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細田政府委員 戦没者遺族の
靖国神社参拝旅行に対する
取扱いにつきまして、御
報告を申し上げたいと存じます。前
国会におきまして、三月十三日でございますが、当
運輸委員会におきまして、
戦没者遺族の
国鉄運賃割引に関する件の
決議がなされまして、
運輸大臣あてに
委員長から書面をいただいたのでございます。その後
運輸省、
国有鉄道が中心になりまして、
関係の
厚生省あるいは
靖国神社等と種々
方法につきまして
打合せをいたしておりました。大分おそくなりまして恐縮でございますが、ようやく成案を得まして、実施に移す
段階に至りましたので、御
報告を申し上げる次第でございます。
靖国神社に
合祀されておりますのは、約百七十万柱でございます。形式的には一応
昭和二十年の十一月に、
名前やその他もわからないままに
合祀にな
つておるのでございます。それを逐次詳細に調査をいたしておるようでございまして、
昭和二十七年の十月までに、
名前その他がはつきりいたしまして、
霊璽簿というのがあるそうでございますが、
霊璽簿に登録いたしましたものが約三十六万あるそうでございます。この百七十万のうち三十六万ははつきりいたしておるわけでございますが、この余の方につきましては、逐次これを取調べをいたしておるところだという話でございます。今回の
運賃割引につきましては、この百七十万が一応
対象になるわけでございます。
昭和十九年までに
合祀になりました
戦没者につきましては、すでに
割引の
特典を実施いたしておりますので、
昭和十九年までに
合祀したものを除きまして、
靖国神社参拝旅行に一回限り適用いたすことにいたした次第でございます。
遺族の
範囲でございますが、これもいろいろな
範囲のきめ方があるわけでございまして、
厚生省と
十分相談をいたしたのでございますが、
戦傷病者戦没者遺族等援護法第三十五条の定めるところによりまして、
遺族の
範囲を決定いたしたのでございます。
それから次に
旅客の
運賃でございますが、
国鉄の
鉄道、
航路、
自動車はもとよりでございますが、私鉄の方も協力を願うことになりまして、本
委員会の
決議では
国鉄ということにな
つてお
つたのでございますが、
連絡社線というふうに
範囲を拡張いたした次第でございます。
割引の区間でございますが、これは
居住地のものよりの駅と東京都区内の
各駅相互間の
往復、実は従前は
往復だけであ
つたのでございますが、今回は特に
回遊というものも新たに加えることにいたした次第でございます。
回遊と申しますのは、たとえば
関西なら
関西の方が
靖国神社に参られて、
帰りに
信越線なら
信越線をまわり善光寺をお参りになるとい
つたような、別な経路でお
帰りになるというものも適用を拡張いたしまして、
遺族の方々の御便宜をおはかりするというふうにいたした次第でございます。料金は三等にいたしました。
遺族の数は、
戦没者お一人について二人ということにいたしたような次第でございます。
一番問題になりますことは、非常に数が多いわけでございまして、百七十万——もちろんこの百七十万にはまだわからぬ方がたくさんあるわけでございますが、いずれにいたしましても百七十万でお二人ずつということになりますと、三百四十万ということになるわけでございます。これを
国鉄輸送力の
関係、その他からいたしまして、どの
程度出して、またどういう
方法でこれを出して行くかということが、一番問題であ
つたわけでございます。そこでこの
割引証を出す
方法としまして、いろいろ
考えました結果、
靖国神社の方で一応
合祀の
通知というものを逐次出すことに相な
つておるわけでございます。
合祀は一応二十年の十一月に
一括合祀という形をと
つておるわけでございますが、それをあらためて
合祀の
通知をはつきり出すわけでございます。さしあたりましては、間もなく約六万というものに
合祀の
通知を、
府県市町村を通して出すわけでございまして、この六万という方を
対象にいたしまして
割引証を出す、こうい
つた形にいたしたのでございます。これが今後、本年度におきましてもこれだけでなくて、あるいはさらに
靖国神社の
事務がはかどりまして、もつとふえるという
可能性もあるわけでございますし、また来年度はあるいは十万とか二十万とかいうふうにふえる
可能性もあるわけでございます。これに対しまして
輸送力の
関係とどういうふうに調整するかということにつきましては、今後逐次
打合せをいたしまして、
輸送力の許します限り出したいということに
考えております。ただ問題は
割引証を配りまして、実際にどういう形で利用されるかというようなことは例もございません。戦争中までや
つておりましたのは、大祭のときに、おいで願う日がきま
つておりまして、一ぺんに出て来られるものについて
割引をいたしておりました。今回はそうでなく、五
割引の
割引証を、あとで出て参りますが、二十八年七月十五日まで約一年間有効な、いつでも使えるという
割引証を出すわけでございますから、どういう形で
輸送上現われて来るか、おそらくは四月、五月あるいは十月、十一月とい
つたような、春秋の
旅行の好季節に集中されるのじやないかと
考えられるわけでございますが、必ずしもそうとも言えません。今後これはどういうふうに利用されるかという状況によりまして、そういうことも
考え合せて、今後の枚数についてはきめて参りたい。できるだけ
輸送力の許します限り多くなりますように努力はいたしたい、かように
考えておるわけでございます。さしあた
つては六万人の分の十二万枚をさつそくに出すということにいたしたわけでございます。
割引証は、この資料の二枚目と三枚目にございますが、こういうものを
国有鉄道で印刷をいたしまして、調整をいたし、先に申しました十二万枚というものを、
一括厚生省に渡すわけでございます。
厚生省が都道府県を経由いたしまして、
市町村に交付いたしまして、
市町村長から
遺族に配付していただく、こういう方式をと
つておるのでございます。
期間を非常に長くいたしましたのは、いろいろな御
事情もありましようし、御都合もあるだろうということを
考えまして、
遺族の方が、せつかく出しましても御利用ができないことでは困りますので、十分利用していただけるようなゆとりを持
つた期間にいたしておる次第でございます。なお
遺族の方に手渡しますまでに、住所の変更その他でかなり時間もかかるのじやないかというようなことも考慮いたしまして、こうした非常に長い
通用期間にいたしたような次第でございます。大体以上で
報告を終ります。