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石黒忠篤君
民主政治におきましては殊に
重要政策の
実施ということについて最も
重きをおかなければならんということは論がないと思うのであります。
自由党もいわゆる十大政綱というものを
世間に公約をされ、又ほぼ同様の内容のものが昨年十一月、
政府によ
つて新
内閣の
重要施策として公表され、
総理の
施政方針等においても同様のことが述べられておるのであります。その
施策方針の中において、
総理は本
年度は諸般の重要な種蒔きをしなければならん大切な第一年だということを言うておられるのであります。私も全く本年は非常に大事な年だということを
考えて
同感を表しておるものであります。然るに
政府及び
与党の内部が意思の疏通を欠いたり、或いは
余りよろしくないと思われる内紛を繰返したりしておりまして、その結果
重要政策の
実施ということに
政府の全力を傾注されておらないことを遺憾千万に
考えるものであります。そこで私は
政府をして
国政の
施行に誤りなからしめるという
国会の第二院たる
参議院の
立場からいたしまして、
総理がしばしば言われておる
ようにいわゆる筋を通す、こういう
趣旨を以ちまして
質問をいたし、
参考意見を申述べることにしたいと
考えます。
従つて必ずしもすべてに対して
答弁を
要求するものではございまん。併し十分にお
考えを願いたいと
考えるのであります。
その第一は、
政策の
施行を重点的にするということについての問題であります。新
内閣の
重要施策要綱、昨年十一月に公表されましたものの前文の中におきましても、
政府は特にこの各
重要施策を重点的に推進するということを明言をしておるのであります。これはまさにしかるべきことだと思うのですが、
政府はその
実現について何か特に重点的に特別な
方法をとることに努められたかどうか、この点を伺いたいと思うのであります。私は
重要施策とせられるものにつきましては、
閣議で特別慎重な
審議を十分に遂げて、その規模、
経費、資金、
実行順位という
ようなことを
概定をいたして、
政府内は勿論、
与党にも十分に周知せしめて、統一を期して強力に
実行に進まるべきものであると
考えるのであります。即ち
重要政策についての
閣議の
決定を先ずや
つて、そうして
予算編成上先ずこれを尊重いたして、全
予算の
編成にこれを重点的に組み込むべきものであると
考えるのであります。
総理は、先日もこの席で
木村委員のこの
予算の
独立性に関しまして熱心な
質問があ
つたのでありますが、それに対して
総理は、先ず
重要政策を立て、そうして
予算を立てたのだから、この
予算が
独立予算であると答えられたのでありますが、果して事実さ
ように運ばれたのでありまし
ようか、どうでありまし
ようか。私は
重要政策の
決定及びその
経費の
概定ということのためには、
閣議を
連夜徹宵をいたして行われても然るべきことだと
考えるのでありますが、そういう
ようなことはなかつた
ように思うのであります。か
ようにいたして
国家的に政党に偏しない
ように、又政治的に事務的に堕しない
ように、
重要政策及びその
実施のための
経費というものは定めらるべきものであると思うのでありますが、現在は決してさ
ようには行
つていないと思われる。
重要政策などと
言つても、主として
世間に示すのが
目的の
ように
考えられるきらいがあるのであります。
予算の
編成の実情は、成るほど本
年度の
編成方針といつた
ようなことで一応強い制限という
ようなものを示すことがあるでありまし
ようが、極めて抽象的な例文的な一般的なものでありまして、決して
政策について重点的、
具体的方針が先ず立てられて、そうして
予算編成上大体その意を体してなされるということにはな
つていないと思うのであります。
重要政策などというものも、その他のものと一緒に先ずは
各省の
厖大なる
要求とな
つて一くるめにされて
提出をされ、そうして
各省の
官僚の間において激烈な争いが展開をされるのに放置されておるという
ような
状況だと思うのであります。
各省の
官僚、殊に
予算に
関係のある者は実に忠実なる公僕と言うべきものであろうと
考えるのであります。職務に関しましてはあたかも動物の本能とも言うべき
ような非常な緊張を以て各その
立場に従いまして、或いはいわゆる
重要政策のために、
国家のために、或いは
国民負担の
経減のためにそれぞれの
立場で身体を害してまでも徹宵力走するという
ような
状況を呈しておるのであります。然るに
総理、
蔵相という
ような方々は
高みの見物で、徒らにその奪い合いの醜態などをそしつたり、或いは嘆いたり、或いは新らしく入
つてみて焼餅の焼きつくらなどと驚き入つたり、冷笑しておられる
ような姿だと思うのです。併しこれは
人ごとではないと私は思う。あなた
方自体の
責任であります。こういうことは私はけしからんことだと思う。
総理及び
蔵相は、
重要政策の
実現上、先ず
予算編成方式について真剣な
工夫と
努力をなすべきであると
考えます。当院におきましても、第十三
国会におきまして
行政整理案が
審議をされた際に、
参考意見として
予算編成方式について
政府の
注意を促したことがありました。これは実に大きな
行政の
能率化のための
整理の問題でもあるのであります。併しあなた方はそれを
採用はされておらない
ように思う。この
方面に対して果してどれだけの
工夫、
努力をされておつたか、私は不幸にしてそれを認めることができない。そうして結局は
各省が引つくるめて出して来るところの
厖大な
要求を
大蔵官僚が
連夜徹宵をいたして審査をいたし、先日もこの
委員会で
主計局の
次長であつたと思いますが、言われた
ように、
各省とも水増しがひどくて困る。
保安庁は割合に感心にいいほうだなんという
ようなことを申す
ようにです、全くの
事務的査定に一任されておるのであります。そうしてこの
事務的査定が、第一次
査定というものが、結局原案とな
つて、その全く事務的なものに対して、今度は
各省の
官僚が
連夜徹宵で復活に
努力をすると、こういう
ようなのが依然たる現状であると思う。前回の
国会で、
総理は、
外資の
導入に関しまして、いわゆる世界銀行の副
総裁である
ガーナー氏が各
方面の
要求が
余り多く競合して巨額に上
つて困る、順序をつけてもらいたいという
ような
要求をしたということを警告をされたのでありますが、私もあの人に会うて話したときに同じことを申しておりましたが、それはいろいろな
要求に対して、
政府が
国家的に何を重しとするかという
順位をつくべきだという要望の
ように私は聞いたのであります。
外資導入に関してなお且つ然り、
国家の
実行をする
予算に対しましてはなお更のことだと
考えるのであります。
今行政府の長に当
つておられ、而も党外から
蔵相をとられた
総理は、
重要政策の
重点的実施の上において遺憾なき
ように
予算編成上
工夫、
努力せられんことを希望してやまないのであります。これが第一であります。
第二には、
食糧自給計画について伺いたいと思うのであります。私は
食糧問題をあらゆる問題のうちにおいて最も重大なものだと
考えております。
食糧こそ一家の生命、
国家の
独立、世界の平和の第一の
基礎条件だと確信しておるものであります。
総理もその
重要性をつとに認められて、我々にも諮り、前
農相に立案を命ぜられたのでありまして、それがいわゆる
食糧自給第一次五カ年
計画であり、
自由党の十大
政策の一つでもあるのであります。それ故に私は前
国会におきまして、この席でそれが提案せられないことについて
質問をいたして、これを督促をいたしました。なお且つ
蔵相に対して、特にこれに
重きをおいて頂きたい、
予算措置を十分に
考えてや
つて頂きたい、あなたは従来
外米の
買入についていろいろお力を願うたが、今後は
外米を
輸入しない
ようにできるだけの力を入れて頂きたいということを申上げておいたのであります。併しながらこれも又今回の
予算編成に際しましては、
総理及び
蔵相の
重点的取扱を受けぬ
ようにな
つたのであります。私
どもは、
予算決定の直前に当りまして、さ
ようになりそうに思われたために、あなた方に対して特に推参いたして
注意を促したのでありましたが、顧みられずして、結局事務的な第一次
査定に何がしかの
増額をすることと相成
つて、そうして二十八
年度予算に
重要政策として
要求された約半額が認められることにな
つて、現
予算に現われておるのであります。
新聞紙の伝えるところによりますというと、
蔵相は、
農林大臣及び
建設大臣の
坐り込み戦術に非常に悩まれた、そうして
酒造米の
消費量の僅かばかりの
増額という
ようなことで、漸くこの
程度まで漕ぎつけたのであるといつた
ようなことが報道されております。私は金額の多少を云々するものではございません。
国政上最も重要な
政策とせられるものに対する
予算上の
取扱方法が誠に当を得ていないことを極めて遺憾とするものであります。で、
食糧の必要は、実に日々に迫
つておるのであります。
従つて増産の
実現ということは一年も早きを要するのであります。而もその主たる
事業であるところの
農地の
改良ということは、誠に非難の多い
土木費に
関係するものでありますけれ
ども、その使用について非常に
注意をしなければならんということが、これを必要とする額をチエツクする理由にな
つてはならんと私は思う。而もその
土木は極めて時間を要することが多いのでありますから、着手には一年をもゆるがせにしてはならないのであります。新
農林大臣の御
答弁によりますというと、五年の間にやればよろしいのだ、なおその後の十年にやればよろしいのだという
ような
意味にも取れるお言葉でありましたが、そういう
意味ではないと私は思う。なぜなれば、
年度内に必要なものを出しさえすればそれでよろしいというのではない。成功するのに年がかかるのだから、初
年度においてどれだけ、次
年度においてどれだけという適当な年次割ということが非常に大事である。元の
計画はそれを適当に割当てて、そうしてだんだんに
輸入量を減して行くことができる。そうして五年の後においては僅か何百万石かの
輸入をするだけで済む
ように
輸入量の漸減が年次的に
実現される
ようなはずであ
つたのであります。今度はその
計画の改訂をしなければならんことにな
つて、年々の
需要増と
農地の
平均的改廃による
供給減、これは平均的の大よその見込でありまして、他面において
弾丸道路をどんどんと
実行するという
ようなことになれば、それすら埋めることができないという
ようなことになるのじやないかと私は思う。そういう平均的の
供給減を埋め合わすことが辛じてできるのでありまして、現在の
輸入量というものは依然として五年後にも
輸入をせなければならんという
ようなことになるんだろうと思いますが、この点は如何でありますか。又新
農相は本
会議で、
経費を
継続費とするということの
考えでおるということを申されたが、その他の要点、即ち続いて第二次の五カ年
計画が続くということや、これに連関した
免税事項を規定するという
ようなことはどうなるのでありますか。それらを包括した
法案を
提出するということは、
先議会において、
総理大臣は詳細なことは
承知しておらないからと言うて、
農林政務次官をして
答弁せしめられましたが、来
議会に
提出すると言うておられましたが、それはどうな
つたのでありますか。
なお、
食糧自給の問題に密接しておりまするところの
肥料につきまして、ついでを以て
通産大臣に伺うのであります。私は前
議会で、
肥料問題の解決には結局
生産費の調査の必要があるということを申したのであります。
通産大臣は、これをでき得るだけ
努力をする、そうして若し得られたならばそれを示すということを申されたのでありましたが、私は、未だにこれを示されておりません。
通産大臣は爾来如何なる
努力を各会社に対していたされたのでありますか。これを明らかにせずして、当
業者は手早く
協定価格を一方的に決したのではないのでありまし
ようか。
生産費をほうりぱなしにしておいて、そうして種々の重要問題が
あとから
あとからと続出するのを、何ら手を着けることのできない
ようにな
つておるのは私は甚だ遺憾であると思います。これらにつきまして
立法をされる必要を認めておるのであるか、どうであるか。そのことを
伺つてみたい、こう思うのであります。これが第二点であります。
なお第三点がありますが、それらに関しまして
お答えが頂き得るものがありましたら、
お答えを頂きたいと思います。