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1952-12-02 第15回国会 参議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二日(火曜日)    午前十一時十九分開会   ━━━━━━━━━━━━━  出席者は左の通り。    委員長     竹下 豐次君    理事            中川 幸平君    委員            上原 正吉君            横尾  龍君            河井 彌八君            村上 義一君            上條 愛一君            松原 一彦君   政府委員    宮内庁次長   宇佐美 毅君    総理府恩給局長 三橋 則雄君   ━━━━━━━━━━━━━   本日の会議に付した事件 ○日本国憲法第八条の規定による議決  案(内閣送付) ○恩給制度に関する調査の件  (恩給特例審議会建議案に関する  件)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 只今から内閣委員会を開会いたします。  本日の議題日本国憲法第八条の規定による議決案恩給制度に関する調査とこの二つであります。先ず日本国憲法第八条の規定による議決案議題にいたします。これは予備審査として付託されておるのでありますが、先ず政府委員から案の内容についての御説明提案理由の御説明をお願いいたしたいと思います。
  3. 宇佐美毅

    政府委員宇佐美毅君) 只今議題となりました日本国憲法第八条の規定による議決案提案理由を御説明いたします。  内廷にある皇族以外の皇族が、毎年四月一日から翌年三月三十一日までの期間内に賜與することができる財産価額は、皇室経済法第二条及び皇室経済法施行法第二条第二号の規定によむ十五万円と定められておりますが、同一年度内においてその価額をこえて賜與される場合には、すべて国会議決を要することになつております。  このたび宣仁親王殿下には、福島県に対し同県が観光及び厚生施設として利用できるように、同県内に所在の土地家屋その価額二百五十八万四千百十七円を賜與されることとなりましたので、本議決案を提出いたしました次第であります。  なにとぞ愼重御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 本案につきまして御質疑がございましたらこの際お願いいたします。  ちよつと私からお願いしたいのですが、この問題につきまして今問題になつておりまする財産の元の所有者でありました部落から、いろいろ宮内庁方面に歎願しておるというようなことを承わつておりますが、その点につきまして今日までの経過等を一応御説明願えたら審議をするのに大変好都合だと思いますが。
  5. 宇佐美毅

    政府委員宇佐美毅君) それでは今回御下賜予定なつておりまする翁島土地家屋につきまして、過去の経過を簡単に御説明申上げたいと思います。明治四十年の十二月に福島県耶麻郡翁島村、安積郡月形村、福良村の王地に有栖川宮殿下が当時公簿面積二百六十三町歩余り民有地を買上げられまして、翌四十一年の八月に四百四十五坪の洋式の御別邸と同附属家屋を新築され、事務所を置いて管理されたのでございます。大正二年に高松宮殿下に贈進されることに決定いたしまして、当分の間当時の帝室林野局管理することとなつたのでございますが、更に大正十年十一月には二百十四坪の和式の新郎と附属家屋が新築されたのでございます。高松宮殿下が成年に達せられます大正十四年には、これらの御用地整理がございまして、百九十八町歩余り福島県に賜與されて、その後は高松宮家管理をされるようになつたのでございます。なおこの間に国有地約一町歩を購入され、民有地約一町歩の献納を受けておられるのであります。終戦昭和二十二年以後におきまして、自作農創設特別措置法の実施に伴い、宅地百四十五坪並びに田畑の全部及び山林の一部約十町歩を譲渡ぜられまして、二十四年には洋館附属家屋の一部六十八坪を火事のために焼失されましたが、長屋門三十八坪を新築して、現在は宅地三千坪余、及び山林原野等約九十町歩並びに家屋約六百三十坪となつておるのでございまして、今回これらを挙げて福島県の観光及び厚生施設に当てるために賜與されるわけでございます。  でこの財産高松宮家の御私有の財産でございまして、提案理由で申上げました通りに、これを賜與される場合には法律上国会議決を要しますので、今回提案いたしたわけでございます。この土地につきまして只今委員長からお尋ねがございましたように、過去五回に亘りまして地元のほうから高松宮家陳情請願が出ておるのであります。今回のこれらの財産が県に賜與されることにつきまして、新聞報道をされると同時に請願が再び起つておりますが、過去の陳情昭和二十一年の八月、昭和二十二年の一月、二十二年の四月、二十五年の六月、二十七年の十一月という五回でありますが、先ほど申上げましたように、大正十四年にこの御用地整理をされますときに、整理方針を立てておるのであります。即ち宮家で必要な土地だけを残してその他は全部福島県に下賜をする。そうして旧所有者に戻すかどうかは全部福島県の裁量に委す。残りました土地に附属しておりまする使用収益権地上権、まぐさの刈取権等のいわゆる特殊条件の不用地は全部権利を消滅させるということで手当をいたしまして解決をいたしておりまして、これらの土地については別に不服を申さないという建前なつておりますのみならず、宮家で不用になりました場合には、これを元の所有者に返すというようなことにつきましては書類上にも何ら残つたものはございませんわけであります。高松宮家では今回これを挙げて県に賜與されて、県では聞くところによりますと、法人を設置いたしましてこの管理運営に当るという予定でおるようでございます。  簡単でございますが、今までの経過を申上げまして、なお御質問によつてお答え申上げます。
  6. 中川幸平

    中川幸平君 賜與されるのだからどうでもよさそうですけれども、建坪六百何十坪、山林九十町歩というと評価は非常に安く、ことさら安く見えるような気がするのですが、どういうわけですか。
  7. 宇佐美毅

    政府委員宇佐美毅君) この評価昭和二十六年度の固定資産税算出の際の基礎なつた数字を挙げた次第でございます。
  8. 中川幸平

    中川幸平君 山林樹木は殆んどないのですか。これは相当あるのですか。あるとするととても安いように思うのですが、どういうものでしようか。  それから建物にいたしましても六百何十坪というものがある。坪二万円に見ましても六百何十万にならなければならんように思うのですが、これは山林も九十町歩つて多少山林樹木があるとすれば、とても相当財産評価になると思うんですが何か内訳でもありますか。
  9. 宇佐美毅

    政府委員宇佐美毅君) 現地の状況は私もよく存じませんので只今すぐお答え申上げかねますが、只今申上げました通りにここに表示いたしましたのは二十六年度の固定資産税算出の場合の数量、価額によつておりますので、或いは仰せのようなことがあるかとも存じますが、一応基礎といたしましてはそれをとつて表示いたした次第でございます。
  10. 中川幸平

    中川幸平君 それではやはり提案の際にも、固定資産にはそれを見積つてこれだけ、それから時価見積つてこれだけということにして、やはり本当の価額で現わしたほうが、県に対するありがた味も違うんじやないでしようか。そこの点を一つ何かお考え願いたいと思います。恐らく一千万円以上のものになりはせんかと思うんですが、そういうような違いがありましたら、やはり提案の仕方もそうしたほうがよくはなかろうか、この金額のほかに但書に時価に直して幾らということを附け加えても差支えないんじやなかろうかと思うんですが、どうぞお考えを願いたいと思います。
  11. 河井彌八

    河井彌八君 この賜與になりますことは結構だと思いますが、福島県がこれを観光福祉施設に使うということでございますが、福島県がどういうふうにこれを使うであろうかというような計画は当局において御承知なつておりますか、その点はどんな状況でございますか。
  12. 宇佐美毅

    政府委員宇佐美毅君) 詳細の点はまだ画然たるものがないんではないかと思いますが、聞き及んでおりますところでは、只今ございまする家屋を修繕をいたしまして観光、錬成のための施設、或いは迎賓館とする、全体を運営するためには協会を作るというようなことが大体考えられておるように承わつておるのであります。
  13. 河井彌八

    河井彌八君 こういうふうに折角宮家から賜與になりましても、そういうものの使い方によりましては随分目的に反するような結果が起る場合がある、これは少し心配しすぎますが、そういうことはあると思います。例えば観光施設というようなことでありますために、つい遊覧施設になるというようなことなどがあります。それから或いは又この厚生施設と申しましてもこれをどういうふうに使うかによつて非常にその目的に反する虞れがあると思います。当局におきましてはやはりそういう点について相当強い要望もお出しになつて間違つた使用にならないようにして欲しいということを考えておりますが、どんなものでしようか。
  14. 宇佐美毅

    政府委員宇佐美毅君) お話通りだと存じますが、ただこの財産先ほども申上げました通りに、高松宮様の個人の御財産の処分の問題でございまして、ただ役所といたしましてその将来まで監督する立場にはないかと存じますけれども、いやしくもこういう目的のために御承認を議会で頂くわけでございますから、そういう点につきましては宮家事務当局にもよく伝えますし、県のほうにも御意見の点はよく伝えるようにいたしたいと思います。
  15. 松原一彦

    松原一彦君 これは宮家のほうは全部を挙げての御賜與であつて少しも残りはないと、こう見ていいのですか。
  16. 宇佐美毅

    政府委員宇佐美毅君) さようでございます。
  17. 松原一彦

    松原一彦君 次にこの動機は県のほうからの申出でがあつたのでございますか、或いは宮家から整理のためといつたような思召なんでございますか。その点お伺いいたします。
  18. 宇佐美毅

    政府委員宇佐美毅君) 御賜與されるということは宮家から出たと存じますが、それまでに地元の関係につきましては私案は申訳ございませんがよく伺つておりません。どちらからか、或いは陳情に基いたのか、宮家で積極的にお出しになりましたのか、現在のところちよつと伺つておりませんので、今すぐはちよつとお答えしかわます。
  19. 松原一彦

    松原一彦君 さつき御説明のあつたときに、元の所有者から返還の陳情請願が何回か出ておるというお話でありましたが、法律的にそういう義務は仮にないとしましても、御不用になつ土地が処理せられるときには、元の所有者に優先的にその使用権等考慮してやるということは必要じやないかと思いますが、これに対してその陳情請願内容から国会のほうでも承知しておいて後の処理について考慮の余地はないのでしようか、どうでしようか、お伺いしたいのです。
  20. 宇佐美毅

    政府委員宇佐美毅君) 地元陳情につきましては先ほど申上げました通り五回出ているのでございますが、昭和二十一年、二十二年における三回の随情につきましては農地改革の問題の前でございまして、恐らくその農地改革の場合に田畑その他をお手放しになつたときの空気を反映させておるのではないかと想像いたされます。ただその後の問題につきましては二十二年から陳情がございませんで、今回のことが新聞等に出たために二回ばかり宮家参つたようでございます。併しそれは法律的には勿論先ほども申しました通り何ら宮家のほうでこれを手放すときの制限というものはないことだと思います。で恐らく宮家では一つのまとまつたものとして公共的なものに使用させるということでまとめて下賜をお考えなつたことと思うのであります。ただその現在宮家のほうにおきましても、小学校でございますとか特定の小作人薪炭材拂下げるということはされておりますので、今後におきましても県のほうではそういう点を考えても差支えないことじやないかと考えてもらつて適当じやないかというふうに思つておりますが、これはまあ県と宮家の詳細のそういう点につきましては伺つておりませんが、そういう利用の点は御下賜の趣旨と反せざる限度における利用の問題は、今後地元と県とでお話合願つたらどうかというふうに考えております。
  21. 松原一彦

    松原一彦君 私は突然この議案を拝見いたしますので、何らの予備知識はございませんが、高松宮はかれて御承知通りに、社会事業に非常に深い御関心をお持ちのことであり、社会福祉施設については十二分に御考慮の上での御措置だろうと思いますので、県のほうでもその御精神を誤らないように善処せられて行かれるものと信じて、私はこの議案予備審査ではございますが賛成いたします。
  22. 宇佐美毅

    政府委員宇佐美毅君) 先ほど評価につきまして御質問ございましたが、御参考に申上げますと、法務局出張所登記官吏評価というものが一応ございますが、これは一千百五十八万三千五百八十七円ということになつております。御参考までに申上げておきます。
  23. 中川幸平

    中川幸平君 そうなると、そういう提案が正しいのじやないですか、やはり二百何十万円ということにしておいたほうがいいのですか、どういう御都合があるのですか。
  24. 宇佐美毅

    政府委員宇佐美毅君) 只今申上げましたのは、一応参考にこういう程度でございますので、一応固定資産税基礎を挙げたということでございます。まだ正式の評価としてという程度でございませんので、一つ参考に調べましたことを申上げました。
  25. 中川幸平

    中川幸平君 地元登記所評価というのは、普通の売買価格よりはずつと安いのが建前なんですがね。その又五分の一、四分の一ぐらいにこの価額を見て賜與されるということは非常に勿体ないような気がするので、考えてもらわなければならんというような気もいたしまするが、まあ一つそういう迄予備審査でもあるがお考え願います。
  26. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) ほかに御質問ございませんか。……それじや本議案予備審査中でもありまするし、又次の機会に御質疑を続けて頂くこともできることと思いますから、本日はこの問題はこの程度でやめたらどうかと思いますが、如何でございますか。
  27. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) それじやさように取計らいます。   ━━━━━━━━━━━━━
  28. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 次に恩給制度に関する調査議題にいたします。先ず恩給特例審議会建議案説明、今日までの経過等につきまして政府委員の御説明をお願いしたいと思つております。
  29. 松原一彦

    松原一彦君 ちよつと速記をとめて下さい。
  30. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記をとめて下さい。
  31. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 速記を始めて下さい。
  32. 三橋則雄

    政府委員三橋則雄君) 只今委員長からのお指図によりまして、先般恩給法特例審議会におきまして政府建議いたしました建議内容と、それから従来の審議会経過につきまして御説明を一通り申上げたいと思います。  恩給法特例審議会は去る六月に設置せられまして、六月二十七日に第一回の委員会を開いたのでございます。それ以来殆んど毎週小委員会或いは又総会を開きましてそうして審議を続行いたしまして、去る十月二十二日に政府に対しまして建議すべき案を決定して即日政府建議いたしましたのであります。建議内容につきましてはお手許に配付してありまする書類通りでございます。  審議会におきましては審議勢頭におきまして、巷間旧軍人軍属及び遺族かたがたに対しまして恩給を給すべきかどうかにつきましていろいろの議論のあるところでございまするので、審議会といたしましても旧軍人及びその遺族かたがた恩給を給するかどうかにつきまして篤と慎重に検討されたのでございます。その結果恩給を給すべきものであるという結論に到達いたしました。その到達いたしましたにつきましてはいろいろの議論があつたのでございまするが、結局その議論をせんじつめて考えてみますると建議前文のところに書いてありまするところと大体同じでございまして、これは御覧頂けばわかりますることで、特に私から御説明を申上げるほどのことはなかろうかと存じます。  次に旧軍人軍属及びその遺族のかたに恩給を給するといたしまして、その給する場合においてそれならば如何なる内容恩給を給するか、どういうような条件の下においてどういうような金額恩給を給するかと、こういう恩給内容の問題になるのでございまするが、この恩給内容がどうきめられるかということは、結局国家経済力に非常に影響するところでありまするし、又民の感情その他国家の諸政策等のことも考えなければなりませんのでそういうようないろいろなことを勘案いたしました結果といたしましては、軍人軍属に関する恩給が廃止せられましたときの軍人軍属に給せられておりました内容と同じ内容恩給を給するということは困難なことであつて、従来軍人軍属に給されておりました内容恩給に対しまして相当変つた内容恩給を給されるべきものであるという結論に到達いたしたのでございます。このことはやはり建議前文の第二段目のところに掲げておるところでございまして、これも私から特に御説明を申上げることもなかろうと思います。  そういたしまして結局軍人軍属恩給は給すべきものであるが、併しその内容というものは現下の諸般の情勢に鑑みまして、従来軍人軍属に給された内容恩給とは違い相当の改善を加えたものでなければならないということで検討を加えたのでございまするが、限られたる国家の財政の下において給することでございまするので、先ず遺族傷病者老齢軍人というように重点をおきまして恩給を給することにいたしまして構想を練ると同時に、終戦の前後から今日まで軍人軍属に関しまするところの履歴につきましては整備十分ならざるものがございます。而して恩給を給するということになりますれば、何と申しましても人事に関する記録が整備されておることが前提条件でなければならないのでございまするので、今申上げまするように書類の十分整理されていない点もあるというようなことも考えまして、現在の書類整備の状態をも考え、実際に恩給を給する場合における事務考慮して現実に即する施策を講ずる、こういうことでこの旧軍人軍属及びその遺族に給する恩給要綱を決定されたのでございます。その要綱はこの建議先書きのところにございます。  次に先書きのところにつきまして御説明を申上げます。細かいことは成るべく省きまして大まかに申上げまして、そうして御質問に応じましてお答えをすることにさして頂きたいと思います。御承知通り恩給一定の期間在職したことによつて給される恩給と、公務傷病にかかり退職したことによつて給される恩給と、公務員遺族に給される恩給とに大別されるのでございます。一定の期間在職したことによつて支給されまする恩給は、年金たる恩給と一時金たる恩給とに分れておるのでありまして、年金たる恩給はつまり普通恩給、一時金たる恩給はつまり一時恩給でございます。この建議によりますると旧軍人軍属に対しましては普通恩給が給されることになつております。而して軍人でこれを受けるに必要なるところの在職年は従来の恩給法規定通りにされておるのでございます。即ち昭和八年に恩給法が改正されたのでございまするが、その改正される前に退職された人々につきましては十二年、その後に退職された者につきましては、准士官以上の軍人にありましては十三年、それから下士官以下の軍人にありましては十二年以上の在職者限つて普通恩給を給すると、こういうことになつておるのでございます。在職年計算につきましては一時恩給の場合も同様でございまするが、実際の在職年によつて計算されることになつておるのでございます。ただ軍人恩給が廃止せられました際にすでに恩給を給せられておりました者に限りましては、実際の在職年普通恩給所要在職年に達しない場合におきましては普通恩給を給付して、そうしてその金額につきましては実際の在職年所要最短在職年に不足する年数血応じて若干減額されることにされておるのでございます。この点を少し言葉を換えて申上げまするならば、御承知のごとく加算年というのがございます。加算年と申しまするのは実際の在職年に対し、ふして想像上の在職年とでも申すべきものでございまして、実際に在職しなかつたが在職しておつたと同じように取扱われる架空の在職年でございます。例えば一年在職した者に対して三年の加算年をつけると申します場合には、その人は一年しか実際には在職しなかつたのでありますが、三年在職したものと想定いたしましてそうして三年の割増をつけて四年の在職年計算する、こういうのであります。こういうふうに在職年計算いたしましてそうして十二年の在職年があるとして恩給をもらつてつた人があるといたします。そうして実際は四年が在職年であつたといたしますれば八年は即ち加算年でございます。そういうような人につきましては従来通り普通恩給を給する一といたしましても、八年の在職年に対する加算年の分に対しましては若干恩給金額を減額する、こういうような措置を講じておるのでございます。  それから普通恩給金額につきましては、軍人恩給廃止制限当時に退職されました文官恩給受給者恩給金額と不均衡のないように考慮して措置されております。普通恩給を受ける者が五十歳未満である場合におきましてはその一部を停止することになつております。それから停止の割合は四十五歳未満は全額、四十五歳から五十歳までは半額、五十歳から五十五歳までは十分の三となつておるのでございます。普通恩給を受ける人が恩給外に多額の所得がありまする場合におきましては、文官恩給受給者の例にならいましてその一部につきまして停止することになつております。  一時恩給につきましては、その最後の退職に引続きまして実在職年が七年以上の在職者に限り給することになつておるのでございますが、軍人恩給が廃止せられました際におきましては、この一時恩給は兵には支給されないことに相成つておりましたのを、今度のこの建議によりますると兵にも給されることになつておるのでございます。又その金額退職当時の恩給金額計算基礎として計算するのではなくして、退職当時の恩給金額計算基礎俸給現行公務員給與別俸給金額程度まで引上げたものを基礎として計算されることになつておるのでございます。  次に公務傷病にかかり退職したことによつて給する恩給について申上げますると、この種の恩給は従来年金と一時金とがございました。大まかに申上げますると、年金不具廃疾者に給されるものと機能障害者に給されるものとの二種類に分れておつたのでございます。これは大変大まかな説明でございます。一時金は下士官以下の軍人で兵役を免ぜられました者に給されておつたものでございまして、傷病程度も極めて軽微なものに給されておつたのでございます。不具廃疾者に給される年金増加恩給でありまして、常に普通恩給を併給されることになつておりましたが、この建議におきましても従来通り不具廃疾者に対しましては増加恩給を給し普通恩給は併給することになつております。機能障害者に給される年金は従来は傷病年金と称するものでありまして、建議によりますると増加恩給の中で第七項症の増加恩給を受ける傷病者の、傷病年金を受ける傷病におきましては年金制度を全然廃止いたしまして一時金制度に改変されてしまいました。又傷病賜金の中におきましても軽度の、傷病程度の低い傷病についてはこれを廃止するという措置を講じております。今申上げました軽度傷病に対しまする傷病賜金の廃止されますことと、傷病年金制度傷病賜金の一時金の制度になりましたことと、それから増加恩給の第七項症の恩給を受ける傷病軽度の者に対しまして一時金たる恩給が給されることになりましたことにつきましては、すでに軍人恩給が廃止せられまして以来今日までとられている措置でございまして、現在と同じような措置でございます。この増加恩給建議につきましてはいろいろと議論ございまして検討検討を加えたのであります。即ち一律に金額を給すべきものであるか、或いは又現行恩給法のごとく退職当時の条件、即ち退職当時の俸給でありますが、それに応じて一定の率によつて金額を寡出する、即ち退職当時の俸給の多い者ほどたくさんの増加恩給を受ける、こういう措置をする。或いは又軍人恩給が廃止されました際における増加恩給金額のきめ方でいたしまするかについていろいろ議論があつたのでありますが、結局軍人恩給が廃止されました際におけるごとき増加恩給のきめ方によつて恩給金額をきめるということになりました。階級、即ち退職当時の条件のよかつた者はその当時に比較しまして条件の悪かつた者と比べますると割の悪くならないようなふうに金額はきめられております。又この階級によりまして若干の差はついておりますが、その差は非常に従来に比較して小さくなつておりますが、重傷者と軽傷者との間におきましてはその差がかなり大きくされております。要するに重傷者のほうに対しましては軽傷者よりも重く取扱うような趣旨を以て金額をきめられ、又従来の秩序を考えつつ金額の調整を時代に即応するように考慮されていると申しても差支えないのじやないかと思います。  それから従来もそうでございましたが、現在の恩給法におきましても増加恩給金額は戦争又は戦争にも類すべき、今まで特殊公務と言つておりますが、そういう特殊な公務によりましてけがをした場合と、普通の一般の公務によつてけがした場合と金額に差別がついております。前者のごとき場合には金額が多くなつておりますが、この建議の案におきましてはその差別を撤廃いたしまして、公務による傷病につきましては一律に同じような金額が給されることになつております。  次に公務員遺族に給される恩給については扶助料と一時扶助料とございます。一時扶助料については特に御説明を申上げる必要はございませんが、扶助料の中におきましては、普通恩給を受けておつた者が平病死いたした場合に給されるところの普通扶助料というのがございます。これについても特に申上げることもございません。公務のために死亡したそれの遺族、及び増加恩給を給されておりました者が死亡した場合に、その遺族に給されるところの扶助料、これは私たち俗に普通公務扶助料と申しておるのでございますが、この公務扶助料について申しますると、建議によりますると、戦死によつて死亡した場合であるとその他の公務によつて死亡した場合でであるとによつて区別せず金額を定め、そうしてそれからもう一つは、増加恩給を受けておつた者が、その傷病以外の原因で死亡した場合における金額とに分れておるのでございます。その扶助料の金額は普通扶助料を基礎といたしまして、一定の率で算出されることになつているのでございます。その算出率は、公務の退職時における俸給の少い者ほど率がよくなるように、従つて扶助料の金額も公務退職当時の俸給に比較して考えますると、俸給の少い者ほど割高になるように、考慮されてきめられておるのでございます。  次に軍属及びその遺族恩給につきましては、こういう人たちが従来文官及びその遺族恩給と同じように取扱われておりましたことにかんがみまして、文官及び遺族恩給に準じて取扱うことにきめられているのでございます。  次に軍人軍属恩給措置と関連いたしまして、二つの措置審議されて考えられているのでございます。その一つは戰傷病者戦没者遺族等援護法による援護に対する措置でございまして、この法律の対象となつている者の中で、旧軍人軍属恩給を給せられることになる者以外の者に対しましては、旧軍人軍属及びその遺族に対しまして恩給が給せられることになることを考慮し、この建議措置考え恩給法以外の法律において別途算出すべきものであることに定められております。  次はいわゆる戦犯者の恩給に関する措置でございます。連合国の最高司令官の命によりまして有罪の刑に処せられた者及びその遺族恩給につきましては、いろいろと巷間におきましてもつております。審議会におきましても愼重にいろいろな角度から検討されたのでございますが、結局この問題につきましてはいろいろと検討を要する問題が少くない。一般軍人軍属その他一般公務及びこれらの者の遺族恩給の取扱に準じまして、政府において適当な時期に適当な措置をするように、政府におまかせするほうがいいというような結論になつたのでございます。大変大まかでございますが、大体今申上げましたところが措置案なんでございましてこまごましいことは又御質問においてお答えすることにいたします。  そこでこの建議によりまして措置をいたしました場合におきまして、まあどれくらいの恩給金額が毎年いることになるか、又一時金としてどれくらいの金額がいるかということになるのでございますが、普通恩給につきましては受給者が大体十九万五千ぐらいになる予定でございまして、その金額は四十七億千万円、増加恩給につきましては四万五千人の受給者で金額にいたしまして三十億九千二百方円、公務による死亡者、專ら戦死者でございますが人員にいたしまして百四十三万三千人で金額にして五百五十六億七百万円、一般の扶助料におきましては人員が十六万一千人で金額にいたしまして十七億六千四百万円、合計いたしまして人員におきまして百八十三万四千人で金額で大百五十一億七千三百万円の毎年年金を要する見込でございます。勿論この金額昭和二十三年六月三十日以前に給與の事由の生じた恩給の特別措置に関する法律が実施されましたものといたしました場合の昭和二十七年十月現在の公務員俸給、給與水準を標準としたものでございます。  ところでそれならばこの戦死者の遺族に給せられる恩給即ち公務扶助料、或いは戰病者に給ぜられる恩給その他の恩給は、全部の恩給の中でどういうような割合を占めておるか、こういうことについて調べてみますると、普通恩給受給岩は全受給者の中で一一%でございます。増加恩給の受給者は全受給者のうちの二%でございます。又戦死者を主としますこの戦死、公務のために死んだ人の遺族に給せられるいわゆる公務扶助料の受給者は七八%であり、普通の平病で死んだ人の遺族に給せられる扶助料は九%でございます。金額について考えてみますると、普通恩給金額老齢軍人なんかに給せられるのでございますが、これは恩給増額のうちの七%でございます。増加恩給金額について調べますと五%、公務扶助料の金額について調べますと八五%であります。普通扶助料の金額について調べますと三%でございます。受給者の人員の点から考えますると、公務扶助料いわゆる戦死者の遺族の七八%、それから老齢者その他に給せられる恩給は一一%であり、又戰傷病者に給せられる恩給は二%であります。金額の点におきましては、戰死者に給せられるところの恩給のほうが八五%という数字の割合になり、又傷病者は人員の割合は二%でございまするが、五%という率に上がる。又普通恩給即ち老齢その他元気のいい生存者に給せられる恩給金額は、人員が一一%であり金額七%に下がる。平病のために死んだ人に給せられるところの扶助料は、人員などにおきましては九%でございまするが、金額においては三%になる、こういうのが実情でございます。でございまするから旧軍人及びその遺族恩給を給すると申しましても、殆んど大幣分の恩給といいますものは戦死者の遺族、戰傷病者に対するものでございまして、その他の軍人及び一般の平病で死んだ遺族に給する恩給は極めて微々たるものでございます。従いましてこの措置というものは一番劈頭に私が申上げましたごとくに、審議会におきまして国家の財政その他諸般の事情を考慮いたしまして、遺族傷病者、老齢者という順序で、それからその地の一般の受給者のことを考えるという構想の下に考えられた結果がこのケースに現われておるものであると想定しておるものであります。  次に公務普通恩給の受給者の数について考えてみますると、この加算の制度を仮に認めましてそうして従来恩給法内容通り恩給を給しました場合に、大体どれくらいになるかと考えまするとこの数字を出すことはなかなかむずかしいことでございます。これは軍人恩給が廃止されましたときにおきまする恩給の最低を受取つたものの金につきましては大体わかるのでありまするけれども、軍人恩給廃止の際に資格を持つてつた人の人員につきましては推定することは困難でございます。従つてなかなか、今申上げますることくにこれらの数字を推定いたしますることは困難でございまするが、今回復員局におきましていろいろと調べてもらいました結果によりますと、大体のところが百六十五万四千くらいではなかろうかということでございます。勿論この数字よりも或いは多いかと思います。仮にこのくらいだといたしまするとこの百六十五万四千の数が先ほど申上げましたごとく十九万五千という僅かな数に圧縮されている。即ち普通恩給を受けるべき人は従来の恩給法規定によりまして考えますならば、相当あるにかかわらず、相当我慢をしてもらうような措置なつているということが言えるのでございます。その割合は大体一二%くらいになつているのじやないかと思つております。  それから次に先ほど申上げましたごとくに、公務傷病年金を受ける人の中には増加恩給を受ける者と傷病年金を受ける者とがあると、こういうことを申上げ、そして増加恩給の第七項症とか傷病年金を受ける者につきましては今後これを廃して一時金に換えられたということも申したのでありますが、従来の恩給法通りに七項症の人に対しましても増加恩給を給し、傷病年金を受けるような傷病人に対しましては従来通り傷病年金を給するといたしますると、人員が大体どれくらいになるかと申しますると、これも一応の推計でございまするが十三万七千人前後になる見込みでございますが、今度の制度におきまして四万五千人という数即ち三三%に減ずる措置をいたしております。こういうことでございますために軍人恩給軍人及びその遺族に対しまする恩給の問題につきましてもいろいろとやかましく論議せられ、又この審議会におきましてもいろいろな角度から検討されまして、そうしてでき得ることならば従来恩給法によつて給せられておつたごとき内容恩給を給し得ないものかどうかということについていろいろと具申されたのでございまするが、いろいろの事情からいたしましてどうしてもそれができがたいような事情でございまして、本当に心苦しい思いをしつつ遺族傷病者老齢軍人に重きをおきそしてその他の人の恩給考えるという方向の下に大体今申上げましたような内容のものが決定された次第でございます。
  33. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 御質問ございませんでしようか。では私一つお伺いしたいのですが、これで恩給受給者というのは年々減つて行くわけだろうと思つております。三十年もたてばゼロになると思いますが、当分の間、併し一時年齢の関係で停止される人が一つずつ年をとつて行くということで、受給者が殖えて行くという年数が何年か続くんじやないかというような気持もするのですが、感じはどういうことになるのですか。
  34. 三橋則雄

    政府委員三橋則雄君) 大して大きい殖え方にはなりませんでありまして、これにつきましては、今私のほうにいろいろな点から推計いたしました材料をもとにいたしまして作つたものがございます。これは小委員長のところで二、三日うちにお届けいたします。この年齢の差別ということにつきましては、全くの推計でございます。実は自信を持つてこうなるという大きな財政計画として申上げるまでの自信はありませんけれども、小委員長のところで、御判断の一応の参考程度にいたすように、軽い意味で御覧願う意味におきまして作りましたものをお届けいたします。
  35. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) それでは軍人恩給問題につきまして質問もこの際ありませんようですが、又ございますならば次の機会にでもして頂くことにいたしまして、文官恩給の問題につきまして、局長の御説明を願つたら如何かと思いますが、如何ですか。……それじや局長お願いいたします。
  36. 三橋則雄

    政府委員三橋則雄君) 昭和二十三年六月三十日以前に給與事由が生じた恩給につきましては、昭和二十三年六月三十日以前に給與事由の生じた恩給の特別措置に関する法律が去る七月二十三日に公布されまして、この法律によりまして、今申上げましたような恩給につきましては、政令で定める年月分、遅くとも昭和二十八年一月分以降から今申上げました法律によつて増額されることになつておるのでございます。この法律が審議されまするときの国会審議の事情にも鑑みまして、でき得る限り本年度中からでもこの法律の趣旨が実施されまするように努力して参つたのでございますが、いろいろな事情からいたしまして、このたびの補正予算には年内からこの法律を実施するに要する経費は計上されていないのでございます。どうして補正予算に計上されなかつたかということについて申上げますと、軍人恩給は御承知のごとき状態であるのでありまして、軍人遺族傷病者老齢軍人かたがたに対しましても、政府といたしましては一日も早く恩給を給し得るように努力をいたしたのでございまするが、只今のところ年内にこれを支給しまするようなことは困難なような状態にあるのでございます。そこでそういうような実情にあるにかかわりませず、本年中から、昭和二十三年六月三十日以前に給與事由の生じた恩給につきまして、増額の措置をこの法律によつてしますることは、如何なものであろうかというような考え方もあるのでございます。勿論この法律の実施によりまして、恩給の増額されることを期待されておりまする一般恩給受給者の心情をお察し申上げますれば、本当に御同情に堪えない点があるのでございまするけれども、軍人恩給のことを又考えますると、この法律に掲げられておりますごとくに、昭和二十八年一月分からの恩給について増額の措置をすることにしたほうが、この際としては適当ではなかろうかというような意見もあるのでございまして、かかる見地に立ちまして、結局いわゆる不均衡是正による恩給増額の所要経費は補正予算に計上されるに至らなかつた次第でございます。
  37. 竹下豐次

    委員長竹下豐次君) 質問がございましたら、どうぞお願いします。  それじや別に御質問もないようですから、本日はこの程度で散会したいと思いますが、如何ですか。よろしうございますか。  それじや本日は散会いたします。    午後零時三十七分散会