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1953-06-24 第16回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年六月二十四日(水曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 關内 正一君    理事 岡田 五郎君 理事 關谷 勝利君    理事 松井 豊吉君 理事 原   彪君    理事 楯 兼次郎君 理事 川島 金次君    理事 鈴木 仙八君       大久保武雄君    岡本 忠雄君       木村 俊夫君    高橋圓三郎君       徳安 實藏君    南條 徳男君       山崎 岩男君    有田 喜一君       臼井 莊一君    岡部 得三君       松原喜之次君    山口丈太郎君       中居英太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (船員局長)  武田  元君         運輸事務官         (自動車局長) 中村  豊君         運輸事務官         (航空局監理部         長)      粟澤 一男君         海上保安庁長官 山口  傳君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利  昂君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 靜夫君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監理局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 六月二十三日  栗原鉄道改軌に関する請願長谷川峻紹介)  (第一四三九号)  ガソリンカーの運転区間を米沢駅まで延長等の  請願外一件(西村力弥紹介)(第一四四〇  号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本航空株式会社法案内閣提出第六八号)  海上衝突予防法案内閣提出第六九号)(  予)  海上運送法の一部を改正する法律案内閣提  出第七六号)  海事代理士法の一部を改正する法律案内閣  提出第七七号)(予)  運輸行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 關内委員長(關内正一)

    關内委員長 これより会議を開きます。  日本航空株式会社法案海上衝突予防法案海上運送法の一部を改正する法律案及び海事代理士法の一部を改正する法律案の四案を一括議題とし、まず政府より提案理由説明を求めます。石井国務大臣。     ―――――――――――――
  3. 石井国務大臣(石井光次郎)

    石井国務大臣 日本航空株式会社法案提案理由について御説明申し上げます。  世界の航空界に比べまして著しく立ち遅れているわが国といたしましては、すみやかに国際航空事業を開始することがきわめて緊要であることは申し上げるまでもないことだと存じます。  しかしながら自主的な国際航空事業によりまして、かつ公正な競争によつて国際航空界に進出するためには、相当多額の資金を要するのでありまして、たとえば優秀な航空機は一機をもつて七、八億円もいたすのでありますが、これは民間資本力のみをもつてはなかなか困難なものだと思います。これがためイギリス、フランス、オランダその他主要各国国際航空運送事業に対し、国家出資、各種の補助金その他直接、間接助成を行つているのでありまして、政府といたしましても右の各国の実例に徴し、この事業に積極的な国家的助成策を講ずることといたしまして、十億円の政府出資を本年度予算案に計上するとともに、民間資本力をも結集いたしまして、わが国資金施設、技術の全力を一本に集中いたしまして、強固な基礎を有する特殊法人を設立し、これをして国際線及びその基盤となります国内幹線を総合的に経営せしめることが最も妥当であるとの結論に達した次第であります。以上の意味において、その特殊法人基礎法規として、ここに本法律案提案した次第であります。なおこの日本航空株式会社なる新会社は、政府出資による特殊法人ではありますが、政府の干渉はできるだけ排除し、民間企業の長所を発揮し得るよう、特に十分なる考慮払つた次第でございます。以下その内容を大略申し上げます。  まず会社の目的でありますが、本会社は、国際路線及びその基盤となるところの国内幹線における定期航空運送事業並びにこれに附帯する事業を経営することを規定しております。本会社国際航空のほか、国内幹線をも実施することにつきましては、何分にも当初は少い機数をもつて、これを最も効率的に使用する必要がありますので、国際線と共通に使用できる大型機を使う国内幹線を包含せしめた次第でありまして、このことは単に航空機効率的運用の点のみならず、整備施設の充実、乗員の訓練及び間接費の低減という点からも必要であると存ずる次第でございます。  本会社株式は、会社性格記名式額面株式とし、またその所有については航空法第四条の趣旨に基き、三分の一以上の外国資本を排除し得るよう、株式譲渡制限に関する規定を設けたのであります。  次に政府は本会社に十億円出資することをこの法律附則において明らかにしております。かつ本会社に対しては、政府出資のほか、助成策として、社債発行限度を通常の株式会社の二倍まで拡張し、また公益上必要のある路線運営維持のために、将来補助金を交付し得る道も開いてございます。  次に本会社に対してはできるだけ民間企業の特色を発揮し得るよう、政府の統制を避けるのが趣旨でありますが、ただ政府出資等会社特殊性から、最小限度規制はこれを行う必要があるのでありまして、かかる規制といたしましては、代表取締役決定決議、定款の変更、社債募集その他重要な財産的処分運輸大臣の認可の対象といたしました。その他、毎営業年度終了後における財産目録等提出日本航空株式会社の商号の独占、その他この法律の施行の確保するため必要な罰則について規定いたしました。  最後に、附則において会社設立の際の手続及び経過的措置を定めたのでありまして、すなわち本法は公布の日から施行いたすこととし、会社設立事務運輸大臣が任命する設立委員に行わせることといたしております。  また現在の日本航空株式会社は、株主総会の特別の決議があつたときは、本会社営業全部を出資し、本会社にその権利義務を承継して解散することを定めましたが、その際における現在の日本航空株式会社資産については、臨時運輸省に置く評価審査会の公正な評価によつて会社に引継ぐようにいたしました。その他、本会付設立の際の政府出資分等に対する登録税の免除、運輸省設置法改正等関係法令についても所要改正を行うことといたしております。  以上簡単ではありますが、本法案提案理由並びにその内容の概略を御説明申し上げた次第であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。  次は海上衝突予防法案につきまして、提案理由を御説明いたします。  現行海上衝突予防法は、一八八九年ワシントンで開催されました国際海事会議において採択された国際海上衝突予防規則内容をそのまま取入れて明治二十五年に制定され、その後同国際規則の一部改正に伴い、所要改正を行つて来たものであります。しかるところ、一九四八年ロンドンで開催された海上における人命の安全のための国際会議において、この現行法基礎なつている国際規則について全面的に検討が加えらた結果、新たに一九四八年の国際海上衝突予防規則が採択されたのであります。この国際規則は、わが国を除く主要海運国のすべてを含む三十九箇国によつてすでに受諾され、一九五四年、すなわち明年の一月一日から受諾国において実施されることとなつております。従いましてわが国におきましても、この国際規則受諾する建前のもとに、これにのつとつて現行海上衝突予防法を全面的に改正することが必要となつたわけであります。  この法律案は、海上における衝突予防に関する規定の持つ国際的性格にかんがみまして、一九四八年の国際海上衝突予防規則内容をそのまま取入れたものでありますが、これを現行海上衝突予防法と比較して、そのおもなる相違点をあげると次の通りでございます。  第一は、水上にある水上航空機衝突予防に関して遵守すべき燈火または形予物の表示、信号航法、その他運航に関する事項をおおむね動力船規定に準じて新たに規定したことであります。  第二は、船舶が表示すべき燈火視認距離を一部延長したことであります。  第三は、停泊中の船舶は昼間、一定の形象物を掲げるべきことを新たに規定したことであります。  第四は、狭い水道を航行する場合の信号を新たに規定し、また若干の遭難信号を追補したことであります。  第五は、一般船舶と漁撈中の船舶の肝の航法に関する規定を改めたことであります。  最後は、操舵号令に関して新たに規定したことであります。  なおこの国際規則受諾に関しましては、同国際会議主催国たる英国政府から再三の要請もありますので、本法律案国会の可決を経た後、すみやかにその手続をとる所存であります。  以上簡単でありますが、この法律案提案する理由説明を終ります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。  次は海上運送法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  現在わが国におきまして、海上運送法による免許を受けて旅客定期航路事業を営んでおります事業者の数は、四百七十一に達するのでありますが、全事業者中約九六%がいわゆる中小企業の範疇に属するのであります。一方これらの事業者の運ぶ旅客数は、五十総トン船舶を例にとつてみましても、五十名ないし百名程度旅客定員を有し、一千総トンを越える船舶は、優に五百名を越える旅客定員を有しておるのであります。従いまして一旦これらの船舶について海難が発生しました場合は、まことに悲惨な結果を見るのでありますが、ただ事業者遭難者及びその遺家族より要求される賠償金弔慰金等のみを見ましても、莫大な額に達するのであります。従来このような事故の場合には、被害者は、経営者資産能力が薄弱であるため、満足な賠償金弔慰金が得られない事例もしばしばあつたのでありますが、かくては旅客利益保護において十分とは申せないのであります。このような場合に、事業者が完全に賠償に応ずるとしますれば、爾後の事業の継続が不可能な事態に立ち至るおそれも少くなかつたのであります。以上の実情にかんがみまして、一旦事故発生の場合において、旅客定期航路事業経営者をして、よくその賠償の責に任ぜしめ、もつて旅客利益保護に遺憾なからしめるとともに、事業の健全な運営を維持し得るよう、万全の備えをなさしめる必要があるのであります。  この法律案は、以上述べましたような見地に立ちまして、運輸大臣が必要と認める場合には、旅客定期航路事業者に対して、その事業者旅客運送に関して支払うことのある損害賠償のために、保険契約を締結するよう命ずることができることとするものであります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  最後に、海事代理士法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  この法律案は、次の三点について現行海事代理士法改正しようとするものであります。まず第一点は、現行海事代理士法によりますと、対価を得ないでする代籏行為は、同法の適用を受けないこととなつておりまするが、現実の問題として対価を得ているか、いないかということは不分明な場合があり、対価を得ない旨を主張して法の適用を免れようとする者も生じ、これらの者を放置するときは、私法上の権利関係及び船舶安全航行管船行政等にも悪影響を及ぼすこととなりますので、この際対価を得るといなとにかかわらず、法の適用を受けしめるように改めることであります。  第二点は、海事代理士試験を行う際に、学識経験者意見を聞くことになつておりますが、この学識経験者の選定にあたりましては、最近各地区に海事代理士会が組織されておりますので、この意見を聞くと同時に、海事代理士にこの事務を委託する者の団体からも意見を聞くこととするのでございます。  第三点は、木船運送法及び航海制限等に関する件に関する業務は、現状から見て海事代理士のみが行い得るものとすることは、必ずしも必要でなく、海事代理士以外の者が、これらの業務を行い得る道を開くために、これらの法令別表から削る必要があるのであります。また臨時船舶管理法は、本年四月二十七日限り失効しましたので、同法を別表から削ることとしたのであります。  以上がこの法律案提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上う、すみやかに御可決あらんことをお願)いたします。
  4. 關内委員長(關内正一)

    關内委員長 四案に対する質疑は次会に譲ることといたします。     ―――――――――――――
  5. 關内委員長(關内正一)

    關内委員長 次に運輸行政に関する件について調査を進めます。川島金次君より発言を求められておりますので、これを許します。
  6. 川島(金)委員(川島金次)

    川島(金)委員 この際一、二当面お尋ねをしておく必要がある問題について、運輸大臣がおりますのでお尋ねを申上げたいと思います。その一つ国鉄職員に対する期末手当、第二点は先般惹起いたしました福岡県下の香椎線における米人の不法機関室侵入の問題であります。  第一点の期末手当の問題については、すでに大臣も御了承のごとく、国鉄労組はその決定に基いて手当の受取り方を拒否いたしました。それらについては、現状をもつていたしましては、国鉄労組諸君は、最低一箇月分程度手当を支給してもらいませんことには、われわれの当面の最低生活を維持するのが困難だという意味において、その闘争の一つ方法として、御承知通り手当受給方を拒否いたし、さらに連日国会の付近にすわり込みを交互に行い、さらに国会へはもちろん、当局に対しましても、連日連夜にわたつて熱烈なこれが実現方について折衝されておるのでございます。しかるところこの問題に対しましては、政府一般公務員期末手当等との関連において、そのことが何ら顧慮されておらないやに伺つております。しかし一般公務員国鉄あるいは専売公社等立場の者とは、おのずからその性質を異にいたしておりますことは言うまでもございません。従つて私は国鉄労組諸君の熱烈なこの要求に対して、国鉄並びに運輸大臣が、最も熱意をもつてこれに対する答えを出すべきではないかと思うのでございます。しかるに今のところでは、出さざるがごどくあるいはまた出すがごとくに、政府の答弁は予算委員会その他を通じてきわめてあいまいな態度で終始いたし、おります。しかも最近におきましては、何かこの期末手当が当面の財政上ときないので、年末手当の一時繰上げ火船考えておるような構想も伝えられておるのでありますが、この問題に利しまして運輸大臣は閣僚の一員としし、あるいはまた国鉄の最高の責任者こいたしまして、どのような考えでおつれるか、またこの問題に対してどのような努力を閣内においてされておるのか、またこの問題についての見通しはどういうふうに持たれておりますか、この際大臣としての御所見を伺つておきたいと思うのであります。
  7. 石井国務大臣(石井光次郎)

    石井国務大臣 この問題は私が承知しておる限りにおきましては、大蔵省におきましてはどうしても予算上のちくな理由から、公務員のその他の関係の者も、予算以上は出しにくいという立場を始終申しておるようであります。しかしまだ最後的な決定はない思いますので、いろいろと話をいたしておる途中でありまして、最後的に至つていないということだけを申し上げておきたいと思うのであります。なお何か年末の繰上げというようなことを私は新聞ではちらつと見ましたけれども、そういう話は私は聞いたこともございませんし、あるいはだれかの考えの命にあるのか、大蔵省あたりがそういうことを言つておりますか、私の耳にはまだそういうことは入つておりません。どんな方法ができるか、どうしてもできないものか、とにかくなるべく早く決定すべき問題だと思います。できれば、みんなの御希望にどれだけでも沿い得ればけつこうだと私は思つておりますが、まだ折衝場過程でありますから、もうしばらくお待ちを願いたいと思います。
  8. 川島(金)委員(川島金次)

    川島(金)委員 まだ最後的な決定の域に達しておらないというお話でありますが、承るところによりますと、大蔵大臣並びに国鉄当局におきましては、国鉄労組はもちろん、一般公務員に対しての期末手当の増額の問題に対しましては、相当具体的な考慮を払うことになりかけておつた。しかるにこれに対しまして、自由党政調会において突然きわめて冷酷な決定を出して来た。そういう事柄がからみ合つて、せつかく政府では何らかの形で、この要求に全部こたえられないにいたしましても、若干の線には近づきたい、こういつた意思があるにかかわらず、そのような事情でこの問題が再び逆もどりをいたしまして、きわめてあいまいな姿になつてしまつた。そういうことを実は承つておるのでありますが、その点一体そういう事情があつたのか。自由党政調会としては、そういう決定最後的にされて、政府の方へ申入れをしたのか。その辺のいきさつを、もし御承知でありましたならば、伺わせていただきたいと思います。
  9. 石井国務大臣(石井光次郎)

    石井国務大臣 大蔵省政調会との間で、いろいろ財源その他についての研究をして、案を一応こしらえると)うことでやることになつたことは承知いたしておりますが、それが最後にどういうふうにきまつて、どうして行くということは、まだ正式に何にも承つておりません。
  10. 川島(金)委員(川島金次)

    川島(金)委員 この期末手当の引上げの問題は、国鉄職員としましてはきわめて重大な事柄であります。と同町に組合並びに当局関係等考えてみましても、事の推移いかんによりましては、きわめて憂慮すべき事態の起ることもなしとされないようなことになるのではないかと、私どもは衷心から懸念をしておる一人であります。どうぞ運輸大臣におかれましては、国鉄特殊事情にもかんがみられまして、一般公務員の問題はさることながら、さらに当面の責任のある問題といたしまして、今後とも十分な熱意をもつて、急速にこの解決に当られるよう処置されたいと、私に強く希望をいたしておくものであります。  次にお尋ねをいたしたいのは、先ほど申し上げました去る昭和二十八年五月二十五日の夜、福岡県下の香椎線西戸崎発貨物第六七七列車に惹起いたしました米軍機関車不法侵入、並びに侵入したのみならず、酒気を帯びたその米軍は、執務中の機関助手並びに機関士に対してシャベルをもつて殴打するという、きわめて重大な事件が起つたことは、大臣もさだめし御承知のことと思うのであります。この種の問題は、ひとり国鉄閥係のみならず、こうした日米関係の上から申しましても、きわめて不快な、また遺憾なできごとが各所に起つておるのであります。ことにいやしくも重要な貨物列車運行中に、酒気を帯びた上とはいいながら、米軍が突然に機関車に忍び寄り、その上、いかなる事情があつたにいたしましても、シャベルをもつて乗務員を殴打し、そのためにその列車運行に重大な支障を来さしめたということは、きわめて重大な事件だと私は考えるものであります。そこでこの事件に対しまして、その後一体国鉄当局あるいは運輸省政府関係はいかなる処置に出て、この犯人を逮捕、あるいはその他のことについての折衝をされ、あるいは捜査をされておるか。その経過について御承知でありましたならば、この際承つておきたいと思います。
  11. 石井国務大臣(石井光次郎)

    石井国務大臣 はなはだ申訳ありませんが、私詳しい事情、その後の処置の様子を承知いたしませんで、先ほど国鉄関係局長を呼んでおりますので、参りましてから詳しく御説明申し上げます。
  12. 川島(金)委員(川島金次)

    川島(金)委員 大臣はこの事柄について御承知のことだと思うのですが、これはひとり国鉄関係の問題でなくして、少くとも政府において取上げるべき性質事柄ではなかろうかと思うのであります。そういう意味で私は大臣お尋ねをして、こまかいことは直接の関係者からお尋ねをしたい、こう思つてつたのでありますが、そういう大まかな線の上についての事柄につきましても、大臣はこれにはあまり関与されておらなかつたのでございますか、どういうことですか。
  13. 石井国務大臣(石井光次郎)

    石井国務大臣 私その報告をよく受けておりませんので、まだお答えするようなところまで至つておりません。
  14. 川島(金)委員(川島金次)

    川島(金)委員 この問題は単なる福島県香椎線一つのケースではないのでございまして、国鉄あるいは私鉄方面などにも、この種に類した事件が頻発をいたしているやに私は聞いておるので、従つてこの問題は単に香椎線の問題にとどまらない。さらにまた今申し上げましたように、これは日米間の上に立つての問題としても、軽視することのできない事柄ではないかと思うのであります。しかもこういう事柄が、私の聞いた範囲によりますと、大体うやむやになつてしまうということ6ちります。そう(う二と6もつてま断じてならないのでありまして、いかに米軍関係人たち行為でありましても、正しからざること、国内の法に背反するようなこと、またわれわれの生命財産に脅威を感ずるような行為が行われることに対しかしては、やはり政府は断固たる態度をもつて、その問題の解決に当るという決意と熱意を示すべきではないかと私は思うのであります。そういうことでなくいたしましては、それでなくても反米等考え方が国民の中にようやく起りかけておるときでありますので、そういう問題を勘案いたしましても、こういう種類の問題につきましては、できるだけ早期に問題の解決をはかるという立場をとることこそが、最も望ましいことではないかと思うのでございますが、そういうことについて一体大臣はどういうお考えでおらるるか、その点をひとつ聞かせていただきたいと思います。
  15. 石井国務大臣(石井光次郎)

    石井国務大臣 これは鉄道関係にばかり起つた問題ではなく、全般的の問題も同じことだと思うのでありますが、今申し上げたように事情を急速に調べまして、われわれの方に理由がある場合、これに対して抗議をし、またそれに伴いましてのいろいろな折衝をし、善後処置を講ずることは当然なごとだと思います。私もそういう意味において善処いたしたいと思います。
  16. 關内委員長(關内正一)

    關内委員長 次に本委員会所管事項につきまして、当局よりその現況及び将来の計画等を聴取いたしたいと思います。まず港湾関係説明を求めます。黒田政府委員
  17. 黒田政府委員(黒田靜夫)

    黒田政府委員 港湾局所管事務につきまして御説明を申し上げます。  一般港湾と申しましても、日本では非常にその数が多いのでございまして、全国に三千ほどあるのでございますが、そのうち運輸大臣が指定いたしておりまする港湾が五百十数港になつております。また港湾法によりまして、国の経済に重要な影響を及ぼす港湾として、政令によりまして定められた港湾が五十六港、そのほかに特に重要港湾の中でも国際航路要衝等にあたりまして、国が相当な重点を置いておりまする港湾は、特定重要港湾として政令で指定いたされておりまして、六大港のほかに、四日市、清水を加えました八つの港がこれに該当いたしております。     〔委員長退席松井(豊)委員長代理着席〕 これらの港で扱いました貨物は、二十本年度におきましては一億六千万トン、二十七年度におきましては一億九千万トン強でございまして、鉄道で輸送されました貨物量を多少上まわつておるような現状でございます。なおこり港湾所在の市町村の人口は、全人口の五〇%を越えており、また人口十万を有する都市のうち八割はいずれも港湾を持つておるような現状でございまして、港湾国民経済に及ぼす影響は、まことに重大であろうかと思うのでございます。そのほかに工業生産は、港湾所在臨海工業地帯において生産されておるものが、全国生産額の八割程度に当つておると概算できるのでございます。  これらの港湾につきまして運輸省が所管いたしておりまする業務は、第一番に港湾施設の建設、改良でございます。さらにこの施設の管理、経営という事項を所管いたしております。さらに経営の面では、港湾荷役の点につきましていろいろな指導監督を行つておりますし、陸上に上りましては、倉庫の行政を所管いたしておるのでございます。  港湾施設の点につきましては、公共事業費のうち港湾部門がございまして、これは昨年度におきまして総額七十三億でございました。本年度におきまして内定いたしておりまするものは八十億でございまして、このうち主要な項目にわけて御説明いたしますと、三つに大きくわけられるかと思うのでございますが、港湾事業費、それから港湾に関する災害の復旧事業費、それから北海道港湾事業費、この三つに大別できるのでございまして、港湾事業費におきましては八十億のうち四十二億、災害復費におきましては三十一億、それから北海道港湾事業費におきましては六億三千万、おおむね前年度と比較いたしまして一割程度の増額を見ておるような現状でございます。  これらの港湾施設につきまして整備の大要を申し上げますと、先ほどお話申し上げましたように、港勢の発展がだんだんと著くなりまして、戦前におきましては港湾で一億三千万トン程度を扱つてつたのでございますが、二十七年度は二億トン近く、一億九千六百万トン程度と思いますが、それくらいになりましたので、貨物の増加に伴う港湾施設、そのうち特に船型が大きくなりましたために、船型の増大に必要な水深の増加とか、あるいは荷役の合理化をはかるための接岸施設の増強といつたようなことに整備の一つの方針を向けております。日本の港湾の荷役は大体沖荷役が六割でございまして、接岸荷役が四割となつております。この六対四の比率を、三年間の間に四対六程度に比率をかえたい、そうして荷役の合理化をはかり、ボード・チヤージの軽減をはかりたいという目標を持つているのでございます。船型の増大の顕著な理由は、戦前におきましては東亜の貿易が主でございまして、この貿易量が大体全貿易量の六割程度であつたかと思うのでございますが、終戦後におきましては、アメリカとか濠州のような貿易が盛んになりまして、東亜の貿易とその位地をかえまして、アメリカ、濠州その他遠隔地からの貿易が六割になつており、東亜地域の方は逆に四割程度に減少いたしておりまして、これによりまして船型が相当増大しておりますので、これに伴う施設の増強を考えてやる必要があろうかと思うのでございます。  次に整備の方針として考えておりますることは、避難港の整備でございます。海難事故が非常に多うございまして、先ほど申しましたように三千幾つの港湾と申しますと、海岸線八キロごとに一つの港があり、またちよつと整備された港は四十キロごとに一つあるのでございまして、これらの港湾におきまする船舶が安全に停繋できるような避難港の整備を促進することによつて、海難事故は三分の一程度は軽減できるのではないか、また小型船の稼行率等も半分近く向上できるのではないかというふうに考えておるのでございます。それから災害復旧につきましても、施設のこれが全事業費の四割程度に上つておりますので、すみやかにこれを復旧いたしますとともに、災害の復旧ができる前にこれの基本的な防災的な処置をいたす目的をもちまして、二十八年度におきましては局部改良と申しまして、一部施設に手を加えてやり、あるいは補修改良等をいたしますことによつて、防災的な施設を、一億一千万円でございますか、考えておるような次第でございます。そのほか地盤沈下に伴う港増施設の整備、それからジエーン台風等によつて非常に損害を受けました大阪湾地区におきまする尼ケ崎、大阪港の高潮防潮工事、あるいは海岸の決壊に伴いまして、港湾が相当危険にさらされるような新潟港等の海岸防止工事といつたようなものに整備の目標をあげておるのでございます。  それに着手いたしております港湾は、特定重要港湾は金額の大小はございますが、いずれも施設をやつております。重要港湾五十六港のうち、二十七港において着手いたしております。避難港は現在二十九港指定されておるのでございますが、そのうち八港を直轄工事で実施いたしております。それから地方港湾は、主として府県がその企業者となつ事業を実施いたしておるのでございますが、これがおおむね全国百三十五港において着手をいたしております。なお工事の建設につきましては、府県がこれを行うものと、直轄で行つておるものがございます。直轄の港湾工事は、年額先年度におきまして公共事業費によるものは十五億円程度でございまして、全国を四つのブロックにわけまして、第一の港湾建設局が日本海沿岸の諸藩の港湾工事を、それから第二の港湾建設局が青森県から三重県に至りまする太平洋岸の海岸の港湾工事を、それから第三港湾建設局は瀬戸内海、四国、中国の港湾建設を、第四港湾建設局は九州、山口港湾建設を扱つております。この直轄工事は六十年の伝統がございまして、現在港湾工事は特殊の技術と特殊の作業船を必要とするために、民間の請負業者はほとんどございません。一般の軽小な港湾工事につきましては、民間の業者がございますが、本格的な防波院堤、新設工事等につきましては、直轄工事によらざるを得ないような現状でございまして、全国を四つの、ブロツクにわけまして、ただいま四十数箇所の岨それぞれの工事現場において、港湾工と事を実施いたしておるのでございます。  次に港湾法が一昨年成立いたしましたが、この港湾法は民主的な運営で、港湾の管理の主体を地方の公共団体もしくは港務局を設立して、これに管理せしめるような態勢でございまして、港湾管理者は先ほど申しましたような五百十六港の港につきましては、おおむねその区域が認可されておるような現状でございます。特に特定重要港湾、それから重要港湾については、ほとんど全部の港湾管理者の設立を見ておるような現状でございます。  それから港湾荷役の点でございますが、これも先々国会におきまして、港湾運送事業法が成立いたし、初めて港湾運送業というものが企業として確立された次第でございまして、これはその事業をそれぞれ登録することになつておりますが、全国的にその企業会社は千三百社ほどございますが、いずれもその八割は資本金三百万円以下の中小企業会社でございまして、従来企業体として非常に弱かつたのでございますが、この港湾運送事業法によりまして登録することにより、事業を確立し、また基準料金を設定しまして、不当なダンピングの競争を起さないというような指導をやつておるのでございます。実施いたしました結果、なお港湾区域内におきまする荷役が、木船運送法ができました関係で、調整をとる点があり、また登録の基準をもつと明確にする必要があり、料金等も事業者団体法の適用から除外されるような方針のもとに、今国会にその一部改正提案いたす予定で、目下進めておるような現状でございます。  倉庫の行政につきましては、終戦後相当食糧の保管あるいは重要物資の保管管理につきまして、倉庫業者は国の行政に協力して参つたのでございますが、現在百三十万坪ほどに復旧いたしまして、坪数においては戦前を上まわる状況でございますが、質的に非常に簡易なものとか、あるいは工場を倉庫に転換したようなものがございまして、この質の向上ということに対してただいまいろいろな国の財政資金の導入等を考えておるのでございまして、一昨年からわずかではございますけれども、年々四億程度をこの倉庫の改良、建設に対して、開発銀行等から融資のあつせんをいたしておるのでございます。先ほど申しました港湾運送事業のはしけ、荷役機械等に対しても、開発銀行等の資金のあつせんをいたしております。なお倉庫は最近荷動きが多少不活発になりまして、倉庫業法に基きますところの基準料金が乱れるような傾向がございますので、これらの基準料金の遵守ということにつきましても、特に最近指導をやつておるような実状でございます。  簡単でございますが、港湾局所管業務説明を終ります。
  18. 松井(豊)委員長代理(松井豊吉)

    松井(豊)委員長代理 次に先ほどの質問に対しての答弁を求めます。細田説明員。
  19. 細田説明員(細田吉藏)

    ○細田説明員 先ほどお尋ねがありました門鉄管内における外国人の非行の事故につきまして、御報告を申し上げたいと思います。  発生は、五月二十五日の二十時十分でございまして、場所は門司鉄道管理局管内の香椎線の海ノ中道の駅の構内でございます。貨物列車の六七七列車という貨物列車について起つたのでございますが、この列車が海ノ中道駅に到着いたしまして待合せをしておりますときに、外国人の一人――これは白人だそうでございますが、一人が突然機関助士の背後から機関室の中に入り込みまして、石炭をたく方でなくて、石炭を取出す口がございますが、石炭を取出す品のところにあじました片手シャベルをもつて機関助士の顔面その他を殴打いたしまして、引続き仕業日報を整理しておりしまた機関士の頭部、右手をさらに殴打をいたしましたのでシャベルをもぎとりましてつかまえようとして、乗務員が二百メートルほど追跡をいたしたのでございますが、海岸の松原方面に逃走をいたした、こういう事件でございます。これがために乗務員は負傷の応急手当をいたしまして、列車が五十四分延発をいたしたのでございます。西戸崎の機関区の所属でありますが、この機関士機関助手がさつそく各方面に連絡いたしました。習日容疑者を六名連行いたしまして、本人でもるかどうひを両名に確かめさせたそうでございますが、何しろ突然やつて来て通り魔のように逃げてしまつたというわけで、よくわからないということでございまして、真犯人は今日まで依然として判明いたしておりません。入りました一人の白人というのは上半身が裸体でございまして、ズボンだけ着用していた。飲酒をいたしまして相当酩酊をしておつたということでございまして、習日連れて来られた人がそれであるかどうかということはわからない、こういう実情でございます。本件に関しまして、現地におきましては厳重に捜査をしていただくように依頼をしておるわけでございますが、今日まで依然としてわかつておりません。大体概要を申し上げるとそういうことでございます。
  20. 川島(金)委員(川島金次)

    川島(金)委員 ちよつとついでですからお聞きいたしておきたいのはまだ真犯人が逮捕されておらないということでありますが、できるだけ米軍とも折衝を続けられて、この種の犯人は早急に発見すべきであろうと思います。そしてまた発見された後においての処置についても、やはり国民が納得できる程度処置がなされるべきであろうと思うのでありますが、この際お尋ねしておきたいのですが、こうしたケースの類似の事件がまだ他にも今まであつたのではないかと思いますが、国鉄に関する限りにおいて他にもありましたかどうか。もしありましたといたしますれば、それに対して従来どのような措置がとられたか、この点御承知でしたらお尋ねしておきたい。
  21. 細田説明員(細田吉藏)

    ○細田説明員 今回のこの門鉄管内の事故はかなり大きなものでござ(まして、この程度まで大きい事教につきましては、私ただいま記憶しておりますところでは、占領後にはないやに記憶しております。ただ小さい非行は、はつきり申してかなりございます。いたずら程度のもので、実際は列車をとめるとかなんとかいうことまでに至らないけれども、かなりあるということは私承知いたしております。ただいままでのところでは、非常に大きな問題になつて、外務省を通して抗議を申し込むというよな程度にまで至つたものはございませんが、私どもといたしましてはこの種の事故につきましては、厳重に調査もいたし、また抗議を申し込むべきところは厳重に抗議を申し込みたい、かように考えております。
  22. 川島(金)委員(川島金次)

    川島(金)委員 これは異なお尋ねになるかもしれませんが、従来の事件はもちろんですが、こうしたいたずらにせよ現行犯がありました場合に、もちろん鉄道公安官はこれを逮捕することができるのではないかと思いますが、それはできますか。
  23. 細田説明員(細田吉藏)

    ○細田説明員 できると確信いたします。
  24. 川島(金)委員(川島金次)

    川島(金)委員 私もそうした場合はできるという考え方を持つておりますが、しかし聞くところによりますと、軽微なるいたずらなどもありまして、半分はじようだんまじりということもあるようであります。しかしその半分のじようだんまじりが、ことに国鉄の執務中の者に対しまして、若干の危害を加えるような結果になつたということも私どもは聞いておりますが、そういう現場を見ても、付近の連絡の悪いせいもありましようが、公安官がほとんど手をこまねいておるということが多い。もしあつたとたしますれ、ま、こういうことではあつてはならぬと思います。やはり公安官に与えられた厳固とした法規的な権限があるのでしようから、たといそれが米軍であろうと他の者であろうと、ことに現行犯のごときはその大小軽重にかかわらず逮捕、連行して処置すべきものは処置するという断固たる態度に出ることの方がいいのではないかと思うのですが、そういつたものについて何か情報を持たれておりますかどうか。
  25. 細田説明員(細田吉藏)

    ○細田説明員 公安官が知らぬ顔をしておるということは私ないと考えておりますが、長い占領のあれでございますし、そういう事例が実際問題としてはある場合もあるのじやないかということを必配するわけでありまして、そういう点につきましては、もちろん今までそういう話をしておるわけでありますが、厳重に厳たる態度をとるような方向に指導いたしたい、かように考えております。
  26. 山口(丈)委員(山口丈太郎)

    山口(丈)委員 ちよつと関連して質問してみたいのですが、特に重要な交通機関に携わつている者に対する駐留軍の妨害事件は、今非常に大きな事件として川島委員から指摘されたのでありますが、これは国鉄、私鉄を問わず随所に行われておるのでありまして、特にはなはだしきに至りましては、たとえばジヤツク・ナイフなどを駅長に突きつけまして、数十分間にわたり業務妨害をされておる事件も私どもの方にあるのであります。そのような非常に危険なことをいたずらにでも行うということは、私は許されない問題であろうと思うのでありまして、こういう点につきましては特に政府におかれて厳重に調査するとともに、国民と連合軍の間における摩擦の生じないような処置を至急に講じていただくように、駐留軍当局の方に何らかの処置をしていただきたいということを要望しておきたいのであります。
  27. 細田説明員(細田吉藏)

    ○細田説明員 ただいま御要望の点につきましては、私どもとしましても十分考えなければならぬと考えております。具体的な方法をどうするかという点につきましては十分研究いたしまして、御趣旨のありますところを徹底させたいと考えております。
  28. 松井(豊)委員長代理(松井豊吉)

    松井(豊)委員長代理 次に船舶関係説明を求めます。甘利政府委員
  29. 甘利政府委員(甘利昂一)

    ○甘利政府委員 私から船舶局所掌の事務の概要について御説明申し上げます。  私の局は船舶、これは木船、鋼船を含めてでございますが、建造、改造、修理及び船舶の登録等についてのいろいろの事務、監督事務ないし検査事務船舶の安全に関する検査事務並びに最近始めましたモーターボートの監督等についている事務をやつております。御承知のように船をつくりますときには、一番先にそのトン数をはかります。われわれこれを積量測度と呼んでおりますが、現在二十トン以上の船については、私どもの地方の管海官庁がこのトン数をはかりまして、これに件名書をつけまして地方に出しまして登記を受け、それを船舶局へ持つて参りまして登録するわけであります。従つて二十トン以上の船舶のすべての件名に対する原簿は私の局にあるわけであります。これによつて日本の船腹量あるいはその船の内容等もはつきりわかるのであります。なおまたその船の建造中は、船の就航後のいろいろな航海上の安全のために、乗組員あるいは貨物等の安全のために検査をやつております。特に大きな船につきましては、その材料そのものについても一々いろいろの試案やつて、その確実さを確保しております。なをこの検査につきましては、海上における人命の安全に関する条約とか、そういう国際的の条約がありまして、これでおもなる基準がきめられておりますので、それにのつとつて各国が適当なその国情に合つたような規定をめて、その条約の範囲内において検査をやつておるわけであります。しかし二十トン以下の船につきましては、この積量測度もその他も地方庁にまかせておりますが、実際問題としまして二十トン以上ある船で、五十トン、六十トンという船で、現に二十トン以下の船として船鑑札をもらつておる船が相当ございます。これらの船については、乗組員その他船の安全に関しても法の適用がございませんので、種々海上における問題、あるいは衝突等の問題を起しまして、他の船に対しても相当迷惑をかけておりますのでこれらについて適当の処置をとりたいということを考えております。現にただいま考えておりますのは、一応船をつくります場合には、われわれの所管の地方の管海庁でトン数の測度を受けまして、二十トン以上の場合にはこれに国籍証書を渡し、二十トン以下の場合はこの事務を地方庁に与える。なお検査につきましても二十トン以下の船、特に五トン以下の船についにはどこも関与してないのでありますが、実際問題として非常に小さな船の旅客に対する問題がよく起りますので、これらの小さな船に対しても、船舶安全法の一部を緩和して適用して、いろいろ海難を未然に防ぎたいというようなことも考えております。以上が船舶積量測度に関する事務でありますが、なお大きな船で外国に行きます船は、パナマやスエズ運河を通るときにまた特別のトン数証書が必要でありまして、このために向うから指定された人員を配置しまして、特にそういう船に対してはまた別にトン数をはかつて証書を出しております。これらはすべて内地におきましても外地におきましてもそうですが、これらのトン数がいろいろの課税の基準になつておりますので、その事務の執行にあたりましては非常にこまかい規則を適用して、疎漏のないようにいたしております。また船の就航後のいろいろな改造工事あるいは修繕工事をやりますと、船の積量がかわつて参りますので、その都度申請によつてこれらのトン数を改測と称してまたはかり直して、常に新しく証書を出しております。船舶検査についても同様でありまして、単に船体、機関のみの安全のみならず、無線その他に対する安全の証書を出しまして、船が外国に行きましても、その証書を持つている以上、外国の官憲の検査を受けずに、自由に通行できるような措置を講じております。  次に船舶の建造関係でありますが、これは鋼船と木船とわけて考えます。と、現に鋼船をつくる造船所は全国で約九十くらいございますが、そのうち五千総トン以上の大きな船をつくれる工場が約二十四あります。それから木船につきましては約八百七十くらいの工場がございますが、これらは戦時中は相当活発に動いておりましたが、現在においては地方において漁船あるいは機帆船等を細々とつくつておりまして、年間の建造量が大体三万総トンないし七万総トンという程度でございます。鋼船につきましては、終戦後多額の財政資金を投入いたしまして、特に最近におきましては外航船に力を入れまして建造いたしておりますので、昨年、一昨年のごときはその建造量においても、世界第二位あるいは第三位というように非常に優位の地位を占めておりますが、最近の情勢を見ますと、お配りしました資料にもございますように、新造船の建造が延びておりますので、この六月現在におきましては約二十二万総トン、そのうち七万総トンは輸出船というように非常に衰微いたしております。しかしこれらの造船所はいずれも、技術並びに設備の点において非常に優秀でありまして、昨年、一昨年のごときは年間五千万ドル以上の輸出船を、しかも英、米、フランス、スエーデン、イタリアというふうに、世界の先進国に出しております。その技術の優秀さはこれをもつてもわかると思います。特に最近は、新聞でも御承知のように、ユーゴスラビアあるいはブラジル、チリー、チエコあたりからも一いろいろそういう船の引合いがあるのでありますが、一昨年あるいは昨年のように海上の運賃が非常に高いときには、日本のように非常に納期の早いところには、船価が幾分高くても注文が参りましたが、昨今のごとく運賃事情が非常に悪くなりますと、納期の早いよりはむしろ船価の低いということが輸出船の眼目になりますので、一割程度高いのでありますから、このために、引合いは非常にたくさんありますが、現になかなか隻がまとまらない現状でございます。このような設備と技術を持つているのでありますから、造船については、特に船価高になつておりますところの鋼材等について、諸外国と同等の価格にすれば、十分これらの輸出ができるものとわれわれ考えておりまして、何らかの措置を輸出に対してとれば、船舶輸出は今後とも大いに伸びて行くのではないか、こういうふうに考えております。一方世界の船の需給状況を見ましても、特に油槽船につきましては今後ますます多量を必要といたしますし、すでに現在の油槽船の約半数は老齢船でありますので、これらの代替と合せますと、相当量の船が必要だということが資料でわかりますので、われわれとしましては何とか輸出促進の意味において、鋼材価格について、あるいはいろいろな免税措置につきまして適当な措置をとりたい、こういうふうに考えております。また一方わが国の鋼船の能力は、先ほど申しましたように現在五千総イン以上つくるものが二十四ありますが、これらの能力を総合いたしますと、約六十万総トンといわれております。ここに働く工員諸君が約八万人、職員を入れまして約十万人、その他これらの船につけます機械類あるいは材料あるいは艤装品等をつくる関連産業と申しますか、約二百四、五十種類ありますが、これらに直接携わる工員を合せますと、約五十万人近くの工員をかかえておるのであります。従つて単に外航船をつくつて国際収支を非常に良好ならしめるというのみならず、日本の一般中小企業の振興あるいは景気対策としても、造船に投資することは非常にいい策じやないか、こういうように考えているわけであります。  木船の方は、先ほど申しましたように相当多量の工場があるのでありますが、これらは機帆船そのものが相当過剰で、沿岸航路の運航状況がおもわしくありませんので、現状においてはあまり新造をやつておりません。一部漁船の新造をやつている工場のみが相当繁栄しているのみで、他は非常に衰微いたしておりますが、これらの工場は不景気時代にはまたいろいろなはしけその他の船に類似のものをつくつて、どうにか細々と過しておりますので、全然仕事をやめてしまうというふうな造船所は非常に少いのであります。  但し鋼船の方につきましては、一工場で五千人ないし一万人という非常に多量な工員をかかえておりますし、しかもこれらの造船所のある場所が中小都市、たとえば長崎であるとか、あるいは玉野であるとか、あるいは因島というような、比較的中小都市にありますので、その都市の大部分が造船業によつて維持されているというふうな箇所が非常に多いのであります。従つてこれら鋼造船所の衰微は、その地域あるいはその府県の盛衰にもかかわりますので、地方としても新造船の将来については非常に期待を持つておるわけでございます。  それから最近問題になつております新造船が非常に高いという点については、われわれとしても船価低勢ためにいろいろの措置をとつておるのでありまして、たとえば最近できます船は、その数年前にできました船に比べて、鋼材の量においても約一割近く減つておりますし、また使用工数についても約二割ないし三割、非常に減つておるのであります。しかし一方鋼材を初めその他の材料が非常に高いために、これらの合理化をやつてつても、やはり依然として船価は逐次高くなりまして、数件前の船価に比べて現在約二倍でありますが、しかしほかの一般の物価の値上りに比べますと、まだく低いのであります。従つてこのような造船所をわれわれとしてはできる、だけ維持したいというふうな気持を持つております。  それからモーター・ボートにつきましては、皆さんも御承知だろうと思いますが、全国で今十一箇所やつておりますけれども、いずれも相当の成績を上げております。特に福岡県の芦屋、若松、兵庫県の尼ケ崎、それから三重県の津あるいは岡山県の児島等においては、一日六百万ないし千五、六百万の売上げがあつて、非常に順調にやつておりますが、二、三まだ不順なところがございます。モーター・ボートの競走についているくいい面もあるのだすが、いろいろ弊害の面もまた聞いております。そういう面についてはわれわれもできるだけいい面を伸ばし、害のある面を除去したいというふうに監督上措置をとつております。以上が私の所管事項の大要であります。
  30. 川島(金)委員(川島金次)

    川島(金)委員 今のモーター・ボートのことですが、今やつているところはどこでしようか。
  31. 甘利政府委員(甘利昂一)

    ○甘利政府委員 やつているところは、西の方から行きますと、長崎の大村、福岡県の芦屋、若松、岡山県の児島、香川県の坂出、兵庫県の尼ケ崎、大阪の狭山池、琵琶湖のそばの大津、三重県の津、愛知県の常滑、福井県の三国、このくらいだろうと思いますが、詳細はまたあとでお知らせ申し上げます。
  32. 松井(豊)委員長代理(松井豊吉)

    松井(豊)委員長代理 次に船員局関係説明を求めます。武田政府委員
  33. 武田政府委員(武田元)

    ○武田政府委員 船員局の所管しております主要事項並びに当面の問題の二、三につきまして御説明申し上げます。  船員局におきましては、第一に船員の労政関係業務すなわち船員の労働組合法及び労働関係調整法並びに船員職業安定法に関する事務、第二に船員の労働基準関係業務、すなわち船員法の施行に関する事務、第三に海技従事者の試験、免許、登録に関する業務、すなわち船舶職員法の施行に関する事務、第四に船員の教育養成に関する業務、すなわち大学、高等学校を除く船員の教育養成機関の所管業務、第五に船員の給与、福利厚生に関する業務を所管いたしております。  最初に船員の労働運動の現状について御説明申し上げます。船員の労働組合の中では、全日本海員組合と申しますのが組合員数十万三千を擁しまして、最も強大な組織を有しまして、船労働組合運動の大勢を支配しております。この組合は国際的には世界自由労働組合連盟及び国際運輸労働組合同盟に加入しまして、平和条約を支持いたしまするとともに、日米安全保障条約を是認しておりまして、国内的には総評に加盟しておりますが、昨年十一月の定期大会におきまして、総評の行動を批判しまして、本年二月十四日全国繊維同盟、日本放送労働組合、全国映画演劇組合とともに民主主義労働組合運動連絡協議会、これは通称民労連と申しておりますがを結成して、運動を行つております。また同組合は、昨年七月船主協会に対しまして職種別最低賃金の改訂を要求し、船員中央労働委員会の調停により妥結を見たのでありますが、その後船主協会から提案されました船舶乗組定員基準の改訂、これは労働協約の一部改訂でございますが、これにつきまして、労使の意見が一致いたさず、現在船員中央労働委員会で調停中でございます。  次に船員法の施行状況でございますが、改正船員法施行後約五年有余を経過しましたが、その後船員労務官の本格的臨検検査を開始しまして以来、最近は違反船舶数は漸減の傾向にございまして、昭和二十四年の実績を一〇〇といたしますと、昭和二十七年はは六一となつております。漸次船員の労働保護は向上しているものと思います。詳細の点は資料によりごらんをいただきたいと思います。  次に遺家族船員の援護の問題でございます。今次戦時中船員動員に関する諸制度によりまして強制的に戦闘に参加せられ、軍人以上の犠牲を払いました徴用船員のうち、援護法上軍属として扱われておりまする陸海軍徴用船舶の乗組員以外の者、これは元の船舶運営会所属船員でございますが、これら船員は一般徴用工あるいは動員学生並の弔慰金を支給せられたにすぎず、御承知のように旧軍人恩給が復活いたしますようになれば、ますます旧軍人との懸隔が大きくなり、社会政策上並びに海運政策上好ましくない結果を招くおそれがございます。よつて厚生省と折衝の結果、前国会に援護法の改正案、その内容は陸海軍徴用船舶乗組員の遺族年金一万円を二万二千五百円に引上げ、また障害年金を最高額九万円を十二万三千円に引上げいたしますとともに、旧船舶運営会所属船員を軍属船員並に取扱わんとするものでありますが、この改正案を、厚生省提案でございますが、前国会提出いたしましたが、国会解散のため審議未了と相なりまして、今国会に再び提出されるよう厚生省と折衝中でございます。  次に優秀船員確保の問題でございます。戦前におきましてわが国の海運が非常な発展をいたしました条件の中で、わが国の船員が優秀であつたという事実を見のがすことができないのであります。独立後のわが国海運が国際競争場裡に活躍するためには、ぜひとも優秀船員の確保の対策を樹立する必要がございます。これがため船員教育制度及び機関の整備をはかるため、左の諸施策を企図しておるのであります。  第一には海員学校の教材、備品の整備であります。すなわち普通船員の養成機関である海員学校、これは全国に八つございますが、その設備、教材、備品は非常に老朽、不足しておりますので、これを整備することであります。この予算の計上額千七十万円でございます。  次に戦前実施されておりました船員教育機関の学生、生徒に対する給費制度、すなわち在学中の学生、生徒に対する被服費及び食糧費の支給であります。これが予算の計上額百五十万円であります。  次に海員学校一校増設、すなわち普通船員の需給対策上一校増設の要があるために、長崎県の口之津に一校を、施設費の半額は地元負担を得まして増設することとし、この予算計上額は二千三百万円でございます。  次に運輸省所管の航海訓練所におきまして、商船大学、商船高等学校あるいは海員学校等の学生、生徒に対して、練習船の実習を実施いたしておりますが、航海訓練所の所属練習船のうち、すでに老朽しております戦標船改E型練習船二隻を廃棄しなければならないこと、また新たに神戸に商船大学が設置されましたが、この学生の練習を行わねばならぬという関係上、三千トン型練習船一隻を増強すること、この予算計上額二億八千万円でございます。以上の予算計上額は大蔵省折衝の結果、昭和二十八年度予算案に織込み済みでございます。  次に船舶職員法の施行状況でございますが、本法は昭和二十六年改正実施されまして以来、免状の発給状況は逐次増加しております。特に問題になつておりますのは、新しく法の対象船になりました小型船、これは機帆船、漁船でございますが、その乗組員の講習会が逐次増加いたしまして、これに伴つて臨時試験の要請も急激に増加しておりますので、運輸省としても極力要望に沿うよう努力し、本年度は一回当りの受験者数も増加しまして、予定人員一万三千人を実施することにいたしておりますが、詳細につきましては資料によつてごらんをいただきたいと思います。  以上、船員局所管事項を簡単でございますが御説明申し上げました。
  34. 松井(豊)委員長代理(松井豊吉)

    松井(豊)委員長代理 次に海上保安関係説明を求めます。山口政府委員
  35. 山口(傳)政府委員(山口傳)

    山口(傳)政府委員 お手元に海上保安業務現状という資料を差上げてあると思いますから、詳しいことはそれをごらんいただくといたしまして、当面の海上保安業務のトピックにつきまして二、三御説明を申し上げたいと思います。  御承知のように海上保安庁は昭和二十三年の五月に誕生いたしまして、今日まで五年余を経過したのでございます。担当事務をいたしましては海上における治安の確保並びに航海の安全維持という二つに尽きるわけでございます。おもな仕事といたしましては警備救難業務、燈台業務、水路業務、この三つにわかれるわけでございます。現在のところ職員が全国に定員としては一万一千百一名でございますが、現在員といたしましては約一万六百名でございます。五年余を経過し、いろいろ施設等に不備もございましたが、最近におきましてはますあす志気旺盛て、海上保安業務に精励いたしております。  ただいまのところ問題となりますことは、何よりもまずもつてこの業務の手段たる船艇の増強でございます。ただいま警備救難の仕事の主力になります巡視船が全国で九十二隻ございますが、その半数以上は従来の老朽船、百トン前後の木造船でやつております。最近に至りまして、この二、三年、七百トン型とか四百五十トン型、二百七十トン型、かような新鋭の巡視船が合計四十四隻加えられましたので、これがもつぱら現在の海上保安の中心的な勢力になつております。しかし日本の沿岸一万海里にわたる警備救難をいたしますためには、何といたしましても現在の九十二隻の勢力をもつては不十分でございまして、今後相当の新鋭の巡視船、特に大型を若干ほしいと思います。ことにスピート等におきましても、従来新造が十五ノットという制限を受けておりました。これらをもう少し早い、約二十ノット程度経済的な船をほしいというのがわれわれの希望でございます。巡視船に配置する港内艇が現在のところ二百六隻ございます。これらのものでもつぱら沿岸の警備救難をやつておるわけでございますが、最近目新しいことといたしましては、二十七年度の補正予算におきましてヘリコプターを六機使う予算が認められました。この六機の内容は、ペル三機とシコルスキー五五型三機でございますが、ベルの三機はすでに去る十六日に横浜港に到着しまして、近々にわれわれの手に入ることになつております。残余のシコルスキーの方は、現在のところこの十月ごろでないと現物が入らないような状況でございます。いずれにいたしましても本年度におきましては、このヘリコプターが従来の巡視船の警備救難に対してさらに上空から応援をすることになりまして、ある程度の整備が期待できると思うのであります。従来の遭難やその他の事故におきましても、空からの捜索なり救援の手が差延べられれば、相当の事故も防ぎ得るという事態もずいぶんあつたわけでありますが、今日までは遺憾ながら駐留軍の飛行機に応援を頼むということしかやらなかつたのでございまして、今後このヘリコプターがある程度効果を発揮しまして、海空一体の態勢がとれることだと思うのであります。将来におきましては軽飛行機あたりをぜひさらに加えて行きたいと考えております。これは二十九年度予算におきまして、ごく少数でいいと思うのでありますが、実現を熱望いたしておる状態でございます。  次に漁船拿捕に関する状況でございます。終戦後マッカーサー・ラインが撤廃されまして、日本の漁船が勇敢に相当遠距離の操業に出ておることは御承知通りでございますが、そのために北方あるいは朝鮮海峡、東支那海等におきまして相手国との間にある程度の紛議がございまして、ときどき襲撃を受け、拿捕されておるのでございます。しかし本年度に入りましてからは、割合に事件は減少いたしております。まず北海関係でございますが、本年に入りましてから十七件程度拿捕がございます。これらの概況を申し上げますと、ソ連関係の方は、このごろの事件は日本の漁船が千島とかあるいは樺太とか、ああいつたところの沿岸にかなり接近した場合に連れて行かれるのが多いようでございまして、多くの場合二、三日の抑留で帰還させられております。その間、要するに向うとしてはスパイ行為か何かでいろいろ嫌疑をかけて抑留するのであろうかと思い場ますが、その疑いが晴れると、間もなく帰してくれるというのが最近の様子であります。従つて非常に円滑に行つているわけであります。朝鮮の方は本年に入りましてから四隻ございますが、これも一応すべて帰還はいたしております。東支那海の方は本年に入りましてから十三件ございまして、帰還して参りましたのがそのうち六隻でございます。東支那海、中共関係におきましては、終戦後いまだ帰還せざるものの累計が百十三隻、人員にいたしまして三百六十一名の多きに達しております。この方の解決につきましてはなかなか困難でございまして、常に水産庁あるいは外務省と十分連絡いたし、その都度措置はいたしておりますが、相手が悪くて思うように解決しないのははなはだ遺憾でございます。それから台湾の国府関係でございますが、拿捕が一件ございます。これもすぐ帰つております。大陸封鎖の関係が今後強化されれば、臨検等は多かろうと思いますが、今日まで国府関係は、拿捕は比較的少かつたのであります。現在のとこころ、これらの漁船が襲撃を受け拿捕される対策といたしましてま、昨年の六月の閣議決定に従いまして、仕事を開始したのは昨年の九月でございますが、現在のところ北方に二隻、朝鮮海峡に一隻ないし二隻、東支那海に二隻程度のものが常に現地にあるように、現地のパトロールに従事しているように手配をいたしております。従いましてそのために私どもの新鋭の巡視船、主として四百五十トン型でございますが、この十二、三隻というものがこの仕事のために割愛されているわけでございます。これらによりましても、今後巡視船の比較的遠洋に耐えるものをどうしても追加し、増強していただきたいという考えが出て来るわけであります。  次に浮流機雷の状況でございます。これは御承知のように昭和二十六年度あたりは相当に日本海方面で猖獗をきわめましたが、幸いにして最近非常に減つております。本年度に入りましてからもきわめて少いのであります。しかしこれは万一のことがございますので、これに対する警戒態勢は少しもゆるめておりません。冬季日本海におきまして、十二月から三月までの時期に比較的多く現われるものでありますので、その結果特段の対策を講じてやつております。また津軽海峡につきましては、昨年の十二月に白神岬並びに竜飛崎の二箇所にレーダーによる機雷探索施設ができましたので、現在のところ試験的に操業をいたしております。幸い本物がまだ現われておりませんので、津軽海峡に今日まで現われた数は、累計たしか四個だつたと思います。非常に少いのでありますけれども、これが一たび連絡船等に被害を与えました場合は非常に悲惨なことになりますので、今日では今申し上げた二つのレーダーによる機雷探知所と、海峡の西口の方で巡視船がもつぱら警戒に当つて海上探索をやつております。しかし今日、浮流機雷の出方が減つたことは非常に著しいものであります。  次に航路標識の関係でございます。御承知のように航路標識は、日本は非常に遅れておりまして、海岸線百海里あたりの基数の統計を申し上げますと、日本は現在十四基程度であります。各国の例を申し上げますと、オランダが七十五基、米国が二十三基、英国が二十基ということになつております。単にこうやつて数字を申し上げただけではいかぬのでありますが、御承知のように日本は特に海岸線が複雑多岐をきわめて、暗礁が多うございます。さような海岸線であるのに、航路標識の数が逆に低いというので、従来日本の近海は航行の非常な難所だということで定評があるわけであります。ここ二、三年来航路標識につきまして一般の認識も高まりまして、最近新設あるいは改修をする燈台がふえて参りましたことは非常に喜ばしいのであります。いまだ十分でございませんが、少なくともこれの二倍三倍ぐらいのところまで1日本の海岸締が複雑であり、気候の変化がはげしい航海の難所であるわけでありますので、むしろ列国以上に整備しなければならないのだと思うのであります。二十八年度予算では三十四箇所が予定されております。なお最近では無電による航行技術が発達いたしまして、近い機会にローラン無線局をどうしても整備しなければならない情勢に迫られております。二十八年度要求いたしましたが、これは二十八年度予算案では落ちまして、私どもとしては来年、二十九年度にはどうしてもこの仕事にとりかからなければならないと考えております。  次に水路の関係でございます。日本の沿岸の水路測量につきましては、ただいまのところ五つの班をもつて沿岸の測量をいたしております。このような状態では、日本沿岸の海測をするのに今後相当の年数を要する。どうしても測量船あるいは班の数等をふやして、もつと能率的に迅速に海測をしなければならないと思います。この点も巡視船と同様、測量船、観測船の増強が叫ばれておるわけであります。船のほかには、無電による測量並びに観測というような近代的な機械の装備が必要でございます。こういう点は、今後の予算でぜひとも実現してもらいたいと思つております。二十八年度の案におきましては、とりあえずデツカという施設が一組入ることに相なつております。  次に海難関係について申し上げます、昭和二十七年、すなわち前年度の統計によりますと、日本の沿岸の水域では一日平均十隻の海難が起きておるのであります。海難救助も一つの大きな仕事でございますので、巡視船は沿岸の警備のかたわら、海難が発生いたしますと、急遽それの救援におもむくわけであります。昨年海上保安庁で救助いたしました実績は、全船舶数におきまして千二百三十二隻、約十四万トンでございます。これの関係人員が九千二百人であります。これの船体並びに積荷の見積り価額は約百十七億円になつております。半面この救援に使つております警備、救難の総予算は、昨年度におきましては三十三億程度つたと思います。従いまして約三倍以上の成績を上げておるのであります。かようなことになつておりますが、半面救い得ない、すなわち行方不明になり、あるいは沈没してしまつたという遭難船舶がなお六百隻以上ございます。これらにつきましては、さらにわれわれの方の船艇の増強あるいは通信施設の整備等いろいろな方法により、また船舶自身のいろいろな注意によりまして防ぎ得る分野がなお残つております。航路標識の整備も一つの対策だと思うのであります。特に昨年は台風がございませんでしたが、今年はこれからちようど七、八、九月の台風シーズンを迎えますので、いつでも急遽出動のできるように特段の対策を講ずるように、各管区に現在のところ指令をいたしておる次第でございます。また一方海難の事故につきましては十分検討いたしまして、それぞれ船舶側自身も未然に海難を防止することに注意するように、いろいろの講演会なり、あるいは海難防止思想の対策を特段に立てるように、いろいろ方案をいたしておる次第でございます。  以上はなはだ難駁でございましたが、おもな点につきまして御説明申し上げた次第であります。
  36. 松井(豊)委員長代理(松井豊吉)

    松井(豊)委員長代理 午前中はこの程度でとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ―――――・―――――     午後二時二十九分開議
  37. 關内委員長(關内正一)

    關内委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  まず海運局関係説明を求めます。岡田政府委員
  38. 岡田(修)政府委員(岡田修一)

    岡田(修)政府委員 海運関係につきまして、主要なる問題につきまして御説明申し上げたいと存じます。  海運関係におきまして一番問題になつておりますのは、まず第一に外航船腹の拡充の問題であります。その次に外航船腹の拡充の裏になると申しますか、日本海運の再建の一番大きなポイントであるともあるいは言えるかもしれませんが、日本の海運の対外競争力の強化、こういう問題でございます。  まず第一に、外航船腹の拡充の問題でございますが、お手元に「重要事項説明書」と、それから「外航船腹拡充について」、この二つの印刷物がお配り申し上げてあると存じますが、それをお開き願いたいと存じます。日本の海運の再建につきましては、終戦後鋭意努力して参りまして、特に昭和二十四年からこの外航船腹の拡充を本格的に始めて参つたわけでございます。終戦当時約百三十万総トンの船が残されておりましたが、そのうちの大部分は、あるいは擱座したり、沈没した船まで入つておりまして、実際動いておりました船はわずかに七十万総トン余りでございました。しかもそのうちのほとんどすべてが、戦争中につくりました能率の悪い戦標船でございます。外国に行き得る船というのは、わずかに十数万総トンしかなかつたのでございます。それが今日、全体の船腹がこの二十八年三月末で二百八十万総トン余りになつております。そのうち外国に行き得るいわゆる外航適格船と称しておりますが、これが二百四万総トンまで増加して参りました。しかし政府といたしましては、今回総理の演説等に織り込まれておりましたことく、日本の国際収支改善の見地からいたしまして今後も引続き積極的に外航船腹の拡充をはかるという考えを持つておるのでございます。「外航船腹拡充につい託て」という印刷物の最初に書いてありますように、今日特需依存が非常に不安定な状況に相なりまして、正常な貿易外収入の確保ということが特にやかましくいわれて参つておるのでございますが、そこで私どもといたしましては、もう一度海運の外貨獲得上における重要性を御認識していただきたいという気持を強く持つておるのでございまして、昭和二十七年度の輸出貿易についてみましても、外貨獲得の面からいつて鉄が一番上位にございまして、約二、三千六百万ドルの輸出額でございます。その次に綿織物が約一億五千六百万ドル、ところがこれらのものは、原料を相当外国から輸入するという事情にありまして、実際外貨を獲得するという面におきましては非常に少いのであります。鉄鋼素材が一億四千八百万ドル、綿織物が八千三百万ドル、こういう状況でございます。ところが海運は、二十七年度において獲得した外貨並びに外貨で払うべき運賃を日本船で運んだがために節約された額、これが合せまして一億八千六百万ドルになるわけでざいますご。しかも海運は油代その他が外貨で払うだけで、他はすべて純粋な外貨手取りになるわけでございまして、一応非常にかたく踏んでも一億三千四百万ドルが純粋の手取りになる。これは非常にかたく踏んでおりまして、もう少しゆるやかに考えますと、一億五千万ドルくらいの手取りになるのであろう、かように考えられるのでございます。外貨獲得面においては、昨年度においても鉄鋼素材と相匹敵する、かように考えられるのでございます。ところが鉄鋼素材にいたしましても、本年度は御承知通り非常な伸び悩みにある。また綿織物も、今後どの程度に期待できるか、後進国の工業化ということが進みますると、その伸びも大きなものを期待し得ないのじやないかというふうに考えますると、海運というものの重要性が特に大きくなつて来るというふうに考えるのでございます。  ところで海運につきましては、先ほども申しました船腹で二十七年度に運びました量について見ますると、一般貨物では四二%、石油類では五八%、平均して四五%、輸出物資につきましては三一%、第三国間ではわずかに一三%しか就航していない。これを戦前の状況に比べますると、輸入については六〇%以上、輸出については七〇%以上を日本船で運んでおつたという状況でございまして、まだまだ日本船が伸び得る余地が十分にある。しかも貿易面におきますと、相手国の為替管理による制限、その他の政治的な要素で、たといその輸出品の価格が低下されても、その伸びに一定の限度なり障害があるわけでございまするけれども、海運におきましては、世界の慣習上絶対自由というものが守られておるのでござまいす。従つて海運における絶対競争力が強ければ、幾らでも伸びる余地があるということが言えるわけでございまして、この点におきましては、日本の海運は、後ほど申し上げまするように、償却あるいは金利高、こういう面、いわゆる採算をとつての面におきましては非常に弱いのでございまするが、しかし裸の競争、絶対的競争力、こういう面におきましては、いわゆる船員費が外国船に比べて安いだけに、日本の方が強いということが言えるわけでございます。裸の競争力と申しまするのは、船を直接動かしまするのに要する、いわゆる運航経費と、それに船員費、修繕費、そういう直接の船費を加えたものでございます。そういう面においては日本の海運は絶対に強い。従つて今後外貨獲得という面で日本の経済政策を重点的に行うということになれば、この日本の外航船腹の拡充ということをおいて他にないであろう、こういう確信を持つておるのでございます。  同様の措置は、ちようど日本と国情を同じくいたしておりまするドイツにおいてとられておるのでございます。最近私どもの見ましたドイツの大蔵大臣が外貨獲得という面のみにおいて、海運を拡充した功績を非常にたたえておるのであります。今日世界的に海運が非常に不況で、むしろ船腹が余つておるのじやないかという意見があり、従つて日本における海運の拡充について再検討しようという議論がございますが、ドイツにおきましては一昨年の一九五一年ごろから、本格的な外航船腹の再建に乗り出したのでございますが、非常に有利な財政資金の融資、あるいは造船に投資した場合に、その投資した金額を利益金から削除して免税するという措置等の方法で、非常に積極的な方策をとつておりまして、現在五十万総トンずつ年間ふえておるという状況でございます。現在の保有量は約百五十万総トン、これが来年には二百万総トン、その次には二百五十万総トンになるという状況でございます。従いまして日本といたしましても、この外貨獲得という面からいたして、船腹拡充というものをなおざりにすべきではないというふうに考えます。その他貿易振興の必要性と、あるいは非常事態の場合の日本経済が円滑に運営し得るだけの船腹を確保するという必要性という面がございます。  なおこの船腹拡充の裏面の必要性といたしまして、あるいは昨日船舶局長から御花明申し上げたかと存じますが、日本の造船業の維持でございます。造船業は御承知通りいわゆる総合工業といたしまして二百種余りの関連工業があります。これに仕事を与えますことは、国内の産業振興、中小企業対策あるいは労働対策という面からいたしまして、他のいろいろな事業を興されるよりははるかに広汎にわたつて最も経済的、あるいは社会政策的効果を上げるべきものであると考えるのてございます。こういう理由をもちまして、私どもといたしましては今後も引続き船腹拡充計画を進めて行くその計画といたしましては、一応昭和三十二年度を目標にいたしまして、昭和三十二年度の輸入量の五〇%、少くとも五〇%程度、石油類につきましては八〇%程度、それに相当量の第三国配船をし得るだけの船腹を確保する。さらに国際収支の面におきましては、現在海運で獲得しているのは一億八千万ドルくらいでございますが、これを一億八千万ドルくらいまで高めるというのが計画であります。その他日本を中心とする定期航路が、戦前は五〇%程度でありますが、現在では二八%であります。これを四〇%程度まで回復しよう、こういう目標のもとに所要船腹を算定いたしますと、昭和三十二年度に二百七十七万総トンという貨物船がいるのであります。これに対しまして二十八年三月末における供給船腹、これは建造中の船も入つております。これが百七十三万総トン、百四万総トン不足しております。油槽船は八十二万総トン必要になりまするが、これに対して五十五万総トンを現在保有し、建造中でございます。不足船腹が二十七万総トン、そこで貨物船につきましては、外国からの購入その他で補填されるものが多少あると思う、そういうものを見込みますると、二十八年度以降三十一年度の四箇年間に貨物船を二十三万総トン、油糟船を七万総トン、合せて三十万総トンずつ今後つくつて行くというのが私どもの計画ごでごいます。これに対しまして二十八年度の計画でございますが、この三十万総トンの建造のうち、すでに九万総トンをこの三月末に船種を決定いたしまして、それに必要なる資金が一部二十七年度の開発銀行の金を差繰りますと同時に、二十八年度の開発銀行に対する、政府からの貸付金に対する暫定予算の中に所要資金を組みまして、その九万トンの実施に乗り出しておるのであります。従いまして本年度の計画といたしましては残りの二十一万総トン、内訳を申し上げますと、貨物船が十四万総トン、油槽船が七万総トンというものを、これから建造するということ相なるのでございます。ところで実は一つ問題を残しておりまして、本年度の開発銀行資金の運用計画中、海運に対しましては二百二十億が予定されておるのでございます。二百二十億の前提になりまするのは、貨物船に対しまして開発銀行から七割の金を貸す、油槽船につきましては三割を融資するということが前提に相なつておるのでございます。ところが油槽船につきましては、この二十八年度予算が組まれておりました当時、昨年の九月、十月ごろにおきましては相当の市況を維持しておりましたが、十一月ごろから急激に市況が悪くなりまして、今日財政資金を油槽船に対して二割融資するという程度では、船の建造がとうていできない。少くとも四割まで引上げる必要があるということが出て参つたのであります。従いましていまだ二十一万総トンについて募集をいたしておりませんが、油槽船に対する融資の割合を四割にするということが必要になつて参ります。その場合にこの油槽船の建造トン数を減少するか、あるいは工事を繰延べるか、工事を繰延ベて七八万総トンを確保するかという問題が残つておるのでございます。とこれらの問題をできるだけ早く解決して、残りの船舶の建造に乗り出したい、かように考えておる次第でおります。ところで船腹拡充計画を進めるにいたしましてむ、今日海運市況が非常に悪くなつて参りまして、船会社の現在の経理状況から申しますると、市中から借り入れておるもの、また政府から借り入れておるもの、その総額が約手五百億に相なりますが、これの元金はもとより、金利も支払いかねるという状況に相なつております。従つてこの船腹拡充計画を円滑に進めるという上からいたしまして、また日本の海運が外国と強力に太刀打ちして、外国との競争に打勝つ、先ほど裸の競争、絶対的競争力に強いと申しましたが、採算的には非常に弱い。従つて採算的にもある程度の良好なと申しましすか、企業として立つて行くような状態になつて、しかも外国と競争してこれに打勝つという面から行きまして、海運企業の経営を強力なものにするということが必要になつて来るのでございます。  海運に対してそれではその経営の基礎を強化するために、どういう手を打つ必要があるかということでございますが、この第一点は、日本の海運における金利負担が非常に重い、これを軽減してやるということでございます。それからその負担の程度は非常に違いますけれども、外国に例がなくて、日本海運だけは一つの重荷になつておる租税負担を軽減してやる。これが非常に大きな問題でございまして、ポイントでございます。今日市況は非常に悪くなつております。これは世界的のものでございます。しかしこれに対しまして欧米の海運会社は、比較的平静な状態を保つております。むしろ英国の海運のごときは、不況がある期間続くということによつて、日本のごとき非常に弱い構成を持つた海運国の発展と申しますか、伸びが停滞することを期待しているという面がうかがわれるのでございます。なぜ英国あるいは米国あたりの海運が、そういうふうな良好な状態にあるかということを申しますと、戦争が終つた当時英国は千万トン余りの船腹を持つておりました。米国も同様でございます。その他の欧州の国は相当の船腹を持つてつた。ところがちようど戦争が終りました翌々年くらい、四十六年から四十七年にかけまして、非常な海運のブームが来たわけあでります。そのときに欧米の海運会社はうんと利益を上げた。厖大な蓄積資本ができた。このときに政府は新しい船の建造を助成するために、英国のごときはほとんど助成策をとらない国ですが、その国においてすら、造船に対する償却を五〇%近いものを認めるという措置をとつておる。その後さらにもう一度朝鮮事変を契機にして、海運のブームが来たわけであります。これによつてさらに利益を上げておる。この二度のブームで英国あるいはノールウエー、スエーデン、こういう国が基礎をがつちり固めた。戦争で相当痛めつけられたイタリア、フランス、これは一応そういうブームに浴し、さらに朝鮮事変によるブームを満喫しております。と同時に海運の回復について相当思い切つた手を政府が延べたわけでございます。  米国の海運は、これは本来船員の給料が高い、あるいは造船船価も労働者の賃金が高いために非常に高いのでございますが、この外国より経費の高い面、船価につきましては、労働賃金の高いだけその差額を政府が補助をする、それから運航費につきましては、船員の給料の高い面だけ政府が補助する、こういう補助策をとつておりますほかに、先ほど申しましたような二度のブームを満喫しておる。そのほか現在におきましても、米国が対外援助物資を輸送する場合に、その半分は必ず米国船で運ばなければならぬという法律なつております。その輸送をする場合に、その運賃というものは他の外国船が運ぶよりも高い運賃で運ばす。さらに相当量の軍需物資を米国船が運んでおりますが、この軍の物資の運賃というものが、一般のマーケツトの二倍ぐらいのものであるというふうな、表に現われざる保護政策がとられておるということで非常に安泰である。  ひとり苦しんでおるのは、日本の海運であるということが言い得るかと思います。同様の状態にあるドイツは、先ほど言いましたように非常に手厚い政府保護のもとに、どんどん新造をする。今日日本の海運でも、大体今のマーケットで船をつくりました場合、三分五厘程度の利子ならば負担する力があるわけでございます。ところが日本の今までの新造船におきましては、過去の新造船が大体平均一割、財政資金が七分五厘、市中が一割一分、しかも財政資金は五割と申しますが、だんだん減りまして、昨年度は四割何分ということになつております。従いまして大体平均一割になつております。これからつくりますものが政府の三分八厘三毛の利子補給を市中銀行に対して融資するということになりまして、平均七分五厘になつたのでございます。そういう高い金利でございますがために、どうしても今日の市況ではやつて行けない。ドイツは先ほど申したようないろいろな方策で一大体私どもの推定するところでは、その金利負担が三分五厘程度というふうに考えております。その程度の金利負担ならば何とか新造船をつくつても、金利だけは払えるというところまで持つて行けるわけでございます。  金利の負担がいかに多いかという例を、たとえば日本の新造船と英国の新造船が北米から日本への小麦を運ぶ場合、運賃の原価の中で金利がどのくらいの割合を占めておるかと申しますと、日本船の場合は金利を七分五厘にいたしましても、三ドル三十一セントになるわけであります。英国の場合は大体三分五厘とみて一ドル二十一セント、約二ドルの相違がある。しかも英国の場合におきましては、これはすべてを借入金によるという計算のもとでございますが、半分以上は自分の金でやつておると考えますと、英国船の金利負担はその半分の六十セントぐらいになる。そういたしますと金利だけでもニドル五十セント余りの差があるということで、そこに非常に大きな相違が出て来るわけでございます。それでこれを船の経費自体からみますと、たとえば船価十一億余りの船について、その船員の経費だとかあるいは修繕費だとか店費だとか、こういうものと金利との差をみますと、船員費、修繕費、船舶の保険料、店費、これを全部含めましたものが一ドル九十三セント、これに対して金利だけが二ドル五十四セントという大きな割合を占めておるのでございます。この金利をどの程度に下げるかということが、日本の海運経営の基礎を最も安固にする方法でございます。  先ほど申しましたように、今新造船をつくりました場合、大体三分五厘程度の金利なら負担できる。それでは日本海運全体としての今日の市況から見て、金利をどの程度に払う力があるかということでございますが、これはいろいろ計算の仕方がめんどうでございまして、正確なものが出ませんが、大体二分から三分程度というふうに私どもは見ておるのでございます。従いまして今度の二十八年度予算は、前に不成立になつ予算がそのまま踏襲されました結果、この金利の軽減という面について、政府としての政策を織り込むことができませんでしたが、早急の機会を得ました場合に、この利子補給の強化、あるいは財政資金の金利引下げという問題を、何とか取上げる必要があるというふうに考え  るのでございます。  それからもう一つのポイントでございます地方税の軽減の問題でございますが、地方税の中に二つございまして、一つは固定資産税、もう一つ事業税でございます。固定資産税は、これは船舶に対しましても、一般と同様に千分の十六が適用になります。ところがこれは昔の船舶で、これを今日の物価指数で引直して、現在の船に適用いたしますると、船価の一番安い新造船に比べても、昭和二十五年度ごろにつくりました船についてみますと、前の船舶税に対しまして二十五倍になるわけであります。それから昨年つくりました船につきましては四十八倍、こういう非常に大きな増税になつておるのでございます。実際こういうのでは困るというので、地方自治庁と強く交渉いたしまして、実際の税額の約四割というところまで軽減を受けておりますが、それでもその二十五年度につくりました船では十倍、昨年つくりました船は十九倍、こういうことでございます。日本の外航船全体についての税額についてみますと、昔の船舶税によると約一億八千万円でございますが、今日の固定資産税では減額されまして、なお十四億払うという状況でございます。これはたとえば船価十五億等をかけております油槽船、あるいはニユーヨーク航路に就航します優秀船につきましては、たとえば一般税額の四割に減額されましても、年間千万円を払うわけです。これの船員費が約千二百万円、船員費に近いものを固定資産税としてとられるわけです。船は御承知通りほとんど港におる日数というのは少い、ことに今問題としております外航船につきましては、大体年間六分の一から八分の一、油槽船のごときは、国内の港におりますのはわずかに三十日、十二分の一しかおらない。しかも今申しましたように、その出入する港にそれだけの固定資産税を納めなければならぬ、こういう税は外国にはないわけであります。この税金を、たとえば一重量トン当りについてみますと、毎月六十四万円ずつ払わなければならぬという状況でございまして、これが日本の海運の海外競争力に、非常に大きな障害になつておるわけでございます。  それからもう一つ事業税でございます。この事業税は、海運は電気、ガスあるいは私鉄、そういう独占事業あるいは確定料金をもつて経営されておる事業と同様に、外形標準課税になつておるわけでございます。独占企業は、これはかりに課税をしても、それが消費者に転嫁されるという建前をとつております。海運は交通業であるということで、私鉄その他と同様の取扱いを受けておるのでございますが、御承知通り海運は、自由企業の中でも特に自由性のはなはだしいものでございまして、これを他の一般の産業が収益課税でありますのに、海運は交通業であるという見地から、収入課税にするのは非常に不当である、これは再三占領軍当時に交渉したのでありますが、いれられなかつたのであります。それで地方自治庁もその不合理性を認めまして、法律改正は困難であるが、実際の運用面でできるだけ軽減しようという措置をとつておりますが、しかし法律改正せざる限り、他の一般産業と同率の取扱いができない、それでこれによる税負担というものも一つの重荷になつておるわけでございます。これはりくつとして、これを収益課税にするという明白なる道理が立つわけでございます。この点が一つの問題であります。  その他、海運の経営基礎強化の問題といたしまして、海運企業自体の経営の合理的な遂行、こういう面について特に力をいたす必要があるわけであります。海運会社の経営の強調、あるいは経費の節約のための船員の合理的な、配置、そういう面について強力なる指導をいたしておる次第でございます。一般大型汽船による海運の面につきましては、大体問題点は以上でございます。  もう一つ私どもといたしまして考えなければなりませんのは、国内航路をやつております小型汽船の問題でございます。小型汽船におきましてはむしろ非常に過剰でございまして、どうしても私どもの推定では二十五万重量トン余りのものが過剰である。しかもその大部分が戦時中につくりましたいわゆるE型戦標船、これはいかにうまく運航いたしましても採算のとれない船であります。こういう船が多いわけでございますが、これを整理するということが、内航の海運を健全に立ち直らす一つの要諦である、かように考えるのでございまして、ここれにつきましては、前の国会提案いたしまして、解散によつて不成立になりましたが、との低性能のいわゆるE型船をつぶすという方策をとる法律並びに予算提案されておるのでございます。それは今度二十八年度といたしまして、約三十万総トン建造いたしまするが、この船を一隻建造するには、そのE型二隻をつぶさねばならぬ、こういう方策をとらんとするものでございます。それに対してその新造する船主に、そのE型船二隻を買い取つて、くず鉄にして売るわけですが、売つたあとにやはり借金が相当残る。その借金に対して五箇年利子を補給してやる。五箇年間に返すものとして、その融資の借金の残高に利子を補給してやる、こういう方束をとらんとするものでございます。とれが今度提案いたしまする臨時船質寺改善助成利子補給法というものでございます。これによりまして約千万重量トンのE型船がつぶされるというここで、相当程度の内航海運のてこ入れになるて出ろう、かように考えております。  それからもう一つ国内輸送では機帆船というものが非常に重要な役割を占めておるのであります。これに対して国家再保険制度を実施するということによつて木船業者の保護をはかる、これは昨日提案いたしました。木船に対する国家の再保険法でございます。その他国内海運についてのいろいろ雑多な問題がございまするが、主要なる問題は以上でございます。
  39. 關内委員長(關内正一)

    關内委員長 次に自動車局関係説明を求めます。中村政府委員
  40. 中村(豊)政府委員(中村豊)

    ○中村(豊)政府委員 自動車局関係の所掌事務について御説明申し上げます。詳しい内容につきましては、先般御配付いたしました自動車局所掌事務の概要という書面によつて見ていただきたいと思います。その中から要点だけをかいつまんで申し上げたいと思いす。  終戦後復興の著しいものは自動車であることは、どなたも御異存がないと思うのでありますが、最近非常にふえて参つております。いろいろ大きな自動車、小さい自動車全部ひつくるめまして、毎月一万五千台、年間十八万台くらいずつふえておるのでございまして、今年の三月末においてわが国における自動車の総数は七十六万台ということになつて参りました。この調子で行きますれば百万台の大関門を突破することも、来年中にはできるのではないかと思うのでございます。試みに戦前の最も車の多かつた年を申しますると、昭和十四年の二十一万七千台というときがありましたが、それに比べて非常にふえたということがおわかり願えると思うのであります。  そこでそのような自動車に対して、運輸省はどのような行政をしておるかということを申し上げたいと思います。大体行政機構について申し上げますと、運輸省の中に海運局、船舶局、船員局、港湾局、鉄道督督局、あるいは航空局と並んで自動車局があるわけでございますが、その中に総務課と財務課のほかに、業務部、整備部という二つの部がございます。業務部は主として自動車を使つて事業をするところの事業の監督の業務をやつておるわけでございます。整備部は自動車の整備、技術、登録というようなことを管理しておるわけでございます。その本官を受けまして、地方に各ブロックごこに陸運局がございまして、その陸運何は自動車の地方行政を行う、それとめわせて鉄道関係もやつておるわけでございます。さらにその下部機構として各都道府県に、知事のもとに陸運事務所というものを置きまして、現場の最末端の行政を行つておる、このような仕組みでいたしておるわけでございます。  そこで行政の内容を申し上げますと、第一は事業の管理行政と言えると思うのであります。つまり自動車関係事業の監督をする行政でございます。その事業にはいろいろあるわけでございますが、道路運送法によりまして自動車運送事業というものを指定しておりますが、その分類はまず旅客と買物に大きくわけまして、旅客自動車運送事業の中に、乗合旅客と貸切旅客と乗用旅客と特定旅客、四つにわけて起ります。乗合旅客事業と申しますのは通称バスと称するものであります。剛線を定めて定期に自動車を運行してお客様を運ぶ旅客であります。貸切旅客というのは俗称観光バスとでも申し仇すか、最近非常に観光地あるいは国会の前にたくさん集まつておる、あの観光自動車でございます。これも戦後非常に勃興して来て、本年は最高の数字を示しております。乗用旅客と申しますのはタクシー、ハイヤーのことでございます。特定旅客と申しますのは、これは学校とか工場のきまつた人を乗せて運ぶところの事業でございます。  貨物自動車運送事業は、これまた四つにわかれておりますが、路線貨物自動車というのは、東京、名古屋間というようなところを路線を定めて定期にトラツクを運行して貨物を運ぶ事業であります。区域貨物と申しますのは、東京都一円、大阪府一円というようなある地区だけを、路線をきめずに自由に動きまわつて貨物を運ぶ事業であります。小型貨物と申しますのは、現在は一トン以下の小型自動車を使つて貨物を運ぶ事業であります。特定貨物と申しますのは、荷主の特定した需要に応じて貨物を運ぶ事業であります。そういうふうなものを総称して自動車運送事業と称するのであります。  このような事業のほかに、さらに自動車道事業というものも行政の対象になつております。自動車道事業というのは、箱根の十国峠にありますような専用自動車道をつくりまして、そこを通る自動車から料金をとつて事業を行うものであります。  そのほかに自動車運送取扱事業というものがありますが、これは貨物自動車運送事業に対して、その仲介あつせん行為をやる俗称水屋と称するあつせん事業であります。軽車両運送事業というものがさらにありますが、これは荷車、リヤカー、荷牛馬車あるいは橇というような、軽車両で旅客貨物を運ぶものであります。  さらに大きな分類として通運事業というものがありますが、これは駅のそばにある運送店、一番大きいのは日本通運というものがありますが、あのような小運送事業であります。さらに通運計算事業というものがあります。通運事業は各駅全国にばらばらに配置されておるわけでありますが、この相互の間を連絡して、お互いの間に発生する債権債務を交互計算によつて決済する事業というわけでございます。  そのほか、国の経営する自動車事業として一番大きなものとしては、国鉄バスというものがあるわけでございます。  これらの事業を対象にして監督しておるわけでございますが、その方法としては、まず免許制度を大部分の事業についてとつておるわけであります。事業を開始しようとするときには、重要な事業については運輸大臣、軽微な事業については陸運局長によつて、免許を受けなければできないということになつております。自由営業ではないというのが、自動車運送事業その他の一連の事業の最も大きな特徴でございます。この問題については後ほど申し上げたいと思います。さらにそのような事業については、事業の計画、一たとえば運賃、料金であるとか、事業の運転の回数、系統というようなものをかえるときには、認可を受けなければいけない。また会社の合併、譲渡、解散には許可を受けなければいけない。その他いろいろと許可、認可を受けなければいけない事項規定しております。さらに公益事業として免許を受ける側に、その事業の経営が思わしくない、不満足な場合には、それに対して内容を改善させる命令を出すとか、あるいはある旅客貨物を運ぶところの輸送命令を出すとかいう方法も講じて、公益性の維持をはかるという考えなつております。  これらの自動車運送事業を行おうとするときには、今のような免許を受けなければならないのでありますが、そのための手続が、現在においては比較的複雑になつておるのであります。これはこの参考書の二十六ページにその図解が書いてありますが、二十七ページの大臣権限の事業、たとえばバス事業を経営しようとするときには、申請者はまず都道府県にある陸運事務所に書類を出す。その陸運事務所が調査書を添えて陸運局に書類を出す。その陸運局が大臣に書類を申達するわけであります。そうすると大臣は運輸審議会に諮問をいたします。そうすると重要なことは運輸審議会みずからが公聴会をいたしますが、比較的地方的な問題については、陸運局ごとにあるところの道路運送審議会に調査を委嘱するわけであります。道路運送審議会はそれを受けまして、公聴会を開いて実情を調べた上で、意見決定して、運輸審議会にその内容を報告するわけであります。運輸審議会はそれによつて意見を定めて、運輸大臣に答申をする。それによつて運輸大臣は免許あるいは却下の意見を定めて、陸運局、陸運事務所を通じて申請者に渡す。このような複雑な手続をとつておるわけであります。二十六ページの局長権限の事業と申しますものは、例を言えばタクシー、ハイヤーのごときものでありますが、これはただいまの大臣と運輸審議会の関係だけがないわけでありまして、道路運送審議会を通じて公聴会を開くという手続はとられるのでありまして、これまた相当複雑であり、相当の日数を要するわけであります。そのような煩雑さをあえてしても、行政の民主化をはかるという趣旨で、このような制度がとられたわけであります。  次に自動車局関係の行政部面として大きな第二の問題は、車両の保安行政という点でございます。車両の保安行政の対象としておるものは、申すまでもなく自動車が大部分であります。自動車はこれもこまかくわければ、普通自動車、小型自動車、軽自動車、特殊自動車というふうにわけてございます。普通自動車は御説明するまでもありませんが、小型自動車は小型四輪、三輪、あるいは二輪自動車というようなもあがあります。軽車両は俗種スクーダーと称するもの、特殊自動車はロード・ローラー、ブルトーザーというようなものを考えております。さらに保安行政の対象には、原動機付自転車という、自転車の横にモーターをつけて走る、ああいうものとか、軽車両についても、きわめて軽い技術基準を定めて、一応保安の対象としております。  保安行政の内容は、まず第一に自動車というものは、検査を受けなければ運行の明に供してはならないということにいたしてあります。新しく自動車を使おうとする場合、あるいは検査の期間が過ぎたので、さらに継続して自動車を使おうとする場合、あるいは自動車の構造を変更した場合には、すべて陸運事務所の検査を受けなければならないということになつておるわけであります。現在は営業用の旅客自動車は九箇月以内に検査を受けなければなりませんし、トラックは一年以内、自家用の乗用車は二年以内に一回検査を受けなければならない。このようにして車両の保安をはかり、車両の所有者及び一般公衆の保護をはかつておるわけであります。  車両保安の問題としては、そのほかに自動車運送事業者、タクシー、ハイヤーとかバスの事業者も、整備管理者というものを必ず中に置いて整備をしなければならないということを要求いたしたり、自動車の運行の際には必ず仕業点検をやるとか、自動車の基準に合しないものは運転してはいけない。旅客自動車関係では運転免許のほかにさらに重い資格を課して、お客さんの保護をはかろうとすることをいたしております。その他自動車整備事業、自動車の修繕業者に対しても認証制度をとりまして、その業者は必ず車両検査主任者というものを置いて、内部の検査を厳重にやらなければいけないということを考えております。  自動車行政、の第三の大きな部門は、自動車使用登録行政でございます。これは自動車を使用しようとするときには、先ほどの検査を受けなければならないと同町に登録を受けなければいけないことにしております。登録というのは所有権の公証、公に証明するという目的で出ていたのでありますが、それと同時に自動車の実態の把握、盗難防止ということもあわせてねらつていたわけであります。ところが一昨年に自動車抵当法というものを国会で議決していただいたわけでありますが、この自動車抵当法という抵当制度を設定するにあたりまして、その裏づけとして所有権及び抵当権の得喪について対抗力を与えるという必要が起りましたので、自動車抵当制度を厳重にしまして、所有権、抵当権の得喪の対抗力を与える制度にまで拡充したわけであります。このようにして登録に民事法的な任務を付与いたしたわけであります。この仕事を末端の陸運事務所でいたしているわけであります。  最後の重要な部門としては、自動車関係の資材行政でございますが、現在では資材に関する統制がほとんどなくなりましたから、ただいまのところ大した仕事はいたしておりません。ただ石油関係につきましては、何といつても九五%以上が輸入に依存しておりますきわめて重要な物資でございますので、その消費状況を絶えず調査している必要がありますので、その仕事だけが残つているわけであります。  そこでそのような行政に対して、法律としてはどのようなものがあるかということを簡単に申し上げます。まず第一にありますのが道路運送法であります。道路運送法と申しますのは自動車運送事業、つまりタクシー、ハイヤー、バス、トラック事業及び自家用自動車についての法律制をつくつたものでありまして、先ほどの免許制度、許可制度その他のことをうたつている法律でございます。この法律が先般問題になりまして、当委員会において修正が議せられたことは御存じの通りであります。そのいきさつについては後ほど申し上げたいと思います。  次は通運事業法というものがございますが、これは通運事業、すなわち鉄道の駅における通運事業者、日本通運のごときものを観律する法律でありまして、この法律に基いて通運事業は免許制度になり、その他許可、認可制度に縛られているわけであります。  次に車両保安行政関係としては、道路運送車両法というものがございます。これは今申しましたような自動車を使用するには、まず検査を受けなければいけない。登録を受けなければいけない。その他整備、技術、保安基準というようなことについて、いろいろ規定している法律でございます。  さらにかわつたものとしては自動車抵当法及び道路交通事業抵当法というものがございます。自動車抵当法と申しますのは、自動車というものは動産でありますから、普通ならば抵当権の目的になりませんが、この特別の法律に基いて、動産である自動車を抵当権の目的にする。その同一性を確認するためには、先ほどの登録制度を利用しているわけでございますが、それによつて短期少額の資金の融通をはかるという目的でつくられたものでございます。道路交通事業抵当法と申しますのは多少趣が違いまして、個々の動産である自動車とかいろいろな設備だけではなしに、自動車運送事業とか、通運事業事業全体の設備、あるいは経営する権利その他を一まとめにして交通事業財団をつくりまして、その財団を抵当権の目的にして資金を借り入れるというやり方でございます。これは比較的長期多額の資金の融通に活用されているわけでございます。この二つの抵当法は非常に要望に合いまして、当初予想したよりも利用率は非常に多い状態で、いい効果を収めているわけでございます。  以上が自動車行政に関する内容及び法律の状態でございますが、現在及び近い将来において問題となるべき当面の議題について、数点御説明申し上げてみたいと思うのであります。  まず最初に自動車運送事業の免許制度の可否ということでございますが、これが実は先般の国会で非常に問題になりまして、たとえばバスはとにかく、トラックとかタクシー、ハイヤーは、免許を廃止して自由にすべきであるという強い御要望が一部からあつたわけでございます。これに対して運輸省としては、自動車運送事業は交通事業の重要な一環をなしているのであるから、これを自由にすると交通の全体の秩序が乱れて、ひとり自動車のみならず、鉄道、軌道その他にも非常な混乱を来すという意味から、免許制度は存続しなければならない。さらに自動車そのものを見ましても、これは貴重な生命財産を預かつて、安全、正確、迅速、低廉に輸送する事業であるから、公益性がきわめて強い。これを自由にだれでもやれるということになれば、その設備も悪いだろうし、保安も十分に行かず、運賃も高くなるだろうし、非常な混乱が起るので、公共性を確保するために免許制度によつて申請人、事業をしようとする者の資格を審査して、広く信用がある人に対してだけ、しかも一般の需要供給の面とにらみ合せて免許しなければならない。そのような理由から免許制度は絶対に存続する心裏が走る。しかしながらいろいろとその運用について実情を見ますると、免許制度本来の目的を逸脱して、既存業者を擁護するのみに偏しているようなきらいがないでもないので、その点は十分に検討をして、決してそのような目的に沿わない状態が起らないように、あるいは名義貸しの不明朗な事態を解消するように努力するということを申し上げて、各党の御了解を願い、この免許制度は存続するということになつたわけでございますが、われわれはまつたく同様な考えを現在でも維持しておりますので、この点はもちろん今後もよろしくお願いしたいと思うわけでございます。  次に問題の点は、国営自動車あるいは私営、公営の自動車というものに対する問題でございます。つまり国鉄バス、私営バスを自由にすべきである。民営バスは利潤追求であつて賃金も高いし、サービスも悪いから、反対であるという強い要望が各地にあるわけでございます。これにつきましては国営自動車には、日本国有鉄道法によつておのずから性格に制限がつけられております。日本国有鉄道に関連する自動車事業ということになつておりまして、これは国鉄の建設線の先に自動車を動かして行く、あるいはかわりに動かすとか、国鉄国鉄との間を短かくシヨート・カツトして結ぶ線であるとか、国鉄の培養線であるとかいうような、国鉄関係のある線だけしかできないというように制限がつけられております。また市営バスというものは、公共団体の性格上、おのずからその市の範囲をそう多く出ることはできないものだと思うのであります。せいそれ声の周辺まで延長する程度のものでございますから、地域的な制限がついて来るわけであります。そのような制限に該当しました場合でも、その地区にすでに民営自動車に限りませんが、既存事業者があつた場合に、そうしてそれが十分にサービスをし、一応のレベルに達していた場合に、さらにそれがいけないからといつて国鉄または市営バスを免許する必要があるかどうか、非常に問題があるのでございまして、運輸としては従来からしばしば声明しておりますように、既存事業者のサービスが一応のレベルに達しており、またあるいは改善の見込みが十分にある場合には、新らしい事業者は市営であるから、あるいは国鉄自動車であるからといつて、これを免許する必要はないというように考えているのでございまして、それらの点についての調整は、今後も十分に注意して行かなければならない問題と思うのであります。ことに国鉄自動車は、道路運送法でも法律規制がきわめて軽い、ほとんど自由な状態にしてあるのであります。これは政府がやる、政府に準ずる国鉄がやる事業であるから、誤つたことはしないであろう、法律違反はしないであろうという信頼のもとに、ほとんど制限をしておりません。規則をしておりません。ただ事業を開始するときとか、民間の線と競合する同じ路線を走る国鉄のバスの場合だけ、運賃と運転回数、運転系統を認可を受けさせるというだけで、あとは自由にしてあるわけでございますから、そういう点から見ましても国鉄自動車というものは、十分に自己本来の使命にとどまるべきであろうと思うのでございます。  第三は通運事務の免許方針についてでございます。通運事業は戦争前非常にたくさんありましたが、昭和十二年にそれらの混乱、無秩序、小企業濫立による弊害を防止するために通運事業法、小運送業法というものをつくつて免許制度にすると同町に、日本通運株式会社というものをつくつて、日本通運を中核体として逐次統制、統合をはかつてつたのでございますが、戦争中にその要望が特に強くなつて、ほとんど全国主要なところは日本通運だけに統制、買収されてしまつたのであります。それは戦争目的遂行のために必要であつたと思うのでありますが、終戦後経済民主主義の必要から、日本通運の独占形態というものは排除すべきであるという要求が強くなりましたので、昭和二十四年に至りまして通運事兼について複数制を実施する、つまり日本通運だけの単数でなくて、さらに競争業者を各駅に認めて、複数制を実地するということを声明いたしまして、その後着々とその方向に進んでおるのでございます。すでに全国主要なる各駅は、全部日本通運あるいは従来の地区統合会社以外の、新しい通運事業者が免許されたのであります。それらの新規免許を受けた業者を育成し、助長する方策をとつておるのでございます。そのようにして全国に網状の組織が、日本通運という一つの系統のほかに、新しい事業者による系統をつくりまして、その全国的な網状の組織が、お互いに競争を公正にやるということが理想であると思つて、その方向に着々と進んでおる次第でございます。  次は都市の交通調整について申し上げたいと思います。都市交通、特に東京、大阪のような過大都市には、通勤輸送と主にして非常に交通が逼迫して参りまして、まことに困つておる状態でございます。この解決策としては、鉄道というものが中心になつていろいろと調整をはかり、輸送力を増強しなければいけないわけでございますが、自動車も、特にバスもその一翼をになつて、鉄道、軌道と相関連して、その必要な部門を負担させなければいけない。そのために東京都のごときは、都心に郊外のバスを乗り入れさせるということがすでに数年前から実施されておりますし、大阪においても多年の懸案の都心乗入れが解決しまして、この八月一日を期して郊外電鉄系統のバスが都心に乗り入れることになつたわけでございます。かようなバスにはバス独自の分野もありますので、その輸送力を増強するように努力いたしたいと思つております。なお都市交通調整の一端として、バスについてターミナルを整備したらどうかと考えております。ターナルと申しますのは総合発着所、バスの中央停車場ともいうべきもので、今のような野天でもつて、しかも雨にさらされて乗降するということははなはだおもしろくありませんので、りつぱな設備をつくつて、そこで相互に各路線のバスを連絡さして、お客さんの便利に供すべきであると思いまして、このような施設を整備することに助長方策を講じたいと思つております。またパーキング施設、つまり駐車場についても何とか助長方策を講じて、あの街頭に車を置くために非常に道路が狭くなり、あるいは駐車場がないために自動車を利用するのに非常に不便を生ずるような事態を、早く解決したいと思つておるわけでございます。  次は外国乗用自動車の輸入問題でございますが、乗用自動車は戦争中も戦後も長い間生産を禁止されておりました。小型自動車がこの三年ばかり前から辛うじて生産を始めたわけでありますので、わが国の乗用車ははなはだ老朽、おんぼろの状態にあるわけでございます。タクシー、ハイヤーといわず、自家用乗用車といわず、合計の平均年齢は十三年を越すような状態で、一九四〇年以前の車が三万台にも上るといらあわれなる状態でございますので、経済活動の能率を上げるために、何とかこの乗用車を急速に更新し、りつぱなものにしなければいけない、新しいものにしなければいけないという要望が強いのであります。そこで、もとより国産自動車けつこうでございますから、その生産増加をはかつておるのでありますが、なかなか思うように伸びずに、本年の生産目標もわずか七千台になるかどうかという状況でございます。のみならず国産自動車の欠点は、悪かろう高かろうという状態でございまして、大量生産の方式をとつていませんし、長い間の経験もないために、どうしてもその性能が劣つて、価格は反対に非常に高いという状態なので、そのような国産車だけを需要者に押しつけるということははなはだ不合理なわけでございますので、それを補うものとして外国製の優秀な自動車を輸入すべきであるというのが、運輸省の強い要望でございます。この点が通産省の生産行政あるいは通産行政と、いろいろと相対するような問題もございまして、なかなか輸入が十分にされていない状態でございます。運輸省としては一年間に二万台ないし三万台の乗用車を、外国から輸入すべきであるという強い要求を持つておりますけれども、通産省方面と折衝の結果、本年は一万台の乗用車を輸入する、上半期に六千台を輸入するということで、最近ようやく為替の割当が完了しようとしておるわけでございます。もとより外国乗用車の高級、豪華なものを要求するのではなくて、経済的なわが国現状に適したものでけつこうなのでありますから、一部の特殊なものを除いては、高級車でなく、中級車あるいは大衆車を輸入すべきである、それにはアメリカ車は一部にして、欧州の小型の、また燃料消費の少いものを輸入すべきである、こういうふうに考えてやつております。  次に自動車事故の防止問題でございますが、自動車が今のように非常にふえますると、どうしてもやむを得ず事故が起るわけであります。その事故は必ず人命に損傷を起すわけで、何とかこの事故を防止いたしたいと思つております。その方法としては、車両の検査能力をふやし、強化したり、検査施設を拡充することに努力しておりますが、予算関係でまだ十分に行つていないのを残念に思います。さらに鉄道踏切りにおける事故が非常に重大な結果を起しますので、踏切りの整備について鉄道関係、道路関係折衝して、踏切り整備についての法的な措置をいたしたいとただいま努力しております。  それに関連しまして、自動車事故賠償責任の補償制度を確立いたしたいと思うのであります。つまり人命に死傷を起したような場合に、これは当然賠償責任があるわけでありますが、現在のような民法の一般原則では、なかなか話がつきにくくて、十分な賠償ができず、力の関係被害者が泣寝入りするような、おもしろくない事態もいろいろあるものでありますから、そのような問題を迅速、的確かつ簡潔に事務的に解決するために、自動車の所有者は営業用といわず、自家用といわず、必ず強制保険に入るということを義務づけまして、問題が起れば保険でもつて解決する、このようなことをぜひ法制化しようと思つております。それには法律論としているくと問題がありますので、ただいませつかく研究中でありますが、なるべく近い機会に提案いたして、御審議を願いたいと思つておるわけであります。  最後に、最初申しました道路運送法の改正について簡単に御説明を申し上げます。これは今国会に近く提案申し上げて御審議をお願いいたそうと思つておるのでありますが、免許制度の廃止をめぐつて先ほどの国会で議論があつた。それについて存続ということにきまつたということを申し上げましたが、そのためにそれに関連して現行の道路運送法を廃止すべきである、特に先ほど申したような道路運送審議会公聴会の制度は、複雑にして手数がかかるだけであるという観点から、それを廃止すべきであるというような点を主にして、先般議員提案法案がつくられたわけでございますが、その御趣旨をそつくりそのまま受けまして、さらにこの法律実施の二年間の経験に基いて、不備な点、実情に合わない点が起りましたので、それらの改正をも加味しまして、一まとめにして道路運送法の改正ということを考えておるわけでございまして、近く政府提案として御審議をお願いしたいと思いますから、その節はよろしくお願いいたします。  大体自動車に関する問題について簡単に御説明申し上げました。
  41. 關内委員長(關内正一)

    關内委員長 次に航空局関係説明を求めます。粟澤政府委員
  42. 粟澤政府委員(粟澤一男)

    粟澤政府委員 お手元にお配りしてございます「民間航空の現状」というプリントにつきまして、大体のポイントを主にしまして簡単に御説明申し上げます。  御承知のように日本は敗戦と同時にすべての航空活動を禁止されまして、飛行機をつくつてもいかぬ、持つてもいかぬ、あるいはこれを飛ばしてもいけない、研究してもいかぬというふうな、絶対的禁止の制限を受けまして、七年間にわたる空白状態があつたのであります。その間に現在やつております日本航空株式会社が、アメリカのノース・ウェストの飛行機をチヤーターいたしまして、アメリカ人の操縦によつて非常に変態的な航空事業を営んでおつたという点は、御承知通りであります。その七年間に世界各国は非常な日進月歩の進歩をいたしましこ、現在欧米におきましては、航空機はすでに普通の交通機関にまで発達いたしております。その料金につきましても、普通列車の二等に寝台料金を加えた程度の安い料金で、一般航空旅客を輸送しております。航空機による交通あるいは輸送ということは、普通の交通輸送の状態にまで発達しておる次第でございます。この資料にも書いてございますように、わが国にもすでに十一社の外国定期航空会社が乗り入れております。しかも中には英米あるいはオランダといたような一流航空国以外の、たとえばフイリツピンでありますとか、タイでありますとか、あるいは台湾中国でありますとか、東亜の国々も日本に毎週何回という定期航空の乗入れをしてるることを、御注意願いたいと思うのであります。  この国際航空事業につきましては、各国とも非常な政府保護育成と申しますか、努力を重ねておりまして、この資料の最後にも付いてございますように、あるいは補助金を出し、あるいは一〇〇%に近い政府出資をいたしまして、非常に力を入れております。立ち遅れましたわが国としても、ぜひ一日も早く国際航空に進出いたしたいという考えを持つておりまして、本日提案説明をいたしました新しい国際航空会社法を御審議いただきまして、政府はこれに対して約半額の十億の出資、できますれば今年中にアメリカまで日本の飛行機を飛ばしたいという計画を持つておりますことは、御承知通りであります。  次に国内関係の状況を申し上げますれば、先ほど申し上げましたように、現在は定期航空事業は日本航空の一社でございます。幸いにいたしまして日航の営業面は、最近非常に好転いたしております。この資料にも書いてございますように、大体六〇%を越える乗客の利用率を持つております。御承知のように東京を中心としまして、北は札幌、南は福岡まで、毎日二往復の運航を行つております。この六〇%という利用率は、大体国禁的に見ましても航空事業として成り立ち得る、採算に合うパーセンテージでございます。この状況で進めば、日本の航空事業も十分樹立し得る。ただ私どもとしましては、現在日航のやつておりますほんとうの幹線のみでは、日本の定期航空事業としては不十分であります。なるべくすみやかに地方重要都市を結ぶローカル線を開きたいと考えておるのであります。これに対する申請も若干出しておりまして、近くこれが審議をいたしまして、それぞれの手続の後、許可をいたしたいと思つております。  なお定期航空、すなわち旅客貨物を定期に運送するもの以外に、エア・タクシーあるいは遊覧飛行機という程度の不定期事業をいたしております。これは現在四社ほど許可をいたしております。すでに事業を始めましたものは、おのおの相当の実績を上げております。なおそのほかに、ごらんになりますように宣伝ビラをまき、あるいは写真測量をするといつたような、航空機使用事業をいたしております。航空法によりまして使用事業の免許を受けましたものは現在は十六社でございましてまだ全部事業を開始してはおりませんが、それぞれ準備中あるいはすでに事業を開始したものは、それもある程度の実績を上げております。  次にこれらの事業に対しまして政府としてはいろいろな保護育成をいたしたいのでありますが、遺憾ながら財政の状況その他のために、ただいま申し上げましたように国際線には十億の出資をする、あるいはガソリン消費税のある程度の免税をする、あるいは関税の減税を行うというふうなことをそれぞれやつております。なお非常に大きな問題としましては、ここに通行税という問題がございます。御承知のように交通旅客の料金には、二割の通行税がかかつております。航空機に対しましても同様に二割の通行税がかかつておるのであります。これは全額で約二億数千万円の金額になります。建前上航空機に限つて通行税を免除するということはなかなか認めがたいということで、現在まで実現しておりません。たとえば東京から大阪へ参ります航空料金は五千円、これに二割の通行税を加えまして六千円という金額になつております。この二割の免税を得ることができますれば、航空料金としましてはさらに低廉になし得る。また旅客の吸収も料金を低減することによつて、さらに増加し得ると考えますので、そのために航空料金本来の金額もさらに低廉にし得るから、そうすることによつて一般大衆の利用度を増したいというのが私どもの念願でございます。また先ほど海運局長からもお話がございました固定資産税も、現在航空機にやはりかけられております。各地方々々それぞれにかけておりますので、全体の形はまだ不分明でありますが、この点も免除あるいは減税の処置をとられますれば、航空事業保護育成には資するところが大きいのではないかと考えるのであります。また航空機、御承知通りただいま日航の飛ばしておりますものでも一機三億ないし四億、将来国際航空に使用いたしますものは七億、八億という巨額の金額を要するのであります。その資金獲得には並々ならぬ努力を要するのであります。これがためにただいま航空機抵当法の法案を準備いたしまして、この国会に上程して御審議を願うことになつております。この点はよろしくお願いいたしたいと思うのであります。  次に飛行場、航空保安施設等の問題でございますが、国内のローカル線を整備いたしますにも、現在の飛行機はすべて航空保安施設の完備を持たなければ、定期航空事業を営むということは非常にむずかしいのであります。また非常に危険なのであります。御承知通り現在相当多数の飛行場がございます、これも航保安の部面から見ますと、アメリカ軍の使用しております飛行場以外の飛行場は、はなはだ不十分でありまして、私どもとしましては、さらに地方ローカル飛行場の航空保安施設に関する整備を行いまして、すみやかにローカル線の開設に進みたいと考えておる状況でございます。  保安施設現状等につきましては、ラジオ・ビーコンあるいは空航燈台、その他資料に記載してございますのでごらんいただきたいと存じます。ただそのうち十三ページに書いてございます航空交通管制と申しまするのが、ちよつと御説明を要するかと思うのであります。現在の航空につきましては、航空路というものを設定して指定してございます。たとえば東京から大阪へ参りますには、館山の上空を通過して大島の上を通り、焼津の上を通つて大阪へ入るという一連の航空路を指定しております。そうして館山、大島、焼津その他に先ほど申し上げましたラジオ・ビーコン、あるいは所要の地に航空燈台を設けまして、曇つた日でも、あるいは夜間でも、その航空路を通れば、それらの補助施設によりまして、飛行機は安全に飛べるという施設がしてございます。しかしながら現在のように非常に多数の飛行機が日本の空を飛んでおります場合、特に軍用機の数は非常にたくさんございますが、それが上りも下りも同じ航空路を通るということになりますと、航空路上の交通量というものは相当の量になります。それを現在やつております方法は、日本を大体姫路の近所で東西二分いたしまして、一箇所は東京の近くの入間川、一箇所は九州の福岡に航空管制のセンターを設けまして、このセンターで日本全国の現在航空をいたしております飛行機の統制をとつております。なおさらに各主要飛行場につきましては、あるいは御承知かと思いますが、飛行機に航空交通管制塔という塔がございまして、その塔に管制官がおりまして、その飛行場に対する飛行機の発着あるいはその飛行場上空の待機の順序、あるいは仕方というようなものを、一切その管制官が管制いたしております。それによりまして飛行場の航空管制、あるいは日本全国の空の航空の管制をいたしておるのであります。現在はまだ遺憾ながらアメリカの軍の手によつて行われております。従いましてこれは英語によつて行われるわけであります。建前は、日本の空は日本語で管制が行われるのが建前であります。私どもは一日も早くこれを実現いたしたい。現在航空局職員のそれぞれ有資格者を訓練いたしまして、できるだけ早く日本側の手に航空管制の仕事を譲つてもらうようにということを努力いたしております。また米軍としましても、これを日本側へ移譲することは承知いたして、訓練をの他にも協力いたしております。  次は乗組員の現状であります。航空機乗組員は、御承知通り戦前にも相当の数おつたのでございます。すでに七年の空白によりまして、彼らの技術もある程度の低下をし、あるいはただいま申し上げましたような、新しい管制あるいは計器による航空というふうな技術その他の面に対処するためには、再訓練を要するのであります。そのために昨年度は三千万円、今年度はただいま提出いたしております予算に五千万円の養成補助金を計上いたしております。しかしながら私どもといたしましてはできるだけすみやかに、かつてのようにもつと権威ある、またしつかりした航空機乗員養成所を一日も早く建設いたしたいと念願いたしておる次第であります。  次に現在日本にあります航空機現状でございます。資料の十六ページに書いてございます。大体現在は飛行機として単発が四十四機、双発が八機、四発が六機、回転翼航空機、これはへリコプターでありますが十機、グライダー五十四機、これだけ航空機が現在日本にあります。そのうち二十八機はまだ安全に関する耐空証明を受けておりません。これは近く検査を済まして証明書をもらえるものと考えるのであります。  次に国際航空条約関係、これは御承知のように日本が平和条約に関する付属宣言によりまして、国際民間航空条約に加入するという義務を負つております。それの手続をただいまいたしております。なお国際民間航空条約の建前としては、国際航空は大体原則として、国際間の航空協定に基いて実施されるという建前になつております。現在日本といたしましては、御承知のようにすでに国会の御批准を経ましたアメリカ、イギリス、この二箇国が航空協定を完了いたしております。また調印まで済みましたものは、オランダ、スエーデン、ノールウエー、デンマーク、それに最近タイ国が調印を済まされまして、いずれも本国会に御承認をお願いする状況に至つております。なおわれわれといたしましては、さらにアメリカから南米の方へも国際線を延ばしたい、あるいは、西の方にもフランスあるいはロンドンまで延ばすためには、途中ヴェトナム、あるいはビルマその他の国々にも、これらの協定を締結する必要があるのであります。これらの準備をただいま進めております。  資料にはさらに世界各国の航空事情が書いてございます。これはお読みいただいて御参考にしていただければけつこうと存じます。非常に簡単でございますが、以上航空関係の御説明を終ります。
  43. 關内委員長(關内正一)

    關内委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十五日午前十時より開会いたし、所管事項説明中、海運関係に対する質疑を行います。  これにて散会いたします。     午後四時八分散会