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1953-02-04 第15回国会 参議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月四日(水曜日)    午前十時三十二分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十一号   昭和二十八年二月四日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第五日)  第二 国立国会図書館法第二十条の規定により行政各部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程に追加して、スエーデン国スイス国スペイン国及びポルトガル国に対する感謝決議案柏木庫治君外十八名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。本決議案につきましては柏木庫治君外十八名より委員会審査省略要求書が提出されております。発議者要求通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明発言を許します。柏木庫治君。    〔柏木庫治登壇拍手
  6. 柏木庫治

    柏木庫治君 先ず決議文を朗読いたします。     決議文   スエーデンスイススペイン及びポルトガル諸国は、太平洋戦争勃発以後第二次世界大戦中を通じ日本政府の依頼により世界各地において日本利益代表国たることを受諾し、在外邦人生活擁護を含む広汎なる在外日本権益保護に当り、困難なる戦争下事情に拘らず、煩雑多岐利益代表事務支障なく遂行された。又、終戦後もスイス国昭和二十一年迄、スエーデン国昭和二十七年迄利益代表の労をとられた。   日本国会参議院は、前記各国に対して深甚なる感謝の意を表明する。  右決議する。  理由を説明いたします。我が国は、太平洋戦争勃発以来、敵国における我が国利益保護方を、スエーデンスイススペイン及びポルトガルに依頼いたしたのでありますが、スペイン及びポルトガル両国は、スエーデンスイス利益代表を引継きましたので、終戦当時スイスに依頼した地域は、米英両国を初めとして約二十カ国、スエーデンに依頼した地域は、メキシコインド等約二十二カ国に及んでいたのであります。  スイスは、昭和二十一年三月まで利益代表の労をとられ、又スエーデンについては、在外事務所設置在外公館の開設に伴つて、漸次スエーデン公館から利益代表事務を引継ぎ、昭和二十七年六月一応の区切りを付けて、スエーデン政府に対し、日本政府謝意を表明いたしたのであります。  以上のごとく、スエーデンスイススペイン及びポルトガル諸国は、世界各地において日本利益代表国たることを受諾し、在外邦人生活擁護を含む広汎なる在外日本権益保護に当り、困難なる戦争下事情にかかわらず、煩雑多岐利益代表事務支障なく遂行されたのでありまして、各国との友好関係の復活に際して、これら利益代表国諸国に対し、日本国参議院として深甚なる謝意を表明することは、必要にして又時宜を得たものと信ずるものであります。  何とぞ満場の御賛同を得たく存ずる次第であります。終り。(拍手
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本決議案の採決をいたします(本決議案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて決議案全会一致を以て可決せられました。  只今決議に対し、外務大臣から発言を求められました。岡崎外務大臣。    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  9. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 只今趣旨説明にありました通りスエーデンスイススペインポルトガル等諸国は、我が国利益保護のために非常か労をとられたのであります。政府としては、すでにこれらの国々に対して深厚の謝意を表したのでありまするが、只今の御決議にありました趣旨を更に十分徹底して、我が国国会としても感謝をされておるということは、十分これら諸国に伝達いたすつもりであります。(拍手)      ——————————
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第一、国務大臣演説に関する件。(第五日)  昨日に引続き、これより順次質疑を許します。千葉信君。    〔千葉信登壇拍手
  11. 千葉信

    千葉信君 私は日本社会党第四控室を代表して、政府施政方針演説に対し、首相初め関係各閣僚に質問を試みるものであります。  吉田首相は今度の施政方針演説においても道義高揚を説かれたのでありまするが、幾ら道義高揚を叫ばれても、国民の先ず政治に対する信頼がなくしては、これを求めることはできません。外国機領空の侵犯をしているという報道も、その成行きの重大さに国民が心を引かれているのを尻目に、首相初め与党が、挙げて党内派閥抗争勢力争いに没頭しているのでありナす。外国機領空を侵犯しているなどというのは、若し本当だというならば、これは昔、元寇前夜頻々と対馬海峡に外国船が現われたときにも匹敵いたします。あのときの北条時宗態度と、吉田首相党内問題に憂身をやつし、国政を放棄して、いささかも省みなかつた態度と比較すれば、誠に許しがたいものがあります。意見対立だつたなどと、しらじらしい弁解を首相はしておりまするが、あれを意見対立だなどと考え国民は一人もあり十せん。だからこそ、その政治に対する不信が、遂には、日米交換公文政治的謀略的な再軍備の下工作だ、だから首相党内紛争に没頭しておられるのだということにもなるのであります。異郷の空から一日千秋の思い日本に帰る日を待つ中共残留者、それを待ちわびる幾十万留守家族の綿々たる恨みの思いを偲ばず、旅券法違反容疑を言い立てて、国民代表の出発をごたごたた遅らせた外務大臣自身が、実は同じ国法たる選挙法違反容疑者であることを知らない国民は一人もないのであります。(拍手、「その通り」と呼ぶ者あり)これで道義高揚を説かれる国民は、一体どんな気持であの演説を開いたか、思い半ばに過ぎるものがあります。真に道義高揚を念とするなら、この際、先ず首相、外相は、国民の前に襟を正して一言陳謝すべきだ思うが、どうでありますか。  更に私は吉田内閣公約不履行について、その責任を追及いたします。(「やれやれ」と呼ぶ者あり)第三次吉田内閣は、昭和二十六年一月二十六日、第十国会再開勢頭施政方針演説において、当時の周東国務大臣政府代表して次のように公約しているのであります。即ち、「政府は、日本経済自立達成の目標を一応昭和二十八年度に置いているのでありまするが、これを達成する一応の計画といたしましては、輸出額はこれを年間十四乃至十五億ドル程度に拡大することが必要でありまするし、鉱工業生産昭和二十五年度の三〇%以上を生産することが必要であります。又、国民生活水準は、昭和九乃至十一年の約九〇%の水準に向上せしめることといたしております。」と述べられ、首相また自立経済達成のための耐乏を国民に要望しているのであります。然るに今日提出されておりまする昭和二十八年度予算並びにこれに伴う政府財政経済政策一体どこに、この公約の実現が約束されているのでありますか。今日、日本生産力は、全産業総合指数は昨年十一月現在で戦前対比一四七・六%に回復し、鉱工業においては一四〇・一%に達しているのであります。然るに国民生活水準全国平均やつとまだ戦前の七七%であります。若しも自由党が天下の公党として、公約に忠実ならば、少くとも来年度は、この国民生活水準を急速に七七%から九〇%に引上げる政策が、予算が、財政方針が樹立されていなくてはならないはずであります。然るに政府はこの公約を忘れたかのごとく、小笠原経審長官のごときは、その演説において、殊更に具体性を欠き、「国民生活水準は、漸次戦前水準に近付きつつあります」と、我々を愚弄したこまかしをやつておるのであります。一体政府はこの公約をどうするのか。「履行するのか。蹂躙するのか。はつきりと返事を承わりたいのであります。  又政府説明によれば、来年度国民所得を五兆六千七百億に見積つているとのことであるが、併し貿易見通しは、中共、東南アジアは勿論のこと、西欧軍拡の停滞と経済の危機、市場競争の激化、その結果としての英連邦日輸入制限措置により、又米国においては本年末項より国防生産計画下降状態に入るとされ、それらが世界不況を深めて、本年末には恐慌の顕在性をもたらすとさえ見られているのであります。事実、最近の実績は極めて悪く、昨年二月を頂点として、昨年二月一億二千六百万ドル、昨年十月は九千六百万ドル、十一月九千百万ドルに顛落一途を辿つているのであります。この傾向からすれば、輸出は十一億ドルさえも過大な見通しと言わなければならないのであります。その他は輸出との差を米軍ドル消費下請特需に依存するという、去年の隷属的な経済状態を更に悪化したものに過ぎない状態の下において、果してこの国民所得が確保できるか。然らざれば勢い税源の捕捉に苛酷な手段をとらなければならないことが予想されるが、この点に対する大蔵大臣見解を承わりたいのであります。  このような赤字下請状態に対して、一つは目前の再軍備による兵器生産インフレを期待するか、又はそれらのインフレ政策が、下請特需輸出コストに悪影響を及ぼすことを恐れ、表向きはドツジ・ライン堅持緊縮方針をとるかの分れ道から、遂に大蔵大臣はその主張を放棄されて、貯蓄公債三百億の発行投資特別会計設置となり、結果的にはインフレ予算へと一歩踏み出した形となつたのであります。かくして昭和二十八年度予算は、当面何よりも大切な日本経済自立経済不況の基本的な打開策を、何ら持ち合せていない、無性格、無計画なものとなり、ただあるものは、資本蓄積の促進、インフレ要因の増大となり、一方、軍事予算性格を露骨にして、文教厚生関係の圧迫、食糧増産計画放棄等、多方面において勤労大衆生活を直接間接に圧迫した予算なつたことは、蔽うべくもないのであります。而も本予算案で特に問題とならなければならないのは、防衛費即ち事実上の軍事予算社会福祉に関する予算関係であります。吉田首相は三十一日の本議場における答弁においても、防衛戦力を持つということは、飽くまでも、国の経済力国民生活犠牲にするものであつてはならないと言われましたが、戦力論議は暫らくおくとして、この予算案は、事実は、支出される防衛費のために、驚くべき不均衡としわ寄せが社会福祉予算犠牲を押し付けているではありませんか。即ち昭和二十八年度防衛費歳出九千六百五億に対して二二・四%であるのに、社会福祉に関するものは軍事費の約半分の一二・四%に過ぎません。即ち生活保護費二百四十二億、社会保険八十六億、結核対策百二十六億、住宅対策百二十五億、住宅金融公庫六十億、食糧調整捕縛金三百二十億、失業対策費百六十八億、文教施設費六十六億を加えて千百九十三億に過ぎないのであります。これを四十九年度英米福祉施設歳出に対する割合と比較すれば、アメリカ三五・五で約三倍、イギリスは四六・一%で約四倍であります。更にこれを五兆六千七百億円の国民所得に対する割合如何といえば、軍事費は三・八%、社会福祉に関する予算においては二・一%にしか過ぎません。社会保障福祉施設予算国民生活水準所得が高ければ高いほど不必要になるという建前からすれば、国民所得の少い日本の場合には、むしろこれほ逆に英米よりも多くならたければならないはずであります。然るに、アメリカ国民所得一人当り千四百五十三ドル、イギリス七百八十九ドル、日本がたつた百ドル、つまり国民所得イギリス人の八分の一、アメリカ人の十四分の一であります。民主政治国民のための政治であり、国民のための政治とは、国民生活を少しでも明るく、少しでも豊かにするものであるとするならば、日本民主政治一体誰のための政治でありましようか。かかる民生安定の国家支出状態であるのにかかわらず、本年は歳出に対して軍備費は二三・六%に当る二千二百二億を支出し、明年度又しても軍人恩給費を含み二二・四%に当る二千百五十億円を支出しようとして、而も明年度防衛費は、このほかに、本年度安全保障諸費保安庁費から九百億円が繰越さ九ようとしておるのであります。大蔵大臣は如何にこれを処理するか。これ声明らかにされたい。若しこれを繰越使用すれば、一般会計歳出に対する割合も二九%という驚くべき比重になり、実に三千億円を突破する厖大な軍事費となるのであります。又本年度財政計画によれば、この非生産的軍事費及び発行される貯蓄公債を含む投資特別は、まさにインフレ必至と断ぜざるを得ない要件であるが、一体政府インフレを防止する確信を持つておるのか。それともインフレによる資本蓄積実質賃金の切下げ、国民生活の低下を目的としておるのか。はつきりと御答弁を願いたい。  更に又貯蓄公債発行には、買入公債の二割五分までが減税の恩典に浴し、所得税の二割までが軽減されるというのでありまするが、低額所得者でこれ以上の担税力を持たない者が、果して減税額の四倍もの公債が買えるかどうか。この目的は何としても金持本位、大金持がこれを買つて金利計算一割二分に当るという算盤ずくでしか貯蓄公債考えられておりません。結局この貯蓄公債発行も又、金持本位金儲け本位のべらぼう極まる高利廻債券であると思うが、大蔵大臣所信を承おりたいのであります。  なお更に、貴金属、食糧管理外国為替貿易特別会計、これに加うるに資金運用部資金、見返資金外貨のうち使用可能な五億ドル、これらの二千八百二十七億に上る財政蓄積資金軍備費としてアメリカの要請に備えられてあるという疑惑もあるが、将来かかる事態が起らないかどうか。蔵相のこれに対する意見ではなく確たる見通しをこの際承わりたいのであります。  次に私は食糧増産に関し農林大臣にお尋ねいたします。与党公約した食糧増産五カ年計画は、昭和二十八年度から三十二年度にかけて国家資金三千億円を投じ、その後五年後までに食糧自給を図ることができる旨公約されましたが、本予算に盛られたものは、農地改良助成費二百八十四億円、耕地改善費二十七億七千万円に減額されております。今年の増産量はこれでは二百三十五万石の予定になります。一体我が国食糧は、人口自然増加百二十万人、これに対し食糧必要度百四十万石、一方、農地が工場や住宅になり、水害のため灌漑排水施設が壊れたりして、百万石が年々減産を余儀なくされております。従つて、この予算による政府食糧増産計画では、自然減損量に対して五万石及ばない計画であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)どうしてこれで食糧自給度を高めて行くというのか。昨年は遂に二千九十万石の輸入食糧を仰がざるを得なかつた。食糧自給は、自立経済達成のためにも、又人口問題解決のためにも、強く推進されなくてはならない問題であるが、農林大臣のこの公約に対する明確な答弁と決意を承わりたいのであります。(拍手)  次に私は文部大臣に対してお尋ねいたします。文部省関係予算総額を見ると、いわゆる義務教育費国庫負担制度に関する予算を除けば、僅か百十八億九千五百万円に過ぎません。前年度比十一億三千三百万円の減額であり、特に文教施設整備補助金のごときは所要額二百十七億七百万円に対してたつた三十五億五百六十万円であります。これは学校給食費と共に極めて重大なる問題であり、本年度五十八億円に比して大幅な削減であるのみならず、これでは全国の中学校だけの不足数、十七万坪にやつとであります。加うるに補助率において二分の一から三分の一に切下げられ、再び父兄負担が増大し、小学校の一分はただの一校も殖やすことができません。二部教授は依然として余儀なくされます。元来、義務教育費の国庫負担問題は、これら一切の費用を含むべき筋合いのものであるにかかわらず、(「そうだ」と呼ぶ者あり)逆に予算を減らし、補助率を引下げて、父兄や町村の負担増大させながら、単に教員の給料やなけなしの教具費だけを平衡交付金から一般会計に廻した措置伴つて義務教育費全額国庫負担と銘打ち、教員身分国家公務員に切換えようとしているのは、まさに論理の飛躍であります。(拍手)恐らくその狙いとするところは、教育委員会設置に見られた謀略の第二弾であつて、(「そうだ」と呼ぶ者あり)教員諸君労働運動、分けても政治活動禁止にあることは明白でありまするが、(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手世界各国の例を見ても、この種の制限教員に加え、政治活動禁止しているのはフィリピンだけであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)政府日本フイリピン並みにするつもりか。加うるに、若しこの措置がとられるとすれば、教員諸君身分は、文部大臣地方教育委員会市町村長県教育委員会、知事の複雑多岐な五段階の隷属下に置かれます。教育民主化が最も急務なる今日、これはまさに時代逆行であると思うが、文部大臣見解を承わりたい。  又首相は、国家公務員にすれば道義高揚の道が開けると演説をしたが、この方法を通じて道義高揚を期することができるという理窟をもう一度ここで国民にわかるように教えてもらいたい。(拍手)私にはわからん。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)  次に私は大蔵大臣及び自治庁長官にお尋ねいたします。昨年末、本国会において地方公務員に対する年末手当〇・二五カ月分の増額についてかなり論議のあつたことは明白でありまして、本院における予算委員会及び衆議院においても、その実行に関し附帯決議が行われたことは、周知の事実であります。このことについて大蔵大臣並びに自治庁長官より、この決議趣旨を尊重する旨の答弁がなされたにかかわらず、今日以てその措置のとられないのは極めて遺憾とするところでありまして、この際、早急にこの解決を要すると思うが、一体どうなつているのか。どうするつもりか。御答弁を承わりたい。  更に人事院総裁にお尋ねいたします。同じく本国会初頭において給与法の改正が行われた際、政府原案に対し、本俸給表は暫定的なものであるから、速かにその不合理を改訂すべき旨の修正が行われたことは、御承知の通りであります。従つて人事院はこの趣旨を体して迅速に勧告の措置をとる必要があると思うが、どうでありますか。又地域給に対する国会修正は、予算上の制約があり、全面的な修正を不可能とする条件の下に行われたために、残余の地域等については必ずしも均衡を保ち得なかつた憾みのあることは否定できません。国家公務員法及び給与法建前からも、人事院の負荷されておる責務から申しますならば、この状態は荏苒放任さるべきではないし、速かに適切な措置を講ぜられる必要ありと思うが、総裁の御所見を承わりたい。  更に又、政府は、警察制度労働法改悪行政機構の三度引祝く整備を用意しつつあるとのことであるが、これら一連の改悪は、破防法における憲法改悪、再軍備達成戦争準備を企図して、アメリカ防衛のための砦、アメリカ独占資本の支配に奉仕する傭兵を究極の狙いとすることは明らかであり、そのための低賃金、そのための征米価政策を強行し、大衆の反撃を予想してスト禁止をやろうとしたり、独裁的行使狙つて警察権中央集権々を企図したりしているが、ことごとくがこれ反動的改悪であります。占領政策の行過ぎというのは民主主義の行過ぎと同義語なのか。首相の御所信を伺いたいのであります。最後に私は、首相が独立したと言つておる、その独立日本の姿とは一体如何なる状態を言うのか、国民の納得の行く御説明を承わりたいのであります。現在この四つの小さい島に六百カ所以上の米軍基地があり、全国津々浦々まで、いわゆる属人主義と名乗る治外軸椎が布かれ、而も安保条約第三条につて米軍の駐留する数にも地域にも何らの制限なく、同第四条によつては、アメリカが一方的にその必要なしと判断した場合のほか永久に米軍の撤退はあり得ません。一体この条約締結責任者である首相は、駐留の必要なしと先ず日本側が認める防衛力とは如何なる程度のものと考えておるか。この際はつきり承わりたいのであります。  本年度補正予算は、昨年九月、メキシコ通貨基金会議に出かけた池田前蔵相が、ドツジ氏の了解を得てやつと編成されたことは、天下周知の事実でふります。昭和二十八年度予算も又国会提出ぎりぎりまで、最後まで揉み抜いたのは、これ又防衛費についての米国との折衝でありました。それで一体独立国と言えると首相はお考えか。国民が納得行くような御答弁をこの際承わりたいのであります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  12. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えいたします。  北辺上空外国軍が侵入、侵犯しておるというような重大な時期において、政府党内紛争に没頭しておる、これは道義高揚するゆえんでないと、こういうようなお話のようでありますが、私は内紛のために曾つて没頭いたしたことはないのであります。昨日も申した通り民主政党である以上は、議論のあることは当然である。(「その通り」と呼ぶ者あり)議論を、闘わすことが内紛でありますれば、内紛ますます可なりと私は申すのであります。又、北辺上空外国飛行機が出没する、これに対して何らの手段を講ずることができないならば重大問題であります。併しながら、飛行機の発達した今日において、一国の上空隣接国飛行機が来るということはしばしばあることであつて、ヨーロツパにおいては殆んど日常茶飯のことであります。これを以て重大事件なりとして、百余年前において北方頻りに警を伝えたという、その百年以前の状態を以て今日に比するというがごときことは、私は誠に笑うべきことではないかと思うのであります。(拍手)私は、若し虚構の事実を以て国民の不安を招かんとする者があるならば、その行為こそ道義高揚妨ぐる行為なりと私は思います。  その他の問題は主管大臣がお答えいたします。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  13. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今川中共に行きました代表のうちには、過去において旅券法に違反していた事実のある人が入つているのは、これはその通りであります。かかる人を国費を以て公用旅券により海外に出すことは適当でないという考えは、今でも変つておりません。併しながら、引揚については万全を期さなければならないし、いささかもこれに支障をなからしめたいといろ趣旨から、特に旅券を出すことにいたしたのであります。(拍手)    〔国務大臣小笠原九郎登壇拍手
  14. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) お答えいたします。  先刻のお話の中に、日本国民生活水準が第十国会で約束された七七%に達しないではないかというお話でございましたが、これは何か思い違いであろうと思います。第十国会経済演説でそういうことを約束してありまするが、とつくにそれを突破いたしております。お話のごとく、総生産においても、鉱工業生産においても、国民所得においても、その当時の公約以上に上廻つておることは、あなたがお調べになればよくわかります。特に国民生活水準のごときは、本年一月—六月で当時公約した九〇%を上廻つて九二・八%に達しておることは、すでにしばしば経済審議庁で正式に発表いたした通りであります。然るにどこが七七%かということは私どもにはわかりかねます。(「勤労者はどうなるのか」と呼ぶ者あり)なお、これは国民層一般を言つておるのである。なお、その次に、世界的不況貿易不況を背景にして、国民所得を五兆六千七百億円と見たのは過大ではないかというお話でありまするが、私ども明年度日本経済見通しを必ずしも好況とは思つておりませんけれども生産においては約六%、雇用においては約二%、賃金においては約五%本年度よりも上昇するものと見ておるのでありまして、物価は大体において変動がなく、国際収支は若干の黒字になると見込んでおりまするので、国民所得も、各方面より調べて、本年度よりもおおむね五%余増加するものと見ておるのであります。而も所得税その他について減税を行なつておりまするので、国民所得に対する租税負担率は、国税、地方税を通じて本年度より若干軽くなり、御心配になつておられるような結果になるとは考えておりません。(拍手)    〔国務大臣向井忠晴君登壇拍手
  15. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 二十八年度の、一般会計予算における民生の安定のための経費は千三百四十億円、防衛関係及び保安庁費は千四百五十億円でありまして、前者は一四%、後者は一五%でございます。これを前年の民生安定費八百三十億円即ち九%、防衛関係及び保安庁費は千人百億即ち一九%、比較しますと、防衛関係費が民生安定費に振替つておることが明らかになつております。(「その通り」と呼ぶ者あり)  特別減税国債りことでございまするが、特別の階層の者だけに売るんではなく、広く一般国民に対して売出すものでございますから、一部の者だけがこれを買占めるというようなことがないように、減税を受ける購入限度を定めることになつております。又発行条件については現在検討中でございます。  手持外貨その他財政蓄積がアメリカの強要によつて軍需費になりはしないかという御心配ですが、独立後の予算我が国が自主的に編成しますので、日本側の意思に反して手持外貨を売らせるというふうなことは考えられませんし、そういうことはいたしません。  義務教育費負担の点でございますが、国庫負担にいたしますので、(「あやしいぞ」と呼ぶ者あり)父兄負担が増大するというふうな御質問があつたように思いますが、小中学校の校舎につきましては、従来に引続き同一の補助率を以て義務教育年限延長に伴う不足坪数の解消を図り、又地方財政の実情として、新たに補助対象として取上げた危険校舎改築等については補助率三分の一を以て実施することとしておるので、特にその整備の促進を図つておりますから、これによつて父兄負担の増大を来たすことはございません。(拍手)    〔国務大臣廣川弘禪君登壇拍手
  16. 廣川弘禪

    ○国君大臣(廣川弘禪君) 食糧増産の大事なことは御指摘の通りであります。我が党も食糧増産のことにつきましては党是として公約をいたしております。我々はこの食糧増産の線に沿うて施策をやつて参る次第でございます。御指摘のように、人口増加につれて食糧を増産して行かなければならんのであります。併し年々農地の消耗とそれから設備の老廃等による減産が非常に多いことは、これはお話通りであります。そこで我々といたしましては、農地の改良なり、或いは又種子の改善なり、傾斜地に対する施策なり、寒冷地に対する施策なり、温暖地に対する施策なり、あらゆる方法を講じて、これのみではまだ満足できませんので、畜産、水産、林産等を入れて、総合的な計画をいたしておるのであります。これは何と申しましても、基本は農地改良であります。農地改善であります。この予算については、我々が考えたよりも、国家予算の制約を受けて、全般からの制約を受けて、少いのではございまするが、併し私たちといたしましては、食糧増産の促進は、どうしてもやらなければなりませんので食糧増産の促進法案を練つておりますが、近いうちに我々の案を具して御審議を願つて、そうして日本食糧の増産を計画的に長期的にやつて参りたい所存でございます。    〔国務大臣岡野清豪君登壇拍手
  17. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  予算の詳細につきましては、只今私は詳しい数字を覚えておりませんから、はつきりと御答弁できませんけども、私が関する限りは、社会教育や夜間教育、産業教育、大学教育、私学振興、その他教育刷新のためには相当今回は増額してございます。  それから義務教育の職員を国家公務員にするということにつきましていろいろ何がありますが、私は、この両三皆様方の御質問につきまして、国家公務員にすることは何かその教員政治活動を阻止するためにやつておるのであろう、こういろふうなお話がありますが、私は何もこんな苦労をしてまでしなくても、そういう目的でありますならば、教育公務員特例法を一条殖やせばよろしいし、又地方公務員法の第三十六条を変更すれば、予算とか何とかで閣議でいろいろ私が皆様方に御迷惑をがけて、そうして苦労をしなくてもいいわけです。私の国家公務員にしたいという考えは、こういう考えから起きておるのです。今まで平衡交付金で地方にちやんと国家が教育費として勘定しただけ差上げてありますけれども、地方財政窮乏のときでございますので、なかなかそのほうによく廻らないので、そこで、なぜ平衡交付金から抜いて、そうして国家が直接教育費としてやらないかという陳情がある。これは平衡交付金ができまして以来の問題でございます。そこで私が今度国庫負担にいたしますことにつきましてほ、今御承知の通りに、或る村で教員をしておりまして、これが隣の村に若し転任するとしますれば、先ずその村で退職いたしまして、新らしく隣りの村で新規採用しなければなりません。そういたしますと、昇給の仕方とかいろいろな問題がございまして、(発言する者多し)
  18. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 静粛に願います。
  19. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) (続)勤務月齢の勘定なんか、教員の立場としては損をします。又地方財政の貧弱の所におきましては、昇給とか昇格とかというようなことが、十分の手当ができません。そこで私は、義務教育というものは一番大事なことである。そうしてその教員身分を安定することが一番必要であると考えまして、(「でたらめ方言うな」と呼ぶ者あり)東京の真中に勤めておる国立の教員と同じレベルを山間僻地においてもこれを与えたい。そうして又転勤とか転任をする場合に、恩給が切れたり、若しくは昇給の条件がなくなつたりするようなことを防止する意味で、国家公務員にしたのでございますから、誤解のないように願います。(「精神分裂を来たしている」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)    〔国務大臣本多市郎君登壇拍手
  20. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 昨年末、国家公務員に対しまして、年末手当についてとりました措置に準じて行わるべき地方の措置に対応するための財政措置につきましては、当時明らかにいたしました通り、地方の財政状況の推移と睨み合せて財政措置を講ずるということになつておるのでございますが、目下その財政の状況の推移を調査中でございます。更に、今お話のありました通り、短期融資の償還期限の関係もございますので、でき得る限り適当なる措置を講じたいと、速かに講じたいと思つております。    〔政府委員浅井清君登壇拍手
  21. 浅井清

    政府委員(浅井清君) 千葉さんにお答えを申上げます。  第一は、先般御制定になりました給与法中の俸給表の備考の問題でございまするが、国会の御趣旨はよく了解しておるのでございまするが、合理的改訂を加えよと申す言葉は非常に幅の広い言葉でございまして、種々なることが考えられまするので、人事院といたしましては、できるだけ多く国会の御意思に副い得るよう、且つできるだけ速かに御審議を願えるよう、目下鋭意研究中でございます。  第二に、地域給につきましては、申すまでもなく絶えず研究をいたしておるのでございまするが、何分にも全国に亘る複雑なものでございまするので、まだ成案を得るに至つておりません。殊に予算との関係もございまするので、次の勧告をなし得る時期については、まだここに明言し得る段階になつておりません。(拍手)    〔千葉信発言の許可を求む〕
  22. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 千葉信君、何ですか。
  23. 千葉信

    千葉信君 再質問をお許し願います。
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 極く僅かの時間が残つておりますから、そのおつもりでお願いいたします。
  25. 千葉信

    千葉信君 自席よりお許しを願いたいと思います。  只今の御答弁中、特に総理大臣の御答弁並びに経審長官の御答弁に対しては、私は不満至極に堪えません。特に小笠原経審長官の御答弁では、国民生活の現在の水準に対する的確な把握をお欠きになつておられることに私は不満を禁じ得ません。経済審議庁から発表されておりまする先月の十日附の調査によりましても、国民の現在の消費生活水準は東京におきましてやつと十月現在七九%、農村と東京との対比が出ておるだけでございます。全国平均の消費水準国民生活水準については、昨年の七月現在七七%であるということは、経済審議庁から明らかに発表されておるのでございますこういう事実に対して、経審長官の只今答弁は、誠にでたらめな御答弁をされておるということについては、私は再考慮をお願いいたします。
  26. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 岩崎正三郎君。    〔「再答弁」「九二%の数字はどこから出た」「まごつくな」「でたらめだ」と呼ぶ者あり〕    〔国務大臣小笠原九郎発言の許可を求む〕
  27. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 取消します。それでは小笠原国務大臣。    〔国務大臣小笠原九郎登壇〕    〔「はつきり教えてやりなさい」と呼ぶ者あり〕
  28. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今お話の数字は、昨年の数字について私は申しておりません。本年の十月の数字について申しておるのでありまして、発表されておりますから、それで御了承願います。(「いつだ、今年か去年か」「何を言つているんだ」「本年の十月はまだ来ていないぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 岩崎正三郎君、御登壇願います。    〔「インチキを言つてはいけない」「議長どうした」「真実に闘わなければ国会は成り立たないよ」「小笠原通産大臣、嘘を言わんで下さい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕    〔国務大臣小笠原九郎発言の許可を求む〕
  30. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 岩崎正三郎君、暫くお待ちを願います。小笠原国務大臣。    〔「しつかりやれ」「何回でも出る精神はよろしいよ」と呼ぶ者あり〕    〔国務大臣小笠原九郎登壇
  31. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それでは最近の数字につきましてお話申上げます。  二十七年十一月におきまして、都市においては九六%、農村においては一一一%でござりまして、二十八年度で九〇%に達するという生活水準の目標を上廻つております。    〔「その通り」「達するということだろう」「やぶ蛇じやないか」「やぶ蛇じやない」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  32. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 岩崎正三郎君、御登壇を願います。    〔岩崎正三郎君登壇拍手
  33. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、過日行われました政府の施政方針に対して若干の質問をいたしたいと存ずる次第であります。  二十八年度予算の編成に当りまして、吉田政府は何か新らしい政策でも打ち出すだろうと思つておつたところが、この重大なる国内、国際情勢の時代におきまして、全く何らの新らしい方針を示すことなく、相変らず無理想、無性格政策を羅列しておることは、これは国民と共に誠に遺憾に堪えない次第でございます。  先ず私は外交問題について少しく御質問をしたいと存ずるわけでありすす。アイゼンハワー大統領の新教言路表によりまして、我が吉田岡崎外歩も、いよいよ「その都度外交」をやめなければならん羽目に相成つて来たと思うのであります。私は、アメリカ大統領の新教書発表によつて、我が吉田・岡崎外交もいよいよその態度はつきりするために、何らかの手を打たなけばならん羽目に陥れられて来ることは当然だと思います。アイゼンハワーは、アジアのことはアジア人によつてやれと、アジアの防衛はアジア人によつてという見解を発表しておりまするが、この今回の台湾の中立化が解除され、朝鮮戦乱の解決が全アジアの地域に延び拡げられて来たこの様相に対しまして、恐らく我が国にも朝鮮戦乱解決に何かの積極的態度を慫慂して来ると思いまするが、総理大臣はこのことに関しまして何か思い当ることはございませんでしようか。どういうお考えを持たれるでありましようか。先ずこの一点をお伺いしたいのであります。私は、朝鮮戦乱の終結は、北鮮の金日成政権が朝鮮全半島の革命達成の意図を放棄するまではやまないと思つておりまするが、さような場合において、アジア全域に亘る冷たい戦争が、朝鮮、台湾、インドシナ、マレーを結ぶ一連の極東戦争に発展することを懸念されるのであります。首相はこういう懸念に対してどういうお考えを持つておられますか。そして又かような場合に、我が国の安全と世界平和のために、アジア諸国との善隣関係、殊にアジアの平和を愛好するところの社会主義的な諸勢力と何らふ提携を図つて、その問題を解決するというようなお考えはいか。私どもは今、この社会主義勢力こそが、真に世界の平和を確保する新らしき勢力であると考えておるが故に、この点に関しまして非常にこの重大性を痛感するのであります。たとえ総理は、かような新勢力が大したものでないというようなお考えを持たれるでありましようかも知れませんけれども、さように簡単に問題を見ないで、将来の世界の発展性が社会主義的勢力によつて解決されねばならんというこの命題に対して、虚心坦懐にお考えを願いまして、かような問題に対しても、一つの御研究、お考えを発表されたいと存ずる次第であります、そのためには、私どもは、先ずフィリピン、インドネシア等々の賠償問題をできるだけ早く解決して、一日も早く日本が第二次世界大戦からの繋がりから解放される必要があると思うのであります。目下これらの賠償関係の経過につきまして、これがいつ頃解決されるか、その見通しのほどもお伺いしたい次第であります。  第二点は、インドは常に米ソ両陣営から独立したところの世界平和の勢力たらんことを努めておりますが、世界平和を守るためには、又日本の国の安全を守るためには、政府は、インド政府或いは又ネール個人の代弁者と、何かかような問題について話合つたことはございませんでしようか。又話合おうとするようなお考えは持つておられませんでしようか。この点を伺つておきたい次第であります。  第三点、アジアから戦争を防止するためには、このアジアの後進性、アジアの貧困性を除去しなければ相成らんわけであります。そのためには、今回行われましたところのアジア社会党会議において我が党が提唱いたしましたところのアジア経済会議の開催という問題があります。社会主義勢力がこのアジアの困難性を根本的にその経済的な問題から解決しようとするところの大きな抱負を持つておりまするが、総理大臣はかような問題に対してどういうお考えを持つておるか。これもお伺いしたい次第であります。  次に内政問題について少しく質問を展開したいと存ずる次第であります。日本経済自立の方途は、一体如何なる計画の下に如何なる見通しを持つておるかということであります。外国貿易に依存して日本経済の再建を図るのか。或いは食糧自給の基盤の上に我が国の商工業の発展を図るところの、この新らしい産業構造を作らるることによつてその解決を図らんとするのか。或いは又その中間にさまよいまして、そり日暮しのやりつ放しの政策を続け、世界の軍需景気に便乗して一応ごまかして行こうとするようなお考えであるのか。この点は恐らく国民全体が日本の将来を思うときに是非聞きたい点であると思いますので、この点につきまして経済審議庁長官でも総理大臣でもよろしいから御答弁をお願いしたいのであります。  食糧増産の問題に関しましては、先ほど千葉君から質問がありましたので、簡単に御質問申上げます。先ほど千葉君が触れましたところの五カ年計画食糧自給体制の問題は、これは二十六年度より十カ年計画を以て行われて来たところの食糧増産計画を小刻みにしたところの問題でありまするが、かような食糧自給確保の長期計画が相当成案を得て、ここに日程に上つて参つたということは、その日暮しの買食いに、毎年三百万トン、四億ドルの米麦輸入に依存して参つたところの従来の食糧政策に一定の結論的方向を与えたものとして、その意義は率直に認めてよいと思うのであります。然るにこの計画の中核をなすところの土地改良及び開墾開拓等の関係において、二十八年度予算においては僅かに二百九十六億円を計上しておるだけであります。これに食糧増産に直接関係のある公共事業費関係のものを加えましても、五カ年計画の一カ年平均の半分にも満たないものであります。これは政府食糧自給計画を立てる必要を認めないのか。食糧問題、農村問題は後廻しにしようとするのか。大蔵大臣経済審議庁長官並びに農林大臣の明白なる御答弁をお願いする次第であります。更に又、かような内容を持つところの食糧自給促進法案を今国会に提出するお考えはあるかどうか、お伺いしたい次第であります。  不生産的なる防衛費に三千億円を投げ出し、三百億の公債発行して、インフレは絶対に起きませんと自信のほどを見せておる向井大蔵大臣が、食糧自給体制を確立すべきところのこの重大なる意図を持つところの問題に対して五カ年間に三千五百億くらいの金が出せないというのは、我々誠に解しかねる問題であります。向井さんにしつかりした御答弁をお願いする次第であります。  さて、吉田総理の施政演説と言い、外務大臣の外交演説と言い、我々はその露骨なる反動振りに、実は内心憤慨を禁じ得ないのであります。占領政策を是正するという美名の下に、敗戦の血潮の中から、かち得ましたところのこの民主主義を是正し、或いは改悪して、再び吉田ワンマン好みの独裁独善主義に逆行せしめんというお考えがおありなんでしようか。私は日本民主主義を守るために、以下数項の質問をしたいと存ずる次第であります。  政府は、電産、炭労ストの行過ぎを理由に、労働法を改正して基幹産業のストライキを制限しようとしておるようでありますが、この度、かような電産、炭労ストが深刻に闘われたことの主な要因がどこにあるのか御存じでありますか。私どもは、こからのストが政治的傾向を強めて来たことに一応の批判はいたしますが、併しながらこのストの本質的な原因が、非民主的か独善主義的な諸条約の締結、電気事業九分断等、一連の吉田内閣の非民主的横暴に対するところの反撃の一つの現れであることをお考え願いたいと思うのであります。この反撃に多少の行過ぎがあつたと言つて、それを口実にして、労働者の基本的人権たるスト権を制限しようとするがごときは、むしろそちらのほうに行過ぎが大いにあるということを申上げざるを得ないのであります。このスト制限労働法改悪問題については、すでにいろいろ質問がふつたと思いますので、私は次の一点についてお伺いしたいと思わけであります  西ドイツにおいては、今回労働組合の幹部を大企業の経営に参加させることをきめだところの経営組織法、共同議決法等に基きまして、労組代表と株主代表とが対等に経営に参加する方式を実行に移しましてから、ストライキが非常に減少したということが報告されております。政府はこの西ドイツにおけるがごとき進歩的な方法を以て労働組合の発展を期待し、又日本民主化に貢献する考えが全くないのでありまするか。労働者の基本的人権を蹂躪するようなスト禁止労働法改正を引込めて、その人権を伸張することによつて問題の解決を図ろうとすることこそ、民主主義の要諦であるとお考えになられませんか。総理大臣及び労働大臣のお考えを承わりたい次第であります。  なおこの際、もう一つ労働大臣にお尋ねいたしておきたいことがございます。それは例の珪肺病対策についてでございます。すでに珪肺審議会が設置されまして、われわれ当局で研究されておることでございましようけれども、一度この病にかかつたときは、一生不治の病であると言われております。この鉱山労働者の上に襲いかかるところの恐るべき職業病には、人道上十分なる対策をしてやらなければならないと存ずる次第でございます。従来一応は労災法等によりまして救済の手段が講ぜられておりまするけれども、この気の毒な職業病患者を真に救済するためには、これでは全く不十分でございます。政府は近く珪肺病法力作成いたしまして万全の救済方法を講ずるお考えがあるかどうか。労働大店の親切なる御答弁をお願いする次第であります。  次に政府は、農村の民主化を促進するために近頃どんな方策を持つておられますか、伺いたいのであります。農林省は、農業団体再編成案を作りまして、これを農業団体に押付けようとしておりますけれども、果してこれは真の農村の民主化を促進するでございましようか。農協と農業委員会とを分立せしめて、その間に、各府県に農業会議所を設置して、農林官僚がこれらを支配せんとする、このボス的再編成案には、私どもは断じて反対するものであります。少くとも農村団体の民主的再編成を考える場合には、先ず農協法を改正し、農業協同組合を整備拡充すると共に、速かに農民組合法を制定しまして、農民組合を以て農政活動の円体たらしめることであります。農林大臣は、農協法の改正、農民組合法の制定につきまして如何なるお考えを持つておりますか、お伺いいたす次第であります。  民主主義の発展は教育からと言われておりますけれども、果して現内閣は文字通りこのことを理解しておられるや否や。吉田総理が道義高揚教育にありなどと言われておりながら、未熟な義務教育費全額国庫負担法を強行いたしまして、教育そのものの民主化を阻害せんとしておることは、誠に寒心に堪えない次第でございます。この問題につきましては、すでに幾多の質問があり、又文相からも縷々説明があつたのでありますけれども、この問題の重要さに鑑みまして、あえて文部大臣並びに自治庁長官に御答弁をお願いする次第でございます。  先ず岡野文部大臣にお尋ねいたします。第一点、先に行われましたところの地方教育委員の選挙に際しまして、当時政府は、教育中央集権化を排し、地方分権の実を挙げ、かくすることによつて教育は進展すると説明しておつたのであります。然るにこのたびの義務教育費全額国庫負担法と教職員の国家公務員化は、完全にこれと逆行するものであるが、地方教育委員会と本法との関連を如何ように考えているのか承わりたい。第二点、地方制度審議会は決議をなして、審議会が結論を出すまで、本法の提案を見合せるように要望しておりますが、これを無視して、飽くまでかような法案を、かような未熟な法案を提出するということは、どういう理由によつてつておるのか、この点も、しかと御答弁を願いたいのであります。第三点、教職員の国家公務員化は日教組対策であると世上言われておりますけれども、文相は従来の日教組の政治活動に対して如何なる見解を持つているか。即ち、教職員の政治活動制限することは、基本的人権の侵害を意味し、ひいては教育効果の削減となつて現われておりますけれども文部大臣は如何にお考えになりますか。又定員定額制の実施の結果、教職員の首切りが行われるだろうと思いまするけれども、果してこれは如何ように相成りまするか、お伺いしたい次第であります。第五点は、先に半額国庫負担法が本院において成立いたしましたが、これは半額とはいうものの、教材費をも含んだものであります。そうして今回二十八年度予算の計上に当りましては、当初は半額国庫負担さえ無理であると言いながら、最後には急変いたしまして、全額負担法の美称を冠して本法を提出に及んだものであります。これは全く私どもの了解に苦しむところでございます。而もそのためには当然千三百億程度のものが必要であることがわかつておりながらも、その一部分だけを予算に計上いたし、中途半端な不完全予算を提出したことは、国会を軽視し、民主政治の精神を踏みにじるものであると思いますけれども、これに対して如何なるお考えであるか、道義高揚の本家であるところの文部大臣の、筋の通つた御答弁をお願いする次第であります。  次に本多自治庁長官にお尋ねいたします。義務教育費全額国庫負担法によつて、富裕なる都府県にまで教育費が配賦されることに相成るわけでございましようが、これはどういうふうにして実施するつもりでございますか、或いは又これらの富裕府県には配賦しないとも言われておりますけれども、それでは誠に筋が通らんのであります。当然地方税法或いは平衡交付金法を改正いたしましても配賦すべきことが筋合いであると思いまするが、平衡交付金法並びに地方税法を、いつ頃如何ようにして改正する用意があるか。御答弁を願いたいのであります。  次にお聞きしたいことは教職員の任免に関してでございます。先の閣議了解事項といたしまして、教職員の任免に関しては、委任事務として地方教育委員会に任せるだけではなく、市町村長にまで発言権を与える予定であるとか聞き及びまするが、この点、如何でありまするか、以上明確なる御答弁をお願いする次第であります。  最後に、駐留軍労務者と行政協定の問題について、岡崎外相、戸塚労働大臣にお伺いいたします。昨年四月、講和条約、日米安全保障条約の発効に伴いまして、連合軍関係の二十数万の労働者は駐留軍労務に切替えられ、法律第百七十四号の制定によりまして、従来の国家公務員特別職から除外されまして、一般労務者と同様の取扱を受けることに相成りました。そうして労働三法の適用を受けるに至つたことはすでに御承知の通りであります。而して昨年八月に至りまして、全駐留軍労働組合は、調達庁長官に対して一万八千八百七十四円のベース改訂を要求して、争議が発生したのであります。そうして遂に組合は、中労委に調停を申請し、去る十二月十六日に至りまして、中労委は一万七千九百七十六円の調停案を提示して、妥結を求めて参つたのであります。勿論、組合側は、この公正なる第三者の提示した調停案を受諾して、円満解決に同意したのであります。然るに在日米軍は、この調停案を一顧だもせずに、日本法律を全く無視した態度に出たことは誠に遺憾千万であります。この在日米軍の、日本法律を一片の紙屑のごとくにみなすところの原因は一体どこにあるのか。日本の一角にアメリカの租界が設けられたということは、未だ私ども全く寡聞にして存じないのであります。私どもは従来から、安全保障条約及び日米行政協定の実施につきましてはいろいろ不安と疑惑とを持つておりまして、しばしば本議場においてこれを指摘して参つたところでありまするが、今ここにこの事実を見まして、安保条約行政協定の締結に当つた総理大臣並びに岡崎外務大臣に対して強硬なる抗議を申上げざるを得ない次第でございます。今こそ外務大臣は、日本国内において、アメリカ法律或いは駐日米軍政策日本法律、これがどちらが優先するのか、はつきりさせる必要がございます。向米一辺倒を以て正差であると演説する岡崎外相は、この実相を前にして何と御答弁なさるのか。しつかりした御返事を承わりたい。又かような占領下と同じような取扱を受けておるところの駐留軍労務者に対して、外務大臣、労働大臣は、如何なる措置をとつて今後その対策を講ずるつもりであるか、責任ある御答弁をお願いしてやまない次第であります。  以上を以ちまして私の質問を終る次第であります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  34. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えいたします。  アメリカの新政府から日本政府に対して何らかの要請をなすような心当りがないかというお尋ねでありますが、何らの心当りはございません。又極東に擾乱と言いますか、戦乱が極東に拡大して及ぶという危険がある、見通しは如何というお尋ねでありますが、米国の新政府も、朝鮮動乱を成るべく早く収拾させたい、又戦局は拡大しないという方針であり、国連もやはりその方針でありますから、今お話のような危険は、私はないと想像いたします。  その他の問題は主管大臣からお答えいたします。(拍手)    〔国務大臣小笠原九郎登壇拍手
  35. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) お答えいたします。  政府日本再建の経済政策貿易依存主義によるのか、食糧自給の上に立つ産業構造の再建方式によるかというお尋ねでございまするが、御承知のごとく敗戦によりまして領土が縮小し、食糧その他資源の相当部分を失い、而も人口増加の傾向にある我が国といたしましては、貿易の発展を中心とし、併せて資源の開発促進と相待ちまして経済規模の拡大を図り、これによつて日本経済の真の自立を達成することの大切であることは申すまでもございませんが、我が国情よりいたしまして、食糧増産計画によつて国民生活の安定と国際収支の改善に努むべきことの肝要であることも申すまでございません。従いまして、自然、日本経済再建のためのすべての経済施策は、これを総合的に実施して参ることが必要であると考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣廣川弘禪君登壇拍手
  36. 廣川弘禪

    国務大臣(廣川弘禪君) 食糧の増産のことにつきましては、先ほど千葉さんにお答えしたのでありますが、あなたの御指摘のように、年四億の外貨を使い、而も三百万トンの大量を輸入することは、全く我々日本人といたしましては、これはゆるがせにできない大きな問題なのでありまして、そのために農林省は懸命に努力いたしておるのであります。御指摘のように、基本の土地改良の事業等につきましては、予算は少いのでありまするが、これを重点的に用いまして、十分効果を発揮するようにいたしたいと思つております。  なお農業団体再編成の問題でありますが、農業委員会の制度を整備強化いたしまして、農民の一般的利益代表機関なり機能が完全に発揮できるように農業団体のほうはいたすつもりであります。又農協につきましては、農協の事業の整備刷新を図るために、全国及び都道府県の農協総合指導組織として農業協同組合中央会を作りまして、団体の制度を整備いたして、これを強化するようにいたしたいのであります。併しこれも、決してこれでは御指摘の通り満足でありませんので、でき得る限り我々は意を用いて、農協が発展いたし、又農業並びに農民を代表する機関が組織的になり、而も農民のためになるようにいたしたいと思つておるのであります。  なお又、農民組合法を制定する意思があるかないかというお尋ねでありますが、これは農民組合は、法律できめて行くよりも、自主的に発生し、自主的に発達いたして行くことを我々は期待いたしますので、政府は今ここに直ちに農民組合法を制定する意思を持つておりません。(拍手)    〔国務大臣戸塚九一郎君登壇拍手
  37. 戸塚九一郎

    国務大臣(戸塚九一郎君) お答え申上げます。  労働争議の制限が行過ぎになるというお話でございましたが、政府としましては、公共的企業における労働争議を全面的にどうするというようなことを考えておるものではございません。一部行過ぎた争議行為に対して必要最小限の制限を加え、これによつて国民の公共の福祉を擁護いたしたいと、かように考えておるのでありまして、真の民主政治にむしろかなうことであると存ずるのであります。内容は目下慎重に考究をいたしておりまするので、いずれ御提案申上げました上で御審議を煩わしたいと存ずるのであります。  なお、西独の経営組織法のお説もございましたが、これは国情の違う点等もありましようし、なお慎重に検討をいたしたいと考えます。  次に珪肺病患者のことで、珪肺病法を単行法として作る意思はないかというお話でございました。誠にこの種の恵者がお気の毒であることはお説の通りでございます。珪肺の特殊性を考えまして、労働基準法、労働者災害補償保険法等、現行の労働保護法規のみではまだ足りないという御意見があることも承知いたしております。それらによつて、昨年労働基準法の改正におきまして休業補償費のスライド制をとつたのでございますが、なお単行法を制定するかどうかということにつきましては、保護を厚くしたいことは勿論でございますけれども、使用者の負担の力、又他の職業病との取扱の権衡というような点をも併せ勘案いたしまして、目下具体的に研究をいたしておるのでございます。  それから駐留軍の労務者の件でございますが、これは日米行政協定の規定によりまして、駐留軍労務者については日本労働法が適用されることは当然でございます。ただ、お話のうちの昨年の暮の中労委の調停案でございますが、調停の性質上、これは当然に当事者を拘束するというものではないのであります。自然当事者間に意見の相違があつて、目下お互いにその調整を考えつつあるような状態であります。又政府といたしましては、駐日米軍とも十分折衝し、駐留軍労務者の労働条件の維持改善というようなことについては、せいぜい努力をいたしたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣向井忠晴君登壇拍手
  38. 向井忠晴

    国務大臣(向井忠晴君) 二十八年度予算におきまして食糧増産ということを大きな重点として配意いたしました。食糧増産対策費は、二十七年度の四百二億円に対しまして二十八年度は四百九十二億円を計上しまして、九十億円の増加であつて、これはよほど重点を置いた考えでございます。ただ、食糧増産の必要は、十分に尊重はしておりますが、財政上の規模がこれを許さないという程度で、御質問に、もつとたくさん出せというふうなことがございましたが、只今のところでは、それができませんのが残念でございます。(拍手)    〔国務大臣岡野清豪君登壇拍手
  39. 岡野清豪

    国務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。  昨年、教育委員会を地方に分散しまして地方分権化をいたしましたが、今回の国庫負担法につきまして、何らこの分権化を害するものではございません。第二点といたしまして、審議会によく諮つてやつたらいいじやないかということでございますが、これは十分意見を聞いてやつた次第でございます。  それから政治活動の問題でございますが、これは御承知の通りに、国家公務員にしろ、地方公務員にしろ、これは全体の奉仕者であつて、一党一派の政見を支持するとかしないとか、そういうことを公務員はすべきじやない。こう私は考えておりますから、その点で御判断願いたいと思います。  それからこの制度を布きまして、教員の整理をするかせぬかというお話ですが、絶対にそういうことはございませんから、御安心下さつて結構だと思います。それから半額が突如として全額に変つた。成るほどこの点につきさしては御疑念もございましようが、私は信念といたしまして全額のほうがいいと、こう考えておつた次第でございます。半額をいよいよやるにつきまして、同じ手間がかかるならば、今まで非常に全額にしてくれという要望、陳情がたくさんあつて、同時に私が自分の信念でやる以上は、それで而も私が文部大臣の職責を尽すということにたりますれば、信念に生きるのが私は政治家の節操だと思います。  それから今完全に実施になつておらんじやないか。成るほど御説の通りでございます。併しこれだけの大事業をいたしますにつきましては、過渡期でございますから、いろいろ手続も要しますので、その手続を十分手落ちなくやるためには、過渡期の制度をとるよりほか方法はございませんから、十分ではございませんが、先ずこれから出発いたしたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣本多市郎君登壇拍手
  40. 本多市郎

    国務大臣(本多市郎君) 御質問の義務教育費全額国庫負担と地方財政の関係について御答弁申上げたいと思います。  地方財政の面におきまして、平衡交付金の算定が、御承知の通りに、義務教育費につきましてどういうふうにして算定してあるかと申しますと、児童数、学級数、学校数という測定単位の数値に単位費用を乗じて算定されておるのでございます。この基準財政需要額の算定に基きまして、義務教官に関する部分を分離いたしたのでございますが、その分離いたしますに際しましても、この義務教育費の全額国庫負担から来る交付金と残余の平衡交付金を合せますと、大体平衡交付金制度でやつたと同じ金額になるものと国庫負担法においても規定されることと期待いたしておりますので、この分離の面九ら来る差当りの地方財政に対する圧迫というものはないものと考えておるのでございます。御質問のどういうふうに義務教育費の全額国庫負担金を配心するかという問題は、今後全額国庫名担法によつて定まるのでございますら、これは政府のその案がきまりましたならば御審議を煩わすことになりますが、結局は只今申上げました通りになるので、地方財政に圧迫を特に加えるということはない。即ち残余の平衡交付金制度の精神を失うものでないということを御答弁申上げておきたいと存じます。  それから府県と市町村の総合的な行政運営にどういう影響を及ぼすかという観点からの御質問であつたと存じますが、御承知の通り、給与の全額、更に教材費の一部を国庫負担といたしましても、学校は一切市町村の所有物であり経費であるのでございますから、そこに市町村の行政の総合的な運営という面につきましては、やはり十分考慮して行かなければならんと存じます。そこで文部大臣が市町村の教育委員会に任免権を委任されるのでありますが、委任されたその任免権の行使に当つては、市町村長にも協議して行うというようなことによりまして、今日までの市町村と教育委員会との間の総合的運営に円滑を欠くという点も解消されるのじやないかと考えております。又もう一点、市町村単位で任免権を行うとすれば、人事交流の範囲が非常に縮小されまして、この点が不都合であるという議論が多かつたのでございますが、この点につきましても、都道府県の教育委員会にその都道府県内の人事交流の斡旋をやらせる、斡旋に当らせるという措置を講じたいと考えておりますから、そうした面は却つて円滑に行くのではないかと考えられます。更に又全額国庫負担を更に充実して徹底的に行わせるためには、地方財政調整が必要ではないかという御意見は御尤もでございまして、これには、国、地方を通じて財政制度の再検討が必要になつて来るのでございます。従つて、地方税を如何に今後改正すべきか。平衡交付金制度についても再検討の必要がありはしないかと仰せられます点につきましては、これは根本的な問題になつて参りますので、地方制度調査会の御審議を待つて政府の方針を決定いたしたい考えでございます。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  41. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 賠償問題の解決の日取りはいつかというお話でございますが、これは相手もあることでありますから、はつきり申上げるわけには行きませんが、日本としてはできるだけ早くやろうとして今努力しておる最中であります。  インドとの間に特にお話のような点で交渉等をいたしたことはありませんけれども、外務省としては、在京インド大使、又日本の駐印大使は、インド政府との間に常に密接な接触を保つております。  アジア経済会議ということを言われましたが、原則論としては御趣旨は結構と思いますけれども、具体的問題についてはそれぞれ検討を要するのでありますし、又これを提唱するかしないかというようなことは非常にデリケートな問題でありますので、暫らく推移を待ちたいと思つております。但しECAFE等を通じまして、東南アジア諸国との間には常に意見の交換を行なつております。  駐留軍労務者につきましては労働大臣がお答えになつ通りでありまするが、アメリカ側は従来ともこれを一般公務員並みに取扱うことにいたして上りまして、今般も、公務員と同様二〇%のペース・アップの予算措置を講じて来たのでありまするが、調停案は二〇%以上になりますので、そうすると、予算の範囲内では、これに応じますると、今度人員整理をしなければならんという問題が起つて来るので困つておるわけでありまして、アメリカ側も、別に頭から調停案を無視しようという態度ではないのであります。(拍手)    〔岩崎正三郎君発言の許可を求む〕
  42. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 岩崎正三郎君。
  43. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 農林大臣の私の質問に対して答弁のない点、食糧自給促進法は出すのか出さないのか、それから農協法を改正して、農業協同組合をもつとしつかりする考えはないかを、御答弁願いたいと思います。    〔国務大臣廣川弘禪君登壇拍手
  44. 廣川弘禪

    国務大臣(廣川弘禪君) お答えいたします。  食糧増産促進法は、前にも千葉君に申上げた通り、案を具して提出いたす考えでおるのであります。  それから又農協につきましては、これは検討いたしておりまして、やはり至らないところは直して行きたいと考えておりますが、今回直ちに、どの点どの点というわけにはまだ参つておりません。(拍手
  45. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて質疑通告者の発言は全部終了いたしました。国務大臣演説に対する質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  46. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて質疑通告者の発言は全部終了いたしました。国務大臣演説に対する質疑は終了したものと認めます。
  47. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第二、国立国会図書館法第二十条の規定により行政各部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。図書館運営委員長宮城タマヨ君     —————————————    〔宮城タマヨ君登壇拍手
  48. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 只今議題となりました国立国会図書館法第二十条の規定により行政各部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案の図書館運営委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申上げます。先ず本案の内容について御説明申上げます。この法律は、行政各部門に置かれる支部図書館設置を確認し、これらの支部図書館に専任の職員を置き、その任免及び定数に関し規定すること等を内容といたしまして、昭和二十四年法律第百一号を以て制定されたのでございますが、その後行政部内に新らしい支部図書館設置或いは既設の支部図書館の廃止等があり、又は昨年の行政機構の改革に伴いまして、支部図書館の一部廃止、名称の変更等が行われましたので、これらについて所要の改正をしようとするものでございます。即ち、具体的に申しますと、支部日本学術会議図書館、同じく中央気象台図書館及び支部海上保安庁図書館等の新らしい五つの支部図書館設置せられ、又昨年の行政機構の改革によりまして、或いは電気通信省が公社となり、或いは法務府が法務省とかわりましたため、これらに伴つて支部図書館の一部廃止、名称の変更等の措置がわれましたので、本法の規定は現状著しく相違を来たしているのでございます。従いましてこれらを整理いたますと共に、所要の改正を行おうとるものでございます。  本委員会におきましては、委員多数御出席を得まして慎重に審議をいたしました結果、全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第でございます。  甚だ簡単でございますが、御報告申上げます。(拍手
  49. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなりれば、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  50. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十一分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、スエーデン国スイス国スペイン国及びポルトガル国に対する感謝決議案  一、日程第一 國務大臣の演説に関する件(第五日)  一、日程第二 国立国会図書館法第二十条の規定により行政各部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案