○岩間正男君 私は
日本共産党を代表しまして、この
暫定予算案に反対し、組替を要求するものであります。
反対の第一点は、先程から他の諸君によりましてもしばしば挙げられましたように、この
予算がこういうような緊急な、全くせつぱ詰
つた段階において出され、而も止むを得ない仕方がないというような形でこれが押し通ること、こういうことはこれは非常に許されないことだと思うのであります。而も先程からしばしば述べられましたように、これについては
憲法違反の
疑いが濃厚であります。こういう形で本院が
自由党の内紛
解散によ
つて当然に招来されましたこれらの
責任を負い切れるものじやない。このような不明朗な
予算に対しましては、我々は絶対にこれに賛成することができないのであります。
第二の反対の
理由としましては、この
予算は飽くまでも事務的な経費を計上するにとどまる、こういうことが言われておるのでありますが、実際は
政策を盛込もうとしていろいろな企てをや
つておることが、この
予算の組替えの過程にもわかりましたし、又現実にこの
予算のうちにもそのような点が十分これは認められるわけであります。只今防衛分担金や保安隊費に対しては、これは当然条約によ
つての義務履行であるから止むを得ないじやないかというような
意見もあ
つたのでありますが、併しこの点に関しましても、例えば岡崎、ラスクの交換文書によりまして、防衛分担金のごときは、これは相当減額を努力しなきやならないはずである、そういうような点から
考えますというと、これは既定の義務履行としましてこれを押付けたというような点は、非常にこれは問題になるわけであります。従いまして、この点から
考えましても、
政策を盛込まないという建前をとりながら、実際にはその中に盛りまして、そういうような一方では
政府の意図がちやんと入
つておるのであります。若し防衛分担金や保安隊費、こういうようなものの今度の
措置が認められるとするならば、当然これと
関連しまして、これと同程度におきまして、例えば中小企業の特別会計の問題、池田蔵相が
辞職までさせられたところの、あのような大きな問題であ
つたのでありまして、これらの対策も当然なされるべきであると思うし、又中共地区引揚の対策費のごときも非常に、昨日も指摘しましたように、これは少額なんであります。問題にならない。中共側がとろうとする
措置に比べまして
日本政府の態度、取
つておるところの
措置というものは、極めて問題にならないのであります。今又義務教育費の半額国庫負担法を急遽
参議院の要求によりまして、正当な要求によりまして、組替えをせざるを得ない
状態にな
つたのでありますが、これらの内容を見ましても、支出の実体が抑えられていない、できるだけ可能な範囲で抑えたというような
政府委員の先ほどの
答弁でございましたけれ
ども、こういう点に対するところのデーターが真にできていません。その結果、僅かにこの前の本
予算で示されましたところの義務教育職員法の場合の一千百五十五億の必要額に対しまして、一千百六十五億、十億だけの増加というような形でこれを組んでいる。若し十億だけの増加であ
つたならば、本
予算審議の間で以て非常に大きな問題の
一つになりましたところの、あのような問題は起らなか
つたのではないか。従いまして
政府は、この
予算によりまして相当やはり、首切りはしないということを言
つておきながら、現実的にはそういうところが予想される危険性が十分にある。更に又昨年のごときはこの法案が通る時に、教材費については三十億程度支出するというようなことをはつきりこれは大蔵当局の了解まで得て
決定されている。然るに今度の
予算措置を見ますというと、この点は半額程度に切り落してこれを組んでいるのであります。こういうような点を挙げますというと、先ほど防衛分担金との
関連において、防衛分担金が既定の条約によるところの義務履行であるからこれを組んだんだというような問題が、岡崎、ラスクの交換文書との
関連によ
つて、事実はそうでないという問題と同じ程度に、これらの問題は当然取上げなければならないところの問題だと
考えるのであります。この点が甚だ不明瞭であります。必要があるときにはこれは盛り込んでいないと言
つておりながら、実質的には
政府の意図で、必要な方面においてはひそかにこの施策面を取上げている、こういう点を私は指摘せざるを得ないのであります。
第三の反対
理由としましては、この
暫定予算が
通りましても、今後の総
選挙後における政局の見通しというものは、全くこれは予断を許さないということが
考えられる。これは具体的に申上げれば、先ず第一に四月十九日に松
選挙が行われ、一ト月以内に
国会は召される、五月十九日までには召集を見るわけです。併しながら、それから次の首班指名までの間には、僅かに余すところ十二、三日くらいの
期間しかないのであります。この間に果して現在の政局の中で首班指名が行われるかどうか。その間に若し不可能な場合においては、現在の
吉田居座り
内閣が
暫定予算を再び
提出しなければならないというようなばかげた事態が起る。こういう点も
政府としては理論的に首尾一貫しないで、
責任を負いたくないから、そのために先の見通しをしないで、能う限りの最も僅少な形でこの
予算を組んだということを述べておられるのでありますけれ
ども、若しも将来今申しましたような事態が起るとすれば、これらの点に対するところの
政治的な見通し、更にこれが
日本の全
国民に対して負うところの
責任は甚だこれは私は脆弱であると言わざるを得ないのであります。暫定
内閣でありますから、無論その権限を過大に行使するということは厳に慎しまなければならないことでありますけれ
ども、併し見通される
一つの予想に対しましては、十全に、後顧の憂いを起さないような最善の努力をするということが、少くともその
内閣に与えられたところの任務でないかと思うのであります。そういう点からしまして、私は今後予想される
混乱の事態を真に収拾することは、
暫定予算を以てしては不可能である、こういうことをはつきりここで
考えておかなければならないのであります。
以上挙げました三点の
理由からしまして、いろいろな矛盾と
混乱を持ちましたところの
暫定予算に対しては、我々共産党はこれに対しまして反対します。そうして組替えを要求するものであります。