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1953-08-06 第16回国会 衆議院 運輸委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年八月六日(木曜日)     午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君    理事 松井 豊吉君 理事 原   彪君    理事 楯 兼次郎君 理事 鈴木 仙八君       岡本 忠雄君    徳安 實藏君       南條 徳男君    山崎 岩男君       臼井 莊一君    岡部 得三君       松原喜之次君    山口丈太郎君       世耕 弘一君    館  俊三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君  委員外出席者         参議院議員   大和 与一君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     真田  登君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  津田 弘孝君         日本国有鉄道理         事         (施設局長)  江藤  智君         日本国有鉄道理         事         (電気局長)  並木  裕君         参  考  人         (株式会社鉄道         会館専務取締         役)      立花 次郎君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 八月五日  委員山崎岩男辞任につき、その補欠として中  山マサ君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員中山マサ辞任につき、その補欠として山  崎岩男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  閉会中審査申出に関する件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(参議  院提出参法第七号)  株式会社鉄道会館等調査に関する件  気象業務施設整備促進に関する件     —————————————
  2. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 これより会議を聞きます。  委員長が不在でありますので、理事の私が委員長職務を行います。  国有鉄道法の一部を改正する法律案議題とし、まず提出者より提案理由の御説明を求めます。参議院議員大和与一君。     —————————————   日本国有鉄道法の一部を改正する   法律案    日本国有鉄道法の一部を改正す    る法律   日本国有鉄道法昭和二十三年法  律第二百五十六号)の一部を次のよ  うに改正する。   第二十六条第二項中「(町村議会  の議員である者を除く。)」を削り、  同項に次の但書を加える。   但し、市(特別区を含む。)町村   の議会議員である者で総裁の承   認を得たものについては、この限   りでない。     附則  1 この法律は、公布の日から施行   する。  2 この法律施行の際、現に市(特   別区を含む。)町村議会議員で   ある職員については、第二十六条   第二項但書規定による総裁の承   認があつたものとみなす。     —————————————
  3. 大和与一

    大和参議院議員 ただいま議題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につき、提案者を代表いたしまして提案理由を簡単に御説明申し上げます。  現行日本国有鉄道法におきましては国有鉄道職員は、地方公共団体議会議員町村を除く)を兼ねることが禁止されているのでありますが、かかる措置実情に沿い得ないものがあり、かつ憲法によつて保障された公民権である被選挙権を不当に制限しているおそれがあると考えられるのであります。  すなわち第一に、国有鉄道職員居住状況を見ますると、全国を一貫する厖大なる輸送業務に携わつている関係から、分岐駅、操車場、工場あるいは定距離間に所在する組成駅等においては、その構内に幾多の業務機関が設置され、当該市町村における職員居住の割合は他に比してきわめて大であり、所によつて職員数がその大半を占める箇所さえあるのであります。かかる箇所において、市なるがゆえに国有鉄道職員が、まつたく地方自治に参与することができないということは、地方自治の本旨に反するものといわなければなりません。ちなみに国鉄職員で現在市議会議員兼職している者は、全国七十七名の多数に上つているのであります。なお最近政府が慫慂ししいる町村の合併が促進されるならば、ますますその数は嘉することが予想されます。第二、国有鉄道職員地方議員兼職した場合、業務に及ぼす影響が大であるかのごとく考えられるのでありふすが、単に国鉄職員ばかりでなく、市議会議員としてその職務に専従している人はきわめて少く、他に勤務を打ち、あるいは家事のかたわら、その責務を果しているのが通例であろうと心われます。もちろん職員はまた間接に旅客、貨物の輸送に従事する重責をになつております。しかしながら市町村行政区域は比較的狭く、かつ交通機関の発達いたしております現状におとましては、何ら業務に支障なく議員たる責務を果しつつあることは、既往の実績が雄弁にこれを物語つているところであります。  第三に、同じ公共企業体職員である専売公社職員には議員兼職に対する何らの制限規定もなく、電信電話公社職員市議会議員まで兼職が認められている現在、国鉄職員なるがゆえに町村議会議員のみにとどめておくことは、過去の政治的慣習を無視するものであるばかりでなく、一貫性のないきわめて不均衡な取扱いであるといわななてはなりません。かかる問題は法律によつて抑制すべき事柄ではなく、有権者の自由にして民主的な判断にまつべきものであると思考いたします。  以上の諸点より、国鉄職員に対する議員兼職制限規定は本法律より削除すべきが当然ではありますが、本問題の今日までの経緯にかんがみ、少くとも市議会までは兼職を認むべきが妥当し考え、右のごとく提案いたした次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決あらんことをお願いいたします。
  4. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 本案は対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  5. 關谷勝利

    關谷委員 この機会に動議として提出をいたし、お諮り願いたいと思うのであります。それは気象業務施行整備促進に関する決議案であります。まず案文を朗読をいたします。    気象業務施設整備促進に関する決議案   近年相次いで起る水害は、国家的の重大問題である。この災害防止軽減する道は、治山治水恒久対策の樹立にあることはいうまでもないが、その基礎となるべき気象業務施設を早急に整備拡充する必要がある。   よつて政府はすみやかに山岳地帯降雨雪量観測通報施設上高層観測並びにレーダー等近代的施設、非常用気象無線通信網及び気象警報伝達組織等整備するため必要なる措置を講じ、もつて災害防止に万全を期すべきである。   右決議する。  以上であります。この理由を御説明申し上げますると、お手元へも配付いたしてあるのでありまするが、近年相次いで起る水害は、国家的の重大問題であります。治山治水のなお不完全なわが国においては、豪雨の来らんとするを一刻も早く予知し、適切な注意報、警報を出す必要があるのであります。これらの業務気象台が責任を負うべきものでありますが、現在の気象台は、定員と予算が不足のために、施設が不十分でありまして、現在の中央気象台施設強化することは現在の急務であると思われるのであります。  次に、水害対策施設として中央気象台強化を必要とする事項について具体的に述べてみたいと存じます。  まず第一には、治山治水対策に必要な気象資料整備であります。たとえば河川改修計画高水位は、現在はその地域の既往観測による最大降水量をもとにし計算しているのでありますが、現状では山地の降水量が不明のため、正確な計画高水位の算出ができない事情にあります。従つて洪水予防等に必要な精密の雨雪量観測を行うには、特に山岳部観測施設強化を考うべきであると存じます。また水害を予防するためには、現在山岳部において降りつつある雨の量を測候所気象台に速報することが、洪水警報を出す上に絶対必要でありますが、現在その施設及び機能がはなはだ不十分なことはまことに遺憾であります。以上の意味において山岳地帯降雨雪量観測と速報とに対する設備強化は、目下の急務といわざるを得ないのであります。  次に第二の問題として、降水予報精度向上に必要な、上高層観測施設強化であり、現在においては上高層観測観測地点が少く、大気上層気象状態をはつきりつかみ得ないうらみがありますので、大雨の危険がある際は、多くの地点で随時に上高層観測を行い、大雨予報を正確にする必要があります。なお、この際気象用レーダーの活用は大雨予報にきわめて有力と思われますから、その設備をあわせ考える必要があると存じます。  次に第三の問題として、気象通信強化であります。現在の気象通信は主として有線電信を用いていますが、防災上最も必要な豪雨暴風等の際は障害を起すことがしばしばあります。これを補うため無線通信施設を併用している箇所は、現在きわめて少数にすぎないので、今次の西日本水害の際にも災害対策上困難を生じた次第であります。この意味において中央気象台管区気象台地方気象台のごとき予報中枢機関とおもなる各地測候所との間には、無線通信網整備強化することが必要であります。  最後は気象警報等伝達の問題であります。昭和二十六年の閣議了解及び気象業務法によりまして、このことは一応組織化され、台風豪雨の際にある程度の効果を上げて来ていますが、なお実際の場合においては、通信連絡不十分等により、その目的が十分達せられないうらみがあります。従つてその欠陥を補い、今後に備える必要があり、たとえば各地における電信電話障害防止電池式ラジオ受信器整備等について特に改善の要があるものと思われます。  以上述べました通り水害対策としての気体業務施設整備強化は、今次西日本紀州等災害にかんがみ、国家的の重要問題でありますので、この際急速に気象業務施設を拡充して、豪雨台風等に備え、災害を予防軽減することが国民の福祉に貢献するものであることを痛感いたしまして、本決議を提案する次第であります。諸君の御賛成を切望いたします。
  6. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 ただいまの關谷君の動議に御異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  7. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 異議なければ動議のごとく決します。     —————————————
  8. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 次に、国有鉄道の一部を改正する法律案は、閉会中においても審議できまするよう、議長に申し出たいと存じますが、これに御異議ございませんか。
  9. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 異議なければさよう決します。     —————————————
  10. 岡田五郎

    岡田(五)委員長代理 次に鉄道会館等に関し調査を進めます。徳安委員
  11. 徳安實藏

    徳安委員 私は鉄道会館等に対する個々の問題につきましては、各同僚の方から相当つつ込んだ御意見が出ておるようでありますから、あまり申し上げませんが、この際天坊総裁並びに国鉄幹部方々の心構えを一応承りたいと思います。  私どもは現在の副総裁の人格をかねがねから知つておりますから、この間に不正があるなどとは考えておりません。しかしながらかような問題が論議せられ、社会から批判を受けるに至りました原因というものに対して、深く掘り下げて考えてみますると、功成り名遂げて勇退された国鉄先輩が、後輩である現在の国鉄幹部を指導し、援助し、かりそめにも社会誤解を受けるようなことのないように、常々からよりよき助言をなされる立場におりながら、あまり親愛の度が過ぎて、同僚後輩に対して何事も無理を無理と思われないような傾向が長い間積り積つて、今回のような事件の発生する原因なつたのではないかと考えるのであります。こうした傾向につきましては、はたして副総裁は気づいておられるかどうか、御所見を承りたいと思います。     〔岡田(五)委員長代理退席委員長着席
  12. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいま国鉄に現在おる者が、その先輩等について退職後の仕事をいろいろ心配するのはいいが、度を過してやつておるというふうに思われるが、どうかというお話でございます。私は鉄道を退職いたしました先輩に対しまして、やはりその先輩たちが今日の経済事情のもとにおきまして、生活上決して楽な姿ではございませんので、ある程度までこうした先輩たちのやめた後の生活について相談にも乗り、もし適当な仕事があれば、それを推薦してやつてもらうということは、今日の段階でやむを得ないというふうに考えております。しかしながらただいま御指摘のように、これに無理があるというようなことになつては、あるいは人のために仕事をどうするというふうなことになつては、これは度を過ぎたものとして私はいけないと考えます。今回の鉄道会館の問題につきましては、私どもそうしたやめたあと仕事をどうするという意味よりも、むしろ鉄道会館仕事ほんとうに向いた人ではないという気持から考えたのでございまして、ただほかの場合と一緒になつて、そういうふうな見方を強くされておるということを、今回私どもとして遺憾に思つておるのでございます。
  13. 徳安實藏

    徳安委員 ただいま副総裁から御意見を承りましたが、一例をあげて申しますと、今回のこの鉄道会館の問題におきましても、一般社会通念から考えましても、ちよつと想像し得ない契約上の不備があるように思われます。こうした点が国鉄幹部が不審と思わず、また今回の国会において指摘せられるや、初めて気づかれたようなごときことは、結局先輩後輩とのつながりがあまりに強過ぎて、情愛がこまか過ぎて、そうして長い間に知らず知らずにこうした関係を不審とも思わず、悪いこととも思われないというような事態に追い込めておるのではないかと思うのであります。これはほんとうに単なる一例でございますけれども、もしこうした事態が他にも相当あると思われれば、それを意識しないで社会から誤解を受けられるようなこの種のことに対しては、鉄道を出られた方も爾今大いに自粛自戒されねばならず、また鉄道の現職の方々も大いに反省せられまして、ともぐにこうした誤解社会から招かないような処置をお講じになることが必要ではないかと思います。副総裁の御所見を伺いたいと思います。
  14. 天坊裕彦

    天坊説明員 まつたく徳安委員のおつしやる通りでございまして、いろいろと誤解を生じておりますことも事実でございますので、十分自粛して考えたいと思います。
  15. 徳安實藏

    徳安委員 それで私はこの際特に副総裁に一言伺つておきたいと思いますが、先輩後輩つながりの強いことは、私どもも決して悪いこととは考えておりません。しかしその度が過ぎますと弊害を生じます。先般行われました参議院選挙のごときにおきましても、先輩選挙に狂奔するのあまり、その地位を利用いたしまして、実に許しがたい運動を展開しておる場所があるようであります。ある局長のごときは、某候補者がもし落選するのなら、私もやめるのだということを公言して、職場を捨てて選挙運動に狂奔しておる事実もある。また現場駅長等も、地元民から指弾されるような無謀な選挙運動をなさつておる者もあるようでありますし、またこれに対して先輩の方も、悪いこととは考えずにそれをやれと言われたような形跡もあるのであります。こうした行き過ぎの点について、副総裁はどういうようにお考えになりまするか。この点につきまして何か御処置をおとりになりましたか。御所見を伺いたいのであります。
  16. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいまの選挙の場合の例も先ほどの問題と同様に、先輩後輩との関係が度を過ぎた一つの現われであろうと思うのであります。これも度を過ぎた姿では許されるものではございませんので、先ほども申しましたように、十分に自粛を考えたいと思います。具体的に選挙においてどういうふうな話がございましたか、私どもも耳に入つておる一、二の例もございますけれども、やはり選挙運動につきましてもおのずから限界というものがあるべきであろうと思いますので、将来は十分注意をいたします。
  17. 徳安實藏

    徳安委員 多分副総裁にもお耳に入つておると思いますが、新聞にも当時出ておりますし、ある課のごときは一、二の給仕を除いて、あとは全部出張してしまつたというようなことも伝えられておるようであります。あるいはまた現場方面におきましては、配車をよくしてやるとか、あるいは用地を貸してやるとか、あるいは除道をつけてやるとか、鉄道特有のあらゆるえさを示して、傍若無人な選挙運動が行われたことは事実であります。しかしこれらが問題となつて現われておりますことは、ほんの九牛の一毛で、大部分というものは全然現われていないのであります。これは私どもが深く掘り下げて申し上げなくても、賢明なる副総裁はよく御存じだと思いますから、こうした誤りがないように、社会から指弾を受けないように、十分の戒告をしていただきたい。そうしてもし、たとい表面に違反となつて現われていなくても、こういう強い世の批判を受け、指弾を受けたようなものに対しては、断固たる処置をとつていただくくらいな決心があつてよいと思いますが、副総裁の御所見を伺いたいと思います。
  18. 天坊裕彦

    天坊説明員 まつたく御説同感でございまして、将来は十分注意いたします。
  19. 徳安實藏

    徳安委員 国鉄外郭団体のことで、もうすでに表面に現われていることを二、三お聞きしたいと思います。この国鉄外郭団体のできました理由をただしてみますると、それぞれみなもつともな理由はございます。しかし中にはあるいは人のために設けられたのではなかろうかというような疑い世間に持たれるようなものもないではないように思うのであります。すなわち鉄道を勇退した先輩のためにそうしたものが設けられたり、あるいはもうすでに中止したり、あるいは縮小したり、全廃すべきものも、やはりそうした人のために継続して、そのままになつているというような疑いを受けるようなものがあるのではないかと思いますが、副総裁はこういう点について何らのお考えはございませんか。ひとつ御所見を伺いたいと思います。
  20. 天坊裕彦

    天坊説明員 鉄道外郭団体といいますものにつきまして、私どもも実はどの程度のものがほんとう意味外郭団体と言い得るかどうかという点につきましては、疑問と申しますか、はつきりしないところもたくさんあるのであります。せんだつて朝日新聞等に、これが鉄道外郭団体だといつて出ておりましたが、私も聞いたことがないような名前も二つ三つ出ているのが実情でございます。私どもといたしましてはやはりその事業なりその仕事の内容が、鉄道としてどうしても助長とか、一緒にそういう仕事をやつてほしいというものを十分検討いたしまして、そういうものについてはできるだけ助長の方途も講じて行かなければならぬと存じますが、向うの方でおれのところは外郭団体なんだと自称しているものも、相当あるのではないかというふうにも考えております。先ほどお話の続きとして、そうした外部団体鉄道先輩後輩との関係として問題になるようにも思われますので、先ほども申しました通り将来は十分そうした問題を考えて行きたいと思います。
  21. 徳安實藏

    徳安委員 先般ちよつと問題になりかけました調査局との問題でありますが、すでに問題になつております以上は一応お聞きした方がいいと思うのですが、私どもサービスを要請する場合において、現場の方でもそうですが、定員がないのだからかんべんしてくれということで、いつでも拒否せられておる場合が多いのでありますが、先般の国鉄のお説によりますと、定員以外の人で年間三千万円も調査局に金を出しておるのだというようなお話も承りました。こういうことは一体国民にうなづかれることかどうか、一般国民の要請は、サービスに対しては定員が足らといからといつてすべてしりぞけておいて、そうして本庁では定員以外にこうした機関定員と同様な人をかかえて、そうしたものをお使いになつておるというようなことは、どう考えてみてもそこに矛盾があるように考えられるし、また国民も納得しないのじやないか、こういうふうに思うのでありますが、こうした問題に対する副総裁の御所見を伺いたいと思います。
  22. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいま具体的な例としておあげになりました運輸調査局と申しますものは、この前の御説明が少し足りなかつたのではないかと思うのでございますが、私ども考えといたしましては、一方に技術研究ということにつきまして鉄道技術研究所というものを持つております。これは国鉄の部内の機構として持つておるわけでございます。同時に私どもといたしましては技術以外の経営の問題を本体として、相当学問的にも外国の諸鉄道実情というようなものを主として調査し、あるいは日本経済事情一般についても、それの交通との関係において研究するという意味での調査局というものを、実は設置したわけでございまして、必ずしもここの顔ぶれは、鉄道をやめた人というばかりではございませんので、むしろ交通論研究をされております大学の先生たちもお集まり願つてつておるのが、調査局本体でございます。そうしてここから毎月出しております雑誌、あるいは鉄道大辞典の編纂というような、相当貴重な日本の学界に貢献し得る研究をいたしておるのでございまして、私は現在の鉄道の性格として、この鉄道調査局というようなものを持つてつてもさしつかえないというふうに考えます。ただそれと同時に統計の問題につきまして、この調査局が一部鉄道仕事を請負つておるのであります。その点が先ほどお話になりました人をたくさんかかえておる問題に触れるのではないかと思うのでありますが、その点は実は逆にまた現場の人間を切り詰めてやつて行くために、こうした仕事を請負に出さなければならぬというふうになりておるのが実情でございまして、その辺はひとつ御了察願いたいと思います。
  23. 徳安實藏

    徳安委員 もちろんいろいろな理由はあると思いますが、ひとつ国民が納得するような御処置をお願いいたしたいと思います。  さらに私は交通協力会のことも先日から問題になつておりますから、この点にも一言触れてみたいと思いますが、これが設けられました当時は戦時中でありまして、今日から考えると、ちようど戦時中の遺物のような傾きがあると思うのです。現在特別の保護を与えられておるかどうか私はわかりませんが、しかし言論とか新聞等一つの強い保護のもとにおい立つて行くという姿は、言論の自由、公平無私な取扱いをするという建前からいつて、多少世間の非難を受けておるのではないかというように考えるのであります。打明けて申し上げますと、一時はこの協力会関係なさつておる方々には、鉄道職員と同様にハスを与えてみたり、あるいは役員室まで、国鉄の——あるいはその当時は運輸省であつたかもしれませんが、その部屋を与えてやつたり、こういうことも、戦時中には言論統制等関係もあつたからやむを得なかつたと思います。しかし今日になつてみますと、そうしたものはある程度まで役所から手を離して、自由自在にすくくと伸びて行けるようにしてやるのが双方のためではないか、かように考えるのでありますが、いまなをうわさを聞きますと、国鉄の中と申しますか、運輸省の中に一室を与えて、そこにおいて事務をなさつておるというようなことを聞くのでありますが、この点に対して副総裁の御所見を伺いたいと思います。
  24. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいま陸運協力会という名前で、もともと出初めは交津協力会でございましたが、戦時中にそういうものができたのでございますが、御承知の通りども仕事は非常に複雑多岐にわたつておりますし、いろいろ私ども考えておりますことを、相当通俗的に私ども職員なり、あるいは部外にもある程度知つていただく。私どものやり方としては普通公報というような形の角ばつたかつこうでしか話が通じておりませんが、たとえば労働組合の方では労働組合の新聞をお持ちになつている。そうして労働組合の中央の考え現場、末端にまで届くような措置を講じておる。決してそれに対抗する意味ではございませんが、私どもの施策の意味なり精神なりというようなものを、できるだけ砕いて、部内、部外に知つていただくというような、広報宣伝というようなことは相当必要なものと考えまして、これの新聞を購入いたしておるのでありますが、そういう意味である程度の便宜を与えておることは事実であります。
  25. 徳安實藏

    徳安委員 私はこういう問題につきましては、他の方はちよつと言いにくいと思いますから申し上げるのですが、国鉄がこうした機関をお持ちになつていることにおいて、自己陶酔に陥る弊害がありはしないかということを考えるのであります。もちろん言論機一関をよく利用されて、国鉄考えておられることを一般にも普及され、従業員にも徹底をさせるという機関をお持ちになることはけつこうだと思いますが、しかしそういう意味でありますと、必ずしも国鉄ばかりでなくて、ほかにもそういうものが必要な役所があると思います。しかしほかの役所は必ずしもこういう機関を持つてないのでありますから、むしろそういうものを利用されるなら、現在でも無数に言論機関があると思いますから、それを普遍的に御利用なさるのがいいのじやないか。あるいは専門機関としてある程度のものはいいと思いますが、しかしあ言り目にあまるようなことをなさると、必ず他の言論機関から反発があります。言わず語らずのうちに欝積したものが各方面にあると思いますから、こうした点についても、できるだけ善処せられたいと考えるのであります。  しかしこの点はこの程度にしておきまして、次に私どもが地方に参りまして最近一番困つておりますことは、方方で座談会をやりましたり、会議を開きまして、その席上で聞きますのは、最近農道や林道が至るところにできまして、昔の道路が広がつております。ところがたまたま踏切りが小さいので、せつかく国費、県費を使つてりつぱに農道や林道ができましても、線路の部分が小さいために、自動車が通れない、荷車が通れない。これを早く何とかしてくれという請願を至るところで受けております。私どもの県におきましては何十箇所もそういうことがございます。ところがこれを全額地元で負担をするならばやつてやろうという御意見であります。もちろんそれでもけつこうだと思うのですが、その工事を行うのに特定の工事会社を指定をして、それでなければいけないということを言われるのであります。ところがその特定の工事会社に見積らせますと、べらぼうに高い金額であります。そこで私どもの方では行き詰まるのでありますから、適当な機会に相談されて、専門の会社でもこしらえて、もう少し安くやらせる方法を考えて、地元負担を軽減する方法はないものかと考えておるのであります。こうした問題に対して、特定の工事人でなければいけないというような行き方に対しては、少し弊害があるように思うのですが、これはひとつ施設局長からでも御説明願いたいと思います。
  26. 江藤智

    ○江藤説明員 ただいま徳安委員お話になりました道路と鉄道との交叉の問題につきまして、非常に御迷惑をかけておるということは、実は身にしみて感じておるのでございまして、何とかしてこれをすみやかに解決いたしたいというふうに考えております。ただこの踏切りの設備と申しますのは、昔の内務省時代、ただいまは建設省でございますが、その時代から協定がございまして、道路の幅員が広がつて参りまして、鉄道の下あるいは上を通ります場合に、幅員の拡張は、これは道路管理者側で持つということに費用分担がきまつておるのでございます。またその逆に道路がございまして、そこに建設線のようなものを敷いて参りまして、鉄道がその上を横断する、あるいは下を通るというような場合には、その費用は鉄道が負担する、こういう話合いになつておりますので、道路管理者の方から私どもの方に話合いを持つて来ていただきませんと、私の方から発動するという立場ではないわけでございます。ただそこに踏切り警手が従来ついておりますところを立体交叉に直すというようなときには、踏切り警手の費用に相当の金を使つておりますから、そういう費用に応ずるものは現在でも分担しておるのでございまし場て、ただいま各所にございます道路が広がつ来て鉄道の下だけが狭くなつておるというところは、原則として道路管理者の方で費用を持つということになつておるのであります。  次にその施工でございますが、これは生きた線路の下なり上なりを通る工事でございますから、鉄道の工事に相当経験があり、諸規定につきましてもよく知つておる業者の方にお願いしなければならないのでありまして、この点は四十九条の但書の政令にはつきり、列車運転に関係のある工事につきましては、指名競争入札によつてやることができるというふうになつておりますので、私どもとしましては、現在指名競争入札によつて、五人ないし八人というような業者を選んで入札をしておるわけでございます。従いまして、随意契約で特定の業者に仕事をとらしておるということはないわけでございます。  いま一つ、非常に高いという御説でございますが、これは普通の道路の橋をかけましたりするような場合と違いまして、とにかく重い列車を安全に通しねがら仕事をいたしますので、いろいろ架設物であるとか、あるいは仕事をやる途中におきましても、鉄道仕事なるがゆえに要する諸経費というものが相当あるのでございます。これがかりに別の希望者が入れたからといつて、同じような仕事が非常に安くできるとは私たちも考えておらないわけでございまして、その点は御了解願いたいと思います。しかしもし実例といたしまして、はつきりそういうような問題があれば、内容的によく検討いたしまして考えたいと思う次第でございます。
  27. 徳安實藏

    徳安委員 私は地元負担が悪いというわけじやありません。地元負担もけつこうであります。ただ特定の工事人を指定されて、常識上どう考えてみても非常に高いと思われるようなものを、それでなければいけないのだと言走れるところ、ただいま問題にねつておるような臭みがあるのではないかというような誤解一般から受けるので、これは私はまずいと思うのです。だれから見ましても妥当な金額というならばいいのですけれども、そうでない金葉がしばしば提示されて、専門家の工事請負人に見せましても、こんなべらぼうなことがありますかと言われるのですが、しかしそれに請負わせなければ工事ができないということでございます。おそらく国鉄幹部諸君は、そうした点についてももつと視野を広くされて、そんな特定の一人を指定しないで、あるいは何人かを指定してそれに競争させるというような御意見もあるかもしれませんが、実際問題としては、地方では一人を指名して、これにやらせるというようなことが行われておるように考えられます。  さらにまた奇怪なのは、今お話になりましたように、汽車が走る場所でございますから、これはしろうとではできないのだ、その専門家でなければできないのだ、これはごもつともだと思うのですが、全然汽車が走らないで、鉄道の用地を借りて、その用地に施工する場合でも、この鉄道工事請負人にやらせろ、一般民間の者ではいけないというような強い要請を受けている場合もございます。私自身もそういう経験があるのであります。こういうことはほんとう誤解を受けて、鉄道と業者とがぐるになつておるのではないかという誤解を受ける原因になると思いますから、こうした面につきましてもそうした行き過ぎをぜひ是正していただきたいと思います。局長の御所見を伺いたい。
  28. 江藤智

    ○江藤説明員 先ほど申しましたように、列車の運転に直接関係のあるような工事、あるいは特殊の技術を必要とするような場合には、指名請負制度によつておるのでございますが、ただいま徳安委員がおつしやいましたように、ただ線路から離れまして、用地内に普通一般の家をつくるというような場合には、われわれといたしましては、一般競争入札の制度によることに相なつておるのでございまして、もしただいま御指摘のような事柄がかりにあつたといたしますれば、私たちといたしましても十分ひとつ注意いたしたいと思います。
  29. 徳安實藏

    徳安委員 次にこれは副総裁にお伺いいたしますが、国鉄運輸省から分離をされまして以来、国会の強い風当りをすべて運輸省にまかせてしまつて国鉄はあたかも一大王国のような形を形成して、独善に陥つておられるように見受けられるのであります。国会の間接的かつ第二次的な監督をよいことにして、国会を軽視されておるのではないか、そうした気風がますます顕著になりつつあるのではないかというような点がほのかに見えるが、副総裁の御覧を伺いたいのであります。
  30. 天坊裕彦

    天坊説明員 私どもの気持としては、そういうことは絶対にないわけでございます。現に毎国会いつも私もしくは総裁が出て参りまして、御質問には十分お答えするという気持でおるわけでございますが、事実問題といたしまして、政府委員の方がおられるというところへ、うちの主管局長等がいつお呼び出しを食うかわかりませんし、もともとの分担は、片方は仕事に専念する、議会関係運輸省の方に担当していただく、そういう表向きの分担ができておるのでございますので、片方の分担の鉄道仕事に十分専念するといいますか、国会の方に出ていなくて、質問を承らなかつたということでありまして、ついく国鉄の方の出席がおろそかになつておるという事実は確かにあつたかと存じます。しかし決して国会等に対して軽視するとかなんとかいう気持は毛頭ございません。
  31. 徳安實藏

    徳安委員 私ども国鉄の最高幹部である正副総裁が、さような気持にあるとは考えておりません。しばしば接してさようなことでないことはよく承知しておりますが、そうでない方々には、どうも先般もある委員の方から指摘された事実もありますように、陳情、請願などに行きました場合でも、ずいぶんぶつきらぼうなごあいさつで、まるで木で鼻をくくつたようなごあいさつをされる場合もしばしばあります。特に地方鉄道局等におきましては、まるで三百代言的なことでごまかしてしまうというような場合も、しばしば私自身も体験しておるのでありますが、こうしたことは、やつぱり国民を代表し、輿論を代表して陳情、請願をいたします私どもとしましては、ほんとうに不愉快きわまることであります。ただいまお話がございましたように、国会を軽視しないのだという副総裁の気持がございますならば、どうか一般の人々にもそうしたことが徹底いたしますように、そうして私どもが陳情、請願するような場合には、誠意を示してお話合いできるように特別のそうした点に対する徹底方を副総裁にお願いしたいと思います。
  32. 天坊裕彦

    天坊説明員 まつたく徳安委員のおつしやる通りでありまして、単に国会議員の方の御陳情の場合に限らず、いろいろと問題をお持込みになる各位に対して、十分懇切にお話を承るように処置をいたします。
  33. 徳安實藏

    徳安委員 次に大臣がおいでになりましたから、しばらく時間を与えてい耳ただきまして、大臣と国鉄の副総裁に伺います。通運関係でありますが、この鉄道会館等の問題につきましても、通運関係の者がちよいよい新聞にも出ましたし、あるとは言の葉にも上るようであります。通運関係のことにつきまして、一番初めに大臣にお聞きしたいのでありますが、新規免許は、御承知の通り運輸審議会にかけて厳重な御審査を受けて、これが妥当なりという答申を受けて大臣が許可するわけであります。ところが、この厳重なる御審査を受け、また答申に基いて許されました通運業者が、最近の情勢はいかがかと申しますと、何か特別の保護でも受けておるかのごとく世間から誤解されておりますが、しかし実際はさようでなくて、私ども最近調査したところによりましても、国の生命である鉄道の後納金すらも納められなくて、四苦八苦のものが四十幾社ございます。これが許可されてから五年も十年もたつてから、そういう状態になつたのなら別でありますが、複数制が実施されましてからわずか二、三年の間に、しかも許可されました会社はそうたくさんではございません。そのうちにもう四十何位も鉄道の後納金が払えなくて、御迷惑をかけておるものがあるというようなことは、一体運輸審議会はどういう御審議をなされ、どういうことによつて大臣は御許可になつておられるか、私どもは数字を見て唖然とせざるを得ないのであります。最近の調査によりましても、この鉄道後納金に対して未払いが相当あるようであります。しかもこれが繰越し繰越しになりまして減らなくて、ますますふえる傾向にあります。こうした未納金はまず体のいい月賦払いみたようなかつこうになつているものもあるようであります。あとの問題は国鉄の方にお聞きしますが、御許可になりますのには、もう少し運輸審議会で厳重な審議をされまして、これならば鉄道にも迷惑をかけなくて済む、社会にも迷惑をかけなくて済む——一例をあげて申しますと、お互いの生命線である交計におきましても、すでに現在停止になつているものか十一ございます。しかも七百五十万円の金額が払えない。おそらく五百万山口くらいは払えなくて、未払い整理しなければならぬのじやないか、どつちかが損しなければならぬだろうという状態でありまして、複数制に対するところの免許方針に疑惑を生んでおるよフであります。この点につきまして、げとつ大臣から免許方針等を伺いたいと思います。
  34. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 通運が日通だけでありましたものが、その後独占禁止の関係もありまして、なるべく複数制にということで運輸省といたしましては、運輸審議会の議にかけまして、まずこれならば適当だという業者を選んで許可して来ておるわけでありますが、今のお話のように入金成績等もまことにおもしろくない。日通などよりも悪い国鉄に対する入金状態であるということを考えますと、単純な競争関係ばかりではないかもわかりませんが、競争品のために金を集めることがなかなか困難であるということで、国鉄への入金が遅れる状態になつておるということを聞くのでありますが、これは今お話のように、何年かやつて世の中が悪くなつて来て困る、それで一般的に入金が悪いというような状態でなく、創業でありますから、始めはなかなかうまく行かぬにしても、二年たち、三年たてばだんだんよくならなければならぬが、少しもよくなつて行かないというようなものは、その会社そのものが適当でなかつたということも言える場合が多いと思います。こういう問題につきましては、私どもとしては現在の処理方法としては、国鉄に言いまして、できるだけ入金をどんどんできるようにし、もしできないものは改廃までもしなければならぬのじやないかということを考えていただいておるのでありますが、もつと厳重に審査をすべきじやないかという今のお話、これは私ども今までといたしましても、出て来たものをかつてに、いいかげんに許していることはなく、書類を見まして、あれやこれやとよく調べて、書類の上ではなつておると私しも思うのでありますが、実際上において今お話のような結果になるのを見ると、まだ不十分なものがあるかとも思うので、御趣旨に沿うような処置をとりたいと思います。
  35. 徳安實藏

    徳安委員 ただいま大臣から御答弁を承りましたが、七月一日現在においても七億何千万円ばかり新免関係を加えて滞納があるようであります。毎月表をとつてみますと、ますます滞納がふえておりますので、こうした現実の問題から考えますと、運輸審議会等の御審議に何か手抜かりがあるのではないか、そこにまた疑惑を生む原因があるのではないかというようにも考えるのでありまして、これが免許制度でなければ何にも言いません。しかしいやしくも権威のある運輸審議会にかけて、そうしてその答申に基いて運輸大臣が免許される。免許業者として大手を振つて歩く者が、最近至つて国鉄に迷惑をかけ、さらに荷主、公衆に大きな迷惑をかけるということに相なりますならば、これはひとり業者並びに利害関係の不測の災いであるばかりでなく、免許制度並びに運輸省、あるいは運輸審議会というものが、世間から疑惑の目を向けられると思うのであります。私はこういうことのないように、少くとも運輸審議会が決定をし、運輸大臣が認可されました以上は、多少の難関はありましようとも、すくすくと伸びて行くような形においての会社を免許さるべきである。免許に対する厳重な御審議を特にお願いしたいと思います。  そこでさらに国鉄の副総裁にお聞きいたしますが、これもかつは後納金が払えなくて、とうとう鉄道がどうにもならなかつたような場合が過去においてしばしば検査院から指摘せられ問題になつたようなこともあるようでありますが、最近の統計を見ましても、国鉄の方に担保として入れておりますものよりか何倍もカバーするような滞納があるようであります。はなはだしきに至りましては大して大きな会社でないものが、五千万円というような滞納をしておるようであります。こういう点につきましても、非常に誤解世間から受けるように思われるのでありまして、と崖よりますと、鉄道が知らないうちに現場の方でぼつたらかしにしておいて、発見したときにはえらい金額になつておつたということを会計検査院から指摘されて、どこにも取場所がなくて、損してしまわなければならぬというようなことで、その間に収賄とか、飲んだり食つたりしておるというような例も、過去においてはしばしば散見せられたのであります。はたして現在の担保力をもつて、今滞納しておるような人々から完全にお取立てになる見込みがあるかどうか。また運輸省が免許された場合に、今度は国鉄の方に引移るのでありますが、通運業者というものは決して世間から見られておるようなものではなくて、国鉄のためにはほんとうの培養機関であります。これなくしては国鉄はやつて行けないと私は思います。と同時に将来はこの免許業者、通運業者というものがつあて、初めて国鉄の採算が成り立つ時代が来ると思う。御承知の通り戦争前には出荷誘致をされて、そうして盛んに通運業者あるいは荷主にハスまで与えて出荷奨励をされて、荷物を獲得せられた時代もありました。必ず近いうちにはそういう時代が来ると思います。従つて通運業者に対する国鉄の援助、助成というものは、これは決して特別なものではなくて、当然やるべきものだ。結局これは鉄道がお客に対してサービスを発揮されるためにも、通運業者を助成発達させるのは当然だと思うのですが、そういう助成、発達の面が足らないために、こうした成り立たないような新免店がたくさんできているのではないか。もし助成、援助せられる点について欠けるところがないとすれば、これはあげて運輸省の免許に間違いがある。もしりつぱなものを免許されても、国鉄の方でてを引いてやつて、そうして自分の培養機関ちし、手足としてお使いになる上において遺憾のないような施設をなさらなかつた結果が、あるいはこういうよたよとした四十何社の会社ができた原因になつているのではないか、どつちかに原因があるのではないかと思いますが、国鉄総裁の御意見を承りたいと思います。
  36. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいまお説のごとく、通運の仕事鉄道仕事は、貨物輸送におきましてまつたく離るべからざる密接な関係を持つて、相互に助け合つて行かなければうまく行かない仕事であることは申すまでもないことでございます。ただ最近と申しますか、新免店が許可されますと、私どもといたしましては、やはり新免店に対しまして不公平のないように後払いの扱いをいたしております。その結果と申しますか、これは発地の通運業者、着地の通運業者によつて違いますし、事情はいろいろございますが、事実として先ほど御指摘のように、相当額の滞納が現在起つておるというのが事実でございます。そこで私どもといたしましては、その滞納の通運業者をつぶしても債権はとれない。そこを何とかうまいくふうをして、債権もとり、つぶさないでやつて行く方法はないか。そこで問題になりました通運業者につきましては、一つ一つについて対案を考えておるのが実情でございます。しかしながらそれでも、片方で毎日々々作業をいたしておりますから、また次々と出て来るものがある。そこで私は根本的にこの問題を考え直さなければいけないと思いまして、最近一方では新しくそういう金がたまらない措置を講じるということ、同時に先ほど申しましたが、一つ一つのたまつておる会社について何らかの方策を講じて、少しずつでも取立てて行つて、新しくはたまらぬというようなかつこうにして更生させるものと、どうしてもこれはつぷれてしまつてもしようがないというような答えを出すものとわけて、今後の対策考えて行かなければならぬというふうに、この問題は非常に真剣に考えております。ただ補償の方法等につきましては、正確な結論は出ておりませんが、早急に結論を出したいというふうに考えております。
  37. 關内正一

    ○關内委員長 ちよつと徳安君に御注意申し上げますが、なるべく鉄道会館に関連性のある質問をお願いいたします。
  38. 徳安實藏

    徳安委員 これは鉄道会館の問題です。ただ先ほどから申し上げましたように、通運業者の点も、鉄道会館に関連する問題の一つとして取上げて御質問を申し上げたわけでありますが、ただいま大臣から御説明もございましたし、副総裁からも御意見がありましたか、なお厳重にしていただくごと、その間に社会誤解を与えないような方法としていただくこと、並びにもしできましたものに対しましては、是正の方法なり、適当な方法を講じられて、また運輸省に迷惑をかけるということりないように、国鉄でも今後お考えつて、こうした問題に対する根本的な対策を練つていただきますことが、結局社会一般誤解を払拭するゆえんであると思います。こういう問題が起きますと、いつもその裏に——今は鉄道会館問題でありますが、小さい問題をとらえて行きますと、その間にいろいろな誤解や不愉快なニユースが起きて参りますから、こうした点について特に運輸省国鉄の最高幹部にお願いいたしまして、私の質問はこれで打切ります。
  39. 關内正一

    ○關内委員長 山崎君。
  40. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 十数日にわたりまして、もう百時間になんなんとするほどの長い時間質疑が繰返されましたのでただいまの鉄道会館を中心とするいろいろの問題につきましては、国鉄当局におきましても、また監督官庁としての運輸省当局におきましても、それぞれ一つの成案を得たことであろうと私は考えるのであります。この間私は津田局長さんにこの点に対して、皆様方の御意見が相当ここに集約されて来たように思うが、その点はどうかというお尋ねを申し上げましたところが、当委員会並びに決算委員会等において審議されましたいろいろな問題を集約いたしまして、三点についての御回答があつたわけであります。私はたいへん長い間繰返された問題でありますので、ここにくどくどしくお尋ね申し上げようとは考えておりません。二、三の点についてお尋ね申し上げまして、運輸大臣の御所見をもあわせてお尋ね申し上げたいと思うのであります。  何と申しましても、国鉄鉄道会館と随意契約を結んで、国鉄法第四十九条の但書によつてやつたのだという一点は、どうしても納得ができない。なぜこれを公入札なりあるいはまた指名入札なりにしなかつたのであるかということが、そもそもの発端となつて、いろいろな問題が摘発されておるようなわけなのでございますが、この点につきましても、私どもはやはりいろいろな疑惑の点があるのでございます。そこで国鉄においてはどうしたらこの疑惑を払拭することができるか、結んでしまつた随承契約を今ここでキャンセルすることはいろいろな面において問題が大きいことでありますし、解決もなかなか至難でありましよう。しかしできた問題に対しましていろいろな処置をかえる、方針もかえるということによつて、私はある程度の効果を上げることができるのじやなかろうか、かように考えておるわけでありますが、この問題についての御処置について、何か御判断がついたかどうか、この際国鉄当局から、津田局長さんでも副総裁でもよろしゆうございますから、御意見がありましたら御答弁願いたいと思います。
  41. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま山崎委員から、すでにでき上つた契約について、その後国鉄としてのとるべき方向とか処置とかについて、どういうふうになつておるかというような御質問があつたのであります。これは先般もあるいは申し上げたかと思うのでございますが、鉄道会館の問題が時の焦点といたしまして、国会にも取上げられてもおりますし、また取上げられておりますことは、あくまで鉄道会館が能率的であると同時に、公共的な運営をしなければならぬということのために、かような大きな問題としてお取上げ願つておるのだろうと思います。そのような関係からいたしまして、われわれが部内で先日来いろいろと相談し薫ります二、三につきまして申し上げたいと思うのでございます、会館の今後の経営につきまして、もちろん株式会社ではありますが、同時に非常に公共的性格を持つておりますので、鉄道会館の経営について公共性の維持というような面から申しまして、一つの運営委員会とでもいうべきものを——これはまだはつきりした構想にはなつておりませんが、たとえば運輸省なり国鉄なり、あるいは学識経験のあられる方方、そういつたような方にお入りいただきまして、運営委員会というようなものをつくつて、今後の公共性保持に遺憾なきを期して行つたらどうかというような点が第一でございます。  第二番目には、先日来問題になつております地代、家賃をとつていない、これは事務の処理としては非常に遺憾な次第でございますが、しいて言わしてもらえますならばこの地代なり何なりをきめる根拠になりますところの地価の時価というものが非常にはつきりしないというような観点から申しまして——これは鉄道の独善でももちろん参りませんので、不動産関係に非常に詳しい権威ある団体なり、あるいは方なり入つていただいて、そういつた地価に関する評価委員会というようなものをつくつてつて、今後のこういう方面について大きな参考とし、資料として行つたらどうかというような点を考えております。  第三番目に地代なり家賃なりのとり方が非常におそいという点につきましては、これは明らかに事務的な失態でございますので今後こういう点につきましては、鉄道会館の苦い経験にかんがみまして、改めて行きたいというふうに考えております。これがこの問いろいろお話がありまして以後、われわれの間で話し合つておるうちの二、三の項目でございます。
  42. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 ただいまの、会館の公共性にかんがみて運営委員会等を設ける、あるいは地価を適正ならしめることのために地価評価の委員会等を設ける、これも一つの便法であろうかと考えるのでございますが、私はさらにただいまの会館に対する現行の承認事項についても、ある程度やり方をかえる必要があるのではなかろうかと思うのであります。たとえて申し上げますとこれは審議の上に現われた点でございますが、地下の工事と一階の工事というような問題については、国鉄と会館とは費用は折半でやつて行くのだ。二階から以上の方は、その財産権というようなものは会館それ自身のものだ、あるいはまた電燈料などというような電源の方の費用も、国鉄自体がまかなつて行くのだこうなつて行きますとこれからもいろいろな問題が起きて来るのではなかろうか。二階以上は会館自体の所有権になつてしまいます。会館は今後これの賃貸がある又貸しでもやるというふうなことになつて来まして、初めは公共性を維持するためにいろいろその会館を利用する人等につきましても選別をして、りつぱな業態の人にこれを貸そうという心がけを持つておりましても、それが五年とたち、十年とたつておるうちに、経済界の変動等によりまして、これがどんな目的、公共性と相反するようないろいろな悪い目的の方に使用されるおそれはないか、こういう点についても非常に心配をしておる向きがあるわけなのでありまして、私どももこれは当然と思うのであります。よつてこの現行承認の状況をかえて行くということにつきましてもお考えがないものかどうか、この点についてお尋ね申し上げます。
  43. 江藤智

    ○江藤説明員 お答えいたします。ただいまの協定のうちで、不備と考えられる点を改訂する用意があるかという御質問のように考えます。実は昨年の当初契約をかわしましてから、いろいろと実際にあたりまして考慮いたしました結果、二、三改訂を必要とすると思われる点がございましたので、それからいろいろ案を練りまして、七月の初めに決裁をとりまして、それの改訂をいたしました。その資料はお手元に差上げてあると思います。その中で第一点の、基礎の分担問題につきましては、これは折半というようなことも非常にラフな考え方という御非難を受けるように思いましたので、その上に乗りますいわゆる利用空間の割合によりまして、基礎あるいは根掘りその他のものは分担するというふうに改めたのでございます。それから電源の問題につきましても、会館の専門部分はまつたく別に電源設備を設けまして、関東配電の方から直接とり、国鉄の電力は全然使わない、こういうふうに契約を改訂いたしておるわけでございます。それから二階以上の部分を会社の財産にするということは将来会社の方が営利的に走つた場合に押えようがないのじやないか、こういうおそれでございますが、これにつきましては、二階以上につきまして鉄道の経費を入れるということは、財源の面から申しましても、またその使用の目的から申しましても、非常に困難なんでございまして、二階以上はどうしても会社の費用でやつてもらわなければいけない。もちろん一階以下が鉄道施設として非常に重要なものでございますから、構造あるいは構造の設計、施工におきましては、こちらといたしましては十分に審査いたしておりますけれども、二階以上の財産が会社になるのはやむを得ないのじやないか。ただ問題になりますのは、今後の二階以上の運営の点にあると思うのでございまして、そういう意味で、二階以上の運営において公共性に反するようなことがないように、それを何とか押えて行く方法はないか。そういうことて寄り寄り私たちが相談いたしました結果、先ほど津田営業局長から御説明ありましたような、そういう運営委員会というようなもので、そういう点を押えて行くと申しますか、あるいは指導して行くと申しますか、そういうような処置をとつたらどうかという、ただいま成案ではございませんが、腹案を持つておるわけでございます。
  44. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 そこでこの使用料の問題に関しまして、構内においていろいろな商店等の出店が設けられるということにつきまして、あるいは国鉄固定財産管理規程であるとか、あるいはまた構内営業取締規程といいますか、構内営業規則といいますか、そういうものがある。これによつてやつたのだという御説でありますが、一体これは社会通念に照して、現代の経済界にマッチしたものでしようか。もしそれがマツチしていない、現在の取引の通念、社会の通念、経済界の環境等に照してみて、これが適正を欠くということも、私は当委員会における紛議の一つの問題になつたのではなかろうかと思いますので、そういう点がどういうことになるか、これをお尋ね申し上げたいと思います。
  45. 津田弘孝

    ○津田説明員 先ほど申し上げましたことに、さらにつけ加うべき重要な事項が今御指摘のありました点であります。現在の構内営業規則は、若干の改正を年とともにやつて参りましたが、先般来副総裁から御説明申し上げておりますように、従来ありました小規模の構内営業を律するのならば、あれでやつて行けるわけでありますが、今回のような鉄道会館あるいはその他の民衆駅のごとき大規模な、また総合的な経営を内容とする構内営業を律する規定といたしましては、何と申しますか、非常に時代遅れな不適当な面がございますので、私どもといたしまして現在相談いたしております一つは、今お、話のございましたようにこの構内営業規則を新しい事態に即応するようなふうにかえるなり、あるいはまた民衆駅というようなものを考慮いたしましたものを、大々的に附加するという方向に行きたいと考えております。
  46. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 民衆駅を含むただいまの鉄道会館等の公共性につきましては、あるいは運用の妙をはかることのために運営委員会を設けるとか、あるいは規則の改廃等もやる、こういうお説でございますが、国有鉄道の財産は、実は国有財産法にのつとつていないと思いますが、どうですか。国有財産法の取締りを受けることになるのですか。
  47. 津田弘孝

    ○津田説明員 先年国有鉄道公共企業体になりました以後におきまして、いわゆる国有財産法の適用はございません。
  48. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 そこで運輸大臣にお尋ね申し上げたいのでございますが、国有鉄道というものは国民が株主なわけであるます。ただいまの理事者なるものは、国民の株主総代といつたような立場にあるのでありまして、どこまでも国民の所有に相なるわけだと思う。従いましてこれを国有財産のらち外に置くということが、そもそもこういう問題を起す原因になることであると思うのでございまして、政府としてこれを何とか処置しなければならないと思いますが、大臣はこれに対してどういうお考えを持つておりますか。
  49. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 国有鉄道の固定財産に対する法的措置が、どうも少し不明確と申しますか、法的にきちんとしていないようでありますが、実際上には困らなくてそのままになつておつたと思いますが、私はこの際法的措置をとりまして、きちんとすべきだと思いますので、そういうふうにいたしたいと思います。
  50. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 大臣の御所見はよくわかりました。そこで私は副総裁にお尋ね申し上げたいのであります。第十三回国会、思えば私ども委員会におきまして——第十三回国会に席を持つておつた人々は感無量の思いがあると思いますが、第十三回国会におきましては、国鉄法の一部改正案というものを議員提案で出した。その骨子とするところは、いわゆる国有鉄道内部におきますところの監理委員会の廃止、いま一つは大臣の権限の強化、この問題を二つ取上げまして、国鉄法の一部改正法案というものをわれわれは上程したわけであります。当時における世論というものは、私ども議員立法に対しまして非常な非難攻撃があつた。当代随一といわれておる朝日、読売、毎日新聞等の社説においてすら、この国鉄法一部改正案というものを、これは時代錯誤の立法である、あるいはこれは管理局について失敗したところの二、三の議員が、その野望を果すことができないことのために、腹いせとしてかくのごとき悪法を上程しておるというような社説まで掲げられておる。私ども考え方はそうじやなかつた。われわれとしては有名無実でありまする監理委員会というものを廃止して、国有鉄道総裁に権限の強化を与えて、これを国会において指名して国有鉄道総裁たる者にほんとうの力を与え、同時に責任をも持つてもらわなければならぬ、こういう観点に立つて、監理委員会の廃止というものを取上げたのであります。同時に先ほど徳安委員からもお話がありました通りに、国鉄がチーム、ワークが非常にうまくとれておる結果でもありましようが、ただいま世論がはなはだ芳ばしからざるゆえんのものは、私は国鉄王国、あるいは国鉄帝国主義、こういうような言葉の中に入れられるほど、チーム、ワークがうまくとれておりまして、先輩後輩とのつながりもまことに強固である。従つていろいろな国鉄に関する機関に、国有鉄道先輩がどんどん席を持つて、いろピれ自分の職権を濫用するという疑いがあることのために、私は今回の新聞紙上等における非難攻撃、かくのごとき世論の硬化というものの大きな根拠があるのではなかろうかと考えるのであります。そこで大臣の権限の強化ということも、また再び考えて来なければならぬ問題であると思う。今日国鉄当局の方々は悪戦苦闘をされて、国鉄四十五万の職員を引連れまして経営の任に当つておられる。三万キロ以上の営業キロを持つておる国鉄といたしましては、国内至るところ、津々浦々にその末端を機関として持つておられるわけであります。いろいろの御苦労の点も私ども考えるのでありまするが、同時にまたこの大きな世帯でありまするがために、一つの問題だけでありましても、投じた一石というものがまことに容易ならぬ事態を引起しておるわけであります。この辺の実態にわれわれは思いをいたしまして、再びこの大臣の権限を強化して、国鉄の監督という点に万遺漏なきことを期さなければなるまいという考え方に私どもはかわつて来た。第十三回国会から今日まで、思えば三年間の日月を経過しておる。その間私どもはこの法律案を見送つております。この法律案を上程をいたしまして、衆議院においては可決されましたが、参議院においては残念なるかな、流産のうき目を見たのであります。爾来今日まで私どもは鳴りをひそめてこの状況を観望して参つてのでありますが、はたせるかな、この会館の問題が一石を投じまして、世論に対してかくのごとき波紋を投げかけたということは、何としても国鉄はこの段階において反省しなければならぬ、こういうふうに考えるのであります。私は当時を顧みてまことに感無量である。当時の新聞紙が国鉄側に味方をした理由は一体何であるか、今日新聞紙が国鉄側に輿論の急先鋒を切つて非難、攻撃を浴びせている原因はどこにあるか。私たち考えてみれば、第十三国会に国鉄法一部改正案を上程した論議というものは、これは政治上の論議であり、法律上の論議である。監理委員会を置くべきかいなか、大臣の権限を強化すべきかいなか、こういう問題が根拠となつて参りましたので、新聞等におきましても、いろいろ国有鉄道という、コーポレーシヨンの本来の使命にかんがみて、国鉄側に味方をしたのだと今日私は了解しておる。しかるに今日新聞紙において逆の作用をもつて国鉄側にまことに辛辣なる批評を加えておるゆえんのものは、一体何であるか。私は今日までの長い間、何十時間にわたつてここにおられる委員方々が非難を浴びせ、質疑応答をいたしましたことは、これは一つの大きなスキャンダルということに原因を置いている結果である。あなた方の初めの考え方がそれほど悪意でなかつたものでありましても、どうも形の上において現われたことを、取上げて参りますと、これはその部分においてはまことに芳ばしからざることがどんどん出て来るのである。あなた方の誠意のいかんにかかわらず、この起きて来ておるただいまの事象は、決してこれは芳ばしいことでないと私は思います。  そこで結論として申し上げたいのでございますが、運輸大臣は国鉄をこのままの状態に置いてよいのか。監督権を強化いたしまして、国鉄総裁、副総裁と緊密な連絡をとつて——監督権必ずしも職権濫用でもつてこつぴどくこれをこき使うということではないのであります。お互いに国民が主人公となつて、私ども国民の公僕なんだ。国民はあくまでも主人公であつて、私どもはそれに対して公務員としてわれわれの職責がおのずからあるわけであります。その点にかんがみるならば、フエアー・フレイな考え方で法律を改正して大臣の権限を強化して、国鉄ともつと緊密な連絡をとるということは、ひいては先ほど徳安委員からも言われましたように、当委員会を軽視するとか、国会を軽んずるとかいう問題と関連性を持つて来るのであります。大臣の権限を強化する。その大臣は当委員会に出席して、職務上においてわれわれとの間にいろいろな公務上の質問応答の矢面に立たれるのであります。従いまして私は大臣の権限を強化して行くことが当面の急務であろうと考えますが、この点について大臣はいかにお考えになるか、御所見を承りたいと存じます。
  51. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 この問題につきまして私どもも、この事件がいろいろ取上げられてから折々話をいたしております。どういうふうな形でやるかは別問題として、もう少し研究の余地はあると思いますが、ただいまの御趣旨のように、もう少し運輸省国鉄とがぴつたりと合つてもう少しいろいろな情勢等も大臣が責任を持つてつている。従つつてその意味におきまして国鉄運輸省とがびつたり意見が一致したようなものが実際に行われますような形で——これは今のお言葉で監督権の強化ということになると思いますが、そういう問題について、これは必ず何とかしなければならないだろうと思います。
  52. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 どうか大臣におかれては、この点について十分御研究のほどをお願い申し上げたい。当委員会においてこの会館を設ける点について運輸大臣に御相談があつたかという質疑に対して、運輸大臣としては御相談にあずかつていないという御答弁であつた。こういう点についても遺憾な点があるかと考えますので、この点については十分に御研究くださいまして、大臣の権限を強化することが国鉄との間における一つの障壁となつて、将来このことが災いするというようなことでなくあくまでもわれわれは公務だいとう立場かんがみて、どうしたらば国鉄の運営がうまく行くか、どうしたならば国会とのつながりがうまく行くか、どうしたならばこういう不明朗なことでなく、公明正大な立場に立つて行かれるかということを、課題として十分研究される必要があると思う。  さらにこの間の質疑におきまして、天坊総裁は行政上における失敗は認める。しかしながら私どもには何ら涜職的な行為はありません。破廉恥的なことはないという御答弁があつたのを、私は記憶しているのであります。まことにけつこうであります。私どもはそれを期待する。どうかこの機会にあなた方は十分反省されて、そうして国鉄百年の大計のために、国家存立の基礎を立てる。運輸交通の根幹を立てる。文化、経済の大動脈を立てるということは、あなた方の五体の中に脈打つている愛国心によつて初めてできるのだ、こういう観点に立たれまして、ひとつ御奮発をお願いいたしたい。私の質疑はこれで終ります。
  53. 關内正一

    ○關内委員長 南條徳男君。
  54. 南條徳男

    ○南條委員 多数の諸君の質疑応答によつて、諸般の点が大体明瞭になつたと思いますので、私は二、三の問題について大臣並びに副総裁にお尋ねしたいのであります。  今まで相当長い間のこの委員会の議論の焦点は、連日の新聞その他に掲載されて、国民が非常に関心を持つていることは御承知の通りであります。私ども国鉄在来の沿革、その大家族主義の非常にりつぱな精神的な面その他につきましては非常に敬意を払い、尊敬をして来た国民の一人として、かくのごとき問題が発生をいたして、いかにも国民全部から指弾の的となり、疑悪の府となつたような感じを与えられておりますことについては、まことに遺憾にたえない一人であります。これはひとりこの委員会の全員の心持ばかりでなく、私は日本国民として、今まで現業官庁としてかようなりつぱな官庁はなかつたとまでいわれておつた官庁が、かくのごとき疑惑の府になつたということに対する国民の疑惑の点をこの機会において払拭することが、この問題解決のためにもなり、将来の禍根を残さずして、りつぱに立ち直るということを、この機会にこの委員会を通じて国民の前に発表していただきたい。この機会において国鉄幹部の誠意のあるところのお言葉を披瀝してもらつて、そうしてその対策等を国民の前に発表していただきたい、こう思うのであります。いろいろ具体案等につきましてもお聞きしておりましたが、これらの部分の疑惑に対して現当局はどういう気持をもつて対処し、将来に対するどういう御覚悟があるか、この機会に重ねてお承りをしておきたいのであります。
  55. 天坊裕彦

    天坊説明員 鉄道会館の問題が大きく取上げられまして、昔からの鉄道びいきの方々、あるいはまた鉄道の昔の先輩、あるいは国民全体等に、非常に現在の鉄道そのものが不信、疑惑視されましたようなかつこうになりましたことは、それを扱つて参りまりました私どもといたしまして、まことに世の中に対して申訳なく存ずる次第であります。ただ繰返して申し上げますが、私どもといたしましてはいろいろと民衆駅というようなほかの面というものも十分考えまして、鉄道八十周年記念の記念事業として東京駅の八重洲口をりつぱに——今の乏しい財政の中からでも、何とかこれをくふうしてつくり上げて、これでもつて皆さんに喜んでいただきたいという気持でスタートしたことが、いろいろと途中でもう少し視野を広げて考えればよかつた、あるいはもう少し慎重に扱うべき問題もあつた、こういう手違いのためにいろ、いろと問題を起しまして、私どもとしてはなはだ事志と違つた、姿でございまして、まことに遺憾にたえないのでございます。ただ審議の過程あるいは御調査の過程におきまして論議されましたもろまろの問題の中で、本質的な問題として、こういう随意契約はどうかという問題につきましては、先ほど山崎委員から御発言がありましたが、これはあくまで私どもの随意契約としてやつた措置は違法ではない。ただ非常に誤解されるような姿でやつたという点が、私どもとしてもう少し慎重であるべきであつたというふうに、これは十分考えます。  そのほか御指摘になりましたもつと慎重に扱うべき、従つて手続的にも完全に、不備のない姿でやるべき地代、使用料というようなものを、前もつてとらずに、あるいは営業規則というようなものを、初めからすつきり直すなら直してやるべきであつたにかかわらず、便宜に持つて来たというような点につきましては、私どもはこれを早急にかえて行きたい。しかしながら私どもの純な気持で出した鉄道会館そのものは——ひとつ何とかして東京駅八重洲口はできますように、皆様方の御好意によりましてスタートさしていただきたいと思うのであります。ただ鉄道会館の問題を通じまして、特にその他の不動産、鉄道財産の管理、あるいは鉄道事務処理の非常におそいこと、熱意の乏しいことというような点は、御指摘の通りでありまして、結局それがまた鉄道会館そのものに響いて、おしかりを受けているのが実情なのでございまして、私ども事務の問題がこの問題の大きい支障になつたというように考えまして、非常に責任を感じておる次第でございます。御指摘になりましたもろもろの内輪の問題につきましては、さつそく直すべきものは直し、改めるべきものは改めて、この鉄道をお預かりしている私どもといたしましては、この機会にきれいなものにいたしまして、鉄道そのものの運営も昔のような姿にして、とにかく皆様方にほめていただけるようなかつこうに持つて行きたいと考えております。ただこの問題を通じまして、鉄道全部があげて国民の不信を買つているのでございますが、鉄道本体は御承知の通り四十五万人の人間は、黙々といたしまして水害で家がおぼれておるのも忘れ、日夜不眼不休で水害の復旧に当つておりますし、昼夜をわかたず業務員は働いておるのが実際でございます。ただ一部の仕事を処理する者、あるいは計画に当つた私どもの至らなかつた点が、非常に大きな問題を与えまして、鉄道全体が問題の伏魔殿のようなかつこうになりましたことは、はなはだ遺憾に存ずるのでございます。こうした鉄道運営におきましても、幹部に対する信頼というものはいかなる時代、いかなる人のものにおいて運用いたしましても、その基盤にるなものと存じますので、その点ひとつ何とかこの人員が保てるような姿で、私どもとしてはそういうふうにしたいと思うのであります。問題になりましたが、何とか鉄道会館の明朗化、公正化というものを、先ほどから申し上げましたように、そういう別個の措置等も考え遣して、りつぱな東京駅が明朗にでき上りますようにぜひさせていただきたい。同時にそうしたものが明朗に運営され、あるいは鉄道全体がうまく輸送力増強の方向に動くということが、結局最後に国民の信を再びかち得る基ではないかというふうに思うのでございます。一応私の考えを申し上げさせていただきます。
  56. 南條徳男

    ○南條委員 ただいま天坊総裁の所信の披瀝によつて、私どもその誠意のある点は了解いたすのであります。問題になつているこの鉄道会館の建設、その完成については相当なる決意、抱負をもつておやりになつたことであるから、私どもこの目的、その方法等については、決してこれに賛意を表するにやぶさかではないのでありますが、今までのいろいろな質疑の中から、そのやり方についていろいろ手落ちのあつたような点が、この委員会で問題になつておると思うので、当局の諸君にスキャンダルや涜職事件があつたというようなことを考えて、委員諸君もその陰にはこういうことがあつたかと思つてこの問題が発生したかと思いますが、今までの委員会の経過から見て、少くもさようなことはないと確信しておる。しかしながらこのままこの会館の事業を当局にまかしておくということも、私は委員会の空気ではないと思うのであります。従つて当局からはいろいろな委員会をつくつたり、その他のことをいたして、具体的に今後の方途を考えると申しておられますが、まことにけつこうなことだと思う。それはぜひそうしてもらわなければならぬと思うのでありますが、私はここで将来の各駅の駅舎の今後の新築のあり方について、あらためて当局に伺つておきたいのです。  資料によつて承りましても、今までできたものでも全国に相当のものがあつて、民間の資本を入れて今後やらなければならぬ、また工事中のものもまだ相当あるようでありますが、今後やらなければならぬ未着工の分でも池袋の駅があり、申請を受けているものでも渋谷、桜木町、新宿駅等のものがあるように資料には載つております。これらの大きな駅について今までのような、かようなやり方でやるのか。どういう方法でやるかということは、まことに重大なことであります。今まで過去にあつた問題につきましても、しばしばこの委員会で問題になつたように、いろいろ形式がかわつている。そこに一貫性がないところにいろいろ疑惑を持たれるのでありますから、この機会において将来これらの運営をする場合において、しからばどういう方向でおやりになるつもりであるかどうか。もし腹案があるならばこの機会にお述べになつて、これも国民の疑惑を解かれることがいいのではないかと思います。というのは、今この問題が起きて世間にいろいろ問題になつておることは、鉄道の後藤新平総裁以来の伝統の大家族主義の精神が、四十五万の従業員のかたい結束を結ぶところの精神的支柱となつて、まことに日本の現業官庁の模範としての主義、精神であつたことは国民も認めておつた。ところがこの問題が起きて、そのやり方が非常に批判されておる。国鉄のよい面はよいが、大家族主義の悪い方面は、排他的であり、独占的である。少くとも四十五万の従業員諸君は、幹部を信頼しておるのだけれども、その幹部の諸君の処置が悪いために、かような誤解を受けているということは私は責任があると思う。資料がまだ集まつておらぬようですが、御承知のごとく鉄通の外郭団体の各方面には、やはり鉄道の退職者がその幹部として入つている。いかなるときでも鉄道幹部でなければ立入りできない。今度の鉄道会館の問題もその通りであります。かような疑惑をこの機会において、どのような方向で払拭するかということを述べていただきたいのであります。従つて未着工の駅舎につきまして、民間の資本を入れるような場合におきましても、今後は今までやつたような鉄道会館のような方式で、この幹部鉄道の退職者ばかりで占めるという方向で行くのか。それとはまつたく心構えをかえて、別の方向へ行くということをこの場合にお述べになることが、国民の疑惑を解くことに役立つのではないかと思いますので、かような質問を申し上げるのであります。
  57. 天坊裕彦

    天坊説明員 鉄道会館のほかに、現在申請中なり、あるいはすでに開始と申しますか、許可を受けておる停車場会社式の、いわゆる民衆駅が相当あるのは事実でございます。これらの民衆駅というものの構造なり、考え方というものを、鉄道会館の問題を機にして、どういうふうに考え直して行くか、こういう御質問でございます。私どもも国会内でもいろいろ問題にされましたように、たとえば池袋の西口でございますとか、あるいは秋葉原でございますとか、高円寺でございますとか、そういうように少しずつ趣をかえたようなかつこうで、いわゆる停車場会社をつくつて参つたのであります。駅が完成さえすればいいというような気持のあつた時代もございましたし、これには弊害があるから、この次にはここを直してみようというような気持でやつて来たことも事実でございます。そして一面には修正され、よくなりましたが、また別に問題が起つておるというのも事実でございます。そこで鉄道会館自身につきましては、それらの点を欠陥は欠陥として、これを除去できるような姿でやつたつもりであつたのでございます。しかしその問題はもうすでに話が出ておりますので、今後はやはり相当民間資本導入ということにつきましては、考え方をかえて行かなくてはならぬ。単に駅ができるだけでよろしいということではいけませんので、駅ができることも必要でありますが、同時にそこに明朗な姿で、公正な姿で駅舎ができて、一般の旅客にも利便を与えるというようなかつこうにして行かなければならぬということを、つくそれ反省させられたわけであります。ただ具体的にすでに許可の出ておるようなものもございますが、今後はこれを公正に、そうして鉄道をやめた者が表に立つて、それがために誤解されるような弊害のないように、私どもは十分考えて行きたいと存じます。
  58. 南條徳男

    ○南條委員 ただいまの答弁を聞いて伺いたいと思うことは、鉄道会館をつくる当時、相当民間の有力な団体からも申請があつたと私ども聞いている。しかるにこれについては一顧も与えずに全部却下されて、そうして現在の幹部にこれを認可をした。そういうこと自体が相当世間の疑惑を生んだと思うのでありまして、今後この民衆駅をつくるにつきましては、今の副総裁の答弁の中には具体的なことはございませんが、私の先ほどの質問の要点から申しましても、副総裁考え方は将来かようなことにかんがみて、鉄道会館をつくつたときのように、民間団体の発起人その他の有力な方の申請をみな却下するというようなことなく、公正妥当な、りつぱな民間業者の申請のあつた場合においては彼比勘案をして、鉄道の退職者一本で行くというような考えはとらないというように解釈してよろしいか、御答弁をお願いいたします。
  59. 天坊裕彦

    天坊説明員 まつたくお説の通りでございます。
  60. 南條徳男

    ○南條委員 そこでさらに伺いたいのは、鉄道の大家族主義の誤解を受けたのは、この鉄道会館の問題ばかりではありません。これに関連して外郭団体その他についても、弘済会あるいは交通公社、丸通、あらゆる方面の外郭団体がみな、この大家族主義の名のもとに独占をしているということは、国民の信頼をつなぐ道ではないと思うのであります。今後これらの面についても相当考慮されまして、日本輸送力を強化するために、外郭団体に優秀なる人が協力するという態勢は決して悪いことではないので、全部が全部悪いというのではありませんが、ただ今までの行き方をこの機会に是正されて、根本的に心構えをかえるという方向をおとりになるかどうか、この点もこの機会にお伺いしておきます。
  61. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいまのお話は、先ほど徳安委員から同じような御指摘があつたのでございますが、やはり外郭団体と申しましても、いろいろ難がございまして、私どもも実は初めて耳にするような名前のものも、外郭団体という名前新聞に出ているというようなことがあるのでございますが、ともあれ、やはり仕事が主でありまして、鉄道と協力して行くために、交通公社のような機能が必要であるということになりますれば、これは交通公社が必要なのでありまして、あるいはその仕事鉄道と非常に近い仕事であるとすれば、鉄道にいた者がそこに行くということは、私は機能からいつてある程度は認めなければならぬと考えているのでございます。しかしながらやはり先ほどお話がございました通り、度を過ぎたというかつこうになりますと、いろいろと非難が出て来るものも当然でございまして、私どもといたしましては、その点度を過ぎないようなかつこうで考えて行きたいと存じております。
  62. 南條徳男

    ○南條委員 そこで運輸大臣に最後に伺いたい。それは先般の質疑のときにも運輸大臣に申し上げたことでありますが、その当時は鉄道会館等の問題がまだそれほど発生しないときであります。そこで運輸大臣の御答弁なり考え方も、さほどコンクリートしておらなかつたと思うのでありますが、今日の段階になりますれば、ある程度私は大臣として政治的に国鉄の今日のコーポレーシヨンの機能というものに対し、あるいは運輸大臣の監督権というような点について、相当突き進んだお考えをお持ちにならなければならぬと思うのでありまして、その御所見を伺つておきたいと思うのであります。それは先ほど委員の諸君からも言われましたが、そもそもこの鉄道会館のような問題が起きたということも、コーポレーシヨンており、独立採算制であつて国鉄法に基いて総裁の権限が強化されておる。そこで何もかも運輸大臣の指揮を仰がなければならぬということでは、ほんとうのコーポレーシヨンの機能を発揮できないことはもちろんであります。さような意味において、この鉄道会館などにつきましても、運輸大臣が何ら関知されない、相談も受けなかつたというような面がたくさんあつたというような遺憾なことを、この委員会において大臣から承つたこともあるのであります。しからば何もかも大臣が指揮命令してやるというのであれば、せつかく独立採算制のコーポレーシヨンをつくつた趣旨が没却される。ここに非常な大きな盲点があるのであります。私はこの段階におきましては、わが国の国有鉄道コーポレーシヨンというものが、他の電電公社や専売公社のような意味公共企業体と同様に扱わるべき性質のものであるかどうか、非常な大きな課題として研究しなければならぬと考えておる。私どもは今まで国鉄の諸君が、この鉄道会筆のいろいろな問題を起したその底を流れるものとして、不正なことをしよう、自分らの私利私欲のためにやろうという考えは毛頭なかつたと思う。今回それが疑惑を受けておるということは、コーポレーシヨンになつた。停車場をつくるにしてもなかなか予算がない。一方民衆からは、あんな停車場でどうするんだという要求が多い。改良費も満足にとれない。国鉄は年中赤字になる。コーポレーシヨン。独立採算制というけれども、実際にその実績は上らぬというところに、せめて民間資本でも入れて、停車場だけでもつくりたいというような善意の行動が、今日のような誤解を生んだのであつて、もし昔のような国鉄であつたならば、あえて国鉄幹部諸君は、かような無理をしてまでも、苦労をしてまでも、このような問題を起さなかつたと思う。私は今日の独立採算制、アメリカの占領政策によつて、間違つた尺度からかような機構に大改革して、日本の国情に合わないところのものをつくつたところに盲点があると思う。その根本の盲点は私はここだと思つておる。しかしながらコーポレーシヨンにもよい面があるのでありますから、ますますその精神は発揮してもらわなければならぬけれども、どうしてもその監督行政の上において、私は非常に大きな矛盾があると思う。そこで政治問題として、政府はこの問題について、大臣の監督権の強化ということもさることでありますが、それを強化すれば国鉄総裁以下幹部というものはロボツトになつてしまう。それではせつかくの操業意欲がなくなるのであります。それをどういうふうにして結ぶかということは、根本的には私は組織、機構の改革にあると考えるのでありますが、大臣は前会私の質問した当時と違い、時間的にこの問題がこう発展した場合においては、もつは深刻にこの問題をお考えになつてよかろうと思いますので、あらためて御所見を伺いたいと思います。
  63. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 この前いつでありましたか、お尋ねを受けたことがありました。そのとき私は、鉄道が今の国有鉄道になつてからまだ四年でありますが、その間にずいぶんいろいろな規定も改正された。その規定に不満なものがみんなにあつたに違いない。しかしそれだからといつて、前の国営の状態に返すということは、まだ私ども考えていないという意味のことを申し上げたと思います。こういう問題が起りまして、一体今のコーポレーシヨンの形は適当なりやいなや、いつそのこと前の鉄道省時代のように国家が直接経営するか、そうでなかつたら思い切つてもう民間の方に持つてつてしまうという二つしかないではないか。しかし民間に持つて行くという問題は、なかなか実際上にできる問題でないから、ただ一つの道は、国営の方に返つて行くということではないかということで、私どもにもいろいろの意見を述べていただいたこともあるのであります。私といたしましては、今度のこういう問題が起りまして、またそういうところまで行くべきかどうかということを考えますと、まだやつて四年でありますから、これでだめだといつて急に元へとんぼ返りするほどのところじやないじやないか、一も一段われわれのやるべきものがあるのではないか。というのは、監省権をどの程度か強化するということでございます。監督権があまりに強化されれば、今おつしやる通りに、国有鉄道というものの存在が非常に影が薄くなる。またいいかげんなものであれば、今までと五十歩、百歩であるということじやないかと思います。私ども政府の立場にある者が、ただ予算の説明その他の規定説明等で、国鉄の代弁みたいにここにただ話合いのついたものを持つて来て、皆さん方の前に説明してもらうというだけでなく、もつと私どもが——この鉄道会館の問題について、こういう問題を君知つておるかと、一番初めに鈴木君から聞かれましたときに、この相談は受けていない、新聞で知つておる程度だということを申し上げたのでありますが、そういうことではさつきもお話が出ましたように、政府国鉄がぴつたりしなさ過ぎたということだと思うのであります。そこでどの程度まで監督権を強化するということは別問題でありますが、皆さん方の御意見等もよく参酌いたしまして、できるだけ早くこの問題等を取上げまして成案を得たい、こういうふうに思つておるのであります。電電公社とか、あるいは専売公社とはおのずから違うということは、同じ公社でありましても御説の通りであります。そこに非常な問題もあり得ると思うのであります。私の今一の考えはそういうところでございます。
  64. 南條徳男

    ○南條委員 私まここで大臣とこの問題で討論しようというつもりはありません。議論するつもりもありませんが、私の信念からすれば、今のコーポレーシヨンをこのままの形で置くということは、将来また第二、第三のかような問題が起るところの温床になると考えます。そこで大臣はもう一段何とか監督権を強化して、かような問題が起らないようにしたいと思うのでありましようけれども、今の法規からいつたら、私はさようなことはとうていむずかしかろうと思います。この委員会でこの問題がかように発展した以上ば、将来かようなことが起らないように、抜本的にひとつ御研究願いたいと思います。  そこで最後に、この問題については大臣の監督権というものが国鉄法によつて非常に不十分であるから、直接の責任がないというようなお考えで、あまり責任を考えないような立場であるかもしれませんけれども国民の多数は、決して陰におるところの国鉄総裁、副総裁等にのみこの問題の責任があると考えておるのではないのであります。いやしくも国鉄である以上は、先ほど山崎君も言つた通り、これはわれわれ国民の財産なのです。それを監省しておる大臣が何も知らなかつたというような答弁では、決して国民はその疑惑が解けませんし、信頼を持てないのであります。この問題について大臣はほんとうにどういうふうにお考えになつておるか、御所見はいかがでありますか、最後に承つておきたいと思います。
  65. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 私は事の経過の事実のお尋ねに対してお答えいたしたのでありまして、それをどうするかという問題、これは国有鉄道は運輸大臣が監督するというりつぱな条文もありまするし、その内容等についてもまた、狭くなつてはおりまするが、こういう問題が起つたことにつきまして、私が知らなかつたとか、聞いてなかつたとかいうことで、よそのことだというような問題であつてはならない。私もそうは思つておりません。私自身、こういう問題を起したことに対してはなはだ恐縮をいたしており、申訳ないと思うのであります。それで私といたしましてすることはどういうことであるかと言えば、まい今後においてこういう問題の起らないような方法を、この際あらゆる方面において講じて、みんなと相談いたしまして、りつぱな国鉄の経営のあり方に持つて行くということに私は努力をささげまして、そうして私の監督が十分でなかつたことに対しての責めをふさぎたい、こう責任を感じておるわけでございます。
  66. 關内正一

    ○關内委員長 世耕弘一君。——世耕君に申し上げますが、理事会の申合せで、一人の持時間は最高限度一時間という申合せになつております。御承知おきを願います。
  67. 世耕弘一

    世耕委員 時間を短縮する意味において、端的に御質問を申し上げます。過般来総裁並びに委員との質疑応答を拝聴いたしておりますると、結局今度の事件はまことに済まない、遺憾しごくである、申訳ないということを、連日繰返しておるように承知いたしております。昔のことを言えばおかしいように思いますけれども、昔の武士は済まないという言葉が出た場合は、切腹して申訳をするのであります。ところが本件に対して、済まない、遺憾である、申訳ないということを繰述すその良心がおありになるとするならば、まず総裁、副総裁はみずからこの責任を痛感して、おやめになるということが前提でなくちやならないのではないか、この腹がわかつておるなら、私は以下の質問はやめることにいたします。あらためて承つておきます。
  68. 天坊裕彦

    天坊説明員 私がこの問題を通じまして、いろいろ手落ちとして責任を感じておりますことは、この鉄道会館の問題の中で、もとの大きな本筋がきまつてあと事務的に動くべきものが動かなかつた点、あるいはまた二の問題をきつかけとして、ここ数年来の民衆駅にそれぞれ事務の処理が非常におそかつた点、不行届きであつた点、そういう点を私どもは非常に責任を感じておるというふうにはつきり申し上げておるのでありまして、ただいま調査の段階でございますので、自分で今自分の進退のことをここで申し上げることはいかがかと存じておるわけであります。
  69. 世耕弘一

    世耕委員 いつおやめになるかという時期は問わないが、この問題についての責任を痛感されているがどうか、この点なんです。私は実を言うと、もつと自信のある、一点疑わしきことはござらぬ、こうこう明白な行動をやつたのだ、世間誤解があるのは、それはむしろ非難する人たちの御自由だ、こう一発食らわしてくれるなら、私たちはこの問題に対してきわめて敬意を払い、満足する。数日来のお話を承つていると、済みません、申訳ない、遺憾の点がございました、これだけでは、おそらく他の諸君も納得なさらないのではないか、かように思う。昔の武士なら、済まぬと言つたときは、腹を切つて申訳する、これが武士道だ。従来国鉄にも私の記憶するりつぱな先輩がたくさんあつた。相当責任を痛感して、ほとんど腹を切つて申訳するような態度でやられたことが幾たびもあつた。卑近な例を申し上げましよう。たとえば横浜の電車のあの焼けた事件、別にあれは国鉄総裁自身の直接の責任じやないでしよう。世間の非難に対し道徳的責任を負うてやめられた。あとはいけませんでした。やめて謹慎している思つたら、ヨーロツパへ行き、帰つてかと来たら、鉄道会館の会長か社長になつたという話をこの間他の委員会で聞いた。半分はいい。半分はその責任を痛感した。おそらく横浜の電車事件以上の疑惑を生んでいる問題だから、これは総裁が病気ならば、相談をなさつて、ともどもおやめになることが、国鉄将来のために、また業界の発展のためにまことに効果があると思う。どうですか、その点についてあなたは今やめる時期ではないとおつしやるのなら、整理がついたらおやめになるか。あるいはやめるという言葉をお言いになることができないのならば、覚悟はいたしておるというくらいのことはおつしやつても、まんざら御名誉にかかわることはないと思う。あなたの御返事いかんによつては、運輸大臣に重ねてお尋ねいたします。
  70. 天坊裕彦

    天坊説明員 鉄道会館の問題につきましてはいろいろ手落ちがございましたが、私どもは間違つた方向でやつたとは断じて思つておりません。ただいろいろと手違いがありましたこと、そのほかの問題で事務的に責任があるということは十分痛感しております。
  71. 世耕弘一

    世耕委員 事務的に手違いがあり、事務的に責任を感じまた手違いがあるからすなわちこの問題を起しておる。手違いがあればこそ、あなたは責任を追及されている。手違いがあつても、言い訳すればそれで済むのかという、その道徳的責任を私は追及している。そんなことは近ごろはやらないのだ。ただ言い訳をすれば済むのだとあなたはお考えになつているのかどうか。あなたの良心を私はお尋ねしている。法律上の議論をなされば、近ごろは、役人をした人はなかなか巧妙だ。頭が緻密なんだ。卑近な例を申しますと、あまりいい言葉でないかもしれぬけれども、脱法的行為を巧妙にやることは、私は十数年来代議士生活をして、よく承知している。今日一番大切なことは綱紀の粛正である。総理もそれを主張している。綱紀の粛正と同時に、その綱紀の粛正の根本は道義的責任なんだ。あなたは道義的責任すら痛感せぬとおつしやるなら、これ以上私は申し上げません。簡単です。道義的責任をあなたは痛感なさらないかどうか。私はあなたに対して別に悪意を持つているんじやありません。国会議員国民の代表者として国民の叫びをあなたにお伝えして、この点だけお尋ねして、おれは責任を感じないのだとおつしやるなら、私は時間を節約する意味において、これ以上あなたにお尋ねいたしません。
  72. 天坊裕彦

    天坊説明員 私は私なりの責任は感じておりますが、それをこの席で発表いたしますかどうかは、別の問題であろうと思います。
  73. 世耕弘一

    世耕委員 了承いたしました。次に運輸大臣にお尋ねいたしますが、私は国鉄関係の事業会社は、あくまでも公共性を維持しなければならない、それについては、常に疑惑を招くような行為はあつてはならぬかように考えております。この意味について大臣はどういうふうなお考えを持つておられるか。近来官吏の綱紀は弛緩している。いわゆる法律的責任がのがれられさえすれば、それで道徳的責任はほおかむりできるという悪いくせがある。しかしながらこれはひとり国鉄ばかり責めろのではない。戦後の日本の官界が、あらゆる点についてこの非難を受けなければならない。たまたま鉄道会館事件をめぐつて、これが話題の中心になつたのであります。私はこの意味において、特に公共性という建前からどういうふうに考えておるかということと関連して、今私は副総裁から決意の一端を承つたが、これに対して監督官庁である大臣はどういう御見解をお持ちになつておるか、お尋ねいたします。
  74. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 国鉄が公共性を持つ仕事であることは当然でありますし、またこういう仕事に従事する者が疑惑を持たれてはならないと思うのであります。その意味におきまして、ここで問題が提起されまして、皆様方からいろいろと研究していただいておることによりまして、だんだんと事情が明白になつて来たということは、私は世間に対する疑惑を解くにはけつこうだと思うのであります。今までのところによりまして、またどういうことを皆さん方がお考えになるかよく承知いたしませんが、法律上には違法行為はないようだ、しかしどうもいろいろな点でもう少しちやんとやるべきではなかつたか、そういう点において遺憾の意を表されており、そういうところにおいて道義的責任をとるべきではないかというお話だと思うのでありますが、これはそういうふうな立場にある人たちの考え方によるのが第一であります。それによりまして、また私どもは私どもとしていろいろ調べ、こういうものの今後のやり方についていろいろ研究いたしまして、結論を出したいと思います。
  75. 世耕弘一

    世耕委員 公出性を持てない一般の私設の会社でも、このくらいの問題が発生したならば、責任者はやめて責任をとる。今初めて心境の一端を私は承つたのであるが、法律的責任を私はこの機会に追究しようとはしない。むしろ道徳的責任を追究したいという意味で、お話を進めておることを御了承願いたい。たとえば横浜における事件のごときも、あれを法律問題で追究したのならば、あの当時の国鉄総裁は何の責任もなかつたが、たしかあれは道徳的責任を痛感しておやめになつたという先例がある。だからそれに基いて監督官庁が善処されることを私は希望してやまない。  次に伺いたい問題は、株式会社鉄道会館の定款の第一章の二条の三号に、国鉄の重要なる停車場、高架線その他の施設の建設または整備を行い、第四号に定める各種事業の経営、またはその目的のために施設の賃貸をしなければならぬということが載つておるが、こうなると、国鉄とこの会社との限界がどの程度明らかであるかわからぬ。ここに監省不行き届きの責任がおのずから起つて来るのであります。この点に対して大臣はどういうふうに御研究になつておられるか。私の方に資料がありますから、お手元になければ差上げたいと思いますが、結論において、経営面においてはきわめて粗雑である、紊乱しておるということがここに言えるのであります。
  76. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 国鉄鉄道会館を許可する問題につきまして、運輸大臣はそういうところの監省の仕事まで入つていないものですから、こういうことは私ども内容を承知いたしておりません。
  77. 世耕弘一

    世耕委員 かようなことは適当ではないと私は思うが、運輸大臣はどうお考えになりますか。  なお時間を省略する意味において他の点をお尋ねいたします。交通公社が納入すべき切符代金がおそいからというので、手数料三分をまた五分に引上げたのでありますが、こういう会計上の監省も運輸大臣は御承知ございませんか。
  78. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 それは今拝見いたしました。それは会社の定款として、国鉄との間の関係考えますと、これはおもしろくないと思います。これは会社がこしらえたもので、どこまでどうしたか知りませんが、改むべき部分ではないかと思います。
  79. 世耕弘一

    世耕委員 交通公社の切符の売上げ代金の支払いがおそいのは、経理面で苦しいからだというので、従来の手数料三分を五分に引上げたということを聞いておりますが、ずいぶんいい手数料だと思いますが、こういうことも御相談に及びましたか。収入に関係する大きなことだと思う。同時に交通公社の年の売上げ、たしか五十五億の中で、五億何千万円を滞納させるということは、ずいぶん寛大な取扱いである。これについては、いろいろ経営面において困難な事情があるからという言い訳の報告書が出ておりますが、私たちも調べてみまして、これも通り一ぺんの言い訳にすぎないというふうに感ずるのですが、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  80. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 国鉄運輸省関係は、今までは大体におきましてコーポレーシヨンとしての国鉄の立場でやらせて行くというように、だんだんと進んで来ておつたわけでありまして、私どもがこれを預かりました後の情勢におきましても、そういうふうな外郭団体と申しますか、これらに対しましては国鉄限りでいろいろやつておりまして、私どもこの問題につきましてあまり承知していなかつたのであります。
  81. 世耕弘一

    世耕委員 先ほど他の委員の御質問の中の中にありましたが、外郭団体があるではないかという話があつた。私の調べている範囲では外郭団体が六、七十社ある。その六、七十社の中には、相当経営困難がいかがわしい問題を発生している会社もあるようでありますが、露骨に言えば、こういうものを育て上げるがために、こういうものを食わせるがために、国鉄の切村の売上げ代金の手数料三分を五分に引上げなければならぬというのは、ちよつとりくつに合わぬと思います。もし三分を五分に引上げて商売ができるなら、それで公社という名称を許されるなら、他の商売人からも喜んで三分くらいでも引受けますという申出がたくさんあろうと思うのですが、収入面からこういうことも考慮されてしかるべきではないかと思いますが、監督官庁としてこの点はどういうふうに考えておられるか。  それと、ついでだから私はこれを最後としてお尋ねいたしておきたいのは、幸い大臣もおいでだからお尋ねするのですが、数日前の新聞に、関門トンネルは修理しなければ使えぬというふうに書いてあつたようであります。これはこの間の水害で浸水したために使えないというように聞いたのであるが、修理しなければ使えないのならば、その費用はどのくらいかかりますか。関係当局から御説明を承りたい。
  82. 江藤智

    ○江藤説明員 お答え申し上げます。数日前の新聞記事は私拝見しておりませんけれども、別に修理をしなければ使えないという事実はございません。水が入りまして、土砂が水と一緒に相当混入したのでございますが、そういうものの取除きも大体終了いたしまして、御承知のように七月十四日からずつと開通をいたしておるわけでございます。ただ今度のように山津波のような水が押し寄せて来るということは、設計の当時予想しておりませんでしたから、そういう場合に対応いたしますために、水が入らないような設備を急遽着手することにいたしたのでございまして、その経費は二千万円余りでございます。これは来るべき台風までにはぜひやり遂げたいというわけで、防災設備費から急選出しまして、着工することにいたしたわけであります。
  83. 世耕弘一

    世耕委員 それは坑内の修理までも中へ入つた経費ですか。ただ入口から水が入らぬようにするだけの設備に使う費用ですか。
  84. 江藤智

    ○江藤説明員 坑内に水の入らないための設備だけであります。
  85. 世耕弘一

    世耕委員 では簡単ですから重ねてお尋ねしますが、なぜ水の入らぬようにしなかつたか。専門家の調査した意見によりますと、あの関門トンネルは両方の入品を爆破すればふさがる。そうすれば簡単に水を防ぐことができた、それをそのままほつておいたじやないか、そうして一週間水づけにした、中心が水づけになるから線路が浮いて、中のコンクリートはやわらかくなる、あのトンネルはある期間に修理しなければ使えないという意見を私聞いておる。私どもしろうと考えで見ても、入口を俵で埋めたら、あるいは爆破して入口をぴしやつと埋めたら、あのトンネルに水が入らぬということが考えられる。それを一週間も十日間もそのまま水づけにしておるということは、すなわち怠慢であつたという非難が起つておるが、それの言い訳が立ちますか。
  86. 江藤智

    ○江藤説明員 御説明申し上げます。今度の豪雨によりまして、どういう状態であつたかと申しますと、わずか三日、四日の間に平常の月の降雨量の三倍くらいの雨が降つたのでございまして、しかも御承知のように、門司の裏山の土がすつかりくずれまして、非常な短時間の間に山津波のようになつて押し寄せて参つたのであります。記録から申しましても約一時間あるいは二時間程度の間に、九万トン近い水が押し寄せて来たというような実情でございまして、これは設計の当初からもまつたく予想し得なかつたような水でございます。しかも当初は土俵によりましてこれを防いだのも事実でございます。しかしそういう津波が押し寄せて参りまして、八十センチの壁が入口にまわしてあるわけですが、それを乗り越えましての滝ように入つて参りましたので、その間におきまして、たとえば今爆破というようなお話がございましたけれども、そういう瞬時に参にましたときに、そういう爆薬を仕掛けるというようなことも、事実不可能であることは確かでございます。またかりに爆破をいたしましたならば、一週間やそこらでそれを直すということはとうていできないことでございまして、技術的に申しまして、あの隧道の入口を爆破によつて水をとめるというようなことは、私といたしましては考えられないところであります。
  87. 世耕弘一

    世耕委員 これは技術上の問題であるから、私はこれ以上申し上げませんが、一週間以上線路を水づけにしておいたその損害ということを、どういうふうに考えられますか。入口を爆破して水を食いとめるのと、一週間水づけにしてトンネルの中のレールを浮かせ、そうして中の水圧によつてトンネルの中のコークリートがやわらかになるというようなこととは、しろうと考えでもわかる大きな問題であります。
  88. 江藤智

    ○江藤説明員 水が入りまして中のレールが浮いたなどということは全然ございません。また水が入りましたならば、むしろ水圧は内外で平均するわけでありますから、そのためにトンネルの構造に、特に水圧などのために悪い影響が起るというようなことはございません。
  89. 世耕弘一

    世耕委員 それでは何ゆえに一週間も汽車が通らなかつたのか。
  90. 江藤智

    ○江藤説明員 先ほど説明いたしましたように、いわゆる九万立方メーターの水が入りましたので、それをポンプでかい出すために時間を要したわけであります。
  91. 世耕弘一

    世耕委員 何インチのポンプで何本使いましたか。
  92. 江藤智

    ○江藤説明員 これはシンキングポンプという特殊のポンプと普通のポンプと、大体すえつけましたのは十五台、それからデリヴエリのインチは四インチから八インチのハイプ、延長にいたしますと約十五キロ、馬力数は二十五馬力から八十五馬力のものでございます。
  93. 世耕弘一

    世耕委員 操作を始めたのはいつからですか。それ以上のポン。フが、あの地方は炭鉱地帯であるからいくらでもあるはずである。もう少し早く操作が始められるはずである。いわゆる当局者の怠慢という非難が起きておるのはそこから来ておる。あなたの言うのは正常の水の出たときのことであつて、非常措置ということは考えられていない。この点はいかがですか。
  94. 江藤智

    ○江藤説明員 関門隧道水没の報を受けまして、即座に本庁といたしましても、日曜でございましたが、関係者全部役所に出まして、そうして先ほどお話いたしましたように、非常に深いところから上の方にくみ上げるポンプでありますから、それの収集にかかりまして、その日の夜発送いたしまして、二日目には現地に着いております。また現地のポンプを集めることにつきましても非常に努力いたしたのでありますが、何分にも九州の方は御承知のような水害を受けまして、それの輸送というようなことはとてもできないのであります。従いまして下関寄り、本州寄りの方で、宇部興産あるいは広島付近からも集めたのでありまして、九州の方からは国鉄で持つておりました志免鉱業所からポンプを運んだのでありますが、これを運び出しますのに五日ほどかかつておるような実情でございまして、あのときの状態といたしましては、本州寄りでポンプを集めざるを得なかつたというわけでございます。
  95. 世耕弘一

    世耕委員 時間がありませんから私はこれ以上お尋ねいたしませんが、地元の報告並びに現場を見た実例から申しましても、国鉄関係処置が怠慢であつた。もう少し危険を少くして、しかも交通をすみやかに開通し得る幾多の方法があつたということの報告を受けておりますから、いずれさらにわれわれはこまかい資料を持つて、また他の機会にお尋ねすることにいたします。
  96. 關内正一

    ○關内委員長 暫時休憩いたします。     午後一時五十一分休憩      —————・—————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕