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1953-07-15 第16回国会 衆議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十五日(水曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君    理事 原   彪君 理事 楯 兼次郎君    理事 川島 金次君 理事 鈴木 仙八君       岡本 忠雄君    高橋圓三郎君       徳安 實藏君    南條 徳男君       山崎 岩男君    臼井 莊一君       岡部 得三君    正木  清君       熊本 虎三君    館  俊三君  出席政府委員         運輸政務次官  西村 英一君         運輸事務官         (自動車局長) 中村  豐君  委員外出席者         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 七月十四日  造船業助成等に関する請願大石ヨシエ君紹  介)(第三六四一号)  鳥山、道地間に国営自動車運輸開始請願(山  口好一紹介)(第三六四二号)  道路運送法の一部を改正する法律案の一部修正  に関する請願小山倉之助紹介)(第三六四  三号)  重井西港防波堤修築に関する請願岡本忠雄君  紹介)(第三六四六号)  都城市内国道十号線の鉄道橋拡張等に関する請  願(瀬戸山三男紹介)(第三六四七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三九号)     —————————————
  2. 關内正一

    ○關内委員長 これより会議を開きます。  道路運送法の一郎を改正する法律案を議題として、質疑を続けます。正木清君。
  3. 正木清

    正木委員 道路運送法改正案に関連して、簡潔に二、三の点をお伺いしたいと思うのでございます。すでに新聞紙上に大きく取上げられ、かつまた議会に対しても業者から強力なる陳情請願等が続けられております国際自動車会社が経営いたしております各官庁連絡バス、本員の想像するところではおそらく運輸省当局としては、特定免許を与えて、この役所関係連絡営業許可したものと想像いたしておるわけでございますが、この国際自動車会社許可を受けた営業のわくを越えて、一般乗客も料金をとつて運送しているという事実があるのでございます。こうした事実に対して運輸当局は、一体法精神の上に立つてどのような取締りをし、どのような監督をして来たかこの点をまず御答弁を願いたいと思うのであります。  第二に質問をいたします点は、われわれが業者から請願陳情を受けておるのでありますが、漏れ聞くところによると、国際自動車会社はすでにこの路線に対して、一般営業許可申請事務手続をとつているやに私は承知をいたしておるのでございます。これらの手続に対して、法の規定するところによつて運輸審議会等はおいても当然のことが審査されているものと想像いたしておりますし、運輸当局としても、これらの申請事務取扱いについて、すでに方針が確立されておらなければならないし、おるものと想像をいたすのでありますが、これらの諸点に対して特に運輸省自動車局としての方針を、当委員会において明確にされたい、これガ第二点でございます。  第三点は、われわれが受けた請願陳情の中では、都議会は各党派を越えて満場一致をもつて、この路線に対する権益は都にあるのであるということを主張いたしておりますが、この都側の主張に対する運輸当局法的見解いかんという点でございます。  第四番目に御質問いたしたい点は、過日の当院の議院運営委員会庶務小委員会等において、自動車局長も御出席のようでございましたが、漏れ聞くところによると、議院運営委員会庶務小委員会の議決をもつて、その内容形式は当然陳情要請形式ではありますけれども、国際自動車会社運輸省申請をいたしております特定免許から一般免許に切りかえ、そして一般乗客をも自由に営業できるような要請の方式がとられたということを聞いておりますが、そうした事柄に対して自動車局長は、議運の庶務小委員会においてわれわれ同僚の小委員からの質問意見等に対して、どのような見解をとつて答弁になられたか、その御答弁された内容等について承りたいと思います。
  4. 中村豐

    中村(豐)政府委員 ただいまお話国際自動車に対する運輸省及び陸運局監督模様でございますが、この免許は、お話のごとく官庁に勤務する人間ということに限られておる特定免許でございました。ところがそれが運転をしておるうちに、便利なものですから、一般乗客がそれを利用することになつたようでございます。その事態が非常にひどくなつたものでありますから、陸運局をして調べさせましたところ、条件に違反しておることが明らかになりましたので、昨年それをさしとめさせたのであります。その後の模様は別に違反の事実はないというふうに聞いております。  それからこの国際自動車一般免許に切りかえする申請を二十六年の十二月一日に出して来たのであります。ところが問題が非常に複雑かつ困難なので、現地において実情とか、利用必要性ということをいろいろ調査するのにひまどりまして、昨年に至つてようやくその調査書本省に提出して来ましたので、昨年の暮れに運輸審議会にその条件の可否を諮問したのであります。そうして本年の四月に至つて運輸審議会公聴会を開きまして、そして公聴会において知り得た事実等を基礎にして、目下研究中であるわけでございます。現在の進捗状況は、公聴会を終了しまして、その事実等に基いて目下運輸審議会及び運輸省両方において研究しておる、こういうわけでございます。なおこの手続の結末をつけるためには、運輸審議会から運輸大臣に対して意見答申がなければ進められませんから、形式的には運輸審議会答申を待つておるというかつこうでございます。  これに対する運輸省方針はいかんという御質問でございますが、運輸省だけでなく、運輸審議会考え方もまたいろいろあると思います。運輸省自動車局としての考え方につきましては、すでにたびたびこの委員会でも、鈴木委員初め皆様からの御質問があつたときにもいろいろ申し上げてありますが、結局現在は東京都が大部分の路線を持つておる。その不足した路線も新たに獲得して、同じような系統をつくりたいという申請東京都からも出ておりますので、いわば実質的には両者の競願のような形になつておりますので、いずれを可と認めるかということを検討しておるわけでございます。そこで今までこのようなバスが動いた当時の事情、その後これに対する都民の要望、その後の経営状態、それまでに払つてきた犠牲というようなものを勘案して、需要供給の面から見ていずれが妥当であり、あるいは二者を認めることが可能かどうかというような点も研究しておるわけでございます。  第三に、都会が決議をして国際に対する反対陳情を出しておる事実に対して、見解いかんというお話でありますが、これまた今申し上げた考えから対処したいと思います。ただその際に問題になつております交通調査法というものに対する見解でございますが、これは当時戦争前に交通調査法ができましたのは、主として東京都内における鉄道及び軌道の影響を緩和して、全体的な交通の混乱を防止し、交通事業の健全な発達をはかるためにでき上つた法律でございまして、それに基いて、すでに東京都の交通調整は一応完了したのであります。その方針に基いて東京都内は、電車及びバスは当時の東京市が統合する。国鉄、当時の鉄道省営電車はそのままに残しておく。地下鉄は帝都高速度交通営団というものを新設して、それに経営させる。周辺地区を当時の郊外電鉄会社、たしか四社に担当させるというふうに、ブロツクをわけて、統合地域をきめて、それに従つて買統収合を命令したのでございます。そのような方針ですでに東京都、当時の東京市の交通調整は完了したのでございます。交通調整法はそういう方針をきめた場合に、その方針を完全に遂行するためにどういう行政措置をとることができるかということをきめて、主務大臣たる当時の鉄道大臣及び内務大臣にその権限を与えた法律でございまして、そのような手段法律できめたものでございます。交通調整法そのものは、東京都に東京都内を独占させるということをきめていないのでございまして、東京都内をどういうふうな交通業者が担当するかは、これは法律には何ら規定がなく、法律以外の問題、あるいは法律以上の問題と申しますか、これは運輸大臣運輸交通政策大乗的見地からきめるべきものである。それに基いて調整を強行する場合にとるべき手段をうたつてあるのが、この交通調整法であると思うのでございます。しかもその場合に重要な処分については、交通調整審議会に付議しなければいけないとなつておりますが、その交通調整審議会は、総理府設置法に基いて審議会廃止の一連の政策に従いまして、すでに廃止されておるのであります。従つて重要な処分交通調整審議会の議に付さなければいけないという条文は、実は死んでしまつたわけでございます。そのように重要な手続について、すでに死文化したような法律でございますので、この法律は、生きてはいるけれども、いわば休んでおるといいますか、眠つておるような形になつておるのでございまして、これをどう処置するかは、実は今研究しておるわけでございます。これについては、鉄道省をうけた運輸省だけではなくて、昔の内務省を受けた建設省も所管省でありますので、関係のそのような官庁といろいろ相談をしておるわけでございます。まだ完全に息を吹き返したとも、完全に死んでしまつたとも言えない、宙ぶらりんのかつこうになつておることは、はなはだ適当でないような感じがするわけでございます。そこで都議会が主張するような、交通調整法に基いて、東京都内東京都がやるのだということは、今のような交通調整法自身の使命に限界が来ておるわけでございますから、全面的には受取れない。終戦後の交通政策の新しい観点から議するべきことであると思うのでございます。そうしてその新しい観点から、いずれに許すことが可であるかということを、目下研究しておるわけでございます。  最後に、議院運営委員会庶務小委員会に呼ばれまして、見解を聴取されたことは事実でございます。その際には同じような答弁を申し上げておきました。なおそのような問題を決定するのは、議院運営委員会仕事でありますか、運輸委員会仕事でありますか、私には何ともわからないのでございますが、運輸委員会においていろいろと御議論がある点も、議院運営委員会にはよく申し上げておきました。御質問の点に関する経過及び見解は以上の通りでございます。
  5. 正木清

    正木委員 ただいまの局長の御答弁で、今日までの経過等については大体了承いたしたわけでございますが、ただいまの御答弁でも明らかになりましたように、現在においてはこの交通調整法は、現実にすでに死文化したと見られるものであつて運輸省側としては、終戦後における今日の交通の各般の上から考慮した上、この問題の処理に当るというような御答弁であつたと思うのでございます。従つてたとい複雑であり、困難であろうとも、すでに審議会においてはその審議を終了いたしまして、運輸大臣に対する答申手続だけが、いまだ終了しておらないのであるというように私は承つたのでございますが、現実には各官庁間の連絡バスに、全国から陳情に上京して来ております人々が、これを利用することのできない不便は非常に大きいものであるということは、私どもとしても常識上判断がつくわけでございます。これが事実であるかどうかは、私確かめておらないのでございますが、われわれ国会議員も、このバス利用するためには、何らかの手続が必要なのでございましよう。何か回数券のようなものを入手しなければ乗れないということも私は聞いておるのであります。そこで今の局長の御答弁を私なりに想像してみますと、この国際バス許可することが妥当のようにも聞えるのでございますが、運輸当局としてのこの取扱い及び細部の方針は、一日も早く決定すべきではないか。この問題の解決を引延ばすことは、やがてこの問題の解決をより困難な方向に導いて行く結果になりはしないかと考えるのであります。もちろん最後決裁権運輸大臣にあるのでございますから、私はこの機会に少くとも運輸審議会審議終つて運輸大臣に対する答申手続だけが残つておるのでございますから、運輸大臣としても、この問題の取扱い方については、大体御方針が立つておるのではないかというふうに想像をいたすわけでございます。本日は当委員会大臣は御出席になつておりませんけれども、政務次官が御出席になつておられますから、政務次官から運輸省側としてのこの問題に対する方針等について、私は御所見をこの機会に承つておきたいと思います。
  6. 西村英一

    西村(英)政府委員 循環バスのことにつきましての詳しいお話は、自動車局長がいたした通りでございますが、なるべく早くこの問題について結論を出したらどうだというお話のように承りました。実は私はまだ循環バスのことにつきまして、詳しく省内でお話を承つておらないのでありますが、大体根本的な考え方を申しますと、現在特定免許とつたのであるけれども、非常に利用者が多い。利用者の便宜をはかつてはどうかというような、一方的な考え方もこれはもちろんあるのでありまして当然であります。しかしまた現在交通調整法がほとんど死文化されておるとはいえ、やはり消極的には交通秩序の、何と申しますか、おのおのの適正な受持の分野に対するある程度の消極的な役割はいたしておるのでありまして、便利だからどこでも、だれでも許していい、こういうものではないので、やはり秩序も相当に保つて行かなければならぬということも考えられるわけで、今まで運輸省といたしましても、また運輸審議会といたしましても、なかなか結論が出ないのであろうと思うのであります。しかし事柄がわかつた以上、なるベく利用者の便をはかり、適正な、間違わないような処分を早くいたしたい、かように思つておる次第でございます。
  7. 正木清

    正木委員 道路運送法の一部改正法律案がただいま審議をされておるわけでございますが、本員としてこの改正法律案に対する態度を決定するために、ひとつ参考までに局長から御所見を承つておきたいと思います事柄は、昭和二十七年の十二月二十七日付をもつて自動車局長名によつて陸運局長あてに、自動車運送事業免許取扱いについて通牒が出ておるのであります。そこでこの通牒骨子をなしますものは、一般区域貨物自動車運送事業世びに小型貨物自動車運送事業一般乗用旅客自動車運送事業については、車両数その他形式的な標準にとらわれることなく、実情に応ずるように考えて、出先局長行政処理について万遺憾のない処置を講ずるようにというのがこの通牒骨子だと私は心得ておるのでございまするが、この通牒が出まして後、今日に至るまでの間に、この通牒精神を生かして、全国出先陸運局長がはたしてこの通牒のように行政処置等において、その処置のよろしきを得たかどうか。全国的には、われわれの承知しておる限りにおいては、新たに免許申請をいたしました免許申請者に対して、今日まで種々の問題が起きてるやに承つておるのでございます。こうしたいろいろのことの耳に入りますことは、あるいは直相をうがつたことでなくして、この通牒精神通りに行つておるとは私想像いたすのでございますが、この点に関して現実ににどのように行政運営されておるか、その点について局長からの答弁をお願いいたしします。
  8. 中村豐

    中村(豐)政府委員 昨年暮れに出しました陸運局長あて通牒に基きまして、現地陸運局長小型トラツク乗用旅客及び本省権限になつております区域トラツクについて、形式的標準にとらわれることなく、地域実情に応じた免許処分現実にしておるのであります。特に小規模の、所有台数の少い業者に対しても、非常にたくさんの免許をしております。その実積は先日お手元に参考資料として御配付いたしたのでありますけれども、昨年十二月以後今日までというふうに、その期間を実は拾つてはございませんが、昨年の一月から本年の六月まで、少し通牒以前までを含めての約一年半の実績を申し上げますと、乗用旅客、つまりタクシーハイヤーにおいては、所有台数十台の事業者に対して新しく免許をした件数は二十六件、九両の業者に対して一件、八両の業者に対して八件、七両の業者に対して二件、六両が八件、五両が九十件、四両の業者に対して十九件、三両に対して百二丁九件、二両に対して百八十一件、一両に対して三十二件、合計十両以下の申請者に対して四百九十六件の免許をしております。そして新規免許のうちこのような十両以下の免許が、新規免許全部の八一%に上つておるわけでございます。また区域貨物及び小型貨物につきましては、同様に十両の申請者に対して二百十二件、九両に対して五十八件、八両に対して百一件、七両に対して八十五件、六両に対して五十九件、五両に対して二百四十一件、四両に対して百十三件、三両に対して二百六十八件、二両に対して百二十五件、一両の業者に対して百六十五件、合計十両以下の申請者に対して千四百二十七件も免許をしておるのでございまして、これは昨年の暮れにお約束して通牒した通り趣旨が、陸運局に徹底しておるものだと私は信じております。
  9. 正木清

    正木委員 ここで重ねてお伺いをしたいのでございますが、ただいま局長から資料に基いて御答弁がございましたように、参考資料として実は本員も頂戴をいたしておるわけでございます。昨年の一月から本年の六月末日に至る許可件数は、ただいま局長がこの資料に基いて御答弁になられたわけでございますが、そこで私は重ねてお尋ねをしたいと思うのでございまするが、二十六年の六月一日をもつて発行されました、この改正前の道路運送法精神というものは一体どこにあるのか、まず第一点にこれをお伺いしたいのです。  第二点にお尋ねしたいことは、一般乗用旅客車で、一台をもつて全国で三十二件の許可件数があるわけでございます。一体一台をもつて許可するという根拠は、この道路運送法のどこから出て来たのか、この点をお伺いをいたします。  特に強くお伺いをいたさなければなりません点は、区域貨物でございます。区域貨物に対して、やはり一台をもつて百六十五件を許可しておる。私は今日一般民間業者の諸君が、どうせある一定の台数を整えるならば、政府はこの法律に基いてすみやかに許可されるものと信じ、また当然営業できるものと信じて、全国の各陸運局許可申請書類が殺到しておることを想像いたしております。しかるに政府当局はこの道路運送法によつてあらゆる留保をして、この殺到して来ておる、われわれが常識的に考えるならば、当然許可さるべきものと思う申請に対しても、何年も経過しても許可されていないという実情を私は数多く知つておる。であるにもかかわらず、この配付された書類によると、旅客において一台をもつて三十二件が許可されており、区域貨物においては一台をもつて百六十五件が許可されておる。私は陸運局長通牒を出されたその行政処置に対しては敬意を払います。ある意味において私は感謝もします。けれどもが、この通牒精神が、この法の精神をはたして行政面で実際に移して、民の心を心として、現実行政を運用しておるとは私には想像しかねる。その理由は今配付されたこの資料によると、一台当りにおける許可件数があまりにも多いということでございます。特に私は、この一台を土台として許可した行政処置というものは行き過ぎである。これらに対する局長のこの法の精神の上から出て来る解釈と、それから行政処置に対する具体的な、明確な御所信を承りたいと思います。
  10. 中村豐

    中村(豐)政府委員 現行の道路運送法精神と申しますか、趣旨は、同法の第一条にある通りでございます。つまり道路運送事業の適正な運営及び公正な競争を確保するというのが、第一の大きなねらいでございます。あるいは道路運送に関する秩序を確立すること、これが第二の大きなねらいでございます。この二つによつて道路運送の総合的な発達をはかつて、公共の福祉を増進することが目的になつております。つまり事業の適正な運営、公正な競争、あわせて秩序の確立、この三つの点から考えますると、公正な競争ははからなければいけないけれども、どこにもかしこにも自由競争で業界の道路運送秩序を乱してはいけない、かように思うわけでありますので、第六条の免許基準では第三号に需要供給関係を強くうたつておるのでございます。その地域において輸送需要量に対して供給輸送力が超過しておるような場合には、免許をしなくてもよろしい。輸送需要量に対して供給輸送力の足りない場合だけ免許をするのだ、こういうふうになつておるのがその趣旨でございます。そこでそのような点を総合的に勘案しますと、一台でもどこにもかしこにも免許をするということはとるべきことではないのであります。一台というだけでなく、何台であろうとも、新規免許をどの地区にもするということがいいというわけではないのであります。そうして先般の通牒でもはつきりうたつてあります。ように、申請者資力信用及び経営能力が十分であり、旅客荷主を確実、円滑に把握して、事業成立見込みが確実である場合には、免許を与えることにやぶさかでないようにしろ、こういうように言つてあるのでありまして、事業成立見込みもなく、旅客荷主を獲得することについて、既存事業者と非常な相剋摩擦を起すような場合には、新規免許は困る。また申請者資力信用が十分でない場合には、新規免許は困るということをうたつてあるわけでございます。従いまして一台のような場合は、原則的にどこにも免許するというものではございません。その点は御趣旨通りでございます。ただ山間僻地とか、離れ小島といいますか、そういう場所で何も無理に二台以上持たなくても、一台で十分やつて行ける、一台でもそう毎日仕事がないようなところに対しても、二台や数台の保有を要求することは、これはいたずらに目標高くして実情に合いませんので、そのような地域に対して一台の新規免許を許しているわけでございます。従来はそのような地域は、その付近の中都市以上のところに既存事業者がありますから、そこから車をまわさせればいいということで、免許申請を押えていたのでありますが、先般来国会におけるいろいろの御審議もあり、そのようなところに対して付近都市から必要によつてタクシーハイヤーをまわすということでは、実情に合はない。やはりその地区には一台でもいいから、いざというときにすぐ役に立つ車を配置させた方がよいという意味から認めたのが、このような件数に当つているわけでございます。
  11. 正木清

    正木委員 重ねてお尋ねをしたいと思うのでございますが、私の質問の真意は、配付になりました資料に基いても、いろいろその地方々々の諸種の条件があつて、一台でも許可する場合があるという基本的なものの考え方には私は承服しがたい。やはり許可する場合には、少くとも最低二台は準備させなければならないと思う。山間僻地の辺鄙なところに行けば行くほば、御承知のように道路は非常に悪いし、従つて交通も困難でありますから、行政処置として車の台数いかんにかかわらず許可されるという御方針には賛成でございますが、一台をもつてしてただちに許可をするのだというこの行政処置には、私は賛成しがたい。ということは、そういう山間僻地であればあるほど、優秀な車の配車というものは想像できない。現実に経済がそれを許さない。従つて故障が非常に多いだろうということも想像に上せなければいけない、そこでこの法律精神からいうと、この交通事業というものはあくまでも一般国民福祉精神でなければならない。その一般国民福祉精神であるとするならば、少くとも最低は二台が許可標準でなければならないというように私は考えるが、これに対する局長見解をあらためてお伺いしたい。  それからもう一点、非常にこまかい質問になりますけれども、こういう行政処置をとられた。そのとられた処置に対しては私は賛意を表するのでございまするが、この旅客乗用車に対して二台、百八十一件、一台、三十二件、特に私はこの区域貨物自動車の二台、百二十五件、一台、百六十五件の許可区域地区等について、ただいまお手元に資料がございますならば、ここで御発表を願いたいと思うのでございます。かりになければ、あとで書類をもつて御提出方を委員長を通じて要請をいたしておきます。  次にお尋ねしたいことは、ただいま全国で正式に許可をされて税金を払つておりまする営業車が一体何万台あるのか、おそらく資料が出ておると思うのですが、見当りませんから重ねてお伺いするのです。それから自家用車と称する車がどれくらいあるのか。この自家用と称しておりながら、なおかつ現実には営業税をとられておる車が一体どれくらいあるのか、これを数字をもつてお示し願います。
  12. 中村豐

    中村(豐)政府委員 先ほど一台で免許しておるのは、山間僻地あるいは離島というようなところだと申しましたが、その通りでございます。そのほかに運送取扱い事業者が集荷、配達をするために小型トラツクを持つような場合には、これは一台で十分なものですから、そういうものには一台で許しております。その点だけ申し落しましたからつけ加えておきます。それから一台は最低限度を割つておる。少くとも二台であるべきだという御見解については、十分研究さしていただきたいと思います。それから二台以下で免許した数字をお示しいただきましたが、その場所はどこかという御質問、これはただいま手元に資料を持つておりませんので、後刻御連絡申し上げます。  なお営業者の数でありますが、一般路線貨物事業者の数は二十七年十二月で三百五十業者です。一般区域貨物自動車事業者の数が二十七年十二月で千三百四業者になつております。小型の事業者数は陸運局長にまかしてありますので、ただいま集計はできておりません。  それから車の数は、登録台数で二十八年三月現在で、トラツクの普通車の自家用が八万四百六十二台、官公署用が一万七千八百十五台、営業用が四万三千四百五台、国鉄が千二百七十四台、合計十四万二千九百五十六台でございます。小型トラツクの内訳は自家用が二十四万千五十一台、官公署用が一万百二十三台、営業用が二万二千八百五十二台合計二十七万四千二十六台でございまして、普通車、小型車の全部の合計が四十一万六千九百八十二台になつております。自家用のうち営業車と見られて税金をとられておるというものの数は、私どもの方ではわかりません。存じておりません。
  13. 正木清

    正木委員 重ねて局長にお伺いしますが、この配布になつ資料の中の一台、特に貨物、これははつきり言つてもらいたいと思うのですが、あなたの答弁の中で漸次明瞭になつて来たと私は思うのですが、これはことさらに山間僻地、離島等において特にこの通牒精神を生かして、許可した件数というものは非常に微々たるものであつて現実にはこの運送店が御承知のように集荷、配達をするために許可された件数の方が、はるかに多いのではありませんか。これはこの法の私どもの態度を決する場合に重要なポイントになりますので、この点だけは明確にしておいてもらいたいと思います。あなたの言うように、離島、山間僻地というと、実に国民の声をそのまま受入れて自動車局長中村さんは行政措置とつたように聞えるから、たいへんいいように聞えるが、現実はそうではない。私が今指摘したように、ここに許可件数の土台があるのではないか、こういうように思いますので、実は重ねて明確にしておいていただきたいと思います。  それから第二の私の質問した点ですが、これはやはり、自動車行政としては非常に重要なことなんであつて、あなたは法の第六条第三号の精神を盛んに言われて、この三号に該当しなければ許可はしないのだと言われますが、その許可をしないことが全国的に免廃の猛運動として現われて来ておるのでございまして、現実には自家用車と称するこの厖大な台数が、営業行為を平気でやつておる。一方では税金を払つて正式な許可をとつて営業をしたいが、法によつてなかなか許可にならない。やみ行為をやれば、ときたま陸運事務所が乗り出して行つて、そうして取締りというものを形式的にやる、そして営業停止を命ずる。一般民間人は背に腹はかえられないから、既設業者からナンバーと称する名義を借りて営業行為を平気でやつておる。あな方は知らないとおつしやるが、これは天下周知の事実なのだ。全国至るところでやつておる。あなたが聞きたければ私は率直に申し上げましよう。東京では、ナンバーを借りる名義料を月々どのくらい払つておるかということも、私は調査済みでございます。そうしたことが全国至るところで平気でやられているところを見ても、私は自動車行政が決して正しく行つておるとは思われない。そこで私のお尋ねしたい点は、あなたのとられた通牒及びこの改正法律に基いて、当然行政上その処置のよろしきを得れば、こういう世の中で現実に行われておる間違つた行政処置は漸次改正されるであろうし、是正されるであろうことを、あなたを信じ、運輸当局を信じて私はさように考えますけれども、現実に今やみ行為をやつておるやみトラツクの取締りを、あなたはどうするお考えであるか。現実にこのやみ行為を取締るお考えであるか。取締らないとするならば、この法律案は一片の死物化したものにすぎない。そういう政治は決して正しいものであるとは考えられない。そういう行政措置は許さるべきものとは私には考えられないが、どういう方法で取締りを厳重にする処置をあなたはおとりなさろうとするのか。その取締りをする場合の出先の役所は一体どこなのか。陸運事務所なのかどうか。かりに陸運事務所であるとするならば、現在の陸運事務所の機構、人員、予算をもつてして、はたしてやつて行けるのかどうか。あなたの答弁次第によつては、あなたの現に従事しておる運輸省の職員によつてつくられている職員組合の、特に陸運事務所関係から当議会に正式に請願された書類によつて、私は重ねて質問をいたす考えでございますが、特にこれらの点に対して、単なる答弁技術ではなく、真実のあなたの意見及び方針をこの際承つておきたいと思います。
  14. 中村豐

    中村(豐)政府委員 免許を与える資格があり、価値があるにかかわらず、免許を与えないために、もぐりの営業が横行したり、名義を借りるような事態を起さすことは、すみやかに直さなければいけないという理由で、昨年末の通牒を出した点は御了承を願いたいと思います。そこでそのようにして、いわば正当なる法に基いた営業をやろうとする方に対して道を開いたにかかわらず、その正道につかずに、やみ、もぐりをやろうとする方に対しては、取締りを励行しなければいけないと思うのであります。ただ今の名義借りの取締りということは、事実上は非常に困難でありまして、いかに役人が現地を調べ、業務監査をしましても、巧みに隠れてしまうのであります。そこで昨年東京においては、名義を借りておる者は陸運局長に申し出て、それが集まつて正しい形をつくるならば、免許をするというふうなことまで声明したのでありますけれども、そういう絶好のチヤンスをむだに逃がして、依然として車両所有者の運転手諸君が、名義人、つまり免許業者の陰に隠れてしまつて、そうしてその結果遂に搾取されて、いよいよどうにもしかたがなくなつて、手をあげて泣きついて来たような事例が幾つもあるのであります。何ゆえにそのときにはつきり堂々と申し出て、新しい道を開かなかつたのかと言つたのでありますけれども、何しろ親方がうるさいというので、この絶好のチヤンスをのがしたような者も非常にたくさんあるのでありまして、名義を借りなければやれないような不明朗な事態はぜひ解消したい思いますから、どんどんと申出をしていただきたい。そういう方がりつぱな形をつくれば、われわれとしてもできるだけ応援したい、かように思うわけでございます。そういうことをしても、なおかつもぐるような方は、これはまつたく法律違反でありますから、大いに取締りをしたいと思います。その取締りの衝に当る陸運事務所の定員、予算というものについては、いろいろ御心配をおかけして申訳ないのでありますが、非常に苦しい状態にあります。これについてはできるだけの努力はしておりますけれども、国全体の財政難の折から、できるだけ節約しなければいけませんが、またそういう大方針にも従わなければいけない。そのもとにおいて、与えられたわくの中で最大の能率を上げなければいけないというところに、実はわれわれの苦心があるのでありまして、そのために現場の諸君が非常に苦しんでおるということも、実は承知をしておるのであります。そこで与えられたわくをできるだけ大きくするように、予算その他においては最大の努力はしておりますが、それによつて決定された場合には、そのわく内で最も能率を上げる方法として、実は仕事の再配分ということと、定員の重点的配置ということをやつておるのであります。陸運事務所と本省との仕事の重複をできるだけ避けまして、同じ仕事に二重、三重の人手がいらぬようにすることをできるだけやつて、業務の簡素化による消極的に定員を生み出すことをやつております。また非常に忙しい事務所とそうでない事務所とに、繁閑おのずから差がありますので、それに従つて再配分をすることをやつておるのであります。そういうようなことでできるだけの努力をして、限られた定員、予算でもつて最大の能率を上げる。対象とするやみの状態は、免許がこういうふうな運用になつて参りますれば、大分かわつて来るということを実は期待しておりますので、そういう覚悟で対処したいと思います。
  15. 正木清

    正木委員 自家用車が現実営業行為をやつておること、従つてそのやつておる社会的な原因等について局長は十分お考えになつて、そうしてただいま答弁されましたわけですから、このことの真実が全国のこうした関係者に浸透さえすれば、私どもが非常に多忙の中で、連日多数の人々の陳情を受け、苦情を聞くこの免廃運動というものは、解消するのではないか。私は本日あなたの御答弁を聞いて非常にうれしく思いますし、これらの全国的に運動を起している人々が、あなたの真実の答弁を聞いたならば、非常に大きな希望と喜びを感ずるであろうと思うのでございます。  そこで私は重ねてお伺いをしたいのですが、小金をためて運転手が、一台の中古の車を買つて営業をしたいというのもありましようが、私の質問の重点はやはり貨物です。従つてこの貨物自動車の所有主は、運転手ではなくて、戦前には営業許可をとつて営業しておつた者で、戦時中に自動車の統合によつて整理統合をされた者が、この世の中の回復とにらみ合せて、戦前に営業をしておつたように営業したい。だが営業許可はとれない。陸運当局が考えておるような許可台数は経済力で持てない、大体こういう人々であろうと思うのでございます。そこで今あなたがおつしやつたように、これらの人々がある一定の台数を持ち寄つて、そこで協同組合法に基く事業協同組合をつくつたような場合に一体許可する方針なのか、それともそうした協同組合は許可の対象にはならないのか。たとえば車庫が整備されても、五台、十台集まつても、許可の対象にはならないで、やはり行政措置としては、会社を組織しなければ許可ができないのか。この点私は明確に、当委員会を通じて、これら悩んでおる人々に一つの希望を与えたい、こう存じますので、重ねて御答弁を願いたいと思うのでございます。  それから政務次官が御出席でございますから、特に私強く希望をいたすのでございますが、このたび新聞を見ますと、改進党と自由党の両政党の間で、予算修正に対する基本的な方針が一致したように承知しておるのでありますが、その中で行政関係をいきなり百意削つております。この百億のしわ寄せが、運輸省の場合に一体どこへ来るかということを私は私なりに想像いたしますと、一番しわ寄せのはなはだしいところはどこかというと、自動車局であることも大体私は想像がつくわけです。しからばその自動車局の中で一番しわ寄せが強く来るところはどこかというと、自動車局出先機関である陸運事務所に来るであろうということも想像つく。私は時間がかかりますから、われわれに請願された請願内容をここで申し上げませんけれども、一方でりつぱに税金を払つて、なおかつ赤字の連続なのが大体この自動車営業者の非常に多い姿であることは、当委員会において再々確認されておる。ところがただいま申し上げましたように、一方には自家用車と称して税金を払わないで、平気でもつて営業行為をやつて、そうして営業者を圧迫しておる。これも天下周知の事実であつて否定できない。しかも政治の建前から行けば、当然もぐり業者は徹底的に取締る反面、当然正当なる営業許可申請があつた者に対しては、営業許可を与えて、正々堂々営業させることとが政治なんです。しからばそれが実際に運用に当る役所は一体どうかというと、陸運局出先機関である陸運事務所には、満足な人員が配置されておらない。ほんとうに少い予算しか配付されておらない。満足に電話をかけることもできない。ましてや、現実に予算の配付から見ると、出張などということはおぼつかない。しかもそれがために非常に仕事の量がふえ、仕事が過重になつて東京管轄だけにおけるこうした役所の統計を見ると、結核患者が非常に多く出ておる。それは具体的出ておる。こういうことのないように、私は特に政務次官等においてはお考えを願いたい。これは政務次官に強く要望しておきます。まず局長からの答弁を願います。
  16. 中村豐

    中村(豐)政府委員 協同組合に対して免許するかという問題は、一概に申し上げられないと思います。ということは、協同組合ではたして責任態勢が一本になり、完全に責任を遂行できるかどうかについて、実は相当疑問があるのであります。各業種における協同組合の実績を見ても、まだまだ手放しで賛成しかねるのでありますから、その点は十分検討した上で、いいとも悪いとも言うのではなしに、実情に合してやりたいと思います。
  17. 西村英一

    西村(英)政府委員 今回の行政費の節約の影響につきましていろいろ御心配を願いまして、それが運輸行政の自動車の方にしわ寄せされるのではないかというような御心配でありますが、私もまた行政費の節約については一般的に心配をいたしております。自動車行政もやみ行為が防げないというようなことになりますれば、せつかくの法の精神もこれは没却されるわけでございますから、ここでそれ以上詳しいお話はできないわけでございますけれども、御注意を十分体しまして、努力するつもりでございます。
  18. 正木清

    正木委員 局長に重ねてお尋ねしますが、協同組合法に基く協合組合については、私は大体局長の御心配になる点を実は心配しておりますのですから、十分に御研究になられるとともに、その組合の内容等も責任を持つて、十分調査の上で行政措置をとらるるという局長のお考え方には、私は賛成でございます。従つて正式な法に基く会社組織によつて、今あなたの御指摘になつたような認可申請手続をとられた場合には、これは許可するという方針をここで再確認をしておきたいと思いますので、重ねて御答弁願いたいと思います。
  19. 中村豐

    中村(豐)政府委員 組合であつて内容がしつかりして、責任がはつきり遂行できるような場合には、十分考慮いたします。
  20. 正木清

    正木委員 重ねてお伺いしたいのですが、改正法によりますと、第六章の軽車両運送事業の第九十六条は削除になつておりますけれども、旧法によりますと、この軽車両事業は届出制が実施されておつたのでございます。この第九十六条の削除の根拠、それからもう一点は、軽車両に対する定義等についてお答えを願います。
  21. 中村豐

    中村(豐)政府委員 軽車両運送事業者の重要なことは、現在でもかわりはないのでありますけれども、資材その他がすべて自由になりました現在においては、できるだけ法律による規制は緩和したいものでありまして、届出という義務を課してする必要がなくなつたと認めたわけでございます。従つて事業者の方にも届出の義務をなくして便宜にすると同時に、役所側もそれを受理して整理する手数を省略させていただこうと思つて行政簡素化の趣旨から出ております。  軽車両運送事業の定義は、第二条にありますように、「他人の需要に応じ、軽車両を使用して有償で旅客又は貨物を運送する事業」というのであります。「軽車両とは、原動機付自転車及び軽車両をいう。」軽車両とは荷牛馬車、荷車、リヤカー、そりということでございます。
  22. 正木清

    正木委員 そこで私お尋ねをしたいのです。軽車両の定義は明確になつたわけですが、たとい荷牛馬車にいたしたといたしましても、将来のことはいざ知らず、運輸省が発行いたしておりまするもろもろの統計によりますと、全国的に見た場合には、貨物自動車よりも、現実にこれらの軽車両によつて運送されておる運送量の方が多いという事実を私は知つております。しかも法の命ずるところによつてその営業がなされておるわけでございまするが、一体その軽車両の運送料金は、認可制度になつておるのか、それとも自由料金になつておるのか、その点をお伺いいたします。
  23. 中村豐

    中村(豐)政府委員 現在は届出になつておりまするけれども、この条文を削除することによつて自由になります。
  24. 正木清

    正木委員 私は重ねてお尋ねをしたいのでございまするが、大都市の場合には荷牛馬車というようなものは実際過去のものでございまして、皆さんには目にとまりません。しかし一たび地方へ参りますと、この荷牛馬車が現在でも物の運送の中心をなしておることだけは間遠いがございません。局長も御承知のように、私は二十年間これらの団体の理事長を勤め、会長を勤めて来たのでございまするが、私の経験の上から率直に申し上げて、これらの荷牛馬車の従来の届出制を廃止して、陸運事務所なり各地方庁の監督の外に出してしまつて、今度はさらにこれの小運送料金を自由にしてしまつて、はたしてそれで陸運行政から見て、国民の福祉増進と、鉄道の大輸送の最後機関としての小運送というものが完全に行くとあなたは考えておられるかどうか、この点をお伺いしたいと思うのです。ということは、現実に地方へ参りますと、陸運事務所等に対する苦情というものは、毎日相当の件数に上つておるわけです。一般国民、一般需要者は、やはりトラツクと同じような考え方を持つておるわけです。たとえば引越荷物は荷牛車一台が何キロで幾ら、石炭一トンの小輸送は何キロで幾ら、こう考えておる。とろがこの修正法律案によると、運搬料金も自由だ、営業行為も自由だ、こういうことになりますと、一体それらの問題の解決をどうするのか。あなたの御答弁では、三十二條の第一項及び九十條の第一項から第四項までの規定ですか、それによつてこういうものを取締るのだ、こうおつしやられるかもしれませんけれども、この取締りそのものが地方庁においては徹底されておらない。現実にそのことが実施されておらない。一切あげてこの苦情は陸運事務所に来ておるわけです。これは北海道の例でございまするが、北海道においては各陸運事務所が中心になりまして、これらの軽車両の諸君の指導、監督を徹底的にやつております。そのことによつて業績が非常に上つております。その上つておるという事実をあなたは否定されて、新法からこれらの届出制を除外された。このことが私にはどうしても理解に苦しむので、重ねてこの点明確に御答弁を願いたいと思います。
  25. 中村豐

    中村(豐)政府委員 現在は事業開始も届出であれば、運賃も届出でございますが、届出というのは、御承知のごとく届け出ればいいのであつて、役所側にただそれを受理するだけでございまして、決してそれでもつて荷主を規制するとか何とかいうことでございませあ。ただ何台の数があり、何人の業者があるという統計なるだけのことでございます。従つて運賃の届出は現在ありますけれども、これは自由運賃と何らかわりありません。戦争中及び終戦しばらくは物価統制令がありまして、それによつて運賃は他の物価と同様に統制されていただけでありまして、運輸行政としては軽車両の運賃は統制をとつていないわけでございます。その状態は前とちつともかわつていないので、今度かえたわけではございません。
  26. 正木清

    正木委員 法律的には局長の御答弁通りでございます。しかし現実行政面になりますと、あなたの御答弁は食い違いが来るわけです。というのは、御承知のように全国鉄道の駅には運送店がございます。この運送店に雇われております荷牛馬車は御承知心のように大臣の認可料金によつて運送店は配達もし、集荷もするわけであります。運送店で営業をいたしておりまするものは、大臣の認可を受けた認可料金のわくの中で物を運び、物を集荷するわけでございます。ところが一方、運送店の外に出て地場小運送に従事しておりまする何十万台という全国の荷牛馬車は、この改正案によると、全部解放して自由営業にしてしまう、料金も自由にしてしまう。ここに問題が現実に出ておるわけです。そこで私は全国的なことはわかりませんから、北海道だけの例をとりますと、北海道の陸運局では、法律的にはあなたのおつしやつた通りではあるが、現実行政面においてはさようではないのであります。鉄道の小運送料金と、この地場小運送の料金とが常に平均化され、そこにあまり差のないように、それらの諸君がつくつておりまする団体の指導よろしきを得て、並行線を今保つておるわけです。もしこの法律案によつて一切が自由になつた場合、どういう現象が現われて来るかというと、北海道に関する限りでございまするが、不正行為をやつた業者を取締ろうと思つても、なかなか現実には取締られない。これが一点、それから小運送料金の非常にはげしい競争が出て来ることだけは、想像にかたくないのであります。非常にはげしい競争が出て来ることが想像される。そういうことがはたして行政簡素化という建前から、これらの届出制なり認可料金制度を全部はずすことが、大きく見た陸運行政として、一体正しいかどうかということは、相当研究の余地があるというように、私は二十年間の経験から考える。これに対して重ねて局長から御答弁をいただいておきたいと思います。
  27. 中村豐

    中村(豐)政府委員 たびたび申しますように、この現行の道路運送法昭和二十六年につくつたとき、またその前の道路運送法昭和二十三年につくつたときにも、軽車両運送事業の運賃は届出であつて法律的には自由であつたのであります。何ら統制はございませんで、ただその届出をやめるということにしただけですから、法律効果は何もかわつていないのでございます。駅に出入りする貨物の統制はとられております。これは通運事業法に基く集荷配達運賃料金ですから、小運搬によらない取扱料をとられるのでありまして、その限りではぜひ統制をとつておく必要があるのであります。この点は一般地場に関しては、終戦後物価統制令が廃止されたときから統制はなくなつたわけで、今度かえたわけではありません。それから今度かえるについては、陸運関係の業界に種々意見を聞き合わしたのでございますが、どこからも、小運搬の運賃を統制下に置けという要望は全然出ておりませんので、実は今回も取上げなかつた次第であります。
  28. 正木清

    正木委員 最後お尋ねをいたしますが、運輸省監督のもとに国鉄が自動車事業をやつておるわけですが、これに対して民間業界からは、この国鉄の自動車営業行為に対して、いろいろな非難、従つて陳情請願等を私どもは受けておるわけでございます。私個人の考え方からすれば、国鉄が非常な犠牲を払つて、公共企業体の精神を生かして新路線を開拓して、地方の住民の福祉のために非常な努力をされておるというように考えておる。しかし一方民間事業者から言わせれば、今の国鉄の営業行為に対して、相当強い非難等が出ておるようでございますが、一体国鉄の自動車営業に対して、陸運局としては今後どういう方針で進んで行かれるのか。さらに新路線に対して民間と国鉄が競願しておるところが、この配付を受けた資料を見ますと、相当数あるようでございますが、これらに対して、一体どういう方針をとつておるのか。これは自動車局長並びに政務次官から御答弁伺いたいと思います。
  29. 中村豐

    中村(豐)政府委員 たびたび申し上げてありますように、国鉄自動車には、法律上その性格に制限がございます。国有鉄道に関連する自動車運送事業ということになつておりますので、その性格に合うような路線しか経営できないのであります。競願になりました場合には、これまたたびたび申してありますように、すでにそこに民営にしろ私営にしろ、事業者がある場合には、その立場を十分に尊重して、サービス、責任、義務の遂行について遺憾がなければ、その既存事業者だけでよろしい、国鉄を認める必要はないという考えでございます。またかりに現在において多少不十分なところがありましても、改正する余地が十分にあるならば、かすに時日をもつてして、その事業の改善をはからせたいという考えでございまして、いずれにも該当しない場合に、初めて国鉄自動車を認めるのがいいのじやないか、かように思うわけでございます。但し既存事業者と国鉄との間に相互乗り入れ、その他の運輸協定がついた場合には、これは合意の上ですから、できるだけ認めて行きたいと思つております。
  30. 西村英一

    西村(英)政府委員 私にもというお話でございますが、従来まで取来つたやり方は、ただいま自動車局長が申し上げた通りでございます。但し今後どういうふうに持つて行くかということにつきましては、やはりいろいろ研究する場面もあるだろうと思います。今ここで一言にどうするということは言えませんが、皆様方のお知恵を拝借いたしまして、今後の問題は十分考えて行きたい。従来取来つた方針は、ただいま局長の申した通りでございます。
  31. 正木清

    正木委員 私の質問は終ります。
  32. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 二、三点お尋ね申し上げたいと思います。第四十三条と百二条の行政処分の問題でございますが、ここには六箇月間の車両の使用停止を認めるということになつております。六箇月間の車両の使用停止などということになりますと、経済界の変動で業者が非常な打撃を受けることがあるわけなんです。行政処分といえども、業者の立つて行く道をも考えながら、また禁止をすることが必要な場合もあろうし、あるいは懲戒することが必要な場合もあろうと思うの。ありますが、六箇月間というのは長きに失するという考え方を持つているのでございますが、この点いかがでございましようか。
  33. 中村豐

    中村(豐)政府委員 六箇月というのは以内でございまして、普通の場合は、たいてい十日とか二週間とかいう程度でやつております。ただ六箇月と書きましたのは、取消しとまでは行かないが、相当情状の重い場合に六箇月としたわけで、取消しの一歩手前というのでこういうふうに長くなつております。普通は一週間ぐらいでやつております。
  34. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 使用停止の四十三條の二でございますが、これによりますと使用停止をした上で、さらにその車両検査証や、あるいは登録番号標をも取上げるということがあるわけです。これは多少行き過ぎではなかろうかと考えます。と申しますのは、一旦使用停止あるいは営業停止をやつておりまする以上は、その車は使えないことになつておるわけであります。しかしながら車両の検査証というものは、合格をしたことを表示するものなんです。また登録番号標も、それが登録という一つの戸籍簿に載ることであつて、車の所在を表わすものである。この両方を取上げるということは、多少行き過ぎではなかろうかと思うのですが、この点いかがですか。
  35. 中村豐

    中村(豐)政府委員 今までは違反者を罰しただけでありましたが、そうするとその車を違反者側は名義をかえて、同じ仲間の名前で登録してしまうと使えたわけでございます。そのような抜け穴がありましたので、それではせつかくの行政処分趣旨が徹底できないものでありますから、名義をかえることができないように、このような措置をしたわけでございます。これは自家用の取締りだけではなしに、営業車トラツクの場合も同じように取締るわけでございます。
  36. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 先ほど正木委員から質問がございましたが、ただいまの国鉄のバス関係と民間バス関係でありますが、これは本法律案におきましても百二十五条の二でございますが、自動車運送相互の調整をはかることが、運輸大臣権限になつておるわけなのでございます。この点から考えてみましても、地方における国鉄バスの運行方に対する請願は非常に多い。これは当委員会に対しましても、請願書として正式に提案されまして、審議をいただいておるという例が非常に多いのであります。おそらく百件を下らないと思う。この問題はぜひ解決してもらわなければならない。自動車局長中村さんは、自動車行政にはたいへん御熱心であられるのでございますが、民営の方の声に脅かされまして、国鉄バスの認可に対しましては非常に消極的であり、むしろおじけをふるつておるようにも見える。それではいけない。ただいまの国鉄の経営の面から言いましても、私どもはこの間鉄道敷設法の一部改正をやりまして、予定線に十三線を加え、また予定線として法規に載つておりますものは別表に百五十線もあるのであります。これはローカル線として当然通してもらわなければならない。ところが国鉄にとりまして大きな脅威は何かと申しますと、バス事業発達なのです。このバス事業発達のために、国鉄の方面は非常に大きな打撃を受けておる。またこのごろにおきましては空運の点からいいましても、飛行機の発達によつて、これまた鉄道は非常な打撃を受けておる。正木君も北海道の札幌の方ですから、お帰りなさる時分にはいろいろ連絡船を利用したり、あるいは国鉄を利用しておられるでしよう。私もたびたび連絡船に乗るのでありますが、このごろ飛行機のために圧迫を受けまして、連絡船の一等船客というものはほとんどない。これは非常にいろいろな点において考えさせられるものがあるのです。これは国鉄としても、一方においてはローカル線を設けて、鉄道の敷設をやらなければならない。しかもそれが独立採算の立場から言うならば赤字である。ほとんどもうこれは欠損だということを見越しておるにもかかわらず、公共の福祉増進のためにやむを得ずして、国有鉄道の本然の性格にかんがみてやつておるわけなんです。しかし当委員会としてはこういう点についても、いろいろ研究して行かなければならないのです。国鉄バスの運行というものは、一方鉄道自体の赤字に対しまして、大きな役割を果していると思う。鉄道自体においてハスのために非常な圧迫を受けておるのを、国鉄バスの運行によつて補填をしている事例がたくさんあると思う。これは国鉄としても相当考えて行かなければならぬのです。そこでこれは民間のバス発達もはからなければならぬし、また国鉄自体の行き方についても、われわれとしては考慮を払つて行かなければならないのでありまするが、運輸省当局としてこの点については根本策を立てられる必要があると思う。その根本策については先ほど西村政務次官もお答えになつたのでありますが、政務次官はこの運輸行政の方のエキスパートであられますから、十分この点について案を立てられて、日本の運輸行政の上から国鉄バス運営と運行と、それに民間バス調整、この百二十五条の二が私それに該当すると思うのでありますから、どうかこの機会に根本方針を立てられるように私は要望したいのであります。その答弁はいりません。
  37. 關内正一

    ○關内委員長 熊本虎三君。
  38. 熊本虎三

    ○熊本委員 先ほどからお急ぎのようでありますから、できるだけ簡単に二、三お尋ねしたいのであります。一番最初にお尋ねしたいことは、法の第三条の二項の四、いわゆる積合貨物という字句、その他にも出ておりますが、この積合貨物というものは、たとえばどういうものかを御説明願いたい。
  39. 中村豐

    中村(豐)政府委員 これは小口の貨物の積合せで、一軍にまとめて運ぶような、小口の貨物というわけでございます。
  40. 熊本虎三

    ○熊本委員 それから許可の種類に特免というのがあります。それからまた最近は貨物制限ということで、鉄なら鉄、セメントならセメントというふうに、特定物は指定して許可をされるようでありますが、こういうような関連性は私どもははなはだ複雑で妥当でないと思うのですが、積合せあるいは特免あるいは貨物制限と、こういうようないろいろの複雑多岐にわたるものがありますが、それはどういうわけでそうしなければならないか、ちよつと御説明願いたいと思う。
  41. 中村豐

    中村(豐)政府委員 特免というのは第三条第三項に定義がありますが、特定のものの需要に応ずるということがその絶対要件であります。それから限定というのは、特定のものではないけれども、運送の需要者または旅客、貨物その他業務の範囲を限定して行うというわけで、おのずからそこに差ははつきりあるわけであります。
  42. 熊本虎三

    ○熊本委員 特定はある特定会社の、需要者の特別必要に応じて下請するわけでありますが、そうでない一般の営業者に貨物によつて制限する、鉄なら鉄しかやれない、それからセメントならセメントしかやれないということは、特免の場合と違つてはなはだ不穏当だと思うのですが、それはどういうふうに、やはり将来もやられるつもりかどうか。
  43. 中村豐

    中村(豐)政府委員 そういう申請があるので、その御希望に沿つているわけです。
  44. 熊本虎三

    ○熊本委員 申請者が特にそう希望せられれば、それを運輸省の方で特に制約される御意思はないと承つてよろしゆうございますか。
  45. 中村豐

    中村(豐)政府委員 制約する意思はありませんが、そうなると一般免許免許基準従つて審査をすることになります。
  46. 熊本虎三

    ○熊本委員 ただいまの答弁は記録してもらえばけつこうです。  それから次にお尋ねしたいのは、第六条の一号と二号との関係ですが、これは一号に「当該事業の開始が輸送需要に対し適切なものであること。」こう書いてありますが、その次二号といたしまして「路線又は事業区域に係る供給輸送力」こういうふうに明示されておるわけでありますが、これは一号と二号と何かダブつておるのじやないか。私はしろうとだからかもわかりませんが、その第一号でも含まれておると思うし、あるいは明示されるならば、第二号だけでよいのではないかと思うのです。その点ちよつと御説明願いたい。
  47. 中村豐

    中村(豐)政府委員 第一号は、輸送需請に対する性質が適切であるかどうかという質的と検討であります。第二号は、輸送の需要供給との数量的な均衡がどうなつておるかという、数的な研究であります。
  48. 熊本虎三

    ○熊本委員 そうすると、この一号と二号との関連において、特に従来あつたように申請許可に対するりくつをつけて複雑化するという、何かその制約の意味で重ねられたものではない、こういうわけでよろしゆうございますか。
  49. 中村豐

    中村(豐)政府委員 現行法と同様でございます。
  50. 熊本虎三

    ○熊本委員 次にお伺いをいたします。それは先ほど正木君の質問で、交通調整法が死文化しておる。従つてこれに拘泥するのではなくて、新たに戦後の諸情勢によつてやるのだ、こういうような御答弁があつたようでありまするなるほど交通調整法は、戦時交通対策として急遽やられたものでありますから、必ずしも調整法に盛られておる幾多の諸条件が、戦後の今日においてことごとくが妥当であるとは考えられません。しかしながら、たとえば東京都の問題等も引例されたようでありますが、東京都のごときは、私当時東京の議会に席を有しまして、あの交通調整法従つて東京都が行うところの交通行政に関しては、万難を排してあの法律に従つたわけです。そうしてこれが統合についても、非常な困難の中にもその法律の存する意義を体してこれをやつたわけでありますが、それが今日では情勢がかわつたというので、これらのことを勘案することなく、これを死文化されるということになりますと、問題は幾多の暗礁に乗り上げるような、また公共企業として、はなはだ迷惑するようなことが出て来はしないか、かように考えますが、それらの点について御答弁を願いたいと思います。
  51. 中村豐

    中村(豐)政府委員 先ほど私申し上げましたが、交通調整法交通調整方針をきめた場合に、どのような手段をとることができるかをきめてある技術的な立法であります。どのような方針手段をとるかは、そのときどきによつてきまることだと思うわけであります。
  52. 熊本虎三

    ○熊本委員 なるほどその通りでありまして、具体的な問題は委員会等によつて折衝し、これを実現したわけであります。従つてその実現の過程において、幾多の事情があつたことを見のがしてはならない。だから今度はその事情を無視して、新情勢だということで一方的に運輸省が裁断をされるということは、単なる営利事業でない限り、これはよほど考慮していただかなければならないのじやないか、かように考えておるわけです。
  53. 中村豐

    中村(豐)政府委員 新情勢において十分に考慮研究したいと存じます。
  54. 熊本虎三

    ○熊本委員 もう一つ聞いておきたいことは、先ほど国鉄路線について非常に同感の意を表されて、私も賛成でありますが、運輸省方針としまして、たとえば利益追求の営利資本にあらざ台公共団体が行うところのこれらの許可申請に対して、一般営利資本の交通事業に関する許可のウエイトには、相当の考慮が必要であると考えるわけでありますが、これらの点について現在東京都では非常に泣言を言うておるところがたくさんございます。こういう点について運輸省当局の、私営事業と公共体の行う事業との上に、いずれを優先するかということついて、基本的な問題を一応承つておきたい、かように存じます。
  55. 中村豐

    中村(豐)政府委員 公営であろうと民営であろうと、何ら差をつけて考えておりません。どちらを優先に考えるという考えは持つておりません。
  56. 熊本虎三

    ○熊本委員 それでははなはだおかしいと私は思います。この許可、認可の制度についても、運輸当局の言われる根拠は、やはり公益性を優先して、その上から許可、認可制をつかさどつておるのだ、こういうふうに御答弁なつたと思います。私はその際も、すでに貨物輸送のごときは統制の必要はないではないかという質問をしたときに、相当公益性がある。だからして野放しにはできない、こういうお答えを何回か聞いております。従つてこうしたような交通輸送の関係においては、何をおいても営利会社を同一にするということではなしに、公共性を有したるものに優先するという考え方が、運輸省にあつてしかるべきだと考える。それを同一列にして、他のこの条令に基くものによつてのみ所管するという考え方は、私は納得できないのでありますが、もう一回御答弁を願いたい。
  57. 中村豐

    中村(豐)政府委員 公共性があると認識しますので、この道路運送法によつて非常にたくさんの義務と責任を負わさしております。この条文の約三分の一は、義務と責任を負わさす規定であります。従つてそれによつて民営事業でも、公共性のある事業になり切ることはできるのでありますから、公営と同じように扱う、こういうことを申し上げてあるわけであります。
  58. 熊本虎三

    ○熊本委員 観念の整理をしていただきたいのは、民間事業は何が何でも利益追求であります。利益なくして経営される心配は絶対にございません。公共団体がこれを行う場合は、たとえば今日の国鉄が大なき犠牲を払つて新線開発をやつていると同じように、場合によつては公共性を優先して、採算を度外視するというような形において経営していることは、あなたも御承知通りである。それをあなた方の面からいえば、そうではなくして、諸条件さえ備われば公営企業としての利益追求の企業体であろうとなかろうと、それを同一にするというりくつは、どうしても承服するわけには行かぬのでありますが、もう一度御答弁を願いたい。
  59. 中村豐

    中村(豐)政府委員 この法律で運賃は適正な原価をまかない、かつ適正な利潤を含むものであるということを明確にうたつてありまして、適正な利潤は当然のこととして認めておるのであります。それはもちろん私営に対しても同様でございます。そこで公営は公営企業法という法律の第一条で、独立採算をはつきり要求されております。従つて公営事業はたびたび適正な利潤をあげられるようにという、運賃の値上げ申請が各所に起つておりまして、それを妥当なる線で認めているのでございます。そのような見地から同様に扱つておりますし、同様の性格であると思つております。
  60. 熊本虎三

    ○熊本委員 公益性があるといつても、国鉄も同じように独立採算制を確立しろということは、あなたから伺わなくてもわかつている。しかしながら私営は独立採算の上にプラス利潤というものがつくのであります。しかしながら独立採算制を要求して、賃金改訂等の申請を受けても、公営企業体は利潤の追求はない。この点を明確にしておかなければならない。従つて法文上の処置として、ごらんの通り一貫された道路運送法があるのでありますから、事務官としての中村局長答弁ができないかもしれないが、幸い政務次官が見えておられますから、私の考えが違つているかどうか御答弁願いた
  61. 西村英一

    西村(英)政府委員 交通機関の認可の場合には、やはり利用者の便をはかるということでありまして、その場合に公共的な地方公共団体へ許した方が便利であるというような場合には、もちろんそれをとります。今あなたの順位をつけてくれということは、すぐ一、二とつけるわけには行かないということを申しておるのでありますから、そういう、たとえば地方公共団体、都市等でやる場合には、その都市内の住民のことを考えてやられる場合には、それはどつちも対等だと言えないのでありまして、やはり、一、二はつけられぬ、やはり利用者の便を考えて、そのときに臨んでやりたい、かように申しておるわけでありますから、その辺で御了承を願いたいと思います。
  62. 關内正一

    ○關内委員長 これにで本案に対する質疑は終了いたしました。  これより討論に入ります。通告があります、楯兼次郎君。
  63. 楯兼次郎

    ○楯委員 数日来本問題についての質疑が行われましたが、質疑というより私は討論の意味の方が多かつたというふうに考えております。なおこれを拝聴いたしておりますわれわれは、議論をすればするほど疑惑が高まつて来たというように考えておるわけでありまするが、こまかい面は別といたしまして、なぜそのような議論になつて来たかといいますと、本法案を実施するにきわめて困難性があるという点が第一にあげられると思います。次に私たちが大まかに考えまする点は、本法律案を実施するに必要な機構の整備ができておらない。それを一例をもつて申し上げますと、現在日本全国にわたりましていろいろなやみ輸送が行われておる。これを的確に取締つて行かなくてはならないのでありまするが、これを取締る陸運局であるとか、あるいは陸運事務所等の人員が、きわめて不足をしておるというような点が考えられます。なお本法の条文でありますが、六条とか、あるいは二十四条できわめてあいまいな文句が使つてありまして、特に二十四条は数日来論議の対象になつたのでありまするが、法律案としてはこんなことをきめていいのであろうかというようなことまでうたつてあるわけであります。こういうように考えて参りますると、われわれ社会党といたしましては賛成しかねるという感じがわいて参るわけでありますが、また一面、本法律案改正をされた方がいいか、あるいはされない方がいいかということになりますると、やはり改正された方がいいであろうというように考えまするので、最終的には賛成をするものであるわけでありますが、以上のような点から考えまして、どうしても困難な法律案を実施して行き、成果を上げるためには、これを運用するところの人の妙味が発揮されなくてはならないというふうに考えるわけであります。この点われわれが信頼をいたしておりまする運輸当局は、きわめてうまくこの法案を今後運用して行くであろうというふうに考えまするので、どうか公正、妥当な立場に立つて、本法案の成果が上るように運用をしていただきたいと思います。  特にこの際強調しておきたいと思いますのは、相当な弊害を生んでおりましたところの道路運送審議会の問題でありまするが、協議会というような名称にかわつたわけであります。この協議会の委員の選任にあたつては、どうか公正なる委員を選出されまして、以後従来にあつたような弊害の起らないよう運営をしていただきたいということをくれぐれもお願いいたしまして、社会党といたしまして賛成をいたす討論を終ります。
  64. 關内正一

    ○關内委員長 態本虎三君。
  65. 熊本虎三

    ○熊本委員 本改正案はこの前の十五国会当時から非常に問題になりまして、そうして議員提出としての改正案委員会を通過して、その趣旨が織り込まれての改正案でございますから、最終的には当然賛成であることは言うまでもありません。ただ申し上げておきたいことは、従来十五国会に起きたような大問題が突発いたしまするゆえんは、過去において運輸当局がこの問題に対する対策に対して、はなはだ非科学的である。そうしてこの問題に対する適当なる処置をとることに怠慢であるということは、どうしてものがれることができないと存じます。今日のこの改正案は、従前のものからすればわれわれの希望が相当入れられておるのでありますから、今までのようなことがないとは存じますが、しかしながらまだまだこの問題の完全処理の上には、こういう改正をしたということによつて完全ではないということだけは、当局において十分考えておいていただきたい。そうしてこれが実際行政面において最も適正妥当なる処置をとつていただくようにお願いをいたしたいと存じます。  私が特に一、二を申し上げておきたいことは、まず第一にこういうような問題の突発いたしましたゆえんは、一方において営業許可には非常に厳格であつたのであるけれども、他方において自家用車にはほとんど無制限許可の態度をとつておられる。そのことのために遂に自家用車がやみ営業を始めるということである。他方においてはやはり許可の制度が厳格であつたために、やむなくナンバー借りがあつたという現象を生じておるのでありますから、ここにせつかくこれらの欠点はためて、一歩前進の形における改正が行われるのでありますから、これからはたとい自家用の貨物自動車といえども、その許可については最も厳格なる調査の上に、無制限なる許可をすることはいささか手控えをしてもらいたい。そうしてこれがやみ営業にまたぞろ発展せざるような方法をとつていただきたいということが一つ、それからナンバー借り等によつて再々言われておるようなかような脱法行為が行われざるがごとくに、いわゆる申請許可等について当局において十分に勘案された上、さような問題が絶滅できるような方法をとつていただきたいと思います。かように存じます。何回も繰返して言いますが、かようなものを取締れ、取締りますと言いますけれども、昔のようにたとえば警察に許可、認可の制度があつた場合においては、交通行政と相並行して、ただちにこれらは徹底的な調査及び取締りができたのでありますが、今日の運輸省の機構をもつてして、それをやれという方が無理である。やると答弁する方もまたはなはだ自信のない答弁である。こういうことはいずれ制度の上から、さようなものの行われざるごとくに寸時も早く処理しなければならない。この点について重大なる関心をもつて、法の執行、行政運用の面において心構えを立てていただきたい。そうして今日の需要供給関係から見て、はたして現在の車両が妥当であるかどうかは、運輸省当局においてもその指数を持たないようである。なお経済の変遷に伴つて移行するのでありますから、なかなか困難ではありましようが、問題はやはり需要供給関係を総合的に統計をとつて、そのらち内においてこれが円満運用できるようにしていただきたい。そうして一方においては不法営業を取締り、他方においてはやむを得ざる現象として、もし過剰になつて、そのために事業が困難になつて整理されるものがあつても、またやむを得ざるものではないかと考えまして、そこからほんとうの軌道に乗らざるを得ないであろうことを私ども覚悟せざるを得ないのであります。こういう点を申し述べまして、本改正案に賛成をいたします。
  66. 關内正一

    ○關内委員長 鈴木仙八君。
  67. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 私は自由党を代表いたしまして、本法案に附帯条件をつけて賛成をいたすものであります。  本法案は前国会において問題となりました諸点、すなわち免許基準の適用方針を規定すること、道路運送審議会を廃止して自動車運送協議会を設けること、及び聴聞制度を設けることについては、運輸委員会の成案の趣旨を全面的に取入れておるのでありまして、その点については了とするにやぶさかでないのであります。しかしながら改正案第二十四条においては、事業区域外に及ぶ営業について定めておるのでありますが、現行法では、事業区域を定めた業者が、区域外に及ぶ運送をする場合には、その都度運輸大臣許可を受けることとなつているのを、発地、着地のいずれかが事業区域内にあれば、特に許可を受けないでもよいこととなり、行政の簡素化、業者旅客公衆の利便という点から見て、一進歩であると認めるのであります。ただ問題は、この事業区域がいかに定められるかという点にあると思うのであります。もしこの事業区域がきわめて狭い区域に定められ、業者の活動を不当に抑制するようなことがあれば、ゆゆしき大事と申さねばなりません。従つて私は、この際自動車交通の本質にかんがみ、事業区を定めるにあたつては、当該地方の経済圏と努めて合致させるよう考慮せられることを望むものであります。これと同時に、法を悪用し、事業区域外のみにおいて営業することを常習とするような一部業者については、取締りを厳重にいたしまして、善良な業者の正当な営業を保護すべきであろうと考えるのであります。かかる趣旨により、私は本法案に対し賛意を表明するとともに、動議といたしまして、次のような附帯決議を付すべきことを提案いたします。案文を朗読いたします。    附帯決議案   政府は、自動車運送事業に対する事業区域を定めるにあたつては、経済交通圏の実情に即してこれを行うべきであり、同時にまた、常習としてその事業区域外のみにおいて営業する者に対しては、厳にこれを取締るべきであります。  案文は以上の通りであります。何とぞ諸君の御賛成を望みます。
  68. 關内正一

    ○關内委員長 館俊三君。
  69. 館俊三

    ○館委員 ここで道路運送法審議を見ておりますと、こういうことが概念的に感ぜられるのであります。終戦以来自動車に困つておつたのでありますが、近ごろ自動車の数量が非常に多くなりまして、それに圧倒された形で、いろいろの異なつた諸現象が運送界に現われて来ておる。それに対応するために、道路運送法に対して汲々とした形で、こうやく張り的な改訂をどしどしやつて行かなければならないはめに運輸当局がなつておるように、私は見ざるを得ないのであるように、私は見ざるを得ないのであります。従つてこの改訂案に対する委員会の質疑というものが、ほとんど質疑ではなくて討論に終始しておる。そしていろいろの点に難点が発見せられておるのが現状でありまして、自動車の数量の増大から来るいろいろの諸現象に、どうして公共性をもたせるか、あるいはどうして競争を防ぐとか、あるいは交通経営の諸形態がどんどんかわつて行くために、それを何とか治めて行くという形の考え方から、ときどき道路運送法の改訂が必要になつて来るのであります。なぜこういうふうになつて来るかというと、業態の内容を見ましても、国鉄でやつておる自動車経営、あるいは市町村がやつておる公共団体の経営、これらのものはいずれも営利を度外視した国家的な立場でやつておる形態でありますと同時に、その半面に民営がどんどんとふえて来る。この形態を整理統合して、ある一定の方法をとらない限りは、この改訂は何回やりましても、次々に改訂を要する何回やりましても、ところが出てくるであろうと私は考えるのでありまして、この点運輸行政に携わつておる当局は、確固とした対策を立てる必要があろうと考えるのであります。現段階では、やはりそのときに適応した改訂が必要になつておるから、この改訂を私は承認いたしますけれども、この改訂が次々に行われて行く方向が、国家的統制に持つて行く方向に動いているのか、それとも自由放任の方向に持つて行くようにこれがくずされて行くのであるかということを、私は見ておるのであります。いずれにいたしましても、現段階ではこの改訂はやむを得ないものと認めのでありますが、せつかく改訂してここまできめましても、この改訂した法案を現地において施行するところの自動車事務所の機能がきわめて高度でなければ、この改訂は絵に描いたぼたもちといいますか、そういう形に終つてしまうだろうと思います。そこで自動車事務所に勤務しておる職員の数をふやす、あるいは給与をよくする、環境をよくする。そして十分にやみ行為の取締り、あるいは監督官庁の機能が発揮できるようにならなければ、せつかくここで議論を費してこの改訂をやりましても、ほとんど実質的には無価値なものになつて来るだろうと私は考えます。しかも自動車の氾濫がいよいよおびただしくなつて参るというような状態でありますから、この自動車の氾濫をどうするか。これを国営的な方向に持つて行くのか。それとも自由放任の形にして、熊本さんの言うように優勝劣敗の形でこれを治めて行くか。この根本的な対策を立てられない以上は、この改訂案というものは、始終改訂しながらも始終不満足なる感じを民衆に与えることは必然であろうと思うのであります。結局こういうことをしておりますと、私の見方といたしましては、自由党が自由経済思想をとる以上は、道路運送法はものの役に立たなくなりまして、結局は交通調整的なもののみが最後に残らざるを得ない形に、追い詰められるのではないかということを心配しておるのであります。そういうことの立場に立つて、根本的に道路運送法の根本対策を立てられることを希望いたしまして、ひとまずこの案に賛成を表明する次第であります。
  70. 關内正一

    ○關内委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  71. 關内正一

    ○關内委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り決定すべきものと決しました。  先ほど鈴木君より本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、本動議を採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  72. 關内正一

    ○關内委員長 起立総員。よつて動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  なお本件に対する委員会報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これについて御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 關内正一

    ○關内委員長 御異議なければ、さよう決します。  次会は明日午前十時より開会いたすことといたし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時散会      ————◇—————     〔参照〕