○島清君
質問陣のしんがりを承わりまして、私は第二控室
日本社会党を代表いたしまして、今般行われました施政方針に対し、自立経済の再建に伴いまする
貿易の振興、外交問題中の領土問題等について、若干の
質問をせんとするものでございます。
今般行われました
演説で、
吉田総理も
岡崎外務大臣も領土の問題に言及をされて、北緯二十九度以南の南西諸島の住民の熱烈なる祖国復帰の要望に応えるべく最善を尽し、その実現に努力せんと、固い決意を表明されたのであります。そのことは遅きに過ぎるのであ
つて、当然過ぎるほど当然のことではございまするが、併し
内閣の方針として聞くとき、
民族的な感激を覚えるものであり、今般この
演説を聞いた
国民の感激はもとよりでありまするが、現地住民百万の同胞は感謝感激をいたしまして、感涙にむせんでいることと私は思
つているのであります。私も
国民の代表といたしまして、発表された方針に対し、全幅の賛意を表し、その実現の速かならんことを念願するものでございます。南西諸島の祖国への早期完全復帰は、単に我々
日本国民のみの熱望であるばかりではなく、
世界人類の良心的希望でもあることは、サンフランシスコの平和
条約締結前後、同地域と
日本不分割論を強調したインドの
態度より見まして、十分に確認できると二ろでございます。講和
条約の生みの親であり、次期
アイゼンハワー内閣の国務長官に内定を報ぜられておりまするダレス氏は、サンフランシスコの平和
会議の席上において、南西諸島の主権は
日本に存することを明瞭にしたのであります。併しそれにもかかわらず、同地域の住民は、今以て国際的にも
国内的にも、その法律的身分
関係が明瞭にな
つてない憾みが深いのでございます。
〔
議長退席、副
議長着席〕
祖国への早期完全復帰の実現は、
日本民族の切願であることは只今申上げた
通りでございまするが、併しその前に急速に解決を図
つてやらなければならないところの不合理極わまる種々の問題が横たわ
つておるのでございます。それらの問題につきまして以下
お尋ねを申上げるのでございます。
南西諸島地域は米国の権力が只今支配をしているのでございまするが、米国が支配をしている権力の行使は、
一体講和
条約三条によるものであるのか、又は軍事占領の継続であるのか。この支配的な性格が甚だ不明確なために、種々の問題が解決されぬままに住民の物心両面の
生活を甚だしく脅かしておるのでございます。(「国連憲章違反ですよ」と呼ぶ者あり)後ほど申上げます。このことについては、現地の立法院、
日本で言いますと県議会みたようなものでございますが、立法院が、同地駐留軍の、即ち
米軍民
政府の長官か副長官をや
つておる人でありまするが、このルイスという人に質しておるのであります。准将でございまするが、即ちその性格を質しましたときに、同氏は、法律専門家ではないからわからないかという前提の下に、実際は占領の継続であると思うと
答弁をしておるのでございます。占領の抵抗という認識に立
つて、
米軍の使
つている軍用地の使用料は払われてない。住民の
生活等も戦時国際法の範囲で問題が処理されるのかされないのか、ここらも非常に明確を欠いておるのであります。即ち、繰返して申上げますると、軍事占領であるという認識に立ちまするならば、即ち戦時国際法の範囲内において問題が処理されるでございましようし、更に講和
条約第三条によるということになりまするど、その観点に立
つて問題は処理されるということに相成ろうかと思います。ルイス氏の
答弁にも明瞭のように、現地
米軍は占領意識で行政等その他各般の支配をや
つておるのでありまするから、住民はその堪えがたい不当な圧迫を訴えておるのでございます。
只今その一、二の例証の一つといたしまして使用地の問題を申上げたのでございまするが、もう一つは、去る十月の二十日に、現地立法院は満場一致を以て二度目の
日本復帰決議案を可決し、復帰請願として、米国大統領、米国上下
両院議長、その他
日本の
両院議長、平和
条約調印国、駐
日米国大使宛に書類の送達手続を依頼したもののようでございますが、そういうことすら
米軍民
政府はそれを断わ
つておると、現地の新聞は報じておるのであります。現地
米軍のやり方は真に遺憾であり、人権宣言の精神にもとるものであるとのそしりを免れないと思います。なお現地よりの報道は、軍用地でない沖縄本島の景勝の地において立札を立てまして、国務省のものにつきみだりに立入るべからずというところの英文和文の立札を
米軍の手によ
つて立てておるということをも報道しておるのであります。我が国土の一部において国際法を無視した無法地帯の存するのに一驚を禁じ得ない次第でございます。
そこで私は、この際、米
国軍隊が支配をしておる南西諸島は、占領の継続であるのか、講和
条約三条による権利の行使であるのか、国際法上の観点よりその性格を明確にして頂きたいことを希望するものでございます。なお、只今申上げたように、土地の使用料等も適正に支払われてない
現状であるといたしまするならば、それを是正させるために、米国
政府に対しまして、現地百万の住民の
生活の面から、これを是正させるために、米国
政府に
交渉する
意図があるかどうかを承わりたいのであります。ここに私の贅言を待つまでもなく、南西諸島というところは、古来より我が国の一部であ
つて、有史以来我が国以外のどこの国にも所属したことのない純然たる
日本であります。ポツダム宣言条項を受諾した我々
日本人の考えの中には、
米英が
世界に宣言した領土不拡大の大西洋憲章を信じて、よもや今日講和
条約三条とな
つて分離されるとは夢にも想像しなかつたことでございます。米国の言い分を聞きますると、戦略
基地として必要だと
言つておるようでございまするが、私たちが、又全勤労大衆が反対したのにもかかわらず、今日では安保
条約に基く行政
協定も存在することであるし、米
国軍隊が諸種の特権を与えられて
日本に駐留している限り、南西諸島においても、米国が欲するならば、行政
協定によろうと、はた又租借をしようと、使用することは可能なはずであります。然るに何故に
現状のごとくあえて分割占領するのか、私にはその米国の真意が奈辺にあるか、甚だ了解に苦しむものであります。
米国は一朝有事の際、
日本防衛の至難なることを悟
つてその場合には
日本を放棄して、沖縄の線まで後退するのだという、極東に対する
アメリカの二重政策の現われなのか。そうでないといたしまするならば、領土拡大の
侵略主義の偽装か、そのいずれかの一でございましよう。前者の場合、勤労大衆の反対を押し切
つて、安保
条約、行政
協定等を取極めた
吉田内閣の信頼を裏切るものであると言わなければなりません。後者であるといたしまするならば、大西洋憲章をみずから踏みにじつたそしりは免れないと思います。
政府は只今申上げた私の解釈及び私と同様な気持を持
つている大多数の
国民の気持を率直に米国に伝えて、講和
条約三条後段に
規定しております「合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。」という条文を、最終的領土復帰の可能なときまで、或いはその全部又はその一部を
日本に行使せしむるように、その実現に最善を尽すべきだと思いますが、
政府にその熱意があるかどうか、承わ
つておきたい。なお又、同地域に国際法の光と
日本政府の親心とを示して、
日本との自由な交流、即ち教育、今は
外国以上の扱いをされておりまするが、出入国、送金、物資の移出入、恩給、参政権等々、数多くの不合理な問題を早急に解決して、
日本並みの扱いをすべきだと思いまするが、これ又その実現に対する考え方を承わりたいのでございます。沖縄には
日本の国有地がございまして、その賃貸料はかなりの額に上
つておると思うのでございますが、それはどういう形で保管されておるのか。その保管をされておりまするところの国有地の賃貸料を沖縄の教育費の援助資金として贈与する御意思はないかどうか、承わ
つておきたい。
なお、遺家族の援護金は、九月一日から
日本内地におきましては支給を開始されておるのでございまするが、沖縄におきましては、支給をいたしまするその基礎的な調査費にすら困窮をいたしまして、且つそれが完全に完了いたしておりません。
従つていつ何時この遺家族援護費というものが支給されるかわからないという
状態でございます。そこで現地住民は、
日本政府の連絡
機関でございまするところの南方連絡事務局にその調査までも依頼しておるという
状態でございまするが、南方連絡事務局の現地職員では手が足りません。そこで、この住民の期待を満足させてやるために、遺家族の援助資金を、
政府の親心を素直に流してやる意味においても、南方連絡事務局の現地職員をもつと増員し、沖繩住民の要求を満足に間に合せるように機構を拡充強化し、
日本的問題の処理に万遺憾なきを期すべきだと思いますが、それに対する所見を承わりたい。
吉田内閣は
ソ連の代表部を認めなかつたのでありまして、今日
ソ連の代表部はおりません。
従つて国際法律的には
ソ連とは
戦争状態がまだ終結してないという
状態でございまするが、その
状態の中におきまして、
吉田内閣は、今般、千島、歯舞、色丹というような島は
日本のものであるということを、返して欲しいということを宣言しておられ、それを実際的に具体的に実現するために
一体如何なる方法と如何なる手段を以て実現せんとするのか、承わ
つておきたいと思うのであります。
それから小笠原の問題でございますが、小笠原の七千住民は、
日本に疎開して参りまして、その後、帰れないでおるのでございますが、これは如何なる場合においても、戦後七カ年、講和発効後七カ月を経過しておりますところの今日、小笠原の住民が帰還すらできないということは、これは
政府の責めらるべきところの
責任であると私は思います。ですから、
政府はその
責任を顧みて、速かに帰還が実現をいたしまするよう最善の努力を払われんことを希望いたしておきます。
次に、
貿易振興政策について
お尋ねをいたしまするが、我が国は国土が狭小にして人口は過剰である。あまつさえ資源に恵まれずして、
外国より原材料を輸入して、これを
外国のほうに輸出をなすという
貿易立国の策を進めて参つたのでございまするが、敗戦によ
つて、さなきだに狭い国土の四割五分を失い、人口は一千数百万もの増加を見て客観的には戦前よりもなお一層
貿易に対する依存度が高くな
つておるのであります。然るに近年我が国の
貿易は頗る不振を極め、二十五年度、二十六年度の輸出入の状況は、
昭和九年、十年、十一年の三カ年平均を一〇〇とするとき、僅かに輸入三、四割、輸出五割足らずという驚くべき低い数字を示しておるのであります。二十七年度も、前年度や前々年度に比して悪化はしても、改善振興する条件と兆候は発見できないのであります。申すまでもなく
貿易の不振は、工業
生産の速度を緩め、操業の短縮を招き、或いは
労働者の馘首とな
つて現われて幾多の重大なる
労働問題を提起し、或いは工業製品の滞貨とな
つて現われて、金詰り、金融難を招来し、金詰りのために親工場である大企業は、下請工場である
中小企業に対しまして支払遅延とか又は不払等とな
つて現われて、そのため
中小企業は倒産の危機に瀕し、不況の様相は社会の各方面に深刻なる影響を与えつつあるのでありますが、この
責任は挙げて第三次
吉田内閣にありと、私は何ら躊躇することなく断ずるものでございます。(「そうだ」と呼ぶ者あり)昨日の
衆議院の本
会議におきまして、
通産大臣は我が党加藤勘十氏の代表
質問演説に対しまして、いわゆる
池田放言として伝えられておりまするところの、
中小企業は倒産をしても止むを得ないと、そのために或いは自殺する者が現われても、これはいたし方がないということを再度おつしやつたようでございまするが、私は
池田さんを非常に重要な存在だと思
つておる。むしろ国宝的な存在だと思
つておる。(笑声)なぜならば、私どもは学生
時代にアダム・スミスという十九世紀の自由放任経済政策というものを習
つて参つたのでありますが、残念ながらその実際のアダム・スミスの自由放任経済というものを見たことはなかつたのであります。
従つてこの実績を見ようとするには上野の図書館まで行かなければならなかつたのでありますが、実際に
池田さんがそういうふうなことをお示しにな
つているのでございますから、我々は図書館まで行く必要はない。(笑声)図書館まで行く必要のないところの古典的な存在でございまするが、併しながら、これは
池田さんがレーニンみたようにな
つて皆様に見せ物になるというのならわかりまするけれども、そういう精神によ
つて政治をやられるということは
国民が承知をしないのでございまして、いわゆる政治には涙があり血がなければなりませんし、又政治というものはそれが要諦であります。ところが
通産大臣は、或いは通産省の行政長官としては、その
答弁はよろしいかも知れませんが、
国務大臣であるはずの
池田大臣としては、これは落第と言わざるを得ません。(「やれ」「しつかり」「やれやれ」「国宝、やりなさい」と呼ぶ者あり、笑声)従いまして、私は
池田さんがよもやそういうような考えを持
つて、言葉のあやではなかろうかと信じておりますので、この際でき得ることでございまするならば、
中小企業はこれ又、
池田さんが放言した
吉田内閣は我々を殺す
内閣であるというふうな印象を与えますると、まさに深刻な様相をたたえておりまするところの我が
中小企業者の
諸君は仕事も手に着かぬというような
状態になろうかと存じまするので、あえて要求するわけではございません。
衆議院の出来事でございまするから要求するわけではございませんが、若し心境に変化がございまするならば、又その弁明をも聞く雅量を持
つておるということだけは表明をしておきましよう。(笑声)
更に私は、
吉田内閣は幾多の
貿易振興政策を掲げておるのでございまするが、私は
貿易の不振というものは
吉田内閣のいわゆる失政にあると思
つておるのでございます。それは第三次
吉田内閣のときでございまするが、僅かばかりのポンドの手持ちにおびえて、そうしてポンド対策を忘れてその適正を欠いておる間に、
外国のほうではドルの不足を解消して、そうしてそのドル不足を解消するために輸出入の
制限をや
つてしま
つて、
日本の輸出品が出なくな
つてしま
つて、向うのポンド地域においてはシャットアウトを食ら
つてしまつた。そこで今にな
つて一億足らずのボンドがあるそうでございますが、来年あたりはポンド不足に悩むであろうということが憂慮されておるのであります。従いまして、私はこういう問題に対して
吉田内閣は如何に対処せんとするかということを承わ
つておきたいのであります。
更に、我が国の
貿易を正常に発展をさせてそうして経済自立を図ろうとするのには「
貿易の国際収支を均衡なものに保たなければならないと思うのでございますが、我が国の国際収支というものは頗る不均衡でございまして、
貿易の収支は赤字だらけであります。その赤字を
貿易外収入で埋めておるのでございまするが、併しその
貿易外収入たるや正常なるところの
貿易外収入ではないのであります。即ち駐留軍様の落しますると一考のいわゆるドル、その他のドルと申上げますれば御想像が付くと思いますので申上げませんが、(「
はつきり言え」と呼ぶ者あり)そういうようなドルによ
つて、一応は赤字を埋めておりますが、併しながら、この
貿易外収入こそ、我々
日本民族が反対をして忌むべきところの、好ましくないところの
貿易外収入なんでございましてその事自体は
戦争に通ずるところの
貿易外収入でございます。従いまして、私たちはこれを排除しなければならないと考えておりまするが、それに対する所感を承わ
つておきたい。なお
貿易の不振の理由はいろいろございまするけれども、先ず向米一辺倒のドル依存の
貿易でございます。
〔副
議長退席、
議長着席〕
ドル一辺倒の
貿易一辺倒をや
つておるのでございますからして、只今申上げたように繊維製品のいわゆる
アジア向けのシャットアウト、それから鉄鋼品のシャットアウト、こういうような
貿易輸出の大宗を成しておりましたところのすべての製品がシャットアウトを食
つておるのでありますから、只今申上げましたような非常な不均衡な、不健全な
貿易の形にな
つて現われた。
そこで私は
吉田内閣にお聞きしたいことは、その不況打開のために、第三次
吉田内閣のときに、即ち鉄鋼品に対しましては補助金を出してやるというような政策を一時発表したように記憶をいたしておりますが、今以てこの輸出振興のために鉄鋼製品に対しまして補助金を出す考えであるかどうかを承わりたいのであります。
更にその次に一番
日本の輸出を妨げておりますのは、
日本社会党左派、共産党の
諸君から御指摘があつたのでございまするが、バトル法のあの
制限のきついことであります。このバトル法の
制限をあの線まで、バトル法の線まで緩和しないことには、
日本の
貿易は振興いたしませんが、これに対しまするところの緩和方の
交渉の事実と更にその見通しについて承わ
つておきたいのであります。
日本海運に対して
制限せんとするところの
主張は、マグナソン氏の提唱以来にわかに具体的な
協定締結の形をと
つて表面化をしておるのであります。それに対して何らかの具体策を講じておるかどうか、承わりたいのでございますが、更に海運の問題は
貿易と唇歯の
関係に立つものでございまするが、
吉田総理も又外航
船舶の増強を強調されており、私らもその限りにおいては同感であります。併し二十八年度より向う四カ年間に亘る年間三十万トン
計画を進められておると承知しておる建造
計画の資金調達に対しては、如何なる対策を講じておられるのであるか。更に本年度
計画の残りの五万トンに対しては、いわゆる資金手当が貧困であるために、その建造
計画が遅々として進まないと承わ
つておるのでございますが、これに対しては如何なる対策の用意をしておられるか、お聞きをいたしたいのでございます。
貿易を健全に発展させ、振興を図らんとするためには、原料を多くドルで買い、製品をポンド地域に売るという、この輸出
貿易を中心とすることに再検討を加えて、
産業、
貿易の構造それ自体を変更することでなければならないと思いまするが、
貿易及び
産業構造を重化学二業中心に転換を図り、恒久的
貿易対策を講ずるところの積極的な政策があるかどうか承わ
つておきたいのであります。
アジアとの
貿易の不振の一因は、先般
吉田総理が
保安隊で
演説をした中に、
保安隊は
国軍の基礎である云々と、更に又、
日本は
アジアを率いて云々ということをおつしやつたので、往年の東條
内閣に見るような
演説内容が報道されたので、さなきだに
日本の再武装を警戒をいたしておりますところの
アジア国民の
反感を買つたためにもよるのであります。
従つて正常なる
貿易振興も、
日本の民主化が前提であり、重要な要素だと信ずるのでありまするが、
吉田総理は
日本民主化と
貿易振興とが深い関連を持つことを認め、且つ只今申上げた
アジア諸国民の
反感を緩和する対策を考究する意思はないかどうかを承わ
つておきたい。
国交の調整、
賠償問題の処理が
貿易振興の前提条件であることを考えまするときに、
外務大臣は、
外債の処理は我が国の立場を好転せしめたと述べられたのでございまするが、ややその
通りでございます。(笑声)ところが
吉田内閣は、
米英への債務ならば、南満洲鉄道の社債、それから東洋拓殖の社債、台湾電力等の社債までも引受けて、
米英に対してはよくその本領であるところの媚態外交を発揮して、
日本の
外務大臣なのか理解に苦しむような
外債の処理をしたのでありまするが、
アジアの
諸国に対しましては、誠に以て非なる性格を発揮するという印象を
世界に与えておるのであります。西ドイツ
政府は、東西ドイツに分離されておる事実を理由に、
外債も半減すべきであるという
交渉をしておるということを我々は聞いておるのでございまするが、我が国も領土は半減をしておるのでありまするからして、
米英に対する
外債処理に当
つてはそのことに思いをいたすべきであつたと思います。私たち
日本国民は、
アジアの繁栄という共同の理想を達成する途こそが
日本の今後の生きる道であることに思いを深くし、
アジアの
諸国に対してサービスする精神を忘れてはならないと考えまするが、
賠償問題に関する
東南アジア諸国との
交渉の経過と、
アジアに多角的決済同盟を提唱をして
貿易を容易にするところの考えがあるかないかを承わ
つておきたいのでございます。
更に私は議会民主化の立場におきまして、
吉田総理に対して一言お聞きいたしたいことは、いわゆる道義の高揚ということをおつしや
つておられますが、道義の高揚に対しましては国論が統一いたしまして、
国民の向う途が
はつきり一致しなければ、道義の高揚ということは期待できないのでございます。
吉田総理は先般行われましたるところの皇太子の立太子式の式場に臨まれまして、その祝辞といたしまして、「臣茂は」ということをおつしや
つておられますが、(
拍手、「時間々々」と呼ぶ者あり)その
国民道義の高揚というものは臣茂的なものであるか、若し臣茂的なものでありまするならば、およそ
時代逆行であるということを私は御指摘申上げたいのであります。(「時間頑張れ」「もつとやれ」「まだ十分あるよ」「やれやれ」「時間々々」と呼ぶ者あり)
更に私は
日本の民主化の健全なる議会運営の建前から、いわゆる今日保守合同というものが叫ばれておるのでございまするが、先般の
選挙におきましても、
吉田総理は民主党の切崩しをいたしましてそうして政界の孤児と言われました犬養さんを引つ張
つて来まして、漸く
衆議院におきまして絶対過半数を擁して只今申上げましたような安保
条約、行政
協定を押しまくつたのでございまするが、このたびの
衆議院の議会対策のいわゆる数の不足からいたしまして、更に改進党の切崩しを企図いたしまするところの保守合同を考、えておられるように報道されておりまするし、あなたの閣僚でございまするところの林屋亀次郎氏は、堂々と石川に帰省をいたしましたところの車中談といたしまして記者団に発表いたしておるのでございまするが、今でも保守合同の考え方をしておられるかどうかを承わ
つておきたい。更に新聞記事に対して
総理大臣は
責任を負わんとおつしやるかも知れませんが、政治はここでだけやるものではございません。
政府の考え方、議会の
演説等は、新聞に報道されて、
日本国民の支持を得て行われるものでございます。この新聞は知らんというようなことは政治の妙諦を知ぬらものであり、自分一人が政治をや
つておるというような印象を(
拍手)与えるものであるということを御指摘をしたい。(「
議長、時間々々」と呼ぶ者あり)更にどうする……(「時間の五分や十分は何でもない」「
議長注意」「時間」「やれやれ」「頑張れ」と呼ぶ者あり)
更にもう一点だけお聞きいたしたいことは、いわゆる再
軍備の問題に関しまして
アメリカの要求している再
軍備は絶対にやらん、そういうことを要求しようと、それはしないと、そう
言つておりますが、誠に決意のほど見事なものでございまして、我々はその限りにおきましては賛成でございまするが、
アイゼンハワー大統領になりますると、とにかく
日本再
軍備を要求することは必然でございまするが、その場合にもあなたは
内閣の存廃を賭けて再
軍備を断わる決意をこの議会を通じて発表する決意があるかどうかを承わ
つておきたい。更に行政
協定の問題について、(「
議長注意」「時間」「やれやれ」と呼ぶ者あり)