運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-12-19 第15回国会 参議院 文部委員会 第12号 公式Web版

share
  1. 教育及び文化に関する一般調査の件 (会議録情報)

    昭和二十七年十二月十九日(金曜日)    午後二時開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     若木 勝藏君    理事            木村 守江君            梅原 眞隆君    委員            白波瀬米吉君            高橋 道男君            山本 勇造君            梅津 錦一君            矢嶋 三義君            相馬 助治君            棚橋 小虎君            三好  始君   国務大臣    文 部 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    文部政務次官  廣瀬與兵衞君    文部大臣官房会    計課長     小林 行雄君    文部省初等中等    教育局長    田中 義男君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君    文部省調査局長 久保田藤麿君    文部省管理局長 近藤 直人君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○教育及び文化に関する一般調査の件  (文部省関係予算に関する件)  (教育一般問題に関する件)   ―――――――――――――
  2. 委員長(若木勝藏君)(若木勝藏)

    委員長若木勝藏君) 只今より委員会を開会いたします。  最初に請願陳情議題といたします。速記を止めて……。    午後二時一分速記中止    ―――――・―――――    午後二時五十一分速記開始
  3. 委員長(若木勝藏君)(若木勝藏)

    委員長若木勝藏君) 速記を始めて。それでは次の議題教育予算教育の一般問題につきまして、大臣がお見えになつておりますから、先般来の継続の、質問に移りたいと思います。質疑のあるかたから御質疑をお願いいたします。
  4. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 先日大臣質問途中、大臣退席されましたので、その点継続意味で更に若干お伺いいたしたいと思います。  先ず吉田総理施政演説にも入つてつたと思うのでありますが、占領下制度の再検討ということを、総理も更に文相も発言されておられるわけでございますが、制度の再検討というと、どういうことをお考えになつていらつしやいますか、お伺いいたしたい。
  5. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) 制度の改正と申しますのは、まあ全部の教育行政というものが成るほど完備してはおりますけれども、日本国情に果してぴつたりこれが完全実行して行けるかどうかというようなことも、やはり検討をしなければならんと思いますし、それから又その制度自体におきまして、その制度はいいといたしましても、それを運用して行く上において、国情に合うとか、又独立後の情勢に合うとかいうことについても一つ検討しなければならんと、こう私は考えております。
  6. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 抽象的な御答弁でございますが、具体的に申して例えば六三三四の体系というものは育成されて行かれるのでございますか。それともこの六三三四の体制そのもの検討を要すると、こういうふうにお考えになつていらつしやるのですか。
  7. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) 六三三四とか、又教育基本法とか、こういうふうに完全にもうこれで進んで行きたいというようになつおりますものは、無論堅持して行くのであります。ただ制度そのものの中に、或いは若干是正を伸しなければならんところもありましようし、いろいろ考えなければならんことがありますから、これから再検討いたしたいと、こう考えおります。
  8. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 六三三四の体系そのものは大筋として通して行くと、こういうふうに了承してよろしいのですね。
  9. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) お説の通りです。
  10. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 やや掘り下げてお伺いしますが、この義務教育振興という立場から、教育者の質的、量的充実ということが大きく取上げられて参つて、戦後の我が国教員養成計画の面において、又制度において、曾つて師範教育制度から非常に飛躍したところ教員養成制度体系整つたことは、非常に私日本教育振興のためにプラスする面が大きいと、こう考えておるわけでございますが、最近一部報道機関によつて大臣教員養成機関ニカ年制大学というものが大臣所見として発表され、相当私は教育界に衝激を与えていると思うのですが、この教員養成大学を四年制にするか、二年制にするかということは、これは我が国義務教育振興に及ぼす影響というのは極めて大きいと思うのでございますが、六三三四制、この体系とこの教員養成機関の、大臣が言われるニカ年制というのはどういう関連を持つておられるのか、その点を伺いたいと思います。
  11. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) これも素人大臣思い付きなんでございます。聞くところによりますれば、年々自然に減つて行く数が五万人くらいある。併し出て行く、養成されて行くところ教員が二万幾ら、そうすると半分くらいしか出ておらんわけです。それから又小学校中学校先生素質と申しますか、資格というものをよく聞いてみますというと、四年制の大学を卒業した先生が非常に少いそうでございます。そうしてこれを待つておりますというと、いつまでたつた充実できるかわからんというようなことになりますから、私はこういうふうな方向をとつてつたらどうかとこう思う。先ず助教員のような、本当に言えば我々が理想とするところ先生でない人がたくさんおる小学校は、二年課程でもいいから大学を卒業した人を一つ入れて、そうして補充して行こう、それから又これをいたしますにつきましては、ただ単に二年の養成というだけじやなくて、若し二年の学校を出て教育に従事して、成績が非常にいいということがありますれば、その人を何年かのちには現給を支給して又あとの二年を学校に学ばせると、こういうふうな便法をとつてつたらどうか、これも一つ思い付きでございます。そういうような考えで、とにかく教員素質を、長年待てば或いは四年制の大学を卒業した者ばかりで埋め得ると思いますが、今の勘定から行きますというと、五万人減るのに二万人しか出て行かないということでは、いつまでたつて教育というものが充実して行かない。それじや一つ臨機の処置として、先ず二年課程先生でも作つて、そうしてやつてつたらどうかというふうに考えておるわけであります。
  12. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 ということは、何ですか、現在の四年制の学生を収容している施設の一部を二年制のほうに割愛してまで二年制の教員養成をやると申されるわけですか。それとも今四年制の学生諸君を収容している施設はそのまま四年制の学生諸一着を収容し、更に別枠で早急に優秀学生を獲得する意味で二年制の学生を余分に収容して、教員養成をやると、こういうつもりでございますか、いずれでございますか。
  13. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) その点は私は技術上の問題でございますから、よく事務当局に何とか一つそういう早く、少くとも二年制の学校を卒業した人だけでも、早く充実できるような方法はないか。こういうことを研究をして頂いておりますから、事務当局のほうでどういう考えを持つておりますか、お答え願いたいと思います。
  14. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) これは御承知のように、地方によりまして非常に事情が違うのでございます。例えば北海道あたりにおきましては、外枠として相当多数の二年課程を増さなければならんと考えております。又極端な場合には大都市関係におきましては、むしろ二年制より四年制のほうを殖やさなければならん。併し総体におきましては、大臣から言われましたように、相当いわゆる減耗率で計算しますと、需要数供給数との間に開きがございまするから、今後も二年課程に対する依存度は強くして行かなければならんと考えております。
  15. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 私がお伺いしているのは、そういう点じやないのです。現在の四年制の学生諸君収容数というのはきまつておりますね。これを一体減らすのか、減らさないのか、それを承わりたい。
  16. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 絶対数は減らないのでございます。比較数の問題でございます。
  17. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 四年制は滅らないということになるのでございます。
  18. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) さようでございます。
  19. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 大臣にお伺いしますが、教員養成大学は飽くまでも四年制が建前であるべききである、急速に補充するために臨時的に二年制というものを設けるのだ、こういうように大臣のお考え方は了承してよろしうございますか。
  20. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) お説の通りでございます。
  21. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 やや技術的になりますが、こういう方法考えられないのでございますか、現在四年制の学生がおる。二年制もおる。更に二年制の学生諸君を新たに増員する方法と、もう一つは、更に検定制度を拡充するとか、或いは現在の無資格者に今まで続てけ参りましたところ資格附与講習予算を確保することによつて推進して行く。そういうことによつて私は殊更に教員養成を二年制に云々というようなアドバルーンを上げなくても、これは解決できる問題ではないかと思うのですが、如何でございますか。
  22. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) お話のように、先般来実施しておりまする現職教育十年計画は進行中でございます。大変に成績がよく進行しております。若干特殊の地方におきましては、大学に  一年課程を設けまして、助教に早く仮免許状を与えるというような施設もいたしております。お説のような方法も併用して参ることが必要だと考えております。
  23. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 大臣教員養成について非常に関心を持たれたことは、これは大変結構で私敬意を表する次第でありますが、現在勤務されておられるところの助教諸君、この中には資格は持たないけれども、現場における教育者として随分優秀なかたがおられるわけです。それに若干の資格附与講習をすることによつて免許状を与えれば、私は成規学校を卒業した人に勝るとも劣らないような優秀な現場教員諸君がたくさんおることを私はよく知つております。それが今までそういうことができなかつたことは、結局この講習に必要なる主催者側予算並びにその受講者経費負担という面が予算的な面から解決されないために推進されなかつたわけでございますが、それらの予算獲得については天野文部大臣も随分と御心配なつたようですが、結局非常に苦労されたようです。大臣はそれらについて相当決意を持たれておられるか、その点承わつておきたい。
  24. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。その辺のところはよく事務当局の完全なる案を認めまして、それが必要止むを得ざる経費であれば、無論それに対して、こういう考えを起しました以上は、やはり予算措置もしなければならんと、こう考えております。
  25. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 この教員養成制度については、それぞれ審議会があるわけですが、更に大臣がよく言われるところ産業教育についても、やはり一つ諮問機関としての審議会があるわけです。或いは道義高揚に関する教科課程審議会もあるわけです。更に我が国文教政策に対するところ文部大臣最高諮問機関としての中央教育審議会というものも制度上あるわけでございますが、これらの審議会に対する大臣の基本的な立場ですね。これらを大いに督励してしこれらの意見を尊重して行かれるのかどうか、その点を私は承わりたいと思います。殊に中央教育審議会のごときは、今の日経連のこの要望の中にもちらつと見えておりますが、これはあらゆる方面で、立法化されてから今まで、本日まで発足していないが何しておるのだという巷の声は澎湃として起つておるわけですが、未だに発足しない。こういう点私は非常に不満でもあるし、不思議に思つておるわけですが、これら諸審議会に対するところ大臣の基本的な考え方中央教育審議会が未だに発足しないところの理由、一体いつ大臣最高諮問機関として発足させようという見通しを持つておられるのか、そういうことについて承わりたいと思います。
  26. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) 私一応皆様方の御了解を得ておきたいと思いますが、私は思い付きをしよつちゆう考え付きますけれども、只今ございます制度というものを無論尊重してから上のことでございますから、事務当局に十分研究させましようし、審議会があつて審議会審議することがあれば審議もさせる、そういうことを抜きにして、ただ私の思い付きをそのまま実行に移すというような考えは毛頭持つておりませら。この点はよく御了承を願いたいと思います。それから中央教育審議会でございますが、あれは年内に発足することに準備を整えつつあります。
  27. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 問題を掘下げて具体的になつて恐れ入りますが、念のために伺いたいのでありますが、この中央教育審議会構成というものは、これは私は極めて重大だと思う。従つて第十三国会で我々がこれを審議する際にも随分と論じられたところでございます。大臣最高諮問機関として恐らく日本文教政策というものは、ここで打出されたものが大体軸となつて動いて来るのじやないか、こういうように私としても思つておるわけでございます。従つてこの構成については殊に重大関心を持つております。審議過程にもいろいろと当時の天野文部大臣意向も質したわけでございます。特にその審議過程において論じられ、採決に当つても時の文部委員長である梅原委員長が重大な発言をされておるわけなんです。要するに中央教育審議会委員構成について重大な発言をされ、速記にも残つております。今私ここでそれを長くなりますから申上げませんが、その他我々があの法律審議した当時の経過から考えるならば、日本の二十数万の教育者現場における状況のよくわかつたかた、民主的な近代的な組織を持つたところ教職員団体があるならば、その団体の推薦するところ代表の一人は中央教育審議会委員として入れるべきである、入れてほしいということは、委員会でも要望され、又委員長のほうからもそういうような意味のことが発言され速記に残つておるわけですが、岡野文部大臣は、私は具体的に申上げますが、先般も私は或る新聞で拝見したのでございますが、日教組の代表なんかは、そんなものは入れないよというような意向を表明されたということを私は承わつておるのでございますが、第十三回国会におけるこの法律審議経過、結果もございまするので、私はやや具体的になりまするけれども、大臣所見を承わりたいのでございます。
  28. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) そういうふうに非常に重大なる審議会でございまするから、私も慎重に考えて、そうして人選を進めつつあるわけでございます。遅れていますのも同時にそれにあるのでございます。ただ問題はいろいろ立法の際のいきさつもございますから、そんなことも無論尊重したいと思いますが、併しこれは今暫らく御猶予を願いたいと、こう思います。
  29. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 その点については是非とも当時の速記録を御覧頂きまして善処方を強く要望いたしておきます。  次お伺いいたしたい点は、大臣は先般の私の質問に対しまして、教育の無償並びに教育機会均等推進のためには努力するということを御答弁頂いたわけでございます、私この際承わりたい点は、教育機会均等というものが最近崩れつつありはしないかという点を私は懸念いたしております。やや具体的にお伺いいたしますが、定時制高等学校というものが、教育機会均等立場から発足はしたけれども、全く有名無実化しようとしております。通信教育又然りでございます。更には国民生活の不安定という立場から戦争犠牲者、或いは未亡人の子弟の義務教育、或いは更に高等学校大学へ行く進学するところの途というものは殆んどふさがれて、義務教育すら十分に受けることができないという実情、まあ中学校の統計を見ればはつきりすると思うのでありますが、更に先般ちよつとお伺いいたしましたが、給食の問題につきましても、食改善立場から食管特別会計から補助という形になりましてからというものは、約六割ほど負担が重くなつております。その結果というものは随分と給食費を支払えない生徒、児童も非常に急増いたしているわけで、これは文部省としても資料を持たれていると思うのでありますが、今若干私は具体的な例を挙げましたが、これらを教育機会均等推進する立場から、具体的にどうなさろうとする方法を持たれているか、その点を承わりたいと思います。
  30. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) お話のうち、上級学校のほうから申上げますが、御承知のように育英会の資金でございまするが、本年度も昨年度よりは増額して参りましたが、明年度予算におきましても、単価の増或いはパーセンテージの増、殊に只今お話のありました遺家族に対します特別な枠というような点につきましては、実現を期している次第でございます。更に通信教育につきましても、いろいろ資格附与の問題と関連いたしまして、明年度その充実を期しております。
  31. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) 私細かいことはよく存じませんから、よく局長あたりから事情を聞きまして、そうして善処をいたしたいと思います。
  32. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 局長は今育英制度云々ということを言われましたが、昨年度より増したということを言われましたが、私はその言葉を返す気持はないのでありますが、昨年は大学が三年制が四年制に延びたために学生自然増伴なつて殖えたので、実質上はそう変つていないと思うのです。それからあなたがたはその当時単価引上げと、それから受給生徒パーセンテージ引上げ等を大蔵省に要望した、あなたがた文部事務当局考えは結構でありますが、それらは全部事務のほうでは天野文政の支柱であつたものが、育英制度は画餅に帰したのであります。今度岡野文部大臣を迎えるわけですが、教育機会均等推進するとあれば、事務当局考えはここ数年間一貫しているし、立派であるが、それを政治の上に実現するために、新大臣としての決意見通しというものを持たれていなくちやならない。それを私は大臣から承わろうとしているわけなんでございまして、その点私は大臣の御答弁を頂きたいと思うのであります。若しも大臣にこれらの詳細についてまだ十分事務当局から御説明をしていないとすれば、来年度予算の第一次内示も近くあろうかという現段階に非常に私は遺憾に思いますが、教育機会均等の具現のために、こういう陥没している問額については、一段の私は努力を払つて頂かなければならんと思うのでございますが、それだけ申上げて置きます。大臣の御所見を承わりたいと思います。
  33. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) これはこの前から申上げておりますように、できるだけ私はその方面に対して善処したい、こう考えております。
  34. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 ほかに質問のあるかたがあるようでございますから、その点は善処して頂いて、この次に具体的に答弁一つ頂きたいと思います。  もう一項目について私は質問してこれを打切りますが、それは道義高揚ということを非常に大きく掲げられておられるわけでございますが、大臣のお言葉の中に、先生の再教育をするために、先生に対して道義高揚教育をするために手引書を作りたいというように、具体的な大臣談話を私は新聞で拝見したわけでございますが、いずれも私大臣との質疑応答の際にちよつと触れましたが、教師だけに対して手引書を作るのも結構ですが、そういうことで、私はまああなたがたが道義高揚道義とはどんなものを一応言つているのかまだ承わつておりませんが、解決できる問題ではないと思うのであります。私はここで教師の面は教師の面として、例えば吉田内閣岡崎外相選挙違反に引つかかつた。而も岡崎さんの選挙事務長公選議員であつて、法の盲点を潜つて時効になるまで隠れている。こういう大臣道義高揚を叫ばれる吉田総理の下、又道義高揚を叫ばれる岡野文部大臣と同じ内閣におられるというようなことで、一体道義高揚というものが国民の耳に入るでございましようか、どうですか、私一つ伺いたいと思います。どうお考えになりか、ああいう問題を…。
  35. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) そういうふうに同僚のことを批判するようなことは、私は道義高揚上差控えたいと思います。成るほどまあそういうことも世間に噂されておりますけれども、私の耳にも入つております。ただ我々といたしましては、やはり学校先生とか、又は社会の指導者とかというような人から、子供をよくしてもらいたいというのが念願でございまして、我々が教育者になつて、そうしてやつて行こうというのじやないのですから、その点は一つ御容赦願いたいと、こう思います。これは私同じ閣僚がそういうようなことになつているというようなことで、私に道義高揚を叫ぶ資格がないと仰せられれば、これは至極御尤もなことでして、私としては誠に何をか言わんや、こういう御答弁しかできないわけでございます。
  36. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 それ以上追及いたしませんが、私の言いたいことは、あなたが道義高揚を図るためには、教師はともかくなつておらんぞ、それならば手引書作つて与えればということを第一番に取上げたということを私はやはり取上げているわけなんであります。教師諸君の中には、五十万の中にはそれは余り感心できない人も中にはいるかも知れません。併しながら劣悪な勤労条件下、私は日本の五十万の教職員というものは随分私は励んでいると思うのです。特に私は先般僻地教育などを視察いたしましたが、本当に猪や狸の出て来そうな分校あたりにいらつしやる先生が、我々が想像し得ないほど身命を投げうつて、次代の青少年の育成に努力しているという点を私は確認いたしておるわけでございますが、教師諸君に呼びかけることは勿論大事でございますが、それを上廻るところのやはり政治家の面における良心的な道義的な確立が先ず図られなければならない。両々相待つて行かなければなりますまいが、そうなくちやならないと思うのです。そういう立場から、私は文部大臣も勿論でございますが、吉田内閣としても私は道義の昂揚ということを大きく掲げる以上は、よほど私は心して頂かなければならん点がたくさんあると考えております。その程度にこの点はとめておきたいと思いますが、もう一つ、これとやや関連があるのですが、最後に私はお伺いいたしておきたい点は、どうも逆コースの方向を辿りつつあるということが非常に心配なんです。大臣民主教育推進ということを言われましたが、そういう懸念がないわけではございません。道義高揚道義がどういうことを目標とされておるのか、又如何なる方法でやられようとしておるのか。そういう具体的のことを承わつておりませんので、更にその感が深いのでございますが、それらに関連して私は先日も伺つたのでありますが、これは大臣にこれだけ伺つて私の質問は終りますが、民主教育推進して行くに当つて、先般私はちよつとここで触れたのは言葉の問題ですが、言葉、その表現の仕方というものは民主教育の私は確立と非常に不可分の関係があると思うのです。先般の立太子礼における吉田さんのいわゆる「臣茂」の問題、それから吉田総理国民代表して述べられたあのお言葉、それから泉太子殿下のあのお言葉、ああいうものは法律で行われておる義務教育の場においては用いられない言葉表現、こういうものが取上げられておるわけなんです。一体これでいいのかどうか。陛下に対する親愛の情を現わす方法というものは私は幾らでも方法はあると思うのでございますが、あの皇太子様のお言葉も、私も立太子礼に参りましたが、非常に私は不自然に聞えました。ところがその翌々日、皇居前広場で都民の祝賀会がございましたが、あのときの皇太子殿下のお言葉は、本当にぴつたりして人間皇太子、我らの皇太子という情愛がひしひしと胸に迫つたわけでございますが、一体私大臣に承わりたい点は、小中学校義務教育というものは法律でやつておるのです。それから当用漢字というものも随分問題になりましたが、これを強制してやつておるわけなんです。ところが国事として行われるそういう儀式に、そういう義務教育の場における教育と全く違つた立場において行われるということは、これでいいのかどうか。私はこれは重大な問題だろうと思いますので、私はその点承わりたいと思うのでございます。それと、これは総理大臣に承わらなければならん問題でございますが、文部大臣より一応所見を承わるのでございますが、それは皇太子が人間皇太子として、私は立太子礼が行われた後でも、今まで通りに一般の学生諸君と共に学業を修められるということが、私はいろいろな徳を涵養される上から、人間皇太子、人間天皇の教育として私はとられる途ではないかと考えるのですが、一部の宮中の関係者の間には、立太子礼を行なつて中外に闡明した以後においては、今までのように勝手に野球見物に大衆の中に伍して行くというようなことは皇太子に許されないのだというようなことを私は伝え聞いておるわけでございますが、そういう皇太子教育というものが適当かどうかという点について、私は相当疑問を持つておるわけでございます。曾つては神であつた天皇或いは皇太子が、現在は人間天皇になり、人間皇太子になつておられるわけです。これが神であるか、人間であるかというところに、随分と私はあらゆる面において変つて来ると思うのですが、最近の国内の諸情勢を私思い見るに、意識するとしないとにかかわらず、天皇、皇族を再び雲の上に祭り上げようとする、意識するとしないとにかかわらず、そういう傾向というものは私は否定できないように感知いたしておるわけでございます。従つてこれはいわゆる民主主義日本の建設という立場から、根本的な私は重大問題であると考えておりますので、文教の最高責任者としての岡野文部大臣、あなたの所見を詳細に私は今日承わつておきたいと思います。
  37. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) 寿詞の問題は、衆議院でもちよつと御質問がございましたが、私はこれに対してこういうような考えを持つております。あれは御承知通りに天皇一家の古式を以て行わせられたのでありますから、今の、普通で言いますと、モーニングで式をするところを衣冠束帯で式をされる、こういうような形になつたわけです。そうしますれば、やはりそれに合つたやはり零囲気を作るためには、何かむずかしいような文句を言うたということになつて寿祠になつておりますが、これはまあ普通の我々常識から考えまして、それでもいいのじやないか、こう考えております。と申しますことは、御承知通りに歌舞伎の芝居のときにはやはり現代語とは変つたところ言葉が出て来る、それから新派の芝居のときには変つた言葉が出て来る。又我々といたしまして、毎日……毎日あつては困ることでありますが、何か不幸がありましたときには、お坊さまを雇つて来て、そうしてお経を上げて頂く、併しそのお経は我々には何の意味かわからない。併しこれが人間の習慣とか、伝統によりまして、そのわからんお経が有難く感ずるというような感じでございますから、その辺のところは余りおとがめ立てなさらないほうがいいのじやないかと思つております。それから皇太子教育のことでございますが、これを昔の神格化した天皇、皇太子というようなものの教育の仕方にして行こうとか何とかいうことは私は聞いておりません。恐らく宮中でも今後続けて普通の民主教育をされて行くことと思つております。若しそういうことがございましたならば、我々としては又考え直さなければなりませんが、そういう噂は聞いておりません。
  38. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 先般行われた立太子礼というものは、あれは皇室の行事でございますか、国事でございますか、いずれでございますか、天皇一家の行事でございますか。
  39. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) 国事でございます。
  40. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 国事でございましよう。国事であり、国民代表としての総理のお言葉でありましたら、これは国民の大多数の諸君に意味のわかるような表現の仕方を私は当然されるべきだと思います。これは歌舞伎とか、或いはお葬式のときのお経とは私は同一に論ずべき問題じやないと思うのでございますが、如何でございましようか。国事で而も国民代表としての総理の……。
  41. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) 一応その御意見もその通りでございますが、併し又一面国事でありますけれども、国事として又その行事はやはり宮内庁事項でございまして、天皇一家の御儀式なんです。その天皇一家の御儀式には衣冠束帯でやられる。そのときに合わせるためには、やはりああいう言葉を使つたほうが、その零囲気に合うという考えで、ああいうことになつたわけであります。
  42. 山本勇造君(山本勇造)

    ○山本勇造君 ちよつと関連して…、私長いことここにおりまして、そうして政府の人の答弁というものを聞いておりますと、私は答える弁という答弁ではなくて、逃げるほうの、あの逃げるという逃弁の逃を思い出して仕方がないのです。先ほど岡崎君の問題が出まして、あなたは同僚である、大変お上手な、同僚の誼みでそういうことは言えないとおつしやつた。一応私もわかります。併しながらそれは私情なんです。あなたは文部大臣として、そうして道義高揚を叫ばれる上から言つてする場合には、そういう私情で以て言つてよろしいのかどうか、私はその点をあなたにお尋ねいたしたいと思います。  それから第二の点は、今の総理大臣の成年式における言葉でありますが、あれは古式に則つておやりになつたと、若し古式に則つておやりになつたのならば、あなたは今寿詞という言葉をお使いになつた。先ほどちよつと聞いてみると、この頃寿詞という言葉だそうでありますが、若し古式に則つてやるのならばあれは「よごと」と言わなければならない、ところが事実今では寿詞と言つております。そうすれば必ずしも古式に則つておるかどうか疑問だと思う。又今度の御儀式においては衣冠束帯はお着けになりましたけれども、併しながら非常に民主的に、今までのやり方でなくてたくさんの人も呼ばれてやられた。大変新らしい憲法に即したようなやり方をやられた。又総理大臣は衣冠束帯を着けておやりになつたのかどうかは、私はその場におりませんから知りませんが、恐らく、衣冠束帯はお着げになつたのですか、(「着けていない」と呼ぶ者あり)着けていないのだろうと思います。そうしますと総理大臣のあの何と言いますか、今時分なら寿詞でありますが、その寿詞というものはあなたの言われる古式ではないので、而もあの中に、はつきりと国民代表して、ということを言一つてあるのであつて国民代表してやるのなら国里がみんなわかる言葉で育つてもらいたい。で、一体日本義務教育だけで終る者が大体八五%だと私は聞いております。上の学校に行ける者は一五%、国民の大多数の八五%は義務教育だけしかやつていないのです。そうでありますから、言葉の民主化ということは非常に大事なものであつて文部省としては非常に考えなければならん問題である。学校の設備をよくするとかなんとかいうことも輩でありますけれども、言葉がやさしくなつて、そうして文字も簡略になる、文章もやさしくなる、つまり誰にでも書け、誰にでも読め、誰にでもわかる、それが一審大事な点だと思う、言葉の民主化というのはそれなんで、文一部省としてはこれを本当にもつとやつて行かなければならん。ところがあれをきめたのは、たしか私は当用漢字のようなのは幣原内閣の呼だつたと思う。そうして吉田さんは閣僚の一人だつたと思う。それですから閣僚の一人であつて、あれを閣議でおきめになつているのですから、あれに対しては責任がある。それで今度のような時にこそ宮中におかれても今までの儀式と違つて、かなり民主化されたやり方をしているのなら、総理大臣国民代表してやる以上、誰にでも読め、誰にで査もわかるような文章でやつてもらいたい。又そういうふうにやることが言葉の民主化ができて行く根本になると思う。それはまああなたは何と言つても実業家出身のかたでありますから、そこまでお考えになつているかどうか存じませんけれども、併しながら文教の府に立たれ、短いけれども、少くも前にもやり、今度も又お引受になつたのだとすると、この問題は本当にお考えになつて頂かなければならんので、もうこの間できた問題についてはできてしまつたのだから仕方がござんせんけれども、今後においては言葉は、国民の誰にでも読め、誰にでも書け、誰にでもわかるというふうに持つて行かなければ、本当の日本の民主化ということはできないと思う。ただ民主主義、民主主義と幾らつても、そんなものは、題目を並べたのでは駄目なんで、それを実地にやつて行くことが非常に大事なんで、文教の府にある人はそこに力を入れて頂きたい。この問題はやはりあなたがやつたのでもないし、又あなたがあの寿詞をお書きになつたときにお立会になつたのではないでしようから、本当を言うと、これはあなたに言うべきことではありませんけれども、併しこれはあなたとして今後においてああいうことのないように、閣内でも十分御注意になると共に、又文部行政をやつて行く上にこの点は最も力を入れて僕はあなたにやつて頂きたいと思うのでありますが、それについてあなたの御所見を承りたいと思います。
  43. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) お説至極御尤もと思いますので、御趣旨をよく尊重して今後気をつけます。
  44. 梅津錦一君(梅津錦一)

    ○梅津錦一君 先ほど勤労青年の研修機関の問題について、矢嶋君から大分詳しく討議れていろいろな点が明瞭になつたと思うのでありますけれども、私は学制の体系からこの際十分お聞きしたいという点は、特に義務教育を終つた子供たちが定町制の学校に出て行くわけです。夜間高等学校ですか、出て行くわけですね。ところが現在その夜間高等学校を出て行つた生徒が、今地方に市立或いは私立、或いは県立のところもありますが、短期大学がほうぼうにできているのです。この短期大学の試験を受けるときに、こうした勤労青年が受けて来た学力ではうからないのです。非常に希望者が多いということがある。これにはどうしてもこうした最も不遇な境遇にあつて、而も内学心に燃えて定時制高等学校を出て、そうして一定の資格を得るために行く短期大学です。私立の短期大学ですが、こういうのが非常に多くできております。これは非常に結構なことだと私は思うのですが、そういう短期大学の試験を受けられるためには、特にこうした勤労青年の研修機関としての定時制高等学校の強化が私は必要である。これがしつかりできますと、短期大学では専門的な知識を得ますから、これは経営者団体協議会の御趣旨にも十分に副い得る立派な教養を身につけた社会人になり得ると、こういうような点に私は希望を持つている。そのためにはどうしてもこうした意味から定時制高等学校をもつと強化する、予算の面においても或いは夜間の教官の拡充に対しても十分力を入れて頂きたい、これに対して文部省が来年度どのような施策を持つておられるか、聞きたいと思うのです。特に私は一本になつた本当に純粋の形の学校体系ができ上るように、私はこういうことに協力して現在まで来ているのであります、そういつた意味において文部大臣の御所見をお聞きしたい。大臣政治的な御見解ならばなお私は結構だと思うのです。
  45. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) 御趣旨至極御尤もでございますから、多分文部省が案を持つておると思いますから…。
  46. 政府委員(近藤直人君)(近藤直人)

    政府委員(近藤直人君) お答えいたします。定時制高等学校施設の面につきまして来年度予算に約八千万円要求して、モデル・スクールを作る計画を持つております。その計画の内容を大略申上げますと、全国四十六都道府県に各県一校ずつ普通課程並びに農業課程久三極ずつモデル・スクールを二分の一補助で設ける予算約八千万円を要求いたしております。
  47. 梅津錦一君(梅津錦一)

    ○梅津錦一君 モデル・スクールを作るのに八千万というのは実に、我々は数字がよく読めませんけれども、全く問額にならないような数字がここへ計上されているわけです。私はそういうその、形の上でやりましたということではもう済まされない問額だと思う。現在定時制高等学校が衰微をして、希望を失つて、そうして青年学校が各地にできているということのその原因は、恐らくよく言われる勤労青年のために定時制高等学校を作るのだ、こういうアドバルーンは上げてみたけれどもここに主力が集中されない。これは定時制高等学校と夜間高等学校と、それから昼間高等学校の比率を見れば全く問題にならないと思う。あるものとないものくらい違う。これをもう少し文部省が本気になつて力を入れてくれないと、定時制高等学校を出た者は折角地方に幾つも幾つもできている短期大学へ入学できる者が一人もいなくなつちやう。それを占領するものは正規の高等学校を出たものがみんなそれに入学して来てしまつておる。何ら恩典に浴さない。ここに若い希望に燃えている青年の失望落胆があると思う。この失望落胆を救わなければ日本再建の途は遠いと思うのです。高等学校に行く生徒というものはその中においては僅かなんです。その村落を中心にして村落の中から少くとも夜間研修をして、そうしてできるなら短期大学を出て一定の尊開知識を身につけたいというこの勤労青年の意欲というものは、そこで頓挫してしまう。私はこのことに対して全く八千万なんておかしいと思う。八十億くらい計上してもよろしいと思う。桁が違うのです。これは文部大臣の私はそれに対する政治的見解をお聞きしたいと思います。
  48. 政府委員(近藤直人君)(近藤直人)

    政府委員(近藤直人君) 只今の私の説明、ちよつと足りませんので申上げますが、只今八千万と申上げましたのは全体計画の五分の一でございまして、全体計画を五カ年で完院反する目標を以ちまして、昭和二十八年度におきましては八千万、かようになる次第であります。
  49. 梅津錦一君(梅津錦一)

    ○梅津錦一君 それにしてもこの数伊は聞きたくない数字です。馬鹿にしている数字だ。
  50. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 只今モデル・スクールだけについての御説明から入りましたのでございますけれども、全般的には御承知のように前に四割の俸給費の国庫補助が特別の法律でございまして、これをやはり復活することが必要だと考えまして、今事務的に明年度以降実現を期して折衝いたしております。それから更に独立分校の設備費の補助等につきましても鋭意努力中でございます。
  51. 梅津錦一君(梅津錦一)

    ○梅津錦一君 私はこの問題は日本再建のために、再建途上にある学制の問題として重大な問題だと思うから私は執拗に申上げるのですが、これに要する施設に対しては府県、市町村がみな施設を受け持つているわけであります。国から補助が出ておりません。給与に対してもこれらにおられる教職員に対しての給与を府県がやつぱり負担しております。こういうことから本当に置いて行かれているのです。元の青年学校とは違うのですよ。戦争時代にあつた青年学校ですね、あれですら相当額出ているわけです。而も日本の再建を図ろうとするこの勤労青年の向学心をここで頓挫さしてしまえば恐らくこれは問題にならないと思うのです。こういうことが実行されないものだからいろいろの問題が出て来ている。勤労青年のこの問題に関して、私はどうか知りませんけれども、産業開発青年隊なんて何だかわからないような、こういうことを考えておるものがある一部には……。こんなことをしなくたつてこの定時制を強化して行けば実に立派なものができる。そのために、もう十万くらいの都市には短期大学がどこにもできている。市の費用でできている。大臣は御存じだと思う。この短期拳にこうし勤労青年がどんどんどんどん入れる途を桁えてやることが、そうして専門的な知識を身につけることが、経営者協議会の要望にも応える。従つて日本の知性を高め、民度を高めて行く広汎な施策でなくちやならない。これが文部省の施策でなくちやならない。大臣の御所見をお聞きしたいと思う。
  52. 相馬助治君(相馬助治)

    ○相馬助治君 議事進行でちよつと。私は前の委員会から特に予算問題について大臣に箕岡をすることを委員長に通告しております。ところ関連質問で次から次と出て来ますが、今日は私は何でもかんでも大臣質問するのですから、但し予算委員会のこともあるので、私をして涙を呑んで質問を延期させることのないように取計らうように前以て要望しておきます。
  53. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) 私よく存じませんから、大学局長にもう少し御納得の行くような御答弁を願います。
  54. 政府委員(稻田清助君)(稻田清助)

    政府委員稻田清助君) 先ほど申上げましたように、第一は優秀教員を誘致するという点で俸給費の問題がございます。これが平衡交付金制度ができましてから一般平衡交付金の中に捲き込まれておつたのでございまするが、やはり当事者の御意見等を伺い、又我々考えますると、従前のような例の四割国庫補助ということを復活することが非常に大事だと考えまして、その方法確立を目途といたしまして地方自治庁或いは大蔵省と目下折衝中でございます。それが根本の問題。更に独立分校の設備費につきまして相当額国庫補助の実現を期して努力中でございます。
  55. 梅津錦一君(梅津錦一)

    ○梅津錦一君 稲田政府委員からの御答弁で私はまだ十分納得するようには行つておりませんけれども、この問題はもうすでにずつと前から問題になつている。私は一切の青年教育の場を定時制高等学校に集約して、集中して、これを強化育成することによつて地方民の協力によつてでき上つた短期大学への途を作つて参りたい。これ一本建で私は文教政策はもう非常に明るくなり、あとのことは考えなくてもよろしい、このくらい私は考えている。余分なことは脅えてもらいたくない。これができ上つた後に初めてその他のことを考えてもらいたい。少し言い方が強いかも知れませんけれども、私はこれに対して正義感を以て強く、何か私は良心に許されないものがある。どうしてもそれをやつてもらわないと私は眠れないというような気がしているわけです。勤労青年のことを考えてですよ。大臣道義高揚の途も私はここから生まれて来る。勤労青年の道義高揚の途も……。従つて国民全体の道義高揚もここから出発する、私はこのくらいに考えているのです。私の考えが誤つているのならば私は万止むを得ない。それほどまでに私はこれに対して強く心配しているのです。大臣のこれに対する意中をお聞きしたいと思うのですよ。
  56. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) 御指摘の点私至極御尤もだと思います。予算をとる場合に、若し何でございましたら追加いたしまして要求してもいいと思います。
  57. 梅津錦一君(梅津錦一)

    ○梅津錦一君 非常にいいと思います。もう一点、この間の年末給与の〇・二五の問題ですが、大臣は、大蔵大臣と本田国務相と話合いの上、通牒を出す場合においては、地方庁が十分納得のいく二ような裏付けをして通牒を出したい、こういうお話をこの前承つてつたのですが、まだ閣僚会議を開かれておらないから、その内容については答弁できないというわけでございましたので、本日御答弁が頂ければ私は非常に結構だと思います。
  58. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。本多大臣ともよく緊密な連絡をとりまして、大蔵大臣に申入れまして、同時に教員というものは超過勤務手当というものがないのでございますから、とにかく何とかしなければいかん、又年末、手当を一般公務員が余分にもらう場合には、教員も、これに是非均審させる……大蔵大臣は何とかそういうことを考えましよう、こういう返事を私にいたしました。
  59. 相馬助治君(相馬助治)

    ○相馬助治君 二十八年度予算がその政府部内における作業の面でどの程度に進んでおるかということをお尋ねしたいのです。具体的に聞きたいポイントは、閣議でどのように運んでいるかということが一点、それから第二点は大蔵省がいつ頃内示する予定であるかということを一つ、お答え下さい。
  60. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) これは、閣議ではまだちつとも問題になつておりません。とにかく今予算委員会で没頭しておりますから私たち事務当局が大蔵省の事務当局とも連絡しました上で見ますというと、二十五日以後ですか、二十五日以後に出す予定でございます。
  61. 相馬助治君(相馬助治)

    ○相馬助治君 閣議で全然問題になつていないということは、二十八年度予算の数字的なことが問題になつていないという意味ですか。それとも三十八年度予算については、各省大臣においては次のような立場を以て大蔵省に予算を要求してもらいたいというような話合いもないということを含んでおるのですか。いずれですか。
  62. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) 御承知通り予算は一応概算で出しまして、大蔵省からそれに対する大蔵省の意見を付けて来まして、そうしてそれをもう一遍閣議で練ることになるわけでございますが、ところが大蔵省でその概算額に対してどういうふうに考えておるかというような内示がまだございません。でございますから閣議の内部では何も来年度予算についてはまだ話をいたしておりません。又その話を出す余裕が今ないわけです。
  63. 相馬助治君(相馬助治)

    ○相馬助治君 大臣答弁は次のように了解してよろしいですか。従つて事務当局間における予算の折衝が行われ、次いで内示が来る、次の段階において岡野大臣は、岡野大臣の主張を閣議に反映せしめて、重点的にこの事務折衝においてでき上つた予算を変更し、或いはその額を増額せしめるというような余裕が十分あるのである、こういうふうな現段階である、このように了解してよろしいですか。
  64. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) お答えします。私はこの事務的のことは余り詳しく知りませんものですから、いきませんから、併し私党出身の大臣ですから、党のほうと十分連絡しまして、そうして文部省予算に対しては考慮してもらいたいと思いまして、政調会並びに党の役員管にそれぞれ私の意見を申述べておる次第であります。
  65. 相馬助治君(相馬助治)

    ○相馬助治君 私が次にお尋ねしたいことも、賢明な大臣は意を含んで答えられたのですが、私がお聞きしたいことは二点なんです。  その一点は事務当局予算折衝をやつて一つの内示した形が出て来たのちにおいても、党出身の大臣としては自由党の政調会等にも諮られて、十分独自な岡野文政が具体的にはつきりでるような予算を、我々の言葉で言えば闘い取るというふうな努力が、当然なされると思うのでありまして、私どもは想像しておるのです。今の答弁でそのような予定であると聞いて、非常にこれに対しては同感ですし、是非そのようにお願いしたいのです。でその問題は解決します。第二点はこの参議院並びに衆議院の文部委員会に、文部大臣としてはどのような協力を求める御予定であるかということを尋ねるのです。かかる質問をいたしますことは、大臣としては何を私が聞かんとするのであるか、了解に苦しむと思うので、以下少しくその私の聞かんとする理由を述べますと、私は先に地方行政委員として又あなたは地方の自治庁の長官として、閣僚として委員会にまみえました当時におきましては、この地方行政委員会においては予算事務折衝になる前に私どもは大体その全貌を聞かせられ、そうして超党派的にこの問題に関しては委員会として、地方自治庁並びに地財委を鞭撻してその念願を遂げさせたいというか、努力を試みた経験を持つております。同時に、当時の私はあなたに対して非常なる政治的手腕の高さと又そのやり方の功妙と申してはおかしいですが、功妙さに敬意を表したものであります。私は今文部委員会参つて、従来この参議院文部委員会文部省とが、予算問題についてどのような形において、これが協力されていたかということを調べて見ますというと甚だ不満足な点が多い。即ち事務折衝でもうすでに内示する直前において従前も説明がされていた。今国会におきましても会計課長より、先般極めて事務的な説明がなされました。我々としてはその全貌をお聞きするだけで、会計課長を相手といたしまして、これが多過ぎるとか、これが少いとか、トータルにおいてこういう問題が含んでいるかということを議論することが、いささか拍子抜けであつても、聞き及ぶ程度になつているのでございまして、こういうことを考えると私どもはますます残念であつて、この文教政策に関する限りは、自由党と言わず緑風会と言わず、共産党と言わず我々社会党と言わず、超党派的に解決されねばならないとして、意見が一致する面が極めて多かろうと、こう存ずるのです。そういう我々自身の心構えからいたしますると、従前文部省事務当局が我々委員会に対してとつて来た態度というものは、必ずしも首肯できない幾つかの面があつたと、こう思うのでありまするが、この点につきましては既往のことを私はとやかく論じません。又それに対して弁解がましいことを聞く必要もございません。文部当局としては、できるだけの善意を以て努力されると思うのでありますが、又文部事務当局の置かれている政治的な立場が、そうすることが予算がスームスに通るただ一つの途であるという信念に立つているかも知れないから、私はそれを問題にいたしませんが、大臣は今後この委員会に対して、この種問題に対して、どのような協力を求められる心構えをお持ちであるかどうか、特に予算獲得の面に限つて大臣の心構えを一つお尋ねしておきたいと存じます。
  66. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。只今超党派的に文部予算について御協力を願えるというお書典を賜わりましたが、非常に私は嬉しく感じます。この間も日教組の人に会つていろいろ話したのですが、日教組と私とは何ら利害が対立していないのです。日教組も教員の待遇をよくしようとする、我々もよくしようとする、だから目的は一なんだからよく懇談したらいいじやないか、こういうような態度で臨んでおるわけであります。同時にこの文部委員会というのも教育に非常に熱心なかたばかりが揃つて出ていらつしやる、そうしてそれには一隻眼と申しますか、非常な御達見を持つた委員が皆お集りになつていらつしやる、そういうかたがたにできるだけ御協力を願いたいというのが私の念願なのであります。そこで私は文部当局に文部省の出している予算を十分皆さんに御説明申上げて御協力を願いたいということを申しつけておいたのでございますが、多分そういう御説明を申上げたんじやないかと思いますが……、全部会計課長から申上げたそうであります。とにかく出しました予算はああいうものでございますから、これが全部が全部とも行きますまい、これは事実そういうことになると思いますけれども、その歩止りを最もよくするためには協力一致してそうして当らなければならないと思いますが、この点においては今後とも一つ皆さんの御鞭撻になり御協力を是非お願いしたいと思います。
  67. 相馬助治君(相馬助治)

    ○相馬助治君 私は過去のことを述べないと言つて前提に申したのですから、大臣、課長が説明したということは、私も質問で触れている通りで、私も了承しております。ただ時期の問題、方法の問題等については我々も協力する態勢にあるのだから、大臣としてはその点を考慮されて、一つざつくばらんにやられたほうがよろしいのじやないか、こういうことを申しておるので、過去を非難するとかなんとかいうことを含んでいない、将来の要望を申上げたのです。ただ一点言い得ることは、文部省予算は極めて秘密主義であつたということが概括的に言い得るのではないか、こういうことだけを一つ附け加えておきたいと思いますが、次に政治が現実にどのように行われるかということは、予算にはつきり明示されます。如何に文教政策を大切にすると言つてもこれは文教予算に現われなければそれは問題になりません。岡野文政はかくかくの特徴を持つと言つても、その主張するところの部門に予算が十分に盛られなかつたら、これは意義をなさないことも当然でございます。そういう角度から眺めますと、いわゆる岡野文政の特徴は、予算面から説明して何なんであるか。いわゆる昭和二十八年度予算においては少くとも次と次との項目について自分はその実現を期したい。その実現を期すべき方途としては先ほど同僚梅津委員から二、三具体的に触れて質問がございましたが、そのどれをとるかはいろいろ問題があると私は存じます。で、又以下、大臣からお話を聞いても、それを私は批判してここで議論をぶとうとは考えておりません。ただ率直に同僚矢嶋一議員が聞いたのは、いわゆる岡野文政の一般的な特徴について尋ねたのです。私はこれを矢嶋君との重言を避けながら、これを予算の面からいわゆる岡野文政の特徴は何なんでございますか。一、二の目六体例を挙げて是非とも御説明給わりたいと存じます。
  68. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) これはちよつと、今までのことを思いますけれども文部委員会に祕密であつたというようなことは私は考えられないと思います。秘密は文部委員会に対してはあり得ないで、むしろ自分の希望即ち文部省の希望をぶちまけて、そうして皆様がたの御援助を乞うのが、これが当然だと思います。若しそういうような仕来たりがありましたならば、今後はこれを改めさせまして十分御協力を願うことにいたします。それからこの二十八年度予算ができましたのは、実は天野文部大臣時代に提出したものでございまして、私自身といたしましては自分の文政の特徴を表わすためにいたした予算ではないのでございます。併し先般予算委員会で申上げました通りにお前はどういう考えでやつて行くか、こういうような御質問がございましたので、私は天野さんの驥尾に附して行くつもりでございます、と同時に天野さんは自由党内閣文部大臣であられたのですから、大臣が迭つたからと言つてその方針に変りようがありません。前大臣の御意思を十分承わつて行きたいと申上げたのでございます。それは取りも直さず二十八年度予算は天野さんがお出しになつ予算をそのまま受継ぎまして、これを十分貫徹したい、こういうことでございますから、その中に何が特徴かということをお聞きになりますれば、私は予算全体を一文も値切られずに通したいというのが私の特徴でございます。これを十分一つつて行きたいと思います。併しそこまで行くか行かんかはわかりませんけれども、そういう覚悟でやつて行かんというと、とれるものもとれません。十分そういう考えを持つておりますことを御了承願い、御援助を願いたいと思います。
  69. 相馬助治君(相馬助治)

    ○相馬助治君 私が尋ねたのは、具体的なことを尋ねたのですが、瞬間的に見てこの段階においては今の文部大臣答弁は極めて満点であると思います。願わくはその気持をどうか一つ確守されて努力されるように折入つてお願いしておきます。  次に私が尋ねたいのは、今般高等学校の卒業者においてもこういうことが言い得るのですけれども、特に大学卒業生が多くの就職できない者を出しております。而も又この就職された者も一縁故関係のみが採用されております。この縁故関係の者の採用に当つても口頭試問において支持政党を尋ねられたときには、大学生自身の答えることが、頭の中に考えていることと発言する言葉、即ち就職用が別であるというようなことが新聞で言われております。このことのいい悪いとか、このことを議論しているのでは私はなくて“こういう微妙な世相の中に、特に変りやすい世代の大学卒業者が、而も就職が与えられない、与えられている者はみずからの力を以てその職をかち得たというよりは、多く偶然と申そうか、何と申そうか、縁故関係によつてつた者が多いというようなことを見るというと、私はこれは日本文教政策の上において根本的な問題を含んでいる重要なる事柄であろうと存じます。これに対しては特にあなたが心痛されていることを某新聞の談話を通じて私は知つたのでありまするが、心痛されているだけでなくて、当面の責任者としては何とか善意を以てこれを救済するなり或いは差当り救済できなかつたとしたならば、救済する方向にこれを持つて行く努力が必要であろうと存じまするが、これらの点について何か構想等がありましたならば、一つこの際お洩らしを頂きたいと存ずるのであります。
  70. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) 来年度大学卒業生が就職が非常にむずかしくなつておるという現状は、私といたしましては非常に残念至極でございます。これはこの前に、文部大臣になりましたときに、直ぐその話を聞きましたものですから、実業家方面に向つていろいろ呼びかけ、又大学当局に対して文部省からその就職斡旋の仕事を拡充するようにということもしますし、文部省自身にも、飛び出して行つてやれ、こういうことで実はやつている次第でございますが、どうも思うように行かない節が多いのです。ただ私が一つ非常に嬉しく感じておりますことは、大阪財界で私がいろいろ集まりまして話をしておりますときに、中小企業で一つ大学卒業生を採るような方策を考える、こういうようなところへ落ちまして、これは或る程度の成果を得ております。と申しますことは、これはまあおかしな話でございますけれども、中小企業が今金融難に陥つておりますことは、御承知通りに中小企業の経営者というのは非常な特技を持つて、又非常に傑出した技術、人物であるのですけども、得てして一般の財界、社会の知識が欠乏しているところが多い。そういうところ大学卒業生を入れて行きますれば、その事業が非常によくなる。同時に又金融をして行く上にも工合がいいというようなことから、中小企業者におきまして、一つ大学卒業生を収容するようにということを申入れ、又もう一つそれを裏付ける手としましては、銀行業者に実は呼びかけまして、銀行業者から自分自身の取扱い先の中小企業者に向つて大学卒業生をお前のところへ採つたらどうだ、こういうような勧誘をさせることにも、成功しております。と申しますことは、銀行がその大学卒業生を採れとかいうようなことで入れておきますというと、その銀行におる行員と、それからそこの中小企業に新らしく入つた職員というようなものとの連絡が密になりまして、そうして銀行も安心して金が貸せるし、又中小企業もよくなつて行くというようないろいろの関係で、先般大阪の工業会の会長をしております吉野幸一君に会いまして、その後あれをどうしてくれたかと言いましたら、いや非常にいい成績で、銀行もこれに賛成してくれておるし、それから中小企業のほうもだんだん団結して、これも一カ月ほど前の話でありますが、大阪では四百五十人くらい中小企業から申込があつて、まだ続々申込が来るはずだ、銀行ではもつと申込があるはずだ、こういうふうな話が出ております。こういう情報を得ておりますが、果して十三万何千の大学卒業生をうまく入れるか入れんかということにつきましては、私は非常な心配を持つておりますが、できるだけの努力は今いたしておる次第でございます。
  71. 相馬助治君(相馬助治)

    ○相馬助治君 今のお話ではまあうまくは行つていない……できるだけの努力をするということが答弁の趣旨であろうと存じまするので、是非ともそのように頑張つて頂きたいと思うのです。前段の誠によい例は、大阪から選出されている衆議院議員岡野清豪先生一つの施策としては敬意に値いするものでございますが、どうかそれを全国的な規模にまで推し進めて、一つ解決されるように、この段とくと一つ申上げておきたいと思います。  次に、この問題は、一つ筋が違うとこういうふうにお考えでしたらば、筋が違うから答弁を断ると申して下さい。そのときには、どうして違うのだというようなこと、は申さないで、私は黙つて引込みますから……。どういうことを聞きたいかと申しますと、宮内庁にいる官吏というものは、これはやつぱり国家公務員でございます。でそういたしますると、この宮内庁の役人の考え方政治のやり方、これは閣僚として、大臣はやはり一つの広い意味では共同責任を持つていると思うのです。而も文部大臣という立場は、最もこれに緊密な関係を……、道義的にでなくて、私の言つているのは、今の日本政治の機構の上からも持つていると私はまあ考えるのです。そこでこの特に宮内庁の役人のものの考え方というものが、それからいろいろな仕事の、やり方というものが、日本の今後の政治に、文教政策に、非常に重大な意味を持つておると思うのです。それであるが故に先ほども同僚矢嶋、山本両議員が、この問額について質問を発しているわけなんです。そこであなたがこの宮内庁と事務当局とをして、特別な連繋を将来持たせるような下交渉があられるかどうか、これを私はお尋ねしておきたいのです。というのは、これなしには先ほど矢嶋委員が指摘したようなデリケートな問題が起きて、そうして別な面から、而も非常に強力な権威を持つている、民族的権威を持つている面から、善意な日本文部省を中心とする文教政策が叩き壊されるとするならば、これは極めて問題は深刻であり、重大であると思うから、このことをお尋ねするのです。で、このことを尋ねなければならない一つの私は理由を述べて見たいと思いまするが、先般立太子式に宮内庁次長を本院は呼んで、私どもはその見解を質しました。  ところが、その頑冥にして固陋、日本の憲法を弁えざること甚だしい答弁をしたのであります。何を言うたかと申しますると、日本においては、認証官というものは、昔の親任官の変つたものである、従つてこの人々は、婦人同伴でお呼びしたけれども、この宮中席次が高いことは、これは日本の伝統から見て当然なのであるという発言をいたしまして、私どもから、日本憲法を読み直せとまで論難されて引下つて、そうして、何ともはや申訳なかつた、これを政府自体の問題として、閣僚各位とも……、ここを聞いて下さい、閣僚各位なんぞともよく相談の上、納得の行く宮中席次を早急に考えて見たいと思いますということを言つたので、我々は一応次に言わんとすることを執行猶余にして本院からお帰ししたのです。(笑声)そういう前提がありまするので、私は是非とも岡野さんの積極的善意を持つて、この問題については御関心を持つて頂きたい。こういうふうにする、ああいうふうにするという答弁は、私は無理なことであろうと思う「ので、お尋ねしていないのです。ただ宮内庁との問題については、文部省は特別なる関心を持つて、今後十分連繋をするつもりであるという答弁を、まあ私は期待してお聞きしているわけなんですが、これらに対する所見は如何でございますか。
  72. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) これは御説至極御尤もで、天皇は国家の象徴であらせられる。象徴ということになれば、やはり国の文教政策というものには、非常な深い関連を持たなきやならんと思います。そこで、この間のこともありましたが、それ以前から、そうあなたがおつしやるようなはつきりした議論をしたことはございませんけれども、宮内庁でやられていることに対しては、もう少し進歩的になられたらどうかというようなことも、気が付かんことじやありません。で、田島君は丁度私……。田島君は元銀行家であります。
  73. 相馬助治君(相馬助治)

    ○相馬助治君 私が呼んだのは次長です。
  74. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) そうですが。長官は銀行家出身でございます。
  75. 相馬助治君(相馬助治)

    ○相馬助治君 宇佐美次長です。
  76. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) 長年の私の懇意な友達でございます。(矢嶋三義君「あの中に入つた考えが変つて来るのですよ。そこが問題なんだ」と述ぶ)そこで田島君と話合つて、できるだけ下のほうを教育するようにということにしておりますが、これは大きな問題でございますが、併し御趣旨は至極御尤もでございます。今後やはり宮内庁の考え方も、相当是正しなけれどならない点もあるやに見受けられますので、我々なお密接なる接触を保ちまして、日本の本当の教育行政というものと宮内庁の態度というものと一致して来るように行きたい、こういう理想を持つております。
  77. 相馬助治君(相馬助治)

    ○相馬助治君 本日は私が質問の最後だと存じて、先ほどからしやべつていたのですが、次のかたもあるそうですから、次の一点を私は質問として予定したのですが、ここで意見として申添えて、私の発言を終りたいと思います。只今内閣直属で特別委員会を持つて、栄典制度が考究されております。これに関しましても、宮内庁の問題と同然の意味を以て、日本の広汎な文教政策の一環として、私は重視しております。従いまして大臣としてはこれらの点についても十分一つ民主主義確保の観点に立つて御努力あらんことを希望いたしまして、私の質問の一部をここで打切ります。
  78. 三好始君(三好始)

    ○三好始君 大臣に質したい問題がいろいろあるのでありますが、時間の関係がありますから……。私先般施政演説に対する質問演説で触れた問題で不十分な答弁と思われるもの、或いは全然私の質問に対してお答えのなかつた問題の三点についてこの際お伺いいたしたいのであります。  第一の問題は、先ほど矢嶋委員の触れられた戦後の学制改革を再検討するという問題についてであります。私の本会議の質問に対する答弁においても、又先ほどの矢嶋委員に対する答弁においても非常に抽象的なお答えしかなされておらなかつたのでありますが、私は少くとも政府が国会勢頭における施政演説で戦後の学制改革を再検討するというはつきりとした言葉で方針が述べられておるところには今まで大臣から御答弁のあつたような抽象的なお考えの程度ではなくして、もつとはつきりした根拠があると思うのであります。問題がどこにあるか、或いはどういう方向で問題を考えようとしておるのかという一応のはつきりしたものがあつて初めて施政演説の中で戦後の学制改革を検討するという言葉にもなつて現われて来ると思うのであります。そこで若し今までなされておる御答弁以上に戦後の学制改革のどこに問題があるとお考えになつておるか、どういう方向にこれを再検討しようとせられておるか、これを今まで以上に具体的にお答えできるお考えがあればこの際承わりたいのであります。それが私のお尋ねいたしたい第一点であります。
  79. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) 若しこの点が悪いからこれを直そうとか何とかということは私は再検討とは言わないのです。再検討と申しますことは、結局戦後非常に新らしい制度確立されましたが、それがどれもこれもと申しては甚だ失礼でございますが、予算の面におきましても御承知通りに思うように行けない、予算が行けないから本当にその制度が運用されておらん、こういうような点がありますものですからして、どこに欠陥があり、どうそれを直したらいいかということを検討するということを打ち出して再検討とこう申上げておるのでありまして、格別ここがこういうふうな原因でこれがうまくいかんからこれをこう直そうというような一つのつかまえどころを持つて私は言つておるのじやありません。そういう意味の再検討とおとり下さることをお願いいたします。
  80. 三好始君(三好始)

    ○三好始君 只今の程度の御答弁ではまだ非常に不満足なのでありますが、時間の関係上、第二の質問をいたしたいと思います。それは私が本会議でお尋ねした教育に関する問題の一つとして、教育者なり科学技術者を優遇しなければ本当の意味の文化を尊重する政治にならない、ですからこういう点についてどういう考えを持つておるかということをお尋ねしたつもりであります。ところで、これは大臣は失念せられておつたのかどうか本会議場では全然答弁の中に触れられなかつたのであります。そこでこの際お伺いいたすわけでありますが、私は形式的な給与水準で、公務員その他民間の産業人の地位を比較するというようなことはこれはできないと思いますが、教育者或いは科学技術者は社会的に地位が高い、低いという問題も極く形式的な、或いは法律上の規定であるとか、こういうものによつてのみきめることもできないと思います。併しながら一般の公務員は、言葉が悪いかもわかりませんが、給与プラス役得というようなプラスが常識的に考えられがちなのに対して、教育者であるとか科学技術者であるとかいうような場合にはむしろ給与マイナス研究費の負担、こういうような形で実質的には非常に経済的な地位が低い状態に置かれておるのではないか、こういうふうに考えられるのであります。ですから教育者なり科学技術者に対しては、一般的な現在の給与体系以外に、或いは研究費であるとか、その他実質的に仕事の特殊な地位に必要な待遇の改善を考慮しなければいけないのじやないか、こういう考え方を私は持つておるのでありますが、これに対して大臣の見解をこの際伺つておきたいのであります。
  81. 国務大臣(岡野清豪君)(岡野清豪)

    国務大臣岡野清豪君) この点は私この前に八月に文部大臣に就任した直後におきましていろいろ社会状勢とか何とかいうことから割出しまして、私は閣議でこういう発言をしたことがございます。今の教育者というもの、又科学技術者というようなものは非常に貧困である。これをもう少し待遇をよくしなければ文化国家としては立つて行かぬのじやないか、だからこの点は  一つ諸君よく御考慮願いたいとこう言いましたら、或る一、二の閣僚はすぐそれに賛成しまして、成るほどそうだ、これは一つよく待遇しなきやいかんじやないか。これは一つ考えようじやないかということがありました。併し或る二、三の閣僚はそういうことをしたら釣合いがとれんからなかなか実現むずかしいことだろうとこういう話が出たのであります。まあ閣議の内容を申上げることは禁じられておりますけれども、内輪同士の文部委員会でございますからはつきり申上げますが、そういうふうなことがあつたのでございます。そこで事務当局にいろいろ聞きましたところが、そういう人の待遇一改善には人事院に今折衝中だそうです。それからなお科学研究費のほうも今度来年度予算には相当に予算が増額して請求してあるとこういうことを聞きまして、それでは一つできるだけ私の一番初めに、いわゆるフアースト・インプレッシヨンで直感したことは悪いことじやないとこう考えまして、これに邁進したいと思つております。ただ早急にそれが実現するかどうかわかりませんけれども、そういうふうに事務当局もそういうことを考えておられたということは、私の意見が裏付けられて非常にうれしく感じて、又閣内においても二、三非常に強く私に同調されるかたもおりますから、今後そういう人の待遇はよく考えてやつて行きたいと思います。
  82. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 先ほどの問題については私は事務当局には大臣退席後質問するつもりでありますからそれは保留いたしておきますが、大臣のおるときにここに私は委員長に要望するのでございますが、岡野文部大臣から岡野文政のことについて承わつた今までの結果から申しますというと具体的なものは殆んどもうお持ちになつていらしやらないわけなんですね。或る時期には或いは三本建とか、或いは教員養成二年制とか、又抽象的な道義高揚とか、或いは新学制の我が国情に合う再検討とか、こういうような或いは抽象的或いは具体的なアドバルーンを揚げられるわけですが、そこでお伺いしますが、具体的な御答弁を殆んど頂けないわけです。岡野文部大臣がその方針の下に作成された予算案にしてもともかくも近く内示があつて来春早々開かれる国会には予算案として出て来る段階にあるわけですが、それに対しては全額通過するように腹をきめてかかるという勇ましい答弁がございましたのでありますが、併しながら私はもう文部大臣になられて相当日月もたたれておられるわけですから、現段階においては再検討ということはどういうことを、やがて発足するであろう中央教育審議会に諮問しようとしているのだというような私は具体的ないわゆる岡野文政というものをもう持たれるべきであるし、我々に又意見として発表されて然るべきだと思う。従つて私は委員長において近く書面によつて委員会に提示して頂けるように要求して頂きたい、こういうふうに思います。提案いたします。
  83. 委員長(若木勝藏君)(若木勝藏)

    委員長若木勝藏君) 今の矢嶋君からの御提案がありましたが、お諮りいたします。別段御異議がなければそういうふうに取計らいたいと思います。大臣のほうの質問はこれで打切りたいと思います。
  84. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 先般私は国語政策という立場から事務当局の見解を後日承わるということにしておつたわけでございますが、本日義務教育の場において取扱われている国語政策と背反するような言葉並びに表現が国事としての場において国民代表としての総理によつてとり行われている、こういうことについて国語教育という立場から一体事務当局の見解は如何なるものを持つておられるのか私は承わりたいと思う。それと、さつき岡野文部大臣から答弁頂きましたが、ああいう答弁をされるように事務当局から大臣に意見の具申をされたのかどうか、そういうことについて答弁頂きたい。
  85. 政府委員(久保田藤麿君)(久保田藤麿)

    政府委員久保田藤麿君) 寿詞の文句、又そこに使われております言葉といつたようなことが例の訓令との関連においてどういうものに相成ろうかという点につきましては、あの訓令が非常に日常の口語体といつたようなことを目標にしておりますので、必ずしも厳格にああした特別な場合のものもあ の枠に入れて考えなければならんという必要はないと思いますけれども、事の精神から申して、狙いが、先ほど山本先生のおつしやつたように、単にそういうことを技術的にやつているというのでありませんで、国語が非常に平易化されて国民全体に何事もよく通じさせなければならんという建前にあります立場から申しますと、できるだけああした種類のものも簡易な又平易に理解しやすいものであつてほしいと思つておることに変りございません。ただ大臣のほうからお答えになりましたように、ああいう特別の場合にまだ私どもが今考えておりますような当用漢字なり平易な言葉なりといつたようなことがぴつたりそぐわないということ、これは国語そのことの問題じやなくて、むしろああいう儀式がどうあるか、又その儀式を国民全体がどう受けるかといつたこととからむ問題でありまして、私どもとしましては全体がそうしたものと一致できるように成るたけ早く平易な言葉で平易なお扱いができて行きますように相成ることを希望いたしております。  第二点の、大臣にどういうふうに言つたかというお話でありますが、これは只今申上げた通りのことを申上げております。
  86. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 あなたがたはそういう意向を宮内庁の関係当局に事前に、或いは事後において申入をしたかしないか、その点について……。
  87. 政府委員(久保田藤麿君)(久保田藤麿)

    政府委員久保田藤麿君) 多くの場合には宮内庁のほうから私どものほうの関係ところに御相談があります。今度の場合には不幸にしてそれが私どものほうに使いがありませんでした。あとであのこと自体がわかりましたのと、使いがありませんでした。あとであのこと自体がわかりましたのと、只今申しましたように今の段階ではそれに対して抗議を申込むといつたような種類のものでありませんで、私どもとしては好意的にそうしたことがあつてほしいといつたようなことを考えている程度で、直接には連絡をいたしておりません。
  88. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 なぜそれをそういう抗議でなくてこうあつてほしいというようなことを申入をしないのですか。大臣でもあなたでも特殊々々と言いますけれども、それは特権意識じやないですか。その特殊であるから殊に大臣言葉では雰囲気を作る。何事ですか。特権意識じやないですか。すでに皇室というものは国民から離れて雲の上に乗つてるいじやございませんか。私は誠に遺憾に思います。我が国の今後の国語政策としては、今のやさしい文字と言葉によつてあらゆる情意を表現するように教育もされ、それに国民すべてが馴れるということは、私は大きな問題だと思うのです。ところが、皇室の国事でありながら、こういう場合に特殊だからといつて全く教育の場とかけ離れたことをやられるということは、これはもう人間天皇でもなければ人間皇太子でもないし、皇室と国民の間にははつきりとそこに錦の壁が、鉄のカーテンができたと同様である。あなたがたはあれを御覧になつて、いやしくも国語課長などは検討されて或る考えを持たなくちやならんと思う。これは好ましないくとあらば直ちに手がけて行つて関係事務当局にも意見を申入れると同時に、みずから進んで私は大臣にまでそういうことを働きかけなくちやならないと思う。あの界隈で行われるものは特別だ、こちらの国民大衆の中で取扱われておる言葉、文字はこうだ、これじや昔となんにも変らないじやございませんか。戦後教育の革命的な一つ方法として取上げた国語政策というものはそこから崩れて来ると思う。これは単に言葉とか文字とかいうものに限らず、更に発展する方向というものは私は恐ろしいと思うのです。その立場から私はこれはゆるがせにできない。特に大臣言葉でも雰囲気を作るために。何の雰囲気を一体作る。追及を私はしなかつたのですが、特殊々々と言われる。あなたまでがあの特殊の場合でということを言われた。国民が受ける云々ということを局長発言されておりましたが、あの直後におけるラジオの聴取者の声なり或いは新聞雑誌の或いは投書欄或いは随筆あたりに現われた国民の有識階級のいわゆる世論というものはどんなものであつたかということは、これは私は国語問題の責任者としての国語課或いはあなたの調査局としては十分私はキャッチされておると思うのです。はつきりした私は決意の下に善処されなければならないと思いますのに、何ら関係方面にも希望も不満もなんにも申入れていないというようなことでは、先ほど山本委員発言された過ぎたことはいたし方ないから、この次はという問題が同じことが繰返されると思う。私はあなたに参考に申上げておきますが、伝え聞くのでございますから、そういう条件附で申上げますと、終戦直後に宮中でとり行われた認証式におけるお言葉と最近の宮中でとり行われる認証式のお言葉とは相当変つて来ているやに私伝え聞いているのでございます。これは陛下の御本意から出られたものか、或いは先ほどから相馬君が問題にされました宮内庁の公務員諸君の全く特権的な特種な雰囲気の中から醸し出されるところ一つの逆コース的なものがもたらしたものか、はつきりと私はまだ把握いたしておらないのでございますけれども、言葉、その表現の仕方という問題は私は今後の日本の動向と相関連して極めて重大であつて、それが青少年諸君に影響するところは大きいと思うのでございます。義務教育における国語教育の担当の責任者としてのあなたがたの格段の私は御善処をお願いいたしたいと思います。例えばああいう趣旨を一体先生がたはどんなにして児童諸君に説明するかということなんでございますね。そういうことも併せ考えて頂かなければならないと考えます。それは山本先生は専門家でございますが、山本先生も申されておる、今義務教育の場で取扱われておるような表現の仕方で十分国民の至情というものを国民に代つて総理は現わし得るはずだとこういうふうに専門家が申されておるのです。それをあえて如何なる零囲気か知りませんが、醸し出すためにああいう大部分の国民意味がよくわからないで、字を見ればかすかながらもわかるけれども、耳からの聴覚によつてはさつぱりわからんような表現の仕方を国事の、公の儀式においてされるということは私はあなたがたとしては重大関心を持つて申入れなければならん、更に抗議の程度まで対処さるべき問題ではないかと思うのでございますが、今後如何にされるつもりか、私はさつき発言いたしましたように、今からでも遅くない、宮内庁にあなたがた国語教育、国語政策という立場からの意見を申出る用意があられるかどうか。それらの点について答弁して頂きたいと思います。
  89. 政府委員(久保田藤麿君)(久保田藤麿)

    政府委員久保田藤麿君) 私どものほうに国語審議会というものがございますし、それから国語審議会のほうに評議会がありまして、そこでいろいろ議論を伺つております。只今私が、それらの御議論から一応得ております結論から申しますと、特に抗議を申込んで行くというほどの構えには至つておりません。と申しますのは、先ほど申しましたように、一応の今までの立て方が文語体といつたものに必ずしも及ぼしてそれを厳格に拘束するという建前はとつておりませんのと、一面又日常の口語文というのと当用漢字がそういう意味の拘束力を持つておらんということから、それらのことから考えて、必ずしも我々の立場から申して好ましくないことは先ほども申したのでありますが、あれを今後どうしてもらいたいという事態に関しての問題としては扱えないと思つております。従来も現に私どものほうに大抵の場合には御相談もあつております。又文字の上の取扱において疎漏のないようにという意味でありましよう、現実に原文をこちらに御相談に見えるということもあつております。一面私どものほうで公用文の取扱をいたします関係上、各省或いは大きな新聞社あたりの人たちも再度に亘つてそのために打合せをするような機会を持つておりますから、そうしたような場面にそうした相談もかけ、又同時にそういう文案を厳選して頂いてそういう疎漏のないようにいつもして行くということと、又一面すべての仕来りとしての式典のああいう場面においても私たちの考えておりますような当用漢字、現代かなずかいというようなああいう姿に置換えて行くということを、別の形で活かして行きたいと考えております。
  90. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 今までは連絡はあつたけれども、あの儀式では連絡はなかつた、今まであつたのにどうしてなかつたかということを確かめないのでございますか。或いは逆にとれば今までは文部省に連絡をとつてつたが、四月二十八日独立以後の儀式においてはもうこれから一切文部省なんかには相談をすまい、こういう方針を打立てられたかも知れません。今まで相談をされておつたのに今度相談がなかつたということについてあなたがたは不審にも思われないし、それはなぜかということをなぜお伺いしなかつたのですか。
  91. 政府委員(久保田藤麿君)(久保田藤麿)

    政府委員久保田藤麿君) 先ほど私が申したことが言葉が足らなかつたかも知れませんが、必ずしも相談をしろという筋合いのものではありませんし、たまたまあのときに相談がなかつたことは事実でありますが、それだけ取上げて講和以後どう、又今後しない態度であるかどうかということを考えるにも当らぬと思つております。
  92. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 局長がこういうふうになつて望しいということも、そういう要望も、更には今まではそうであつたが、このたびは相談にあずからなかつたのはどういうわけであつたか、そういうことも関係者には一切話合いはされないのですか、そういう必要がないというこういう御見解ですか。
  93. 政府委員(久保田藤麿君)(久保田藤麿)

    政府委員久保田藤麿君) 従来の相談も必ずしもすぐ受けねばならん相談とは心得ておりません。併し向うは、先ほど申上げましたように、疎漏のないことを期しておやりになつてつたものと了解いたしております。
  94. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 だから、今度に限つてなかつたわけですね。それはなかつたことについてどういうわけがあつたか。なお相談がなかつた結果、出されたものを見るというと、自分らの取扱つているところの国語教育政策という立場からは義務教育と併せ考えてこういう状況だ、ついては我々はこうなつてほしいんだ、過ぎ去つたことはしようがないが、今後こうしてほしいということはあなたは一切触れられないという答弁をされていると思うのですが、そうなんですか。
  95. 政府委員(久保田藤麿君)(久保田藤麿)

    政府委員久保田藤麿君) 今度に限つて相談がなかつたというわけではございませんで、疎漏のないようにという意味で、相談を受ける場合が非常に多かつた、たまたま今度の場合に限つて不幸にしてそういうことがなかつたということを申上げておるのであります。それを今後そうしたことについてはどういうふうに持つて行くかということにつきましては、一応私どものほうから申せば、機械的に言えば言えぬことはないと思います。むしろ向うがどういう関係であるかということは私はまだ正確なことは存じておりませんが、私どものほうから申せば、今後こうした問題をどんなふうに手掛けて行くかというところに、問題がまだ多分にございます。先ほど申しましたように、多くの仕事がまだたくさん残つておるわけでございまして、それらとのからみ合いにおいて然るべき時期に手をつけたい。そうしたときに、こうありたいということから一緒に解決して行きたいと私は思つております。
  96. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 ではあなたはなんですか、あの問題を国語審議会のほうに検討してほしいということを要望しているのですか、どうですか。
  97. 政府委員(久保田藤麿君)(久保田藤麿)

    政府委員久保田藤麿君) 国語審議会は正式にこれを諮問してよこしたということではございませんで、審議会に所属される委員のかたのそうしたことに特別関心をお持ちのかたの御意見として伺つておる、非常に非公式な形で伺つております。
  98. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 非公式でなくて、正式にあなたとしては検討を要請してほしい。でその結果によつて、はつきりと局長としてのとるべき私は措置をしてほしいと思います。そのお約束できるでしようか。
  99. 政府委員(久保田藤麿君)(久保田藤麿)

    政府委員久保田藤麿君) 正式にいたしますについてはまだそれだけの相談もできませんし、私の一存でとかく申上げるわけには行きませんが、私はあの問題を今すぐ国語審議会に持出すということには少し無理があろうかと思つております。
  100. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 どういう点に無理があるのですか。
  101. 政府委員(久保田藤麿君)(久保田藤麿)

    政府委員久保田藤麿君) 年度初めに一応一つ計画を持つておりまして、少くとも個々の分科会を作り、今それぞれの問題を集めております。それの又中間報告を極く最近それぞれの部会でやつたという程度でありまして、それぞれの部会がそれぞれの問題を持つておられますから、それらとの関連上今あれを当面国語審議会一つ  のテーマとして取上げるかどうかということについて問題があろうかと思つております。
  102. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 何が問題があるのですか、駄目です、そんなことでは……。国会で勅語を賜わるということは、しよつちゆう使われておつた、私は二国会かかつて今度の国会の開会式の言葉からそれを衆参両院の全会一致で落したのです、ということは、あなたがたが小中学校に流した言葉の中に、勅語はお言葉というように通牒を出しておる。小中学校ではそういう言葉はないということをあなたは国語課のほうで研究されておる。それをこちらに答申して来た。いやしくも国権の最高機関である国会で小中学校で教えていないような言葉を使うことは思わしくないのじやないかということでお言葉に直したのです。小中学校義務教育に重大な関係があることじやございませんか、随分輿論化した問題じやございませんか。審議会委員の中にも関心を持つておられる人があるということじやありませんか。何でこういう問題を今後に残すのであるか。大臣が言われるような雰囲気を醸成するためにはそれでもよろしいのか、或いは再考慮を願わなければならんのか、そういう問題はあなたの一存できまらなければそのための国語教育審議会というものがあり、随分これは問題になつた問題じやございませんか。国会の衆議院でも参議院でも予算委員会或いは文部委員会で論議された問題で、そういう専門の機関があるなら当然一応研究して頂くわけに何がいかないのですか、どういうわけでいかないというのですか、それを承わりましよう。
  103. 政府委員(久保田藤麿君)(久保田藤麿)

    政府委員久保田藤麿君) 先ほど申上げました通り、多くのテーマを持つております上に、一応非公式な意味で御相談を願つておりますけれども、先ほど申上げましたように、これをテーマとして取上げるところに行つていないというのが事実であります。その事実をそのまま申上げておるわけであります。
  104. 委員長(若木勝藏君)(若木勝藏)

    委員長若木勝藏君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  105. 委員長(若木勝藏君)(若木勝藏)

    委員長若木勝藏君) 速記を開始して下さい。
  106. 矢嶋三義君(矢嶋三義)

    矢嶋三義君 私は先ほどから質問いたしましたが、本日の大臣並びに局長答弁ではどうも納得しかねる点がございます。というのは、雰囲気を作るために、或いは特殊な場合であるから、これでは私は納得できません。国語の問題についてはちやんと専門に検討するところの国語審議会というようなものもあるわけなんですから、そういう専門機関、権威ある所見というものも私は聞かして頂いて、納得のできるような答弁を近い将来にして頂けるように要望いたしまして、今日はこれで打切ります。
  107. 山本勇造君(山本勇造)

    ○山本勇造君 ちよつとそれに附加えて。今のあれは大体宮内庁のほうが主になつたようだが、勿論矢嶋さんの先ほどの質問の中には、総理大臣のあれも入つておるわけだから、これは宮内庁だけの問題でなくて、何といいますか、内閣でありますか、そちらのあれのほうのこともちやんとしてもらわなけはばいけないと思うのですけれども、むしろ僕が言つたのは、宮内庁よりは国民代表としてやられたという総理の寿詞のほうに僕は疑問を持つ、殊に音訓の整理というものはあなたのほうでやつておるにもかかわらず、「言」という文字の下に「ス」が入つておるわけです。これは或る種の人でなくしては読めませんよ。それは「もうす」と読ますのならばなぜ「申す」というふうに書かないのかというようなことになる、それから「タテマッリ」というのはかなですけれども、それなら「申す」もかなで「もうす」と書いたらよさそうなものだが、「言ス」と書いてある。実にそういうのもわけがわからんということになるので、単に当用漢字の数が多いとかいうだけでなくて、そういう音訓整理のことこそ本当に日本の漢字の問題においては大事な点なんですから、そういうような上からも宮内庁だけでなくて内閣のほうにもこれは来てもらわなければならんだろうと私は思う。なおさつき委員長から言われたように相当の問題があるからこれだけでは済まんというお話ですが、私もあなたのほうの出方如何によつては、我々としても少し言わなければならんとも思いますから、その点もよほどあなたのほうで国語政策としてどういうふうにお考えになつておられるのか、現在やつておられる研究も重ねて御説明願えるように今からお願い申上げます。
  108. 委員長(若木勝藏君)(若木勝藏)

    委員長若木勝藏君) それでは教育問題について文部省に対する質疑はこれで終ります。   ―――――――――――――
  109. 委員長(若木勝藏君)(若木勝藏)

    委員長若木勝藏君) それでは先ほど来残つておりますところの陳情請願の審議に移りたいと思います。  速記を止めて下さい。    午後五時十一分速記中止    ―――――・―――――    午後五時十九分速記開始
  110. 委員長(若木勝藏君)(若木勝藏)

    委員長若木勝藏君) 速記を始めて。それでは本日の委員会はこれで散会いたします。    午後五時二十分散会