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1953-02-28 第15回国会 参議院 予算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十八日(土曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岩沢 忠恭君    理事            高橋進太郎君            森 八三一君            内村 清次君    委員            泉山 三六君            大矢半次郎君            川村 松助君            郡  祐一君            山本 米治君            小野  哲君            加藤 正人君            新谷寅三郎君            佐多 忠隆君            高田なほ子君            加藤シヅエ君            曾祢  益君            棚橋 小虎君            堂森 芳夫君            西田 隆男君            鈴木 強平君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君            千田  正君   政府委員    自治庁財政部長 武岡 憲一君    自治庁税務部長 後藤  博君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————  本日の会議に付した事件 ○昭和二十八年度一般会計予算内閣  送付) ○昭和二十八年度特別会計予算内閣  送付) ○昭和二十八年度政府関係機関予算  (内閣送付)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 只今より予算委員会を開会いたします。  前日に引続きまして各省、庁の説明を聴取いたします。自治庁につきまして、武岡財政部長説明を求めます。
  3. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 自治庁の所管いたしておりまする予算のうち、平衡交付金関係につきまして、その算定基礎なつておりまする地方財政計画概要を御説明申上げたいと存じます。  昭和二十八年度地方財政計画につきましては、先に資料を提出してございまして、計画内容並びにその算定基礎等につきましては、詳細は資料の中にございまするので御検討頂きたいと思うのでございまするが、その概要をここで御説明申上げたいと存じます。  昭和二十八年度地方財政計画におきましては、その全体の財政規模は八千四百十七億六千五百万円ということになる見込でございまして、この額は昭和二十七年度、即ち前年度に比べまして大体一千億円ほどの増額となる見込でございます。その内容でございまするが、先ず昭和二十七年度財政規模といたしまして七千四百三億二百万円というものを前提といたしておりまするが、この二十七年度既定財政規模と申しまするのは、昭和二十七年度のいわゆる修正財政計画において策定をいたしました地方財政規模でございます。この規模を元にいたしまして、二十八年度に更にそれにどの程度新規財政需要があるかということを、各項目に従いまして計算をいたしたのでございますが、これが只今申上げました積上げますと大体一千億程度に相成るわけでございますが、新規財政需要額の主な内容を申上げますと、第一は給与に関する諸経費増額でございます。これは昨年の十一月から行われました給与改訂に伴いまする給与費増額分を、二十八年度におきまして平年度化することに伴いまして殖えて参りまする増額でございまして、その計算のやり方といたしましては、二十七年度財政計画算定に用いました地方公務員給与単価、これに昨年十一月行われました給与改訂による増額を認め、更に二十八年度における所要の昇給財源等算定いたしまして、新たな給与単価を求め、この単価人員の数を掛けて総額を先ず算定をいたしまして、それから従来の規模において見ております額を差引いて二十八年度新規需要額を計上する、まあこういうような方法によつておるわけであります。この基本給の計算のほか、これに伴いまする各種手当等の諸給与につきましてもそれぞれ計算をいたしまして、結局給与関係経費といたしましては、二十八年度に三百二十二億一千百万円新規増額がある、かような計算なつておるのでございます。  それからその次には教育委員会の設置に伴いまする経費増額分がございます。御承知通り昨年の十一月一日から各市町村教育委員会が設置せられたわけでございまして、これに要しまするところの経費は、昨年度修正財政計画におきまして新規需要額を計上いたしたのでございまするが、二十八年度におきましても、大体計算方法といたしましては、前年度計算をいたしましたのとほぼ同じような内容算定をいたしております。ただ異なつておりまするのは、前年度におきましては各都市教育委員会事務局に設置せられまする事務職員といたしまして、指導主事一名、事務職員一名という計算なつておりましたが、本年度におきましては都市教育委員会事務局におきましては、指導主事を一名増員いたしまして、指導主事二名、事務職員一名となつておるのでございます。なお、そのほか給与単価等につきましては、勿論給与改訂に伴いまする単価改正をいたしまして算定をいたしたのでございまするが、それによりますると、昭和二十八年度におきまするこの関係経費は、総額大体二十五億円程度になる見込でございます。そのうち約十一億円程度は、昭和二十七年度財政計画の中に算定しておりましたので、差引二十八年度における新規増額分といたしまして十四億一千三百万円というものを計上いたしたのでございます。  それからその次は、いわゆる人口等自然増に伴いまする行政経費増額分計算いたしてあるのでございます。これは平衡交付金算定基礎となりまする基準財政需要額計算の場合に、測定単位といたしまして、例えば人口でございますとか、或いは生徒数児童数というようなものを取つておりまするが、これらの人口なり或いは児童数生徒数というものが自然に増加して来るのに伴いまして財政需要額が殖えて参りますので、これらを推定をいたしまして計算をいたしてみますると、明年度大体四十二億九千四百万円程度殖えるという見込なつております。  それから次には、恩給の特例措置に関する法律施行に伴います経費でございまして、これは昭年二十八年度新規経費として計上いたしております。昨年この法律を御制定頂きましたのでございまするが、これが本年の一月から実施になりまして、これに伴う地方負担がこの四月から、即ち昭和二十八年度から新たに殖えて参りまするので、この計算をいたしますると、大体これによりまして十億七千四百万円程度新規財政需要があるということになつておるのでございます。  次に公債費増加でございますが、これは二十八年度新規分といたしましては七十五億七千二百万円を計上いたしております。即ち従来からの各地方におきまして起債をいたしました分の元利の償還金並びに二十八年度において新規起債いたしまする予定額、これの利子の支払分、そういうものを逐一計算をいたしまして従来の計画見込んでおりましたものを差引きまして、新規に入る分といたして計算いたしたものでございます。  次は、国の行政施策に伴いまして地方負担が殖えて参りまするものでございますが、そのうち国庫補助金を伴わないで地方限りの負担なつておりまする関係のものにおきましては、これは計算上前年度よりも約十億八千万ほどの減少なつております。これは各種物資統制に関しまするいろいろな業務が廃止になりましたために、その関係職員が不要になりますために費用が減つて来るというような関係のもの、それから又いま一つ大きな問題といたしましては、前年の計画におきましては、教育委員会委員の選挙に関する経費約十三億円ほどを計上いたしておつたのでございますが、二十八年度におきましてはこれらの経費が不要になりますので、これを差引いております。なお、半面、若干国の施策に伴いまして殖えて参ります経費がございまして、差引いたしますと、全体としては約十億八千三百万ほど減少になる計算が出ておるのでございます。半面、この国の補助金増加に伴つて殖えて来る経費計算でございますが、そのうちのいわゆる普通補助金一般補助金に伴つて殖えて参りますものは約四十億八千二百万円ございます。この中には明年度から新たに実施せられまする児童福祉関係国庫負担、八割を国庫が来年度から負担をすることになるわけでございますが、その関係に伴いまする新規増額分が約十八億程度ということで算定されておりまするし、その他の各種補助金関係におきまして二十二億三千八百万円ほど殖える、こういう計算なつておるのでございます。これは普通補助金に伴う分でございますが、なお臨時事業費関係といたしましては、全体で約公共事業費におきまして三百四十八億一千七百万円、失業対策事業費におきまして十六億五千万円、これらがいずれも国の補助金増額等に伴いまして地方負担の殖えて参りますものでございます。  そのうち、公共事業費関係でございますが、これは一般公共事業費におきましては、国庫補助金が前年に比べまして百七十四億二千七百万円増額になるのでございまして、それに伴います地方負担額といたしましては、直轄事業分並び補助事業分を合せまして二百八億一千六百万円殖えて参るのでございます。合せまして経費総額といたしましては三百八十二億四千三百万円というものが一般公共事業費として殖えて参る分でございます。半面災害復旧事業費におきましては、これは国庫補助金におきましては十億六千六百万円増額なつておりますが、他面、地方負担額におきましては四十四億九千二百万円の減となつております。これは昨年法律改正によりまして、土木災害復旧並びに農林災害復旧事業等におきまして、国庫負担を若干それぞれ引上げられておりまして、そのために地方負担額減少が見られることになりました。計算をいたしますると、そういうことから差引、全体といたしましては、災害復旧事業費では三十四億二千五百万円が経費の減になるのでございます。そこで一般公共事業費災害復旧事業差引いたしますと、公共事業費全体といたしましては、先ほど申上げました三百四十八億千七百万円というものが事業費増加分という計算に相成るのでございます。  次に失業対策事業におきましては、これは明年度におきましては、国庫補助金が前年度よりも十五億円ほど増額に相成ります。一方これに伴いまする地方負担分は、前年に比べまして一億五千万円ほど殖えまするので、事業量と申しまするか、経費増額といたしましては、全体で十六億五千万円の増ということに相成るのでございます。  次に、単独事業、各地方団体がそれぞれ独自に行なつておりまする単独事業関係でございまするが、単独事業費は、前年に比べまして二十八年度新規に殖えて参りまするものが百五十億九千七百万円でございます。この計算は、従来も地方財政計画策定の際に計算をいたしておりまする方法でございまするが、考え方といたしまして、大体地方単独事業というものも、国の公共事業に関する予算額の殖えて来る割合地方でも殖えて来る、こういうような考え方公共事業費が伸びて来る割合地方単独事業費割合も伸ばして参つておるのでございまして、こういう考え方で二十七年度から二十八年度の国の一般公共事業費増加割合算定いたしますると、大体二割四分八厘ほどになつておるのでございます。この比率を用いまして計算をいたしますると、明年度地方単独事業は、只今申上げました大体百五十億ほど増加をするという計算が出て参るのでございます。  以上は大体明年度において殖えて来まする経費概略を申上げたわけでございまするが、半面におきまして、前年度より若干減つて参りまするものは、不要になつて参りまするものの一つといたしまして、行政整理に伴う不用額というものを掲げてございます。これは二十七年度財政計画策定いたしまする際に、一般職員につきまして五%の行政整理をするという前提で計上いたしておつたのでございまするが、この行政整理年度内に逐次行われるという想定からいたしまして、二十七年度におきましては、この整理人員の大体四カ月分の人件費並びに物件費というものを計画の中に算入いたしておつたのでございます。この分が二十八年度からは不要になつて参りまするので、これを計算して落して参りますると、これが約十八億四千九百万円の減少という数字なつて参るのでございます。  それから今一つは、自治体警察廃止に伴いまして需要額が不要になつて参る分でございまするが、これは昨年の六月一日から廃止になりました自治体警察に関する経費の中で、二十七年度に計上いたしておりました分及び本年の一月一日から新たに廃止になりました自治体警察経費の不要になる分でございまするが、これを合せまして一億三千三百万円の減額を立てておるのでございます。以上、全部を集計いたしまして、昭和二十八年度に、結局新規に殖えて参りまする財政需要額を一千億四千五百万円と算定をいたしたのでございます。  それから更に、このほか明年度における税収変動等に伴い、或いは又児童福祉事業国庫負担制度が新たに明年度から行われるという関係等に伴いまする、いわゆる財源偏在額、即ち収入額支出額よりも超えておるような団体に、余計な財源の幾分を毎年度計算をいたしまして、これを歳出に立てておるのでございまするが、その計算をいたして見ますると、これは明年度よりの十四億一千八百万円程度、まあ何と申しまするか、いわゆる超過額が殖えて来るという計算が出て参りますので、この分も歳出の中に加えて計算をいたしているのであります。以上のようなものを全部集計いたしますと、結局昭和二十八年度地方財政歳出の総規模といたしまして八千四百十七億六千五百万円というものを算定いたしたわけでございます。  次に、歳入関係をあらまし申上げますると、先ず地方税でございまするが、地方税は昨年、昭和二十七年度最終地方計画におきまして見込んでおりました額は二千九百三十四億六千万円であつたのでございます。これに対しまして二十八年度におきましては、地方税収入見込額を三千八十六億五千六百万円と算定をいたしておりまして、即ち前年度よりも百五十一億九千六百万円の増額見込んでいるのであります。この中には勿論自然の見積りの増、又昨年度行われました地方税改正によりまする税率の低減による減収分等見込んでおりまするほか、明年度におきまして地方税法を若干改正いたしまして、地方税収を若干確保いたしたいという考えを持つておりますので、それらに伴いまする増額分等見込んでいるのでございます。  それからその次の地方財政平衡交付金でございまするが、これは地方財政平衡交付金といたしましては、明年度八百億円ということに相成つているのでございまするが、明年度から実施する予定でございまする義務教育国庫負担制度、この制度実施をせられますると、それに伴います国庫負担金として九百二十億円が地方団体に交付せられることになるのでございまするが、二十八年度に関しまする限りにおきましては、この九百二十億円という国庫負担金算定は、八百億円の平衡交付金と合せまして全体の地方財政の調整ができるような計算に相成つているのでございます。で、地方財政計画といたしましては、一応それと合わせまして、仮に千七百二十億円ほどを財政計画上の平衡交付金の額といたしますると、これは前年度に比べまして二百七十億円の増という計算に相成るわけであります。即ち前年度におきましては千四百五十億円の交付金が計上せられたのでございまするが、本年度は、それに対しまして二百七十億円ほど増して千七百二十億円の平衡交付金という計画になるのでありますが、そのうちから、只今申上げましたように義務教育国庫負担制度実施に伴いまして九百二十億円がまあ分割されて国庫負担金として交付せられるということになるわけでございます。なおお手許に差上げております地方財政計画におきましては、この千七百二十億円の平衡交付金道府県分、それから市町村分というものに一応割振つて計算をいたしてございまするが、これは勿論只今の段階におきまして一応予想されまする計算から仮に推定で以て出しているのでございまするから、実際に明年度におきまして平衡交付金の配分を行います場合には、必ずしもこの計画に載せておりまするような数字で配分せられるわけではございませんので、あらかじめ御了承おきを頂きたいと思うのでございます。  それから国庫支出金におきましては、明年度におきましては、前年度の千五百七十一億七千六百万円に対しまして、二百三十一億二千八百万円を増加し、結局総額といたしましては千八百三億四百万円となる見込でございます。で、その内訳といたしまして、いわゆる普通補助負担金、それから児童保護に対する国の負担金制度実施に伴いまする新規国庫負担金、それから公共事業費のうち、一般並びに災害事業費に充てられまするところの国庫補助金、それから失業対策事業に対する国庫補助金等内訳につきましては、資料内容をお示ししてございまするので、御覧を頂きたいと思うのであります。  それから地方債計画でございまするが、地方債計画も、別途地方債計画として数字をお示ししてございまするが、概略を御説明申上げますると、昭和二十七年度地方債計画は、普通会計企業会計を合せまして八百億円であつたのでございます。そのうち普通会計分が六百二十五億円、企業会計分が百七十五億円でございまして、これを資金別にいたしますと、資金運用部資金引受のものが七百二十億円、一般公募に充てましたものが八十億円ということに相成つておつたのでございます。これが昭和二十八年度計画におきましては、地方債の全体の起債計画を千百四十七億円と算定をいたしております。これは総額におきましては、前年度よりも三百四十七億円が殖える計算でございます。そのうち普通会計分が九百十二億円、企業会計が二百三十五億円となつておりまして、これを資金別に申上げますると、先ず普通会計のうち、七百五億円が資金運用部資金引受予定のものでございます。それから公募債に出そうといたしまするものが百十億円、そのほか九十七億円の交付公債というものを計画予定をいたしております。これは国の直轄事業に伴いまする地方団体分担金を、明年度におきましては地方財政状況等にも鑑みまして、公債を売つて団体から国庫に納入をするという制度を設けたいと考えておりまして、従来のような現金支払でなく、或る条件下における公債を以て納付をするという制度にいたしたいと考えておるのでございまして、別途これに関する法案も提出をいたしまして、御審議を煩すことに相成つておるのでございます。その額が九十七億円、合せまして普通会計分が九百十二億円ということになるわけでございます。これは普通会計の分で申しますると、前年度よりも二百八十七億殖えるという計算なつておるのであります。次に、企業会計におきましては、資金運用部資金引受のものが百六十五億、公募債に充てまするものが七十億ということでございまして、それぞれ前年度に比べますると、政府資金におきましては二十億円、公募公債におきましては四十億円の増加ということになつておるのでございます。以上申上げましたような内容で、結局明年度地方債は、全体といたしまして三百四十七億円の増加という計画なつておるのでございます。  最後に、雑収入の見込について申上げますると、これは前年度最終計画におきまして八百二十一億六千六百万円の収入見込でございますが、明年度におきましては七十四億三千九百万円を増加いたしまして、八百九十六億五百万円と予定をいたしております。そのうち使用料手数料関係で五十二億三千五百万円の増収一般雑入におきまして二十二億四百万円の増収を期待いたしております。これらの増収見込は、それぞれ従来の実績なり、或いは又明年度における給与改訂割合なり、或いは授業料計算におきましては児童数生徒数増加割合というようなものを用いましてこの授業料計算いたしておりまするし、又そのほか例えば水利使用料引上げその他の各種手数料等につきましても、やはり地方公共団体手数料令改正によりまして、それぞれ実情に即する限度額引上げ見込んでおりまするので、それらによりまする増収を期待いたしまして、これらの増額を計上いたしたものでございます。これらを合せまして明年度歳入総額は八千四百十七億六千五百万円という計画に相成つておるのでございます。  以上概略でございますが、明年度計画を御説明申上げました。
  4. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御質疑ございませんか。
  5. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 義務教育学校職員の現在の標準における給与総額は大体どれくらいですか。
  6. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えいたします。千百五十五億。
  7. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それでは現員現給で千百五十五億ですか、或いは定員定額でそうなつておるのですか。
  8. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えいたします。いわゆる実質額ではございませんで、私どもの用いまする言葉での定員定額でございます。従いまして只今説明を申上げました地方財政計画上の額と御了承をお願いいたします。
  9. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 すると、今の御説明地方財政計画自治庁のほうの計画上の数字もそれと同じなのですか。そういうようなことに。
  10. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 地方財政計画の中に見込んでおりまする義務教育職員給与総額は、只今主計局から申上げました通りであります。
  11. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、それは員数にして幾らになつているのか。それから給与ベースをどれだけと考えての計算ですか。
  12. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 詳しい資料数字でお手許に差出したいと思いますが、一応概数だけ申上げます。いわゆる義務教育職員全体で五十三万七百三十一人ということになつております。それから給与単価でございますが、昨年十一月のベース・アツプ後の単価で申上げますと、小学校教員が、本俸が一万一千七百九十四円、これが十一月直後のベースであります。二十八年度といたしましては、更に先ほど御説明のありましたような昇給見込みまして、一万一千九百七十一円と見込んでおります。それから扶養手当は、二十七年度が六百七十九円、これがやはり二十八年度も同じく六百七十九円と見込んでおります。それから勤務地手当は、二十七年度千十九円、これを二十八年度におきましては千三十三円と見込んでおります。従いまして、二十七年度小学校教員給与は、全体といたしまして一万三千四百九十二円、これを二十八年度におきましては一万三千六百八十三円と見込んでおります。次に中学校先生でございますが、中学校先生本俸は、二十七年度ベース・アツプ後一万二千八百七十七円、これを二十八年度におきましては一万三千七十円と見込んでおります。扶養手当は、二十七年度九百六十一円、二十八年度も同じく九百六十一円と見込んでおります。それから勤務地手当は、二十七年度九百三十五円、二十八年度九百四十八円、総計で中学校先生が二十七年度におきましては一万四千七百七十三円、二十八年度におきましては一万四千九百七十九円、かように見込んでおります。なお、これは義務教育と申しました場合はに、御承知のように盲聾唖学校先生も入りますので、御参考に申上げます。盲聾唖学校先生は、二十七年度におきましてはベース・アツプ本俸一万二千七百十二、二十八年度は一万二千九百三円、扶養手当は、二十七年度七百四十四円、二十八年度も七百四十四円であります。勤務地手当は、二十七年度二千百三十六円、二十八年度二千百六十六円、合計では二十七年度一万五千五百九十二円、二十八年度一万五千八百十三円と、かように相成ります。
  13. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 これは至急に一つ資料を出して頂きたいのですが、今の御報告の中の五十三万人というのは、定員ですか。
  14. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えいたします。さようでございます。
  15. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 現員はどれくらいですか。
  16. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えいたします。我々の承知いたしておりまするところでは、約五十一万人ということでございます。
  17. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、その五十一万という現員は、二十八年度には五十三万に満たすということを予定して、今の千百五十五億を算定されたのかどうか。
  18. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えいたします。二十八年度地方財政財政計画上の定員といたしまして、先ほど申上げた五十三万余人というものを見込んでおるわけでございます。さように見込みまして、一応いわゆる平衡交付金総額算定基準を確定いたしました。それから義務教育国庫負担の、御承知のような特別の措置がなされることになりましたので、これを別途に計上することにしたわけでございます。
  19. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 だから別途に計上されているのでしようが、そうすると現員はそのままで、現員は五十一万のままで二十八年度も措置するという考えなのか。予算算定基準になつた五十三万までには満たすのだというふうにお考えになつているのか。これは特に自治庁のほうにも一つ御説明願いたい。この点はどういうふうになつているのか。
  20. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 五十一万人と五十三万人の間には関係はございませんのでして、私どもといたしましては、御承知のように、二十八年度に関しましては、定員定額の建前で必要なる額を見る、こういう考え方で五十三万人というものを基礎にいたしまして、先ほど申上げましたように所要額を算定した。御参考までに昨年五月の現員を申上げれば、五十一万というふうに御了承を願いたいのであります。
  21. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 現員をね、現員は五十一万であるにかかわらず、定員として五十三万をお認めになつているんだから、それならば人員としてそれだけ補充することを予定してお見込になつたのかどうかということです。
  22. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げます。これは、佐多先生はもうすでによく御承知通りでありまして、いわゆる実質額主義で行くか、定員定額で行くかということの問題なのでありますが、私どもはどこまでも定員五十三万と、先ほど申上げましたところの額、こういうもので算定をいたす。併しそれは単なる架空のものではないのでありまして、御参考にその実員を申上げれば、昨年五月が五十一万でございます。又、給与の実質のほうも、御承知のように、昨年末に約三百五十円近い開きがあるわけであります。これは平衡交付金算定のときに縷々御説明申上げたわけでございますが、そういう実員と、実質という建前を二十八年度に関する限りはとつておらないのでございまして、どこまでも定員と定額で算定をいたしている。かように御了承をお願いいたしたいと思います。
  23. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、もう一遍聞きますが、実員実額で算定をすれば幾らになるのですか、現員現額で若し算定する場合には。
  24. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げます。その点は、私どものほうには資料はございません。
  25. 佐多忠隆

  26. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 地方財政計画策定上に定員定額を用いております趣旨は、先ほど大蔵省からもお話がございましたように、定員定額で以て、大体この財政計画上の需要額算定するという趣旨で計上いたしているのでございます。現員現給の額につきましては、私ども承知いたしておりませんから、文部省のほうからお答えいたしたいと思います。
  27. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 文部省。
  28. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 文部省は、今衆議院のほうの予算委員会に行つていますから、後に。
  29. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それではこの問題は他日に留保しておきますから、もう一遍質問の機会を是非作つて頂きたいと思います。
  30. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) わかりました。
  31. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それでは、この問題は留保しておきますが、今の定員定額で千百五十五億、そのうちに国庫では幾ら負担するというふうにお考えになつているか、伺いたい。
  32. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げます。  最初に申上げました千百五十五億から東京、大阪のごとき平衡交付金の全然配分されておりませんところの都及び府をこれは全額差引くわけであります。その他いわゆる富裕団体と通称私ども呼んでおりますが、富裕なる府県につきまして平衡交付金で出しておりました金額と、今回の全額国庫負担の方針の下に算定をいたしましたところの負担金との差額は、これ又差引くのでございますが、そういうふうにして出しました金額が、その職員給与費が九百一億円ということに相成つておりまして、これだけのものを国庫が全額負担する、かように予算は作成しておるわけであります。
  33. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、今の国庫負担金九百一億というのは、先の千百五十五億から富裕都道府県、八都道府県ですか、それの分を引いたもの、従つてそれの分は今の計算で言うと二百五十四億ですか、そういうふうに了解していいのですか。
  34. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げます。さようであります。
  35. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 特に、そのうちに基本給だけは幾らになりますか。
  36. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えいたします。職員基本給だけで申上げますと、八百九十九億に相成ります。
  37. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 九百一億の中に基本給がそんなにあるのですか。
  38. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 補足して申上げますと、八百九十九億は、最初に申上げました千百五十五億のうちでございます。富裕府県分をこれは差引きまして……ちよつと今手許数字がございませんです。すぐ調べまして申上げます。
  39. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると国庫負担分の基本給とそれから現員現給との差額、或いは現員現給そのものは幾らになるかは自治庁のほうにはおわかりになりませんか。
  40. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) お答え申上げます。現員現給と、定員定額で計上をいたしておりまする財政計画上の数字との差額につきましては、只今ちよつと資料を持合せておりませんので……。
  41. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 資料がなかつたら至急に一つ作つて頂きたい。これは政府で最も重要な法案としてお出しになつていて、而も最も論議の中心になつている問題でありますから、今申上げた点は早急に一つ資料にしてお出しを願いたい。それからもう一つ、義務教育学校職員の国家公務員としての職員と、地方公務員としての職員との給与の間には差額があるかどうか。あればどの程度のものがあるか。
  42. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えを申上げます。二十七年度ベース・アツプの際にこの点は申上げましたように、同じ経歴なり、経験なりを持つておりますところの国の職員との比較におきまして、三百四十九円という開きがあることを申上げたのであります。その後御承知のようにベース・アツプもあり、更に昇給その他があるのでありまするから、従来の制度のままで参りますと、この間差は放任いたしておきますと或る程度増加いたすものと考えるのが自然かと思うのであります。併しながらこの点につきましては、いろいろ御議論もございましたが、私どもベース・アツプの際に、すでにいわわゆる調整をいたしまして、平衡交付金を計上いたします際に、大体その程度の差をいわゆる調整をする建前で算定をいたしたことは、すでに佐多先生も御承知通りであります。なお、今回特別の法的措置を講じまして国家公務員ということに相成りまする以上は、これはできるだけ近い機会におきまして、この間差を解消して行くように努めて行くことは、これは当然のことかと思います。即ち重ねて申上げますと、従来も間接的ではございますが、平衡交付金を計上いたす際に、そういう努力がなされて来たのでございまするが、今回はますます国家公務員というはつきりと同じ立場に立つことになるのでございまするから、政府におきましては極力この間差を早急に縮めるべく努力して行きたい、かように考えておる次第であります。
  43. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 間差を縮めて頂くのは非常に結構ですが、同時に政府の今度の義務教育国庫負担の御説明によると、既得権は侵害をしないのだという御説明でありますから、間差をなくするということは、高いほうにアップして間差をなくするということだと思うのですが、そういうふうに了解しておいてよろしいですか。
  44. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えを申上げます。佐多先生おつしやられました通りに、いわゆる既得権を侵害しないということに相成るのであります。即ち現在の受けておられるところの給与を直ちに引下げるというふうなことはもとより考えていないのでありまして、現在私ども、先ほど申したように、幾らになつておるかという資料を実は大蔵省としては手許に持ち合せがございません。速急にいわゆる給与の実態調査を重ねていたしたいと存じております。これはもとより大蔵省ひとりでやる建前ではございません。文部省、自治庁、大蔵省というふうに、すでは前回もやりましたような三者協力の下にやつて参りたいと考えております。その上でこれらの実情がよくわかりましたならば、先生方の既得権をできるだけこれを尊重いたしながら、併しながら一方新らしい国家公務員という立場に置かれるのでございまするから、国家公務員全体の給与体系の中においてよく均衡のとれたものにするには如何なる方法をとるべきかというふうなことを早急に立案をいたしまして、一方既得権はこれを尊重いたしながら、全体のバランスをとつて行く、かような建前におきまして適切なる措置を講じたい、さように考えておる次第であります。
  45. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 これから適切な措置をとつて、これから資料を御提出、或いはこれから御調査になるのでなくて、義務教育国庫負担法はすでに出ている。その実施はちやんと一応もうおきめになつたはずです。その予算の審議を今やつている、これからの問題じやない、ただ資料の技術的な調整上一両日暇を欲しいとおつしやるのならば、それで結構ですが、そうでないのならば予算も、法案も審議ができない。その点は一つ事務当局のほうではつきりどの程度出ているのか、そのお答えによつてあとの問題を大臣にお尋ねします。その点だけ一つはつきりして頂きたいと思います。
  46. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げます。先ほど申上げました定員定額総額並びにそのうちの富裕団体差引いたものということは、はつきり私ども掴んでおるわけであります。併しこの実態並びに実員というものについては実はしつかりした資料がございません。これははつきり申上げます。そこで私どもとしましては、昨年の五月の実員というふうなものは、先ほども申上げました通りにあるわけであります。最近におきましても、私どもとしてできる限り正確なる推定資料はお手許にまでお出しできるかと思うのであります。こういうものを早急にお出しいたしたいと思います。この点は佐多先生すでに御承知のように、地方財政に関しまして、実は我々としてはもう少し本当の実態を把握すべく、つとに努力をすべきであつたかと思うのでありますが、資料が、先ほども御説明がありましたように、一応既定財政計画というものをベースに置きまして、その上に当該年度新規事業というふうなものを推定を加えて行くというふうなやり方で、毎年度々々々雪だるま式にやつて来ておりますために、非常に実態の把握において欠けておるのであります。この義務教育の問題にいたしましても、そういう点につきましては或る程度正確な推定はできるかと思うのでありますが、然らばはつきりとどこどこ県の義務教育職員は幾らであるか、どこどこは幾らであるかということを出せとおつしやられましても、これはちよつと私どもの手許に目下ないので、これははつきりそう申上げる以外にありません。併しながら、おつしやる通りに、これは非常に重要な問題でございまするから、私どもといたしましても、一方先ほど申上げた、各先生方の受けておらるる現在の給与の額、これからあるべき国家公務員としての給与と両方の建前に忠実に、できるだけ適切な措置を講ずべく、これから三者協力いたしまして、速かにこれは推定でないところの本当の実態を把握いたしたい。その基礎の上に適切な措置を講じて参りたい、かように考えておるのでありまして、この点は事務当局といたしまして、これ以上のお答えはできないので、誠に残念でございますが、率直に申上げまして御了承を得たいと思います。
  47. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の資料の整備について自治庁のほうも御答弁を願います。
  48. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 只今大体のところ正示次長から申された通りでありまして、地方財政計画策定上、勿論御指摘のような給与の実態に関する資料等は非常に重要な資料でございまして、年々調査をいたさなければならんのであります。一昨年二十六年度におきまして、二十六年度地方財政計画策定いたした際に、佐多さん御承知通り給与の調整を行いましてこの際大蔵省並びに自治庁、文部省等の関係機関が集まりまして、給与の実態の調査を行なつたのでありますが、更に二十六年度、それから二十七年度に亘りまして、調査を行いました結果、一応の結論を得ておるのでございまして、最近のものといたしましては、大体これが私どもの手許にございまする一番実態に近いと考えておる資料でございます。これを基にいたしまして、計画策定資料に使つておるのでございまするが、各地方団体におきましては、給与の自主性の建前から、その後もいろいろ昇給或い昇格等の関係、或いは新規採用、退職等の関係がございまして、職員の構成なり、或いは実際の支給いたしておりまする給与額なりというものは必ずしも一律一体でございませんし、又給与の引上等によります給与改訂等によります実際の支給の額の変動等につきましても、まあ極端に申しますると、時々刻々変つていると申してもいいような状態でありまして、各団体必ずしも一様でございまんので、これをそのとき、そのときの実態を捉えて参ることはなかなか困難であろうかと存じますが、勿論これは我々事務当局としての努力如何の問題でございますので、できる限り努力をいたしまして、これらの正確な資料の把握に努めたい、かように考えている次第でございます。なお御質問、又御要求頂きました義務教育職員給与の実態に関する資料等につきましては、でき得る限り私ども手許でまとめ得る限り正確な資料を調製いたしまして提出いたしいと考えます。
  49. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 どうも今の御両所のお話を聞いていると、何らそういう的確な資料が準備もされていないし、調査自体がなされていないように思うのですが、にもかかわらず、政府は義務教育国庫負担に関する法律を敢然として出されて、どうもその点何もそういう現状もはつきりわからないし、実情もはつきりしない。にかかわらず負担してやるというようなことを勇敢にやつておられるのですが、資料その他も不整備である。従つて時期的に今出せる代物でないというような問題も起きて来ると思いますが、この点はもう少し若干の資料はあるということだから、その資料を全部一つお出しを願つて更にこの文部省が中心的な問題だと思いますから、文部省と大蔵省と自治庁と三者一つ全部揃えて頂いて、その上で質問をいたしたいと思います。留保いたしておきます。
  50. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 佐多君に申し上げますが、この問題は非常に重要問題ですから、今お話の通り、文部省に関係したことですから、文部省、自治庁、それから大蔵省と、こう三者が揃つた上で今の御質問を続行してもらいたい、こう思いますから……。
  51. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ただ今度集まつて頂くときは、この次に資料を持つて来ますというようなことでなくて、あるだけの資料を揃えて、今問題にしているようなことがはつきり掴めるような資料だけは是非前にお配りを願いたいと思います。きつく御要求を申上げておきます。以上で私の質問は終ります。
  52. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 次に地方税に関しまして後藤税務部長から御説明願います。
  53. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 先ほど武岡財政部長から、二十八年度財政計画中の地方税税収を三千八十六億五千六百万円を見込んだということを申上げましたので、この見積につきましてのそれに伴う又地方税改正について簡単に申上げたいと思います。二十七年度地方税収の見積りの総額は二千九百三十四億だつたのであります。現行法で参りますると、それが自然増収がありまするので三千七十五億に相成ります。百四十一億の自然増収があるのであります。併しながら内容を見ますると、府県の税収は若干二十七年度よりも減少いたします。六億ばかり減少いたしまして、市町村税収のほうが伸びる傾向があるのであります。併し一方財政計画上から見ますると、府県の財政需要が五百八十億も伸びまして、実財源でありまするところの税収が減るという結果に相成るのであります。こういう財政状況にありまするので、この際地方税の一部を改正いたしたいと考えまして、改正案を別に国会に提出しておるわけであります。かたがた附加価値税の実施を如何にするかという問題がございまして、附加価値税の実施をもう一年延期するということにきまりましたので、それに伴う改正案も同時に出したいと思つております。改正いたしますると、先ほど申しました三千八十六億という数字になるのでありまして、現行法によるよりも十億の増収が期待されるわけであります。改正案の内容税収の見積りの一番下のところに簡単に書いてありますが、極く概略を申上げたいと存じます。  第一は、附加価値税を一年延期することにいたしますると、現行の事業税を存置することに相成るのでありますが、現行の事業税を存置いたしますると、基礎控除を引上をしなければならないという問題があります。基礎控除を国税に併せまして、現在の三万八千円を五万円に引上げます。それに伴いまして約三十億ばかりの減収に相成ります。その減収をカバーしつつ多少の増収を図りたいというのが今度の税法の改正の要点であります。税法の改正の要点を申上げますと、今申しました、第一は附加価値税を延期いたしまして、事業税を存置いたしまして、その際基礎控除の額を三万八千円から五万円に引上げたい。先ほど申しましたように、それに要する減少額は大体三十億であります。第二点は、入場税、遊興飲食税及び広告税の徴収の強化を図りたいと思つております。これに伴いまして二十一億ばかりの増収を期待いたしております。第三点は、現在定額税でありますところの幾つかの税のうちで、自動車税及び入場税の若干の引上をいたしまして、これに伴つての増収を約十四億ばかり期待しております。これが第三点であります。それから第四点は、現在の市町村民税の所得割の課税標準の問題でありますが、現在の実情を申上げますと、所得割と申しますのは、第一の方式は所得税を課税標準にするものであります。第二の方式は所得税の基礎なつておりますところの課税総所得金額を課税標準にする。第三の方式は所得から税を引きましたいわゆる税引所得を課税標準にするものであります。現在の実情は、漸次第一の所得税を課税標準といたしまする方式から第二の方式に移つております。第一、第二、第三の方式は勿論選択は各市町村の自由でありまするが、実情は漸次第二の課税総所得金額を課税標準にいたしまするところの方式に移つて参りまして、全市町村のうち大体八二・三%が第二方式をとつております。第一方式、つまり所得税を課税標準といたしまするものは、大体一二%くらいになつております。これは年々減少しております。市町村の要求といたしましては、第一方式を廃止して第二方式を原則にしてもらいたいという要望があるのであります。併し第一方式、所得税に乗つかつておりまするところの所得割の算出の方法は非常に簡単でありまするし、又所得税のかかつていない者に対してはかからない方式でありますので、下級の所得者に対する関係からいたしましても非常にいい方式であるのであります。従つて私どもは第一方式を残しまして、ただ第一方式の現在の二〇%の制限税率が無意味になつておりますので、第二方式の制限税率を第一方式に移して参りたい、こういう改正をいたしたいと考えておるのであります。勿論これは税収全体には関係ございません。所得税を課税標準とする場合の方式に若干の改正を加えたい、こういう意味であります。さような改正法案を別途に国会に提出しておるわけであります。これによりまして、全体として現行法による場合よりも十億の税収増加を期待しておるわけであります。以上簡単でありますが……。
  54. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 御質疑ございませんか。
  55. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 お配り願つた表の二十七年度補正収入見込額千六百六十一億、これは当初の計画のときはどれくらいに見込まれていたのですか。
  56. 後藤博

    政府委員(後藤博君) これは二十七年度数字でありまして、これは補正のときの数字で、大体市町村税は余り変つていなかつたと思いますが、私只今数字を持つておりませんと、あとからお答えいたします。府県税が非常に減つておるのであります。
  57. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 昨日でしたか、一昨日でしたか、衆議院の予算委員会での質問によると、地方税の収入は計画と実収の間には三〇%くらいさばを読んでいるんだというようなお話があつたと思うのですが、それは実際なんですか。
  58. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お答えいたします。どういう根拠から申されるのかわかりませんが、個々の税目につきましては多少私どもの財政計画と異なつたものがあります。例えば遊興飲食税等におきましては、二十六年度の決算を見ますると、私どもの財政計画との間に四十億ばかりの差がありまして、これは府県税全体として見ますると、我々の計画よりも勿論増収なつております。府県税全体を、二十六年度を見ますると千百億ばかりありまして、それが千二百四億で、百億ばかりの増収なつております。全体としては勿論さばを読んでおるわけではございませんが、個々の税目について徴収成績の悪かつた場合もあると思います。併し、二十六年度のその遊興飲食税の穴と申しまするのは、法人事業税が非常に増加いたしましたがために多少徴税のほうが遅れておる、こういう結果だろうと思つております。
  59. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それじや過去の三、四年の年度に亘つて、当初の予算を出されたときの見積と実収と対比して簡単にわかるような資料を一つ御提出願いたいと思います。
  60. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お答えいたします。先ほど申上げました点で少し佐多さんのおつしやることと食い違つておるかと思いますが、平衡交付金の基準になります基準財政収入の場合には、私ども財政計画の十分の七を見込んでおるわけであります。従つて三割だけは財政計画上から落しておる、平衡交付金計算の場合には財政計画の七割しか見ていない、こういうことではないかと思います。これはまあ我々の財政計画の全部を見まするということは非常に酷になりまするので、七割だけ見て計算をしておるわけであります。そういう意味の三割という穴があるということではないかと思いますが、それは穴ではないのであります。我々の、財政計画を一応立てました場合に、個々の府県に、市町村に当てはまります場合に、三割だけ低いところで見て平衡交付金の基準にしている、こういうことであります。
  61. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、その三割の余裕といいますか、それは例えば今度の予算の問題として義務教育費の問題が、国庫から負担する分が現給或いは現額から見れば不足な場合には、それで補填ができる、その三割の余裕から補填ができるという性質のものかどうか、その点を一応伺いたい。
  62. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 只今説明を申上げました基準財政需要額税収入の七〇%を見込んでいると申上げましたのは、平衡交付金の配分の算定をいたします際に、基準財政需要額と基準財政収入額算定いたすわけでございますが、その場合の基準財政収入額算定は、法律によりまして標準税率の七〇%を以て基準税率とするということに相成つているわけでございます。と申しますることは、御承知通り基準財政需要額算定をいたしまする地方財政需要額というものは、その団体が行政を行いまする最小限度の必要の経費という考え方でやつているわけでございまして、従つて税収入の七割と、それから平衡交付金総額の九二%、その範囲内で以て基準の財政需要額算定いたしておるわけでございます。そこで地方財政全体として申上げますならば、雑収入とか、一般国庫補助金という関係を除いて申上げますと、特別交付金として交付されまする全体の平衡交付金の中の八%分、税収入の中の三〇%分というものは、基準財政需要額算定外にあるその団体の、いわば自由財源ということに相成つているわけでございます。そこで基準財政需要額の中で算定をいたしておりまする各行政項目の行政費につきまして、それ以上の負担分につきましては、その税の三〇%と特別交付金、これを以て賄つて行く、こういう仕組で以て財政計画が立てられているわけでございます。そこで各種の行政費、例えば土木にいたしましても、或いは従来の関係で言いまする教育費とか、衛生費その他の各費目につきましても、基準財政需要額ではぎりぎり最低の線だけを見込んでおりますので、あとは各団体税収入の状況だけが非常に違いまするので、それぞれの財源の状態に応じまして、或る程度団体間に差のあるような行政規模がとられているというのが実情なんでございます。平衡交付金の建前自体がさように相成つておりまするので、余裕財源というのは言葉が悪いかも知れませんけれども、要するに税の三〇%というものが各団体の自由財源だというふうな考え方でいるわけであります。
  63. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、平衡交付金算定の基準の場合にそういうことをやられるならば、平衡交付金が現実において各市町村、各地方団体で少なかつたために足りなければ、今のような財源で実際上措置もできる。併し今度義務教育費は性格が変つて来た。それが仮に現給現額から見て足りないとすれば、それを補給する財源には理論上はならないわけですか。
  64. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) お答え申上げます。義務教育費の国庫負担制度実施に相成りました暁の問題でございますが、この法案によりますると、昭和二十八年度に関しまする限りは暫定措置といたしまして、この国家公務員に身分の切替えの行われまする義務教育職員給与というものは、府県の負担とするということに相成ることになつているわけでございます。そこでその負担は各地方団体、まあ府県がこれを負担いたすのでございまするから、この府県の持つておりまするところの財源で以て支払つて行く、こういう関係に相成るわけでございます。
  65. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、その限りにおいては国庫負担しないということなんですか。
  66. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) お答え申上げます。国庫は先ほど御説明がございましたように、定員定額計算をいたしましたところの財源を各府県のほうに交付をするわけでございます。そこでその負担金として受けまするところの財源と、それから一般のそのほかの団体が持つている財源があるわけでございまするが、地方団体といたしましては、そういう平衡交付金もございまするし、それから国庫からもらうところの義務教育負担金、それから各種負担金等もございまするので、それらを併せまして支出をして行く、こういう関係になろうかと思います。
  67. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 入場税、遊興飲食税は相当税率は下つたと思うのですが、併しこの税率を下げられるときのお話では、税率は下つたけれども、税の実収額は殆んど減少しないのだ、むしろ今までに非常に手心を加えて取つていたので、それを文字通りに取れば税の実収額は減らないのだというようなお話でしたが、その点の実情はどういうふうにお考えになつておりますか。
  68. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お答えいたします。理論的に申しますれば、お話の通りであります。併し私どもはさような税率は下つた場合でもやはり現在の税額を確保できるということは申上げなかつたと思うのでありますが、業者のほうでそういう要求をたびたびいたしております。併し現実の徴収の実情を見ますると、やはり税率の下つた場合には多少やはり下げざるを得ないというのが実情でありまして、必ずしも税率が下つたから、下つてもやはり前と同じように取れるということは言えないのじやないかと思います。私どもの計算方法は、入場税は大体二十八年度の場合は二十七年度の徴収見込額を基礎にして参つております。それから遊興飲食税の場合は、二十六年度の所得税を基礎にして伸ばして参つております。従いましてそれを基礎にして参りますると、お手許にありますような数字になるわけであります。
  69. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 入場税は現行法で行くと百九十六億、それが改正法で行くと二百八億、従つてその限りにおいてはむしろ殖えているのですね、その点はどういう……。
  70. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お答えいたします。先ほど申しましたように、現行法で参りますと入場税百九十六億でございますが、徴収を強化いたしまして、納期を、現在一回でありますのを二回にいたしまして、そうして翌年度に入る分も本年度に多少入つて参りますので、その分で約十二億ばかりの増収を期待しております。その十二億、一番右の数字の十二億という数字が殖えて来るわけであります。
  71. 岩沢忠恭

    委員長岩沢忠恭君) 佐多君ありませんか……。もう質疑がなければ、本日はこれを以て散会いたします。    午後零時二十一分散会