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1953-07-11 第16回国会 衆議院 運輸委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年七月十一日(土曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君    理事 松井 豊吉君 理事 原   彪君    理事 楯 兼次郎君 理事 川島 金次君    理事 鈴木 仙八君    岡本 忠雄君       徳安 實藏君    南條 徳男君       山崎 岩男君    臼井 莊一君       松原喜之次君    山口丈太郎君  出席政府委員         運輸事務官         (自動車局長) 中村  豐君  委員外出席者         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 七月十日  大阪港振興対策に関する陳情書  (第八一一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任  道路運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三九号)     ―――――――――――――
  2. 關内正一

    關内委員長 これより会議を開きます。
  3. 川島金次

    川島(金)委員 この際、まことに恐縮ですが、動議を提出いたしたいと思います。皆さんの御賛成を得るよう牧とりはからいを願いたいと思います。  先般の委員会で、再度にわたりまして鈴木委員から質疑が行われました株式会社鉄道会館等に関しまして、当局説明を聞いておりましても、われわれは必ずしも十分にこれを納得するに至らない事情にありますことを、まことに遺憾とするものであります。しかもその上に昨日は新夕刊という新聞紙上、また本朝に至りましては、東京有力新聞がそれぞれこの問題を報道いたしまして、何かこの問題にからんで一般疑惑の眼を向けるような報道がされております、私ども往来国鉄を信じておりまする立場からいたしまして、重ね重ね遺憾な事態だと感じておりますが、いずれにいたしましても、事態一般国民の前にさらけ出されて、しかもその事柄が満足な結末を見ておりません。従つて疑惑かさらに疑惑を生むのではないかとさえわれわれは懸念をいたしておりますが、この機会に世間の疑惑に対して、これをわれわれの責任において何らかの形で明らかにする必要かあるのではないか、かように存じますので、この際株式会社鉄道会館等に関する調査小委員会を設置されんことを、私は強く要望するものであります。なおつけ加えておきますが、この株式会社鉄道会館等という「等」の一字をつけ加えましたのは、この鉄道会館問題のみならず、とかく世上に上つておりまして、若干の部分においてはこれまた世評必ずしもかんばしからなく伝えられておりますものに、鉄道外郭団体がございます。こういつた問題につきましても、われわれの余裕と時日が許されるならば、この際、天下の疑惑を解く意味合いにおきまして、一応の調査を遂げる必要があるのではないかと存じますので、この際株式会社鉄道会館等という文字を使いましたことを御了承の上、適当に委員長からおとりはからいを願いたいと思います。
  4. 關内正一

    關内委員長 川島君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 關内正一

    關内委員長 御異議なければ、動議のごとく株式会社鉄道会館等に関する調査小委員会を設置するに決しました。  なお小委員長及び委員選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 關内正一

    關内委員長 御異議なければさよう決します。  小委員長に       關谷勝利君  小委員に    岡田 五郎零  關谷 勝利君    松井 豊吉君  關内 正一君    原   彪君  楯 兼次郎君    川島 金次君  鈴木 仙八君を指名いたします。     —————————————
  7. 關内正一

    關内委員長 道路運送法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。川島委員
  8. 川島金次

    川島(金)委員 すでにこの法案につきましては、同僚の各位からかなり詳細にわたつて質疑が行われましたあとでございますので、できるだけ重複を避けるつもりでございますが、御承知通り国会にこの問題が論議されました場合には、私はこの委員会には所属しておりませんので、そんな関係で、できるだけ重復を避けるつもりでございますが、重復する部分などがありましても、その点は以上のいきさつを御了承願いますことを、御承知願いたいと思うのであります。質問の要点に三、四点でございますので、これに対して当局説明ができるだけ懇切丁寧であることが好ましいのでありますが、その懇切丁寧の上にも簡潔にわかりやすく御説明が願いたいと希望するものであります。  まず第一にお尋ねをいたしますることは、前国会の場合においてこの道路運送法の一部改正案が出ました当初にも、非常に一部から要望がございました。さらにこの国会におきましても、組織的な形において自動車業者の一部から、免許制度を撤廃して行くべきが最も至当なことではないか、こういうような意見が、さらに前回に増して加わつて参りました。それらの人たちが組織をつくりまして、国会などへ猛烈に陳情をされて参つておりますから、おそらく当局に対しましても、これらの人たちが相当な人数を動員いたしまして、それぞれ要請をいたしておるのではないかと思うのです。私どもはこういう問題について専門家ではございませんので、免許制度ということがはずされた場合に、若干の弊害が起るであろうということくらいの知識経験しか持ち合せておらないのでございます。そこで私どもの常識的な感じから申し上げますれば、今日の日本の道路実情あるいは業界実情、あるいは秩序関係等からかんがみまして、どうもやはり自動車業免許制というものは、ある程度存続さして行く状態であるのではないか、こういうふうに常識的には一応の判断はいたしております。しかしいろいろの深い意見を問われたときに、われわれはそれ以上の知識がありません。そこで念のため、ほたして自動車業というものは今日の段階においては、どうしても免許制度でなければならないのだという、有力な根拠が私どもには不幸にして今のところないようなありさまでありますので残念でございますが、そういうところを率直に申し上げまして当局としての立場から、やはり免許制度というものを存続する根拠というものはここにあるのだ、こういつた明確な、しかも有力な根拠がございますれば、われわれに一応知らしておいてもらいたい、こう思うわけであります。
  9. 中村豐

    中村(豊)政府委員 免許制度の必要な理由について、簡潔に説明しろというお話でございましたが、自画車運送事業は、鉄道事業その他の交通事業と相並びまして、きわめて公益性の強い公共事業でございます。つまり安全、正確、迅速かつ低廉に、旅客または貨物を輸送しなければいけない、こういう使命をになつておりますから、公共性のきわめて強い事業でございます。従つて営利本位に、経営者の自由な意思にまかすことはできないのでありまして、たとえば運賃は適正、妥当なものでなければいけないとか、事業の計画は実情に合うように、交通の流れに合うだけの必要な回数なり系統を動かさなければいけないとか、またその他運送約款についても、公共福祉に合うようにつくられておらなければいけないとか、そうして事業経営し出したならば、もうからないからといつてつてに、いわゆる不採算路線をかつてにやめてはいけないとか、また事進経営サービスが悪い、おもしろくないやり方がありましたならば、官庁からそれを改善させる命令を出す必要がありますとか、また公共福祉に合わないような経営をしていた鳩合に、運送命令を出して必要な物資あるいは旅客を運ばせること左させるとか、また旅客とか荷主によつてすききらいをせずに、公平に運送を引受けて運送しなければいけない義務を課するとか、他の人にかつて上譲り渡しをやつてはいけないので、譲り渡す場合にも、あるいは相続する場合にも、役所の許可を得て適格者に譲り渡すとかいうような、いろいろと法律で規制をして行かなければ、これを利用する公共福祉を保護することはできないと思うのであります。そこでそのような厳重な義務を持たして、責任を尽さすということは必要になるのであります。そこでそれにはそれだけのことをりつぱにやつてのけるだけの資力信用を持ち、遵法精神を持つたところの適格者でなければいけないと思います。そのような人、そのような資格があるかどうかを事業開始にあたつて審査して、適格者だけを及第させるということが必要になつて来ると思うのであります。  さらにもう一つの面として、そういう厳重な義務責任を持たすとしますれば、他面それに対して法律的な保護を与えて、りつぱなサービスさえしておれば、安心して事業経営ができる。これを自由競争の波にさらさずに、ある程度国家経営を保護してもらう、そうして企業の安定をはかつて、安心して設備をよくし、運賃も安くして行くというようなことにさせなければいけないと思うのであります。それが自由競争になり、またたくさんのものの競争にさらされて、絶えずいつ共倒れになり、いつつぶれるかわからないという危険にさらしておくということは、これはなるべく防いでやらなければいけない。不当競争による共倒れの危険を防いでやるということか、必要であろうと思うのであります。そのような見地から、一面において厳重な義務責任を課するかわりに、他面国家がその企業の安定を保障してやる。その意味からこれを免許制度にしまして、ごく一部の限られた者しか、その事業をやる特権をもらえないのだということにする必要があると思うのであります。これが免許制度にしなければならない第一の最も大きな理由でございます。  さらに第二の理由としましては、交通事業は御承知のように、国有鉄道にしても地方鉄道軌道にしましても、それだけで輸送使命を完遂できませんので、必ずそのほかに自動車運送事業というものが陸上交通機関としてはあり、また海上には海上運送航空には航空事業というものがおのおのありまして、そういう事業がみんな一環をなし、全体として交通使命を完遂するのでございますから、そのうち一部の自動車事業、一部といいましても、きわめて数量的にも多くて重要な交通の一翼をになつておる自動車運送事業だけを自由にしておきますと、そこに混乱が起つて、だれでもかつてにその営業をやつて運賃のダンピングはする、損害の賠償はできない、しかも次から次へと新しいものが現われては倒れて行くということになりますと、交通界全体が混乱して、自動車界だけではなしに、その影響は鉄道にも軌道にも及んで、結局交通全体の秩序が保たれなくなると思うのであります。そうなれば、国有鉄道を国営でやり、地方鉄道免許制度にした意味が、まつたく根底からくつがえされてしまうと思うのであります。そのような交通全体の秩序保持意味からも、自動車運送事業ももちろんのこと、この免許制度にすべきである、かように思うのでございます。  第三の理由として、先ほどお話のありました道路交通混乱を避けるために、秩序を保たなければいけない理由もありまするし、また貴重な他人の生命、財産を預かつて運送するのでありますから、事故を起した場合にそれを賠償するところの責任を完全に果さすためには、資力信用のある者でなければ困ると思うのであります。そのような責任の観点から考えましても、また車の整備あるいは運転者の教養その価から考えても、十分に責任のある者が、十分に資格のある者だけが事業をやつてもらわなければいけないというふうな、いろいろとこまかい理由はたくさんあげられると思うのであります。自動車運送事業免許制度は、ひとりわが国だけがとつておるのではなしに、十分御承知のように、欧米各国ともことごとくその免許制度をとつておるのでございまして、これはいわば交通というものの本質から出た必然の結論だというふうに考えられるのでございます。洋の東西を問わず、古今を通じて誤らざる交通の大原則であるというふうに考えるのでございまして、この点でわが国でも昭和六年から自動車について免許制度をとつて来たわけでございまして、これは戦争中の統制というものとにまつたく三つの考え方に立つておるのでございます。
  10. 川島金次

    川島(金)委員 大体了承いたしました。そこで続いてお尋ねするのですが、特に東京都を中心として、われわれが聞知いたしておりまする範囲によりますと、場所によつては非常に車両の大混乱を来しておるようなところがあるかと思うと、同じ東京都内におきましても、車を見つけようと思つても、たとえばハイヤータクシー等の場合のことでありますが、なかなかつかまえることさえも不可能だ、こういう状態で、非常にその差が著しいものであることは御承知通りであります。しかしながら一朝中心市街地を見ますると、もはや東京都においてはこれ以上のハイヤー、あるいはタクシーなどを許可いたしますると、思いも及ばない大混乱はもちろん、不測の事態までも惹起するのではないかとさえ、われわれしろうとには案じられるような事態をわれわれは見ておるのであります。  そこでお伺いいたすのでありますが、仄聞するところによると、もうすでに一昨年来東京都内における、あるいはその東京都に近接した部面における限りにおいては、車両飽和状態になつておる。従つて今後の免許は従来より一層厳重にして、できるだけ抑制して行くのだ、こういうことを言われておつたのでありまするが、その後の実情を見ておりますと、なかなかそういう意見のことではなくして、逆にさらに以前にも倍して車両許可増車などが行われておる、こういうことでありますが、一体当局といたしましては、この東京都を軸心としたハイヤータクシーなどの道路行政といいますか、交通行政といいますか、その事柄についての基本的な考え方というものはどこに持たれておるか、たとえば今後とも引続き免許あるいは増車などをどんどん許して行くという御方針であるのか、それともそれに反して、ことに東京都を中心とした問題でございまするが、ある一定の線を引いて、その線以上はもはや経済事情、あるいは人口事情、あるいは道路事情等がかわらない限りは押えて行くのだ、こういつたようないわゆる大方針をもつて臨まれて行こうとされるのか、その点についての基本的な考え方を、この機会にひとつ聞いておきたいと思うのであります。
  11. 中村豐

    中村(豊)政府委員 お話のごとく東京都内の、特に都心部では非常に車が氾濫して、飽和状態以上になつておるのではないかという感じもするのでございます。戦前に最も自動車の多かつた時代、東京都のハイヤータクシーの数は約一万二千台でございました。最近はほとんど一万台になりましたので、戦前状態にほとんど近くなつて来て、人口周辺に分散し、都心部減つたのに対し、また国民所得は実質的には戦前状態にもどつていないと思うのでありますが、それにもかかわらず、自動車の数はそのようにふえて来たわけであります。そのような数字からも、相当飽和状態以上になつたという感じがするのでございます。ただお話にもありましたように、都心部はそのように混雑きわまつておりまするけれども周辺地区に参りますると、まだまだ車が足りないという感じもするのでありまして、車の偏在ということがはなはだしいと思うのであります。そこで新規免許の問題でございますが、都心部状態を見れば、新規免許はその必要はもうないではないかという感じがしますが、周辺部に参りますと、たとえば国鉄線あるいは郊外電鉄の駅のまわりに、まだまだ車が足りない。そういうところから、もつと免許をしろという要望を、経営者からもまた利用者からも聞くのであります。そこでそのような地区に主として営業所を置くハイヤーなどは、なるべく免許するように最近はして来たのであります。ところがそのような理由周辺部営業所を持つて免許をとられた業者の方が、それではあまり経営がうまくないというので、名目はそういう形にしながら、結局免許をとれば都心部に出張つて来て、やはり銀座その他を流して歩いている。これはタクシーの場合でございますが……。こういうことで免許をした事情なり目的とそぐはないような事態が起つておるのでございますけれども、今後はそういう車の配置の稀薄な地域には、まだまだ免許しなければいけないと思います。しかし全体的に申せば、最初申し上げたような数字的な検討からしましても、もう大体限度が来たのではないかという感じがするのであります。しかしこれについても、現在の道路運送法の第六条に免許の基準というものが書いてございまして、その第一項の第三号でもつて、これはバスの場合のみならず、ハイヤーの場合でもですけれども需要供給バランスを見て、需要があるときには免許をしなければいけないけれども、もう需要に対して供給力が超過しておる場合には、免許をしなくてよろしいということがうたつてあるわけであります。この趣旨は、このたびの改正法でもまつたく同様に取上げてあるわけであります。  そこでこの需要供給バランスがどうかということが、一番むずかしい問題でありますので、このたびの改正法では、前回議員立法精神趣旨をそのまま頂載いたしまして、自動車運送協議会というものをつくることにいたしまして、その自動車運送協議会の一番重要な審議事項として、今度の改正法の百三条の第二項の第一号というものを置いたのであります。「一定区域における適正な供給輸送力の策定その他輸送需要供給との調整に関すること。」ということを規定しまして、東京なら東京という区域では、どれだけが適正な供給輸送力であるか、タクシーならば台数は何万台がいいのか、最も簡単に端的に言えばそういうことですが、そういうようなこともここで審議していただこうと思うのであります。それでこの協議会には業界代表だけでなくて、利用者代表も入りますし、第三者として学識経験者も入るわけですから、そのような人たちで公正に議論をして、適正な台数は何台がいいかということを考えていただく、それによつてきまつた台数陸運局長として尊重して、免許にあたつてはこの趣旨に即応して行かなければいけない、こういうことにいたしたわけでございます。このような民主的な方法によりまして、東京タクシーがはたしてもう十分なのか、まだ足りないのか、地域的な偏在はどうなのかということを検討していただいて、今後の免許あるいは増車の処分を適正にやつて行きたい、かように考えておるわけであります。
  12. 川島金次

    川島(金)委員 説明通り、また私どもが見ておりまする通り、たとえば東京都に例をとつてタクシーなどをながめますと、実に偏在のはなはだしいものがあると思うのであります。そこで今度の審議会といいますか、協議会というのですか、それらの機関においてそういつたことも研究するという説明でありますが、これはまぎれもない事実であります。そこでこの偏在的な傾向をいかに是正し、いかに調整して、国民の希望にこたえて行くかということが、交通政策の上においてきわめて重大な眼目であろうと私は思うのであります。便利なところは便利がよ過ぎるくらいな形で混乱しておる。それから一歩出て行くと、ほとんどそういう便利にあずからないという地帯があることは、まぎれもない事実です。そこで今お話のように、何とかこの実情調整する具体的な措置があつていいのではないか。そこでその具体的な措置というものはどうすればいいかという事柄につきましては、もとより私どもしろうとでございますので、まだ具体的な意見を持つているわけではございませんが、専門家立場における当局としては、何らかのくふうをいたしますれば、この調整がとれるのではないか。たとえばこれは私見でありますけれども、今免許制を廃止せよという運動をやつて、強硬に連続的に陳情などをやつて来ております人たちに会つてみますと、昔ハイヤーとかあるいは円タクをやつた経験者が多い。しかし今日ではせつかく場所とせつかく若干の資力を持つており、しかも経営の技術、経験を持つておりながら、厖大な資本を要求されておる免許制にかなわないで、それができないという実情に置かれている者も少くないので、個々のケースとしては、中にはまことに同情すべきものもあるように私は感じたのであります。そこでこういう過去の長い実績を持つた、しかも若干の資力どもあるというような者であつて、なおかつ地域的に都心部よりも離れ、しかもその離れたところで、タクシー業者などがおられないところがあるとするならば、そういう方面にはこれらの者に免許してやつて、そうして都会地偏在しておるところの交通網というか、交通機関調整をはかる何らかのくふうをしてはどうかというような感じが私はいたすのでありますが、そういうことについて当局は何か考えられたことかあるかどうか、この際これを承つておきたい。
  13. 中村豐

    中村(豊)政府委員 過去にタクシーハイヤーをやつた経験がある方があつても、大きな資本を要求するために、事業経営ができなくて困つておられる方があることも承知しております。そういう人がまじめな意思事業をやろうとする場合に、そういう機会を与えることは必要なことだと思うのであります。ただ問題は、賠償責任とか、通賃を十分守つてもらうこととか、車をだんだん整備して改良してもらうこととかいう見地から見ますと、なるべくある程度まとまつた資本で、ある程度まとまつた台数でやつてもらつた方が、望ましいという感じがするのであります。それならば事業の適正な規模とでもいいますか、それが何台がいいのであるかということについては、非常にむずかしい問題でありまして、簡単には結論が出ないのであります。一台でもそれだけの責任を尽せばいいじやないかということも言えますし、一台よりは五台、十台、二十台とまとまつた方が、責任を十分果せていいじやないかということも言えますので、その辺はその土地の実情を十分勘案して、それに合うようなことでやつて行きたい。場所によつては一台でも免許しておるところが各地にたくさんあるのであります。また場所によつては、一台では困るから三台か五台まとまつた方がいいだろうという、あるいは十台という話をしておるところがあるのでありまして、これを一概にきめるということは、かえつて実際に合わないという感じがしますので、その辺は十分実情に合うように、無理のないようにということを、一方でこの仕事を担当しておる陸運局長に通牒を出して、十分に趣旨の徹底をはかつておるわけであります。お話のような周辺でそういう事業者もなくて、利用者が非常に困つておるような地区については、考えるべきことだと思います。
  14. 川島金次

    川島(金)委員 今のお話によりますと、その点を十分に考慮されておるようでありますが、たとえばタクシーなどにおいて、現在そういうことが実際は行われておるかどうか、私の聞いておる範囲では、タクシーに関する限りにおいては、一台というような小資本による業者に対する免許はしておらぬように聞いておるのですが、そうじやないですか。
  15. 中村豐

    中村(豊)政府委員 先日お配りした資料の中に、昭和二十七年一月以降二十八年六月末まで、約一年半の間に新規免許をした件数調べというものがあるのです、これを見ていただいてもわかりますように、一般乗用旅客、これはタクシーハイヤー事業ですが、これは車両数別、十両の業者を二十六件免許しました。こういうふうにして、一台の業者に対しても全国で三十二件免許しておるわけであります。これはどうであるとかいうことは、今ちよつと資料を持つておりませんので、はつきり申し上げられませんが、こういうふうに二両、三両、四両というような少い台数の、いわば小業者に対しても相当件数免許しておるのでありまして、備考にありますように、十一両以上の大きな会社に免許したのが全体の一九%で、十両以下の小業者免許したのが八一%もあるというふうに、最近は決して大業者本位でなしに、小業者に対しても、かくのごとく地方の実情によつて免許をしておるわけでございます。
  16. 川島金次

    川島(金)委員 これによりますと、なるほどお説の通り一般乗用旅客においても、一両で三十二許可をしておるのでありますが、これは全国的なお話であつて東京都内ではこういつた少数の小資本による業者ハイヤー等の許可というものは、やつておらないというふうに私は聞いておるのですが、その点はどうなんですか。
  17. 中村豐

    中村(豊)政府委員 東京都の旧市内といいますか、この付近は、御説のごとく割合に大きな会社にしか免許をしておりません。しかしこれは規模の大きなものほど望ましいという考え方からやつていたのでありまして、今後の問題としては、もう両数が一ぱいであるとすれば、新免許は先ほどのお話のように問題にできませんけれども、両数かまだ、所によつては余裕があるというような周辺地区については、必ずしも従来のような大きな規模を要求せずに、必要によつては小さいものも認めて行くことが必要であろうと思うのであります。その地域の模様によつて十分検討したいと思つております。
  18. 川島金次

    川島(金)委員 私は質問の中心東京都に置いているわけでありますが、現実においては一、二両という小資本小業者の出願というものはほとんど受付けておりませんし、また実際免許をされておらないというのが実情ではないかと私は承知しておるのです。しかしながら諸般の情勢と実情とを考慮いたしまして、この偏在した状況というものを調整するという大きな決意が当局にあります以上は、私が先ほど来申し上げておるように、過去の実績を持ち、そして経験とその人物的な信用からいつて信用するに足るものがあつて、しかも小資本ならば何とかまかなえるというようなものがある場合、しかもそれが東京都心を離れた場所において営業したいというようなものがあつた場合には、もし車両の余裕がありとすれば、そういうことを十分に考慮して進んで行くべきじやないか。そういうことを考えて、東京都内ハイヤータクシーを通じての調整というものを、大胆にやつて行く必要があるのではないかという感じが私はいたします。そういう意味で、そういつた方面にも今後十分の余地があるといたしますれば、その余地を調整の面に活用して行くべきではないかということを私は強く望んでおきます。  そこで第三点にお尋ねをするのですが、先ほど局長のお話では、相当の信用資力という問題を持ち出されました。なるほどお説の通りでございます。しかしながらこの信用資力というものを調査いたします場合に、私には一つの疑問が実は今もつて解決つかずにあるのであります。それは局長もさだめし御存じであろうと思うのでありますが、ハイヤーにしても、タクシーにしても、その他のトラックにつきましても同じことだと思うのですが、あらかじめ陸運局がその信用資力調査する場合において、その出願者からそれぞれ出願人の資金計画に順じた銀行預金通帳を現実に持つて来い、こういうことが、強制6はないと言つているけれども、実は強制的な形で行われておつたことは事実であります。今日そういうことが行われておるかどうかは私は存じませんが、つい最近まではそういうことが行われておつた。私は日本の憲法の精神から申しましても、かりそめにも預金の秘密というものは、種の人権に準ずるところの一つの権利ではないかと思います。その権利がたまたま出願者の資力調査いたします方法として、その出願者に対して預金の現在高証明ならいいのでありますが、そうでなくして、現に預金帳を持参せよ、こう要求するのが従来の例であります。私はこの問題については、法律家ではございませんけれども、非常に大きな疑問を持つておる。しかしながら当局側から言えば、これを強要しておるのではない。もし本人が持つて来られるならば持つて来てもらいたい、こう言うのであるから、別に預金の秘密を明かすようにこちらから強要しているのではない、こういうりくつは立てております。しかしながら出願する業者の工場から言えば、何とかしてその出願にこたえてもらいたいというのが、出願者の当然の人情であります。従つて弱い人情につけ込まれた形でありますから、いやおうなしに預金帳をさらけ出して持つて行かなければならぬ。しかも出願者代表だけの預金帳でありますならばいざ知らず、たとえば会社組織等によつてやる場合には、その発起人全体の預金の現在高を証明するに足るところの預金帳を持参せよ、こういうことになる。いやなら持つて行かなければいいのですが、持つて行かなければ、資力信用調査ができないと称して、それは却下になるであろう。これは見えすいたりくつであろうと私は思う。しかし、そういう強要ではないが、結果においては強要するという形が、民主憲法の精神に沿つたやり方であるかどうか。私はむしろ憲法違反の疑いがこの問題にはあるのではないかとさえ考えるのであります。私は法律家でございませんから断定はいたしませんが、どうもそういう疑念があるのでありますが、そういうことについて局長はどのようにお考えでありましようか、見解を承りたい。
  19. 中村豐

    中村(豊)政府委員 免許の申請にあたりましては、事業が成り立つかどうかという見込みと、資力信用ということを重要なポイントにして審査することは当然でございますが、その場合の参考書類として、はたしてそれだけの資力があり、資金の調達ができるかということは、十分に審査しなければいけないことだと思うのであります。その場合の一つの最も簡単な方法として、預金証明書を提出されれば非常にわかりやすいわけであります。そういうことをお願いしていることはあると思うのであります。しかしこれはお話のごとく強制ではないのでありますが、一番簡単な、わかりやすい方法として、自然にそういう習慣ができてしまつたものだと思うのでございます。個人の秘密のことでありますから、他に有力な証明方法なり、信用させる資料がありますれば、それでさしつかえないのでありまして、決してそれを強制もせず、また規則でうたつてもいないのでございますから、その点は実際にあたりまして、あまり行き過ぎのないように努力したいと思います。建前としては、川島委員お話になりましたように、強制ではないのでございますから、そう無理に申請人の方でもかたくおとり願わずに、他に別途の証明方法をお考え願えば、それでけつこうだと思います。また必要があれば役所の方から、銀行なりあるいは他の方と連絡して、信用を調べさせてもらうことが起るかもわかりません。必ずしもそういう無理な方法を強制していないのでございますから、御了承願いたいと思います。
  20. 川島金次

    川島(金)委員 局側の意見としては、そういうことだろうと私は思います。しかし現実の窓口においては、預金のあり高を証明する書類だけではだめで、現実に預金帳の持参を要求されます。これは何といいましても行き過ぎもはなはだしいものである。役所が資力信用調査するという建前は、許可制である以上はよろしい。これは私も認めます。しかしその建前を貫くために、国民の重大な秘密権の一つである財産権の秘密性、預金の秘密性というものを、いやおうなしにあばかれなければならないように仕向けて行く、この事務的な行政的な措置というものは、私は必ずしも妥当ではないと思う。しかしそれが現実に行われているのでありまして、そういうことを今後続けるのかどうか。強要しないのだと言つてしまえはそれまでですが、実は強要れているのです。というのは、今申し上げましたように、それを持つて行かなければ審査にならない。これは事実なんです。審査にならなければ業者の方では困る。審査してもらつた上で許可してもらいたい、これが業者の最大の念願なんです。その最大の念願を持つている業者の方から言えば、持つて来て見せろと言われれば、それを見せざるを得ない。これは精神的、心理的には強制されているのです。それを強制していないと言うのは、私は詭弁だと思う。今後こういうことでいやな思いをする国民がたくさんあるのじやないか。私はその感じを非常に深くしておるのでありまして、そういうことは正しい行き方ではない。民主的な役所の国民に対する扱いではない。そういうことは今後やめたらどうか。他にもつと国民の納得のできる、平穏な気持でそれに受答えのできるような、資力信用調査のしようも他にあろうと思う。役所もくふうする、申請人もくふうすることは当然でありますが、預金帳を持つて来いというような、強制にあらざる強制は、今後やめたらどうか、こういうふうに思うのです。これは私に言わせますと、明らかに憲法違反の疑いがあります。そういうことをやめるという方針になつていただけるかどうか。これは非常に重要なことですから、見解を伺いたい。
  21. 中村豐

    中村(豊)政府委員 預金帳の提示を強制はしておりませんが、これが事実上の慣行として行われておるということならば、進んでやつていただく場合はいいのですけれども、非常に心理的な圧迫を加えるというような場合は、これは行き過ぎでございますから、もつと他の妥当な方法、たとえば税金をどのくらい納めているというようなこと、これはもう明らかなことなんですから、そういうこととか、穏当な方法でやるように注意いたしたいと思います。その点は研究いたしたいと思います。
  22. 徳安實藏

    徳安委員 今の質問に関連して、……。ただいまの局長の御説明は私も納得いたしますけれども、この問題は実は私自身にもその体験があるのです。預金帳を持つて来いとか、しかも申し込んだ日にちにあつた預金でなければいけない、その後幾らあつたつてだめだ、こういうことも言われました。先般大野国務大臣にお願いいたしまして、発起人になつていただいて、わずかな株をお願いしたところが、全部書類を持つて来いという。大野さんはかんかんになつて、そんなわずかな株を持つのに、財産調査をしなければ信用しないのかといつて非常に怒られて、私にこれを一ぺん調べて来いという話があつたのです。結局親の心子知らずじやないかと思うのです。少し行き過ぎをされているのじやないかと思うのです。十万円の株を持つだけの資力資格があると社会的に認められているような人には、それほど掘り下げて預金帳や財産調べをされなくてもいいのじやないか。名もない、財産もない、まつたくどこの人かわからぬような人なら別でございますけれども、そうでない、相当社会的にも知られ、財産も持つている人は、かりに五万円十万円、あるいは五十万円ぐらいな申込みをいたしましても、その人の財産を全部調べて持つて来なければいけないというようなことは、少し行き過ぎではないかと思うのです。しかもこれを参考に見るだけならいいけれども、それを持つてつてお願いするとか、その資格を得る、要するに許可をしてもらう条件になるのです。それがない以上は、初めから落第だというようなぐあいに私は聞いておるのでありますが、願わくばそうした行き過ぎをしないように、本省の方から各局にしかるべき通牒でも出していただくことが適当ではないか、かように考えますので、関連事項としてお伺いしたわけであります。
  23. 中村豐

    中村(豊)政府委員 行き過ぎがあると思いますから、その点は穏当な方法がとれるように、十分研究したいと思います。
  24. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 了解を得ましたので、関連質問を一つ許していただきたいと思います。自動車免許について、今言われましたような、公に迫られるような監督上の事項としてではなくて、これは中央においてはどのように見ておられるかわかりませんし、御存じないかもしれませんが、陸運局などには往々にしてそういう行き過ぎが各所に起つております。これは言いたくもないことでありますが、実際には小さな業者に対して、運輸行政上のあるいは監督行政上、今の陸運局の職員なんかに、非常に行き過ぎた内容検査をしておる。しかもだれもが権利として持つておる個人の秘密にわたるような事項、あるいはその人の人格にわたるような事項までも調査する。そういうことが各所で行われておりますが、その監督に当られる中央官庁として、これを御存じであるかどうか、お伺いしたいと思います。
  25. 中村豐

    中村(豊)政府委員 一般的にはいろいろお話を承つておりますが、具体的には詳しくは承知しておりません。ただ、今のような銀行預金帳の提示だとか、行き過ぎたことがいろいろあるように聞いておりますから、その点は行き過ぎのないように、十分注意さしたいと思います。
  26. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 注意したいということでありますから、非常に心強く思うのでありますけれども、しかし従来からそういうことが中央からの通牒もしれは何らかの指示によつてなされておるのであるか、あるいはそれは各陸運局ごとに、その局長の権限内に行われておるのであるか、明らかにしていただきたい。
  27. 中村豐

    中村(豊)政府委員 方法について具体的に指示したことは一切ございません。ただ運輸省令でもつて事業の開始に要する資金及びその調進方法を記載した書面というものを、添付書として要求しているだけです。ですからその方法として陸運局でいろいろ考えられて、これが一番わかりやすい方法ということで、自然にそういう方法が習慣として、でき上つてしまつたのだと思います。事の起りは決して悪意でやつたとは思いませんけれども、たびたび申しますように行き過ぎであつたとは思われますから、その方法については十分注意いたしたいと思います。
  28. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それを習慣だとして放任しておくということは、これは許されない問題だと思うのです。これはそういう行き過ぎがあるということが中央においてよく承知されておるか、もしくはそれがわかつておるということでありますならば、時期を逸せず、そういう下級機関がその意思に反した行き過ぎ行為をやつておる場合には、ただちにそれを監督、是正することが、中央官庁のとるべき態度であり、当然な私は義務だと思いますが、そういう点について、今後なおそれを慣習こして放任しておくつもりであるか、めるいはそういう行き過ぎに対しては厳重に監督をして、是正をして行くという意思があるか、この点をひとつはつきりしておいていただきたいと思います。
  29. 中村豐

    中村(豊)政府委員 たびたび申し上げますように行き過ぎであるようなことに対しては、改めるように通達いたしたいと思います。
  30. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これは別の観点からでありますが、関連しておりますので申し上げたいと思うのであります。どうも最近の陸運局というと、私営の交通機関などは、とにかく検査に来られるというとふるえ上つておるのです。といいますのは、鉄道の諸施設の検査などにおきましても、とにかく露骨に言えば、昼飯でも食わさないことには、どうも当り散らすような状態が各所に見られる。これが大きな会社なら別といたしまして、さなきだに困つている小さな会社などは——もちろん、施設に対する厳重な検査をしていただくことは、鉄道に限らず、自動車に限らず、すべて交通機関は事人命に関する問題でありまするから、それは私は容認するのでありますけれども、しかしそれがいわゆる越権的なといいますか、そういう行為に出られることは厳に慎んでいただかないと、私は前の権力政治と同じような政治が過去に行われたようなことになると思います。その点は私どもの出身地におきましても、実は非常に問題になつておるのでありますけれども、それを表面に言いますと、あとでまたどういう当りが出て来るかわからぬ。だからしてまあそつとしておけ、こういうふうな実に芳ばしからざることを耳にするのであります。そういう点については十分に——中央はそういうことは決して容認しておるものではないと思うのでありますけれども、しかしそういう声があるのでありますから、これはやはり中央においては十分に監督をしていただきたい。そしてそういう行き過ぎに対しましては、私は今局長から言明がありましたから、それで安心をいたしますけれども、しかしその言明だけをもつて安心しておるというわけには参らない状態も往々にして見受けますので、ひとつそういう点に関しては、今後とも運輸省の各般にわたつて、ただ自動車の問題だけではありません。各般にわたつて厳重にひとつそういう行き過ぎのないように、陸運局ごとに、従来あつた態度を是正するようにしていただきたい。これを強く私は要望すると同時に、これは今後における運輸行政の全般的な見方としてどのように考え、対処せられるか。これは運輸大臣がおられたならば運輸大臣に質問するのが本筋だと思いますが、一体総括的にいつて、どういう措置でそういう方法を是正するか、あるいは陸運局の監督をして行くか、こういう点は私はこういう際でありますから、行政面の全般にわたつて意見を承つておきたいのであります。
  31. 中村豐

    中村(豊)政府委員 担当の者の行き過ぎのないように十分注意いたしたいと思いますし、その趣旨の徹底をはかるために通達を出すことはもちろんでありますが、あらゆる会合の機会をつかまえて、その趣旨を徹底さしたいと思います。そのようなことについては、ただいままでも十分努力して来ておるのでありますが、なかなか完全に励行されていないところもあるかもわかりませんから、なお一層徹底をはかりたいと思います。また他の関係の向きに対しましては、それぞれの責任者によく話を伝えておきたいと思います。
  32. 川島金次

    川島(金)委員 時間を大分とりましたから簡潔にお尋ねいたします。今度の改正案で確定運賃のほかに、最高及び最低をきめる制度の道を開くことは、まことに一理あろうと思うので、最高をきめるということは一層非常に意味があろうと思うのですが、最低をきめるというこの制度の行き方には、私は少し意見があろうと思うのです。最低運賃制度をきめたこの根拠というものは、どういうところにありましようか、それを承りたいと思います。
  33. 中村豐

    中村(豊)政府委員 最高運賃を定めることは、これはいわばやみの高い運賃が出て、インフレを増進することのないためという趣旨で、御了承願えると思うのであります。最低運賃をきめることは、考え方によつてはいろいろ問題かあると思います。つまり運賃にしろ物価にしろ、何でも安ければ安いほど利用者は助かる、便利だという考え方があるのでありますから、それに対して最低運賃をきめると、何だか利用者に対して負担をあるところで打切りにして、便宜をはからないような感じを与えるのであります。 しかし他面、交通機関というものの性質を考えまずと、運賃というのは事業経営の一番中心になる収入の大部分を形づくつておるわけです。そこでこの運賃が不適当なものならば別ですが、運輸大臣の認可を得て、適正運賃として認められたものならば、それはそれだけいただいてけつこうなものでございまして、その計算のもとに立つて事業経営のそろばんをはじいて、そうして事業改善の結果、利益が出て来れば、それは設備の改良とか、車両の整備とか、サービスの向上に充てるべきである。なおさらに利益が出て来れば、進んで運賃そのものを値下げするという認可申請を出していただく。こういうことに持つて行くのが、事業経営のほんとうの姿だろうと思うのであります。つまり事業経営の基本になる運賃収入ですから、最低というものがはつきりわかつていて、収支の計算の見通しをつけなければ、安心して事業経営ができない。先ほども申しましたように、この事業は公益事業でございますから、もうからないからといつてつてにやめるわけにはいかないし、また設備も十分に改良して行かなければいけない責任を持つているわけですから、それを実行できる裏づけとしては、最低運賃というものをきめておかないといけないと思うのであります。これをきめておかないと、競争の結果不当に値下けをする。いわばダンピングというものを起すことになつて、そのダンピングが高ずれば、底なしの沼といいますか、とめどがなくなつて事業経営が崩壊してしまう、こういうふうに考えるものでございますから、どうしても最低運賃制度というものをここにとらしていただいて、最後の一線を引いておくということが必要だと思つておるわけであります。
  34. 川島金次

    川島(金)委員 その趣旨はよくわかるのでありますが、何かまだ議論の余地があるようでございます。しかしこの際私はその議論はとりやめておきます。  そこで最後にお尋ねいたしますのは、これは一般論的な問題でありますが、いわゆる対面交通の問題であります。この対面交通が実施されているはずでありますが、日本国民の長い習慣からいいまして、実際はなかなか行われておらないで、依然として左側通行が実際には行われておる。ことに交通のはげしい都会地においては、まつたく対面交通などは行われておらない。二、三日前の新聞の、警視庁かどこかのその方面の係の者の書きました原稿によりますと、対面交通はどうしてもやつてもらわなければならぬというようなことを言つておるようでございます。国民はもう何十年となく、歩けば左側ということをきめてかかつておる。車もやはり左側ときめてかかつておる。これを法律でしたか政令でしたか、よく覚えておりませんが、何かの附則で対面交通というものを実施することになつて来て、何年かたつておるのだろうと思うのでありますが、一向にこれが行われておらない。行われておらないということは、やはり国民の習性に合わないということであります。やはり交通の姿からいつて、長い間習性として行われて来たものを、急にこれをかえるといつても容易でもないし、またかえようとして試みても、さつぱり実績が上つておらぬ。ですからそういうことによつて実際は国民の習性は左側、ところが規則から行くと対面交通、そういうことでいろいろ問題が起り、混乱した同順がさらに起るというようなこともあるやに聞いておるのですか、こういつた対面交通の問題については、局長にこれをお伺いすることか当つているかどうかは別といたしまして、自動車行政の任に当つておられまする局長自身のお考えをこの際聞いておきたい、こう思うのであります。
  35. 中村豐

    中村(豊)政府委員 対面交通の問題体、道路交通取締法によつているわけですが、これは所管としては公安委員会関係、警察関係になつておるのでありまして、運輸大臣の所管事項ではないのでございます。従いまして権限のある御答弁は申し上げられないのでございますが、それならば個人としての意見を言えというお話でございますようですが、個人的にはいろいろ考え方があるのでございまして、いいとも悪いとも簡単には言えない問題じやないかという考えがいたします。
  36. 川島金次

    川島(金)委員 実情は私が申し上げましたような実情であるということは、局長もお認めだろうと思うのです。そこでこの取締法に対して、それと直接、間接に大きなつながりを持つておる道路運送行政の最高担任者である局長におかれましても、こうした問題に若干の関心を持たれまして、若干以上の大いなる関心を持たれまして、何らかの実情に沿うような、また沿わんとすればどうやつて改正法を実施させようとするならば、どうしたならばそういうことに仕向けて行かれるかというようなことについても、私は研究をされる立場ではなかろうかと思うのであります。取締法ではそうなつておるが、実際にはそうなつておらない。しかもそれが国民の長い間の伝統的な習慣であります。そうしてそのことによつて事故を起せば、すぐにあなたの関係する自動車業者、あるいは自動車の運転手その他の関係者が、いろいろと問題を取上げられて行くという形になるわけでありまして、必ずしもこれは道路取締法だけの関係者が関心を持つべき性質のものでなくして、やはり局長にも大いなる責任の一斑があるようにわれわれは考えられるのでありまして、今お考えがないとすれば、今後ひとつこういう問題についてまじめに、真剣に取組んで、何かすつきりしたものに仕上げて行くということが必要ではないかと思うので、この際重ねて御意見を承ることは差控えまして、私の意のあるところだけを申し上げておくのであります。私の質問はまだありますけれども、大分長くなりましたからこれで打切つておきます。
  37. 徳安實藏

    徳安委員 私はまず第一に禁止行為の点について局長の説明を聞きたいと思いますが、二十四条の点について私はどうもまだふに落ちない点がありますので、きわめて簡単でけつこうでございますから、二十四条の二以上はよくわかりますから、二十四条だけをちよつともう一ぺんお聞かせ願いたいと思います。
  38. 中村豐

    中村(豊)政府委員 現在の法律は、事業区域を定めた自動車運送事業の場合に、事業区域の外に出ることは禁止されておりまして、出る場合には陸運局長許可を受けなければいけない、こういうふうに厳重になつておるのであります。ところが一々その都度許可を受けるということはたいへんなことでございますので、どうも実施してみた結果、実情にそぐわないと考えましたので、その許可を一々とらなくても、区域の中から区域外にまたがる場合には、やつてよろしいということにしたわけです。そうして区域の外だけで営業をすることは禁止した、その意味では現行法よりも禁止は軽くなつておる、緩和したわけでございます。ただ問題は、その場合に事業区域を従来よりは狭めるのではないか、そうなると禁止を緩和した趣旨が逆になつて、かえつて今よりもきゆうくつになりはしないかという御懸念が、実は昨日も岡田委員からもいろいろおありになつたわけでございます。その事業区域をどう定めるかということにつきまして、昨日からのいろいろの御心配もありますので、実情に合うように、交通、経済の実態を無視したような定め方はいたさずに、なるべく不適当なことが起らないように考えたい、かように思つておるわけでございます。それらの点については附則の第三号でもつて、移りかわりのときに事業区域の指定の仕方を運輸省令で定めることにしておりますが、その運輸省令で十分に考えたいと思つております。
  39. 徳安實藏

    徳安委員 東京はもちろんのことですが、横浜、大阪等の実情を見ましても、区域以外の自動車がどんどん入つて来まして、そうして東京あたりはほとんど、中心地は飽和状態より以上になつておる。この交通整理をどうするか、その交通事故をいかにして防ぐかということについて、今非常に問題になつておるわけであります。そういう場所に全然事業区域を異にする車が入つて来る。何かお客を乗せて来て、そこておるし、またそこから乗せて出るという程度ならばけつこうですが、場合によりますれば、そこに駐車してしまつて、そうしてそこを自分の事業区域のようにしている業者があるという話なんです。こういうものの取締りをせぬと、あのような許可をされましても、結局需要供給バランスを破壊するものではないかと思うのです。すでに流血の惨を見ている場所もあり、あるいはおつかけたりおつかけられたりして、ごたごたしている場所もあるようであります。もし免許制度を維持して行くということであつて、しかもそれが需要供給をできるだけ破壊しないように、適正な許可をされるということが必要であるとするならば、そうした外の方から来て、そうして駐車までして、ほとんどかせぐ場所がそこにあるのだというようなものは、根本的に外に出ていただくように、本来の事業区域に帰すようなことをしていただかなければ、法の精神に反すると思うのですが、局長の御意見はいかがですか。
  40. 中村豐

    中村(豊)政府委員 御趣旨のような心配がありましたので、このような条文を置いたのでございます。つまり適正な事業区域を定めて、その事業区域はお互いに尊重し合つてもらう、他の人の事業区域に常時駐留して、そこで営業するということはいけませんということにしたわけでございます。御趣旨のような必要に応じるために、このような条文をつくつたのであります。
  41. 徳安實藏

    徳安委員 その御趣旨はよくわかります。そこで、すでに料金等においても許可された、いわゆる認可された料金を割つた安いものを実施しているようなことをしばしば耳にいたしますが、結局これは公正妥当な競争行為でなくて、不当な競争行為になるわけでございます。こうした点につきましては、現在の制度においても、この条文の中にも取締りの条項はございますけれども、そうした外の方から来て、駐留して営業行為をやつているとか、あるいは極端な安い料金でやつているというものを取締るのに、事実問題として一体どういうぐあいにお取締りになりますか。ただ警察に頼んで取締るというだけでございましようか。これはもう少し違つた道をとられんければ、今のやり方ては、いかに規則ができましても、結局見のがして行くよりしようがないという結果になるのではないですか。もう少しほかの方法はないものですか。局長の御意見を伺いたいと思います。
  42. 中村豐

    中村(豊)政府委員 お話は、高くぼるというのではなしに、メーターよりも安くするという点だろうと思いますが、だんだん競争がはげしくなると、そういう傾向が現われて来るようであります。これは一日中流している車を一々つかまえて、役人がそれを調べるということは、事実上不可能だと思います。これは事業者の方の自粛にまつていただくよりしかたがないのでありますが、最近では各地で事業者の組合の方が、自発的に監視員ですか、そういうものを置かれて、内部でお互いに自分の使用人のダンピングを防いでおるということを聞いております。このようなやり方は非常にけつこうなことだと思つて、奨励しておるわけであります。
  43. 徳安實藏

    徳安委員 さらに私はトラックのことについても一言伺いたいのですが、自家用車がほとんど無制限にどんどんできまして、これまけつこうなことに違いございませんが、営業しております者から見ますと、ほとんど無謀な競争をする相手が、日増しにふえて行くというような状態です。これも事業区域を離れた場所において、ガソリン代にちよつと料金さえもらえば、遊んでおるよりかいいのだというようなことで、相当にやられているのですが、これももう少し取締りを徹底的にやつていただきませんと、せつかくこういう法律ができましても、それが空文に終つてしまうのではないか。そうして輸送秩序を保たなければ、公正妥当な競争も行われないで、結局そうした自家用車で営業をやつておるものの方に、食いつぶされてしまうような形になりましたのでは、この法律精神も蹂躪されることになるので、そうした方面についてもつと徹底した取締りをするお考えはないでございましようか、伺いたいと思います。
  44. 中村豐

    中村(豊)政府委員 自家用自助車の営業類似行為によつて営業用トラックが非常に苦しんでいることは、お話通りであります。そのような事態を防止するために、昨年初めから輸送秩序確立運動というものをやつて、現地を督励してやつているのでありまして、多少違反の取締りができた実績は上つております。これはその運動を展開するときよりは、大分その取締り状況がよくなつているのであります。ただ完全にこれを防止することはとうてい困難でありまして、それがたび重なれば、行政整理でもつてわれわれの同僚がだんだん減つて行くわけなんですから、ことに現地に行けば行くほどその数が減るわけです。何といつても定員の関係から、遺憾ながら十分な効果を上げ得ないということを残念に思つております。今後もできるだけ努力をして、少いままの人間ででも能率を上げてやりたいと思いますが、予算の増加あるいは定員の増員については、その都度われわれは努力いたしているわけであります。
  45. 岡田五郎

    岡田(五)委員 関連いたしまして簡単に御質問申し上げます。先ほどの徳安委員に対する自動車局長の御答弁によりますと、事業区域については、従来の事業区域よりも多少狭めるかもしれないというような含みのあるお話でございました。これは私の昨日の質問に対しても、さようなお含みのある御答弁があつたようでありますが、ただ事業区域をおきめになります場合に、自動車局長お話によりますと、経済、交通圏ということを基礎としてきめるというお話でございます。私たち非常に懸念いたしますのは、こういうような事業区域をきめられるのに、とかく行政区域を基礎とされる。埼玉県一円、あるいは東京都一円とか、あるいは東京都内とかいうようなことで、とかく行政区域を基準といたしまして、事業区域をきめられる懸念なきにしもあらず、かように考えますために御質問申し上げるのでありますが、営業所中心として五十キロ圏内とか、あるいは三十キロ圏内というようなきめ方をなさるつもりでありますか、あるいは行政区域を一円という意味でおきめになりますか、この点をまず御質問申し上げたいと思います。
  46. 中村豐

    中村(豊)政府委員 お話のごとく、距離でもつてサークルを描くのは、一番りくつに合うような気がするのでございますが、実際免許状というようなものに明らかにするには、やはり便宜上行政区画というものを使つた方が、はつきりするという感じがするものですから、今までは大体そのサークルの中の行政区画を拾つてあげておるようなわけであります。御趣旨の気持はその通りでございますが、ただ表現として行政区画を便宜上使う。従つて何々県一円というような乱暴なやり方はできるだけやめたいと思つております。
  47. 岡田五郎

    岡田(五)委員 とかく行政圏と経済、交通圏というものは一致しないのが、現在の日本経済また行政の組織とのにらみ合せからいえば常識だと思いますが、ことに経済機関としての交通機関である自動車というものは、交通圏を基礎としてきめるのが当然だと、うように私は考えるのでありまして、かような事業区域をきめるにあたつては、行政圏というようなものにとらわれないで、経済圏を基礎としておきめになるように御希望を申し上げる次第であります。と申しますのは、一例を東京都にとつてみますと、東京都の大田区と川崎市はくつついておるのでありまして、大田区の端つこの、川崎市側に営業所を持つている自動車業者に、東京都一円といわれた場合には、川崎市にお得意を持つている場合には、荷物が全然扱えない、こういうような不都合が出て来ると私は思うのでありまして、大田区と川崎市というものは、行政区域のいかんにかかわらず同一の経済圏である、こういうように考えられるのでありまして、行政区域を基礎として事業区域をおきめになりますと、この禁止規定によつて、まつたく常識はずれた自動車事業をやらなければならないというような事態に陥ることを非常に憂えるのであります。従いまして、ぜひぜひ営業所中心とした何十キロ以内というような経済的観点から、事業区域をおきめにならんことを特に切望いたしまして、私の関連質問を終りたいと存じます。
  48. 徳安實藏

    徳安委員 次に第百四条について伺いたいのですが、委員の任命について、運輸大臣が関係者の意見を徴して任命するということになつております。また臨時委員においても同様であります。しかし私どもの考えるところでは、政府職員の委員であるとか、あるいは事業者委員等は、それぞれの手続によつて意見を徴することができると思いますが、学識経験者だとか、あるいは自動車を利用する者等に対する意見の徴し方は、一体どういう方面に意見を徴されるのか。こんな文句はむしろおとりになつた方がいいのじやないか、かように考えるのですが、もし何か腹案でもございまして、学識経験者の方はどういう方面に意見を求めるのだ、あるいは利用者の方はどういう方面から意見を求めるのだ、利用者にいたしましても非常に幅が広うございますから、おそらくこれには相当りくつがつくと思うのてあります、むしろ私の意見では、こんなものをおとりになつて、運輸大臣が任命するというくらいなことでけつこうじやないかというように考えるのですが、そうした点について局長の御意見を伺いたいのであります。
  49. 中村豐

    中村(豊)政府委員 具体的にきめてあるわけではございませんが、たとえば知事とか、あるいは商工会議所会頭、また貨物業界とか、あるいはその地区自動車以外の産業団体の代表者、そういうふうな関係のある、しかも責任のある団体の意見を聞きたいと思つております。
  50. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、ただ抽象出にそのときの考え方で、こういうもりから聞けばよかろうというようなお考えでお置きになるというわけですか。
  51. 中村豐

    中村(豊)政府委員 適当な人が選ばれるように、できるだけ関係の向きをいろいろ考えて、慎重にやりたいと存じております。
  52. 徳安實藏

    徳安委員 任命されるのに適当な方法としてお考えになつておやりになるのならば別ですけれども、こんな文句はむしろない方がいいのじやないかと思つて今御質問申し上げたわけですか、そうした点について修正でもありました場合には、当局の方はそういう点に御同意なさいますか。
  53. 中村豐

    中村(豊)政府委員 独断を避けて、できるだけ各方面の人の意見を聞きたいという意味で、こう書いてあるのでございます。またさりとてこれをさらに具体的に書くということも、条文的にはどうかと思われますので、ぜひぜひこの案で御了承願いたいと思います。
  54. 徳安實藏

    徳安委員 次に委員の欠格条件とか、罷免とか、会長を置くとか置かないとか、委員事業からの隔離とかいうことが、今度のにはないようですが、そういうことは百七条にいう省令できまるのですか。
  55. 中村豐

    中村(豊)政府委員 その通ので、百七条の省令できめるつもりでございます。たた、事業からの隔離ということは考えておりません。
  56. 徳安實藏

    徳安委員 もしそうでありますれば、罷免の方法とか、議事の運営とか、会長を置くとか置かないとかいうことの腹案がすでにできておりますれば、その片鱗を承りたいと思います。
  57. 中村豐

    中村(豊)政府委員 罷免というような重要なことは、これは省令で書くべきことでありませんから考えておりませんが、その他の事務手続を規定したいと思います。従つて腹案と申しましても、現在の道路運送審議会の議事規則というものがございまして、大体それに準拠したよう、まつたく事務的なものをつくるわけであります。
  58. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと委員は、拝命されましたら、どういう事情があつても一年は全然罷免しない、こういうのですか。
  59. 中村豐

    中村(豊)政府委員 罷免というようなことは、やるとすれば、法律に基いてやるべきたと思いますが、任期も一年というように短かいことでございますから、考えておりません。
  60. 徳安實藏

    徳安委員 最後に一つお願いがありますが、前の法律による委員会が、もう近いうちになくなるというような関係から、今年の春からですけれども、非常に不愉快なことを私は聞いております。行きがけの駄賃というような気分で、ずいぶん乱暴なことをする委員会もあるというようなことも聞いておりますし、また以前からしばしばこの委員会でも問題にいたつたことがありますが、私たちは相当不愉快なニュースを聞いておりまして、そうしたことのないようにしばしば御注意を申し上げておつたわけであります。この法案が通過いたしますれば、前の法律委員会もも5わずかの期間しかないことになります。どうか今あります委員会が有終の美をなしますように、行きがけの駄賃というようなことで、いいかげんな審議川をいたしましたり、おかしなことをしないように、特段の御監督と申しますか、そうした点について一層の御注意を喚起したいと思います。
  61. 中村豐

    中村(豊)政府委員 そのようなことかないように努めたいと思います。事実道路運送審議会委員さんは、こういう法案が出たために非常に弱気になられまして、もうこれ以上自分らは議案の審議はしたくない、公聴会も開かないというふうになられたので、私どもの方でかえつて議案が渋滞して困るので、もう少しやつてくださいとお願いしているくらいでありましたから、そう御心配のようなことは曲らないと信じております。
  62. 徳安實藏

    徳安委員 バスのことで局長に御者見を伺つておきたいと思います。独よ的なやり方で黒字を持つておりながら、しかも輿論に合わないような横暴をやつている者に対しては、断固としてサービスをさせるように取締りをし、厳重な監督をしていただかなければならぬと思いますが、現在はそうした点に対する厳重な監督や指導が欠けているのではないか。地元からずいぶん不平があり不満がありましても、それが一向に改まらないというようなところがずいぶんあるようでありますから、こういう点に対しまして、監督官庁の方ではどんな御指導をなさつておりますか。あるいはすでにそういうものに対しては警告などを発しておられましようか。この点を伺います。
  63. 中村豐

    中村(豊)政府委員 バス事業者は、公共事業として、法律に基いていろいろの義務を負担しておりますし、またりつぱなサービスをやる責任を持つておるのでありますが、実際にそのような責任を尽してない場合には厳重に戒告して、業務の改善の命令も出しておるわけでございます。そのような実態を把握するために、業務の監督もできるだけ励行して、サービスに欠陥がないように努めております。ただ何と申しましても、予算も少いし、定員も少いことでございますので、十二分なことができないことを残念に思つております。
  64. 徳安實藏

    徳安委員 黒字線であるからといつて、あとから出るものは全部許可にならぬというような考え方はおかしいと思う。たとい黒字線であ力ましようとも、ほんとうにサービス精神を発揮して、地元民から感謝されて営業しておるものに対して、新しい業者許可されることはいけないかもしれませんが、相かわらず独占の夢を見て、横暴で、サービスの悪い線は、たとい黒字線であろうとも、またいかに重要な線であろうとも、住民にそういう不便、不足を与えておるようなところは、どんどん複数制でもやつていただいて、独占の気持を是正していただくようにしていただきたいと考えますが、局長の御意見を伺いたいと思います。
  65. 中村豐

    中村(豊)政府委員 独占の形だけを問題にせずに、独占による弊害のある場合には、それを是正するために複数制が必要だと思います。問題は既存の事業者事業経営状態が、はたして独占による弊害を現わしておるかどうかということが、一番ポイントになるわけでございますが、その点は十分審査して、個々の具体的な問題に対処したいと思います。
  66. 徳安實藏

    徳安委員 私の質問はこれで打切りますが、どうか今のバスの問題につきましては、十二分に監督をされまして、そうした地元民からの要請の強いものに対しては、それが多少黒字の線でありましようとも、その会社の生命線とすべきものでありましても、そうした住民の強い要請に今後こたえていただきたいということを、特にお願いいたしまして私の質問を終わります。
  67. 關内正一

    關内委員長 残余の質疑は次会に譲ることにいたします。次会は十四日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十五分散会