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1953-02-25 第15回国会 参議院 本会議 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十五日(水曜日)    午前十時二十六分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十五号   昭和二十八年二月二十五日    午前十時開議  第一 電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法規制に関する法律案趣旨説明)  第二 医師会歯科医師会及び日本医療団解散等に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第三 海岸砂地地帯農業振興臨時措置法案衆議院提出)(委員長報告)  第四 三陸沿岸縦貫鉄道完遂促進に関する請願委員長報告)  第五 小本線鉄道延長工事施行に関する請願委員長報告)  第六 猪谷駅、神岡町間鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第七 大畑鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第八 遠信鉄道敷設に関する請願委員長報告)  第九 只見線鉄道敷設工事促進に関する請願(三件)(委員長報告)  第一〇 野岩羽線鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第一一 赤穂線鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第一二 橋場線鉄道復活に関する請願委員長報告)  第一三 三陸鉄道石柳新線に関する請願委員長報告)  第一四 直江津、越後湯沢両氏間鉄道敷設促進に関する請願(二件)(委員長報告)  第一五 青森漁港臨港鉄道敷設に関する請願委員長報告)  第一六 青森港中央ふ頭臨港鉄道整備に関する請願委員長報告)  第一七 釧勝線鉄道敷設に関する請願委員長報告)  第一八 国鉄線敷設に関する請願委員長報告)  第一九 越美北線秩道敷設計画に関する請願委員長報告)  第二〇 大宮仙台駅間鉄道電化促進に関する請願委員長報告)  第二一 鉄道嘱託医往診用バス復活に関する請願委員長報告)  第二二 長崎県若宮島燈台しよく光増加に関する請願委員長報告)  策二三 八丈島大越ケ鼻燈台等設置請願委員長報告)  第二四 秋田県に測候所設置請願委員長報告)  第二五 大間港国営修築工事促進に関する請願委員長報告)  第二六 小名浜港修築工事促進に関する請願委員長報告)  第二七 静岡県下田港の避難港工事促進に関する請願委員長報告)  第二八 岡山県味野改修工事施行に関する請願委員長報告)  第二九 水難救済に関する法律制定請願委員長報告)  第三〇 三陸沿岸縦貫鉄道完遂促進に関する陳情委員長報告)  第三一 大宮仙台駅間鉄道電化促進に関する陳情委員長報告)  第三二 東北、北海道両地方に気象官署増設陳情委員長報告)  第三二 港湾等整備費国庫補助増額等に関する陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 三木治朗

    議長三木治朗君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。法務委員長岡部常君から常任委員長を辞任いたしたい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつて許可することに決しました。      ——————————
  5. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) つきましては、この際、日程に追加して、常任委員長選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。
  7. 赤木正雄

    赤木正雄君 只今常任委員長選挙は、成規手続を省略いたしまして、議長において指名されんことの動議を提出いたします。
  8. 木村守江

    木村守江君 只今赤木君の動議賛成いたします。
  9. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 赤木君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、法務委員長中山福藏君を指名いたします。(拍手)      ——————————
  11. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 日程第一、電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法規制に関する法律案。(趣旨説明)  本案につきましては、特に本会議において政府よりその趣旨説明を聴取する必要がある旨の議院運営委員会の決定がございました。  これより労働大臣趣旨説明を求めます。戸塚労働大臣。    〔「総理はどうした」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕    〔国務大臣戸塚九一郎登壇拍手
  12. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) このたび提案いたしました電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法規制に関する法律案につきまして、その提案理由及び大体の構成を御説明申上げます。  昨冬行われました電気事業及び石炭鉱業の両ストライキは、幸いにして最後の段階におきまして収拾されましたが、この二つストライキが、国民経済国民生活に与えた脅威と損害とは、実に甚大なものがあつたのであります。労使関係事項につきましては、法を以てこれを抑制規律するよりは、労使良識と健全な慣行成熟に待つことが望ましいことは言うまでもないことでありますが、政府としても、基本原則のみを固執し、徒らに手を拱いて、当面の緊急の問題に対して対策を怠ることは許されないのであります。かかる見地よりいたしまして、電気事業及び石炭鉱業特殊性及び重要性並びに労使関係の現状に鑑みまして争議権と公益の調和を図り、以て公共福祉を擁護するために、両産業における争議行為方法について必要な規制をなす必要があるのであります。公共的性質を有する産業は、ひとり電気事業及び石炭鉱業に限るものでないことは申すまでもないところでありますが、種々検討の結果、今回はいわゆる基礎産業中最も基幹的な重要産業であり而も昨年問題となつた電気事業及び石炭鉱業につきまして規定いたすこととした次第であります。  以上の見地より今回本法案提案いたしたのでありますが、本法律案の作成に先立つて、二月十四日、十六日の両日、東京、大阪及び福岡におきまして公聴会を開催し、労働者使用者学識経験者意見は勿論、電気事業及び石炭鉱業公共性に鑑みまして、特に一般消費者意見も聴き、検討の結果、成案を得まして今回提案の運びに至つた次第であります。  以下本法律案の大要について御説明申上げます。  本法案は三カ条から成るものでありますが、  先ず第一条におきましては、以上申上げたことく、電気事業及び石炭鉱業特殊性及び重要性に鑑み、公共福祉を擁護するため、争議行為方法について必要の措置を定めるという本法案趣旨を語つたものであります。  次に第二条につきましては、電気事業について、いわゆる停電スト電源ストその他電気の正常な供給の停止乃至直接の障害を生ぜしめる争議行為方法は禁ぜられるものであることを明かにいたしたのであります。スイツチ・オフ等行為は従来とも政府として正当ならざるものと考えたのでありますが、更に、これと同様の結果を生ずる行為であつて、昨年の経験にも鑑み、社会通念上、非とされるものについても、この際これを明確にし、正当ならざる行為の範囲を明かにしたものであります。けだし、停電スト電源スト等は、これに携わる人員は、全電気産業労働者中、少数に過ぎないと同時に、労働者の失う賃金及び使用者のこうむる損害は、これによつて需要者が不可避的にこうむる物質的精神的損失に比較いたしますと、極めて僅かなものであります。この点、他の争議行為方法と全くその類を異にし、電気事業公共性に矛盾すること甚だしき争議方法といわなければならないのであります。よつて本条は、かかる争議手段が行い得ざるものなることを明かにしたものであります。  次に第三条につきましては、石炭鉱業について、鉱山保安法に規定しております保安業務の正常な運営を停廃する行為でありまして、溢水、落盤、自然発火有害ガス充満等を来たして、人命に危害を及したり、石炭資源を滅失し、乃至炭鉱の破壊を招いたり、第三者に鉱害を与えるごとき保安放棄行為は、争議行為として正当性を逸脱するものであることを規定いたしたのであります。このことは昨年の炭労ストに対する政府声明におきましても明かにいたしたところであり、極めて明白の事柄でありますが、此の際、特にこの旨を明文を以て明かにしたものであります。  以上、本法律案提案理由と大体の構成を御説明申上げたのでありますが、本法律案は決して不当に労働者権利を抑圧いたすものではなく、電気事業及び石炭鉱業特殊性、並びに国民経済及び国民生活に対する重要性に基く両産業における争議行為方法の制約を明かにし、公共福祉を擁護せんといたすものであります。何とぞ御審議の上、速かに可決せられんことをお願い致します。     —————————————
  13. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 只今労働大臣趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。    〔相馬助治発言許可を求む〕
  14. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 相馬君、何ですか。
  15. 相馬助治

    相馬助治君 議事進行について発言いたしたいと思います。
  16. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 相馬君。
  17. 相馬助治

    相馬助治君 私はこの際、議長に、吉田首相の本会議欠席について質問します。二十三日に義務教育学校職員法という重要法案提案されて、自由党初め各党から、全部、首相要求して二日間に亘つて質疑が行われた。その際において首相出席をしなかつた。而も二十三日には議運において所労及び病気のために休むということをおつしやつたが緒方総理はこの本会議において所労のために休むという説明をしておる。大体理由が違う。而も今日只今労働大臣説明通り重要法案が上程されて、私どもの党においては我が党を代表して原君が質問をいたし、首相要求をしている。首相がいないので、これに対して議長より納得の行く説明がない限り本人は登壇しないと思うのであつて、この際、議長より、それらの経緯を明かにされるように要求します。(「異議なし」と呼ぶ者あり、拍手
  18. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 本案重要性に鑑みまして、議長より総理厳重出席要求いたしましたところ、首相所労のため出席いたしかねる旨の答弁があつたのであります。    〔「総理やめろ」「議長々々」「了承」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕    〔矢嶋三義発言許可を求む〕
  19. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 矢嶋君、何ですか。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。
  21. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 矢嶋君。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本重要法案提案に当つて連日所労の故を以て総理大臣が小議場にお見えにならないことは、我他の承服できないところである。(「その通り」と呼ぶ者あり)従つて総理本元議場出席されるまで本会議を休憩されんことの動議を提出いたします。(「異議なし」と呼ぶ者あり、拍手
  23. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 申上げますけれども、原君の出席大臣要求の中には総理大臣が含まれておらないようであります。    〔「それは要求してあります、恐らく事務局の手落ちでしよう」「そんなことはない」「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  24. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 原虎一君。    〔「はつきりして下さい」「登壇登壇」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  25. 原虎一

    原虎一君 一身上の弁明をいたします。
  26. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 静粛に願います。    〔「総理が来ないことを議運でも小委員会でも言わないじやないか」「本会議場での動議の出し方はわかつているだろう」「加藤さん考えなさい」と呼ぶ者あり〕
  27. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 原虎一君、登壇願います。(「登壇」「参議院を軽視するな」「採決」「暫時休憩せい」「動議をどうした」「動議が成立しております」と呼ぶ者あり)原虎一君の登壇要求いたします。    〔「登壇」「動議を提出しておる」「動議採決」と呼ぶ者あり、原虎一君「今の問題が解決しなきや登壇できない」と述ぶ〕
  28. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 動議は出ましたけれども、賛成のお言葉がありませんでした。賛成のお言葉があれば動議は成立いたします。(拍手)    〔「その通り」「賛成」「登壇」「動議をどうした」「採決」「総理が来るまで休憩」と呼ぶ者あり〕    〔相馬助治発言許可を求む〕
  29. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 相馬君、何ですか。
  30. 相馬助治

    相馬助治君 私は只今矢嶋三義君の動議賛成いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり、拍手
  31. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 矢嶋君の動議賛成ですか。(「議長何をしておる」と呼ぶ者あり)矢嶋君の動議賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕    〔「記名投票せよ」「発言を許しておいて動議採決とは何だ」と呼ぶ者あり〕
  32. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 少数と認めます。(拍手)    〔「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  33. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 原虎一君の登壇を求めます。(「記名投票で願います」と呼ぶ者あり)原虎一君の登壇を求めます。    〔「こつちのほうが多い」「記名投票動議を出せ」「会議を知らないのか」と呼ぶ者あり〕    〔原虎一登壇
  34. 原虎一

    原虎一君 私は只今戸塚労働大臣によつて説明をされました本法案に対して、社会党第二控室を代表いたしまして、総理大臣並びに関係大臣質問をするものであります。  その冒頭に、吉田内閣閣僚全部に反省を促したいと存ずるものであります。今、労働大臣によつて会議説明されましたこ法案は全く重要なるものであつて議院運営委員会成規手続によつて総理大臣出席要求したにもかかわらず、(「要求していないよ」「要求した」と呼ぶ者あり)出席いたしておりません。(「議院運営委員会要求したか」と呼ぶ者あり)よし要求がなくても、真に労働問題に対する誠意を有する総理大臣でありますならば、(「それは又別だ」「そう言え」と呼ぶ者あり)みずから進んで出席して答弁に答えるべきである。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)然るに所労理由に本会議出席いたさないがごとき内閣自体態度総理大臣自体態度が、今回のごとき反動にして労働組合 を弾圧する法律を提出せざるを得なくせしめたと断ぜざるを得ないものであります。(拍手)  先ず吉田総理大臣の十九世紀的労働政策について総理の有する基本的理念質問いたしたいものであります。過去四年間に亘り総理のとり来たつた労働政策は、飽くまで労働者資本家従属物考え、常に法律と権力によつて労働者を抑圧することを目的としていると断言せざるを得ません。即ち、曾つて労働者を不逞のやからと罵倒し、過日はストライキのごときものは贅沢な国民のすることであると暴言を吐かれているのであります。これは明かに右の精神を裏書するものであります。今日欧米各国においては、国家並びに産業の興隆には労働者協力を欠くことのできないものとして、労働者の人格と権利を尊重し、産業協力者として労働政策が樹立されているのでありまするが、吉田総理はこの基本的理念について如何なる考えを有するのでありまするか。先ずお伺いいたしたいものであります。  第二は、本法案憲法第二十八条による労働者基本的権利を甚だしく侵害するものと言わなければなりません。即ち、政府提案理由主要点は、公共福祉を擁護する理由の下にストライキによる如何なる停電行為も禁止するものでありまして、電気産業労働組合にとつて致命的な弾圧法と言わなければなりません。公共福祉のために基本的人権を抑制する場合は、その被害者的立場にある労働者基本権は他の立法によつて最大限に保障されなければならないのであります。非難の多い公共企業体等労働関係法が不完全ながらその体系をなしておるのに反して、本法案労働者基本権を剥奪し放しであり、公労法より一層反動的立法と断ぜざるを得ないのであります。右について私は労働大臣並びに犬養法務総裁の見解を質すものであります。  第三は、本法案労働者を一方的に弾圧し、総理の側近の参加する電力資本家を露骨に擁護するものであることを指摘するものであります。即ち政府は、労使関係事項については、法律を以てこれを抑制するよりは、労使良識と健全なる慣行成熟に待つことが望ましい云々と説明をしながらも、一方的に労働者権利法律を以て抑圧しながら、他方、資本家側を放任しておることは、不公平も甚だしいものであります。過般の電産争議の悪化したる原因の中には、政府の無策と、電力資本家経営の不明朗と、団体交渉を極度に拒否したところにあることを、政府反省しなければなりません。今回政府電源スト禁止法制化せんとするならば、当然に労働組合法に反して団体交渉を拒絶した資本家の不当なる態度を取締る法案を提出することが先決問題であります。然るに、この不公平なる措置は、総理並びに戸塚労働大臣は如何なる考えによつてなされたのであるか。明快なる御答弁を願いたいものであります。  第四は、政府に対して、電産労働組合を「たこ」にも等しい骨なし労働組合化しようとしておる底意を指摘しなければならないのであります。政府は、本法案公共福祉擁護のため必要なる最小限度措置をなすものであると言つておるのでありまするが、電産労働組合から電源スト権を剥奪することは、資本家側を絶対有利の立場に置くものであつて労使の力の均衡は全く失われてしまうのであります。労働大臣は、電源スト権を禁止しても、労働者には、なお、まだ集金ストであるとか或いは事務スト等罷業権は認めてあると強調されるでありましよう。併しこの権利は何ら電力資本家にとつて痛痒を感じない名目上のスト権にほかなりません。即ち、集金ストはただ会社の収入が一時的に延期されるだけのことでありまして経済上の損失負担にはならないのであります。一方、労働者ストによつて給料不払になつて経済上の苦痛を嘗める結果となり、集金ストはむしろ会社側の望むところでありましよう。かくのごとき資本家側痛痒を感じないスト権を以て労使の力の均衡が保持されているとするならば、滑稽至極であります。労働問題を解せざるも甚だしいものと言わなければなりません。労使の間の力が法的にも経済的にも均衡が保持されておるところに、中労委のごとき調停機関の公平にして妥当なる調停が成立するのであつて、始めから力の均衡が破壊されておるところに労使関係の円滑を期待することは絶対に不可能であることは、歴史の立証するところであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)角を矯めて牛を殺すと申しまするが、本法案は、骨を抜きとつてたこ」にも等しい電産労働組合とするものであつて戸塚労働大臣は、本法成立後、電産の労使関係が正常なる途を歩み得ると何を以て保証されるのであるか。明快なる御答弁を承わりたいのであります。又かくのごとき無謀なる労働立法が是認されますならば、次には、私鉄、海運、ガス産業等労働関係に対して続々と適用されることが明かに予想されるのであり、重ねて労働大臣の所見を質すものであります。  第五には、中央労働委員会盲腸的存在として軽視し、これを弱体視した政府責任を追及するものであります。社会に重大なる影響を与えるところの大罷業を事前に防止せんとするには、政府が常に細心の注意を払つて、公正にして適切なる施策が行われて行かなければならないのであります。政府は昨年の炭労ストライキにおいて労組が保安要員の引上げを決議したことを以て今回かくのごとき行為を不法なりと規制しようとしているのでありますが、すでに現行法規によつてかくのごとき行為は不当なものとして明かなところであります。肝要なる点は、罷業かくも悪化する原因がいずこにあるかを究明して、その原因を除去することが先決であります。一昨年二月の炭労ストが十一日間に及び、石炭八十数万トンの生産減を来たして漸く解決したのでありまするが、当時、労使とも中央労働委員会信頼せずして、その調停を婉曲に拒否した事実につきましても、政府は深く反省をしなければならないところであります。にもかかわらず、政府中労委拡充強化を図ることなく、これを放任しておき、遂に昨年の秋の電産炭労二大罷業の勃発を見るに至つたのであります。若し政府中労委拡充強化を図り、労使はもとより全国民信頼を受けるに足る中労委に育成されておつたならば、かの二大罷業かくまで悪化することなく解決を見ることができたのであろうと想像いたしますときに、政府の怠慢を追及せざるを得ないものであります。今日の全国的組織労働組合の多くが中労委の斡旋を嫌う傾向にあることは事実であります。その理由とするところは、争議調停期間が極端に長引き、而も非科学的結論が出されることにあるのであります。政府は、速かに、中労委をして労使は勿論、全国民信頼を博するに足る権威ある機関とするために、予算的措置と、機構の改革と、必要なる法制化をする決意があるか否かをお伺いいたしたいのであります。  第六は、罷業を悪化せしめる重大なる原因は、国におきましては政府みずからが法律を蹂躙するところにあり、私企業においては不明朗なる経営によるものであることは、多くの事実によつて明かであります。即ち、吉田総理は、昭和二十四年第一回の国鉄仲裁裁定以来、数回に亘る仲裁裁定を忠実に履行せず、その都度、争議が悪化した事実は、政府の弁解できないところでありましよう。又、私企業においては、電産争議によつて明かであります。政府は、西ドイツにおいて行われているごとく、労働者企業参加権を認め、経営明朗化労働者権利責任とによつて産業の発展を企図すべきであります。然るに政府産業計画は、全くこの重要なる労働政策は等閑にされているというよりも無視されているのであります。総理並びに通産大臣経済審議庁長官所信を質すものであります。  最後に、以上六点によつて明かな通り、本法案は、吉田内閣が、日本の独立を機会にその反動性を暴露し、日本民主化の支柱である労働組合を弾圧する第一歩であると諸外国の非難を受けても、弁解の辞に窮するものと断ぜざるを得ません。総理は速かに本案を撤回し、先ず政府責任においてなさねばならない諸施策を断行して、然るのち徐ろに趨勢を見て善処すべきであると信ずるものでありまするが、総理大臣所信を伺いたいのであります。  以上質問をいたしまして再質問権利を留保いたしまして、私の質問演説を終りたいと存ずるものであります。(拍手)    〔「総理大臣はどうした」「議事進行」「退場々々」と呼ぶ者あり〕    〔国務大臣緒方竹虎登壇拍手
  35. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 原君の御質問に対しお答え申上げます前に、一言申上げます。(「定足数あるか」と呼ぶ 者あり)総理大臣は、月曜日以来、所労と軽微の風邪のために国会に出席できませんでした。今日なお所労が回復いたしませんので、議長に御了解を得まして本日欠席をいたしました。その点、何とぞ御了承を願いたいと思います。(「了承できない」「いつもじやないか」「了承々々」「定足数のないときやつたつて無効じやないか」と呼ぶ者あり)  原君の御質問に、総理大臣並びに今の政府は、新憲法に盛られた基本的人権尊重趣旨を軽視するものではないかというお話でありましたが、政府といたしましてはそういう所存は毛頭ございません。今日再軍備に関連して、憲法改正議論が相当世上に行われておりまするが、総理は、憲法改正のごときは最も慎重にやるべきものであるとして、今日の憲法改正論に強く反対している者の一人でありますることは、御承知の通りでございます。で、ここに提案いたしましたスト制限法案に関しましても、世間には、昨年の電産並びに炭労スト経験から、今御指摘になりました私鉄或いはガス事業というような公共的の事業のすべてに、総合的に相当強い国家的規制を加うべしとの議論もあるのでありますが、政府といたしましては、昨年のスト経験から、最小限に、公共福祉と申しまするか、消費者立場を擁護したいという考えから、今度の法案提案したような次第でありまして、争議労使双方の自主的の交渉によりまして解決することは最も望ましいのでありまするが、昨年の二つの大きなスト経験に鑑みまして、こういう場合には何としても政府立場として消費者並びに社会一般の福祉を守る方法を講じなければならない。そういう観点から、公益と争議権の調整を考えまして提案いたしましたのが、今回のスト制限に関する法案でございます。この段、何とぞ御了承をお願いいたしたいと思います。(拍手
  36. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 暫時休憩いたします。    午前十一時七分休憩      ——————————    午後零時三分開議
  37. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  議事の都合により、本日はこれにて延会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第、公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、常任委員長辞任の件  一、常任委員長選挙  一、日程第一 電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法規制に関する法律案趣旨説明