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参考人(古垣鉄郎君) 先ず最初に私
ども公共放送機関としての
NHKの
業務運営の全般に対しまして常に当
委員会におかれまして格別の御配慮と御指導を頂いておりますことをお礼申上げます。又この度は
NHKの
テレビジヨン放送に関しまして、その
事業計画及び
予算等の問題につきまして御
審議を頂いておりますことを厚くお礼を申上げます。
協会は
テレビジヨンを以て
国民生活に極めて貴重且つ有益な必要な文化財であるという
見地に立ちましてそ
実施に当
つております。これをできるだけ早い機会に
全国民にあまねく受信できるようにいたしたい、
全国の中で
地域的に、或いはその住民の階層に偏在があ
つてはいけない、或る地方にのみ十分普及して、或る地方には甚だ薄いとか、或いは或る階層には相当普及しながら或る階層には普及しないというようなことがないようにいたしたい。それから又
テレビジヨンの
影響力が、
先ほど来の御
審議にもしばしば伺われましたように極めて
影響力が大きい。現在の中波
放送に数倍するところの大きな
影響力を持
つておりますから、その
テレビジヨン放送の内容でありますところの番組は常に万全の注意と考慮と工夫等をいたしまして健全明朗な番組にいたしたい。かようにいたしまして
テレビジヨンが
国民大衆の友として一人でも多く
利用して頂きますように、先ず
全国の
公共の場所、公衆の集まる場所、学校とか公民と館か等々に設置いたしますばかりでなくて、各家庭で一家揃
つて楽しむことができ、又生活を豊かにして我が国の文化を高めるのに役立つものとして参りたい。そのために現在まで行な
つておりますところの中波の
ラジオと一体として、
両者の長所、又
両者の
性格を十分に発揮させ、一体としてバランスのとれた番組の編成に努めて参りたいという
考えでございます。これを
実施いたしますに当りましても、
NHKはすでに
全国的な中波の
施設を持
つておるのでありまするから、現有の
放送施設及びその機能を十二分に活用いたしまして
テレビジヨン放送に要する建設費、運営費等はできる限り節約いたしまして
国民の負担をこの面でもできるだけ軽くいたしたいと
考えております。協会は以上のような趣旨によりまして、
公共の
福祉のためにできるだけ速かにあまねく
日本全国において
テレビジヨン放送を受信できますように
放送を行うことを究極の
目的としてこの
予算を組んだ次第でございます。そういたしまして、この
NHKの
テレビ計画は、先ず
東京において年度内に本
放送を開始いたします所要の動力工事を行いますと共に、究極の自的に一歩々々近付きますために、
大阪と
名古屋におきましても来年度に
放送を開始いたしたいと
考えております。それに必要な調査を本年度内に行う予定にな
つております。このように逐次枢要の地から
放送網
計画を取進めまして、五カ年の後には
全国に三十二局の
テレビジヨン放送局を建設いたしまして、これによ
つて全国総世帯の六五%をカバーする
計画でございます。又この五カ年間の
計画が完成いたしますると、更に次の究極の理想に付近くための第二次、第三次の
計画を立てまして進みたいと存じております。而も
NHKは本
放送実施の態勢を着々整えまして、すでに
東京では、去る十一月の十四日に
実用化試験局の
免許を受けまして、三キロワツトで
放送を行な
つており、番組も毎週火曜日と木曜と土曜の三
日本放送に準ずる本格的な番組を以て
放送いたしておりますが、これも極く近い機会に毎日
実用化試験の
放送を行うところまで進んでおります。又
大阪では本年二月から実験
放送を開始いたしましたが、十一月からは生駒山の送信所から五キロワツトの出力で
放送をいたしており、
名古屋におきましても十一月一日以来五百ワツトで実験
放送を行な
つております。又これら三局を結びますところの
マイクロ・ウェーブ、
中継回路も年内に完成いたしますので、
日本電信電話
公社の
計画が完成いたしますまでは、この
施設によりまして、
東京の番組を
大阪や
名古屋に送ることが可能となる次第でございます。この
NHKの本
放送実施計画は、一に二十四年に亘りますところの
NHKの
テレビジヨン実験
研究の成果に立ちまして、海外諸国における
テレビジヨン時代への移行の趨勢に即応いたしまして来たのでありますが、更には最近
テレビジヨンというものが、決して単なる娯楽慰安の機関でなくて、
国民生活、
国民の社会生活の上に文化国家として不可欠の要素とな
つているという認識の下に、
国民大衆の圧倒的な輿望にも応えなければならないというこの事態によるものと存じます。
公共放送によります
NHKが、
テレビビジヨン
放送を担当いたしますことによ
つて、我が国の文化、国内産業、
電波技術等の振興に寄与するところが頗る大であるということも私
どもは信じております。且つ祖国再建の一助として、単に
経済の面と言わず文化の面と言わず、治安の面と言わず全般的祖国の再建、文化国家、平和国家の再建の上に
テレビジヨンを是非
実施して参らなければならないという責任を感じておる次第でございます。又
NHKの
計画には、すでにお手許に資料としてお送りいたしましたように、各地の自治団体、教育団体、
ラジオ覇組合、文化団体等から
公共放送による
NHKの
テレビジヨン本
放送を一日も早く開始するようとの要望や決議が
国会を初めといたしまして私
どものほうへも寄せられております。で、その一部を御
参考までに拔萃いたしまして御高覧に供した次第でございます。私
どもはこれらの
全国的な
国民皆様の要望に副い、
テレビジヨン放送の
全国普及に邁進いたしたいと存じておる次第でございます。なお私
どもといたしましては、白黒の
テレビジヨンの次に参りますものは、
先ほども
お話がございましたが、必ずカラー・
テレビジヨンであると存じます。而もその到来の日も決して遠くないということを
考えております。すでに
研究を開始いたしまして一応の成果を挙げましたので、
東京、
大阪等でこのカラー・
テレビジヨンの公開展覧等をもいたしまして、今後更に積極的にこのカラー・
テレビジヨンの
研究を進めることにいたしております。
次にこの貴重な機会を頂きまして少しく
テレビジヨン以外の協会の
業務全般について申上げたいと存じますが、私
どもはこの
テレビジヨン放送計画と併せまして、中波及び国際
放送の面でも内には
放送文化を通じて
国民の
福祉に寄与し、外に対しましては、国際
放送を通じて国際親善と世界平和に力を尽しますよう
施設及び番組面の拡充に努めております。先ず番組面につきましては、
国会の御
審議の際にお示し下さいましたいろいろの御趣旨を体しまして、正確にして迅速なニユースの豊富なる提供、青少年教育
放送の拡充、健全明朗な娯楽
放送の充実、ローカル
放送の拡充、国際知識の普及等を始め広く
国民大衆の要望に応えますと共に、我が国文化の向上に寄与することを念願して参りましたが、特に次代を担いますところの青少年に対する教育
放送の番組には特に力を入れたいと存じます。学校
放送や職業教育
通信講座等の拡充、というような
方面に力を入れておる次第であります。又国際知識の普及の面では、
アメリカやイギリス、フランス等に特派員を配置いたしまして、海外各
放送局とも番組資料等を交換いたしますほか、更に海外諸国の著名芸能人を招聘いたしましたり、或いは生の
放送を
中継し、或いは録音によりまして交換
放送をするというようなことで、海外の重要な事件と優れた芸能文化の紹介にも努めておりますが、今後ともますますこの世界的視野に立
つて番組の編成に力を注ぎたいと存じております。更に私
どもといたしましてはこれだけで満足せず、将来はたとえ
聴取者が、聞く人がそれほど多くありませんでも、高度の芸術及び教養番組、特殊な
通信講座とい
つたようなものを国の文化の面上というような気持で取入れたいというようなことも
研究中でございます。
又海外
放送は祖国の独立に先立ちまして、本年二月から北米を初めといたしまして五つの方向に
電波によりまして海外
放送、国際
放送を行な
つておりまして、海外からも非常な反響を呼んでおりますので、更に多くの
方面に向いましてこの
放送を
計画、拡充を図り、その趣旨に副いたいと
考えております。
次に
施設の画では第一
放送、第二
放送とも民聴区域一〇〇%を目指しまして、
放送局、
中継局の増設を行な
つておりますが、更にこれからは単に
日本中に
放送が聞えるというだけではなくて、各
地域々々で地方の行政とか地方の文化によくマツチした、密接に結び付いた
放送を提供いたしますように
放送局のあり方を確立、その
方針に
従つて放送局のあり方を確立いたしたいと存じて、そのための支局の連絡を進めて、
国民の生活に結び付いた
放送局たらしめたいと思
つております。
最後に
研究機関のことでありますが、
公共放送を承わる私
どもといたしまして、この
研究機関の充実ということが非常に必要であるという
見地に立ちまして、
技術の
研究所、
放送文化の
研究所、この
二つの
研究機関には力を入れまして、必要な経費を持ち、又単に機構を充実するばかりでなく、それに当面する人は優秀な
研究員を動員いたしておりますが、更に
放送局内に限らず、部外の権威者のかたちと協力いたしまして、共同
研究も
実施いたしまして、とにかくこの
研究機関を重要視して
放送運営と直結させ、いわば
放送の原動力としてや
つて行くという
方針でございます。
以上貴重な時間を頂戴いたしまして、非常に簡単ではございましたが、申述べましたが、
NHKは
テレビジヨン放送と中波
放送を一体として、運営し、これを
公共放送のいわば車の両輪として、その成果を遺憾なく発揮して行きたいと
考えております。つきましては、今回提出されました
テレビジヨン放送の補正
予算等につきまして、どうぞ格別の御同情を以ちまして、
国家的見地から御
審議をして頂きますことをお願い申し上げます。