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政府委員(
加来才二郎君) 第一点につきましては、
大臣は
組合側に対しましては
中労委の
調停案を
中心として
交渉に入りたい、但しその場合には四つの
条件があるということを
組合は言われておる。できたならばその
条件にこだわらずに中山
委員長の斡旋の下に
交渉に入られてはどうかという要請であります。それに対し
組合側は直ちにそこで意向を表明いたしまして、我々の四
条件というものは何ら
調停案の趣旨から離れたものではないのだ、どうも
条件にこだわらずということの言われ方が納得できないが、いつでもその
条件を以て
交渉に応じ、或いは斡旋に応じる用意があるという意思表示をされて帰
つたのであります。
経営者側に対しまして
大臣からは、各社別
賃金、
各社別交渉を言うておられるが、
中山会長もそれぞれ考えておられることだし、専門的に従来の御経験もあるのだから、中山さんの
調停案を
中心として
交渉に入つたらどうか。特にこの職権斡旋等の
措置を講ずるのを待たずして自主的なさような判断をされてはどうかということを申されましたのに対して、
経営者側は一応帰
つて相談をいたしまして御返事をいたします、こういうことでありました。その返事については、回答に時間的な期限があつたかというふうな意味でありましたが、これは
大臣といたしまして
はさような
条件を付けておりません。併し
経営者側はできる限り早くという意向でありました。我々今朝十時から
経営者は協議をいたしておるということは聞きましたが、まだ
只今現在で私のほうには返事があつたという連絡はございません。
第二点の
炭労と電産の
争議に対しまして、
労働省は今後の
措置はどういうことを考えておるかという
お話でありますが、基本は、何とかして
争議の
解決を図りたいという基本的な
考え方は捨てておりません。それと同時に、
政府の強権によりまする
介入は極力避けたい。せめて
第三者の斡旋でや
つてもらうならば、一番そういう
慣行が確立することが望ましいという
考え方は持
つておるのであります。併し一応
大臣も申されましたように、
炭労にいたしましても、例えば目下の
需給関係ということについては、
通産省においてそれぞれ
措置されておりまするが、併しこのまま進みまして、適当な時期にぎりぎりのところで
解決いたしましても、来年になりましての
石炭の炭価の問題等を考えて参りますと、これは長期に亘りまする観察から見ますと、さようにいつまでも放
つておくことができないし、
労働者の
生活に対しまする
影響も差当りは平静でありまするが、これがやはり長期に亘りますと、長期の
影響を受けて来る。例えば一カ月或いは四十日に亘
つて賃金が入りませんと、今全くぎりぎりの
賃金をもら
つておりまして、二日休んでもすぐそれがこたえるという
程度の
賃金でありますように聞いておりますので、今度仮に何%か上りましても、今後一カ年間は
賃金が上らなかつたと同じような結果になりまするし、更に
組合が最も強力であるべき
一つの
条件は、
争議資金を十分に持
つておるという力の強さでありますが、これを全部使い果して参りますると、これはなかなか回復に困難であります。特に
炭労は長年かか
つてこの
争議資金を蓄えてお
つたのであります。さようなことから申しましても、余りに目の前だけの
考え方でこれを考えるわけには参らん点があるのではないかというので、特にこの四、五日或いは一週間あたりの動きにつきましては、今日以前に比較いたしまして相当重大な関心を持ちましてこれを注視いたしておるという
状況でございます。
第三点でありまするが、電産の
経営者が
統一賃金、
統一交渉に反対いたしまして、各社別
賃金、
各社別交渉をと言
つております。言うところの気持はわからないでもありませんが、併し全部がそのまま了解できるとは考えておりませんし、殊に差当
つてこの
争議が
第三者に対しまして相当の
影響を与えておりまする今日、自己の主張を全面的に強く持ちまして、そうして
交渉に入らないというふうなことにつきましては、
大臣も申されましたように、
労働省としては遺憾に考えておるのであります。二の
賃金の、
会社が主張いたしまする方式が是か、或いは
組合の主張しておりまする方式が是かという点につきましては、いろいろの観点で批判なり議論なりはでき得ると思いますが、御
承知のように
労働省といたしましては、基本的に
賃金に対しましては二つの
考え方を持
つております。
一つは、
労働組合法に基きまする
団体交渉によ
つてこれをきめて行くという方式のもの、
一つは、基準法の定めで、まだ具体的にはなりませんが、最低
賃金制ということを考えて行くという二つの線を持
つておるわけでありますが、前者のきめ方で電産の
賃金方式は定めらるべきである。従いましてどちらにきまりましようと、或いは両者を合せたようになりましようとも、これは
介入をすべきではないという
考え方を持
つておるのであります。この中山
委員長の
調停案の第七項に御指摘のように、各社別でや
つてもいいではないかという意味のものが付いておることは了承いたしております。如何なる意味かということを予測することは、解釈を我々がやることは適当でないと思いまするが、少くとも
中山会長のなされました
考え方を我々が聞いておるところによりますると、
会長の
考え方としては、各社別
賃金で行くべきであるという
考え方の下に言われてはいないようであります。
調停の過程におきまして、さような意向はないのかというふうなこともたびたび聞かれておりまするが、
経営者側からその問題について具体的な資料の提出もなかつたし、結局
調停委員会といたしましては、やはり現行の
賃金の率を上げて行くという形を原則といたしておるようでありまするが、併し
会社が各社別にな
つて参つた以上、各社別といいますか、
独立採算制をとつた以上、この方式で払えないものがあるならば、この点についても考えていいのじやないかという意味で、第七項が付いたように
承知をいたしております。従
つて基本の
考え方でかくあるべしという意味の
調停案ではなく、実際の実情を
基礎としての
調停であるというふうな
考え方であるというように聞いておるのであります。
この各社別の問題につきまして、
労働省が
中労委に対し、かくあるべしという意思表示をしたかという
お話でありますが、これは基本的な
考え方につきまして、我々は先ほど申しましたような
態度をと
つておりますし、特に
中労委という機関に対しましては、その
独立性というものを十分尊重といいますか、完全に尊重するという基本的な
態度をと
つておりますので、その
調停案についてかくかくのものを出してもらいたいと言うはずがございません。さような事実はないと
承知をいたしております。ただ電産の
組合の諸君が
労働大臣に会いまして、さようなことをや
つたのではないかということについての抗議がございました。その席に私は立会
つておりませんでしたが、基本的な
考え方は、
労働省といたしましては動かしていない。即ち
労働委員会の裁定については完全に不
介入の
態度をとるべきであり、
労働賃金というものは、これは
団体交渉によ
つて定めらるべきものであるという
考え方を動かしていないのでございます。以上お答え申上げます。