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1953-02-03 第15回国会 参議院 本会議 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月三日(火曜日)    午前十時三十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二十号   昭和二十八年二月三日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第四日)  第二 国立国会図書館法第二十条の規定により行政各部門に置かれる支部図書館及びその職員に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、国務大臣演説に関する件。(第四日)  昨日に引続き、これより順次質疑を許します。木村禧八郎君。    〔木村禧八郎登壇拍手
  4. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 労働者農民党を代表いたしまして質問いたします。  我が国ばかりでなく、世界的に非常に注目されておりましたアイゼンハワー・アメリカ大統領一般教書発表されたことは、御承知の通りでございます。この一般教書対外政策に関する部分は、去る十二月十六日のUSニューズに掲載されました、アイゼンハワー元帥のいわゆる対ソ巻き返し政策を中心とする冷たい戦争対策二十六項目と言われるものを基礎にしていると思われるのであります。このアイゼンハワー元帥の冷たい戦争対策二十六項目のうち、アジア関係対策に関する部分を見ますると、第一に、朝鮮共産軍を後方から遮断するための落下傘部隊水陸両用部隊の使用。第二は、共産軍基地全面的爆撃。第三は、共産中国交通線爆撃。第四は、共産中国に向うところの船舶の拿捕。第五は、日本軍備を急ぎ、米軍を自由にする。第六は、国府軍蒋介石軍に対し中国本土上陸作戦を許す。第七は、国府軍を助けて中国本土ゲリラ戦を行わせる。第八は、インドシナの仏軍への援助強化。第九は、反共アジア人部隊の徴募と装備。こういうふうに伝えられております。この線に沿うてアイゼンハワー元帥の今回の一般教書が作られ、この線に沿うて対ソ巻き返し政策が具体的に展開されることになりますると、我が国にとつてこれは重大なる影響がもたらされるものと言わざるを得ません。(「その通り」と呼ぶ者あり)  そこで、私は総理大臣にお伺いいたしたいのでございますが、この重大なる一般教書発表に当りまして、総理大臣はこれをどういうふうに解釈され、この影響についてどういう事態が起るかに関して、この際、国会を通じて国民に明らかにする義務があると思うのでございまするが、(「その通りだ」と呼ぶ者あり)この点について明確なる御答弁をお伺いいたしたいと存じます。  それから第二に、この教書によりますと、又この教書基礎になりましたいわゆる冷たい戦争対策二十六項目、そのうちのアジアに関する部分を見ましても、この結果として朝鮮戦争は拡大し長期化する可能性が出て来ると私は思われるのであります。そうしますると、日本はこの戦争に巻き込まれる危険が出て来て、日本本土の安全が脅かされるのではないか。この危険が私は非常に大きくなつて来るのではないかと思うのです。この点について、即ち朝鮮戦争の拡大の危険、或いはその長期化の危険、そうして日本がこれに巻き込まれる危険、こういうものが大きくなつて来るのではないか。この点についてのお考えを伺いたいのであります。  第三に、この教書において台湾水域中立化解除意向が示されておりますが、この影響が又私は重大ではないかと思うのであります。この結果として、先ほど申上げました冷たい戦争終結二十六項目のうち、アジアに関する部分を見ましても、中国本土に対する上陸作戦や或いはゲリラ戦援助するという方針が今後とられますと、これは若しかすると大きな戦争にまで発展する危険が出て来るのではないか。そういう危険が出て来るのじやないか。この影響は私は非常に大きいと思うのですが、台湾水域中立化解除に対して、総理はどういうお見通しを持つているか。その影響見通しをお持ちになつているか。特に又この結果として、私は貿易面に重大な影響が来るのではないか、香港貿易、ひいては東南アジア貿易、特にこの際、通産大臣にも併せて伺いたいのでございますが、通産大臣は、東南アジア貿易に今後貿易振興重点を置いて行かれるように経済演説をされております。今回の一般教書発表の結果として、貿易政策に重大なる支障が生ずるのではないかと思うのですが、この点、併せて伺いたいのであります。  更に第四に、この結果として日本の再軍備への要請が行われて来るのではないかと思います。そうしますると、総理大臣がこれまで再軍備を行わないということをしばしば言われましたが、今後総理大臣のそのお考えに何らか変更が起つて来るのではないか、又起らざるを得なくなるのではないか、こういうふうに思われるのですが、この再軍備に関する総理大臣のお考えは、これは一般教書発表に何ら影響されないものであるかどうか。この点についてお伺いいたしたいと思います。  それから第五に、ヤルタ秘密条項廃棄意向が又一般教書に示されております。これに対して日本政府はどういう態度を今後とられますか。千島の返還要求されるのであるかどうか。この点についてもお伺いいたしたいのであります。  それから第六に、ダレス氏が、三、四月頃訪問するように伝えられておりますが、果して事実かどうか。このダレス氏は今回の一般教書の線に沿うて日本に再軍備を要請するというような任務を帯びて来られるのではないか、こういうように思われるのでありますが、ダレス氏の訪日の計画があるのかどうか。それによつて日本の再軍備の問題が新たなる事態を招来するのではないかと、こう思われるのでありますが、こういう点について総理大臣に先ずお伺いいたしたいのであります。  更に、重ねて総理大臣にお伺いいたしたい点は、こういう非常に重大な情勢の下におきまして、総理大臣施政方針演説において日米関係緊密化を強調されております。国民に又これを訴えております。更に又、岡崎外務大臣は、非常に強い語調を以て中立論を否定されております。このことは一体具体的に何を意味するのでございますか、伺いたい。こういう際に日米関係緊密化ということは、具体的に言えば、結局アイゼンハワー・アメリカ大統領対ソ巻き返し強硬政策に積極的に参加するという意味ではないか、そうして日本を急速に再軍備して行く方向に積極的に努力すると、そのために国民に訴えられておるのではないか、こういうふうに思われるのですが、日米関係緊密化するということは、今の段階において一体何を具体的に意味するのでありますか。その内容が私は具体的に伺いたい。これまで緊密化されておりますその上に、一体、何を緊密化して行くのでありますか。私はこれは軍事的緊密化を意味しているのではないかと思います。この点についても総理大臣の御意見を伺いたい。  更に総理大臣は、もう一つ国民施政方針演説の中で訴えております。これは占領行政の行過ぎ是正の点でございます。併しながら、講和後の日本国家性格は、総理大臣独立国家として独断してこれを認識されて施政方針演説を行われておりますが、一体果して独立しておるのでありましようか。私いろいろ文献を拾つてみましたが、講和後の日本国家性格というものは、いわゆる植民地の中で軍事植民地という範疇があります。これは平凡社の百科事典、恐らく国松というかたが書かれておる、私は百科事典を見て探してみましたが、大体において日本植民地における軍事植民地という範疇に入る。矢内原氏の定義によれば、大体、半植民地的、まあ半が付く。とにかく独立国家でないことだけは明らかです。(「岡崎どうした」と呼ぶ者あり)独立国家でないということは、占領中の占領というものが具体的に継続しておるということであると思う。条約によつて一応日本が自主的に占領中の行政を認めたという形にはなつております。占領の継続と言われますが、そういう状態にあると思う。従つて占領行政是正ということは、この継続されておる占領そのものを、実質的な占領そのものを如何にしてこれから解放されるか、それを是正することこそ占領行政是正であるのに、占領政策の一番基本的目的であつた日本民主化、一番重要な目的であつた日本民主化を逆転せしめるような是正ということに重点を置かれておると思う。(「そうだ」と呼ぶ者あり)その証拠には、警察力強化とか、或いはスト禁止とか、独占禁止法の緩和とか、こういうことを主としておられるのでありまして、(「雛壇、勉強しろ」と呼ぶ者あり)これは要するに、総理の言うところの占領行政の行過ぎ是正意図というものは、アメリカ日本軍事基地として提供しまして、その交換条件として、ポツダム宣言に基いて占領政策として行われた日本民主化の逆転を許してもらつて、許容してもらつてアメリカの支援の下に、独占禁止法を緩和し、スト権を制限し、警察力強化し、大日本帝国時代におけるような大資本の神聖なる搾取の特権をここで回復しよう、こういうところに意図があると思うのです。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)果してそうでないかどうか。  それから更に、総理にお伺いいたしたいことは、珍しく今度の総理施政方針演説では外資導入に触れておらないのです。行方不明になつておる。これは一体どういうことか。第十三国会施政方針演説の冒頭で、外資が導入されなければ日本経済自立はできない、外資導入こそ日本経済自立のために一番重要な条件であるということを総理は言われたはずであります。その次の施政方針演説でも言われております。今回に限つて全然その姿を現わしておらない。この外資導入の問題はどうしたのでありますか。総理が非常に強調されただけに、我々は今回全然触れておらないことに奇異の感があるのでありますが、何か事情があるのかどうか、伺いたいのであります。(「如何に馬鹿だということがわかつたか」と呼ぶ者あり)  次に私は大蔵大臣にお伺いいたしたいのであります。大蔵大臣が今回の予算編成の過程において財政規模を圧縮しようというように努力されたことについて、私はいろいろ立場は異なるのですけれども、一応敬意を表するにやぶさかではございませんでした。併しながら、結果においては遂に自由党の非常に放漫な予算膨脹要求に屈しまして、財政規模が非常に過大になつてしまつたことについては、私は非常に遺憾である。私は満点を差上げたかつたのですけれども、これでは遺憾ながら私はどうしても及第点も差上げられない。私は財政規模を圧縮するということこそが向井財政の生命であり、それより他にはないと思う。政党に属さない向井さんでこそ、政党要求に基かないで財政規模を圧縮できる。それこそが向井財政の使命である。(「その通り」と呼ぶ者あり)それこそが又国民の一般的な公約数としての要求であり、財政規模を圧縮するということは、結局は結論において日本財政を健全にする途だ。これが破れたのでは私は健全財政は維持できないと思う。  そこで第一にお伺いいたしたいことは、この二十八年度予算政府原案赤字財政である。これは明らかなことである。投資特別会計において三百億の公債発行をしておる、これは三百億の赤字であります、赤字財政と私は思います。それを大蔵大臣健全財政だと言つておりますが、この点、私はどうしても了解いたさない、この点、赤字財政であると思いますが、大蔵大臣はどうか。  第二には、投資特別会計の設置、そうしてここで公債発行するということは、財政規模の放漫的な膨張とそれから赤字財政をごまかそうという私は手段であると思います。実際において、投資特別会計は、勿論、財政法四十四条或いは財政法十三条において、政府が特別な資金で以て、一般会計に計上しないで特別の歳出歳入を計上して政策を行うことができます。できまするが、やはり財政法四十五条によりますと、特別会計を作りますと財政法と異なつた規定をすることができます、特別会計においては、従つて濫用される危険がある。臨時軍事費特別会計が作られたような危険が出て来るのでありまして、いわゆる財政民主化の一番基本である予算単一主義原則に反し、又総計予算主義原則に私は反すると思います。で、投資特別会計における公債発行財政法精神に反している。財政法における四十四条、十三条において、政府が特別な資金で以てそうして政策を行うことができるような場合は、投資特別会計というような一般的な投資一般という規定までも認めておるのではありません。例えば為替特別会計とか、金資金特別会計とか、具体的な一つの特定の事業を行う場合にのみ許されるのである。これを濫用することは許されない。財政法精神をこれは侵すものである。この点は重大であります。これを発展して行けば臨時軍事費特別会計のようなことも起つて来るのであります。折角財政法作つた趣旨をここで破るのであります。この点について大蔵大臣の御意見を伺いたい。大蔵六百がこれに反対されたことは正しかつたのであります。(「わかるか」と呼ぶ者あり)なぜこれを譲られたか。(「向井さん、わかりますか」と呼ぶ者あり)財政法精神を折角大蔵大臣は守ろうとしてこれに屈してしまつたことは、非常に遺憾であります。  第三に伺いたいことは、財政規模が絶対的にこれは大き過ぎる。大蔵大臣演説を聞きますと、国民所得に対する比率では若干二十七年度より減少している又財政投融資の総領を含めた場合の割合では大体二十七年度と同じと言つていますが、私はどういう計算に基いてされたか、お聞きしたい。恐らく人口増加というものを無視されたのぢやないかと思うのです。私の計算によればこれは殖えております。殊に地方財政を加えれば財政規模は二十七年度より大きくなつているのです。私の計算によれば、戦前昭和九—十一年の平均が、この国民所得一人当り二百十一円に対して、財政負担は三十一円で、大体一四・六%です。ところが二十七年度は同じ計算で一七・一%、二十八年度は一八%になつて来ています。地方財政を加えれば更に大きくなる。戦前において一四・六%が一八%ということは絶対的に過大です。大体戦前昭和九—十一年の生活水準日本国民に許そうとするならば、私は八千億円、大きくても九千億円、八千億円台が妥当な財政規模だと思います。一般会計に関する限り。私は二千億円多いと思う。いわゆる防衛費分だけは多いと思う。だから国民生活水準はどうしても戦前に回復しないのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)この点、財政規模は私は絶対的に過大であると思います。大蔵大臣はどういうふうにお考えか。  それから第四に、二十八年度予算はやはり非常に不生産的な支出が多くなつて来ています。発表された数字を見ますと、如何にも安全保障諸費がなくなる。防衛分担金が幾分減少する。不生産的支出は減つたかに見えますが、併し今度は国債費のほうにおいて百三十七億、外債返還経費が多く計上されておるのでして、そういうものを合せると不生産的支出はやはり八十七億多くなつております。結局不生産的支出は多いのです、二十七年度よりは。ですから、こういう予算を私は健全なりとは言えない。この点を大蔵大臣はどうお考えか。不生産的支出が多くなつています。これでも健全であると言われますか。  それから第五に防衛費関係についてお伺いしたいのです。ラスク岡崎会談によりますと、大体日本防衛費が殖えればアメリカ防衛分担金は漸減すると、こういう申合せがあるはずであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)ところで、保安庁経費は二百二十八億増加したに対して、防衛支出金は三十億しか減つておりません。一体大蔵大臣は、ラスク岡崎会談行政協定二十五条に基いて、アメリカ側交渉されたのか。若し、されないとすれば、これは不誠意である。ああいう申合せがあるのですから、これについて何らかの話合いがなけりやならんはずだ、そういう努力がされるべきです。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そういう努力を払われたか。更に防衛支出金の中にはこの保障費が入つているのかどうか。若し入つていないとすると、これは却つてふくらむのです。二十七年度の六百五十億の中には九十二億という保障費が入つているのです。保障費は含まれているのかいないのか、この点お伺いしたい。若し含まれていないとすると、表面は三十億減つたようで実は減つておらない。それから安全保障諸費、これがなくなりましたことは当然です。これは一ヵ年限りなんです。ところで、この安全保障諸費を、聞くところによると、いわゆる東京—神戸間の高速度自動車道路建設に八十億振向けるやに伝えられているのですが、これは事実かどうか。安全保障諸費をそういうものに使つていいものかどうか。(「向井氏、メモを取らないで反論できるかね」と呼ぶ者あり)それで建設予算に、果して東京—神戸間の高速度自動車道路に対する特別の予算が組んであるのかどうか。この点を私は明確にして頂きたいと思います。(「はつきり答えろ」と呼ぶ者あり)本来ならば、ラスク岡崎会談によれば、私は防衛分担金はもつと減るべきであると思うのですが、而もこれは今後においてそういう防衛費日本で殖やしたならば防衛分担金が減るという、こういう話合いは、今後具体的にそういう了解が付いておるのかどうか。私は明確に伺いたい。一体この防衛費に関してアメリカ交渉があつたのかどうか。若しないとするなら、今後アイゼンハワー一般教書に現われているごとく、日本に再軍備要求される、又防衛費の増強も要求される、そうして防衛分担金は増加して来る危険が出て来るのじやないかと思うのですが、この点について大蔵大臣はどうお考えですか。一般教書との関係において、この防衛分担金は殖えるか殖えないか。この点をお伺いしたい。  それから次に援助費返還の問題です。西ドイツにおいては四十億ドルのアメリカ援助費を三七・五%に切下げられましたが、日本の場合、二十億ドルをドイツ並みに切下げても七億五千万ドルだ。外債支払よりも、もつと大きいのであります。重大な問題です。この交渉経過はどうなつていますか。今具体的にですね。今後私は補正予算として問題が起つて来ると思うんです。補正と関連してこの問題が起つて来る。今の交渉経過の現状はどうでありますか。これを明らかにして頂きたい。  それから賠償経過、これも今後補正の問題として私は重大視しなければならん。フィリピンのエリサルデ外相は、八十億ドルの賠償要求を撤回しないということを賠償十九人委員会において述べておる。この賠償経過について、又見通しについて伺いたい。それと補正予算との関係をお伺いしたい。  それから次に歳入面についてでありますが、歳入面については著しく税制勤労者に不利になつております。細かいことは予算委員会において御質問したいと思いますが、大体個人業種所得者勤労所得者所得とは余り変らないんです。大体同じです。それにもかかわらず税金は、勤労者が、二十七年度の例ですが、勤労者が千七百六十一億に対して個人業者の八百三十九億、大体、倍なんです。所得は大体同じなのに税金勤労者のほうが個人業種所得者よりも倍であるということは、非常に私は不合理であると思います。而も今後消費税関係で非常に大衆課税が殖えて来るんですが、この税制に関して私はお伺いしたい。  それから大蔵大臣に対しては、最後でございますが、私はこの予算を見ますると非常にインフレ要因が多い。私はインフレを起さなければこの予算は使い切れないのじやないか。若しインフレが起らなければこの予算は使い切れない。使い切るためにはインフレを起さなければならんと思うのです。そうしますと、どうしても私は過大であると思う。このインフレを起さないために金融面日銀の貸出を引締めるから、そうしてインフレを起さないようにできる、こういうような方針のようですが、財政投資で出て行く方面の金と日銀で引締める方面の金とは違うと思うんです。ルートが違う。従つて投資によつて出て来たその資金によるインフレを防ぐために金融引締め政策を行なつたならば、大変な困難が起る。それで強引に金融引締め政策はとれない。とれなければ、どうしてもインフレの圧力が強くなつて、本年の下期あたりからじわじわとインフレ傾向に進む、そうすれば物価が高くなつて貿易が縮小して来る、輸出が困難になる、為替を切下げざるを得なくなつて来る、こういう事態に私は追い込まれて行くのではないか。インフレとの関係金融政策との関係、この点について大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。  最後に、通産大臣或いは又経済審議庁長官にお伺いいたしたい。  第一の質問は、今回の経済演説におきまして、経済審議庁長官としてどうして長期見通し計画発表されなかつたか。すでに世界銀行に対しては五カ年後の見通し作業をやつて報告されたはずであります。これに基いて五カ年計画というものを作業しているはずであります。又してなければならんと思います。なぜこれを発表されなかつたか。私のこれは邪推であるかも知れませんが、五カ年作業発表すると、その中にどうしても再軍備計画が現われて来るので、都合が悪いので、この五カ年作業或いは五カ年計画というものは発表されなかつたのじやないかと思います。(「聞いてるのか」と呼ぶ者あり)経済審議庁長官長期見通し計画発表しないということはおかしいと思う。この点についてお伺いいたしたい。  それから、もう時間が、ございませんから、最後に簡単に貿易振興についてお尋ねいたします。小笠原通産大臣は、貿易振興についていろいろな具体的政策発表されましたが、結論において、二十八年度の貿易は二十七年度と貿易規模は大体同じであろうと言われる。これでは貿易振興にはなりません。(「減るですよ」と呼ぶ者あり)二十七年度の当初計画程度になるならば了承できます。当初計画は十六億一千百万ドル、ところが実際は十一億五千万ドルぐらいに減つているのです。この十一億五千万ドルに減つた輸出を如何にして殖やすかということが貿易振興政策でなければならんのに、いろいろ貿易振興政策発表されて、結論は大体二十七年度の貿易規模と同じであろうという見通しである。これじや貿易振興になりません。もつと貿易規模が二十七年度の実績より拡大する政策を私は御発表願いたい。而して更にこの為替政策について、今、日本為替は、実勢から見れば、大体購買力平価から言えば五百四十円ぐらいです。貿易外の特需によつて国際収支のバランスが合せられるものだから、今の日本為替貿易というものと遊離してしまつている。貿易に対して為替はその本来のフアンクシヨンを営んでいないのです。ですから為替上から貿易が非常に困難になつて来ている。従つて為替政策について、通産大臣としてもこれは十分検討しなければならんと思うのです。為替について非常に過大になつている。日本の円が過大価値になつている。そこで為替政策以外でいろいろ貿易振興政策をとろうとしているのですけれども、それは困難である。この為替の問題について通産大臣にお伺いしたい。大蔵大臣にも又この為替の問題、為替政策について、どういうお考えですか、併せてお伺いしたいと思います。  これを以て私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  5. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えいたします。  アイゼンハワー大統領演説について私がここに批評がましいことをすることは差控えます。朝鮮事変見通し如何ということでありますが、これは只今……(「独立国」と呼ぶ者あり)独立国であるから、あれしないのです。(拍手、笑声)ここでアイゼンハワー将軍演説に対しては、独立国であるから、これはとやこや批評がましいことは礼儀上差控えます。(「礼儀とは何だ」と呼ぶ者あり)  朝鮮事変見通し如何——これは昨日もお答えいたしましたが、今日朝鮮事変は、アメリカの輿論としてもその結末を急ぎ、又アイゼンハワーとしてもその決心でおられるように考えられます。そのために朝鮮をみずから視察せられたのだろうと思います。そこで見通し等はここで差控えますが、併し(「言わなければ駄目だ」と呼ぶ者あり)国連にいたしても、或いは米国は勿論のことであります、成るべくその終結を急いでおりますから、適当な終結ができるものと考えます。(「どういう終結です」と呼ぶ者あり)それから日本がこれに巻き込まれやしないか——これは巻き込まれるということは、日本がみずから独立精神がないということを言われるもので、巻き込まれたくなければ巻き込まれないだけのことをすればいいのです。再軍備についても同じことです。再軍備を強いられるであろうということは、これはみずから自己の独立能力を疑う結果でありまして、政府としては再軍備はいたさないということはしばしば申した通りであります。(拍手)  ヤルタ協定については、これは日本が調印国ではございませんから、これも批評を差控えますが、千島その他の旧領土についての返還、取返し、同複については、極力、力をいたすつもりでおります。又ダレス氏が日本に見えられるということは新聞で承知しましたが、併し果していつ来られるか、何の目的で来られるかということについては、何らの政府交渉を受けておりません。  日米関係、これは私が緊密な関係をと言うことは、これはどこの国とも緊密な関係を持つべきでありますが、特に日本アメリカの間は安全保障条約その他がありまして、特に緊密な関係をますます進むべきであると、こう確信いたしますが、併しこれが即ち植民地関係と言いますか、何と言われたか、日本の独立を失つた結果であると言われますが、講和条約にしても、安全保障条約にしても、国会の協賛を経たその条約の結果であまりして、これが植民地化しておると言うならば、これは話が違うと思う。又現に集団保障条約というものは日本ばかりではないのであります。集団防衛という観念は日本だけではない。若しこのために日本植民地と言うならば、ヨーロツパにおいても、或いはイギリスにしても、植民地であると言わざるを得ない。けれども、そういうことは常識では考えられないことである。(拍手)  外資導入をなぜこの際強調しないか。強調したから、する必要がないと考えておるのであります。国民もその外資導入の必要を考え政府外資導入に妨げがあるがごとき法制は改めつつあり、又現に外資は入つて来つつあることは、昨日大蔵大臣の説明の通りであります。又是正をするということは、行過ぎな法制について、占領中にできた法制で現在の国情に適応しないものを是正することは当然のことであります。独立国であるから是正いたすのであります。  その他は主管大臣からお答えいたします。(拍手)    〔国務大臣向井忠晴君登壇拍手
  6. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 来年度予算におきましては、財政の健全性を引続いて堅持しておると存じます。財政規模につきましては、一般会計のみならず、(「理由を挙げなさい」「謹聴々々」と呼ぶ者あり)財政と融資を含めても、国民所得に対する割合でも二十七年度とはほぼ同程度でございます。  又地方財政需要の増加についても、平衡交付金及び資金運用部による地方債の引受の増額を考慮しておるので、地方の負担増加も決して大きくはないのでございます。  なお、国民所得計算は、経済審議庁において一貫した方式によつて行なつているので、過大な見積りとは思いませんし、人口を考えると国民所得が減つているというふうなお話でございましたが、従つて財政の規模も、国民の人数が殖えれば、頭割りにすれば少くなるというふうに考えます。  防衛関係費の問題でございますが、二十七年度の防衛分担金安全保障諸費防衛費と保安庁費の合計は千人百億円に対しまして、今年は三百五十億円を減じております。  只今東京—神戸間の道路のお話がございましたが、これは座間—御殿場間の道路を新聞あたりで誤伝をしておると存じます。  なお対日援助費返還につきましては、(「もつと細かに聞こうじやないか」と呼ぶ者あり)今後の話合いによるものであつて補正による追加は現在考えておりません。殊に対日援助費のほうは十分に研究考慮するものであつて、ドイツ、イタリアの例などは参考にはなるか知れませんが、日本に適用されるということはきまつておるわけではございません。  特別会計で国債を発行し得ることは、財政法上の疑いはございません。  二十八年度予算国民所得に対して特に過大ではございませんで、予算の編成に当りましては、我が国の経済情勢等を前提として、経済全体として我が国の経済の健全な発展を確保されることを狙いとしておるのでございます。殊にこの戦後荒廃しました日本の現状を復旧させるということを考えますと、決して過大とは存じておりません。従つて今回の予算で別にインフレを起すものとは存じません。金融面においては放漫な融資が行われてはならないことは勿論でありまして、政府は経済界の実情を睨み合せて、財政金融に適当な資金の調整を図つて行く考えでございます。  国民所得の点で、勤労者所得と個人営業所得税金のお話がございましたが、お説の通りに、勤労所得個人業種所得とは大した差異はございませんが、所得税額において特に扶養親族の多い者の負担が軽減される結果、独身者や扶養親族の少い者が比較的に多い勤労者に比して、扶養親族の多い農民等の個人業者の負担が軽くなつておるのでございますが、併し事業所得者所得税のほかに事業税も課税されておりますことを考えますと、勤労所得者の負担が事業所得者の負担に比して特別に重いということも考えられないのでございます。又今度の減税の内容につきまして見ますと、昭和二十八年度の所得税の減税額約九百三十億のうち、さきに実施しました基礎控除、扶養控除等の控除の引上げ、税率の引下げによる減収額がおよそ八百四十億円ございまして、このうち年収三十万円以下の勤労者についての減税が約三百七十億円の多額に上る見込みでございますので、低額勤労所得者に対しては相当額の減税となつております。又昭和二十八年度における租税及び印紙収入について、直接税と間接税との割合を見ますと、直接税の割合が若干減りまして間接税の割合が殖えておりますが、これは今回税制改正の中心を直接税に置きました結果であつて、これを以て大衆課税の傾向に偏していると見るのは妥当でないと考えます。(拍手)    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇拍手
  7. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 木村さんにお答えいたします。  世界銀行に対して五カ年計画を出しておるのだが、なぜ、この際、長期計画を審議庁長官の演説発表しなかつたかというお話でございましたが、実は長期的な経済計画の策定については鋭意研究を進めてはおりまするが、木村さんも御承知のような国際経済情勢で、長期的な見通しを実は立てることは今日非常に困難な問題でありますので、目下経済審議会などを設置いたしまして慎重に研究を進めておる次第であります。そのときにたまたま世界銀行の調査団が見えまして、電源開発等について外資導入の問題で相談をいたしましたときに、一応の見通しでよいから、現在の情勢を前提として一応の目通しを出したらどうかということでございましたので、まあ、いわば五年後の日本経済の姿をば想定した事務当局の腹案をお見せしただけで、ございまして、経済審議庁といたしましては、まだ正式に決定したような五カ年計画はございません。又現在のところこれを急速に作り得ることの困難は、木村さんが一番よく私は御承知だと思います。  その次に、どうも二十七年度の貿易量と二十八年度の貿易量と同じような見通しでは、一体これは各種の貿易政策をどうしておるのだというお尋ねであります。貿易振興政策につきましては私ども最大の努力をいたしておるのでございまするが、これも木村さんが知つておられるように、貿易振興には即効薬というものが、ございません。(「あります」と呼ぶ者あり)そこで私どももあらゆる政策を、過日来申上げておるあらゆる政策を続けて参りまして、漸次その効果をできるだけ速かに発揮せしめたいと考えておる次第であります。従いまして私どもは、一応こういつたような努力で、今日の国際環境で非常に貿易の困難なときでもあるが、併しなお昨年と同様であろう、こういうことの見通しで、ああいうことを発表した次第であります。  更に今お話の中に為替問題についてのお尋ねがございましたが、これは現在の日本といたしましては、飽くまで現行為替レートを堅持しながら輸出競争力の培養に努めたい。かような根本方針の下に、輸出産業のコスト高についてあらゆる是正政策をとり、その引下げによつて国際競争力の養成に努めておる次第であります。  更に東南アジア貿易についてのお話がございましたが、これは私どもも東南アジア貿易を極めて重要に考えており、又輸入市場といたしましても、ドル地域からの物資の輸入転換市場として、これを考えておるのでございまして、政府といたしましても、使節団とか技術者の派遣を頻繁に行い、又相手国の技術習得希望者等の受入れを円滑ならしめたいのでありまして、いろいろ所要の措置を講じておりまして、同地域の資源開発につきましても、例えばポルトガル領のゴア、フイリピンのララツプ、マレーのテマンガン、こういつたところの鉄鉱石等はすでに鉱山において開発に着手して、一部の鉱石の入荷を見ておる次第であります。(「そんな膏薬張り駄目です」「御破算だよ」と呼ぶ者あり、拍手)     —————————————
  8. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 兼岩傳一君。    〔兼岩傳一君登壇拍手
  9. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私はここに日本共産党を代表して、吉田首相と関係大臣に対し、今国民が最も問おうとしている外交、再軍備財政貿易などの諸点について、順々にこれを質さんとするものであります。  先ず第一に、国民最大の関心は、日本軍事基地化と、軍国主義の復活によつて生じて来た新らしい戦争の危機をどう防止するかの問題であります。併しこの問題は日本国民ばかりのものではありません。戦後アメリカのとつた武力によつて世界を支配する政策のため、ヨーロツパではドイツ、アジアでは日本の軍国主義が復活されて来ましたが、特に最近日本で進められて来た再軍備が、今やアジア太平洋地域十六億の人々の求める平和と安全を大きく脅かすようになつて参りました。そこで、この地域三十七カ国から、平和は待ちもうけるものではなくて、固い団結と、たゆまない闘いによつて勝ちとるべきものであると決意した日本の代表十四名を加えた四百二十七名が北京に集まり、去る十月二日から十二日間に亘つてアジア太平洋地域平和会議を開いて討議し、全会一致で日本問題に関する決意を行いました。この決議は、米政府日本アメリカの極東における侵略戦争の基地としようとしておることに強硬に反対し、四項目要求を決定し、この要求を実現するための措置として、例えば各国の平和の使節団の交換などを提議しています。ところが吉田首相は今回の施政方針演説で、戦争の危険には一言も触れないで、ただ日米親善と国連協力によつて世界平和に貢献すると述べられ、岡崎外務大臣も同様に、世界戦争の危険は一応遠のいたようだが、共産陣営側からの脅威が問題だと述べておられる。一体どちらが本当でしようか。吉田政府の現実の施策を検討いたしましよう。  政府は去る七月二十六日、サンフランシスコで結んだ両条約に基いて、米政府との間に施設区域協定を取り結びましたが、その内容は、我が国が米占領軍に陸海空軍基地などの施設六百三カ所を提供することを決定したもので、そのうちには永久使用のものが実に三百カ所に及ぶのであります。他方、政府は、曾つて日本人を戦争にかり立てた戦犯を公然と保安隊に採用して、陸海軍を作り、その軍事基地と軍需産業と大規模に拡充して、国民から自由に外交と貿易方針をきめる権利を奪い取り、国民の生活と民主主義を全く蹂躙いたしました。曾つて日本軍国主義が長期に亘る侵略戦争で、一千万人以上を殺し、大きな損失をこうむらせた中国五億の人民に、何の償いをしようとしないのみか、これを敵視し、台湾国民党との間に日華条約を結びました。アメリカの飛行機が再三、中国、ソヴィエトに侵入して、撃ち落されているにもかかわらず、やれ北海道には空飛ぶ円盤が現われたとか、国籍不明の外国飛行機が領空を侵したとか、常識では考えられない理由で、日本政府は米政府に防空を一任させようとしております。(「ノモンハンでやつたことだ、日本の軍閥のやつたことだ」と呼ぶ者あり)同じ理由で内地の保安隊を北海道に移しつつある。(「ノモンハンを思い出せ」と呼ぶ者あり)米将校に監禁されて、アメリカのスパイになれと強要された鹿地亘君の人権蹂躙問題を、外務省も法務省も解決できないのみか、国家警察を使つて、鹿地亘君があたかもソヴイエトのスパイであつたようなデマを飛ばすのに大わらわであります。米本国では新聞が、日本を満州獲得にかり立てるべきだと論じ、ダレス新国務長官は外交方針に関する最初の声明で、ソ同盟、中国をはつきり「敵」と呼ぶに至りました。  私は吉田首相にお尋ねする。年頭に李承晩大統領日本に呼んだのは誰であるか。いやしくも一国の総理大統領が外国の一軍司令官の招待で話合うということは何たることであるか。これで独立日本と言われるであろうか。会談の内容の公表を求めます。恐らく首相は、このままでは勝目のない朝鮮戦争、敗け戦さの朝鮮戦争に、日本、韓国、台湾などで反共太平洋同盟を作つて応援する相談をされたでしよう。現にAP東京支局長が、反共同盟を結成しようとするアイゼンハワー大統領計画がもう実行に移されていると報道しておるし、米上院議員プリツジス氏は、第三次大戦はもう始まつている、新らしい大統領は戦時の大統領になるであろうと語り、(「よく聞いておけ」と呼ぶ者あり)本日の外電は一斉に、アイゼンハワー大統領一般教書は、曾つてルーズヴエルト大統領の結んだあのヤルタ協定の放棄を示唆しておると報じている。これは国際的条約を踏みにじり、公然と侵略政策を推し進めているものがアメリカであることを端的に示しております。(「その通り」と呼ぶ者あり)ところが、吉田総理はカニエ議員の質問に対して、相も変らず、再軍備はしない、憲法は改正しない、朝鮮に保安隊は出さないと答弁しておる。(「その通り」と呼ぶ者あり)政治は決して演説ではありません。若し総理が、あなたの演説通り、本当に世界平和を守る決意があるというならば、その具体的政策を示されたい。(「示している」と呼ぶ者あり)アジアにおいて今招来されておる新らしい戦争の危機を防ぐための第一の政策は、米軍占領下で、その弾よけとして育成されておる保安隊をやめ、軍需産業の育成をやめ、平和産業の繁栄を図るべきです。二つには、朝鮮の停戦に協力にし、朝鮮及び日本から一切の外国軍隊を撤退させることです。三には、遠い他人より近い親戚です。お隣りの中国、ソヴィエトと仲よくして貿易をやり、(笑声)漁業問題を解決し、やがて両国間に公正なる講和条約を締結するために親善使節団を交換して、相互の理解を深めることです。これらの点について、首相が戦争を心から憎む国民に対して懇切な答弁を寄せられることを求めてやみません。  次に岡崎外相にお尋ねする。私が先ほど指摘した施設区域協定は七月二十六日の締結でありますが、その後、数次に亘る基地、演習場などの追加が行われたと伝えられておりますが、その内容をここで明らかにして頂きたい。いま一つ外相に質しておきたい。それは外務省が従来しばしばしば言明したにもかかわらず、中国在留邦人五万九千人の名簿をあなたは言を左右にして到頭代表団に渡されなかつた。よもや、あるものを渡さなかつたわけではないでしよう。あると言つていたが実はなかつたのか、或いは根拠薄弱で恥かしくて中国側に出せなかつたのか、これは将来問題になる点でありますから、ここで明瞭にしておいて頂きたい。  第二に、私はアジアの平和と安全を大きく脅かす軍国主義復活の問題に進みます。首相は昨年衆議院予算委員会で、西村委員から、総理がみずから臣茂と呼ぶのは不穏当ではないか、取消す意思はないかと問われ、不穏当とは思わない、取消す意思はないと答えて、国民に深刻な衝撃を与えました。そのわけは「臣茂」という用語の問題ではない。曾つて天皇の名によつて侵略戦争にかり立てられた国民が、首相みずからその復活の先頭に立つていることを知つて、愕然としたからです。政府が天皇の権威を作り上げ、これを精神的な支柱として国民を引付け、侵略的な軍国主義を復活しようとしている証拠は、これにとどまりません。先に皇室内部の行事に過ぎない立太子礼を国家の行事として大きく取上げたこと、国民の生活難をよそに、宮中年賀の儀や皇太子の外遊などに多額の国費を投じようとしておること、幾千万の戦傷病者、戦災者、引揚者などが心から国家援助を求めておるのを見捨てて、政府は軍人恩給その他に五百億円を計上し、これを直接軍事費から支出しようとしておること、戦争で名を挙げた者に勲章を授けるために栄典法を準備しておること等、幾らでもあります。  私は吉田首相に質します。天皇制の復活を初め、以上の事柄は、どれもこれもポツダム宣言の軍国主義者の処罰に関する規定を踏みにじつていないと説明できるでしようか。政府は、軍需大産業を発展させるためには、平和産業、中小企業を潰して失業者を作り、農村においては、地主による土地の坂上げをやらせて、二男、三男を失業状態に追い込み、これらの青年たちを、軍事基地、軍用道路の建設に奉仕させるために、産業開発青年隊を編成し、今やその法制化を進めています。私は建設大臣、農林大臣にお尋ねする。これこそ曾つての農兵隊、勤労奉仕隊の復活でなくして何でしようか。又小笠原前農相は、昨年の十二月の本会議における我が党の岩開議員の質問に対し、米の備蓄はやつていないと答えておるが、本年一月、木村保安庁長官は、一朝有事に備えて米を備蓄する必要があると述べておるのみか、現に農林当局は、二十八米穀年度末には約八百万石の米穀持越高が予想されておると発表しております。小笠原農林大臣が見えすいた嘘をついたことは今や明瞭です。これらについて廣川農林大臣の責任ある答弁を求めます。  政府の軍国主義復活の意図は労働政策において最も端的に現われています。成るほど今吉田内閣は内憂外患こもごも至り、今日総理以下泰然として雛壇に並ぶといえども、(笑声)明日野党の一緊来たれば崩れ去るという状態であります。だが、吉田内閣が死身になつてつておる相手は、決して、国連協力養成の右派社会党、第三勢力論でお茶を濁しておる左派社会党を先頭とする国会内のいわゆる野党ではなくて、国民の先頭に立つておる労働者です。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)なぜならば、仮に次期政権の駈引で内閣が潰れても、第五次吉田内閣又はこれに似た内閣を作ることはできましよう。併し労働者との闘いに敗北すれば、再軍備計画は破綻し、アメリカの侵略計画が根柢から崩れ去るのです。国民も、炭労、電産を先頭とする労働者階級こそ日本の運命を決する力であり、全国民は労働者階級を先頭として手を組んで前進することによつて初めて勝つことができることを知り始めました。殊に破防法の制定に反対して行われました四百万人の労働者の五度のゼネストは、日本最大のストライキでありました。政府は今ゼネスト禁止法を準備すると共に、先般アメリカから七千万ドルのドル箱を担いで総評の分裂にやつて来た国際自由労連のタウンゼント君のやり方に倣つて、買収によつて内部から分裂方策に取りかかりました。先には武藤総評議長の裏切り、常盤炭労の分裂、近くは民労連の育成による総評分裂の策動、いずれも買収の成果であると取り沙汰されております。政府支出されたお金も相当なものだつたでしようが、果して戸塚労働大臣、如何ほど機密費を使われたか、公表を願います。(笑声)  政府の分裂政策と並んで、日経連は職場防衛隊を作つて、公然と労働組合を攻撃し、これを破壊しようとしています。例えば愛知県の日清紡美合工場は、工場長を委員長とし、労働組合長を副委員長にして、職場防衛委員会を作りました。これこそ戦時中の産業報国会の復活であつて、労働組合法違反はもとより、明らかに憲法違反ではありませんか。労働大臣の責任ある答弁を求めます。のみならず日経連は各工場に、左翼出版物を読んでおる労働者に注意せよと指令しています。又青森県では警官が書店で雑誌「平和」「世界」などの読者の住所氏名を調べていますが、これは犬養法務大臣の方針に基くものであるかどうか。これを取りやめられる方針があるかどうか。はつきりして頂きたい。  政府は先に中小学校教員を地方公務員に指定して、労働者としての権利を不当に制限したが、今国会において更に国家公務員に指定して、その一切の権利を略奪しようとしておる。政府はこの真意をごまかすために義務教育面の全額国庫負担を持ち出しておる。併しこれは教員給さえ賄えないもので、今最も大衆を苦しめておる給食費、教科書代や、PTA会費などの重い負担は、何一つ解決されていません。殊に給食費は前年度二十六億円出したものを今年は十七億円に削減しようとしておるではありませんか。政府意図が、これによつて、教師を、ものを教える一片の道具となし、子供たちに軍国主義思想を吹込ませようとしておることは明らかであります。文部大臣の所見を質します。  第三に財政貿易質問に入ります。以上で私が明らかにしたように、政府の全政策を貫くものは、アメリカ一辺倒の外交をやり、天皇制を復活し、侵略戦争を開始するために一切の準備を整えることであります。今国会に提出された二十八年度予算案こそ、この目的を達成するための厖大な軍事的予算であります。なぜか。その一は、少くとも六千億円に上る隠し財源を抱えこんでいる。第二は、表面的に防衛費を減らしたように見せて実はこれを殖やしておる。第三は、投資特別会計なるものを設けて、将来多額の防衛費一般会計又は曾つての臨時軍事費のような特別会計から出せるようにしておいて、同時にこの会計から軍需産業へ投資の途を開いておる。その第四は、公債発行をやり、今後の軍事費を幾らでも公債によつて賄う途を開いていること、これであります。  一体これは何を意味するか。これこそ吉田総理の恥を知らない、再軍備せずのごまかし答弁にもかかわらず、今や明らかにアメリカの求める再軍備に公然と乗出したこと、いわば財政的に憲法改正をやつてのけようとしておることであります。現に朝日新聞によれば、大蔵大臣、官房長官が与党との会談の席で、若し今公債政策をとれば、米国などから急激な再軍備増強を要請されたとき、財政的な理由で断われなくなるではないかと語つております。然りとすれば、今や向井蔵相は、この予算で公然と米軍要求に応じて財政上の態勢を整えたものと断ぜざるを得ないが、これに対して、緒方官房長官、向井蔵相は何と答えることができるでしようか。  このほか軍国主義復活の費用がいろいろ組まれております。先に述べたインチキな教育費国庫負担九百二十億円、軍人恩給の五百億円、産業開発隊の一千三百万円、弾丸道路の八十億円、国家警察費の二百二十億円、言論統制のための内閣情報局関係の一億三千万円、天皇制強化のための皇居前広場の整備費千百五十万円、これであります。これに反し公務員の給与水準は、二十七年度補正予算の人事院勧告よりも一千円も低いぺースで抑え、農林漁業、中小企業家への投資は極めて微々たるものであります。いわんや職安で働く日雇労務者に対しては一日平均二百五十円、一カ月二十日にも満たない仕事しか与えないという、まさに人道的に許しがたい予算措置をとつておるのであります。防衛費は、前年度の使い残しが千億円、このほかに保安隊費が八百三十億、これに軍人恩給を入れて約三千億円に達するではありませんか。この予算を背景にして、大独占資本家が一斉に軍需産業に進出しようとしております。政府自身も国有民営の方式で五大火薬会社に旧軍工廠を貸与しようとしております。つい先ほど蔵相及び通産相は、この国会で平和産業を中心とすると言明されましたが、その舌の根の乾かない今日、このような予算案を出されて、先の言明が全く嘘であつたことを暴露しました。嘘でないと言うなら、一体この予算小笠原通産大臣はどう平和産業を発展させて行かれるのか。具体的な施策を説明願いたいのであります。  貿易で日中貿易を排撃する政府の最も期待していた東南アジアで、日本の工業製品の値段が割高であるため、イギリス、ドイツ等との競争に続々と敗退し続けております。これは、政府アメリカの割高な押付け輸入に屈従して、中国、ソヴイエトとの平和互恵の貿易を拒否し続けて来た当然の報いであります。然るに中国側では、巴商事、東京貿易、啓明交易などと百億円に近い契約を締結して、友好的な政策をとつています。若しこの際一歩を進めて、建築用鉄材、亜鉛引鉄板などの輸出ができるならば、鉄鉱石、粘結炭、大豆等の輸入が実現して、その契約高は飛躍的に増大するでしよう。これらの解除要求する国民の声に対して通産大臣は何と答えられるか。これこそ即効薬ではありませんか。(「そうだそうだ即効薬だ」と呼ぶ者あり)  昨年の暮、国会において日中貿易促進議員連盟が結成せられるや、ものの響きに応ずるごとく加入者が増加し、今や三百名を遥かに超えております。このうち特に注目すべきことは、この連盟の主張が政府政策と真向から正反対であるにもかかわらず、与党たる自由党から七十九名の参加を得ておるという事実であります。このことは、国民の強い要望が政府の反共貿易政策を足もとから崩しているということを示すものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)ここにおいて政府は恐る恐るワシントンにお伺いを立てて、九十八品目の解除の了解を得て、国民の強い要望に副つたかのごときポーズを示したのであります。ところが、いざ輸出をしようとすると、輸出金額の一〇%に相当するところの輸入保証金を積ませ、若し輸出した商品に対する見返品が何かの事故で来ない場合に、この保証金を政府が没収するというのです。一体、一割という高率の輸入保証金は何を意味するでしようか。資本主義国との貿易の場合は〇・一%、高くて一%に過ぎないのに、中国と貿易をやろうとすると、その十倍乃至百倍になる。この重い輸入保証金は、中小業者は勿論、大貿易商社としても堪えられない苛酷なものです。政府はこういう陰険なやり方で品目を解除して、国民の要望に副つたと見せて、実はひどい妨害をしております。小笠原通産相はなぜかかるトリックを弄せられるのか。若しこれが大臣の本意でないとすれば、即刻これを改正される用意があるかどうか。これに答えられたいのであります。  最後に吉田首相に一言いたしたい。それは、祖国の重大な危機に際して、国民が今や奮起しつつあるということであります。全国至るところの軍事某地反対、軍事建設反対、植民地反対の運動が即ちこれであります。その結果はどうです。モスクワ経済会議への参加、日中貿易協定の調印、アジア太平洋地域平和会議やウイーン世界平和大会への参加、在華同胞引揚問題の打開等、米日政府があらゆる妨害を試みたにもかかわらず、国民はみずからの手で達成したのであります。  更に国会全会派の代表による日中親善使節団の交換計画さえ進められております。この国民の動きは今や抑えがたい力となつて発展しつつあります。つい先日島津氏等十三名の民間代表団が、引揚問題の処理と、日中友好、経済提携、アジアの平和のため、岡崎外相から旅券を受取り、ダレス長官の言う敵国に向つて、イギリスの飛行機で、国民の興奮と感激のうちに羽田を出発しました。このことは、平和と独立を目指して結集された日本国民の力が、吉田政府を打倒し、来日反動の陰謀を根底から打砕く日が遠くないことを確信させる、(「その通り」と呼ぶ者あり)十分なる、美しくも力強い画期的な出来事であつたと申さなければなりません。  吉田首相の存在は、米国が東洋に作つた「かいらい」の一つであり、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)日本民主政治の癌である。首相は今まで米国の威光を笠に着ることや秘密外交を背景とすることによつて権勢の地位を保ち、そうして又日本の産業の利権化した。これは私の批判ではなくて、共産党の批判ではなくて、自由党の石橋湛山氏の批判であります。(「そうだ」「どうした」と呼ぶ者あり、拍手)これこそは石橋氏の口をかりて発表された日本国民の批判であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)今や吉田内閣が終局的に退陣しなければならぬ日が近付いて参りました。私は、曾つて戦争が作つた二百万のみなし子、百八十三万の未亡人、百万の戦傷病者、一千万の戦災者及び五千万の青年と婦人と共に、日本共産党を代表して、再軍備に対する断固とした闘いの決意、平和と独立と自由の勝利の確信を表明して、質問を終るものであります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  10. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  現内閣がとつておる対米政策、対米外交その他が第三次大戦を引き起す危険ありとして、国民は非常な不安にかられておると言う、こういう兼岩氏のお話のようでありますが、むしろ国民はそういう宣伝を、第三次大戦の危険ありと言つて宣伝せられるこの兼岩君の話こそ……(「アメリカが言つておるのだぞ」と呼ぶ者あり)君が言つておるのだ(笑声)この恫喝或いは宣伝には国民は甚だ迷惑いたしておると考えます。又日本において軍国主義の復活、その例として栄典法とか軍人恩給法とかいうような例を挙げておられますが、これは政府としては、設くべき法制、なすべき支出をなしておるのであつて、決してこれは軍国主義の復活のためではないのであります。  天皇の地位は、憲法第一条に明らかに規定されておる通りであります。政府はこの条章に従つて、天皇の御地位に対して、国民の象徴としてその御地位は飽くまでも擁護する考えであります。  その他、李承晩大統領と何を話したかというようなお話でありますが、これは外務大臣からすでに発表せられた通りであります。  中共貿易その他については各主管大臣からお答えをいたします。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇拍手
  11. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 施設、区域等の点についてお尋ねがありましたが、これは行政協定中に書いてあります通り、必要なものは新たに追加するが、不必要なものは直ちに解除することになつております。七月以降種々改訂が行われておりまするが、それは解除のほうが殆ど大部分でありまして、これらはきまつた都度発表いたしております。(「公表しておりますか」と呼ぶ者あり)きまつた都度発表いたしております。  五万九千人の名前の名簿を渡さない理由はどうか—これは中国各地に留置されておる人々がいろいろの方法でその所在を知らせて来たのでありまして、従つて、これを発表いたしますると、これらの人々を困難な地位に陥れる虞れがあるので、発表していないのであります。  なお、引揚に関する代表が、中共との間に、引揚問題のほかに中日提携とか貿易とか、いろいろの話をするようなお話でありまするが、これはそうではありませんから、一言お断わりをいたしておきます。引揚問題に関する代表は、厳に引揚問題に限定して話をいたすことになつております。(拍手)    〔国務大臣廣川弘禪君登壇拍手
  12. 廣川弘禪

    国務大臣(廣川弘禪君) 兼岩君から農林省でやつておりまする二三男対策のことについてのお尋ねでありまするが、この農村の二三男対策は、農林省としては真剣に取上げておるのであります。この二三男の一部のかたを集団的に職業を教え、そうして又農林省の仕事に協力してもらいまして、開拓地等にはその土地に落付いてもらうように、まじめにやつておりますので、兼岩君の言つておることは嘘であります。  それから又備蓄の問題についてのお話でありまするが、日本の食糧は足りませんので、而もこの農業は原始産業でありますから、でき得る限り備蓄するのが本当であります。併し今のところ備蓄ができませんので、ただ現在は政府の手持としましては、これを円滑に配給する、単なるランニング・ストックだけしか持つていないことが私は残念であると思います。(拍手)    〔国務大臣戸塚九一郎君登壇拍手
  13. 戸塚九一郎

    国務大臣(戸塚九一郎君) お答え申上げます。  職場の防衛隊というお話でございましたが、各企業、各職場の労使の双方が、自発的に企業及び職場の内外からの破壊分子による撹乱工作に対して、みずからの企業及び職場を守るために、民主的に適当な措置を講ぜんとするものであろうと存じまして、これが産報の復活とか、或いは労組法、憲法の違反になるとは考えておりません。  なお労働政策について機密費をというお話がございましたが、さようなことは考えたこともありませんし、(「使いませんでしたか」と呼ぶ者あり)従つてお話のような機密費のごときは必要もなく、又私も承知もいたしておりません。    〔国務大臣犬養健君登壇拍手
  14. 犬養健

    国務大臣(犬養健君) お答えいたします。  雑誌の「平和」その他の公けにされている刊行物の購読者を思想調査するというようなことは考えておりません。私の方針にもございません。若しそういうことがありましたならば、早速取調べたいと思つております。(「あつたらどうするのだ、あつたら」と呼ぶ者おり)取調べて、私の方針に反していることを明らかにいたしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣向井忠晴君登壇拍手
  15. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 防衛関係経費は、繰返して御説明しました通り三百五十億円減額しております。産業投資特別会計における減税公債発行は完全な市中消化によるものでございます。今日の我が国経済の実情等から見まして、電源開発とかというふうな長期の財政投資の財源は税金のみで賄う必要はないと存じます。  二十八年度予算は軍国主義の金の使い方だということでございますが、一般産業を中心としていることには変りはございません。で、特に中小企業金融、農林漁業金融に重点を置いております。(「雀の涙ですか」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇拍手
  16. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) お答えをいたします。  二十八年度の予算では、予算書に明らかな通り平和産業等の振興を目標といたしておつて、通商産業省としては、輸出の振興、経済自立の推進、中小企業の振興が重点となつております。軍需産業の育成というがごときことは考えておりません。  中国貿易につきましては、戦前我が国貿易構造で相当に大きな比重を占めておつた事実に鑑みまして、その回復は望ましいことではございますが、戦後における中国側の経済事情の変化、国連協力(「軍事政策と言いなさい」と呼ぶ者あり)という我が国基本政策に副う必要があること等の事情のために、その大幅な再開を早急に望むことは困難であると存じます。併し従来の輸出制限品目は多少狭きに過ぎるきらいがありまするので、爾来交渉を続けまして、日本が自主的な立場から非戦略物資の輸出制限緩和を図つており、過日九十数品目に対して数日前に発表いたしたことは御承知の通りであります。従来、日本としては、これまで中共貿易は重要物資の輸入確保の意味から輸入先行のパーター方式をとつてつた。ところが中共側のほうでも輸入先行方式のパーターを固執いたしますので、そこで取引の実現に困難を来たしたのであります。止むを得ず我がほうといたしましても、それは向うも認めようが、我がほうとしては特に輸出先行のパーター方式を認めるということといたしました関係上、その場合、取引の遂行を確保するために、一〇%の輸入保証金を設けたものでありまして、これは日本としての外貨収入を確保するために必要な措置であると考えておりまするから、これを撤廃する等の意思は持つておりません。(拍手)    〔政府委員廣瀬與兵衞君登壇拍手
  17. 廣瀬與兵衞

    政府委員(廣瀬與兵衞君) 兼岩君の御質問にお答えいたします。  義務教育費全額国庫負担及び義務教育職員の国家公務員化の制度は、教職員の給与の全額を国が負担し、その身分を国家公務員とすることによつて、教職員の給与と地位を確保して、義務教育に関する国の保障を明らかにすることを目的とするものであり、国家公務員法に基く職員団体の正常な活動を阻止するものでなく、又教職員の現員現給に急激な変化を与えることのないよう経過措置を定めることとしております。(「自治庁から押しまくられているじやないか、文部大臣の言うことは一つも通つていないじやないか」と呼ぶ者あり)これによつて給与の切下等の不都合が起り得ないように措置する考えであります。  又給食については、昭和二十七年度においては、当初の原麦の半額代二十四億円を予定したのでありますが、これは予定よりも実際はその所要額が減少して約十四億円となり、昨秋補正予算に計上されました。従つてミルク買入資金に対する利子補給金九千六百万円と合せ約十五億円となり、二十八年度も前年度と同様の方針により実施することになつたので、二十八年度予算において十七億円を計上したわけであります。前年度の約十五億円に比し、実施上支障はないわけであります。又二十八年度においては教材費についても措置するようになりますので、父兄の負担は漸次軽減されるように努力しております。(「とんでもない」と呼ぶ者あり、拍手)    〔兼岩傳一君発言の許可を求む〕
  18. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 兼岩君、何んですか。
  19. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 再質問をいたしたいと思います。
  20. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 数分間ならば……。兼岩傳一君。    〔兼岩傳一君登壇拍手
  21. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 通産大臣は、私の質問いたしました直ちに効く薬として、薄板、亜鉛引鉄板、それから建築用鉄材について答えがありません。それから外務大臣は、五万九千人の引揚名簿が整備されて、はつきりあるのかないのか、この点。ある、ない、はつきり五万九千人耳を揃えて、明確にあるならばあると、一つ御返答願いたいのであります。(「見せると言え」と呼ぶ者あり)そうして、それを一つ御提出願いたいのであります。(「国会へ提出せよ」と呼ぶ者あり)国会へ提出願いたいのであります。(笑声)  併し最大の問題は、吉田首相が依然として最も重要な問題に答えないということであります。例えば第三次大戦の危機ということにつきましては、これは上院議員のプリツジス氏がそう言つているのである。すでに始まつていると言つている。それからAP東京支局長の言がある。それから大統領教書が近くヤルタの会談を真向から否定してかかろうとする動きがある。のみならず、アジア太平洋地域十六国の人民が、日本国民も含めて、この人たちが戦争と侵略の危険を感じているのであります。これに対して私は、吉田総理に対して、はつきりと条項を挙げて、三つの点から、若し総理があなたの演説通り世界の平和を守ると言うならば、具体的な政策がなければならない。具体的政策を欠くところの演説はこれは嘘である。よつて第一の米占領下にあるところの保安隊の解体と、それから軍需産業の育成の廃止と平和産業の育成、これをやるかどうか。二には、中共、ソヴィエトとの貿易を再開し、漁業問題を解決し、やがて公正な講和条約に進めて行くだけの措置をとるかどうか。それから朝鮮の停戦、第三に、朝鮮停戦に協力して、朝鮮及び日本から一切の外国軍隊の即時撤退に闘うかどうか。この三点をもう一度この席で明確にして頂きたいのであります。(拍手)併し恐らくふらふらのこの内閣と最近の総理の立場からは、よう答えないかも知れません。若し、よう答えないとすれば、これは明らかに総理が、天下に、全国民に向つてアジアに向つて、又世界に向つて嘘を言つたことを、我々は確認せざるを得ないということを私は附加えて、答弁を求めるものであります。(拍手、「答弁の要なし」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  22. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをします。  私が世界第三次戦争は遠のきつつあるということは、これは私の一家言ではありません。アイゼンハワー元帥もかく言われ、又チャーチルもこの間そう言われ、イーデンその他の者も言われているからそう申すのでありまして、東京の支局長の言などを基としてこれを言つているわけではありません。  又ソヴイエトをどうするかということでありますが、これはソヴィエト共和国といいますか、共産主義国の出ようによるので、日本が仲好くしようと思つても、向うが御免こうむると言えば、外交はできません。(拍手、「そんなことはない」「大きなことを言うなよ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇拍手
  23. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。亜鉛鉄板の輸出のことは、我が国が国連協力に関係がございまするので、これを許すことは適当でないと認めております。(拍手、「国連協力などをやつた日本が貧乏になるよ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇拍手
  24. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 名簿はあります。(「あるなら出せ」と呼ぶ者あり)その発表せざる理由は先ほど申した通り。(拍手)     —————————————
  25. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 加藤正人君。    〔加藤正人君登壇拍手
  26. 加藤正人

    ○加藤正人君 経済問題を中心として若干の質問をいたしたいと思います。  先ず第一に、総理に対し、政策の混乱乃至矛盾についてお伺いしたいと思うのであります。我々が独立を回復して初めて本格的な予算を我々の見解に基いて自主的に編成することができることは、誠に御同慶に堪えないのでありまするが、それと同時に、政府の施策に種々の混乱或いは矛盾が現われ始めたことは誠に遺憾であります。例えば、国税は減税を断行したが地方税は増税せんとしておること、又減税はしたがそのために財源が不足して、好ましくもない公債政策をとらざるを得なくなつたこと、又金利を引下げようとしておる半面、財政より来るインフレを抑制するため高率適用が強化されること等、その他いろいろな矛盾が指摘されると思いまするが、特に致命的なものとして私は次のことを指摘しておかねばならんと思うのであります。  即ち、我が国の物価は諸外国のそれに比較して相当割高であること、そのため我が国輸出が不振を極めておる事実を考えると、貿易によつて国を立てる以上は、この割高を是正することこそ現下の至上の命題であり、あらゆる政策基本でなければならんのであつて政府においても漸く真剣にその対策に乗出しておりながら、一方においてこれに逆行するような、米価、運賃等の基礎物価の引上げを行なつたばかりでなく、今や財政政策を殆んど根本的に変更して、相当なるインフレの要素を孕む予算案を編成したのであります。即ち、蔵相自身がその害阿片のことしと称する公債政策の採用、或いはインベントリーの廃止、財政投資特別会計化、その他実質的には本年度に比べて一千億円にも達する予算規模の拡大、更に一千数百億円に上る財政資金の撒布超過等、どう見てもこれは健全なる財政とは言えず、現在の経済情勢から見てこれが直ちにインフレを招来するとは言えないにいたしましても、少くとも従来の超均衡政策から一挙にぐるりと百八十度の方向転換をみたことだけは事実であります。これを九十度の程度にとどめ、いわゆる超均衡の超の字を削除する程度に収むべきであつた。而も公債政策を採用したということは、このぐるりと転換した新らしい方向へ一歩踏み出そうとしている態勢を意味するもので、全く致命的な政策の矛盾と言わなければなりません。  私は過般の補正予算の審議に当つて、当時すでに問題となつてつた貯蓄公債案に反対し、その理由といたしまして、「ドツジ政策の目標は国際価格の線で我が国の物価と通貨を安定させることである。そうして我々は過去数年間に亘つてこの目標達成のために努力して来たのであつた。併し我々のこの数年の努力にもかかわらず、遂に我が国の物価は国際物価に鞘寄せすることができなかつたのであります。而も、今や我々は、この超均衡政策を修正して超の字を削除することを余儀なくされており、このことは少くも物価引下のための努力一つを棚上げすることを意味するものであります。従つて、このような事情にあるときに公債政策を採用することは、健全財政、通貨の安定を目標とする基本政策そのものを破壊する端緒になる虞れがあるのであります」という点を指摘しておいたのである。我々がこの基本目標を達成するためには、本来なら歯を喰いしばつてでもなお超均衡政策を続けるべきであろうが、併し残念ながら戦後の日本経済の健康状態が甚だ悪いために、これ以上超均衡政策を強行すれば、栄養失調から生命そのものにまで影響する虞れがあるために、不本意ながらも政策を修正せねばならなかつた。これが日本経済の持つ最も本質的な二律背反的な悩みにほかならないのであります。私はこの意味において、現在の為替レートも、我々の願望と努力にもかかわらずこれを維持することが困難で、引下を余儀なくされるのではないかという危惧さえも持つておるものでありまするが、とにかくこの超均衡政策の修正がここまで来てしまつては、明らかに今後のインフレ傾向を押えることが精一ぱいであつて、物価の引下等は到底及びも付かぬものではないかと思うのであります。この意味におきまして、政府は今や致命的な政策の混乱を示しつつあるのでありまするが、これは畢竟GHQの制約を離れ、右大臣が予算の分取りのみを事とした結果であつて、今後もなおこの傾向はよほど反省のない限り続くのではないかと憂えられるのであります。総理は、この政策の混乱矛盾をどのように認識し、今後これらの傾向に如何に対処せんとするのであるか、伺いたいのであります。  なおこの問題に関連して、今回の予算編成過程の経験に鑑みて、予算の編成権をどこに置くかという問題についても、改めて検討を加える必要があるのではないか。つまり国政全般を通じて何に重点を置くべきかということを策定する国策の立案者と、これに順応する財政政策の立案者とは、切り離して考えるべき性質のものではないかということ、従つて国策全般に亘る立案者は、一応各省を俯瞰し得る立場に置くべきではないかという問題であります。現在の予寡算編成の方式の最も大きな欠点は、大蔵省が機構上国政全般を俯瞰する立場にないために、その編成する原案は、勢い総花式、つまりどこにも余り当りさわりのないようなものになりやすく、且つ権威がないことであります。従つて大蔵大臣対各省大臣の折衝に当つては、それぞれの大臣の発言力の大小、或いは分取り技術の巧拙によつて、妙に歪められてしまう結果となることが多いのであります。成るほど予算編成方針即ち国策の骨組を決定するものは閣議には違いないが、この閣議に出される原案を立案する所が問題なのであります。なぜならば、一度原案が作成されると、如何に国務大臣としての資格ある閣議とはいえ、それぞれ各省大臣としての利害関係が伴う以上、原案の根本的或いは大幅な修正は殆んど不可能に近いのではないか。而もこの原案が大蔵省によつて作成されるとせば、前に触れた事情で総花式のものになりやすく、従つて閣議決定による予算の骨組も又勢い総花式のものたらざるを得ないと考えるのであります。このように考えて参りますと、予算編成権をどこに置くかということは、非常にむずかしい微妙な問題ではあるけれども、この機会に改めて研究し直して見る必要が痛感されるのであるが、総理は如何に考えられるか。この点も併せてお考えを願いたいのであります。  次に、大蔵大臣に対し、補正予算の問題について伺いたいのであります。政府が今回公債政策を採用せんとしていることは、すでに指摘されておるよううに誠に重大なる財政政策の転換であります。そうしてこれは誠に好ましくない方向への転換であると思う。予算案編成の過程において、蔵相が極力これを避けんとした態度と努力には、私は満腔の敬意を表するものでありまするが、結果は党との妥協に終らざるを得なかつたことは、我が国の将来のために誠に遺憾でありました。我々が自主的に編成し得ることになつた最初の予算の編成が、このように歪められてしまつたことは、誠に残念で、私は自由党のためにこれを悲しむものであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)公債政策そのものが直ちに不健全であるかどうかというような議論は、今ここでするものではありませんが、ただ我々が心配するものは、蔵相が常に口にされておるように、公債というものは、一度発行すると、ずるずると易きについてしまう虞れのあるものであるということ、並びに今後の財政需要は、防衛費の増加、賠償の具体化等、ますます多くなるに反して、財源は枯渇の状態にある事実を併せ考えますると、結局初めはびくびくとしておりまするが、終りには大胆になつて赤字公債へ移行する可能性が非常に多いという点であります。そこで伺いたいことは、かかる重要な政策の転換に当つては、大蔵大臣としては当然に、補正予算についての見通し、或いはそれが不可避となつた場合にとるべき措置等についても併せ検討されたことと思います。そして蔵相は現在のところ補正の必要のないことを衆議院において答弁しておられるのであるが、併し更に一歩突込んで、若し必要が起つた場合どうするかということまで考えておかねばならんはずである。我々が現在の情勢において、この程度のものは真に止むを得ないとして認めるためには、当然、将来の見通し、或いは最高責任者の決意のほどを十分に見届けておかねばならんと思うのであります。勿論これは将来に関する仮定の問題ではあるが、併しそれは当然に予見されることであり、又予見すべきことであるので、あえてお伺いするわけであるが、蔵相は、この若しという場合のことについて考慮を払われたかどうか。そして又、たとい若しそのような場合が起つたとしても、公債政策だけは絶対にこれを避けるという決意を堅持しておられるかどうか。この点についてお伺いしたい。  なお、私の希望として、補正予算などというものは、予算執行上に現われて来るでこぼこを調整する程度のものは止むを得ないとしても、新たに支出を要するような項目のためには断じていたさないという慣例を、この際打ち立てるべきであつて、従来のような安易な行き方は絶対に慎しむべきであると思うので、一言附加えた次第であります。  続いて大蔵大臣財政と金融の調整について伺いたい。今回の予算案が相当インフレの要素を持つておるために、政府並びに日銀では、金融面からこれを調整する必要のある旨を明らかにされております。これは当然考えられるべきことであるが、果してうまく調整が図られるかどうかというについては、必ずしも疑いなしとしないのであります。先ず散布された資金の吸収についてであるが、これは先ほども木村議員が申された通り、市中銀行としては、散布される資金が主として一般民間企業を通じて流れるというような場合ならば、貸付金を引揚げる等の方法により吸収は可能であろうが、今回のような、軍人恩給その他広く国民各層にばら撒かれるところのもの、平衡交付金として散布されるものの多い時に、果してこれが貯蓄としての吸収が可能であろうか。政府としてもこれが吸収を図るために源泉選択課税の引下げ等を考えておられるようでありまするが、資金の性質が性質だけに、市中銀行側ではこれを困難だとしておる。次に、貸出の引締めについてであるが、これに対して日銀総裁は高率適用の強化を言明しており、市中銀行も協力をせざるを得ないと思います。併しよく考えてみると、現在のような経済事情の下で、果してこれを強行することがよいかどうかという疑問もあるし、又事実上引締められるかどうかの疑問もあると思うのであります。デフレ政策の「しわ」を民間金融で面倒を見、そのために著しいオーバー・ローンになつたときでさえ、一般民間企業が金融難に喘いでおつたことは周知の通りであります。それが今度は丁度その逆になつて、民間金融を引締めるとなれば、一般企業は相当な混乱が起るのではないか。そうでなくても公債発行は、貯蓄の極めて乏しい現在、必然的に民間資金を圧迫することは明らかであるから、若しこれを強行するならば、重点産業と非重点産業のアンバラソスは余りにも激しく、政府の施策の過ちを民間企業に拭わすことになり、片手落も甚だしいと言わなければならんと思うのであります。大蔵大臣はどのように財政と金融の調整を図る方針であるか。これを具体的に承わりたいのであります。  更に、法人の配当について大蔵大臣最後にお伺いしたい。大蔵大臣はその就任以来機会あるごとに、法人の配当は高過ぎるということを口にせられておる。又最近は、従つて業種別に配当基準を設けて、著しくこれを超ゆるものには勧告したいという意味のことを新聞記者に発表せられておるが、私はこれは重大なる問題であると考えるのであります。勿論、業種別に基準を設けて云々ということは、これは言い得べくしてなかなかむずかしい問題で、恐らく実行は不可能ではないかと思われるし、又仮に実行するようなことがあれば、それは株価への影響となり、ひいては法人の資本調達面に悪い結果をもたらすことは明らかで、冷静に考えれば悪い面のほうが多いばかりでなく、又このような経理統制的な考えは到底是認せられるはずがないのであります。まさか本当に、本気で考えておるのではなく、恐らく大蔵大臣は警告としての効果を狙つておるのではないかと思うのであります。従つて、ここでは、この問題は暫らくおき、この蔵相の思想の根源である配当率の問題について意見を伺うことにいたします。成るほど現在の配当が三割、四割と言えば、率としては勿論極めて高率と言わねばならない。併しこれは現在の法人の資本が余りに過小であるために、単に高く見えるというだけのことであつて、実質的には戦前に比較して極めて低いものであることは周知の事実であろう。即ち法人の資本構成は、戦前には自己資本七、借入金三の割合であつたものが、現在は大体において丁度その逆になつて、自己資本三、借入金七の割合になつておるのであります。この結果、利益から配当として社外に出す割合は、戦前の低い配当の率を以てしても大体四乃至六割、つまり利益金の約半分を配当しておつたのであります。然るに現在では高過ぎると言われる配当率を以てしても、大体二割程度に過ぎないのであります。即ち資本が余りに過小に過ぎるために、配当率は如何にも高く見えるけれども、実質は配当金は戦前の半額にも満たないということを現わしておるのであります。企業を経営して行く上において、この程度のことは最小限度是非必要なことであつて、これをしも高過ぎるとして非難される蔵相は、果して何を基準として言われておるのか。実は私はさつぱりわからないのであります。或いは社内保留が極めて乏しい事実に鑑みて、相対的に配当が高過ぎるという意味であるとすれば、わからぬこともないのでありまするが、併し資本に対して妥当なる程度の報酬を与えるということは、経営を維持して行く上において必要であります。戦前は実質的に利益金の四乃至六割を配当しながら、なお且つ相当の社内保留をなし得たのは、言うまでもなく税金が安かつたからであります。反対に、現在の配当金は戦前に比較にならぬほど少いにかかわらず、社内保留が少いのは、税金が余りにも高過ぎるということを蔵相自身が指摘しておるのであつて、そのことを以て法人を非難されるということは本末を顛倒するものではないかと思うのであります。或いは又蔵相は、西ドイツでは配当を六分に制限しておるのではないかと言われるかもわからん。成るほどそうであるが、併し西ドイツでは戦後の経済政策重点を産業自体の立て直しに集中して、税制その他の面で法人の社内保留を助成するため、実に思い切つた施策を集中し、例えば特別償却の制度にしても、全産業に亘つて全面的に実施したのであつて、同じ敗戦国でありながら、我が国と比較にならぬほど強力且つ果断な政策を遂行し、いわば法人の健全化を図るためには、国としても能う限りの優遇措置をとるに代りに、法人自体も配当を制限され、官民一体となつて努力して来たのであつて我が国の場合とは全然その事情が違うのであります。又西ドイツの六分というのも、丁度我が国戦前の一割と戦後の三割が実質的には全く反対の関係にあるのと同じような事情が、我が国の二、三割と西ドイツの六分にも当てはまるのではないかと思うのであります。即ち、資本構成の相違或いは通貨価値の相違等に慎重に検討を加えなければ、一概には言えないのではないか。  以上これを要するに、法人の配当は高いどころか、むしろまだまだ低いと言わねばならん状態であるにもかかわらず、なお且つ責任ある蔵相がこれを不用意にも高過ぎると非難することは、多くの人に徒らに誤解を与え、甚だ好ましからざる影響を与えると思うので、この際、高過ぎると断定される基準を示して頂きたいと思う。若し蔵相の真意が、配当は必ずしも高くないにしても、それをしも今しばらく抑制して貯蓄に廻すべきであるとするならば、おのずからその表現の仕方もあろうと思うのであります。要は官民一体となつて現在の不健全な資本構成を是正することにあるが、現在、法人が自己資本の不足に悩みつつも、なお増資をあえて行い得ないのは、配当金の負担が借入金の利子負担よりも遙かに大であるためである。従つて政府としても、この際、真に法人の資本構成を是正し、高率配当を修正せんとする熱意があるならば、この配当に対する税制上の考慮を払い、以て法人の増資を容易ならしめると共に、資本蓄積を積極的に促進せしめるため、先ず政府みずから行政整理を断行し、そうして財政支出を削減して、法人税を軽減することが先決問題であると思う。蔵相の見解果して如何。  次に外務大臣に対して、東南アジア開発の問題について伺いたい。中国の厖大なる市場を喪失した我が国にとつて、東南アジア諸国は最も多くを期待される市場であるが、これが市場の開拓に当つては、当面外交上の折衝に待たなければならぬ要因が山積しておるのであります。曰く賠償問題の解決、曰く通商航海条約の締結等々、我々は一日も早くこれらの問題を解決して真の友好関係に入らなければならないと同時に、これらの諸国との交易を盛んにするためには、先ずこれらの諸国の資源を開発し、民度を高める必要があることは言を待たないのであります。政府賠償問題の解決のために積極的な熱意を示し、その結果フィリピンとの交渉がやや明るい様相を呈して来つつあることは、甚だ喜びに堪えないのでありまするが、東南アジアの開発のほうについては、ただ掛声だけで極めて消極的であり、一に米英の動き出すのを期待しているに過ぎないと思われるのであります。我が国としては、もつと積極的に又能動的にこの問題を取上げ、賠償との関連において考えることができないであろうかと思うのであります。つまり資源開発に、役務、技術を提供することによつて賠償を支払うという形であるが、これは沈没船引揚げ等と違つて、将来の我が国の市場を開拓することにもなり、又ドル地域よりの輸入を非ドル地域に転換することにも役立つのであるからして、若しこういう形で賠償支払を認められるようであれば、賠償金額も我が方が或る程度譲歩してもいいのではなかろうか。そうして我が方が若干でも譲歩できるなら、賠償交渉そのものも解決が促進されると思うのであります。相手方のあることであるが、かくなればまさに一石三鳥くらいの効果があるのであります。東南アジア開発問題を賠償問題に連関して考うべきであると思うのであります。而も若し右のようなことが可能として実行の段階に入れば、アメリカに呼びかけてポイント・フォア・プランを促進することもできるわけであると思うのであります。このような考え方について外務大臣は如何なる見解を持たれるか、お伺いしたいのであります。  次に通産大臣に対して、中小企業金融について伺いたい。政府が今回中小企業金融公庫を設立することになつたことは、一歩前進には間違いないので、喜ばしいことであるが、併し我々がここで注意したいのは、従来の中小企業専門店の資金がフルに活用され、それでもなお足りないために新たに公庫が設けられるというならば、大変結構であるが、従来の実績を見ておりますると、その必要が叫ばれておる割合に余りに活用されておらないという事実があるのであります。これは畢竟手続その他が非常に煩瑣なためではなかつたかと思うのであります。非常に煩瑣なために中小企業には甚だ向かない。この意味で、新たに公庫を設置する前に、この点が果して改善されておるかどうかという、それがなかつたならば、必ず意味をなさないと考えるのであります。果してこの点が改善されておるかどうかということをお伺いしたいのであります。常に窓口を増加するというだけでは甚だ無意義であると思うのであります。又従来の国民金融公庫、商工中金との関係も、この際明らかにして頂きたいのであります。  次に労働大臣にお伺いしたい。政府は今後の施策の重点一つ占領行政の行過ぎ是正の問題を取上げておるのは、非常に賛成であります。ついてはこの機会に、経済関係のものとしては、独禁法と共に行過ぎの最たるものであつた労働基準法の改正を考えるべきではないかと思うのであります。今更申上げるまでもなく、基準法そのものは世界に類のない完備した法律であり、又、それが規定する労働条件の基準も恐らく世界で最上級の水準にあり、その限りにおいては誠に理想的なものであり、結構なものであると思うが、惜しむらくは、戦後の荒廃した日本経済の実態並びに中小企業の圧倒的に多い我が国産業の特殊性を無視し、現実を著しく遊離したものであつて、そのために企業が今日まで体験した苦悩は並大抵のものではなかつたのであります。いわば子供に大人の着物を着せたようなものであつたのであります。例えば有給休暇の制度等も、我が国のごとく、やれ年末年始の休暇、やれ祝祭日、やれお盆といつた調子に、休日の多い国は、世界にも例が少いのであるが、そういう我が国の特殊事情を度外視して、そのために、これらの休日休暇のほかに所定の週休日を計算に入れると、ほぼ一カ年の四分の一近くが休日となつておるのであります。又割増賃金の二割五分も、戦後の企業経理を相当無視したものであるが、特に中小企業にとつては、その負担は余りにも過重であり、而もこれが大企業も中小企業も一律に適用されるのであつて、余りに実情に副わないと思うのであります。更に労働時間を八時間に抑えていることは、外国よりも一時間でも多く働いて、一日も早く戦後の窮乏を立て直さなければならぬ深刻なる国家の現状を無視し、富裕なる諸外国並みの労働だけしか法律は認めないのであります。而も多くの労働者は、女子、年少者を問わず、家計を少しでも豊かにするために、もつと働きたいという意欲は実に旺盛なるものがあるが、法律はこれを許さないという、(「紡績の女工哀史ほどうした」と呼ぶ者あり)深刻なる矛盾を表しておるのみならず、その他、安全、衛生関係については、実に理想的な高度の施設を強要しており、運転資金にも事欠くようなボロ会社の負担能力を遙かに超えるものがあり、完全実施は現状では不可能に近い。このような世界最高水準にある労働条件が、五人、十人、或いは二十人、三十人程度の家内工業的な企業にも一律に適用されるなどということは、およそ現実遊離も又甚だしいのであります。勿論、基準法の改正に当つては、諸外国に与える影響を慎重に考慮すべきことは言うまでもないのであるが、ただ観念的にその影響のみを恐れて、手を拭いて何らなすところなく、徒らに歩きにくい大人の着物を着せられて転げ廻つているのも愚の骨頂であると思われるのであります。要は、戦後の日本の実情をよく諸外国に認識せしめる熱意が肝要であると思うのであります。そして基準法を中小企業の実態に応じて、(「騒ぎ出すぞ」と呼ぶ者あり)又、戦後の特殊な事情にマッチするように改正し、企業経営の能率化を図ることこそ、一見廻り道のようではあるが、真に労働者の福祉の増進に通ずる道であると私は信ずるものであります。(「おつしやるね」と呼ぶ者あり、拍手)昨日の御答弁によれば、この改正はなお慎重に検討を要するとのことであつたが、この着物が、我々の体によく合つたものであるかどうかは、もはや検討の余地はない。ドイツが丁度このような法律占領軍当局より強いられたときに、ドイツは曰く、「我々は他国より二倍も三倍も多く働かなければならない国情にある」と言つて、頑としてその圧力に屈しなかつたという、その信念こそ、現在の我々に最も必要なことであると思うのであります。労働大臣の見解を伺いたいのであります。  最後に吉田総理に要望いたしたいことは、それは行政整理の断行についてであります。民間企業においては極力合理化に努め、その成果にはいささか見るべきものがありますが、最も大きな機構である政府機関の合理化が掛声だけに終つて、いささかも進展を見ないことは、誠に遺憾千万であり、特に国家財政が漸次インフレの傾向を濃化しつつある今日、殊更その緊要性が痛感されるのであります。今までに提出された政府の合理化案が国会において殆んど骨抜きにされてしまつたことは誠に遺憾の極みであつたが、これは政府原案が誠に杜撰であり、或いは弱い者いじめ式のものであつたことにも大いに原因があつた半面において、我々国会議員のほうにも反省するべき点がなかつたとは言えないと思うのであります。(「何言つてるんだ」と呼ぶ者あり)総理が過般の自由党大会において、国会の意思を無視してでも国費の節減を図る旨の発言をなされたことが大分各方面に問題を提供しているようである。暴論と言えばまさに暴論である。併しかかる暴論を吐かせるに至つた原因がどこにあつたかということも、又、我々議員はこの際大いに反省すべきではないかと思うのであります。(「必要ない」と呼ぶ者あり)ともあれ(笑声)行政費の節約は多年に亘る国民の熱望でもあるので、(「選挙が近ずいたからか」と呼ぶ者あり)政府においては改めて、早急に且つ慎重に成案を得られるように期待するものであります。選挙が近ずいたとは何だ。そういう情けないお考えを持つている議員があることは大変残念であると思います。そんな卑劣な考えではない。(拍手、「何を言つているのだ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  27. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  このたびの予算に現われた政府政策予算案は混乱を極め、矛盾を極め、インフレに導く予算案なりと断定せられたのでありますが、これに対して一応私からして弁明をいたします。中央において減税をして、その結果、地方税が増す、そういうことが若しありとすれば……、これは中央と地方との間において只今慎重に審議をいたしておりますが、これについて成案を得ましたならば、かくのごとき弊はなくなるものと考えます。  公債政策による結果、インフレを招来する——政府は飽くまでも健全財政を堅持いたしたいと考えておるのであります。併しながら、戦争に引続いて連年に亘る風水害のために国土は荒廃し、この復旧或いは一層完備なる状態に置くためには、自然公債政策によらなければ、一時といえども事ができたいような状態にあるので、心ならずも公債を募集することにいたしましたが、その公債も三百億程度であるならばインフレにならないという各方面意見もあつたので、とにかく多少の公債政策をとりましたが、併しこれといえども、只今お話の行政整理とか或いは歳出に対して厳重なる監督をすることによつて、成るべく政府の歳出を慎しむ、削減するという方針で参る考えでおります。故に、公債を募集いたしますが、その結果、インフレになるとは考えておりません。  生産コストが高いから輸出が振興できないじやないか——その通りであります。これ又日本の産業の生産コストが高いというのは、或いは機械の古くなつたということもあるでありましよう。或いは又技術が世界の水準に及ばないという現在の事実もあるでありましよう。これも戦争の結果いたし方ないことでありますが、これに対して政府としては、その生産コストを下げるために極力尽力いたす考えでおります。故に私は、この生産コストを只今通産省が極力下げること、例えば石炭の価格にいたしても、或いは電力その他にいたしましても、その設備をよくすることによつて生産コストを下げることに極力尽力いたしておりますが、その結果は生産コストの引下げに相当の影響を及ぼすものと私は確信いたします。  予算の編成について、各省において予算の分取りに専念するために予算が膨脹する、これも事実であるでありましよう。併しながら現在において、政府予算重点を何に置くかということを一応きめて、その方針の下に大蔵大臣が各省の予算に対して折衝し、又折衝した結果、更に閣議において重点的に予算の編成に当つておるのであります。この制度がいいか悪いか、又各国において予算編成の機関は違つておりますが、如何なる制度がいいかということは政府も研究をいたしております。成案を得ましたならば国会の協賛を得たいと考えます。(拍手、「官房長官しつかり読んで来なければいかんぜ、協賛というのはないぞ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣向井忠晴君登壇拍手
  28. 向井忠晴

    国務大臣向井忠晴君) 補正予算を組むかどうかという御質問がございましたが、これはその必要がないと考えております。どのみち公債政策は避くべきものと存じております。今後財政と金融の調整が一層必要ということはお説の通りでございまして、金融面においては資本蓄積方策の強化日本銀行を通じての信用政策の運営等によつて資金の吸収とその効率的使用に努めることといたしたいと思つておりますが、一概に貸出の引締めを行うような考えはございません。融資、投資において使途を厳選して参ることが大切で、経済の運営に必要な資金の確保には十分意を用いて、そうして使つてつてもらう所存でございます。  それから配当のことでございますが、一応加藤さんの御意見は御尤もと存しますが、法人企業にとつて最も大切なことは資本構成を是正することでありまして、これがために政府も第三次再評価を行うとか又税制面において各種の資本蓄積の方策を講ずることにしておりますので、実業界におきましても自己資本を殖やすというほうに努力を願いたいと思つております。現在の配当についてろいろお考えがございますが、結局企業の資本構成が是正されました暁には正常な配当率に落ちつくものと考えるのでございます。堅実なる経営をして、そうしてその収益の中の合理的な部分を配当する分には一向文句はないので、幾ら高い率に配当なすつても、これは問題にならないと思います。ただ金利と配当の比較で、金利が仮に一割として、配当が三割あるので、自己資本が殖やしにくいというのでございますが、これは経営者のお考え次第で以て配当をお下げになれば、金利とそう違わないものになるだろうと思います。それから西ドイツの話がありましたが、この頃、西ドイツが非常に、はやつてつて、あすこの政府援助というふうなことがしばしば耳にされるのでございます。あすこは政府政府でございますが、各産業が独自に立て直しに努めておつて、その結果が今現われて、相当に状態が、特に工業の状態がよいようでございますので、必ずしも政府依存というやり方ではない。又六分の配当に抑えておるということが、必ずしも日本でその真似をする必要があるとは存じておりません。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇拍手
  29. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 賠償に関連して資源の開発にも役務を提供をしたらというお考えでありますが、これは私どもも同意見でありまして、現にその方針で進むつもりでおります。ただ、これがややもすると、何と申しますか、日本の経済侵略ではないかというような理由のない疑いがまだ一部に……東南アジアの一部にはあるようでありますので、こういう誤解を起さないように十分相互の理解を深める必要がある、こう思つてつております。又賠償をしますのは相手国の戦争に基く被害の一部回復に役立てようというのでありまして、日本の利益にもなるからというようなことは、結果はそうなるかもわかりませんけれども、これ又誤解を起しやすいのでありますので、この点は私どもは十分注意をいたしまして、相手国の利益を専ら考える、こういうふうにやつて行きたいと思つております。(拍手)    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇拍手
  30. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。  中小企業金融の手続の煩瑣について加藤さんからお話がございましたが、これは従来こういうことをしばしば訴えられておりますので、今度の公庫の運用に当りましては特にその簡素化に配慮いたしますると共に、いわば金と暇に乏しい事業者相手のことでありますので、親切な取扱をいたすように努めたいと考えております。又商工中金は従来通り組合金融のための機関でもございますので、中小企業組織化の基本線に従いまして、ますますその強化拡充を図つて行かなければならんと考えております。今度中小企業金融公庫が新設されるに伴いまして、商工中金の性格、これは組合金融等のことを中心として持つて参るので、これは引続き強化して参る考えでありまするが、この組合金融と、この新らしい公庫の行う長期金融とは、これは現在の中小企業の組織化の現段階ではちよつと結び付きがたい実情にあることは加藤さんがよく御承知の通りであります。従いまして、この両者を併せてその機能分野に従つてつて参り、更に国民金融公庫等をも併せ兼ねまして、中小企業、特に零細者にもそれらの金融措置が行われるよう努めて参る所存でございます。(拍手)    〔国務大臣戸塚九一郎君登壇拍手
  31. 戸塚九一郎

    国務大臣(戸塚九一郎君) お答え申上げます。  労働基準法のことにつきましては、昨日も申上げましたように、この種の法律はその国の社会経済の実情に合わなければ円滑な運営を期しがたいものでありますので、政府といたしましては、一面に労働条件の国際水準ということをも考慮しつつ常に検討を加えているのであります。特に中小企業に対する基準法の適用につきましては、現行法におきましても、労働時間、或いは安全、衛生の基準、その他、諸手続等について相当の特例を設けて、できる限り負担の軽減を図つておるのではありまするが、なお今後も更にその実態を十分に研究いたしたいと存ずるのでございます。なお御指摘の休日その他の点につきましては一層研究をいたしたいと存じます。  それから、昨日私が実はお答え申しげましたのは、この基準法が昨年改正になつたばかりで、九月一日から漸くその改正法が実施せられておるので、これらの点についても十分その後の実施の状況を注意して研究をいたしているという意味で申上げたつもりであります。(拍手
  32. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 国務大臣演説に対する質疑はなおございますが、これを次会に譲り、爾余の日程は延期し、本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 國務大臣の演説に関する件(第四日)