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鈴木(仙)
委員 それではただいま申しました外ぼりの
埋立地に対するいろいろな
契約内容を
資料として
提出していたたくことと、今最後にあなたのおつしやいました
鉄道会館の設計費その他について、
鉄道会館からとるべきもののいろいろな計算書いうようなものを
資料として
提出を願うことによ
つて、
あとは
鉄道会館等調査小
委員会において、またわからないところを御懇切にお教えを賜わることにいたしまして、その点はこれで打切
つておきます。
そこで、実は法案の問題について
ちよつと
質問いたします。国有
鉄道法改正のうち、
国鉄が関連産業に投資することを自由にしようとする趣旨は、第二条、業務の第三である。その改正案の案文は、「
日本国有鉄道は、
運輸大臣の認可を受けてその業務に直接関連し、且つ、業務の運営に必要な事業に投資することができる。」とな
つている。かような改正によ
つて、国家の機関が民間企業へ自由自在に投資して、巨額の金を注ぎ込むことは、
国鉄の経営を、現在幾らか出て来た乱脈な
状態以上こ、ま
つたく手のつけられない、混乱
状態に落し込むことになると思います。むしろこの改正案とは逆に、
国鉄の経営には秋霜烈日な大改革を行い、腐敗した
国鉄官僚の私利私欲に終始している乱脈な
状態を全面的に断ち切
つて、本来の目的である国家国民の要求を満たす
輸送力増強本位の
鉄道事業、そしてはつきりした方角を与え、産業の発達に従
つて増大をする
旅客、
貨物の輸送要請量を満たして、完全に輸送することを
国鉄の義務としなければならない。駅第一主義から
輸送力第一主義へ方向転換をしていただきたいと思います。よ
つてこの改正案文を全文消除すべきであるとし、この投資行為の趣旨に私は反対をいたします。その反対の理由を
説明します。
第一に、
国鉄の目的は何かという点に立
つての反対であります。
国鉄は年間約一億六千万トンの
貨物を輸送し、年間三十六億人の
乗客を輸送しておるというが、その輸送
状態は決して満足すべきものではありません。
国鉄が復興したとか回復したとかい
つても、よい気持にな
つているのは
国鉄官僚ぐらいなもの、
列車の
乗客で満足に
座席をと
つてすわれるのは、特別二等車の
乗客のみである。三等
乗客に至
つては、きようの
旅行は席をとれるかとれないかが重大な関心事である。八重洲口に醜怪な事件が発生している。
東京駅においてさえ、長崎行きや鹿児島行きのような
長距離列車に、
東京駅から立ち離しで行く
乗客が一ぱいだ。乗るための行列は依然として解消できないありさまである。およそ
鉄道が
旅客を輸送する原則は、一人々々に
座席を提供するいわゆる
座席定員輸送である。この原則を目標として、
旅客の完全な
座席定員輸送を行うのが本来の
国鉄の目的である。この目的を
完成するために五年計画、十年計画を立て、夜を日に継いで努力をするのが
国鉄指導層の責任であり、義務であ
つて、それを
考えれば
赤字々々と称している
国鉄が、民間の関連産業に投資するようなさたではない。
国鉄は国民の財産である。国民を
座席定員輸送で運び、滞貨の山をつくることなく、貨車の回転率を上げ、完全に輸送をすることを目的とする全国民の公共の福祉と国家発展のための財産である。
国鉄官僚が金もうけ仕事をするために、寄
つてたか
つて食い散らす食いものではない。この
国鉄本来の目的と輸送
状態の前途にかんがみ、むしろ関連している外郭団体との
関係を断ち切
つて、いわゆるいもづる式な関連団体との腐れ縁をこの際はつきりと清算し、心から悔い改めて真人間に立ち返
つて、せつせと
旅客、
貨物を輸送する仕事に専念すべき段階である。外郭へ投資をして、
国鉄と民間との間に資本流通を生ぜしめるなどは、言語道断といわなければならない。
第二に、日本の
国鉄は日本の国の中でも
一般産業の復興に取残されていると同時に、世界列国の
鉄道輸送力から見ても、一番どんじりに取残されております。駅の建築物だけはむちやな装飾等で塗り立て、最近
品川駅では
タイル張り、
大理石みがきの
便所などもこさえておるが、全国にわたる
輸送力増張に至
つては、英国やフランスやアメリカにも及ばないばかりでなく、戦争によ
つてむちやくちやにな
つたあのドイツにも及ばない。そのドイツは東と西とに分割されているが、半分の西ドイツの
国鉄が、わが国の三倍の
車両を元気よく動かしているのを見ても、
外国が
鉄道に対してつぎ込んでいるまじめな努力を知るのである。西ドイツの
国鉄は二十二日の本
委員会でも簡単に触れたが、機関車一万五千台、客車三万六千台、貨車二十七万台を動かしている。これに対してわが国の
国鉄は、機関車五千四百台、客車一万一千台、貨車十万九千台でどれも西ドイツの三分の一である。西ドイツの人口は日本の半分であるから、わが国の
列車、電車は西ドイツの六倍混雑しているということになる。国民をすわらせない
鉄道は日本だけである。これによ
つて国民の不健康、国民精神の不歪曲、能率の低下は恐るべきもので、第二次大戦の敗北の原因も、
輸送力を貧弱にしておいた
国鉄官僚の負うべきところ大である。国民は英国の十分の一の貨車やフランスの三分の一しかない客車に満足することはできない。いわんや西ドイツの三分の一の
車両数で永久にほ
つたらかしにされ、そして
国鉄が外部へ投資するなどは、とうてい納得のできないゆえんである。列国の
鉄道との詳細な比較論は別の機会に譲るにしても、少くとも西ドイツが発揮している
鉄道輸送力と同程度の水準を回復するまでは、
国鉄はわき目も振らずに
輸送力増強の一遂に邁進すべきである。
第三に、
国鉄会計が外部投資によ
つて混乱して来ることを取上げたい。関連産業へ投資をすることにより、その持株の保管、市況の変動に応ずる操作、経営主体の移動、投資客体の盛衰、投資
関係の会計監査、投資を受けた産業の利益の分配など、引続いて起つ乗るいろいろな事態は、遂にはとめどがなくな
つて大混乱を招くことは火を見るよりも明らかである。
国鉄か投資をしても、その産業に対する拘束
関係がはつきりしていないから、別な事業を始められても拘束して監督するわけには行かない。わずか八%と称して二億円を投資をした
鉄道会館さえ、決算
委員会であれほど大問題にな
つている。これを改正案を通じて自由に投資する仕組みにしたら、何をしでかすかわかりません。以上の理由によ
つて私は本案に対して反対をしたいと思います。
それから第三条の改正案に反対をし、別に第五十三条
運輸大臣の監督事項に一項追加するように修正をしていただきたいと思います。
国鉄が今日のような乱脈な
状態とな
つたのは、いろいろな原因があるにしても、その
一つは
運輸大臣の監督事項が、現行法第五十三条に掲げられた三号だけで、
鉄道の内部では
車両を買わずに、ホテルを建てても、駅に金をかけても何をしても、か
つてにな
つていたからであります。よ
つて列車、電車を運転するために、資材
設備、すなわち
車両を買うとか、電化
工事を行うとか、機関庫、電車庫、零車庫を建てるとか、どうしても必要な
予算は一々
運輸大臣の認可を受けなくてもよいが、それ以外の、つまり
列車運転に要する不可欠の
経費のほかの資材施設を購入する
経費は、
運輸大臣の監督下に置かなければならない。これを第四号として追加するようにお願いしたい。修正案としてこれを追加したいと思います。
列車運転に要する不可欠の資材施設以外の一切の貸材施設の購入、建設の
経費を
運輸大臣の監督下に置く、これを
委員長にお願いしたいと思う。
さらに本法を修正したいと思う。現行法第三条の次に新たに輸送完遂の義務の条項を加える修正案を提案したいと思います。わが国の
国鉄は
旅客を
定員を超過して輸送しながら、駅舎や
鉄道会館に巨額の金をかけておる。そこに何の義務も責任もない。また
輸送力に関する基準もなければ目標もない。国家は時々刻々に発展をしているのだから、
国鉄も増大をする
旅客貨物に応じ
輸送力を
増強して、これを完全に輸送をする義務を負うべきである。完全に輸送をするとは、
旅客と通学通勤客を完全に着席をさせ、
貨物を遅滞なく輸送することをいうのであります。戦中戦後にわた
つて国鉄が国民を支配して、権力者のためには乗車制限をしたり、
貨物受託を停止したりしたが、乗車制限は憲法の移動の自由に違反をし、
貨物受託停止は憲法の経済活動の自由に違反をし、また客車、電車で
座席を提供しないことは、憲法の文化生活を営む自由に違反しておる。つまり
国鉄は憲法にも違反をし、
鉄道営業法にも違反をしておるわけである。よ
つて私は本法を修正したいと思う。輸送完遂の義務を第四条として挿入すべきことをこの際申し上げたい。
第四条
日本国有鉄道は前条に掲げる
鉄道事業及び附帯事業において、常に総合的輸送能力を増進し、
旅客に対しては必ず
座席または寝台を提供して、
車両及び船舶の
座席定員以内をも
つて輸送しなければならない。
貨物輸送については、
輸送力の不備不足を理由として、
貨物の受託を制限及び停止してはならない。かような
意見をこの際申し述べまして、討論のときに反対並びに修正を私はしたいと思います。
以上をも
つて、私は残余は調査小
委員会においていろいろお教え願いたいと思う。私の
質問はこれで
打切ります。