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1953-02-19 第15回国会 参議院 通商産業委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十九日(木曜日)    午後二時一分開会   —————————————   委員の異動 二月十八日委員竹中七郎君辞任につ き、その補欠として境野清雄君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     結城 安次君    委員            古池 信三君            小滝  彬君            左藤 義詮君            松平 勇雄君            山本 米治君            加藤 正人君            小松 正雄君            石川 清一君            西田 隆男君   衆議院議員            春日 一幸君   政府委員    通商産業政務次    官       小平 久雄君    通商産業省通商    局長      牛場 信彦君    通商産業省重工    業局長     葦沢 大義君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案衆議院送付) ○輸出信用保険法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○輸出品取締法の一部を改正する法律  案(内関送付) ○通商及び産業一般に関する調査の件  (輸出振興制度に関する件)   —————————————
  2. 結城安次

    委員長結城安次君) それでは只今から委員会を開会いたします。  会議に入ります前にちよつと御相談申すことがございますが、それは昨日、明日の電力事情並びに電源開発現状に関して説明を聞くということで、電源開発株式会社総裁高碕氏、副総裁進藤氏及び永田理事から伺うことになつておりましたが、高碕総裁は明日どうしても先約で都合がつかないので、副総裁でこれは聞いて頂きたいというお申出でがありますが、副総裁並びに永田理事だけでよろしうございますか。御異議なければ明日予定通りいたしたいと思いますが。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 結城安次

    委員長結城安次君) それではさよう取計らいますから、明日は高碕総裁は欠席いたしますから、御了承願います。  それから本日は予備審査として中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案衆議院議員澄勇君ほか十二名提出予備審査であります。それから輸出信用保険法の一部を改正する法律案内閣提出予備審査とありますが、この両案の提案理由を御説明願うことにいたしますが、先ず以て第一の中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案、この提案理由衆議院議院春日さんから御説明願います。
  4. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) お許しを得まして、只今お手許へ御配付願いました中小企業等協同組合法中一部改正法律案につきまして、保険事業協同組合形体で行なつて行くという、この法律提案理由説明をいたしたいと思います。  この法律は簡単に申上げますると、現在保険料率が、火災保険料率が非常に高いので、現在日本におきましては大体二〇%未満というような極めて低い料率でございまして、特にまあ中小企業者火災等によつて焼火をいたしました場合、自力によつて再び再起するということができ得ない状態にあるのでありまして、このことは結局火災保険料が非常に高いということもございまするが、更に一歩進んで、こういうような火災保険というような仕事は、相互扶助協同組合精神或いは協同組合福利厚生施設というような考え方の上において、やはり立法されるベきであるというような考え方の上に立ちまして、社会党左右両派並びに改進党の共同提案によりまして現在衆議院審議されておるものでございます。審議がいろいろ捗つておりません関係上、参議院におかれましても並行的に事前の御審議を煩わしたいと、こういうことで本日予備審議をお願いするに至つた次第でございます。以下その理由について簡単に御説明申上げたいと思います。  終戦後七年有半を閲しまして、待望の独立を迎えましたが、政治上の独立を確立いたします為には、経済目立裏付けが必要であることは、贅言を要しませぬ。  このためには、我が国経済共盤を形成するところの中小商工業に対して、その育成振興を強力に具現いたさなければならないことも又多言を要しないところであります。  然るに、わが国の中小企業は、資本力が脆弱でありますのみならず、経営技術の面においても不合理な点が多いのでありまして、かかる欠陥が循環的に資本力の脆弱さを倍化いたしておる、これが本日の中小企業実情でございます。  従いまして、国の内外の経済情勢の変動の影響を最も敏感に受けやすい立場におかれながら、財政、金融税制等中小企業を囲繞する外的な諸条件合理化努力しなければならないと同時に、中小企業者自身も又相互扶助精神に基く協同組合を組織し、団結の力によつて企業経営内容健全合理化を図るための自立的、積極的な努力をもいたさなければなりません。  この組織化協同化に関する某本法として生誕いたしました昭和一十四年法律第百八十一号、中小企業等協同組合法は、いわば中小企業基本法典とも申すべきものでありまして、公布以来三年有半を経まして、本法に基く中小企業者組織化は着々として進捗いたしまして、その間法の不備を補い、欠点を改めて今日に至つておるのであります。  然るに組合員相互自家保険に関しましては、戦後の損害保険業者の独占的且つ高率保険料強行の重圧より免れんとする中小企業者自己防衛的手段といたしまして、爾来各地に保険組合運動、特に火災共済運動消費生活協同組合法に準拠し、或いは又中小企業等協同組合又はこの連合会附帯事業として営まれ、又将来営まれんとするような形勢にあるのであります。  このことは本法制定当時、関係者の間で、本法第七十条第一項、第三号の事業協同組合事業中「組合員福利厚生に関する施設」の解釈に付きまして、組合員相互保険に関する事業を包合するかどうかについて相当の論議があつたのでありまして、そこで中小企業者の意図する相互協同精神画龍点睛を欠いた憾みを残したまま今日に至つたのであります。この際、現行法規の曖昧な表現を一擲しまして、中小企業等協同組合法中に改めて火災保険組合及び火災保険中央会に関する条項を追加改正せんとするのが、本法律案提出趣旨であります。  次にその大要を申上げます。  第一に、保険組合は、都道府県を区域とした地域組合に限定いたしました。  これは保険そのもの性質から考えまして危険を単位地域を現在の行政単位区域にまで拡大いたしまして、リスクの分散を図らんとするのが狙いであります。  第二に、組合員資格に関しましては、農林畜水産業者を除く中小企業者及びその従業員を対象といたしまして、員外利用を認めない方針といたしたのであります。  第三は、中小企業者範囲の限定でありますが、これは中小企業等協同組合法に規定する中小企業者範囲と同一といたした点であります。  第四は、保険種類でありまして、これは人の生命又は身体に関する事故による損害を除き、火災によつて蒙る損害を補填するための相互保険事業保険組合が営み、その再保険事業を同、中央会が行うのであります。  第五は、保険組合は、非出資組合である点であります。  第六は、保険組合の、設立認可に関する事項を規定した点であります。  これには厳重な保証要件を求めることといたしまして、例えば地方公共団体又は金融機関組合火災保険事業に要する資金を保証することにいたしました。一亘事故が生じまして、而してその組合に対してその組合保険料を支払うことのできないようなことが想定されますので、その場合におきましては、地方公共団体なり、或いは又確固たる金融機関裏付けがありまして、そういう保険組合に対してその利益が確実に保護されるという態勢がこれによつて裏付けされておるわけであります。そういうような方法をいたしますと同時に、又他に保険加入、或いは又火災保険組合中央会等において再保険を引受ける、これらの方法によりまして、単位組合の危険が更に保証されておる機関によつて裏付けされるというような体形が、そこに考慮されておるのでございます。  第七の点は、保険組合に対する監督は、通商産業大臣の所管とし、その保険事業については、保険業法適用除外といたしておるのでございます。  以上が改正案の主要な点であります。  何とぞ慎重御審議の上速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。なお本法案は今澄勇君、それから改進党の山手滿男君、それから不肖春日一幸の三名がそれぞれ御答弁に立つことに相成つておりますので、いろいろ御質疑がございますれば、この三名が代り代り御答弁をさせて頂くことになつております。よろしくお願いいたします。
  5. 結城安次

    委員長結城安次君) 只今本法に対する御説明がありましたが、何か御質疑があれば……。委員長からお願いしないのは、これに関する資料ですな、プレミアムはどうするか、保険の、つまり損害の分布はどういうふうになるだろうか、それからいろいろな再保険の場合に、再保険中央会がやりますが、その場合中央会ですか、そこが支払能力はどういうふうにして保証するかとか、つまり赤の場合どうするか、大きな火事があつた場合どうするか、いろいろな御調査がありましようが、それらの資料の御提案をこの次にお願いいたしておきます。それからその資料はできるだけお早くお願いすれば、皆さんに御配布しておきますから、その資料によつて質問願うことにいたしますから……。
  6. 春日一幸

    衆議院議員春日一幸君) いろいろこの法案について疑問の点がおありでございますならば、それを一つ項目別にお示しを頂きますると、それを的確に解明いたしまして、文書でもつて回答を申上げ得ると思うのでありますが、只今委員長からお尋ねのありました再保険についての問題は、これは文中に明確に示されております通り地方公共団体がその地における中小商工業者をやはり保護するという建前におきまして地方自治団体条例議決をいたしまして、そこで何千万円を限度とする予算外義務負担議決を行うことによりまして、できたばかりの組合に対して、火災が起き、支払いができなかつた場合に、地方公共団体がその代理弁済の責に任ずる、こういうような構想の上に立つておりまして、而もそういうような条例議決が現在地方自治団体に行われて、そういう裏付けによつて、即ち保険協同組合がそれを払うことができなかつた場合に、県が代つて払うという、そういう保証によつてこの保険業務が行われておる団体もございます。一例を申上げますると、愛知県などもその一つでございますが、更に東京、大阪、京都、神奈川等におきまして、そういう予算外義務負担を伴うところの条例議決が行われることによつて、その保険協同組合支払いができなかつた場合においては、そういう裏付けによつて保険業務が進んでおるのであります。なお中央会その他につきましては、これはすべて再保険を行うことによつて、将来中央会に再保険がプールされることによつて一定額準備金が蓄積されますので、従いましてその中央会において更に二重、三重の法律が後楯になつておるということでございます。従いまして中央会が再保険を引受けることにし、而も支払能力がその再保険料の蓄積によつて十分できますれば、将来地方自治団体のそういうような特別措置ということが必要でなくなるというようなことになると思いますが、いずれにしてもそういうように、その点あの点という御不審の点をお示し頂きますならば、一つ提案者のほうで協議をいたしまして、文書で速やかに御回答を申上げたいと存じます。
  7. 結城安次

    委員長結城安次君) 衆議院審議をしたと存じますが、何か衆議院のほうに提出した資料がございますれば、それも頂戴したい。それから只今あなたの、各地方団体予算外で出すのだというのは、これはまあ一つ資料になりますから、それも一つ材料として御提出を願いたい。それから又専門員のほうで、この法案をよく見まして、それから委員各位に諮りまして御要求申上げましたものをお出し願いたいと思います。よろしうございますか。別にこの次に質問をすることといたします。   —————————————
  8. 結城安次

    委員長結城安次君) 次に、輸出信用保険法の一部を改正する法律案提案理由小平政務次官からお伺いいたしたいと存じます。
  9. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) 輸出信用保険法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申上げます。  輸出信用保険は、制定以後数次の改正を経まして、現在四種類保険を包含する制度に発展しているのでありますが、最近の輸出取引実情に鑑み輸出振興の本旨を達成いたしますために、なお制度上改善、追加を要する点を生じておるのでありまして、本法律案は右の立場から、新たに外国為替銀行荷為替手形の買取りについて生ずる危険を担保する輸出手形保険を創設いたしますと共に、既設保険につきまして若干の改正を加え、以て本保険制度利用度を高め、普及を図ることにより輸出振興に資せんとするものであります。  今回の改正のうち新設の輸出手形保険制度は、最近の各国における輸出取引実情に鑑み、決済条件緩和を図る必要に基くものであります。戦後における我が国輸出取引決済条件は各種の事由により極めて厳格にいたしておりましてすべての輸出取引は原則として信用状に基く決済方法によることといたしております。  然かるに戦前におきましては、信用状を用いない輸出もかなりあつたわけでありますが、最近貿易正常化に伴い、且つ又海外との競争の関係もあり、信用状なしの取引に対する要請が逐次生じて参り、このため我が国貿易市場拡大のためには、決済条件の或る程度緩和も止むを得ないと考えられるに至つておるのでありまして、政府といたしましても、標準外決済許可基準を徐々に緩和いたし、特に輸出振興上必要があり、且つ弊害を伴わないと思われるものにつきましては、個々に審査した上、成るべく許可する方針をとつて参つているのであります。併しながら、このような信用状なしの輸出取引におきましては、代金回収のため振出された為替手形不渡りとなつて銀行損失を蒙る危険が存在しますために、銀行がかかる手形の買取りを拒否することも考えられ、ひいては輸出不能をも来たすことになりますので、今回外国為替銀行輸出手形を買取つたことによつて受ける損失をカバーするための輸出手形保険を創設いたしますと共に、手形不渡り輸出者の責に帰さない場合は、銀行政府から支払い受けた保険金限度において振出人にそ求しないこととして、輸出者の保護も行うこととしたのであります。  なお右のほか今回の改正によつて輸出貨物代金の回収不能によつて止じた損失を填補する現行乙種保険愼補範囲拡大して、設備輸出に伴つて提供される技術の対価についても保険し縛ることとし、又海外広告のために費用を支出したことによつて生ずる損失を填補する丁種保険適用範囲現行ドル地域から全世界へ拡大いたしたのであります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに可決されんことをお願いいたします。
  10. 結城安次

    委員長結城安次君) 只今の御説明に対して御質疑があればこの際お願いいたします。別にございませんか。それでは又この次にお願いすることにいたします。   —————————————
  11. 結城安次

    委員長結城安次君) それでは昨日提案理由説明がありました輸出品取締法の一部を改正する法律案、これに関して御質疑があればこの際お願いします。
  12. 小滝彬

    小滝彬君 昨日大臣に、いや次長にもいろいろ質問いたしましたが、一、二残つた点があるので、その点を質問したあとで、この問題を質問したいと思いますが。よろしうございますか。
  13. 結城安次

    委員長結城安次君) よろしうございます。
  14. 小滝彬

    小滝彬君 昨日高碕達之助さんの日印合弁製鉄会社計画が、インド側で頓挫したということは非常に残念なことだということを申上げましたが、それに対して大臣からも答弁があり、又新聞紙上で拝見いたしますと、岡崎外務大臣もこの問題について答弁しておられる。その中に、この問題は結局業者がやつたものであつて、我々としては深入りすることはできないというような趣旨を述べられたように書いてありますが、併しあの合弁案が頓挫したということは、東南アジアとの経済提携を念願し、その方面努力している人に非常に大きなシヨツクを与えたのではなかろうかと私には思われるのであります。昨月も申しましたように、こうした問題はただ単に高碕さんの計画というのでなしに、今後の更爾アジアとの貿易経済提携というものを考える者が常に留意してれかなければならん問題であつて東南アジアにあるところの在外公館は、こうした問題について基礎的な調査を常に進めて行かなければならんという意見を披瀝しておりましたが、これに関連しまして、本日は外務省側が見えておりませんが、幸いに通産局長が見えておりますから御質問いたしたいのは、一体東南アジア諸国、特にインドとか、パキスタン方面との条約関係は、今どういうような交渉態勢にあるかということをお伺いしたいと存じます。松尾君のほうにも一応は申上げたけれども、明確な答弁がなかつたので、この点について通産局長から、簡単で結構ですから、今の進行状態を述べて頂きたいと思います。
  15. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 通称条約関係交渉は、今のところまだ始まつておりませんのでございますが、インドは御承知通り、昨年特別に平和条約を結びまして、それによりまして事実上最恵国待遇を与えられることになつております。パキスタンにつきましては、サンフランシスコ条約によりまして、やはりそれと同じようなことになつておりまして、現在のところ関税の問題でありますとか、出入国などにつきまして、日本が特に差別待遇を受けているということはないことになつております。  貿易協定のほうでございますが、これはインドとの間には現在話が行われておりません。と申しますのは、大体日英支払協定精神で、通商貿易は成るべく自由にやるということでありまして、インドは当初から日本人に対しては成るべく自由に貿易をする考えであるから、貿易協定のようなものは必要ないのじやないかというようなことを通して、そのままになつておるのであります。併し現状は非常に状態が変つて参りましたので、或いは貿易協定のようなものを作る必要が出て来るかとも考えられますが、現在のところまだ交渉は行われておりません。パキスタンには昨年の秋以来交渉を早くやりたいということで申込んでございまして、向うから実はミツシヨンが来ることになつておるのであります。当初は、昨年の年末には来るという話でありましたので、万般の準備を整えて持つてつたのでありますが、その後いろいろな事由で延びて、まだ来朝をみるに至つておりません。そうしてその間パキスタンのほうとは、例えば綿花の輸出に対してリンク制でもつて輸入をやるというような新らしい制度を考え出しままして、非常に変則的な貿易の形になつて参りましたので、外務省のほうから至急係官を派遣いたしまして、現在パキスタン行つていろいろ事情を調べております。その報告によりますと、大体来週か再来週ぐらいには懸案の、ミツシヨンがこちらに来るようになるであろうという報告でございます。その上で貿易協定と申しますか、貿易計画と申しますか、本年一年間の輸出入の額ということにつきまして交渉をいたす手配になつております。問題は、勿論昨年一昨年と日本は非常に出超であつたわけでありまして、ところがこれはスターリング地域全体の国際収支の悪化とも関係しまして、先方では日本との貿易をやはり均衡をさせるように持つて行きたいという希望が強いようであります。併し私ども立場といたしましては、支払協定精神から申しまして、スターリング地域内の各国個々均衡した貿易を行うということは、これは非常に支払協定精神にも反するのであつて、バランスは飽くまで日本スターリング地域全体において見るべきである。個々の国において日本が当然出超になる性質の国については、出超を認められる資格ができているという建前をとつているのでありますが、パキスタン自身国際収支が非常に最近悪化しているようでありまして、まあ代表が来てみないとはつきりしたことは申上げられないのでありますが、とにかく相当均衡貿易の声が強い。これに対して日本のほうといたしましては、設備輸出その他につきましては、今回国会に提案いたしております輸出入銀行法改正などによりまして、或る程度長期クレジツトを与えられるような態勢にもなつております。その間そういうようなクレジツト供与の途も大いに利用いたしまして、何とかこれを拡大貿易のほうに持つて行きたいと考えております。
  16. 小滝彬

    小滝彬君 今局長さんからお話を聞きましたが、少し見方が甘いのじやないかという感じがします。というのは、成るほどインドとも条約関係があるし、それからパキスタンとも平和条約第十二条によつて最恵国持遇を与えられ、まあ別段差別待遇を受けていないという答弁でありますが、併し相当法律的な差別待遇を受けてなくても、どこの国でも輸入制限もあるし、いろいろ貿易上支障があつて日本業者は今インドパキスタンとの貿易関係が円滑に行つているというようには見てないというのが私ども見方なんです。又殊に私が質問をしたのは、実は貿易の点もありますけれども入国関係とか、例えば向うにおいての投資の関係というような点、即ち日印合弁事業に関連した意味で質問したわけでありまして、そうした面にもただ単にあの三下り半平和条約条項だけでは律し得ない問題が相当ある。その点についてアメリリカとの通商条約だけにこたわらず、もつとこれらの日本にとつて重大な地域との条約関係を確立するという努力がなされなければならんじやないかと思うのです。勿論包括的な通商条約にするということになればいろいろ困難もあるだろうけれども個々の問題についての取極めでも、一日も早くしてもらうことが、日本貿易振興東南アジアとの経済提携の上で必要じやないかと思うのです。例をとつて見れば、パキスタンとの貿易振興の話が出ましたけれども、それよりもあそこヘの入国及び特に出張所の問題というようなものについて、現地行つた者相当つている。その点は恐らく通商局長も知つておられると思うのですが、あそこに支店を設けることはできないので相当不便を現地におる業者は感じておるのだが、そういう点は全然知られないのか、或いは知つておられるとすれば、そうした面についての取極めを一日も早くする必要があるように感じられなければならないと思うのです。まあ幸い向うミツシヨンも来るようになれば、そうした話合いも進むだろうと思いますが、貿易極めのみならず、日本語で何と言いますかエタブリスマンについてのいろいろな取極めをする必要があると思うのですが、その点通商局長如何ですか。
  17. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 誠におつしやる通りで、私どももそういう方面は大いに促進いたさなければならないと思つております。ただ私が申上げましたのは、日本人だけ特に差別待遇を受けている状況ではないということを申上げましたので、例えば支店なんかにつきましても、資本金を半分以上向うが持たなければならんとか、或いは又何人かのパキスタン人を雇わなければならんというような話は、私どもよく伺つておるのでありますが、これはまあ、そういう状況で一番ひどいのは、御承知通りインドネシヤであるわけであります。非常に外国資本主義勢力の入つて来ることに対して不安を持つている状況は確かに認められますので、これは私ども誠意を披瀝してよく話をしなければならないと思つております。そういうような話合い外務省ともよく連絡いたしまして、是非一つ促進いたしたいと思つております。
  18. 小滝彬

    小滝彬君 それから先ほどの通商局長説明の中に貿易振興の問題が出たのですが、これに関連してお伺いしたいのは、時々新聞紙上などでEPUに似たもの、ヨーロツパの支払同盟に似たような制度をアジア諸国にも作つたらどうかというような意見も出ておる。或いはそういう面を、研究しておるかのようにも見られるのですが、この点は如何なものですか。勿論インドとかパキスタンスターリング地域のほうに入つている。又タイとかインドネシヤは違つた立場にあり、いろいろ通貨の問題で困難もあると思うのですが、この辺について当局ではどういう考えを持つておられるかお開きしたいと思います。
  19. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは只今貿易の決済が非常にバイラテラルなやり方でやつておりますために非常に困難が多いのであつて、これは多角決済に成るべく持つて行きたいという希望はみんな持つていることと思うのですが、具体的にアジアにそういうような決済同盟を作るというような考察は、これはまだ通産省といたしましては研究いたしておるという段階でありまして、成案は勿論得ていない状況でございます。これはむしろ私の私見のようなことになりまするが、ヨーロッパの欧洲決済同盟の歴史を見てみましても、あれは要するに片一方に恒常的な出超国があつて、片一方には恒常的な入超国があるというような状況では、なかなかこれは困難な制度でありまして、どうしてもやはりお互に有無相通ずるというような経済機構が構成国の間にないと、長い間に立つて成功することはむずかしいのではないかということが一つ考えられます。アジアに例をとつて見ますと、工業国らしいのは日本一カ国でありまして、あとは全部原料生産国というような恰好になつておりますので、その間の決済の尻が常に日本のほうに有利になつて来るような傾向もあるのではないか。そういうような場合にどこかの品が、特に現状ではアメリカ以外にはないわけでありますが、非常に大きな財政的な援助をしてくれるということでないと、決済同盟そのものが潰れてしまうようなふうになることもあるのではないかと考られます。それからもう一つ欧州決済同盟の非常な利点として考えられますのは、貿易を自由にして輸出入の管理を緩和したということであります。七割ぐらいまでの輸入、殊にこれは輸入制限緩和でありますが、輸入各国とも全部自由にして相互の間をやつているという状態でありますが、今の日本の国内産業の状況から見まして、そういうような措置がとり得るものかどうか。若し東亜でそういう決済同盟を作りますには、日本が先頭に立つてそういうことをやらなければならぬわけでありますが、その点でまだちよつと自信の持てない点があるのではないかというように、これは私のほんの私見でありますが、考えております。
  20. 小滝彬

    小滝彬君 今の説明で、日本は工業国であり他は原料国だ、但し貿易は不均衡になつておるというのですが、若しそうだつたら、ことほどさようにこのEPUに類したような組織を作る余地がありはせんかというようにも考えられるし、又相手国が原料輸出国で、こちらが工業品の生産国であれば、貿易障害の緩和、撤廃というような問題、もつとひらたく言えば、関税の引下げというような点でも、日本は、主として原料九を入れるから関税政策の上では余り大きな困難を感じないで、そうした関係こそよく研究して行つたら、日本にとつては有利に解決して行きはせんかというようにも見られるわけです。但し今支払関係も不均衡になつて、おるから、それをよくして行くのにはやはり先方に対する投資というものが必要になつて来る。だから又最初の例に還りますが、日印合弁のようなものが進んで行くことに非常に望ましい。ところが今までのところ政府のほうからは或いは稲垣さんが出られたとか、橋本君が行つたというように、お偉方は行かれるけれども、果してどれだけ技術者などの交換なり、技術者が向う行つて指導せられるというような問題に努力せられたかどうか、この点について多少私は疑問を持つておるのです。大局的に研究をするということも勿論必要ですが、そうした面は技術的な提携の面から言えば、特に事務当局のほうで率先して、いろいろの立案をせられなければならんと思うので、そうした面で技術使というようなものを通産省で設けるというのですが、これも人員も限られているのだろうから、もつと農業とか或いは家内工業のようなものを、向うで一番歓迎するものだから、そうしたフリクシヨンを起さないようなものから先ず進めて行つて、そうして東南アジアとの貿易を進めて行かなければならんと思うわけです。そうした技術的な面の提携について、今多少話も進んでおるように新聞紙等で承知しておりますが、そうした面における当局の今の施策はどの程度まで進んでおるか、これを最後にお伺いしたい。
  21. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 技術提携の問題は、これは日本東南アジア貿易振興して行く上におきましても非常に重大な問題であるということは、私どもも痛感しておるところでございます。ただ現在までのところでは、政府として殆んど何らの奨励策と申しますか、そういうようなことを具体的に執つてはおりません。ためにはかばかしく行かなかつた点も確かにあると思います。今回の予算案には先ほどお話がありました技術使の問題、もう一つそれから当方から出します技術者の援護、それから更に向うから受入れます技術者の養成、そういうようなことのためにやはり予算を計上いたしまして、御審議を仰いでおる次第でございます。それから具体的に今進行中の話と申しますのは、これは主として今おつしやいましたような小さい工業のものが多いのでございます。最近できましたのはインドネシアでソーダを作る工場を旭硝子と向う側の資本と提携して、これはもう実際向うから金も送つて参りました。こちらから機械を出して、更にそれを投資の形にして行くという恰好できまつて、もうスタートしておるわけであります。それから。パキスタンインドにおきましても小さな工業は少しずつそういうような意味の提携ができておりますが、御承知通りこれまでの輸出入銀行法によりますというと、そういう投資に対して金融ができないことになつております。それがまあ非常に一つの障害になつてつたのでありますが、これにつきましても今度の国会に改正案提出いたしておりまして、投資について十年、場合によつては十五年くらいまでも金融をつけるという形になつて、来ております、予算上の措置とこの輸出入銀行法における改正、この二つが相まちまして、今後は技術の交流は活発化するものと大いに期待しております。又そういうように努力いたしたいと思つております。
  22. 小滝彬

    小滝彬君 一般的な問題はこれくらいにしまして、輸出品取締法について私は十分知識がないのでありますが、気の付いたことを二、三お伺いしたいと思います。この輸出品取締法は私も承知しておりますが、占領下で非常に民主的なやり方で法案を考えるなら、司令部は承認しようというような経過があつてできたものでありまして、まあスポツト・チエツクというようなものを主眼としてできたというように記憶しておるわけであります。ところがその後の実情においてみましても、日本品に対する海外の声価というものは余り芳ばしくない、そこで、今までのような手ぬるいやり方では、本当にこの取締法の目的を達成することができないのじやないかということが恐れられておるわけなんです。従つてどもが、はたから見ておると、こういう一部の改正でなしに、もつと根本的に取締法を改正する必要がありはしないかということを感ずるのですが、この点については通産省ではどういうふうに考えておられますか、お伺いいたしたい。
  23. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 恐らく根本的改正が必要ではないかとおつしやいます趣旨は、これはもう少し取締を強化して、例えば国家検査というようなことを大いに励行して、不良品の出ないようにしろという御趣旨じやないかと思いますが、これにつきましては又一方から考えますと、大体商業道徳の発達した国においては、検査というのは自己検査のほうが本来であるのであつて、国家の検査に頼らなければこの輸出品の保持ができないということは、非常に歎かわしい状況であるという見地もあるわけでありまして、又国家検査を拡充するということになりますと、これは予算上の問題などで非常に困難がございます。今回の改正相当思いきつた改正はいたしておるつもりでございますが、まあ新らしい法律を作るというよりは、従来の法律改正で行つたほうが適当であろうということで、こういうことになつておる次第であります。
  24. 小滝彬

    小滝彬君 まあ漸進主義で、成るべく業者の自発的な覚醒に待つというお考えのようですが、私はできればこの取締をもう少し強化する。取締だけではいけないから、他の施策も講じられなくてはいけないが、そうした面に、もう少し進んだやり方をされる必要がありはしないかという意味で聞いたわけなんです。  ところで、一体この被登録者は手数料に頼つておるものだろうと思いますが、この手数料というのは政府の検査所と同じ程度のものですか。その点はどうなつておるのですか。
  25. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) これは政府の検査と同じようにきめるつもりでございます。
  26. 小滝彬

    小滝彬君 今、輸出振興というものを非常に叫ばれておる。大臣も昨日抱負を述べられたのですが、下手に振興策を講じるというと、ガツトとの関係があるとか、或いは通商条約との関係があるとか、対外的な反響が面白くないというような面があるので、困難があるのと、もう一つは予算の面でいろいろ大蔵省との折衝に皆さんが困難を感じられるという点があるのだろうと思います。だが併しこの日本品の品質を向上するしいうことは非常に大事なことで、そこでこの被登録者の検査を受ける場合に、又は政府機関の検査を受ける場合にも、輸出業者は百分の一を超えない範囲で手数料を払う。これは少くとも税のようなものだと思います。これを、手数料を払わないで国営の機関でございますか、或いは委託してもよろしいのですが、この費用をかけさせないような方法を採りたいというお考えはないかどうか。これは一つ輸出に対する課税のようなものにも見られるので、この手数料について何か専門のかたは御意見をお持ちじやないか、お伺いいたしたい。
  27. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) お説のようなことができますというと非常にいいと思うのでありますが、何分これはやはり一種の公共的利益のためにやることでありまして、やはりそういう見地から申しますと、或る程度実費を徴収するということは現在のところにおいては止むを得ないところだと考えております。
  28. 小滝彬

    小滝彬君 いや公共的利益のためにやるのだつたら、特に政府が見て、そこで予算面なんかで困難があるかも知らんけれども、公共的利益、日本輸出振興のためにやるのだから、せめて通産当局としてはこうした面からも考えて、輸出振興策を講じられる必要がありはしないかというふうに考えたわけで申上げたわけなんです。勿論今だんだん金融措置も講じられるとか、或いはいろいろ外貨の貸付とか、いろいろ措置を講じられておるとか、優先外貨の制度も対外的に困りはせんかとか、或いは補給金を出したらガットへ入るのに困難になりはせんかというような、まあ対外的な困難があるわけなんですね。この手数料を官給にしたところで、これは消費者側の利益も十分考えてあることであつて、不正なる輸出を抑えるための措置に国費を使うのだから、対外的も弊害は少いのじやないか。そういう意味で局長の言うように、公共的なものにやるのなら、ことほどさように政府のほうでその費用は見てやつてもいいのじやないかというように考えられるのですが、如何ですか。
  29. 結城安次

    委員長結城安次君) 只今小滝委員質問に兼ねて、私からも一緒に伺つておきますが、検査料の一分というものは非常に高率なものじやないかと思うのは、過去戦前の買易商のコンミツシヨンというのは、大抵インポート、それから向うの両方で三分、それで一分が販売店、一分が仕入店、一分が雑費、電信料等を見て先ず三分、我々は大抵ふだんでは三分が基準で、場合によると二分であつたものです。ところが輸出検査のために一分取られては、どうもこの頃私疎いから十分よくわからんですが、ちよつと高過ぎやせんかと思うのと同時に、この輸出検査は本来私が仮りにメーカーとして輸出するなら御免蒙る。私はもうそんな検査されなくちや出されないものは拵えませんよと言うのが本来の良識だと思うのです。悪い奴のために大多数の者の検査までするのなら、こんなパーセントは、高過ぎるので、実は局長の公共云々というのは、私は日本の信用維持のためというふうに了解しますが、それならば国費でやるのが当然じやないかと思いますが、これは一緒に一つ答弁を願います。
  30. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) 小滝委員並びに委員長のお話は誠に御尤だと思います。只今検査料が百分の一というお話でございましたが、これは従来民間でやつておりましたものも大体千分の一だそうであります。それから政府機関のものはこれよりも若干高くなつておるそうであります。又将来につきましては政令できめることに相成つておりますが、これも大体現行程度のもので参りたいとこういうことであります。それにいたしましても只今お話のありました通り、この輸出振興というような問題にいたしましても、成るべく検査等は無料でやるべきだ、こういうお考えは誠に御尤もと存じますので、今後一つ趣旨に副うように研究いたしたいと思います。
  31. 小滝彬

    小滝彬君 只今政務次官から適切なる御答弁に接しましたので私も満足したわけなんであります。この手数料のみならず、近頃は輸出入の許可には手数料を取つていはしないか、こういう零細なものでも貿易業者にとつては、マージンが少いものですから非常に大きなものです。その点は是非通産当局で考えの中に入れておいて頂きたいと思います。  それからその次に、この検査に合格して等級の表示があつて、そうして輸出されたもので、いざ向うへ着いてみるとクレームが起るという場合が相当あるんだろうと思います。そういう例は全然ないのか、私の知つておる範囲では相当あると思うのですが、この検査を受けたものと、そうして向う行つてからクレームの起つた件数というようなものについて、事務当局で何か資料をお持ちでありましたら説明して頂きたいと思います。鮭かなんかああいうものもそうなんでしよう。
  32. 小平久雄

    政府委員小平久雄君) 只今詳細な資料を持つておらないのでありますが、米国に食薬化粧品法という法律があるそうでありまして、それの関係で若干御指摘のような問題が起きたことがあるそうであります。いずれも取調ベまして詳細御報告申上げたいと思います。ただ聞いておるところによりますと、その品質そのものというよりも、何かクレームの付く場合は、要するに契約に違つておるという関係で、いわゆる検品が十分でないという関係からクレームが付いておる場合があるやに聞いております。この御質問の点は詳細又改めて御報告いたします。
  33. 小滝彬

    小滝彬君 まあクレームの大部分は検査機関との関係のないだろうということは私も知つておりますが、そういう場合があるんじやないかと思う。そこで検査が十分でなかつたためにクレームが起つたような場合、一体検査機関の責任はどうなるか、損害を補償しなければならないというような場合、勿論当事者のほうも責任があるでありましようが、その際検査機関は全然責任がないということは言えないんです。これに対して何らか考慮が加えられておるかどうか、今までそういうケースはなかつたかどうか、その辺のことをお伺いしたいと思います。
  34. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 只今の御質問は、確かに考慮すべき問題であるのでありますが、大体荷物が仕向地に着きましてからあとクレームが起るわけでありますが、その荷物が検査を通りまして船に積まれて向うヘ着く間に、又どういう瑕疵が生ずるかも実際上なかなかわからないわけであります。従いましてクレームの責任が船積前の商品にあるのか、或いは商品の検査機関にあるか、或いは運送途中にあるのか、或いは輸入業者の側にあるのかというようなことは、実際上立証することが非常に困難なわけであります。又場合によつてはこれは向う側のバイヤーと共謀して、若し検査機関が補償するということになりました場合には、先方のバイヤーと共謀して、補償を取るというようなことをやる者がないとは限らないわけであります。これはなかなか防止しにくい問題でふります。こういうような観点からして諸外国におきましても検査機関は一切補償の責に任じないということになつておるように承わつております。併しながらこれは何かの形で救済できればする必要があると思うのでありまして、本日提案になりました輸出信用保険、あの制度を更にもう少し拡張いたしまして、検査済のものにつきまして特別に低率の保険をかけるというようなこともできるんじやないかと思います。これは今後更に十分実績を見ました上で検討して参りたいと思います。
  35. 小滝彬

    小滝彬君 今通商局長が言うように、どこの責任かというようなことは非常に決定することがむずかしい問題だろうと思います。そこでこれに関連して、今国際商事裁所と言うのですか、ああいう機関日本商工会議所の中に設けられて、曾つて越智君が相当そこの事務局長をしておりましたが、あの仲裁機関というものはこういうときに利用できる性質のものですか。又あの機関は今どういうように動いているか。或いは作つたけれども全然役をしていないか。あの商事仲裁機関と申しますか、あれはどういうように利用されているかをついでにお伺いいたして置きます。
  36. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 昨年アメリカとの間にはこちらの商事仲裁委員会向うの同様な機関との間に協定ができまして、日米間のこういうクレーム関係、紛争は原則としてそこで裁定するということになつておりまして、そのほかの国との間にはそういうような協定はまだできておりませんですが、併し契約の中にそういう条項を入れて置けばあの委員会に問題を持出されるということになるわけであります。今後ますます発展して行くものと私は期待いたしております。
  37. 小滝彬

    小滝彬君 ここで答弁して頂く必要はないですが、あの活動状況はどういうふうになつているか。どういう問題が事実アメリカとの間に起つてあれが利用されたか。その状況をこの次の会でも、いつでもいいから御提出を願います。  次に、検査機関は被登録者において行われるということになつておりますが、これについて或いは馴れ合いであるとか、いろいろな弊害もありはしないか。それについての罰則もあるようですが、又第七条の九を見るというと、政府の職員が事務所や或いは倉庫の中へ入つて行くことができるというような規定も設けられているので、万々そういう検査機関が特権を濫用するというようなことはないだろうと思いますけれども、これについてこれまでの経験はどうであつたか、又それについて如何なる監視方法を取つておられるか。又検査機関にいる人は公務員のような地位を持つている者かどうか、そうした面をお伺いいたしたいと思います。
  38. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 従来は一定の資格を備えている者が申請いたしましたときには登録しなければならないということになつておりました。従いまして非秘中に被登録者数が殖えまして、それが先ほども御指摘のありましたように、いろいろな日本品の品質に関する不評判を生じた一つの大きな原因だつたのであります。この点を是正するのがこの法律改正一つのと申しますか、一番大きな狙いであるわけでありましよう。従いまして、例えば従来の実績を申上げますと、この立入検査の結果といたしまして、事故の比率が一割一分ということになつておりました。四万五千の検査件数に対しまして事故件数が五千ある、事故比率が一割一分ということになつております。これはまあこういう種類の検査といたしましては、非常に高い事故率と認めざるを得ないわけであります。これを今回の改正によりましてなくそうという狙いであります。従いましてこの被登録者の資格の中に、最後に検査機関が余りに多くなり過ぎまして、その結果粗雑に流れるということを防ぐ意味で、第七条の五の第一項の六というような条項も入れてあるわけであります。検査員の身分につきましてはこれは公務員の身分を認めることは考えておりません。
  39. 小滝彬

    小滝彬君 大分長くなりますから、この辺で打切りたいと思いますが、この仕向け地別に包装条件を異にするということに今度改正されるようですが、これは一体一般の標準があつて、特に文化程度の高いところへだけ別個のものを向けるというわけであつて、原則として全部に適用するが、特別な国だけを摘出して、そうしてそこへだけ別個の条件を付けるという趣旨でございますか、それに間違いありませんか
  40. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) そういうことであります。
  41. 小滝彬

    小滝彬君 私大体それだけで結構です。
  42. 結城安次

    委員長結城安次君) 小松さん別にございませんか。   —————————————
  43. 結城安次

    委員長結城安次君) それでは次に移りますが、武器等製造法案、これは説明は承わつておりますが、質疑は如何ですか。今日は聞きたい人はおらんようですが、それではこれはこの次に延ばします。  そうすると何か折角見えておりますから、通産省一般のことで何か御質疑あればこの際御一緒にやつて頂きたいと思います。
  44. 小滝彬

    小滝彬君 実は通産省から外国への輸出振興制度というものが研究されていろいろなものへ発表されていますが、あれのまとまつたものがあればこの委員会へも是非見せて頂きたいと思います。殊に小室君などはわざわざ西ドイツまで行つた。いろいろ新聞等には発表しているが、我々通産委員会にはまだ何ら発表してない。ここに世間には発表できないようなものでも、もつと詳しいものがあれば是非提出して頂きたい。
  45. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) ドイツのことで一番最近詳しく調ベましたのがございます。それからそのほかの国の制度につきましても、従来少しづつ調べて来たものがございますので、成るべく早く提出するようにしたいと思います。
  46. 結城安次

    委員長結城安次君) 簡単に今の西ドイツの輸出振興政策について、読むよりは聞くほうが早いから、資料は頂戴いたしますが、大体の筋はこうだということを御説明願いたい。
  47. 牛場信彦

    政府委員牛場信彦君) 大体西ドイツは思い切つたことをやつておるようであります。そのほかのフランスにいたしましても、イタリーにいたしましても、大体似たようなことをやつておるので、全然そういうことをやつていないのは恐らくアメリカ、カナダ、イギリスくらいのものではないかと思いますが、やり方に大体におきまして、一つは税制面における優遇措置、その二はいわゆる輸出振興外貨、これを或る程度大幅につけまして、輸入権というようなことでやつております。それから更にもう一つ輸出金融の金利を普通の金利よりよほど低くする。大体この三つが主な行き方のように考えられます。  例えば、西ドイツで申上げますと、この税制の問題でありますが、これに輸出品につきましては輸出業者が一%、それからメーカーは三%の特別積立を認められまして、これを十年間になし崩して行けばよいということになつております。そのほかにメーカーにつきましては更に三%、これはもう完全に所得から控除してしまう、税金の対象にしないということをやつておるようであります。これを合せますと七%くらいのここにマージンが出て来るようになつておるようであります。勿論これは輸出品の値段の上に七%というのが出て来るというのではないのであります。課税の関係の上にそれだけのマージンが出て来るようになつております。それから金利につきましては、日本で言います輸出貿易の段階におきまして、大体仕向け地の金利を利用する。金利がドイツの金利よりも高い場合にはドイツの国内の金利によるということによりまして、非常に安い金利を出しております。それからもう一つ輸出振興外貨の問題でありますが、これはドイツは日本輸出振興外貨に相当するものは確か四%だつたと思いますが、それ以外に大体四〇%の輸入権というもの与えまして、これはドル向けの輸出についてだけのみでありますが、これを自由に転売を許しております。又輸入品によりまして食糧、原材料その他殆んどあらゆる重要物資が買えるようになつておる。中には輸入権を利用しなければ買えないようなものもあります。従いまして輸入権に相当プレミアムが付く。一番高いときには一割を越えたということを聞いております。只今ではそれほどではなく五、六%程度だというように伺つておしりますが、そういうような行き方を、やつておるわけであります。殊にこの輸出振興外貨につきましてはその率を上げろという御要求が随分各行方面から出ますが、ドイツの場合はちよつと日本と違います。輸入方式が大体におきまして輸入業者を主としたやり方になつておりまして、現在日本では重要な品目については、殆んどメーカー割当をやつておりますが、それがなくて輸入業者が自分の判断で輸入ができることになつておりますために、日本で言います輸出振興外貨、ドイツで言います輸入権、これは割合に利用の途が広くて、そこに相当のマージンが生まれて来ておるということになつておるように認められます。ただそれらの措置につきましては外国においてはドイツに対する非難が強いそうでありまして殊に税金の天引などは、これは補助金と変らないという非難があるようでありますが、としかく相当程度これで成績も挙げておることは認めざるを得ないと思います。
  48. 結城安次

    委員長結城安次君) 何なら速記はこれでやめて……では本日の委員会はこれで散会いたします。    午後三時八分散会