○中村(豊)
政府委員 自動車局
関係の所掌
事務について御
説明申し上げます。詳しい
内容につきましては、先般御配付いたしました自動車局所掌
事務の概要という書面によ
つて見ていただきたいと思います。その中から要点だけをかいつまんで申し上げたいと思いす。
終戦後復興の著しいものは自動車であることは、どなたも御異存がないと思うのでありますが、最近非常にふえて参
つております。いろいろ大きな自動車、小さい自動車全部ひつくるめまして、毎月一万五千台、年間十八万台くらいずつふえておるのでございまして、今年の三月末において
わが国における自動車の総数は七十六万台ということに
なつて参りました。この調子で行きますれば百万台の大関門を突破することも、来年中にはできるのではないかと思うのでございます。試みに戦前の最も車の多か
つた年を申しますると、
昭和十四年の二十一万七千台というときがありましたが、それに比べて非常にふえたということがおわかり願えると思うのであります。
そこでそのような自動車に対して、
運輸省はどのような行政をしておるかということを申し上げたいと思います。大体行政機構について申し上げますと、
運輸省の中に海運局、
船舶局、船員局、
港湾局、
鉄道督督局、あるいは航空局と並んで自動車局があるわけでございますが、その中に総務課と財務課のほかに、
業務部、整備部という二つの部がございます。
業務部は主として自動車を使
つて事業をするところの
事業の監督の
業務をや
つておるわけでございます。整備部は自動車の整備、技術、登録というようなことを管理しておるわけでございます。その本官を受けまして、地方に各ブロックごこに陸運局がございまして、その陸運何は自動車の地方行政を行う、それとめわせて
鉄道関係もや
つておるわけでございます。さらにその下部機構として各都道府県に、知事のもとに陸運
事務所というものを置きまして、現場の最末端の行政を行
つておる、このような仕組みでいたしておるわけでございます。
そこで行政の
内容を申し上げますと、第一は
事業の管理行政と言えると思うのであります。つまり自動車
関係の
事業の監督をする行政でございます。その
事業にはいろいろあるわけでございますが、道路
運送法によりまして自動車
運送事業というものを指定しておりますが、その分類はまず
旅客と買物に大きくわけまして、
旅客自動車
運送事業の中に、乗合
旅客と貸切
旅客と乗用
旅客と特定
旅客、四つにわけて起ります。乗合
旅客事業と申しますのは通称バスと称するものであります。剛線を定めて定期に自動車を
運行してお客様を運ぶ
旅客であります。貸切
旅客というのは俗称観光バスとでも申し仇すか、最近非常に観光地あるいは
国会の前にたくさん集ま
つておる、あの観光自動車でございます。これも戦後非常に勃興して来て、本年は最高の数字を示しております。乗用
旅客と申しますのはタクシー、ハイヤーのことでございます。特定
旅客と申しますのは、これは学校とか工場のきま
つた人を乗せて運ぶところの
事業でございます。
貨物自動車
運送事業は、これまた四つにわかれておりますが、
路線貨物自動車というのは、東京、名古屋間というようなところを
路線を定めて定期にトラツクを
運行して
貨物を運ぶ
事業であります。区域
貨物と申しますのは、東京都一円、大阪府一円というようなある地区だけを、
路線をきめずに自由に動きまわ
つて貨物を運ぶ
事業であります。小型
貨物と申しますのは、現在は一
トン以下の小型自動車を使
つて貨物を運ぶ
事業であります。特定
貨物と申しますのは、荷主の特定した需要に応じて
貨物を運ぶ
事業であります。そういうふうなものを総称して自動車
運送事業と称するのであります。
このような
事業のほかに、さらに自動車道
事業というものも行政の対象に
なつております。自動車道
事業というのは、箱根の十国峠にありますような専用自動車道をつくりまして、そこを通る自動車から料金をと
つて事業を行うものであります。
そのほかに自動車
運送取扱
事業というものがありますが、これは
貨物自動車
運送事業に対して、その仲介あつせん
行為をやる俗称水屋と称するあつせん
事業であります。軽車両
運送事業というものがさらにありますが、これは荷車、リヤカー、荷牛馬車あるいは橇というような、軽車両で
旅客、
貨物を運ぶものであります。
さらに大きな分類として通運
事業というものがありますが、これは駅のそばにある
運送店、一番大きいのは日本通運というものがありますが、あのような小
運送事業であります。さらに通運計算
事業というものがあります。通運
事業は各駅
全国にばらばらに配置されておるわけでありますが、この相互の間を連絡して、お互いの間に発生する債権債務を交互計算によ
つて決済する
事業というわけでございます。
そのほか、国の経営する自動車
事業として一番大きなものとしては、
国鉄バスというものがあるわけでございます。
これらの
事業を対象にして監督しておるわけでございますが、その
方法としては、まず免許制度を大部分の
事業についてと
つておるわけであります。
事業を開始しようとするときには、重要な
事業については
運輸大臣、軽微な
事業については陸運局長によ
つて、免許を受けなければできないということに
なつております。自由
営業ではないというのが、自動車
運送事業その他の一連の
事業の最も大きな特徴でございます。この問題については後ほど申し上げたいと思います。さらにそのような
事業については、
事業の計画、一たとえば運賃、料金であるとか、
事業の運転の回数、系統というようなものをかえるときには、認可を受けなければいけない。また
会社の合併、譲渡、解散には許可を受けなければいけない。その他いろいろと許可、認可を受けなければいけない
事項を
規定しております。さらに公益
事業として免許を受ける側に、その
事業の経営が思わしくない、不満足な場合には、それに対して
内容を改善させる命令を出すとか、あるいはある
旅客、
貨物を運ぶところの輸送命令を出すとかいう
方法も講じて、公益性の維持をはかるという
考えに
なつております。
これらの自動車
運送事業を行おうとするときには、今のような免許を受けなければならないのでありますが、そのための
手続が、現在においては比較的複雑に
なつておるのであります。これはこの参考書の二十六ページにその図解が書いてありますが、二十七ページの
大臣権限の
事業、たとえばバス
事業を経営しようとするときには、申請者はまず都道府県にある陸運
事務所に書類を出す。その陸運
事務所が調査書を添えて陸運局に書類を出す。その陸運局が
大臣に書類を申達するわけであります。そうすると
大臣は運輸
審議会に諮問をいたします。そうすると重要なことは運輸
審議会みずからが公聴会をいたしますが、比較的地方的な問題については、陸運局ごとにあるところの道路
運送審議会に調査を委嘱するわけであります。道路
運送審議会はそれを受けまして、公聴会を開いて実情を調べた上で、
意見を
決定して、運輸
審議会にその
内容を報告するわけであります。運輸
審議会はそれによ
つて意見を定めて、
運輸大臣に答申をする。それによ
つて運輸大臣は免許あるいは却下の
意見を定めて、陸運局、陸運
事務所を通じて申請者に渡す。このような複雑な
手続をと
つておるわけであります。二十六ページの局長権限の
事業と申しますものは、例を言えばタクシー、ハイヤーのごときものでありますが、これはただいまの
大臣と運輸
審議会の
関係だけがないわけでありまして、道路
運送審議会を通じて公聴会を開くという
手続はとられるのでありまして、これまた相当複雑であり、相当の日数を要するわけであります。そのような煩雑さをあえてしても、行政の民主化をはかるという
趣旨で、このような制度がとられたわけであります。
次に自動車局
関係の行政部面として大きな第二の問題は、車両の保安行政という点でございます。車両の保安行政の対象としておるものは、申すまでもなく自動車が大部分であります。自動車はこれもこまかくわければ、普通自動車、小型自動車、軽自動車、特殊自動車というふうにわけてございます。普通自動車は御
説明するまでもありませんが、小型自動車は小型四輪、三輪、あるいは二輪自動車というようなもあがあります。軽車両は俗種スクーダーと称するもの、特殊自動車はロード・ローラー、ブルトーザーというようなものを
考えております。さらに保安行政の対象には、原動機付自転車という、自転車の横にモーターをつけて走る、ああいうものとか、軽車両についても、きわめて軽い技術基準を定めて、一応保安の対象としております。
保安行政の
内容は、まず第一に自動車というものは、検査を受けなければ
運行の明に供してはならないということにいたしてあります。新しく自動車を使おうとする場合、あるいは検査の期間が過ぎたので、さらに継続して自動車を使おうとする場合、あるいは自動車の構造を変更した場合には、すべて陸運
事務所の検査を受けなければならないということに
なつておるわけであります。現在は
営業用の
旅客自動車は九箇月以内に検査を受けなければなりませんし、トラックは一年以内、自家用の乗用車は二年以内に一回検査を受けなければならない。このようにして車両の保安をはかり、車両の所有者及び
一般公衆の
保護をはか
つておるわけであります。
車両保安の問題としては、そのほかに自動車
運送事業者、タクシー、ハイヤーとかバスの
事業者も、整備管理者というものを必ず中に置いて整備をしなければならないということを
要求いたしたり、自動車の
運行の際には必ず仕業点検をやるとか、自動車の基準に合しないものは運転してはいけない。
旅客自動車
関係では運転免許のほかにさらに重い資格を課して、お客さんの
保護をはかろうとすることをいたしております。その他自動車整備
事業、自動車の修繕業者に対しても認証制度をとりまして、その業者は必ず車両検査主任者というものを置いて、内部の検査を厳重にやらなければいけないということを
考えております。
自動車行政、の第三の大きな部門は、自動車使用登録行政でございます。これは自動車を使用しようとするときには、先ほどの検査を受けなければならないと同町に登録を受けなければいけないことにしております。登録というのは所有権の公証、公に証明するという目的で出ていたのでありますが、それと同時に自動車の実態の把握、盗難防止ということもあわせてねら
つていたわけであります。ところが一昨年に自動車抵当法というものを
国会で議決していただいたわけでありますが、この自動車抵当法という抵当制度を設定するにあたりまして、その裏づけとして所有権及び抵当権の得喪について対抗力を与えるという必要が起りましたので、自動車抵当制度を厳重にしまして、所有権、抵当権の得喪の対抗力を与える制度にまで拡充したわけであります。このようにして登録に民事法的な任務を付与いたしたわけであります。この仕事を末端の陸運
事務所でいたしているわけであります。
最後の重要な部門としては、自動車
関係の資材行政でございますが、現在では資材に関する統制がほとんどなくなりましたから、ただいまのところ大した仕事はいたしておりません。ただ石油
関係につきましては、何とい
つても九五%以上が輸入に依存しておりますきわめて重要な物資でございますので、その消費状況を絶えず調査している必要がありますので、その仕事だけが残
つているわけであります。
そこでそのような行政に対して、
法律としてはどのようなものがあるかということを簡単に申し上げます。まず第一にありますのが道路
運送法であります。道路
運送法と申しますのは自動車
運送事業、つまりタクシー、ハイヤー、バス、トラック
事業及び自家用自動車についての
法律制をつく
つたものでありまして、先ほどの免許制度、許可制度その他のことをうた
つている
法律でございます。この
法律が先般問題になりまして、当
委員会において修正が議せられたことは御存じの
通りであります。そのいきさつについては後ほど申し上げたいと思います。
次は通運
事業法というものがございますが、これは通運
事業、すなわち
鉄道の駅における通運
事業者、日本通運のごときものを観律する
法律でありまして、この
法律に基いて通運
事業は免許制度になり、その他許可、認可制度に縛られているわけであります。
次に車両保安行政
関係としては、道路
運送車両法というものがございます。これは今申しましたような自動車を使用するには、まず検査を受けなければいけない。登録を受けなければいけない。その他整備、技術、保安基準というようなことについて、いろいろ
規定している
法律でございます。
さらにかわ
つたものとしては自動車抵当法及び道路交通
事業抵当法というものがございます。自動車抵当法と申しますのは、自動車というものは動産でありますから、普通ならば抵当権の目的になりませんが、この特別の
法律に基いて、動産である自動車を抵当権の目的にする。その同一性を確認するためには、先ほどの登録制度を利用しているわけでございますが、それによ
つて短期少額の
資金の融通をはかるという目的でつくられたものでございます。道路交通
事業抵当法と申しますのは多少趣が違いまして、個々の動産である自動車とかいろいろな設備だけではなしに、自動車
運送事業とか、通運
事業の
事業全体の設備、あるいは経営する権利その他を一まとめにして交通
事業財団をつくりまして、その財団を抵当権の目的にして
資金を借り入れるというやり方でございます。これは比較的長期多額の
資金の融通に活用されているわけでございます。この二つの抵当法は非常に要望に合いまして、当初予想したよりも利用率は非常に多い状態で、いい効果を収めているわけでございます。
以上が自動車行政に関する
内容及び
法律の状態でございますが、現在及び近い将来において問題となるべき当面の議題について、数点御
説明申し上げてみたいと思うのであります。
まず最初に自動車
運送事業の免許制度の可否ということでございますが、これが実は先般の
国会で非常に問題になりまして、たとえばバスはとにかく、トラックとかタクシー、ハイヤーは、免許を廃止して自由にすべきであるという強い御要望が一部からあ
つたわけでございます。これに対して
運輸省としては、自動車
運送事業は交通
事業の重要な一環をなしているのであるから、これを自由にすると交通の全体の秩序が乱れて、ひとり自動車のみならず、
鉄道、軌道その他にも非常な混乱を来すという
意味から、免許制度は存続しなければならない。さらに自動車そのものを見ましても、これは貴重な
生命財産を預か
つて、安全、正確、迅速、低廉に輸送する
事業であるから、公益性がきわめて強い。これを自由にだれでもやれるということになれば、その設備も悪いだろうし、保安も十分に行かず、運賃も高くなるだろうし、非常な混乱が起るので、公共性を確保するために免許制度によ
つて申請人、
事業をしようとする者の資格を
審査して、広く信用がある人に対してだけ、しかも
一般の需要供給の面とにらみ合せて免許しなければならない。そのような
理由から免許制度は絶対に存続する心裏が走る。しかしながらいろいろとその運用について実情を見ますると、免許制度本来の目的を逸脱して、既存業者を擁護するのみに偏しているようなきらいがないでもないので、その点は十分に検討をして、決してそのような目的に沿わない状態が起らないように、あるいは名義貸しの不明朗な
事態を解消するように努力するということを申し上げて、各党の御了解を願い、この免許制度は存続するということに
なつたわけでございますが、われわれはま
つたく同様な
考えを現在でも維持しておりますので、この点はもちろん今後もよろしくお願いしたいと思うわけでございます。
次に問題の点は、国営自動車あるいは私営、公営の自動車というものに対する問題でございます。つまり
国鉄バス、私営バスを自由にすべきである。民営バスは利潤追求であ
つて賃金も高いし、サービスも悪いから、反対であるという強い要望が各地にあるわけでございます。これにつきましては国営自動車には、日本国有
鉄道法によ
つておのずから
性格に制限がつけられております。日本国有
鉄道に関連する自動車
事業ということに
なつておりまして、これは
国鉄の建設線の先に自動車を動かして行く、あるいはかわりに動かすとか、
国鉄と
国鉄との間を短かくシヨート・カツトして結ぶ線であるとか、
国鉄の培養線であるとかいうような、
国鉄に
関係のある線だけしかできないというように制限がつけられております。また市営バスというものは、公共団体の
性格上、おのずからその市の範囲をそう多く出ることはできないものだと思うのであります。せいそれ声の周辺まで延長する
程度のものでございますから、地域的な制限がついて来るわけであります。そのような制限に該当しました場合でも、その地区にすでに民営自動車に限りませんが、既存
事業者があ
つた場合に、そうしてそれが十分にサービスをし、一応のレベルに達していた場合に、さらにそれがいけないからとい
つて、
国鉄または市営バスを免許する必要があるかどうか、非常に問題があるのでございまして、運輸としては従来からしばしば声明しておりますように、既存
事業者のサービスが一応のレベルに達しており、またあるいは改善の見込みが十分にある場合には、新らしい
事業者は市営であるから、あるいは
国鉄自動車であるからとい
つて、これを免許する必要はないというように
考えているのでございまして、それらの点についての調整は、今後も十分に注意して行かなければならない問題と思うのであります。ことに
国鉄自動車は、道路
運送法でも
法律の
規制がきわめて軽い、ほとんど自由な状態にしてあるのであります。これは
政府がやる、
政府に準ずる
国鉄がやる
事業であるから、誤
つたことはしないであろう、
法律違反はしないであろうという信頼のもとに、ほとんど制限をしておりません。規則をしておりません。ただ
事業を開始するときとか、
民間の線と競合する同じ
路線を走る
国鉄のバスの場合だけ、運賃と運転回数、運転系統を認可を受けさせるというだけで、あとは自由にしてあるわけでございますから、そういう点から見ましても
国鉄自動車というものは、十分に自己本来の使命にとどまるべきであろうと思うのでございます。
第三は通運
事務の免許方針についてでございます。通運
事業は戦争前非常にたくさんありましたが、
昭和十二年にそれらの混乱、無秩序、小企業濫立による弊害を防止するために通運
事業法、小
運送業法というものをつく
つて免許制度にすると同町に、日本通運
株式会社というものをつく
つて、日本通運を中核体として逐次統制、統合をはか
つて行
つたのでございますが、戦争中にその要望が特に強く
なつて、ほとんど
全国主要なところは日本通運だけに統制、買収されてしま
つたのであります。それは戦争目的遂行のために必要であ
つたと思うのでありますが、終戦後
経済民主主義の必要から、日本通運の独占形態というものは排除すべきであるという
要求が強くなりましたので、
昭和二十四年に至りまして通運事兼について複数制を実施する、つまり日本通運だけの単数でなくて、さらに競争業者を各駅に認めて、複数制を実地するということを声明いたしまして、その後着々とその方向に進んでおるのでございます。すでに
全国主要なる各駅は、全部日本通運あるいは従来の地区統合
会社以外の、新しい通運
事業者が免許されたのであります。それらの新規免許を受けた業者を育成し、助長する方策をと
つておるのでございます。そのようにして
全国に網状の組織が、日本通運という
一つの系統のほかに、新しい
事業者による系統をつくりまして、その
全国的な網状の組織が、お互いに競争を公正にやるということが理想であると
思つて、その方向に着々と進んでおる次第でございます。
次は都市の交通調整について申し上げたいと思います。都市交通、特に東京、大阪のような過大都市には、通勤輸送と主にして非常に交通が逼迫して参りまして、まことに困
つておる状態でございます。この
解決策としては、
鉄道というものが中心に
なつていろいろと調整をはかり、輸送力を増強しなければいけないわけでございますが、自動車も、特にバスもその一翼をに
なつて、
鉄道、軌道と相関連して、その必要な部門を負担させなければいけない。そのために東京都のごときは、都心に郊外のバスを乗り入れさせるということがすでに数年前から実施されておりますし、大阪においても多年の懸案の都心乗入れが
解決しまして、この八月一日を期して郊外電鉄系統のバスが都心に乗り入れることに
なつたわけでございます。かようなバスにはバス独自の分野もありますので、その輸送力を増強するように努力いたしたいと
思つております。なお都市交通調整の一端として、バスについてターミナルを整備したらどうかと
考えております。ターナルと申しますのは総合発着所、バスの中央停車場ともいうべきもので、今のような野天でも
つて、しかも雨にさらされて乗降するということははなはだおもしろくありませんので、りつぱな設備をつく
つて、そこで相互に各
路線のバスを連絡さして、お客さんの便利に供すべきであると思いまして、このような
施設を整備することに助長方策を講じたいと
思つております。またパーキング
施設、つまり駐車場についても何とか助長方策を講じて、あの街頭に車を置くために非常に道路が狭くなり、あるいは駐車場がないために自動車を利用するのに非常に不便を生ずるような
事態を、早く
解決したいと
思つておるわけでございます。
次は外国乗用自動車の輸入問題でございますが、乗用自動車は戦争中も戦後も長い間生産を禁止されておりました。小型自動車がこの三年ばかり前から辛うじて生産を始めたわけでありますので、
わが国の乗用車ははなはだ老朽、おんぼろの状態にあるわけでございます。タクシー、ハイヤーといわず、自家用乗用車といわず、合計の平均年齢は十三年を越すような状態で、一九四〇年以前の車が三万台にも上るといらあわれなる状態でございますので、
経済活動の能率を上げるために、何とかこの乗用車を急速に更新し、りつぱなものにしなければいけない、新しいものにしなければいけないという要望が強いのであります。そこで、もとより国産自動車けつこうでございますから、その生産増加をはか
つておるのでありますが、なかなか思うように伸びずに、本年の生産目標もわずか七千台になるかどうかという状況でございます。のみならず国産自動車の欠点は、悪かろう高かろうという状態でございまして、大量生産の方式をと
つていませんし、長い間の経験もないために、どうしてもその性能が劣
つて、価格は反対に非常に高いという状態なので、そのような国産車だけを需要者に押しつけるということははなはだ不合理なわけでございますので、それを補うものとして外国製の優秀な自動車を輸入すべきであるというのが、
運輸省の強い要望でございます。この点が通産省の生産行政あるいは通産行政と、いろいろと相対するような問題もございまして、なかなか輸入が十分にされていない状態でございます。
運輸省としては一年間に二万台ないし三万台の乗用車を、外国から輸入すべきであるという強い
要求を持
つておりますけれども、通産省方面と
折衝の結果、本年は一万台の乗用車を輸入する、上半期に六千台を輸入するということで、最近ようやく為替の割当が完了しようとしておるわけでございます。もとより外国乗用車の高級、豪華なものを
要求するのではなくて、
経済的な
わが国の
現状に適したものでけつこうなのでありますから、一部の特殊なものを除いては、高級車でなく、中級車あるいは大衆車を輸入すべきである、それにはアメリカ車は一部にして、欧州の小型の、また燃料消費の少いものを輸入すべきである、こういうふうに
考えてや
つております。
次に自動車
事故の防止問題でございますが、自動車が今のように非常にふえますると、どうしてもやむを得ず
事故が起るわけであります。その
事故は必ず人命に損傷を起すわけで、何とかこの
事故を防止いたしたいと
思つております。その
方法としては、車両の検査能力をふやし、強化したり、検査
施設を拡充することに努力しておりますが、
予算の
関係でまだ十分に行
つていないのを残念に思います。さらに
鉄道踏切りにおける
事故が非常に重大な結果を起しますので、踏切りの整備について
鉄道関係、道路
関係と
折衝して、踏切り整備についての法的な措置をいたしたいとただいま努力しております。
それに関連しまして、自動車
事故賠償責任の補償制度を確立いたしたいと思うのであります。つまり人命に死傷を起したような場合に、これは当然
賠償責任があるわけでありますが、現在のような民法の
一般原則では、なかなか話がつきにくくて、十分な
賠償ができず、力の
関係で
被害者が泣寝入りするような、おもしろくない
事態もいろいろあるものでありますから、そのような問題を迅速、的確かつ簡潔に
事務的に
解決するために、自動車の所有者は
営業用といわず、自家用といわず、必ず強制保険に入るということを義務づけまして、問題が起れば保険でも
つて解決する、このようなことをぜひ法制化しようと
思つております。それには
法律論としているくと問題がありますので、ただいませつかく研究中でありますが、なるべく近い機会に
提案いたして、御
審議を願いたいと
思つておるわけであります。
最後に、最初申しました道路
運送法の
改正について簡単に御
説明を申し上げます。これは今
国会に近く
提案申し上げて御
審議をお願いいたそうと
思つておるのでありますが、免許制度の廃止をめぐ
つて先ほどの
国会で議論があ
つた。それについて存続ということにきま
つたということを申し上げましたが、そのためにそれに関連して
現行の道路
運送法を廃止すべきである、特に先ほど申したような道路
運送審議会公聴会の制度は、複雑にして手数がかかるだけであるという観点から、それを廃止すべきであるというような点を主にして、先般議員
提案で
法案がつくられたわけでございますが、その御
趣旨をそつくりそのまま受けまして、さらにこの
法律実施の二年間の経験に基いて、不備な点、実情に合わない点が起りましたので、それらの
改正をも加味しまして、一まとめにして道路
運送法の
改正ということを
考えておるわけでございまして、近く
政府提案として御
審議をお願いしたいと思いますから、その節はよろしくお願いいたします。
大体自動車に関する問題について簡単に御
説明申し上げました。