○
政府委員(
渡邊喜久造君)
大蔵大臣及び主計局長の
説明を補足いたしまして、私の担当しております
租税及び
印紙収入につきまして御
説明を申上げたいと思います。お
手許に二つの
資料が差上げてあると思います。一つは
昭和二十八年度
租税及び
印紙収入予算の
説明、未定稿の分でございます。いま一つは
昭和二十八年度税到
改正の要綱という
資料がございます。これによりまして逐次御
説明申上げて参りたいと思います。
説明のほうを御覧願いたいのでございますが、その二頁に税目及び全体の
収入の
金額が載
つております。
予算で見積
つております
租税及び
印紙収入の
総額は七千八十億円でございまして、二十七年度の補正
予算額六千八百五十三億円に比べますと二百二十七億円の増に
なつております。但し現行法による二十八年度の
収入見込
金額八千九十億に比べますと、税到
改正による減としまして千九億円出ております。尤もこのうち六十七億円は先ほどの
説明にもございました
減税国債による
収入減の分でございますから、この
金額を差引きますと、その他の税収の減は九百四十二億円ということになるわけであります。ただ一言註釈させて頂きたいのでございますが、現行法による
収入見込額と申しますのは、備考の一にもございますが、休会前にすでに成立しております臨時特例法その他の法律が成立しなか
つた場合ということを予想しての
数字でございます。
この
租税及び
印紙収入が負担的にどういうことに
なつているかという総体的な見方につきましては、最後のほうの三十八頁、三十九頁に表が出ておりますからちよつと御覧願いたいと思います。
国民所得に対する
割合でございますが、国税、これには専売
益金も入
つておりますが、国税と地方税とを比べまして、そうして
国民所得に対する
割合をと
つて見ます。その場合におきましては、二十八年度におきまして二〇・四%、二十七年度の二〇・六%に比べますとやや減ということに
なつております。又国税だけと
つて参りますと、一五%、前年の一五・二%に比べましてやや減という
数字に
なつております。
なお国税における直接税、間接税の比率の問題でございますが、これはその前の三十八頁に一応の表がございます。二十八年度における
改正後の比率は直接税が五二・一%、間接税が四五・三%、その他が二・六%、二十七年度の同じ
数字は直接税が五六・六%、間接税が四一・五%、その他の分が一・九%、直接税の比率が小さく
なつて間接税の比率が大きく
なつております。最近におけるといいますか、今度の
税制改正もそうでありますが、
税制改正の場合における
減税の主たる
対象が所得税その他の直接税に向けられておりますことと、経済の回復に伴いまして間接税の
対象に
なつております品物の消費が殖えて来たとい
つたようなことが、間接税の占める比率を漸次大きくしているのではないかというふうに思います。
次に今度の
歳入見積につきまして、その基礎に
なつております
税制の
改正の大要をお
手許に差上げてありますが、
税制改正要綱に基きまして簡単に御
説明して参りたいと思います。
今度考えられております
税制改正は、一番の大きな主体をなしますのは休会前の国会におきまして成立を見ました所得税の臨時特例等に関する法律、これは臨時的なものでございますが、これを
平常化し、平年度化して行こう、これによる
歳入減、これが一番大きなものでございます。それと現在の
相続税、これは大分いろいろ負担が高く
なつておりますので、これについて或る
程度の負担の軽減を考えたい。それから
酒税の税率を引下げたい。尤も
酒税につきましては後に御
説明申上げますが、
酒税の引下げ、これによる価格の引下げによりまして消費の
増加を
相当期待しております。従いまして税収としましては余り減にならんということを考えております。その他負担の調整、課税の簡素化、資本の蓄積のための
措置ということを頭に置きまして
税制改正を
行なつて行きたいと思
つて立案されておるわけです。
第一の所得税でございますが、所得税の中の一にあります各項目は大部分が臨時特例におきましてすでに実施されたことがそのまま
平常化されようとするものでございます。基礎控除を五万円から六万円に引上げる。扶養控除の最初の一人については三万五千円に引上げる。勤労控除の最高限度を四万五千円に引上げる。社会保険料控除を行う。税率の調整を行う。全部臨時特例の
措置をそのままでございます。ただ一点違いますのは、税率におきまして二頁目にございますが、三百万円超百分の六十、五百万円超百分の六十五という税率を盛ろうとしておることでございます。これはその最初のほうに書いてございますように、富裕税の廃止によりまして高額所得者の負担の権衡を考えまして、廃止とうらはらのよう
なつもりで税率の引上げを考えるべきではないかと考えておるわけでございます。二以下につきましてはこれは臨時特例法になか
つたことを新らしく入れようとするわけでございます。第一は生命保険料の控除限度額を倍額の八千円に引上げる。医療費控除につきましては現在はその医療費の額が所得の一割を超える場合に初めて控除が認められる、同時に控除をしてもらう最高限度は十万円に退られておりますが、今度は医療負担額が所得の五分、百分の五を超えたら控除がしてもらえる、範囲が拡がります。同時に控除してもらえる最高退度を十五万に引上げる。かような考え方であります。それから四の問題は我々青色申告の専従者控除と実は呼んでおりますが、営業、農業等におきまして家族のかたが働いている場合の控除の
関係でございます。現行の五万円は基礎控除の五万円の額と合せてございますので、基礎控除が六万円に上がる機会におきまして六万円引上げ、同時にその親族の範囲を現在は高等
学校卒業の人を頭に置きまして、十八歳以上と
なつておりますが、中学卒業者以上という考え方に切替えまして十五歳以上にしました。それから退職所得につきましては、現在は他の所得と区分いたしまして十五万円を差引き、その半額に税率を適用しまして税額を計算しておりますが、今度は他の所得と別にしまして二十万円を差引き、その残りの半額について税率を適用して行く計算の方法は現行
通りでございます。ただ控除する額を十五万円から二十万円に引上げたい。有価証券の譲渡所得につきましてはこの所得税の課税は廃止する。山林所得、不動産の譲渡所得のこの一時所得につきましては、いろいろな問題がございますので
検討して一応の結論が出たわけでありますが、山林所得につきましては現在は御承知のようにシヤウプの勧告によりまして変動所得ということになりまして
相当むずかしいややこしい規定に
なつております。理窟はあるのですが、実行して参りますと執行官庁のほうにおきましても
相当手数が殖えましていろいろ支障があるようでございますし、納税者のかたがたにもいろいろ支障があるようでございます。そこで今度考えておりますのは、山林所得につきましては変動所得の制度からはこれを切離しまして、山林所得を昔や
つておりましたいわゆる五分五乗の制度に返す、五分五乗の制度と申しますのは、山林所得が百万円ありますと、五分しまして二十万円、この二十万円をほかの所得と合算しまして税率を適用しまして税額を出す、そこにその場合における税額対所得の平均的な税率を山林所得の残りの五分の四にかけましてその両者の
合計額を以て山林所得に対するそのかたの所得税にしよう、こういう考え方に考えております。なお山林所得につきましては第三次再評価を行いますので、これは山林所得だけでございませんので、
相当のこれによる負担の軽減が考えられると思
つております。又再評価の場合における現在のやり方で申しますと財産税当時の価格の算定につきまして例えば旱魃のような場合いろいろ支障があるようでございます。納税者のかたの御意見、税務署、執行官庁の意見につきましていろいろむずかしい点があるようでございますので、今
検討しておりますが、当分の問これは
措置法の規定に盛込みたいと思
つておりますが、概算
経費のようなものを見積りまして、その概算
経費によ
つて例えば所得の何割を控除した額を以て所得とみなすことができるとい
つたような処置を講じて行きたいと今
検討しております。勿論これは本来の計算方法によ
つて申告なさることを妨げるものではないというふうに考えております。それから不動産その他の……それと、もう一つの山林所得につきましては、現在山林所得その他の一時所得を合せまして少額のこういう一時所得に対する課税を廃止する意味におきまして、十万円の控除をしております。今度山林所得につきましては、山林所得だけでこの控除を十五万円に引上げようと考えております。それから不動産その他の譲渡所得につきましては、これはこの両者を合せまして控除を十五万円にいたしまして、残額についてこれは半額課税、半分にしまして他の所得と合算して税率を適用して税額を出すという方法で考えて行きたいと思
つております。それから八の源泉選択でございますが、この税率につきましては所得税の最高税率の上がる時期におきましてはもつと上げるべきではないかという議論が片方にあります。それからまあ貯蓄奨励の意味から言いまして、もつと下げるべきではないかという議論が片方にあるわけであります。彼此勘案いたしまして、結論としまして現行の百分の五十を百分の四十に引下げるということに
なつております。以上が所得税の問題でございます。
次に
法人税について申上げます。
法人税の税率は現行のままを動かすことは考えておりません。従いまして
法人税についてなされる幾つかの
措置は、主として資本蓄積を考慮しました
措置になります。その第一は、企業合理化促進法及び
租税特別
措置法による特別償却を認める範囲を拡張する。企業合理化促進法におきましては業種、機械等を指定いたしまして、所得の初年度において半額だけ特別控除ができるという制度がございます。特別
措置法におきましては最初の三年間五割の特別償却ができるという制度がございます。この適用を受けております業種、機械等の範囲を
検討いたしまして、その範囲を拡張することを考えております。勿論これは政令でやる事項であります。それから貸倒準備金及び価格変動準備制度でございますが、貸倒準備金につきましては現在毎期の積立の場合において期末の貸付金の何分の幾つというものと利
益金の二割……原則として二割ですが、いずれか小さい額を毎期積立てる。業種によ
つて貸付金に対する
割合は異
なつておりまして、小売、卸ですと千分の十、製造、金融
関係ですと千分の七、その他が千分の五と
なつております。この貸付金に対する率を今度引上げまして千分の十の分を千分の二十、それから七の分を十、五の分を七
程度に引上げたいと考えております。それから価格変動準備金制度につきましては、これは現在
検討しておりますが、現在大体結論を得ておりますのは、
国債をその
対象に入れようというのが一つでございます。それからこれは四期に亘りまして漸次積立てることに
なつてりますが、もう半分以上たちましたので、この到限を撤廃しよう、これも政令事項でございます。それから三の貿易商社についての問題でございますが、五年間に限
つて輸出契約取消準備金の制度を作る、大体の構想は貸付金の貸倒準備金の制度と同じような
方針で考えて行
つたらよいのじやないか、ただ期末の貸付金残高にかけましてはその期中の契約
総額をと
つたらどうだろうか、
割合などは現在
検討しております。海外支店の設置費の特別償却については企業合理化促進法の線と同じように半額の特別償却を初年度に認めるということを考えております。なお貿易
振興の問題につきましてはここに書いてございませんが、
法人税及び所得税につきまして二重課税防止の
措置を国内法できめたいと考えております。従来は例えばアメリカのいわゆる支店で以て払
つた所得税は損金に認めておりませんが、それ以上の
措置がなされておりませんので、二重課税に
なつております。
租税協定ができれば勿論二重課税防止ができるわけでありますが、現在アメリカでも
租税協定の中に二重課税防止の規定を認めておりますし、支店の設置費の特別償却などと同じような意味におきまして二重課税防止の規定を入れたいと考えております。
それから法人の
支出した交際費、機密費、接待費等の
金額が一定限度を超えるときは超過額の二分の一を損金に算入しない。考え方としましては資本の蓄積に資する一つの
措置というふうに考えております。資本蓄積を促進するために税法につきましてはいろいろな
措置が講ぜられております。従いましてそれがありましても又片一方で防止策だけではその目的が達成されないという意味におきましてこういう
措置を一つ考えて見たらというのでございます。問題は二つございまして、先ず以てその交際費、機密費、接待費等の範囲をどう考えるかという点が一点ございます。いろいろ
検討いたしておりますが、大体の考え方としたしては、接待した食み飲い費用などを中心に考えております。それと年末、年始の中元等の贈答ということを考えております。広告、宣伝費との境目に問題がございますし、値引、例えば酒を何本買
つてくれた人にはどこへ招待するというような値引との境目がございます、或いは福利
施設との境目がございます、いろいろ概念をはつきりさせる問題があると思
つております。それからなお一定限度につきましては今計数を折角
整理しておりますが、業種別に或る
程度の基準を作
つて行くべきものと考えております。はつきりした線もなかなかむずかしい問題もございますので、超過額の
総額を損金に算入しないということにしないで、その半額だけを損金に算入しないという制度を考えております。それから五でございますが、個人の有価証券譲渡所得に対する課税が廃止になりますので、法人が解散した場合のその解散の分配金の問題、配当、一種の配当でございますが、これに対する課税の問題が残ります。昔はこれを清算所得として法人に課税して参りました。シヤウプの勧告による現在の
税制はこれを看做配当として課税しております。譲渡所得の廃止の機会におきまして、やはり清算所得の姿で以て法人のところで課税することが一番いいんじやないかということで、その方向に立案しております。以上が
法人税の問題でございます。
それから富裕税は二十八年分から廃止する。
それから
相続税は現在の制度は累積課
税制度と我々呼んでおりますが、人の一生を通じましてその人が相続或いは贈与によ
つて得た財産をだんだん積み重ねて参りまして、最初の三十万円までは全然税金がかからん、三十万円を超えますと順次高い税率がかか
つて行くという制度でございますが、
相当の長期間の分を累積課税しなければならん。税務署におきましてもなかなか五年、十年の書類まで残りません。特に納税者のかたが住所を転々される場合におきましてそれを痛感します。納税者のかたにおいてもいろいろ問題もあろうと思いますので、これは理窟は一応ありますがやめまして、そうして新らしい制度にしたい。取得者課税の制度はそのまま残します。従いまして遺産課税の場合ですと、相続人の財産が千万円であれば千万円を課税の
対象にするのですが、取得者課税のことになりますと、それを例えば五人のかたが均分に相続しますと、二百万円ずつが課税の
対象になる。税率の適用において大分違うということになります。で、相続及び包括遺贈につきましてはその都度、それから贈与及び特定遺贈につきましては一年分を合算して課税する。基礎控除は現在三十万円と
なつておりますので、これを
相続税について五十万円、それから贈与税については現在相続と贈与と一緒に
なつて三十万円ですが、今度いうこと制度になりますと、贈与税だけについて基礎控除が要るわけでしてこの点は十万円と考えております。
それから死亡保険金及び退職金に対する課税が二十万円に
なつておるのを三十万円に上げたい。退職金は生前にもらいますと、最初に申上げました退職所得になります。死後に
遺族の人がもらいますと
相続税の
対象になるわけでございます。その場合の控除額でございます。それから税率は現行の一億円超百分の七十を据置きますが、現行のほうは大分高い税率に
なつておりますので、下のほうを百分の五ずつぐらい引下げよう。ただ贈与税の分は、各国どこでも同じですが、これは大体
相続税の補完税のような
関係で、まあ
相続税を補完する意味で、一遍に
相続税がかか
つて来るのを避ける意味で何回か分割贈与するというのを抑えたい。税率が贈与税の場合におきましては
相続税の場合に比しまして高く
なつておる。大体現行
程度に据置かれるということに考えております。それから
相続税の延納でございますが、現在は金銭を以て一時に納付することが困難な場合に延納を認める。五年が原則で、但しその財産の中に不動産とか
山林等が半額以上あれば十年まで延納ということに
なつておりますが、これを変えまして、一万円以上の額であれば原則として延納を五年或いは十年認めて行こう。但し一回の納付額は最後のところは別として一万円を下らないというくらいで考えて行きたい。贈与税につきましては大体現在と同じような延納の処置を考えて行きたいと思
つております。
以上が直接税でございますが、次に間接税。第一は
酒税でございます。
酒税はこの三月一日から税率の引下げを行いたい。四月になりますと、丁度四月から花見酒がたくさん出まして三月中にその酒が卸、小売に流れて参りますので、四月一日に価格の切替をやることは非常に困難が出ます。今月中ですと大体値下げ前の買控えがありましても問題がないとい
つたようなことで、三月一日からやりたいということを希望しております。税率としましては二割乃至三割の引下げを考えておりますが、主なものにきつましては
説明のほうの三十二頁を御覧願います。そこに税率が一応載
つておりますが、清酒二級が二万九千円から二万二千五百円、合成二級が二万三千八百円から一万七千六百円。それからその次は実はミス・プリントでございまして、ちよつと御
訂正願いたいと思いますが、焼酎の二十五度もの現行は二万五百円であります。一万九千円と書いてありますが、二万五百円であります。これが一万四千三百円に下がる。
正誤表には載せてあります。それからビールは二万四千五百円が一万九千円に下がる。なおこの税率引下げによりまして小売価格は、そこに書いてありますような
数字を一応予想でございますが……、この
数字は実はコストの引下げを
相当予想してございますので、その後業者の
数字を
検討して参りまして、多少ここに書いてある
数字よりは変ることがあろうと思
つております。尤も五円以上変ることは考えられないと思
つております。それから従来基本税と加算税という制度がございます。これは自由販売酒の制度ができたときに配給酒は基本税だけ、自由販売酒はそれに加算税がかかるということでできた制度でございますが、最近におきましては自由販売酒が殆んど大部分に
なつておりますので、税率が下がりましたし、この機会に一本の税率にしたい。但し配給酒の制度及び自由販売業者の制度は向う一年間なお続けるということを考えております。
それから砂糖消費税につきましては分蜜白糖、再製糖に対する税率を二割
程度引上げる。鹿児島、高知等でできます含蜜糖、黒糖、白下糖というものは四百円の低い税率に
なつておりますが、これを引上げることは考えておりません。
物品税につきましては、貴石、貴金属製品等は、これは物品税ができた当時小売課税に
なつておりまして、その後製造課税に戦後移
つたのですが、やはりその性格からしまして小売課税のほうが適当であろうというので今度改めたい。なおその他の品物につきまして負担の調節を行いたい。細目につきましては目下
検討中でございますが、
予算の上では一応
減税財源としまして二十億見積
つてございます。
それから有価証券取扱税でございますが、これは譲渡所得に対する課税を廃止する機会におきまして、従来の、昔ありました有価証券移転税に倣
つて有価証券取引税としての流通税を課税したい。納税義務者は、移転税の場合には買受人に
なつておりましたが、今度はいろいろ業界の御意見などもよく伺いました結果、結局売渡人のほうが適当であろうという結論になりまして、売渡人にすることに考えております。なお税率につきましては、素人の場合は千分の二を考えております。それから玄人の場合につきましては、ここには千分の一
程度と
なつておりますが、大体万分の八くらいを適当じやないかと考えて、
説明のほうには一応万分の八という案に
なつております。
それから第九の第三次再評価でございますが、すでに第一次、第二次の再評価が行われましたが、第二次の再評価は基準日も第一次再評価と同じでございますし、再評価限度も第一次再評価と同じでございまして、ただ第一次再評価がそれをなし得る期間が限定されておりましたので、その期間中になし得なか
つたかたに更に再評価をなし得る途を開いたのが第二次再評価でございます。今度は少し考え方が違
つておりまして、基準日も最近の二十八年一月一日にしますし、それから再評価限度もその後の値上りを考えまして引上げることを考えております。なおこれを行い得る期間でございますが、余り短くしますと、第一次第二次の例がありますので不都合と思われますので、二年間ぐらいを限りまして任意に一回行う、これは会社の場合が主であります。なお税率は従来
通り百分の六を考えております。
それから十の
減税国債につきましては主計局長の
説明もございましたし、理財局長の
説明もあるかと思いますので、一応極く税
関係だけのことを申上げますが、要するに法人の場合が、一番お考え願うと考えやすいと思いますが、百万円を購入されますと、その半額の二分の一、五十万円に対する
法人税が軽減される。税額としては二十一万円、二割一分であります。個人の場合は多少それよりも割をよくしまして二割五分と考えております。限度は法人は百分の四十、個人の二十というのは、大体それと対応してちよつとゆるく
なつているわけであります。その他の問題としましては
収入印紙不正使用防止のための登録税についての必要な
改正、それから間接税における利子税の制度を作る。現在は利子税の制度がございません。ただ間接税につきまして担保を
提供して徴収猶予をしている場合がございますが、この猶予期間は利子税を取るつもりはございません。それから三は
酒税の保金、取引の安定のための、いわば酒類団体業法のようなものを作りたい。独占禁止法の特別法になると思
つております。これによりまして、現在の公定価格は漸次この団体の協定価格に移して行きたい。それから現在
酒税法の五十二条で与えられておりますいろいろな権限は団体のほうへ大体移して行きたいと考えております。その他税法の規定について必要な
整備を図る、これがおおむね今般考えられております。
税制の
改正の主な点でございます。
そこで
歳入の見積り
関係でございますが、
説明のほうへ移りまして極く簡単に申上げたいと思います。以上申上げました幾つかの
税制改正によりまして、どういう増
減税になるかということについては、最終頁に一応項目を分けまして、増減収の
内訳けが前ておりますので、これを御覧願いたいと思います。それから各税の見積りは大体この現行法の見積りを出しまして、
改正法によるその後の
改正後における増減を加減しまして最終の
数字を出したというのが全体を通じてのやり方でございます。
主な税目について申上げますと所得税のうちの先ず源泉所得税につきましては、現行法の場合の
数字と二十六年中における給与支給
人員の実績、給与支給
金額の実績、これを基礎にしまして二十六年に対しては
人員において三%、それから給与としては三二%、
総額で三六%。尤もこれは前年に対しますと二%とか、八・九%とか一一・一%になります。この
数字から比較の
人員を出し、課税の見込
人員を出し、滞納その他を見積りまして現行法による二千四百五十三億という
数字を先ず出します。これに対しまして今度の
改正による
人員の増減、課税所得の増減を考えまして、
改正法におきます、六頁にございますが、有資格の見込
人員は七百八十万人、上から六行目にございます。現行法の場合におきましては九百七十一万人が七百八十万人に減る見込でございます。
金額としましては千七百四十九億円を予想しております。申告所得税につきましてもやはり同じような考え方ができておりますが、二十六年度の課税実績を先ず基にいたします。七頁のおしまいのほうにありますが、それからその後における
生産物価の上り工合、それから申告及び能率の増というものも考えまして、これらの総合において、総体においては二十六年度に対しては二割六分、二十七年度に対しては七・七%という増を見込んでおります。これによ
つて一応
改正前においての納税
人員は三百五十万人、これを基にしまして、なおその他に繰越決定とか滞納とかその他を考えまして現行法の場合が九百八十七億円、
改正法による場合は、これを、その影響を加減しますと十頁にございますが、課税見込
人員は二百七十九万人に減ります。税額としましても七百五十九億という
数字になります。
それから
法人税でございますが、
法人税につきましては二十六年十二月から二十七年十一月まで、最近の申告の実績を調査課分と税務署分に分けまして、これに
生産物価の
数字をかけて行
つたわけであります。調査課分と税務署分との間に多少の
数字の違いがございますのは税務署分のほうが主として物品販売業の人が多いとい
つたような点を考慮してございます。なお最近の情勢からしまして、所得率は
相当減るだろうということも考えまして、所得率を九割と、一割減に見ております。こうした考え方で出しました
数字が
総額で千八百九十六億円、
改正法による減を見込みまして、
改正後においてはそれが千七百六十七億円ということになります。
相続税につきましては、二十六年分を基礎にしておりますが、七五%の
増加、これは土地のようなものは値上りの
増加を見ております。それから預貯金とか、有価証券のようなものは値上りと、それから量の
増加と両方見ております。あとは大体他の税と同じようなやり方をや
つております。
それから再評価税。再評価税につきましては、第一次、第二次の分の再評価税の
収入見込がまだ
相当残
つております。それが百十二億円、これが第一次、第二次だけの分でございます。それで第三次の分を或る
程度見積りました
数字が百二十七億円、
改正後の
数字に
なつております。
それから酒でございますが、酒の考え方としましては、今度米が九十四万石に殖えまして、それによ
つて清酒の増参が
相当殖えるわけでございます。ただ大分最近の需給
関係から見ますと、合成酒、焼酎等におきましては供給が
相当多く
なつている。まあ供給過多とまで行かないまでも、かなり需給が、まあ供給のほうが、買手市場に
なつているとい
つた姿もございますので、清酒が殖えれば合成酒、焼酎の消費は減るだろうということを一応頭に置きまして、清酒が殖えたその量の
相当割合は焼酎、合成酒で減るということで、先ず現行税率の場合には大体どれくらい売れ、どれくらいの税額が入るかというのを出しまして、それでその場合における酒に対する消費
資金というものが大体そのまま、先ず値を下げましても額のほうでは消費
資金としては減らない、量が殖えるということを一応予想しまして、その
程度は先ず使われる。それから値が下が
つたから多少消費も殖えるのじやないか、密造酒からこちらのほうへ来る分もあるのじやないかとい
つたようなところで、一応酒の消費量を値下げ後におきましては六百七十九万石考えております。二十二頁のしまいのほうにございますが、それから値下り前の買控えの点の分のやつが三月に
なつて恐らく
相当出ますので、この分を二十万石と見まして、約七百万石ぐらいのものが来年度の一応課税
対象になる。千四百六十二億という
数字をそのつもりで、そういう考え方で出しております。
それから砂糖消費税につきましては、消費の
増加を一五%見込んでおります。税率は大体二割
程度上げる。
それから揮発油税につきましては消費増を七%見込んでおります。それから物品税につきましては従価税の分と従量税の分とございます。従価税の分につきましては消費の増、それから調査の能率増などを考えまして二割、それから従量税の分は一割の消費増を見込んで一応見積りができております。
それから有価証券取引税でございますが、これは一応最後のまだ決定を見ておりませんが、大体先ほど申しましたように素人の場合は万分の二十、玄人の場合は万分の八ということを考えまして、十月から十二月までの取引の実績をそのまま一年に延ばしまして二十七億五千万円という
数字を出してございます。その他ありますが、細かい
数字でございますので
説明を省略さして頂きます。
以上今回の
税制改正の要綱と
租税及び
印紙収入予算の見積りの
説明を終ります。