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1953-03-03 第15回国会 参議院 法務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月三日(火曜日)    午前十一時十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中山 福藏君    理事            長谷山行毅君            伊藤  修君            鬼丸 義齊君    委員            加藤 武徳君            郡  祐一君            岡部  常君            齋  武雄君   政府委員    法務政務次官  押谷 富三君    法務大臣官房経    理部長     天野 武一君    法務大臣官房調    査部長     位野木益雄君    法務省刑事局長 岡原 昌男君    法務省保護局長 斎藤 三郎君    法務省人権擁護    局長      戸田 正直君    公安調査庁総務    部長      関   之君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  眞道君   説明員    最高裁判所長官    代理者    (事務総局総務    局第一課長)  磯崎 良誉君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局人事    局長)     鈴木 忠一君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局人事    局給与課長)  守田  直君   —————————————   本日の会議に付した事件検察裁判及び行刑の運営等に関する  調査の件(昭和二十八年度法務省関  係予算に関する件) ○下級裁判所設立及び管轄区域に関  する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○刑法等の一部を改正する法律案(内  閣送付) ○刑事訴訟法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○判事補の職権の特例等に関する法律  の一部を改正する法律案(内閣送  付) ○連合委員会開会の件 ○政府に対する申入れに関する件   —————————————
  2. 中山福藏

    委員長中山福藏君) これより委員会を開きます。  本日は先ず昭和二十八年度法務省関係予算に関する件を議題に供します。本件につきましては、先般すでに政府より説明を聴取いたしておりますので、本日は質疑を行いたいと思います。御質疑のありますかたは御発言を願います。ございませんか。
  3. 伊藤修

    伊藤修君 予算に直接関係はありませんけれども、間接には関連性を持つておりますが、いわゆる刑務協会収支につきまして、新聞紙上に伝えられておるのを見ますと、一億二千万円の国庫に納入すべき金が未払いになつておる、或いは八千万円のその他の民間債務を背負つておるというような詳細な記事が出ておるのですが、これに対しまして、法務省としての収入関係において、これらの予算についてはどうなつておるのですか。その点を先ずお聞きしたい。
  4. 天野武一

    政府委員天野武一君) 只今お尋ね刑務協会に対しまして、国が債権を持つておるということは御指摘の通りであります。これを来年度予算においてどういうふうに反映するかということになりますが、来年度予算歳入見込には、来年度租税収入だけを見ております。本年度までの未収ということは考慮に入れてございません。
  5. 伊藤修

    伊藤修君 こういうような杜撰なあり方において法務省予算というものを組まれておる。収入すべきものを収入せずして、それを看過して行くという建前をとつておるのか、それともこれに対して何らかの監督権の発動を促して、これを急速に解決する方法を考えておられるのか。
  6. 天野武一

    政府委員天野武一君) 勿論刑務協会の持つておる債権については回収に努めておる次第であります。回収できるという前提の下にやつております。
  7. 伊藤修

    伊藤修君 回収できるということは、どういう建前を以つて回収できるという確信を持つておりますか。
  8. 天野武一

    政府委員天野武一君) 刑務協会の実際の実情を監督しませんので、よくわかりませんけれども債権未収ということは、刑務協会自身も又債権を持つておりますので、その未収と、それからいろいろ再建計画を立てておりますので、それから刑務協会協会員でございまする全国矯正職員刑務協会再建のためにいろいろ醵金するということでございまして、そういうようなことで建直す方法が講ぜられておりますので、それを期待しておるわけであります。
  9. 伊藤修

    伊藤修君 寄附金や何か不確定な収入当てにして、それが回収可能な金額だということは納得できないのです。ここの新聞によつて示されていることによりますと、将来全国刑務所の扱うところの原資材の購入を一手に引受ける、若しくはこの刑務所生産されたところの製品を一手に引受けて、それによるところの利潤を以てこれをカバーしようというような計画が発表されておりますが、こうした点を考慮に入れての整理方法を考えておられるのか、それとも今おつしやつたように、寄附金でという漠然たる未知数の収入当てにして、これを整理しようとする考え方ですか。
  10. 天野武一

    政府委員天野武一君) 今お尋ねの点にお答えいたします。ざつくばらんに申しまして、刑務協会に対する国が債権をうまく回収しようということを考えれば、例えば刑務協会を通して品物を刑務所が買う場合にはよそよりも高く、或いは刑務協会の物を売る場合はよそよりも安くするということが考えられるわけであります。併しこれは私ども国経理に携わつておる者としては勿論厳禁しなければならない。そういうふうな会計法規に違反するようなことは絶対にできない。でありますから、刑務協会なるが故に有利に我々のほうでは扱うということは一切いたさない。そこで只今申しましたような、専らそういうことでなく、国の負担のかからない方法再建を期待する、そして債権回収を行おうというふうに考えております。それがどうしてもできなかつたという場合も勿論考えられるのであります。そのときにどうするかということは、刑務協会のほうで矯正職員をもその業務に参画させまして、再建に努力しているので待つてくれていうことでございますので、それを見ておるわけでございます。
  11. 伊藤修

    伊藤修君 これは相当久しきに亘つて行われたことで、戦後におけるところの物資不足という一つ経済事情に恵まれて、たまたま刑務協会のこうしたあり方について利潤を考えられておつたと思うのですが、その後におけるところの国内の生産の過剰が、結局はこうした役人商売ということを不能ならしめたということが最大原因だと思うのですが、今後この刑務協会がこうした事態に処して従来と同様な立場においてこの種の事業を継続するならば、より以上負債を重ねることと私は思う。従来の二億に亘るところの負債整理するということは到底望み得ないと思うのであります。かようなあり方において、刑務協会というものが折角いろいろな面において貢献するところの、多いこうした団体が、財政的においてこういう破綻を来たすということは、結局は法務省監督官立場において、こうした面についての御注意が足らなかつたことと思うのであります。殊に財政面において国家にあれだけの損失を来たさせることは予見し得られるのです。恐らくあなたがおつしやるように回収されることは想像できない。従来においてすらこれだけの損失がある、今後の経済社会に処してお役人商売というものが一般商人を凌駕して、より以上の収入を上げて過去の債務を充填し、なお将来の余力を残すというようなことは考えられません。練達堪能な商人ですら、今日の経済界に処することは不可能な事態です。いわんやお役人仕事としての片手間になされるところの商売において、そうしたことは期待できないと思うのであります。結局は国家損失じやないかと思う。これは当局のように漫然たるところの態度がこうしたことに至らしめたと言わなければならない。私は責任をあなたたちに問いたいと思う。
  12. 天野武一

    政府委員天野武一君) 只今刑務協会がかような不仕末の状況に立至つたの伊藤委員のおつしやる通り実情でございます。およそ事業を経営するのには相当額の資本を元来持つていなければならないのであります。それから又事業経理については、業界の表裏の機微に十分通じていなければならんにかかわらず、そういう方面の能力に欠けており、熱意もなく、専ら統制物資一手扱いのときのあのままの気持で今日まで来たというのであります。その中には、職員の中にも必ずしも適格でない、むしろ私利を図つて協会のためを思わないのじやないかと思われるような行動に出た者等ありまして、結局はああなつたのであります。刑務協会業務につきましては、実は矯正局の幹部がそれぞれ非常に緊密な連絡を持つておりましたので、私ども経理を持つておる者といたしましては、実は本当にこういうように内容が悪いとわかりましたのは去年の夏頃でありました。それまでは全く知らなかつたのであります。と申しますのは、歳入の面、つまり刑務作業の面では刑務協会は全くその通りに、少しく俗な言葉で言えば穴をあけないで一生懸命納入に努めて参りました。中を割つて見ますと、国損を少しもあけてはならないというような意味から、非常に全く高い利子の金をよそから借りたりして工面しておる、だんだん借金が多くなつて来るという状況でございます。経理担当者といたしまして、取引の相手方である、かようなものに実情を軽く信じ過ぎたということにつきましては誠に申訳ないと存じます。業務そのもの監督者といたしましては、又別にございますので、私からそれだけのことを申上げまして、誠に遺憾である、申訳ないということを申上げます。
  13. 伊藤修

    伊藤修君 私は刑務協会の持つところの職責、目的というものに対しては敬意を払う。これが国家の行刑問題に対して多大の貢献をされたことは認めます。併したまたまその活動に要するところの資金を求めるために、こうしたいわゆる武士気質商売をなされて、大きな穴をあけられたということに対しましては誠に遺憾に堪えない。殊に問題は法務関係というもの、司法関係というものは国民から崇敬の的になつてつて、いやしくも間違いのあり得べからざるところの官庁だと、かように固く信じられておる。その官庁の一部とは申しませんが、それに繋がるところの刑務協会においてこうした不始末がなされる、一般民間人にも、国家にも勿論ですが、一般民間人にも多大の損害をこうむらしめるに至らしめたということに対しましては、私は法務省威信の点から申しましても誠に遺憾に堪えないと思います。押谷政務次官はどう考えますか、これに対する所信を伺いたいのであります。
  14. 押谷富三

    政府委員押谷富三君) 特にかような問題に対しては厳格でなければならん法務省所管関係におきまして、伊藤委員が言われましたような不始末が各所にありますることは誠に恐縮をいたしております。いろいろ内容についての御答弁をいたしますことは、天野経理部長から言われた通りでありますが、今度のことにつきまして、できましたことは十分政府責任を感じておるつもりでございますから、伊藤委員の御発言の御趣旨をよく尊重し善処をいたしたいと考えます。
  15. 伊藤修

    伊藤修君 最後に一言申上げたいことは、こうしたことは余りに長きに亘つて放任することは却つて問題を混乱せしめる虞れがある。又かたがた法務省威信に関することでありますから、直接の所管事項ではないかも知れませんが、いわゆる歳入面に対する繋がりというものはあるのですから、そういう点を考えまして、進んで法務省若しくは所管経理局のほうにおいて、これに対して協力して片付けることに十分努力して頂きたいと思います。
  16. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 建直し方法などはちつとも考えていないじやないか。ただ善処するだけではわからない。はつきり言つて下さい。
  17. 天野武一

    政府委員天野武一君) 建直し方法は目下刑務協会として努力中のことにも属するのでありまするが、今考えておりますことは、一つ債権者に対する措置でございます。これはあちこちに債権者がございますが、債権者集会刑務協会で催したそうでございます。それできまりましたことは、債権額の四割を二十八年度の四月末までに払うということ、それから残りの六割はこれを五月以降五カ年間の分割弁済にするということについて債権者集会の了解を得た。それから業務計画を合理的に進めて行く、これは責任者以下、能力のある者を以て配置いたしまして、危険の多い事業は勿論これを避け、そして注文生産委託加工等における加工手数料等に重点を置きまして、年間約三千万円の利益を上げるようにして五カ年間にその債務を弁済しよう、同時に自分自身の持つておる債権取立てについても努力しよう、こういうことでございます。
  18. 中山福藏

    委員長中山福藏君) その五ケ年間の債務の返債の方法というのは何か裏付でもありますか。ただそういう計画をしたというだけにとどまるのでしようか。それを保証する何らかの手を打たれておりますか。これを一つお聞きしておきたいと思います。
  19. 天野武一

    政府委員天野武一君) 只今折衝しておりませんので、詳しいことを当事者でないので存じませんが、はつきりとしたことを申上げますと間違いますから、よく存じませんけれども……。
  20. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 官庁計画というものは大概あなたたちの地位が転転としてお変りになるのだから、ただ契約のしつ放して、帚星の尾みたいになることが多いのですから、十分その点は責任を以て善処されんことを私は特にこの際お願いいたしておきます。
  21. 天野武一

    政府委員天野武一君) 承知いたしました。
  22. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 他に御質疑ございませんか。
  23. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 最近重大事犯捜査についているく捜査費が足りないというふうなことを耳にしておりますが、本年度予算をみますると、約八千万円前年度予算より減額されておりますが、これはどういう理由からですか。
  24. 天野武一

    政府委員天野武一君) 捜査費のいわゆる検察旅費減額最高検察庁において約四千四百万円でございます。これは二十七年度におきましては、捜査旅費最高検察庁高等検察庁地方検察庁にそれぞれ組織別に入れてございましたが、今度は全国的に統一した配付を行おうということで最高検察庁一つに取りあえず入れまして、そのために非常に最高検察庁のところが減つた形になつておりますので、結局全国的にこれだけ減つたということが言えます。これは一般庁費につきまして、それから旅費につきまして、御存じの通りに、昨年従来の五分或いは一割減という全部に亘つて査定方針をとられました結果であります。併しこの捜査費につきましては、これが約三%、前回お配ばりした資料にございますように三%の減でとどめてございます。今後突発的な事件があれば勿論予備費等の措置によつてこれを増額すべきものであろう、こういうふうに存じます。
  25. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 前回お配りになつたこの表のうちの検察費というのはどういう項目でございますか。最後の……。
  26. 天野武一

    政府委員天野武一君) 検察費の中には勿論只今検察旅費を含めますし、その他検察活動に当然必要な庁費をも含むのであります。さような意味でございます。
  27. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 検察庁庁舎の新営費とか、或いは増築或いは修繕費というようなものはどの項目になりますか。
  28. 天野武一

    政府委員天野武一君) これは営繕費で、ございまして、只今前回お配りしました資料のうち二枚目の組織別比較表というのがございます。組織別比較表というのがございますが、その上から法務本省としての一の中のイ、ロとございますが、そのロでございます。ロ、営繕経費、それに法務省所管営繕経費が全部まとめて出てございます。十億七千五百四十七万七千円というのが前年度で、本年度は十億四百一万一千円、かように相成ります。
  29. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 これも大分減額になつているようですが、どういう理由ですか。
  30. 天野武一

    政府委員天野武一君) これもおつしやる通り減額になりまして、これは是非とも営繕費をもう少し欲しかつたのでありますけれども、全体の、つまり総額国家財政計画総額がきまつておりますので、こういうふうな大きな金額の分はどうしても影響を受けまして、前年度より多少減さざるを得なかつたわけであります。ただここに七千百四十四万の減となつておりますが、これは法務省所管営繕費でありまして、このほか前回説明申上げましたように、建設省営繕費の中に法務省所管営繕の二億程度の金が入つております。
  31. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 検事或いは副検事等の官舎が非常に不足しておるために、或る地方においては転任になつても家がない、そのためにわざわざ検事自身が家を買つたというふうな例さえも聞いておりますが、そういう際にこれに対する手当が十分行届かないで、むしろ前年度より減額するということは我々として誠に遺憾に思うのですが、そういうことについて大蔵省との査定の折衝においてまだ熱意が足りないとか、何とか、そういうことがあるんじやないかと思うのですが、そうした事情があるならば御説明願いたいと思います。
  32. 天野武一

    政府委員天野武一君) 営繕費の点につきまして長谷山さんより御激励を受けまして、誠に恐縮でございますが、熱意が足りなかつたために思うようにとれなかつたという点についても、決してなかつたとは言えません。それからなお只今お話宿舎につきましては、これはここにございます営繕費とは別でございまして、これは全部全官庁を集めまして宿舎費というものが別に建設省のほうに入つております。今年度予算書で見ますと、全部で十億でありまして、その予算がきまりましたら、その十億をどういうふうに各省で使うかという、各省所管する建物或いは大蔵省所管する建物をどういうふうに建ててもらうかということを折衝しておりまして、宿舎関係は全部そのほうの予算に入れて考えておるということを御了承願いたいと思います。
  33. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 今の建設省予算の需要、この配分ですが、これは法務関係かたがたは十分痛感されていることと思うのですが、住宅がないために或る地方で無理して宿舎を借りる。そうすると、そことの何か関連があるんじやないか。事件捜査の上でもいろいろ疑惑の目を以て見られるというふうな事情もある場合を私ども耳にしておるのでありますが、そういう点を十分お考えの上で、どうか法務省関係のこうした庁舎費については十分熱意を以て折衝することを希望しておきます。
  34. 天野武一

    政府委員天野武一君) 誠に私ども宿舎がないために検事異動にも差支えがあるし、それから職務遂行の上にもいろいろな支障があるということを痛感しておりますし、又各地からしよつちゆう訴えて来ております。何とかして少しずつでもこれを解決したいと、かように存じております。なお先ほど私間違いまして、宿舎費建設省に計上してあると言いましたが、これは大蔵省の計上の間違いでございますから訂正しておきます。
  35. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 他に御発言ございませんか……。他に御発言がなければ、本件はこの程度にいたします。   —————————————
  36. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 次に、先般付託されました下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律案の一部を改正する法律案、本院先議議題に供します。先ず政府説明を聴取いたします。
  37. 押谷富三

    政府委員押谷富三君) 只今議題になりました下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について提案理由を申上げます。今回の改正の要点は、次の三点であります。  第一点は、簡易裁判所管轄区域変更であります。即ち西大寺市の設置に伴い、牛窓簡易裁判所管内岡山邑久郡旧豊村、旧太伯村、旧幸島村及び旧邑久町長沼の地域岡山簡易裁判所管轄に、岡山県吉備郡真備町の設置に伴い、玉島簡易裁判所管内の同郡旧呉妹村の地域倉敷簡易裁判所管轄に、鳥取県八頭郡船岡町の設置に伴い、若桜簡易裁判所管内の同郡旧隼村の地域河原簡易裁判所管轄に、又、土地状況等に鑑み、本山簡易裁判所管内高知県土佐郡本川村を高知簡易裁判所管轄にそれぞれ変更しようとするものであります。  第二点は、簡易裁判所の所在地及び名称変更であります。即ち土地状況等に鑑み、青森県下北郡大湊町所在の大湊簡易裁判所を同郡田名部町に移転し、その名称田名部簡易裁判所に改め、又、富山県東礪波礪波町の設置に伴い、出町簡易裁判所名称礪波簡易裁判所に、大船渡市の設置に伴い、盛簡易裁判所名称大船渡簡易裁判所にそれぞれ改めようとするものであります。  第三点は、市町村廃置分合による行政区画変更市町村名称変更等に伴うこの法律の別表の整理でありまして、これについては改めて御説明申上げるまでもないと存じます。なお右の第一点と第二点とにつきましては、いずれも地元市町村関係官公署弁護士会等の意見を十分斟酌し、最高裁判所とも協議して決定したものであります。  以上簡単にこの法律案提案理由を申上げました。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  38. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 本案に対する質疑は次回に譲ることといたします。   —————————————
  39. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 次に刑法等の一部を改正する法律案議題に供します。本案予備審査でございます。先ず政府より提案理由説明を聴取いたします。
  40. 押谷富三

    政府委員押谷富三君) 只今上程に相成りました刑法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  この法律案は、刑法刑事訴訟法犯罪者予防更生法及び更正緊急保護法の一部を改正し、犯罪対策に寄与せんとするものであります。  終戦後犯罪の激増に伴い受刑者の増加と共に、執行猶予言渡を受ける者も激増し、同時に執行猶予取消も激増しましたが、現行の執行猶予制度においては、何ら本人に必要な保護と指導を加えることができないし、一方執行猶予要件が厳格で、前科のない者か、前科のある者は執行終了後七年を経なければ執行猶予を付けることができないこととなつているのであります。執行猶予中の者は、例えば軽微な窃盗を犯し、その事情酌量すべきものであつても、必ず実刑を科し、前の執行猶予取消さなければならないこととなつているのであります。以上のような点に鑑み、本法案は執行猶予要件を適当に緩和すると同時に、執行猶予中必要のある者に対しては裁判言渡により保護観察に付することとし、これに必要な手続を定めるものであります。  即ち、刑法改正案におきましては、先づ刑法第二十五条で執行猶予に付し得る条件として規定された「前に禁錮以上の刑に処せられたことがあつても其執行を終り又は執行の免除を得た日より七年以内に禁錮以上の刑に処せられたることなき者」という制限を「五年以内」に短縮し、又執行猶予中の者であつても、軽微な犯罪により刑期「一年以下の懲役又は禁錮」に処すべき場合であつて「情状特に憫諒すべきものあるとき」は再度の執行猶予を与え得る規定を設けて、執行猶予に付し得る場合の幅を拡張緩和し、同時に其の裏付けとして、再度の執行猶予に付された者は其の猶予期間中は必らず保護観察に付することとし、其の他の執行猶予者については必要ありと認める場合、保護観察に付し得ることにしているのであります。  刑事訴訟法改正案は、右の刑法改正に伴いまして、刑の執行猶予に加えて保護観察に付することにする場合は、刑の言渡と同時に判決で言渡すことにいたしますると共に、保護観察中の遵守事項違反理由として執行猶予言渡取消すことができることとし、その手続として、検察官はその者の保護観察を担当した保護観察所の長の申出に基き裁判所に請求することにし、なお裁判所の審理についても本人の請求があれば口頭弁論を経ることにし、且つその場合は弁護人の選任を許すことにし、又執行猶予取消決定に対しては即時抗告を許して、その者に不測の不利益を帰せしめないようにするものであります。  犯罪者予防更生法改正案は、以上の改正により執行猶予保護観察に付された者をこの法律によつて保護観察に付すことを明らかにし、次に保護観察に付された者が、保護観察中守らなければならない遵守事項に違背した場合には、他の種類の保護観察対象者と同じように、裁判官のあらかじめ発する引致状により引致し得ることにし、更に現行法の仮退院少年の再収容を審理するときと同じように、執行猶予取消の要否を審理するため引致後十日以内これを留置し得ることにし、検察官から執行猶予取消請求があつたときは、裁判所はその請求について決定をするまで留置を継続することができるものとし、但しその留置の期間は、引致後通じて二十日を越えることができないものとし、又本人の請求により口頭弁論を経て決定すべき場合には、裁判所は、決定で更に十日間に限り、留置の期間を延長することができるものとし、なお右の期間内に刑の執行猶予取消決定があつたときは、その決定が確定するまで留置を継続することができるものとし、これらの留置期間は、すべてこれを刑期に算入するものとするものであります。  更生緊急保護法の改正案は、執行猶予者保護観察に付されない者が身体の拘束を解かれた後、或いは帰住先がなく、或いは就職口がなく再犯に陥る危険がある場合に、本人の申出に基き、一定期間に限り、これを保護し得ることにするものであります。  なお、附則においては、此の法律を施行する日を規定するほか、この法律の施行前に罪を犯した者及びすでに少年で刑の執行猶予に付せられ現行法で保護観察に付されている者に対しては、この法律の施行により不利益を帰せしめないようにする経過規定を設けているのであります。  以上申述べましたように、犯罪をした者の改善更生には、できる限り刑の執行を避けて、これを保護観察に付し、その成績に応じて刑の執行考慮することが最も必要であると考慮して、この法律案を提出いたした次第であります。
  41. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 本案につきまして更に事務当局より詳細説明を聴取いたしたいと思います。斎藤保護局長
  42. 斎藤三郎

    政府委員(斎藤三郎君) 逐条に亘りまして御説明を申上げます。  第一条の刑法改正は、只今提案理由で述べました通りに、執行猶予要件を緩和いたし、同時に執行猶予中、執行猶予なつた者であつて必要な者に対しては保護観察を加えて、再び再犯のないようにいたしたい、こういう趣旨でございますので、刑法の第二十五条、即ち現行法の執行猶予要件に関する規定に改正を加えようとするものでございます。その第一点として、現行刑法の第二十五条では、初犯の者か、前科のある者は、その刑の執行を終り、或いは免除を受けてから七年以内に再び禁錮以上の刑に処せられたことがない者に限つておるのでございますが、以上のような趣旨から、その七年という期間を五年に短縮しようとするものでございます。同時に緩和の第二点といたしまして、現行法では執行猶予中の犯罪でありますると、如何に軽微な犯罪であり、又裁判官が審議の結果、情状酌量すべきものがあると考えましても、有罪ということになりますると、実刑を科さなければならない、こういうことに相成つておりまするが、それを改めまして、前に禁錮以上の刑に処せられて、その執行猶予に処せられたる者が一年以下の刑、又は禁錮言渡を受け、即ち法定刑ではなくして、一年以下の体刑の言渡を受け、而もその間の情状が特に酌量すべきものがあるときは再び執行猶予ができ得ることにいたそうとするものでございます。そして、その但書におきましては、新たに加えようとしまする二十五条ノ二の保護観察中に、執行猶予中特に裁判所の認定によりまして再犯の虞れがある。適当な指導、監督、補導、援護を加える必要があるということで保護観察に付せられたる者が再び罪を犯したという場合は重ねて執行猶予はできない。こういうことにいたそうとするものでございます。即ち二回までは執行猶予がなし得る。併し二回目には必ず保護観察を付ける。そして国家保護観察に対して服さない、そして更に三度目の犯罪を犯したという場合には保護観察では賄い得ないものとして、止むを得ずこれは刑の実刑を言渡す。こういうことにいたそうとするものでございます。  次の二十五条の次に次の一条を加える。第二十五条ノ二というのを新設しようとしているものでございまするが、これは現在の執行猶予の制度が無条件の執行猶予でございまして、その間何ら指導も受けないと同時に、国家保護も法的には受けない、こういうことに相成つております。そして終戦後犯罪がだんだん殖えて参りまして、同時に執行猶予も非常に殖えて参つております。昭和二十三、四年頃の統計では、実刑になる者と執行猶予になる者が殆んど同じくらいの数、或いは年によつて執行猶予になる者が多いというようなことになつておりますと同時に、執行猶予取消の率、絶対数がだんだん殖えて参つております。而もその間の事情を統計上より見ますると、窃盗等は、二十五年の統計であつたと存じまするが、三割ぐらいは執行猶予取消しになつておりますと同時に、特別刑法犯等については取消の率が非常に少い。窃盗等のような犯罪にはやはり保護観察を付ける必要がある。保護観察によつて再犯を防止できるのではないか。こういうようなことが窺われますので、二十五条ノニにおきましては、前段はこれは最初の執行猶予でございます。その場合には裁判所が罪質、本人の性格或いは本人の置かれておる環境等を十分調査の上保護観察を付ける必要がある。保護観察によつて再犯を防止する必要があるというような場合には、保護観察を付けることができる、こういうことにいたそうとするものでございます。即ち現在の無条件の保護観察付きの執行猶予も当然あるであろうと存じまするが、罪質、本人の性格その他の条件によつて必要なる場合には保護観察を付けることができる、そうして後段の場合は第二回目の執行猶予の場合で、ございまして、この場合は当然裁判所保護観察を付ける、こういうことにいたそうとするものでございます。なお「保護観察二付テハ別二法律ヲ以テ之ヲ定ム」、こうございまするが、これは昭和二十四年五月より犯罪者予防更生法が施行せられて今日に至つておりまして、その法律によりまして、仮出獄者或いは少年院から仮退院になつておる者、或いは家庭裁判所から保護観察に付されておる者、こういう者に対しての保護観察を実施いたしております。そのことをこの刑法の条文で明らかにいたし、この法律によつてつて行く、こういうことを予定して書いてあるのでございます。  次に二十六条は執行猶予取消事由についてでございます。現行法は二十六条の一本でございまして、一号におきましては必ず取消す場合、二号においては取消すことができるということにいたしておりまするが、執行猶予の制度がかように複雑と言いまするか、幅が広くなつて参りましたので、二十六条に必ず取消す場合、二十六条ノ二を新設いたしまして取消すことができる場合、こういうふうに分けてございまして、二十六条の一号におきましては、執行猶予の期間内に更に犯罪を犯した、更に禁錮以上の刑に処せられた、而もその刑につき再度の執行猶予言渡がなかつたとき、こういう場合には必ず取消す、第二号におきましては、猶予の言渡前に犯した他の罪について猶予の期間中に禁錮以上の刑に処せられた、而も執行猶予言渡がなく実刑の言渡があつた場合、そうして第三号におきましては、執行猶予の判決当時裁判所においてその者がその前に禁錮以上の刑に処せられたということがわからずして言渡され、その後になつてその事実が発覚した、而もその禁錮以上の刑が実刑であつた場合、これは必要な取消事由として第三号に掲げてあるわけでございます。  次に新設の二十六ノ二は、裁判所が事案を取調べの上情状により取消すことができる、こういうことにいたす裁量的取消事由を掲げてあるのでございます。第一号は猶予の期間中に更に罪を犯して罰金に処せられた場合、これは現行法と同様でございます。次に第二号は、新たに二度目の執行猶予、而も二度目の執行猶予には保護観察を付ける、その保護観察に付された者が遵守すべき事項を遵守しなかつた、この遵守すべき事項は二十五条ノ二の「保護観察ニ付テハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム」、この法律の中に現在遵守しなければならない事項を規定いたしております。即ち犯罪者予防更生法の三十四条の第二項に四つの事由を挙げてございます。その事由というのは、当然善良なる市民生活を行う者がどうしても守らなければならない事由でございまして、第一号においては一定の住居に居住し、そして正業に就く、こういうのがその他三号ございます。この遵守すべき事項を遵守しなかつたという場合に、裁判所が取調をして、そうしてその事情がよろしくないという場合には取消すことができる、こういう趣旨で第二項第二号を書いておるのでございます。次に第三号は、執行猶予言渡前に他の罪に付き禁錮以上の刑に処せられた、而もその刑が執行猶予になつてつたという場合には、事案によつて裁判所が或いは取消し、或いはそのままにする、こういうことにいたしたのでございます。現行法はこの二十六条ノ三号と二十六条ノ二の三号を一本にいたしまして、必要なる取消事由にいたしてございまするが、今回は再度の執行猶予を認めているということから、裁判所が知らずして執行猶予をやつてあとで発覚した、その猶予の言渡前の他の罪につき場合を分けて、実刑の場合は必要的取消事由とし、執行猶予の場合には必要に応じて取消す、こういうような裁量的取消事由にそれを分けて書いてあるのでございます。  次に二十六条ノ三は、かように二度目の執行猶予がございまして、その後更に犯罪を犯した等のことによつて取消されるという場合にはそれを全部取消す、こういうことにいたしておるのでございまして、この規定がありませんと、片方において執行猶予取消し刑を執行し、片方において一つの刑については執行猶予取消されない、而も保護観察が付いているという場合が起り得る。執行猶予に伴う保護観察中のその本人刑務所に入つておるということがあつては平仄が合わないのでございまして、さようなことのないよう、執行猶予取消す場合は、二つある場合には二つとも取消す、こういうことにいたしてございます。  二十九条は、これは形式上の問題でございまして現行法の第二十九条の一項の四号は、「仮出獄取締規則ニ違背シタルトキ」、こういうことになつておるのを、「仮出獄中、遵守ス可キ事項ヲ遵守セザリシトキ」、こういうことに改めようとするものでございます。これは現行法で仮出獄取締規則、こういうふうに規定しておりまするが、この規則という形式的な規則はなくして、犯罪者予防更生法執行前は監獄法に仮出獄中守らなければならない事項を規定し、現在は犯罪者予防更生法三十四条第二項に仮出獄中守らなければならん事項を規定して、これがここに言う仮出獄取締規則に当るわけでございます。今回は刑法のすぐ前の二十六条のところで、二十六条ノ二の二号に「第二十五条ノ二ノ保護観察ニ付セラレタル者遵守ス可キ事項ヲ遵守セザリシトキ」、こういうふうに明言して、これが即ち犯罪者予防更生法の三十四条の第二項に当るのであり、而も第二十九条の仮出獄取締規則というものは、やはり同じ犯罪者予防更生法の三十四条の第二項だと、こういうことで同じ刑法の中で甚だ恰好が食い違つておりますので、これを合わせるためにかような改正をいたそうとするものでございまして、いわば形式的に法律の形を揃えようとするものでございます。  次に第二条の刑事に訴訟法の改正でございまするが、これはかように執行猶予の制度を改めまして、それについての手続を規定せんとするものでございます。即ち第三百三十三条第二項に、これは執行猶予言渡をする場合は判決でそのことを言渡すという規定に続きまして、刑法第二十五条ノ二第一項の規定により、即ち保護観察を付けるという場合には、やはり判決で執行猶予の期間中保護観察を付する、こういうことを言渡す、こういうことを規定せんとするものでございます。  次に第三百四十九条第二項の改正でございます。三百四十九条は、これは執行猶予取消に関する手続でございまして、現在は保護観察付きの執行猶予がございませんので、検察官から裁判所に請求することになつておりまするが、今度保護観察中のものについて、保護観察中守らなければならなかつた事項を守らなかつたという場合には、本人保護観察を担当しておつた保護観察所の長が検察官に申出でて、そうしてそれによつて検察官が裁判所に対して執行猶予取消を請求するようにいたそうとするものでございます。  次に三百四十九条ノ二は、現行法の三百四十九条の取消手続についての規定をここに新たな一条として、今度の改正の分を加えて書こうとするもので、ございまして執行猶予取消の請求があつたときは、裁判所は、猶予の言渡を受けた者、又はその代理人の意見を聞いて決定しなければならない。これは現行法の通りでございますが、その場合において、その請求が刑法の第二十六条ノ二第二号、即ち保護観察遵守事項を守らなかつたと、こういう理由による執行猶予取消を求めたとき、而も本人から請求があつたときには手続を慎重にするために口頭弁論を経なければならない。こういうことにいたそうとするものでございます。御承知のように、現在の現行法の執行猶予取消は、確定判決があつたあと、執行猶予中に新たに犯罪を犯す等のことによりまして、判決があつて、その判決のあつたということを理由にして取消すものでございまするが、今度の遵守事項は、それといささか趣きを異にしておりまするので、本人の利益を害することのないように、本人の請求があつた場合には口頭弁論という手続を経るようにいたそうとするものでございます。そうしてこの第二項、第三項におきまして、口頭弁論を経る場合には、本人弁護人の選任をすることができる。そうしてこの口頭弁論を経る場合には、検察官は保護観察中の成績、その成績等についてのことも重要なる資料になりますので、裁判所の許可を得て保護観察官に意見を述べさせることができる。それから第一項の決定に対しては、その決定に対して即時抗告ができることになつております。  次に第三条は、以上のような改正に伴いまして、犯罪者予防更生法の一部を改正せんとするものであります。第三十三条は、犯罪者予防更生法によつて保護観察になる対象者を掲げているものでございまして、現行法の改正せられるところの四号というのは、現行法で十八才未満で執行猶予なつた者について、当然に保護観察されることになつているのでございまするが、今回はすべて少年であろうと、成人であろうと、裁判所が必要に応じて保護観察を付ける、こういうことになりましたので、刑法第二十五条ノ二の第一項の規定によつて保護観察に付せられた者が犯罪者予防更生法の対象になつて保護観察を受けるのであるというふうに改めようとするものでございます。刑法の二十五条ノ二の第二項の「保護観察ニ付テハ別ニ法律ヲ以テ之ヲ定ム」というのと平仄を合わせようとするものでございます。  次の第四十一条第二項及び第三項の改正でございまするが、これは保護観察に付されている者について地方委員会が引致していろいろな事情を調査する。その引致についての規定でございまするが、今回は保護観察所執行猶予の者に対して裁判所保護観察に付する場合、その保護観察を司るということに改正になりますので、これと歩調を揃えて、引致の権限をさような場合に保護観察所の長に与えようとするものでございます。  次に、第四十五条は留置の規定でございまして、現行法では地方委員会が少年院から仮退院の者について、成績が思わしくない。どうしてももう一度改めて少年院に戻し収容を申請する場合及び仮出獄の取消を決定するため審理を必要とする場合に、裁判官の発した引致状によつて引致した者について審理開始の決定をすれば留置ができると、こういうことになつておりまするけれども、今回は保護観察所の長が裁判官の発した引致状によつて本人を引致し、更に執行猶予取消を検察官に申出るという場合は、どうしても身柄の規定が必要となつて参りますので、それを加え、地方委員会と共に保護観察の長が審理開始の決定をして本人を留置できるようにするものでございます。第三項は、仮退院中の者又は刑の執行を猶予されて執行猶予になつている者について、家庭裁判所に対して、少年院に戻し収容の申請をする。或いは刑事訴訟法三百四十九条によつて裁判所執行猶予取消を請求をする場合には、審理開始の決定をすれば十日間本人を留置することができる。そうしてその申請なり或いは裁判所執行猶予の請求をすれば、裁判所の審理の期間として更に十日を見る。結局通じて留置の期間は二十日を超えることができない、かようにいたそうとするものでございまして、現行法では仮退院中の者についてだけ地方委員会が十日間、そうして家庭裁判所が十日間ということになつておりましたのと合わせまして、これは執行猶予中の者について保護観察所或いは検察官が、捜査と言いますか、取調べるために十日間、裁判官が十日、通じて二十日を超えることができない、かように改正しようとするものでございます。  次にこの規定が、順序が錯雑いたしておりまして、御了解困難かと存じますが、新たな四項におきまして、原則としては留置の期間は通じて二十日ということにいたしておりますが、本人からの請求があつて口頭弁論の請求があつたときは、手続がやや複雑になりますので、その慎重な審理のために更に十日を限つて、結局最高三十日まで留置ができる。こういうことに四項は改めようとするものでございます。そうしてその口頭弁論の請求があつて三十日、その期間内に執行猶予言渡取消すという裁判所の決定がありますと、その決定が確定するまで継続して留置することができるというふうに五項は規定しておりまして、結局即時抗告を認めておりまするもので提起期間の三日間は執行の力がございませんし、更に再抗告すれば裁判所の決定まで執行ができませんので、その確定するまで継続して留置することができる。こういうふうに五項において規定しているものでございます。  次に、さような二十日或いは三十日或いは継続留置、かような留置の期間は執行猶予言渡取消された場合には刑に算入する、これが第七項でございます。  次に四十六条の見出しを現行法では「(検察官への通告)」になつておりまするものを「(検察官への申出)」ということに改める。それから現行法では「地方裁判所」だけに十八才未満の少年についての取消の通告をいたすことになつておりまするのを「地方裁判所又は簡易裁判所」と、こういうことにいたそうとするものであります。更にその手続は書面でいたそうということで、そのことも改めようとするものであります。  次に更生緊急保護法の一部を改正する点でございますが、更生緊急保護法は、保護観察に付されないような満期釈放者或いは刑の執行猶予でいきなり身柄を拘束されておつた者が社会に帰されたという場合に、本人からの申出によつて国家本人保護を加える、こういうことを狙つておる法律でございまするが、その第一条を改めまして執行猶予になつて保護観察を受ける者については国家は当然犯罪者予防更生法によつて保護観察として保護を加えるのでありまするが、保護観察に付されなかつた場合には、やはり必要な場合には本人の申出によつて保護をするという必要がございますので、これを対象者となし得るように第一項の第三号を改めようとするものであります。  次に附則でございまするが、附則におきましては、この制度は裁判所と十分実施上についていろいろと打合せもし、又ルール等も必要になるかと存じまするし、又裁判官の会同なり或いは保護観察官にこの実施について十分心がまえを作つてもらい、又その手続について十分了知させなければならないので、若干の準備期間が要ると思います。さような関係で十二月三十一日までの間に政令で施行期日を定めようとするものでございます。次に第二項は、現在法律施行前に犯されたものについては、初度目の執行猶予に付する場合には保護観察を付け得なくする、併しそのほかの分については適用がございますので、その前の罪について執行猶予になり、その期間中のものを再度執行猶予することができるという規定について適用しようとするものであります。それは現行法で裁判をされれば執行猶予になつて而も無条件執行猶予のものについて、この法律の施行によつて保護観察を付けるということは、いささか妥当を欠くと考えますので、それは適用しない、但し併合罪の関係がある場合は付け得る、こういうことにいたそうとするものでございます。第三項は、現行法におきまして十八才未満で執行猶予なつたものについて犯罪者予防更生法によつて保護観察に付されておりまするが、これは保護観察だけは従来通りの例によつてなし得る、併し刑法上の保護観察はいたさない、間違つて本人に不利益を与えない、こういうために第三項を掲げておる次第でございます。  以上簡単でございましたが、逐条に亘る説明を終ります。
  43. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 午前はこの程度で休憩いたします。午後は一時半から再開いたします。    午後零時二十四分休憩    —————・—————    午後二時三分開会
  44. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは休憩前に引続きまして委員会を再開いたします。  刑事訴訟法の一部を改正する法律案議題に供します。なお本案予備審査でございますから、先ず政府提案理由説明を聴取いたしたいと思います。
  45. 押谷富三

    政府委員押谷富三君) 只今議題に上りました刑事訴訟法の一部を改正する法律案について御説明申上げます。  先ず、立案の経過について申上げます。  現行法は、御承知の通り、旧法に対し根本的な改正を加えたものであります。ところが、制定当時の情勢上比較的短時日の間に企画立案し、且つ、施行するの止むを得ない次第でありましたため、実施当時からいろいろ問題があり、その後四年を経た今日では、修正を要する個所もかなり多く指摘されるのであります。併し、他面、刑事訴訟法は、刑事手続の基本法でありますので、改正には慎重を要するのであります。そこで、一昨年法制審議会に対し、「刑事訴訟法運用の実情に鑑み、早急に同法に改正を加えるべき点」の有無につき諮問いたし、その答申を待つて、逐次改正をすることといたしました。同審議会は、一昨年九月以来各方面の有識者から選ばれた委員及び幹事の間において慎重審議の上、昨年三月、取りあえずその一部につき答申があつたのであります。そこで当時政府は、その答申に基き法律案を作成し国会に提案いたしたのでありますが、第十三回国会では継続審議となり、第十四回国会は解散となりましたため、遂に審議未了に終つたのであります。爾来、法務省においては運用の実情を検討しつつ改正の方向につき考慮を重ね、法制審議会開催の準備を進めておりましたところ、最近特殊集団事件における被告人の出頭拒否により裁判所の開廷が不可能となるがごとき事態を生じ、これに対する何らかの立法措置が必要となつて参りました。一方、かねてから検察官と司法警察職員との関係に関する刑事訴訟法の規定にやや不備な点があり、殊に逮捕状の濫用の事実を挙げて、検察官にこれが防止を求める声が強くなつて参りましたので、この際かねてからの疑点を明確にし、捜査の適正を図るのを妥当と考え、去る二月二十日及び二十一日の二日に亘り法制審議会を招集して、審議を求め、その答申を得ましたので、これを前の改正案に附加して今国会に提案いたすことといたしたのであります。  次に、改正内容について申上げます。  第一は、被疑者及び被告人に対する身体の拘束に関する規定の改正であります。現行法は起訴前の勾留期間を一応十日以内とし、止むを得ない事由のある場合に限り、裁判官の裁量により最大限十日の延長を認めているのでありますが、終戦以来現在までの犯罪の動向について考えますと、事件の規模はいよいよ大きく且つ複雑となつて参り、捜査機関が如何に努力いたしましても、現行法の認める勾留期間を以てしては、起訴不起訴を決定するため必要な資料を集めることすら至難な場合が少くないのであります。そこで、これに対処するため、特別の事情のある場合に限つて厳重な要件の制約の下に、更に、五日だけ延長し得ることといたしたのであります。  起訴後の勾留期間につきましても、現行法はその更新を原則として一回に限つておりますため、起訴から上訴を経て判決の確定までの勾留期間も原則として三カ月に限られ、その結果、審判及び刑の執行に支障を来たしているのであります。かかる実情考慮し、本案においては禁錮以上の実刑の宣告があつた後の勾留期間の更新に限り、これを形式的に制限せず裁判所の裁量に委ねることといたしました。  次に、いわゆる権利保釈につきましては、その除外事由が狭きに失し、訴訟の進行に支障を来たしておりますばかりでなく、世の一部に非難の声も聞かれるのであります。よつて、今回この除外事由を一部拡張することといたしたのであります。その一は、従来除外事由の一となつていた被告人が死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当る罪を犯した場合というのを短期一年以上の刑に当るいわゆる重罪を犯した場合にまで拡張したこと、その二は、被告人が多衆共同して罪を犯した場合及び保釈されるといわゆるお礼廻りなどをして脅迫がましい態度をとる危険が多分にある場合を加えたことであります。なお、このお礼廻りにつきましては、これを保釈の取消事由にも加えることといたしました。  第二は、被告人が公判廷において有罪である旨を自認した場合には、簡易な公判手続による審理を進めることができるごととした点であります。公判において審理を受ける被告事件の約八割までが、犯罪事実について争わない場合であるという実情に鑑み、この簡易公判手続により審理の促進と事件の重点的処理を期することといたしたのであります。  英米法では、被告人が公判廷で有罪の答弁をした場合には、それのみで直ちに被告人を有罪とすることができることとなつておりますが、かような制度は、我が国の憲法上その採用に疑義のある向もありますので、本案では有罪の答弁があつても、なお従来通り補強証拠を要することとしつつ、その証拠能力に関する制限を多少緩和し、且つ、証拠調についてもその方法裁判所の適当と認めるところによることといたしたのであります。更に、漸進的にこれを実施する意味におきまして、この手続は差当り、いわゆる重罪以外の比較的軽い罪の事件につき当事者の意見を聞いて行うべきものとすると共に、裁判所は、一旦簡易公判手続による旨の決定をした後でも、この手続によることが相当でないと認めるときは、いつでもその決定を取消し、通常の手続により審判をすることができることといたしました。  第三は、控訴審における事実の取調の範囲を拡張いたした点であります。御承知のごとく、現行法は旧法のような覆審の制度を廃し、控訴審を第一審の判決の当否を批判するいわゆる事後審とし、第一審判決後に生じた新たな事実は控訴審においてはこれを考慮することができない建前をとつているのであります。併しながら、運用の実際は、規定の不備もあつて必ずしもこの建前通りではなく、裁判所によつてその取扱が区々になつているのみならず、少くとも刑の量定に関する事実については、この建前を緩和すべきであるという意見が各方面に強いのであります。よつて、この要望に応えるべく第一審判決後の被害の弁償その他の情状に関する事実については控訴審においてもこれを考慮することができることとすると共に、第一審の当時から存在しながら止むを得ない事由によつて公判審理の過程において法廷に顕出されなかつた事実も、控訴趣意書に記載して控訴申立の理由裏付ける資料とすることを認め、裁判所の調査義務の範囲を拡張することといたしたのであります。  以上が前回の法制審議会の答申に基く主な改正点であります。  次に今回新たに附加することといたしました改正点につき申上げます。  その第一は、犯罪捜査に関する検察官と司法警察職員との関係に関する規定の改正であります。それは二点に分れ、その一は、検察官のいわゆる一般的指示権の及ぶ範囲を明確にした点であり、その二は、司法警察員の逮捕状請求につき、原則としてこれを検察官の同意にかからしめた点であります。  前の点は、現行法が公訴を実行するため必要な犯罪捜査の重要な事項に関する準則を定める場合にのみ、一般的指示をなし得ることとしているため、捜査自体の適正を期するためには一般的指示をなし得ないものでないかとの疑いを持つ向もあり、解釈上明確を欠いているのであります。併し、捜査が適正に行われて初めて公訴の実行が可能になるのでありますから、検察官の一般的指示は、捜査の適正を図るためにも行われなければならないと存ずるのであります。そこで、この点の明確を期したのであります。後の点は、最近逮捕状濫用の非難が高く、有力な法曹の間にも本案のような規定の創設を希望する声が高いので、これを改正案に取入れたのであります。  その二は、勾留中の被告人が公判期日の召喚を受け、正当な理由がなく出頭を拒否し、監獄官吏による引致を著しく困難にした場合に、被告人の出頭なくしてその期日の公判手続を行うことができることといたしたことであります。これは、冒頭にも述べましたように、最近における特殊事件の事例に鑑み、今後かかる事態の発生に備えて止むを得ず規定の整備を図つたのであります。  以上で主な改正点の説明を終りますが、なお、現行法の不備を補うため改正案に取入れました点として、捜査機関のいわゆる供述拒否権告知について運用の実情に鑑み、その内容に修正を加えたこと、訴訟促進の要請に応えるため、死刑以外の判決に対しては、書面によつて上訴権の抛棄をすることができるものとしたこと、起訴状謄本の送達不能の場合には、その法律関係を明確にするため、公訴棄却の裁判によつて訴訟を終結すべきものとしたこと、更に、略式裁判手続に関する規定を一部改正してその適正迅速な進行を図つたことなどがあるのであります。  何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことを御願いいたします。
  46. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 次に本案について更に詳細説明を聴取いたしたいと存じます。
  47. 岡原昌男

    政府委員(岡原昌男君) 今回御審議を頂いている刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきましては、只今提案理由説明の中で大綱は尽きているのでございます。ただ条文が数多くございますので、これから御審議の便宜を図るつもりでこの法案の逐条説明書というのをお手許にお配りしてございますのでそれを中心といたしまして御説明申上げたいと存じます。条文の順序に御説明申上げます。  最初は第六十条第二項の改正でございますが、これはあとで申述べます通りに、第八十九条について改正をいたしますのに関連してこの六十条の第二項の但書を改めようとするものでございます。この六十条第二項の但書はいわゆる勾留期間更新制限の除外事由を書いた規定でございますが、現在の刑事訴訟法運用の実績に鑑みまするに、第一審における審理期間が三カ月を超えるものが多く、而も更に控訴審、上告審と行くわけでございますから、勾留期間の更新がこの六十条第二項但書で制限を受けますると、その審理の途中で身柄を不本意ながら釈放しなければならんというようなことになる場合がございますので、これを是正する意味をもちまして、かような改正をしようとする次第でございます。  二番目は、第七十一条中の改正でございます。説明書の第二頁の真中にございます。これは、勾留状を管轄区域外で執行する場合の規定でございますが、現行法には勾引状について規定があるのみで、勾留状については規定がありません。解釈上いろいろ疑義がございますので、これを明らかならしめる意味の改正と、もう一つは、その執行に当る者が司法警察員だけでは窮屈な場合がございますので、司法警察職員が全般的に執行し得るように改めるというのが、七十一条関係でございます。  三番目は、七十二条関係でございますが、三頁の終いのほうにございます。これにつきましても、現行法は勾引状だけについて規定しておるのを、前と同じ趣旨をもちまして、勾留状をも加えようという趣旨でございます。  四番目は、七十三条の第三項の字句の修正でございまして、四頁の真中にございます。これは、現在の法文をただ明確ならしめようというにすぎないのでございまして、特段の深い意味はないのでございます。  次に、第五番目は、八十九条の改正でございますが、四頁のあとから二行目以下にあります。これが、今回の改正の中でも特に重要な点になるわけでございます。読んで見ますと、『第八十九条第一号中「無期の懲役」を「無期若しくは短期一年以上の懲役」に改め、同条第五号中「氏名及び住居」を「氏名又は住居」に改め、同号を同条第七号とし、同条第四号を第五号とし、同条第三号の次に次の一号を加える。  四 被告人が多衆共同して罪を犯したものであるとき。  第八十九条第五号の次に次の一号を加える。  六 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者の身体又は財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる充分な理由があるとき。』。本条は、いわゆる権利保釈の除外事由に関する規定でございます。即ち、権利保釈の除外事由といたしまして、新たに多衆共同にかかるいわゆる集団犯罪の場合と被害者その他参考人や証人となり得べき者を畏怖させるに足りる行為に出る危険性のある場合等を附加いたしたのであります。即ち、同条第一号につきましては、従来「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮にあたる罪」の事件に限られておりましたのを、「短期一年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪」の事件までこれを拡張しようとするものでございます。第二号及び三号は現行法のまま、第四号として先ほどの多衆事犯を加え、更に条文の整理をいたしまして、お礼廻りを最後に加えた、かようなことになるわけでございます。  第六頁に入りますが、改正を必要とする事情を申上げますると、第一号の改正につきましては、例えば刑法犯中、強姦、営利誘拐、人身売買、強盗等の重い事件が従来これに当らないために、同条列挙の他の事由に該当すれば格別、そうでなければ権利保釈を許されるという結果になつていたわけでございます。大変不都合でありますので、これを救済しようとするのでございます。新たに加わります第四号は、いわゆる集団犯罪事件を権利保釈の除外事由としようとするものであります。この場合の集団犯罪とは、犯罪自体がその性質上集団的である場合、例えば騒擾、内乱といつたような罪のほか、集団強盗のような集団的に行われる犯罪を指します。かような犯罪は、経験上一般に通謀乃至は証拠隠滅の危険が極めて高いのでありましてこれに保釈される権利を与えるというのは適当でないというのが、この除外事由に追加する趣旨であります。新たに第六号に加わりますのは、例えば恐喝等の事件の被告人が保釈によつて出て参りますると、被害者その他の関係人を歴訪いたしまして、お礼廻りなどを称し、一種のいやがらせのような行為をする場合がございますが、このために被害者は後日公判において証言するに当りまして、後難を恐れて十分な供述をなし得ない、従つて証拠の収取、延いては審判の目的を確保するのに困難を来たす場合が多いのであります。これに対処するために、本号を権利保釈の除外事由といたした次第でございます。新第七号は、現行法第八十九条第五号では、氏名が一応明らかでありましても住居が明らかでない、わからない者については公判期日における出頭を確保することが困難であるのに鑑みましてこれを改正しようというのでございます。  なお、以上は、もとより権利保釈の除外事由にするということでございまして、第九十条の裁量保釈をする分には、これは差支えないということになるのでございます。  次は、第九十二条関係でございます。七頁の真中にございます。この点は、現行法の九十二条が保釈の許否を決定する際に裁判所は検察官の意見を聞くことになつております。又勾留の執行停止につきましても、刑事訴訟規則に同じような規定がございます。そこで、勾留の取消についても、この際歩調を合せる必要があろうかというのが、この改正理由でございます。  次は、第九十六条第一項の関係でございます。第八頁のあとから四行目でございます。これも重要な条文でございますので、読んでみます。「裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。  一 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。  二 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。  三 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。  四 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。  五 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。」。現在の九十六条におきましては、この条文の書き方が書き流しになつておりまして読みにくいのと、若干不備の点がございますので、これを項目別に一、二、三、四、五と書き改めると共に、その間の不備を補正した趣旨でございます。更に、検察官に取消の請求権を認め、検察官の請求により又は職権でやれるということを明らかにした次第でございます。なお、現行法では罪証を隠滅した場合を取消事由に挙げておりませんが、これは性質上当然挙げられるべきものであろうというので、この点をはつきり規定いたしました。第五号の、いわゆるお礼廻りを現にしたとき、或いはせんとしたとき、これは先ほど説明いたしました点と首尾を一貫させる趣旨でございます。  次は、第九十八条の関係でございまして、十頁の最初にございます。保釈の取消の際の収監手続につきましては、逃亡中の被告人の在り処がはつきりわかつたのに折悪しく書面が手許にないために執行ができないという場合があつて、実務上大変困難を来たした例がございます。そこで、かような際にはこの趣旨を告げてこれをつかまえるというふうな簡易な手続をとるのが妥当ではないかというので、法制審議会の答申を得まして、作りましたのがこの条文でございます。これは、「前項の書面を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、同項の規定にかかわらず、検察官の指揮により、被告人に対し保釈若しくは勾留の執行停止が取り消された旨又は勾留の執行停止の期間が満了した旨を告げて、これを収監することができる。但し、その書面は、できる限り速かにこれを示さなければならない。」ということにいたしまして、結局はその書面は示すのでございますが、その間に若干の時間的なズレがあつても差支えないということを明らかにいたし、なお新らしい三項で第七十一条の規定を準用し、いわゆる管轄区域外の執行手続を明らかにした趣旨でございます。  次は、第百五十三条の次に次の一条を加えるという第十一頁のあとから四行目の関係でございます。これは、召喚に応じない証人を勾引することができることはすでに規定されております。併し、その際例えば護送するのに非常に不便な場所を通つて来なければならないような場合にその途中で証人の身柄をどういうふうにすればいいかということについては手当がしてないのでございます。従つて、証人を夜を日に継いで遠いところから連れて来る、途中で一休みさせることもできないというようなことになるのは大変不都合でございますので、最寄の適当な場所にこれを留め置いて連れて来るということができる手当をいたした次第でございまする  次は、百六十四条の関係でございます。十二頁のあとから四行目。これは、現在の百六十四条におきましては「証人は、旅費、日当及び宿泊料を請求することができる。但し、正当な理由がなく宣誓又は証言を拒んだ者は、この限りでない。」というふうにだけ規定してございまして、果してこの際あらかじめ費用の前払をすることができるかどうかという問題が起きたわけでございます。条文の表面ではその点が明らかになつておりませんが、従来のやり方といたしましては、会計法の第二十二条並びに予算決算及び会計令第五十八条の規定によつて前払は可能であるという取扱をいたしておりました。併し、この点は、この際明確にする必要があるだろう。そうして、この証言をしなかつたり、宣誓をしなかつたりした場合の返納の手続をも明らかにしようというのが、この改正の趣旨でございます。  次は、いわゆる鑑定のための留置に関する一連の規定で、ございまして第百六十七条各項の規定でございます。十三頁のお終いから三行目でございます。『百六十七条第二項中「留置状」を「鑑定留置状」に改め、同条第二項の次に次の二項を加える。  第一項の留置につき必要があるときは、裁判所は、被告人を収容すべき病院その他の場所の管理者の申出により、又は職権で、司法警察職員に被告人の看守を命ずることができる。  裁判所は、必要があるときは、留置の期間を延長し又は短縮することができる。』。  更に、百六十七条に六項として次の一項を加えます。  「第一項の留置は、未決勾留日数の算入については、これを勾留とみなす。」。  これは、いずれも現行法上いわゆる鑑定のための留置というものの手続が大変はつきりいたしませんので、実務上いろいろ疑義が出て参ります。それでこれらの疑義をこの際明らかにいたしまして、片や被告人の人権も保護いたしたい。そうして、勾留と鑑定留置との関係等も明らかにしておきたいというのが、この趣旨でございます。即ち、十四頁の真中辺から書いてございますが、鑑定留置の制度につきましては、現行法は単に勾留に関する規定を採用するに過ぎませんので、いろいろ問題がございますので、先ずその令状の名称を「鑑定留置状」というふうにいたしまして、他の令状と明らかに区別したのでございます。  鑑定留置中の戒護、身柄につきましては、鑑定留置による収容場所は通常は監獄でないために監獄官吏をして戒護に当らせることができない。といつて、司法警察職員に看守せしめると解し得る明確な規定もございません。鑑定留置中の逃走、自殺その他の事故を防止するためには明文を以て何らかの戒護上の措置をしなければならないと存ずるのでございます。又それが必要か否かは、病院の施設によつていろいろ違つておりますので、その収容すべき施設の管理者の申出によつてこれをやる。又補充的に職権で命ずることができるというふうな措置に出たわけでございます。なお、この鑑定留置の期間の変更につきましては、現行法上これ又、はつきりいたしませんので、鑑定が早期に結了した場合にはこれを短縮する。若干長くなつた場合にはこれを延ばすことができるというふうな措置を講じたわけでございます。  次は、十五頁の終りから十六頁にかけまして、鑑定留置と勾留との関係を明らかにいたしてございます。現行法の解釈上、勾留中に鑑定留置処分がなされた場合には勾留はその執行を停止されたとするのが一般で、ございまして、ただこれらの具体的な問題、或いはその場合の取消の問題等に関連しまして疑義が生じましたので、それをこの条文ではつきりさせたのでございます。  次は、百八十一条関係。貧困のために訴訟費用を納付することができない被告人に対しましては、判決の際その全部又は一部を負担させないことができるように改めようというのがこの条文でございます。現行法でも第五百条という規定がございまして、あとで訴訟費用免除の手続はあるのでございますが、初めに判決の際にわかるものについては初めから免除しようというのが、この趣旨でございます。  次は、十七頁の終りから十八頁にかけての百八十四条関係。これは、従来正式裁判の請求の取下の場合について、訴訟費用の負担に関する規定がなく、法に不備がございましたので、これを是正しようというのでございます。  次は、百九十三条の一項後段の改正、十八頁の真中にございます。いわゆる検察官が司法警察職員に対しまして一般的指示をなす場合の規定でございます。本条の改正は、いわゆる検察官の一般的指示権の内容をこの際明確にしておこうという目的に出たものでございます。現行法によりますと、この一般的指示は、「公訴を実行するため必要な犯罪捜査の重要な事項に関する準則を定めるものに限られる。」というふうになつておりまして、そのために捜査と公訴とを概念的に区別いたし、捜査そのもののあり方、特に捜査の実行方法については一般的指示をなし得ないのではないかというふうな疑問が提起されております。併しながら、本来捜査と公訴というものは内容的には密接不可分の関係にありますので、捜査が適正に行われて初めて公訴が適正になる。そこでこの両者の関係をまとめて規正し得るようにしたのが、この条文の改正でございます。この改正は、本年の二月の法制審議会の答申によつたものでございます。  次は、百九十八条の第二項関係。十九頁の真中でございます。いわゆる供述拒否権告知の制度に関する改正でございます。現行法は、捜査官が調べをする際には供述を拒むことができる旨、いわゆる供述拒否権があるということを告げることになつておりますが、この制度の運用の実績を見ますると、中には全く一言も発しない。犯罪事実とは全く関係のない住居、氏名、年齢等も言わないというふうな行過ぎたものがございまして、かくては当初憲法の予定した「自己に不利益な供述を強要されない」という趣旨を踏み越え、いわゆる権利の濫用といつたような形になつているとも思われますので、この際この拒否権告知の制度というものを若干変えまして、告知の内容を憲法の趣旨と合致せしめたのが、この改正でございます。即ち、自己に不利益な供述を強要されることのないようにこれを告げればいい、かように改正いたそうとするのでございます。中には、この供述拒否権というものを極度に行使し、一切何もしやべらないということのために、状況証拠のみによつて判断されて、却つて自己の不利益に帰したというような事例も事実あつたのでございまして、この際かような改正によつてさような点も是正しようという趣旨でございます。  次は、百九十九条の関係でございまして、二十一頁の三行目にございます。ちよつと読んで見ますと、「司法警察員は、第一項の逮捕状を請求するには、検察官(検察官の事務を取り扱う検察事務官を除く。以下本項において同じ。)の同意を得なければならない。但し、検察官があらかじめ一般的に同意を与えた事件については、この限りでない。  裁判官は、逮捕状の請求が検察官の同意を要する場合において、その同意を得ていないことが明らかなときは、逮捕状を発付しないことができる。」。この点は、いわゆる司法警察員の逮捕状の請求についての検察官経由の問題といたしまして、前国会においてもいろいろお話のあつた点でございます。そこで、この際これを法文に明定いたしまして、逮捕状の濫発を防止せんとする趣旨でございます。現行法にはこのような規定がございませんので、検察庁によりましては事実上連絡を受けている庁もあるようでございますが、何分これが義務的にされておりませんので、或るところでは逮捕状濫発の声を聞くようになりました。そこで、この際これを検察官の同意にかからしめて、原則として検察官が責任を以てそれをよく見るということにいたしたいのでございます。尤も、捜査官が十分戒心して成績のいいところ、或いは一般的に細かい事件につきましては、あらかじめ一般的に同意を与えるというふうな形で、それを除外することができることにいたしたのでございます。なお、この第三項におきまして、検察官の同意を得ないで逮捕状の請求をした場合に、裁判官は逮捕状を発付しないことができるといたしましたのは、そのような場合には請求手続に法令の違反があるとして、請求を棄却するのがむしろ本筋であるとは思いますが、ただその際に裁判所に一から十までその点の審査義務があるとし、その場合の責任を問われるというようなことに相成つても裁判官としてはたまらないだろうと思われますので、表現上若干の余裕を残した趣旨でございます。  次は、二百八条の勾留期間の延長に関する改正でございます。二十三頁の冒頭からでございます。「第二百八条の次に次の一条を加える。」  裁判官は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる事件につき、犯罪の証明に欠くことのできない共犯その他の関係人又は証拠物が多数であるため検察官が前条の期間内にその取調を終ることができないと認めるときは、その取調が被疑者の釈放後では甚だしく困難になると認められる場合に限り、検察官の請求により、同条第二項の規定により延長された期間を更に延長することができる。この期間の延長は、通じて五日を超えることができない。」即ち、現行法で十日プラス十日計二十日というのを更に、ここに書いてあります通り、重い事件について而も厳重な条件を附して、更に五日間だけ延長し得るというふうに直そうとするものでございます。その具体的な要件、例えば、犯罪の証明に欠くことができない共犯その他の関係人又は証拠物が多数であるとか、或いは前条の期間内にその取調を終ることができないといつたような、いろいろな条件がかぶつて参りますので、人権の尊重には遺憾のないことと存ずるのでございます。  次は、二百十九条の関係でございますが、二十六頁の真中にございます。「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、令状に差し押えるべき物の所在すべき場所が記載されており、且つ、その場所においてこれを発見することができない場合において、その物の所在する場所が明らかとなつたときは、急速を要する場合に限り、処分を受けるべき者にその事由及び被疑事件を告げてその場所を看守することができる。」つまり、差押令状に記載された差押の目的物の所在場所ははつきりしているけれども、その場所が令状に記載された場所と違つているという場合の応急の措置を規定したのが、この条文の趣旨でございます。  次は二十八頁の二百二十四条関係。これは、単なる条文の整理でございます。  次は、二百五十四条の関係で、二十九頁でございます。現行法の二百五十四条の第一項に公訴の「時効は、当該事件についてした公訴の提起によつてその進行を停止し、管轄違又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める。但し、第二百七十一条第二項の規定により公訴の提起がその効力を失つたときは、この限りでない。」というふうに規定してございますが、この二百七十一条第二項について、あとで申上げます通り、すべてさような際には決定で公訴を棄却すべきものと規定を変えます関係上、この但書は不用になつたわけでございます。  次は、三十頁の二百五十五条関係でございます。この点は、後に説明いたします略式手続に関する規定の改正によりまして、略式手続が通常手続に引き直されない場合には「起訴状の謄本の送達」ということがないことになりますので、本条において「起訴状の謄本の送達」と並べて「略式命令の告知」を掲げる必要を生じたための改正でございます。  次は、第二百八十六条の二の関係で、ございまして、三十一頁。「第二百八十六条の次に次の一条を加える。  第二百八十六条の二 被告人が出頭しなければ開廷することができない場合において、勾留されている被告人が、公判期日に召喚を受け、正当な理由がなく出頭を拒否し、監獄官吏による引致を著しく困難にしたときは、裁判所は、被告人が出頭しないでも、その期日の公判手続を行うことができる。」  これも、この二月の法制審議会で取上げられた問題でありまして、最近の特殊な事件において、裁判所に出頭を拒否する手段といたしまして、勾留中の被告人が監獄官吏に抵抗する、或いは裸になつて暴れる、鉄柵にしがみついて離れないといつたようなことがちよいちよいあつたのでございます。さような場合には、数名の者がさようなことをいたしますと、その日の開廷が全部駄目になつて参りますので、そのような暴れる者に対しましては本人不在のまま公判手続を行うことができるようにしたのでございます。尤も、それはその目の公判手続だけのことでございまして、そのあとで穏かに出て来るような場合は勿論それは本人の出頭を待つて審理する、かようなことになるわけでございます。  次は、いわゆる簡易公判手続について数カ条あるのでございますが、その簡易公判手続と申しますのは、英米流のいわゆるアレインメントという制度とは、我が憲法上の制約もあり、若干内容を変えてあるのでございます。これを我が国の憲法に合わせるようにいろいろ形を変えまして、現在の訴訟法で許される限度、そうしてそれが憲法にも合致し、そうして訴訟の促進にも効果があるというふうな線を狙つたのがこの制度でございます。その特徴は、三十四頁の(二)の第一、第二というところにございますが、簡易公判手続が一般の公判手続とどのように違つておるかという点を申しますと、第一に伝聞証拠に関する証拠能力の制限が緩和されておるという点でございます。即ち、検察官、被告人又は弁護人に異議がない場合、この場合には刑事訴訟法第三百二十条、いわゆる伝聞法則禁止の原則の適用がないこととしたのでございます。これは、有罪の陳述をした被告人は一応その犯罪事実に関する被害届、参考人の供述調書その他の証拠の取調に同意していると推定することも無理ではないと思われますので、かようにいたしたわけでございます。第二に、証拠調の手続を簡略にしたことでございます。即ち、検察官の証拠調の初めに行う冒頭陳述を省略する、或いは証人や証拠書類の取調を裁判所は適当と認める方法でやつてよろしいということでございます。なおこの種の事件につきましては、(三)にその裏打ちの手当をいたしてございます。即ち、第一には、被告人が有罪であるという陳述をいたしましても、直ちに簡易公判手続に移るのではなくて、あらかじめ検察官及び被告人又は弁護人の意見を聞く、そうしてその陳述が被告人の真意によるものである、虚偽の陳述ではないということを十分に検討いたしましてからこの手続に移るわけでございます。第二に、さように慎重にいたした後でもだんだん調べが進むにつれて若干疑念が出たというような場合には、その手続を取消して通常の手続に移るということに相成ります。第三に、三十六頁にございますが、いわゆる重罪事件については、簡易公判手続により得ないものといたしまして、たとえ本人が異議なしと言つても通常手続によることになつておるのでございます。条文の形といたしましては、第二百九十一条の次に次の二条を加えるということで、「第二百九十一条の二被告人が前条第二項の手続に際し、起訴状に記載された訴因について有罪である旨を陳述したときは、裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、有罪である旨の陳述のあつた訴因に限り、簡易公判手続によつて審判をする旨の決定をすることができる。但し、死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮にあたる事件については、この限りでない。」ということにいたしたのでございます。「前条第二項の手続に際し」と言いますのは、公判手続の冒頭において起訴状の朗読が終つた後、裁判長が黙秘権を告げ、被告人及び弁護人に対し陳述の機会を与えたときにのみ有罪の陳述を行い得ると、かような趣旨でございます。それから「起訴状に記載された訴因」、三十八頁でございます。これは、当初から起訴状に記載されておる訴因は勿論、冒頭陳述を行う機会までに文書又は口頭で変更された訴因をも含むことになります。  次に、共同被告人がある場合にはどうなるかと言いますと、被告人ごとに簡易公判手続による旨の決定をすることになります。三十九頁の(四)でございます。なお、(五)で「有罪である旨の陳述」と申しますのは、単なる事実の告白ではなくて、それと同時に起訴状に記載された訴因について自己が積極的に有罪であることを述べることを申すのであります。従つて、控訴事実はこれを認めても、正当防衛、緊急避難と、こういつたような違法或いは責任阻却の事由の存在を申立てた場合には、勿論これは有罪の陳述にはならんわけでございます。  次は、四十頁の(七)でありますが、有罪である旨の陳述のあつた訴因に限り、簡易公判手続によつて審判をする旨の決定をすることができる。」というのは、つまり起訴状に数個の訴因がありました場合に、その一部については有罪というような場合がございます。その際には、有罪を認めた一部の事実だけを取上げましてこの簡易手続に附するわけでございます。  次に、この手続の実際の動かし方は、四十一頁の第二百九十一条の三にございます。「第二百九十一条の三裁判所は前条の決定があつた事件が簡易公判手続によることができないものであり、又はこれによることが相当でないものであると認めるときは、その決定を取り消さなければならない。」さような手続に附して、かりそめにも有罪陳述をした事件が簡単に有罪、殊に誤つて有罪とされるようなことがないように措置をしたわけでございます。  次に、第三百七条の二として、証拠調の方法等の簡易手続が書いてございます。これは先ほども申上げましたが、「第三百七条の二 第二百九十一条の二の決定があつた事件については、第二百九十六条、第二百九十七条、第三百条乃至第三百二条及び第三百四条乃至前条の規定は、これを適用せず、証拠調は、公判期日において、適当と認める方法でこれを行うことができる。」これは先ほど申した通りでございます。  次は、第三百十五条の二、四十五頁でございますが、これは、二百九十一条の二の決定が取消された場合の公判の手続の更新の規定でございます。これは、大体ここに書いてある通りでございます。  次は、先ほどもちよつと申上げました伝聞証拠の関係でございますが、「第三百二十条に次の一項を加える。」というのが四十七頁にございます。「第二百九十一条の二の決定があつた事件の証拠については、前項の規定は、これを適用しない。但し、検察官、被告人又は弁護人が証拠とすることに異議を述べたものについては、この限りでない。」異議がない限り適用がないと、こういうわけでございます。  次は、第三百三十九条の一部改正でございます。四十八頁の最後のところにございます。これは現行法の第二百七十一条におきましては、起訴状の謄本が公訴の提起の日から二カ月以内に被告人に送達されない場合には公訴の提起は遡つてその効力を失うということになつておるのでございますが、その効力を失うというのは、何らの裁判を要せずしてひとりでに係属を離れるということで、どうもはつきりしない、そこで、この際これを公訴棄却の決定をするとすることによつてはつきりさせようというのがこの規定でございます。  次の四十九頁の「第三百四十四条中「第八十九条」を「第六十条第二項但書及び第八十九条」に改める。」というのは、先ほど八十九条及び六十条の関係で申上げました通り、この際併せて条文を整理しようというだけの趣旨でございます。  第三百四十五条関係。五十頁。「第三百四十五条中「公訴棄却、管轄違」を「公訴棄却(第三百二十八条第四号による場合を除く。)、」に、「判決の宣告」を「裁判の告知」に改める。これは、現行法では、無罪、免訴、刑の免除、刑の執行猶予、公訴棄却、管轄違、罰金又は科料の判決の宣告があつたときは勾留状はその効力を失うとなつております。ところが、管轄違の場合と公訴提起の手続がその規定に違背したために公訴棄却になつた場合につきましては、多くは再起訴になるわけでございます。ところが再起訴の手続をする前に勾留の効力がなくなつてしまいますと、身柄の処置に困つてしまいますので、この際これをはつきり改めようというのが前段でございます。なお、後段は、現行法では「判決の宣告」という文字を使つてございますが、実際には決定による場合もございますので、これを両方含める意味で「裁判の告知」という文字に改めようとする次第でございます。  次は、五十二頁の、第三百五十九条から第三百六十条、第三百六十条の二、第三百六十一条、第三百六十七条、この一連の関係は、いわゆる上訴放棄の制度を認めたこと及びこれに関する条文の整理でございます。上訴権放棄の制度は、旧法にはございましたが、新法はこれを廃止したのでございます。その廃止の理由は、軽々しく上訴権を放棄するとあとで問題が起きるというようなことでございましようが、運用の実際に徴しますと、判決に不服のない場合が相当多いのでございます。而も、さような場合に十四日の上訴期間の経過を待たなければ刑の執行を受け得ないというふうなこともございまして、必ずしも被告人の利益とはなつていないのでございます。そこで、死刑の判決のあつた場合を除いて、すべて被告人に書面による上訴の放棄を認めようというのがこの一連の改正でございます。  次は、第三百八十二条の二以下の条文で、いわゆる控訴審の審理に関する改正規定でございます。ちよつと読んでみますと、「第三百八十二条の二やむを得ない事由によつて第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかつた証拠によつて証明することのできる事実であつて前二条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものは、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実以外の事実であつても、控訴趣意書にこれを援用することができる。  第一審の弁論終結後判決前に生じた事実であつて前二条に規定する控訴申立の理由があることを信ずるに足りるものについても、前項と同様である。  前二項の場合には、控訴趣意書に、その事実を疎明する資料を添附しなければならない。第一項の場合には、やむを得ない事由によつてその証拠の取り調を請求することができなかつた旨を疎明する資料をも添附しなければならない。」条文が細かくなつておりますが、要するに、いわゆる事後審たる性格を持つ刑事の控訴審におきましては、第一審の判決までに、つまり弁論終結までに調べた事実を中心として原審判決の当否を判断するというのが従来の建前であつたのでございます。ところが、実際問題といたしまして、第一審の弁論終結前に生じた事実、或いはその終結後判決までに生じた事実であつて、裁判の表面には現われていなかつたけれども、客観的には現実に存在し、而もその事実を考慮に入れると原審の判決はどうも著しく妥当でないというような場合があり得るわけでございます。さような場合に、将来は非常にその措置に困りまして、あとで申上げます第三百九十三条第一項但書の活用等によりまして若干是正はいたしたのでございますが、必ずしもそれのみでは全うし得ない。そこで、控訴趣意書の正面からその事実を取上げて、控訴審の事実取調の真正面の事実にこれを持つて行こうというのが、今度の改正の趣旨でございます。法制審議会におきましても、特に在野法曹から熱心に要望せられました点でございます。  五十四頁の真中辺に改正の二点が書いてございます。その第一点は、第一審裁判所の審判の過程に現われなかつた資料でも、一定の条件の下に控訴趣意書に援用できることにした点であります。これが只今申しました本条でございます。それから、控訴審の条文につきましては、後に申上げます第二点というのがございますが、その第二点は、控訴審が第一審判決後の刑の量定に影響を及ぼすべき情状を考慮して原判決の量刑の当否を判断することができることとした点であります。この点につきまして、最もしよつちゆう現われますのは、いわゆる弁償したような場合でございます。この二点が大きな改正でございます。  第三百九十三条第一項但書の関係に移ります。五十五頁のあとから四行目であります。「但し、第三百八十二条の二の疎明があつたものについては、刑の量定の不当又は判決に影響を及ぼすべき事実の誤認を証明するために欠くことのできない場合に限り、これを取り調べなければならない。」ということにいたしました。  続いて五十六頁に、「第三百九十三条第二項中「前項」を「第二項」に改め、」これは条文の整理でございますが、更に  控訴裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、第一審判決後の刑の量定に影響を及ぼすべき情状につき取調をすることができる。今度は、職権で第一審判決後の刑の量定に影響を及ぼすべき情状について取調をすることができるということを真正面から規定した次第でございます。かようなことに相成りますると、第一審判決後に例えば弁償をいたしたような事実がありますれば、これを職権で取り調べることによつて、かような示談、弁償等の事実を裁判所で取り上げてもらうことができることになつたわけでございます。次に、五十七頁にその場合の手続がございますが、「第一項又は第二項の規定による取り調をしたときは、検察官及び弁護人は、その結果に基いて弁論をすることができる。」、これは当然のことでございます。そうして、その控訴審の判決といたしまして、五十七頁の最後に、「第三百九十三条第二項の規定による取調の結果、原判決を破棄しなければ明らかに正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。」ということにいたした次第でございます。  次は、略式手続の改正規定でございます。先ほど提案理由の中にもございました通り、この略式手続にも手を触れまして、その処理の迅速適正化を図ろうとするのでございます。現在この略式命令で処罰される者は全有罪人員の七割に達しております。でございますから、この手続を迅速適正に処理することによりまして、その余力を他の困難な事件の処理に向けることができるようにというのがこの改正の狙いでございます。最初は、四百六十一条の第二項の削除でございますが、五十九頁の一番最後の条文であります。これは、現在七日の猶予期間を置いて異議の有無を調べることになつておるのでございますが、現行刑事訴訟法実施以来この七日の猶予期間内に異議を申し出た者は全くないのでございます。そこで、この猶予期間を除いたわけでございます。次は、「四百六十一条の次に……」ちよつとミスプリントがございますので、六十頁のあとから六行目の「第四百六十二条の二」とございますが、これは、「四百六十一条の二」と御訂正を願います。「検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式手続によることについて異議がないかどうかを確めなければならない。被疑者は、略式手続によることについて異議がないときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。」という条文を置きまして、略式手続の趣旨を明らかに知らせ、書面で異議のない点を明らかにしようと、念を入れた手続をここに規定した次第でございます。  「四六二条に次の一項を加える。」、これは、ただ手続上の公正を図る担保の意味の規定でございます。それから次は、「四六三条に次の三項を加える。」六十二頁の真中辺でございますが、これはいずれもその手続上の動きを明らかにするために細かい規定を置いた趣旨でございます。次は、六十四頁の「四百六十三条の次に四百六十三条の二を加える。」という規定がございます。これは、先ほど申しました起訴状の謄本の送達に関する規定、二百七十一条の規定の改正と首尾を合わせたのでございますが、「略式命令の請求があつた日から四箇月以内に略式命令が被告人に告知されないときは、公訴の提起は、さかのぼつてその効力を失う。」という規定を置きまして、「前項の場合には、裁判所は、決定で、公訴を棄却しなければならない。」これも、先ほど申したと同じ理由ではつきりさせたわけでございます。「略式命令が既に検察官に告知されているときは、略式命令を取り消した上、その決定をしなければならない。」すでに検察官に、一方的ではありますが、検察官の方に告知されているという効力は消えませんので、先ずその方を取り消した上で、公訴を棄却するということを明らかにした趣旨でございます。  次に、六十六頁の「四百六十四条、四百六十五条の七日を十四日に改める、」。これは先ほど申し上げました最初の異議申立期間の七日を削りましたが、その代り正式裁判申立の考慮の期間を七日延長して、その慎重を期した次第でございます。以上が略式手続に関する規定の改正でございます。  次は、四百七十四条の但書及び四百八十二条の改正でございますが、これは、刑の執行の順序の変更及び刑の執行の停止に関する規定でございます。現行法は非常に慎重な手続をとりまして、検察官が刑の執行順序の変更、刑の執行停止をするには、検事総長又は検事長の許可を受けなければならないことになつているのであります。ところが、実際問題といたしまして、本人が病気で急速に重い刑の執行を停止して、軽いものに変えるという臨機の措置をとるべき場合が多々あるのであります。さような場合の便宜の規定をここに置こうという趣旨でございます。  次は、四百九十九条中の改正で、「官報で」とあるのを「政令で定める方法によつて」と改める、これでございます。これは、従来押収物の還付をいたします際に、還付を受けるべき者が所在不明であるという場合には、現行法では官報でこれを公告することになつております。御承知と思いますが、官報の相当の欄を占めて、いわゆる官報公告の記載がございます。ところが、実際この公告を見て取りに来るという者はございませんし、一方この費用が年間一千万円にも上るというふうな状況でございますので、これを一から十まで全部官報に載つけるという必要はないであろう、例えば下駄の壊れたもの、或いは風呂敷或いはリユツクサツクといつたような、まあリユツクサツクはまだ金目のものでございますが、新聞紙に包んだ庖丁といつたような、ときどき官報で御覧になるとお笑いになるようなものがございます。そこで、さようなものにつきましては別途公告の方法を合理化し、重要なものだけ官報に載つけることにいたしたら如何であろうということが、この改正の趣旨でございます。  最後の第五百条の改正でございますが、六十八頁の真中にございます。現在の五百条第一項では、訴訟費用の負担の免除は、その負担を命ずる裁判を言い渡した裁判所に申し立てるということになつておりますが、この規定は、実際問題といたしますと、一審、二審、三審と経たような場合にはなかなか手数がかかるわけでございます。すなわち、一審、二審、三審でそれぞれ訴訟費用の負担を命ぜられたような場合には、そのそれぞれの審級に皆行かなければならないというようなことになりますので、この際これを裁判所のルールに譲りまして、どこか一カ所の裁判所で手続ができるようにしたいというのが、この前段の改正でございます。  後段の十日を二十日に改めるというのは、訴訟費用の負担を命ずる裁判の確定後二十日ぐらいは、その猶予期間を認めてやらなければ、結局本人の利益の保護に全きを期し得ないというのが、この改正の趣旨でございます。  なお附則は、準備の都合等もありまして、公布の日から起算して九十日を経過した日から施行するという規定、その他経過的な規定を置いた次第でございます。  以上大変簡単でございますが、一応御説明申し上げた次第でございます。
  48. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 本案に対する質疑は次回に譲ることといたしまして、この際ちよつと皆様にお諮りいたしますが、お手許に配付いたしてございます刑事訴訟法の一部を改正する法律案逐条説明書は、只今の刑事局長の御説明とも関連があり、又本案の審査を行うに当りましても重要な資料であると考えますので、これを本日の会議録の末尾に掲載いたして置きたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  50. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 次に判事補の職権の特例等に関する法律の一部を改正する法律案議題に供します。  本案に対する政府説明は先般聴取いたしておりまするので、本日は直ちに質疑に入りたいと存じます。御質疑のおありのかたは御発言を願います。  ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  51. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記を付けて下さい。
  52. 伊藤修

    伊藤修君 判事補の職権の特例等に関する法律の一部を改正する法律案というのは、第一国会以来数回これは出おりますね。たびたび追加されて来るのですが、追加されることも結構だと思いますが、一体今度の追加で終るのか、これが整理が完了しているのかどうか、そのときばつたりで思い付き思い付きで追加して来るのか、政府の考え方を一つつて置きたいのです。
  53. 位野木益雄

    政府委員(位野木益雄君) 御尤もでございますけれども、ただ今度の改正は実際のこの法律の運用におきまして、従前の同類のものと比較いたしまして如何にも気の毒であると思われるもので、結局今までの法規の穴埋め的なものを拾つて現在考え得る限りにおいてすべてを網羅いたしたのであります。今後は恐らく出ない、こういうふうに考えております。
  54. 伊藤修

    伊藤修君 いや、気の毒であることは十分了承いたします。救済されることについては異議ありませんが、いつも拾つては思いつき、思いつきでこの改正を出されるので、恐らくこれで最後的なものじやないかと思うのですが、そういう御確信はあるのですか。今の思いつきだけの程度ですか。
  55. 位野木益雄

    政府委員(位野木益雄君) 将来絶対にあり得ないということは今ちよつとここで確言いたしかねると思いますが、恐らくそういうことはないと思つております。
  56. 伊藤修

    伊藤修君 いま一つはこの法務官をこの際ここで拾い上げておるのですが、これは占領中においては法務官を入れることができなかつたという意味において入れられたのか、或いは占領が解けたのだから差支えないのだから入れたという意味になるのですか。或いは法務官を将来又作るという考え方の上で取入れたのか、この三点を一つ
  57. 位野木益雄

    政府委員(位野木益雄君) 法務官は御承知のように、軍法会議におきまして裁判官、予審官及び検察官の職務を行なつてつたのでありまして、その職務の内容から申しまして、その在職年数を裁判官の任命資格に関する職歴年数等に通算することは、これは妥当であるというふうに考えておつたのであります。ただ従前占領下の関係におきましてその提出を考慮したことはございましたのですけれども、結局において国会に提案するに至らなかつたのでありますが、今回これを追加いたしたいというふうに考えて提出いたした次第でございます。  で、今後法務官のようなものを作るかどうか、そういう考えで提案いたしたものでは毛頭ございません。
  58. 伊藤修

    伊藤修君 占領治下においていろいろ考慮したこともあるがとおつしやるのだが、それはできなかつたので、今度出すことになつたのか、或いはその当時もできるのであつたけれども、出さなかつたというのですが、若し出さなかつたならばどういう理由で出さなかつたのでありますか。
  59. 位野木益雄

    政府委員(位野木益雄君) 実は政府におきましては立案いたしまして、閣議決定もしたのでありますが、司令部においてこれを認可されなかつたのであります。
  60. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 只今説明がありましたように、これまでこれに対して判事補の資格を与えることについて政府のほうで提案せんとして、占領軍のほうで許さなかつたというのは、今度の認められるのはことごとくやはりその当時に資格を与えるということの案を立ててやつたことがあるのですか全部。
  61. 位野木益雄

    政府委員(位野木益雄君) 全部ではございませんので、今回提案なつたもののうちの法務官と、それから公正取引委員会の審判官及び事務局の審査部に勤務する職員はすでに前回において提案せんとして中止になつたのであります。
  62. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 今回この資格を与えようとする者に対する、これまで国としての試験の方法は大体普通の、今までの裁判官或いは検事乃至は弁護士という司法官の資格試験に該当するような資格を持つ人ですか。
  63. 位野木益雄

    政府委員(位野木益雄君) 法務官に採用されるにも司法試験、昔の高等試験の司法科試験に合格した者であるということが原則的な要件になつております。この外に陸海軍の内部における試験というものもあつたようにも見受けられますが、これも非常に厳格な試験で、資格においては些かも遜色がないというようなものであつたと承知しております。
  64. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 私は前回提案理由説明に対して出席していなかつたので十分わかりませんから、或いは私の質問が当らないかも知れないと思いますけれども、今回資格を与えんとするものに対するこれまでの経過、どういう一体経歴を持つ人であるかということの説明を十分にやはりしてもらつたほうが私ははつきりすると思いますので、この提案理由説明書だけでは十分でないのではないかと思いますが、委員長どうですか、これは一つ書面か何かで細かく書いてもらうわけに参りませんか、どういう資格を持ち、どういう経過を持つ閲歴者であるということを、提案理由説明だけでは余りに漠としておりますから、具体的にどういうような経歴を持つことによつて現在の判事補たるの資格を与えてやるのかという、納得の行くように、認められる一つ閲歴を書類を以て出して頂くようにしてもらえませんか。
  65. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは只今鬼丸君の発言通り政府から十分な一つ説明書を提出されるように私のほうから要望いたします。
  66. 位野木益雄

    政府委員(位野木益雄君) 承知いたしました。
  67. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記止めて。    午後三時三十八分速記中止    —————・—————    午後三時五十分速記開始
  68. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 速記をつけて。  それでは下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の審査についてお諮りいたします。本案につきましては午前中の委員会におきまして政府説明を聴取いたしたのでありますが、その際委員長より質疑は次回に行う旨申し上げました。つきましてはこの際引続き本案に対する質疑をお願いいたし、若し御質疑が終りましたら討論、採決も併せて行いたいと思うのでありますが、さよういたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。  御質疑のおありの方は御発言を願います。
  70. 伊藤修

    伊藤修君 この前当委員会大湊簡裁についての請願を採択したことがあるのですが、本法中に改正される事項として出ておる。その際反対陳情として大湊を他に移転するということについて反対の陳情もあつたわけです。それは審議未了になつていると思うのです。だから現地におけるところのこの事情を御説明を願いたい。簡単でよろしいですから、当院の請願に対する決定と矛盾するのかしないのか。
  71. 位野木益雄

    政府委員(位野木益雄君) 只今伊藤委員の御指摘になりました青森県の大湊簡易裁判所を田名部町に移転する点でありますが、これは前回の国会におきまして田名部町に移転するという請願が当参議院において、而もこの法務委員会において採択されたのであります。そうしてその後その逆の請願即ち田名部町に移転しないで現状のまま大湊に存置したいという請願もあつたのでありますが、これは御採択にならなくて審議未了のままになつたのであります。そういうふうな御趣旨を尊重いたしまして、この法案中に田名部町に移転する部分も入れたわけであります。現地の事情でございますが、大湊町はこれは立場上積極的に同意するというところまでは、正式に意思表示をしてもらうというところまでには至つておりませんが、他の全部の町村、同郡内の全部の町村は反対なく賛成いたしております。この郡の中心地が田名部町であり、ほかの官庁も大部分田名部町にあるということから考えまして、田名部に移転するのが適当であるというふうに考えるのでございます。
  72. 中山福藏

    委員長中山福藏君) ほかに御質疑ございませんか。ほかに御質疑がなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて、討論採決に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて直ちに採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  75. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 全員一致と認めます。よつて本案は全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、例によりまして、委員長の本会議の報告その他は便宜御一任を願います。賛成の諸君の御署名を願います。   多数意見者署名     伊藤  修  齋  武雄     加藤 武徳  長谷山行毅     郡  祐一  鬼丸 義齊     岡部  常   —————————————
  76. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 次に連合委員会開会に関してお諮り申上げます。先般発生いたしました第一、第二大邦丸事件関連いたしまして、その後竹島の領土権の問題が新聞に出て問題になつておりますが、この問題につきまして、本日外務委員会におきまして調査することを決定いたしました。  つきましては当委員会といたしましても、外務委員会と竹島の領土権に関する件について連合委員会開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないと認めて左よう決定いたします。   —————————————
  78. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 次に漁船拿捕並びに漁夫射殺事件についての政府に対する申入れに関する件を議題に供します。  私より外務並びに水産両委員会と法務委員会との関係につきまして一応御報告を申上げたいと存じます。実は先般本問題につきまして水産、外務、法務三委員会の連合調査会が開かれたそうでありますが、その後外務委員会におきまして、外務委員会は単独ですべての本問題に関する限りは単独に善処したいと、こういうことを申しまして一応この連合から脱退するということを私まで通告をして参つたような次第であります。右御報告を申上げておきます。それでちよつと速記を止めて……    午後四時速記中止    —————・—————    午後四時十六分速記開始
  79. 中山福藏

    委員長中山福藏君) それでは速記をつけて下さい。  先般来当委員会並びに外務委員会、水産委員会で以て、連合調査をしておつた本問題については、すべての処置を水産委員会に任せるということにきめたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 中山福藏

    委員長中山福藏君) 御異議ないものと認めます。それではさよういたします。  本日はこれを以て散会いたします。    午後四時十七分散会