全なる資料が得られないのであります。われわれといたしましては、これによりまして、現在までのところその資料が十分得られない、そのために調査に非常に難渋いたしておるということを、この際申し上げたいのであります。
  33. 受田新吉

    ○受田委員 たいへん憂慮にたえぬ細答弁をいただいたのでありますが、知一の問題については、これは政府の答弁を一応了得いたしますが、第二の問題についての、その妨害のために、残留者がたれたれが残つているというような、そうした友情の立場の報告をしておらないということは、これははなはだ心外だと思うのでありますが、この点、残された同胞、帰国を希望している同胞の氏名ぐらいは、これは当然帰つた人が報告すべきである。この点、政府のやり方に手落ちか何かあつてそういうことを語ることを遠慮したのではないか、そういう心配があるのであります。  もう一つ、政府が現に調査された一万五千名の帰国者のうちで、しからば何名ぐらいからその残留者の氏名等の報告を受けておるか。妨害等によつて報告を受けることのできなかつた教字との比較をしてみたいと思うので、御答弁いただきたいのであります。
  34. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 調査の方法といたしましては、あすこで一応資料をお持ちの方々には出していただくようにお願いいたしておりまするが、三泊四日の期間業務をやつておりまする間には、この資料を十分にとることは困難なのであります。従いまして、その後におきましていろいろな資料の御提出を願い、あるいはいろいろとお話をお聞きするというためには、最も合理的にこれをやりまするためには、こちらにありまする向うの残留者の資料と、帰られた方々のお持ち帰りなつた、あるいは持つておられるというよりも、頭の中にあられるであろうところのものを引出すためには、その結びつけをすることが必要なのであります。そのために、身上調査表というものを書いていただき、あるいは移動経路票というものを書いで出していただくようにいたしておるのであります。つまり、帰られた方々がどこにおつたかということを聞きますれば、同じ場所におつた人の情報がそこから得られるわけであります。そういうような方法をもちまして、できるだけ精密に、向うに残つておられまする方々の消息を明らかにする、あるいは、なくなられた方々につきましては、いつどこでなくなられたかということを聞かなければならぬのでありますが、そういう情報を得まするためには、やはり根気よくやらなければならないのでありまして、そのために、そういうような書類を援護局で書いていただくことにいたしておりまして、従来はこれを書いてもらつてつたのであります。今回になりまして、これを情報調査であるとか、あるいは思想調査であるとか、これはくせものであるというようなことを言われまして、これを書くことを一応第一次船においては大部分拒否されたのであります。第二次船以後にねきましては、その状況に対応いたしまして、われわれといたしましては、できるだけそれを説得いたしまして、書いていただくようにしておりますけれども、なお現在までのところお書きくださつておる方々はそう多くないというような状況であります。従いまして、今後引揚げを終りました後におきまして、われわれといたしましては、十分な残留者の調査をいたしたいと考えておりますけれども、これにつきましての手がかりが現在のところ十分には得られないという状況なつております。もちろん、これをお書き願いますことは強制はいたしておりません。強制いたしておりませんからして、現在はあまりお書き願えないというような状況なつております。これらにつきまして、われわれといたしましては、これをできるだけ書いていただきまして、そうして今後全力を尽して残留しておられる方々の消息を明らかにいたすようにいたしたい、かように考えております。個々の帰られた方々は、逐次、おちつきますと、だんだんそういうことに耳を傾けてくれると思いますが、また、今後そういうふうに努力いたしますけれども、そういうものになる手がかりがあまりないということが現在の状況であります。
  35. 受田新吉

    ○受田委員 今お尋ねした中で、お答え願えなかつたことがある。調査のできた人はそう多くないというお言葉があつたのですが、そう多くないということは、もつと具体的に言つて、何名ぐらい残留者の報告をしてくれた人の数字があるか。政府の方で提出されている書類によつて、一万五千名のうち何名調査に応じてくれたかということ、それからその人たちによつてはつきり残留者の消息のわかつた人が何名ぐらいおるのか、それをお伺いしたいのであります。
  36. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 ただいまお尋ねの点につきましては、数字をここに持つておりませんので、きわめて少いということ以外には、何分の一ということまで申し上げるだけ記憶いたしておりません。ただ半数に達していないことは事実であります。きわめて少いというのが実情でございます。
  37. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 今の受田君の質問きわめて重大でありますし、ことに当初引揚げの場合にわれわれは三万ということを承つてつたのですが、昨年の八月二十何日でしたか、国連の報告によつて中共にはまだ五万九千二百八十人おるというような調査があるわけです。従つて中共から三団体の交渉によつて三万は引揚げ得るのだというても、まだ二万名ほど残つておる。今承ると、一万四千五百五十というのですから、たいへん大きな数がまだ中共に残留しているわけですが、これの調査は、今承るところによると、引揚者に対しては、なかなかいろいろ問題があつて、これを的確に知ることはできないということである。さきにGHQの方で調べたという問題から端を発して、以後援護局では調査に対してはあつせんをしないということになつた。従つて、公の機関で調べることは困難である。しかし、なかなか事は重大です。留守家族としては、一日も早く帰つてもらいたい、あるいは向うのたよりを聞きたいというのでありまして、現に昨年六月一日現在で、中共地区から通信があつた者が二万二千八百九十六人あるのですから、今言われた一万四千五百五十人を引いても、かなりの数が残つておる。これらの向うにおられる方のたより、及び今後の情勢について、ぜひこれは何とかして調査をしたいのです。そこで、最近は北京に相当の人が行かれておるし、北京からわれわれの方にも手紙が見えておりますし、行けないことはないのでありますから、何らかの機関を通じて外務省もこれに働きかけて、あるいは三団体にも援護局から働きかけて、できるだけ詳細に在留同胞の消息を調べるということの方法を講じていただきたいと思うのです。そうして、できるだけ早い機会にこれを御発表願いたいと思うのでございます。ただいま承つたところによると、あと五、六千でもう終りだというのですが、日本の婦人があちらでかたづいて、その人たちが帰らないから、大体あと五千名くらいで打切りだということは、いかにもロジックに合わない。それがそんなに多数あるわけはない。だから、これは何かその間に問題があると思うのですが、こういう点をぜひひとつ調査究明を願いたいのです。特にこの際、今受田委員からお話があつたところの未帰還に対する数の問題及び内容の問題については、外務省の倭島さんも来ておるのですから一特段の御努力をお願いして、援護庁としてもこれ対して特別なはからいをして、とにかく詳細がわかるようにしてくださることを、この機会に要望いたしておきたい。委員長はこの点についておとりはからいになつていただきたい。
  38. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 ただいま佐藤先生がおつしやいました御意見の中に、私どもちよつと申し上げたい点がございますが、先般来問題になりましたGHQの方の——GHQというよりも米軍ですが、米軍からの要求によりましてこちらでいたしておりましたのは、現在のとは何も関係がないのであります。前に先方から要求がありましてやつておりましたことは、先方指名した人のところに手紙を出す仕事だけを私の方でやつておりました。昨年の四月の講和発効後は、私どもといたしましては、先方に依頼された手紙を送る仕事だけをやつてつたのであります。私の方でこういう人ということは何も言わないで、向うで言つて来た人のところへだけ手紙を封筒で出す仕事をやつておりました。しかし、それも適当でないと認めて、先般やめさしたのであります。これは御承知通りであります。従いまして、私どもといたしましては、昨年四月二十八日以降におきまして、米軍に対して何らかの資料を提供いたしたことはないのであります。私の方から面接資料をやつたことは全然ございません。特に引揚げ関連いたしましたもので資料をやつたことはないのであります。  それから、今回やつていることで問題になつておりまするのは引揚者の方方に、残留した人々状況を調査する手がかりを得るために、従来やつておりましたようなものを書いてもらうということにいたしておるのであります。この点ができませんと、残留者の状況の調査ができません。これは、三日、四日でするのでしたら非常におそまつなものになりますので、丁寧にいたさなければなりません。これをいたします基礎となる資料を書いていただく、これだけをやつていただくことにいたしております。これが現在十分にやられていない。従つて、今後において非常に困難をするであろうということをわれわれは非常に憂えておるのであります。従いまして、第二次、第三次と、逐次いろいろな努力をいたしまして、これをお書き願つております。だんだんと成績は少しずつよくなつておりますけれども、まだわれわれとしては、それでは不十分なものがありまして、現在帰つておられます一万五千名、また今後相当お帰りになると思うのでありますが、これらの帰られました方々から、向うにおります残留者の方々の最も新しい御消息をお聞きしたい、かように考えております。もちろん、お帰りになりました方々で、自発的に非常な貴重な資料をお持ちくださいまして御提供くださる方々も多数おられます。しかし、自発的に出されます以外に、記憶をもう一ぺん呼び起してもらうこともきわめて必要であります。そういう人から新しい手がかりを得て、そうしてある人の消息が明らかになつて来るということがあり得るのであります。そういうようなことからいたしましても、われわれは、留守家族のお気持を考えまして、できるだけこの調査は完全にしなければならぬ、これは政府の責任であるというふうに考えまして、努力いたしておるようなわけでございます。ただその点につきまして、今申しましたような事情で、十分なことができないということを非常に残念に思つておるのであります。
  39. 柳田秀一

    ○柳田委員 そこでちよつと、今の受田さんと佐藤さんの質問に関連するのですが、政府は最初、生存者名簿で五万九千名、状況不明者一万七千名と踏んでおられた。そこで、今度帰つて参りました一万五千は、生存者名簿のうちの何名、状況不明者のうちの何名、さらにそのいずれともつかない、全然生存者とも状況不明者とも政府考えていなかつた、この人も帰つて来たというのが大体どれくらいあるかということを次会にでも受田さんに対する御答弁のときに数字でお知らせ願いたいと思います。それから同時に、生存者名簿五万九千名とおつしやつてつたうちに、どれだけ死亡が確認できたか。これは今お話のように約半数ほどしか調査が集まつておらぬそうですが、統計学上の類推で大ざつぱなことはあるいはつかめるかもしれませんので、調査の結果、大体生存者名簿の五万九千と踏んでおられたうちで死亡確認がどれくらいあつたか、あるいは状況不明一万七千と踏んでおられたうちのどれくらいが状況がわかつたかというようなことも、あわせて資料として御提出願いたいと思います。
  40. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 私の方で先ほど申し上げました資料というのは、調査の手がかりになる資料でありまして、それによりまして残留者が直接わかる資料ではありません。つまりある人がどこにおつたかということを開いておきまして、それがどこにおつたということならば、この人はどうなつたかということを聞くための資料でございます。そういうふうに、人をこちらが探すときの種になる資料であります。従来から復員局並びに外務省におきまして、これを基礎にしていろいろ調査をいたしておつたのであります。従いまして、これは先ほど、半数というのでなくて、半数も集まつておらないということを申し上げたのであります。それから、自発的に資料を援護局へお出しになりまして、一言していろいろな消息がわかるというものは、きわめてわずかでございます。これは現在のところ問題になる数になつておりません従つて今後、先ほど申し上げます手がかりによりまして、逐次御協力願つて消息を明らかにいたして行かなければならぬと考えるのであります。  今回帰還しました方々の中には、従来未把握者の方も、ある程度帰つております。それから、その中には、向うで新しく生れた子供さんが相当ありますから、従つて、従来私の方で申しております数字以外に相当ふえるのであります。それから、従来こちらで死んだと思つてつた人が、帰つて来られているというのも若干はございます。それから、従来私の方で消息不明というふうにいたしておりました人が帰つているのもあります。それから、資料の中で確実な資料というものと未確実な資料というものがございますが、その未確実な資料の中から帰つて来られた人もあります。従つて、今日まで帰つておられます約一万五千名の方々の中で、従来私の方で生存が相当確実であると見ておりました者の数というものは、若干それより少いわけでございます。われわれとしましては、三万名のものが二万名となりますと、その割合はまだ悪くなるということにならざるを得ないのではないかというふうに考えます。それからなお、もう一つ問題になりますのは、帰られました方々が非常に偽名を使つておられることであります。この偽名の問題につきましては、いろいろと問題がございまして、現在まで帰られました方々で、船の中でその名前を明らかにされた方がたくさんあります。それから、援護局に来られましてから名前を名乗られた人がまた相当あります。そうして、郷里へ帰られまして、初めて名前がはつきりしたという人もあるのであります。従いまして、その問題だけで、整理いたしますのになかなか困難しております。それから、一人で名前を二つも三つも持つておられた人がありまして、相当統計上ではいろいろな人になつているというのもありますし、なかなかそこのところの判定がむずかしいのでありまして、正確な数字はおそらく出ないと思いますけれども、できるだけ御希望に沿うようにいたしたいと思います。
  41. 受田新吉

    ○受田委員 残留者の消息について、政府の現在とつているような調査方法によつては、大した期待ができないのではないかと思います。今半数に近い者が報告をしてくれているといいますが、その報告をしてくれている人々以上にさらに多くの人が協力してくれて、大多数の人々が応じて、最後に実を結ぶというような公算がある状況なのかどうか。私の不安なことは、あるいは何か政府のやり方に思想調査とか何とかいうような、そうした動きがちよつとでも見えて、帰国者の心理に刺激を与えた点があるのではないかということです。大体友情としても、残留者が、だれがどこにいるくらいのことは、帰国した人は普通はこれは言うことです。それすらも協力しないということは、何かそこに不安があるのでありますが、その点について、政府としてはやつたことに手落ちはないか、帰国者の心理に影響を与えるようなやり方をしている点はないかということと、この調査に協力しないのはなぜ協力しないのか、そういうことについての政府の見解をお伺いしたいのであります。
  42. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 その点の心配があるということは、あるいは事実であろうかと思います。やはりそういう点を心配されて、そうしてお書きにならぬ人があるということも、事実ではないかと思います。これにつきましては、引揚援護庁といたしましては、絶対にこの資料をそういうふうに使わないということを明言いたしております。これは私がたびたび明言いたしておりますし、それのみならず、厚生省といたしましては、これを天下に明らかにいたしておるところであります。それを信用しないということになれば、これはどうなるのか知りませんが、少くとも公開の席におきまして、絶対にわれわれとしてはそういうような思想調査あるいは向うから政治情報のような情報を収集するために調査をするとかいうことはしないということを明らかにいたしておるのであります。それにもかかわらず、なお、あれはくせものなんだということを言われて、非常に不安を増大するようなことがある。そのためにこれが記載されないという点が最も大きな理由であります。帰つて来られました方々が非常な不安を持つておられる、——直接不安を持つているからお書きにならないというよりも、これは不安があるんだぞ、心配なものだぞという点を宣伝される点に大きな原因があるのではないかと思います。われわれといたしましては、これをそういうものに使う意思は全然ございませんし、そういうことをさせないことを明らかにいたしておるのであります。従いまして、この点を明言いたしております以上は、絶対にそういうことはいたしません。従来からその点は明らかにいたしております。またその点を、援護庁におきましても、るる説明をいたしておるのでございますけれども、しかし、それでもなお、いや、あれはうそなんだ、いいかげんなことを言つているのだというような宣伝をされまして、その結果非常にあれが困難になつておるというのが実情であります。お説の通りに、やはりそういうふうな不安の上から書かれない、あるいはそれに協力しているように見られるのがいやだから書かないという点は、確かにあるようであります。これにつきましては、われわれとしては、先ほどから申し上げる通りに、そういうものに使わないということは前からたびたび明言いたしておりますところでありまして、今後におきましても、一向その点はかわるところはないのであります。
  43. 受田新吉

    ○受田委員 私は、たいへん心配な点があるので、この席を通じて聞いておきたい。柳田さんが第一船をお迎えにいらつしやつたのでありますが、今政府の答弁を聞いて憂慮にたえない点は、何か思想調査をするのではないかという心配があつて書かれないというような空気が、上陸の前からあつたということであつたけれども、そういうような不安にかられている引揚者の空気が船内に見られたのであろうかどうだろうか。これは柳田さんからちよつとお答えいただけたらと思うのであります。
  44. 山下春江

    山下委員長 いずれ柳田さんからお答えをいただく機会をつくりたいと思いますから、本日はごかんべん願います。
  45. 受田新吉

    ○受田委員 それでは、もう一つお尋ねしたいのは、残留者の中にもそうですけれども、帰られた方の中に、ソ連の方におることになつておる人々中共から帰られたというような事実はなかつたでしようか、これをお伺いいたしたいのであります。
  46. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 その点については、いろいろとお話は承るのでありますけれども、具体的にソ連からこの際移された者があるということは、はつきりしておりません。しかし、事実ソ連と中共の間は、ある時期において人が動いたことはあるようでありますから、そういうような関係で、向うにおつたことのある人が若干おるということはあるようであります。ただ、具体的にまだ詳しく調べておりませんので、ここで明確な返事はいたしかねます。
  47. 受田新吉

    ○受田委員 私は、けさ山口県の徳山の向井やす子さんという、元満州の建国大学の教授向井章氏の奥さんから、おたよりをいただいたばかりです。この奥さんのおたよりによると、前に第一船が帰つた当時、「反共で帰れない元建国大学の教授らの消息」という見出しで書かれた新聞記事を、ある点では修正するような情報が入つておるのでありますが、当時の新聞記事には、向井教授は反共の思想を持つた教授であるから、本人は非常に帰りたいのであるが、帰さないのだ、そして今は瀋陽で、ぼろぼろの洋服を着て、ほんとうに失職状況で、ぶらぶらしているのだということであつたのですけれども、きようのこの手紙によると、大体四千円程度の生活補助、月十八万元程度の補助をいただいておるということ、そして近く健康が回復し次第、自転車の修理の手伝いなどをしようと思つているというようなことを、本人でなくして、向井さんの友人から知らして来ておるのであります。しかし、こういうふうに帰りたい希望を持つている人が帰されないというような事実が、まだそのほかにあるのではないか。またこちらに帰つても、家もないし、仕事もないのだ、帰つてもつまらないぞというようなことで、せつかく帰りたい人が、こちらに帰るのを思いとどまつているような事態はないか。こういうようなことをいろいろ考えるときに、私たちは、この際率直に、日本国内における受入れ態勢の完全充実という問題と、絶対に不安のない祖国であるということを残留者に知らせるための政府のあらゆる宣伝とか、あるいは実際にそれを努力して、帰つて来た人に心配をかけないようにし、その人々から向うへ手紙を出していただくとかいうような方法をとつて、残留者の帰国布聖者を全部こつちへ帰してあげるようにしなければならぬと思います。この点について、政府としては、今申し上げたような点で、帰ることのできないような事情になつておる人々を、何らかの方法でこれを帰してあげるような努力を、政府が調査した資料に基いて、日赤その他の団体を通じてこれを依頼するというような方法をとつておられるかどうか、この点をお伺い申し上げたいのであります。
  48. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、私も非常に同感に感ずる次第であります。ただ、その点につきまして、こちらへ帰られました方々がどういう気持を持つておるかという点でございます。これにつきましては、先般私も帰られました方々の施設等を見て参つたのでございますが、お帰りになられました方々は、私が見ました範囲内におきましては、日本の現在の処遇につきまして大体満足をいたしておられるようでございます。もちろん、この処遇なり国民全体のこれに対する受入れの気持によつて、その気持にいろいろな動きがあるだろうと思いますし、またその方々向うにおりました生活の状況と、こちらの状況が必ずしも同じような比例でもつて動くものではないわけでありますから、その点がなかなか困難だろうと思います。ただ、私がお目にかかりました方方は、向うにおいてこちらを見た場合と、こちらへ帰つて実際を見た場合と、非常な相違があつたということは、実際にそういうふうに申しておられますので、そういうような気持をできるだけお持ちになるように、われわれは国民とともに手厚く処遇いたしたい、かように考えております。  各種団体によつて向うに宣伝するという方法が、どの程度の効果があるかということは、はつきりいたしません。一番いいのは、帰られた方々がほんとうにいいと思われるその本心を向うへ言つていただくことが大事じやないかと考えるのであります。これにつきましては、できるだけ御趣旨に沿うように努力いたしたいと考えております。
  49. 受田新吉

    ○受田委員 最後に、先ほどから政府の御答弁の中で、私の心配であつた、調査の際に妨害等があつて思うようにならなかつたというお言葉があつたのですが、これをお聞きしておきたいと思うのです。その妨害等のために調査に応じられないという、その内容はどういうことであるか、だれが妨害するのか、またどういう形で妨害をされたのか、お伺いしたいのであります。
  50. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 妨害の明白なる資料といたしまして、手元に持つておりますのは、援護局並びに船内におままして配付された印刷物でございます。その印刷物の中に、明らかにこれを妨害する文句が入つております。これはいずれお手元にごらんに入れてさしつかえないと思つております。
  51. 受田新吉

    ○受田委員 その妨害の文書は、いずれわれわれの手元にいただくということですが、それは一体どういう人々が妨害したのか、政府の集めた資料でお答えいただきたいのであります。
  52. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 その妨害になつておりまする事実は、資料をごらんいただけばわかるのでございます。そのうちに実物を持つて来てごらんに入れます。
  53. 受田新吉

    ○受田委員 これで終ります。
  54. 山下春江

  55. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 まず華僑引揚げ問題について伺いたいのですが、先ほど長官の御意見によると、華僑の帰国問題については日赤に一任したというようにお話になつたと思いますが、そうですか。
  56. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 華僑の帰国に対する援護の仕事をいたしますることは日赤に一任いたしました。それから、帰還輸送につきましては日赤の輸送船、つまり日赤の船でこれを輸送するということにいたしております。
  57. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ただいまのお話ですと、帰還の船については日赤の船、援護については日赤にお願いをしておる、こういうお話ですが、帰還全体の問題についてはどこにそれではお願いをしたのですか。
  58. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは、どこにお願いすると申しますか、華僑の方で自発的意思をもつて向う帰りたいという方々をお帰しするというのでありますから、その帰すにつきましての援護の仕事と、それからそれを周知徹底させる仕事と、それからもう一つは、船を出しまして船に乗せる、この三つがあるわけでございます。それ以外に何もすることはないわけであります。それにつきまして、これを周知徹底させる方法については、今回は新しい方法をとることは間に合いませんからして、非常に急な場合でありますから、これは従来帰国を希望いたしまして手続をいたしておりまする人に通知する方法をとりました。今後の第二次までには、これについて十分なる手配をするように、これは赤十字社に委託するつもりでおります。それから、援護につきましては、政府といたしましては、乗車券を交付する、あるいは荷物輸送についての切符を交付する、こういうようなこと、それから途中におきまする食事——途中と申しまするか、援護局で帰国の手続をいたしまする間の食事を給与したり、宿泊をしたりする施設、あるいは船の中で食事を給する施設、これらのことにつきましては、これは政府で直接いたしております。
  59. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 日赤に頼んだこと以外に仕事はないのだ、こういうお話なんですが、そうすると、その外の二団体平和連絡会日中友好協会には全然依頼をしておらないのですか。
  60. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 ただいま申し上げました仕事は全然委託いたしておりません
  61. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それ以外のことは何か依頼しておりますか。
  62. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この問題は、御承知通り先方から、つまり中国紅十字会から三団体の中の日赤に特に御依頼があつたというふうに聞いてお、ます。従いまして、これにつきましては、そういう向うとの連絡、つまり中国紅十字会との連絡は、これは御承知通りに、現在までのところ、そういう正式の連絡をする場合には、三団体中国紅十字会とが連絡をするようになつております。連絡の点につきましてはそういうふうにしておやりになつておるようであります。これにほかに委託する仕事は、私の援護庁といたしましてはないというふうに考えております。
  63. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今お話のように、中国に対して連絡をするという事務に対しては、少くとも二団体を含めた三岡体の機関に対して依頼していることには間違いないじやありませんか。
  64. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これは、私の方で依頼しているのでなくして、先方がみずから自発的におやりになつている、そうして帰国についてのこちらの援護につきましては、国内問題でありまするから、日本政府として国内的に措置いたしたのであります。
  65. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうすると、三団体北京に対して今度何人の華僑が帰るという連絡をとつたのは、日本政府意思ではない、かつてにとつたのだということなんですね。
  66. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 かつてにとつたとは申しませんけれども政府が委却いたしまして連絡をとつてもらつたのじやないのであります。華僑向うへの送還につきましては、中国紅十字合が、向うでのこの前の打合会のときに、口頭でもつて御依頼になつたわけでございます。それにつきまして、こちらといたしましては、援護をしてもらいたいということでございますので、これに対しての便宜なり援護なりを国内的にはいたすのが至当であると考えまして、これについて赤十字社に対する委託をいたしたのであります。
  67. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 国内的な問題は一応おきまして、あなたの場合には、あくまでも日赤にだけ依頼したのだと言つておるのですが、六月六日に外務大臣の官邸で岡崎外務大臣は、帰国の事務については三団体にお願いをすると、こうはつきり言つておる。これとあなたの日赤にお願いをしたというのとは全然趣旨が違うと思うが、この点はいかがですか。
  68. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 私が申しましたのは、厚生省引揚援護庁というところでもつて申し上げたのであります。外務大臣がどういうことをどういう権限に基いて申し上げたかということは私は存じません
  69. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それは厚生省引揚援護庁の所管外ということになれば、少くとも援護関係だけであろうと思うのですが、それ以外について、あなたは先ほど輸送の問題にまでお触れになつておるようですが、これは運輸省の関係だと思うが、いかがですか。
  70. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 輸送の問題につきましては赤十字船によつてつておるということを申し上げたのでありまして輸送の点につきましては申し上げたことはありません。そういうことを事実を申し上げたのであります。
  71. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは、事実というのは、あなたの意見ではなくて、それを聞いたという、こういうお話なんですか、どうなんですか。
  72. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 その通りでございます。
  73. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 外務省の局長にお伺いしたいのですが、六月の六日には、三団体華僑の帰国という事業をお願いしたいということを岡崎外務大臣が言つております。ところが、そのあとで、十一日に、あなたはそういう事実はないと言つて、実は違うような話をしておられるようですが、これについて具体的にお話を願いたい。
  74. 倭島英二

    ○倭島政府委員 最初の、外務大臣が三団体にお願いしたとあなたが言われる席には、私はおりました。私もよく知つております。第二回のときは、私が外務大臣の意向を伝えたわけでありますが、第一回のときに、外務大臣は、三団体にお願いするとは言つておりません。但し、こういう話がありました。赤十字にお願いする、しかしながら事を円満に運ぶためには他の二団体も種々協力をされる点もあるだろう、——これには具体的な話を二、三言つておりました。従つて、あなたの言つておられる点は、事実と相違しておると思います。
  75. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 先ほどから、北京に対しては三団体が自由にかつてにやつたらしいという話であり、引揚援護庁の長官の話では、当初は、船の方は日赤に頼んだと、いかにも責任のあるかのごとく言いながら、あとなつてから、私はそういう事実を聞いたのであるというような話なので、事実これは当初の話とあとの話がきわめてあいまいになつて来ておる。そこで、もう一度お伺いしたいが、外務省としては、華僑の帰国の問題については、北京に対してどういう方法で御連絡をおとりになるようなことをお考えですか、あるいは連絡をとることについて全然お考えにならなかつたか、こういう点をお伺いしたい。
  76. 倭島英二

    ○倭島政府委員 先ほども申しましたように、あなたのお聞きになつておる点が事実と相違しておるわけであります。それは、私が現にその席におつて承知しておりますから。それから連絡の点は、先ほども申しましたように、外務大臣は、事を円滑に運ぶためには赤十字のみならず二団体にも協力をしてもらわなければならぬ点があるかもしれない、そういう点については円満に運ぶという意味において協力をしてやつてほしいということを話をしたわけでありまして、従つて、今御指摘のような連絡とか、そのほかのこともあるかもしれません。要するに問題は、円滑に、円満に事が運ばれるようにするという点に重点を置いて大臣は話しておりました。
  77. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 私の今の質問にまだお答えがないのですが、先ほど長官が当初報告になつたように、第四次船の問題については全然返事がない、そのあと華僑の問題はどうしたのだという通達があつた——そうすれば、日本側としては当然華僑の問題はどうしますというようなことを回答しなければ、第四次船の問題は具体的になつて来ない。これは現実に華僑の問題を北京に対して通達しておる。この通達は、外務省が頼まないで、三団体が自主的にかつてにやつたのかどうかということです。
  78. 倭島英二

    ○倭島政府委員 申すまでもないことだと存じますが、このたびの引揚げという問題は、りくつや法律論で行つておるのではない、これは私から申し上げるまでもないと思います。従つて、このたびの引揚げということが当初から政府というものとはちよつと違つたかつこうで行われておる。これもいろいろな法律論や割切つた話をすれば、いろいろなりくつが立ち、またいろいろのりくつが立たない問題があると私は思うわけであります。従つて、今度の問題は、法律の問題でも、政治の問題でも、外交の問題でもなくして、本質的に人道上の問題として、一日も早く、一人も多く同胞に帰つてもらいたいということから出発をした、現在のでき得る範囲の連絡方法、交渉方法というものがとられておると私は存じます。従つて、現在の引揚げ関係についても、そういうような方法を現実にとらざるを得ない。また華僑方々が帰られるという問題につきましても一筋道ということからいろいろ割切つたお話はできにくいと思います。しかしながら、先ほどからも援護庁長官からお話がありましたように、当初の経緯をたどつて参りまして、三団体ということで電報向うへ打つておられる。そういうことから、実際問題として、こちらも早く帰してもらいたいという連絡を第四次船についてもしてもらいたいし、向うの御希望でいつどれぐらい華僑が乗るかという質問があつた際に、従来三団体として電報を打つておるので、そういう従来と同じ方法でお打ちになつたと私は了解しております。
  79. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 りくつで割切れないというようなことを言つておられるが、りくつで割切れるでしよう。どうしてかというと、日本政府中国との間の戦争状態というものがまだ終結していない限り、こういう事実の上に立つて、しかもなお中国から帰国させるという問題があるから、そういう事実が出ておる。この陰においてりくつ上割切れないとかなんとかいう問題ではないはずだ。具体的な問題として、先ほどから長官並びに局長の話を聞いておりますと、コミュニケというものを局長並びに長官はお認めにならないというお話ですが、どうなのですか。
  80. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 コミユニケはつの事実であります。従いまして、その事実に従つて引揚げができるように努力するのがわれわれの務めでございます。われわれ引揚援護庁といたしましては、そのコミュニケに従つて引揚げができるように各般の準備を整える。これは、引揚援護庁のみならず、運輸省におきましても、ほかの省も、同様だろうと思いますが、その場合に、国内的にでき得る限りの措置を全部講ずるというのが当然の責務ではないか、かように考えて、一つの事実を基礎にいたしまして、あらゆる行動をいたしておるわけであります。
  81. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 コミユニケのことは事実であります。しかもコミュニケに従つてあらゆることが行われているということは、コミュニケを政府の一機関であるあなたの方は認めてやつておるわけですね。
  82. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 一つのコミユニヶによつて事が行われ得る、そういう約束をされたのでありますからして、行われ得るということは認めております。しかし、その範囲外のこと、そこにきめてないことについて一国内問題につきましては、これは日本政府として適当な措置を講じてやつておるわけであります。
  83. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 華僑の帰国の問題は、国内にいろいろな問題が起つている限りは、これは国内の問題でしよう。しかし、少くとも船に乗せて向うへ帰す限りにおいては、単なる国内の問題じやない。しかも、コミユニヶの精神というものは、三団体日本の帰国問題に関する中国側との連絡の対象になるということは、はつきり確認されておる。それにもかかわらず、あなたは先ほど、日赤以外の者には頼んでないというがごとき発言をされておる。そうすると、コミュニケの方針にこれは反しておるということを認めなければならないじやないですか。
  84. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 先ほどからたびたび申しまする通り、コミユニヶには華僑向うへの帰還のことは全然書いてないのでございます。これにつきましては、全然別の問題といたしまして、日本赤十字社の島津社長がその会談の席上でもつてそういう話をきめて来た。それで、向うに帰すことについてどうするかという話でもつて、それについて、おやりになる場合には日本政府といたしましてその援護についてこれだけのことをいたします、それではそれでもつてやりましようというわけでもつて話がついておる問題でありまして、コミュニケとこの問題とは全然別でございます。
  85. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは、あまり一つのことについて集中しないで進みたいと思いますが、コミュニケは事実上においてこれを認めているということがまず明らかになつたと思います。この点は違うなら違うと言つていただきたいと思います。  それから、第二の点としては、日赤に輸送の方をお願いしたわけですが、帰国中にその船の中でもし事故が起つた場合の安全保障は一体だれがやりますか。
  86. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 私の言葉を少し間違つてつておられますが、日本赤十字社輸送を委託したとは申しておりません日本赤十字社船に乗つて帰りになることになつているというふうに私は承知していると申し上げたのであります。
  87. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 乗つて帰りになるということならば、一体だれの責任において乗せるのか。
  88. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 日本赤十字社が船を雇つて、その船に乗つてつておりますが、私の方は、だれに責任があるかについては存じません
  89. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは、日本赤十字社がかつてに船を雇つて連れて帰つておるので、船の問題については、途中で事故が起つた場合には日本政府は責任を負わないという意味ですね。こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  90. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この問題は、先ほど申しました通り日本赤十字社船を雇つて乗せているという事実を申し上げたのであります。それで、そこまで持つて行くことは私の方でやるということを申し上げたのであつて、私の方は、権限のないことについてはお答えができません
  91. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 あなたの方に権限がないとするならば、どの所管の権限であるとあなたはお考えになりますか。
  92. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これにつきましては、日本赤十字社が船を雇つて乗せて行くのでございますから、日本赤十字社でこの責任はお負いになるだろうと思いますけれども、そこのところにつきましては、私には詳しいはつきりしたことはわかりません。権限外でございますから、これは個人としてそうだろうと思うだけであります。
  93. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうすると、今までのところで、政府自身は華僑の帰国については何ら援助しておらない、少くとも国内の援助だけはやつたにしても、向うに実際に船に乗せて帰すことについては援助しておらないのだということを明らかにしたわけですね。
  94. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 輸送の問題につきましては、詳しく正確なことをお聞きになるのでしたら、運輸省の関係者にお聞き願つた方がよかろうと思います。これにつきまして、私の方といたしましては、今おつしやつたような点についての御答弁は申し上げられないのであります。
  95. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 船のことに関しては、もちろんあなたには関係ないでしよう。そうすると、あなた自身のやつておられるのは、華僑の帰国問題について何をやつておられるのですか。
  96. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 船の中で食糧を与え寝具を貸し与える、それから援護局の中におきまして宿泊をさせまして食事を供給する、それから帰国事務についてのいろいろなとりまとめをやる、こういうことを私の方でやるのです。
  97. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今度の帰国船の問題については、公務員が乗れないことは御承知通りだと思います。そうすると、こういう食糧や毛布や何かは一体だれにまかせておりますか。
  98. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 御承知通りに、これにつきましては、船長にその仕事全体を委託してやつております。従つて、これに必要な経費等を計算して、あとでこちらで支払う、あるいはそれに必要な物資を乗せて、向うでもつて整理をして、最後に私の方で計算をして支払うということをいたしております。
  99. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうすると、日赤の雇つた船の船長にまかせているという意味ですね。
  100. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 その通りであります。
  101. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今までのところで、少くとも日赤以外には頼んでおらないということが明らかになつた。日赤の船は日本政府の方で雇つたのではないのだろう、自分の所管でないからわからない、こういうことらしいのですが、この点はあとでもう一度触れて行くことにいたします。  先ほど花岡事件の遺骨問題が出ておりますが、遺骨の問題については、詳細なことについては公開の席上では由せませんという局長のお話であります。ところが局長は、十二日に外務省において遺骨送還の実行委員会の諸君に会つているはずでありますが、そのときに、日赤の裁量によつて乗船代嘉並びに乗船者がこれを捧持して行くことに対しては外務省は関知しない、それから日本人並びに華僑よりなる遺骨を持つて帰る捧持団に対する出入国の許可及び国庫の負担については外務省はこれを関知しない、こういうことを回答されたというのですが、こういう事実がありますか。
  102. 倭島英二

    ○倭島政府委員 私は直接会つておりませんが、外務省の私の局の課長が会つて、大体今お話のような程度の内容を伝えたことは確かです。
  103. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それじや、どういう方法で遺骨中国の方に送還するというふうにお考えなつておられますか。
  104. 倭島英二

    ○倭島政府委員 その問題も、いずれ公開の席上でない機会が設けられるだろうと思いますから、そのときに申し上げたいと思います。
  105. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 こういう点については、どうして公開できないのですか。委員長にちよつとお伺いしたいのですが、この問題はすでに新聞にも出ている。この問題を公開できないという理由を、ひとつ委員長を通しても局長に伺つていただきたいと思います。
  106. 山下春江

    山下委員長 先ほどの受田さんの御質問に対しても、ちよつと公開できないような内容があるようでございます。前もつて局長から、こういう問題に対しては秘密会にしてもらいたいという申出が私の方にありました。深い理由は存じませんけれども、公の席で公開できない事情があると私もみなしますので、他の部分を御質問願つて、その問題は秘密会にいたしたいと存じております。
  107. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 委員長が思いますのでという、その御意見をもつと具体品に伺わないと、私は承服できないの産す。委員長にあまり食つてかかるというのは困るのだけれども、しかし新聞の上にはすでに出ていることじやないですか。(「秘密会で聞いた上にしたらいいじやないか」と呼ぶ者あり)新聞に出ていることは言つたつていいじやないか。少くとも、これほど新聞の上で問題になつておる遺骨の問題について、そこまで言つて十二日に回答していることは事実として明らかになつており、その内容について新聞においても相当具体的に触れている。これをこの公開の席においては明らかにしないのだ、こういう意味で言つていることは私には解せない。特に十三日においては、実行委員会に局長が、国会などで問題になるとうるさくなるから云々のことも言つているらしい。こういうことになりますと、われわれの考え方によると、国会の審議権を蹂躙するような意味もあるのではないかと考える。こういう意味で、なおさら非公開ではなくて公開にしてくれということを私は言つている。ですから、この際、こういう問題については、ある程度の具体的な点を、どうしても許されないという点は別としても、こういう点は具体的に言つてもらいたいと思う。
  108. 山下春江

    山下委員長 岡田委員に申し上げますが、ただいま言つたことも、あるそうだということで、それもあなたが確証をお持ちでないようでありますので、そういう意味から考えましても、この問題に関しましては、一応秘密会で聞きました上で、なお公開をしてもさしつかえない範囲を公開することにいたしたいと思います。
  109. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは、その点はあとで伺いましよう。  それから、読売新聞が六月十八日に大分大きく扱つているのですが、これも木村さんの関係のことなんですが、舞鶴援護局で去月の十七日に、中島輝子さんという人に関する何か人権擁護の問題を起したということを木村さん御存じですか。
  110. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 その問題は、中島輝子氏に関して何か問題があつたということは事実であります。
  111. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 これによりますと、舞鶴援護局次長の宇野という人が、これに対する正式の公文書を出して、この事件については正式に中央に対して報告をして、中央の処理にまつということを公文書にはつきり書いて渡しておりますが、こういうようなことを中央に報告されて、それに対しての処理がどういうふうになつておりますか。
  112. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 舞鶴援護局からその報告を受けまして、その報告によりましてわれわれの方で判断いたしました結果、舞鶴援護局の宇野次長が約束いたしましたことは適当でないと認めましたので、私の方ではその約束は適当でないということでもつて援護局の次長に厳重に警告いたしておきました。
  113. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうすると、あなたの方で、宇野次長が三項目に書いてある書面の回答については、適当でないというので、一方的に破棄されたというのですね。正式の公文書ですよ。
  114. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 宇野次長が個人の名前で個人の判を押しまして出した書類につきまして、援護庁といたしまして責任を負うわけには参りません
  115. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それじや、これに基いて報告についてそれを調べたということは事実なんですが、これは全然認められない……。  もう一つ伺いたいのは、中島輝子という人は援護庁の局員ですか、公務員ですか
  116. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 援護庁の非常動職員であります。
  117. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 この人の問題について、読売新聞によりますと、阿部、小松両氏に援護局の出入りを禁止するという通達を出した。しかもなおかつ、実力をもつて入局を禁止せよというような、きわめて勇壮活発なることをお出しになつた、こういう事実がありますか。
  118. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 阿部、小松両氏のとりました態度につきましては、私の方としましては、きわめて遺憾であると思つております。従いまして、こういう方々が今後お入りになりますることは、局内の秩序を維持する上におきまして適当でないと思いますので、お断りしました。従いまして、今後お入りになりまする場合には、援護局といたしましてもお断りいたします。お断りいたしました場合に、暴力をもつてお入りになろうとされるならば、われわれといたしましては、適当なる機関に頼みまして、出ていただくということでございます。
  119. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 小松さんという人は女の人です。阿部さんという人は学者です。あなたの言うように暴力を使うことをまず考える人ではないのです。これだけは明らかにしておきたいと思います。実力をもつて禁止せよというようなことを言つておるらしいのですが、あなたの方は、この事件について告訴されておる事実を御存じですか。
  120. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 私は実力をもつて禁止せよとは申しておりません。それはどういう間違いか、私は知りませんが、私が新聞社等にそういうことを申し上げたことはございません。また援護局に対しましても、そういうことは申しておりません。入局を拒否せよということを申しております。それだけでございます。入局を拒否した場合にどうなるかといつて新聞社がお聞まになりましたから、無理に入局しようとされればお断りする。お断りしても入つて来られた場合には、これは適当な方に出てもらうように措置してもらわなければならない、——これは不法に局内に入つてつた場合であります。退去命令を出しましてなお退去されない場合には、それは適当なる機関をもちましてやるということを申し上げました。  それから、阿部さんは学者であります。私も友達でありまして、よく知つております。従つて、そういうことをされる方ではないと私は思つてつたのであります。しかるに非常に非常識なことをなさつている。それから小松さんにつきましては、これは女の方で、非常におとなしい方と思つてつたのでございますけれどもこれは、われわれの方で中島輝子さんを援護局の方に渡してもらいたいと言つた場合に、腕力をもつてこれを阻止しようとされたのであります。私の方といたしましては、これにつきましては、あなたのおつしやる通りの方だと思つておりました。ところが、そうでなかつたのでありまして、非常に遺憾だと思います。
  121. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうすれば、あなたの方で調査した今度の事件の内容について、詳しくお話ください。あなたは、自分の主管のことだけはうまいことを言うけれども経過の真相を言わないで、ポイントポイントで自分の都合のよいところだけ報告している。これでは話にならない。詳細な御報告を願いたい。
  122. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 この件につきましては、詳細なる点につきましては、ただいま御報告をいたしますとまた間違いがありますから、詳細にまた別途申し上げることが適当じやなかろうかと思います。
  123. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 別途ということではわれわれ承服しかねる。それでは、具体的に、いつどういう方法でおやりになるのか。
  124. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これにつきましては、本日その準備をいたしておりません。われわれといたしましては、われわれの方で調べました点につきましては、いずれその資料を持つて参りました場合に御説明申し上げた方がいいのじやないかと私は思つております。
  125. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 この問題については、資料がすでにまとまつているから、ああいうような指令をなさつておるのだろうと思います。従つて、この次の委員会までに必ず出すというふうに、ひとつ委員長から御要求を願いたいと思います。  それから、続いて、先ほど非常におとなしい女の人であると考えておると言われた小松さんが乗船代表なつておることは御存じでしよう。
  126. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 乗船代表なつておることは存じております。おとなしい方だと思つていたのに、案外だと思いました。     〔「いらぬことを言うな」と呼ぶ者あり、笑声〕
  127. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 次にお伺いしますが、第四次乗船の代表であるならば、これは当然船に乗つて行くんでしよう。そうすれば、この人は当然乗船中のいろいろな世話をしなければならない。そうすると、帰つて来ていろいろこれについての事務があろうと思う。その場合に、小松さんを援護局の中へ入れないということになりますと、実際上あなた自身が第四次船の帰国については妨害をしておるという結果になると思うのですが、これはどうですか。
  128. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 三団体代表方々が、お乗りになることにつきましては、われわれの方といたしましては、船内のお世話をお願いしておりません船内のお世話につきましては、事実上それぞれおやりになるかもしれませんが、これはわれわれの方ではお願いいたしておることではございません援護局援護の仕事といたしましては、われわれの方といたしましては、ほかの方にお願いしております。従いまして、この方々援護局に入れないということによりまして引揚げが妨害されるということは私は考えておりません
  129. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 しかし、あなた、常識で考えてみたつてわかることじやないですか。ふとんや毛布、そういうようなものを船の中へ入れた場合に、それは一体だれにまかすのですか。
  130. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 これらは、すべて船長にまかしてございます。
  131. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 しかしそれは、引揚援護局としては船の中の問題については乗船代表には一切頼まないのだ、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
  132. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 その通り考えております。
  133. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 先ほどいろいろ話をされておつたことですが、帰つてから、いろいろな身上調査、経路調査をやつている、こういうお話ですが、これに関連して、経路調査を詳細に書かない者には、たとえばそのあとの追加の、帰国の場合の手当をやらないというような事実が出ているようですが、これについてはどうですか。
  134. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 そういう事実は全然ございません。帰国手当は全部舞鶴で渡しております。
  135. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは、帰国手当でなくて、復員手当はどういう方法でお渡しになつておりますか。
  136. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 復員手当というものは別にございません
  137. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 五月の中ごろに松江市において、松江市の世話課で帰国者全部を呼んで、引揚援護庁並びに外務省から出した書類に記入させた。これに対して、強制留用と書いた者については三万円出しております。ところが、強制留用と書かない者、拒否した者に対しては、日当百八十円だけしかやつておらないという事実があがつている。この事実は、必要があればあとで具体的にあなたの方にお知らせしてもいいのですが、こういう点はいかがですか。
  138. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 別に三万円を出すというような規定もございませんし、百八十円か何か存じませんけれども、書いたら出せ、書かなければ出さぬということは、そういう金は私の方は予算として持つておりません
  139. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 こういう事実はお聞きになつていませんか。
  140. 木村忠二郎

    木村(忠)政府委員 全然聞いておりません
  141. 山下春江

    山下委員長 それでは、この際お諮りいたします。先ほどの受田委員及びただいまの岡田委員の質問に対する政府当局の答弁に関しましては、特に秘密を要することがありますので、秘密会を開きたいと思いますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 山下春江

    山下委員長 御異議なければ、秘密会を開くごとにいたします。公開を禁止いたしますから、しばらく委員外の方は御退席を願いたいと思います。     —————————————     〔午後三時四十六分秘密会に入る〕
  143. 山下春江

    山下委員長 これより秘密会を開きます。速記を中止いたします。     〔速記中止〕
  144. 山下春江

    山下委員長 速記を始めて。これにて秘密会を終ります。     〔午後四時二十九分秘密会を終る〕     —————————————
  145. 山下春江

    山下委員長 他に御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十分散会