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1953-02-18 第15回国会 参議院 農林委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十八日(水曜日)    午後二時二十三分開会   —————————————   委員の異動 二月十六日委員羽生三七君辞任につ き、その補欠として清澤俊英君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山崎  恒君    理事            瀧井治三郎君            三橋八次郎君            東   隆君    委員           池田宇右衞門君            石原幹市郎君            西山 龜七君            宮本 邦彦君            藤野 繁雄君            鈴木 強平君   政府委員    農林省農林経済    局長      小倉 武一君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林大臣官房総    合開発課長   庵原 文二君    林野庁指導部治    山課長     塚野 忠三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○委員辞任及び補欠選任の件 ○農林政策に関する調査の件  (農業金融疏通に関する件) ○海岸砂地地帯農業振興臨時措置法案  (衆議院送付)   —————————————
  2. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 只今から委員会を開きます。  先ず委員の変更がありましたからお知らせいたします。羽生三七委員辞任せられまして、代つて清澤俊英議員農林委員に就任せられました。   —————————————
  3. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 次に農業金融疏通に関する件を議題に供します。  昨年十二月二十四日の委員会の決議に従いまして、お手許にお配りしておきましたように農業金融疏通に関して当委員会から農林大臣及び大蔵大臣申入をいたしておきましたところ、この申入に対しまして、両大臣から報告が参りました。この報告は一応お手許に配つておきましたが、なお直接政府当局から御報告願うことにいたします。
  4. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 御報告を申上げます。  農業協同組合及び同連合会再建整備については、昭和二十六年四月これ着手以来現在までに固定化債権又は固定化在庫品資金化及び自己資本の充実につきましての成果は見るべきものがありますが、組合金融系統機関固定化債権は依然として相当の額に上つていることは事実であります。  併しながら政府は、農林漁業組合再建整備法により、各種奨励措置を講じており、再建整備計画も未だ二年目を迎えたばかりであるので、目下その再建整備状況をも勘案しつつ今後個定化債権流動化につきまして具体的対策について慎重に考究中であります。  右報告いたします。
  5. 山崎恒

    委員長山崎恒君) この報告に対しまして、藤野委員から発言を求められております。
  6. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 昨年の十二月二十四日の日に当委員会の総意によつて申入れました、農業金融疏通に関しては只今政府から報告伺つたのでありますが、申入に対する結果は再開国会の当初において当委員会報告して頂くように申入れてあつたのであります。然るにその後約一カ月たつておるのでありますが、こういうふうに期限が遅れた結果は、政府においても、さぞかし充実したところの報告がせられるものであると大いに期待しておつたのでありますが、只今報告伺つたのによつて見まするというと、余りにも簡単にして要領を得ないというのは誠に遺憾に存ずる次第であるのであります。只今報告によつて見まするというと、目下再建整備実施状況を勘案しつつ、今後の具体的施策については慎重考慮中であるということであるのであります。そこでこれについて、政府において再建整備実施状況を勘案いたしまして、現在までのところではどういうふうな見解と見通しを持つておられるのであるか、この点お伺いしたいのであります。  次には政府においては、今後の具体的施策について慎重考慮中ということを述べておられるのでありますが、現在までのところではどういうふうな方法によつてどの程度の作業が進められておるのであるか、それをお伺いしたいのであります。
  7. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 当委員会のお申出に対しまする回答が遅れて誠に申訳ないのでありまするが、実は或る程度政府といたしましての成案を得てから御報告いたしたいと、かように考えていまして、時日を要したのであります。遺憾ながらまだ本日政府としての具体的な案をお示しできないのでありまするが、さよう一つ御了解を願いたいと思います。  なお再建整備の今後の見通し、それからこの信連固定化債権流動化につきまして、現在農林省といたしまして考えておるところについてのお尋ねであります。再建整備はこれは以前にも御報告いたしました通り相当順調に進んでおります。但し第一年度の結果しかまだわかつておりませんので、恐らく二年度、三年度となりまするというと、だんだん困難な事情が重つて来るのではないかと、かように存じておりまして、今再建整備指導に全力を注いでおる次第であります。これとの関連におきまして、系統金融機関協同組合連合会等に対しまする資金固定化、この問題を解決するために只今どもが重点的に考えておりまするのは、次のような点であります。先ず固定化債権流動化をするということを直接の目的にいたしまして、これによつて事業連等につきましての仕事整備強化を図る、こういうことをやつたらどうか。これが第一の狙いであります。ところでこのことをやりますためには、信連乃至中金がその所属の事業連と協議いたしまして、固定化債権回収計画を立てる。この回収計画におきまして、当然資金固定化しておるのでありまするので、当初の貸付け通り回収することはいろいろ困難でありましよう。そこで一種の契約の更改をいたしまして、償還期限を延長するとか、或いは利子を軽減する、こういう措置をこの計画で樹てる、こういうことを考えておるのであります。そこでこの利子の軽減ということをいたしまするならば、これは信連なり中金自己負担になるわけでございまするの、その点を政府一つ信連等に対しまして利子補給をしたらどうか、只今考えておりますのは、平均貸付利子が一割といたしますならば、平均五分程度のものを補給して、償還期限につきましてはこれは十年以内の年賦償還に改めるようにしたらどうか。そのために恐らく資金源といつたような問題も生じて参ろうかと思うのでありまするが、政府資金を直ちに中金等を経由いたしまして供給するということは国家資金の現状で甚だ困難でございまするので、取りあえずは信連等におきまする資金の融通に対しては、中金等から供給して行く必要が生じますれば、国庫のほうからも政府資金中金等に給供でき得るように斡旋をする、かようにいたしたらどうかと考えているのであります。以上の措置をいたしますためにおいて信連或いは中金事業連と相談いたしまして、固定化債権流動化をいたします。その計画が一応できまするというと、特別の審議会を作りまして、その審議会に諮つて、この審議会一つ意見を聞いて、この計画政府として承認し、その承認に基いて固定化債権流動化を図つて行くと共に、又必要な利子補給等もやつて行く、かようなふうに只今のところ考えているのであります。
  8. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 只今の答弁は、この関係資料を添えて一つ至急文書によつて委員会に出して頂きたい。なおこのことにつきまして、できるだけ早く実際の具体的の方策政府のほうでお立てになつて、その結果を更に報告して頂きたい。こういうふうにお願いしたいと思うのであります。どうか委員長においてもその通りお取計らいのほどをお願いいたします。
  9. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 只今藤野委員からも要求がありましたが、本問題につきましては、先に発言のありましたように、政府からの報告は誠に期待に反して遺憾の点があるのでありまして、政府は速かに再検討の上、実のある具体的な方策を立てて、その結果について改めて至急御報告願うということに只今意見がありましたが、さよう取計らうようにして、政府申入れて差支えございませんか、お諮りいたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 東隆

    東隆君 私はそれに異議はないのでありますが、先ほど藤野さんからもお話がありましたが、この疏通関係の問題は今国会において何らかの解決を急速にしなければならん問題だと思うのであります。中味は勿論再建整備でやつて行つてもいいのでありますけれども、併しその範囲は私は経済面変化によつて大分違つて来ている。例えばここにある固定化在庫品資金化の問題について考えて見ましても、私は以前は購買事業面においての問題が重点だつたと思うのであります。併し経済変化によつて却つて販売事業面なんかに非常に大きな問題があろうと思うのであります。それは農業会の解体に伴う農業協同組合ができる過程において、購買事業の面においては非常に損失を起すような問題がたくさんあつた。併し販売関係においては比較的事業が滑らかに進んでおつた関係上、不良固定資産その他のものが販売関係連合会のほうに廻されておつたと、こういうふうな条件もありまするし、又復員関係の職員なども殆んどそつちの方面で引受けている。そんなような関係があつて再建整備法を制定した当時と非常に異つた形で似ていろいろな固定化債権の案件ができ上つていると思います。そんなような関係から、私はこの機会に新らしく資金疏通の促進をしなければならん情勢が起きていると、こう思いますので、先ほど説明のあつた内容を速かに具体化して頂きたいと、こう思うわけであります。本国会は聞くところによりますと、二月の末日までに提案をしないものは審議をしない、議会の運営上そういうような方針をとつているようでありますから、それでできるだけこの国会に間に合うように急速に一つ具体化をすることを私は併せて一つ委員長のほうから要請をして頂きたい、こう思うのであります。
  11. 山崎恒

    委員長山崎恒君) では只今東委員の御意見藤野委員の御意見を総合しまして、文書を以て政府になお具体的な実のある方策を立てまして回答するように申入れるということに手段をとりたい、かように存じます。
  12. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 勿論そういう申入がございますれば、私どもといたしましても最善の努力をいたしたいと思いまするが、ただ私どもの考え方と申しまするか、そういうむずかしさについて、一、二蛇足でございますけれども、お聞き取りを願いたいと思うのであります。その一つは現在先ほどお尋ねのございましたように、再建整備が進行の途上にございまして、而もその整備と申しまするかをまだ十分に判断するだけの材料が実は揃つておりません。再建整備の大体の山が見えれば、そのやり方が悪かつたとか或いはよかつたとか、今後如何にすべきかということがある程度明瞭になるのであります。遺憾ながらまだその山が実は見えないのであります。勿論これは見通しの問題でもございまするので、山は見えておるではないかというふうに御議論もされるかと思いますが、事務的に考えますと、その点が非常にむずかしいのであります。それからもう一つ只今お話がございましたように、近頃の組合経営面のむずかしさというものが、販売事業といつた面にもあるのではないかというようなことでございまするが、私どもも全くそういう点があろうかと思います。特に米の統制がだんだんと事実上緩和して参りまするというと、これは単に販売事業だけでなくて、組合金融全体にこれは大きな影響を与えて参ると思うのでありますが、そういう近く予測されるような事態に対処いたしまして、一体組合経営如何にするかといつたような、実は根本的な問題もあると思うのであります。その問題に対処するものとしては、ただ信連資金疏通ということだけではこれは足りないのではないかということも考えられます。併しながら今そういうむずかしい根本的な問題について対策を立てるということもこれもなかなかむずかしい点があるのであります。それから協同組合制度全体に関連があるのでありますが、私ども非常に自分自身でも矛盾に陥つております点は、組合の運営が非常に自主独立ということで制度ができておりまするので、そこでできまするいろいろの欠損と申しまするか、債権固定化ということにつきまして一々政府が面倒を見るということが制度の建前と矛盾しやしないか、従いまして組合制度それ自体を再検討しなければならないのではないか、こういうふうな意見も恐らく出て来るのではないか、そうなりますというとこれは組合制度につきましてやはり理事者の責任の問題でありますとか、或いは官庁の監督の問題でありますとか、そういうこともやはり併せて考えないというと、今ここで再建をすればあとはもうすべていいのだというふうには必ずしも言えませんので、制度との関連も或いは出て来やしないかと実は心配いたしているのであります。表面に現われたと申しまするか、私どもが取上げましたのは系統金融機関資金疏通の問題でありますけれども、それの処理如何によりましてはそういう問題と相関連して参りますので、くどいようでありますが、これはなかなかむずかしい問題であります。併しながら勿論御指摘によりまして更に検討し、関係方面にも十分当委員会の意を述べまして、できるだけ御期待のような案ができるようにいたしたいと思います。
  13. 山崎恒

    委員長山崎恒君) この問題はほかに何かありませんか。……ではちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  14. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 速記をつけて下さい。続いて海岸砂地地帯農業振興臨時措置法案議題に供します。  本法律案につきましては先に提案理由説明を聞きましたから、本日は先ず法案内容及び配付資料について参考事項説明を伺うことにいたします。提案者が参つておりませんので、説明員といたしまして大臣官房総合開発課長庵原さんと、林野庁指導部治山課長塚野さんが見えておりますから、それぞれこの法案について御説明を願うことにいたします。
  15. 庵原文二

    説明員庵原文二君) 法案内容につきましてはいずれ提案者のほうから御説明があると思いますので、事務当局といたしまして、すでに配付してございます海岸砂地関係資料につきまして簡単に御説明申上げたいと思います。  第一は海岸砂地分布状況でございますが、二十一府県に亘りまして全部で約十五万町歩海岸砂地があるわけでございます。ここに海岸砂地と申しますのは、海岸線に沿いましてあります不毛地、その背後にある林地、更にその背後にあります砂耕地を含めて総称して海岸砂地と申しているわけでございます。この海岸砂地の中には国有地公有地民有地、いずれもございます。その内訳を申上げますると、大体不毛地が約六万町歩林地が約四万町歩、それから砂耕地が、これは既に耕地化しているところでございますが、これが約六万町歩というような内訳になつております。  それから次は海岸砂地農業生産力でございますが、これを内陸耕地と比較いたしますと、土壤関係生産力は勿論落ちるわけでございます。一、二の例を申上げますと、海岸砂地地帯において水稲が反当り一石六斗余り収穫がございます。内陸耕地の平地二石二斗に比較いたしまして一割以上低位にある。麦につきましては海岸砂地地帯が約一石であります。内陸耕地が一石三斗余りになつております。これも約三割の低い数字を示しております。只今申上げましたのは、防災林のすでにある場合の海岸砂地における耕地の米麦の収量を申上げたのでございます。防災林のない場合におきましては更にこれが下廻つている。水稲につきましては、ない場合には一石二斗、麦については約八斗の反収があるような調査になつております。  それから次は海岸砂地地帯振興によりましてどれだけの農業生産力向上が見込めるかということでございますが、防災林造成によりまして増産し得る見込数量は、水稲につきまして約三斗四升八合、反当りでございます。増収率約三〇%、麦については二斗二升の反当の増収が見込めまして、増収率にいたしまして二八%の増収が見込める。その他いろいろな作物についての資料がございますが、御説明を省略いたします。  それから海岸防災林をやりました場合、防災林町歩に対してどれくらい減産防止面積が見込めるかというようなことにつきましては、大体海岸防災林町歩に対して五年後において三町歩くらいの受益があるわけでありまして、これが十年後になりますと、五町歩乃至八町歩くらいの背後地減産被害から免れるということに相成ります。それから次は畑地灌漑によりましてどれくらいの増収が見込まれるかと申しますと、反当りにいたしまして、これは反当りの総収量を申上げますが、海岸砂地地帯におきます標準区におきまして大体六斗六升ばかりの反当の収量がありますが、これに畑地灌漑を行いました場合、一石三斗三升の収穫を上げておるのでございまして、約二倍の増収が可能である。この数字は陸稲についての調査でございます。  それからこの海岸砂地法律によりまして、地元といたしましてどれくらいの国家投資期待しておるか、それから事業経済効果等につきまして御説明申上げますが、府県調査によりますと、防災林造成、それから農地造成畑地灌漑灌漑排水事業、客土、区画整理、農道、農地保全、溜池、そういつたような事業が主として計画されておるのでございますが、それに要しまする総事業費が百七十九億でございます。そのうち国家投資期待いたします額が七十九億円、農林漁業資金等の融資を期待いたしますものが六十五億円、こういう数字が出ております。それから事業経済効果につきましては、米につきまして約七十七万石、麦について二十九万石の増収が見込めるわけでございまして、金額にいたしまして七十一億円の増収額が見込まれておるわけでございます。以上が事業経済効果等についての説明でございます。  それから従来農林省におきましてこの海岸砂地対象としてどれくらいの事業を行い、国家投資が行われて来たかということを申上げますと、昭和二十二年から二十七年までに海岸砂地造林としまして国費を投じました額が三億一千四百万円、それから防潮林として同じく投じました国費が三千九百万円、畑地灌漑は、これは国費でございませんで、総事業費でございますが、二十七年度におきまして九百万円の事業を行なつております。それから開墾建設工事でございますが、これが二十七年度におきまして、工事費として実施いたしましたものが約一億でございます。それから国営開墾として行いましたものが約三千万円、こういうような事業昭和二十七年度までに実施いたしております。なお昭和二十八年度におきまして砂地関係のある予算としてどういうものがどれだけ見込まれておるかと申上げますと、これはまだ予算只今審議中でありますので、決定ではございませんが、只今の段階では海岸防災林関係国費が一億一千七百万円、それから畑地灌漑が二千六百万円、開墾建設事業が三十三億三百万円、合せまして約三十四億余万円、この関係事業費予算として只今審議になつておるわけでございますが、この中で海岸砂地に現実にどれだけが投ぜられるかということにつきましては、法律が成立いたしましたあとにおきまして、審議会等において府県の立てます農業振興計画等を慎重審議されました上で、その計画に基いてこのうちで何がしかを海岸砂地に振向けるということになるのでございます。大体の全体の枠としては、只今申しましたような三十四億という予算が来年度予算として計上されているということを申上げるのであります。
  16. 山崎恒

    委員長山崎恒君) では林野庁指導部治山課長のほうからなお補足的の説明を願います。
  17. 塚野忠三

    説明員塚野忠三君) この法案農業振興に関する具体的な事業内容としては第五条に五項目に亘つて掲げてありますが、そのうちの第一に、「防災林造成」という項目があるのでございます。これは本法案によらずとも、従来農林省のほうでこれと同じような仕事を、いろいろな経過を辿つておりますけれども事業を進めて参つております。具体的に申上げますると明治の末期からですけれども、現在までに約一万九千二百町歩程度海岸砂地造林をいたしております。又高浪の来る所では防潮林造成をいたしまして、約七百八十町歩仕事をいたしております。海岸砂地、或いは高潮等被害についてはもう今更ここで申上げるまでもないのでありまして、いろいろ経過を辿つてこういう仕事をやつておりますけれども、本法案が特に成立しました場合、我々が今まで仕事をやつておりました実績等から見ますると、農業生産或いはその他の関係もございますけれども、特に本法律の狙つている農業生産の点で極めてその効果が促進されるということを期待しておるわけでございます。  実情を申上げますると、極めて不確かな数字で恐縮でありまするが、現在府県でいろいろ調査をいたしておりまするが、我々が林野庁の十カ年計画として対象に考えております海岸砂地造林を要するものは約三万二千町歩ばかりあるのであります。この法律が成立いたしまして、細かい内容がどう規定されますかによつて数字は動きますけれども、今から大体それらを予定して、この法律対象になるだろうと思われるものが、只今申上げました三万二千町歩のほかに約二千六百町歩が増加して、約三万五千町歩程度になるのではないか、かように想像をいたしております。と申上げますと、数量的にはこの法律によつてさほどに対象面積が変るものではありませんけれども、従来の予算経過等から見ますると、かような莫大な全国の不毛地、或いは背後農耕地等に対して非常に被害を与える根源である砂地が莫大にあるにかかわらず、予算実績と申しますか、従来の仕事実績というものが甚だしく遅々として進まないのであります。二十七年度では漸く一千町歩に満ちません。二十八年度では四千五百町歩程度を予定したのでありますけれども、いろいろ財政の関係上、その二割強という程度に落ちておるのであります。従いまして我々がそういう海岸砂地被害防止農業生産向上というために一応の期間計画を以て対処しておりますけれども、実行の実績というものはかように貧弱でありまして、到底これらの災害防除或いは農業生産向上ということに対しては心許ない感じがするのであります。この法律幸い成立をいたしまするならば、この法律では一応七年というような法律になつておりまするけれども海岸砂地を固定することやら或いは高浪を防ぐ施設というようなことは、それらの農業施設に先立つて前提事業として行われる必要があるという観点から、事業計画といたしましては五年を予定いたしております。それで、いろいろ申上げましたが、遅々として進まないこれらの仕事を、一言にして申上げまするならば、五年に圧縮して農業生産の確保に努めたい、かように期待をいたしておるわけであります。効果その他予算的な措置につきましては、只今前の説明者から申上げましたので省略をいたしたいと思います。
  18. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 質疑がありましたら、今日は提案者も見えておりませんので、次回に譲ることにして如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 山崎恒

    委員長山崎恒君) それでは本日はこの程度委員会を閉じてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 山崎恒

    委員長山崎恒君) では本日はこの程度で散会いたします。    午後三時五分散会    ——————————