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1953-03-12 第15回国会 参議院 予算委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十二日(木曜日)    午前十時四十五分開会   ―――――――――――――   委員の異動 三月十一日委員岡田宗司君、佐多忠隆 君、三輪貞治君及び曾祢益君辞任につ き、その補欠として矢嶋三義君、中田 吉雄君、小笠原二三男君及び相馬助治 君を議長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            左藤 義詮君            高橋進太郎君            森 八三一君            内村 清次君            永井純一郎君            岩木 哲夫君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            石川 榮一君            石坂 豊一君            石原幹市郎君            泉山 三六君            大矢半次郎君            川村 松助君            郡  祐一君            駒井 藤平君            杉原 荒太君            石黒 忠篤君            片柳 眞吉君            田村 文吉君            溝口 三郎君            堀越 儀郎君            中田 吉雄君            羽生 三七君            矢嶋 三義君           小笠原二三男君            棚橋 小虎君            相馬 助治君            堂森 芳夫君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君            鈴木 強平君            千田  正君   国務大臣    内閣総理大臣  吉田  茂君    外 務 大 臣 岡崎 勝男君    大 蔵 大 臣 向井 忠晴君    文 部 大 臣 岡野 清豪君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    法制局長官   佐藤 達夫君    人  事  官 入江誠一郎君    自治庁財政部長 武岡 憲一君    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵大臣官房長 森永貞一郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君    文部省管理局長 近藤 直人君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○昭和二十八年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十八年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十八年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 只今より予算委員会を開会いたします。  本日から一般質疑に入ります。本日は特に義務教育学校職員法案に関する諸問題について質疑を行いたいと思います。
  3. 左藤義詮

    左藤義詮君 議事進行について……、この問題を扱いまするにつきまして、文部省及び自治庁資料を請求してあるのですが、どうなつておりますか、お調べ願います。
  4. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) お答えします。あなたの要求しましたのはまだ来ておりませんから、至急取寄せるようにいたします。
  5. 左藤義詮

    左藤義詮君 本日予算委員会で、特に重要法案として義務教育費の問題を扱うそれの資料でありますので、それがないと非常に審議に困るのでありますが、どうなつたかもう一遍お調べ願います。この前は至急出すということであつたのです。
  6. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 承知いたしました。
  7. 内村清次

    内村清次君 先般の理事会では、本日からの重要法案審議に対しては総理出席を要求する、これは決定した問題ですが、総理が出て来ておりませんが、どういうような状況になつておりますか。
  8. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) お答えします。理事会決定によりまして、内閣のほうに総理出席を求めたのでありますが、本日は午前中は渉外関係で出られない、従つて午後からは必ず出るとこういう通告がありますから、皆さんこの質疑をなさる場合、委員各位におかれまして総理に対する質疑があるとすれば、午後に延ばしてもらいたい。従つて持ち時間もその意味において多少留保してもらいたい。こういうように考えております。
  9. 内村清次

    内村清次君 その点は質疑者関係におきまして、又委員のほうでも意思の表示もあろうと存じますが、理事会といたしましては、総理のほうはやはり国会を尊重してもらつて、この重要法案には、特に又今回の義務教育学校職員法案に対しましては、これは本会議総理出席がないから、特別に一つ出席してもらいたいということは強い意見であつたわけですが、渉外関係と、これは事前に政府のほうから通知をして、委員長がこれを了承したというような事実はありませんか、どうですか。私は若しそういうことがあつたならば、理事会に諮り、或いは委員会に諮つて、そうしてその問題を政府に通告してもらいたいという要望。それから若し質疑者了解が得られるとしましたならば、午後においても出席しないとしたならば、委員会はこれはもう進行すべきでないと私たちは考えております。この点も一つ委員長においては了承して頂きたい。
  10. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 承知いたしました。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は先般本会議において、本法律案について吉田総理にお伺いしたのですが、当時出席されず、本日又おいでになつておられないわけです。総理出席の下に、質問を主として総理に申上げたいと思つたのでありますが、総理がおられませんので、総理に対する質問を午後に保留いたしまして、一応他の関係大臣に御質問いたしたいと存じます。  先ず岡野文部大臣にお伺いいたします。岡野文部大臣とはいずれ私文部委員会で更に詳細に質疑応答するところの機会があると思いまするが、若干お伺いいたしたい。それはこの法律案憲法第二十六条で規定されておるところの義務教育無償との関連岡野文部大臣どういうふうにお考えになつておりますか。
  12. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。  義務教育無償憲法二十六条の規定でございますが、今まではほかの法律にもちよつと書いてございますように、義務教育に対しては月謝を免除する、とこういうことに規定しております。それ以外に余りあれをパラフレーズしたものは出ておりませんが、併し私の考えといたしましては、若し国家財政が許しますならば、義務教育に要するところの費用はできるだけ国家が出しまして、そうして家庭の皆様方に御迷惑をかけずに義務教育をやつて行きたい。こういう方向に進みたいと考えております。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今大臣答弁の中には、義務教育無償ということは授業料をとらないことだ、こういうふうに私聞えたのでありますが、重ねてお伺いいたしますが、義務教育無償とはどういう内容のものだとお考えになつておりますか。
  14. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。義務教育無償ということは、親御さんは子供を学校に入れておけば、大体学校に通わすだけで義務教育はさしてもらえる。こういう方向に進んで行くのが義務教育無償の本質だと思います。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その内容をやや具体的にここで答弁して頂くことと、それと本法律案との関連性如何ということについて質問いたしたいと思います。
  16. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私は義務教育無償がどの程度まで行くべきかということは、これは国家財政とも関連のあることでございますから、財政と睨み合せてやらなければならんと思いますが、併しできるだけ義務教育国家がこれを保障して行きたい。こういうことでまあすでに単行法として出ておりまする教科書無償法律があります。これは只今のところでは事実一学年しか無償教科書が渡してございませんが、これをできるだけ全学年に順を逐うて無償で配布する、こういうこともしたいと思います。  それからもう一つ学校給食なんかも二、三年いろいろ異論もございますが、私の考えといたしましては、あれをもう少し基礎ある法的根拠を見付けまして、そうして学校給食も実行して行きたい。  それから又学校設備は六三制ができまして以来国庫補助を以て或る程度まで完備しつつある次第でございます。まだなかなかこれがうまく行つておりませんので、これも充実して行き  それから来年度予算として初めて科目を出したのでございますが、危険校舎なんかで使用禁止とか、使用制限というような学校でございましたら、もともと原則としましては学校校舎設備なんというものは市町村団体義務になつておりますけれども、これを直して行くのに国家が或る程度まで補助して行きたい。こういうようなことにつきまして僅かばかりでございますが、来年度はやはり危険校舎を整備するのに補助金を与えたい、こう考えております。その他いろいろ考え方もございますけれども、順を逐うてやらなければならん。そこで今回の新法案におきましては、多年の教員諸君要望でありますところの給与費を、いわゆる平衡交付金は何に使つてもいいという金を国家が渡すのだが、これだけのものは必ず教員給与費として支給しなければならん、こういうふうにしたほうが要望にも適いまするし、又義務教育国家責任を以てやるという趣旨にも合うので今回ああいう法律を提案したわけでございます。(「委員長関連」と呼ぶ者あり)
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私がお伺いしているのは大臣憲法二十六条の義務教育無償を堅持して行くその内容はこういうことを考えていると、この論議は他日に譲るとして、一応その点はわかりました。ではそれとこの法律案が出されたこととはどういう関係があるのか。即ち義務教育無償原則を推進するための一つの方策として出されたのかどうかということを承わつているわけです今の答弁では私不十分でございます。重ねてお伺いいたします。教職員給与平衡交付金からはずして紐付きにした、教員給与費というものは要するに国民税金から支払われておつたわけですが、この国民から出される税金というものは多くなるのか、少くなるのか、即ち教職員給与に向けられる国民税金というのは、この法律によつて多くなつたのが少くなつたのか、その点伺います。
  18. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。国民税金は変りございません。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではこれは義務教育無償推進一つの一翼を担う法律案であると大臣は認定されるかされないかということ、この点お伺いしたい。
  20. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私といたしましては、義務教育国家責任を持つてやるという意味におきまして、今回の措置をとつたのでございます。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう少しはつきり答弁してもらわなければ、時間がかかつてしようがございません。義務教育全額国庫負担という触れ出しで出た法律案でございますけれども、この法律案名前の示します通り、私は何ら憲法二十六条の義務教育無償関連性のない問題だ、父兄の負担と全然関係のないものであると確信するが故に、私は大臣に信念のほどを伺つたわけでございますが、私の考え通りであつて大臣には確たる答弁がないということを私は遺憾に思う次第でございます。  次にお伺いいたしますが、大臣全額国庫負担という国民要望にこの法律案は副うものである、そういう要望に副うために出した、こういうことを言われております。更に大臣全額負担は賛成だということを昨年衆議院の或る委員会でともかくそういう言葉が現われております。その当時大臣が述べられた全額負担という内容はどういうものであつたか、その点伺いたい。
  22. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。この前に半額を紐付の給与費として出すということで非常な議論が出ましたことはもう御承知のことと存じます。その当時私は半額では不徹底であるから全額給与を出さなければならん、こういうことが私の趣旨でございます。で、この際給与費を全部出すということにしたわけでございます。  それからこれはたびたび委員会その他で私申上げておつたのでございますが、全額国庫負担という言葉を出しておいて、そうして義務教育職員法案というものにすり替えたというようなことがよく新聞にも出たりしますが、併しながら閣議決定の席には、いわゆる全額国庫負担をしようじやないかということは、昨年あれだけ大きな問題になつ給与費でございますから、これを半額でやるべきものを全額にするということを打出す意味において用いた言葉でございます。当時閣議決定をいたしました場合にも、これを法案としては小中学校職員給与に関する法案要綱ということで決定しておる次第でございます。これが世間で誤解された点はいろいろ種々ございましようが、そういう意味でございます。すり替えたわけでも何でもございません。昨年以来のいきさつをこの際半額全額にした、それを打出したわけでございます。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣に重ねてお伺いいたしますが、大臣が当時述べられた全額国庫負担、並びにこのたび大臣が述べられております国民全額国庫負担要望に副うたというその全額国庫負担というのは、給与費教材費、或いは校舎建築に要する地方債に関する特例を、それを含む戦災復旧災容復旧、それらを内容とするものが昨年度の義務教育国庫負担法原案である、その審議の過程において大臣全額国庫負担を述べられて、更に国民も又全額国庫負担要望したものはこういう内容のものであつて只今ここに提案された法律案を以て大臣国民全額国庫負担要望に副うたと、こう言われることは私は若干の疑義があると思うのですが、如何でございましよう。
  24. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。昨年できましたところの義務教育費国庫負担法というのは、教員給与費教材費の一部ということに限定をされております。その当時からの問題がこの給与費半額にするか全額にするかということで非常に私は論争したのでございます。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昨年八月成立した法案給与費の実支出の二分の一と教材費の一部ということは知つております。実は全額国庫負担を是非実現したいとあなたが述べられたと言われておりますが、それは原案の際に私がさつき申上げました、こういう内容を含んだ原案に対してそういうことを申されたわけであつて国民全額国庫負担要望している、その意向に副うとあなたは申されておるけれども、何もその教材の一部を国庫負担するこの法案を以て、全額国庫負担内容国民考えていないということは明白だと思います。その点区別を労しないようにして頂きたいと思います。  更にこの点についてお伺いいたします。昨年議員立法において義務教育費国庫負担、即ち半額国庫負担がきまつたその内容として、実支出の二分の一を国庫支出することに当つては、各県の定額最高限度政令で定める、それから教材費を一部負担とする、それも政令で定めるということになつておるのでありますが、この政令はいつきめられましたか、その点お伺いいたします。
  26. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) その点詳しいことはよく存じませんから、政府委員から答弁させます。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣それはどうして知らんのだ……。
  28. 田中義男

    政府委員田中義男君) 私からお答えいたします。御承知のように現行法によりますと、最高限については政令で定めることができる、こうなつておりますが、併し只今新たな法案提出して審議を願つておるわけでございますので、その新しい法案との関係上未だ現行法についての政令を定める段階にまで至つておりません。
  29. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 けしからんことを言うじやありませんか。大臣にお伺いいたします。昨年の第十三回国会で夏に成立したこの法案、而もそれは参議院において二十八年四月一日から実施という施行期日を入れて成立した法案を、今年の四月一日から実施するのは当然だ。然るに何が故にそういう政令を定める準備をしないか、国会軽視じやないか、答弁を求めます。
  30. 田中義男

    政府委員田中義男君) 私から……。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣にお伺いいたします。出ていないことはわかつたのだから、それに対して答弁をして下さい。
  32. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 四月一日からの現行法義務教育費国庫負担法、あれに対する政令は出ていないということはわかりましたのですが、これは事案私どもが昨年秋から予算を作りますにつきましていろいろ考えまして、今回出しましたような法案を出すように肚がきまりましたものですから、それに合せた政令を出すということに今苦心をしておる次第であります。この前の分には準備をしておらないのであります。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣、それは議員立法に成るこの法律案施行期日がきまつておるものを、当然行政府としてなすべき政令制定に努力しなかつたということは、立法府に対して如何お考えになりますか。
  34. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。議員提出であるから軽視する、政府提出であるから尊重するということは私は考えておりません。できました法律は誰が提案しようと、できましたものは国会意思並びに国民意思でございますから尊重しなければならんことは事実でございます。そこで四月一日から施行でございますから、若し間に合わせようと思えばこれから間に合う、こういうのであります。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは資料を要求いたしましよう。あなたがたは今度は責任を以て国会で成立した義務教育費国庫負担法実施しないで、新なる法律案を出された。これには各都道府県定員幾ら定額幾ら、この配分が明確でなければ各都道府県は来年度予算編成にも困つておる。直ちに来年度……、今あなたがたが提案されたこの法律案実施後における各都道府県定員定額一覧表を出して頂きたい。
  36. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。この新らしい法案内容は二十八年度限りにおいて、いわゆる積算基礎であるところの定員定額について都道府県交付金をやろうということであります。それで今までの状態とちつとも変りませんから、又それの中の、法律に書いてありますような現員現給でやるということになりますから、この点は私はそう急ぐ必要はない、こう考えております。ただこれを十分注意しまして、そうして実態に副うように、今まで足りないところの、教員の数が少いとか何とかというようなことがあれば、それに合せて何とか考えなければならん、これは将来のことでございます。併し二十八年度限りにおいては今まで通り現状維持でやつて行く次第であります。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点についてはあとで論じますが、盛んに行政整理があるとかないとか、或いは給与の引下げがあるとかないとか論じておるのですが、要は都道府県予算編成にも必要であるし、二十八年度に何県には定員幾ら定額幾ら、これが明確にならなければ机上の空論になつてしまう。それを提示するところの用意がありますかどうかということを伺つているのであります。
  38. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。先ほども申上げましたように、現状維持教員をそのまま扱つて行くのでございますから、ただ負担金における、その負担金積算基礎をいわゆる定員とか定額とかという名前でやつているのであります。これは今まで地方財政のほうで考えておりますことでございますから、基礎がございますから、これで算出いたしたわけであります。二十八年度におきましては人は減らしもしませんし、それから待遇もちつとも変らないということになつている次第であります。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して……只今矢嶋君の質問に答える文部大臣のお答えは、我々誠に不満であります。少くとも今日、四月一日から発効せられるものは義務教育費半額国庫負担法であります。而もその法律によつて地方の二十八年度の予算というものが今日組まれつつある。二月各都道府県会において当初予算を策定するに当つて教育委員会都道府県側といろいろこの種の問題で紛争を起しているのであります。法律的には、二十八年度は平衡交付金を以て教員給与が支給せられる形ではなくて、財政需要のうちの半額はこの義務教育半額のほうで見る、こういうことになつておる限りは、これによつて地方はその定員なり或いは定額なりというものをきめてもらつて、一応の予算というものを立てなければならん。然るに或る府県は、いわゆる文相が従来呼号している全額国庫負担というようなことを考えて、国が教育費は全部見てくれるのだろうからということで、それについての都道府県の収入というものは何ら考慮しないというような形になつている所もあれば、区々まちまちなんです。少くとも今後において法律的には政令を出して、二月都道府県会における当初予算の策定に混乱を生ぜしめないような、地方自治混乱に陥れないような、そういう基準を明示すべきであつたわけなんであります。そういうことをせんで、結局この法が通るだろうからということを予想して、今国会通つて四月一日から確実に行われるであろうと思われる法についても基準を示さんというようなことは、こういうことは文相としてどう考えておるか、そういう点をさつきから伺つているわけなんであります。はつきりしない。而もこのことについては私伺いたいことは、文部大臣としまして政令を出せなかつた事情があるとするならば、教育委員会に対して予算を立てる方針というもの、暫定的な方針というものがどういうふうに指導されたのか、この点を伺わなければならない。又自治庁長官のほうにはこういう国会論議になつておる問題もあり、又半額義務教育費国庫負担法の四月一日から発効する、そういう可能性もある段階において、地方都道府県において当初予算を作るに当つて、この教育関係のものについてはどういう考え方で作るように指導がなされたのか、この点をお聞きしておきたい。
  40. 田中義男

    政府委員田中義男君) 私からお答え申上げますが、先ほども申上げたように、新たな現在の法律も四月一日から施行されるわけでございますから、従つて政令制定もそのときまでには当然制定すべきものでございますが、只今その制定について具体的な案として御説明上げる段階にないということを申上げたのであります。なお予算の来年度の問題につきましては、昨年の末以来おおよそ現在提案をいたしておりますような規模においてこれを施行する予定にいたしておりましたので、その方針に基いて各地方でも考えて頂くようにお話を進めて参つてつたのでございます。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は大臣に伺つておるのですが、いわゆる法律施行に伴う責任を私は問うておるのです。四月一日までに政令を作るように考えておるということを言つていますが、四月一日以降の二十八年度の教員給与費その他について、教員関係予算というものは都道府県において四月一日以降作るものではないのです。この二月県会において作るものである。(「委員長委員長。」と呼ぶ者あり)
  42. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長、今すぐ大蔵大臣質問に移るんです。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 発言中じやないか、大蔵大臣発言中に……。(「誰だ発言中に連れて出て行くのは」「質問者了解を得ないで勝手に出て行かないで下さい」と呼ぶ者あり)
  44. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 大蔵大臣ちよつと坐つて下さい。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 続けて申しますが、従つてこの政令というものは、政府に誠意があり、責任を感ずる限り四月一日から発効になる法律が現在ある場合に、その政令というものを出される時期は都道府県の二月県会以前でなければならなかつたが、どうか、こういうことを聞いておるのです。そういうことをしないで、地方に対してこの予算を策定するに当つて教育委員会都道府県当局との間に混乱を起させておる、こういうことは文相責任ではないか、こういうことを申上げておるのです。その辺について御答弁を願いたい。講和発効までにぎりぎりに出している政令もあれば、地方自治団体予算関連する問題で定例都道府県会に最終的にその予算を出さなければならない時期がある、はつきりとその場合がある、今回の場合はそれである。それを政府方針を、基準を示すことなく荏苒日を送つておるということ、そして地方自治体を混乱に陥れておる、その責任文相にあるのではないか、こういうことを聞いておるのです。御答弁を願いたい。
  46. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。丁度一月の中旬頃から今回の法律を出しまして、それで国家予算措置にいたしまして、これで是非一つ国会の御承認を得ましてこれを実行して行きたい。こう考えまして、多分事務当局のほうではその方針でいろいろ都道府県にも相談をしたことと思います。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長……、私それに関連して……。
  48. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 本多国務大臣が残つています。
  49. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 御答弁が遅れたようですが、ちよつと機会をとらえることが困難でございましたので……。  二十八年度の地方財政措置といたしましては、八千四百億を要するものと考えております。その中に平衡交付金以外の財政措置としてやるものを除いて平衡交付金としてこれを見ます場合には、一千七百二十億を要することと算定いたしております。今回その政府交付金財政措置をしなければならない部分を二十八年度は府県の負担として、義務教育教職員給与を府県が負担するごとになりますので、文部省から行くものと、自治庁のほうから平衡交付金として行くものとの二つに政府からの交付金が分れるわけでございまして、一千七百二十億は、八百億を平衡交付金として交付し、九百二十億を文部省負担金として交付するわけでございます。従つて地方に対しましては、その両者合わせれば、八千四百億の財政措置が講ぜられるという趣旨で指導いたしております。文部省から行く金と自治庁から行く平衡交付金と合わせると、平衡交付金一本として、総体としては八千四百億の財政措置になるものである、こういう趣旨で指導いたしている次第であります。
  50. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それならもう一点簡単に聞いてあとに残しますが、半額義務教育費国庫負担法によりますれば、九百一億の半額文部省が見、そして平衡交付金自治庁半額を見るのだ、こういうことなのですか。私のお尋ねは、もう一度尋ねますが、いわゆる大蔵省に対して財源の必要額として算定したこれは単価に人員をかけたもので、出た金が一千百五十五億と、こういうふうな関係から出たものと私は思うのですが、それから今度は財政需要考え平衡交付金として流す、その流し方で出て来たものは又別途の計算の方法によると思う。それがただ平衡交付金の九百何億というものを片方を折半してこれが補助金なり負担金分として行つて、そして平衡交付金としては半額の分だけ行くのだと、こういうことには私はどうしてもならないと思う。その点はただ折半してお互いが紐付になるものが半分、紐付にならない分半分を見ればいいのだ、こういうお考えなのですか。その点を伺つておきたい。
  51. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 只今一千百五十五億と仰せになりましたが、これは地方財政計画上の数字でございます。これは地方財政計画を立てますときに地方義務教育職員給与財政措置として一千百五十五億というものを財政計画に二十八年度立てた計算になるわけであります。その千百五十五億をそのまま文部省の今回の交付金に移すといたしますと、そういたしますと、これは平衡交付金の不交付団体にも交付される金額に当るのでございますが、不交付団体に交付する、平衡交付金としては財政計画には一千百五十五億と立てておりますけれども、不交付団体にやらないその金が、貧弱の団体の財政調整の財源になるわけでありますから、平衡交付金としてはどうしてもそれを平衡交付金の中に確保しておかなければならないわけでございます。そこで一千百五十五億の中から東京、大阪その他、この不交付或いは交付の制限、義務教育教職員給与に該当するだけの交付をやらないという団体の分を二百五十四億差引きまして、九百一億、これが教職員義務教育費の分として文部省にこれを分割いたしたのでございますが、これは不交付団体に対して義務教育費負担金を交付されない額、更に又交付するにしても制限する額、それが二百五十四億、この二百五十四億だけはどうしても平衡交付金の中に保留しておきませんと、貧弱団体に対する財源調整の財源が圧縮されることになりますので、それだけは平衡交付金の中に保留してございます。従つて文部省が今回不交付或いは制限等の措置をいたしまして交付する金額と、平衡交付金として八百億の中から交付する金額とを合せますと、各府県におきましては丁度一千七百二十億の一本建で平衡文付金の交付を受けた場合と同量になるものでございます。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 予算関係はいずれ私あとでお伺いいたします。  若干関連して先に行き過ぎたようですが、話を又元に戻しまして文相にお尋ねいたしますが、昨年成立した半額国庫負担法の政令は今からでも作ろうと思うならばできる、作つていなかつた、こういうように言われておりますが、そこで私お伺いいたしますが、あなたがたはあの法律実施する肚があつたかなかつたか、例えば具体的に数字を挙げてお伺いいたしますが、二十七年の十二月十六日、私たちに提示された半額国庫負担実施に要するところの予算要求は五百二十一億三千万円、これが二十八年の二月五日提示された資料によりますと、六百七十五億八千万円と変つておる。先ず政令というものをこしらえて、最高額をきめて、それから予算というものをはじき出して予算折衝に移るべきものではないか、そういう点全く無準備であつて、それと併せてこのたび出された法律案についても無準備ということを文部大臣考えられないかどうか。  更にお伺いいたしますが、昨年義務教育国庫負担法審議の過程において、当時自治庁長官であつた岡野文部大臣は、繰返し繰返しこれはやがて発足する地方制度調査会に十分検討して頂いてやるのだということを答弁されておりました。ところが地方制度調査会が発足して、先般文部大臣出席を要求したにもかかわらず、大臣はこれに出席することなく、これを断行した、提案したということは、非常に大臣の私は、昨年度の過程において不信行為であると同時に、この法律案が非常に無準備ということを考えるものでありますが、如何ですか
  53. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答えを申上げます。  今回の法案が完全無欠であるとは私も思つておりません。第一段階として出しましたのでございますから、過渡的の措置をいたしております。この点は二十八年度限りで終るつもりでございますから、これは経過措置として御了承願いたいと思います。  それから地方制度調査会に出なかつたということでありますが、あれは内閣を代表しまして本多国務大臣出席しておるはずであります。当時はまだ十分閣議でも決定のところまで行きませんものですから、その決定していないときにほかの人が出ることはよくない、本多国務大臣が当面の主管大臣でございますから御出席をお願いした。内閣全体を代表して当時地方制度調査会へ御出席を願つた次第でございます。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはそこで一応とどめまして、それでは義務教育費国庫負担法教材費の一部を国庫負担するといつたあの法律内容をこのたびの法律は尊重されているのか、されてないのか、その点伺いたい。
  55. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 義務教育費国庫負担法趣旨を尊重いたしましてやつております。同時に教材費のことも義務教育費国庫負担法を改正いたしまして残したはずでございます。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 教材費十九億が組まれておりますが、これは一応決定した平衡交付金千七百二十億から抜いて来たものであつて、何も昨年成立した義務教育費国庫負担法に謳われております教材費の一部負担の中に新たに財源措置されたものでなく、従つて千七百二十億から十九億を教材費に抜いた、その十九億分だけは地方財政平衡交付金が減額された、こういうふうに私は解釈するものでありますが、如何でしようか。
  57. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答えを申上げます。二十八年度予算といたしまして、平衡交付金から十九億抜いたのだから増したのじやないというような御意見でございますが、併しこれはもう平衡交付金を作りますときに二百七十億ほど平衡交付金を昨年度より余計出しております。その意味におきまして新らしく出した財源と私は考えております
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治庁長官にお伺いいたします。私はこの平衡交付金の千七百二十億ということをよく聞きますが、これは誤りであつて昭和二十八年度の地方財政平衡交付金予算書には八百億になつている。それを九百二千億を加えて千七百二十億と言つているのでありますが、これは私は厳格に言えば千七百一億というべきだと思うんですが、これは如何ですか。
  59. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 誠に地方財政計画の、政府から交付する金を一緒に合計いたしまして千七百二十億と申上げているのでございまして、本来平衡交付金一本建でありましたならば、一本建でございますから千七百二十億、併しこれが二つに分れて交付されることになりますので、千七百二十億が八百億と九百二十億に分れるわけでございます。更に十九億円不足するじやないかというお話につきましては、地方財政計画の中に教材費も含んでおりますので、教材費やはり十九億というものが国庫一部負担することになりましたので分離いたすことになつておりますが、併しこれも同じ地方、府県ばかりではない、地方に交付される金でございますので千七百二十億になるわけでございます。
  60. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従来といえども平衡交付金の中には教材費が入つておつたわけでありますから、新たに昨年成立した義務教育国庫負担法教材費負担分として追加されたということにはならない、こういうことを私は申上げたい、そうでしよう、自治庁長官
  61. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私から先ず申上げます。
  62. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 自治庁長官にお伺いする、委員長、勝手に立たせないで下さい。
  63. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 先ほど申上げましたように平衡交付金そのもので二百七十億、とにかく昨年度よりは余計に増してあるのでございますから、十九億それから抜けば、結局増した中から引いたのだから増したということに私はなると思います。
  64. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 地方財政計画の面から見まして、教材費の十九億だけこの計画外に余分に出すまでにはならないと考えております。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では更に予算面をお伺いいたしますが、先ず文部大臣給与費の規模を千二百二十二億と当初組まれた。それから自治庁、大蔵との協議で千百五十五億となり、その当時……これは自治庁長官への質問になりますが、自治庁長官は、東京、大阪並びに愛知以下六府県合せて、いわゆる八富裕都府県のロスは二百十八億だと、こういうふうに発表されて、そうしてあなたがたの協議できめられたのが給与の規模として九百三十七億、こういうふうに決定された。その当時岡野文部大臣はこの九百三十七億に教材費三十億、即ち九百六十七億を是非とも確保しなければ明年度の義務教育は保証できない、こういうことを新聞記者諸君にも発表されているのでありますが、然るにその後八富裕府県のロスは、先ほど説明がありましたように二百五十四億と変えられてそうして算術をして、九百三十七億の給与の規模というものは九百一億となつた、これはどういうわけでございますか。やや納得のできる計数的な説明を両大臣に求めます。
  66. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 余剰財源をロスということで見ますならば、東京、大阪はそれ以上に余剰財源が計算されるのではないかと存じます。ただ義務教育を別枠で分ける場合、この千百五十五億をそのままやるとすれば、そうすればこの財政平衡といいますか、均衡化の見地から行き過ぎになる、財政計画上行き過ぎになるという分が二百五十四億でございます。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 当初の二百十八億は誤りだつたのですか、どういうわけですかその関係は……。
  68. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 今のこの二百十何億という数字は今記憶いたしておりません。(「仮定ですか」「冗談じやないよ」と呼ぶ者あり)更に平衡交付金を、平衡交付金でなく、この義務教育教職員負担金で幾ばくを分離するかという折衝中の過程におきましてはいろいろと研究された意見も出ておつたのでございますけれども、その過程のことについては今申上げられません。これは地方財政状況等の研究もやつておりましたし、果して一千百五十五億の教員給与費の規模がどうであるかということも一緒に研究しておりましたので、結論に到達します前のいろいろの話はちよつと私も一々記憶もいたしておりませんし、今それを調べて御答弁申上げますと却つて審議混乱を招くばかりと思いますので差控えます。(「そんなことはないだろう」「はつきり言いなさいよ」と呼ぶ者あり)
  69. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。  私は只今伺いました千二百二十億というような数字が的確であるとか、九百三十七億が本当であるとかいうようなことを新聞に発表したことも話したこともございません。いろいろ広汎な、一万何百の団体の五十万に上る教職員のことでございますから、いろいろ自治庁、大蔵省、文部省で寄りまして、皆おのおのの見方で計算をしておつたときの経過の数字だろうと思います。併しながら結局九百一億と十九億というものに三省とも一致しまして、そうしてこれが正確な数字であるということで提案した次第でございます。
  70. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 岡野文部大臣はとんでもないことを発言される。あらゆる報道機関に九百三十七億と教材費三十億というものがあなたの談話として発表された。皆さんが、偽りを書くはずはない。更に文部当局においてもこの九百三十七億から九百一億に変つたその理由を事務当局に聞いても、当事説明できなかつた。私時間がかかるから話を進めて行きますが、私の伺いたい点は、九百三十七億が九百一億に下つた、その九百一億はどういうふうに算定したかということをあなたに伺いたい。その答弁できますか。更に具体的に言いますと、小学校予算単価は一万三千六百八十三、中学校は一万四千四百七十四、以下特殊学校、事務職員の二十八年度予算単価を文部省衆議院答弁されておりますが、これで計算すると九百三十七億を要するということを曾つて事務当局は言明されている。だからその九百三十七億が九百一億になつたというので、そこで三十六億はつきり赤字が出て来るわけなんです。これは自治庁長官の耳に入れておいてもらいたい。更に文部当局の答弁からいたしましても、二十一年六月三十日の実績を元として二十七、八年の昇給昇格した給与費として要する千二百二十億から、このたび国庫負担予算措置をされた千百二十四億、これから言えば不足は九十六億だと言つている。これは不足だということがわかりましよう。更に基本給だけからいつても、現員現給の負担率は政府委員答弁を以ても九七・五彩、二・五%だけ基本給だけでも不足、而もそれは八つの富裕府県を除いておりますよ。それを二・五%の不足としましても約二十億不足になつて来る。これは不足ということははつきりおわかりでしようね。それで私は伺いたいのですが、この法律によつても、又大臣答弁によつても首切り行政整理はないのだ、現員現給のままで二十八年度は地方にやつてもらうのだ、で都道府県責任としてやる、ところが全国知事会議は百三十七億不足と言つておりますが、こういう負担に堪え得るかどうか、これは自治庁長官答弁一つ。  それからこれに若し堪え得ない場合に、各府県がその不足分を支出しなかつた場合に、教職員行政整理か或いは給与の切下げが来ると思いますが、附則第十一項には「昭和二十八年度に限り、都道府県負担する。」ということになつている、義務があるのかないのか、若しこれを都道府が履行しなかつた場合にその処罰規定があるのかどうか、そういう点について両大臣答弁を求めます。
  71. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 研究中の過程でいろいろ現われました数字については、これは責任のない数字でございますので、最後的なものについて御説明申上げたいと存じます。  千百五十五億という地方財政計画の中の給与費の規模、これを押えまして、その中から不交付団体の交付せざるもの、更に制限を受ける団体に対する制限額というものが二百五十四億になりますから、これを差引いたものが給与財源として別枠になる、九百一億でございます。  更に若し府県の負担とすという法律をきめても地方がこれを履行しないときにはどうするかという意味の御質問でございましたが、これは法律できめて頂きますならば、必ず法律通りつてもらえるものであるということを信じております。勿論こうした義務を課するについては、国としてその法律を実行し得るだけの財政的な裏付をしてやらなければなりません。その財政的な裏付の措置といたしましては、最前から申上げております通り、現状通りで行きましたならば、義務教育教職員給与費を別枠がないとして考えた場合に千七百二十億で賄つてもらえるという考えを持つておりますので、これが文部省から一部交付される、自治庁から一部平衡交付金として交付されるという二途にはなりますけれども、財政措置は変らないと考えておりますので、この財政措置が伴つている点からも、又法律制定して頂きましたならばこれを守らなければならんという点からも、府県はこの責任を果してくれるものと信じております。
  72. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 自治庁長官から申上げました以外のことにつきまして申上げますが、我々の考えておりますのは、二十八年度限りの経過措置といたしまして、いわゆる本当の意味定員じやございませんが、いわゆる定員定額でやつた次第であります。その定員定額と申しますことは、結局今まで平衡交付金の算出の基礎たるところの数字並びに取扱いをそのまま受継いだものでございますから、私は地方財政の中には何らの変化は起きないと、こう考えております。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昨年地方公務員は国家公務員より三百四十九円高い、ベース上げした結果は七百四十九円高いでしよう、地方公務員のほうが……。その七百四十九円には予算措置はしてないでしよう。明らかに足りないでしよう。現員現給のまま切替えて、そうして二十八年度だけは定員定額制でやつて行く。二十九年度になるとこのまま丸抱えになるということを政府委員答弁されている。丸抱えになつて国家公務員の一般職の給与法を適用すると言つても適用できますか。そのときに現在の国立学校教員と、これから国家公務員になるところの義務教育学校教員との給与差はできるかできないか、どうですか。
  74. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。二十八年度は経過措置でございますから、国立学校教員並びに地方教員との間には差はあるはずであります。併しこれは二十八年度中に十分なる給与準則なんかを作りまして調整して行きたい、こう考えております。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 だから一般職の給与法を適用する以上は、そこに新給与の切下げが必ず起るでしよう。義務制教育学校教職員に対して如何ですか。
  76. 田中義男

    政府委員田中義男君) 私から御答弁申上げますが、現在の給与をそのままで横辷りをいたしまして、それが確保されますので、お話のように切下げ等は起りません。従つてこれを二十九年度から本則によつて給与法を施行いたします場合にも、やはりそのままの給与というものは確保されるはずでございます。ただお話のように国立学校給与とのアンバランスの点でございますけれども、これについては、教員全体として合理的な給与体系について至急検討する必要がある問題でございますので、文部当局としては給与体系の合理化について検討を進めまして、そうしてそのあるべき給与体系に基いて適当な調整を図りたい。併しそのことは決して切下げ等を伴わないものにして行きたいと考えておるのでございます。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今答弁では、今年は現員班給で切替える。二十九年度はそのまま丸抱えにして、その線において合理的な給与体系を確立する、こういうふうに了承してよろしいのかどうか。
  78. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) その通り考え下すつて結構でございます。
  79. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは人事官にお伺いいたしますが、そういう一般職の給与法の適用並びに改正についてどういうふうにお考えになるか、全部がごちやごちやになつてしまいはしませんか。
  80. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) お答えいたします。給与法の適用につきましては、現在仮にアンバランスがございましても、そのまま当該の級に入つて参りますので、実行は可能でございます。  そこで、次に只今文部省政府委員からお話がございましたように、二十九年度以降如何にすべきかという問題につきましては、その不均衡を是正する方針につきましては、文部当局において御研究になると存じまするが、その調整の結果によつてそれぞれの当該号俸に入つて参りますので、給与法の適用においては何ら差支えないと思つております。
  81. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵大臣自治庁長官にお伺いいたしますが、只今文部大臣の二十九年度以降も現在あるところの七百四十九円の差額は国庫負担するのだと、こういうふうに了承してよろしいですか。
  82. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 二十九年度からですと、これは二十八年度は暫定措置で、府県の負担となつておりますが、二十九年度からは、これは財政調整等を行いまして、そうして平年度化された今回の改正制度通りのことが行われることになりますので、そのとき調整ができると考えております。
  83. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 二十九年度におきましては、税制の改正等の調整措置と相待ちまして、完全に実施できるつもりでございます。
  84. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その財政とか税法とか、そんなものとは関係ないのですよ。二十八年度と二十九年度の給与切替の過程を承わつておる。文部大臣によりますと、今年は現員現給で切替えて、二十九年度はそのまま丸抱えにして今のままに維持して行くのだ、即ち給与の切下げはないのだという答弁です。自治庁長官によりますと、切下げがあるような答弁ですし、大蔵大臣答弁によりますといずれともつかない答弁です。いずれが本当なのが、わからないので、閣議決定の線で答弁を承わりたい。
  85. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 二十九年の財政措置をやるまでには財政調整を……大蔵大臣も言われましたように、地方と中央の財政措置を講ずることを前提として考えております。その場合にどう措置するかということはきまつておりませんが、これは給与の問題をどういうふうに措置するかということに伴うだけの地方、中央の財政措置を行うことになります。
  86. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 先ほども申上げましたし、只今自治庁長官の申しました通りでございます。
  87. 相馬助治

    相馬助治君 矢嶋君の質問関連してお尋ねいたしますが、この点は非常に重大だと思うのです。国の責任において義務教育費、即ちこの場合は教職員給与を国で賄うという場合には、好むと好まざるとにかかわらず、一種の定員定額制を政治のやり方として、財政措置のやり方として、大蔵省自身はそういう方式を予算計上上とらざるを得ないでしよう。これは運命的なものを持つておると思う。併し文部大臣は経過年度として二十八年度だけは定員定額制をやるが、その後は現員現給で組んで行くのだからいささかの心配なし、こういうことをおつしやつておる。その点から見ると、我々は安心ですけれども、別に国の財政責任者である大蔵省からは、そういうことを我我は聞いていない。今本多長官のお話を聞いてみても、文部大臣の楽観論を裏付けるようなことを何も言つていない。そこで矢嶋君が言つたように、閣議決定の線における国の最終的な本問題に対する見解を我々は聞いておるのであつて、その点を大蔵大臣乃至は本多長官から厳格に、厳粛にお示し願つておきたいと思う。
  88. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 二十九年度以後のことにつきましては、最前も申上げました通り財政調整即ち財源の調整等もその前に行なつた上に方針を立てたいと考えておりますので、政府としてもまだ二十九年度の措置をどうするかという、定員定額でやるか、或いは現員現給でやるかというようなことも、まだ結論に達しておりませんが、いずれにいたしても、そうした措置がきまりましたならば、それに対応する中央の財政措置、地方財政措置は遺憾のないように講ずる考えでございます。
  89. 相馬助治

    相馬助治君 今の答弁を裏返しに聞きますと、首切りは行いませんなどという大きなことを言えない段階である。具体的に言うならば、或いは国の財政規模の都合を以てしては首切りが行われることもあり得るであろう、行われないかも知らない、こういう段階である。そう了解してよろしいのですか。本多長官の答弁を……。
  90. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私からお答えいたします。この法案趣旨としまして書いてございます通りに、二十八年度は経過措置といたしまして現員現給でそのまま国家公務員にする、二十九年度首切りはあるかないか、無論首切りはいたしません、減給もいたしません。それに対して二十九年度の予算措置をする。その予算措置をするについては相当に地方と中央との財政の調整が要りますから、内閣といたしましては中央地方財政、税制又は平衡交付金なんかの調整をしまして、我々の希望通りに二十九年度から実施して行きたい、こう考えております。
  91. 相馬助治

    相馬助治君 文部大臣が、本法案によつて、首切りが行われないと従前しばしば言明したのは、今の答弁によりまずと昭和二十八年度に限つてのことである。二十九年度以降のことは未だ答弁段階でない、こういう意味であると了解してよろしいのですか。
  92. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。そうではございません。既得権を尊重するということを前提に私は言つておりますから、既得権ということは、首切りをしないとか、減給をしないとかということと御了解つて結構であります。そういたしますと、二十八年度に現員現給で国家公務員にしましたものは、そのまま二十九年度に持越しまして、それに対する財政措置をどうするかということになれば、これは先ほど大蔵大臣自治庁長官から御答弁申上げましたように、二十八年度にできるだけ早くこれの税制、財政の調整措置をして、そうして二十九年度に対応したい、こう考えております。
  93. 岩間正男

    ○岩間正男君 今のですね、今度新たに国家公務員にするという義務教育職員については既得権を認める、こういうことなんですが、現在国家公務員である大学職員、こういうところとは、そうするとどうしても不均衡があるわけです。その不均衡をどういうふうに是正するか。既得権の問題は先ほど発言通りと我々は確認したいと思う。それと合せて当然大学の職員というものをそのほうに高めて行くというような調整をしなければ、この問題は収まらないと思うんです。こういう点について文部省並びに人事官のほうでは、そういう点どう考えるか。こういう不均衝は先に行つて大きな問題になる。不統一になる。同じ国家公務員に仮にするとして、非常に不均衡の問題が起つて来る。その点はどういうふうに調整すると考えておられるか。この点念のために伺つておきたい。
  94. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。この前、これは新聞の報道でございますから真偽のほどはわかりませんのですが、又辞表を出されたということは聞きませんけれども、或る大学教授が、この大学教授の給与では飯が食つて行けんというような意味のことが書いてあります。私はその点におきまして今岩間さんの御質問に当ると思いますが、大学教授とか国立の学校教員給与というものは、やはり十分に考慮しなければならん、こう考えております。
  95. 岩間正男

    ○岩間正男君 具体的には既得権のほうに合せるのですか、それはいつやるのですか、その点具体的に……(「関連して」と呼ぶ者あり)関連なんて、まだ答えてない、人事官にも聞かないし、まだ答えてない。(一体給与をどういうふうにやるか、それ言つて下さい」と呼ぶ者あり)
  96. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) お答え申上げます。只今の御質問の教育職員のうちにおきまして、従来の地方公務員から国家公務員になりますものと、それからその大学職員関係国家公務員との関係の調整の問題でございます。この問題につきましては、只今文部大臣からお答えになられましたように、まあ現給保障と申しましようか、既得権を害さないということになりますれば、その範囲において従来の国家公務員との間に調整をされることと思います。その調整をされた一つ基準に応じて、給与法の当該号給に入つて来ると思います。
  97. 岩間正男

    ○岩間正男君 それだからどつちに行くのであつて……既得権に合せて行くんですな。その点が確認されていないのですね。反対に既得権を切つて、この職員法に合せるということになると困る、その点はつきりして頂きたい。
  98. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) お答え申上げます。教育職員相互の間におきまする調整の問題につきましては、基本方針を文部当局の方針従つて行きたいと思つております。
  99. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。既得権を尊重するという趣旨に副うように、(「大学を高めるわけですか」と呼ぶ者あり)そうでございます。(「閣議決定ですか」と呼ぶ者あり)閣議決定はしておりませんけれども、そういう方向に私は持つて行きたいと考えております。
  100. 左藤義詮

    左藤義詮君 只今地方国家と約七百四十九円の差がある、その既得権を二十九年度にも認める、これには従来の昇給率とか、或いは退職手当とか、そういうものも同じように既存権としてお認めになるかどうか。
  101. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。既得権として尊重いたしたいと存じます。
  102. 左藤義詮

    左藤義詮君 さよういたしますと、二十九年度は非常に予算が膨脹すると思うのでありますが、この点について自治庁長官大蔵大臣は、この七百四十九円の現員現給を定員定額として二十九年度以後既得権は飽くまで守つて予算を十分に、只今いろいろ税制の調整とか、そうしたことがありましたけれども、どこかから金を持つて行くといたしましても、とにかくこれだけの既得権は守るだけの予算を二十九年度に編成をなさる御方針であるかどうか、それを閣議でも決定して、この法案を御決定なつたかどうか。
  103. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私のほうといたしましては、二十九年度から義務教育職員負担金というのは別枠になつて、これは分れてしまいますから、国の財政措置として考慮せらるべき問題であると存じます。ただ私のほうといたしましても、文部大臣と同じように、閣議決定にはなつておりませんが、自治庁を担当している私の希望といたしましては、是非給与費等について地方財政が圧迫を受けないように措置したいという希望を持つております。
  104. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 二十九年度からは税制の改正とかその他をいたしまして、調整いたし、完全に措置して参りたいと考えます。
  105. 左藤義詮

    左藤義詮君 税制の調整ということでなくして、私どもが今心配しておりますのは、二十八年は暫定ですが、二十九年度以後恒久措置になります。この恒久の七百四十九円という差を埋めて、既得権を飽くまでも守つて行くということを、現在の予算規模、財政規模その他から見通して、必ずやつて行くという大蔵大臣は確信を持つておられるか。
  106. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 閣議決定というものはございませんが、只今申しましたように、大蔵省は飽くまでも文部省とか、或いは地方自治庁で考えてよろしいというふうには実行できるように考えております。
  107. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この法律案には重要な点があるのですが、その中の一つは、やはり行政整理があるか、給与の切下げがあるかという問題だと思う。この問題は先ほど質問が展開されましたが、各大臣答弁から明確になつたことは、給与の切下げ、それから首切りというものが絶対ないと岡野文部大臣が言明されているのは信用できないということです。全国の教職員が心配するのは当然だということが明確になりました。恐らく二十八年度は現員現給でやつて、足らない分は地方負担させておいて、二十九年度は一応丸抱えの形にしておいて、二年か三カ年計画でだんだんと定員を減し、給与もあの国家公務員の一般職の給与にずつと下げて行くということが文部大臣の本当の腹だ、それ以外には……。自治庁長官或いは大蔵大臣の言明から、そういうふうになる可能性が非常にあるということが明確になりました。  もう一つ大蔵大臣にお伺いいたしたい点は、吉田総理は施政演説で義務教育全額国庫負担を決意したということをはつきりと一月三十日に述べられておる。ところが大蔵大臣は、この吉田総理の決意に基いて自分が実行した。その実行した法律案はこの身分法である。どういうわけで、吉田総理義務教育全額国庫負担決定したのに、それに副わなかつたか、その理由。それからその吉田総理の決意に基き実行されると言うが、大蔵大臣考えられておる義務教育費全額国庫負担というのはどんな内容のものか。そうしていつ実行されるか。その点答弁
  108. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 総理大臣が決意しました。私はその決意に基いて方針を立てて参つたつもりであります。従つて只今申しましたように、この実行は漸を追うて進んで参りまして、二十九年度においては、今申しましたように調整措置を取つて、完全に実行できるというふうに考えております。
  109. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 と申して、義務教育全額国庫負担は今後できるものとして実行されると言うが、義務教育国庫負担内容はどうやられるのですか、大臣答弁
  110. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 方針通り参つております。
  111. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 義務教育全額国庫負担の、あなたの実行されるという内容です。総理大臣の決意は……。
  112. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 内容文部大臣方針従つて参ります。
  113. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 矢嶋君、もう時間が来ましたから、これでいいでしよう。
  114. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間が来ましたからこれで切りまして、総理に対する質問は保留しておきます。
  115. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 午前中はこれを以て暫時休憩いたしまして、午後一時から再開いたします。    午後零時五分休憩    ―――――・―――――    午後一時二十八分開会
  116. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) これより午前に引続き質疑を続行いたします。  皆様に申上げます。総理の退出の関係上、先ず只今から総理に対して通告者の質問を集中いたしたいと思いますから、順次その方針質疑をいたしたいと思います。さよう御了承を願います。
  117. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理にお伺いいたします。  先ず総理憲法二十六条の義務教育無償、これを堅持して行くお考えであられるかどうか。若し堅持して行くというお考えであるならば、如何なることを目標として進まれるのか。その点について伺いたい。
  118. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。お尋ねに対してお答えをいたしますが、政府としては漸次その方向に向つて進みたいと考えております。
  119. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 義務教育無償ということは堅持されるのですね。その目標はどういうところにおいておられるのですか。総理にお伺いします。
  120. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 主管大臣からお答えいたさせます。
  121. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。国家財政の許す範囲内で漸を逐うて進みたいと思います。
  122. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理答弁を要求します。
  123. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 主管大臣答弁通りであります。
  124. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理は一月三十日の施政演説で、義務教育全額国庫負担を決意したというように御挨拶されておるのですが、従つて明確なものを以て答弁されなければならないはずであると思います。主管大臣に代つて答弁させることはいかんです。  次にお伺いいたしますが、この法律案は今まで我々が審議したところによりますというと、第一条のところを、義務教育に関する国の責任を明らかにするため教職員の身分を国家公務員とする、それだけで私は十分だと考えるのですが、総理の所見如何ですか。
  125. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) これはお尋ねの通り国家義務を明らかにいたす目的を以てこの法案提出したのであります。
  126. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 非常に答弁が不明確でございます。と申しますのは、この法律内容を検討しますと、義務教育無償の推進の何ものもないわけなんです。ただあるものは教職員の身分を国家公務員とした、殊に二十八年度に限つてはそうでございます。それだけでございます。そこで私は重ねて総理大臣にお伺いいたしますが、午前中も関係大臣質問いたしましたが、その結果によりますというと、二十九年度についても一応文部大臣はいろいろ申されておりますが、見通しというものが全然ございません。無責任極まるものでございます。この法律案国会で成立させて、見通しの付かないままに実施をした場合に、その起るところの混乱というものは極めて私は重大だと考えるのでございますが、総理義務教育無償国家財政の許す範囲内において推進したいというお考えならば、その線に沿つてこの法律案を提案し直す考えはないかどうか、お伺いいたします。
  127. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) これは只今申した通り漸を逐つて実施したい、いわゆる無償教育も実施したいと考えるのでありますが、これはただ将来の制度の前提をなすものと考えるわけであります。
  128. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 正しい意味の前提ならば結構ですが、午前中質問を展開したところによりますと、二十八年、二十九年の特に財政に関する考えなどは、大蔵省の次長並びに文部など各大臣の見解は相違しておるのでございますが、これに対する責任をお伺いいたします。
  129. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) これは私の承知いたしておるところでは相違はいたしておらんと思います。
  130. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 はつきり相違しておるのでございます。それで大臣がおられなかつたからお聞きにならなかつたわけでございますけれども、その点は次に譲りまして、次にお伺いいたします点は、終戦後文部省は助言と指導の機関となつて、そうして教育委員会というものを設けた。殊に昨年は与党の見解によつて全国一万有余の市町村に教育委員会を設けたわけですが、日本の教育を推進して行くに当つては、原則的な大きな国の方針というものがあつた、その枠内で地方は教育をやつて来たのですが、逸脱した行為というものはありませんでした。国の行為として不都合な面はなかつたわけです。然るにこのたび文部省に指揮監督権を与えるとか、或いは校長の任命に当つては市町村教育委員会は県の意見を聞く、或いは教育長の任命に当つて文部大臣の意見を聞かなければならない、こういうものは今までの教育の地方分権、教育の民主化という政策、こういつた立場に背反するものであり、中央集権化をもたらすところのものだと考えますが、総理の所見をお伺いいたします。
  131. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 代つてお答え申上げます。教育委員会ができまして、地方の教育の民主制度というものが確立できておるわけであります。今回出しました法案は国の責任を一層明らかにする、こういう意味でございまして、御承知通り義務教育地方公共団体と国とが相協同して遂行すべきものであります。国といたしましては、これに無関心でおるわけに参りませんから、国の責任を一層明確にして義務教育の確保に尽したいと、こう考えております。
  132. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の質問答弁が外れています。質問したことについてはつきり答弁して頂きたい。答弁を促して下さい、総理大臣に……。昨年の文教政策と背反しないかということと、中央集権化をもたらすものではないかということ……。
  133. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 文部大臣答弁通りであります。
  134. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理大臣極めて誠意がございませんね。こういう根本的な問題は総理としてははつきり把握してもらわなければ困ると思います。  次にお伺いいたしますが、この法律案は、私たち申上げましたように義務教育学校職員国家公務員に身分替えするというところに非常に重点があるようですが、承るときには給与費全額国庫負担にする、だから国家公務員にするのだ、こういうように説明されておる、ところが最近はそうでなくて、今度はそういう負担とは無関係である、文部大臣言葉を借りてするならば、学校の先生方が村役場の吏員と同じ身分では先生方の誇りが許さないから、或いは重大な教育という国務に従うのであるから、だからこれは国家公務員にしたのだ、更には明治十七年以来、或るときを除いては学校教職員国家公務員であつたから云々と言われますが、これなんかはそういうことはないと思います。国家公務員ではございません。待遇扱でございまして、辞令等すべては地方公共団体から出ておつたのです。従つて国家公務員ではなかつたのであります。これらは全く支離滅裂である。更に岡野文部大臣教職員の選挙活動を禁止することを決して目標にしているのじやないということを答弁されている。それならば選挙活動を禁止から除外するようにしたらいいと思うのですが、教職員の身分を国家公務員にした真意は一体どこにあるのか、総理大臣にお伺いしたい。時と所で、閣僚の人によつて、それぞれ意見が違いますので、これは総理からお伺いいたします。
  135. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 文部行政につきましては、(矢嶋三義君「総理総理と」述ぶ)私が責任を負つておる閣僚でありまして、私の申上げることは総理大臣も同じ意見でありますから、私から申上げます。    〔「議事進行議事進行」と呼ぶ者あり〕
  136. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 総理に伺つて岡野文部大臣の御答弁があつたのでありますが、関連して……。それならば岡野文部大臣にお尋ねいたしますが、岡野文部大臣は参議院本会議の席上においても、全額国庫負担ならば賛成だということについては、昨年の各委員会における速記録を御参照あればよろしいと、一応啖呵をきつておられるのでありますが、その場合にも、私その速記録を見たのでございますが、十三回国会における衆議院地方行政委員会においては、あなたはこういうことをおつしやつておるのであります。「教育というものの行政が、どういう性質のものであるか。むろん憲法で保障しておる通りに、我々は教育を受ける権利を持ち、同時に、国家がそれのめんどうを見なければならんということは事実でございますけれども、しかし、教育行政というものは、私の見解から申しますれば、国家憲法義務は負つておりますが、しかし行政の本体は、やはり地方の行政に主眼を置くものだと考えております。でございますから、でき得るならば国家が十分援助はする、しかしながら、その行政の主体はどこに置くかといえば、やはり地方の自主性にまかす。同時に、地方の行政のおもなる権限であるから、地方で相当なことをやるということが本体であります。」こう答弁しておられるのであります。即ちあなたの昨年までの御意見は、終戦後の新憲法により地方自治の本義に則つて地方自治を教育基本法、学校教育法、教育委員会法等の精神に照らして、教育の行政の実体は地方の町村或いは府県、こういうところの学校教育を学校を設置するところの行政団体の固有の事務であるという精神を貫き通して答弁しているのであります。然るに今日においてはあなたの御意見は全然それと正反対の御意見であります。この点はどういうことになつて来たのか、あなたは昨年来吉田内閣の改造はありましたものの、国務大臣として閣議に列席せられて来ておつて、主務行政大臣としては、それぞれ所管が違つたものでありますけれども、一貫して人格をお持ちになつておられるかたが、それが過去の発言と今日のあなたの発言とを照らしてみますならば、私は正反対な御意見をお持ちになつておられると思うのであります。その例につきましては、財政上の措置につきましてもいろいろあなたはおつしやつておるのでありますが、これは私の質問時間の場合の質問でその点を明らかにしたいと思いますけれども、只今関連してお尋ねすることは、その精神があなたは国家公務員とすることは国の事務とみなすから、国家公務員とすることなのでございまするから、どうしてそういうふうに教育の行政の権限についてお考えが変つて来たのか承わりたい。それから関連しまして、第二点として近代における世界の教育史上、教育者を国家公務員とするという、そういうことが歴史的な過程として行われて来たのは、ヨーロッパの国々においては、フランスにおけるナポレオンが海外侵略を企て、そして富国強兵のために画一教育を実施しなければならない場合に、初めてこの国家公務員に教育者をした例がある、それが、デモクラシーのフランスになつて帝国大学の総長以下に一つ国家公務員としての教育の自主性を委ねて今日国家公務員という制度はフランスにはある。併し成り立ちは封建的な、集権的な教育の統制によつて国家主義的な傾向を助長する、そういう時代に起つたものだ、又ドイツ、プロイセンにおいてもそういうことは明らかなのだ、ビスマルクが普仏戦争で大勝したときにドイツの対外侵略のために(「簡単」と呼ぶ者あり)国家公務員のそれらが起つて来たのだ、それ以外の例はソヴィエト等もありますけれども、他にない。而も日本の旧憲法における国家公務員として待遇官吏として教育者があつたのは、教育は天皇の大権に属するという立場において行われたものであつて教育関係法律従つて少かつた、すべては勅令によつて日本の教育が天皇の下に支配されておつたのだ、その思想と近代思想を基盤とした日本の新憲法においてこの教育者を国家公務員とするというこの思想は、この制度の変更は政治の実態と直接重要な関連を持つものであります。この点についてあなたは国家百年の教育体系を考えて、世界の進運、デモクラシーの進展という立場を考える場合に、この問題についてどういう所見、どういう決意を以てこういうことをなされたのか、二点関連して承わつておきます。
  137. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。さつき速記録をお読みになりましたが、私はその速記録は手許にございませんが、その当時も国家義務教育責任は持つておると申上げたはずでございます。ただ教育基本法とか、学校教育法とか、教育委員会法とかいうようなものがございまして、地方に分権するということになりまして、地方分権の制度が発達したわけであります。併しながら憲法でも出ておりますように義務教育というものは国の責任でありまして、それであるからこそ国家地方公共団体は相共管してこれを受持つべきものである、そういたしますというと、私は只今考えといたしましては、国家責任をもつと明らかにしなければならん、その意味において国家公務員にするということがいいことだ。それから待遇官吏というお話がございましたが、私は明治十七年以来いろいろ歴史を調べてみますというと、いわゆる待遇官吏という言葉が出ておりましたあれを今日の言葉で翻訳しますならば、地方公務員か国家公務員かと申しますれば、国家公務員であるということを申上げる次第であります。(「それは旧憲法のときだ」「時代が違いますよ」と呼ぶ者あり)併し八十年の歴史、それは昭和二十一年から二十四年まで、新憲法ができましたのちにもやはり国家の官吏だつたのでございますから、むしろ明治二十七年以来昭和二十一年までのことを、これをなくましても、新憲法下において昭和二十一年から二十四年までの間は国家公務員であつたのでございます。
  138. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣と問答をやついると時間がなくなるので総理にお伺いいたしますが、総理は中央集権にならないというお考えを持つていらつしやるようでございます。私お伺いいたしますが、このたび都道府県の教育長を任命するに当つては、文部大臣の意見を聞かなければならない、恐らく文部大臣の息のかかつた人ばかり教育長になりましよう。又都道府県の教育長は文部省の古手官僚の姥捨山になるかも知れません。而もその文部省は助言と指導の機関で教育財政権を持つていなかつた、この法律施行のあとは定員の面、定額の面においても、教材費面においても補助配分の権限を持つのです。こういう行政のあり方になつてつてなお中央集権にならないとお考えになりますか。
  139. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 主管事務については主管大臣からお答えをいたします。私が答弁する場合には、主管大臣答弁に補足すべきものありと考えた場合においていたします。一応主務大臣からいたします。
  140. 岩間正男

    ○岩間正男君 只今総理のそのような言葉がありましたが、総理出席を求めておるのは、総理答弁を求めなければならないことがあるからこそ、(「そうだ」と呼ぶ者あり)わざわざ忙しい時間を煩わしてもやつておるのだ。而もこれは長い時間ではありません。長くとも我々は時間を一人十分になつておるのだ、そういう中でですよ、総理は一方では非常に文教政策は重要な政策だ、現に吉田内閣の二大政策の一つだと言つて箱根の山を下るときもおつしやつたじやないですか。そういう中で総理が見解を堂々とお述べになるが、私はその点は委員長から注意して欲しい、又総理考え直して欲しいと思う。そうでないとこれは進めませんよ。委員長注意して下さい。総理はお疲れだと思うが。
  141. 小笠原二三男

    ○小笠原二三君 今の御発言は重大ですよ。総理大臣が、主管大臣が説明することによつて補足して説明するために出ておられるということは……、(笑声)これは重大であります。(「反対だ」と呼ぶ者あり)その場合の主管大臣というものは国務大臣ではなくて、行政大臣、行政長官、そういう行政事務上のことを今日只今お伺いしておるのではないのであります。吉田内閣の政策として、政策実現の問題として我々は質疑を展開しておるのであります。少くとも国務大臣として我々は質問しておるのです。その場合に一応の質問もできておりますから、最終的には内閣責任者である総理大臣答弁を求めんとして質問しておるのであります。従つて主客が引つくり返しになつておる。我々の矢島君の質問しようとすることは、総理大臣内閣責任者としてこの内閣の政策の問題として聞いておるのです。主務大臣、行政長官に対して事務的な問題として聞いておることではないのでありますから、その点補足するということではなくして、総理大臣においてもやはり政策執行の最終の責任者として答弁せられるように、そういう形でこの予算委員会出席しておることの明言を委員長としては質してはつきり答弁させて頂き出たい。
  142. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 承知しました。
  143. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 主管大臣と申しますも国務大臣であります。国務大臣たる主管大臣答弁するのは、即ち政府の代表として政府責任においてお答えをいたすのであります。私よりも国務大臣のほうが更に正確であるかも知れないから、重要なだけそれだけ主管大臣がお答えいたします。
  144. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 警察法にしても、この職員法にしても、国民すべてが一番心配しておるのは、この中央集権化ということなんですよ。だからそれに対して総理がどういう確固たる信念を持つておるかということを聞きたいのですから是非答弁して頂きたい。これらの答弁を求めると同時に次を伺いますが、総理は日本の過去に国家権力或いは官僚による教育統制があつたと認められるのであるかどうか、そういうものを大臣はどうお考えになられるか。更に憲法二十三条に謳われておる学問の自由或いは教育の自由、こういうものに対してどういうお考えを持つていらつしやるかということをお伺いいたしたい。
  145. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 主管大臣からお答をいたします。
  146. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 我々といたしまして、過去のことはおきまして、新憲法下におきましてはやはり民主政治としまして、学問の自由も又憲法上非常に保障されておる点でありますから、その線に沿つて行きたい。又今度の問題は中央集権化になるかならんか、私は中央集権化ではないと考えております。と申しますことは、国が最終の責任を持つておるからこの教員国家公務員にいたしますけれども、そのすべてのことは民主化されたところの教育委員会並びに公選によつて出て来たところの地方公共団体の長というものに全部お任せしておりますから、何ら中央集権になることはございません。
  147. 内村清次

    内村清次君 議事進行。この問題はこれは委員長もよく御承知通りである。先般の警察法の場合のときに当りましても、やはりこの問題は取上げられて、総理から基本方針である、而も私たちがこの委員会重要法案を特別に取上げたゆえんのものも、総理の施政方針の中に占領政策の是正ということがある、これはもう大きな、今回の総理の基本方針のこれは重大なものである、独立後の重大なものである。その基本方針の占領政策の是正といううちに、道義の高揚その他はすべて教育によらなくてはいかない。而も教育の問題はこれは義務教育国庫負担にするのだというようなことから説き起されておるのですよ。それで総理のこの基本方針というものが、果してどうあるかということは総理自体がこの施政方針で明確にしておられるから、基本方針だけは言つてもらわなくちやいかん。その連関といたしました筋金は、これは中央集権ではないか、民主化の逆行と、こう言われておるが、占領政策の是正という観点からこういう問題はどうなつて行くかということを、委員のほうでは重大視してこの日程を組んであるわけでございまするからして、これは委員長におきましては、是非総理から答弁をしてもらいたい。政府のほうにやはり一貫して総理からお答えしてもらいたい。この点も一つ私は議事進行として要求いたします。
  148. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) それは私がしばしば申します通り、占領政策と言いますか、占領中にできた法制のうちで、今日その必要が去つて、或いは又無用になつたもの、或いは当時占領軍の誤解とか、或いは又日本の国情に適しなかつたというような考えから法律をこしらえたとか、制度を設けたことはあつたのであります。これに対しては始終政府としては占領軍の注意を、当局者の注意を促し、議論もいたしましたが、勿論何分米国流の考え方もあり、又我々の考え方もあり、その考え方は必ずしも常に一致することができないので、そこで我々は今日から、その当時においてもそうでありますが、これは日本の国情に適せざるも、併しながら、当時争つても、占領軍の当局者が納得行かなくつてそのままになつたことがあるので、これはマツカーサー将軍のおられた時分にも、リツジウエー将軍のおられたときにも、この点は政府は独立後においては改めざるを得ない、行政審議会でありますかができて、その審議会において研究せられた結果を以てマツカーサー将軍在職中も、又リツジウエー将軍在職中も、又その後においても絶えず話をして来たものであります。その線に従つて教育法案にしても、警察法案にしても、今回或いはその後において国会提出して、現に諸君の審議を願つておるわけであります。でありますから、この問題は決して一朝一夕ではないのであります。政府としては信ずるところがあつて提出いたしたのであります。又私の説明よりも主管大臣、主務大臣のほうが正確ではありましようし、又趣旨を徹底せしむるためには私よりも主務大臣がいいと考えますから、主務大臣が先ず御説明をする、その場合に政府として更に諸君の了解を得るために補足するものがありと考えたならば私は常に補足いたしますが、主務大臣がいる以上は主務大臣に一応お聞きを願いたい。
  149. 内村清次

    内村清次君 議事進行只今総理は重大な決意を以てこの法案を出したのだ、重要法案、占領政策の是正という観点から法案を出したのだ、こう言つていらつしやる、そうだつたなら、そういうような決意で出されたならば、各重要法案の骨子となるべきものは、これは総理自体がよく消化して決意を持つて施政方針にも明らかにして国会に出しておられるに相違ないのですよ。そこで私たちはこれを審議する上においては、総理総理の時間内において、総理自体に各委員のかたがたはその大体、その基本の政策というものを聞いておるのですよ。聞いておりまするからして、こういう委員会の日程をよく承知せられておるところの総理としては、先ず総理がこの基本方針には答えて行く。又大臣に対しましては責任の観点から、各委員のかたがたもやはり大臣答弁を要求する点は十分把握して、そうしてその審議にかかつているわけです。だからこの点を御了解下されて、そうして委員答弁には総理みずから一つ答えて行く、そうして補足するところは、大臣が補足するところは、これは委員了解さえあればその補足するところを大臣にさせる、こういうことで進ませて行きませんと日程は一つも進みません。
  150. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 御趣旨わかりますが、私の考え方只今申した通り、主管大臣のほうが一層事細かに諸君の了解を得ようと思いますから、政府として、今お話のようでは、私から必ずお答えをしなければならんということは甚だ困る話で、主管大臣のほうが政府としては一層説明がいいと、こう考えた場合には主管大臣の説明を以て御満足が願いたい。
  151. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はだから前以て内閣政府委員のかたに質問内容を通知してあつたわけです。而もこれは基本的な問題でございますから、そういうことに対して答弁頂けないということは私は非常に遺憾であります。と同時に、こういう基本的な問題について総理が御勉強なさつていない。そうして岡野国務大臣の独断によつてこの法律案国会に提案され、進行しつつあることを私は非常に残念に思います。総理只今占領政策の行過ぎ、これを是正する意味において十分検討してやつたことで、一朝一夕にこれはできた案でないと言われますけれども、中央教育審議会には諮つておりませんよ。それから総理の最高諮問機関である地方制度調査会にも諮られてない、ちよつと諮られた、ところが地方制度調査会では、結論が出るまではこの立法化はやめてほしいという申入を政府に正式になさつておる。それらの検討を待つことなく、これが国会に出されて来たわけです。そういう実情を総理が知らないで、十分検討されて云々ということは非常に私は遺憾でございます。そこで私は少しここで申上げますが、これは総理文部大臣も将来のためによくお聞取り願いたいのですが、最初先ず義務教育国庫負担法で実支出の二分の一国庫負担というのが出た、ところがそれを岡野文部大臣全額国庫負担にすると出て来た。給与だけを全額国庫負担にしよう。それじや国家財政が困るから定員定額を以て行こう、基礎条件を持つて行くと閣議決定した、全部給与負担するから国家公務員にしよう、総理は諮られた、ところが富裕八都府県のロス分があつて、これに困つたから、そこでこの実施を当分の間にしよう、こういうふうに政府は意向を変えた、ところが当分では工合が悪い、昭和二十八年度から実施、それが二転、三転して、結論的には昭和二十八年ということになつた。而もそのロス分に当つては、或る時代には自治庁文部省は十八億と来た、ところが足りなくなつてあとで二百五十四億と、こういうふうに変更した。ところが定員定額でやるというと、これは国家公務員と地方公務員の差額から首切りができる、行政整理が起きるという反対運動が全国に起つた、それを抑えるために定員定額は二十八年度だけで、二十九年以降は丸抱えにして行くんだというて、これは二十八年度にかかつては、地方都道府県責任というように転嫁してその財政処置はしていない。では二十九年度以降どうなるかということをお聞きするというと、午前中お聞きしたように、何ら見通しの立つたものはない。こういう状況で更に国家公務員にするに当つても、給与を国で出すだけで国家公務員にするのはおかしいじやないか。給与を国からもらつて地方公務員の身分にあるものはたくさんあるじやないか。こういう意見が出たところが、今度は途中から変つて給与を国から出すから国家公務員にするのではなくて、教育は国家の重大義務であるから、あの役場の吏員と同じでは先生の誇りが満足しないからというような詭弁を弄して、国家公務員にするということにきめて、何ら我々に納得のできるような説明はされていない。即ち、これは要するに一貫していない。どこが狙いだかわからない。而も見通しが立つていない。これは実施して、岡野文部大臣が午前中言われたようなことが実施されなかつた場合は、地方財政に対しては大混乱が起る。この責任を当該の大臣である岡野文部大臣並びに内閣の総主宰者である吉田総理はどういうようにお考えになるか。もう一度申上げます。それは、この法律案は、吉田総理よくお聞き下さい。これは官庁のセクト主義と、それから自由党の選挙対策が織込まれておるということを指摘せざるを得ない。と申しますのは、戦前は文部省は大きな権限を持つていた。ところが戦後、制度の改革によつてこれを全部自治庁に取られてしまつた。それで都道府県には教育委員会ができたので、文部省は助言と指導の機関になつて予算も持てなくなつた。そこで、この失地回復をしようということになつて義務教育負担で、半額国庫負担の場合に、文部省自治庁は盛んにやり合つたものです。これは岡野文部大臣も御承知だと思う。官庁のセクト主義を露骨に発揮した。ところが自治庁文部省に抑えられて来たのです。丁度この時期になつて給与全額国庫負担をすることによつて教員の選挙活動が禁止せられる、そうすると、我が党は選挙が有利になるからというので、自由党は喜んだ、そこで文部官僚は、与党の自由党諸君のふんどしをうんと握つて、この力を借りて、積年の欝憤を晴らすために、自治庁を抑えつけた。まあ、この法律案を評すれば、そういう状況でございます。そういうふうに、法律案準備もない、一貫していない、而も官庁のセクト主義が入り、更に党利党略的なものが入つた、こういう法律案は、更に十分これは検討されて、そうして本当に日本の教育を立派にする立場から検討されて、再提出するために、私は撤回さるべきだと思う。ましてや、先ほど総理に私は基本的なお伺いをいたしたわけでありますが、総理から確たる信念に基く答弁が頂けないことを私は確認して、更にその感を深くしておるのですが、総理の御所見は如何でございましようか。
  152. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) これは岡野大臣からしばしば説明がせられたことと思いますが、教育の重要なるゆえんを考えて、全額国庫負担という方針を最初きめたので、これは決して選挙のためでもなければ、党利党略のためでもないのであります。これは政府の言うことをよくお聞き下すつて、それに対して解釈をお加えにならずに、率直に主管大臣なり、政府の言うところをそのままお受取りを願いたいと思うのであります。但し、今年は財政がこれを許さないから、全額支払ができない。併しながら、来年は支払う考え政府はこの問題を取上げておるのであります。詳細は主管大臣から。
  153. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) いろいろお説を伺いましたけれども、党利党略とか、セクト主義とかいうことは、私はそういうことを一向考えておりませんでやつておるような次第であります。と申しますことは、御承知通りに、二十四年に平衡交付金法が発布されまして、その当時から教員給与というものは、貧富の差の非常に多いところの各都道府県に十分、無論富裕県には確保されますけれども、貧弱県には確保されないから、紐付きの給与費をしてやつてもらいたいということが教員各位の澎湃たる輿論でございました。その当時から、やはり教員給与というものは、どんな貧弱県におきましても、これを国庫から直接もらえば確保できるという意味から、今回のようなことが希望されておつたのでございます。(「誰も頼まないよ」と呼ぶ者あり)そもそも国家公務員にしましたということは、無論我々といたしましては、国家公務員にするのはどこから出て来たかというと、国が最終的の責任を負う大事な義務教育であるから、国家は十分これに責任を持たなければならん、こういうことが国家公務員になつて来た趣旨でございます。(「有難迷惑だ」と呼ぶ者あり)
  154. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 私はこの前に本会議総理質問をしたのでありますが、出席されなかつたので、御答弁を得ないので、一部重複いたすと思いますが、根本的の観念についてお伺いいたしたいと思います。それは施政方針演説で道義の高揚を強く取上げておられます。これは我々も非常に共鳴するのでありますが、究極は、教育の振興ということを謳つておられる。義務教育全額国庫負担ということを打出されておる。ところが実際面においては、単なる教員給与負担の入替えと言われる。平衡交付金の入替えのような程度で出ておるのでありまするから、これまで総理が強く打出された道義の高揚ということができるものかどうか。もつとお考え頂かなければならないことがたくさんあるのではないか。今度の文教予算で五十億殖えたと岡野文部大臣が言つておられますが、この文教予算の施設面を見ましても、詳しいことはこの前の本会議で数字を、或いは例を申上げたので、総理は速記録を御覧になつたことと思うて申上げます。二部教授を解消しなければなりません。未だに廊下だとか、階段を教室にしておる所がたくさんにあるのであります。それから老朽校舎の問題、これが普通に考えられておる坪数で、大蔵省と文部省の数えておる坪数との開きもある。或いは接収された校舎で未だ未解決の問題がたくさんある。こういうようなことも一向に取上げられないで、そうして道義の高揚ということを強くお説きになつておる点、非常に私は遺憾に思うのであります。ただ、身分の切替え、或いは平衡交付金の操作によつて給与を切替えただけで教育の振興ができるとお考えになり、それによつて道義が高揚するとお考えになつておるのかどうか。この文部予算に対して、教育振興という面から考えて、総理はどのような大理想をお持ちになつておるか。文化国家というような問題を考えて、一つの例を、小さな例であるかもわかりませんが、例えば前に文化功労賞をもらわれた土井晩翠の遺族などは、なくなられたときに、大蔵省の手先である税務署の苛斂誅求によつて、その遺族が路頭に迷つておる。つまり相続財産が何にもないのに過当な見積りをしておる。このようなことで文化国家として優遇できるものかどうか。こういう点もよくお考え頂かなければならないし、更にもう一つは、これはこの前の予算委員会総理に申上げて、事情はよく調べて置くとおつしやつたのであります。それは百億からになるところの認証外の工事、つまり六三三の新らしい制度によつて、新制中学を建てる場合に、政府の補助をやるから建てろと政府は熱心に唱道した。その六三制の基礎を固められたのが第一次吉田内閣のあなたが責任者であります。これは前に言明されました。ところが補償制度が確立しなかつたために補助がやれなかつたのであります。政府が認証をする前に建てた。政府の唱道によつて国家意思を体して教育に熱心になつて率先した市町村が非常な財政の困難を来たした。而もそのために、町村長では、気の小さい町村長は首を縊つて死んだ者がある。或いはリコールに会つて前途をすつかりなくしてしまつた者さえもある。各町村長は自分の財政にゆとりを持つてこしらえたのじやない。高利を借りて、農業協同組合、銀行から借りて、多額の金を借入れて建てた。その補償ができないために非常な悲惨な例がたくさんにあるのであります。現在の内閣は栄典制度を考えておられるが、この問題について私は質問したのですが、岡野文部大臣は、私の意思を取違えてお答えになつておりまするが、現内閣が取上げている栄典制度があるからそういう熱心な者に栄典をやれというのではないのであります。一方において国家のために尽した者に対して、功労ある者に対して栄典を授けようという制度をお考えになつている総理大臣が、ところが一方において国家意思を体して、政府の意をくんで教育に熱心のためにやつたその町村長が首を縊つたり、リコールに会つて前途を失つている者に対して何らの措置もしないということは、これは非常に矛盾のあるやり方であります。このようなことを総理が御存じなくて、よくお調べになるということをこの前の予算委員会でお答えになつたはずであります。私に対してお答えになつたはずであります。その後お調べになつたかどうか、それをお伺いいたしたいのでありまするが、そういうようなものをほつたらかして置いて、国家のために率先してやつた者は野垂死してもし方がないという考え方であるのに、一方において栄典制度をお考えになつている。これで道義の高揚がおできになるのかどうか、こういう点を総理から承わりたいのであります。
  155. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お話のように、この義務教育国庫負担とか、或いは給与とか、或いは身分とかという問題だけで道義の高揚ができるとも政府は無論考えておりません。道義の高揚は、各般の政策の結果で道義の高揚ということになるのであつて、例えば生活の安定、或いは保護が十分に行くとかいうような面も又道義の高揚の一助になると思いますが、政府としてはとにかくこれだけで以て道義の高揚を期待し得るとは考えておらないのであります。  それから今お話の校舎等が進駐軍に接収されてそのままになつておる。これは成るほどそのままになつておるのもありますが、これは漸次宿舎、校舎、或いは役所、何といいますか、進駐軍のためにする営繕作業が進むに従つて漸次返すことになり、すでに返したものもあるのであります。やがて営繕関係が十分に行つた場合には、全部返すことになることは、これは確信を以てお答えをいたします。  それから只今町村長等が学校校舎等を作つて、それが問題となつて自殺をしたとか、或いは不幸な目に会つたということは、成るほど御質問のあつたことは記憶いたしております。その当時私は当局者に調べてくれということを申したことは確かに覚えておりますが、その結果については十分承知いたしておりません。故に、その結果については取調べた上にお答えをいたします。
  156. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 これは特に総理にお願いしておきたいのであります。国家のために進んでやつた者に対して功労を与えるというのじやなしに、非常に、身を滅ぼすようなものがあつても知らん存ぜぬというようなことでは困るのです。やはり率先して総理はその点お考え頂く必要がありはしないか、重ねて要望しておきたいと思います。  それからもう一つ、これは重要な問題であると私自身考えておる。総理自身は道義の高揚という点で身を以て範を垂れられると思うのでありますが、修身、斉家、治国、平天下ということをこれを御存じだと思う。道義の高揚にはすでに歴史、地理、或いは漢文の復活ということに御賛成になるのでありますが、国を治め、家をととのえ、国を治めて然る後に天下を平げるということは、これは総理はモットーとされるのじやないかと思います。総理自身は身を修めておられるということはこれはわかるのです。けれども家を果してととのえられておるかどうか。吉田家個人じやありませんが、自由党の総裁であり、自由党の基盤とする内閣において、その家がととのえられておるかどうか。この国会の期日が迫つて重要法案が山積しておるその責任は、身を修めておられることは確かであります。総理自身は非難の打つところはないと私は思つておる。けれども次に来たるべき家をととのえておられるかどうか。これに対して総理は反省しておられるのかどうか。家がととのわないで国が治まるか、この問題をどう考えておられるか。重要法案の山積に対して我々民主主義によつて総理を指名したのであります。その信頼した総理内閣を組織しておられるその政府に対して我々は協力する考えは十分にある。併しながら協力にも限界がありはしないか。(「その通り」と呼ぶ者あり)身を修めないで次の段階に来たるべき家をととのえることについて、総理は前々の国会のときに、内紛ということは、これは民主主義の議論で結構だと、併し私は議論の範囲を越えているのじやないかと思う。この家をととのえるという点において、総理はどういう確信を持つておられるか。我々が喜んで協力し得る情勢にお導きになるのかどうか。この点私は重大問題だと思いますので、総理の確信を伺つておきたいと思います。
  157. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 自由党の内紛即ち家が治らないのであつて、で、これがやがて道義高揚の方針に反する。御尤もでありますが、党として、党員といたしましておのおの内紛を希望いたしてしているのではなくして、いろいろの事情からここに至つたのでありましよう。が、この内紛を以て、私は議論の範囲である以上は議論ますます可なりと申したのでありますが、併しながら、内紛可なりとは申しておらないのであります。故に、内紛は適当な途で解決をいたしたいと考え、又その解決の遂に現在つきつつありますから、暫らく時間を貸して頂きたいと思います。(「廣川君の行動なんか道義の高揚なんかになつていないよ」と呼ぶ者あり)
  158. 相馬助治

    相馬助治君 総理に二、三点お尋ねしたいと思いますが、先ず第一点に、施政演説の中で道義の高揚は教育の刷新に待たなければならないという総理のお話には同感です。そこで次の具体的な問題については、総理はどのようにお考えになるかお尋ねいたしたいと思います。即ち義務教育学校職員法という日本の文教政策に画期的な意味を持つ重要法案が出され、これに対していろいろ世間がやかましい。そうしてこの際に全国五十万の組合員を有しまする日本教職員組合が実力行使をしてまでこの法案を阻止しなければならないという決意が伝えられていることは、首相自身も御承知であろうと存じます。従いまして、首相はこの教職員の実力行使の問題に対して、いわゆる教育刷新の角度からどのような見解をとられるか。又進んでは今後何と申しても教育の基幹をなすものは人の問題でありまするから、これを如何に指導されんとする腹案をお持ちであるか。このような二点について、この際首相の明快なる御見解を承わり、それを以て一つの啓蒙的な意味で天下にあなたの意見を発表して頂きたいと存じます。
  159. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 今お話のように教員組合、教育に従事しておる人自身が実力行使というような国の治安を乱すような行為が若しできたとするならば、これ又教育の欠陥とも考えられるのであります。故に、義務教育に対して国家が最善の注意を払つたことは当然であるのであります。私はこの点からも、義務教育政府がこれを重要視するということは適当ではないかと思います。  具体的な事実においては、主管大臣からお答え申上げます。
  160. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答えを申上げます。日教組の指令によりまして、今日全国一斉にストを中止したというような指令が出たそうでありまして、昨夜の決議でこれを取消したということを聞きまして、私は非常に喜ばしいことと思つている次第であります。或いは何かに激してそういうこともやつたのか知りませんが、それが落着いて、やはり教員教員らしい反省に帰つてそれを中止したという、こういう感じを受けましたので、私は非常にこれを喜んでおります。併しかりそめにも地方公務員法第三十七条の一項に掲げてありますように、ああいうストをするということは、法の規定に完全に違反するように私は考えるものでございます。これは無論最後の結果を待たなければわかりませんけれども、併し法文をそう読みますと、今度の若しストが決行されましたならば、地方公務員法三十七条第一項に触れると、こう思いまして、心のうちで非常に心配しておつたのでございます。やめてくれまして、やはり教員教員であつたとこう考えている次第であります。
  161. 相馬助治

    相馬助治君 その点に対しては一応諒といたします。
  162. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して。
  163. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 時間が大分切迫しておりますから簡単に。
  164. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 総理並びに文部大臣にお伺いいたしますが、教職員の一斉賜暇に対する見解を承わりました。併しながら教職員の最後の段階においては、文部大臣のお話になつ通りに賜暇を取りやめました。併しながら全国五十万の立派な先生方をこれほどまでに決意さしたというところには、何かやつぱりこの政府の文教政策に無理があるという点は私は反省さるべきではないかと思うのでございますが、その点如何でございますか。と申しますのは、あなたはこの法律案国会に出て以来首切りは絶対にない、給与の切下げも絶対にないということを繰返し繰返しあなたは発言されている。併しながら今朝の午前中本委員会における質疑応答を聞きましても明確のように、これは教職員が首切りもない、給与の切下げもない、安心はできないということは、数字的にはつきりと出ているわけです。そういう点からどういうふうにお考えになられるか。
  165. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。日教組がああいうことにならざるを得なくなつたのは、やはりこの職員法案というものが不完全であるからである、こういうお説でございますが、実は皆様方を通じ一般によくわかつて頂くように御質問もして頂き、又御答弁も申上げている次第でございます。ただ問題はこういうふうになりますことは、いろいろな誤解もございましよう。併しその誤解がやはり首切りとか、給与の引下げというようなことに又集中しておつたかとも思いますが、併し我々政府責任といたしまして、二十八年度はそのままありのままに現員現給で国家公務員になつて、二十九年度からはそれを総括して国庫がこれを見て行こう、こういうことを申上げたのでありまして、ただ政府に信頼を皆様方がして頂けるか頂けないかということは、これはどうもいたし方がございませんが、我々責任をとるものといたしましては、先ほど申上げましたように、二十八年度は経過措置をとりまして、そうして只今もらつていらつしやるところの俸給をそのままこれを公式の国家公務員の給与とし、首を切らずに、現員現給のまま横すべりして国家公務員にして、二十九年度からはその財政措置をして行こう、こういうことでありますから、これだけのことはお信じ下さると思う。どうも私自身としては甚だ遺憾に存じます。
  166. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 数字の点だけ一点お伺いたしますが、今私の読み違いかどうか知りませんが、今文部省から頂戴したものを見ますと、教員給与昭和二十八年度が一千百八十一億になつている。前に頂戴しましたのは一千百五十五億になつている。これだけで明らかに二十六億円予算上不足するのではないか、どういうような考え方になるのですか、如何ですか。政府自身の御提出資料そのものに今までの御説明と違う数字が出ている。
  167. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 政府委員から。
  168. 田中義男

    政府委員田中義男君) 私からお答え申上げますが、しばしば申上げておりますように、二十八年度においての国の財政負担といたしましては、いわゆる定員定額でございまして、従つていわゆる現員現給との間には開きがございますので、従つてその開きにおきましては地方負担、こういうことに相成るわけでごいざます。
  169. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 堀木君に申上げます。それは主管大臣質疑の中に入りますから、今は総理に対する質疑に集中しておりますから、一つ御遠慮願いたいと思います。
  170. 相馬助治

    相馬助治君 次に一点総理にお尋ねしたいのですが、文教の精神によつて義務教育費は逐次全額国で持つてみるようにしたいのであるという文部大臣が再三説明をしておる。それは言葉としてよくわかります。そこで併しながら実際問題としては、国の財政規模の上から制限されて、なかなかその趣旨が達せられないことも予想せられる。そこで吉田総理としては、現在の義務教育の年限、即ち六三制と言われるものに対して、年限その他についてこれが妥当であるとお考えであるからどうか。世上伝えられるところによりますると、日本の国情からして義務教育の年限はもう少し適正な年限に考えなくちやならないという考え方政府の一部にあるやにも聞いておるのでありますが、この点に関して総理の見解を承わつておきたいと思います。
  171. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたしますが、六三制度は今でも堅持したいと考えております。
  172. 相馬助治

    相馬助治君 次に予算の問題で総理にお尋ねしたいと存じます。午前中に文部大臣、それから本多国務大臣、向井大蔵大臣、三人に私どもが発した質問によつての答えを総合いたしますると、文部大臣の場合には、昭和二十九年度以降においても現員現給で組む、従つて給与の切下げ首切り等はありません、こういうお考えなのです。これに対しまして本多長官並びに大蔵大臣は、当然その主管大臣としての責任からでしようが、さようなることを明快に文部大臣言葉を裏付けされていないのです。進んで聞いてみますというと、それは先に属することだということらしいのですが、問題は、現在の教職員は大蔵省の統計によれば、地方公務員より給料が高いと言われておる、それをそのまま文部大臣の言うように組んで頂けるようなら非常に有難いが、国の財政規模の上からは直ちに来年の予算編成でこれが問題になろうと存ずるのであります。従いまして、首相は我々の同僚議員山本勇造氏が書いた「米百俵」という小説に現われているように、飯を食わなくても教育するのだ、こういう精神に立つて、教育優先の建前から飽くまで現員現給を守つて、本法案施行に伴つて予想される首切り、それから教員給与引下げ等は行わない、こういう決意であろうと存ずるのでありまするが、是非この点について明確に答弁されて、全国五十万教職員に勇気を与えて欲しいと思います。一つ明確なる答弁を要求いたします。
  173. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 政府としても無論首切りとか、或いは免職ということは希望いたしませんが、同時に国の予算ということも考えなきやならんのであつて政府としては成るべく現員現給という線に近いようにしたいとは考えますけれども、国全体の財政ということも考えなければなりませんから、各方面の関係を勘案いたしまして適当に善処いたしたいと考えております。
  174. 相馬助治

    相馬助治君 この段階において総理大臣答弁としては多分そうであろうと予想された通りです。又筋も通つております。(笑声)これは教育も重大だが、国の財政規模も考えて行かなくちやならん、その通りです。併しながら閣議において将来の見通しとしてはいわゆる文部大臣の精神が生かされて行くのか、それとも又予想せられる財政当局の大蔵大臣考え方が生かされて行くのかということにも相成るわけであります。それはどつちだと聞いても無理だと思いますが、相成るべくは、これは文部大臣の見解通りに行くべきだという含みでお伺いしておるわけであります。従いましてこの際明確に給与引下げ、首切り等は行わない決意であるということをあなたの口から聞きたいのですが、無理でしような。(笑声)
  175. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 御意見の通り少々無理と考えますが、政府としては善処いたします。
  176. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は只今総理相馬君の質問に対してお答えになつた点に関連して質問いたしますが、これまでの総理答弁を伺つておりますと、二十八年度は財政が非常に困難であるから、そこで定員定額でなければ止むを得なかつたのだ、二十九年度の予算においてこれを丸抱え、全員を認めて行くようにいたしたいと、こういうように言われましたが、相馬君からもうぎりぎりのところ首切りはないのか、或いは減給ということはないのかと突込まれますと、総理財政上これははつきり確言できないと言われていますが、そこで二十九年度の予算が私は問題だと思うのです。二十九年度の予算は、二十八年度の予算よりは私はもつと窮屈になると思うのですが、総理は二十八年度の予算よりも余裕が出て来ると考えるかどうか、この点が私は非常に重要だと思います。先ずこの点について伺いたい。
  177. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) それこそ主管大臣からお聞きを願いたいと思います。
  178. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 二十八年度予算と二十九年度予算と比べますと、二十九年度が楽になるとは存じません。併しながら二十八年度より苦しいとも考えないのです。(笑声)
  179. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 総理がお答えにならなかつたのは非常に遺憾です。というのは、総理総理みずからの口から(「ごまかされないよ」と呼ぶ者あり)二十八年度予算財政困難であつたから、二十九年度において財政の余裕が出て来るから認めてやる、丸抱えにすると言われている。それが条件なんです。今度のこの法案の前提条件であります。ですからこれが崩れれば大変なんです。ですから委員諸君はこれに非常に重点をおいて聞かれているのです。ところが二十九年度の予算は今度出されている重要法案によつて非常に膨れるのです。軍人恩給法案然り、警察法の改正然り、義務教育のこの法案で然り、そのほかに賠償が出て来ます。対日援助の返還が出て来ます。防衛費の増加も出て来るでしよう。これでどうして二十九年度の予算が二十八年度より余裕が出ると言われますか。今一応重要法案審議して予算を出していますが、この重要法案で二十九年度において予算が膨れるのだ。従いまして二十九年度に著しく生産が殖え、又情況によつて好景気でも出て来ない限り、向井大蔵大臣が言つているようにこの景気はなかなか直らない。そんな生やさしいものじやない。非常に前途を悲観しておられる。そういう状態で計数的にみても二十九年度の予算が二十八年度より楽であるとは言えません。二十八年度は剰余金を皆使つているじやありませんか。二十六年度の剰余金を使い、赤字公債を三百億発行し、その上二十九年度は更に財政支出が多くなる。それを思うとそういうことを幾ら言われても、事実はこれを納得できないから、本年度は定員定額で、来年度は丸抱えするというけれども、委員諸君は納得できないのです。そこを政府が合理的に二十九年度は財政にこういう余裕が出て来るから丸抱えが可能であるということを証明しなければ、これは納得できないのであります。この点総理大臣が、先ほど二十九年度は余裕ができるのだから、これを丸抱えできるとおつしやつたのです。そういう工合におつしやつたのです。ですからその点。
  180. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) そんなことは言いません。
  181. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いや、そういうことを言われたのです。その点ですね。(「そうは言わない」と呼ぶ者あり)その点ほどから相馬君の質問に対して総理大臣が御確言できないのは、やはり二十九年度はこれは無理じやないかとお考えになるから確信できないのでしよう。その点、相馬君の質問関連がございますから、総理から御答弁を頂きたいと思います。
  182. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私が先ほど申したのは、財政の全般を、各方面の関係を勘案して善処すると申したので、二十九年度は余裕があるから大いに使うとは申さないはずであります。(「文部大臣の空手形だ」「総理大臣がそんなことを言われるのかな」「食言々々」と呼ぶ者あり)
  183. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 只今の教育の経費につきましては、二十九年度には税制の改正とか、その他調整措置をとりまして完全に実施しようというので、一般会計の点とは関連はございましようけれども、必ずしも精密に合つているものではないのであります。(「そんなことないよ」と呼ぶ者あり)
  184. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それですから同僚委員諸君が心配されているのです。只今総理から諸般の情勢を勘案してと言われましたが、私は諸般の情勢を勘案して、今その理由を述べて、二十九年度の予算はこれは大変だ、二十八年度予算を検討するときには、二十九年度の予算と併せてこれは検討しなければなりません。ですから財政の長期計画が必要であるというのはここにあるのです。二十八年度でみんな財布をはたいてしまう。剰余金を使い、赤字公債を出す、そうして来年はたくさんの支出が出る。これで今定員定額と言いますが、二十九年度にこれが丸抱えできるとは私は思いません。今言われても諸般の情勢上困難である。ここが重大なところです。これを十分明らかにされたいと思うのです。私時間がもうございませんから、もう一点伺いたいと思いますが……。
  185. 相馬助治

    相馬助治君 関連して大蔵大臣にお尋ねしたいと思う。総理は明らかに国の財政規模を考えればここで要請合できないと言う、その通りだ。ところが財政責任者である大蔵大臣が千二、三百億、或いは二十九年度に至りますと千五百億も使う。この支出すべきものを単なる調整で以てやる。而も関連はあるけれども、全部関連はない、詭弁です。国の財政規模から見て一千有余億を使う、この費用、これに見合うためには平衡交付金法も直さなければならない、今の府県税を国税に吸い上げなければならない、こういう広汎な地方自治全般に影響を及ぼすようなことが本来ならば先行、先行しないまでも並行して出されるべき性質のものである。それが如何なる事情か知らないけれども、今般は義務教育学校職員法というものが一つぽかつと先行して出て来た。そこで我々は一体これは財政的にどうなんであろう、これをお尋ねしているのであります。文部大臣は非常に楽観論です。これは文部大臣だからよろしい、そういう趣旨予算を取つたらよろしいのですが、併し大蔵大臣がそれは調整だけで何とかなる、こういう気楽なことを言つていたのでは我々はそんなこと聞いているわけには行かない。従つてお尋ねしたいということは、即ち平衡交付金法を改正する意図があるのかどうか、地方税法をどうするのか、これらを見合つて定員定額でなくて、実員で実額で組む意図を持つている、こういうのか、或いは総理が言つているように教育も大切だけれども、国の財政規模上そういうこともできないから、総理大臣がおつしやるようにやろうというのか、全く違うんです、どつちだということを木村君が尋ねている、私も関連してお尋ねいたしますから大蔵大臣に明確に答弁されることを要求いたします。
  186. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 前に申上げましたように、やはり税制の改正とか、或いはそれによつて起る調整措置をとりまして善処しよう、そういうわけでございます。それは総理の申しておることとちつとも違つていないつもりでございます。
  187. 羽生三七

    ○羽生三七君 もうちよつと明確にしたいと思うんですが、普通の例えば林道とか耕地整理という場合、林道なら一千米の事業は八百米にする、耕地整理なら五百町歩の整理を四百町歩にする、事業分量を縮小するということがあります。この義務教育学校職員法は本年度は経過処置ですが、毎年度は政府全額出資を義務付けておる、そういう場合に義務付けられたものを財政の処置で他の林道の事業、耕地整理のように事業分量の縮小というような概念で縮小できますか、その場合に明らかに問題が起つて来る。大蔵大臣どう思いますか、重大な問題ですよ。事業とは違います、人間ですよ、片つ方は。
  188. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 林道とかいろいろのことを言われましたが、人間と林道は違うということもよくわかつております。只今申しましたように、地方税及びこの一般の税制の改訂をする、そうして調整を図つて行きますと、どうしても払うべきものは払わなくちやならないし、ほかの必要なものは払わずにおくかして調整を図るということは私はできることだと思つております。
  189. 羽生三七

    ○羽生三七君 こう解釈してよろしいですか。税制その他でいろいろ工夫をなさる、これは歳入の問題ですよ。今大蔵大臣の言われたことは歳入の面では、そういう考慮を払えばその財源を捕捉することは困難ではない、併し一旦捕捉した財源を支出する場合には、先ほど文部大臣が重ねて主張しておる線に沿つて善処される、こう解釈してよろしうございますか。
  190. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 文部大臣が言われました点は無論私は考えておりますが、大蔵省としましてはそういうふうな一つ一つについて只今割振りをするということは申上げかねますけれども、国の政治をやります上に必要な経費は何と言つても出さなければならない。
  191. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 岩間君。
  192. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 僕がまだ関連質問を終らないうちに、それは無理ですよ。
  193. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 簡単にやつて下さい。
  194. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 項目別に三点ばかり伺います。  その第一は先ほど質問いたしたのですが、具体的に二十九年度に、この二十八年度に組んだ九百二十億の義務教育費ですね、負担費、これをどの程度政府は殖やすつもりであるか、或いは又財政地方税制の改正のことも恐らく言われた、調整ということも言われた、それについては今度は大臣はどういう御構想を持つておるか、地方税制の改正について、これが第一点。  それから第二点は、予算総則の十四条に、「義務教育費国庫負担に関する制度の運営上必要あるときは、内閣は、総理府所管自治庁地方財政平衡交付金の項の金額と、文部省所管文部本省の義務教育費国庫負担金の項の金額とを彼此移用することができる。」こういうふうに書いてあります。予算総則十四条です。これは具体的にどういうことを意味するのか、義務教育費国庫負担というものを文部省予算として計上しておいて、この自治庁予算はこれを移用できる。  それから第三、もう一つ憲法九十二条地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とあります。これは憲法九十二条の地方自治の本旨に基いて定める、併しこれは地方自治の本旨に反するのではないか、この点をお伺いしたい。
  195. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 第一は中央と地方財政調整の問題でございますが、財政調整は何を目途としてやるかということをお話申上げまして、御了解を得たいと思います。今回の義務教育職員負担金が九百一億となつておりますが、これは地方全体の義務教育職員給与の額は一千百五十五億でありまして、二百五十四億だけ不交付、若しくは制限というもので控除して交付金の中に入れておるわけでございます。この二百五十四億はどうして今日交付することができないかと申しますと、これを若しこのまま交付するといたしますと、富裕団体と富裕ならざる団体との財政的な懸隔が一層甚だしくなるわけでございます。従つて若し財政調整よろしきを得ますならば、義務教育国庫負担金は冨裕、富裕ならざるの、区別なく、定員定額なら定員定額、その他の方法ならばその他の方法で全部交付して、而も丁度一千百五十五億で足りるということになつて来るわけでございます。それを特に平衡交付金の中で二百五十四億保有しなければならなかつたのは、今日財源が偏在しておるからでありまして、そうした偏在度を少くするという目標を以ちまして、財政調整を考えなければならないと存じております。この際勿論地方税制のみの改正では満足するような調整はできないと思うのでございまするが、これには普遍的に国家の財源を地方に移すという問題も併せ考慮して行かなければならないと考えます。それでは如何なる地方税を国に移し、国のどういう財源を地方に移すかという問題になりますと、誠に地方財政地方行政と不可分の関係にありまして、全体的な検討を要することになりますので、政府といたしても研究はいたしておりますが、地方制度調査会の総合的な御研究を頂いて、その答申を待つて方針決定いたしたいと存じておりますので、今日政府としてまだ決定しない意見をお答え申上げるわけには参りません。  更に今回の義務教育学校職員法案が、自治の本旨に反する点はありはしないかという御質問でございますが、地方行政は勿論、この自治の本旨でありまする住民自治の精神を尊重して、即ち地元々々の行政は地元住民の意思を尊重して行くという、自治の本旨をこれを尊重して行かなければならんことは勿論でございますけれども、併しその行政の国家的性格を考えましたときに、国家が別段の法律の定めをなすことは決して自治の本旨に反するという条項に、何と申しますか、(「内容をどうするか」と呼ぶ者あり)それに来るものじやないと思つております。内容がどうするかという点でございますが、これは警察法においてもしばしば言われるのでありますけれども、今回の義務教育というものの国家的性格、これを考え、更に地方自治制度と調和させるという点におきまして、地方教育委員会が設置されておりまするし、この教育委員会文部大臣の委任を受けて任免するにつきましては、市町村とも協議をする。更に又その学校は、義務教育とは言いながら市町村立の学校でありまして、その学校に伴う他の経費については、市町村の議会で以て協賛を得て負担して行くということが伴つておるのでありますから、これは義務教育国家性という特殊性、それと自治の本旨である住民の意思も反映さして行くという調和をとつた制度であると考えておりますので、自治の本旨に反する制度ではないと思つております。
  196. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ず第一にお伺いしたいのは、総理からお答えを願いたいのでありますが、義務教育無償原則憲法で打立てたのであまりすが、それは何のためであるか、なぜそれだけの必要があつたのか、この点について総理はどういう見解を持つておられるか先ず伺いたい。
  197. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) これによつて教育の普及を図り、又道義の高揚ということを憲法は期したものと考えております。
  198. 岩間正男

    ○岩間正男君 非常に総理は自分の説に引付けて話をされておると思うのでありますが、これは義務教育無償原則を謳つたのは、当時の一九四五年の十一月GHQから出されましたところの日本教育改革の覚書によつても明らかだと思いますが、今まで貧富の差によつて教育の平等化が行われなかつた、これを平等化するために、国家財政によつて大幅にこれを見る、大部分を見る、こういうことでなければ教育の機会均等は確立できない。こういう精神に一番大きな眼目がある。こういうふうに思うのでありますが、この点総理はどうお考えになりますか。
  199. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 均等待遇もありましようが、同時に私の申した大なる目的とするところは、教育の普及と、こう考えております。
  200. 岩間正男

    ○岩間正男君 総理はもう少し今までの教育の、終戦後の、教育の改革の経過を見て欲しいと思うのです。それは途中でそういうようなものが変つて来た。最初の精神はそこにあつた。日本の教育は、例えば小学校を卒業しても二十人しか中学校、女学校へ行けなかつたのが戦争前の状態であつた。これを飽くまでも教育の平等化をしよう、財政負担によつて教育のそこに差等を付けてはまずい。これは根本の精神なんであります。日本の教育の改革の……その点を明らかにされるのが必要だと思うのですが、なぜこういうことを質しておるかというと、先ほどから問題になつております財政負担の問題とも非常に大きな関係を持つておるからです。そこで総理はこの前の施政方針演説によりますというと、道義の高揚は、究極において教育の振作に待つほかはない。政府が今回義務教育費全額国庫負担を決意し、教職員国家公務員とするの措置をとるのはこの故にほかならない。こういうふうに述べられておるのでありますが、総理はそうすれば、あなたの説は仮に今これを認めるといたしましても、これをそうすると、ここで全額国庫負担ということを重点にしなければあなたの道義の高揚ということはできないことになる。そうすればどれくらい、大体、義務教育無償原則従つて財政負担をするとすればどれくらいかかるというふうに考えておられるか。この点明らかにして頂きたい。
  201. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) これは先ほども申す通り財政全般の関係を図つていたすというよりほか答えができません。
  202. 岩間正男

    ○岩間正男君 この点に関しては、これは文部省が出した実は資料がある、更に本年度の資料を私は要求しておるのでありますが、これは岡野文相からお答えを願います。
  203. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 義務教育無償のことは先ほども申上げましたように、できるだけ国家負担して、そうして家庭の皆様は子供を学校にやつておけば自然に義務教育が終えられるという方向に進んで行きまいと思つております。併しながらこれは国家財政の都合によることでございまして、できるだけその方向に進んで行つて無償を完全にして行きたいとは考えております。
  204. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はできるだけとか何とかということを聞いているのじやない。仮に憲法二十六条を最低実施するとすればどれくらいかかるかという限度があるでしよう。ところが事実出しておるのです、限度を……。昨年出しておるのです。私が要求しておる資料を出しておる。そこで本年度は物価の値上りがあるはずだ。それにベース・アツプもあるはずだ。だから昨年度におきましては、これは大体二千七百八十二億五千二百万円というのを出しております。教職員給与費、維持運営費、校舎の減価償却、教科書代、学用品、給食費、通学用品、これは小学校、中学校、盲聾唖学校、更に事務職員、これだけ一切含めまして文部省が調査せられた資料がある。これに従えば本年度どれだけかかるかということが明らかである、それをお聞きしたい。
  205. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 申上げます。これは理想的の無償の計算でございまして、国家財政が、先ほど申上げましたように許す範囲内においてやりたいと思つております。それから今年度どれだけ殖えたかということは事務当局から御返事申上げます。
  206. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 岩間君に申上げますが、もう総理に対する質問ないのですか。
  207. 岩間正男

    ○岩間正男君 あります、一ぱいあるのです。  私はあなたが言つたようにやつておれば、非常に、親が金を出さなくても子供を学校にやれるような状態にしたいというのなら、財政計画の一つの案を出さなければならない。そこに到達するにはどうするかということは別の問題である。その点について質しておる。これはできますか、結論だけでいい。二千七百八十二億というのは昨年出した案ですが、今年度は幾らですか、これだけお伺いしたい。
  208. 田中義男

    政府委員田中義男君) 先般の御要求によりましてお手許に本日差上げたかと思いますが、(岩間正男君「来てない」と呼ぶ)今般の調査によりますと、昨年度差上げたのと少し資料内容において変つたかも知れませんが、給与費、物件費、その物件費の中で教材費教科書費、教科学習費、その他の教授費、維持費、建築費等を含めまして二十八年度推計を合計二千三百六十三億二千八百万と計算いたします。
  209. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういう杜撰な一体統計を何故出すのか。昨年出した案で二千七百八十二億というのを出して、私が同じ基準で今年度出して下さいと言つておる。それを何故こういうことをやるのか。委員長、注意して下さい。こんなに権威のないことありますか、馬鹿な。私は、去年出した案がある、これについて去年のベース・アツプ、物価の値上りを見て、これによつて今年度幾らになるかということを聞いておる。ところが昨年度より五百億も減るのですか。それでこれは総理からも注意してもらいたいと思います。こういうような属僚のやり方はけしからんと思う。甚だ当委員会を愚弄しております。こんな馬鹿なことは問題にならんから調べ直し。  では次に伺いますが、全く先ほど総理答弁でも、今度の負担では仮に昨年度から見ましても約三千億近くかかる。それに対して一千億足らずしか出していない。それで義務教育費負担全額負担を謳うのは実際羊頭狗肉です。こういうことをやつていながら、先ほど総理答弁の中にも、金額は現員現給では出せない、半額という言葉を使つたのですが、半額は少しかわいそうですが、足りないところは地方財政に被せる、こういうことになつて来る。而も私の一番問題としたいのは大衆負担です。今日の再軍備費のほうに非常に多く財源が取られてしまう。ところで教育にしろ大衆負担が非常に強く来ておる。PTAの会費、学用品費、或いは給食費その他いろいろな費用が非常に莫大なものになつております。この点下情に通じておられる総理に念のためにお伺いいたしたいことは、東京の小学校の生従に月に一人当りどのくらい持たしてやつておるとお考えになつておりますか。これは非常に重要でありますから、これは下情に通じておるということは定評でありますから総理からお答え願いたい。重要なんですから……、岡野文相から聞く必要はないと思います。
  210. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) それは家庭のおかたがどのくらい出していらつしやるかということは地方々々によつて変りましようし……。
  211. 岩間正男

    ○岩間正男君 東京と指定した……。
  212. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) そこのところはどうなつておるか実はそういうところは下情に通じておりませんので存じません。いずれそのほうは事務当局からお答えをいたします。
  213. 岩間正男

    ○岩間正男君 何と下情に通じていない、大臣たちが多いことでしよう。これが日本の政治の実態です。念のために申上げますが、最低六百円です。先ず普通八百円、多ければ千円、子供三人、高等学校、大学ということになつたら莫大なものです。ところが一方では生活が窮乏のほうに行つておるのです。寄附金が多くなつておる、それから中小企業が倒壊する、低賃金で抑えつけられる、農民は低米価で抑えられる、こういう生活の中では一方には相対的にどんどん殖えおるところの教育費負担というものを賄い切れなくなつておる。だから現にどういう傾向が現われておるかというと長期欠席、退学が非常に多くなつておる。これは統計が示しておる。こういう事情について……。こういう問題を解決しなければ私が先ほど申上げましたところの義務教育費無償にするという根本原則というものは破壊されておる。憲法も何もあつたもんじやありません。こういう点について総理はどのように考えられるが、重要ですよ。この点を抜きにしてあなたは得々としてこの前施政方針の演説の中に道義の高揚をやるためには教育費全額国庫負担をしなければならん……と三分の一の負担じやありませんか。三分の一負担をやつておる。そして一方でそういうことを言うのは非常におかしいと思うのですが、この点についてどういう見解を持つておりますか。
  214. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 先ほど申した通りで、財政の全般から勘案して政府は善処したいと考えております。
  215. 岩間正男

    ○岩間正男君 さつぱり善処していないから質問しておるのです。年々相対的に減つております。こういうことをやつておいて、そうして教員給与さえも満足にこれは持つことはできない。地方財政に今度はおつかぶせておる。こういうことをやつておいて、而も一方でなぜ国家公務員にこれをしなければならないのかわからない。総理の御答弁によりますというと、道義の高揚と国家公務員とはどういう関係があるのか、相関関係がなくちやならんのだが、何遍考えても今日に至るまで私はまだわからない。なぜ一体道義の高揚をするために国家公務員にしなければならんのか。全然関連がない。この点伺いたい。どういうためですか。
  216. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) これは主管大臣から始終申しておるのですが、あなたがお聞きにならないからして政府が説明がないように考えられるのですが、道義の高揚のために、又義務教育を徹底せしむるためにも教員に地位の保障を与えたいという国家考えからそういたしたのであります。
  217. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 岩間君、もう時間がありませんから……。
  218. 岩間正男

    ○岩間正男君 それならこんな不十分なことをやる必要がない。来年やりなさい、やるなら。なぜ今年大急ぎでやるのですか。全然負担は、平衡交付金を一方で外して、別に文部省に移管したという措置だけで、東京あたりの先ほどの八都道府県においてはそれさえもやつていない。そういうことをやつておいてなぜ国家公務員にしなければならないのか、別な意図がそこになければ明らかでない。そういうことをなぜやるのか、何ぼ話を聞いてもわからないから私はお聞きしたい。
  219. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 御承知通り私どもといたしましては教育は長い目で見なければならないと思います。そうして又画期的の改正をいたしますにつきましては初めから完全無欠のものは実行できるものではありません。そこで教育を刷新し、義務教育を充実して機会均等を与え、そうして義務教育の水準を維持して行きたいということにつきましては、こういう点につきましてはいろいろ方策もありましようが、多年の要望であるところの教員給与費というものを紐付きにして必ず国家の出したものは教員の手に入るということが先ず第一歩だと思つてやつた次第でございます。又国家公務員にするということ自体といたしましては、これはたびたび私が申上げましたように今地方分権が非常に厳格に行われております。そうして水準がどうも一致していないような地域差がございますから、基本給だけでも各都道府県一律に教員は同じような待遇を受けて身分の安定をしてもらいたいということからこういうことをしたのであります。
  220. 岩間正男

    ○岩間正男君 最後に、今のお話は到底……、なぜここで無理をしてやるかということの説明にはならんのです。なぜそんな無理をして急激にいろいろな混乱を起して、自治庁のやり方もなかなか調整がとれない、又地方財政国家財政との調整もとれない、こういうことはこれはもつとあとで詳しくお伺いいたしますが、最後に総理大臣がお立ちになるようですからその前にお聞きしたいのですが、道義の高揚、道義の高揚ということを非常に総理はおつしやつていられる。ところが現実にどういうことが起つておるかと申しますと、私はここで例を二つばかり挙げてこれで道義の高揚になるかということをお聞きしたいのであります。米軍の宿舎が東京の武蔵野に建とうとして、これに対して非常に地方の住民が反対しております。半年以上もこの問題に付して風紀の廃頽の問題、こういうものについて一つの基地に類したものが生れるということで運動が起つております。私はこれに従う全部の市民を挙げたところの大会に参つたのでありますが、この席上で一女高生がこういうこと言つた。これは私は未だに忘れることはできない。それはこう言うのです。吉田内閣は道義の高揚、道義の高揚ということを言つておるけれども、なぜ一体こういう武蔵野のようなところに非常に風紀の廃頽を起すような米軍宿舎を造るのであろうか、それから又曰く、一方では米軍の高級将校の住宅のためには三十七億円の金を使つておる、一戸実にそれは七百万円ぐらいのものになります、然るに我々の校舎を見るというと全く至るところガラスが破れている、そうして不完全な、ぼろだらけの校舎である、なぜ米軍のために使うところの金があるのに、これを我々の校舎建築使つてくれないのでしよう。こういう切実な声を挙げております。これは非常に私は現在の吉田内閣の政策をずばりとそのままで指摘しているのではないかと思います。それから又私はこの冬北海道に参りまして、北海道の学芸大学を見たのでございますが、学芸大学の寄宿舎の中では昼からストーブをどんどん焚いておるにかかわらずつららが下つている、昼ですよ、而も……。こういうところの寄宿舎が現在あるのであります。ところがそれから三、四十メートル離れたところの保安隊の将校の宿舎を見ますというと、二重張りのガラスで以て立派なものがちやんとできている。こういうことをやつておいて、果して一体どんなに道義の高揚ということを説いたとしても全然空念仏だと思うのでありますが、これは吉田総理は、こういうふうな一つ一つの実は財政上の問題について破綻を来たしておるのです。このような問題を一つも手を打たないで道義の高揚をどんなに説いても全然逆立ちだと思うのでありますが、この点に対して、まあ最後に総理の見解を伺いたいと思います
  221. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えしますが、住宅問題については政府は全力を挙げてその財政の許す限り施策に力を尽しております。又風紀の廃頽等につきましては、政府はその地方々々の事情に応じて善処する考えでおります。
  222. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) これにて総理に対する質疑を終ります。午前に引続き一般質問をいたします
  223. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣にお伺いしますが、岡野文部大臣はさつき岩間君の御答弁において全国一律に教職員給与を与えられるように努力する、こういうことを答弁されました。この全国一律に教職員給与を支給する、本会議で述べられた言葉を借りて言うならば、東京の真中の先生も山の奥の教職員にも同じく一律に給与をする、こういう答弁をされておりますが、この言葉と、二十八年度は現員現給でやる、二十九年度は国庫で丸抱えするのだ、だから教職員給与切下もなければそれによるところの教職員定員減もないのだ、全部の教職員は安心しなさい、御心配要りません、こういうふうに答弁されることには矛盾を感じられませんか。
  224. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。今岩間さんに申上げたときに私は特に基本給ということを申上げております。そうして少くとも基本給は全国一律でなくちやいかん、併しながら御承知通りに地域はいろいろ繁華な都市とか、又は生活が少しは楽な所であるとかいうことはありますし、交通費がたくさん要つたり要らなかつたりいろいろありまして、その点につきまして全国的に差のあるのはこれは止むを得んと、こう考えます。
  225. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 問題はとんでもございませんよ。基本給は差がございますのでしよう。大臣の今の答弁は全国の教職員には基本給に差がない、併しながら特殊勤務手当とか或いは地域給というようなもので差がある、こう言われるのですが、基本給に差があるのですよ。
  226. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) この法案を作りましたのは国家公務員と同じように、即ち国家公務員として小学校教員と中学校教員をしている人と振合いがとれるということを目途としたわけであります。それから既得権を尊重する意味におきまして只今の現員現給というものを尊重して行く、こういうことでございますから矛盾はございません。
  227. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 どうして矛盾ございませんか。現在基本給は違うでしよう。違うものを現在現員現給で都道府県責任でできるかできないかは別にして差ができましよう。そのままを丸抱えするということを何度も答弁されておる。丸抱えをしたならば違つて来るじやありませんか。
  228. 田中義男

    政府委員田中義男君) 大臣の基本給という言葉は少し私から補足申上げたほうがいいと思うのであります。御承知のように法律上規定の上で基本給と申しますのは、いわゆる本俸のほかに勤務地、扶養家族の手当等がございますので、少くともその本俸においては全国一律にいたすべきだ、こういう考え方なのでございまして、従つて勤務地等につきましてはこれは都会田舎等それぞれ異にいたしておるのが現状でございますので、そういう点においての差異はこれは当然止むを得ない差異である、こういうふうに御了解頂きたいのであります。
  229. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 局長が答弁する場合に私の質問していることに明確に答弁して頂きない。それでは御質問申上げますが、本俸に差があるのですか、ないのですか。
  230. 田中義男

    政府委員田中義男君) 将来……。
  231. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 現在あるのですか。
  232. 田中義男

    政府委員田中義男君) 現在においては差異があると思います。現実には……。
  233. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 然らば来年度現員現給で切替える、翌年の二十九年度には国庫が丸抱えをする、そのときに本俸は各県で差異があるかどうか。
  234. 田中義男

    政府委員田中義男君) 現状のままでそのまま現給に横滑りをいたします場合にはこれは差異があるわけでございます。
  235. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこでお伺いしているのは、その差のあるということと全国一律にしようというところにはこの法律案趣旨ということと矛盾でありませんかというのです。
  236. 田中義男

    政府委員田中義男君) 大臣がしばしば言われるように一律にすることは現実に各地方において非常に差異がございますからそれは困難だとお思います。ただ先ほども申上げましたように。現在の既得権を尊重しながらも併し別途合理的な給与体系を考えまして、そうしてその線に沿つてこれを調整し、将来それぞれ少くも本俸において、ところによつて変るということのないように持つて行くべきだ、こういうふうな考え方でございます。
  237. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで文部大臣にお伺いしますが、教職員の不安というのは今局長の言葉にもありましたが、合理的な体系を作るとか、或いは調整して、そうしていつの日かかくかくにしたい、具体的にどういうふうにするのかということが明確でない。大臣は希望的観測を述べられて、自分はそうしたいと言いましたけれども、大蔵大臣はそういうふうにやるのだ、やれるのだとは答弁されない。吉田総理も又然りでございます。こうなれば、教職員がこの法律案施行によつて給与切下げ或いは首切りというものを心配されるのは当然だと思うのですが、文部大臣如何ですか。
  238. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 成るべく一つ現場の職員各位に御心配のないようにと私考えておりますのが大方針でありますから、ただこれを切替えますときにやはりいろいろ事務的な調整が要るでしよう、併しそういう事務的なことについては私には実はわからないのです、これは私の方針を体して文部当局が十分私の意見に副うように調整をする、こう考えております。
  239. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では局長の答弁……。
  240. 田中義男

    政府委員田中義男君) 今ちよつと岩間さんとお話しておつたので聞き落しましたけれども、ともかく法律で現在起案をいたしておりますように、二十九年度からともかくそれぞれ給与法によつて丸抱えにすることになつておりますので、従つて私どもはその法律の規定をいたしておるままにこれを執行して行くべきだと、かように考えますので、従つてその間実際に、しばしば申しますように、既得権を尊重しながらこれを実施して行く場合に減員が起りましたり、或いは減俸が起る、こういうことがないはずであると、かように確信いたしているのでございます。
  241. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうも今朝ほどから聞いておりまして、殊に先ほど総理並びに大蔵大臣のお話を承わつて非常に不思議に感じるのです。と申しますのは、我々が二十九年度にはどうなるだろうということを、普通の法律だつたら少し聞くのが無理だろうと思う、そのときには大蔵大臣がいろいろ財政上の措置も講じなければならんし、又いろいろな重要な経費も出て来るから、そのときに財政状態及び税制等によつて十分考慮して行こう、ああいうふうな一片の何と申しますか、答弁で以て、或いは普通の法律だつたら済むかも知れない、併しこの法律は非常に異例な法律であつて、ともかくもこういう基本的な法律を作りながら暫定的には二十八年度は過渡的に現員現給が害われないようにする、こういうふうなことまでつけなければならない過渡的な規定を、非常に細かくつけなければならんような法律です。そうすると私は実は相馬君の言われましたように、遠慮しないで我々としてはこの法律をお作りになる以上は、二十九年度から教職員給与はどういうふうにするのだということをきちつとお言いになつて財政上考慮いたしますという逃げ言葉でなしに、きちつとして政府としては二十九年度からそうするのだというお約束がなくちやならんはずの法律である。先ほど木村君は財政上の見通しから二十九年度にいろいろな見解の表示がありましたが、私はこの法律的な点から見まして、政府が二十九年度の財政措置をどうして行くか、そうして教職員給与の安定を図るということを、政府として当然この法律をお作りになる以上は表明される義務がある、こういうふうに私は考えるのですが、文部大臣及び大蔵大臣はどうお考えになりますか。
  242. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。今考えておりますことは、先ほども申上げましたように、二十八年度の経過措置といたしまして現員現給そのまま横すべりにしまして国家公務員にする、二十九年度はこれをやつて行くと、大蔵大臣自治庁長官のお話にもございます通りに、これをいたしますのには、中央の財政地方財政との調整をとらなけりやならんから、その調整をとる、即ち地方で今まで払つておるものを中央で払う、又中央で払つておるものは地方で払う、又吸上げ方もそう、そういうふうに税制全般に一つの改革をしまして、それによつて二十九年度に相対応して行つてまる抱えにしたい、こう考えております。
  243. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 税制の改正とか、諸般の調整によりまして善処するつもりでございます。
  244. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは岡野文部大臣お忘れになつておると困るので、以上速記を読み返して関連してお尋ねしますが、岡野文部大臣は参議院の七月七日の地方行政委員会におきまして半額義務教育国庫負担の問題について反対するという所信を表明した中で、こういうことを言つておるのであります。「あれに私が一番に反対いたしましたのは、御承知通りに、平衡交付金はやらんでもいいような普通地方公共団体に対しても義務的にやはり出さなければならん。これは不公平ではないか。不公平と申しますより、そういう金があるならば、もう少し貧弱な、困つた方面にこれを分けたほうがいいのではないかというような考えを私は持つております。そこで、」今あなたのおつしやるように、「いろいろその調節もしなければならんということも私が反対しました一つの理由でございまして、で、先般あれに対して私が承認を与えましたのは、二十八年度から施行する、同時に普通地方公共団体にそれほどのものをやらなくてもいいじやないか。同時にやる金があるならば、もう少し困つている貧弱団体のほうに廻したい。それならば二十八年度から実施するのだから、それまでの間に」ようございますか、二十八年度から半額負担実施するのだから、「それまでの間に地方税法並びに国税とよく調整をとつて税法の改正もし、同時に平衡交付金内容についても相当な検討をして、そうして不公平のないように又貧弱団体も困らないように金を廻してやるというふうな方向に、ちやんと税制なり運営の方法をよく検討いたしましてその上で実施すると、こういう了解の下に私たちはやつておるのでございますから、」こういう答弁をしておる。半額の問題でさえも、こういう答弁をしておるのに、全額と言いながら、それは二十九年度からで、二十八年度はあなたの提案理由の説明にもあります通り、若干の調整をするためには時間を要しますので、二十八年度は都道府県負担とし云々とおつしやつておるので、こういう一千億を超える全額負担になるような国家財政支出については、確かに地方、国を見合つて税制なり、財政計画の方々は検討せられなければ、これは実施に移されないということは、これは当然だろうと思う。半額以上に重要な国家財政上の問題である。然るに二十八年度の経過措置は法律上明記せられておりながら、二十九年度から完全に何らの障害もなく、千億を超える金を出して全額負担して行くいとうことについて、確信が得られないような答弁があるならば、我々としましては白紙委任状をこれに賛成する場合に与えるという結果になる。従つて経過期間中にどういうふうに地方税を、或いは国税を変え、どういうふうにこの問題を考えて行くかということが明らかになつて、来年の国家財政計画というものについての見通しがない限りは、我々は軽々にこの法案に賛成することはできないわけです。従つてそういうことがないぐらいならば、初めからその計画を立てるまでは、実質的には二十八年度に何ら財政的なプラスはない。ですから、半額国庫負担を即時慎重に考慮せられて、各般の意見を聞いて税制改正の計画を樹立した上、大幅な全額負担実施に移して行くのがこれが正常なやり方ではないか、私は率直にそう思う。従つてあなたの昨年の御所見と、今日そういうことを実際実施の上で考慮して、やり出して来たことと、見解が明らかにこれは食い違つておる。この点を承わりたいし、そうして先ほどから幾多の議論がありますが、これを修正するためにも、二十八年度中に国、地方を通ずる税体系はどういうふうにせらるる御所見であるのか。或いは国と地方を通ずる財政計画については来年度こうすればこうなるのだ、大丈夫だと、そういう見通しについてはつきりお伺いしておきたい。二点質問いたします。
  245. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私が昨年申上げましたが、その通りでございます。半額でもやはり税制改革、即ち中央と地方との税制を総合しまして調整しなければできなかつたのであります。今日それが不幸にして解散なんかがありまして、その準備ができませんでございましたから、なかなか間に合わない。そこでこの半額国庫負担と称せられる昨年度の法律実施いたしますにつきましても、間に合わない情勢でございました。そこで私は四月一日から教員給与費国庫負担は是非やらなけりやならないということは、これは当然のことでございますから、いたしますならば、同じ税制改正とか、地方と中央との調整をとるということをしますならば、初めから全額にしたほうがいいということで全額にしたわけでございます。そうして又閣議決定といたしましても、二十八年度は経過措置といたしまして、最近の機会において税制改革を行なつて二十九年度からこれに即応するような方法でやつて行きたい。こう考えてやつておる次第であります。
  246. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 小笠原君。簡単に願います。
  247. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は所信を問うと共に、二十八年度中に然らば来年度の準備としてどういうことをやるのか、こういうことを聞いておる。これについて御答弁を願いたいし、委員長は顔を知られて何回も関連質問をやらせないようですから、附加えてこの際質問しておきたいのですが、午前中本多長官の説明を聞いた場合に的をはずして御答弁になつたのですが、具体的に然らば内容に立ち入つて財政上の問題をお尋ねしますが、千百五十五億という金のうちから、共済組合やほかの関係を除いて、地方財政計画として必要額は千百二十四億になるわけであります。このことを計算して来ましたものは、これは地方財政計画として計算したものであります。然るにそれから二百五十四億ということで、東京、大阪のような不交付団体、或いは減額する神奈川等の団体、併せて八団体から差引くという二百五十四億というのは、平衡交付金配分上の計算によつて生じた超過財源である。それで地方財政計画として出た金から、平衡交付金としての超過財源分を、計算のやり方が全然違うものを差引いて、それで賄えるのだということは、これは必ずや食い違いが出、この部分についても財政的に本年度においても調整しなければならん問題が起ると思う。即ち文部省のほうの各府県に割りつける負担金の配分というようなものが明らかになる、そうでない限り、平衡交付金のほうの算定の方法も狂つて来る、こういう問題の調整もあるわけであります。そういう調整についての見通し等をはつきりお答えを願つておかなければ、これは二十八年度だけでも地方財政というものは狂つて来る。だからこの点も併せて質問しますから、二点お答えを願いたい。
  248. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。今年の地方財政計画では、御承知通りに全部の財政計画を自治庁でとりまして、そうして千七百二十億という平衡交付金でバランスがとれているわけでございます。そこで現員現給なら、若しこの法案が出ないといたしますれば、結局千七百二十億円で地方財政はバランスしているわけであります。それをただ単に紐付といたしまして交付することにしたわけです。そうして義務教育職員法に出ておりますように、国家負担金として出すわけですから、財政の立場から申しますれば、私は何らの欠陥もなし、初めの財政計画通りにやつて行ける、こういうのであります。
  249. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第一点の答弁がない。来年のためにどういう調整をするのか、その基本的な方針を承りたい。
  250. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 二十八年度中にとにかく税制改革をやりまして、二十九年度に実行することにいたします。
  251. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちよと先ほど出した資料の問題ですが、これでは検討できないです。材料はないんですか。どういうふうな根拠で出したのか。これは全然問題が違いますよ。私は全額国家負担するとして、その理想的になるときにはどうかということを聞いている。それに対して全然これは現状のものしか出していない。これはどうなんですか。よく聞いて出してもらいたい。原本はないのですか。
  252. 田中義男

    政府委員田中義男君) 岩間委員の御要求によります資料でございますが、昨年差上げましたものは理論的に立てまして、それに基いた資料のようでございます。で今日差上げましたのは現状を基にした資料であるようでございますのでその間食い違いがあるようでございますから、従つて御要求によりまして、更に昨年度の資料を本にして新たに作製したものを差上げることにいたします。
  253. 相馬助治

    相馬助治君 大蔵大臣関連してお尋したいのですが、事は極めて重大です。文部大臣が税制改革を二十八年度にやつて、二十九年度の会計年度の初めには支障ないと思いますというようなことを、小笠原君の質問に対して答えている。これは極めて重大であつて大蔵大臣は知つているか知らないか知りませんが、各府県の今県会では、本法案が通るという見通しに立つて予算を作つているところ、どうやらこれは潰れるなというので今まで通りでお茶を濁しているところ、いろいろなんです。そこで私の聞きたいのは、先ず不交付団体の八府県に、昭和二十八年度の会計年度の中途で、税制改革を行われた場合には、税金だけは国税に持つて行かれて、もらうものはもらわないと言つたら、これはえらいことができるのです。従つてこの問題は文部大臣が税制改革をいたしますなどと、こともなげに言い放すということでなくて、するとするならばいつやるのか、いつやるのだということ、言うまでもないのですが、あなたのほうでは案が出れば、それで税制改革ができるのではない。我々が審議してことができ上るのです。いつやるのかというのである。それから二十八年度の会計年度中において取急ぎやるつもりかどうか。やつた場合には、国税に吸上げられて、そのあとの府県財政に、いわゆる今までは不交付団体であつたけれども、今度は交付団体になつたという場合には、大蔵省としてはどういう措置をやろうとしているのか。それから伝えられるところによりますと、遊与飲食税と入場税は国税に吸上げるが、たばこ酒の消費税のごときものを新たにして、これを県税にするのであるという案を政府部内の一部では持つておるという人もあるというが、それを引括めて、一体地方税を中心として税制改革について大蔵大臣は如何なる所見と見通しを持ち、現実に作業はどの辺まで進んでいるのか。極めてこれは具体的なことですから、すぐ答えられなかつたら、そこに主計局長がいるようですから、よくおそわつて、そうして明確に答えて頂きます。
  254. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 政府委員答弁いたさせます。
  255. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 税制改正につきましては、地方制度調査会の結論等を見まして実施する考えでございますが、その実施は年度の変り目、つまり昭和二十九年度からやるようなことに相成るのじやないかと考えております。(相馬君「内容について、その見通し」と述ぶ)これにつきましては、先ほども申しましたように、地方制度調査会におきましていろいろ検討されているわけであります。その結論を待つて政府としての案は決定することになつております。
  256. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 こうなれば、地方制度調査会の答申を待つということは、政府としては素案なり、原案なりを地方制度調査会に示して、その答申を待つということでございましよう。然るに地方制度調査会は、先般来、こういう法案を唐突の間に国会提出するについて、幾多の疑義があるとして、論議が沸騰し、そして政府と明らかに対立した問題なんです。それなのにこの法案実施のためにということを前提として、そういうことを重要な一つの要素として、地方制度調査会へ税制改革の問題の答申を待つというふうに、原案をただ……、こういうようなことは政府として首尾一貫していないのではないかということを私は感ずるのです。この点についてあなたが今おつしやつたのは、どういう基本的な方針で、どういう骨子を盛りこんだものを、この調査会にかけようとしておられるのか、この点を承わつておきたいし、そういうこの法案について紛糾を来した地方制度調査会との関係について、そういうことでいいのかどうかお伺いしておきたい。
  257. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 地方制度調査会におきましては、勿論税制以外のこともいろいろ考えられるわけでございますが、少くとも税制の問題につきましては、地方制度調査会において御検討を願わなければいけない問題ではないかと思います。その骨子はどうであるかというようなお話でございますが、これは私の所管でございませんので、申上げることができないのでございます。
  258. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あと一分ですか。
  259. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) あと一分です。
  260. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 じやお尋ねいたします。文部大臣都道府県教育委員会を指揮監督する、都道府県教育委員会は市町村教育委員会を指揮監督する、或いは市町村教育委員会は校長の任命のときに、県の意見を聞くと、こういう改正が行われているわけですが、これはとりもなおさず、昨年全国一万有余の地方公共団体にすべて教育委員会を設けた、その設置単位が妥当でなかつたということを裏書きしているものと思うがどうか。  次にお伺いする点は市町村教育委員会が教育長を任命するにあたつては自由にできるが、都道府県教育委員会が教育長を任命する場合に、文部大臣の意見を聞かなければならない、これはどういうわけか。  それから次にお伺いする点は、国家公務員であるところの教職員を任命するにあたつて教育委員会は市町村長と協議しなければならない理由はどうか。これは法制局長官並びに人事官の答弁を求めておるわけですが、国家公務員の任命に市町村長が関与するというようなことがあり得るのかどうか。  更に文部大臣にお伺いする点は、それを裏返すと、やはり地方自治体の重要な任務である教育行政を考えるというと、その市町村が設置、或いは管理しているところの学校に勤めているところの教職員はやはり地方公務員でなければいけないのだなということを裏書していることではないか。  もう一つお伺いいたしたい点は、文部大臣衆議院において、教職員国家公務員にしたことは、これは政治活動の制限などは少しも考えた問題ではないということを言明されております。大臣も御承知と思いますが、世界で教職員国家公務員である国はフランスだけ。而もフランスは給与全額国庫負担しながらも、而も政治活動は自由です。政治活動を禁止されているのは西ドイツと、アメリカの極く一部にあるだけです。衆議院においては、基本人権として政治活動の必要性を文相発言されているようですが、文相衆議院における答弁を真意とするならば、即ち国家公務員にしたことは、政治活動を制限するというようなことを少しも考えてやつたのじやない、これを真意とするならば、世界の先進国の例に倣つて教職員国家公務員となつた問題においても、その教職員の政治活動は自由である、こういうふうに新たに法の改正、或いは立法化する意思があられるだろうと思うのですが、その点お伺いいたします。以上。
  261. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 地方教育委員会ができましてから、地方に民意に副うた教育ができる、又そういう意味におきまして地方教育委員会というものを今後育成して行かなきやならんと、こう私は考えております。  それからいろいろ教員を任命します上におきまして、あちらこちらと相談し合わなきやならん、これは私は地方公共団体というものが、一つの一単位をなしている以上、やはりお互いに相談し合つてやつたほうが私はいいことだと、こう思います。  それから市町村長がこれに相談にする、協議するとかいうこは、これは法制局でよく調べたことでも、一向差支えないことだということであります。それから政治活動のことにつきましては、ちよつとそれは私速記録を持つておりませんが、私の真意といたしましては、国家公務員にすることのほうが身分的にも安心だし又待遇なんかもちやんと安定して来るということが一番の狙いでございまして、そうしてその意味におきまして国家公務員にしたので、その結果、出て来る政治活動の制限ということは、これは国立等の小学校教員でもやはりその通りにやつておるのですから、何ら世間的に、要らんことだ、邪魔になることではない、こう考えまして、私はそれは副次的の効果だと思つております。   (「議事進行」と呼ぶ者あり)
  262. 岩間正男

    ○岩間正男君 本法案関連した予算審議に当つて、税制改革による国家財政地方財政のこの調整の問題は、非常に重要だと思う。単独にこの法案だけをこれは切離して審議することはできないと思う。それだけの重要性を持つているわけだ、財政的に見ましても……。そういう点から、これに対して、先へ原案程度のものでもこの委員会に示される、こういうことは非常に重要だと思うのです。そうでないというと、この法案だけを先に行つて抜き出して、取上げて見ても十分ということはできないわけです。責任も持てないわけです。従つてこれに対して、政府側にそういうような資料提出を要求し、又この問題を理事会において諮つて頂きたいと思います。それだけの重大性を私は持つていると思います。この点は諮つて頂きたいと思います。
  263. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 承知いたしました。堀越君。
  264. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、答弁ないですよ。今の質問に対しての答弁……。(岩間正男君「非常に重要です」と述ぶ)
  265. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の申しましたのに答弁がない。文部大臣都道府県……、地方教育委員会を指揮監督しなければならない理由、今までそんなことはなかつた。それから教育長の任命に当つて文部大臣の意見を聞かなければならない理由……。
  266. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) これは国が義務教育というものの最終的責任者である、その意味においてやつて行こう、そう思つております。(矢嶋三義君「それはいつからなつたのですか」と述ぶ)
  267. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 堀越君。
  268. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 それでは私から質問いたします。文部大臣質問いたしますことと関連いたしまして、今朝から問題になりました財政の問題について、これは重大なことでありますから、政府の所信を私は質しておきたいと思います。  第十三国会で成立いたしました義務教育国庫負担法、この場合の政令というものは、そう簡単に出されては困るのであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)それを矢嶋君の質問に答えて、文部省が如何にも怠つておるように、おじおじとした答弁をし、今すぐにも準備するような答弁をしておられることは、私甚だ奇怪至極だと思うのです。あの立法の趣旨を、目的をよくお考えにならなければいけない。衆議院から回付されましたときには、あの最高額は政令で定めることができるとしてある。それを参議院においては、特別なる事情のある場合にという制限を加えたのであります。伝家の宝刀であります。あの最高限を軽々に政令で定められてはならないのであります。むしろ文部省が出さないように努力すべきものであり、出すように要求するのは大蔵省である。あの法律の解釈をそう簡単に変えられちや困るのであります。それをあの答弁に、不用意であるか、あの法律を無視しておられるのか、法律を御覧になつておられないのか。文部大臣は御存じないと思うから、事務当局からこれはよくお聞きしたい。補佐をされる事務当局はどう考えておられるか。文部大臣は御存じなくても、これはよいと思う。あの政令をそんな簡単に今すぐにでも準備するような、そんな考えでするようなことに、我々はあの法律を修正したのではないのであります。私が修正の提案をし、文部委員の協賛を得て修正したのであります。それをそんなに簡単に今すぐにでも準備するようにお考えになつておる文部当局というものは、どう法律を解釈しておられるか、重大な問題でありますから、文部大臣よくお聞きになつて事務当局に答弁さして下さい。あなたは答弁なさらなくてもよい。事務当局に答弁さして下さい。
  269. 田中義男

    政府委員田中義男君) 今朝あの国庫負担法の第二条の但書によります政令を用意しないことを、非常に責任怠慢であるがごとき御質問に接しまして、(「その通り」と呼ぶ者あり)その御質問に応じまして、用意はいたしておりません、こういうお答えを申上げたのでございまして、ただ法律も四月一日から施行いたすことになつておりますので、必要ならばその四月一日施行に間に合うように準備をいたします。かようにお答えをいたしたのでございまして、ただこの但書の最高限を定めることができるという、この但書のできましたゆえんにつきましては、只今お話の通りでございまして、特に特別な事情があつて、各府県間の著しい均衡を失しますとか、或いは又他の職域のものとの関連において著しい又不均衡を来しておるというような特別の場合において、最高限を定めることができる、こういうために特に定められたものなのでございまして、従つて法律施行するために、必ずこれを制定しなければならん政令という意味ではございません。その意味は但書の言葉自体にもさように現れておるのでございまして、文字通り定めることができると、こうなつておるのでございまして、この点についての解釈は私どもも決して誤つておまりせんし、それ故に只今までも十分な用意も具体的に整えておるわけでないのでございます。
  270. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 それでは文部当局の解釈はわかりましたが、あれは伝家の宝刀なんでありますから、万一あの法律施行されるような事態に立至つた場合、そう軽々に考えてもらつては困るのでありますから、文部大臣この点よくお考え置き願いたいと思います。  それからこの職員法が出まするについての経緯、これは大蔵大臣にお聞きしたいと思うのであります。十三国会義務教育負担法が通りまして、支出する半額というものは国が負担する、これは非常な輿論の賛成も得、公共団体は皆非常に期待しておるのであります。ところが突如として当然この四月一日から実施されなければならないこの法律が、大蔵省のほうから、財政措置の問題から一年延期されることになり、その結果、この法律になつて現れて来たということを聞いておるのであります。なぜその財政措置ができないのか。勿論衆議院からこの法律が回付されましたときには、施行の期日は政令で定めるという、いわゆる空手形のようなものであつたのであります。それを参議院において昭和二十八年四月一日から実施するというようにこれを修正した。その修正する場合には、前の池田大蔵大臣了解も得て、はつきりこれは修正したのであります。大蔵大臣が代られたからといつて、そう簡単にこれは意見を異にされては困ると思うのであります。世間が期待し、地方公共団体が非常に希望しておりまするこの案を、そう簡単に変えられては困るのでありますから、なぜ大蔵大臣が、大蔵省が一年延期しなければならんようになつたか。それを財政措置で困ると、国民が納得行くように、地方公共団体が肯けるように、私は答弁して頂いて、一般の者に知らしてもらいたいと思うのです。
  271. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) お答えいたします。予算編成の途次にはいろいろございましたが、結局閣議において、全額国庫負担と申しますか、今の教育職員法案というものになりましたわけであります。
  272. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 大蔵省のほうから一年延期を出されたのはどういうわけなのですか。財政措置で当然できないものであるならば、この法案をのまなければならないとまで考えたのであります、そう簡単に、閣議でそうきまつたというふうに答弁されて、我々は納得行かないのであります。これは判断がどうしてもできないのだ、財政措置が講じられないということなら、これが公共団体なり、一般のものに納得できれば、無理な法案であつてものむとまで考えていたのでありますが、又考えているのであります。ただ閣議でこういうふうになつたというような、そんな表面の答弁では、我々は満足できないのであります。我々の態度を決定する重大な問題であると私は思います。本当のところを御答弁願いたいと思います。
  273. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 予算を編成いたしまする途次におきましては、いろいろな予算編成財政の問題からいろいろなことが考えられることは事実でございます。従いまして義務教育費国庫半額負担の問題につきましても、いろいろ税制改正等との面から案が出たのでございますが、結局結論におきましては、税制改正等との関連もございますが、定員定額で二十八年度は暫定的に全額負担するというようなことに閣議においてきまつた次第であります。
  274. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 その問題はすでに負担法のときに議論が出ていたわけでありまして、十分に論議を重ねた際に、地方自治庁長官から意見を求めて十分論議を尽したのであります。その答弁に私は満足しかねるのでありますが、今日私一人で時間をとつてはいけませんから、文部大臣にもう一点だけ伺いたい。あと残る点は委員会で承わることにいたしたいと思います。  私の一番憂えますのは、教育というものは国家地方とが協力してやらなければならない。国だけでやろうと思つても、これはできないのであります。ところが知事会議は非常な反論を起しております。それは一つの例を申しましよう。たくさんの決議なり質問事項を出しておりまするが、一つの重要なことを一つ申上げましよう。その知事会議の決議は、国庫交付金を超える実所要額に対しては、政府昭和二十八年度地方財政計画につき見込まれておらないので、この負担は当然府県において責任を持つことができない、こういう問題が残されておるのであります。国家公務員であるならば、地方は構うことは要らないという気分が濃厚であります。これは私が非常に憂える問題であります。すでに大阪においても、助成金等その他いろいろの面倒を見ていたものがはずされている。奈良県においても、僻陬地手当というものを、これも今度の予算から削られている。これは非常に由々しい問題であろうと思います。更に予算委員会において配られた文部省からの資料によりましても、その点ははつきりしているのであります。時間の都合上、この数字を申上げては遅くなりますからやめまするが、ただ私の根本観念としては、協力してやるべき府県が、国家公務員になつたために、地方が非常に水臭い考えを持つて教員に対して、或いは教育の問題に対して冷淡になるという虞れがあるのであります。この知事会議の決議に対してどういうふうに政府は善処されるのか、確信を持つておられる点を明らかにして頂きたい。この一点だけにとどめて、あとは文部委員会に譲ることにいたします。
  275. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。知事会議で、国家公務員になつたらどうも他人のようで水臭くて協力が鈍るのではないかというような気分が起きますのは、これは至極御尤もだと思いますけれども、そこで国の使命といたしまして、まあ地方の事務といたしまして地方の住民に関するだけの事務でございますと、これは都道府県、市町村が自分自身の自主的立場で全部やつて行くべきはずのものでございますけれども、義務教育というものは、憲法とか教育基本法とか学校教育法とかを読んでみましても、やはり住民であると同時に国民であるような教育になつて行かなければならない。又義務教育は国が負担しておるものであるから、国がやはり或る程度責任を明らかにして問題を処理して行かなければならんと考えますので、今回国家公務員にいたしましたのでございますが、御承知通りに五十万以上おりますところの教員を、それを一々文部大臣の自分の幕下の官吏であるかのごとき待遇はしないことにいたしまして、地方分権の趣旨に合いまして、地方のかたがたに法律委任をして、これを運営して頂くということにしておりますから、この点において根本最終的の責任国家にあるから、最終的の任免権は文部大臣が握るということに法律上は建前になつておりますけれども、この本当の運営はやはり地方教育委員会なりそういう方面でやつて行くということになつております。それでまあその点は、よく一つ今度知事なんかに会いまして御了解を得たいと思つておりますが、それから二十八年度でこういうことをしたら、あとのいわゆる今で申しますと、三百四十九円の差額とか何とかというものは負担ができないのだというような、こういうようなことがときどき漏れるのでありますが、ところがそれならば只今地方財政の建前といたしまして、千七百二十億円差上げて、そうしてやはり三百四十九円低い率で換算して、平衡交付金を差上げておるのですから、あとは三百四十九円は地方負担で今までやつていらつしやつたんだ、だから二十八年度においてそれができないということは、私としては実はちよつとおかしいと考えるのです。と申しますことは、これは、もう御承知のことと思いますけれども、地方財政と申しますものは、貧弱県に行きますと、これは適用ができないかも知れませんが、富裕県のまあ普通の地方公共団体でございますと、基準財政需要額というものが或る程度のエツクスが出ます。そうしますとそれに対する財政措置はどうしてしますかというと、地方の税収の七〇%を先ず当て込みまして、そうしてあとは国庫負担金とか補助金とかというものを合せ、それでもまだ足りないところを平衡交付金で平衡して行きます。そうしますと地方の公共団体は税収の三割というものがあと自由に使えるし、残つておるわけでございますから、恐らく今まで三百四十九円が何のこともなしにともかく払われておつたということが、その三割の余裕の中から払つてつて下すつたのだと私は思います。でございますから、二十八年度の地方財政計画というものは、一応自治庁で計算いたしまして、千七百二十億でバランスがとれておるということになりますれば、これはたとえ我々が積算基礎といたしましても、定員定額で勘定した交付金を交付しましても、これは平衡交付金で勘定した積算基礎と同じものでやつておるんでありますから、あとは負担ができるものと私は考えております。ただ国家公務員にするのだからそんなものは持たんのだという仰せがあれば、これは困るけれども、これは一つ今までもやつておりますし、二十八年度の財政計画もそういうことでできておる次第でありますから、これは負担して頂いて地方に御迷惑はかけないと私は考えております。それ以外の地方財政のことにつきましては本多長官から詳しく申上げますけれども、私自身の考えとしては、そういうふうに二十八年度に関する限りは、只今程度地方に御負担はかけないというように考えております。
  276. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 僕は終りますけれども、この点について地方自治庁長官答弁も得たいと思います
  277. 相馬助治

    相馬助治君 私、予定していた質問があるのですが、今文相に先ず予定質問の前にお聞きしなければならないのは、今の堀越委員質問に答えて、今までも三百四十九円高い部分を支障なく地方で賄つていてくれた。従つて定員定額で国から金をやつても、地方財政を新たに圧迫することなく措置されるであろう。こういうことをおつしやつた。そのように措置される府県もありましよう。併し問題は、お聞きしなければならないのは、実を言えば自由党の議員提案になり、議院において緑風会の諸君が修正した半額国庫負担法というのは、実にあれは名案であります。どの点が名案であつたかというと、国で出す分の足らないところは法的に地方公共団体が財政支出責任を負つているということで、最終的にはきめ手があるというのでこれは名案である。ところが今度の法律は、国の税金で以て全額給与に関する限りは見るという建前になつているだけに、足らないものが支給された場合に、府県知事としてはこの財政支出の最終的な法的責任がない。そういたしますると、善意の意思を持つているといないとにかかわらず、法の命ずるところに従つて、一体その足らない分は誰が見るのか、こういうデリケートな問題が当然予想されると思うのです。そこでお尋ねするのですが、そういう場合に足らない分を、国と地方財政で話合がつけばよろしい、つかない場合には一体どういうふうになつて来るのか。即ち現実には首切りをするか乃至は給与の切下げをするほか手がないのじやないかと思うのでありますが、文相はこれに対してどういうふうに考えられるか法的立場から説明を願います。
  278. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) この点につきまして、御承知通りに、今回この法律で、現員現給で国家公務員に横すべりするということが書いてございますから、若し都道府県のほうで現員及び現給でやらなかつた場合には、私はこの法律に対して違反、違反と言つちやおかしいがこの法律に従わんということになりましよう。そこに問題があると思います。
  279. 相馬助治

    相馬助治君 それはね、昭和二十八年度は問題ありません。それは文相の見解の通りです。こういう経過措置をこの法律は規定しておりまするから、地方公共団体に対して財政措置を命ずる拘束力を持つております。問題は二十九年以降なんです。二十九年度以降においてそのような事態が起きたときにはどうするのだ、こういうことなんです。そのときにあなたは日本の文教の司として、現員現給で組むのだ、誠にその意気や壮であり、その言葉を実行に移されるでありましようが、財政支出の当面の責任者であるところの大蔵大臣並びに内閣総理大臣は、現実の問題としては財政規模の制約上、文相趣旨を聞きたいけれども、ない袖は振れんというわけで、言うことの聞けないことのあり得ることを予言しておられる。そういう不幸なる事態になつたときに、法律の建前では、最終的に、差額の財政支出責任者が不明確であつて、而も国から来た金が現員現給でなかつたという場合に起きる問題を尋ねているのです。而もです、堀越さんの質問文相は意識的に逃げたのかどうか知りませんが、堀越さんの言つていることを私はもう一回繰返しますと、文相教職員の生活を守りその身分を確保するために本法案を提案したと言つておりますが、現に地方ではどういう状態が起きていますか。今度は教職員国家公務員になるのだからと言つて、今まで貸付けていた結婚資金を今回の県予算から削る、病院をですね、県の予算において教職員の結核のためにベツトを殖やすという支出をしていた継続事業もやめる、旅費も又うちうちに予算を作つておいて、必要の場合には補正する、こういう状態が起きている。平生は猫のごとき教員が今回はストライキをやらなければならないというまでに追い詰められて来ている。この現実に目を被うことは、私は良識ある文相としてはできないと思う。従いまして私どもは不幸なる話ばかりするようだけれども、不幸にして首切りが行われるというようなそういう状態に財政的な面から追込まれたときには一体どういうふうにしてくれるのだ、こういうことをお尋ねしているのです。
  280. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。第一の二十九年度に首切りが行われるとか若しくは減給が行われるじやないか、そういう心配もあるじやないかと、こういうお話でございますが、私はまあ教育のことばかりに没頭しまして、或いは私の申上げることがほかの閣僚に聞いて頂けないというようなことを御心配下さるのかと思いますが、併し私といたしましては教育が一番大事である、而も義務教育というものはその中でも最も大事なものである、而も国家を再建して行くにはやはりこれを充実して行かなければならないということは、これは総理を初めとして各閣僚が意見が一致してそういう総理の演説にもなつておる次第であります。恐らく私が考えておる通り二十八年度現員現給で横すべりしましたこの教員は、二十九年度にも又してくれる、又させてくれなければならんと考えております。  それから只今初めて伺つたことでございますが、国家公務員にするから地方でいろいろ教員のためにしてやろうと思つた福利施設なんかというものをよしておるということを聞きまして、実は私は只今非常に残念に思つております。国家公務員であろうが地方公務員であろうが、これは結局問題は日本の国家の又地方の自治団体の奉仕者でありまして、それが住民の自分たちの子弟をとにかく教えて下さつていらつしやるところの学校の先生に対して、国家公務員になつたからといつて、そういうようなえこひいきと申しますか水くさい態度をとることは私は日本の人間の考え方としては子がかあいければそういうことはないと思います。併し私は実情はよく存じませんからよく研究いたしましてそれに善処することにいたします。
  281. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して。岡野文部大臣、それから向井大蔵大臣自治庁長官はおられませんが、その三人に質問いたします。今のに関連いたしますが、教職員給与は昨年において三百四十九円高かつた。ベース上げ後において七百九十四円高い。ところがこれは二十八年度予算単価の中には入れられておりません。併しながら大臣が繰返して答弁されるように現員現給で切換える、そうして附則第十一項で「昭和二十八年度に限り、都道府県負担する。」と義務付けてある。これを都道府県知事がやらない場合は法律に違反するのだということを大臣発言されているわけで、そうなりますと、従来都道府県給与支払として義務付けていなかつた三百四十九円、べース上げしての七百九十四円、それを今度は支払わなければならないように義務付けているわけですね。そうなりますと、当然これは地方財政法の十三条から見て新たな義務を課したのだから当然国家としては財政措置をしなければならない。然るにその財政措置がされていない。これに対して三大臣はどういうふうにお考えになるか答弁を伺いたい。
  282. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。新たに義務付けたと申しますよりは今まで通りにやつてくれるということを予定しまして交付金にしたわけです。それで交付金をこれだけやるから現員現給でやつてくれ、その現員現給というものは事実上今まで通りにやつて行くことをいうのであり、二十八年度の財政計画もそうなつておるから、それをやつてくれないとは言えないと、こう私は思います。
  283. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 法律で規定されておりませんよ。法律でやらなくてはならないように法律では特別に規定されておりません。今度はちやんと附則第十一項で制約されているじやありませんか。大蔵大臣はどういう見解ですか、文部大臣と同じだというのではわかりませんよ。
  284. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 従来地方職員給与はおのおの条例で定つておつたわけであります、三百四十九円高いという問題につきましては、それは従来の地方財政の中から出しておられたわけなんです。その現状をそのままで承認するという建前の現員現給であろうと思いますが、地方財政法う問題には触れないと考えております。
  285. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して。
  286. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 小笠原君簡単に願いますよ。
  287. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今のお話でございまするが、聞くところによると千百五十五億の財政計画のうち共済組合のものを除いた千百二十四億、これは先ほどお話ししました三百四十九円という差額の給与分は入つておらない。それを入れますと、千二百十億くらいになるという算定を文部省でしたということであります。又今日まで過去二、三年間というものを、給与負担する都道府県知事なりその他においては、この差額分のそれが平衡交付金の算定の中にも見られない、地方財政は破綻を来たすということで国会或いは政府にあらゆる陳情をして来た問題であります。然るに只今文部大臣の御答弁によりますと、その分も現員現給としてやるということで地方負担してくれるだろう、又従来も見ておつたのだから見てもらえるだろう、こういうことでございまするが、平衡交付金自体においても地方要望は強い。そういう中にこの財政需要千百二十四億というものをきめて国はその差額は見ない、地方が見るのだ、こういうことは私は全くこの法の建前から言つてけしからんことだと考えるわけなんですが、その点について文部大臣には特にお尋ねしなければならん点がある。又文部大臣お忘れになつていると思うから申上げますが、昨年衆議院文部委員会において、私は文部省が出している半額国庫負担法というものに反対しますものは、地方の立場に立つてこれでやりますと、国が半分給与負担するという場合には地方は国の半分の分を持つほかに、あの当時においては三百四十九円という差額の部分を地方が持たなければならないという結果になるので、これは地方財政の確立上由々しき問題であるからこういう法案に私は反対するのである、こういうことを言つておる。それと同様に、これは全額になりましても二十八年度は地方持出し分が確実にあることは明らかである。それでもなお且つ今度の場合は財源は地方に見てもらえるだろう、了解が願えるだろうと言つておる。私はこの点についてお尋ねしたいことは、自治庁長官がおられるならば、少くとも只今国会に出しておる平衡交付金法の一部を改正する法案については、教員給については一切それは基準財政需要額の中にも見ておらないものだ。それをただ単に文部省が言うように、巷間伝えられるように基準財政収入額は税収の七〇%を見ておるのだから、残り分があるので賄つてもらえるだろうなどと言うが、実際の地方財政状況というものは全部まるまる使つておるというのが現状で、地方都道府県があらゆる財政の破綻ということで陳情しておるのだ。そんならばこの法律の精神から言つて、昨年までのあなたが自治庁長官として地方財政のために働いて来られた精神を一貫すれば、地方が持つてくれるだろうというようなことでは済まないと思う。この点について心境に著しい変化を来たしてしまつたのかどうか、お伺いしたい。
  288. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) これは二つに事を分けて一つお聞きとりを願いたいと思います。即ち三百四十九円高く地方負担させることはかあいそうだという意味のことは、これは私もその通りだと思います。であればこそ只今現員現給でそれを公式に認めよう、今まで国家が認めておりますときには只今交付いたしますところのいわゆる定員定額で交付するということでございます。これは過渡的でございますからいたし方ございません。そこで二十九年度からはあなたのおつしやつたように三百四十九円高いというものを今年現員現給でもう国家が認めてしまつておるのですから、このままで私が昨年主張いたしたと同じような結果になるのでございます。ただ今年の経過措置といたしまして、それじや三百四十九円を見てもらうんだと、それはあまり話が悪いじやないかと、こう仰せになりますけれども、千七百二十億の平衡交付金を以て地方財政計画とゆうものは、これははつきりとできることに自治庁で計算を立てておるわけでございます、地方財政計画を。そういたしますと、若しこの法案通りませんことを考えますと、それはどこから出て来るかということに疑問が出て来るわけです。併しそれは何年かの間ずつとそうなつて来ておつて国家が出します平衡交付金の算出の基礎というものは三百四十九円低くしているので、今までは三百四十九円高く払つておつた。同時に二十八年度の予算といたしましても自治庁の計算といたしまして、三百四十九円がとにかく高いことがきまつておりながら、平衡交付金の算出基礎というものはやはり低いもので出しておりますから、経過措置のところで即ち二十八年度の予算地方財政計画と申しますものが厳然としております以上、今回の経過措置によつて何も迷惑はかからない。同時に地方において出しておるところのその余分は、二十九年度からは国家が出すと、こういうことにしたわけです。
  289. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 昨年までの心境と違つて来ておるから、その心境を聞いておるのです。去年の考えでは反対しておるじやないか。
  290. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 義務教育職員給与につきまして、只今文部大臣の御説明によりますと、二十八年度においては一人当り三百四十九円がベースよりか高い。そうしてその金額は約五十億くらいになるということでございますが、それは今まで府県で支弁して頂いたんだから、それも今度はその分はやはり支弁してもらえるだろうという御意向を持つておられるように伺つたのでございますが、その点につきましては先般衆議院におきます予算委員会でしたか、文部省政府委員答弁とは食い違つておるのでございます。政府委員答弁では、定員は五十三万人あるのだ、そうしてその定員定額を出すなら実員は二万人欠員になつておる、丁度二万人の分は五十億くらいになつておりますが、それで二十八年度はベースとしては国立の学校の先生方のベースと同じものを計上はしたんだけれども、それより高いものは欠員で賄つて行くのだというような説明をしていられたようでございます。今日の職員法におきましても定員定額の問題が大分論議されて来たのでありますが、定員につきましては五十人に一人とか四十五人に一人とかということで従来一応文部省でもいろいろ論議があつたのであります。五十三万人か五十五万人いるのかは私はわからないのでございますが、そこで私どもは二十八年度から二十九年度にかけて問題が残されると思うのでございます。二十八年度においては横すべりで現在のままで行くのだ、今のお話では三百四十九円の分は府県がまあ今まで通り負担して頂けるかも知れないが、府県が負担しなくても欠員の中で賄つて行くのだということを政府委員ははつきり言うておるのでございます。ところで現在の予算に計上してあります義務教育職員給与は、これは国立学校の小学校、中学校の先生と同じベースです。文部大臣はよく言われておりますが、どんな山の中の先生でも都会に住んでおる先生方と同じような給与を与えている、そうして職務に専念してもらうことが教育の水準の向上になるんだということを言われておりますが、国立学校の中学校、小学校の先生は、これは二千五百人しかいないんだ、そうしてその方々は皆資格のある先生方だと思うのでございます。当然に私は給与についても相当上廻つた給与を持つておると存じます。その本俸の平均は一万二千円になつておる、それと同じ本俸を義務教育職員給与には計上した、一般の公務員の給与の中の本俸は一万円なんであります……、一万円以下です、九千九百円であります。本俸について一般の公務員よりか二割ぐらい高く計上して、私は計上したことがいけないというのじやない、もつと出したらいいだろう、その上に府県ではこれは教育委員会で従来は給与決定はしていたのでございますが、各府県によつて、公立学校に準じて決定することになつているので、各府県ごとに大分違つた給与をやつているのじやないか。殊に国立学校の二千五百人の先生方は皆有資格者だと私は思つている。五十三万人の義務教育職員の中には九万人ぐらいの無資格者がある。文部大臣義務教育職員に地位と待遇を保障すれば教育水準が向上するんだと、もつぱら地位と待遇のことを考えてそうしてそのためにも国家公務員にすれば地位と待遇が保障できるというようなお話をしていられたのでありますが、量の確保の問題と比較して質の向上ということについては文部省は何ら考えていないと思う。今後国家公務員になりますと職級に格付をされなければいかん場合に、無資格の教職員の方々は、これは今後職階制によつて国家公務員としての職級の格付がされるんだが、その準備はできていないわけです。そうしてそれは県教育委員会ごとに従来はやつていたので非常にまちまちだと思うのです。それを今度は職階制の格付は国家公務員法の三十一条の適用を外して文部大臣が直接やる、そうして任免権についても給与決定権についても、文部大臣教育委員会を指揮監督するが、その任免権、給与決定権は今まで通り教育委員会に委任するんだ、最終の監督権は文部大臣にあるんだ。先ほどお話がありましたが、五十三万人の教職員を一人々々監督することはできないから、今まで通り教育委員会にやらせているが、最終の監督をしてそうしてその責任を持つんだと……
  291. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 溝口君簡単に願います。
  292. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 簡単にいたしますが、根本の問題があるので、先ほどつたのは非常に私はわからない点があるので伺つておるのであります。今まできめたその給与を今年はそのまま行くが、来年は文部大臣のお話ではできるだけこれを首切りもせずに現在支給されている給与を上げるということになりますと、今年の九百一億のほかに百億以上は必ず入れないと、これは来年になつてから混乱するのじやないかと私は思うのでございますが、先ほどの御説明で府県に持つてもらうのだ、欠員の間で賄うのだということから、私は定員の問題も、これも先ほど堀越委員からもお話がありまして、職員法になつた経過の質問があつたのでございますが、私も疑問に思つている。定員一つもきめていない。そうしてそういうものについては政令できめるのだ。その政令先ほど政府委員の説明ではまだ用意してないのだ。根本の問題で国家公務員法の根本原則というものがあるのでございますが、御承知だと思いますが、それは任用の原則と職階制の原則給与の請求の原則、その原則をすべてを政令に任せてしまつて原則を守らないようなことは、そういうものは全部あと廻しにしてただ国家公務員という名前にして職員法をきめたということは非常に私は疑問に思うのでございますが、やるのならば四月一日からきつちり職級の格付をやつてそうしてそれに基く給与を出すのだということをしないと、全然国家公務員法の根本原則を守つてないようなことになる。それを二十九年度からは守るんだということになると、今のきめました九百一億のほかに実際上現在不足している分が百億くらいはどうしても要るんだということになりますが、それについての文部大臣の御意見をお伺いいたしたいと存じます。
  293. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。この前に事務当局から五十一万の実員に対して五十三万の定員があるからというようなことを申上げたそうでございますが、これは恐らくこういう意味であろうと存じます。現員現給でそのまま引継いでやつて頂く、併しながら文部省義務教育の全国的の完全な職員配置をするのには或いは足りんところもあるかも知れん、又いろいろ病気で休んでいる人もあるかも知れん、そういうようなことがありますれば、そういう点ににつきましては約二万人近くの余分の勘定が出て来ますから、それで補いがつけて行ける、だから現員現給でやつて頂いて、なおその上に必要とあらば十分なる措置ができると、こういう意味で申上げたのだろうと思います。  それから只今お説の国立学校教員とそれから地方教員とにはいろいろの資格の差があるのでございましよう。その点におきましては文部省といたしまして研修をするとか何とかいたしまして、できるだけ教員の資質の向上をほかの方面で図つております。図つておりますが急にも行きません。教員給与がこれはその級とか号俸とかいうものがございますので、それで大体そのまま現状でやつて行きたいと思いますが、実際のところを申しますと急に只今そういうことの計画を空に立てますと、却つてむしろ不公平若しくは不自然、不完全が出て来るかと思いますから、とにかく至急に実態調査をいたしまして実情に合つて一番いい方法に教員の配置とか何とかいうものを考えたいと思つております。私細かいことよく存じませんから、政府委員から補足して説明さして頂きます。
  294. 田中義男

    政府委員田中義男君) 私が衆議院予算委員会におきまして答弁申上げましたことの引用がございましたが、只今大臣から答えられたようなことでございまして、私が申しましたのは、予算積算基礎として或いは算定基準として従来財政計画の上において或る一定の基準を以て年々教員の一定の数を算出いたしておるのでございまして、これは定員法にいう定員では決してございません。単に積算基礎に過ぎません。その数字は実は各府県で定められておりますその定員に比しますと、実際が教職員約五十一万になり、国で定めましたその得ましたところの数字は約五十三万になりますので、二万ばかりの余裕がございますから、従つて頭数において決して不足はいたしませんので、首切りというようなことが起るはずはないと、なおその頭数に伴いましてやはり予算も計上いたしますので、従つてそれだけの余裕分は不足分に廻すことができると、かように申したのでございます。それだけで全部が足りると、かように申したつもりではないのでございます。若しそれで足りますなら地方負担云々という問題は全然起らんはずでございまして、根本から初めの建前が変つて来るはずでございまして、さように申上げたつもりではなかつたのでございます。  それから教員の国立学校との均衡については只今もお答えがございましたから、私から特に申上げることはございませんが、いろいろ質の向上等につきましても、御承知のように認定講習等を開きまして、そのことには相当努めて参つておるのでございます。従つて有資格者の数の増員は最近それぞれ著しいものがございまして、充実の一遂にあるわけでございまして、なお格付の問題でございますが、これはまだ実は教員にはそれぞれ適用されておりません。ただ今回の法案におきましては一応職階制をとる場合にその格付は文部大臣云々としておりますけれども、それもこれを都道府県教育委員会に委任をするというような規定にいたしておりますが、実施はまだ見てお示のわけでございまして、従つて御指らんありましたような質的な向上その他につきましても十分考慮は払つておるつもりなのでございます。
  295. 相馬助治

    相馬助治君 このような重要な法案国会審議しているこの裏に、現実に教育界にはいろいろな不祥な事件が起きております。そこで私はこれに連関して一点私立大学の入学にからむ金品贈与の問題について文部大臣の見解を質します。  現在私立大学の入学試験が行われておりまするが、これにはその問題に介在して教師が賄賂のようなものをとるというようなことが仮に世上うわさされる通りにあるとしたならば大問題でありまするが、併しそれはこの国会のこの場所で議論の対象にする問題ではないし、具体的な実例を反問されたならば私としても困るので、この問題について言うのではありません。私が聞くのは、現実の問題として何かと申しますると、医科大学において起きた実例を私は一点申上げたい。医科大学に或る生徒がはいりたいというのでその学校に尋ねたところが、或る程度の頭があればそれでもうはいる資格はある、併し国で費用を見てくれない、医科大学で金がかかる、従つて寄附金をもらいたい、寄附金を出すということが入学試験の一科目である。幾ら出せば入れてやるかということは他の振合いがあるから未だ言明できない。高いほうから入れるつもりである、こういう責任ある者がそういうことを申しておるのであります。私は今回の予算においても、岡野文相は大蔵省その他が相当わからないことを言つたという話も聞いておりまするが、その中で十億私学振興会のため支出するということにしたということについては一応私は敬意を表しております。国でたとえ僅かなりといえども十億も私学振興会に出して、少しずつでも私学振興の問題を解結して行こうという矢先に、こういう不祥事か現に行われておる。その者は卒業すると人の体を取扱う重要な任務に就く。こういうような実例について大臣は知つているかどうか。これは突然の質問でなくて、私は管理局長に伺つて予告をしておいたはずです。こういう実例を知つているかどうか。仮に知つているとするならば、この合法的な寄附募集について、何らかの対応する措置を用意されているかどうか。一つ全国の同じ悩みを持つ親心を代表して私は答弁を要求します。
  296. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。そういう噂も伺つておるので甚だ遺憾な点だと思います。又私は私学振興のために予算を少し頂きましたということは、できるだけ私学はそういうことをしないでやつてつてもらいたいという意味も含まれておつたのでございます。事実をよく調べまして、今後そういうことのないように私は考えたいと思います。まあただ官立と違いまして、私学はやはり自分で経営をして行かなければならんのでありますから、或る程度の入学金とか何とかということは国立学校以上に高いということはこれはいたし方がないと思いますが、只今のようなお話は、私は何とかしなければならん、こう考えております。それには私学の経営をもう少しよくして、よくして行くのには、私学自体も十分なる経営の堅実化を図らなければなりませんし、又国といたしても面倒を見なければならん、こう考えております。
  297. 相馬助治

    相馬助治君 文部省の親心は別として、義務教育を振興させるために重要法案を提案しているというのに、現在忘れられた子供たちのあることに我々は目を覆うわけにはいかない。盲聾児の現在の就学は約二万二千人ですが、その就学率は僅かに四〇%に満たないと言われている。この問題については、盲聾学校職員給与の対象として本法案は規定しておりまするが、これは積極的にこういう忘れ去られようとしている子供については考慮されなくちやならんと思う。これについて何か文部大臣として見解があるかどうか。  ついでに私は、現在精神薄弱児の子供が大体文部省の統計によれば七十万数えられておる。都会においてはこれを救済する学級等がありますが、全国的な規模から見るとかかる救済学級というものは殆んど零にひとしい。これらの問題については文部大臣は何か考えられている点があるかどうか。あるとするならばその救済、具体的案を承わりたいと存じます。
  298. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。実は盲聾のほうも御説のように四〇%ぐらいしか学校に入つていないということも事実らしうございます。これはああいうような不具のかたで気の毒な人でございますから、できるだけ国がこれを、又そういう方面は家庭が概して豊かでないということも認めておりますので、今後十分この方面に措置して行きたい上思います。又精神薄弱児の問題につきましても、お説の通りでございます。ただ、私文部大臣になりましてから余りにも教育の制度が完備しておりながら十分なることができていないので、非常に遺憾と存じております。これから折角そういう方面に努力したいと考えております。
  299. 相馬助治

    相馬助治君 私は文相に最後の一点をお尋ねします。この法案が成立しようとは私は思いませんが、仮に成立した場合には、これは従前言われていた例の三本建の問題は一応この問題の対象からふつとんでしまうような、形式的には印象を受けます。併し問題は全然これは解消しないのです。一体この法律案が成立するとしないとにかかわらず、世上伝えるところ、新聞の伝えるところによれば、人事院は三本建をとらないと言い、文部省もとらないつもりだと言い、最近に至つて岡野文相総理に報告して三本建に行くつもりだと言い、どうもはつきりいたさないのでありますが、これを機会に文部省並びに人事院の世上伝えられる三本建について御意見を承わりたい。私はこの三本建なるものが成立するならば、根本的に日本の教育体系を潰すものであると存じますので、事極めて重大であると思うので御質問いたします。
  300. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。これにつきましては私が就任早々非常に失言だとか何とかお叱りをこうむりまして、実は恐縮しておる次第でございます。併し只今教員給与の建前はどうも私は余り完全なものではないとこう考えております。一例を挙げますれば、学歴とそれから勤務年数とを一緒にして昇給して行くとかいうことも一つの例でございます。私は根本的に教員給与のあり方を一つ検討し、同時に改善をして行きたいと思うのです。まあ今までは概して生活給というものを重んじて来たものでございますから、その点においてその職場の違い、又責任の違い、又研究の違いというようなことに対して、やはり能率給というものを重視するような給与体系にやつて行きたいということが私の考えであります。
  301. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 ちよつと関連いたしまして……、御承知のように日本の服装は戦前にまだ男女とも和服が相当多く用いられておりましたけれども、その頃はその和服を調製いたしますためにお裁縫の学校というのが全国に非常に多うございまして、和洋とか、実践学校、その他全国にこの種類の専門学校は非常にたくさんございました。ところが御承知通り戦後にはこの服装の革命と申しますか、和服は殆んどその姿をひそめております。男子の方々などは殆んどおもてで和服を召していらつしやるかたは見当らないくらいですが、婦人もよほどこの点変つて参つているのであります。この道に携わつているかたがたの非常な努力と工夫によりまして、終戦直後の日本婦人の服装に比べまして隔世の感があるように、非常に変つて来たことはお互いの認めるところだろうと思います。それに従いまして日本でも婦人の洋裁学校というのが次第に内容を充実いたしたものが殖えて参つたわけでございます。中には三億くらいの資本金を持ち、教員の数も二、三百、敷地も何千坪持つたなかなか内容のよいものもできております。そうして又この教員を養成する目的もでございますし、婦人の将来の職業のこともございまして、なかなか婦人の洋裁ということ非常に文部省としても御注意なさらなければならないところでございますのに、洋裁の全国の学校は非常に熱心に文部当局に運動いたしておりますのに、どうしても学校として認めてくれません。これは文部省余り頑迷でございますので、ここらあたりで一つ方針をお変えになりまして、内容の充実したものは学校としてお認めになるのでなければならんと思いますが、文部大臣如何でございますか。
  302. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。恐らく洋裁学校というのは私はわかりませんが、各種学校とかいう中に入つているのだろうと思います。これは素人のことで間違つているかも知れません。その各種学校はだんだんお説のように充実して来まして、教科内容なんかもよくなつて来たということになれば、当然私は普通の学校に入れるべきものだと思つて、私就任早早、洋裁学校なんかのことも学校といいながら何か差別待遇があるようなことを聞きまして内容を聞きただしたことがあるのです。ただ、こういう御質問を受けずにやつたものですから、詳しくは研究しておりませんけれども、お説のように立派な学校になり、教科内容がよくできて行けば、これはいわゆる各種学校から普通の学校の待遇に直すべきものだと私は思います。
  303. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 相馬君。
  304. 相馬助治

    相馬助治君 人事官の答弁がない……。
  305. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) いやあなたが済んでから人事官の……。
  306. 相馬助治

    相馬助治君 いや、私は三本建てについての文相並びに人事官の見解を問うたのです。ところが今深川先生の関連質問(笑声)があつたので……。
  307. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 了承しました。入江人事官。それからあなたに申上げますが、さつき矢嶋委員質問がありましたから併せて一つ……。
  308. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) お答え申上げます。教職員の俸給の問題につきましては、只今教職員のみならず国家公務員全体につきまして給与制度を合理化いたしますために給与準則を検討中でございます。近く勧告さして頂きたいと思つております。そのときに教育職員の俸給表の問題につきましても御覧に入れたいと存じております。  なお、先ほど矢嶋さんから国家公務員の人事につきまして地方団体が干与しておる例があるかどうか。なおそれについての人事院の見解はどうかという意味の御質問がございましたそうでございますが、極めてまあ全体的な一般的な例でございませんけれども、御存じの通り各府県或いは北海道に地方自治法の附則第八号の職員がおります。例えば北海道の開発関係でございますとか、或いは各府県の健康保険関係、或いは職業行政というような関係でございます。これらの職員につきましては、これらの職員地方組織の中におりまする関係上、国家公務員でございまするけれども、この人事につきましては主務大臣があらかじめ知事の意見を聞くというふうに施行規定できめられております。もとより国家公務員は一般的には各任命権者が人事を持つのでございますけれども、その置かれておりまする位置は地方の組織にあります場合に、こういう例外があつても止むを得ないのじやないかと思います。
  309. 相馬助治

    相馬助治君 私は田中局長に疑点を二点質して私の質問は全部終了いたします。定員定額にしても実員実額にしても、それはよろしいが、とにかくこの法案が成立した暁には、財政基準の算定の割出しについては、結核教員、産後休養教員、こういうものはどうするつもりであるか、これを聞きたい。  その次、文部省が好むと好まざるとにかかわらず国家公務員にしてしまつたら、教員の初任給の引下げは行われるのではないか、自動的に……。現在三百四十九円高い問題も問題ですが、大蔵当局に言わせれば、それは大丈夫だと言うし、我々には心配ですが、そこに問題があります。それは暫くおくとして初任給の場合には、明らかに引下げが現実に行われるのじやないか、少くとも二十九年度以降は……。この二点について明確に承わつておきたい。
  310. 田中義男

    政府委員田中義男君) 結核、産休等による休職者のかたがたでございますが、これは当局の問題としては、実は結核について特に実際の数には非常にパーセンテージにおいては足りませんけれども、一応御承知財政計画における基準においては一・三三というものを別個にされておるのでございまして、一・五、一・八に加えましてそれらの数によつて一応実際問題としては賄えておる見込みでございますし、なお又産休につきましてもやはり同じように、それらの基準によつた定数の中において賄つておるつもりなのでございまして、従つてこれをそのまま移行いたしまして、そうして国家公務員といたします場合にも、これらについてはやはり特別な措置を講じまして、そうして現実にそれらについての支障の起らないような措置は更に考えたいと思うのでございます。  それから初任給の問題でございましたが、初任給につきましては、実は直ちに来年度から、即ち二十八年四月一日から本法が施行されますれば、実は国のいわゆる給与法を適用されることになるのでございまして、従つてそれによらざるを得ない次第でございます。
  311. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の局長の答弁は重大だと思うのです。先ず第一点ですが、それは、あなたは産休或いは療養給付の休養者、こういう点は操作ができるとおつしやいましたが、これはいわゆる実員は約五十一万、それで予算定員が五十三万人になつておる。その差額二万人で操作する。産休補助教員は一・三%、療養給付の休職者は二・七%、それらはその二万人で操作するということをあなたは意味して答弁されたと思うのです。大臣も本会議かでそういうことを言われた。結核に対する一・三三%は来年の算定の中に入つておりますが、ところがそこで私が申上げたいのですが、産休、産前産後の補助教員を操作するといつてなぜ今その二万人を考えないのか。それは本朝から問題になりましたような三百四十九円とか、そういう給与の差額があるから、実際は教員は五十三万人必要なんだけれども、給与を切下げないで現状を維持して行くために止むを得ず定員を五十一万人と抑えて、そうしてその二万人分で差額を処理すると言つておつたわけなんですね。従つて今後、七百四十九円のも予算措置を講じていないということになりますと、たとえ二万人の差があつても、産前産後或いは二・七%に及ぶところの療養給付の休職者の操作はできない。そういうことは教育に支障が起るし、他の教職員の労働過重になると思うのでありますが、なぜこれははつきり定員を出す場合の基礎に入れなかつたのか、結核の一・三三と同じように産前産後の一・三それから療養給付の休職者の二・七%、これをなぜ積算基礎に入れなかつたか、これを伺いたい。
  312. 田中義男

    政府委員田中義男君) 結核につきましては御承知のパーセントとしては一応一・三三を掲げております。これは多少足りませんけれども一応掲げております。それから産休等につきましては実は各府県に実際にこれを配分いたします場合には、私どもとして一応〇・〇三、つまり三%というものを一応考えまして、そうしてそれらの給与者の分として余分に見るつもりでございまして、それによつて大体それぞれの府県においては賄つてもらえるものだと、かような計算をいたすことに実は一応内定をいたしておるのでございます。
  313. 相馬助治

    相馬助治君 田中局長の答弁に関して文相の見解を尋ねます。私が初任給は引下がることがあるかと尋ねましたところが、昭和二十八年度四月一日から国家公務員の給与規定によつてやるから、当然引下ります、こう言つております。ところが文部当局はおわかりのように、一口に初任給と言うけれども、これは全部一定していないんです。その府県の状況によつて、短期大学を出た者は幾ら、何々は幾ら、こういうふうにきまつておるのです。そうして現に各府県はどう措置しておるかと申しますと、今度の法律が成立するとしないとにかかわらず、昭和二十八年度は経過措置として現員現給で組むということは、当然の含みとして本年度の初任給については文部当局は特別なる積極的意思を持つていないという……、ところが初任給だけはもう早速に国家公務員としての格付けで下げて行く、こういうことを局長が言うに至つては、これはこと極めて重大であつて文相としても当然お知りだと思うんですが、先ず局長のこの言葉についてあなたが裏打ちをして頂きたい。さようであるというならばさようである、さようであるということの理由を今度は言つて頂きたい。さようでないというならばそれで又一応了解をいたします。
  314. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 局長が御答弁申上げました通りでございます。
  315. 相馬助治

    相馬助治君 法の建前から昭和二十九年度四月一日からするというならば、異論はあるけれども、問題が問題として議論が分れるところなんです。従つて私は自説を飽くまでも通そうとはしない。問題は昭和二十八年度は財政措置の経過措置として現員現給を認めているんです。而も又今までのようにやつてよろしいのだ、こういうことをおつしやつている。ところが初任給だけは直ちに以て昭和二十八年度四月一日から、すぐ目の前ですよ。国家公務員の格付けにしてそこだけを引下げるんだ、こういう法の建前を紊り、給与体系の基本を誤つたことは、大学において法科の一時間の授業でも聞いた者ならよく知られているところなんです。私のごとくそういう専門的な勉強をしなかつた者でも常識的に考えてもおかしいと考える。いいですか、そこで私の聞いているのは、昭和二十八年度四月一日から初任給だけを国家公務員の並みに切下げるという局長の発言は、これは重大だというので私は念を押している。従つてこれは局長の言う通りであるというならばわかりました。即ち本法の成立によつて教職員は誠に気の毒な状態に陥る。私は本法案に反対する重大な原因の一つを得ましたので、再答弁がないならばそのまま了解いたします。(「関連して」、「重大だよ」と呼ぶ者あり)
  316. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 よく聞いて頂きたいと思うんです。本朝来これは問題となつたところで、この法律案を見ますと、国務公務員の一般職の給与法を適用するとなつているんだから、二十八年度、二十九年度卒業した新卒の人は今の国立学校の先生がたと同じ給与法を適用されて初任給が出るんだから差はある、それはあなたが言う通りだ、確かにね。併しそれでは午前中私らが質問したように現在勤めている先生方を現員現給で切替える、二十九年度は丸抱えにする、そのときは現在国立学校におられる先生と差ができるが、これはどうするか。ここで一体こちらに付けるのか、こちらに付けるのかというのに対して、皆さんがたはどう答弁したかというと、合理的な給与体系を検討するとか、調整するとか言われている、決して給与が下らんと言われている。ところが今度は新卒者の初任給を切下げれば、現在教職にある者は給与が切替えられたとき給与が切下げられないはずがない。初任給から勤続年数、学歴を考慮して給与をきめるから当然下つて来るということは明白なんです。ということは、現在の教職員が例えば現員現給で切替えられても、二十九年度からはつきりと現在の国立学校の先生がたの給与水準まで給与が切下げられるということは明白になつた、如何ですか。
  317. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。四月一日から公務員になるのですから、そのとき採用されておれば、それが現給で行くはずです。それからもう一つは、国立学校職員給与でありますが、これは先ほど岩間さんでしたか、大学の教授をどうするかという問題は、我々といたしましては教授の給与は少し上げたい、こう考えておりますが、それで調節つけて行くつもりです。
  318. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは答弁にならない、私の質問したことはよくわかつたはずです、はつきり言つて下さい。
  319. 田中義男

    政府委員田中義男君) 私は初任給につきましては、先ほど申上げましたように、従来のまあ国家公務員の基準によると、こうなつているわけでございますけれども、併し四月一日から国家公務員にはつきりなつて、そうして給与法の適用を受けるわけでございますから、その適用において採用さるべきものだと、かように申すのでございます。
  320. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 (「重大」と呼ぶ者あり)私のお伺いしている点にはつきり答弁して下さい。現在教職にある人は二十八年と二十九年切替えられた結果は、必ず給与切下げが出て来るということなんです。具体的にお伺いしましよう。じやこの春卒業した人は、例えば六千円なら六千円というのが仮定されるとします。それでは一年前卒業した人は、国家公務員の少なくとも七百九十四円とか、或いは東京あたりは、東京は特に高いかも知れません、差があれば一年前卒業した人との間で二、三千円差がついて来ます。こういうことができるかできんか、初任給がきまればこれを基準に一般職の給与を適用して行くから、これは二十九年になつて下らざるを得ない、当然もう明白になるではありませんか。それでもなお二十九年以後になつても、教職員給与は下らない、全国の先生がたに安心して下さいということが言えますか。(「どちらが基準になるか、東京なんか実に重大だ、初任給高いんだから」「大巾切下げだ」「法律の建前から言えば局長答弁通りなんだ、ところが了解事項はそうじやない」「違う答弁されてる、徹底的に」と呼ぶ者あり)
  321. 田中義男

    政府委員田中義男君) (「重大だ」「あんたの答弁間違いだと言つてない、法律通りだ」と呼ぶ者あり)法律の建前上さように解釈いたしているのでございます。(「解釈そうだ」と呼ぶ者あり)ただお話のように新たに任用をされます者は、四月一日付において任用されるものでございます。従つてそれらが国家公務員法の適用を受ける。従つて給与法の適用を新たに受けることになるので、新任用についてはその法律によつて規制される、かように解釈をいたしましたので、さように申しているのであります。
  322. 相馬助治

    相馬助治君 法律的解釈を尋ねているのではないので、法律的解釈ならば明敏なる局長の解釈の通り講ずるほかないのです。ところが問題は経過措置として二十八年度は現状変更しないと言つている。そうすると実例としてこういう問題はどうなるかと私は聞くのです。東京都で東京都の条例によつて、初任給を例えば七千円出せるという枠があるとする。ところが国家公務員に格付するならば六千円しか出せないのです。そのときに東京都が七千円で発令したならば文部省はそれを頬かぶりして見ているのか、それとも積極的にさようなことは法の趣旨にもとるからして、上げることはできない。国家公務員の格付した通りにやれというのか、そういう見解、実際上の取扱がどうなるのか、こう聞いたらば、引下げになりますと、それだから私は念を押して、本法の成立によつて教職員給与は劣悪化するのだなと聞いたらば、あなたはそこを逃げているのです。従つて東京都の実例を解釈されて、そうしてもう一度あなたの見解を再言されたいと存じます。
  323. 田中義男

    政府委員田中義男君) 含みのあるお答えをいたすのもどうかと思うでございまして、規定のままをお答えをいたしておる次第でございます。気持から申上げますれば、実はいろいろ御質問になつているところに、実はそのままお答えを申したいのでございます。ただ若し四月一日付で発令をいたした場合に、これがそのまま横迂りをするということになつておるのでございますから、その四月一日付の発令がどうなるかということが、まあ一つ実際問題をいろいろ斟酌して考えるなら、問題になつて来るかと思います。と同時に、又従来とも国家公務員の基準によれということは、これはもう法律に規定をいたしておるところでございますし、従つて、それによつてもらうことを法も期待し、国も期待をいたしておるのでございますから、従つてその程度の期待を同時に今回も持つております。こういうこと以上にお答えするのも如何かと思います。
  324. 相馬助治

    相馬助治君 局長、よく聞いて下さい。私も素人ではないのだ。第一、教職員給与も手離しで支給されているのではありません。給与規程によつて支給されているのです。ところが現実には、初任給というのは全国で一律でないのです。即ち六大都市は高いのだ、明らかに……。そういたしますと、本法の成立によつて、二十八年四月一日に国家公務員に支給する枠によつて、全部給与というものをきめて行くとするならば、現実に高い低いがあるのですから、この高い分の、具体的にいうならば、東京のようなところでは問題が起きるわけなんです。どういうふうに問題が起きるかというと、文部省意思を満足せしめるように頑として国家公務員並みで出す場合が一つ、それから二十八年度は経過措置として府県で或る程度の自主性が許されているから、従前通り予算もありまするから、従前通りに格付ける、この二つの途があるわけです。その場合に府県の自主性によつて、その文部省が要求するより一級乃至二級ぐらい高く給与の割当をした場合に、文部当局はどうするのだ、こういうことを尋ねているのです。含みも何もない、私は具体的なことを聞いているのです。具体的に答えることを私は要求します。  なお、この問題は、未だ局長の見解を以てしては何とも申すことができないというならば、あつさり兜を脱いで下さい。私はあなたの研究の時間の余裕を与えて再質問する寛容さを持つているということを附加える。
  325. 田中義男

    政府委員田中義男君) 私は只今といたしましては、今までお答えをいたしましたように、法規のそのままの解釈を申上げることしかできませんが、なおいろいろ只今も御質問がございましたので、更に重ねてお答えする、少し時間を頂きまして、そうして改めてお答えを申上げることにいたします。
  326. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 文部大臣の提案の理由の説明等で大いに主張せられて、教員国家公務員にするということは給与を豊かにしてあげるのだ、こういうことを言つておる。その基本的な法の精神と、只今答弁になつていることとは問題が非常に食違つて来ておる。そこでその点を、財政的に大きな問題ですし、又このことによつて教育水準を高め、道義の高揚に資するということから言えば、人事管理上不当な問題が各職場に起つて来る。それではつきりと大臣はおわかりになつていない点もあるだろうから改めて申上げますが、全国各都道府県給与条例によつてそれぞれの給与の格付けが具体的には違つておる。全国四十六都道府県は全部違うのだ。違つておる、違つておるからこそ平均して三百四十九円という差額が出て来たのを、あなたは二十八年度だけは地方に持つてもらうが、二十九年度以降はこれを丸抱えにして国が出すから御心配要らない。こういうことを言つている。その精神から言うならば現員現給を全国的に認めた水準で国家公務員の給与法というものを教職員については別枠を以つて構成せられなければならんというふうに論理上は発展して行くわけなんです。然るに来年からは、この初任給を切下げるということは、全国の教員の初任給、新採用者は全部切下げになつて統一せられるということなんです。そうなるとその給与の新採用者と現在採用せられているものとの間に不当な幾多の問題が起つて来、それが職場において、そうしてこの教育経営を、例えば同じ学歴、同じ何と申しますか勤務年数等で計算するならばあれですが、同じ学歴を持つている者で、不当に計算の上では違つた給与が支給される結果になるのだ。もつと具体的に申しますならば、養護婦というものと、養護教諭というものとあるが、養護教諭は免許状を持つておる。併しこれは国家公務員になることなんで、これに採用されるものは同じ教養を経たものでも安くなる。養護婦と言つて市町村から採用せられるほうの学校に奉職するものの給与は高いという結果が起つて来る。もつと申上げますならばこの地方教育委員会が事務職員等を補充する意味合いで学校の職場に入れる、地方公務員と国家公務員とにおいて給与の差が出る。そうして地方教育委員会地方の問題として学校経営をするのにもかかわらず、市役所や役場の吏員のほうが給与が高くて、学校に奉職する国家公務員のほうが給与が安いというふうになる。そうなれば地方教育委員会が人事管理上重大な支障を来すし、又教育経営が完璧に行われない、教育の水準低下ということが、こういう問題から起つて来る。職場の士気というものが上らん。あなたがおつしやつた丸抱えで二十九年度をやつて行くという前提に立つ限り初任給といえども切下げることはできない立場にある。これは今検討してからお答えしますとか何とかそんなことでは、この立法の精神というものは無にせらるる。そのために私はあえて関連質問を申上げているので、委員長はいやな顔をしていますけれども、事情御了解願いたい。文部大臣答弁を……。
  327. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 大変細かい技術上の問題になりますから……、(「重要ですよ。」と呼ぶ者あり)いや、重大なる問題でありますから、局長が返事を保留しておりますから、その通り私も返事を保留いたしましてよく調べて……。
  328. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 返事を保留しておりますけれども、あなたが先ほどから答弁しておるのでは三百四十九円という差額分は、二十九年度から国において見るということを言つておる。そういう現員現給の丸抱えで国がまるまると支給して行くのだ。二十九年度から……、そういうことをおつしやつておる。その前提に立つならばこの教員の二十九年度からの給与体系というものは現行の水準以下であつてはならんはずである。現に現員現給で支給されている水準を下つてはならんはずだ、これは論理上明白なんです。そうでなかつたら、あなたが再三言う、給与を豊かにし如何なる地方においても豊かな給与をくれる、東京の都会のものも或いは北海道、岩手の田舎のものも同じようになるという論理が一貫しない。あなたが給与局長の言うような答弁を肯定するならば、東京都の給与を切下げることによつて、辛うじて岩手県の田舎の現員現給額と同じになる、こういうことです。全国的に同じになるということに結果としてなつて来る。それで検討の上ということでなくて、その前提に立つならばここであなたの真意、あなたの決意をはつきりして頂かなければ、この立法の精神というものが根本的に引繰返つて来る。だから答弁を保留しますとか何とかいうことでなくて、基本的な方針については岡野文部大臣からお伺いしたいわけなんです。
  329. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私の只今の判断で行きますと、技術上のことはよくわかりませんが、二十八年度に限つて現員現給で行くということは、結局二十八年度中は都道府県の条例によつたところの給与を与える。そうしますればその条例を我々が動かすわけにも行きませんし、又任してありますから、その条例によつて取ることはそれは当然である、こういう考えでございます、併し技術上の問題としてよくわかりませんからそれで御返事を保留したわけでございます。
  330. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 二十八年度はわかつた。それでは二十九年度からどうやるのかお答え願いたい。それだけ。
  331. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 二十八年度はそれで行きまして、二十九年はその既得権を決して害さない方向に物事をやつて行きたいと思います。
  332. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 具体的に聞きます。或る県が二十八年の三月三十日或いは二十九日頃発令する。そうして現在の都道府県給与条例によつて発令する。そうなりますとそれは二十九年は丸抱えになつて行くわけですね、それが一つ。よろしいですか。それともう一つは二十八年度中に、二十九年になれば国庫が丸抱えしてくれるからというので二十八年度中に都道府県が条例を改正して、そうして高い給与の条例を作る。そうしたらそれを二十九年はあなたの答弁によると丸抱えにするのかどうか。もう一点は、では二十八年だけは現員現給で各都道府県給与条例によつて初任給をきめるとしても、それでは昭和二十九年に卒業して来る生徒、新卒者はどう取扱うか、いずれ問題になる事柄なんです。その三つの点について伺いたい。
  333. 田中義男

    政府委員田中義男君) 第一の点はすみませんが聞き落しましたので……。
  334. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第一点は、あなたのような答弁を聞いたら各都道府県が周章狼狽して、新卒者もこれは大変だということになつて、二十八年の三月の二十九日或いは三十日に発令をする。そうして三月分の給料は辞退するようにして現在におけるところの条例によつて発令した場合は、二十九年度から全くそれが丸抱えになる、こういうことにそれを措置することができるかできんか。
  335. 田中義男

    政府委員田中義男君) 二十七年度の問題はこれは法律に規定をいたしておりませんから、二十八年の三月三十一日までに発令をしました者はこれはそのまま横迂りになりますから、これはどうもそのまま呑まざるを得ないことになると思います。(「それが大変だ」と呼ぶ者あり)それから二十八年度中に条例云々というお話しでございますけれども、まあ只今大臣が条例をそのまま尊重しなければならんからというお言葉もあつたのですが、併し私が先ほど来申しますように、余りに法律的になるかも知れませんけれども、現在のあの中には実はそれと別な解釈をする文字はないのであります。そこで結局あの法律によりますると、あの法律をそのまま施行いたすことになりますと、実は給与法をかぶつて参りますから、従つて給与法をかぶつてくれば、私がさつき申しましたようなことにならざるを得ないと、かように私はお答えをいたしているのでございます。若し別途二十八年度における措置を講ずるということに仮にいたしましても、二十九年度のお話が出ましたが、二十九年度になれば当然これはもう今朝来申上げますように、少くとも教員についての給与体系というものは別に考えなければならんことでございますから、従つて二十九年度の問題はそれらの給与体系と合せて新たな問題としてこれは解決されなければならん、かように考えるのでございます。(「そのとき下がるか上がるか」と呼ぶ者あり)
  336. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の問題について本多自治庁長官は、これは教育の財政措置を、これをきめるときに現員現給に組んだということを言つておりますが、今のような問題はどうなんですか。
  337. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 二十九年度の財政措置を今から……
  338. 岩間正男

    ○岩間正男君 いや二十八年、平衡交付金の中に組んだと言うのです。それは現員現給が実行できるように組んだということを言つている。そうしたら何も問題は起らないがこれはどうだ。
  339. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) そういうことはありません。これは地方財政財政計画上の給与の規模が一千百五十五億になつているのでありまして、現員現給という、自主的に給料をきめて支払うということになつたのではありません。
  340. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは地方財政の全般的な計画の中では出すことができる、こういう建前になつてそれを組んだということを言つておりますが、そうすると今の現員現給の問題は当然その中でやれるとかように了解していいのですか。初任給の問題……。
  341. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 只今の初任給の問題は二十九年度じやないのですか。(「二十八年度から下げると言つているじやないか「田中局長は」「今日大臣は二十八年度では下げないと言つた」と呼ぶ者あり)二十八年度の地方財政規模の計画は、現状の状態で推移するものとして財政措置を講じております。
  342. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすれば今の問題はこれは財政的には措置できる問題でございます。財政的に措置ができるから、はつきりこれは初任給は切下げる必要はないということを答弁願いたい。(「そうは言わないのだよ、この法律が通れば引下がるのだよ」「田中君の言う通りなんだよ、これは田中君の答弁が間違いだとは言つていないよ、あの通りなんだ」「ここらで休憩して、今夜一晩よく考えて明日やろう」「自治庁は千百五十五億がどうしてできたかということだ」と呼ぶ者あり)答弁できるはずだ、初任給は切り落さなくても財政措置としてできるはずだ。本多自治庁長官文相両方から答弁して下さい。できるわけです。できなかつたらごまかしです。
  343. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 速記をちよつととめて。    〔速記中止〕
  344. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 速記を始めて。
  345. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 私は先にもお答えいたしました通り地方教職員給与状況が現状の通り推移するものとして、二十八年度の財政措置を講じてあるのでございます。その二十八年度の新規採用のものに対してどういう給与を適用するかということについては、文部当局から一つ……。
  346. 岩間正男

    ○岩間正男君 文部大臣も答えて下さい。
  347. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 現状通りならば、財政措置に欠けておることはないということを申上げます。
  348. 岩間正男

    ○岩間正男君 現員現給ということは、当然これは出入りもあるでありましよう。やめる人もあるだろうし、新らしく入る人もあるだろう。併しそういうことを含めての現員現給でなければはつきりしない。それを初任給だけ切離してそうして財政措置はしてないはずだ。現にしてないでしよう。そういう細かいことをやつてないだろう、これははつきりしている。そういう意味から言えば、財政措置においてはこれは初任給も現状を維持できる、こういうふうにこれは解釈せざるを得ない、今までの答弁を総合すると……。本多自治庁長官答弁はそういうことになつていると思うのです。現状を維持するということ、これは初任給も維持するということなんだ。そこで当然これは岡野文相もその点について同じような御答弁があるはずだと思いますが、それについて御答弁を願いたい。(「その答弁の前に関連して併せて答弁を」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  349. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 時間も大分経ちましたから答弁は保留しまして、本日はこれで散会いたします。    午後五時三十二分散会    ―――――・―――――