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1952-12-16 第15回国会 参議院 農林委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十六日(火曜日)    午後二時三分開会   ―――――――――――――   委員の異動 十二月十五日委員赤澤與仁君辞任につ き、その補欠として加賀操君を議長に おいて指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     山崎  恒君    理事            瀧井治三郎君            徳川 宗敬君            三橋八次郎君    委員            石原幹市郎君            小串 清一君            西山 龜七君            宮本 邦彦君            加賀  操君            楠見 義男君            藤野 繁雄君            羽生 三七君            岩崎正三郎君   衆議院議員            青木  正君            野原 正勝君            松田 鐵藏君   政府委員    農林政務次官  松浦 東介君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○湿田単作地域農業改良促進法案(衆  議院送付) ○てん菜生産振興臨時措置法案(衆議  院送付) ○農山漁村電気導入促進法案衆議院  送付) ○農林漁業金融公庫法案衆議院送  付) ○農林政策に関する調査の件  (急傾斜地帯農業振興対策に関する  件)   ―――――――――――――
  2. 山崎恒

    委員長山崎恒君) それでは只今から農林委員会を開きます。  委員変更がございましたから御報告いたします。赤澤委員が辞任せられまして、代りに加賀委員が就任いたされました。  続いて十二月十五日予備審査のため付託されました湿田単作地域農業改良促進法案について、提案理由説明を求めます。衆議院青木正先生であります。
  3. 青木正

    衆議院議員青木正君) 只今議題と相成りました青木正外七十七名提出湿田単作地域農業改良促進法案に関しまして提案理由を御説明申上げます。  御承知のごとく、我が国水田面積約三百万町歩のうち約六十九万町歩は、常時排水不良であるところの湿田地域でありまして、関東初め各地方に広汎に分布しております。これらの地域は、農地が湿潤であるために土地農業生産力が低くて、いわゆる低位生産地でありまして、畜力の導入は勿論農耕作業に困難を極め、又病虫害も常に発生するという悪条件の下にあるのであります。そこでこれらの湿田地域に、その特異性を考慮に入れた農業改良計画によつて土地改良等農業生産条件を整備して水田の裏作を可能ならしめたならば飛躍的な増産効果を発揮し得ることは全く疑う余地かないのであります。又これらの地域における農民は、只今申上げましたような悪条件の下で食糧生産に貢献して参りましたが、今後強力な施策によつて湿田単作地域を解消いたしますれば、これらの農民米穀供給地としての地位に鑑みまして喜んで生産に精進することになります。この問題の解決に盗しまするために、ここに本法律案提出いたした次第でありまするが、以下その内容の主なる点について申述べることといたします。  第一条は、本法律案目的規定いたしております。即ち、湿田地域に対しまして総合的な計画に基く事業の実施、つまり、かんがい排水区画整理等計画的に施行いたし、併せて農業技術改善を最も効率的に行うことによりまして急速に生産効果を挙げ、食糧その他農産物の増産に寄与することを目的といたしております。  第二条から第八条ならびに第十条、第十二条の各条は、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法に準拠し、第二条に湿田単作地域の指定を、第三条、第四条、第五条に、それぞれ市町村長都道府県知事農林大臣の定める農業改良計画を、第六条、第七条、第八条にそれぞれ定めた農業改良計画変更並びに事情変更の原則を適用せねばならない場合の計画変更を掲げております。第十三条に委任事項を、第十二条に湿田単作地域農業改良促進対策審議会の組織を規定しておるのであります。第九条は、本法目的関連して農業改良計画内容規定いたしております。即ち、同条第一号、同第二号において湿田単作地域における農業改良基礎条件を整備する事項規定しております。即ち、湿田単作地域農業が共有する土地及び労働生産低位問題等特有生産阻害条件に対しましてかんがい排水施設農業用道路、その他農地保全若しくは利用上必要な施政の新設、廃止若しくは変更区画整理、客土、埋立その他の農地改良に関する事項農業技術改善その他農業生産に関する事項計画するようにいたしたのであります。同条後項においてこれらの計画は、立地条件農業技術発達程度労働力その他の諸条件を総合的に勘案して事業経済的効果を最大に発揮するものでなければならないと規定しておるのであります。  以上簡単に御説明申上げましたが、何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことを切望いたします。   ―――――――――――――
  4. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 続いて十二月十五日予備審査のため付託せられました野原正勝君外四十一名の提案にかかるてん菜生産振興臨時措置法案について、提案理由説明を求めます。
  5. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 只今議題となりましたてん菜生産振興臨時措置法提案理由を御説明いたします。  甜菜は大正九年以来北海道の農業開発に多大な貢献をなして参つたのでありますが、その理由は冷害に強いこと、副産物の頸葉及びビート・バルブは貴重な家畜飼料となること、又甜菜跡地は他作物が増収すること等でありまして、今後もますます北方寒地農業開発上その発展が強く要望されているところであります。又我が国は敗戦による領土喪失の結果、砂糖自給国か一転して莫大な砂糖を殆んど総て海外に依存せざるを得なくなつておりますので、国内砂糖生産増大我が国経済自立上極めて重要事となつている次第であります。然るに最近輸入糖価格は異常な低落を来たし甜菜栽培を強度に圧迫しこのまま放置するにおいては我が国より甜菜栽培は全く姿を消すという危機に直面いたしております。元来輸入糖価格は変動が極めて有しく、その低落に遭遇する場合は甜米栽培維持上何らかの保護政策をとる必要があることは、英、米等先進甜菜糖業国立法措置の例をみても明らかなところであります。以上の状勢と理由によりまして我が国甜菜栽培を保持し且つその生産力発展を図る措置を速かに講ずることが緊要と存じ、ここに臨時立法として本法を制定いたしたいと存ずる次第であります。  この法案二つの点が主要事項となつておりまして、その一つは、一定の計画の下に栽培合理的発展に必要な経費の一部を国で補助し、その生産力を拡張し需要の最低必要量国内で確保しようとすることであり、もう一つの点としましては、農家甜菜最低価格を支持するため特に必要があると認められるときには甜菜糖政府買入を行うことであります。この二つによりまして寒地における農家経営を安定向上せしめ、且つ北方僻地の産業を振興せしめ、又我が国砂糖自給度を高めて我が国経済自立に寄与せしめたいと思うのであります。  以上が甜菜生産振興臨時措置法律案提案理由でありますが、何とぞ御審議上速かに御賛成あらんことをお願い申上げます。
  6. 山崎恒

    委員長山崎恒君) では続いて十二月十五日予備審査のため付託せられました松田鐵藏君外六十二名の提案にかかります農山漁村電気導入促進法案について提案理由説明を求めます。松田さん。
  7. 松田鐵藏

    衆議院議員松田鐵藏君) 只今議題になりました松田鐵藏外六十二名の提案による農山漁村電気導入促進法案提案理由を御説明申上げます。  戦後我が国民主化を推進いたしますためには、総人口の半ばを占める農山漁民生活文化を向上し、農山漁家経済を安定し、併せて農林漁業生産力を高めることが最も肝要であります。然るに我国農山漁村の実情をみますと、未だに電燈さえなく文化の恵を受けることのできない農山漁家全国で二十万戸を越える状況であります。更に動力線が入つておらないために、生産に是非とも必要な動力機械を使うことができない農山漁村も、全国に多数存在している現状であります。これらの未点燈部落、或いは電力不足地域生活しております農山漁業者が万難を排して、電力導入しようと熱烈な要望をいだいていることは、極めて当然のことであります。従いまして戦後、見返資金或いは農林漁業資金融通法によりまして或る程度資金供給され、現在までに約百カ所ほどの小水力発電所建設された次第であります。併しながら、これだけでは単に一部の希望をみたしたに過ぎないのでありまして、今なお数百カ所の地点で建設を希望していながら資金を得られないため、貧しい暗い生活を余儀なくさせられている状況であります。従いまして我々といたしましては、これらの恵を受けることの少い人々に、光を与えようといたしまして、この法案提案いたす次第であります。  次にこの法案の主要な点を申上げます。  第一は、無点燈部落或いは電力不足地域を積極的に都道府県をして現地調査せしめ、これらの地域電気導入する方法及び施設建設計画等内容とする電気導入計画農林大臣提出せしめ、農林大臣はこれらの計画に基いて毎年度電気導入計画を樹立すべきことを規定いたしました。これはとかく早いもの勝ちに融資対象に取上げられている現状を改めて、計画的に能率的に電化促進事業を進めて行くためであります。  第二は、政府は、電力導入事業を実施しようとする農林漁業団体が小水力(又は火力発電所又は配電施設建設する場合に必要な資金を右の計画に基いて、貸し付けることを積極的に規定いたしました。  第三は、開拓地において、開拓農業協同組合が、小水力(又は火力発電所又は配電施設を設ける場合に、国が補助金を交付しようとする規定であります。  第四は、電気施設建設に関し、又建設した施設維持管理又は利用に関して、農林大臣が適切な指導を加えて行きたいという規定であります。又この指導は必要に応じて都道府県その他農林大臣の指定する法人に行わせることができることといたしました。  第五は、都道府県が第一項の現地調査を行うために必要な経費の一部及び農林大臣が委託した指導事務を行うために必要な経費の一部を国が補助し得ることとしたことであります。  第六は、農林漁業団体送配電施設又は発電施設建設いたしまする場合に、その施設利用上既設の電力会社との間に、電気供給又は託送、売買についていろいろの交渉の必要が出て参りますので、その際成るべく弱い農林漁業者に不当な負担のかからないように協議、裁定の道を設けました。  第七は、現在農林省土地改良事業として、かんがい排水施設設置し、中には相当大きな水利タム等も築造されているのでありますが、これらのダム及び水路を活用いたしまして、農業水利との調整を図りながら同時に水力発電事業も考慮して、工事を施行することが国家のため最も有利でありますので、この点を法文の上に明言いたしまして、水力資源の総合的な開発を期待するものであります。  以上がこの法案の主要な内容であります。何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことを御願いいたします。
  8. 山崎恒

    委員長山崎恒君) では続いて十二月十六日予備審査のため付託せられました農林漁業金融公庫法案について提案理由説明を求めます。野原さん。
  9. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 只今議題となりました野原正勝外五十六名提出農林漁業金融公庫法案提案理由を御説明申上げます。  我が国経済自主体制を確立するためには食糧増産を目途とする農林漁業生産力の早急な拡大強化がその基盤をなすものであり、而して農林漁業生産力拡大強化を図るためには、これが基本的施設に対し積極的に資金導入することが刻下の急務であることは言を待またいところであります。然るにかかる資金農林漁業の特質に鑑み長期且つ低利であることを要するため、一般金融機関融通に待つことは困難であり、国家資金による政策的金灘を行う必要があるのであります。  かかる要請に応ずるため、昨年農林漁業資金融通特別会計設置せられ、これによつて昭和二十六年度百二十億円の融資を行い、更に本年度は二百億円の予算を以て融資が行われつつあり、この制度農林漁業生産力拡大強化する上に果しつつある役割は誠に大きいものでありますが、今後食糧増産計画の積極的な推進と共にますます増大せらるべきこの資金の適正且つ円滑な運用を将来に亘つて期する上には、なお二、三の検討を要すべき点があるのであります。  即ちこの特別会計において当初予想した資金員に比し、実際の資金量国内食糧増産の緊急当面の要請に応え、遥かに上廻るに至つたため、現在の人員を以てしてはこの業務の円滑な処理は到底困難であると考えられるのであります。又貸付決定実質上の責任者乃至は事務に当るものが公務員であり、その地位長期間固定することが実質上困難であるため、長期貸付決定責任の所在が不明確になる虞れがある点、又政府の直接貸付にかかる国の債権であるため、財政法規定により債権保全が形式的には極めて厳重な一方、実質的には金融業務に本来必要とされる機動的な処理を行い得ないため、却つて管理回収業務の円滑な運用を期し得ない点等、単に特別会計機構人員を増加したのみでは解決し得ない問題が多々存するのであります。  以上の諸点に鑑みまして、極めて重要なこの農林漁業長期融資取扱機構としては、独立と共にますくその緊要性を加え、資金量も今後いよいよ増大せられるべきこの際において、新たにこの融資目的とする恒久的な独自の政府機関として農林漁業金融公庫設置し、以て農林漁業長期資金の適正円滑な運用に遺憾なきを期せしめたいと考えるのであります。これが本法案提案した理由であります。  次に本法案概略を御説明申し上げます。  先ず、農林漁業に対する長期低利資金融通目的として農林漁業金融公庫設置し、これを法人とするのであります。これが資本は全額政府出資とし、農林漁業資金融通特別会計から承継する資金を以てこれに充てるのであります。業務につきましては、従来の農林漁業資金融通法による融資対象のほかに、更に災害復旧の場合に限り個人施設をも対象として貸付を行うものとし、貸付決定以外の実務につきましては農林中央金庫その他の金融機関にこれを委託し得るものとしております。貸付利率償還期限及び据置期間の限度はおおむね現行通りと定め、その範囲内における貸付案件細目等業務方法 事業計画等主要事項については主務大臣認可を要するものとし行政との密接な関連を保持せしめることといたしております。役員については総裁及び監事は政府任命とし、理事任命についても主務大臣認可を要するものとしております。会計については、公庫予算及び決算に関する法律の定むるところによるものとし、大体国の予算及び決算に準じた取扱をするものとし、利益金を生じた場合は全額を国庫に納付するものといたしております。  なお、公庫政府から借入をし得るものとし、今後の政府追加出資と共に貸付の財源とし得ることとし、更に外貨資金導入を図り得る途をも設けている次第であります。  以上が法案内容概略であります。何とぞ慎重御審議上速かに御可決賜りますよう御願い申上げる次第であります。   ―――――――――――――
  10. 山崎恒

    委員長山崎恒君) では続いて委員会の運営についてお諮りいたしますが、会期は一応十二月の二十二日までということになつておりますが、ところが只今委員会には六つの法律案予備審査のために付託されております。いずれも慎重審査を要するものと考えられまするので、従つて極力努力いたしましても所定の会期中に全部議了することは非常な困難が予測せられるのであります。そこで先刻委員長及び理事打合会を開きまして、お手許にお廻ししましたような別紙の審査順位に従いまして暫らく審査をいたしたい、かように存じております。極力審査能率を上げることに先ほど打合せいたしましたので、そのように御了承を願いたいと存じます。なお当分委員会は毎日開くことにいたします。   ―――――――――――――
  11. 山崎恒

    委員長山崎恒君) それでは只今から農林漁業金融公庫法案審議に入ります。先ず提案者及び政府当局から配付資料に基きまして本法律案内容及び関連参考事項について説明を求めます。
  12. 楠見義男

    ○楠見義男君 その前に今の理事会決定されたこと誠に結構なんですが、私ちよつと聞き洩しておつたことは、あの順序によつて採決するという意味じやなしに、審議をああいう順序でやる、こういう意味でございますね。
  13. 山崎恒

    委員長山崎恒君) そうでございます。
  14. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 農林漁業金融公庫法案につきまして、法案のあらまし、それから公庫設置理由といつたようなことを中心概略お話申上げたいと思います。
  15. 楠見義男

    ○楠見義男君 これは議員提案じやないですか、この法案は。
  16. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 議員提案です。
  17. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の何か説明提案理由説明その他というお話だつたのだけれども、それはどういうのですか。
  18. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 内容説明です。
  19. 楠見義男

    ○楠見義男君 内容政府のほうでやられるのですか。
  20. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 配付いたしました資料につきまして御説明したいと思うのです。
  21. 山崎恒

    委員長山崎恒君) よろしうございますか。
  22. 楠見義男

    ○楠見義男君 はい、どうぞ。
  23. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) お配付いたしました資料でございまするが、昭和二十七年十二月と書いてございまして、農林漁業金融公庫法案関係資料となつております。大部分は統計資料でございまするが、前文に公庫設置されますことに関連しまして、最近までの農林漁業金融概略文章を以て書いてございます。その後に目次がございまして、農林漁業金融中心とした統計資料をまとめたものでございます。これで大体御覧願えばおわかり願えると思うのでございまするが、文章で書いてありますものについての要点をかいつまんで申上げたいと思います。これはもう皆さんがたとくと御承知のことと存じまするが、戦後長期金融につきまして、何らかの措置と申しますか、制度が必要であるということはつとに主張せられて参つたのでございまするが、その点につきまして、この農林漁業金融公庫法案基礎に相成りまする現在の長期資金融通法が成立いたします過程といたしまして、例の復金農林債権を引受けまして、それによりまして資金供給する方法、それから対日援助見返資金特別会計から融資する方法といつたようなものが講ぜられて来たのであります。その点が概略資料のほうに書いてございます。  次は長期資金関連しまして、農林漁業に対する財政投資と申しますか、公共事業中心としたもののうち、農林漁業関係がどの程度の割合を占め、その推移がどうなつているかということが三頁の所に書いてあるのであります。  それから次に組合金融でございまするが、この点につきましても、戦後の一時的な経済不況に当りまして、若干の貯払停止組合といつたようなものを生じて参つたのでありまするが、その後組合の自主的な面におきましても、経営対策協議会といつたようなものが作られまして、経営の刷新が図られ、或いは組合役職員の資質の向上を図り、或いは農協財務基準令といつたようなものを設けるほか、更には現在進行いたしておりまする再建整備法の施行によりまして、組合再建整備を図るといつたようなことをいたしておるのであります。出資金も当初は甚だ僅少であつたのでありまするが、再建整備法関係もあり、漸次出資金は増加して参つております。再建整備組合だけで申して見ると、当初の目標に比べまして農協では五割増し、連合会では十五割増しといつたような成績を収めているのであります。それから中、長期資金の問題でございまするが、これは中金農林債券を発行しておりまして、本年度に限りまして百四、五十億ですか、債券発行高が達しておると思います。なお中金資金源といたしましては、かような組合金融系統預け金、それから農林債券といつたようなもののほかに食糧管理特別会計からの仮渡金とか或いは長期資金受託金といつたようなものが主になつておるのであります。短期資金につきましては、特に農業手形制度が戦後の農家経済の疲弊或いは農業会の解散といつたようなこととの関連におきまして実施されて現在に至つておりまして、利用度も逐次増加いたしております。現在では二百五十億程度になつておるのであります。  その次には六頁の公庫法案に直接に関係がございまする農林漁業資金融通特別会計についての経過が書いてあるのでございます。御承知通り当初の年度におきましては百二十億、本年度二百億、今回御審議願つておりまする補正予算におきまして八億ということに相成つております。貸付の実績乃至二十七年度資金運用計画がその次に書いてございます。  現在の貸付進行状態でございまするが、資金もだんだんと増加して参り、一件当り金額も若干縮小して参つて現状はだんだん事務が複雑化して参つておりまするが、現在のところ政府貸付決定をみましたのは百五十億程度でございます。  概略でございまするが、なお御質問かあればお答えいたしたいと思います。
  24. 山崎恒

    委員長山崎恒君) じや、質疑に入つてよろしうございますか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  25. 羽生三七

    羽生三七君 細かいことを承わる前前に、先ほど本案についての提案理由場説明で若干触れられておりましたが、任来の農林漁業資金融通法から、この公庫法案に移り変る理由というものをもう少し明白にして頂きたいと思います。これは今まで非常に重要な役割を果して来たということはよくわかるのでありますが、そういう点からも、更に万全を期することは非常にいいことだと思つております。そこで先ほどの提案理由説明の中で若干触れられたけれども、なお積極的にそれを公庫法案に転換するその理由というものを、細かいことは要りませんから、大まかにもう少し御説明願いたいと思います。
  26. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) いろいろとございますが、概略を申上げます。現行農林漁業資金融通特別会計は、昨年の四月に発令せられて、設置の当時は御承知通り資金六十億で始めたわけでありますが、昨年のうちに倍額の百二十億になり、又本年は御承知通り二百億円、今回の補正でも通りますと、二百五十億ということに相成るわけでありますが、資金量が非常に殖えて参りましたというふうなことで、今後も食糧増産計画などが強力に実施されることと我々は確信をしておるわけでありますが、それに伴いましてどうしても今後、今までより一層大きな資金が加わつて行くことになると思うのであります。こうなりますというと、これが管理、或いは又資金回収というような仕事も今後漸次殖えて参るわけでありまして、現在融資業務は、農林省の中に職員二十四名でやつておるわけでありますが、到底それではやつて行けないというようなことになると思います。それから特別会計のことは単に然らば人員だけ殖やせばいいかということにもなるわけでありますが、人員だけでもいけないと思うのであります。それはこの貸付業務責任を持つて行うということになりますというと、どうしても長期間この仕事に専念して当るというようなことでないと、貸付から回収に至るまでの期間相当長いのでありますから、やはりできるだけその仕事に習熟をし、責任を持つてやるというふうなことにするためには、公務員がこれに当るというようなことではどうもふさわしくないというふうに考えるのであります。又公務といいましても普通の、つまり国家官庁機構、役人という、農林省でやるというふうな仕事でなしに、別な形で行くということが好ましいのではないかというふうに考えるのであります。  それから又特に債権の確保というふうなことになりますると、形式的には非常に厳重になるわけでありますが、実質的には機動性を欠き、円滑な管理回収に支障を来たす虞れがある、例えば特定の場合保証人の数の減免、延滞利息の減免等が実質的には管理回収上必要な場合もあるわけでありますが、国の財源であるために財政法第八条の規定というふうなことで、一々法律をきめなければ行えないということに相成るわけであります。従つてこういう点からも特別会計では弾力性のある運営は困難であるというふうに考えるのであります。又貸付決定金融機関に任してしまうということは、ちよつとどうもいろいろな面でうまくないと思われる点が多いのであります。それは各金融機関別に事業別の資金枠の配分をすることが困難でございますし、又金融機関貸付決定を任せる以上は、相当の補償責任を負わせなければならんわけであります。それを重くした場合には、資金の円滑な貸付を阻害することになると同時に、預金者に不測の損害を与える虞れもあります。この資金は、これは三〇%を取扱つておる農林中央金庫は農民、漁民の零細な預金を資金とする金融機関でありますから、これらの預金者に損害を与えるということがあつては困るのであります。現在二〇%の補償ということになつておりますが、現在程度の補償責任ならば、決定政府責任を持つてということで、非常に円滑に金融が行われるというふうに考えるのであります。  まあ以上のような理由でございますが、元来が今の特別会計を作る当時、農林金融公庫を作ろうという政府側は案であつたと我々は聞いておる。ドツジ・ラインその他の関屡、いろいろとそういうはつきりした大きな金融機関を作るというようなことは、当時困難であつたというような事情もございまして、まあちよつと変則な形で、特別会計という形でやつて来た。やはりここまで厖大なものになれば、どうしてもはつきりした公庫という形をとつたほうがよくはないかということを考えまして、この公庫案を出したわけであります。
  27. 楠見義男

    ○楠見義男君 私はちよつと政府のほうに伺うのですが、今提案者野原さんから御説明なつた従来の特別会計で以てやることについてのいろいろの欠点といいますか、そういう欠点は政府自身もお認めになつておるのかどうか、その点を先ず最初に伺いたい。それから第二点は、若しそういうことをお認めになつておるとすれば、なぜ政府のほうからこういう法案提案がなかつたか、この二つの点を政府のほうから……。
  28. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 第一点でございますが、これは提案者のほうから御説明になりました諸点につきましては、私どもとしても全く同じ見解でございます。第二点につきましては、これは私経済局でございまするので、政務次官が御出席なさつた折に答弁をして頂きたいと、かように思います。
  29. 楠見義男

    ○楠見義男君 それじやあとで伺うことにしますが、なお私は、実は法案只今拝見したばかりで、内容についてはまだよく検討しておりませんから、改めて内容は伺うのですが、ただちよつと見たところだけの疑問なんですが、第一条で、生産力維持増進という積極的な意味が書かれておるのですが、この点はこの法案自体においては私は別に異議を申立てるものではないのですが、この最後の表に行きますと、いずれも生産力に必要なもののほかに、第三号の立木の伐採制限に伴い必要な資金、これが一つあるのですが、その点はどういう意味であろうかということが一点と、それからもう一つは、それぞれの項目によつて利率が異なつておるのですが、この利率自体も随分、これだけのことをやるのには何だか高いような気もするのですが、まあこの程度の金利を以てやらなければならない、又この程度の金利ならばペイできるかどうかという、その根拠といいますか、そういう事情と、それからこういうふうにいろいろと項目について区別が設けられておる点をお伺いいたしたい、これは提案者にね。
  30. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 貸付金の種類の中で三の森林の立木の伐採制限に伴い必要な資金、これは必ずしも農業生産力の拡大のためだけではないではないかという、まあその点は私も同じ考え方でありますが、併しこれはすでに御承知通り、昨年本委員会でも御審議を頂きました森林法に基くものといたしまして、我が国の治山治水の現状、国土の保全というような大きな観点から、又どうしても森林の経営の適正化を図り国家公共のために幼齢林の伐採を或る程度制限しなければ日本の森林の保存はできない。又森林の適正な管理経営がなくしては真の治山治水は不可能である。治山治水をやることが農耕地保全、或いは大きく言うならば日本の産業経済を守ることが根本であるというふうな観点に立ちまして、個人の持つている山林の伐採等についても、現下の日本の森林の事情というものから考えまして伐採の制限を余儀なくされるような事態が考えられるのでありまして、そのためにはやはり伐採を制限する以上は、その制限された期間中は低利長期融資を考えてやる必要があるというようなことで、これは森林法の改正に関連いたしまして、新らしく農林漁業資金融通法の中に本委員会の御賛助を得まして、二十六年度におきましては五億、本年度は二十二億という資金の枠を定めまして、現に貸付を行なつているわけでございます。これがありませんと森林法の実施が不可能であるというふうな特殊な事情でございまして、これ又その大きな観点から見れば、我が国農業生産力を拡大する、農村の振興のために役立つということで、第一条の目的に完全に合致するものであるというふうな考え方からこの中に入れたようなわけでございます。又いろいろのたくさん項目がありまして、種類がございまして、それぞれ貸付の利率或いは又償還期限、或いは据置期間というようなものがそれぞれ違つておりますが、これはすでに農林委員会におきまして御審議を頂きまして、農林漁業資金融通法を制定するときに衆参両院で御審議頂きましてきめられたものでございますが、この中には実は農林漁業資金融通法によりますと最高と最低を実は定めて行つたのでありますが、今回の法案では利率の最高の限界だけを示して、最低ならこれより幾ら安くても金庫の金利において下げることは一向差支えないということで、最高だけを制限するということにいたしました。なお据置の期間等につきましても、御承知通り今までの期間というものは、実態に見まして少し無理な点が多かつたように思います。例えば林道などは一年ぐらいの据置では、どうもまだ林道のそこへ行きつかないうちにもう期限が来てしまつて回収を急ぐというような、余りどうも仕事の成績もうまく行かないというようなことから、二年ということにするというふうに、あの農林漁業資金融通法のときに御審議願つた。我々も一緒に審議をしましたが、あの当時とは少しこの実態に即しまして償還期限或いは据置期間というようなものが考慮されておる。この際同時にこれを適正なものとして御審議を願つてそして行きたいということで、実はこの別表の案を作つた次第であります。
  31. 楠見義男

    ○楠見義男君 森林の問題は、今までの経過はよく私ども存じておるのですが、従つてこのこと自体が悪いという意味ではなしに、こういうものが入つておればもつと同じような問題で、例えば農地担保の問題とか、自作農創設融資の問題とも関連して、そういうものもやはりここで同様な取扱をする必要がありはせんかということの比較検討、特に自作農創設の問題、農地担保の問題等は農地制度の問題とも関連しておるように思いますが、極めて重要な問題だと私は思いますが、生産力維持という上から行けば、今御説明なつた森林の問題と同じウエイト、或いはそれ以上のウエイトがあるのではないか。そういう問題がここでは落されておること、それからもう一つは、畜産についてはこういうような短期資金というか、中期の資金になるわけですが、畜産の関係、家畜の導入等、こういう点はここでは取上げられないことになつておるが、そういう問題はどういうふうに提案者としてはお考えになつておりますか。
  32. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 農地担保その他のようなものの金融ということは、この公庫に含めたほうがいいというような今の御質問、私も全く同感であります。で、農地担保力がないということのため生ずるいろいろな農業経営上の不便、その他いろいろな問題を考えると何らかの措置を講じなければならないと思います。今やつておる例えば開拓者資金融通法の中で、自作農創設の一環として変則的な形でこういう場合にはやつておるが、あの行き方では実は大きな農村の金融の問題という点から見た農地の問題は解決がつかない点が多いということ、私ども全く同様に考えております。これに対しましてはいろいろと検討をいたしまして、一つ今後の問題として十分この中に取入れるような方法を考えなければならないじやないかというふうに考えておりますが、今のところ農地担保金融の問題は非常に大きな問題でありますので、一応今回の案の中からは外してはございますが、十分に検討をいたしまして将来この金庫の中に取入れるような方式を考えなければならんじやないかというふうに私どもも考えております。  畜産の問題でございますが、この畜産の問題につきましては、御承知通り年度から有畜農家創設のための特別融資を考えまして、政府で考えて利子補給という途を開いて、それから農中金融資能力に依存してやつて参つたわけでございますが、で、これに対しましては畜産局側のほうではやはり畜産振興という観点から別個に特別会計を考えたいということで今折角案があるやに伺つております。本来ならばこの金庫のほうにそういうのを含めたほうがいいのではないかということも考えられましたが、一応これ又非常に厖大な資金枠になるというふうなこと、又現在の財政或いは金融といつたような面から見て、今一本で行くよりもいろいろな点からやつたほうが或いは工合のいい面もあるといつたような関係も慮つて、実は一応は切離しておりますが、それらの点につきましてもいろいろと御検討を頂きまして、金庫としてやつたほうがよろしいということであればそういうふうにいたしたい。私どもは本来はこの金庫のほうで扱うべきものではないか、そういう性質のものであろうというふうに考えておりましたが、そういうようないろいろな経緯からいたしまして一応この中からは外れておるわけでございます。
  33. 羽生三七

    羽生三七君 実は今のこの農地担保金融の中で、ちよつと質問ではないけれども、若干ここで御披露したほうがいいと思う問題があると思うので、この間の問題をちよつと御説明申上げたいと思います。御説明といつては変でありますが、実はこの前の前々国会で廣川農林大臣から、農林金融公庫法案を議会に出したい、ついてはその中に農地担保金融を含めるかも知れないが、了解できるかというお話がありましたので、まだ法案が別に出ておるわけでもなし、委員会に付託になつたわけでもないので、私個人として農地に担保力がないということは、確かに一つの矛盾で、これは将来解決しなければならん問題だとは思うが、併し今直ちに農地担保金融を再開した場合に、それが金庫法で規定されておる範囲内にとどまればよろしいが、将来市中銀行等にこの問題を引つかけて取扱を委託されるというようなことが起つた場合に、支払期日が来た場合に支払い得ない債権者は、農地を担保として預けてあるのだから、これは取られるのは当然で、その結果農地制度に重大な変革が起る突破口になる危険があるから、むしろ農地保全については、現在ある八億五千万の自作農創設維持資金を更に十倍くらいに拡大をして、それで当面自作農の維持について万全を期して、将来農地に担保力を持たせることがどういう形で適当かということは別個改めて御考慮願いたい、こういう回答を農林大臣にしたわけでありますそこで法案を恐らく農地局のほうで或る程度作られたと思いますが、その寸前に農林大臣から、今度はとりやめておくということで一時中止になつたという経過もありますので、そんなこともあつたということをちよつと御披露したいと思います。
  34. 楠見義男

    ○楠見義男君 それからもう一つ、別表の七号なんですが、農林漁業者の共同利用に供する施設云々の、これは恐らく農業で言えば、農業協同組合等を対象にするようにも見えるのですが、提案者の御意向はそういう、農業で言えば農業協同組合というものを対象にするのか、もう少し拡げて、農林漁業者の共同利用に供するものであれば、中小企業協同組合によつてつておるものもありますが、そういうものも包含するようにお考えになつておるのか、その点はどうでしようか。
  35. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 一応これは協同組合対象として考えておるわけであります。
  36. 楠見義男

    ○楠見義男君 その場合に同じ協同組合でも、農業協同組合のみを狭く解釈しておられるか。或いは中小企業協同組合対象にしておられるのか、その点も一つ
  37. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 中小企業のうちで特に農林のほうに非常に関係の深いものは、当然それも考えたいと思います。
  38. 楠見義男

    ○楠見義男君 これは次は政府のほうに伺うのですが、私は実は農林金融については、政・府が金融をする場合に、丁度アメリカの何と言いましたか、フアーマーズ・フォーム・アドミニスト・レイシヨン、総合的な又は指導的な役割を果した金融機関としての方向に進むのがいいのじやないかという、これは個人の意見ですが、同時に国が直接金融をあずかる場合には、フアーマーズ・フォーム・アドミストレイシヨンの金融にだんだんと近付くことを念願しておつた一人でありますが、ところがここでこういう特に固定施設を主とした金融のための特別の機関ができて、政府の金融から離れる、而もどつちかというと、やはり金融機関となりますと、金融機関通有のセンスでやりがちになることが一つ我々としては心配と言えば心配になる点なんです。同時に先ほどもちよつと野原さんからもお話があつたように、畜産の別個の金融というようなことも、これと離して考えるというようなことになつて来ると、総合的な、或いは指導金融的な金融機能といういうものが、漸次商業金融的な分散傾向になるということが、国が金融をやる場合の観点からすればどうだろうかという一つの懸念と言えば懸念を持つわけですが、そういう点は政府のほうではどういうようにお考えになつておりますか。
  39. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 特別会計から公庫にいたしますることによりまして、御心配のような点がないとは保しがたいと思いますけれども、公庫は普通の金融機関ということではございませんで、政府の特別の機関の性格が強いわけでございますので、独立の金融にするということは大きな問題だと思いますが、この点から申しますると、今の御心配の点は余りないのじやないかと思います。尤もアメリカのフアーマーズ・フォーム・アドミニストレイシヨンというような恰好を考えますると、これは資金の性質から大分違うのではないかと思います。尤も資金の性質といたしましては、長期低利資金でございまして、必ずしも普通の金融機関なり組合金融では期待し得ない政府の金融でございまするから、その点は性質上似ておるわけでございまするが、個人の経営についての貸出は、この共同利用施設の中には入つておりませんで、組合の共同施設ということでございまするので、その点は若干違うと思いまするが、組合といたしましても御趣旨のような考えで指導金融と申しますか、商業金融に対しまして指導金融ということを申しますならば、組合についてはやはり指導的な金融でなければならんという御趣旨はまさにその通りだと考えております。公庫になりましてそういう点について遺憾のないように十分注意をするつもりでございます。
  40. 楠見義男

    ○楠見義男君 もう一点は、提案者の御意向は、積極的に国の資金を注入して、そうして現在の特別会計で以て不十分の点をむしろよくして、改善してやつて行こうというような御趣旨で、非常に積極的な意図を持つておらるるわけなんです。と同時に、この金庫が剰余金を生ずるような場合には、これは勿論政府にすべて納入するというようなことから考えても、そういう一端が窺われるわけですが、そこでこの表の利率で見ますと、大体七分ということなんですが、資金コストの点で、これは仮に剰余金を生ぜず、できるだけ安くして行くという建前からいつた場合に、資金コストは七分を適当とするか、或いは七分では高くて五分ぐらいがいいのか、或いは七分では足りないのか、そこら辺の資金コストはどういうように見ておられるか。これは提案者に伺うわけでありますが、その前に現在の資金融通法でやつておる実際の金利、これは資金コストから見てどういうことになるだろうか、その点はどうでしようか。
  41. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 現在出ておりますのを大体平均いたしますと、約六分近い利率になつております。年間六分でございます。これは農林漁業の特性に鑑みまして、利率はできるだけ低くということが、これは必要なことでありますが、又同時に資金に対する非常に厖大な要求を満たすと、そのために政府の財政の投資、政府からの出資だけでは到底行けませんので、やはり或る程度利息の要る運用資金を使うとか、或いは又場合によれば将来は何らかの形で債券を発行するというふうなことになりますと、そういうことによつて資金枠のまあ資金量を増加するというふうにして、農林漁業の振興のためにするこれらの長期金融という要請に応えるというその必要もあろうかと思うのでありまして、非常に常識的にまあ固くやつて行くということになると、政府のまあ出す資金中心にした非常に安い金を僅かずつ出すということならばいざ知らず、今農林漁業資金に対しましての農村の要求というものは非常に実は大きいものでございますから、或る程度それを水増ししてというと語弊があるかも知れませんが、いろいろな方法を講じて貸付資金量を殖やして行くということになりますと、やはりどうしても或る程度は高い利息になる。ところが高くしてもいけないということで、大体年間平均して六分程度ということで飽くまでも行きたいというふうに実は考えておるわけでありまして、これらは将来国家の財政の規模の許す限り、政府出資のほうをできるだけ殖やすということによつて、成るべく引下げて行くということにして行きたいというふうに考ております。
  42. 楠見義男

    ○楠見義男君 少し細かくなるのですが、例えば造林資金というようなものは、年七分とか八分の金利を払つてつたのではとても造林なんかできないということは、私は素人でよくわかりませんが、常識的にまあ聞かされておつたわけです。提案者のほうからお考えになると年七分、これは勿論最高ですが、年七分なら七分で造林のほうはペイすると、こういうふうなお見通しなんでございましようか。
  43. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) これは二の造林に必要な資金、年七分で、二十年の償還期限で、五年据置、これは普通の場合なかなか容易でないと私は思います。これは御承知通り、今日造林に対しましては、国家の助成補助政策によりまして、造林に対しては、補助をしているものには、従来年間平均大分五厘でしたか、七分でしたかで貸していると思います。補助のなかつた場合には平均四分五厘、二十五年ということでなつておつたわけでありますが、この考え方は最高七分ということになつて、最低が示されておりませんので、その点誤解があると思いますが、今までの造林に必要な資金としては、公共事業費による補助があつた場合は六分五厘、なかつた場合には年四分五厘ということは、これは飽くまで守りたいと考えているのであります。最高を示したものでありますから、その点は御了承を願いたいと思います。
  44. 楠見義男

    ○楠見義男君 そういうようなことは、政府に伺うのですが、いろいろこの公庫でやはり資金計画その他を農林大臣認可を受けてやることになつておるのではないかと思いますが、そういう場合の認可の何といしますかが基準といいますか、指導といいますか、そういうようなことをおやりになるのか、若しそうでなければ四分五厘でなければペイはしないものを、七分のこういう案を出して見ても、実は羊頭狗肉のようなことになり、而もこういう新らしい制度ができたということによつて、一方補助金の例えば努力が少しでも消極化されるということになれば何も私はならんと思うのですが、これはどういうことになりましようか。
  45. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 利率の問題につきましてですが、この公庫案に示されておりますところは最高でございます。従いまして公庫がです、その最高の範囲において適当な利率をきめて運用する、まあこういうことになろうかと思うんでございまするが、基金が一方的にきめるというわけにはこれは参りませんので、御承知のように造林なら造林、土地改良なら土地改良といつたようなことが、或る程度十分に推進できるという利率でなくてはならんと思います。他方又資金のコストという問題もございます。従いまして政府のほうでは恐らく業務方法書のほうで以てその利率につきまして監督をすると申しますか、指導をするといつたようなことに相成ろうかと思います。只今のところは、提案の議員のかたからお話になりましたような利率につきましては、現在公庫がいたしておりますようなものを大体踏襲できるのではないか、かように存じておるのであります。
  46. 楠見義男

    ○楠見義男君 折角こういういい金融機関ができて来るわけなんですから、その場合に或る程度計画性を持つといいますか、或いは積極性を持つということは私は必要だと思うんです。そこで資金コストの問題はこの融通資金供給源如何によつて、先ほども野原さんからもお話があつたように、いろいろ変つて来ると思うんですが、いずれにしても年七分とか八分でやはりペイするというような考え方では、私は従来の資金利用する側からの要望とはおよそかけ離れている問題だと思うんです。これはまあ私の愚見ですが、それはそれとしてこういう制度ができるに当つて、現在の資金量供給量が殖えるというような、見通しといいますか、考え方はあるのでしようか。この公庫制度を設けることによつて、本年度はこういう資金源が殖えるのだとか、或いは来年はどういうふうになるんだ、実は例えば、運用資金運用状況の来年の見通し等を聞いても、なかなか楽じやないような政府側の、或いは与党側の御説明なんです。だからそういう点から見ると、一体どういう点に新らしく増加する供給源を求めておられるのだろうか。例えば来年度予算において、政府なり、与党なりの固まつた意見ではないようでありますけれども、一部の構想としては、従来の政府財政投資というものは、成るべく一般会計から外して行こうというようなお気持もあるように伺つているのですが、そうしますと、その資金コストというものは、今申上げましたように財政投資を一般会計からできるだけ少くしようということになれば、勢いこの資金源は他のほうから求めなければならん。他のほうから求める場合に、一般会計からの投資じやありませんから、従つて資金コストというものは非常に高くなつて来る。そうなれば勢いこれではやつて行けないという最高にだんだんと近付くことが心配されるのですが、その点はどうでしようか。
  47. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) おわかりのごとく、二十八年度の財政の規模、或いは又運用資金等の事情等から見て、実はこの公庫が必要とする最小限度四百億はどうしても欲しいという案で進めておりますけれども、四百億というところまでなかなか困難な情勢に現在あることは御承知通りであります。何とかしてこの農林金庫の資金というものは確保いたしたいと考えて、今いろいろ内部でやつておるわけであります。政府財政投資という形でその大部分が賄えないという場合が仮に生じた場合、その大部分を借入金等でやるということになりましたときには非常に高いコストになつてしまいます。そういう場合においては、どうしても従来の平均利率六分以下という基準を厳格に我々守らなければならんと思うのであります。そのためには当然何らかの形で利子補給なり、何なり、そういつた意味での財政投資、財政の支出といつたようなものが別途に考慮されるということにならなければならん。我々としましては、まあそういう消極的な案ではなしに、実は目下進めているのは、飽くまでも政府から相当額の財政投資を要求するという形で行つておりますが、まあ財政の規模その他から見まして非常に困難な場合も予想されますので、万一の場合においては只今申しましたような形で行くことも場合によつては考えなければならんのじやないか。いずれにいたしましても、できるだけ農林金融に対する要求を充たすような大きな枠をとりたい、又それに対する利息等も従来のような長期低利という原則を飽くまでも守るようにいたしたいというふうなことで進めておる段階でございます。
  48. 楠見義男

    ○楠見義男君 先ほど申上げたように、提案者の非常な積極的な希望的なお考えと逆行するような方向に、政府なり与党のほうでは進みつつあるように察知せられるものですから、実は私は心配をしておるのですが、そこでこの金融公庫という、一つの機構は私は非常に結構だと思いますが、その機構ができたことによつて、一般会計が非常に荷が軽くなつたような感じと言いますか、予算編成上ですね、そういうことから逆に現在よりも資金コストは高くなり、或いは全体の資金源が減つても殖えるようなことはないというようなことになれば、これは折角一」ういうものを作つても、実は作らなかつたほうが、却つて予算の中で我々はどんどんやつたほうがむしろ有効的とも思える場合もあると思うのですが、従つてこの次の御説明を頂く委員会のときには、是非或る程度資金的な裏打ちのような構想でも結構なんですが、お出し頂ければ非常に仕合せだと思うのです。これは政府のほうの見通しもその際に伺つてもいいと思つておりますけれども、どうぞそれをお願いいたしたいと思います。
  49. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 非常にむずかしい段階だと思つて今いろいろとやつておるわけでありますが、どうもこの次というようなことにはまだはつきりしたところも出ないのじやないかと、まあ極力……。
  50. 楠見義男

    ○楠見義男君 できるまでで結構であります。
  51. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) この法案法案として成立をできるだけ早くさして頂きたいと思つております。まあ事情はさつきも申しましたように、四月の年度の切替えというようなときまでにできればよいわけでありますけれども、ただ問題は、今の予算の点につきましては、政府側でも、又我々の党のほうでもいろいろやつておるわけでありますが、いろいろと厖大な案があり、その要求に対しまして、特に我々としましては、食糧自給体制の確立強化といつたような大きな問題を中心としまして、農村問題を特に大きく取上げておるわけでありますが、何としましても、一般の財政投資による農林対策は、当然予算の面においても相当の増額を我々は要求しておりますし、又同時にこの融資の面においても同様にやはりこれを殖やして行きたいということで折衝しておりますので、成るべく早い機会に一つ御期待になるような線を出したいと思いますが、今の情勢では年内にはなかなか結論的なことまでは出ないであろうというふうに考えております。まあ結局我々の希望的観測を申上げる以外には方法はないと、かように考えております。
  52. 楠見義男

    ○楠見義男君 これは私は野原さんの政治力を非常に評価をしておるわけなんですが、疑うわけでも、又屁理窟を言う意味でもないのですが、実は農林金融とういものについてこういう制度ができたということだけで、却つて制度ができたために農林金融に対する努力がそこでちよつと息が切れるようなことを実は恐れるのです。むしろ需要者から見れば、こういう金庫ができようが、できまいが、資金が多くなつて、そうして需要ができるだけ賄つてもらえるということが、業者側からというか、生産者側から見れば一番関心が深いわけなんです。ところが、金庫ができた、併し資金が作れなかつたということでは、これはちつとも業者は有難がらないのみならず、却つてそんなことでは金庫を作つてもらわないほうがよかつたということになるのでありますから、問題は資金供給量が多くなるということに我々は関心を持つており、提案者もそういうことをお考えになつておるようでありますから、そういう点を懸念しての話なのであります。これは別に質問でも何でもないですが、希望であります。
  53. 羽生三七

    羽生三七君 今の楠見さんの御心配御尤もで、実は前池田大蔵大臣の署書である「均衡財政」を読んでみると、実によくそのことが出ているのですよ。たから一般会計からの財政投資は極力これを削除して、そうして純粋企業べースでやれるように金融措置で行くことが私の将来の財政方針だということを語つてあるわけで、まあ今度の大蔵大臣がどういう方針でおられるか知りませんが、まあ前池田大蔵大臣のその説がそのまま取入れられるとすれば、今楠見さんの御心配のようなことが実際に現われて来ると思うのです。たから、そういう点を御考慮に入れて頂いて、特に金融面では資金運用資金なんかは零細な農漁民なんかの金が非常に多いのですから、そういうようなものはもうこの方面に一定の枠を優先的にとつて頂くようにして十分御配慮を願いたいと思います。  それからもう一つちよつと附加えておきたいことは、これは独立採算制なんでしような。どうなんでしよう。赤字が出たときには一般会計から補填をして行くということになるのですか。
  54. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 当然独立採算制でやる建前になろうと思いますが、赤字が出れば、当然それは政府が埋めなければならない。併し利益が出た場合には、剰余金が生じた場合には政府に納めるということになりますから、赤字が出た場合には当然政府が見てやらなければならんと思うのでありますが、これは長期関係でありますから、或る年度を切れば非常に回収が少くて貸出が多いというようなことで、ならしてみませんとはつきりしたことは出ないと思います。で、先ほど来いろいろ御心配を頂きましたが、来年度資金の問題につきましては、実は提案者である私も心配をしておるのでありまして、一つ政府当局、大臣が今日見えておりませんが、大臣の出席の際に大いに政府を鞭撻して頂きまして、資金の増額についてはその際一つ御協力を切にお願いいたしたいと思います。
  55. 楠見義男

    ○楠見義男君 一点だけ……。これは資料としてこの次までに、政府のほうで結構なんですが、要求したいのですが、それは現在の特別会計から金庫に移る場合に、恐らく法文を見れば書いてあると思いますけれども、資産とか、或いは損失見込なんかの評価をして移管をするのだろうと思うのですが、その場合現在の資産の中でどの程度が損失見込になり、又その損失見込に評価されるようなものはどういう種類のものか、一般の移管の際にどういう状況だろうかということがわかるような資料ができましたら出して頂きたいのです。
  56. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) できるだけ御趣旨のような資料を作つて提出したいと思います。
  57. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 本日は農林漁業金融公庫法の質疑はこの程度で尽きたものと認めてよろしうございますか。
  58. 楠見義男

    ○楠見義男君 ただ一点だけ関連して伺いたいと思います。この農林漁業金融公庫法に関する質疑はこの次にいたしたいのですが、この農林金融の問題で、これに直接関係はありませんが、間接に関係のあることは、実は農業協同組合の固定資産の資金流動化の問題なんですが、再建整備によつて大体政府の御説明によりますと、まあ順調に進んでおるようなんですが、併し現実には全購連、全販連或いは府県の経済連、県購連、県販連、これらの方面において相当の資金が固定化しておると言いますか、その事情があることは御承知通りなんです。私が一番心配しおることは、これがだんだんと信連にしわ寄せされて、その信連が信用力を幾分かでも失うようなことになつて来れば、農林金融の現在の組合系統金融の基礎がそこから崩れるということを非常に心配をしておるわけなんです。それまでの間に何らかやはり政府のほうでも手を打つて頂く必要があると思うのでありますが、御承知のように百億か百五十億という資金が実は固定化しておる、これを何か流動化しなけりやならんということで、いろいろ農業協同組合の内部においては心配しておるのですが、政府のほうでこの問題についてどういうふうに今お考えになつておるのか。先般官房長がお見えになつたときに、丁度農林大臣もその際にお見えになつておりましたが、尤もこれは前の農林大臣なんです。個個の組合対象にし、或いは県連を対象にして具体的に一つ検討して行きたいというようなお話を官房長はしておられましたが、主管の経済局長はどういうふうに今お考えになつて進行しておるのか、若しできれば概略でも結構なんですが、お教え頂きたい。
  59. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今御指摘の問題でございまするが、信連のしわ寄せに対する貸付の焦げつきと申しますか、固定化しているのは相当の金額になつております。協同組合全体といたしまして不稼動資金が百三十億、又再建整備組合だけにいたしましても、いわゆる欠損金が百二十三億といつたような実情になつておりますので、再建整備が殆んど初期の目的を達成しつつあるといつた過程でありまするが、なお且つ組合の運営上困難な問題があるということは我々も同感でございます。それに対しまして、どういう対策が整つておるかということになりますと、なかなかこれはむずかしい実は問題があるのであります。それが問題がむずかしいからといつて放置しておきましては、御指摘のような信連の組合金融全般の問題にもなるといつたようなことでございますので、私どもも現在の実態と、それから事務的に考えられる対策を只今研究中であります。いろいろ協同組合の当事者のほうからは要望がございまするが、その要望そのままを取上げてどうということは、なかなかこれはいろいろむずかしい問題かございまして、従いまして早急に結論は出ないのでございまするが、そういう点についてできるだけの策を講じたいということで只今研究いたしております。
  60. 山崎恒

    委員長山崎恒君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  61. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 速記を始めて下さい。  それでは次に急傾斜地帯農業振興対策について藤野委員から発言を求められております。
  62. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 急傾斜地帯農業振興臨時措置法の制定の経過及びその制定の趣旨に基きまして、私は次のような申入をしたいと思うのであります。お手許に配付しておりますから、これを朗読いたします。   急傾斜地帯農業振興対策に関する申入(案)   「急傾斜地帯農業振興臨時措置法」制定の趣旨並びにその経過に鑑み、政府は、急傾斜地帯農業振興対策の樹立及び実行に対し、関係地帯からの要望に即応して、十分にして且つ高率なる助成を行うと共に、事業実施に必要な資金供給を豊富円滑ならしめることとなし、これがため必要な経費予算措置に遺憾なからしめられたい。   而して右に対する政府の方針を速かに決定し、その結果を今国会会期中に当委員会に報告せられたい。右申入れする    昭和二十七年十二月十五日         参議院農林委員会  内閣総理大臣 吉田  茂殿  大蔵大臣 向井 忠晴殿  農林大臣 廣川 弘禪殿
  63. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 只今通り決議することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 山崎恒

    委員長山崎恒君) それでは決議案は可決せられましたので、関係筋に申入れることにいたします。
  65. 楠見義男

    ○楠見義男君 今の申入れと同じような意味で、実は当面の問題として鉄道運賃の改訂に伴う等級格差の改訂問題が農林関係では非常に切迫した而も非常に緊急を要する問題だと思うのです。そこで農政研究会としても一応の案を政府に申入れようとしておりますが、政府の申入れとは別に、運輸委員会に対して農林委員会としても申入れるような措置委員長のほうで然るべくお取計らい頂きたい。これは今日でなくても結構ですから、あらかじめ案を用意して頂きたいと思います。
  66. 山崎恒

    委員長山崎恒君) 只今楠見さんの発言の運輸委員会に対するところの運賃値上げの問題の申入れにつきましては、明日その案を作りましてお諮りするということで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 山崎恒

    委員長山崎恒君) ではさよう取計らいます。  本日はこれで散会いたします。    午後三時五十二分散会