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吉川末次郎君 この問題はまあそのくらいにしておきまして、その次にお尋ねいたしたいことは、本朝からもたびたび問題になりまして、首相も非常に御迷惑かと存ずるのでありますが、やはり再
軍備に関する問題なのであります。これは当面する
国民の最大の政治問題でありまするから、国会においてしばしばそれが論議されるということは当然であるという建前から、御迷惑かと思いますが、
一つ更に御
答弁願いたいと思いますが、私の建前はもとよりこの党の建前といたしまして、再
軍備には反対、平和
憲法の擁護ということを、この間の総選挙にも掲げて来たのでありますから、その建前でありますが、併しこの議場等において再
軍備反対の建前から言われておりまする再
軍備反対論とは多少違うところがあるのでありまして、世間の再
軍備反対論には、これは共産党のような建前から言われておるものもある。又単なる
一つのまあ感情論、これは併し大衆の感情として非常に尊重すべき感情と思いまするが、
一つのまあセンチメンタリズムの平和主義的な建前から言われているところの再
軍備反対論もあり、又そのほか
財政的な建前から、或いは
憲法擁護の建前から等、いろいろ議論があると思いますが、私は実は、
吉田さんは我々と非常に共通する立場においてやはり再
軍備反対をしばしば御説明なり、又今朝は声を励ましてそういう言をお言いに
なつたのでありますが、お言いにな
つている
通りに、正直にやはり再
軍備はすべきものでないという御見解を、私は個人といたしまして実はかように了解いたしておるのであります。個人的なことを申上げることは非常に恐縮でありまするが、あなたの非常に身辺の、むしろ外交顧問であり、又曾
つて一大国の全権大使であつた人、名はわざと私は申しませんが、その人とも先般一緒に飯を食
つて話合いましたときに、
吉田は
本当に再
軍備反対だ、その
意味において閣僚の中に再
軍備論者がお
つても、自由党内に再
軍備論者がお
つても、彼は毅然としてその立場を持しておる、その
意味において彼はワン・マンである、こういうようなことを私は聞いたのでありまするが、私はその
通りじやないかと実はまあ
考えておるのであります。というのは、あなたのような経験もあり、識見もあるところの外交家の建前から、外交家一個人としての建前から、現在の
日本が軽々しく
憲法を改正して再
軍備をするというようなことは、私は心ある外交家のとるべき態度では断じてないと
考えるのであります。そうであるとまあ私は信じておるのであります。そうすれば、ただ午前の会合、
只今も山下君に対しても若干の御
答弁がありましたが、その問題が起
つて来るたびに、ただ再
軍備には私は反対なんですと消極的に御披瀝になるだけでなしにもつと進んで、そうして再
軍備を主張している人の論拠を衝いて理論的にはお前たちの
言つているところの再
軍備論というものはこういうところの破綻があるじやないか、そのようにしては
国民を誤まらしめるのじやないかというように、詳細に
国民大衆が理解できるような態度に積極的に出られるということが私は為政者として必要なことではないかと思われるのであります。どうぞそういうような態度を、先ほども広報機関である、或いは
情報機関のことについて
政府の正しい意思を伝えたいということをお言いになりましたが、
情報機関のよしあしは別といたしまして、そういう態度を、或いは
新聞記者会見において、或いは議院内におけるところの言論の上において、そういうような態度に私は出て頂きたいということを、あなたの身辺にあるところの外交顧問の人が私に言いました。あなたが飽くまでも再
軍備反対論者である、再
軍備反対のワン・マンであるということを信頼する立場からお願いするのでありますが、それで、そういうことから第一にこの再
軍備を政界において率先して提唱いたしますことはあなたの反対党であるところの改進党の領袖である芦田さんであるとか、又重光さんもそれを衝いておるのでありましようし、改進党は党を挙げて再
軍備を主張しておると思われるのであります。それでその芦田さんや重光さんの、或は改進党の唱えているところの再
軍備論というのはどういうところの欠陥があり、どういう
基礎において自分はこれに断固として反対するものであるかということを、
一つこの機会に
国民に訴えるつもりで明らかにして頂きたいと思うのであります。
それに附加えて、特になぜこれを私は申すかと申しますると、なおそれ以外に今日自由党内における、あなたの政党内におけるところのいわゆる民同派の動きによ
つて政界の不安ということがまあ非常に伝えられておるのでありますが、それにもやはりこの再
軍備の問題がからみついておる。即ち芦田さんであるとか、重光さん或いは鳩山さんのような、保守党内部においてあなたに対抗するところの
一つの権力を獲得することを企画しているところの人たちは、
アメリカが今でも
日本に一時も早く再
軍備されたいという要請をしたい気持を持
つておるのに乗じて、自己の権力を獲得するという建前から、一面においては又
経済的に軍需工業、いわゆる工業資本的な
経済背景の上に乗
つてこの
アメリカの要請に、非常に下品な言葉でありますが、あなたよりも進んで、
一つのエロ・サービスをすることによってあなたの地位をばと
つて代らんとしてておるのである。これが今日の
日本の政界の不安の
基礎であるということを、まあこれは
一般に
考えられており、又そういうことを書いておるところのものもあるのでありますが、それともからみついて……、非常に話が横道に入つたようでありますが、芦田さんや重光さん及び改進党の堤唱しているところの再
軍備論に対する、あなたが再
軍備反対論者としての建前からのもう少し大衆にわかりやすいような、くだいた立場において論拠を
一つ明らかにして頂きたいと思います。