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1953-03-02 第15回国会 参議院 予算委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月二日(月曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            左藤 義詮君            森 八三一君            内村 清次君            永井純一郎君            駒井 藤平君            木村禧八郎君            岩間 正男君    委員            大矢半次郎君            郡  祐一君            白波瀬米吉君            杉原 荒太君            鈴木 恭一君            山本 米治君            加藤 正人君            荒木正三郎君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            三輪 貞治君            加藤シヅエ君            曾祢  益君            棚橋 小虎君            堂森 芳夫君            西田 隆男君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君            千田  正君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    国家地方警察本    部総務部長   柴田 達夫君    国家地方警察本    部総務部会計課    長       中原ただし君    自治庁財政部長 武岡 憲一君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君    文部省社会教育    局長      寺中 作雄君    文部省管理局長 近藤 直人君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十八年度一般会計予算内閣  送付) ○昭和二十八年度特別会計予算内閣  送付) ○昭和二十八年度政府関係機関予算  (内閣送付)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 只今より予算委員会を開会いたします。先ず本日の委員長理事打合会におきまして、お手許に配付いたしました通り差当り二十三日まで当委員会の審査の日程を決定いたしましたから、さよう御了承置きを願います。  次に本日文部省関係質疑に入りたいと思います。先ず文部省初等中等教育局長田中説明を願います。
  3. 田中義男

    政府委員田中義男君) 文部省関係のうち、初等中等教育局所管として義務教育学校職員法案の実施に伴います予算概要について御説明を申上げます。  御承知のように来年度は義務教育学校職員法案に則りまして、義務教育学校職員給与費に対しまして、国で定める一定額給与費都道府県に交付することに相成るのでございます。その概要につきましては、二十八年度におきます給与費規模を千百五十五億と算定をいたしました。そのうち東京都を初め八都府県につきましては、その財政収入額財政需要額を上廻ります関係から、従つて政令で定めますその基準によりまして全然交付しないか、又は減額をして、交付できまするその減額分の額の総計をいたしましてこれを二百五十四億と推計をいたしました。その二百五十四億を差引きまして九百一億が給与費として東京大阪を除いて交付される額と相成るわけでございます。なおその他に教材費として十九億円計上をいたしております。九百一億の内容について申上げますと、来年度の先生方予算算定基準としての数でございますが、小学校におきましては御承知のように、従来財政計画におきまして児童五十人について一・五人、中学校生徒五十人について一・八人、なお結核休養者の数を先生百人について一・三三、こういう基準によりまして算定をいたしました。その結果小学校教員について三十三万六千六百五十八人、中学校について十八万二千六百八十三人、盲聾学校教員について三千六百二十三人、事務職員につきまして七千七百六十七人、計五十三万七百三十一人と算定をいたしました。この定数は昨年の五月一日現在の指定統計によります児童生徒の数を基準といたしまして、先ほど申しましたような定率をかけて算定をいたしました。事務職員につきましては二十七年度の地方財政計画における基礎数字をとつたのでございます。なお計画単価基準でございますが、これにつきましては二十七年度の地方財政計画において見込まれましたところの基本給単価基礎として、それに二十八年度の昇給率も見込んで、そうしてそれを単価といたしました。基本給以外の諸給与につきましても、財政計画において大体従来通り国家公務員基準といたしまして、そうして計算をいたしたのでございます。次に教材費につきましては十九億円となつております。その内訳を申しますと、小学校分につきまして十一億六千二百万、中学校分につきまして七億二千五百万、盲聾学校分につきまして一千三百万、計十九億、こういう計算に相成つております。そのほかにこれらの事務を処理いたしますために、本省におきまする事務費といたしまして五百万の予算計上をいたしておるのでございます。なお給与費といたしまして、只今申しましたような計算をいたしましたが、それが現在のいわゆる現員給等関係においてどうなるかという点について一応御説明を申上げたいと存じます。給与費総額規模につきましては、先ほど申しましたように、総規模を千百五十五億といたしまして、それが結局減額或いは全然不交付分等を省きまして九百一億と相成りました。更にその内容について検討いたしますのに、小中学校における基本給についてこれを調べてみますと、現在の先生方現員現給として総額計算いたしますと八百七億と相成るのでございます。その八百七億に対しまして国庫負担総額東京大阪を除きまして七百八十七億と相成ります。その現員現給に対しまして国庫負担率は九七・五%、こういう率と相成るのでございます。仮にこれを平衡交付金法に基きまして、従来通り基準財政需要額計算をいたしますと、基本給について二十八年度においては約六百七十四億と相成るのでございまして、この六百七十四億が現員現給に対する補償率を見ますと、約八四%と相成る計算になるのでございます。そこで二十八年度の措置といたしましては、取りあえず先ほど来申上げますように、各都道府県全部に亘りまして給与費負担をいたしますことは国家財政上非常にロスが出ますので、従つて先ほど申上げました二百五十四億というものはこれを差引いてそうして配分をいたすことになります。ただ現在の先生方について、これを二十八年度におきましてもその数を減らしますとか或いは個人個人にとつて給与の低下を来たすということは、これは既得権の侵害となり非常に問題でございますので、それを防ぐために法案附則におきまして第二項において現在先生方が受けているその級及び号俸によつてそのまま国家公務員に任用されたものとみなす、こういうことにおいて現員現給を確保いたしまして、なお二十八年度における措置といたしましては、従来通り給与費負担都道府県負担として支給することといたしまして、そうしてそれに対しまして、ここには先ほど申しましたその額をそれぞれ地方の実情に応じ、特に現状をできるだけ勘案をいたしまして、そうして各府県配分をする、こういう考え方に立ちまして先ほど申上げました予算の運営を期する予定になつておるのでございます。一応簡単でございますが、概要だけ御説明申上げます。
  4. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御質疑はございませんか。
  5. 左藤義詮

    左藤義詮君 二十八年度は富裕府県に対しては交付しない、二十九年度にはどういうような見通しをつけておられるか。
  6. 田中義男

    政府委員田中義男君) 法案によりますと、富裕県等に対しまする措置は二十八年度限りの措置で、ございまして、二十九年度からは本則によつてすべて各都道府県に配付される建前になつております。ただその前提としては、地方税制或いは財政等改革が予定されていることと考えるのでございます。
  7. 左藤義詮

    左藤義詮君 これに対して大蔵当局見通しを。
  8. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げます。大蔵省におきましても、只今文部省政府委員からお答え通りに、極力二十八年度中に地方税改正等準備を進めましてその成案を得、国会の議決を経ることに努めたいと考えておる次第であります。さよういたしまして、御承知のように、現在地方税が相当富裕団体偏在をいたしておることは御承知通りでございまするが、その調整が行われた暁におきましては、もとより全額負担建前の下に、富裕団体の分といえども負担するのが当然であると、かように心得ております。
  9. 左藤義詮

    左藤義詮君 半額現行負担法につきましても、二十八年度予算を編成するときに大蔵省は非常に難色があつたように聞いているのですが、全額のものを二十九年度には必ず、無論地方税その他の問題がございますが、引受けるという、これはまあ大臣に聞くことかも知れませんが、確信をお持ちになつているかどうか。特に地方税等の問題につきましては、地方行政調査会の審議もまだ進んでおりませんので、これを二十八年度内に今おつしやつたように結論を出し、これを政府の責任において二十九年度予算には必ず解決をする、こういう確信をお持ちになつているかどうか、念のためにもう一度一つ
  10. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えいたします。左藤委員からおつしやられました通りに、半額国庫負担の、現在すでに成立しております法律施行につきまして種々検討いたしたことは事実でございます。御承知のように現在の半額負担法律建前として実支出額主義で行なつているのであります。これをいたしますためには、どうしてもやはり、殊に富裕県の分につきましても、もとより負担するという建前になつておることは御承知通りであります。そこで半額にいたしましても、やはり全額の場合と同じように、地方税調整措置を必要といたすわけであります。これをいたしませんと、それだけ多くのいわゆる財源偏在を来たすわけでございますので、これは半額の場合にもその必要があるわけであります。そこで私たちの立場といたしましては、どうしても地方税制改革ということが前提条件である。こういう建前におきまして、現在の半額負担法もこれをそのまま実行いたすということは非常にむずかしい、かような判断をいたしたわけであります。従いましてその点に関する限りは、前提条件として富裕団体の分をも負担いたします場合には、全額半額いずれの場合におきましても、先ず以て地方税制改正いたしまして、前提を、いわゆる財源偏在が起らないように、或いはそれを激化しないような素地を作りまして、その上においてそれを実行すべきであるというふうに考えておる次第でございます。  更に二十八年度中にそれを行う確信ありやというお話でございまするが、この点はもとより大蔵省だけの問題では、ございませんで、政府全体の問題でございまするが、私どもといたしましても政府方針がかようになつております以上は、事務当局といたしましても極力その方針を体しまして、二十八年度中に諸般の準備を整えたい、かように考えております。
  11. 左藤義詮

    左藤義詮君 半額にしても全額にしても、前提条件地方税改正である。その前提条件解決をしないまま今日この法案を出されたのでありますが、そうしますとその重大な前提条件を二十八年度中に努力する、無論大体の各般の機関にお諮りになると思いますが、大体大蔵省としては二十八年度予算を作るについては二十九年度のことを考えなければならんわけで、二十九年度にどういうような現在地方税制について、特にこの義務教育の問題にからんでどういうような構想をお持ちになつておりますか、そのアウトラインを一つお示し願いたいと思います。
  12. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えを申します。私は主計局の次長で、ございまして、今左藤先生お尋ねの件は、むしろ主税局並びに地方自治庁の税のほうの主管者お答えすべき事柄かと思いますが、まあ私どもいわば門外漢としてどういうことを仮に今お答えできるかということでございますれば、一応ほんの一端として申上げることができると思うのでありますが、すでに左藤先生よく御承知のように、今日平衡交付金というものは東京都と大阪府には全然行つておりませんのであります。然るに東京都や大阪府のごときは非常に多くの、まあ我々一番わかり易い税として申しますのは、遊興飲食税とか入場税とかいう税が行つておるわけであります。一番手つとり早い話といたしまして、そういう税を東京都や大阪府が現在取つておりますものをそのままにしておいて、いわゆる都道府県間の財政調整ということを幾ら努力をいたしましても、これは結局国と地方公共団体との間の財政調整は或る程度行われるのでございまするが、いわゆる東京大阪府のごとき非常に富裕な所と、そうでない小さな県のごとき、入場税遊興飲食税ごときだけをとりましても、非常に収入少い県との間の問題は極めてアンバランスの形で残るわけであります。こういうものをこれは税の立場専門家立場からどういうふうにやるか、方法論は別でございますが、相互地方公共団体の間におきまして適当に配分できる途を講じますならば、相当程度にいわゆる団体相互間の財政調整ということが行い得るわけであります。大体そういうふうなことを端緒にいたしまして、どういう税を選ぶかはこれ又専門的な立場でございまするから、もとよりここに言明の限りではございませんが、そういう現在の制度におきまして全く欠けておりますところの公共団体相互間の財源調整と申しまするか、負担力の均衡を図ると申しまするか、そういうふうな手段を講じまして、それによつて一方国から出て参りまするところの負担金は相当殖えましても、従来公共団体が固有の財源として徴収しておりました租税その他におきまして、別途調整措置を講ずることによりまして、先ほど来申上げましたところの財源偏在をアジヤストして参りまするならば、私ども国庫負担を更に富裕団体に及ぼしましても、申上げましたような財源偏在を是正することができる、かような大体考え方であろうかと思うのであります。更に進んでの具体的な構想なり又は方法論なりは、もとより目下今後の研究の過程にあるわけでございまするので申上げかねるのでございまするが、一応税の方は私門外漢でございまするが、考え得るところを申上げまして御参考に供した次第であります。
  13. 左藤義詮

    左藤義詮君 専門家でございませんので、これ以上は又主税局長なり地方自治庁お尋ねいたしますが、今のお答えでございますと、入場税或いは遊興飲食税に目を着けていらつしやるようでございますが、これも税率の改正相当減収になつております。富裕府県を狙つている、東京都にしても、大阪府にしても、だんだん窮屈になつて来まして二十八年度の予算編成のごときは非常に苦しんでおる状態であります。私はそれを取上げてすぐにアジヤストさえあれば、アンバランスさえとれば、あと財政的に全額負担が楽にできるというふうには考えられんと思うのでありまして、そういう点の見通しを、一つはつきりつけませんというと、私どもはこの法律予算とからんで簡単には通せない。こう思うのでありますが、そういう点を一つなお他の機会に専門の方々から責任ある御答弁を頂きたいと思いまして保留しておきます。
  14. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほど説明によりますと、地方公務員から国家公務員に切替える場合には、現員現給を確保することになつております、こういう説明があつたのでありますが、そこで果して現員現給を確保し得るだけの予算が組まれておるかどうか、こういう点が説明によつても、或いは私ども手許に渡されている資料によつてもはつきりしないのでありますが、その点もう一度説明をして頂きたいと思います。
  15. 田中義男

    政府委員田中義男君) 来年度の財政措置といたしましては、平衡交付金措置される部分と、そうして今回国庫負担として措置いたします部分と合せまして、国としての財政措置の額においては変らないのでございます。従つてそれらを総計いたしまして、地方に対する財源としては保障されている、こういうふうに一応考えられるのでございまして、今回のこの措置があるが故に全然その措置の不徹底を来して、或いは減員が起るとか或いは減俸が起るということはこれはないはずである、かように申しておるのであります。
  16. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今度のこの法律施行に伴つて必要な予算をどうして算定されたかということになるわけなんですが、ここに出されている数字は、いわゆる定員定額によつて算出されて来ているものと思うのです。従つて実際の人員とか実際の給与とかいうものを基礎においておらないわけなんです。そこで実際の切替に当つて果して賄い得るかどうかということは非常に重要な問題になつて来ると思うのです。そこで私は果して賄い得るかどうかということを十分承知するためには、次のような資料が必要になつて来るのではないかと思うのです。それは昨年の暮にベース・アップされた教職員給与平均幾らになつているか、言い換えますならば、現在の教職員給与平均幾らもらつておるか。それから現在の教職員の数が幾らあるか。それによつて現員現給の現在の総額というものが明白になつて来ると思うのです。それから今政府が出されている、この予算に出ている金額と比較、対照しなければ、果して現員現給が確保できるかどうかわからないと思うのですが、そういう点局長はどのようにお考えになつておりますか。
  17. 田中義男

    政府委員田中義男君) お話になりました現在の給与単価において幾らになつておるか、乃至現在の先生の数が現実幾らになつておるかということの実際につきましては、実は只今折角実態調査をいたしておりますので、はつきりしたことをここに申上げる資料を実は只今では持合せておりませんが、ただ一般的に申上げられますことは、ともかく御承知のように従来給与費につきましては都道府県負担をいたして参つておりまして、そうして現員現給をそれぞれ支弁をいたして参つておるわけでございます。従つてその建前はそのまま二十八年度限りとしては踏襲をいたしましてそうして国としてその財政措置をいたします場合に、従来平衡交付金で参りました、その中から給与費、一部教材費をも加えてこれを別に外して、そうして給与費として国が別途措置をする、こういうことになつておるのでございまして、この国の措置のみによつて全部を二十八年度において賄うのだ、こういう建前ではないのでございまして、従つてこの国の措置そのものによつて又その財政措置によつて全部が何らの不足なしに賄えるのだ、こういう点については少し前提において多少違つたところがあるのでございまして、従つて来年度においては定員定額によつて国としては措置をいたしますけれども、併し給与費そのもの都道府県負担とし、その支給として従来通りにこれを賄つて行く、こういう建前なのであります。
  18. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 只今説明は非常に重要であろうと思うのですが、私も法案自体についてはまだ十分検討をいたしておりませんが、少くとも八都道府県を除いた他の府県教員給与は国費で負担するというふうに聞いておつたわけです。今の説明によると必ずしもそうでない、こういうふうに説明があつたわけでありますが、そういたしますと、従来からしばしば文部大臣等お話になつてつた、こういつた費用を国で負担するというのは間違いであつたということになるわけですか。
  19. 田中義男

    政府委員田中義男君) これはしばしば従来衆議院におきましても問題として御質問も出たのでございますけれども全額国庫負担というその言葉による解釈の相違がございまして、全額と申しますのは現行法による半額負担給与費に対する実支出額という前提はございますけれども、その半額負担、こういうことを今回はこれを全額にまで持つて行く、併しその意味は定員定額全額である、こういうふうな実は内容として考えて参つたのでございますけれども、それが全額という言葉が非常にもつと広く考えられて、そこに少し行き違いが実際は起つていると思うのでございます。現在の法の建前からいたしましても、又予算措置からいたしましても、私先ほど来申上げる通りでございます。
  20. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この間の衆議院の本会議におきまして、各党から文部大臣質問が行われたのでありますが、その質問に答えてたしか文部大臣はその今予算計上してある国庫負担の九百一億円ですか、政府計上している予算現員現給を確保することができるのだ、決して首切りを行う必要もなければ減俸を行う必要もないのだと、こういう説明をしておられたわけであります。そうすると、只今田中局長説明によると、政府が提出している予算で賄えるか賄えないかはわからん、それは別問題だ、こういう答弁とは私どもかなり違いがあるように思うのですが、私どもこの現員現給がこの予算で確保できるかどうかということについては、非常に大きな関心を持つているわけなんです。従つてこの問題はなお十分私はお尋ねをしなければならんと思いますが、そのことを確めるために、この際資料一つお願いしておきたいと思います。先ほど調査中であるというお話でございましたが現員現給に関する調査であります。これはべースアップをされたのちにおける、言い換えますならば、現在の教職員の数、それから教職員給与平均、これは実態です、それを提出して頂きたいと思います。これは都道府県別にやつてもらいたい。そうして全国的な集計を出してもらいたい。このことをお願いしておきます。  次にしばしば文部省説明を聞きますと、相当現在は欠員が生じておる、こういうことでございますが、どれくらいの欠員が現在あるのか、それをお伺いしたいと思います。
  21. 田中義男

    政府委員田中義男君) 欠員定員という言葉、必ずしもこれは当らん言葉で、ございまして、定員は御承知のように各府県においては各府県条例等ではつきり定めるべきものなんでございます。ただお尋ねの点は財政計画において算定基準として考えて参つたものが、実際の先生方実数とどういう差があるかということであろうと思うのでございまして、御承知のように、従来の財政計画における算定基準としては、先ほども申上げましたように、小学校についての基準中学校についての基準或いは結核休職者ないしは盲聾学校等についてもそれぞれございます。それらの基準を考えまして、少くとも財政計画における算定基準におきまして、生徒児童の数を元にして出しました場合に、先ほども申上げましたように事務職員をも含めて約五十三万になります。実際の各府県先生方或いは事務職員実数は、先般得ております統計によつて数字によりますと約五十一万ございまして、従つてその間二万の開きが出ておるわけでございます。
  22. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これも合せて私は都道府県別にその数字を示して頂きたいというふうに考えておるわけでございます。今日は主として私は資料を要求したいというふうな立場で申上げます。  次に仮にこの予算が成立したといたしまして、これをどういうふうに都道府県配分するかという問題であります。恐らく文部省ではこの配分については計画があるものだと考えておるわけでありますが、そういう点について配分計画ができておるのかどうか、お伺いしたいのであります。
  23. 田中義男

    政府委員田中義男君) 都道府県配分をいたします場合のこの基準につきましては、法案附則第十二項乃至三項でございましたかに規定をいたしておるのでございまして、一応先ほど来申上げました全国的な数字を出しまして、併し実際にこれを都道府県配分をいたします場合には、その都道府県における学校規模、特に山間僻地で小さい学校の多い所でございますとか、或いは教員の資格構成におきまして教員の数、助教員の数の比率等をも考え、又特に来年度の措置としては現状をもできるだけ勘案をいたしまして、そうして客観的な一定の率を出して、そうしてそれらの基準を元に各府県別の配分をいたしたい、かように予定をいたしておるわけでございます。
  24. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の問題ですが、大体考え方についてはわかるのでございますが、政府予算定員定額により予算が組まれておるわけなんであります。併し地方の実情は必ずしもこれには適合していないわけであります。従つて配分に当つて定員定額による配分というのは到底不可能であると私も考えるのであります。そこで実際にどういう基準によつて配分計画を立てるかということが問題になると思います。今説明がありましたが、その内容については説明がないわけであります。そこで、どういうふうな基準の下にこの配分を行なつて行くのか、その基準でよろしいのですから、これは示して頂きたいと思います。若し今できなければ、これは資料として出して頂きたい、かように考えます。そのほか、この際資料要求としてお願いしておきたいのは、昭和二十七年度において産前産後の休養をとつた先生の数が幾らにのぼつておるか、それから結核療養者の数がどれくらいになつておるのかということ、それから有資格者と無資格者の数、大体無資格者がどの程度あるのか、これは都道府県別調査したものを出して頂きたい。大体それだけの資料をお願いしまして、一応私は今日の質問を終りたいと思います。
  25. 田中義男

    政府委員田中義男君) 只今いろいろ御要求のございました資料につきましては、できるだけ速かに整えまして差上げたいと思います。ただ府県別の配分基準でございますが、これも実は本当に実態調査をやりませんとなかなか正確な基準が立たないのでございまして、只今申しましたほかにやはり生徒児童の数とか、先生の数或いは学級数等、それぞれ基準にして、そうしてそれに対して一定の効率といいますか、それらを出さなければなりませんので、従つて、その基準を出します前提として目下実態調査をやつておりますので、その結果はつきりした基準を立てたい、かように考えて目下その準備を進めておることをあらかじめ御了承頂きたいと思います。
  26. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私念のために申上げておきますが、これらの資料のうち最も重要な資料現員現給の調査でございます。当然こういう予算を出し、これを施行するような法案を出す以上は、これは実態調査というものは私はできていなければならないというように考えます。若しできておらなければこれは早急にやつてもらわなければこの予算は執行できないのじやないかというふうに考えますので、これは予算審議のうち特に早目に出して頂かなければ、しばしば文部大臣が言つておるように、現員現給は確保できるのだと言つておりますけれども、できるかできないか、この調査を待たなければ私はわからないという意味で、早く出してもらいたいということをお願いいたしておきます。
  27. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の問題ですが、荒木委員が言われたように、そういう今要求しておるような基本的な調査は、そういう調査に基いて政府法案を出され、或いは予算を出しておられるに違いない。法案を作り予算を出してからあとでそれにつじつまを合わす資料をお作りになるのじやなくて、逆なんです。だから法案をお出しになり、或いは予算をお出しになつたならば、同時にお出しになるべきはずであるにかかわらず、そういうものを出しておられないのはなぜなのか。殊に本会議の当初からこの問題は問題になつておるのだから、そのときに技術的に準備されたつて、もう今はできておらなければならない。或いはこの委員会が始まつた当初において、理事会はそういう資料を要求しておる。それにもかかわらず今に至るまで出て来ない。むしろ我々は事務当局とがつちりそういう資料従つて話合いをするということがこの今の審議の主要な目的なんです。そのときにお出しにならないで、なおいつか近い、早い機会に出しますというようなことでは、これはもう審議をする価値がないのだ。それができるまでこの法案なり予算なりはお出しにならないほうがいいじやないか。それらの点をどう準備しておられるのか、はつきり一つお答えを願いたい。
  28. 田中義男

    政府委員田中義男君) 決して何らの資料なしにはやつておるわけではございませんから、従つて現在あるだけの資料によつて作成をしてお答えを申上げるつもりでございます。ただ、先ほど来申上げました点については、一層来年度の予算執行の上の正確を期するために、更に正確なる調査をやつておると、こういうことを申上げるつもりであつたのでございまして、さよう御了承頂きたいと思います。
  29. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いつまでに出ますか、資料は。早くから要求しておるのです。
  30. 田中義男

    政府委員田中義男君) ここ四、五日うちには、はつきりしたものを差上げるつもりでございます。
  31. 千田正

    ○千田正君 ちよつと方面を換えて聞きますが、このたび中共から約三万名の同胞が帰国するのであります。そのうち、伝え聞くところによりますと大体最初に帰国する者は婦人と子供である。おおよそその何%かは学生児童その他の者が帰国すると思いますが、そうした帰国者に対して、文部省としましてはどういうような受入態勢をとつておるか、それに対するどういう予算を組んでおるのか、一応伺いたいのであります。
  32. 田中義男

    政府委員田中義男君) 文部省としては、学校教育関係、社会教育関係がございまして、社会教育関係については只今、後に社会教育局からお答え申上げることにいたしまして、学校方面につきましては、私どもの方としては、子供が帰つて参りました場合には、その年齢に応じ、なお学力に応じまして、その時期如何を問わず、直ちにそれぞれ適当な学校、適当な学年にこれを転入学せしめますように、先般すでにその旨の通牒を用意いたしまして、各地方の教育委員会に出したところでございます。
  33. 千田正

    ○千田正君 学校へただ入れるだけでは帰国者に対する受入態勢にはなつておらない。ただ学校の校門をくぐらせればいいというだけでは何も予算は要らない。それに対して十分生活の保障を政府においてはみておらないような状況であります。でありますから、教育の真髄を発揮するためにはやはり帰つて来た、入れるところの子供の将来のいわゆる教育費の負担というような面はどういうふうに文部省は考えておられるのか、この点をもう一度はつきり伺いたいのであります。
  34. 田中義男

    政府委員田中義男君) 生活扶助の点になりますれば、これは厚生省でも相当考えてくれることと考えるのでございますが、なお学校教育方面におきましては、他に教科書その他の無償配布等の点もございますし、又その他の点につきましても、一般に与えておりますことについては、当然できるだけの便宜を与えるように考えなければならんと思つております。なお社会教育関係については社会教育局長から申上げます。
  35. 寺中作雄

    政府委員(寺中作雄君) 社会教育局といたしまして、これは帰国者が日本の国土を踏む際に、全然日本の国情について何もわからないで入つて来て、そうして生活に戸惑いするというようなことがないように、国情の実態を知らせるというような意味の一つの教育的措置をやりたいと思つております。その予算は来年度について百万円、本年度について三十万円ほど予定をいたしておりまして、これによりまして日本の現在の国情、即ち政治、経済、或いは教育、生活、職業、一般に差当り知りたい知識、差当りよく呑込んでおかなければならない常識というふうなものを、新聞式のパンフレットに印刷いたしまして配布するほか、舞鶴の上陸所の援護局の建物の中で、或いはこの国情をよく知らせるようなレクチユアをいたしますとか、又リクリエーシヨンの意味を以ちまして、附近の小学生等から或いは音楽とか唱歌を聞かせるというようなことによつて心を慰めるとかいうような措置をいたす予定にいたしております。
  36. 千田正

    ○千田正君 どうも今まで文部省の諸君の言うことを聞くというとお座なりのことしか考えておらない。二十八年度に百万円の予算で何ができますか。ただ音楽を聞かせたり、リクリエーシヨンをやつたりパンフレツトを出すだけで、帰つて来た帰国者のそういう青年や少年が、本当の日本の国民として勉強できるかどうか。どういうふうに一体厚生省と協議の上であなた方が予算をとつておるのか、私はその点を聞いておるのです。リクリエーシヨンだとか、そういうことは、これは国民すべてが当然に考えることであつて、何も文部省だけでなく、厚生省でも当然考えることであつて、帰つて来てから生活が十分できない、こういう人たちの子弟に如何にして日本の国民としての教育を享受させるだけの予算をどういうふうに一体閣議なり、或いは厚生省なりとの間に十分協議して、本年度或いは来年度の予算の中に盛込まれておるかということを私は聞きたいのであります。その点をはつきり、ただ百万円や三十万円のことで、これは舞鶴に来てパンフレットを見たところが、それは単なる一つの広告を見るに過ぎないのであります。日本の国民としての教育をこれからはつきりと植付け、教養を身につけて行くための文部省としての予算をどういうふうに組んでおるのか、その点を私は聞いておるのであります。はつきり返事してもらいたい、予算がないならないと。
  37. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 問題は文部省並びに厚生省に関係いたしておりますが、厚生省関係者が出席いたしておりませんので、私大蔵省主計局でございますが、非常に御満足行くようなお答えはできないと思いますが、代つて一応御説明申上げます。  引揚の問題につきましては、従来からその重要性に鑑みましていろいろと予算措置をいたして参つたのでありまするが、今回の中共地区からの引揚につきましては、この点特に重要視いたしまして、先ず引揚げられました方方には帰還手当を出すというふうな特別の措置を講じております。なお引揚げられました方々に、先ず住宅の施設を講じますために、これ又特別の予算計上いたしました。なお又目下二十八年度予算計上いたしておりますところの生活扶助につきましても、二十八年度は相当大幅のいわゆる基準の改訂をいたしておるわけであります。生活扶助のうちには、すでに千田先生承知のように、いろいろの扶助があるわけでありますが、教育の扶助ということもございます。これは子弟が学校に参りますような場合に、家庭が苦しいというようなふうな場合におきましては、この生活扶助の中の教育扶助を以ちまして、子弟の教育に必要なる経費を国が八割負担をいたしておるわけであります。  それから先般国会におきまして議員提案で母子福祉法というのが議決に相成つたのであります。これは御承知のように母と子だけの家庭につきましては特にその保護を強化いたしまして母の保護のみならず、子弟の教育に関しましては特に育英制度を強化いたしまして、これらの父なき子に対する育英制度を大いに強化いたしております。私どもといたしましては、なお今後中共地区からの引揚者につきましてその実情をよく見極めまして、教育その他におきまして、なお国といたしましてもできるだけの措置を講じて行きたい、かように考えておるのでありますが、一応今まで予算計上いたしましたあらましを申上げまして御参考に供します。
  38. 千田正

    ○千田正君 私から言えば、今の御答弁においては満足できないのであります。ということは、例えば今の育英事業の資金の問題などありましたけれども、そのうちに一体帰国者の子弟は最上のランク、優先的なランクにおいて見ておるのか、そういう予算計上ははつきりしておるのかどうか、こういう点なんであります。例えば厚生省からのいわゆる生活保護者の中に充当するうち、教育費は何%に一体見込んでおるか、そういう点において私は聞きたいのでありまして、今日は用意がないと言われるならば、後日改めて文部大臣或いは厚生大臣に更に伺いますから、今日御返事がなければ又次の機会に私は申上げます。
  39. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 千田君に申上げますが、これは厚生省関係ですが。
  40. 千田正

    ○千田正君 いや、私はそうとは思いません。厚生省も少くともその面で当然影響を受けますけれども文部省はそういうものに対してどれだけの熱意を持つてつて来る子弟に対して、厚生省なり大蔵省に当つておるのかということを文部省に聞きたいのです。それは或いは行政処置の面から言えば厚生省の分でありましよう。厚生省の予算の中に、文部省として帰つて来る子弟のうちどれだけのものを見てくれということをどれだけ言つておるか、なつていないから私は質問しているのです。
  41. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して、大体子供の数をどれだけ見ておるか、見ていなければ予算はとれない。大体の推定はあると思いますが、そういう計算の根拠の子供の数についてちよつと伺つておきたい。これがわからなければ全然できない、どのくらい見てどういうふうにして具体的にやつておるかやつていないか、これでわかる。
  42. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 千田先生、岩間先生お答えいたしますが、引揚の主管省が厚生省なんであります。恐らく千田先生の御趣旨は、その主管省であるところの厚生省に、それから母子福祉も主管は厚生省であります。従いまして千田先生の御趣旨は、そういう制度を持つておるところの厚生省に対して、文部省が大いに熱意を以てその優先性を主張すべきである、こういう御趣旨かと思うのでありますが、この点は文部省も全く同意見であると思いますが、あとで御答弁があると思います。  岩間先生の、人数をどれだけ見ておるかということでありますが、これは先生承知のように、今こちらから代表が参りましていろいろ打合せをいたしておるところでありまして、これは千里眼を以ちましても私はわかりません。或いは岩間先生ならおわかりになるかも知れないと思いますが。(笑声)
  43. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体予算を立てるときに、概算的な目のこを持たなければならんと思います。大蔵省で大体三万引揚げると言つておれば、そのうちで小学生、中学生、高等学校生、これがどれくらいあるかということの大体の目安が付くだろうと思います。それで政府は五万といつておるが、これは当然もつと多く組むべきです。それが大体数字がなくてどういうような方策を立てると言つても、方策が具体化されていない何よりの証拠です。何も私たち千里眼でそういうことがわかるとか何とかいう問題じやありません。あなたたちは当然それは一応の推定すべき数字がある。その参考のために申上げれば、大体日本の今の人口は八千五百万、その中で小学校中学校生徒を合せますと約一千六百万以上超えていますね。約二〇%だから約六千人分だけはこれは義務教育は見ておかなけりやならん。そういうことで初めて引揚の措置がとられる、こういうことになる。それは使わなければ使わないでよいし、足りなければ追加ということもあるけれども、一応の目安としてはそれは推定するところの根拠があるわけだ。その点を私はお聞きしているので、千里眼や何かじやない。社会科学的なことなんだ。そうなんです。その点、根拠がないのか、はつきりしなさい。それを推定しないでわけがわからないことを言つたつてわからん。それだからリクリエーシヨンの百万円だなんて、じようだんじやない。(笑声)
  44. 田中義男

    政府委員田中義男君) 文部省としても相当帰つて来られる方々につきましては関心を持ちまして、帰つて来られたらばできるだけ不自由のないようにと思つていろいろ折衝はいたして参つておるのでございまして、ただ、今お話しの点についての数字等につきましては只今お答えする資料を持ちませんでございますから、改めて又御返事申上げたいと思います。
  45. 千田正

    ○千田正君 これ以上私は伺いませんが、問題は、帰つて来てから総理大臣のようにばかやろうというような教育をするなら別としまして、(笑声)本当に日本の国民として将来立派に国際の日本としての国民をつくるという意味ならば、受入態勢としての教育は最重点でなければならないという私は考えを持つております。かるが故に私は、厚生省においてその行政所管であるが、その社会保障なり或いは生活補助費の中に教育に関するところの費用というものは相当みてやらなければならない。それには文部行政を司るあなた方の方から特に強く今後の予算の中にそれを入れるべきである。そう要求しなければならない。私は国民の一人として特にこれは強く要求しておるのでありますから、今後の質問において文部大臣に私は又伺いますけれども、その点を、これからでも遅くない、今まさに帰らんとしつつあるのですから、文部行政の重点の一つとして考えて頂きたいということを一つ要望しておきます。
  46. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 先ほど説明のありました地方財政計画において給与関係総額が千百五十五億という教字でありますが、これはもつと内容的にもつと項目別にいつてどういうものを含んでおるのか、その内訳を一つお知せ願いたい。更にこれはどうも昨日の説明を聞いても又今日の説明を聞いても実際わからなくなるのですが、一体この千百五十五億というのは定員定額で算出してこれだけになるという数字なのか、それとも現員現給で推計してこれだけになるという数字なのか、その点の区別も一つはつきりして頂きたい。
  47. 田中義男

    政府委員田中義男君) 千百五十五億と申しますのは、いわゆる定員定額として国で交付いたします場合の規模でございます。なおその内訳の詳細につきましては非常に細かくなりますので、これは又表にして他の資料と一緒に差上げたらどうかと思いますが、それでよろしうございましようか。
  48. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それじや委員長にお聞きしますが、そういう数字が出て来てから改めてもう一遍そういうことを細かく討議質疑する機会を与えてもらえますか。
  49. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 承知しました。
  50. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それじやそれらの問題は資料が出て来てからやりますが、文部省お尋ねしたいのですが、これらの給与費その他を算定されて昭和二十八年度に一体国家財政において教育費が、更に地方財政において教育費が幾ら算定されることになるのか、これは過去の数年間に対比してどういう向上を示しておるのか、それを数学的に一つ説明願います。
  51. 田中義男

    政府委員田中義男君) これも少し用意した数字はございますが、ここで読上げますのも如何かと思いますが、差上げましてよろしうございましようか。それともここで読みますか。
  52. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 一応読んで下さい。そしてあとで数字を出して頂きたい。
  53. 田中義男

    政府委員田中義男君) それじやそういうふうにいたします。
  54. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それからこの次からそういう数字はわかり切つた重要な数字ですから、質問する前に配つておくようにお願いします。
  55. 田中義男

    政府委員田中義男君) 教育費につきましては、一応教員給与費と物件費とに分けまして、そうしてこれを二十六年度、七年度、八年度更には九年度と一応の予想でございますが、そういつたふうのものにこれを分けまして、更に教員給与費のうち国が幾ら持ち、地方幾ら持つか、又物件費のうち国が幾ら持ち、地方幾ら持つ、而もその総計でどうなるかということを一応作つて参りましたのでそれを申上げます。  給与費につきましては二十六年度は国が三百八十二億八千九百万円、地方においては四百二十五億九千九百万円、合計が八百八億八千八百万円、こういうふうになります。二十七年度は国において四百七十七億一千六百万円、地方において五百二十五億二千百万円。
  56. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その計は幾らになりますか。
  57. 田中義男

    政府委員田中義男君) その計は一千二億三千七百万円。なお二十八年度でございますが、国において九百一億七百万円、地方において二百七十九億八百万円、その計が千百八十一億五百万円、こういうことになります。それから次に物件費でございますが、物件費につきましては二十六年度は国において百十七億九千万円、地方におきまして四百五十九億一千三百万円計五百七十七億三百万円、それから二十七年度でございますが、国におきまして百五十一億一千六百万円、地方におきまして四百六十九億四千二百万円、合計六百二十億五千八百万円、それから二十八年度でございますが、国において百四十九億五百万円、地方におきまして五百八億八千六百万円、合計六百五十七億九千百万円、二十八年度推計が只今申上げましたようなことでございます。なおこれを表にして後ほど又差上げることにいたします。
  58. 左藤義詮

    左藤義詮君 二十九年度の見通しはつきませんか、大体推定して。
  59. 田中義男

    政府委員田中義男君) これは地方費あたりがどうなりますか、はつきり出ておりませんけれども、それでは国費だけ申上げましよう。二十九年度教員給与費でございますが、国におきましては一千二百五十億五千三百万、地方費は二十九年度はなくなるわけでございますから、給与費につきましてはゼロです。それから物件費は国において百七十三億八千五百万円、それから地方費において五百三十九億三千九百万円、合計して七百十三億二千四百万円、八年度、九年度と、これは全くの推計でございますからさよう御了承を得ておきたいと思います。
  60. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは義務制だけですか、高等学校も含まれておりますか。
  61. 田中義男

    政府委員田中義男君) いいえ、義務制だけです。
  62. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから私は特に義務制だけでなくて、文部省のほかのところにお願いすることになるかも知れませんが、お伝えおき願いたいのですが、国の教育費或いは地方の教育費全般に亘つてどれぐらいの経費が出されておるか、それが財政総額の中においてどれぐらいの比率を占めておるのかということについて、過去数年から最近に至るまではつきりわかるような数字をお出し願いたいと思います。
  63. 岩間正男

    ○岩間正男君 私も資料を要求したいと思うのですが、それは昨年義務教育国庫負担法が審議されましたときに、私は文部省のほうにお願いしまして、憲法二十六条の義務教育を無償にする、そうして国庫が全部これをみる、こういう建前に立つて費用負担をやるとすれば総額幾らになるか、こういう点で資料を求めたのであります。この中に教員給与費、維持運営費、校舎の減価償却費、教科書費、学用品費、学校給食費、数学用品費、それについて小学校中学校盲聾学校の全部の義務関係学校の経費、それから更にこれに加えて事務職員のこれらの全部の総費用であります。これの調査を願いまして昨年資料を頂いたわけであります。ところが今年度実は必要がありまして、この国会の事務局のほうに、文部省政府委員室のほうにお願いしたところが、三日かかつてもどうしてもお出しにならない。この点は私第一おかしいと思うのです。一体どこでこの資料を出されたのかわからないのでありますけれども、恐らくこれは管理局のほうで調べられて出された表だと思うのです。それでこれは去年も出されたのでありますから、当然原本がなくちやならんと思うのです。ところがどこを探してみても、あつちこつちを探したけれども到底そういうものが見当らないと言つてもらえなかつたのです。私は非常に苦心惨憺しまして専門調査室のほうで調べてもらいましたところがその資料があつたわけです。それによりますと、昨年二十六条でまあ国庫で見る、こういうことになりますと、義務教育関係総額二千七百八十二億五千二百万円という計が出ておる。ところが今年度はこれに対しまして当然ベースアツプがあるわけであります。物価の値上りもあるわけであります。こういうような点から若しも憲法二十六条を完全に実施する、つまり総額国庫負担でみる、これは吉田総理が言いましたところの義務教育全額国庫負担、こういう線を少くとも最小限において果すとすれば何億になるかという資料を今年度の新らしい計算に基いて私は頂きたいと思うのです。実はこのことは非常に予算審議に当つて必要だと思うのです。政府の考えておる全額国庫負担ということと、それから少くとも憲法で保障されて文部省が昨年出したところの資料との間には莫大な開きがある。この点から我々は大体今度の法案の性格というものを伺うためにはこの資料を頂くということは非常に重要だと思うのです。昨年度のあれを見ましても、大体政府の出しておる資料によりましても、今年度政府が実際出しておる額から見ますると、完全にこれを実施すれば三倍以上要るわけです。従つて義務教育全額国庫負担などと最初謳つた点は非常にまゆつばものだと思うのです。少くともこれでは三分の一負担法と言わざるを得ない、これは明らかであります。そういう点からこの資料は出して頂けると思うのでありますが、如何でございましようか。
  64. 田中義男

    政府委員田中義男君) 御要求のありましたその資料については、一つ作りまして差上げられると思います。ただ憲法に保障されております義務教育無償の原則にのつとつて、そうしてどれくらいそれの線に沿つて教育費が出るか、こういうお問に対するお答えということでなしに、御要求によりまするその項目についての資料として差上げたいと思うのでございます。と申しますのは、義務教育無償の原則というその無償の範囲如何ということについては、いろいろ議論のあるところでございまして、御承知のように法律には授業料の免除ということも一つございますので、それを云々する考え方も従来一部にございました。で、私どもとしてはもつと広く考えまして、あの無償の原則というものは少くとも父兄が子供を教育させますために、その生活費は別にして教育のために父兄が負担をする、その費用については少くともこれを無償とする、こういうふうな考え方只今つておるのでございますが、更にそれを拡げて、学校の建物その他一切の教育に関して、父兄と国とを問わず、或いは公共団体とを問わず、すべてそれにかかる費用と、こういうことになりますと、更に非常に広いものになるのでございまして、従つてども資料として差上げますのは、只今御要求のございましたその項目に応じて算定したものを差上げる、こういうふうに一つ御了解を得ておきたいと思うのでございます。
  65. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の項目で結構です。大体少くとも最低今問題になるのは給与費と、学校の維持運営費、校舎の建築費、教科書、学用品、学校給食、それからまあそれに対して通学の最低の用費くらい、これだけ少くとも見てやらなければ、日本の教育は実は崩壊しつつある、大衆の負担が教育の過重の負担に堪えて行けなくなつて来ておる、生活が非常に崩壊しておる。元来憲法がこういうような形で二十六条が作られたのは何も喋々する必要もない点でありますけれども、戦争前には、教育というものが、経済的な基盤によつて平等に行われなかつた小学校を百人卒業しますと、中学校、女学校に進むことができる子供は二十人に過ぎなかつたわけです。つまり二〇%しか進学できない。それであとの八〇%の中には非常に優秀な人材が残つてつても、これを経済的な原因によつて教育することができなかつた。これを教育平等の原則を確立して機会均等を与えてやろう、これが根本精神で、又日本の教育の改革の一大原理で、この点は間違いないところであります。従つてこの点を守るかどうかということが、少くとも義務教育を本当に守るかどうかということにかかつて来ておるわけです。従つて先ほどの教員給与費、こういう問題で、この問題をごまかしてしまう、今まで半額出したから、これを全額出すから全額国庫負担だなんという実に問題にならない解釈をやつて世人をごまかすということは、非常に問題なわけです。少くとも最低義務教育を維持運営して、そうして貧富の差なく教育をして行くという大原則を本当にやつて行くというような立場に立てば、どうしても今挙げましただけの項目のものは、最小限度必要があるわけです。幸いに昨年も出されました資料がありますから、この資料に基かれまして、今年度のを新らしく計算するというと幾らになるか、この点を明らかにして頂きたいと思います。この程度で結構であります。
  66. 左藤義詮

    左藤義詮君 この法律につきまして教職員が最も心配しておりますのは、減員減給が果してないかということなのでありまして、それに対して今局長はそれで足るはずだ、その基準はと言つた実態調査中だ、非常に佐多委員から御指摘のように後先がさかさまになつておるように思うのでありますが、この実態調査はどういう方法でしていらつしやるか、これは状況によつては非常に問題があるのであります。各県ごとに精密に現員現給を減さないということを確保し得るだけの調査がどういう方法で今進んでいるか、その点と、我々としましては、十二日にこの予算委員会でこの法案について質疑をしたいと思うのでありますが、それには必ずその数日前までに間に合うように是非資料を出して頂きたい。  なお既得権を非常に尊重したいというふうに御苦心のほどを伺つたのでありますが、本年度は私は非常に、特に富裕府県などでは無理があると思いますが、文部省の御趣旨に従つて既得権が守られるとしまして、本年度新しく卒業して就職します者につきましては、今までは府県によつて相当凸凹があつたのですが、これが一本になるのか、或いはやはり従来の府県の差をお認めになるのかどうか。それから昇給ですが、本年度は既得権現員現給とおつしやいますが、やはり将来定員定額のこの基準で頭を揃えて行きますためには、富裕府県においては相当足踏みをさせられる、今までのような率によつて昇給をして行かれる見込があるかどうか、この点について伺つておきたいと思います。
  67. 田中義男

    政府委員田中義男君) 現員現給が保証されるかどうかという問題と、只今実態調査云々と申上げましたのはちよつと少し食い違いがあるのでございまして、各府県にどういうふうに九百一億を配分をいたしますか、その配分基準府県別に得ますそのために特に基準を設定いたします。その前提として正確な実態調査が欲しい、こういうふうに考えておることを申上げたのでございまして、その実態調査の方法としては五十万の方々にそれぞれカードを配布いたしまして、そうしてそのカードをそれぞれ統計局のほうで専門的にまとめて、そして正確なものを出したい、かように考えておるのでございます。それで資料その他につきましてはとてもそれまでは待てませんから、只今ありますだけの資料に基いて作成をしてお手許に差上げるつもりでございます。  なお現員現給が確保されると申上げますのは、これは国、地方を通じて財政措置の上でのお話を申上げておるのでございまして、而も法的な措置といたしましても、現在の法案建前として附則におきまして、二十八年度の措置として現在の現員現給そのまま横すべりをいたしまして、そうして国家公務員に任用されたものとする、こういうふうにいたしてございますし、なお給与負担支給については従来通り都道府県負担支給とする、こういうふうになつておりますので、従つて現員現給はそれに基いて保証されるのである、こういうふうにお話を申上げておるのございます。  それからなお昇給その他の問題でございますけれども、これを如何にするかという問題は、やはり各府県間の不均衡の問題とからんで非常にむずかしい問題でございますが、我々としてはともかく教員についての給与体系を合理的にこれを早急に考えまして、そうしてそれらの得ました基準によつて調整して行くように考えたい、かように方針を立てまして、そのほうに向つて準備を進めておるのでございます。
  68. 左藤義詮

    左藤義詮君 合理的に調整をしたい、早急にというお話つたのですが、例えば北海道のごとき非常に助教が多い、これは文部省定員定額に揃えようとなさつても、なかなか需給の関係がそう簡単に行かないと思うのです。早急というのは何年くらいで全国定員定額で頭が揃えられるようになるか、どういうふうな見通しを付けておいでになりますか。
  69. 田中義男

    政府委員田中義男君) 只今何年くらいという見通しもはつきり持つておるわけじやございませんが、現在の実情からいたしましても、又国の附属学校先生方のことも考えまして、ここに教員の方々の給与体系というものは再検討をして、そうして合理的な体系を確立する必要に実は迫られておるわけでございまして、それを成るべく早く急ぎまして、確定案を得た上でそれによつて調整をして行きたい、かように思つておるのでございます。
  70. 左藤義詮

    左藤義詮君 そういう御努力をなさることは当然でございますが、そういたしますと、先ほど私が申上げたように、現在府県によつて初任級に非常に差がある。これはもう二十八年度から一律になさるおつもりであるか。又昇級率等も違つておりますが、これも既得権だけはそのまま横すべりをする、併し今までの昇級率その他については各府県一斉になさる、そうすればもう中には年齢、経験等をいろいろ実態調査いたしまして、結局富裕府県等におきましては、優秀な教員が集中しております都会等におきましては、頭を揃えるために相当の足踏み、昇給率の低下とかというようなことが起つて来はしないか。その点はどういうふうにお考えになつておりますか。
  71. 田中義男

    政府委員田中義男君) 国家公務員になりました場合には、もう二十八年度の初めから国家公務員としての給与法の適用を受けることに相成るわけでございまして、従つてその基準に基いて執行することに相成るわけでございます。
  72. 左藤義詮

    左藤義詮君 さよういたしますと、現在地方教職員、特に本年度卒業して就職しようという者が最も心配しておる問題にぶつかるわけでございますが、まあこの点は一つあとに譲りまして、定員定額で、一つこういう法律で将来国がこの問題を背負つて行こうということになりますると、なかなか困難な、いろいろな問題が起つて来る。それを而も早急に仕上げなければならん。それに対して、まあ実態調査中とおつしやつたのですが、私どもお伺いすると、十分まだ見通しがついていないというふうに思うのでありますが、さしずめ二十八年度におきましては、例えば富裕府県におきましては、一文も国から金はもらわない。而も教員国家公務員なんだ、それじや我々として、今まで相当犠牲を払つて府県で、地方費でいろいろできるだけのことをしようと思つたのだが、もうこの基準によつて最低でいい、現にこの二十八年度の富裕府県予算編成等において、府県の当局、或いは府県議会が、教育委員会に対して非常に冷淡になつた。精神的にもう今までのような緊密な、教育に対する熱意が示されないというような実情があると思うのでありますが、この点について御存じになつているかどうか。それに対してどういうふうの措置をお考えになつているか。
  73. 田中義男

    政府委員田中義男君) お話のようなことが地方でちよいちよいございますことも伺つておるのでございますが、ともかく、少くとも二十八年度は従来通り、ともかくやつて頂きたい。富裕県等につきましても、一時の臨時措置でございますから、その点は御了解を得て、そうして成るべく早く、本来の姿に持つて行くように措置をいたすつもりでございますので、まあそれらの地方等については、事あるごとに従来通りつて頂きますように、実はまあお願いをしておるようなわけでございます。
  74. 左藤義詮

    左藤義詮君 文部省のお願いだけでは、地方の実情はそう行きませんので、非常にその点で、まあ継子扱いをせられた富裕府県には、もうさしずめ二十八年度の予算の編成に非常な問題が起つておる。そのために私どもいろいろな反対の陳情も来ているのですが、その点については、文部省もよく認識して、ただお願いをする、お願いをするだけでは片付かないので、この点も今後の審議につきまして、そういう点、各府県における実情等についても、私どもも陳情を聞いておりますが、一部の陳情だけでなしに、文部省としても実情の調査をして、その資料等も一つ現在二十八年度の地方予算の編成が、特に教育予算の編成がどのようなことになつておるか、二十七年度、二十八年度がどのようなことになつておるか、これも緊急に調査して一つ資料を出して頂きたい。
  75. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 左藤委員質問に関連するわけなんですが、現員現給はこの予算で確保できるかどうかということは私ども非常に大きな関心を持つておる。先ほど説明を聞くと、そういうこととは関係がないのだ、この予算数字と、それから現員現給が確保されるかどうかということは関連がないのだ、こういうふうな説明のように聞くのですが、その点どうも了解できない。私どもお尋ねしておるのは、そこに出ておる九百二十億という予算現員現給が確保できるかどうか、こういう点をお尋ねしておるわけなんです。その点お答え願いたい。
  76. 田中義男

    政府委員田中義男君) その点については最初も数字として……。
  77. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は簡単に言つてもらいたい。
  78. 田中義男

    政府委員田中義男君) 最初申上げましたように、現員現給八百七億、それで国庫負担東京大阪を除く七百八十七億、こういう数字が申上げてあるのでございまして、従つて現員現給と今回のいわゆる定員定額の間には少し開きがあるわけでございます。従つて現員現給即定員定額ではございませんから、その開き分については、特に富裕県乃至基準よりもよほど上廻つたところにおいては、やはりその不足分については地方において負担を願う、こういう建前になつておるわけであります。
  79. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私が今お伺いしておるのは、八都道府県の問題は一応枠の外に出して落している。その他の府県においては現員現給がこの予算で確保できるかどうか、こういうことをお尋ねしておる。
  80. 田中義男

    政府委員田中義男君) 九百一億は東京大阪の交付団体を除きまして、六府県も入つておるわけなんでございます。従いまして更に六府県を除きますならば、その九百一億からもつと減つて来るわけでございます。で六府県を除いてあとそれでは全部賄い得るかと、こういうお話でございますけれども、これはやはりよほど基準より上廻つた府県等については、少し負担を願わなければならん結果になりはしないかと思つております。
  81. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこが非常に重要な点になる。結局この予算では現員現給が賄えないということになるのではないですか。
  82. 田中義男

    政府委員田中義男君) 現員現給そのまま賄うには、不足しておる、こういうわけです。
  83. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこが非常に重要なんです。しばしば本会議質問等においては、現員現給は賄い得るのだという答弁が行われておるわけです。ところが今日お聞きいたしますと、現員現給を賄うには足らない、こういうことなんです。これは私は幾ら足らないか、これはやはり資料によつて十分説明をして頂く必要があると思う。この問題はですねこの法律の……(「キーポイントだ」と呼ぶ者あり)私は死命に関する重要な問題だと思う。国が負担をするという建前に立つて予算を組みながら、その予算現員現給に足らない、こういうことがはつきりしておれば非常に重要だと思う。従つて先ほど要求いたしました資料はこれは審議、この日程にもありますように、この問題を審議する以前に是非出して頂かなければならん。これでは我々十分の審議ができない。ですからそういう意味において出して頂きたいと思います。  ただ、先ほど私の質問は、主として初等、中等教育について説明がありましたので、それに限定しておるわけです。更に他の文部予算についてはなお続いて説明があるわけですか。なければ私はほかの問題についてやりたいと思います。
  84. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 荒木君にお答えいたします。他の文部省関係は大体分科会に譲つて行こうとこう考えておるのです。とにかく一番重要なポイントだけを当初この委員会質疑応答をやる、こういう方針に行つておりますから。
  85. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうですか。
  86. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の荒木君の質問に対する田中局長答弁に関連しましてちよつとお伺いいたしたいのですが、この現員現給は賄えない。そうするとその足りない部分だけは地方財政で賄うと、こういうことをまあ決定しておるとしまして、自治庁のほうではどうですか。自治庁のほうではこういうような措置をとることを考えているのかいないのか、こういう点について十分話合いができておるのかどうか。この点は非常に重要だと思うのです。地方理事者はこの点はそうでないように私は理解しておる。現に地方を歩いて見ましても、全部これは全額国庫負担してくれる。地方教員給に関する限りは、少くとも地方では負担はしないという、こういうように把握し、すでに予算もそういう点で着手しておると思うのです。そうなりますと、今の話のような、まるでそれと違うようなことが明らかになれば、この点地方予算編成上にも非常に支障が出て来るだろう。原則的にこのような法案が、教員給与全額出すということを謳つておるのなら、経過措置とか何とかという点で、いろいろな問題を濁されて、現実には非常に矛盾がおきて来たから非常に問題だ。この点についてどういうふうに地方自治庁としては考えておるか承わりたい。
  87. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 二十八年度の義務教育国庫負担の問題に関しまして地方財政上どういう財源措置をしてあるかというお尋ねだろうと思うのです。これは一昨日の本委員会におきまして、昭和二十八年度の地方財政計画を御説明申上げたのでありますが、その際に明年度において殖えて参りまする各種の増加経費を含めまして、義務教育のものも勿論でございますが、実際の歳出を含めて、そうしてそれに対する歳入の計画を立てておるわけでございます。で、先日お示しをいたしました地方財政計画によると、平衡交付金総額を千七百二十億という数字に一応なつておるのでございまして、明年度義務教育国庫負担制度が実施されますると、その千七百二十億円となつておる平衡交付金の中から、九百二十億円だけが義務教育国庫負担金として分割されて行く。而もその残りまする八百億円が平衡交付金になるわけでございますが、その両者の間におきましては、明年度に限り暫定措置として、いわゆる国庫負担義務教育を全体実施をいたしまするのに必要な給与費総額ではなくて、超過団体に、つまり平衡交付金算定上出て来る超過財源は差引いて交付をする。こういう暫定措置をとるのでございますから、要するに両方合せまして、即ち国庫負担金と平衡交付金と合せまして、千七百二十億円というものがありますれば、明年度の財政計画はつじつまは合うことになつておるわけでございます。
  88. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、今の説明によると、この足りない部分は八百億円のうちから出すということになるわけですか。
  89. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) お答えを申上げます。その八百億の平衡交付金配分云々ということを申上げておるのではございませんで、全体の地方財政計画の中で以て、数字が合うようにできておるわけなんです。そこで明年度は特にそういう意味におきまして義務教育に関しまする給与費負担も特に明年度だけは府県負担とする。身分は国家公務員に切替えるのでございますが、地方負担とまあこういう措置をとることになつておるのでございます。
  90. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこのところね、単純に答えて下さい。我々は頭が悪いんでそういう全体の何でどうだということでなくて、今言つたように足りないのをどこから出すのか問題だ。それから富裕県とか貧困県があるわけですね。そして貧困県はやつぱり現員現給は賄えないという問題が起つて来る。そうすると或る所は出さなくてもいい所があるだろうし、或る所では出さなければならない、こういう問題が現実に起るわけですね。そういうときどういう措置をとるか、今申しましたように、すでに今予算を組んでいるわけなんですよ。地方でそういうときにそういうような想定の下で組むのかということは、今後の予算編成の上で明らかにされなければならない問題だと思います。従つて今の点を明確に答えて頂きたい。
  91. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 財政措置をどうしておるかという意味で申上げているわけであります。その意味から申しますると、要するに実態をお考え頂きますれば、今年と明年とにおいて、義務教育学校に勤務いたしまする教員給与費というものは、まあ去年と明年とを比較いたしますと、ベース・アツプによる昇給であるとか、或いは一般的な自然的な昇給があるとか、或いは昨年度に比べて明年度は自然的な増員があるとか、そういう違いはあるわけでありまするが、実質的には別に国家公務員なつたからといつて負担関係が変つて来るわけではないのであります。そこで仮に義務教育国庫負担制度というものが明年度行われないといたしまするならば、先日御説明申上げました地方財政計画で申上げましたように、千七百二十億円の平衡交付金がありますれば、二十七年度にやりましたと同じような意味で、二十八年度でも賄つて行けるわけであります。ただ義務教育国庫負担制度が実施をされますると、その分については国の負担金を交付しなければなりませんので、その部分を全体千七百二十億円の中から九百二十億円というものを負担金として分けるわけであります。従つて地方といたしましては、国からの負担金、それから平衡交付金、それからなおそのほか持つております自己の一般的な財源、これは財政計画の中の各種の歳入項目として御説明を申上げたわけでございますが、それらの財源を以て負担することができる。負担に充てることになる、こういう計画になるわけでございます。
  92. 岩間正男

    ○岩間正男君 財政の財源のそういう点はわかつたのですが、現実的に現員現給に足りない、こういうことが起つて来る。それは地方財政で賄う。こういうことになりますと、八百億の紐付きになるのですか、そういうことを自治庁のほうでは了承しているのかどうか、少くとも文部省のほうでは、それは紐付きにしてもらわなければ、ここのところは、非常にそこのところは齟齬ができるだろうと思います。自治庁のほうではそれを了承しているのかどうか、そのお話合いができているのかどうか、そういう問題です。
  93. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) その点の負担を、財源に紐を付けるとか付けないとか、こういう問題じやないのでございまして、只今提案いたしております法律が成立をいたしますると、府県はそれだけのものを負担いたさなければならんわけであります。それに対しまして、国としては国庫負担金を交付するわけなんでありますし、それから国庫負担金のほか平衡交付金、或いは一般の地方税その他の歳入項目、各種の歳入があるわけでございまするが、それらを合せて地方に対する、この措置によつての必要なる財源措置というものが行われておる、こういうふうにまあ考えているわけであります。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 やはり私の一瞬心配するのは、そういう説明は一応しているわけであります。それでまあ実際問題になりますというと、給与を受ける教員立場になると、府県のほうではなかなかそういうことは了承しないのじやないかと思う。そういうことで非常に問題が先にやつぱり残るのじやないかと思う。足りない分、この点を非常に心配するわけなんです。無論平衡交付金の現在の制度では紐付制度というものではない、ないのですが、一応了解というのが両者の間で確立していなければ、この問題を解決しないで先になつて紛争を残すもとになると思います。一方では法案はとに角出された。そうして国庫でこれは見るのだ。現員現給は賄えるのだという説明をとにかく先にしておられたが、大臣現員現給は賄えるのだと答えておる。ところが実際聞いてみますと、今の田中局長言葉では、現員現給は賄えない点が出て来る。そうすることに食い違いが出て来るのです。大臣言葉を先に信頼して、地方財政は今訂正のまつ最中です。そういうところですでに査定をしてきめてしまつて、そうすると先に行つて問題が必ず残つて来る、こういう点はどうするのです。その食い違いが出て来て、実際の問題と本会議における大臣答弁と食い違つて来る。そういうところはどういうふうに話し合つて具体的にあなたがたがきめられたかということはこれは大切だ。どういうふうに了承しておけばいいのか。先に行つて問題はどこにおつかかつて来るかというと、給与を受ける教員立場におつかかつて来る。この点はどうです。この点明らかにして下さい。
  95. 田中義男

    政府委員田中義男君) 自治庁からも御説明になりましたように、全体としての財政計画において二十八年度それぞれ措置はできておるということでございます。それで教育費に関しましては、ともかく従来通り府県負担とし、而もそれを現実に現員現給で以て国家公務員としてこれは任用したものとみなす、こういうことになつておるのでございますから、府県において当然これは現員現給を負担すべきものなのであります。ただ国としてそれに教育費として流しますその給与額は、いわゆる定員定額であり、その一定額を交付して行く。こういう建前なんでございまして、従つて賄える、賄えないということを単に交付金のみに考えられるのか、全然地方財政の上でのお考えになりますのか、そこいらに少し食い違いがあるのではないかと思うのであります。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 非常に得手勝手な法案ですね。
  97. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 岩間君の質問に対する自治庁が答えておるのは、もう少し簡明に願いたいと思います。財政計画とか、財政というものではなしに、実際問題として義務教育関係費というものは、抜き出されて九百二十億、こういうふうに出て来ているわけです。その大部分教職員給与費になるのですが、これが各府県配分されて、これが基礎になつて教職員給与費というものは地方においても予算化されるのではないかと思う。その場合に現員現給が確保されない。足らんという問題が起つてきた場合に、地方の自治団体としてはその不足分を予算の上で計上するようになつているのか、なつていないのか、その点をお聞きしているわけです。
  98. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 先ほども申上げましたように、今度の法律案が成立をいたしますると、府県給与費負担する義務が出て来るわけです。従つてこれは当然負担をしなければならないわけです。それに対して国が一体財源措置をしているのかどうかというお尋ねであると思いましたので、これは二十八年の財政計画で御説明申上げましたように、財源措置はしてあるのだというふうに申上げておるわけです。さつきもちよつと申上げましたように、要するに二十七年度の状態と二十八年度の状態を比較して、併せてお考えになりますと、明年度教員の身分が地方公務員から国家公務員に切替えられるということ以外には実質的な負担の増加と申しますか、新らしい負担というものはないわけなんであります。従つて二十八年度の財政計画の全体として私たち考えております八千四百十七億という財政規模で、この範囲内のこれだけの規模財源措置というものが行なわれておれば、明年度この制度を実施して行く上に地方としての財源の不足は別にないのだ、こういうふうに考えているわけであります。
  99. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは九百二十億というのが紐付にならない、全体の地方財政計画としては、一応数字の上では賄ない得る、こういう計算が立つたかも知れん、恐らく立つているだろうと思う。併し平衡交付金から一旦これだけを紐付といいますかね、全然この教育費として抜き出した以上は、教育費の問題は、やはりこの抜き出した予算がその基礎となつて……。実際にこういうものを抜き出しても抜き出さなくとも地方としては何らの相違が起つて来ないのですか。
  100. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 極めて大ざつぱに申上げますならば、平衡交付金として国から交付を受けておりました財源の一部が義務教育負担金として交付される、こういうことになるのだというようにお考え頂いてもいいんじやないかと思います。
  101. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうなれば義務教育費の予算編成に当つて、この九百二十億というものが基礎になつて地方の何が組まれるのじやないですか、予算……。無関係に組まれますか。
  102. 武岡憲一

    政府委員(武岡憲一君) 地方予算を組みまする際には、そこにおります教員給与費幾らという予算を立てて、これに対するこの給与を支払うために必要な予算を組むわけなんであります。ただそれに対する財源に何を見るのかという問題になるのだと思うのでありますが、それは国庫の負担金として来るものも、その府県について申上げますならば、国から来る財源といたしましては国庫負担金として来るものもございましようし、或いは平衡交付金として配分を受けるものもございましようし、或いはその団体自身の持つております自主的な財源というものもあるわけなんで、財政計画全体として見ますならば、それを賄うに足りるだけの措置をとつておる、こういうふうに御了解頂いたらいいのじやないかと思います。   —————————————
  103. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 別に御質問もなければ、これから国家地方警察の説明を聞きたいと思います。
  104. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 二十八年度の国家地方警察の予算といたましては、総額二百二十億余を要求いたしているのでありますが、只今委員長からの御注意によりまして、警察法の改正と本年度予算との関係はどういう関係になるかということを説明しろというお説でございますから、その点に限りまして説明を申上げます。  先般提案をいたしました警察法の改正は、自治体警察と国家地方警察両方をやめてしまいまして、その代りに都道府県都道府県警察を置いて、中央には警察庁というものを置く。中央は只今国家地方警察本部ということになつて国家公安委員会事務部局となつておりまするが、これが内閣の総理府の外局として警察庁を置き、これに警察庁長官をその長といたしまして国務大臣を以てこれに充てる。それから現在管区本部というのがございますが、この管区本部の機能を専ら警備或いは教育訓練、それから通信連絡というような事柄に限りまして、内容といたしましては現在その中に五部ありますが、これを三部制にする。これが要点でございます。  そうして然らば本年度の二百二十億の国家地方警察の予算が、年度半ばに改正法律施行いたしました場合にどうなるか、それから府県の警察は、これは原則といたしまして府県費を以て賄う。国で特に必要と考えまする経費、それから都道府県の警視以上の警察職員の経費、これらは国費を以ていたしますが、その他は府県費を以て支出をする。そうして市町村の自治体警察が廃止になりますから、そこには負担がなくなるというのがこの法律が実施されました後の姿になりまするが、本年度に限りまして、この法律が若し通過ができまするならば、十月一日を目途として施行いたしたいと考えておりまするので、そうしますると本年度下半期の経費がどうなるか。国費においてどうなるか、府県においてどうなるかという点があるのでありますが、これは本年度中は、この改正法案施行いたしましても、都道府県警察に必要な経費は国家地方警察の組織に属しておりまする警備については国が持つ、市町村警察については依然として市町村が持つ、こういう形にいたしているのであります。従いまして都道府県費が新らしく殖えるという点は、本年度は実施をいたしても起らないのであります。警察庁、いわゆる国家地方警察本部に代る警察庁、それから管区本部に代る地方警備局、これはただ内容国家地方警察本部と称しておりましたのが警察庁という工合に変り、管区本部と称しておりましたのが地方警備局ということに変るだけでありまして、先ほども申しますように、殊に地方警備局は簡素化をされますから若干節約になるということに相成りまするので、国の予算といたしましてはこの新らしい警察法を年度半ばから施行するということになりましても何ら増加を来たさないでやつて行ける、予算そのままで施行ができる。かようなことになつているのでございます。新らしい警察法の施行只今提案をいたしておりまする二十八年度の国家予算との関係はさように相成るのでございます。御質問に応じましてお答えいたします。
  105. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御質問ございませんか。
  106. 曾禰益

    ○曾祢益君 二十九年度以降はどういうふうになるのですか。あなたのお話ですと、二十八年度については都道府県警察の分は国家が持つ、市町村警察の分は市町村が持つ、そうして実質的には府県警察になるわけですね。だから財政措置は要らない。予算措置は要らないというわけですが、それで二十九年度になつたらどういうことになるのですか。
  107. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 二十九年度に相成りますと、先ほど申しましたように、国の費用は警察庁即ち只今国家地方警察本部に相当する組織でありますが、警察庁の費用とそれから地方警備局の費用これは先ほども申しますように、二十九年度におきましても若干減少はすると思いますが増加はいたす必要はございません。問題は国家地方警察の都道府県において支出しておりまする現在都道府県警察ができ上りました後に、その都道府県警察に対する国費との差額がどうなるかという問題に相成るのでありますが、都道府県におきまする警察費は警視以上の人件費、これは現在国家地方警察におります警視以上の者、市町村から入つて来る警視以上の者全部に相成ります。この人件費とそれから国費で支弁をいたします都道府県に要する費用、それは警察用の例えば装備費、車輌でありますとか、船舶その他の警備装備費或いは教養施設、通信施設、警衛に要する費用といつたような国で持つ必要があると考えられる費用、この両者になるのでありますが、人件費を本庁及び地方警備局それから都道府県の警視以上の費用、これを合わせまして約三十億程度でおさまるであろうと考えております。それ以外に国が直接持ちまする警察の費用は百数十億で足ると考えておるのであります。二百億以内でおさまると考えております。従いまして現在二百二十億でありますから、国の直接支弁となりまするのは本年度よりも減ずることに相成ります。ただ、都道府県において負担をいたします費用、これの一番大きいのは警部以下の警察職員の費用でありますが、それとそれ以外の普通の警察の費用、これに対しまして国は一部負担をすることができるとなつておりますから、我々の望みといたしましては、少くとも二百二十億から直接国が支弁する費用を差引いた残額が、これは府県に補助として出してもらうように、来年度二十九年度の予算として編成をいたしたいと思つております。少くとも直接国費は減るわけであります。それで問題は市町村が全警察費を二十九年度は支出する必要がなくなりまして、その支出の大部分都道府県へ移りますから、問題は府県のその財源をどうするか。今日市町村の警察の費用総額は今まで我々のほうに報告を受けましたのは、二十七年度の中頃までに議決された予算でありまするが、それによりますると二百六、七十億であります。これをべース・アツプいたしまして、そして来年度二十八年度の予算として我々推定をいたしておりまするのは、三百十億と、かように考えております。国家地方警察は二百二十億でありまするから、この両者を合せまして五百三十億、全体の費用で五百三十億、そのうち国費は先ほど申しましたように、二百億以内で二十九年度以降は足ると、こう考えまするが、少くともその三百十億程度のものは府県に費用の負担者は変るわけでありますから、その財源を一体どうするか。これは平衡交付金の操作だけでは賄いがつきません。御承知のように富裕府県平衡交付金をもらわずにおいておりまするから、この平衡交付金府県へ移し替をするというだけでは措置がつきません。従いましてここに府県と市町村との間の或いは税制その他の措置によりまして、他において不要となつ財源府県へ移し替える措置を何らかとらなければなりません。自治庁長官も言明しておられまするように、来年度までには、他方税法等の改正によつて府県、市町村、国との負担関係調整を図りたい、かように言明をしておられまするが、その際にそういつたことを織込んで、府県と市町村の財源調整を図りまして、実行をいたすのに支障のないようにいたしたい、かように考えておる次第であります。
  108. 曾禰益

    ○曾祢益君 今度の法律改正案によると警察職員の定員という問題はどういうふうになるのですか。それに関連しまして現実に給与のほうはどうなるのですか。ただ身分が変るだけで給与のほうはどうなるのか、この点についてお話を伺いたい。
  109. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) お答え申上げます。今度の警察法の改正によりまして、いわゆる国家地方警察それから自治体警察が都道府県警察に一本になりますることによりまして、人員を減らすことができるのでありまして、現在予算定員十三万二千警察官がおりますが、これを十一万五千にまで減じるということを今度の法律案に明記をいたしておるのであります。併しながらこの減員の方法はできるだけ円滑に行いたいと考えまして、できるだけ自然減耗の不補充によつて参りたいと考えております。この法案通りまするならばさような考えを以ちまして二十八年度から不補充原則で参りたいと考えておりまするから、早く法案通りまするならば、少くとも本年から三年以内には減少は可能になると考えます。この減員いたしまする人件費は五十億前後になろうと考えております。  もう一点は、只今市町村警察の警察吏員の給与は、国家公務員でありまする国家地方警察の職員に比しまして相当給与が高いのであります。この高いのとそれから低いのとの調整をどうするかという問題があるわけであります。これは同じ県内におきましても、国家地方警察と自治体警察との間に非常に開きがありますることは勿論、自治体警察の間において、即ち市町村を異にするによつてその基準が違つておるのであります。そこで本年度は先ほど申しましたように現在の所属に従つて費用をそのまま負担するわけでありまするから、支障は来さないのでありまするが、二十九年度になりますると、これはもう本来の姿として出発をしなければなりませんから、同じ階級、同じ能力において、今まで給与が違つてつたからというて、同じ県内で違つた給与に高低を設けるわけに参らないと考えまするので、どこかにこれを統一、調整をしなければならないと考えておるのであります。警部以下は府県の公務員になりまするから、そうしますと府県給与水準というものを中心として統一、調整を図る必要があると考えます。従つて現在その水準よりも低いものは引上げ、それよりも非常に高いものは引下げるという措置が必要だと思います。ただ高いものを引下げますることは、現に給与を受けておりまする者に対する非常なる不利益を与えるわけでありまするから、この不利益のないように、若しそういう措置をとるということになりまするならば、この不利益を一時金にでも換算をするとか、何らかの方法によつて処理をいたしたい、かように考えております。この法案が幸いに通過をいたしましたならば、市町村の給与実態、それから府県給与水準というものを詳細に取調べまして、それによつて来年四月一日までにどういう調整を行うかを、具体的に只今申上げましたような方針によりまして調査をいたし、実施に移したい、かように考えております。
  110. 曾禰益

    ○曾祢益君 もう一点それに関連いたしまして、そういう場合に例えば一時金を与えるというふうなことで、給与体系を一本にして行きたい、これはまあ管理当局としては当然と思うけれども、国警長官も十分おわかりのように、非常にこれはモラルの問題と関係するわけでありますが、そういう点についてはこれは予算の問題から多少離れるかも知れませんが、市町村警察から編入される場合の給与調整のために士気が衰える或いは良い者がやめてしまう、そういうような心配がないと、こういうふうにお考えかどうか。これは技術的に、政治論でなくて、本当に警察の実態を知つておられるあなたから伺いたい。
  111. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) その点は、只今も御指摘になりました通り、私どもとしては最も肝心な事柄だと考えておるのでありまして、このために士気を衰えさせるということのないように万全を期したいと考えております。現在給与の差が非常に甚しいことは只今申上げました通りでありまするが、例えば警視庁について申しまするならば、警部以下の俸給は、今まで通りにして、むしろ国家地方警察は今度は警視庁……、これは都の給与水準に従つておりまするから、引上げるものばかりになるのじやないかと、かように考えます。それから法案にありますように、他の五大都市は、その市の区域の警察を希望によつて持てることになつておりまするから、若しさようになりまするならば、五大都市の給与水準はもうそのまま、警部以下は引下る虞れはない、何らの措置なしに維持できるとも考えられるのであります。そうして給与の高い大部分は六大都市であります。六大都市以外に給与の高い所もございますが、そうなりますると、その額は非常に少くなつて参ります。従いまして、只今現在の市町村の警察官の士気を衰えさすことなしに給与水準をその県内において整えるということは私はしかく困難な問題ではないと考えておるのであります。全国一様にするということは非常に困難だと存じます。併し府県々々でその府県給与水準に従つて統一をするということは、さして困難ではないと考えておるのであります。
  112. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 資料をちよつとお願いしたいのですが、それは警察力の比較の資料なんですが、戦前とそれから今度警察法を改正した後、二つの点について資料を頂きたい。一つは機構的にどういうふうに警察力が強化されて行くのか、機構的にですね。それは例えば今の国警長官というのは前はどういうものに相当しているとか、それから前の警保局長というものが今度どういうものになるかとか、機構的にどういうふうに戦前と比べて強化されるか、その点を一つ前と比較して頂きたいのです。いろいろな名前が違つておるのでわからない。この点おわかりになりますか。
  113. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) ちよつとお伺いしますが、只今のは今度の改正をしたものと戦前との比較でございますか、現在でなしに。
  114. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ええ。
  115. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 改正された姿とそれから戦前のものとが機構がどう違うか……。
  116. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうです。そうしてそれが警察力の強化との関連においての機構の比較です。それは国家警察的な機構になつて行くわけです。ですから御面倒かも知れませんが、三つ、戦前と機構改革直前と、自治警というのがありますからね、それと今度改革した後、こういうふうに比較して頂ければ一番いいわけです。それからもう一つは今度人員関係なんですよ。まあ大体昭和十一年頃を基準として結構なんですが、そのときの警察官ですね、ですから旧警察組織によりますとどのくらいの警察官がいて人口に対してどのくらいの割合であつたのか、それから今度改正直前についてはそれはどのくらいに増加し、改正後においては又どのくらいになるのか、人口との比率ですね、その点について実質的にどのくらい警察官というのが殖えるのか、人口との比較において出して頂きたい。  それとあと質問なんですが、財政負担については余り変らないというのですが、警察力として今度の改正によつて実質的にどういうような変化が来るのか、いわゆる警察力増強と言われていますが、その増強面というのは具体的にどういう面に現われて来るのか、その点具体的にお伺いしたいのです。
  117. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 警察力といたしましてはどういうように判断いたしたらよろしいか非常にむずかしいわけでございますが、一口に言いまするならば、今度の警察法の改正が実現できまするならば、いわゆる人員も或いはその他の施設装備といつたものも、現在よりももつと節約ができて少くとも今日の能率は上るという点であろうと存じます。警察力という点から見ればそうだと存じます。併しそれは人員、人だけの点から申しまするならば、人が非常に能率的に使えるという点からさようになるのでありますが、警察官の総数を警察力、こういうことに見るならば、約一万七千人が減るわけでありまするから、それだけ減つた、一割三分減つた、そういう面から見ますると、一三%減少するわけであります。併しそれを能率的に使うことによつて、現在と同じ程度の能率を上げたい、又上げられる組織になるであろう、かように御説明をするのがよろしかろうかと存じます。
  118. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほど資料の要求の場合、職員も含めて頂きたい。直接の警察官ばかりでなくて、職員も含めて……。  それから只今お話ですが、その人員も減り、予算も節約される、そうして警察能率が上るというのですが、具体的にどういう形を意味しておるのか、その内容です。
  119. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 具体的にわかりやすい例を申上げますると、同じ市町村の中に自治体の警察署とそれから地区警察署いわゆる国家地方警察の署がございます。国家地方警察はその自治体警察でない周囲の所をふだん受持つておりまするが、改正後は、駐在の数は変りませんでも、その署を一つにするということによりまして署長二人いたのが一人で済む、内勤は両方にいた者を二つに合せれば半分或いは六割で済むというようなことが起つて来る。従つてその署の維持費も修繕費も要らなくなる。二重に同じような設備をしておつたそういう設備も要らなくなる。そういう点が一番のわかりいい大きな点だと存じます。
  120. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、お話聞きますと実にいいことだらけなんですがね。これについてのマイナス面というものをお考えになつたかどうか。いい面もあるでしようがマイナスの面ですね。これによつていろいろ弊害もあると思うのです。そういうものについてお考えになつたことですね。
  121. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) これは国家地方警察と自治体警察それぞれ違うわけなんですが、プラスの面マイナスの面両方に出て参ります。現在の国家地方警察は御承知のようにこれは全く国家機関であります。そうして都道府県に置かれておりまする国実地方警察もこれは全部国の公務員であります。府県費は出しておりません。全部国費であります。この面から申しますると、制度の上から住民に親しみが少い。これは現在の欠点でございます。併し能率は非常によろしい。自治体警察はそれとは違いまして、住民には非常に親しみがある。併し国とは何ら繋りがない。警察の面におきましては、これは警察独立国であります。国から指揮命令も何も受けないという独立国になつて、而もそれが小さい単位でおるわけでありますから、その面から申しますると、住民とは非常に親しみが組織の上では持てる。併し今申しました欠点がある。殊に小さな中小都市になりますと、その区域が非常に小さい。そして独立をしているということは、能率的の面からだけ申しても非常なマイナスである。国家的の面から申しますると、先ほど申しましたように、国の息が全然通わない。ところが警察というものは、御承知のようにこれは住民自身でやるべきような事柄、いわゆる本当に地方に任しておいていい事柄と、それからどうしても国の存亡にもかかわるという面と二つあるわけであります。この二つの性格を持つている警察の仕事を、国家地方警察においては国の面だけを見たものにしておる、自治体警察においてはその地方の面だけを見たものにして、そうして二つの性格を地域によつて分けておるということが、まああらゆる制度運用上、困つた原因の出て来るもとであります。そこでこの両方をつきまぜてしまつて、そうして単位は府県単位の大きさにして、国の息もかかるが住民もこれに親しめる。国家地方警察から言えば、今までなかつた面をそこに強く出す。自治体警察においては今までなかつた国家的な面を出すということで、そこでやつて行こうと、こういうわけでありまするから、私は今度の考え方は、警察のあり方として本当のあり方ではなかろうかと考えております。現在のあり方は非常に偏つたあり方で、市においては非常に偏つているし、市以外のところにおいては又偏り過ぎている。よく警察は、これは自治体の基本権である、市町村からそれを奪うことは自治の基本を侵すことだとか言われますが、九千何百ありまする市町村の中で、九割九分まで現在は何らタツチされていない。府県会議員を通してもタツチされていないという形で現行法ができているわけです。この点を是正いたしまして、住民の親しめる、そうして国家的性格を持つ、こういうものにいたしたいというのが我々の考えでございます。一面能率的な運用をいたしたい点もあります。
  122. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 お話としては、成るほど両方の欠陥を矯めて長所を生かして行くということであることはわかりました。併し実際に今お話がありましたように、能率が上るでしよう。併しですね、地方警察のいいところであつた民衆に親しむという面が、これは実は非常に重大な面だと思うのです。警察として民衆警察、そこで何かそういう今度の制度改革をやつた場合に、能率は上るでしようが、能率が上るという反面、民衆警察的な面が失われるについていろいろこれは実際に調査、検討をされて、相当よく調査されたのですかどうか、何かそういうものがあつたらお示し願いたいのです。ただそういう構想ではそうなるわけだというのでは、丁度二と二を足して四、それを数字的にやるというような形では警察法は解決しないと思うのです。ですから何かそういう基礎的な資料或いは調査されたものなり、或いは又具体的なもつとこういうふうに準備があるのだ、こういう弊害に対してはこういう対策があるのだ、そういうものがございましたら、予算審議の面で一つ出して頂きたい。
  123. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) ちよつと只今調査というのは非常にむずかしいのでございまして、どういうものを示したらよろしいのかわかりませんが、我我只今まで五カ年間十分そういう点を研究いたしながら来たわけであります。それでこのうちでは統計なり何か示すものがあるとか、今度の制度にした場合に親しみがどうなるか、それを科学的に調査できるかと申しますと、これは非常にむずかしいのでありまして、私どもとしましては、そういう調査はちよつとでき得ない次第であります。かように考えております。ただ一言申しますと、戦前の警察制度は、これは府県単位でございます。併し只今考えておりまするような大都市は、独立して持たせるということはありませんでしたから、その面においては今度のほうは大都市はもつとよく親しめるということになると思います。  それから警察官が非常に民主的になつたという点は、これは国民全体のいわゆる日本の国の民主主義的なあり方、それに呼応いたしまる国民の民主的なものの考え方というものが互いにうらはらになつてしみ込んでおります。又警察の運営の仕方は、御承知のように刑事訴訟法その他あらゆる法律で非常に変つてつておりまするから、以前のような姿には私は全然ならないであろうと考えております。殊に府県警察になりましても、府県の県会における監視というものはございます。公安委員会を通じての県民の繋りというものもございまするし、又今まで自治体警察が過去五ケ年間に体得いたしました市民、県民との親しみというものは、これは警察職員にしみ込んだものとして私はあるであろうと思います。
  124. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと伺いますが、戦前においては軍隊というものはどの程度国内警察的な保安になつたものか、私よくわからないのですが、これは軍隊も一応国内警察的な任務があると思いますね。今の警察予備隊ですか、保安隊ですか、あれはまあ国内治安ということになつてます。あれが全部国内治安ということになると随分大きなものになると思うのですが、保安隊と今の警察官を併せたものと、昔の警察官と軍隊とを併せた場合の全体の比較ですね、こういうものは可能かどうか、何かそういうものがあり得たらお出し願いたいと思います。
  125. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) これは非常にむずかしいあれでありまして、恐らく私は学者の研究問題だろうと思つております。と申しますのは、軍隊がこのことによつて国内治安に何といいますか、安心感をどの程度与えるかという問題が一番大きな問題だと思います。過去におきまして軍隊が出動いたしましたのは、御承知のように米騒動の場合とか、或いは関東大震災の場合とか、二、三の場合でありまして、実際は出動いたしておりません。併しながら乱れた場合には軍隊が出動するというこのあとに控えた潜在的なものというものは、現実に出動しなくてもどの程度治安面に役立つているかというこの測定は、私はちよつと学者に委ねるほかないと考えます。従いまして今の予備隊の数と警察官の数を合せたものと、昔の軍隊の数と警察官の数を合せてそれでどうこうという答えはでないと思います。
  126. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほど木村委員資料要求の中に或いはあつたかも知れないのですが、装備の問題、これは戦前と戦後における比較総量と、従つて個人別もありましようし、それから総量においてどうか、現在どういうものを持つているか、戦前はどうか、こういう点で装備の比較を出して、それから通信施設、更にいろいろな施設の面において、まあ大体警察が必要とする施設の全般に亘つて、戦前と戦後の比較を出して頂きたいと思う。これはまあ警察力に非常に深い関係のあるものでございますから、警察力の資料の中でそういうことも附加えて頂きたいと思います。
  127. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) ちよつとお断りをいたしておきますが、装備施設ということになりますると、自治体の分が実はこちらにまだよく報告されておりませんので国家警察の分の従前との比較といいまするか、或いは自治体は見込みでよければ……。
  128. 岩間正男

    ○岩間正男君 見込みでいいです。  それからこの予算書を見ますると、今年度の増加分としまして四億七千六百万円の警察装備施設の充実分があるわけです。これはまあどういうものに使うのかという点が一点。  それから、増加分は新らしい警察法によつて想定されるものを含んでいるのか。それとも現在の国警分だけのこれは増加分であるのかどうか、これが第二点。  更に新らしい警察になればどれだけの装備をこれは必要とするのか。二十九年度の予想でもあろうと思うのでありますが、こういう点で計画ができておるとすれば、どの点までこれが強化されようとするのか、そういう点伺いたい。
  129. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 来年度予算要求で装備に計上しておりますのが四億何がしでございますが、これは後刻他の政府委員から御説明いたさせますが、これは現在の制度のままのものでございます。
  130. 岩間正男

    ○岩間正男君 国警分ですか。
  131. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 国警分でございます。  それから本年途中において制度が改正されましても、本年度はそのままでございまして、それを増加する意思は持つておりません。
  132. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほどの御説明によりますと人員は現在より減るのだ。併し警察力においてはこれはもつと整備されるということになりますると、当然機械化、能率化ということが問題になつて来るわけです。そうすると新らしく作られる警察においてはどのような装備、更に機械化、そういうことが大体計画されて、そうして今のような御説明があつたのか、少くともそういう裏付がなければ、単に能力を上げろと言つても不可能だと思うのです。従つてその点特に機械化、装備の強化ということが問題になると思いますが、そういう点は想定されておるのかどうか。
  133. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) この制度が改正になりまして府県警察になりましても、特にそのために機械化をするとか、装備をよくするということは考えておりません。先ほど申しました能率が上ると申しましたのは、同じような仕事をあつちでもこつちでもやつている。仕事をダブつてつている。或いは一つでいい建物が二つ要る。一つでいい施設を二つ持つている。これが一つで済むことになれば半分の経費で済む。そうして能率は同じだ。同じ鑑識施設にして見ましても、各市が持つている、県も持つている。それは県一つでよろしいということにもなるのであります。このために特に機械化をしたり、装備をよくしたりということは、制度改正と何ら関係を持たせては考えておりません。
  134. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 只今岩間委員から予算説明の中の数字について御質問がございましたが、ちよつと御説明申上げます。十六ページの国家地方警察費のところで最後の四億七千六百万円を御指摘になつたのでございますが、これは二十八年度予算が前年度に比べまして十七億一千七百万円増加しておるということを先ず書きまして、その内訳をずつと申したわけであります。最後のところで警察装備、施設等の充実に伴う既定経費の増加、こういうふうに申しておるのでございまして、要するに従来ずつとやつて参りました装備の充実、施設の充実ということがあるわけであります。例えばラジオ・カーを作るとか、或いは車両を整備するとか、こういうふうな既定計画がありまして、その分に伴いまして四億七千六百万円殖える、こういうことでございまして、先ほど国警長官から御説明がありましたようにこれによつて新らしいことをやるというわけではないのでありまして、従来順次整備いたしておりましたものを或いは補充し、或いは多少なかつたところへやるという意味でございます。即ち今回の制度改正とは全然関係なく、国家警察といたしまして従来やつて来ましたものをやつて行く、こういうふうに御了解を願いたい。
  135. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、私はまだ詳しく見ていないのだが、総額において装備施設費というものは大体どのくらいございますか。予算書を細かく見れば明らかになると思いますが、これは増額分だけでしよう、今の四億七千六百万円は……。総額においてどのくらいになるか、その点が一点と、それからもう一つは、全然施設装備において新らしい警察が生れると、それを必要としないのかどうか、その点はつきりして頂きたい。
  136. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 特に必要とは考えておりません。
  137. 中原ただし

    政府委員中原ただし君) 装備施設の関係総額を申上げます。そこにあります装備施設という中にはいろいろございます。いわゆる純然たる車両とか、その他の警備装備というような意味の装備、それから通信関係の機材その他を含んだ装備関係、それからあと施設と申しますのは一般の庁舎関係の官署施設の関係とか、それから警察学校関係の施設とかそういうものを含んでおるわけでございます。それで装備全体でございますが、いわゆるこの中には警察装備とか或いは通信設備とかいろいろ分れておりますが、警察装備というやつだけを申しますと、総額が十六億八千六百万円であります。それから通信は二十五億六千五百万円であります。
  138. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは内容はどういうものになりますか、通信の内容は……。
  139. 中原ただし

    政府委員中原ただし君) 通信の内容を御説明申上げますと、先ず第一に超短波無線施設でございます。それからあと有線関係の占用料、そういうものが大きなものでございます。それで四億幾ら膨らんでおります。内容でございますが、これは先ほど申しましたいわゆる警察装備の関係で約二億近く膨らんでおります。それから通信関係で一億ばかり、それから活動経費が八千万ばかり膨らんでおります。その他施設その他にあちこちぽつぽつと単価の値上りで当然の増になつております。
  140. 岩間正男

    ○岩間正男君 わかりました。それからもう一点お伺いしたいのですが、先ほど新しい形の警察ができても、別に装備の点では現在以上に特に増強する必要はないと、こういうお話なんですが、現状はどうですか。自治警と国警を比べると、非常にこれは自治警のほうが装備が悪いというふうに考えられるのですね。国警に比べたら随分装備が劣つているのじやないかというふうに考えられるのですが、そうすると、これを統合して而も装備は増強する必要がない。そういうことになるとこれはどういうことになるのですか。
  141. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 自治警が装備が悪いと申しますのは、私のほうの装備と申しますのは、御承知のように個人が持つておりますのはピストルでありまして、あとはまあ車両でございます。そこで国家地方警察のほうは現在は応援に出かけるとか或いは非常に距離の長いところを受持つております。移動性が非常に大事でありますから、従つて車両が自治警よりも完備をいたしておるのであります。で、府県で自治警と国家地方警察が一緒になりましても、その作用には相違がありませんから、現在国警が使つておる車両を自治警も使えるということになりまして、そういつた面からも両方ダブル装備が不必要ということになりまするので、統合によつて装備を特に整えなければならんという点は私はないと思つております。
  142. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十二分散会