運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-03-05 第15回国会 参議院 電気通信委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    公聴会   ————————————— 昭和二十八年三月五日(木曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     溝淵 春次君    理事            山田 節男君    委員            鈴木 恭一君            尾崎 行輝君           池田七郎兵衞君   政府委員    郵政省電気通信    管理官     庄司 新治君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君   公述人    元逓信省電務局    長       藤川  靖君    日本新聞協会編    集部長     江尻  進君    東京商工会議所    参与      吉田 政治君    株式会社鈴木本    店取締役社長  鈴木禎一郎君    日本電気株式会    社営業部長   田沢 龍吉君    全国電気通信労    働組合東京地区    副執行委員長  本山 大七君    福知山石原郵便    局長      大槻 常雄君    東京電話機材株    式会社社長電話    工事協会副会長 横山誠太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○有線電気通信法案内閣送付) ○公衆電気通信法案内閣送付) ○有線電気通信法及び公衆電気通信法  施行法案内閣送付)   —————————————
  2. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) それでは只今から有線電気通信法案公衆電気通信法案及び有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案に対し電気通信委員会公聴会を開きます。  委員会を代表いたしまして一言公述人各位に御挨拶を申上げます。このたび政府より右三法案が提出されまして目下当委員会審議中でございますが、先ず有線電気通信法案は、有線電気通信設備規律監督に関する基本規定でありまして、有線電気通信設備の設置及び使用については、従来と違つてでき得る限り自由にすることを建前としております。又公衆電気通信法案は、日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社が提供する電信電話サービスに関する基本的事項規定するものでありますと同時に、来たる四月一日から電信電話料金について平均約一〇%の料金値上を行わんとする内容を持つておるのであります。又両法の施行法案は、これらの二つの法律を施行するに必要な経過規定その他関係法律改正を行うためのものでありますが、この三法案明治三十三年に制定されました電信法に代つて今後我が国電気通信に関する根本法たらんとするものでありまして、重要事項でありますので、委員会におきましては極めて慎重に審議をいたしておるのでありますが、ここに国会法規定に基きまして、利害関係者及び学識経験者かたがたから御意見を拝聴いたしまして審議の一助にいたそうという趣旨でこの会を開いたのでございます。公述人かたがたにおかれましては、公私御多忙のところおいで頂きまして、誠に有難うございました。厚くお礼を申上げます。  これより御意見を伺いたいと思いますが、御発言順序は、委員会において適当に定めましたので、御了承を願います。御意見賛成、不賛成を明らかにされまして、且つその理由をお述べ願いたいと存じます。なお御発言の時間は多少の出入はあつてもよろしいと思いますが、大体二十分程度にお願いいたしたいと思います。  それから委員各位に申上げますが、公述人かたがたに対する質問は、午前中の分は午前中の公述人終つたあとで、又午後の分は午後の公述人終つたあとで一括してお願いいたしたいと存じます。  それではこれより御意見の御発表をお願いいたします。御発言の際は、御氏名と職業をお述べ願いたいと存じます。順序はこちらで今予定いたしておりまするのは、一番に元逓信省電務局長藤川さん、二番に日本新聞協会編集部長江尻さん、三番に東京商工会議所参与吉田さん、四番に株式会社鈴木本店取締役社長鈴木さん、五番に日本電気株式会社営業部長田沢さん、六番に全国電気通信労働組合東京地区執行委員長本山さん、七番に東京電話機材株式会社社長横山さん、八番に公務員の大槻さん、大体この順序でお述べ願いたいと思いますので、さように御了承を願いたいと思います。  それでは元逓信省電務局長藤川さんにお願いいたします。
  3. 藤川靖

    公述人藤川靖君) 私、元逓信省電務局長をつとめておりました藤川靖であります。電気通信事業から離れてすでに久しくなりますので、最近の事情には甚だ疎いのでありまするが、在官当時の経験やその後見聞いたしましたところに基きまして、三法案に対して気付いたことを少しく申し上げたいと存じます。  最初に結論を申上げますれば、私は三法案に対して大体において賛成であります。ただ少しく御考慮を願つたほうがよいと存じまする点もありまするので、それらについて申上げます。只今委員長からお話のありました通り電気通信に関する現行法令のうち、電信法は制定されてからすでに五十二年を経過しております。又電信線電話線建設条例は制定されてからすでに六十二年を経過しておりまして、両法律ともその間たびたび改正せられたとは申しましても、今日では時勢の推移に伴わない点が多々ありまして、殊に新憲法下におきましては再検討を要する事項が少くないのであります。従来の行政におきましては、とかく事故弊害の発生することを恐れるの余り、窮屈なる枠を作り、その結果却つて事業設備そのもの進歩発達を妨げるきらいが多かつたのでありまして、電気通信行政におきましてもその傾向を免かれなかつたと思います。今回の三法案が従来の弊を一掃せんとされることは誠に結構だと思います。三法案殊公衆電気通信法が実施せられることとなりますれば、電気通信事業はそれ自体の性格さえ一変してしまうものだということもできようかと思います。即ち従来は国家の行う通信行政であつたものが、今度は一つ経済的企業に変るのだとも言い得ると思います。誠に結構なことでありまするから、これが実施せられました暁は、どうぞその趣旨従業員諸君に十分徹底させて頂いて、お役所気質を一掃するように御配慮を願いたいと思います。又従来の電信法一般監督規定政府の経営する事業業務規程とを併せて規定しておりましたのを、新法案によつて監督規定業務規程とを截然区別せられたことも結構だと思います。  次に有線電気通信法案について申上げます。御承知の通り、従来の電信法は、その第一条において政府専掌原則を定め、その無線電信法第一条と一体をなして、電気通信事業政府専掌であるということを原則として、従つて政府以外の者が施設を行うことは特に例外として認めるという建前をとつておりまして、非常に厳重な制限の下に許可を与えることとなつておりました。併し新憲法下におきましては、国民をしてできるだけ広く且つ自由に電気通信利便を享受せしめるということが民主主義精神にも合致するものと思われまするのみならず、これによつて電気通信全般進歩発達をも促進すること多大であろうと思われまするところ、本法案はこの趣旨に基くものと思われ、非常に結構なことであります。  ただ、本法案の実施に伴いましていささか懸念されますことは、今後資力の豊富な会社工場等本法を利用して自家用施設を盛んに行いますると、その結果弱小事業者が競争上圧迫を受けるというようなことになる虞れはないかという点が多少心配されるのであります。又本法に基いて有線施設が各所に濫設されますると、そのため施設の重複、資材の濫用、延いては混線、感電等事故を発生する虞れもあろうかと思います。これに関しては、郵政省電電公社事故弊害の防止に十分御配慮を願いたいのであります。  次に公衆電気通信法案について申上げます。本法案有線電気通信法案と同じく、新憲法精神に合致することを目的として従来加えられていた制限を撤廃すると共に、公社及び国際電信電話会社業務をできるだけ民主的に運営せしめんとするものであります。又従来は勅令省令等によつて規定されておりました公衆通信に関する役務即ちサービスのうち、基本的な事項につきましては本法案中にはつきり規定したことも大変結構だと思います。  以下少しく法案内容に立入つて申上げますと、電報種数を改めて官報、局報、私報の区別を廃止することは、最近は外国でもその趨勢にあるということでありまして、適当と考えます。  次に加入電話種類を改めて構内交換電話即ちPBX加入電話の一種類として明瞭に規定したことは、PBXの急激に普及しつつある現状に鑑みまして結構だと思います。  次に電話加入区域については、従来は電話規則の中に、単に加入区域種類規定しているだけで、如何にして加入区域を区別するかの基準を全然明示していないのでありまするが、本法案は第二十九条において甚だ抽象的ではありまするが、その基準規定していることは改善だと思います。加入区域如何は、加入者負担に大きな影響のあることですから、将来はできるだけ明確且つ具体的に規定するように考えて頂きたいと思います。  次に加入電話設備の修理又は復旧につきましては、第三十七条に「公社は、加入電話設備に障害を生じ、又はその設備が滅失したときは、公社予算範囲内において、すみやかに、これを修理し、又は復旧しなければならない。」と規定してありまするが、この「公社予算範囲内において、」という字句を削除して頂いたほうがよいと考えます。予算範囲内という字句は事実上甚だあいまいでありまするし、一面この言葉は従来とかく国民に対して濫用されて来た言葉でもあり、且つ当務者国民に対する責任感を稀薄にする嫌いさえもありますると思われますので、この字句を削除したほうがよろしいと考えます。削除いたしましても、同条第二項の規定がありまするので、実際には別段支障がないと思います。  次に加入権の譲渡を原則としてお認めになることも、実際の社会の情勢に適応しておりまして結構だと思います。  次に料金に関連したことを申上げます。従来電信電話料金電信電話料金法によつて規定してありまするが、今回の改正に当つて本法の中に移しますと共に、従来の料金法においてはすべての料金法律によつて規定しておりますのを、本法案では主たる役務に関する料金のみを法律規定し、特殊取扱い等料金公社又は会社一定手続によつて決定し公示することといたしてあります。料金法におけるがごとく、細かい特殊取扱い料金まで法律を以て規定することは煩雑にして窮窟に過ぎると思いますので、今回の改正は適当だと思いまするが、その分界には若干考慮余地もあるように考えます。なお、料金公示方法郵政省令によつて定められることになつておりますが、いずれにせよ料金変更する場合には、公示してその日に即日実施するというようなやり方をやらないで、一定公示期間を置いて世間に周知せしめてのち実施するようにして頂きたいと考えます。  なお、本法案においては広範囲に亙る料金引上げをも含んでおるのでありまして、平均は一〇%くらいというお話でありまするが、部分的には相当高率の引上げになる部分もありまするので、その影響するところは決して少くないと思います。併しこの料金改正は、加入者負担を公平にすることを目的としておらるるのでありまして、又一方改正によつて生ずる増収は、主として老朽設備の取替とか減損償却とかの財源に充当されて、事業経営上止むを得ないものだとのことであります。私はこの際当局の一段の工夫と努力によつて建設費及び運営費合理化経済化を図つて頂いて、今後はでき得る限り料金引上げを行わざるのみか、でき得れば引下げをも行なつて頂きたいと切望いたします。  私は部外におりまして正確な資料を持つておりませんので確かなことは申上げられませんが、公社部内における人員の配置及び使役、機器資材の調達、使用等には、なお相当改善余地が存するように仄聞いたしております。又工事を実施する時期につきましても、工事が一年間に平均いたしませんで、日が短かくてコンクリートも凍るような年度後半に多くの工事が集中するというようなことは、著しく工事能力を低下させまして、従つて工事費を高くすることとなつておるように思います。公社となりまして会計法規上の掣肘も緩和されたことでありますから、これらの点を十分に御努力になれば、工事能力も上り、従つて建設運用、維持の経費も低廉となつて、やがて料金をも引下げ得るようになるのではないかとも考えます。  次に電信電話事業の有する特権及び公用負担につきましては、電信法及び建設条例の中に規定してありますが、これらの特権及び公用負担の中には、今日すでに時代遅れのものや、実際上殆んどその用のないものがありますので、これらを必要の最小限度にとどめられたことは大変結構だと思います。  次に利用者による設備について申上げます。従来は電話規則によつてPBX等は必ず公社が設置することになつておりまして、加入者自身施設することは厳重に制限してあるのでありまするが、本法案においては、公社が設置する場合のほか、加入者も自由に設置し得るという二本建にいたしますもので、私はこの点は結構だと考えます。その理由はいろいろありまするが、その主なるものといたしましては、私は逓信省に勤務しておりました間のうち六年ほどは、主として電信事業整備改良電話事業拡張計画を担当しておりましたが、その間に電信のほうはとにかくといたしまして、電話増設を要望する声は年と共に熾烈の度を加えますのに、一方電話拡張計画は常に国家財政掣肘を受けまして、需要の激増に応ずることができませず一国民の非難はいよいよ高まるという状態にありました。電信事業はそれほどではありませんが、我が国電話事業我が国におけるあらゆる事業のうちで最も発達の遅れておる事業であると申しても差支えないと思います。現に最近の電信電話統計を見ましても、我が国電話機の普及率は人口百人当り二・一個でありまして、外国に比較しますれば、世界各国中四十三番目であります。今後は公社努力によつて相当改善されるものとは期待いたしまするが、私の経験から考えまして、公社電話事業の根幹たる加入者増設市外線整備に主力を注がれて、一日も早く国民需要に直ちに供給し得るだけの態勢を整えるということに重点を置かれて、当分の間は、そのほかの個人でも設備し、保守し得るものや、附帯的設備などは、特別の弊害なき限り民間の資力技術使つて需要を充たされるほうが電気通信事業全般発達を図るゆえんであろうと考えます。併し、PBXの装置及び運用が不良である場合には、一般交換作業にも著しい悪影響を及ぼして、全般交換能率を低下させる虞れがありまするから、技術基準の励行、使用機材の検査、工事担当人及び交換取扱者資格検定及び指導等を行なつてPBXと局の交換とが一体となつて交換能率全般の向上を図らしめる必要があろうかと考えます。  なお、小さなことでありまするが、交換取扱者検定については、従来の資格を尊重するという規定がありまするのに、工事担当者についてはその規定がありません。そのため、現をその仕事に従事しておる人々の間に不安の念を抱いておる人もあるように聞いております。実際の取扱上十分御考慮を願います。次に、補償金制度及び損害賠償制度は、いずれも適当な規定であると思います。ただ、折角規定した損害賠償制度も、それに伴う手続が余り煩雑な場合には、実際には制度が利用されず、死物となる虞れがありまするから、制度を設けられた以上、できるだけ手続を簡単にして、多くの人をしてその利便に浴せしめるようにして頂きたいと思います。  次に、有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案について申上げます。  同法案は、有線法及び公衆通信法の制定に伴い必要とする経過規定でありますから、特に申上げることもないわけでありますが、その中に二、三重要な事項が含まれております。  その一つは、第九条、即ち明治三十九年の逓信省令第二十五号の旧電話規則に基き受理された加入申込を整理せんとするものであります。これは従来積滞数と申しておりましたもので、明治時代申込登記料を納入せしめて受理しながら今日に至るまで架設せられないものでありますから、久しい間非常に当局責任を感じておりましたもので、いわば電話事業の癌と申してもいいくらいであります。この際架設申請申出をなすよう催告をして、その申出のないものは最後には権利を消滅せしめるというのであります。これは権利保護という点から申せば多少遺憾の点もあるようでありまするが、現在においてはこれ以外に適当な方法もないようです。ここに根本的に解決されますることは、大賛成であります。  次に、施行法第三十条により電話設備費負担臨時措置法を一部改正する点であります。即ち、臨時措置法の中に、前申上げました旧電話規則による申請者に架設する場合の負担金規定を追加するわけでありまして、別段差支えないと考えます。ただこの際少しく負担金制度そのものについて申上げますると、わが国のごとく電話架設の際に多額の架設料を納入せしめるということは、世界中にその例を見ないことであります。それ故、大正の末に立てました電話拡張計画以来いずれの拡張計画においても、架設料の逓減を行つて最後には架設料を全くなくするということが、加入者及び市外線増設と共に拡張計画の最大の眼目であり、努力の対象であつたのであります。この点から見まして、負担金臨時措置法によりまして、加入申込者設備費負担するほかに、更に相当額電話債券を引受けなければならないということになりましたのは、私どもとしては衷心遺憾に思うところであります。成るべく近い将来において加入申込者負担によらないで建設資金を調達し得るように、関係当局の御配慮を望んでやみません。即ち、電話建設財源として、資金運用部資金を充当するとか、電話債券一般に公募する場合には政府保証とするとかいういろいろの方法を講じてできるだけコストの安い、而も安定した資金を確実に電話事業財源に充当して、これによつて加入申込者負担を軽減し、一日も早く加入申込者負担を皆無ならしめると共に、電話拡張計画の安定を図つて頂きたいと思います。  少し時間を超過して申訳ありませんでしたが、以上を以て私の陳述を終ります。
  4. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) 御苦労さまでした。  それでは江尻さんにお願いいたします。
  5. 江尻進

    公述人江尻進君) 日本新聞協会編集部長江尻進でございます。  御提案の三法案に関しましては、新聞通信ラジオ関係各社の代表が集まりまして意見を取りまとめた次第でございますが、これにつきましてはすでに二月十九日の衆議院の電気通信委員会においてもこの見解を申上げた次第であります。本日はこれを重ねてここで申上げるわけでございます。  結論から申しますれば、条件付で本三法案に対して賛成意見を表明する次第でございます。旧法では、有線電気通信施設を設置し利用し得る範囲を極度に制限していましたが、新法案ではこれを大幅に緩和いたしましたことは電気通信効率的使用を促すことになりますので、喜ばしいことと考え立案者に対して敬意を表する次第でございます。  次に法案に対する修正意見を申し述べます。公衆電気通信法第十三条に規定されております新聞電報新聞社通信社だけに限られておりますが、大衆通報の手段といたしましては以上の七つに並びましてラジオ、テレビジヨンなどの放送事業者が重要な役割を果すことになりましたことは説明するまでもないところでございます。従つてここに規定いたします新聞電報という中に放送事業者の発する電報を加えて頂きたいと存ずるのであります。即ち第十三条第一項二号イ新聞電報の項に「その発行部数公社が定める数以上であるものに掲載するため」という次に、若しくは公衆によつて直接受信されることを目的とする放送を行う放送事業者放送のためのニユース又は情報内容とする電報であつて、と修正願いたいのであります。従つて又イ、ロ両項の新聞社通信社機関相互間のものとあるのを、新聞社通信社及び放送事業社機関相互間のものと修正願いたいのであります。従いまして新聞電報新聞無線電報報道電報、又は報道無線電報、或いはニユース電報、又はニユース無線電報というふうに改称するのが適当ではないかと考える次第であります。  次に、新聞電報を出し得る新聞社資格条件の一にその発行部数公社が定める数以上であることという条項がございますが、公社発行部数を定めるに当りましては、発行部数限度を過度に引上げないように希望したいのでございます。日本新聞協会に加盟しております新聞は社会的に信用のある新聞でございますが、その中で発行部数の最も少いものは八千部というようなものもございます。この点も御考慮置き願いたいのでございます。  次に第十四条によりますと、電報は至急、普通、翌日配達の三種の伝送及び配達は、その受付又は受信の先後によることになつております。又第四十八条によりますと電話においても同様でございます。その例外になりますのは、異常又は緊急の電報、或いは通話だけに限られておるのであります。ところが新聞通信放送社ニユース又は情報を伝えるために電報電話を使いますのは、多くの公衆に迅速に正確な情報を供給するという社会的に極めて重要な役割を果しておるのでありますから、これを個人的な通報と同じように扱うことは適当でないと考えるのであります。料金におきましては新聞電報新聞専用電話線などに特別に低い料金を定め、相当公共性を認められておるのでありますから、更に一歩を進めまして新聞電報伝送配達に優先的な取扱認むるような修正を希望したいのでございます。外国におきましては新聞電報には優先取扱をいたしまして、普通のプレス電報でも一般急報並取扱になつておるのでございまして、これは外国特派員の間では常識的なこととなつております。又電話につきましても新聞通話というものが設けられまして、同様の取扱いを受けられるよう希望したいのでございます。又国際通話におきましては受信人料金を支払う制度が認められておりますが、国内電話においても受信人払制度を設けられるよう希望したいのでございます。  次に第五十八条の端末機器に関する規定は具体的にどういうことを言うのであるかということが明瞭でないと存じます。新聞関係者が集りましてこの条項を論議しました場合も、いわゆる専門家の間でも意味がわからないということでございましたので、更に明確になるように書き替えられることを希望したいのでございます。  第七十一条には、新聞電報又は新聞無線電報料金新聞予約通話新聞専用電話などは一般料金より低く定めることができるという規定がございますが、これをただ低く定めることができるというだけでなく、旧法と同じように新聞電報は他の電報の二分の一というふうにその割引率を明定されることが好ましいと考えるのであります。又附則の別表第六の専用電話線につきしても「六千倍以内」とだけ規定されてありますが、新聞についてもその具体的倍率を示し、従来と同様の特別な扱いを明示されることを希望したいのでございます。  第七十三条には、「公衆電気通信役務料金について、その総収入に著しい影響を及ぼさない範囲内において、軽微な変更を加えることができる。」という規定がございますが、規定全体が極めてあいまいと存ずるのであります。「著しい影響」とか、「軽微な変更」というような事実は、基準がなければ非常に主観的なものとなるわけでございます。又仮に軽微と認められる変更を繰返して行なつて、終局的には大きな変更を加えるということもこの法文の上だけからでは許されるように考えるのであります。従いましてこの七十三条の全条を削除するように要望いたしたいのであります。  次に有線電気通信法案について意見を申し述べます。  第十一条及び第十三条には、「有線電気通信設備は政令で定める技術基準に適合するものでなければならない。」又これに適合しないものは種々の措置を命ずることができるということになつておりますが、この技術基準を余り厳重に規定せずに、基準以上の優秀なものの発展するような措置を図られたいと思うのであります。例えば現在の基準によりますと、専用有線電信は三局以上は繋げないということになつておりますが、専用者が技術改善を加えれば、他の利用者に何の迷惑もかけずに四局、五局と繋ぐこともできるのであります。こうしたことは通信施設通信方式の改善としてむしろ奨励さるべきものでありますから、技術基準の決定に当りましては、低い技術水準に釘付けしないように考慮を払われたいのであります。又その技術基準の適用に当つても、その施設のある状況を十分に御考慮願いたいのであります。例えば北海道の山の中や、長崎の離れ島などの電気設備のない辺鄙な所に共同施設といたしまして有線ラジオの敷設がございまして、全国で十二万四千の加入者があるのでありますが、若しこれらの現に施設しているものに対しまして技術基準を厳重に適用し改修を命ずるようなことになりますれば、この有線ラジオの維持は困難になるのであります。電話に妨害を与えるというような事実がありますれば改修は当然でありますが、現在何の迷惑も与えていないというようなものに対しては、このような必要はないわけでございます。要するに妨害の事実を規制するのであつて、単なる基準の機械的な適用にならないように要望したいのでございます。  次に第十二条には、「郵政大臣は、この法律の施行に必要な限度において、」「その設備若しくは帳簿書類を検査させることができる。」という規定がございます。併し帳簿書類と抽象的に言いますと、如何なる帳簿でも調べ得るということになりまして不当に濫用される虞れがあります。従いましてこれを、設備に直接関連する帳簿書類というふうに限定されることを希望いたしたいのでございます。  最後に、もう一つ希望を申述べたいのでございますが、両法案の第一条においていずれも「公共の福祉を増進することを目的とする。」と規定されておりますが、法の規定及び実施について全般的にその趣旨を徹底されるよう考慮を願いたいのであります。余り独立採算の言葉にとらわれましてこの事業の公共的意義を没却しないよう要望したいのでございます。例えば専用線の設置などに当りましても、料金が一方は高いとかというようなことを理由といたしまして申込の順位を無視してまでも新聞通信社などに優先いたしまして証券会社施設を先にやつているというような事実があるように聞き及んでおりますが、そのようなことのないように公共性に十分の御注意を願いたいのでございます。  施行法の第三十二条に関連して申述べますと、この規定には明定はしてございませんが、公社内部の規定によりますと、新聞電話専用者も電信電話債券を引受けなければならないということにしているようでございますが、その金額は誠に厖大なものとなるのでありますが、一般の営利事業と差のないところの専売公社がこれを免除されているのでありますから、新聞通信放送事業者もこれに準じて公社債の引受を免除されるように希望いたしたいのであります。  これで終ります。
  6. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) 御苦労でした。それでは東京商工会議所参与吉田政治君にお願いいたします。
  7. 吉田政治

    公述人吉田政治君) 私は東京商工会議所参与であります吉田政治であります。  この三法案に対しましては、大体におきまして法案作成の御努力に対し敬意を表し、その趣旨に対しまして賛成を表するものであります。特に法の体系を整えられ、政令四十八号の問題も解決して頂き、PBXの拡張の問題も非常に我々の希望が達せられこれを満足に思う次第であります。  ただ思うに、二、三の希望点を申述べさして頂きますならば、技術的な面は我々は詳しくはありませんがただ一、二申上げたいことは、PBXをこのような取扱方をして頂くことは結構でありますが、最近の大都市におけるPBX増設の形勢はますます増大することと思いますので、これにつきましては十分なる御用意を願いたいと考えている次第であります。  それから先ほども電話機の修理の問題がありましたが、修理につきましては「予算範囲内において、すみやかに、」と書いてありますが、「すみやかに、」というのが、予算制限されておりますからと言われると、非常に修理が遅れている場合もありますので、この点は先ほどのお話通り修理の迅速に行われることを一つして頂きたいと思うのであります。  それからもう一つ電話の度数計が非常に不完全であるということは、利用者におきましては各方面でよく聞くところでありますが、これが完全になるようにして頂きたいと思うのであります。  それから経理の問題につきましては、独立採算になりましたので、定めしいろいろの点におきまして会計の独立ということは困難と思いますけれども、加入の場合の費用も相当多額になり、その上に基本料金というものも随分大きいのでありますが、これは長期の建設の費用はやはり或る程度経理の面におきましても長期の資金計画を立てて頂く。即ち借入金或いは外資の導入というような方法によりまして、今少しくそのときどきの利用者のみが負担しないで、長期に亙るものにつきましては長期の資金計画というものを取入れて頂くことが必要じやないかと考えるのであります。  それから料金の問題がこのたび非常に高率となることは誠に遺憾に思うのでありますが、これも止むを得ないことかも知れませんが、その料金に関しまして、この法案の中にはございませんようでありますが、アメリカ等では行なつております度数の多い者に対して、逓減制を用いるという制度一つ是非実行して頂きたいと思うのであります。これは事業界のうち、例えば金融機関、証券業者というようなものはその度数が非常に多く、殊に営業費のうちでもアメリカ等におきましては営業費の三%ぐらいの割合になつているようでありますが、証券業者の場合を申上げますと、日本では三〇%ぐらいの部分に達している業者もありまして、大体において一〇%程度になつているわけでありまして、非常に多額の負担電話費のほうにおいて持つております。而もその電話は先ほど新聞等の点につきましてお話がありましたが、実はこれは広報的性質を持つておりまして、取引のために電報を打つのではなくして、市況を報告するために必要なる電報電話というものが非常に多いのであります。その点から見ましても度数の多い公共性のある、広報性を持つた電話電信に対しましては、料金の逓減制というものを是非採用して頂きたい、度数による逓減制というものを採用して頂きたいと考えるのであります。  それからこの料金の計算表をいろいろ詳しく拝見したのでありますが、外国との電話料等につきまして、換算率がただ今日の為替相場によつてできておりますけれども、電話サービスの、日米或いは日英等を比較しました場合におきまして、如何に相違しておるかというような点、或いは家計費、物価等の問題につきましても、必ずしも日本が安くてアメリカが高い、或いは同額であるというような、こういう算定の方法は正しいもののようにも考えにくいという説が相当多いのでありまして、この点につきましては日本の今度引上げられる料金は、外国に比べて高過ぎるのではないというような説明が出ておりますが、そうではないという感じを、反対の感じを持つものも多いのであります。この点は基本料金等の点も考えまして非常な高率になるということは、電話公衆性という点から考えましてもいま少しく考慮を願い、特に先ほど申しましたこの建設資金等を長期資金で賄うというような方法を立てて頂きますれば、使用者に対する負担は今少しく軽減されるのではなかろうかと思うのであります。私のはこれで終ります。
  8. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) 御苦労でした。  次に株式会社鈴木本店取締役社長鈴木禎一郎さんにお願いいたします。
  9. 鈴木禎一郎

    ○参考人(鈴木禎一郎君) 株式会社鈴木本店取締役社長、東京電話協同組合運営委員長鈴木禎一郎でございます。委員長さんに公述人として一言お話を申上げますことは、私の最も光栄と存ずるところでございます。  案件の公衆電気通信法案及び有線電気通信法案並びに有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案につきましては、この三案は心から賛成をいたすものでございます。終戦後我が国電気通信事業明治二十三年の建設条例、古い法律で、その他各種の法律によつて運営されて参りましたが、昭和二十三年十一月法律の一本化の立案に着手せられまして、足かけ六年目の日数を要しまして、ここに新時代に適応する法案が立法化された次第でございます。当事者のかたがたの御努力に対しましては、深甚なる敬意と感謝を申上げる次第でございます。この法案が立法化せられました暁におきましては、どうか世界的な通信事業の一線に沿いまして、ここに高度の通信文明国となり一我が国商工業の繁栄にいよいよ寄与して、敗戦の汚名を速やかにそそぐように、独立国家の建設に当事者の御努力あらんことを切望してやみません。  さて、ここに立派な法律ができましても、これを運用いたしまする当事者のかた、即ち公社の高級職員をはじめといたしまして電話業務かたがたに至るまで、生産意欲を遺憾なく発揮いたして頂けませんければ、所期の目的を達成することはできません。この意欲を達成するために生活の安定を第一といたします。通信員のかたがた又経営上の担当のかたがたにおかせられましては、公社もやはり独占事業のような形でございますので、特にこの一点に深く御理解を持つて頂きまして、事業達成のために公社の高級職員であろうと全国の全従業員であろうと、一律に生活の安定を先ず期して頂きたい。これを念願する次第でございます。  それから法案の中に盛り込まれております電話加入者の立場から見ました点を二、三申述べて見たいと存じます。昭和二十七年の十月二十四日、ポツダム政令が失効になりまして、電話加入権の譲渡禁止が解除になりました。加入権譲渡が自由にできるようになりましたのです。終戦直後から今日に至るまで、電話の極度に不足いたしました結果、他人使用電話もこれによつて名義変更ができるようになる、使用者と加入者とが同一名義になることができるようになりました。ここに初めて法案趣旨と実際と軌道を一にするように処理ができることになりました。関係の加入者は有利にこれを処理することができました。この処理に当りました現業の公社社員のかたがたにおいても、現在ですから公社社員と申上げてもよろしいでしよう、処理の煩雑が統一せられまして、事務上の過失を犯さないように処理ができるようになつたのでございます。この処理要領につきましては本改正法案において立派に継承せられております。この処理要領は電話加入者の財産を擁護するというようなことになりまして、自然財産を擁護せられて、その上通信上の利便を得るということになりますから、将来の電話の大増設には更によい影響を持つて行く方策と考えられます。ここで申上げておきたいのは、一旦開通いたしました電話につきましては、加入権譲渡の申請があつたとき、架設当時の選考事情その他制約事項を一擲して頂きまして、速やかに加入者の申請を御承認せられるように希望いたしてやみません。  次に戦災電話につきましては、終戦後八年間未だに戦災電話として未復旧のものがございます。これは甚だ遺憾な現実でございます。終戦直後の三年間くらいの間は当時の御当局の御説明によりますと、お宅の附近の回線が戦災によつて焼失しておる関係で復旧に応じられないと、こういう御答弁でございました。その後の四年間の間は回線がありましても局内設備がない関係で、復旧に応ずることができないというようなわけでございまして、このような次第で終戦後家をお造りになつたり、旧来の御職業に復帰しようとするかたがたや、又は外地から引揚げられて御親戚その他のかたがたの御後援によるかたがた、誠に理解に苦しむ現状でございました。どうか戦災電話の復旧につきましては債券引受の二万円減額を以て事足れりとお考えにならずに、復旧の申入れについては最優先に御処理せられ、戦災の気持を一日も早く脱却できますように御処理せられることを希望いたします。  それから通称未設電話と申しまして明治三十四年から大正八年までの間に五円乃至十五円を納付いたしまして今日まで電話の設置をみない、いわゆる未設電話この電話につきましても権利の帰属を今回確定せられまして、これは電話行政上誠に喜ばしいことでございます。本法につきまして戦災電話が復旧を完了しました暁においてから架設なさつて行くような方法のほうがよろしいのじやなかろうかと、こう考えられます。  それから未加入共同線について少しく申上げたいと存じます。住宅街に架設されております未加入の共同線、これは今後の公社側におきましても負担金とか債券又は通話料金の徴収料、誠にお損のような計算が立つと存じられます。而も一方これを利用する共同加入者の側におきましてもどうも通話中に相手方が出て来るというようなことで、迷惑が誠に多いのでございます。戦争後の回線の少いときで、一つの回線を二人の加入者が使うということは誠に利用上から見ますと結構なように思われますが、通話の漏洩というようなことがございますので、家庭円満を欠くというような虞れが多分に含まれております。これはまあ直接電話局社員のかたがたも恐らく現場のことだからおわかりになつておるだろうと思います。速かにこれは単独線にお取換えになつて頂いて、そうして只今の経理上の面からもよく御検討願いたい、こう考えております。  それから電話に対しまする融通の途、これは只今のところでは公社では債券その他で加入者から資金を吸収する。それによつて拡張計画をなさる。その加入者のほうはまあ電話を利用するというようなことになつて参りますと、とかく資金面で行詰つてしまうというようなことが現実面にちよいちよいございます。これらは昭和十四年まで電話の統制以前は実に自由にできました。即ち友人相互間、それから商取引上の相互間、電話売買業者、銀行、金融機関、このようなところが率先いたしまして電話金融を行なつて加入者もそれによつて非常に資金面が楽になつて参りますから、加入者の金融面に御配慮を持つて頂くことは、将来の大増設をなさつて行く上において非常に寄与いたします。それのみでなくて、現在でも折角立派な法案ができたにもかかわらずこの法案の網をくぐつていわゆる闇金融というものが散見せられるようになつて参りました。どうかこういう今後の情勢を御判断下さいまして、公衆法案のこの中に確かに理想の加入者使用者であるその範囲を拡大したこの御趣意はよくわかりますが、何か加入者にも金融面で途が、いわゆる正しい途が開けますように御判断を頂きたいと存じます。  まあ一応実際上の立場から経験談を申上げまして私の話を終らして頂きます。
  10. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) 御苦労でした。それでは日本電気株式会社営業部長田沢龍吉さんにお願いいたします。
  11. 田沢龍吉

    公述人田沢龍吉君) 私は日本電気株式会社営業部長田沢龍吉でございます。今回有線電気通信機製造業者を代表いたしまして本案に対して意見を述べさして頂きます。  先ず結論から申上げますと、本日案件になつておりまする三法案に対しまして賛成の意を表する次第であります。その理由といたしまするところは、現在の有線電気通信に関しまする諸法規は明治中葉以後に制定せられまして、まだその改正を見ておりません。現在の実情に副わない点が多々ありましたのを今回一元的に御改正になりましたことは、誠に機宜を得た処置と御賛成申上げる次第であります。特に我々有線電気通信機製造業者といたしましては、PBXを今回他の単独、或いは共同加入と並び、新たに加入電話としてお認めになりまして、いわゆる我々が終戦後あらゆる機会に運動いたして参りましたPBXの開放ということがこの法案に盛られてありますことにつきましては、満腔の謝意を表し、又御賛成申上げる次第であります。  先ほどから縷々他の公述人からも申述べられましたように、我が国電話需要というものは厖大なものでありまして、その積堆数も数十万に及ぶと今日聞いております。殊に大都市におきますいわゆるPBXの方面の需要というものは、ビルデイングの急速な増設その他から見まして極めて、大きいものがありまして、現在の情勢を以てしましたら到底その増加分だけも賄うことのできないような状態に感ぜられる次第であります。そのときに当りまして、従来の電電公社さんの直営の場合以外に新たに民間の需要者が自己の負担においてPBXを架設、保守できる。更に我々製造業者或いは工事業者の過去の経験或いは努力によりまして需要家と電電公社の間を斡旋いたしまして、このPBXの普及、拡充に貢献できますことは、誠に従来我々が説いて廻つたことの実現でありまして、深く賛意を表する次第であります。ただここに二、三の要望を申添えたいと思う次第であります。  それは御承知のようにPBXは端末にあるものでございまして、現在ですらなかなかいわゆる電話のかからんというような状態でありますところへ、更に又この端末をどんどん殖やすということは、従来の基礎設備を以てしましてはますます……。両端はできても中央の基礎設備がないということになるわけでありまして、どうか電電公社におかせられましては市内或いは市外あらゆる根幹の基礎設備を御拡充になりまして、特に最近の電気通信技術の高度の発達を御利用になりまして、最近の能率的な設備を御拡充になることによりまして、今回PBX開放の実際の効果を挙げるように御尽力願いたいということであります。勿論これには厖大な資金を要するわけでありまして、建設資金の確保ということにつきまして関係の御各位の今後の御尽力を我々としましても切に要望する次第であります。  なお基礎設備を新たに拡充すること以外に、現在の既存の設備の保守改善というほうにも十分心をいたして頂きまして、老朽設備の取替、ふだんの弛まざる既存設備の保守改良に邁進せられることによりまして、PBX開放のこれ又効果を十分に挙げられるように希望して止まない次第であります。その点におきまして今回の料金値上は誠に止むを得ない措置であると思いまして、その料金値上げの財源を以ちまして今申しました既存設備改善に心をいたして頂きたいと念願する次第であります。  更にメーカーといたしまして御要望申上げたいもう一つのことは、公衆電気通信法にございますように、その設備につきましては郵政大臣の認可を受けて公社が定められます技術基準というものがありまして、一定基準に達したものが設置せられることになつておりますが、そのPBX使用につきましては、これ又法に書いてございますように、最後の段階において検査をいたしまして、それでまあパスすればいい。従つてそこに若干の不良品等があつたがために、全部に対しての損害といいますか、加入者需要者ばかりではなく、全体の通信系統にも影響を及ぼすことがあるわけでありまして、その点予防的な措置と申しますか、製品の検査その他につきまして何らかの措置をお願いしたと思う次第でございます。我々メーカーは、多年要望して参りましたPBXが開放されまして、電電公社さんと相共にPBXの普及拡充に御尽力申上げたいと思いまして、日夜技術改善発達、原価の引下げ、経営の合理化ということに邁進している次第であります。どうかメーカーの微意もお認め下さいまして、本法の成立実施に関係各位の御尽力を切望してやまない次第であります。  大変簡単でありますが、電気通信機械製造業界を代表いたしまして一言意見を申述べた次第であります。
  12. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) 御苦労さまでした。  公述人のかたに申上げますが、丁度普通ならば十二時過ぎて参りましたから簡単な食事をして頂いて、それから午後にという予定であつたのでございますが、この調子だとあと三人のかたがたお話も大体一時ぐらいまでに終るのではないか。そうすると午後御用事のあるかたもおいででしようから時間を、公述人のかたのお差支えがなければ、又委員かたがたのお差支えがありませんければ、引続いてやつて頂いて、そうして総括的な委員かたがたの御質疑を願うということで行つたらとも思うのでございますが、午前中で、どこか御予定があるかたでもうお帰りにならなければいかんかたがあればそれによつて一つ適当に取りきめたいと思いますが、如何でしようか、委員かたがたに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) そうすると公述人かたがたも午後にまたがつて何するより、午前中に済まして頂いてそうして総括質疑をやつて頂いて食事をして帰つて頂くという段階のほうがいいのではないかと思いますが、如何でしようか。
  14. 江尻進

    公述人江尻進君) 私は午後会議がございますので、失礼さして頂きたいと思いますが……。別に申上げることもこれ以上ございませんですから……。
  15. 吉田政治

    公述人吉田政治君) 私も同様でございますから、できましたら帰らして頂きたいと思います。
  16. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) それでは江尻さんと吉田さんに特に御質疑のあるかたはございませんか。
  17. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 吉田さんにちよつとお尋ねしたいのですが、度数に対して逓減制を布いたらよろしいのじやないかというお話、私も非常に興味を持つているのですが、どういうふうにお考えでございましようか。広報的な色彩があるのだ。そういうふうな面については、単に取引をやつているのじやないのだから逓減したらどうだというふうに、多少広報的な色彩のものというようなものに市況付けられているようですが、そこらの点を今少し……。
  18. 吉田政治

    公述人吉田政治君) お答えいたします。それは二つの点が今御質問のようにあるわけで、一つは普通にただ利用度数の非常に多いものに対しては逓減して頂く。これは営利的な計算から見ればそれが当然でありまして、電報の場合でも多数電報だつたらば安くなるというわけでありますから、その方式を利用して頂くというのが、少くとも従来のような官庁式でなくて、民間の産業の行き方にして頂きたいと思うのであります。もう一つの行き方は、証券業とか何とかというものは、特に著しい例でありますが、これは全国に毎日数回に亙つて市況報告をしなければ、多数の投資家が御迷惑なさるので、これに対しては非常な電話の度数が多いわけなんです。それを一々取引電話と広報電話と区別するのは困難かも知れませんが、併しやり方によりましてはこういう程度までは、ということならば分けることができると思いますので、その二つの意味から、できれば両方の意味を取つて頂いて、逓減制にして頂きたいと思うのであります。
  19. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 それからいま一つPBXの開放について賛成されているのですが、その際私ちよつと聞き洩らしたのかも知れませんが、そのPBXもだんだん需要が増大して行くのだから、十分な用意をして欲しいということをちよつと申されたのですが、それは公社として今田沢さんのおつしやつたように端末のほうで非常に困つているのだから、公社としては或いは市内線である、市外線である、いわゆる基本設備に対して一層整備の必要があるのじやないかという意味なのか、やはり公社としてもPBX需要に対してこれに応じ得るように従来のようにいつかかるのだかわからないということでなしに、十分準備をして、それに応じろとおつしやるのか、その点も……。
  20. 吉田政治

    公述人吉田政治君) 私が商工会議所で話をしましたときにも二つの説がございまして、公社のほうにも用意をして頂きたいという点もありましたし、技術的にそれほどよくわからないわけですが、十分な設備がすぐ整うかどうかということは、我々もわからないので、この点も十分考慮を願つておきたいというわけなんであります。
  21. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) それでは江尻さんにはよろしうございますか。……それではお二人大変御苦労でございました。どうぞお引取下さい。  それじや全国電気通信労働組合東京地区執行委員長本山さんにお願いいたします。
  22. 本山大七

    公述人本山大七君) 私は只今御指名頂きましたように、全国電気通信労働組合東京地区執行委員長本山でございますが、この公聴会に参考人として御指名を頂いたことを大変喜んでおるものでございます。私どもの労働組合は、電報電話でおなじみの日本電信電話公社電報局、電話局に勤務いたしまするところの十五万の従業員を組織に結集いたしております労働組合でございます。本日業者の代表、或いはその他いろいろな旧先輩といつたようなかたがたの公述がございましたが、皆さんが私どものお客様でありまして、私ども全電通労組といたしまして、事業の再建と発展に関する基本的な態度を三つ持つております。  先ず第一点といたしまして、国民大衆により便利を与え、社会生活を豊かにすること、第二点といたしまして国際、国内電信電話事業の一元的、自主的経営を図ること、第三点といたしまして従業員にとつても明るく楽しい職場にすること、以上の三点を基本的態度といたしておる次第でございます。更に電気通信省から公社に移行したということも、公社の企業経営方針を、このように将来発展方向を目指して行くんだということにあつたというように考えておりまして、私どもも従業員という立場から本日は公衆電気通信法案並びに有線電気通信法案施行法のうち最も重要的な三点について公述を申したいとこう思います。  更にこの三法案は私どもにとりましては営業法案ともいうべきものでありまして極めて重大な関心を持つておるわけでございます。なお現在まで先ほど公述の中にもございましたように、電話がかからない或いは又PBXの申込みをしてもなかなか建設をしてもらえないといつたような私どもに対するところの御批判もございます。併しこれらのものは如何に梶井剛が賢明であるといたしましても、この枠の中で事業をやつて行けというような形で梶井剛に電信電話事業の自主的経営の幅というものを与えて頂かない限りにおいてはなかなかその点が改善して行かない。このように皆様がたにも訴えると共に御理解もお願いしたいし、更に本委員会におきましては私どもの事業公共性の強化の方向に向つて将来発展し、向上して行くことのできるように御協力を是非お願いしたい。このように考える次第でございます。  このことは三法案以前の問題といたしまして、公社法の持つ公社の性格というものをいま少しく公共事業といたしまして自主的な経営ができるように改善を是非お願いしたい、こう思うわけでございます。その一例を挙げてみますならば、予算定員というような形で定員が相変らず拘束されております。更に建設資金政府融資といつたような問題につきましても、二十八年度におきましては、昨年度の百三十二億に対しまして僅か四十億といつたような形で拘束を受けるような状態にあるわけでございます。  従業員の処遇の問題につきましては、先ほど鈴木先生より私どもに御理解のあるお言葉を賜つておりますが、現在の公社一般従業員の給与というものは、敗戦以前の考え方と何ら変らないような給与体系というものがやはり使われているわけであります。これはどういうことかと申しますと、やはり電話のキイを倒したり、或いはジヤツクを差したり、或いは電報の電鍵、キイ或いはタイプライターを叩いたり、或いは電話の保守建設というような形で、鶴嘴或いはドライバー或いはペンチといつたような現場の作業に携る者を、いわゆる私どもこれを終身職種と申しますが、この現業の職種をやはりデスクワークの職種の下に見るというような考え方で、最高のものを八級職にとどめるというような形で抑えられている面があるわけでありまして、この点は公社内部の問題でもありまして、こういうような形で給与総額というものが抑えられる形、更に又給与総額の枠において、サービス申上げようにも、定員というものが施設の増加に伴つて増員することができないというような形であるわけでございます。  このことを総括的に申上げますならば、梶井総裁の上に高瀬郵政大臣という社長がおられるというような形でございまして、政府がより公共事業としての自由性を拘束しておられるという形で、私どもとしては、私どもの従業員の立場から見ましても熱烈なところの勤労意欲をも抑えられている、こう申上げる次第であります。  先般東京都内におきまして二十一万六千五百戸の戦前の最高の加入電話数がこれで復旧したということで祝賀の式を設けたのでございます。これらのことも私どもは、本日ここへ御出席の関係者かたがたが従業員に対しましても非常に賛辞を下さいました。私どもは、いや、私どもは或いは五十万加入電話を引けるだけの工事資材の裏付けというものをくれたならば、終戦後東京都内において加入新設をすることができたであろう、いわゆる二十一万六千五百個の予算が取れたというに過ぎないのだということを申上げたわけでございます。現在の私どもの立場というものはそのような考え方で、全く公共事業というものは利用者かたがたと、それから使用者側のかたがたと従業員の立場というものは、三つとも同じ目的に向つて、同じ考え方で努力することができるということを確信している次第でございます。公社の性格というものはNHK、日本放送協会のような極めて公共事業でありながら自主的な経営ができるようなパブリツク・コーポレーシヨンに今後育て上げて頂くよう本委員会に切望する次第でございます。  三法案のうち三点と申しました。それは公衆法のうちの百五条の関係と、それから有線法の二十一条の罰則の問題、それから料金の問題について公述申上げたいと思います。御承知のようにPBXは民間において起つて来た問題でございまして、昭和十八年の三月日本電話設備会社が発足いたしますまでの間、大体小企業において三百社がこれを行なつてつておりました。この三百社を統合いたしまして、只今申上げましたように昭和十八年の三月に日本電話設備会社というものを作つたのでございます。昭和二十二年の三月に至りましてGHQからメモランダムが出ました。これは国際電気株式会社並びに日本電話設備会社逓信省へ接収せよというメモランダムでございます。その後いろいろと紆余曲折がございまして、昭和二十五年の五月逓信省の二省分割によりまして、電気通信省に初めて日本電話設備会社からこのPBXがすべてを電気通信省のほうへ移管されたわけでございます。そのメモランダムが出ました理由と言いますのは、先ず第一点といたしまして、民営で行なつて行くということは、余りにもそのサービスが営利的であつて、結果的に見ますとその施設されたものが余りよい品質のものでなかつた、従つて結果的には悪いサービスであつたと、従つてPBX設備とそれから電話局の局設備と、この二つが何といいましても統一的計画と経営によらなければ公共性サービスの向上発展を期し得ない電気通信事業でありますだけに、この点を政善するにはどうしても局設備PBX設備を同一の状態にする必要がある、これが第一点の理由でございます。第二点といたしましては、設備機械の標準化と統一というものがなされなければならないし、民営におきましては工事に重点を置くために保守が不完全であるということが第二番目の理由でございます。第三番の理由といたしましては、PBXの障害は単にPBX加入者のかた、内部の障害にとどまらず、このことは先ほど来皆さんから口述がございましたように、他の一般加入者にも大きな影響を与えるし、現在丸の内を中心とする界隈におきまするPBXへのあの加入電話というものは、普通の事務用加入電話の三倍乃至五倍の収入を挙げるほど甚だ多いわけでございまして、これらの収入を減ずる結果になるということと、更にこの法案の中にもありますように、今後公社が民営化された場合の建設並びに保守を管理監督して行くというようなことが言われておりますが、当時におきましてもそのような監督のための経費というものは実に莫大である。従つてこれは直営にしてすべての民営であつたための弊害というものを除去する必要がある。いわゆるサービスの向上と経済的な考え方と合理主義に基いて是非ともこれは直営で行うべきであるというメモランダムであつたわけでございます。その後保守状況がどういう状態であるかと言いますと、二十五年の五月初めて移管されました当時の模様はこういう状態でございました。加入者の数というものは全国で八千五百八十四件ございました。その後一年半経ちまして二十六年十二月のときにはすでに千百ほど増加いたしまして九千六百八十七に増加いたしております。更に交換機の台数でございますが、九千百四十五に対しまして一万一千八、千八百六十三の増加を示しておるのであります。回線数にいたしますと二十万一千五百五十一が四万九千七百五十八増加いたしまして、二十五万一千三百九というような状態でございました。私どもの電気通信省のほうへこれら日本電話設備会社の従業員のかたがたが約二千三百名程度公社のほうへ身分を移行されて、私どもと今日同じように働いているわけでございますが、その当時の人員は昭和二十五年六月において二千八百三十一名でございます。一年半経つうちにこの人員が二千二百二十七名に六百四名の減員を示しております。併しながらこの減員に対する事務量の増加というものは、今申上げましたように急速に増加しておるわけでございますが、これは二十四年度における行政整理の影響を受け、その後の行政整理の影響を受けまして、企業官庁でありながら国家公務員という法の適用を受けまして、定員の削減の影響を受けたわけでございます。これも建設資材の準備ということが不備であつたという点もございましようが、サービス申上げましようにも定員というものが定員法で削除されたということに大きな理由があるわけでございまして、このことは一に国会において御解決を願わなければならない事項であろうと、このように考えるわけでございます。  更に保守の状況がどのように直営と民営の場合相違があるかという点を申上げますならば、昭和二十六年四月の障害は、自営をやつておりますPBXは百回線につき一カ月三四・四件の故障を起しております。公社において、当時は電気通信省でございました、電気通信省が直営をして、保守を行なつておるPBXにおきましては、十二回の故障しか起きておりません。これは百回線につき一カ月の統計でございます。公社といたしましては、現在百回線につき一カ月七・二件の障害件数まで下げるべく、その目標を設定して努力いたしております。今後ともこの努力目標には近付き得るであろうというふうに考えております。そのための御援助は、国会において公社予算に絶大なる御協力と御同情を頂きたい、重ねて申上げる次第であります。  PBXの問題を申上げますならば、あたかも縄張り争いを私どもが申上げておるかの感を持たれるのではないかということで、極めて残念でございます。私どもは決して従業員という立場或いは又公社という立場から、これを独占し、民間の企業意欲を抑えようとするものでは決してございません。元元電気通信事業というものは、これは統一的経営と計画なくしては、真にサービスの向上と将来へ向つて公共性の強化というものはあり得ない。本質が独占性を持つておるということに尽きるのでございます。従いまして私どもは局設備というものが、すでに同じ技術基準で、同じような状態に保守されて、初めて統一的に電気通信を利用される方々にサービスを提供することができる。いわゆる利潤を追求するために、これを独占せんとする、いわゆる独占禁止法的性格に該当すべき企業ではございません。企業そのものが独占性を持つておるということを御認識頂きたいと、こう考えるものでございます。  更に又先ほども皆さんがたのお話の中にございましたが、現在PBXの内線の回線数六に対して一つ加入電話が大体全国的な標準とされております。これは二十七年三月の現状でございますが、全国のPBXの内線回線数は二十七万五千七百七十三でございます。これに対しまして加入電話が四万五千二十三接続されておるわけでございます。従いまして今後公社の中にもPBXのセールスマンというものがおりまして、現在も努力をしておるわけでございます。少くとも一つの商社で五、六加入以上持つておる場合にはPBX、宅内交換台をお付けになつたらどうですか、そうすれば、もつと効率的に電話の利用というものができるし、作業の能率化も図れるというようなことで、セールスを現在いたしております。今後新らしく、先ほど来のお話のように、PBXの増加というものは、経済界の安定というものに応じて増大して来るということも私ども考えております。従いまして加入電話の増加というものと、それからPBXの建設というものは切り離して考えることができないものでございまして、PBXを増大して行く計画というものは、公社において初めてできるというように断言申上げて過言ではないと、このように考えている次第でございます。  更に現在どのようなことが私どもの組合内部で問題になつているかと申上げますならば、電気通信省の公社への移行というものは、儲かるものを民営化し、或いは又建設工事を大幅に請負化して、利潤の追求の具にせんとするところの公社移行であり、電信電話事業……電気通信省を解体いたしまして分断するところのものである。全くその公共性の方向に向つてのみ発展という言葉が使えるのでございますが、その方向へ逆行している、このように私どもは考えるわけでございまして、その一端の現われといたしまして、最近又顕著に出て参りましたことは、先ほどメーカーの代表の田沢さんのお言葉とは食い違うわけでございまして、この点田沢先生もどのようにお考えになつておられるか、これは又後ほど個人的に私はお伺いしたいと思つているような事柄でございますが、その一つといたしまして、建設資材の社給ということが現在浮び上つております。建設資材の社給ということは、建設資材を含めて民間の業者のかたが建設工事を請負うということでございます。現在までの段階では、現段階において大幅請負というようなことも使われておりますが、いわゆる請負工事というものは、極めて通俗的な言葉で恐れ入るのでございますが、あたかも幡随院長兵衛的な形で、いわゆる技術者の提供ということで行われているわけでございます。このこともなぜかといいますならば、一たび建設施設をいたしましたならば、その施設というものは三十年有余に亙つて使われる資材でございまして、その資材は極めて良心的なメーカーによつてのみ障害を起さず、今後の保守に好成績を収めることのできる資材が製造されるわけでございます。従いまして建設だけを急いで、その後の保守に支障を来たすとするならば、重大問題であろうという観点に立ちまして、資材はすべて厳重にこれを検査し、或いは又その技術的な研究に対しましては、公社も又国会の予算的措置を求めまして、これを補助するというような形もとつておりますし、更に通信研究所というようなものも公社自体が持つておりまして、この資材の発注を行い、資材を提供して、工事を請負つて頂くという形をやつて来ているわけでございます。  一つ言い洩しましたので、只今の関連においてPBXのことを申上げますならば、PBXの新しい建設を今すぐやるということが真のサービスではないというように考えております。私どもも先ほど来料金の値上げに伴い、更に又社債を求めて頂かなければならないということにつきましては、極めて申しわけないし、このことも国会における責任ではないかと、政府責任であろうというように考えているわけでございますが、社債を以て今後のPBX等の建設というものができるようになりました現在においては、その問題は解決して行くと、いわゆる予算がないからできないという面は解決して行くのではないかというように、労働組合の立場からも期待をいたしておるわけでございます。併しながら今日までの状態はどうであつたかといいますと、今も皆さんから言われましたように、決して早く申込に応じて加入者の期待に副い得るような早期な建設はできませんでした。前鈴木次官が委員でございますから、ここへ御出席でございますが、PBXの建設は今までならば、成るほど民間でやらしたほうが早く付くであろうというように考えられました。併しながら公社に納入されている資材の中では、多数の不合格品が出ております。今後PBX資材の社給と同じような形で自営される場合には、それらの品物がそのまま建設されていくわけでございます。そうした場合一日も早く作るということが成るほどサービスでございます。今後それは改善して行けるというように期待しております。そのことよりも、それから先将来に亙つて故障のない運用ができる、利用ができるということのほうが真のサービスであろうと思います。そのための保守につきましては、他に劣ることのない優秀な技術を現に電設会社より引継いだ職員並びに今後の養成に俟つことができる、このように考えておるわけでございます。更に社検、いわゆる公社のほうで建設資材の納入に当つて検査をする手数を省くというようなことも出ております。私どもといたしましては、現段階におきましては、日本における工業水準というものが確かに向上して参りました。併しながら一度建設したならば、そのものは相当長期間使うことができる寿命の永いものでございまして、その間故障が起らないというようなためには、やはり公社サービスをよくするという、お客様のためにも社検というような形で、あなた任せ的なものをやるべきではない、こう考えておるのでございます。そういうようなことも二十八年度予算面に現われておるかというように私どもは心配しておる次第でございます。  更に委託業務の問題に若干触れたいと思うのでございます。少くとも我々電電公社郵政省に管理されておるのでございます。管理されている公社が管理している郵政省へ委託するということは、いささかナンセンスであろう、このように考えております。而も委託という言葉が使われておりますけれども、これは相互契約であるというように考えております。この面におきましても、先ほど来、事業の本質が独占性を持つているということを申上げました。その点に照らして見ますならば、今後日本の国内における電信電話事業というものは、国際会社並びに郵政省及び電電公社の三つが独占する。これは独占という言葉はちよつと矛盾すると思いますが、独占するという形になると思います。このことは電電公社をして独立採算制を取らせるために止むを得ない措置であるというように現在の情勢では判断、現状を見まして判断せざるを得ないのでございます。儲からないところの、特定局にあるところの電信電話は、政府に国有国営でやつて行かなければならん、どうにか独立採算の取れる分については国有国営、即ち公社でやらして行こう。更に黒字の出ておる国際通信、十四億三百万円の黒字が出ているのでございますが、更に又PBX純利益七億の黒字のものについては、これを民間に開放して行くということは、ただ経済的な利潤を追求するという形においてのみ理解できることでございまして、事業のもつ本質からする公共性の強化という面からは理解できないことであるというように考えております。  更に料金の問題に入るわけでございますが、料金の問題につきましても、この要綱にお示しの通り、八十億の収入増が見込まれております。私ども現在の段階におきまして、現在の料金が合理的であるとは考えておりません。終戦前十五字まででございましたが、三十銭の電報料金は三百倍の諸物価の値上りからいたしましたならば、これは九十円という形になるだろうというふうに考えます。併しながら料年の値上げをして国民大衆の便利を阻害し、社会生活を豊かにできないということでは困りますし、而も国有であり公社において経営しておるというような観点からいたしまして、料金の無制限なる値上げにつきましては、私ども反対でございます。併しながら八十億の収入が、国際通信を四月一日以降切離すことによる十五億三百万円の減収と、PBXの民営化による減収等を埋めるために、料金値上げがされるというような、許される邪推の上に立つて、私どもとしては若干理解し難い面があるわけでございます。更に建設改良費のための料金値上げということにつきましては、この点も国会において先ほどどなたか公述人の方が二つの方法があるではないか、これはたしか先輩の藤川先生じやなかつたかと思われますが、藤川先生が公述されましたような方法をもちまして、どうか利用者負担にならないでやつて行けるように御配慮を願いたい、このように考えるわけでございます。  以上PBXの問題につきましては、私どもといたしまして民間の企業意欲というものと、民間の御協力というような形は、何かの方法でこれは御協力頂くこともできるのではないか、又そのことを考えるべきではないか。いわゆる電信電話事業の本質を誤つて角を矯めて牛を殺すというような道を選んで頂きたくない。このように考えている次第でございます。  罰則の問題でございます。罰則の有線電気通信法の第二十一条でございますが、この二十一条によりますならば、私設電話の配線又は通信機器を破壊し又は盗む、或いは又過ちを犯すというようなことに至るまで、この法律の罰則が適用されるというふうになつております。私どもといたしましては、公益並びに公安並びに公衆、この三つの電気通信に対する妨害的なものにつきましては、この二十一条の適用が是非必要であろうというふうに考えるのでございますが、公益、公安、公衆のための通信以外の分については、これは他の法によることにお考え願えないものであるかどうか。併しながらこれは公安通信である、これが公益通信である、これが公衆通信の回線であり機器であるというふうに、明示ができないために、又明示するということが現在の客観情勢上理解できないような情勢もあるために、私どもといたしましては、従いまして慎重に御検討を願うと同時に、法の運用につきましては慎重を期せられんことを切望する次第でございます。  先ほど来公述人の皆様方から公社並びに公社従業員に対するところの今後の努力ということにつきまして、或いは御批判もございましたが、私どもは誠心誠意全力を挙げて事業の発展とサービスの、保守の改善のために努力することを本席から発言いたしまして、私の公述を終りたいと思います。
  23. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) 御若労でした。  それでは次に東京電話機材株式会社社長電話工事協会副会長の横山さんにお願いいたします。
  24. 横山誠太郎

    公述人横山誠太郎君) 私は電話工事協会の副会長の横山でございます。曽つて逓信省に奉職し、辞して以来二十七年の間、民間の電話設備事業者として今日に参りましたものでございます。  今般御上程の政府原案に対しまして賛成いたすものであります。  さて公述申上げたい主なる点は、公衆電気通信法案の第百五条と百六条でございまして、これは甚だ重要でございまして、国民の生きた電話になるかどうかの点が織込んであるのでございます。  さて一般電話と申しますところの加入電話は、局舎と外線と、そうして家についておりますところの電話機より成つております。かようなわかり切つたことを最も尊敬すべき国会の諸先生がたに申上げる失礼をお許し願いたいと存じます。さてこの局舎と局舎の間には又外線がありまして、これと繋ぎ、又遠く市街線を追つて地方の局に通じておりますことは御承知の通りでございます。  さて私の話は家にありますところの電話に移るのでございます。家と申しますが、これは官庁、大会社、又小会社、銀行、百貨店、新聞社、ホテル、商店、住宅等を指すのでありまして、大きいところには数十本の加入電話、小なるところには一本の電話ということになるのでございます。それに至りまして、大中会社以上では大抵の場合施設に構内交換機の設備をいたしまして、これからわかれたところの内線電話機を多数取付けまして、社内同士の連絡に使いますと同時に、この交換機を通じまして局線に繋ぐ、外部と話すことになるのでございます。この設備PBX、今は私設交換所と申します。法案第百五条で構内交換設備と命名されております。この装置は我が国では明治四十年ちよつと前から民間の業者においてはじめて行われたものでございまして、逓信省は当時これを監督するのみにとどめました。そうして同省は本来の任務たるところの局舎、外線、一般加入電話というのに主力を注いで参つたのでございます。そのためにこの両者の挙げて集積しますところの力は、国内の電話を多く殖やし、又満足のうちに、好評のうちに円滑にこの電話事業というものは発達し参つたものでございます。  然るに昭和十八年に参りまして、大東亜戦争漸く苛烈ならんとするや、当時の逓信省でございましたか、それが人員資材の不足を理由に自主的統合という美名の下に、全国に三百有余ございますところの私どもの業者を統合いたしまして、この間までありましたところの日本電話設備株式会社というのを作つたのでございます。戦後に至りまして、いろいろな筆はそれぞれの姿に戻して、最近では米屋まで戻つております。然るに奇怪にも電通省はこれを併合し去つてしまつたのでございます。これは全く民意を無視いたしましたものでございまして、なおそればかりではございません、大会社或いはデパート、大工場、こういう官庁、そういうところにありますところの自家用交換設備というのがございます。これは一つ事業所に交換台をつけ、そうして従業員を雇つておきます。その雇われた従業員は勿論電通省指定の技術者でございまして、事業の性質上、昼間はそういうところの保守が、故障のときに直すということができないので、夜間にそういうのを直して、そうして激しいところの通話サービスを円滑にやつて来ているのが自家用設備と申します。この設備さえもなかなか許さないで、そうして、やれ待てとか、直営にするとか言うて来たのであります。私ども業者といたしまして、こうした苦情の声をかねてから聞きまして、又過去よりやつた仕事も勿論やりたいのでございます。それから電話の専門技術者として見ました場合に、如何にもそうした一方的のやり方が不可解千万であるのみでなくて、非能率のような譏りもほうぼうから伺つておりましたので、これは一つ激励して頂きたいという点で、皆さんの心が一致いたしまして、心血を注いだこの民主化の運動に努力して参つたのでございます。  然るに、然るにその甲斐もございませんで、昨年四月に至りまして、電通省から提案されたものはどういう案だつたでございましようか。第四次案と申しますか、公衆電気通信法案の第四条を見るに及んで、私どもはあつと驚きの声を上げてしまつたのでございます。それはこういうことを書いてございます。大体の意味を申しますと、民間業者において許されるところは、公社において作業をやるのに危険な場所に限るというような見解でございます。こういうような条文が書いてございます。そうしてその仕事をやるのは、電通省の許可を受けた我々技術者、こういうふうに謳つてあつたのでございます。その危険の場所というのを具体的に申上げますると、溶鉱炉の、あの灼熱の溶鉱炉の湯のたぎつているところの工場の中の配線、それから硫安工場における硫酸のタンクに満ち満ちているところの上に配線する仕事、又伝染病病院の中の仕事、こうした仕事だけは君たち民間人でやつてもいいということに、法案が立案されておつたのでございます。哀れむべき町のこうした業者が、あつという間に足を踏み外して落ちて行き、溶けて行くところの溶鉱炉の上の工事とか、硫酸の中に落ち込んで、あつという間に髪の毛だけ僅かに残るという、そういう悲惨なところだけ仕事を許すということを、どうか皆さん一つ御記憶にとどめておいて頂きたいと思うのでございます。  これは曽つて電気通信省としまして、私ども弟分の立場に立つて、多大の功績を尽し、関東震災のときには、ときの逓信省は市街線の復旧に懸命であつて、私どもは特設電話といつて、外線の許可を受けて、要所々々に交換機を置きまして、各家庭に引いたのでございます。そうしたことは当時非常に喜ばれたというように、いろいろな功績を立てております。そうしたものを捨てて顧みなく、そうしてこういう驚くべきところの、戦慄を覚えるところの法案が立案されておつたのでございます。私どもはここにおいて、これは正義人道の士に訴えて、そうしてこれを本当の国家の生きた法律になるようにしなければならんと思いまして、政党政派は問いません。心あるところの国会の議員のかたがたにこれを訴えて、この是正、この妥当なところの線を行くように懇願して参つたのでございます。然るに有難いことに、この電通省もその後に至りまして、翻然としてこの在来の行き方を一擲いたしまして、今度の法案に盛つておりますところの、二本建の線を認めて下さつたということは、これはひとり国家のために有難いばかりでなく、私どもとしても有難いし、又かくの如き悪法が、世界の民主国家の日本において、若しあれが実施されたならば、とんでもないところの譏りを受けるだろうと思うのでございます。今日私がこうしたやや満足すべきところの提案を見るに及びまして、こうした過去のことを申上げたくはないのでございますけれども、広い国内の一部には、第四次法案まではよかつたという方があるからこう申上げて、先生方の御一考を煩わしたいと思うのでございます。すべての道徳は人情が根幹とされております。法律も又道徳の上に立つておるべきでございます。どうかこの二本建の開放した精神は、どうか一つ急速に先生方の御配慮によつて通過して頂きたいと思うのでございます。  さて民間にこの私設電話を切離すという点について、いろいろな議論がございます。直営がいいとか、或いは一元化だとか申しておりますけれども、そもそもこの公社設立の理由は、民営の形に究極には持つて行きたいけれども、その前に公社という形にするというのでございます。民営と申しますというと、私ども民間の業者は、民間の力、資力というものは、これは当然網羅さるべきでございます。今日公社になりまして、何をこれを開放しなければならんかと申しますと、この精神でもつて見ます場合に、当然民間の野に開放して、公社が新らしい発足の下に、新らしい要望の下に進んで行くということは、これはもう至極当然なことでございます。そうして公社は主として対外のこと、分岐の増加に力をいたして頂きたいと思うのでございます。又一度民間にこれが開放いたすことになりますというと、今日電電公社におかれても、その従業員方は技術を持つた職員であり、或いは電話行政に明るいお方であります。そうした方も五十五の停年になりますというと、大体において退職いたしまして、民間の人となるのでございます。その場合に習い覚えたところの技術を以て、自分が電話事業をやるということは、これは国家のためにプラスでございます。又民間、又本人のためにも非常に喜ぶべきことでございます。又民間にこれが開放されますと、従業員の方がよく動くと申しますけれども、これは動くというのは、人の好きずきのままでございまして、私ども自らをお魚に例えますならば、流れの早い所に住む「はや」のようなものもあり、又落ちついた上品の所に住みたがるお方もおります。そうした者がおのおの好いた所で能率を上げるということは、これは決して悪いこととは思われないのでございます。  それから民間に幸いにして開放された場合に、民間においては不良の機械を使うではないかということをよく承わるのでございますが、この点は私どもはよく肝に銘じまして、そうしてかようなことのないようにいたす考えは十分に持つております。又これまで民間の機械が悪かつたといういろいろな統計などを聞きますけれども、それは果して真実であつたかどうかということは、私ども専門業者として多々疑問があるのでございます。ひとり電話関係のみが一番世の中でいい物を使う、使い得る、又使わなければならんのは当然でございますけれども、それがすべてに優先するということは……、当時、昭和五、六年は不況のどん底でございました。七、八年頃から日本の国は内需を切詰めて輸出という方面に向けたのでございます。それから支那事変以後からは、殆んど軍需のほうに重要資材を向けて参つたのでございます。又経済界もそのような困苦欠乏に堪えまして、そうして成るべく贅沢なことはしません。是非悪い所を修理してでも使うような心掛けを持ちまして、そうした心掛けで皆来たはずでございます。従いまして不良機器を使つたということは、当時の不良機器を或いは取換えなかつたかということは、当時の経済事情とし、又日本の戦時体制に臨んでおります立場といたしまして、それは不可能のことであつたのでございます。街に木炭車が走り、結核の人が働き、学校には欠食児童があるときに、ひとり理想的な電話交換機だけ離れて優先的にやるということは、これは不可能なことでございます。総合して行くところに経済の進んで行くという在り方があるのでございます。又局でやればそうした故障がないと申されますけれども、近くは東京都内における最近の茅場町の局の故障の如きはどうだつたでございましようか。故障百出、非難千出と申しますかし実にあれも局の直営でございます。それもそうした戦時中の資材の欠乏のためにああいうふうな実情が醸し出されたということは、民間が不良機器を使つたという非難に対しまする一つの立証をする現われであるかと信ずるのでございます。  さて末端設備は一元化とよく申されますが、末端設備というものは、大体におきまして、これは需要者の任意で、民間業者が多く当つておるようなことは、電燈を御覧になりましても、又水道、ガスを御覧になりましても、末端の所の設備というものはそうしておりません。殊に電話などの場合は、故障のときにはその家庭へ入つて行く、事業の場合には、作業をしてもらう時間というものがおのずから制限される。そうした場合に民間の人でございますと、非常にそうした時間の融通もつきまするし、又態度が柔かでございます。今日公社のお方も非常にサービスはよくおなりだという話を聞きまして、この点は私どもばかり柔かとは決して申しませんけれども、平均しまして、例えばこの机の下に配線します場合に、お役所の人が来れば先ず机の腰掛の方は立つようでありますが、立たせるとは申しませんけれども、立つようでございます。併し私どもが行きました場合は、腰掛けて仕事をされております。下を潜つてでもやる。又向うは立たなくても済む。こういう柔かいところの、お客さんが受けるところのこうした気持も又無言のサービスであると存ずるのであります。そうして殊にこの交換機の補修などにおきましては、殊更にそうでございますし、又末端設備の中には切替スイツチ一つによるところの乙種電話機というのがございます。これも以前は殆んど民間でやつて参つたのでございます。これも末端設備のそうしたサービスという点につきまして将来はこれを解放をお願いしたいと思うのでございます。これは呼鈴の線、或いは電燈の線なんかと配線する状態が一緒でございまするので、そういう関係上、そうしたのを一括してやれるのは、これは民間業者の場合において初めて一貫した仕事がたやすくできるのでございます。公社がおやりになりましても、それに要するところの手間なり電線なり電話機なんというものは、当然他のメーカーから買つて、お金が出ているはずでございます。お金が等しく出るといたしますならば、これを民間の所有といたしまして民間が出すということに、ものの道理は経済面においてはちつとも違つておらないのでございます。  さて民間は民間事業者といたしまして、幸いにしてこの法案通りました暁におきましては、私どもは態勢を更に整えまして、そうしてこの国家国民の委託に応える覚悟でございます。どうかよろしく御審議を賜わりまして御通過下さいますようにお願いする次第でございます。
  25. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) 御苦労でした。  それでは公務員の大槻さんにお願いいたします。
  26. 大槻常雄

    公述人大槻常雄君) 私は公務員の大槻常雄でございます。過日新聞に出ておりました公示を拝見いたしまして、その中に進んで申出よという字句がございましたので、おこがましくも申出ましたところ、その公述人として指名を頂き、只今これを公述し得ますことは私の無上の光栄と存じております。私は通信につきましては幼き頃より関心を持つておりまして、又これを愛し昭和十一年以来その業務に従事いたし、現在一委託局の業務に従事いたしておるものでございます。特にその間従軍いたしまして、異郷の各地において長く通信に携わりました印象は極めて深きものがございます次第であります。このたび問題のこの法案につきまして私の意見を申上げたいと存ずるのでありまするが、これは私一個人の意見でございまして、何ら代表的意見ではないことを申上げておきます。何しろ遠隔の辺境の地にありまして、法案の入手も附近の電報電話局で見せて頂きまして、時間的余裕もなく、甚だその内容につきましては意見にすぎんかと存ずるのでありますが、通信を愛する一個人の声といたしまして、御寛容のほどをお願い申しておきます。  次にその意見を簡単に申上げます。公衆電気通信法案第十七条及びその別表第一、通常電報料金中、普通電報料についてであります。右によりますと、従来の通り市内電報と市外電報とに区別されておりますが、この区別のあり方及び料金につきましていささか私は不合理を感ずるのであります。私はこの区別及び料金については、やはり電話のごとく距離を基本として、そこへ同一配達区なり同一市町村とかいつたことを勘案したところの、いわゆる地帯別の採用が合理的ではなかろうかと考える。同法第一条の目的に合致するのではなかろうかと考えております。長きに亙りおおむね均一制をとつておりました郵便小包におきましては、先年よりその画期的な改正として地帯別を設けておりますが、私はこの趣旨には同意しております。私はものことはすべて簡単ということを熱望いたすものでありますが、この簡単性につきましては逆行するところでありますが、この問題につきまして以上のような点に立脚したところの修正を考えて頂きたいのであります。又この実際の利用及び取扱いについても難事はないと信じております。然らばその具体的なる区別及び料金でありますが、それは関係筋におかれまして、あらゆる基礎資料に基いてお定めになることでありまして、私が只今申述べるところではないと思考いたしております。ただ希望といたしましては、合理的であつて成るべく簡単であると共に、ために課せられる料金が高きにならないように願う次第であります。地帯別については郵便小包のとつておりますそれのごときくらいがよいのではないかと存ずるのであります。その他の事項につきましては前にも申しましたように、時間的余裕もなく研究不十分にて今ここで公述いたしかねますが、私が研究し解釈し得た事項につきましては賛成いたしたい点が多い点を申上げておきます。  以上誠におこがましくその上愚言でありますけれども、私の意図するところをお酌み取り頂き御参考として頂きたいと存ずるのであります。かく意見をこのようなところで申述ぺさせて頂くことは初めてでございまして、誠につたなくお聞き苦しかつたことを恐縮いたす次第でございます。以上甚だ簡単でございますけれども、私の意見を公述いたします。終り。
  27. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) そうすると大槻さんにちよつと伺いますが、十七条以外は御賛成の御意見ですか。そうとつてよいのですか。
  28. 大槻常雄

    公述人大槻常雄君) 私が解釈しています点、研究していました点につきましては賛成する点が多い次第であります。又あとで御訊問頂きましたら、お答えいたしたいと思います。
  29. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) それから本山さん、あなたの御熱心な御意見がございましたが、結論といたしましては、原案に反対という御結論になるのでしようか。
  30. 本山大七

    公述人本山大七君) 百五条の修正を意見としております。そのことにつきましては郵政省の郵政大臣の管理というようなことまで持つて行かなくても、公社へ委せられる部分はその点を緩和するというような場合に御考慮願えればよい、こういうことであります。
  31. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) そうすると、そうした郵政大臣の監督とか、そういつたような面を除けば、根本的にはこの二法案と、施行法案の三法案に対してのあなたの御意見はどうなるのでしようか。
  32. 本山大七

    公述人本山大七君) PBXの民営化、自営化、無制限自営の認可制認可というよりも無制限自営というこの点については反対でございます。従つて百五条の修正ということになると思います。
  33. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) あなたは御賛成願うと見ておるわけですか。
  34. 本山大七

    公述人本山大七君) 大体そういうことになります。更にその点、一点だけ保守の自営という問題が出て参ると思います。現在PBXの保守を自営しておる分については、施行法でこれを認めることになつておりますので、従つて百五条の反対修正という個所には、保守をも含めての反対であるということになります。
  35. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) それでは公述人の方々の御熱心な而も誠に御立派な御意見がございましたが、公述人の方方に対する御質問がございましたら、委員のほうからお願いいたします。
  36. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 簡単で宜しうございますが、藤川さんに御質問申上げたいのですが、料金について、法定料金、認可料金をきめたのは非常に結構だ、従来の料金法あたりは非常に複雑、細かいものまで法定しておることはどうかと思うという御意見、私も賛成なんでございますが、何か分界については考慮する余地があるというようなことをおつしやつたと思うのですが、現在の出ております法案で御意見ございましようか、この分界を……。
  37. 藤川靖

    公述人藤川靖君) 現在の料金法によりますと、随分別使配達とか、はしけ配達とかというような細かいものまで書いてありますので、ああいうものを法律事項からお除きになるのは甚だ結構であると思います。この事項は大変多いようでありますが、分界といたしましては、私は特定の人が大体利用すると思われるものは、法律事項でなくてもいいけれども、不特定の多数の人が利用するようなものは、法律事項にしておいたほうがいいのではないか、一つ一つについて当つてみておりませんから、どれとどれということははつきり申上げられませんが、例えば慶弔電報であるとか、写真電報であるとかというようなものは、国民が不特定多数の人が利用するものでありますから、そういうものは法律事項のほうがいいのではないか、その分界については、なお研究の余地があるのではないかと、こう漠然と考えたわけであります。
  38. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 重ねて聞きますが、それは不特定多数というような点を目途として、例えばその料金というのは非常に公共性が強いとかいうように必然的になるわけでございますか、お考えとしては……。
  39. 藤川靖

    公述人藤川靖君) そうであります。
  40. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 それから今一点PBX、各公述の方から十分にお聞きしたのですけれども、藤川さんも現在の電気通信をどうしても発達させなければならん、そういう意味から言つても、民間の力を利用するということは宜しいということで、PBXをお認めになつておられますか。要するに今工事能力がないからやむを得ずPBXも仕方がないという御意見なのか、いろいろ他の公述人のお方からも根本的に反対のお方、或いはその点ははつきりしない方もあるけれども、さつき本山さんのお話のような意味において、根本的にいかんのだということも一つの理窟でございますので、要するにPBXというものは、当然公社がやらなければならないのだけれども、現状ではいけない、こういう御意見なんですか。
  41. 藤川靖

    公述人藤川靖君) 理想を申しますれば、根幹的な事業も末端の事業も、全部公社でおやりになるほうがいいと思うのでありますけれども、現在のように財源の関係及び能力の関係からいつて、なかなか理想に近付くことが遠いのでありますから、先ほども当分の間、そういうふうに根幹事業が完備するまでの間は、民間の資力及び技術を利用したほうがいいと申上げたわけで、理想は全部公社において一元されるほうがいいと考えます。
  42. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 それから鈴木さんにお伺いしたいのですけれども、私の聞き洩らしかどうか存じませんが、私は加入通話度数の少い会社、個人の電話などは、成るべく共同加入で、設備の点からいつても、経費の点からいつても、そういうふうに進まなければならんと私は考えておつたのでありますが、共同加入の電話がよろしくないということをさつき聞いたと思うのでありますが、今の機械設備が悪いから、もつと機械設備をよくして行けばよろしいのだというお説ですか。共同電話というものは要らんのだ、単独に直さなくちやいかんのだと、こういうお考えですか。
  43. 鈴木禎一郎

    公述人鈴木禎一郎君) 私の考えは、二加入共同ということは実情に即しない、長い経験から勘案いたしまして…。それですから或る一定の、戦後のような情勢のために行う場合には止むを得ない。今後は成るたけ単独加入にして、やはり通話というものは、そこの家の通話が他に漏洩するということは、その家庭々々にとりましては、小さい影響もある代り、もつと大きい影響もあるというような角度から御考慮頂ければ結構だ、根本的に二加入共同というようなものは徹底していないと、こう申上げておきます。
  44. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 それからなお鈴木さんにお伺いしたいのですが、加入者に正しい金融をさしたらどうかというお話ですが、どういうふうな方法、どういうお考えでございましようか。
  45. 鈴木禎一郎

    公述人鈴木禎一郎君) これは昭和十四年までは先ほど申上げた通り電話の金融は自由でした。只今のいわゆる立法精神から行きますと、こういう金融というようなことは全然これには入つておりません。即ち電話金融ということは行えない。こういうことになつております。即ち加入者の居所、住所、営業所、その範囲において利用面を拡げられた、こういう立派な精神であります。そこでいわゆる電話の利用の範囲に入つて、経営へ行つたときに、そういう実情が必ず生まれて来る。即ち公社で言えば、債券によつていろいろ事業をなされている。加入者電話通信料の利用によつて商工業を繁栄して行く、繁栄して行けば資金が要る。昔は電話加入権は、現在でもそうですが、一つの財産権、電話加入権は財産権、併しその財産権は、公社が改造するとなくなつてしまう財産権であつても、その期間中は立派な財産権である。その意味における融通面ができるものならば、そういうことに御考慮を持つて頂きたい、こう考えます。ちよいちよい金の面の行詰りが来ますと、折角の立法の精神に反するような金融が行われるということを恐れているわけです。
  46. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 そうしますと、要するに電話の売買業者というものを、簡単な言葉で申しますが、そういうものを法的に認めて、監督というとおかしいのですけれども、公のものとして存在せしめよう、こういう意味でございますか、具体的な方法としては。
  47. 鈴木禎一郎

    公述人鈴木禎一郎君) 具体的な面までは考えていませんが、電話統制を受けまして、五年も六年も、七年くらいになりましたか、その当時は立派に金融機関の途は明いておりました。まあ併し一般的ではございませんけれども、立派に明いておつた。只今明いてないのですから、それを申上げたのです。それから統制前は、これはもう先ほども申上げました通り、友人相互間でもやつておつた。即ち商取引上において金の支払をしなくても、それと同一なお互いの信用を立派に果せるだけの名義変更という手続があるのですから、それによつて安心して債務者になり債権者になつていた。こういう昔の例などを勘案して、今後の御参考に一つ御研究を願いたい、こういう点です。
  48. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 田沢さんにお聞きしたいのですが、このPBX技術基準に非常に御心配のようで、私も実はこの技術基準と、そして平素正常な状態において行くということに対しても、隘路と申しますか、その点を実際問題として心配しておるのですが、又同時にあなたがおつしやつたように、或る一カ所の不良のために全部の施設がいけないのだというふうな措置もどうかと思う。この心配も私あると思うのですが、その際に製品検査を徹底させて、そうしてその効果を上げるようにというふうなお話でしたが、それはどういうふうな方法でおやりになつたらば、特に私が心配しているというような意味において救済されるか、その点を今少しお聞きしたいのです。
  49. 田沢龍吉

    公述人田沢龍吉君) 先ほどは簡単に御処置を願いたいということで詳しく触れませんでございましたが、只今鈴木委員の御質問によりまして、私のちよつと思つておることを申上げたいと思います。例えば交換機或いは電話器につきまして、事前にその工場において公社さんの検査を受ける。只今電話器の寄附受理というのが昨年十一月から行われておりまして、これはメーカーとしまして電電公社に直接お納めするのと同じ御検査を事前に受けまして、その検査済の御承認を受けまして、あと我々の創意工夫によつて需要家を開拓して行くというようなことをやつておるのですが、まあ一案としまして、こんなことも考えられるのじやないかというようなことです。お答えになりますかどうか。
  50. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 まあ私も一つ研究してみましよう。  それから本山さんのお話は極めてはつきりしておるので、別に御質問を申上げるところはないのですけれども、もう本質的にこれはいけないのだというお考え、極めてはつきりしておつたのですが、最後のほうに行つて民間の協力はよいが角を矯めて牛を殺すようなことをするなという、そこでちよつとぼけたのですがね。その民間の協力はよいのだという面が極めて抽象的であつたのですが、このPBXに対して、その協力という面がどの程度あなたのお気持の中に又具体的に持つておいでになるのか、その点をちよつとお伺いしたい。
  51. 本山大七

    公述人本山大七君) お答えいたします。民間のいわゆるこれらの業者の方々、本日横山公述人がお見えのようでございますが、これらのかたがたの企業意欲というものは、これは何らかの形で私共の公共性の強化という方向へ向つて電信電話事業の発展をするためには、ぜひ御協力を頂かなければならない。又頂くことによつて促進できる面があるのではなかろうか、このように考えるわけでございます。従つてそれはPBXのことかということにつきましては、公社が現在行なつておりますあらゆる事業の面において、これら在野の電信電話技術をお持ちのかたの御協力を、而も企業意欲というようなものの御協力を願えるような分野があると思うと、こう申上げたわけでございまして、本日具体的にどうかということにつきましては、お答えしかねるのであります。  それから角を矯めてということにつきましては、これらの企業意欲を旺盛に持つておられる方々のお考というものは、やはり一部の世論というものを形成しているので、捨て置くことができないというような形でお取り上げになつて、折角電信電話の将来の発展というものを殺してしまうような方法へ行かないように、歴史的にすでにこれは直営でなければならないということは過去の経験から割り出されているのでございますので、そういう意味で角を矯めて牛を殺すという表現を用いたわけでございます。更に先程御発言の中にもありましたように、加入電話のビル内配線、いわゆる宅内配線も、これは電燈会社は配線をやつておるではないかというお言葉がございました。これこそ私共としてはPBXの自営化という問題と同様に、加入電話のピル内の配線という問題は今後のサービスに大きく影響するものでございます。一旦配線されたものは、そうたやすく取りかえるということも困難でございます。十分なる技術基準或いは製品検査を経たものをもつてやらなければならない、こう考えておるわけでございまして、そのことにも関連があるというふうに考えております。
  52. 溝淵春次

    委員長溝淵春次君) 他に御質問はもうないようでございますから、それではこれをもつて本日の公聴会を閉会いたしたいと思います。  終りに臨みまして、一言御挨拶を申上げます。公述人の方々には非常に御多忙のところをまげて当委員会においで頂きまして有益なる御意見を拝聴することができまして、誠に有難うございました。厚くお礼を申上げます。  本日はこれをもつて散会いたします。    午後一時四十九分散会