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鈴木強平君 どうも
お答えが私といたしましては納得できません。ドイツにおきましてもいわゆるドイツ連邦共和国と言えば、一九四九年に新たに
憲法を制定されまして、その
憲法制定のときにも、キリスト教民主連盟、或いはキリスト教社会連盟、この二つの宗教団体は
憲法の中に政教の一致を唱えておりましたが、これらは反対に合
つてできなか
つた。できなか
つたけれども、今日、四九年の
憲法制定以来、アデナウアー博士はそのキリスト教の教説を以て政治の綱領とし、
経済政策としてや
つて来ております。而も文部大臣から、私が愛情を説くに当
つて、これは政治に混淆できないというようなお話であ
つては、非常に残念に思う。従
つて別に私は西ドイツを先進国と見るわけではありませんけれども我々のために
一つ参考となると思うので、ドイツのキリスト教民主連盟がどのような綱領を持
つているか、ここで披露したいと思います。同党の綱領は「キリスト教的世界観が准物的世界観に取
つて代らなければならない。キリスト教倫理の諸原則が唯物主義の諸原則に取
つて代らなければならない。キリスト教倫理の諸原則が個人の権利と義務、
経済生活、社会生活、文明及び国家相互の関係に広く行きわたらなければならない。キリスト教的世界観だけが、個人の権利、尊厳及び自由を保障し、そうして国家の構造にだけでなく、個人生活にも、
国民生活にも浸透して行く、真の民主主義を保障するものであると謳
つている」現にかような
考えかたは、我々の
考えている民主主義の裏付といたしましては、深い理念と信念に基いた精神的裏付があることを、我々は銘記しなくてはならんと思うのであります。同時にその
経済政策はどうであろうか。アーレン地区におきまして出ましたアーレン綱領はかように
言つております。「資本主義的
経済機構は、ドイツ人の重大利益を正当に取扱うに適切なものではない。政治上、
経済上及び社会上の崩壊があ
つた後においては、新秩序が根本から建設されなければならない。ドイツ
産業の新構造というものは、私的資本主義の絶対支配の時代はすでに過ぎたという原則の上に打ち立てなければならない。併し我々は、私的資本主義に代
つて、個人の政治的自由及び社会的自由に対して一層脅威を与える国家資本主義には絶対に反対しなければならない、」かように謳
つております。而もこの党をリードするところのエルハルド博士は、併しながらキリスト教民主
同盟は
経済に関する一切の強制的方式乃至
計画的方式には絶対に反対しなければならないと
言つております。丁度
日本の国柄と同じでございますが、かような宗教的裏付があるからこそ、ドイツの
産業経済の中にも、今
政府が出しているところのスト規制法、かような法律を出さずに済む、又教育者に関しましても、義務教育を委されているところの小中学の教員につきましても、
政府が心配してかような法律を出さなくてもいいというような精神的裏付があると思います。私はかような点から
吉田首相が強い信念を持
つて、別に宗教を自由党の上に掲げろというのじやない。さような宗教の倫理性を掲げて行かなければならないと思うのであります。首相の心境をお伺いします。