○
政府委員(岡原昌男君) 今回御審議を頂いている
刑事訴訟法の一部を
改正する
法律案につきましては、
只今の
提案理由説明の中で大綱は尽きているのでございます。ただ条文が数多くございますので、これから御審議の便宜を図るつもりでこの法案の逐条
説明書というのをお手許にお配りしてございますのでそれを中心といたしまして御
説明申上げたいと存じます。条文の順序に御
説明申上げます。
最初は第六十条第二項の
改正でございますが、これはあとで申述べます
通りに、第八十九条について
改正をいたしますのに
関連してこの六十条の第二項の但書を改めようとするものでございます。この六十条第二項の但書はいわゆる勾留期間更新制限の除外事由を書いた規定でございますが、現在の
刑事訴訟法運用の実績に鑑みまするに、第一審における審理期間が三カ月を超えるものが多く、而も更に控訴審、上告審と行くわけでございますから、勾留期間の更新がこの六十条第二項但書で制限を受けますると、その審理の途中で身柄を不本意ながら釈放しなければならんというようなことになる場合がございますので、これを是正する
意味をもちまして、かような
改正をしようとする次第でございます。
二番目は、第七十一条中の
改正でございます。
説明書の第二頁の真中にございます。これは、勾留状を
管轄区域外で
執行する場合の規定でございますが、現行法には勾引状について規定があるのみで、勾留状については規定がありません。解釈上いろいろ疑義がございますので、これを明らかならしめる
意味の
改正と、もう
一つは、その
執行に当る者が司法警察員だけでは窮屈な場合がございますので、司法警察
職員が全般的に
執行し得るように改めるというのが、七十一条
関係でございます。
三番目は、七十二条
関係でございますが、三頁の終いのほうにございます。これにつきましても、現行法は勾引状だけについて規定しておるのを、前と同じ趣旨をもちまして、勾留状をも加えようという趣旨でございます。
四番目は、七十三条の第三項の字句の修正でございまして、四頁の真中にございます。これは、現在の法文をただ明確ならしめようというにすぎないのでございまして、特段の深い
意味はないのでございます。
次に、第五番目は、八十九条の
改正でございますが、四頁のあとから二行目以下にあります。これが、今回の
改正の中でも特に重要な点になるわけでございます。読んで見ますと、『第八十九条第一号中「無期の懲役」を「無期若しくは短期一年以上の懲役」に改め、同条第五号中「氏名及び住居」を「氏名又は住居」に改め、同号を同条第七号とし、同条第四号を第五号とし、同条第三号の次に次の一号を加える。
四 被告人が多衆共同して罪を犯したものであるとき。
第八十九条第五号の次に次の一号を加える。
六 被告人が、被害者その他
事件の審判に必要な知識を有すると認められる者の身体又は財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる充分な
理由があるとき。』。本条は、いわゆる権利保釈の除外事由に関する規定でございます。即ち、権利保釈の除外事由といたしまして、新たに多衆共同にかかるいわゆる集団
犯罪の場合と被害者その他参考人や証人となり得べき者を畏怖させるに足りる行為に出る危険性のある場合等を附加いたしたのであります。即ち、同条第一号につきましては、従来「死刑又は無期の懲役若しくは
禁錮にあたる罪」の
事件に限られておりましたのを、「短期一年以上の懲役若しくは
禁錮にあたる罪」の
事件までこれを拡張しようとするものでございます。第二号及び三号は現行法のまま、第四号として先ほどの多衆事犯を加え、更に条文の
整理をいたしまして、お礼廻りを
最後に加えた、かようなことになるわけでございます。
第六頁に入りますが、
改正を必要とする
事情を申上げますると、第一号の
改正につきましては、例えば
刑法犯中、強姦、営利誘拐、人身売買、強盗等の重い
事件が従来これに当らないために、同条列挙の他の事由に該当すれば格別、そうでなければ権利保釈を許されるという結果にな
つていたわけでございます。大変不都合でありますので、これを救済しようとするのでございます。新たに加わります第四号は、いわゆる集団
犯罪の
事件を権利保釈の除外事由としようとするものであります。この場合の集団
犯罪とは、
犯罪自体がその性質上集団的である場合、例えば騒擾、内乱とい
つたような罪のほか、集団強盗のような集団的に行われる
犯罪を指します。かような
犯罪は、経験上
一般に通謀乃至は証拠隠滅の危険が極めて高いのでありましてこれに保釈される権利を与えるというのは適当でないというのが、この除外事由に追加する趣旨であります。新たに第六号に加わりますのは、例えば恐喝等の
事件の被告人が保釈によ
つて出て参りますると、被害者その他の
関係人を歴訪いたしまして、お礼廻りなどを称し、一種のいやがらせのような行為をする場合がございますが、このために被害者は後日公判において証言するに当りまして、後難を恐れて十分な供述をなし得ない、従
つて証拠の収取、延いては審判の目的を確保するのに困難を来たす場合が多いのであります。これに対処するために、本号を権利保釈の除外事由といたした次第でございます。新第七号は、現行法第八十九条第五号では、氏名が一応明らかでありましても住居が明らかでない、わからない者については公判期日における出頭を確保することが困難であるのに鑑みましてこれを
改正しようというのでございます。
なお、以上は、もとより権利保釈の除外事由にするということでございまして、第九十条の裁量保釈をする分には、これは差支えないということになるのでございます。
次は、第九十二条
関係でございます。七頁の真中にございます。この点は、現行法の九十二条が保釈の許否を決定する際に
裁判所は検察官の意見を聞くことにな
つております。又勾留の
執行停止につきましても、刑事訴訟規則に同じような規定がございます。そこで、勾留の
取消についても、この際歩調を合せる必要があろうかというのが、この
改正の
理由でございます。
次は、第九十六条第一項の
関係でございます。第八頁のあとから四行目でございます。これも重要な条文でございますので、読んでみます。「
裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の
執行停止を取り消すことができる。
一 被告人が、召喚を受け正当な
理由がなく出頭しないとき。
二 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な
理由があるとき。
三 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な
理由があるとき。
四 被告人が、被害者その他
事件の審判に必要な知識を有すると認められる者の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
五 被告人が住居の制限その他
裁判所の定めた条件に違反したとき。」。現在の九十六条におきましては、この条文の書き方が書き流しにな
つておりまして読みにくいのと、若干不備の点がございますので、これを
項目別に一、二、三、四、五と書き改めると共に、その間の不備を補正した趣旨でございます。更に、検察官に
取消の請求権を認め、検察官の請求により又は職権でやれるということを明らかにした次第でございます。なお、現行法では罪証を隠滅した場合を
取消事由に挙げておりませんが、これは性質上当然挙げられるべきものであろうというので、この点を
はつきり規定いたしました。第五号の、いわゆるお礼廻りを現にしたとき、或いはせんとしたとき、これは先ほど
説明いたしました点と首尾を一貫させる趣旨でございます。
次は、第九十八条の
関係でございまして、十頁の最初にございます。保釈の
取消の際の収監
手続につきましては、逃亡中の被告人の在り処が
はつきりわか
つたのに折悪しく書面が手許にないために
執行ができないという場合があ
つて、実務上大変困難を来たした例がございます。そこで、かような際にはこの趣旨を告げてこれをつかまえるというふうな簡易な
手続をとるのが妥当ではないかというので、法制審議会の答申を得まして、作りましたのがこの条文でございます。これは、「前項の書面を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、同項の規定にかかわらず、検察官の指揮により、被告人に対し保釈若しくは勾留の
執行停止が取り消された旨又は勾留の
執行停止の期間が満了した旨を告げて、これを収監することができる。但し、その書面は、できる限り速かにこれを示さなければならない。」ということにいたしまして、結局はその書面は示すのでございますが、その間に若干の時間的なズレがあ
つても差支えないということを明らかにいたし、なお新らしい三項で第七十一条の規定を準用し、いわゆる
管轄区域外の
執行手続を明らかにした趣旨でございます。
次は、第百五十三条の次に次の一条を加えるという第十一頁のあとから四行目の
関係でございます。これは、召喚に応じない証人を勾引することができることはすでに規定されております。併し、その際例えば護送するのに非常に不便な場所を通
つて来なければならないような場合にその途中で証人の身柄をどういうふうにすればいいかということについては手当がしてないのでございます。従
つて、証人を夜を日に継いで遠いところから連れて来る、途中で一休みさせることもできないというようなことになるのは大変不都合でございますので、最寄の適当な場所にこれを留め置いて連れて来るということができる手当をいたした次第でございまする
次は、百六十四条の
関係でございます。十二頁のあとから四行目。これは、現在の百六十四条におきましては「証人は、
旅費、日当及び宿泊料を請求することができる。但し、正当な
理由がなく宣誓又は証言を拒んだ者は、この限りでない。」というふうにだけ規定してございまして、果してこの際あらかじめ費用の前払をすることができるかどうかという問題が起きたわけでございます。条文の表面ではその点が明らかにな
つておりませんが、従来のやり方といたしましては、会計法の第二十二条並びに
予算決算及び会計令第五十八条の規定によ
つて前払は可能であるという取扱をいたしておりました。併し、この点は、この際明確にする必要があるだろう。そうして、この証言をしなか
つたり、宣誓をしなか
つたりした場合の返納の
手続をも明らかにしようというのが、この
改正の趣旨でございます。
次は、いわゆる鑑定のための留置に関する一連の規定で、ございまして第百六十七条各項の規定でございます。十三頁のお終いから三行目でございます。『百六十七条第二項中「留置状」を「鑑定留置状」に改め、同条第二項の次に次の二項を加える。
第一項の留置につき必要があるときは、
裁判所は、被告人を収容すべき病院その他の場所の管理者の申出により、又は職権で、司法警察
職員に被告人の看守を命ずることができる。
裁判所は、必要があるときは、留置の期間を延長し又は短縮することができる。』。
更に、百六十七条に六項として次の一項を加えます。
「第一項の留置は、未決勾留日数の算入については、これを勾留とみなす。」。
これは、いずれも現行法上いわゆる鑑定のための留置というものの
手続が大変
はつきりいたしませんので、実務上いろいろ疑義が出て参ります。それでこれらの疑義をこの際明らかにいたしまして、片や被告人の人権も
保護いたしたい。そうして、勾留と鑑定留置との
関係等も明らかにしておきたいというのが、この趣旨でございます。即ち、十四頁の真中辺から書いてございますが、鑑定留置の制度につきましては、現行法は単に勾留に関する規定を採用するに過ぎませんので、いろいろ問題がございますので、先ずその令状の
名称を「鑑定留置状」というふうにいたしまして、他の令状と明らかに区別したのでございます。
鑑定留置中の戒護、身柄につきましては、鑑定留置による収容場所は通常は監獄でないために監獄官吏をして戒護に当らせることができない。とい
つて、司法警察
職員に看守せしめると解し得る明確な規定もございません。鑑定留置中の逃走、自殺その他の事故を防止するためには明文を以て何らかの戒護上の措置をしなければならないと存ずるのでございます。又それが必要か否かは、病院の施設によ
つていろいろ違
つておりますので、その収容すべき施設の管理者の申出によ
つてこれをやる。又補充的に職権で命ずることができるというふうな措置に出たわけでございます。なお、この鑑定留置の期間の
変更につきましては、現行法上これ又、
はつきりいたしませんので、鑑定が早期に結了した場合にはこれを短縮する。若干長く
なつた場合にはこれを延ばすことができるというふうな措置を講じたわけでございます。
次は、十五頁の終りから十六頁にかけまして、鑑定留置と勾留との
関係を明らかにいたしてございます。現行法の解釈上、勾留中に鑑定留置処分がなされた場合には勾留はその
執行を停止されたとするのが
一般で、ございまして、ただこれらの具体的な問題、或いはその場合の
取消の問題等に
関連しまして疑義が生じましたので、それをこの条文で
はつきりさせたのでございます。
次は、百八十一条
関係。貧困のために訴訟費用を納付することができない被告人に対しましては、判決の際その全部又は一部を負担させないことができるように改めようというのがこの条文でございます。現行法でも第五百条という規定がございまして、あとで訴訟費用免除の
手続はあるのでございますが、初めに判決の際にわかるものについては初めから免除しようというのが、この趣旨でございます。
次は、十七頁の終りから十八頁にかけての百八十四条
関係。これは、従来正式
裁判の請求の取下の場合について、訴訟費用の負担に関する規定がなく、法に不備がございましたので、これを是正しようというのでございます。
次は、百九十三条の一項後段の
改正、十八頁の真中にございます。いわゆる検察官が司法警察
職員に対しまして
一般的指示をなす場合の規定でございます。本条の
改正は、いわゆる検察官の
一般的指示権の
内容をこの際明確にしておこうという目的に出たものでございます。現行法によりますと、この
一般的指示は、「公訴を実行するため必要な
犯罪捜査の重要な事項に関する準則を定めるものに限られる。」というふうにな
つておりまして、そのために
捜査と公訴とを概念的に区別いたし、
捜査そのものの
あり方、特に
捜査の実行
方法については
一般的指示をなし得ないのではないかというふうな疑問が提起されております。併しながら、本来
捜査と公訴というものは
内容的には密接不可分の
関係にありますので、
捜査が適正に行われて初めて公訴が適正になる。そこでこの両者の
関係をまとめて規正し得るようにしたのが、この条文の
改正でございます。この
改正は、本年の二月の法制審議会の答申によ
つたものでございます。
次は、百九十八条の第二項
関係。十九頁の真中でございます。いわゆる供述拒否権告知の制度に関する
改正でございます。現行法は、
捜査官が調べをする際には供述を拒むことができる旨、いわゆる供述拒否権があるということを告げることにな
つておりますが、この制度の運用の実績を見ますると、中には全く一言も発しない。
犯罪事実とは全く
関係のない住居、氏名、年齢等も言わないというふうな行過ぎたものがございまして、かくては当初憲法の予定した「自己に不利益な供述を強要されない」という趣旨を踏み越え、いわゆる権利の濫用とい
つたような形にな
つているとも思われますので、この際この拒否権告知の制度というものを若干変えまして、告知の
内容を憲法の趣旨と合致せしめたのが、この
改正でございます。即ち、自己に不利益な供述を強要されることのないようにこれを告げればいい、かように
改正いたそうとするのでございます。中には、この供述拒否権というものを極度に行使し、一切何もしやべらないということのために、
状況証拠のみによ
つて判断されて、却
つて自己の不利益に帰したというような事例も事実あ
つたのでございまして、この際かような
改正によ
つてさような点も是正しようという趣旨でございます。
次は、百九十九条の
関係でございまして、二十一頁の三行目にございます。ちよつと読んで見ますと、「司法警察員は、第一項の逮捕状を請求するには、検察官(検察官の事務を取り扱う検察事務官を除く。以下本項において同じ。)の同意を得なければならない。但し、検察官があらかじめ
一般的に同意を与えた
事件については、この限りでない。
裁判官は、逮捕状の請求が検察官の同意を要する場合において、その同意を得ていないことが明らかなときは、逮捕状を発付しないことができる。」。この点は、いわゆる司法警察員の逮捕状の請求についての検察官経由の問題といたしまして、前国会においてもいろいろお話のあ
つた点でございます。そこで、この際これを法文に明定いたしまして、逮捕状の濫発を防止せんとする趣旨でございます。現行法にはこのような規定がございませんので、
検察庁によりましては事実上連絡を受けている庁もあるようでございますが、何分これが義務的にされておりませんので、或るところでは逮捕状濫発の声を聞くようになりました。そこで、この際これを検察官の同意にかからしめて、原則として検察官が
責任を以てそれをよく見るということにいたしたいのでございます。尤も、
捜査官が十分戒心して成績のいいところ、或いは
一般的に細かい
事件につきましては、あらかじめ
一般的に同意を与えるというふうな形で、それを除外することができることにいたしたのでございます。なお、この第三項におきまして、検察官の同意を得ないで逮捕状の請求をした場合に、
裁判官は逮捕状を発付しないことができるといたしましたのは、そのような場合には請求
手続に法令の違反があるとして、請求を棄却するのがむしろ本筋であるとは思いますが、ただその際に
裁判所に一から十までその点の審査義務があるとし、その場合の
責任を問われるというようなことに相成
つても
裁判官としてはたまらないだろうと思われますので、表現上若干の余裕を残した趣旨でございます。
次は、二百八条の勾留期間の延長に関する
改正でございます。二十三頁の冒頭からでございます。「第二百八条の次に次の一条を加える。」
裁判官は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは
禁錮にあたる
事件につき、
犯罪の証明に欠くことのできない共犯その他の
関係人又は証拠物が多数であるため検察官が前条の期間内にその取調を終ることができないと認めるときは、その取調が被疑者の釈放後では甚だしく困難になると認められる場合に限り、検察官の請求により、同条第二項の規定により延長された期間を更に延長することができる。この期間の延長は、通じて五日を超えることができない。」即ち、現行法で十日プラス十日計二十日というのを更に、ここに書いてあります
通り、重い
事件について而も厳重な条件を附して、更に五日間だけ延長し得るというふうに直そうとするものでございます。その具体的な
要件、例えば、
犯罪の証明に欠くことができない共犯その他の
関係人又は証拠物が多数であるとか、或いは前条の期間内にその取調を終ることができないとい
つたような、いろいろな条件がかぶ
つて参りますので、人権の尊重には遺憾のないことと存ずるのでございます。
次は、二百十九条の
関係でございますが、二十六頁の真中にございます。「検察官、検察事務官又は司法警察
職員は、令状に差し押えるべき物の所在すべき場所が記載されており、且つ、その場所においてこれを発見することができない場合において、その物の所在する場所が明らかと
なつたときは、急速を要する場合に限り、処分を受けるべき者にその事由及び被疑
事件を告げてその場所を看守することができる。」つまり、差押令状に記載された差押の目的物の所在場所は
はつきりしているけれ
ども、その場所が令状に記載された場所と違
つているという場合の応急の措置を規定したのが、この条文の趣旨でございます。
次は二十八頁の二百二十四条
関係。これは、単なる条文の
整理でございます。
次は、二百五十四条の
関係で、二十九頁でございます。現行法の二百五十四条の第一項に公訴の「時効は、当該
事件についてした公訴の提起によ
つてその進行を停止し、
管轄違又は公訴棄却の
裁判が確定した時からその進行を始める。但し、第二百七十一条第二項の規定により公訴の提起がその効力を失
つたときは、この限りでない。」というふうに規定してございますが、この二百七十一条第二項について、あとで申上げます
通り、すべてさような際には決定で公訴を棄却すべきものと規定を変えます
関係上、この但書は不用に
なつたわけでございます。
次は、三十頁の二百五十五条
関係でございます。この点は、後に
説明いたします略式
手続に関する規定の
改正によりまして、略式
手続が通常
手続に引き直されない場合には「起訴状の謄本の送達」ということがないことになりますので、本条において「起訴状の謄本の送達」と並べて「略式命令の告知」を掲げる必要を生じたための
改正でございます。
次は、第二百八十六条の二の
関係で、ございまして、三十一頁。「第二百八十六条の次に次の一条を加える。
第二百八十六条の二 被告人が出頭しなければ開廷することができない場合において、勾留されている被告人が、公判期日に召喚を受け、正当な
理由がなく出頭を拒否し、監獄官吏による引致を著しく困難にしたときは、
裁判所は、被告人が出頭しないでも、その期日の公判
手続を行うことができる。」
これも、この二月の法制審議会で取上げられた問題でありまして、最近の特殊な
事件において、
裁判所に出頭を拒否する手段といたしまして、勾留中の被告人が監獄官吏に抵抗する、或いは裸にな
つて暴れる、鉄柵にしがみついて離れないとい
つたようなことがちよいちよいあ
つたのでございます。さような場合には、数名の者がさようなことをいたしますと、その日の開廷が全部駄目にな
つて参りますので、そのような暴れる者に対しましては
本人不在のまま公判
手続を行うことができるようにしたのでございます。尤も、それはその目の公判
手続だけのことでございまして、そのあとで穏かに出て来るような場合は勿論それは
本人の出頭を待
つて審理する、かようなことになるわけでございます。
次は、いわゆる簡易公判
手続について数カ条あるのでございますが、その簡易公判
手続と申しますのは、英米流のいわゆるアレインメントという制度とは、我が憲法上の制約もあり、若干
内容を変えてあるのでございます。これを我が国の憲法に合わせるようにいろいろ形を変えまして、現在の訴訟法で許される限度、そうしてそれが憲法にも合致し、そうして訴訟の促進にも効果があるというふうな線を狙
つたのがこの制度でございます。その特徴は、三十四頁の(二)の第一、第二というところにございますが、簡易公判
手続が
一般の公判
手続とどのように違
つておるかという点を申しますと、第一に伝聞証拠に関する証拠
能力の制限が緩和されておるという点でございます。即ち、検察官、被告人又は
弁護人に異議がない場合、この場合には
刑事訴訟法第三百二十条、いわゆる伝聞法則禁止の原則の適用がないこととしたのでございます。これは、有罪の陳述をした被告人は一応その
犯罪事実に関する被害届、参考人の供述調書その他の証拠の取調に同意していると推定することも無理ではないと思われますので、かようにいたしたわけでございます。第二に、証拠調の
手続を簡略にしたことでございます。即ち、検察官の証拠調の初めに行う冒頭陳述を省略する、或いは証人や証拠書類の取調を
裁判所は適当と認める
方法でや
つてよろしいということでございます。なおこの種の
事件につきましては、(三)にその裏打ちの手当をいたしてございます。即ち、第一には、被告人が有罪であるという陳述をいたしましても、直ちに簡易公判
手続に移るのではなくて、あらかじめ検察官及び被告人又は
弁護人の意見を聞く、そうしてその陳述が被告人の真意によるものである、虚偽の陳述ではないということを十分に検討いたしましてからこの
手続に移るわけでございます。第二に、さように慎重にいたした後でもだんだん調べが進むにつれて若干疑念が出たというような場合には、その
手続を
取消して通常の
手続に移るということに相成ります。第三に、三十六頁にございますが、いわゆる重罪
事件については、簡易公判
手続により得ないものといたしまして、たとえ
本人が異議なしと言
つても通常
手続によることにな
つておるのでございます。条文の形といたしましては、第二百九十一条の次に次の二条を加えるということで、「第二百九十一条の二被告人が前条第二項の
手続に際し、起訴状に記載された訴因について有罪である旨を陳述したときは、
裁判所は、検察官及び被告人又は
弁護人の意見を聴き、有罪である旨の陳述のあ
つた訴因に限り、簡易公判
手続によ
つて審判をする旨の決定をすることができる。但し、死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは
禁錮にあたる
事件については、この限りでない。」ということにいたしたのでございます。「前条第二項の
手続に際し」と言いますのは、公判
手続の冒頭において起訴状の朗読が終
つた後、
裁判長が黙秘権を告げ、被告人及び
弁護人に対し陳述の機会を与えたときにのみ有罪の陳述を行い得ると、かような趣旨でございます。それから「起訴状に記載された訴因」、三十八頁でございます。これは、当初から起訴状に記載されておる訴因は勿論、冒頭陳述を行う機会までに文書又は口頭で
変更された訴因をも含むことになります。
次に、共同被告人がある場合にはどうなるかと言いますと、被告人ごとに簡易公判
手続による旨の決定をすることになります。三十九頁の(四)でございます。なお、(五)で「有罪である旨の陳述」と申しますのは、単なる事実の告白ではなくて、それと同時に起訴状に記載された訴因について自己が積極的に有罪であることを述べることを申すのであります。従
つて、控訴事実はこれを認めても、正当防衛、緊急避難と、こうい
つたような違法或いは
責任阻却の事由の存在を申立てた場合には、勿論これは有罪の陳述にはならんわけでございます。
次は、四十頁の(七)でありますが、有罪である旨の陳述のあ
つた訴因に限り、簡易公判
手続によ
つて審判をする旨の決定をすることができる。」というのは、つまり起訴状に数個の訴因がありました場合に、その一部については有罪というような場合がございます。その際には、有罪を認めた一部の事実だけを取上げましてこの簡易
手続に附するわけでございます。
次に、この
手続の実際の動かし方は、四十一頁の第二百九十一条の三にございます。「第二百九十一条の三
裁判所は前条の決定があ
つた事件が簡易公判
手続によることができないものであり、又はこれによることが相当でないものであると認めるときは、その決定を取り消さなければならない。」さような
手続に附して、かりそめにも有罪陳述をした
事件が簡単に有罪、殊に誤
つて有罪とされるようなことがないように措置をしたわけでございます。
次に、第三百七条の二として、証拠調の
方法等の簡易
手続が書いてございます。これは先ほ
ども申上げましたが、「第三百七条の二 第二百九十一条の二の決定があ
つた事件については、第二百九十六条、第二百九十七条、第三百条乃至第三百二条及び第三百四条乃至前条の規定は、これを適用せず、証拠調は、公判期日において、適当と認める
方法でこれを行うことができる。」これは先ほど申した
通りでございます。
次は、第三百十五条の二、四十五頁でございますが、これは、二百九十一条の二の決定が
取消された場合の公判の
手続の更新の規定でございます。これは、大体ここに書いてある
通りでございます。
次は、先ほ
どもちよつと申上げました伝聞証拠の
関係でございますが、「第三百二十条に次の一項を加える。」というのが四十七頁にございます。「第二百九十一条の二の決定があ
つた事件の証拠については、前項の規定は、これを適用しない。但し、検察官、被告人又は
弁護人が証拠とすることに異議を述べたものについては、この限りでない。」異議がない限り適用がないと、こういうわけでございます。
次は、第三百三十九条の一部
改正でございます。四十八頁の
最後のところにございます。これは現行法の第二百七十一条におきましては、起訴状の謄本が公訴の提起の日から二カ月以内に被告人に送達されない場合には公訴の提起は遡
つてその効力を失うということにな
つておるのでございますが、その効力を失うというのは、何らの
裁判を要せずしてひとりでに係属を離れるということで、どうも
はつきりしない、そこで、この際これを公訴棄却の決定をするとすることによ
つてはつきりさせようというのがこの規定でございます。
次の四十九頁の「第三百四十四条中「第八十九条」を「第六十条第二項但書及び第八十九条」に改める。」というのは、先ほど八十九条及び六十条の
関係で申上げました
通り、この際併せて条文を
整理しようというだけの趣旨でございます。
第三百四十五条
関係。五十頁。「第三百四十五条中「公訴棄却、
管轄違」を「公訴棄却(第三百二十八条第四号による場合を除く。)、」に、「判決の宣告」を「
裁判の告知」に改める。これは、現行法では、無罪、免訴、刑の免除、刑の
執行猶予、公訴棄却、
管轄違、罰金又は科料の判決の宣告があ
つたときは勾留状はその効力を失うとな
つております。ところが、
管轄違の場合と公訴提起の
手続がその規定に違背したために公訴棄却に
なつた場合につきましては、多くは再起訴になるわけでございます。ところが再起訴の
手続をする前に勾留の効力がなくな
つてしまいますと、身柄の処置に困
つてしまいますので、この際これを
はつきり改めようというのが前段でございます。なお、後段は、現行法では「判決の宣告」という文字を使
つてございますが、実際には決定による場合もございますので、これを両方含める
意味で「
裁判の告知」という文字に改めようとする次第でございます。
次は、五十二頁の、第三百五十九条から第三百六十条、第三百六十条の二、第三百六十一条、第三百六十七条、この一連の
関係は、いわゆる上訴放棄の制度を認めたこと及びこれに関する条文の
整理でございます。上訴権放棄の制度は、旧法にはございましたが、新法はこれを廃止したのでございます。その廃止の
理由は、軽々しく上訴権を放棄するとあとで問題が起きるというようなことでございましようが、運用の実際に徴しますと、判決に不服のない場合が相当多いのでございます。而も、さような場合に十四日の上訴期間の経過を待たなければ刑の
執行を受け得ないというふうなこともございまして、必ずしも被告人の利益とはな
つていないのでございます。そこで、死刑の判決のあ
つた場合を除いて、すべて被告人に書面による上訴の放棄を認めようというのがこの一連の
改正でございます。
次は、第三百八十二条の二以下の条文で、いわゆる控訴審の審理に関する
改正規定でございます。ちよつと読んでみますと、「第三百八十二条の二やむを得ない事由によ
つて第一審の弁論終結前に取調を請求することができなか
つた証拠によ
つて証明することのできる事実であ
つて前二条に規定する控訴申立の
理由があることを信ずるに足りるものは、訴訟記録及び原
裁判所において取り調べた証拠に現われている事実以外の事実であ
つても、控訴趣意書にこれを援用することができる。
第一審の弁論終結後判決前に生じた事実であ
つて前二条に規定する控訴申立の
理由があることを信ずるに足りるものについても、前項と同様である。
前二項の場合には、控訴趣意書に、その事実を疎明する
資料を添附しなければならない。第一項の場合には、やむを得ない事由によ
つてその証拠の取り調を請求することができなか
つた旨を疎明する
資料をも添附しなければならない。」条文が細かくな
つておりますが、要するに、いわゆる事後審たる性格を持つ刑事の控訴審におきましては、第一審の判決までに、つまり弁論終結までに調べた事実を中心として原審判決の当否を判断するというのが従来の
建前であ
つたのでございます。ところが、実際問題といたしまして、第一審の弁論終結前に生じた事実、或いはその終結後判決までに生じた事実であ
つて、
裁判の表面には現われていなか
つたけれ
ども、客観的には現実に存在し、而もその事実を
考慮に入れると原審の判決はどうも著しく妥当でないというような場合があり得るわけでございます。さような場合に、将来は非常にその措置に困りまして、あとで申上げます第三百九十三条第一項但書の活用等によりまして若干是正はいたしたのでございますが、必ずしもそれのみでは全うし得ない。そこで、控訴趣意書の正面からその事実を取上げて、控訴審の事実取調の真正面の事実にこれを持
つて行こうというのが、今度の
改正の趣旨でございます。法制審議会におきましても、特に在野法曹から熱心に要望せられました点でございます。
五十四頁の真中辺に
改正の二点が書いてございます。その第一点は、第一審
裁判所の審判の過程に現われなか
つた資料でも、一定の条件の下に控訴趣意書に援用できることにした点であります。これが
只今申しました本条でございます。それから、控訴審の条文につきましては、後に申上げます第二点というのがございますが、その第二点は、控訴審が第一審判決後の刑の量定に影響を及ぼすべき情状を
考慮して原判決の量刑の当否を判断することができることとした点であります。この点につきまして、最もしよつちゆう現われますのは、いわゆる弁償したような場合でございます。この二点が大きな
改正でございます。
第三百九十三条第一項但書の
関係に移ります。五十五頁のあとから四行目であります。「但し、第三百八十二条の二の疎明があ
つたものについては、刑の量定の不当又は判決に影響を及ぼすべき事実の誤認を証明するために欠くことのできない場合に限り、これを取り調べなければならない。」ということにいたしました。
続いて五十六頁に、「第三百九十三条第二項中「前項」を「第二項」に改め、」これは条文の
整理でございますが、更に
控訴
裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、第一審判決後の刑の量定に影響を及ぼすべき情状につき取調をすることができる。今度は、職権で第一審判決後の刑の量定に影響を及ぼすべき情状について取調をすることができるということを真正面から規定した次第でございます。かようなことに相成りますると、第一審判決後に例えば弁償をいたしたような事実がありますれば、これを職権で取り調べることによ
つて、かような示談、弁償等の事実を
裁判所で取り上げてもらうことができることに
なつたわけでございます。次に、五十七頁にその場合の
手続がございますが、「第一項又は第二項の規定による取り調をしたときは、検察官及び
弁護人は、その結果に基いて弁論をすることができる。」、これは当然のことでございます。そうして、その控訴審の判決といたしまして、五十七頁の
最後に、「第三百九十三条第二項の規定による取調の結果、原判決を破棄しなければ明らかに正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。」ということにいたした次第でございます。
次は、略式
手続の
改正規定でございます。先ほど
提案理由の中にもございました
通り、この略式
手続にも手を触れまして、その処理の迅速適正化を図ろうとするのでございます。現在この略式命令で処罰される者は全有罪人員の七割に達しております。でございますから、この
手続を迅速適正に処理することによりまして、その余力を他の困難な
事件の処理に向けることができるようにというのがこの
改正の狙いでございます。最初は、四百六十一条の第二項の削除でございますが、五十九頁の一番
最後の条文であります。これは、現在七日の
猶予期間を置いて異議の有無を調べることにな
つておるのでございますが、現行
刑事訴訟法実施以来この七日の
猶予期間内に異議を申し出た者は全くないのでございます。そこで、この
猶予期間を除いたわけでございます。次は、「四百六十一条の次に……」ちよつとミスプリントがございますので、六十頁のあとから六行目の「第四百六十二条の二」とございますが、これは、「四百六十一条の二」と御訂正を願います。「検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式
手続を理解させるために必要な事項を
説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式
手続によることについて異議がないかどうかを確めなければならない。被疑者は、略式
手続によることについて異議がないときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。」という条文を置きまして、略式
手続の趣旨を明らかに知らせ、書面で異議のない点を明らかにしようと、念を入れた
手続をここに規定した次第でございます。
「四六二条に次の一項を加える。」、これは、ただ
手続上の公正を図る担保の
意味の規定でございます。それから次は、「四六三条に次の三項を加える。」六十二頁の真中辺でございますが、これはいずれもその
手続上の動きを明らかにするために細かい規定を置いた趣旨でございます。次は、六十四頁の「四百六十三条の次に四百六十三条の二を加える。」という規定がございます。これは、先ほど申しました起訴状の謄本の送達に関する規定、二百七十一条の規定の
改正と首尾を合わせたのでございますが、「略式命令の請求があ
つた日から四箇月以内に略式命令が被告人に告知されないときは、公訴の提起は、さかのぼ
つてその効力を失う。」という規定を置きまして、「前項の場合には、
裁判所は、決定で、公訴を棄却しなければならない。」これも、先ほど申したと同じ
理由で
はつきりさせたわけでございます。「略式命令が既に検察官に告知されているときは、略式命令を取り消した上、その決定をしなければならない。」すでに検察官に、一方的ではありますが、検察官の方に告知されているという効力は消えませんので、先ずその方を取り消した上で、公訴を棄却するということを明らかにした趣旨でございます。
次に、六十六頁の「四百六十四条、四百六十五条の七日を十四日に改める、」。これは先ほど申し上げました最初の異議申立期間の七日を削りましたが、その代り正式
裁判申立の
考慮の期間を七日延長して、その慎重を期した次第でございます。以上が略式
手続に関する規定の
改正でございます。
次は、四百七十四条の但書及び四百八十二条の
改正でございますが、これは、刑の
執行の順序の
変更及び刑の
執行の停止に関する規定でございます。現行法は非常に慎重な
手続をとりまして、検察官が刑の
執行順序の
変更、刑の
執行停止をするには、
検事総長又は
検事長の許可を受けなければならないことにな
つているのであります。ところが、実際問題といたしまして、
本人が病気で急速に重い刑の
執行を停止して、軽いものに変えるという臨機の措置をとるべき場合が多々あるのであります。さような場合の便宜の規定をここに置こうという趣旨でございます。
次は、四百九十九条中の
改正で、「官報で」とあるのを「政令で定める
方法によ
つて」と改める、これでございます。これは、従来押収物の還付をいたします際に、還付を受けるべき者が所在不明であるという場合には、現行法では官報でこれを公告することにな
つております。御承知と思いますが、官報の相当の欄を占めて、いわゆる官報公告の記載がございます。ところが、実際この公告を見て取りに来るという者はございませんし、一方この費用が年間一千万円にも上るというふうな
状況でございますので、これを一から十まで全部官報に載つけるという必要はないであろう、例えば下駄の壊れたもの、或いは風呂敷或いはリユツクサツクとい
つたような、まあリユツクサツクはまだ金目のものでございますが、
新聞紙に包んだ庖丁とい
つたような、ときどき官報で御覧になるとお笑いになるようなものがございます。そこで、さようなものにつきましては別途公告の
方法を合理化し、重要なものだけ官報に載つけることにいたしたら如何であろうということが、この
改正の趣旨でございます。
最後の第五百条の
改正でございますが、六十八頁の真中にございます。現在の五百条第一項では、訴訟費用の負担の免除は、その負担を命ずる
裁判を言い渡した
裁判所に申し立てるということにな
つておりますが、この規定は、実際問題といたしますと、一審、二審、三審と経たような場合にはなかなか手数がかかるわけでございます。すなわち、一審、二審、三審でそれぞれ訴訟費用の負担を命ぜられたような場合には、そのそれぞれの審級に皆行かなければならないというようなことになりますので、この際これを
裁判所のルールに譲りまして、どこか一カ所の
裁判所で
手続ができるようにしたいというのが、この前段の
改正でございます。
後段の十日を二十日に改めるというのは、訴訟費用の負担を命ずる
裁判の確定後二十日ぐらいは、その
猶予期間を認めてやらなければ、結局
本人の利益の
保護に全きを期し得ないというのが、この
改正の趣旨でございます。
なお附則は、準備の都合等もありまして、公布の日から起算して九十日を経過した日から施行するという規定、その他経過的な規定を置いた次第でございます。
以上大変簡単でございますが、一応御
説明申し上げた次第でございます。