○堀木鎌三君 私はそれで特に
総理の考慮を煩わしたい問題があるのであります。この三日間の
委員会におきまして、たびたび出た問題が再軍備という問題でありますと同時に、これに関連しての
国民生活の問題、この問題でありまするが、率直に申しまして、この問題は国会で言われておるのみならず、世間においてもよく言われておる問題である。
私はここで実は
総理と、再軍備と戦力問題はもう一切いたしません。それはもうよくわか
つておるのでありますが、ただ私自身の観点は違
つておりまするが、それは別の
機会に譲りまして、本
年度の
予算におきまして自衛力、この自衛力だけは、これはもう
吉田内閣として再軍備はいたされないのでありますが、自衛力だけは当然
吉田内閣の
政策として、現に本
年度の、二十七
年度の
予算において総額の二一%を占めておる、
国民所得の三・七%を占めておるような
予算を計上されておるのであります。でありまするから、私は事実に立
つての問題だけを究明したいと思うのでありますが、そしてこの問題が非常に大きな
予算上の地位を占めるだけに、この自衛力が如何なる性格のものであるかということを闡明され、そうして将来これがどういうふうに発展するかと……、昨日までの
お話では、差当り二十八
年度には
人間は増さないというふうな
お話であり、そして木村保安庁
長官から質の向上を図るという方針は明らかにな
つておりますが、
併しながらその金額は、先ほど
佐多委員から言われましたように、実に防衛関係の経費で一千億以上のものが現に使用されないで繰越されようとしておるのであります。で
大蔵大臣はいつも、これは使用目的がきま
つて、来年に繰越すのだから削減できないと言われるのだが、実は
大蔵大臣が各省の
予算を査定されるときには、そんな額を持
つたつて今年使えるかどうかと
言つて、各省の
予算を削るのが一番根本的の
考え方なんです。殊に貧乏な
日本ではそれくらい慎重に
予算を編成されておると同時に、一方におきましては確かに経済界の前途は、これは小笠原
長官も大体肯定されておるようであります。
大蔵大臣も肯定されると同時に、
総理自身も国際
情勢から見まして、楽観を許さないことは言われておる。又我々がしばしば指摘いたしましたように、
減税はたびたび行われましたが、
国民負担は決して軽くな
つていない。現に大蔵省がお出しに
なつた、今度の税を軽減されると同時に出された統計においても、国税においても、少し昨
年度よりは上
つて来ておる。
地方税を合せれば更に上
つておるというふうな
情勢でありますが、私はそれをとやかくここで批判をいたそうとはしません、
佐多委員から詳しく
お話がありましたからいたしません。ただこういう問題については、
総理は自衛力の問題も
国民の盛り上る力と共に醸成して参りたい、又
国民生活の向上も期したいというお
考えであることはよくわかるのであります。併しこの問題もさて
考えて見ますと、今にな
つて木村保安庁
長官が
佐多君の
質問に対しまして、十一万人の必要が如何にあるかという合理性を答弁されても、これは
国民から見ればもうわか
つておる。初めマツカーサーの書簡において七万人ができ上り、次に安保条約を締結をするときに十一万に
なつた。
日本人が
日本人の
考え方でこれだけの金が要るのだ、そうしてこれを押して行かなければならないのだという問題でなしに、よそからの慫慂によ
つて事実ができました。併し私は何も
アメリカからの要請があ
つたものが悪いと
言つて削るというふうな
考え方は持
つておりません。併し自主的に
日本人自身が
日本ではこうあるべきだという上に立
つて、更に
アメリカの要請があれば、それと睨み合してや
つて行くならばいいのでありますが、根底から実は
日本人の
考え方が入
つていないということだけは明らかだと思うのであります。而もこれが全体の
予算から見ても
考えなければならんというふうになりますと、どうも
国民の間に疑いを抱くような問題にな
つて来る。で先ほど
総理が政令諮問
委員会の
お話をなす
つた。
総理自身は名前をお忘れに
なつたようですが、私はよく覚えております。併しこの問題は独立前だけでなしに、独立後も私はいよいよ以てこういうふうないろいろな知識、経験者を集めておる、官民の力を集めて
委員をお作りになる、独立後の
日本にふさわしいものをお作りになるやり方は必要だと思うのでありますが、独立前におやりになりましたのは、不幸にして破防法の問題と
労働三法の改正、警察法の改正等にな
つて現われて、余り大きな変革をいたしておりません。そういう意味で私は、
総理が何事も重要な問題について
国民の意向がわかり、それに伴う意識が盛り上るようにな
つてからとおつしやいますが、
併しながら、まあ
政府自身がたくましき
政策を樹立されて、そうして広く
国民の批判を受けるというやり方に出られましたならば、むしろ
国民の議論もそこに集約され、そうして帰趨もおのずからきま
つて参るのじやなかろうか。先ほど
総理は、独立後の諸制度については再検討されると言われましたが、そういう点で私は実は諸制度についてはすべてのもの、昨日小野君の
質問に対しまして、憲法の問題は、個個の具体的な問題から
考えてみようという
お話でありますが、私は全部諸法令について民主主義的な平和主義的な見地をとりつつ諸制度を改正し、諸法令を改正する。又条約等につきましても、占領中において行われた条約について、独立後改めて国際
情勢その他と無論睨み合わす必要はありますが、見直すようなお気持はないでしようか。
更に積極的にむしろ……、
総理は
佐多君の
質問に答えられまして、何か統制経済をきちつとや
つて行くのじやないか、
戦争中の統制経済を予想したような経済の総合計画というものをお
考えにな
つていられるようでありますが、今申上げました防衛力の問題と経済自立の問題もやはりどうしても
考えなくちやなるまい。又政局の安定について
総理大臣はどういうふうにお
考えにな
つておるか、これらの点についての御意見を伺いたいと思います。