○
相馬助治君 私は
日本社会党を代表いたしまして、
只今上程となりました
義務教育学校職員法案に対しまして、特に
政府の
基本的態度並びに
国庫負担制度の
内容及び
教職員の
身分規定等に関しまして、
矢嶋君、堀越君の
質問と相成るべく重複を避けながら、木村君の
質問とは全然重複いたしませんが、
吉田総理初め
関係閣僚に対し若干の質疑を行いたいと存ずるのであります。
先ず吉田首相に対して三点に亘
つてお伺いいたします。我々はこの重要
法案に対しまして、当然吉田首相の出席を予定したのでありますが、所労に加えるに風邪引きであるというので、議運は止むなく副
総理を当てることを了解したのでありまして、その
責任において特に緒方副
総理の
責任ある
答弁を先ず私は
要求いたします。
名前は
義務教育学校職員法ということに相成
つておりまするが、名前はどうあろうとも、この
法律は単に
義務教育にのみ
関係する
施行規則のようなものではございませんで、広汎に
関係するところがありますると共に、
国家国民百年の大計の
根本に
関係するものでありますると共に、日本民族千年の、永遠に亘る重大な利害
関係を持つものであることを顧みまするときに、この
法案の
内容が若し誤ま
つたままに
成立したといたしますならば、これは結局するところ、
政府当局の独断偏見によりまして、我が愛する日本の
国家国民を破滅の底に再び引きずり込むものであるということを銘記しなければならんと思うのであります。世論を御覧下さい。知事会も
市町村長会も
反対です。
都道府県の
教育委員会も
反対です。
教職員組合も本気にな
つて反対をしておりますし、新聞を眺めましても、この
法案が立派であるなどということを言うている新聞はただの一つもございません。(「その
通り」と呼ぶ者あり)こういうふうに世論ことごとく
反対の状況を、一体、首相、文相は何とお
考えであるか。
矢嶋君は、これの提案をやめたらどうかいう忠告を発せられたのであります。これに答えることなく、岡野さんは堂々たる
信念をここに発揮してお答えにな
つておりますけれども、私はこの
法律というものが、
地方自治の歴史から見ても、
学制の歴史から見ても、実に重要である。でありまするが故に、当然
地方制度調査会並びに
中央教育審議会に諮るべきものであると
考えておるのであります。これに関しましては、先の
質問に対して率直に
政府はその非を悟
つておるようであります。併しそれは単にこの場逃れであ
つては絶対に許すことはできない。問題は、今後この
地方制度調査会を内閣自身は如何に活用せんとするのであるか。これを先ず私はお伺いいたしますると共に、この
地方制度並びに
学制に
根本的に
改正を加える重要
法案を提出した
政府は、これに伴いまして、
平衡交付金の問題、或いは
地方税法の再
検討、或いは又一部に一時伝えられましたように、
府県を統合して道州制を布くとか、或いは現行の町村を
行政区域として適正なる
規模に改めるとか、ともあれ、
地方自治の
根本的
改革案がその裏に用意されていなければならない。若しないとするならば、
政府は無智無能と言わんよりは、怠慢であるとして、
国民はこれを責めなければならない。このような意味合いにおきまして、一体、
政府は
地方自治の
根本改革案について如何なる見解をお持ちであるか、これに関する作業等が進んでおられるかどうか、承わりたいのであります。
次に、現在の六三制の問題につきまして、
只今岡野文相より
答弁があり、これを変革する予定はないと申しておりますが、再び、一つ、内閣の
責任において緒方副
総理より、現在の六三制、この
義務教育制度に対し如何なる見解をお持ちであるかを、本
会議揚を通じて
国民の前に明示して頂きたいと思うのであります。
第二にお伺いしたいことは、いわゆる
道義の
高揚と本
法案の連関であります。堀越氏がこの壇上において述べられましたように、
吉田総理はその施政方針演説の中に長文に亘
つてこのことを述べ、そうして最後の所に行
つて、「
政府は今回の施策により
義務教育の面目を一新するものがあると信ずるのでありまする」と、自信満々と述べておる。世間では最初本気にした。いよいよ吉田内閣は、
義務教育費は
全額国庫負担するそうな、
父兄の
負担も幾分減るであろうなどというように、素朴に
国民大衆はこの宣伝を歓迎した。ところが、あにはからんや、今日現われた
法律を見るに及んで、最近内閣は精神分裂症にかか
つておるのではないかというような心配をしている向きがあると某新聞は報ずるに至
つておるのであります。成るほど面目は一新するでありましよう。よいほうに一新するならばよろしいが、悪いほうにがらりと一新するのでは、断じて我々はこれを看過することはできない。どうしても我々は、今日民主的な勢力を糾合してこれを一つ眺めて見なければならない。今回の
政府案は、端的に言うならば、明治大正の
教育に逆戻りすることであります。これは絶対主義天皇制への郷愁を持つ封建主義が骨の髄までしみ込んでいたやからの
考えそうなことなのであります。(「然り」「その
通りだ」「ノー」と呼ぶ者あり)一体、
地方自治ということが
民主主義の
基本であるということを言う
政府が、今の
地方自治から
教育と警察を取除いて、あとに何が残りますか。もう形だけの委託事務が残るだけでございます。このような
法律案を出して
教育の
中央集権化を行わんとする者は、直ちに以て極右とフアッシヨを育てる者である、共産主義をして喜ばせる者である、共産党をしてうん醸せしめる
法律案であると、私は断ぜざるを得ない。(「その
通り」と呼ぶ者あり、
拍手)首相はしばしば、仮定のことには答えられません、こういうことを壇上で申します。併し私は賢明なる緒方長官に申したい。政治というものは、常に、不安定なる諸条件を予定して十年或いは百年の後の計を立てるべきものである。あなたは、この
法案によ
つて将来如何なる事態が生ずべきかということは、あなたの教養の高さと、あなたの長きに亘る
民主主義的な生活を通じておわかりであろうと私は
考えるのであります。皆さま、憲法の
規定するところによ
つて義務教育費を国費によ
つて賄うということは、私にもよくわかる。併し、だからと申して、これを奇貨といたしまして
教職員の
国家公務員化を図り、近代
民主政治の精神に逆行するというがごときことは、断じて許されないと思うのでありまして、本
法案の
実施によ
つて道義の
高揚を図るというが、それは一体具体的に何を指すのであるか。私どもには、とんとわからない。一つ明快にお示しを願いたい。なお、あなたは、今日の日本の
教職員、日本
教職員組合の活動をも含めて、一体、敗戦下日本の再建の段階にあるこの段階において、
教職員に何を望まんとするものであるか、一つ明快に、
全国の
教職員に対し勇気と自信を与える意味において、この際、画期的本
法案の提出に当
つてその
所見を述べられたい。
次に、最後に緒方副
総理に伺いたいことは、
政府案によりますると、
教職員は一般職の
国家公務員として、
国家公務員の
人事に関して
規定する法令の定めるところが全部適用されることに相成
つております。私はこの
規定を見まするときに、直ちに、軍国主義下の旧ドイツ、或いはそれに連なるナチス・ドイツの悲惨なる亡国の歴史を想起すること頻りなるものがあります。又、ナポレオンに支配された時代の侵略主義のフランス帝国の歴史を今日まざまざと思い浮べるものであります。本法は、先ほど触れましたように、且つ又、先ほど
矢嶋君、堀越君によ
つて烈々と触れられましたように、まさに時代逆行の品物である。
教育というものが社会の維持発展を
目的として次代の
国民に対して施すものである以上におきましては、その
内容は仔細に
検討されなければならない。そうして、その
教育制度に誤まりがあるといたしましたならば、それは結果においては、まさに戦慄すべきものがあるということを我々は銘記しなければならない。それぞれの時代において、
教育と社会と民族との
関係というものは、最も適切なる形において運用されなければならない。その国において
教職員を
国家公務員とし、
教育の
中央集権化を図るということは、何を意味するか。次の時代に如何なる時代を生起するものであるか。
教育は時の権力者の恣意によ
つて歪められる、時の権力者の狂信に基いて行われる、或いは時の権力者の利己的
目的のためにおいて悪用されることになることを、ドイツにおいてはナチス時代において、フランスにおいてはナポレオン時代において、日本においては今まさに吉田内閣の下において私はこれを見んとするものであります。こういう意味合いにおきまして、現
政府のなしつつあるところは、一部文部官僚の勢力回復と、保守政党がいよいよ政権に長くあり付かんとする政権維持のために普通
教育を悪用せんとするものであると言われても、あえて弁解の余地はないと思うのであるが、これに関しまして如何に
考えておいでになるか。とに
かく戦争によ
つて日本が負けるまでの歴史を顧みるときに、日本の
教育は、天皇の大権を笠に着た軍閥官閥の下に動員され、日本を一路無謀なる戦争に、そうして恐るべき敗戦に追いやるための積極的任務を、
教職員は不幸にも背負わされて参
つたのであります。かかる戦後の反省が、
教育の
民主化という大旆を掲げ、
教育委員会制度の採用となり、国定教科書の廃止等を含む、軍国的中央集権的
教育の
地方分権的
教育制度への発展とな
つて現われて参
つたのであります。先に
政府は、
地方教育委員会の
実施に当
つて、
教育の効果は
地方分権に待たなければならないと言
つた。そうして問題のあるところに反抗しながら、世論に抗して
地方教育委員会制度というものを
実施したのでありまするが、今日これと逆行する
教育の
中央集権化を
内容とする本法を提出しておるけれども、
政府は一体、
地方教育委員会制度についてどう
考えるのであるか。行く行くは廃止するのか。そうして又これと連関いたしまして、公安委員会であるとか、労働委員会であるとか、
人事委員会であるとか、このような単独の
行政委員会というものは、専制的な政治をやるときには、時に邪魔なものになります。従いまして、こういうものはだんだん廃止するという
基本的なお
考えなのであるかどうか。これは
国民の重大関心事でありまするが故に、特に賢明なる緒方副
総理の見解を私は
要求するのであります。
次に私は、当の立法の
責任者である
岡野文相に対し厳粛にお尋ねいたしたい。本法が
成立いたしますると、これは日本の歴史上、明治五年の
義務教育実施以来の画期的変革であります。かかる重要
法案は、当然文相の
諮問機関である
中央教育審議会に諮らなければならなか
つたものであると思いまするが、それらの手続は如何になされたか。又この種
法案について今後はどのように
考えておるか。これが
質問の第一点であります
第二に、
義務教育費を国費にて
負担するということは、直ちに当該
教職員を
国家公務員にしなければならないような言い方を以て
矢嶋君の
質問に答えておりまするが、その法的根拠如何。これが私の
質問の第二点であります。
質問の第二点に当
つて私は附言したい。私見を以ていたしまするならば、イギリス、アメリカにおいても、特殊な州を除き、その大部分は国費を以て
教育を見ておるけれども、
教職員は
地方公務員としての
制度の下にその政治的自由は保有されておるようであります。
教育の
最高責任者たるあなたが、
義務教育費国庫負担法を
考えることは極めてよろしい。同時に、
教育の
地方分権の精神と
地方教育委員会の
制度、日本の
地方自治の実態を勘案して、なぜこれは
教職員を
地方公務員に置かないのか。これが私の
質問と言わんよりは、もう全く不思議でたまらないのでありまして、これらについては納得の行く
答弁をお願いいたします。
次に、本
法案によりますると、
教職員の
人事権に関しましては、
国家公務員について法令の定むるところが原則として適用されますると共に、
教育委員会は、
教職員の任命権及び
給与の権限を持
つておりまするけれども、最終的には、
文部大臣はこの
法律に基いて、
教育委員会の権限に属する事務の管理又は執行について、
教育委員会を
指揮監督するの権限を保有することと相成るのであります。これは事実上
文部大臣の指揮系統を
全国に一貫することを意味します。言葉を換えまするならば、
文部大臣の独裁制下の
教育ということに相成ります。吉田内閣の余命は幾ばくもないでありましよう。
大臣は次々と替るでありましよう。狂暴性を帯びたと言
つては失礼であるが、如何なる
大臣が現われるかは予測されない。そのことを
考えまするときに、法的なものは、その体裁においても
内容においても、立派なものでなければならない。そうして又、私は岡野さんにお伺いしたい。ここで、こういう私見を申しては恐縮でありますが、あなたのお父様も、長きに且
つて小
学校教員の職にあ
つたということを、私はあなたの述懐のうちに読みと
つておりまするが、(「つまらんことを言うな」と呼ぶ者あり)あの当時において、一体、
教育というものはどんな姿であ
つたか。教員というものは無気力と無人格的な代名詞のごとく言われて参り、「先生と言われるほどの馬鹿でなし」という川柳をも生むに至
つているということを
考えまするときに、このような教員の
中央集権化、
国家公務員化というものは、
教育効果を低下し、教員を卑屈ならしめる心配があるのでありますが、一つ安心の行くような御
答弁並びに
措置をお願いしたいと言うのであります。
次に、この
地方自治庁と
文部省の本
予算をめぐる対立の問題でありまするが、最初、
地方自治庁は、
平衡交付金の
教育基準
財政需要の額だけ外して
文部省予算に組み、本
法律案を
成立せしめようとした模様であります。これに対しまして文相は現員現給を以て闘
つたようでありまするが、結局妥協したものは何であるかというと、両者を満足せしめておる、両者を満足せしめておるということは、この
法律が
施行されたときには、両者を不満足とせしめることを今日予見していいということを証明していると思うのであります。一体、本法が
成立した場合におきまして、二十八年度は経過
規定として別でございまするが、将来法的に
財政支出の義務者のない場合ができたらどういうことになりますか。具体的に言うと、
全額国庫負担が行われた場合、
定員定額制の下に行われることは、これは当然なのです。現員現給だなどと言
つても、文相はそういうことを
考えても、
国家財政というものはそんな
教育だけに無茶を許しません。
定員定額制になるという運命を、これは必然的に内蔵している。東京都のように
給与水準の高い所で、現在の実支出額以下の
国庫負担が行われた場合、東京都自身が差額分を支出する法的義務を持
つていない。この場合には、当然実質的な
給与切下げ、首切りが行われると思います。
文部大臣は
矢嶋君の
質問に答えて、
定員の所で余
つているから、むしろ人間は余裕があると申しておりますが、問題は
定額のほうです。
国家財政の上から縛られて来たときには、
都道府県においては泣きながらも優秀なる教員の首を切らなければならない。これは議論をしているのではなくして、そうする以外に途がないということを私は言
つている。これも首切りにならないとするならば、それは誠に嬉しい極みでありますから、是非その嬉しいところを納得の行くように私に聞かしてもらいたい。これが
質問であります。
次に、本法が
成立いたしまするというと、幾ら理窟をこねても、
地方教育委員会は単なる連絡
機関となり、文相の下部下請執行
機関と相成ります。そうして、それにも
つて来て厄介なことは、今日
全国の
市町村長は
地方教育委員会を厄介視しておりまするから、あれは単独の
行政委員会というよりも、単なる
市町村長の
諮問機関にしたほうがいいというようなことを言
つている。一体
文部省は養成するつもりであるかどうか。こういうふうに
考えて参りまして、文相自身は
教育委員会改正に関して如何なる
所見を持つかということをお伺いいたすものであります。
政府は又
行政簡素化を主張している。併し本法のようなものが
成立するならば、教員の
人事行政というものがいよいよ複雑化するのでありますが、この辺の事情について概略で結構ですから見解を述べて頂きたいと思うのであります。但し忘れずに述べてもらいたいことが一点ある。何であるかと申しますと、第十条5の
規定によると、教員の任命については「あらかじめ、当該
市町村長に協議しなければならない。」こういうふうに書いてある。最初は協議したほうがいいというような消極的
規定であ
つたようであるが、「しなければならない」という積極
規定に改めてあるようであります。新聞紙の伝えるところによれば、本多氏の顔を立てて、あまり気の毒なので妥協して、この程度のものを挿入したということが言われておりまするが、楽屋裏はいざ知らず、このようなことは誠に問題の存するところでありますが、
文部大臣として、このような
法律案を
成立せしめて将来運用に差障りがないと確信されるか。されるとするならば、その根拠如何。而も又前項の協議が調わない場合は
文部大臣が裁定すると申しております。
地方の人々によ
つて公選された
教育委員会と、これ又公選された
市町村長とが、協議が調わない問題を虎の門まで持
つて来て、
文部大臣が裁定する。これは実に妙な話である。一体、実際問題としては、再び県
教育委員会に再委任するというような、或いは又
文部大臣の下に特別な
機関を置いて、この種問題の紛争解決に当り、公平委員会と称すべきものをも設けなくちやならないというように思うが、一体どうなのか、一つ厳粛にお答えを願いたい。
又国費を支出しない
府県の
教職員も
国家公務員になることはいささかも差支ないと言
つている。
教職員がそういうことをお願いしているというようなことを前提として述べております。誠に不思議な議論であると言わなければならない。
教職員が望むか望まないかは別といたしまして、法的な立場において、我々は法的に一体不合理でないというのかと尋ねているのでありまして、明快なる
答弁を承わりたいと思うのであります。
次に、これは
文部大臣と大蔵
大臣に伺うのでありまするが、本法が
成立しない場合にはどうなるかということです。仮定のことには答えられないなどという逃げ口上は許さない。そういうことがあり得る。そうときには
半額国庫負担法というものは四月一日から口をきく。現実に大蔵省は、
財政上の
理由を以て一年延期説を出しておりまするけれども、実際は作業が進んでいるのですか、そのような状態に
なつたときに、
文部大臣は、各省との連絡が緊密になされ、部内の作業は終
つて、不幸にして——あなたたちの言葉です——不幸にして今回提案されている
法律案が
成立しなか
つたときには、直ちに以て
半額国庫負担法が
施行されるように準備が当然できていると思いまするけれども、念には念を入れてお尋ねするのでありまするが、明快にお答えを願いたいと思うのであります。大蔵
大臣に対する
質問は、ただの、この一点でありまするから、どうかポイントを逃がすことなく、一つお答えを願いたいと思うのであります。
なお文相に一点お聞きしたいことは、これは日教組対策のために行われる
法律案であるというようなことが世上言われている。そういうことを暫らくおくといたしまして、一体、
教育の
振興上、
道義の
高揚上、
教職員の
基本的人権として与えられておりまする政治活動に対し、日本
教職員組合の政治活動を含めて、如何なる見解をお持ちであるかどうかをお示し願いたいと思うのであります。
次に
本多国務大臣にお聞きしたい。このような
地方自治全般に亘る
法律案を出すときには、当然
平衡交付金の
制度、
地方税法の大幅
改正が前提でなければならない。それがなされずして、政治的な力で以て、物理的現象を以て岡野ざんに押切られたとするならば、これはやめなければならない。併しおやめにならないところを見ると、何かここに妙手があると思うのでありまするが、一体どんなわけで妥協したのであるか。
地方の知事会あたりの意向とどういうふうにこれは見合せるつもりであるか。一つ明快なる
答弁を
要求いたします。伝え聞くところによりますると、入場税、遊興飲食税、こういう現行
府県税を国に移管すると伝えられておりまするが、果して然りとすれば、いつの頃これをやるのであるか。実に
地方長官、
地方議会等では大問題だと思いますので、この際、明確に承わりたい。未だ研究中であるとは断じて私は許さないということを附加えておきます。暫定
措置と言いながら、
昭和二十八年度は八大
富裕府県には支出しないということをきめたようであります。併し実際にはどのように
措置するのですか。二つには不交付である。あとの六つについては適当な実態を捕捉してこれは
措置するというのでありまするが、もう少し具体的にお示しを願いたい。且つ又この八大
府県の意思を代表してお尋ねしたいことは、これは二十八年度中に
地方税法を
改正して、新財源を見付けて、そうしてこれら
府県に対して
国庫負担を行うという積極的意思があるのか。それとも、もう二十八年は棚上げで、すべて二十九年から新規蒔き直しだというのか、この辺について、はつきり伺いたいと思うのであります。
私は、私の
質問を終るに当りまして、特に副
総理並びに岡野、向井、本多各
大臣に一言、お願いというか、見解を申添えたいことは、本
法案の
内容は支離滅裂だということ、教員俸給について大幅に国庫
補助金
制度を採り入れることは、その精神においてよろしいけれども、他の連関がみな
考えられていないということ、
国庫負担の美名に隠れて教員を
国家公務員とし、教員の
国家統制を布かんとすること、これは今まさに行われている
民主政治を敵視するに等しいということ、曾
つて絶対主義の下では、天皇政治に弓を引いた者は逆賊の名が冠せられた。今日
民主政治に弓を引く者は、これは社会から敵視されなければならない。自由党並びに吉田内閣は、その運命を今まさに、その歴史を今まさに歩みつつある。これは私だけの心配でありましようか。
国民が皆心配しておる。(
拍手)私の
質問に答えるというよりは、私の
質問に対する
答弁を通じて
国民の理解を深め、その疑問を解く意味を以て……私に対する
答弁は私に対する
答弁ではない。故に親切丁寧を旨にしてせられたいということを申添えるものでございます。
〔
国務大臣緒方竹虎君
登壇、
拍手〕