○中村(豐)
政府委員 それではただいまの御
質問に対しまして、先般の
国会で議員提案でお出しくださつた
改正案と違
つておる点を、具体的に御
説明申し上げます。先般お手元にお配りいたしました「
道路運送法の一部を
改正する
法律案説明要項」というのがございますから、これについて見ていただきたいと思います。
先般の議員提案の
改正の
趣旨は、全面的に取上げさしていただいております。多少字句についてきわめて軽微な修正が条文的にされただけなのでありまして、この点は精神的にはまつたく同一でございます。便乗さしていただいたわけではございませんが、実施後一年間の経験にかんがみまして、どうしても実情に合わないから
改正いたしたいと思う点をつけ加えさしていただいたのが数点ありますから、それについて御
説明申し上げます。
まず第一は、第三条の
関係でございます。
自動車運送事業の種類についての定義を書いてあるわけでございます。これについて二、三
改正をしております。第一は一般旅客
自動車運送事業、いわゆるバスでございますが、これは従来表から定義を与えてなか
つたのでありますけれ
ども、
自動車運送事業のうちで最も代表的な事業でありますので、これに対して
路線を定めて定期に運行する
自動車により乗合旅客を運送する事業というふうに、定
路線、定期、乗合旅客という三つの要件を全部具備すべきものであるというふうにいたしたのであります。第二のおもな点といたしましては、貨物
自動車につきましも、定
路線、定期、積合貨物という三つの条件を具備すべきものといたしたのであります。それに従いまして他の事業の定義を幾らか修正いたしましたが、実質的の変更はございません。
第二の大きな
改正としましては、免許
基準について
改正をした点でございます。第六条でございます。第六条に従来は免許
基準が五項目書いてございましたが、この内容について実際に合りように具体的かつ明確に修正をいたしました。特に公益上必要であり、かつ適切なものであるという
趣旨を、新しい本法ではつきりとうたつた点が重要な点であります。第六条の第三項で、先般の
改正案とまつたく同
趣旨の、「
運輸大臣は、免許の
申請を
審査する場合において、前二項に掲げる
基準を適用するに当
つては、形式的画一的に流れることなく、当該
自動車運送事業の種類及び
路線又は事業区域に応じ、実情に沿うように努めなければならない。」ということをはつきりとうた
つたのであります。
改正の第三点は、第七条でございまして、従来は免許を受けてから三箇月ないし四箇月のうちに準備を整えて運輸開始をすることにな
つておりますが、その際に準備がはたして完全にできたかどうかについて確認する方法がなか
つたので、結局準備不十分のままで事業を開始して、途中でだめにな
つてしまうこともありましたので、新しい第七条では、運輸開始の前に
運輸大臣の確認を得なければならないとした点でございます。
第四の
改正は、運賃及び料金について、現在は一定額でも
つてきめなければいけないとな
つておりましたのを、新しい第八条の第三項によりまして、バス及びタクシー、ハイヤー事業以外につきましては、最高額及び最低額というものできめてもよろしい。つまり弾力性のあるものにしたのであります。また運賃、料金については、対距離制による場合には、
運輸大臣がその距離を指定する制度も起しました。これは第八条第二項第五号でございます。
次の
改正点としては、バス及び
路線トラツクを代表的なものとして、定期、定
路線、乗合または積合せということを条件にしましたので、それ以外のものが類似行為をしてはいけないということをうた
つたのであります。それは第二十四条の二でうた
つてございます。但しそのような場合でも、災害その他の緊急
事態の場合、あるいは一般事業者によることが困難な場合に
運輸大臣の
許可を受けた場合はよろしい、またトラツクについてはその
鉄道あるいは
路線、トラツクの貨物の集配の場合であるとか、多数貨物の集散する場合はよろしいということにして緩和規定を置いて、実情に沿うようにいたしてあります。
次はまた少し元ヘもどりますが、事業区域を定めるタクシー、ハイヤー事業であるとか、区域トラツク事業にあ
つては、従来はその事業区域から外に出る場合には、一々
運輸大臣の
許可を受けなければいけなか
つたので、はなはだ煩雑でありましたので、今回は事業区域から外に出る場合に、区域内と区域外とにまたがるような運送、言葉をかえて言えば区域内に出発地または到着地のいずれかがある場合には、そのような運送は
許可を受けなくてもしてよろしい、区域外だけで動くことはいけないというふうにしたのであります。これは第二十四条にな
つております。
それから第四十三条の二というのを起しまして、事業者が法令違反その他の違反行為をしたような場合に、
運輸大臣が免許の取消し、あるいは事業の停止ということができたのでありますが、そのほかにそれよりは幾らか軽い制裁として、輸送施設の使用の停止ということができるようにいたしました。そうしてその場合にはその車のナンバー、登録番号標というものを陸運局長が領置を受ける。また
自動車の査証を返納させるということにして、処分の徹底を期することにしたのであります。
次の
改正の要点は第八十九条でございまして、従来
自動車運送取扱事業者、いわゆる水屋といわれるものは、区域トラツクでも
つて貸切りのみならず、積合せ貨物の運送もできたのでありますが、これを大幅に全面的に認めますと、
路線トラツク事業者に対して非常な影響を与えますので、これに対しては災害の場合、あるいは公衆の利便を増進するため必要であ
つて、
運輸大臣の
許可を受けたとき以外は、いわゆる貸切りを利用した小口混載運送をしてはいけないということにしたのであります。
次の
改正は第九十六条でございまして、軽車両運送事業、つまり荷車、リヤカー等による運送事業の場合は、従来届け出ることにしているのでございますが、これを削除して、自由にして行政簡素化をしたのであります。
次は第九十九条でございまして、自家用
自動車も従来は使用届出制度にな
つておりましたが、旅客
自動車の自家用に限
つては使用届出制を廃止して、これまた手続の簡素化をはか
つたのであります。
改正の最も大きな点は第八章でございまして、これは先般の議員提案とまつたく同じ
趣旨で、現在の道路運送
審議会制度を全廃しまして、それにかわるべきものとして
自動車運送協議会を置いたという点でございます。この内容は一部字句の修正を除きましては、全面的に先般の
改正案と同様でございます。
それから聴聞制度を拡張しまして、行政の民主化を徹底させることにいたしたのでありまして、これは第百二十二条の二ということにな
つております。
最後に道路運送に関する団体は、百二十五条でも
つて従来から届出することにな
つておりますが、その団体の行う事業を例示しまして、一号から十号まで掲げまして、業界の連絡機関であるのみならず、行政庁に対する
法律遵守及び
法律励行の協力団体である旨を明らかにした点でございます。
大体以上が
改正の要点でございます。