○大月
説明員 ただいまの御質問ば非常にむずかしい問題でございまして、私からお答え申し上げるべき筋のものかどうか、あるいは御満足の行くお話にならないかと存ずるのでありますが、私の
承知いたしております限りについてお答え申し上げます。
まず第一に低
金利政策の問題でございますが、御存じのように現在
日本の
金利は、世界的な水準から比べまして相当高いことは事実でございます。これは根本的にはわが国に資本の蓄積が少いというところにあると思うのでありますが、これを終戦後どうかして下げたいというのが、金融
政策の基本的な考え方でございます。それでここ数年来そのことにつきまして一貫して努力して参
つて来ておるのですが、終戦後
金利が特に上りましたのは、やはりインフレ期におきまして、金融機関のコストが上つたことが第一番でございます。その当時の銀行の貸出し
金利の最高は、もちろん短期のものでございますが、二銭九厘
程度であつたかと思います。それが逐次努力いたして参りまして、現在の短期の
金利は、銀行におきまして二銭四厘を最高といたすということに
なつておりまして、これは臨時
金利調整法の
運用をも
つてや
つて参
つております。それは一般的な
金利でございますが、
金利高の原因は、何と申しましても資金の量が少いということにあると存じます。戦前と比較いたしますと、物価指数におきまして大体三百何十倍ということに
なつておるのでありますが、その物価指数でも
つて現在の預金の量を割
つてみますと、現在絶対数におきましては預金が三兆
ちよつと越すことに
なつております。それを物価指数で割
つて、戦前昭和十一年ごろと比較いたしてみますと、実質価値において四〇%という数字に
なつておるわけであります。御存じのように銀行のコストは、預金の
金利と人件費と物件費と税金、これだけの四つの要素があるわけでありますが、そのうちで預金の
金利は、
金利調整法によりまして、たとえば定期預金が半年五分とか、一年六分というふうにきま
つておりまして、それと普通預金その他を合せまし、現在三分四厘
程度に
なつておるわけであります。
〔松井(豊)
委員長代理退席、
委員
長着席〕
これは資本蓄積、
従つて預金をふやすというために逐次上げて来ております。預金の方の
金利は逐次上げるという態勢をと
つて、できるだけ金をたくさん集める、それによ
つてコストを下げる、こういう方策をと
つておるわけであります。しかし銀行のコスト全体を計算いたしますときには、預金が分母になりまして、現実に支出する経費が分子になるわけでございますので、実質価値が四〇%しかないということは、もし経費が同じであるといたしますれば二倍半のコスト、こういうことになりまして、それをまかなうためにやむを得ず貸出しの
金利が高く
なつている、これが
実情でございます。従いまして貸出し
金利を下げる根本の方策は、資金量の増大にある。そういう意味で、例の昭和二十四年の均衡
予算以来、インフレをとめ、それによ
つて資金を吸収するという方策をと
つて参
つております。そのために、税制面におきましては、御存じのように
一つは預金に対する課税でありますが、源泉、選択の制度を最初六〇%でございましたのを逐次下げて参りまして、現在五〇%、それを今度の
国会におきまして四〇%に下げるという
政府の案に
なつてお
つたのでございますが、この間の
修正案によりまして、源泉、選択でなくして、預金については源泉一本で一〇%にしよう、こういうお話がまとまりましたので、議員
提出としてその
法案が出る。その結果、預金に対する課税は格段に軽くなる、こういうことが予想されておるわけであります。それから少額の預金の吸収につきましては、貯蓄
組合につきまして十万円以下の預金はこれを非課税とする、こういう制度が一本と
つてございます。それから無記名預金の制度というのがございまして、御存じのように、預金者の心理といたしまして秘密性をたつとぶということから、預金者がだれであるかということがわからないようにするという方策といたしまして、個人の名前を出さなくても預金ができる。それに対しては税務
関係の調査を現実にしない、こういう
行政上の
措置をと
つておるわけであります。そういうようにいろいろ預金吸収の方策を講じた、結局資金量をふやすことによ
つてコネトを下げるというのが根本であります。それから経費を下げる方面といたしましては、銀行の人件費、物件費、午前中に御
説明申し上げました
通り、各種の冗費を省くような指導を現実にいたしております。それから店舗の問題がございましたが、これは全体におきまして約五千ばかり銀行の店舗がございますが、東京あたりで非常にはでで大きいという御批判はございますが、これは終戦後の経済情勢に応じまして、配置転換ということをやつた結果でございます。総数におきましては、終戦後店舗の数はむしろ減
つておる、こういう
関係でございまして、資金の多くあるところに多く店が出ておる、こういう
関係でございます。