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政府委員(
牛場信彦君) 大体西ドイツは思い切つたことをや
つておるようであります。そのほかのフランスにいたしましても、イタリーにいたしましても、大体似たようなことをや
つておるので、全然そういうことをや
つていないのは恐らくアメリカ、カナダ、イギリスくらいのものではないかと思いますが、やり方に大体におきまして、
一つは税制面における優遇措置、その二はいわゆる
輸出振興外貨、これを或る
程度大幅につけまして、
輸入権というようなことでや
つております。それから更にもう
一つは
輸出金融の金利を普通の金利よりよほど低くする。大体この三つが主な行き方のように考えられます。
例えば、西ドイツで申上げますと、この税制の問題でありますが、これに
輸出品につきましては
輸出業者が一%、それからメーカーは三%の特別積立を認められまして、これを十年間になし崩して行けばよいということにな
つております。そのほかにメーカーにつきましては更に三%、これはもう完全に所得から控除してしまう、税金の対象にしないということをや
つておるようであります。これを合せますと七%くらいのここにマージンが出て来るようにな
つておるようであります。勿論これは
輸出品の値段の上に七%というのが出て来るというのではないのであります。課税の
関係の上にそれだけのマージンが出て来るようにな
つております。それから金利につきましては、
日本で言います
輸出貿易の段階におきまして、大体仕向け地の金利を利用する。金利がドイツの金利よりも高い場合にはドイツの国内の金利によるということによりまして、非常に安い金利を出しております。それからもう
一つ輸出振興外貨の問題でありますが、これはドイツは
日本の
輸出振興外貨に
相当するものは確か四%だつたと思いますが、それ以外に大体四〇%の
輸入権というもの与えまして、これはドル向けの
輸出についてだけのみでありますが、これを自由に転売を許しております。又
輸入品によりまして食糧、原材料その他殆んどあらゆる重要物資が買えるようにな
つておる。中には
輸入権を利用しなければ買えないようなものもあります。従いまして
輸入権に
相当プレミアムが付く。一番高いときには一割を越えたということを聞いております。
只今ではそれほどではなく五、六%
程度だというように伺
つておしりますが、そういうような行き方を、や
つておるわけであります。殊にこの
輸出振興外貨につきましてはその率を上げろという御要求が随分各行
方面から出ますが、ドイツの場合はちよつと
日本と違います。
輸入方式が大体におきまして
輸入業者を主としたやり方にな
つておりまして、現在
日本では重要な品目については、殆んどメーカー割当をや
つておりますが、それがなくて
輸入業者が自分の判断で
輸入ができることにな
つておりますために、
日本で言います
輸出振興外貨、ドイツで言います
輸入権、これは割合に利用の途が広くて、そこに
相当のマージンが生まれて来ておるということにな
つておるように認められます。ただそれらの措置につきましては外国においてはドイツに対する非難が強いそうでありまして殊に税金の天引などは、これは補助金と変らないという非難があるようでありますが、としかく
相当程度これで成績も挙げておることは認めざるを得ないと思います。