○
参考人(下村寿一君) 私はこの与えられた問題につきまして、大体全部に触れて
意見を申上げたいと思います。但し三のほうは極めて簡単なことに止めまして、その他の諸点について
意見を申上げたいと思います。
重要文化財の
海外移出についてでございますが、これは原則としては移出をすべきじやないと思いまするけれ
ども、国際文化の交流、その他の理由によ
つて、必要な場合には無論これは認めてよろしいわけです。そこで品物の選定、輸送の安全、
管理の厳正確実、損害の補償、そういう点を十分考慮いたしまして、先ず以てこの
保存上の注意を十分しなければならん。国際的文化の交流、その他の事由によ
つて、特に必要と認めるに足るかどうかということは、これはちよつと具体的に測定しがたいのでありますけれ
ども、日本の古代から伝わ
つている
ところの高度の
文化財をかの国で展覧させるということは、外国人が日本国、日本民族を理解し、
認識するに与か
つて力あるばかりでなく、かの国の文化の発展に相当大きな貢献をなし得ることと思う。こういういわゆる
文化財の活用を図り、以て
国民の文化的向上に資すると共に、世界文化の進歩に貢献することを目的とする、こういうことに当てはまるものと思うのであります。でありますから、以上述べたような点を注意いたしまして、濫りに移出をしてはいけませんが、場合によ
つては移出も差支なかろうと思う。このたびのアメリカ展の問題でありますが、これについていろいろ異論がありますけれ
ども、品物選定、輸送の方法、
管理の問題、損害の補償等につきまして、相当周到な考慮が払われたようであります。それからこの
文化財の
所有者側の感情でありますが、これは世間で余り申しておりませんけれ
ども、三、四のかた等から聞いたことでありますが、日本が無条件降伏をしたのであるから、その当時は
重要文化財が向うに持
つて行かれるかも知れない、或いは償金の一部として接収されるようなことがありやせんかというようなことを、相当心配した向きもあ
つたようであります。或いは奈良の正倉院の御物も持
つて行かれやしないかというような心配もしたようでありましたが、併し米軍の占領によ
つて、そういう事態は起らなか
つた。幸いに、絶無ではなか
つたようでありますけれ
ども、刀剣等において多少のことはあ
つたようでありますが、そういうようなことはなか
つたのです。
京都、奈良のような
ところが米軍の
配慮によ
つて爆撃を免れた。これは道徳の面からも、米国があれほど熱心に懇望するならば、出してもよかろうじやないかというような
考え方があ
つたようであります。でありますから、
海外移出、殊に今回の米国移出につきましては、これは不当ではなか
つたと思います。併し原則はどこまでもこれは重んじなければなりませんから、仮にヨーロツパ諸国から同じような要望がありましても、その場合には各種の事情を考慮して慎重に決定すべき問題であろうと思います。
次には
薬師寺月光菩薩の問題でありますが、この
月光菩薩の
首切り云々の問題は、それが
現状変更か、或いは維持のための緊急
措置であるかということによ
つて、まあ結論が違うことになると思います。で、私の聞く
ところによりますというと、倉田技官、これはこの前に相当長期に亘
つて月光菩薩の像を詳しく調べたのでございます。
修理の必要上相当長期に亘
つて調べたということでございます。で、そのときには前にはその亀裂が一部しかなか
つた、それが吉野地震の被害
調査に行
つて見た
ところが、これが全部に亀裂が廻
つているということを発見したということであります。でありますから、
首切りというのは吉野地震が切
つたので、技官が切
つたのではない、こういうことになるように思うのであります。すでに全面的に頸部に亀裂が廻
つている。他のほうから伺いますというと、地震で首が切れたのじやなくして、技官が切
つたのだということでありますが、ここに相方の事実の
認識の食違いがあるので、結論がおのずから違
つて来るのじやないかと思います。仮にその亀裂の点に触れることは暫らく差措きまして、
月光菩薩の仏頭が、まあ吉野地震から相当経
つておりますから、余震はないかも知れませんが、或いはあるかも知れんが、その他偶然の事故によ
つて遂落して、破壊する危険は全然なか
つたかというと、たしかにその危険は全然ないということは断言できなか
つたと思います。それは寺側が、
薬師寺側の仏象の安全
保護方を技官に懇請したことは間違いないことであります。どうか
一つ安全によろしく
措置をしてもらいたいということを
言つたことは間違いないようであります。寺が嫌がるのを、無理に技官が
処置したのではない。これは事実のようであります。そこで元に返りまして、若し首の全部に亀裂が廻
つてお
つたとすれば、それを取外して安全を確保するということは、維持のためにする緊急
措置として認めざるを得ない。文盲の一部は繋が
つてお
つたとしても、なお甚だしい危険状態にあるとすれば、その危険を避けるために首をおろすということは、他にも方法があるかも知れんけれ
ども、
一つの安全確保の緊急
措置として、認めざるを得ないことであろうかと思うのであります。
この事件において鉄心を切
つたということが、論争の重要な
一つの焦点にな
つておりますことは、誠に尤もなことでありますが、この鉄心というものが
重要文化財構成の一要素であるかどうか。この点は専門家によ
つて意見が違うようでありまするが、私は鉄心というものは頭の支えにもな
つておらん。大分上までは通
つておらんそうだ。下は幾分腹部に留ま
つているということで、支えにはな
つておらん。仏像の内部に残存した物体だ、残置物件だ。別に
重要文化財としての構成要素ではないと思います。年代は古いものには相違ありませんけれ
ども、決してこれが
重要文化財の構成の、その一要素にな
つているとは思われない。いわば刀剣の目釘の働きもしていないかと思います。刀剣の目釘は、きちんとその刀剣をおさえておりますけれ
ども、この
月光菩薩の鉄心は目釘の働きもしておらん。仏像
修理の場合には、例えば乾漆の仏像などには、内枠の入
つておるものがたくさんあります。その内枠などを取換える場合、削り直すというようなことが、一々
現状変更として従来
取扱われているかどうか、多分そうではないと思うのでありますが、これは
実務者のほうに聞いて頂きたいのであります。恐らく一々そういうことを
現状変更として
取扱つてはいなか
つたと思います。一体
現状変更ということは勿論余ほど慎重にしなければならんことでありまして、相当厳重に取締を要しますが、例えば指定当時の、刀剣の指定を受けた当時の、目釘を替えるとか、或いは仏像の中の枠をいじる、それが一々
現状変更であるか、建物の場合ならば、
地方の国宝建造物或いは
重要文化財、ひどくいたんだのがありまして、或いは風水害のために雨漏りがするとか、風が吹けば今にも倒れやせんかというのも見受けるのでございますが、そういうような雨漏りをとめるがために、屋根の裏に手を入れて、例えば檜皮葺の部分の一部に鉄板みたいなものを差入れて、垂木を一本切るというようなことが起るのでありましようが、それは一々
現状変更で取締るべきものであろうかどうか。
現状変更というのは相当重い刑罰
規定も存しておるのでありまして、
所有者がや
つた場合でも二年以下の懲役又は禁錮或いは罰金というようなことがついておりますが、こういうことを一々
現状変更ということで取締るということは、これは
保存行政としては非常に行き過ぎかと思うのであります。でありますから、或る行為が
現状変更であるか否かということは、そう軽々にこれは判定すべきものではないと思います。技官たちにいたしましても、今後災害の
復旧調査などでしばしば出掛けますが、そういう場合に、
応急措置の程度がいつも問題にな
つて、手も足も出ないということになりますというと、これは実に
保存行政の上からも困ることになりはせんか、こう私は思いまして、
現状変更は成るほど厳重には取締りをしなければならんが、重要な問題、殊にこれは
所有者に刑罰まで科してある問題でありますから、
所有者以外ならば五年以下の懲役又は禁錮というようなことになりますから、軽々にあの行為が
現状変更であ
つたというようなことを論断するのは、これはよほど慎重な態度を要するかと私は思います。
それから何故に
専門審議会にかけなか
つたかという点でありますが、この点も御尤もでありますけれ
ども、これも事態の
認識如何によ
つて分れる問題であります。技官が奈良から帰りまして復命をして、案を
作つて専門審議会にかけるというためには、少くとも一週間や十日はかかるのであります。
ところが技官の
認識は、一刻も争うことはできないというのでありますから、この点を強く責めるということもどうかと思います。併し私は
専門審議会でも
意見を申述べたのでありますが、非常にこれは刑法上の問題で言えば、正当防衛であるとか緊急避難というようなことであ
つたのだ。であるから事態が、最善のやりかたではなか
つたかも知れませんけれ
ども、それは責めを問うべきものではない。こう申述べたのでありますが、そのことは今日もなお同様に
考えておるような次第であります。
要するに
月光菩薩の問題は、当
委員会が技官の責めを問うべき筋合ではない。今までの
ところは……。今後どういうふうにして世界的の立派な仏像を
修理して、完全に復元すべきかということが、これが重点になるわけであります。若し今後の
処置が誤
つておるとするならば、これは相当の責めを
保護委員会としましても
関係者に対しても問うべきであろうが、今までの
ところではあらゆる事情を考慮しまして、責めを問うべき問題ではないと思うのでございます。
それから
文化財の
保護行政のことでございますが、これは
文化財保護行政の画期的に大変に大きな
改正をされまして、漸く軌道に乗
つて来たのでありますから、この問題についてはさしたる別に
意見もないのでありますが、ただ私が
考えますのに、
予算が非常に少いと思います。先ほど岡田戒玉氏からもお話がありましたが、明治三十年に古社寺
保存法が制定されまして、それ以来十五万円乃至二十万円ということがちやんと
法律の文句の中に
規定してある、法文の一条にな
つております。そのときには、その
保護の
対象というのは非常に少か
つた。恐らく今日の
保護対象の何十分の一であ
つたかと思うのであります。今日は個人のものも入
つて来たし、或いは無形
文化財或いは天然記念物と、いろいろなものが入りまして、恐らくその古社寺
保存法制定時代と比べますというと、どのくらい数が増しておりますか、大変な数が増しておると思うのであります。それから物価の高騰率も、これも恐らく数百倍或いは千倍近くもな
つてやしないかと思うのであります。そういたしますというと、現在二億、三億の金を費しておるということでありまするが、とにかく日露戦争より前にこういう古代美術を
保護するために、当時の日本
政府は二十万円の金を出しておる。今日は日本は文化国家として立
つて行かなければならんということを堂々と世界に向
つて宣言をしておる場合におきまして、二億、三億の程度では非常にこれは少い。これは是非この
予算を二倍なり、三倍にするということが私は絶対に必要であろうかと思うのであります。
それから
文化財の
保護法について
改正すべき点でありますが、これは先ほど
足立さんからもお話がありました租税の
減免措置の問題であります。あえてこれは、私はくどくどしく申上げませんけれ
ども、非常に厳重な制限、さつき申上げましたような懲役だとか禁錮だとか或いは罰金科料、まあいろいろなことで
所有者を責めて、いろいろな義務を負わしておる。
調査に来れば拒むわけには行かない、或いは移動を報告しなければならん、何とかかんとかしきりに責めておいて、そうして税は当り前にかける。これはどうも私はよろしくないと思います。殊に同じような美術的価値や或いは経済的価値を持
つておるものであ
つて、或るものは国宝なり
重要文化財になる。それと同じようなものが、その指定を受けないものが現にたくさんある。これはその作者の、まあ年代とか或いは同じような図柄の作品が三つも四つもあるというような場合によく起るようでありますが、同じような芸術的価値を持ち経済的価値を持
つておるもので、一方は国宝になる、
重要文化財になる。ならんものはどんどん普通の財産として市場に取引され、何らの制限も受けておらん。
重要文化財、国宝は非常な制限を受けながら、税の
減免を受けない。これは私は国家として非常に片手落であると言いたいのであります。曾
つて馬場英一氏が大蔵大臣をしておられましたときに、この美術品に対する課税問題というものが起りましたけれ
ども、諸般の事情を考慮されまして、国宝或いは美術品等に対する課税はしないということに決定をいたしてお
つたのであります。
ところがまあ国の財政もだんだん困難にな
つて来たわけでありましようが、こういうものに税をかける、而も
遠慮会釈もなく高税をかけるということは、これはどうしても直さなければならん問題であります。どうかこれは参議院におかれまして、
政府を鞭撻されまして、然るべく方途を講じて頂きたいと思うのであります。
政府のほうが若し何かこれについてしておられぬようでありましたならば、財政
関係のことでありまするけれ
ども、或いは議員立法によ
つて適当な
措置を講じて頂くのがよろしかろうと思うのであります。
それからこの国宝、
重要文化財の
保存修理と宗教法人法との
関係でありますが、これについてちよつと御考慮を願わなければならんことがあるように思います。それは宗教法人法の二十三条に、社寺が重要な行為をする場合には、その行為をする一カ月前に公告をせねばならんということにな
つておるのであります。これは社寺というものは従来住職なり神職なり総代で大体主なことをきめてみなや
つたのでありますけれ
ども、いわゆる民主化の原則に従いまして、或る重要な行為をする場合には、信者、その他の利害
関係人にそのことを周知させるために一カ月前に公告せいということにな
つておるのであります。それでありますから、社寺の主要な建物の新築、改築、増築又は著しい模様替えをするということは一カ月前に公告してかからなければならん、こういうことにまあなるわけであります。それはつまりそういう宗教団体の民主化の線に沿
つてきめられたのでありまして、決して不当な定めではないと思うのでありますが、
ところが国宝やなんかの
修理につきましては、これが非常な煩らいがある。例えば模様替えをするということであります。建物の模様替えをする。これはいろいろ古い記録を調べて見る、或いは建物を解体して見る、解体した結果、途中にいろいろ改悪をされて、どうしてもこれは復元しなければならん。例えばまあ著しい例を申しますというと、屋根が棧瓦葺にな
つておる。元はこれは檜皮葺であ
つた。建物の構造の上から、又記録の上からはつきり出ている。そうするとこれを檜皮葺に
改正をしなければならんということは即ち著しい模様替えになります。そういうことをする場合に、一カ月前に公告してやらなければならんということになるのであります。丁度工事の進行中にそういうことが発見されて、そういうふうに復元をするという、
専門審議会にかか
つてきま
つても、一カ月間
仕事を停頓しなければならんのみならず、そういう点はややもすると、学者、専門家の
意見の違うことがある。建物の復元について甲の説、乙の説、違うということがあります。そうすると、そういうような場合にはその解決までこの長期間その工事を停止しなければならんというようなことが起るのでありまして、実際問題として非常にこれは何とか善処をするような方法を
考えなければならんと思います。例えばまあ法隆寺の金堂の壁画や、まあ法隆寺は新らしい法人法の適用を受ける状態にな
つているかどうか、それは調べて見なければわかりませんけれ
どもいずれ早晩もう新らしい法人法によることになるにきま
つている。今年の十月の二日が期限でありまして、これから一年六カ月の間にみんなすべての社寺は新らしい法人法によりますから、そうなると壁画なら壁画の
取扱いを聞き、これを一カ月間に公告する。そうすると、学者、専門家によ
つていろいろ
意見も違い、殆んど手も付けられんような事態が起りはせんかということを懸念する次第でありまして、この点は
一つ宗教法人法の
改正になりますか、或いはこの重要
文化財保護法の
改正によりますか。いずれにしても適当に
改正をする必要があるかと思います。
それからもう一点でありますが、
史蹟名勝天然記念物を
文化財保護法の
対象として
取扱うべきであるかどうかということであります。
史蹟名勝天然記念物全部を
文化財保護法の
対象として
取扱うべきであるのかどうか。
史蹟名勝天然記念物はこれは大正八年の制定の何でありまして、これは当時の貴族院の立法であ
つたように私は記憶しております。徳川頼貞侯その他の人が大変に骨を折りまして、こういう何ができたかと思うのであります。そのときは内務省の地理課で所管をいたしておりました。全く文部省の社寺
保存とは
行政として別の系統であ
つたのであります。それから昭和三年に文部省にそれが内務省の地理課から移管されまして、局はやはり宗教局で
取扱つてお
つたのでありますが、法令系統としては別でありまして、この古社寺のほうは古社寺
保存会というものがあり、
史蹟名勝天然記念物のほうは、このほうの
調査会がありまして、別々であ
つたのであります。昭和四年に国宝
保存法が制定されまするときにも、これはどうしようかという問題があ
つたのです。一緒にしようかどうしようか。けれ
ども依然別個のものとして
取扱うことにきま
つたのであります。然るにこの
文化財保護法では、有形
文化財、無形
文化財と相対して、
史蹟名勝天然記念物として別に一章を設けて、有形
文化財、無形
文化財と同じような
規定を定められ、又は多くの
規定を準用されております。これは果して如何なものであろうか。
史蹟名勝天然記念物は勿論文化と直接関接の
関係のあるものもたくさんありますが、多くのものは天然現象それ自体、或いは文化の方面とは
関係の極めて稀薄なものが多い。それを
行政の
対象として同じように
法律の下に置くということはどういうものでありましようか。殊にその
史蹟名勝天然記念物でその取締りをするとか、国家的
配慮を要するというようなことは、
現状変更とか、その
保存に影響を及ぼす行為が主でありまして、こういうことは今までもとは
地方長官の
許可でみんなや
つたことであります。大臣まではや
つておらなか
つたのであります。そういう
現状変更とか、
保存に影響を及ぼす行為の取締りが主であ
つて、国宝や
重要文化財のように維持し得るということが重要な
行政目的とな
つているものではない。でありますから、この
史蹟名勝天然記念物というものは
文化財保護法とは切り離して、別個の
委員会で
取扱うことにしたらどうだと。そうしてその国家的のもの、
史蹟名勝天然記念物のうちの国家的のもの、これはもとは第一類と言うておりました。
地方的のものが第二類、その第一類のものだけ中央で
取扱い、それから第二類以下のものはこれは
地方教育委員会に移譲したらどうかと思うのであります。これは随分数が多い。千何百幾つ、全国にあると思いますが、二千近くあると思いますが、それを一々中央で
配慮するだけの、まあひらたく言えば、価値はないものだ。ずつと前に知事が指定した。仮指定をした。そういうものが今ずつと残
つているわけなんであります。それについては、そういうことは
地方に任せるというと、これは
地方のいろいろ政党の事情やいろんなボスなどが又影響して来るからいかんという説もありますけれ
ども、そんなことを言うていた日には限りはない。併しそれは権威ある
委員会の構成によ
つて、又或る程度は
政府が進めることがあるとしても、そこまで一々
考える必要はなかろう。これはそういうわけで
史蹟名勝天然記念物のうちの第一類に属するものは、国家的のものはこれは中央で扱う、第二類以下のものは、これは
地方の
教育委員会に
保護してもらう。そうして中央に残すこの
史蹟名勝天然記念物の
保護の
委員長というものは
文化財保護委員長がかねる。それからその
行政事務は
保護委員会の
事務局が
取扱うということにしますというと、この相互の
関係も脈絡も十分つくわけであります。相互の交渉事項などはスムースに取捌いて行くことができると思うのであります。こういうふうにいたしますというと、
事務の面におきましても相当簡素化されるのじやなかろうか。現に史蹟名勝のごときは今大部分まだ手がついておらんと思うんです。殆んど大部分は昔のままでこれからどう
整備なさるのか知りませんが……というようなことでありますから、これはまあそういうふうにしたらいいんじやないかと思う次第であります。
以上大変無遠慮なことを申上げましたけれ
ども、気の付きましたことを申上げまして御参考に供したいと思います。