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政府委員(岩武昭彦君)
肥料の問題は通産農林両省に亘つておりますので、経済
審議庁のほうで
調整いたしたい点がございますから、便宜
審議庁のほうから取りまとめて申上げます。去る二月十二日に当
委員会から
肥料政策に関しまして申入れを頂いたわけでございますが、
政府におきましては、実はその以前にも衆議院の農林
委員会のほうからも同様趣旨の申入れを頂きまして、至急何らかの対策を講ずべきだという見地に立ちまして、昨年末の閣議
決定に基きまして
肥料対策
委員会を
設置いたしまして、
肥料に対する根本政策の問題並びに当面の緊急解決を要することにつきまして
調査審議を求めたのであります。
その
委員会は
肥料の製造
関係の代表四名、流通
関係の代表三名、消費者
関係の代表四名、なお中立と申しますか、
学識経験者といたしまして五名、計十大名の
委員を選任いたしまして、
委員長は互選に基きまして一万田日銀総裁がこれに当つております。
当
委員会は一月の下旬から最近まで連続五回会合を開きまして、
政府から
諮問がありました事項につきまして慎重に
審議いたしております。その一部につきましては、すでに意思
決定を見たものがあります。以下この対策
委員会の動きと、それに基きまして
政府のとりました方策につきまして御報告したいと思います。
先ず第一に、対策
委員会におきまして硫安のコストの問題が問題になりまして、これにつきましてメーカー側の資料の提出がありましたが、なおいろいろな原価計算のやり方等につきまして十分
検討する必要があるということで、この十六名の
委員の中から更に六名の小
委員を選びまして、これに官庁側の担当課長が入りまして、細かい点の
検討を続けて参
つたのであります。何分このいろいろな原価計算のやり方等につきましては、専門的事項が多いようでありますので、更に本当のこの
技術なり経理なり、或いは原価計算のやり方といつたものにつきましても専門的な知識が必要と存ぜられますので、この小
委員会におきまして更に民間の専門家五名を委嘱いたしまして、各会社ごとの資料に基きまして
内容を
検討して頂いたのであります。これはいろいろ資料の作成等の時間もあつたようでございますので、目下なお
検討中でございまして、最終的な報告に接しておりません。いろいろ仄聞いたしますと、原価計算のやり方等につきまして、十分納得できるまで
検討するということでございます。それからコストの問題と併行いたしまして、春肥の価格の問題が対策
委員会でも問題になりまして、御承知のように春肥の需要期を控えまして、末端価格は若干上り気味の傾向であります。消費者側からも値下げの要求も強く出ましたので、対策
委員会におきましても
検討いたしました結果、これは先に
政府の勧告に基きましてできました安定帯価格を更に下げる趣旨を以て当事者と協議すべきだという勧告を正式にきめまして、なおそれと併行しまして
政府側においてコスト引下げのためには取りあえず金融の
措置を講ずべしという要望もつけて参つたようであります。それでこの安定帯価格の引下げの勧告に基きまして、メーカー側並びに全購連の
肥料販売業者の団体と協議を進めておりまするが、まだ協議は最終的に整つておらないように思います。ただこの間におきまして、いろいろどの辺に安定帯価格を持つて行くかということにつきまして、当事者間の話合いだけはなかなか円滑に進みませんので、
政府で中に立ちまして、取りあえず安定帯価格と申しますのは、従来は一叺九百円中心で上下三十円の値幅、つまり八百七十円から九百三十円というふうにきまつてお
つたのでありますが、それを中心を四十円下げて八百六十円にいたして、上下の値幅を三十五円
程度にすべきというふうに一応
政府側から申入れまして、メーカー側の
了承を得ております。従いまして新らしく一応
政府の手によつてできました八百二十五円から八百九十五円の間におきまして、メーカー側と全購連並びに全肥連と申しまするか、
肥料の販売業者の団体間で具体的な取極めを協議中でございます。それからこの安定帯価格の引下げ勧告と併行いたしまして、対策
委員会からコストを引下げるために取りあえず所要の
措置を講ずる必要がある、その一つは割当の電力量を殖やす、或いは財政
資金から借りておりまする貸出の金利を引下げる、それから必要であれば外国炭の輸入についても配慮すべし、或いは運賃その他の輸送費の低減についても考慮すべしというふうな要望もございますので、このような問題については実情に即してということで、でき得る
範囲におきまして実現すべく目下
政府間で
検討中でございます。
それから最後に
議題に
なつておりまする一つの問題は、
肥料工業は日本においては輸出産業としてどの
程度まで伸ばすか、内需だけ賄えば済むものか、或いは近隣のアジア諸国の輸出をも賄うということで進むべきかどうかというふうな問題、並びにその
関係からいたしましてもコストの低下について根本的な方策を立てるべきではないかという問題がございまして、この輸出の問題につきましては一応春肥の取引価格がきま
つたのちに議論しようということに
なつております。
以上が大体
肥料問題に対する
措置の概要でございます。