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1952-11-07 第15回国会 参議院 通商産業委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十一月七日(金曜日)    午後一時四十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     結城 安次君    理事            栗山 良夫君    委員            古池 信三君            小滝  彬君            左藤 義詮君            松平 勇雄君            小林 孝平君            島   清君            竹中 七郎君            西田 隆男君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省共益    事業局長    石原 武夫君    通商産業省石炭    局長      佐久  洋君    労働省労政局労    働組合課長   山崎 五郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (電産及び炭労ストに関する件)   —————————————
  2. 結城安次

    委員長結城安次君) 只今から開会いたします。開会に先立つてちよつと御挨拶申上げますが、私このたび図らずもこの椅子を汚すことになりましたが、誠に不慣れ且つ勝手なものでございます。どうぞ皆様の十分な御支援の下に、法案審議目的を達しながら、且つ円満、穏やかな間に目的を達したいと思います。どうぞ皆様の絶大な御支援をお願いいたしたいと思います。(拍手)  初めに、前回の委員会におきまして保留いたしておきました他の一名の理事補欠選任委員長より指名いたします。竹中七郎君をお願いいたします。   —————————————
  3. 結城安次

    委員長結城安次君) それから本日は通商及び産業一般に関する調査の一部としまして、電産及び炭労争議に関する調査をいたしたいと存じます。これらはいずれも重要な基礎産業でありまして、産業及び国民生活に重大なる影響のあるものでありまするが、労働三法の建前からは、中労委中心とする労使の協議によつて解決する態勢をとつておる関係上、解決が長引き、社会問題化せんといたしておるところであります。本日は以上の事情に鑑みまして、当該産業主管官庁から、これらの争議経過並びに現状及び今後の対策につき、詳細に御説明を聴取いたしたいと存じます。先ず石原共益事業局長から電産争議につきお話をお願いいたします。
  4. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 只今委員長からお話ございました電産ストいきさつを先ずお話申上げたいと思いますが、これは皆様すでに御承知と思いますが、御参考までに便宜極く簡単な電産ストライキ経過を印刷いたしまして御配付申上げておりますので、これに従いまして極く簡単にいきさつを御説明を申上げます。この電産のストライキ関係は、ここに書いてありますように、本年の四月十四日に組合基準賃金改訂要求書を提出いたしましたに端を発しておるのでありまして、組合要求といたしましては、二十七年四月以降二万五十五円という賃金要求しておるわけであります。それにつきまして当事者間で話合いをしておりましたのでありますが、当事者間で到底話がつかんということで、五月十六日に組合は自主的な解決が不可能だということからいたしまして、中央労働委員会調停の申請をいたしたのであります。これに対しまして、中央労働委員会は、九月六日になりまして調停案を提示いたしました。この内容等については別の資料にございますが、ここに書いてございますように、本年十月以降基準賃金一万五千四百円、現行は一万二千八百六十八円でございますが、約二〇%ということで調停案を提出されたわけであります。これが出た以後九月九日に至りまして、組合側は無期限事務ストの指令をしております。九月十日に至りまして、組合側調停案は不満足だということで拒否をいたしておりまして、第一次スト予定いたしておりましたが、これは一応とりやめになつたのであります。九月二十四日、組合計画といたしまして、第二次の電源ストを行いまして、このときは九月五日の出力目標にいたしまして一五%ということでやつております。以下何%の電源ストという場合は、常に九月五日現在の出力基準にいたしておるわけであります。次いで九月二十七日に至りまして、会社調停案については拒否をいたしております。これは人件費増嵩会社経営上耐えられないということで、一応九月二十七日に会社側拒否をいたしております。  従いまして両当事者とも拒否をいたしまして、その後談合をいたしたのでありますが、到底話合いがつきませんで、十月三日に組合は第三次の電源ストをやつております。以下ここに書いてありますように、十月七日、十一日、十五日に亘りまして、四次、五次というようにストライキをいたしました。このときは、初めの三日、七日につきましては目標は一五%、その後は二〇%の電源スト計画したわけであります。次いで十月十八日に至りまして、経営者側会社別地方交渉に移そうという旨を組合に申出まして、組合はこれを受理いたしませんでした。引続いて組合は二十一日、二十二日と六次のストライキをいたしまして、二十二日については二五%という電源ストになつておるわけであります。かようにストライキをやつておりますので、調停案を出されて以後拒否になつておりまするが、十月二十三日に中労委中山会長労使双方を招かれて事情を聴取しております。  なお、十月二十七日に会社側は重ねて「会社別地方交渉に移すことにしたから通告する」という通告を組合に送つておりますが、組合は直ちにこれを拒否しております。十月二十八日、二十九日に第七次の電源ストが行われております。これは両日とも二五%目標でございます。その日になお組合側経営者を訪問して交渉方式についても一応話合いをいたしましたが、これは話が物別れになりまして、又中労委会長が同日両当事者を呼んで「調停案基礎として話し合いの糸口がほぐれないか」と斡旋と申しますか、事実上の話合いを進めておられますが、これもそのまま進行いたしませんでした。会社側といたしましては十月三十日にはつきり中労委会長の申入れを地方交渉でやりたいというので一応断つたような形になつております。  それから更に三十一日には中労委会長が両当事者を呼ばれまして調停案中心にして交渉を進めるように再勧告しております。それから十一月一日、組合重点職場の無期限事務ストに入つております。それから十一月四日の休みあけ中労委会長が両当事者を呼ばれて交渉再開を勧告しておられます。それでそのときに組合側統一賃金統一交渉方式で行きたい、従つて経営者側の言つておる個別交渉では困る。それから中労委調停案を尊重するということについては結構だけれども、併しこれは調停案を呑むという趣旨ではない、調停案を尊重して交渉に応ずるということはいたしますということを中労委会長返事をしておるように聞いております。これに対しまして会社側は、やはり現在の会社経理状況は個々いろいろ違うので、調停案に副うてできるだけ解決を図りたいのであるが、併しやはり解決するためには個別的に会社経理状況に応じてやらなければならないと思うという返事をいたしております。  それから次いで十一月の六日に組合は第八次の電源ストを昨日いたしまして、更に本日七日に十時から十二時まで停電ストを実施いたしましたわけでございます。  それが一応本日までの経過でございますが、更にストライキ予定といたしましては、組合側は十二日、十三日そこに書いてありますように一応停電スト電源ストをそれぞれ計画をしておるような状況でございます。以上が極くあらましの今までのストライキの経緯でございます。  なお、各種組合要求しております賃金及び現行賃金それから調停案等につきましては別に賃金比較表としてお手許に配布してございますが、現行が一応一万二千九百四十九円となつておりますが、これは備者欄に書いてございますように現行数字は一万二千九百四十九円となつておりますが、これをこの前の賃金改訂の二十六年の十月に換算しますれば一万二千八百六十八円となるということであります。組合要求は、先ほど申上げましたように二万五十五円で調停案は一万五千四百円となつております。あとは、御参考調停案の前文及び本文を御参考に供した次第であります。  それで以上のような経過でございますのが、甚だ争議が長引きまして、主として需用者に非常に御迷惑をかけておることを我々各方面からのお話を聞いておりまして、できるだけ早くこのストライキが円満に打開するように希望するわけでありますが、現在政府といたしましてはこの争議解決中労委中心にできるだけ早く解決を図るように進めたいということで、中労委に今この両当事者の御斡旋を願つておる状況であります。  それから電源ストを行いました場合の具体的な影響と申しますか、━━につきましては各業種別にどうなつたという点はなかなか判定いたしかねますが、又各地方別に必ずしも一様一律に二〇%、二五%という電源ストライキをやつておりますが、それが産業方面に及ぼします影響は必ずしも一様ではありません。と申しますのは、一部は会社側が運転をしておる。一応電源スト計画に入つた会社について会社側が運転しておる場所がいろいろ会社によつて違うという点が一つと、それからそのときの水の状況によりまして一応二五%という計画であつても、非常に水が多ければ出力が出ますので、必ずしもそうならん場合もございます。それから需用の構成の関係で、一般産業に対しては影響が非常に違う場合がございます。例えば私鉄でございますとか、その他の公共事業、その他そういう切れない事情がございます。又産業関係でも保安関係のものは切れませんので、さようなものの多いところは割合その他の影響が多いし、そういうものの占める率が少い場合には他の一般産業に及ぼす影響は少いということになりますので、必ずしも一様に参りませんし、今たまたま一部炭坑のほうのストライキをやつておるので、九州北海道においては相当ロードが下つておるという特殊事情がありますから、それらの地方におきましては多少一般産業影響は違つて出ております。で概括的に申しますと、割合にその影響が多いと思われますような東京でありますとか、関西あたりで申しますと、これは極く概括的なお話になりますが、一般の線につきましては大体半分ぐらいは電気をとめるということに相成ります。今までのところは最近は二日ずつやつておりますので、地区を分けて一日ずつとめて行くというような形が大体行われております。それから大口のほうにつきましても保安電力のあります所につきましては線を切ることができませんので、各会社保安までロードを下げることを要請をしておるので、切つておりませんが、その他の保安のない工場につきましては、これは送電の供給を停止しております。この場合において大体地域を分けて、一日ずつとめるというような、ストの時間だけでございますが、そういうようなことでやつております。それの影響がどの程度になつておるかということはちよつと具体的に申上げかねますが、結局ストの頻度がたびたびになる、間隔が近くなるに従いまして大きな影響が起つておるわけでありまして、週に一回程度の場合でございますと、休電日に振替えるということで以て、さしたる影響はないように思いますが、これが続いて行われますに従いまして、今申上げましたように電気供給が停止されますので、その程度影響が当然及んで来るということになろうと思つております。  なお、大口のものと小口のものとの間の均衡ということにつきましては、我々といたしましてもいろいろ御批判もありますので、会社側にもその間のバランスが失しないように厳重に指示しておりまして、当初においてはその辺のバランスが妥当でなかつたのでありますが、最近は停電バランスはとれておるかと思つております。ただ何分中小企業側のほうがいろいろな意味で弱いという面がございますので、従つて当事者における苦痛と申しますか、さような点から申しますれば、中小企業のほうがこの被害と申しますか、やはり影響は大きくあるのじやないかというふうにも考えられますが、できるだけ中小企業に、一般のほうが多く停電スト影響を受けるということのないように厳重に注意しているようなわけであります。  以上一応御説明申上げました。
  5. 結城安次

    委員長結城安次君) 只今石原公益事業局長から御説明がございましたが、只今のところ石原局長のほかに東公益事業課長も参つておりますので皆さんから御質問をお願いします。
  6. 島清

    島清君 質問申上げる前に石炭関係はどなたかお見えでございますか。
  7. 結城安次

    委員長結城安次君) 参つております。それでは二つ一緒に先に聞いてやりましようか。
  8. 島清

    島清君 若し見えておられましたら、一応話を承わつてから質問に入つたほうがよろしいのじやないかと私はそう思いましてお聞きしたのですが。
  9. 結城安次

    委員長結城安次君) 如何でございましようか。皆さんの御意見……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 結城安次

    委員長結城安次君) それでは石炭ストライキに関しまして石炭局長佐久さんから御説明願います。
  11. 佐久洋

    説明員佐久洋君) 石炭関係ストライキについて従来の経過を御報告申上げます。  八月二十五日に第一回の炭労石炭連盟との交渉が開始されまして、十月の九日まで十一回の中央交渉を開いたのであります。これと並行いたしまして只今申上げましたのは、大手十六社と石炭連盟との中央交渉でございますが、別に地方におきまして、北海道常磐山口九州ブロツク別中央の炭鉱と地方連盟との交渉が行われて参つたのでございます。  中央交渉の、ほうから先ず申上げますと、要求項目としては、労務者賃金についての要求と、それから標準作業量についての要求、それから職員の給与についての要求、次に基準外賃金についての要求、それからこの協定の期間についての要求、こういうのが主たる交渉の議題であつたのであります。ところがこの労務者賃金計算方式が妥当であるかどうかという議論に殆んど終始いたしまして、賃金実態論に入る前に交渉が決裂いたしまして、遂に十月九日最後の十一回目の交渉物別れという形になつたのであります。その以後十月の十三日と十四日、つまり十二日から四十八時間の第一回のストを、中央交渉をいたしました十六社が行いまして、続いて十七日以降今回まで大手十六社はストを続けて参つております。先ほど申上げました、地方交渉いたしましたブロツク別交渉も、十月のこ十四日と記憶しておりますが、遂に決裂いたしまして、地区別に申上げますと、北海道ブロツクでは十月二十七日、三十日、三十一日とこの三日間ストを実施いたしましたが、常磐については二十七日と三十一日、山口ブロツクが二十八日と三十日、九州ブロツクが二十七日と三十日と、こういうように先月にストを実施いたしたのであります。これによつて石炭生産が相当減少いたしまして、十月全体で見ますと、中央交渉いたしました十六社のスト地方ブロツクをした炭坑ストによつて百五十六万トンほどの、予定に対して減産をいたしております。又ストに入つた人員を延べで計算いたしますと三百二十万人ということになります。  なお只今申上げました十月の生産状況旬別に申上げますと、上旬においては計画が百四十万五千トンでありますが、これに対して実際に出炭した実績が百三十五万九千トンであります。従つてその目的遂行率と申しますか、九〇七%、中旬は十三、十四と十日以降のストでありますが、計画が百二十五万二千トンに対して出炭の実績が七十四万二千トン、遂行率としては五九三%、下旬は計画が百五十六万三千トンでありますが、実績が五十四万四千トンであります。従つて遂行率は三四・八%ということになります。  それから十一月に及びまして中央交渉をいたしておりました十六社はずつと引続いてストに入つております。地方ブロツク別に見ますと、北海道ブロツクの一部はストをやめております。それから常磐のこれも一部でありますが、ストに入つております。それから山口ブロツクは五日、六日とストに入る、これはまだ確報を得ておりませんが、そういう予定であるという報告しかまだ受取つておりません。九州においてもやはり五日、六日波状ストを行う、こういうことになつております。このほかに只今申上げましたのは炭労系統でありますが、日本鉱山労働組合系統のものがございます。これは今月の三日から無期限ストに入つております。それで十一月四日までの減産は大よそ以上全部含めまして三十三万八千トンという見込みでございます。  これが大体今日まで経過しました交渉から始つたスト状況でありますが、これが消費面にどういう影響を与えておるかという問題でございますが、ストが始る直前と申しますか、こう夏頃から相当尨大貯炭がございまして、山元、港、それから一般販売市場工場手持というものを全部入れますと、七百万トンを超える貯炭を持つてつたでありますが、その後生産が大分減りましたから、市場或いは工場手持貯炭というものは相当減少しておると思います。まだ十月末の正確な数字を把握できないのでありますが、大体推定いたしまして工場手持が以前には四百三十万トンくらいございましたが、恐らく今は三百万トンを切つているのじやないかというふうに思われるのであります。併しまだ工場の操業に今すぐに困るというほどの一般的な状況ではございませんので、ただガラス関係工場におきましては特殊なガラス発生用炭を使いますので、このガス発生用炭というのは、ストに入る以前におきましては、一般のほかの炭に比較して余計な貯炭を持つておらなかつた関係上、かなり窮屈な状態になつて来ております。これについての対策も今考えておりますが、まあ第一に考えられるのは輸入ということであります。ただ今すぐ輸入の手続を開始するのがいいかどうかということについては、このストの成行きの見通しがまだ明確に立ちませんので、具体的な問題として取上げてはおりませんが、一応研究をいたしておる状況でございます。大体今までの経過を御報告いたしました。
  12. 結城安次

    委員長結城安次君) 委員のかたがたから御質問なり……。
  13. 西田隆男

    西田隆男君 石炭局長にお尋ねしますが、十月末現在の工場手持貯炭三百万トンのうちに、大口消費者、言い換えれば電力とか鉄道とかいうような幾つかの大口消費者工場貯炭を差引いたあと貯炭はどのくらいですか。
  14. 佐久洋

    説明員佐久洋君) これは今大急軍目見当で計算したのですが、六十万トン前後じやないかと思います。
  15. 西田隆男

    西田隆男君 そうしますと局長お話では、工場のほうにはまだ影響はないというお話だが、六十万トンというのは、全国のいわゆる大口にあらざる工場手持貯炭ですから、業種によつては現在でもすでに、ガラスのことをおつしやいましたが、ガラス以外のものが非常に困つておるというのが、出て来てはおりませんか。
  16. 佐久洋

    説明員佐久洋君) 案はガラスにつきましては、私どもの今までの資料に基きますともう今明日非常に困るという状況なるはずだということで、会社のほうに照会もいたしておるのでありますが、そう困つたというようなことを案は言わんのであります。それから一般工場につきましては、地方通産局長にも頼みまして状況調査してもらつておりますが、困つておるという声がちつとも出て来ないような状況でございます。
  17. 西田隆男

    西田隆男君 もう一つお伺いしますが、通産省のほうで、これはあなたでわからんかも知れませんが、大体この石炭四千九百万トンの、二十七年度の生産計画によつて日本のすべての産業がスムースに、年度に困らないようにして行くための、大口の、今あなたが言われた六十万トンですね、六十万トンの貯炭の量は、どのように石炭局長は大体見積られておりすまか。六十万トンでも今困らない。別に困つた様子はないというお話だが、予算面に現われたそれを、スムースに遂行して行くのに、現在六十万トン持つておるところの貯炭が、どのくらいあつたらスムースにやつて行けるということでしようか。
  18. 佐久洋

    説明員佐久洋君) それはちよつと今資料を持ち合わしておりませんが、調べればわかると思いますが……。
  19. 西田隆男

    西田隆男君 それからもう一つお聞きしたいのは、今日の新聞を見ますと、保安要員を四%に減らすというようなことが、新聞記事に載つておるようですが、現在でもすでに二十数日を経過して、保安要員が相当整理してあると考えられますが、相当長期亘つて坑内作業が継続してない。これから先は今までの一二%より多く保安要員を用意しておつても、坑内保安が保ちがたいというのに、四%を減らすことによつて坑内保安がどういうふうになるという予測をしておられますか。それを一つ
  20. 佐久洋

    説明員佐久洋君) 只今お話は、案は私の所管でなしに、鉱山保安局長所管でありますので、責任のある答弁を申上げかねますが、今日までの得ました報告よりますと、坑内保安は懸念なく行われておるということであります。ただ、常磐の一部で自然発火をしたところがございますが、これは監督官庁のほうから密封の指示を出しておりまして、事なきを得ました。ただ今朝新聞にありましたように、一般主要坑道の扇風機だけの要員で、ほかのものを全部引揚げるということになりますと、生産の見地に立つたどもとしては、非常にこれが長引く場合には、懸念されるんじやないかという心配はしておりますので、今朝ほども保安局長と相談したような次第でございます。
  21. 西田隆男

    西田隆男君 これは保安局長所管であるかも知れませんが、私の特に心配しますのは、そういうふうな状態に追い込まれると、日本石炭鉱業実態から考えて、坑内の復旧が困難な状態に陥ることが考えられるわけですね。そこでお尋ねしますが各山の払座維持ということは、ストライキに入つたときに、その当時採炭をしていた切羽だけを維持するようなことだけしかやつていないのが、或いは新らしい払座を取り替えて交渉が妥結した場合には、直ちに新らしい切羽採炭にかかれるということを考えて行政指導をしているのか。方法については議論があると思いますが、まあ経営者側との間に話合いでもできておるのか、実際に坑内採炭切羽面実態がどうなつておるか、これを御承知つた一つ……
  22. 佐久洋

    説明員佐久洋君) 切羽面維持については、この山々によつて非常に状況が違のでありますが、全体的申しまして、ストライキに入つている労務者自身も、ストライキ解決したあとに非常に危険があるというようなことも心配いたします。又仕事が遅延いたしますということも困る関係もありまして、その点は経営者との話合いは、保安委員会なり何なりを通じて円満に行なつておるように承知いたしております。ただ新らしい切羽面を用意して仕事再開の場合に、すぐにそれにとりかかれるという準備をしておるという話は、私聞いたことございません。
  23. 西田隆男

    西田隆男君 これは技術的な問題になるわけですが、ストライキに入つた当時の切羽面を、日本採炭方法から考えて、天盤模様鉱盤模様等々を睨み合わして考えますと、そう長期亘つてそのままの維持をしておつて、すぐ採炭にかかつて危険がないという場合は考えられないように思いますが、その点は技術的に大丈夫だという経営者官庁も確信を持つておられますか。
  24. 佐久洋

    説明員佐久洋君) その点は物理学的な地圧の問題でありまして、最高技術保安委員会なりそういうものに入つて最善の努力をしているということを信じている以外に、こうすればいいという特別の指導をしておりません。絶対に危険がないということは言いかねるんじやないかと思います。
  25. 西田隆男

    西田隆君 今までのあなたの答弁によると、保安委員が一二%もおれば、坑内保安採炭その他の面においては、ストライキ解決すれば、採炭に支障を来すということは恐らくなかろうというふうに御答弁になつておりますが、これは四%に減らされたという場合ですね。あなたの御説明以上に坑内は痛んでおると思いますが、日本の炭鉱にとつてはもう大打撃をこうむると、こう考えますね。私はそれに対して約四%程度保安要員しか入れないということが実際に行われるに至りましたときは、大体行政官庁はその経営者側にどういう御注意をなさるのですか。注意も何もされないのですか、どうなんです。
  26. 佐久洋

    説明員佐久洋君) 実際に四%という数字坑内切羽面維持も何にもできないということになつては、将来の問題が大きいのですから、それは経営者に対して労務者と具体的な問題の話合いをするように話を進めたい、こういうふうに考えております。
  27. 西田隆男

    西田隆男君 具体的な問題の話合いというのはどういうことなんですか。
  28. 佐久洋

    説明員佐久洋君) それは山々によつて條件は違いますから、一般的な話としては仕事再開した場合に危険のない程度保安維持を図るようにという勧告をいたすわけであります。
  29. 西田隆男

    西田隆男君 それは組合側経営者側監督官庁としてお呼びになつて勧告されるわけですね。その協議がまとまればいいが、まとまらない場合はどうされますか。
  30. 佐久洋

    説明員佐久洋君) それについては先般鉱山保安局長名で出されました通牒にも記載されてありますので、先ずできるだけ当事者同士の話合いを以て解決するように、当事者話合いがつかない場合には、監督官庁として具体的な勧告をする、それでなお話合いがつかない場合には法に基いた指示をする、こういう通牒が出されております。それによつて実施されるものと思います。
  31. 西田隆男

    西田隆男君 抽象的のお話はそれでわかりますが、それは保安要員を四%に減らして、注意をするとか勧告をするとかいうのに日数を経たら、もう今度は駄目になつてしまうと思う。それを時期的に、時間的に坑内保安がせめて一二%の要員を持つておる程度でどうにかスト解決したら操業ができそうだという程度に持つておらない限り、保安要員四%に減つてしまつたら、これは又話をするのが三日かかつた一週間かかつたという段階を経れば、日本坑内実態から考えると採炭開始のためには非常な障害を及ぼすと考えておるのですが、手を打たれるならば、ただ通牒を出したということだけでなく、早急に何らかの手を監督官庁としては権限の範囲内において早急に打たないと大変なことになると心配しています。それを一つ御注意申上げておきますことと、もう一つ通産省にそういう権限があるかないか知りませんが、労働省、中央労働委員会等ともこれは連絡をおりにならないと、炭鉱労務者ストライキを継続しながら保安要員を四%に減らす、而も賃金をもらつておりませんから、労働組合の人たちが食えない状況に追込まれてなお争議を続けるというような事態を考えますと、これは非常に私は心配する。そういう点もよく考慮されて、連絡を完全にとられてストライキ解決つけるための斡旋官庁としてはできがたいと思いますが、万全の手を打たれるように特にこの席を借りてお願しておきます。
  32. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 実は只今鉱山保安局長の通牒の問題について、私先ほど通産省の次官室のところで局長とも会つて話をして来たのですが、その話とちよと食い違いが今の佐久局長お話とあるようですから、その点含んでおいて頂きたい。実は過日私が話をしましたときには、炭労の今度の争議の法的な根拠はやはり労調法の範囲内において行われている。従つて鉱山保安法は労調法の範囲内においてやはり運用すべきものではないか。従つて保安局長の通牒の趣旨は、鉱山の設備の完全なる維持ということよりは、人命の保護ということが中心目標になつているのではないかといういろいろな話題が出ましたときに、保安局長も全く人命保護ということが中心になつているのだ。次官もこれを裏付けする発言をしていました。従つて今両者の間で質疑されたような意味のことを中心にして保安局長の通牒というものは出ておるのではないということが確認せられておりますので、この点は今日保安局長がここに同席していませんから片手落になるといけないので、私はそういう発言があつたということを申上げておきますから、打合せをしておいてもらいたい。
  33. 西田隆男

    西田隆男君 今栗山君の言われたことも一つの解釈だと思うのですが、これに対する石炭局長の解釈を一つお聞きしたい、あなたの御見解を……。
  34. 佐久洋

    説明員佐久洋君) 先ほど出されました保安局長の通牒については私はまあ法的な根拠というところまで研究をいたしておりませんので、詳しいことを申上げかねるのでございますが、私ども生産を預る立場としては、私が先ほど申上げたような筋で保安局長にもお願いいたしております。その通牒の解釈或いは法的根拠ということについて、或いは私が誤解があつたかも知れません。
  35. 西田隆男

    西田隆男君 あたに誤解があつたとかないとかいうことでなくて、今なたが私の質問に対して答えられた見解をあなた自身は持つておられる、こう解釈して差支えありませんか。
  36. 佐久洋

    説明員佐久洋君) はあ。
  37. 島清

    島清君 先ず差当り石炭問題からお聞きしたいと思うのでありますが、私たちが非常に今の電産のストの問題にいたしましても、炭労の問題にいたしましても、心配をしておりますのは、非常に資本家のほうに何か政治的な含みがあつて、労働者の要求に本腰を入れて耳を傾けようとしない傾向があるのではないか、こういうことを私は憂えている次第でありますが、と申しますのは衆議院が解散になりまして、或いは内閣を組織しなければならないところの第一党の政党間において内部的な紛争がありましたときに、新聞の伝えるところによりますると、或る資本家のほうから選挙に対して献金をしたのを、一本にならなければ返してもらいたいというようなことがあつたということであつて、そこでそういう要求があつたればこそ或いは一本化されたか、私はそこまでよく内部的な事情は知りませんが、つまりその新聞の報道によりますと、外部から窺つておりますと、そういうような要求などがあつたりして一本化されて、内閣が組織されたのだ。こういうところを見ますと、それがどうも今回基幹産業と言われておりまするところの二大産業において、国民の非常に心配するような大きな労使間の紛争が起きましても、資本家側におきましては、本腰にこれを解決しようというまじめな動きが見えないということを私は心配するわけでありまするが、これは一つ私は局長の諸君にお聞きいたしましても問題が大きいので、あとで池田君あたりに来てもらつてお聞きしたいとは思つておりまするが、今石炭局長お話を聞いておりますると、出炭も非常に減つておるけれども貯炭もまあ大して心配したほどでもない、各業界から何ら悲鳴の声を聞かない、こういうことで、その対策としては、今石炭局長の御答弁になりました対策では、私は生産行政をあずかるものとして少し熱が足りないのではないか、こういうふうに今拝聴したのでありまするが、例えば今私達が外部から見ましても、あれだけ大きなストライキが行われますると、相当に今日その各産業に打撃を加えてないにいたしましても、これからの立直り等入れまするならば、これから先相当この日本の経済再建とそれから増産の面において大変な影響を及ぼすということは、これは、これは外部の素人でありましても、常識的な問題でありますから申上げるまでもないと思いますが、いわんや生産行政を扱つておる者からいたしまするならば、憂慮されまする将来の問題等をも含めてなさなければならない。この打開面が多量にあると思います。  例えば労働省のほうにその横の連絡をして、何か一つその解決の促進を図るとか、或いは安本もありまして計画をしたのでありまするから、この計画遂行の面において打撃を受けるようなことがありまするならば、官庁間においては横の連絡があつて、それぞれのなさなければならないところの官庁の何といいますか、行政面の善処といいますか何といいますか、そういうことがなされなければ、私は公僕精神を十分に尽したと言えないと考えるのでありますが、今の状態が各産業から何ら不平が起らない、不平が起らないという御認識のようでありまするが、このストライキに対して将来この及ぼすであろうところの産業への影響ということをですね、大まかに一つ説明を願いたいと思う。  それから或いは各行政官庁の横の連絡ということは、或いはこれは大臣の仕事であるということであれば、又大臣から聞いてもよろしうございますが、善良なる国民の官吏として憂慮されまするところの折角の行政担当者として、今石炭局長お話になりましたことでは、どうも少し国民は不安を感ずるのじやないか。そのことについてもう少し、一つあなたの大雑把な説明でもよろしいから承わりたいと思つております。
  38. 佐久洋

    説明員佐久洋君) 只今質問官庁間の横の連絡という問題でありますが、ストライキについて一番に関連の起きますのは労働省との関係でございます。これはこのストライキの情況判断と申しますか、むしろ私ども素人でありますので、労働省の見解も伺いますし、又労調法との関係というようなことの意見の交換もいたしておるのでりあます。只今のところは、将来の見通しというようなことについて全く私どもわかりませんし、労働省のほうの御意見を伺つてもはつきりした見通しというものは伺えないような状況でございます。それから生産に対する影響の問題でありますが、これはお説の通り、このストライキが相当期間続くということになれば非常な影響がございますので、逐次影響の起るであろうと思うものについて石炭供給の立場から方法を考えているのでありますが、例えばガス用炭が、先ほど申しましたように、一番先に影響が来ると思います。これについては全般的な問題としては輸入の問題等を考えなくちやなりませんし、産業相互間の融通というようなことも考えまして、個々の工場手持状況を今調査をいたしている次第でございます。
  39. 島清

    島清君 こういうことは同時に私は電気にも言えることだと思うんです。そこで電気関係局長さんにも御答弁を願いたいと思いますけれども、その前にお聞きしたいことは、何か石炭関係いたしますと、山元では切羽のほうでは自然発火が起つて、今が非常に危険状態にある。こういうその状態に対しては、鉱山局長の通牒によりまして、或いは言うことを聞かなければ権力を発動してやるのだというようなことは、私はこの新憲法下においては成るべくその権力発動ということは避けなければならんことだと思いますし、こういうことは非常に好ましくないと思うんです。だからこの労使間の紛争によつて起るところの山を保護しなければならんということを考えますならば、その考えます前に、この起り来る事態に対する善処こそが早急に打たれなければならん手だと思う。これは石炭に対してもそうでございますし、電気に対しても何か知らん労働者の要求に対しまして、政府筋あたりで考えていることが、何かこう権力の発動といつたようなものを非常に私たちは感ずるのです。ですからその前に私たちといたしましては、やはり新憲法に則つてこの行政官吏というものはあらゆる手を打ち尽さなければならんということですが、今西田委員の鉱山局長の通牒といいますか、それから栗山委員のこれに対する何か本庁自体の折衝された経過というようなものが発表に相成つたのでありまするが、生産面から、生産面の行政を担当する官吏といたしまして、こういつたような権力発動的なものに対してどういうふうに考えておられるか、ちよつと御説明を願いたいと思います。
  40. 佐久洋

    説明員佐久洋君) これは仮にスト最中でありましても、職場というものはお互いの力によつて守るべきものと思いますので、第一に相互の話合いによつてできるだけ解決をして頂く、こういう考えでございます。
  41. 島清

    島清君 いや、それが話がまとまらんので、そこで今西田さんが憂慮されて、今現に起りつつある、いわゆる保安要員を属して山の治安の状態を守ろう、維持しようというようなことがなされるわけですが、併しそういうことでは私は石炭は殖えやしない。そういうことでは私はストライキ解決について促進の條件にはならない、こう考えている。それには又或いはそのこと自体についてはそれぞれの担当の責任者からお聞きしたいと思つておりまするが、生産を担当する担当官として、こういつたような生産を阻害する。私の見解によりますと、そういうことは強権発動というものは生産を阻害する。ちつともスト解決の促進の條件にはならない。だから生産担当官としてはどう考えるかということを聞いているわけです。
  42. 佐久洋

    説明員佐久洋君) 強権の発動ということは、これは私どものほうとしてもできるだけ避けたいという気持でおります。ただどうしても話合いで以て坑内維持ができないというような場合には、法的な根拠に応じて止むを得ずこれはやらざるを得ないというふうに考えております。
  43. 島清

    島清君 どうもあなたの話を聞いておりますと、如何にも鉱山保安局長の御答弁みたようで非常に困るのですが、まあ鉱山保安局長としてはやはり山の治安を守らなければならない。山の状態を守らなければならないというようなことの強い力の発動を或いは出されるにしても、そういうこと自体は個々のいわゆる安本で計画したところの計画出炭というものができないということは、あなたの説明においてはつきりしているわけなんです。そうすることがいわゆる増産をするということと、それから権力を発動することとの矛盾性、それをどう考えるか。私は決してそういう事態が起つたからというて、権力を発動するということは出炭を増すゆえんではないし、更に又ストライキ解決を促進するゆえんでもないとこう考える。若し生産担当官としてそういうことを考えておるならば、もう少し積極的に横の連絡をとつて、ただこれは労働省の範囲内であるとか、或いはこれは鉱山局長の範囲内であるとかいうふうにせずに、日本の再建とそれから計画出炭の確保という面からもう少しなすべき点があるのじやないか。私がはつきり裏を返せば、あなたたちの何か知らん政府筋のほうで、権力発動ということが如何にもその時期が来ればすぐやつてやろうというような時期を待ちかまえておるような印象、それを受けるので、少くとも生産を担当する行政官としてはそういうあり方について賛成ではなかろうとこう考えておりまするのでお聞きしているわけです。
  44. 佐久洋

    説明員佐久洋君) 坑内保安状況について、必ずしもその将来の増産というようなものを度外視して何でもかんでも或るときが来たら強権を発動するということは、私は適当でないと思いますが、併し何らかの手を打たなければどうしても山が大荒れに荒れるという場合には発動も又止むを得ないのじやないかというふうに私は考えております。
  45. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 関連しまして……、その発動の意味は、山が荒れて放置できないときには発動すると言われますが、それはやつぱり労働関係調整法なり鉱山保安法なりの関連において、法的根拠の下において行われるのでしようね。それをはつきりしておかなければいかんと思うのです。
  46. 佐久洋

    説明員佐久洋君) 法的根拠のない場合に強権の発動ということは私はできないと思います。
  47. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、今のこの坑内保安の問題について、法的根拠の下にそういう強権発動が可能ですか。
  48. 佐久洋

    説明員佐久洋君) 坑内保安保持命令と申しますか、鉱山保安法の、ちよつと條文を忘れましたが、鉱山監督部長から命令を出し得るという規定があると思うのです。
  49. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは私は承知しておりますが、その命令は平常の状態においては勿論出し得るが、争議中で、争議中ということは、労働関係調整法、労働法に基いて今行われているわけですね。その法律の保護下において行われている争議中にその條文が出し得るかどうか。
  50. 佐久洋

    説明員佐久洋君) その点私研究が少し足りませんが、もう少し法的なことを研究してお答え申上げたいと思います。
  51. 結城安次

    委員長結城安次君) 今労働省の労働組合課長山崎五郎君も参つておりまするから、御質問があつたら……。
  52. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それではもう一つ私前段のほうの問題で、二、三電産の争議のことで伺いますが、案は先ほど島君も指摘せられましたが、今度のこれだけ需用家に非常な迷惑をおかけしており、而も電産の労働者諸君も長いストライキで相当に生活的にも、それから労働力の点においても疲弊をして来ておる。争議が今日の段階にまで及んでおるのに、政府としてこの解決のための努力が殆んどなされておらないということは、私は非常に遺憾だと思います。特に過日も、閣議ですか、閣僚が寄つて相談をされたそうですが、それは争議解決の糸口をどうして見付けるかという政府の立場を研究されたのではなくて、この電産の争議ストライキをどうして弾圧できるかということの研究をせられたようでありますが、甚だ以て私は本末顛倒であると言わなければならんと思う。そこでこういう点から質問をして行くわけでありますが、政府がこういう態度でありますから、通産省のほうにおいても、或いは事務当局としては何ら打つ手がないと、こういうような工合に御答弁になればそれまでの話でありますが、それでは物事が進展しない。電産の争議が一応解決の途を急がなければならん段階にあるので、今までの経過等から考えまして、一応公益事業局長の見解を伺つておきたいと思いますが、実は十月二日でありましたか、中山中央労働委員会会長が名古屋へ学術講演に行れたときに、新聞記者団と会見をせられまして、自分は大体中央労働委員会調停案くらいのところで争議解決する自信があるというようなことを言われたことがあります。このことは勿論、統一交渉統一賃金、いわゆる調停案の線でということであろうと思いますが、それほど中央労働委員会中山会長が自信を持つておられるということであるならば、その案が、事電気事業の経営にも関係することでありますから、従つて電気事業の経営の直接の監督の立場にあられるどころの通産省に調停案を作る場合には必ず私は御相談があつたものと考えるのでありますが、御相談がありましたものか、或いは中央労働委員会は全然通産省に相談なしに独自の見解においてああいう調停案というものは作られたものであるか、その点を一つお答え願いたい。
  53. 石原武夫

    説明員石原武夫君) お答えをいたします。只今お尋ねの中労委調停案をお出しになる際に通産省との関係でございますが、通産省には事前にあの調停案自身の御相談はございませんでした。ただ我々のほうの担当の者をお呼びになりまして、いろいろ会社経理状況でありますとか、いろいろなそういう資料の提出とか、会社経営状況についてはいろいろお尋ねがありましたが、どの程度に裁定をするとか、どれくらいの余力があるとか、そういうお尋ねはございませんでした。
  54. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、中央労働委員会が通産省から電気事業の経営に関するいろいろな資料を集められて、そうして中央労働委員会の判断によつてあの調停案ができたと、こういう工合に理解してよいわけですか。
  55. 石原武夫

    説明員石原武夫君) お話の通りでございます。
  56. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そこで第二の問題は、只今争議解決がこれだけ世論の批判を浴びながら一向に進展しないのはどこにあるかと申しますと、先ほど局長から説明がありました通りに、中央労働委員会としては交渉に入るようにたびたび努力をしておる、電産の労働組合のほうにおいてもこれに応ずる用意を示しておる、経営者のほうにおいては今日まで強い態度を以て拒否しておると、こういうことにあるわけであります。従つて、この争議解決が遷延しておるのは経営者の態度にあるのであつて、この態度が変らなければ私はちよつと交渉再開の糸口は見付からんものであると、こういう工合に考えてよいと思いますが、さように考えてよろしうございますか。
  57. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 今争議について栗山委員からの御見解がございましたが、私が聞き及んでおりますところでは、先ほども申しましたが、組合側はあの調停案を起源としてというのか、基礎としてというのか、その辺の字句はあれでありますが、それについて統一賃金統一交渉ということで交渉を進めたいと、こういうふうに言つておられるわけであります。その組合統一交渉統一賃金の問題につきましては、一点実は調停案との間に問題が残つておるわけであります。それは、今お手許に調停案を配付してございまするが、第七項に、会社経理状況の如何によつては……、正確に申しますと、「経理の実情から右賃金の実施が事実上困難となる会社については別途協議すること。」と、資料の一番最後に第七項というのがございますが、本文の最後でございまするが、かような字句が付いておりまするので、一応この七項の関係は、組合側としてこれを了承しておるというふうには私ははつきり伺つておりません。この点が多少まだ問題が残つておるのと、それからもう一点調停案基礎とするというか、基準とするという字句の表現は私は明確に記憶しておりませんが、あのままの案を呑むということではないようでございます。従つて組合側もまだ多少調停案との間に幅があるように承知をいたしております。  それから経営者側のほうも主として今まで中労委とのお話合いで、私の承知しておりますところでは、統一賃金統一交渉ということでは困る。会社経理状況に応じて各別に交渉をすることが最も妥結に早く到達するということでありますので、この調停案を頭から蹴るという形でもないのではないかと思います。従つて第七項の幅と申しますか、その辺をどう見るかというところで各々調停案の御趣旨とは多少離れておるのじやないかと思いまするが、一応七項がありますので、あとは形式を統一交渉というか、若しこの七項が適用がある場合には、それはその部分だけ個別になつて統一交渉にならんのかというような解釈の問題はあると思うのでありまするが、私が承知しておりますところでは、まだ双方ともこの調停案には一歩離れておるというふうに感じております。
  58. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その通りでいいのですが、問題はこの調停案基礎にして再交渉に入る、入つたらどうだという中央労働委員会の慫慂に対して、電産のほうは、恐らく私はよく聞いておりませんが、第七項を含めて、この調停案基礎にして入ろうということだろうと思うのですが、それすらも経営者のほうで拒否しておるという実情ですね。それをお認めになるかどうかということを申上げておるのです。要するにこの調停案基礎にして交渉に入るというそれすらもできない状態にある。経営者の反対によつてできない状態にあるということを、これは事実の問題として御確認になるかどうか、こういうことをお伺いしているのです。
  59. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 私が承知しておりますところでは、交渉再開するについては、どういう方式によつてするかということが現在問題になつておりまして、調停案の趣旨に従うということでありましても、第七項の範囲をどういうふうに考えるか。従つて経理の実情から言つて調停案の趣旨から言つて会社側が主張しておる程度に例外と申しますか、個別交渉ができるということで、組合がそれに応じて来るならいいが、組合が全部一本でまとまつて一つ調停案のペースだけで議論をするのだということであれば、これは交渉に応じられないということでございますので、確かに今話合いが中絶しておることは事実でございまして、その原因が一部には確かに経営者交渉方式の問題で問題になつておりますから、その点にあることは事実だと私も思いまするが、それは第七項がある限り、少し形式的な問題なので、その範囲をどうするかという点で、その辺の話合いが両当事者につくならば、或いは交渉はもう一度、ただ形式論のどちらか、統一交渉をするかしないかという点を離れて、第七項を適用するということで行けば、まだ話合いの余地もあるのじやないかと私は考えます。目下中労委でしきりに御斡旋を願つておるので、今後その線で早くやりたいと考えております。
  60. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それはくどいようでございますけれども、実は今の調停案が、中山労働委員会会長から両当事者に示されたときに、中山委員長は解明しておられるのですね。そうして第七項の問題については、中央交渉のときには電産と電経会議でやる、こういうことを明らかにしておられる。従つてこの調停案基礎にして交渉に入れないということは、私はちよつとまあ腑に落ちないわけですが、その点について公益事業局としては今のままで入らないで、この調停案基礎にして入るということをやはり協議して、いつまでもこういう状態におつたほうがいいと、こういう工合にお考えになるのですか、どうですか。
  61. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 只今のお尋ねでございまするが、先ほど来私が申しまするように、多少形式的な問題で両方のお話合いが中に入らないというのが現状だろうと思いますので、その点については今中労委会長が御斡旋つておるので、できるだけその御努力によつて具体的な話合いに進むように希望をするわけであります。
  62. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それからもう一つ、話は深く入るわけでありますが、その前に今の御発言でもう一つ確めておきたいのは、中労委斡旋で何とか話合いに入れる、こういう工合にまあ通産省としては安心しておられるようでありますけれども、その安心の程度はどんなものですかね。いつ頃どういう工合に入る見込みですか。それは国民としては非常な関心を持つておる。
  63. 石原武夫

    説明員石原武夫君) それはちよつと非常にむずかしい問題でございまして、両当事者話合いをして、相当長い期間揉み合つておる問題でございますので、いつ頃解決の見通しかと言われましても、私もちよつとこれはわかりかねてお答えいたしかねます。
  64. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 具体的ではなく、交渉に、中央労働委員会調停によつて交渉に入る、再開始するという見込ですね。今のままだと入れないと思うのです。そうして通産省としてはただ中労委に任しておるという程度で、それ以上のことは何もおやりになる意思がないのか、その辺のところをもう少し伺いたい。
  65. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 只今お話のような問題が確かにございますので、今電産につきましては、前々から中央労働委員会、それから労働者等々と協議をしております。本日も午後二時から関係局長が集まつて相談をしておるところでございます。さようなところで十分連絡をしておるのでございまするが、中労委といたしましても、今まで先ほど来御承知のように、たびたび中山委員長から勧告していらつしやいますが、更に中労委としては、もう一歩前進だと申しますか、もう少し強くといいますか、更にこの両当事者の聞の再交渉を進めるようにお話合いをされる意図があるということを前から承わつておりますし、本日あたりの会議でどうするということを相談することにいたしておりまして、できるだけ今のところは中労委の線で解決を図りたいというのが我々の方針でございます。更に今のお話のような、ちよつと行詰りの点を、更に中労委に強力に御活躍願つて、打開をして行きたいというふうに考えております。
  66. 西田隆男

    西田隆男君 労働省から見えておりますか。
  67. 結城安次

    委員長結城安次君) はあ見えております。山崎組合課長です。
  68. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それで今の局長が寄つて相談をしておられるというのは、どの局長でございますか。
  69. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 労働省の労政局長でございます。
  70. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 労政局長とあなたですか。
  71. 石原武夫

    説明員石原武夫君) いや私はこちらに参つておりますので、代りに出ておりますが、私どもの次長が出ておりますが、それと中労委の事務局長が多分御出席の予定でございますから、それで今御相談中だと思います。
  72. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ああ、そうですが。
  73. 島清

    島清君 今の何ですか、その今日の会合ですね、それはどこの申出によつて開かれているのですか。
  74. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 今申しましたようなこの関係のところは随時集つておりますので、今まで何回でございましたか、たびたび会つて情報を交換いたしましたり、それから政府として相談をするというようなことをやつておりますので、どこのというはつきりしたことはございませんが、随時集つておるわけでございます。
  75. 島清

    島清君 いや、この問題に関連して随時集つて来られたのですか。以前から、ずつとその上から随時集つて来られたのですか。
  76. 石原武夫

    説明員石原武夫君) いや、今私が申上げましたのは、電産の争議の問題につきまして、いろいろお打ち合わせをするために前々から、勿論この問題が起りましてからです。電産の問題が起つて、情報を交換いたしましたり、相談するというようなことをいたしております。
  77. 島清

    島清君 いや、その発起のほうはどちらのほうですか。
  78. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 発起人というはつきりここは……、大して発起人というものはないと思いますが、労政局長中心にして本日も……、大体今までも労政局長のところへ集つております。
  79. 西田隆男

    西田隆男君 労働省のおかたに聞きたいのですが、今電産の問題は中央労働委員会調停に入つて案ができておりますが、炭労争議は両方ともそつぽを向いたままで交渉再開に行くようなきつかけすらもないように我々には思われるのですが、労働省として一つどういうふうにお考えになつておりますか。このまま両方が又向直つて話をするまでは、労働省は知らん顔をしているというようなお考え方ですか。それとも何とかせめて真正面に向きあつて話のできるようなことを持つて行く努力をされておるのか、この点一つ、労働省の考え方を承わりたい。
  80. 山崎五郎

    説明員(山崎五郎君) 炭労争議につきまして、或いは今までの経過をずつと、私、遅れてきたので、御説明があつたかと思いますが、ことは労使双方とも膠着状態に入つて、今日で二十三日間の長期ストライキに入つておるわけです。御承知のように、組合側要求も、経営者側組合に対する要求も、非常にかけ離れておるというか、距離が非常に遠いのでございまして、相当もう団体交渉が、ストライキに入るまでにはあつたのでございますが、労使の見解の差が甚だ大きく、そのままストライキに入つたので、私のほうではこの労使の自主的解決を初めから期待しておつたのであります。最初の見通しは大体十日ぐらいの間はストライキを継続されて、又再び団体交渉に入つて、何らかの打開点があるのではなかろうかと期待しておつたんですが、その後二週間になり、又三週間になりまして、今なお最初のストライキに入つた時の状況と、殆んど変らない状況になつておりますので、電産の争議と合せて、これが解決のために、いろいろ、顧慮しておるところでありますけれども、目下のところ、積極的に、労働組合側にも或いは経者営側にも、労働省の考え方を述べて、解決方法はこういうふうにという、何らかの勧告をする段階にはまだ来ておりません。対策も実はいろいろ考えておりますが、それを表面的に現わすような段階にない。こういうような状態であります。
  81. 西田隆男

    西田隆男君 いつになつたら具体的に表示される段階になるのですか。
  82. 山崎五郎

    説明員(山崎五郎君) この意思表示の問題と申しますと、何らかやることを前提とすることでありますが、意思表示をするかどうかということ自体も、実は解決の促進になるかどうかというような点も考えまして、慎重な態度をとつておるわけでございます。
  83. 西田隆男

    西田隆男君 慎重な態度をとられることは決して悪いとは申しませんが、もうストライキを始めて二十三日にもなつており、未だに労働省として慎重に考えておるだけで、いつどんな手を、いつ頃になつたら打つという考え方もないということは……あなたは労働省だから日本石炭鉱業の内容はよく御存じでないかもわかりませんが、通産省に連絡をとられたらすぐわかるだろうと思います。世界どこを見ても炭鉱ストライキというものは、何カ月も続いたという歴史は今までありません。而も日本においてこの前二週間のストライキがありましたが、それを超過するストライキをやつて、今のままで行くと、そつぽのほうに顔を向けたままで、ストをしておつても全然そつぽを向いたままで、話合いをしようという気配すらも、労働者、経営者のほうにない。こういう現実を見て、労働省が慎重に考えているばかりじや、私はどうにもならんと思う。早急に、いつ如何なる場合でも、若し労働組合経営者が話合うという気配が何かの機会にできれば、労働省は労働省としての考え方をはつきり言う結論ができておらなければならんでしよう。今から案を練つておられるというだけでも遅いのに、案すらも考えられていないということじや、労働省としては少し慢慢的過ぎる。
  84. 山崎五郎

    説明員(山崎五郎君) 実は労働省で何か手を打つということが、例えばこれを第三者の介入によつて解決する方法を労働省がお勧めするということになつた場合のことを考えますと、むしろそれによつて解決のでき得ない現状においては、却つて労使双方を硬化せしめる場合もあり得るのでありまして、そういうような点も考えて、慎重な態度をとつているわけでございます。何かやる手が、それではどんな場合にあり得ないかと申しますと、これはこういう場合にはこういう手を打てということは、ないことはないのでありますけれども、却つて若しそういうふうに労働省が手を打つた場合のほうが、問題の解決をより困難にせしめるのではなかろうかと思われる点、こういうような点がありますので、慎重な態度をとつているのでございます。
  85. 西田隆男

    西田隆男君 あなたに対しては少し無理な答弁要求することになるかも知れないと思いますがね。炭労ストライキに対して、これは佐久さんもおられるのだが、関係役所と言えば、通産省、労働省、経済審議庁も関係があるのですよ。そういうところで、実際に仕事をやられる人々の間で話合いをされたことがありますか。
  86. 山崎五郎

    説明員(山崎五郎君) 実際、今石原局長から申されました電産に関する関係局長の会合は、労働省で持つておりますのでございますが、石炭のほうは又局長会議とか或いは課長の連絡会議とかいう程度のあれをやつておりますが、私のほうでは争議と睨合せまして、石炭の需給関係貯炭状況、こういうような関係につきましては、事務当局のいわゆる課長以下のところにおきましては、それぞれ連絡をとつております。
  87. 西田隆男

    西田隆男君 これは今ちよつと口を辷らされたが、貯炭が幾らあろうとなかろうと、貯炭が多くて、ストライキつても今月は困らんでも、通産省はそういう考えで、まだ困らんのだから、もうちよつと知らん顔しておけという考え方もあり得るが、労働省はそういう考え方をしてもらつちや困る。貯炭があろうがあるまいが、ストライキという現実を考えて、そうしてそれに対して制止する方策を労働省は率先して考えなければ困る。今のあなたの考え方は、労働省全般の考え方ならば、これは直してもらわなければならん。これが一つ。もう一つあなたにお伺いしたいのは、今炭労経営者との間でそつぽを向いてるというお話ですね。この原因はどこにあるか。ただ片方が要求し、片方がそれを断わつたというような、普通の賃金交渉におけるそのままの姿が、そつぽを向いてる姿なのか。或いは日本石炭鉱業に対する賃金体系を新らしく生み出すきつかけで、どつちも悩んでいるのか。或いはあなたはそういうようなことをする必要があるとお思いなのか。しなくてもよろしいか。今のままの姿で、賃金交渉だということで、どうせしまいには双方とも話合いに乗るだろうというふうにお考えになつているのか。この点、労働省としての考え方を一つ。よその省と連絡とらなくても、労働省内は連絡とられていると思う。それを一つ
  88. 山崎五郎

    説明員(山崎五郎君) 現在のところ、労使双方関係は、やはり経済闘争に重点を置いての争いであると、こういうふうに考えております。
  89. 西田隆男

    西田隆男君 それでは労働省が、若しこの炭労争議に対して慎重に御研究の結果、何らかの手を打つという時期が到来して、手を打たれる場合は、金額の歩み寄りということで手を打たれる考えですか。
  90. 山崎五郎

    説明員(山崎五郎君) 労働省が直接調停とか或いは斡旋に立たれる場合も、これは立てないことはないのでありますが、これは従来なかつたこともない。なかつたこともないことだろうと思うのでありますが、そういう場合になると、金額とか、こういう問題に触れる場合もあり得ると思います。併し今のところ、私だけの考えですが、そういうふうに直接金額というような問題に入つて、労働省が斡旋なり調停に入るということは、私の見通しから申しますと、不可能ではなかろうかと思います。それよりも労働省が第三者の間に話合いを付けるように、第三者の会議によつて話合いをするというようなことは考える場合もありますけれども、そのほかの金額が云々ということは、今のところ殆んどあり得ないと、こういうふうに考えております。
  91. 西田隆男

    西田隆男君 非常に大切な問題なんです。労働省の今度の炭労ストライキに対する賃金要求解決方法の基本的な考え方とか、将来労働争議にこれは非常なウエイトを持つと思うのですが、今の賃金をなんぼなんぼにせよということを私はあなたに聞いておるのじやなくて、炭労要求しておるあの賃金、あれより上げるとか下げるとかいうことで、炭労経営者との間の争議解決点を見出すということが、労働省の基本方針になつておりますかどうか。こういうことです、お尋ねしておるのは。
  92. 山崎五郎

    説明員(山崎五郎君) やはり経済要求の問題として問題を解決するのが妥当と、こういうふうに考えております。
  93. 西田隆男

    西田隆男君 勿論経済要求として解決付けるのは当り前です。その解決の付け方が今坑内千六十円……坑外五百六十円を要求をしておる金額を五百四十円にする、或いは千六十円を八百円にするということで、この解決を付けるという基本的な考え方を持つておられるのか。若しくはこういう長期に亘る争議であり、且つ全石炭産業に及んでおる大きなストライキ、而も石炭鉱業賃金体系というものは今までのような形でなくて、ここで何らか変えるというような方法で、争議解決するという途がある。そういう方向に労働省が進んで行かれようとしておるのか。このいずれをお考えになつておるかということです。
  94. 山崎五郎

    説明員(山崎五郎君) ちよつとお尋ねしますが、何か組合賃金改一訂に対する考え方がどうであるか……
  95. 西田隆男

    西田隆男君 いいかどうか聞いておるのじやない。労働省が斡旋解決に乗り出すとするならば、そのときは千六十円を八百円にして賃金案だけで片を付ける基本的の方針に基いて斡旋調停に出られるのか、或いは別な考え方でこれをまとめようというふうな基本的な考え方で出られるのか。どつちが労働省の考え方ですかと、こう聞いているのです。
  96. 山崎五郎

    説明員(山崎五郎君) これはむずかしい問題だと思いまして、そのときにならなければ、問題の解決が、如何になる方法解決に向くかどうか、そのときにならなければわからないことだと考えておりますが、問題は、西田委員の御質問にある非常な、一つ労使双方の懸隔の大きいことは、賃金体系の変更を要求しておるということなども含まれておるのであります。この点に関する限りは、要求が是か否か、或いは額においても現在要求する額が石炭経営において認められる額かどうかというような問題のものを検討し得なければ、これはなかなか私でき得ないと思うのでありまして、争議斡旋調停ということは、現在、中に直接入るというようなことは考えておりませんので、私たちも今のところ西田委員の御指摘されるようなところまでの考え方はきめておりません。
  97. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 石原局長にもう一、二点お尋ねしたいのですが、その第一点は、電気事業の経営者側においては、今度の争議解決方法として個別交渉を強く要求しておられるようですが、その理由とするところは、各企業体の経営規模及び経営力が違うので、要するに企業の格差がある。従つてその格差に基いての賃金を定めたいというふうに言つておられるようですが、各企業に格差がある、こういう工合にお認めになりますかどうか、その点……。
  98. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 電気会社経営は、政府が料金を認可してきめておりますので、一応政府がきめます料金の場合は、これは申請に基きまして、それを査定してきめるわけでありますが、原則としては企各業の収支状況は、一定の予定しました利潤、例えば株式配当は幾らというような一定の利潤を見込みまして、収支償うということを目途に料金をきめているわけであります。従いまして理窟の上から申しますると、ほぼ各会社経営状況は同じことに相成るはずでございます。ただその場合に、何と申しましても原価計算をしてきめているわけでございまするが、実際に企業が経営して参ります場合に、各費目ともその通りには動いておりませんので、或る程度計画と実施とは食い違いが出て参ります。それから又企業内部でそれぞれいろいろ努力されて利潤が殖えるという場合もございますし、又電気につきましては、御承知のように非常に出水の影響もありますので、現実の経営資料を見ますると、非常に格差が出て参ります。これは御承知の通りいつも平水を前提として計算しておりますので、水の出方、渇水、その他の状況で、これは時期的に非常に大きな差がございますので、そうした関係からも各年度の収支状況は非常に違つております。ただ先ほど申しました最後の点は、必ずしもA会社は常にいい、B会社は常に悪いというのでなく、その年によつて違うということもありますので、それは別にいたしましても、先ほど申上げましたような意味合いで、或る程度差異が出て来るということは、これは現実の姿だと考えております。
  99. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今お話の中の実施状況関係する部分は、これは別途に積立制度がありまして、各社とも年次プールすることになつておりますから、今の格差には直接影響がないものと私は考えますので、大体局長も今そういうような発言がありましたから、一応これらの論議はそれは別扱いに願いたいと思います。  そこで費目等に亘つて計画と実施と若干違う、企業意欲等によつて若干違いが出て来るであろう、こういうことを言われたのでありますが、そういうような工合にして出て来る若干の格差というものは、これは恒常的な性格を持つものか。或いはその期その期に当る臨時的な性格のものか。その点どういう工合にお考えになるのでしようか。若し恒常的なものであるということならば、料金査定のときのやり方が非常に私は甘かつたのではないかと、こういう工合に考えますが、その点を……。
  100. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 今除外して考えるというお話であります。私はそれで結構でございます。ただ豊水によります利益につきましては、準備金制度がございますが、これは御承知のように、豊水による利益の七割を積立てることに、今の原則はなつております。従つて三割については収支に影響して参るわけであります。併しこれは或る会社が常にいいということでありませんので、その年の全く臨時のものでございますから、これは別途に考えるわけでございます。  それから常に或る会社がよろしい、或る会社は収支が格差があつて工合が悪いということは、これは必ずしもそうではないと考えます。これは一遍料金をきめまして、次の改訂のある間は、これは大体同じような傾向、ほかの條件を別にいたしますれば、大体のところはそういう趨勢になると思いますが、次の料金改訂の場合は、現在は原価主義をとつておりますから、今のような食い違いは、その際に原則として是正されるべきものではないかと考えますが、ただ先般の料金改訂は私どもの手許でやつたわけではございませんですが、実際の先般の料金改訂の際におきましても、一応一律の原則でやつておるわけでございまするが、非常に料金の高くなります地域につきましは、会社の申請が多少手控え目の所があるようでございます。それで、その場合には、これは公益事業委員全等がなさつたわけでございまするが、一つの原則でやる場合に、仮にそれ以下で申請をしておる場合には、そのままであるということが多少あるようでございます。多少その辺の関係影響はあるようでございます。それ以外には、理論的には、一度きめますと、その改訂あるときまでは、若し格差が生じておれば、大体その傾向は維持される。ただ出水の関係だけは別にいたしますればということになりますが、次の改訂のときには、その辺の実績を見てやるので、さようなことには大体ならんと思います。ただ細かいことを申上げますれば、一つの方針で査定をしてありますにもかかわらず、それ以上に出費が出ている会社が、いつまでもその状況が続きますと、次のときも同じようなことになりますので、そういう点から申しますと、そういう項目につきましては経営的に会社は不利な條件になるという場合もあり得ると思います。
  101. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大体よくわかりました。要するに具体的に申しますと、今年の四月料金改訂が行われた。そのときに合理的に査定をせられたはずだけれども、若しそれがその後の実際の経営状態計画が合わなくて、収支状況はいいところに置いてあるにもかかわらず、若干出たという部面については、次の更改期のときに実績を勘案して是正されると、こういう方針で今行つているということを承わつたわけですが、私はさように了解していますから、その点はよろしいわけです。  そこで伺いますことは、そういう前提になつてつて、なお且つ各社が、今、企業別賃金と申しますか、賃金に対して、企業差があるということを理由にして、非常に強く言つておられますが、そういうことを主張されるということは、必ず私は何らかの実績を以て、そうして唱えられておるものであろうと、こういうふうに想像するが、公益事業委員会としては、各社の今言つておる企業の差ですね。そういうものを数字で検討されたことがありますかどうか、それを一つつておきたい。
  102. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 我々といたしましては、先ほど申しましたように、一応理論的には正しいという前提で、料金が組んであるわけであります。先ほど申しましたように、大体の収支というものは、先ほどの出水の状況を別にいたしますれば、大体違わないで出て来るということになつておるわけでありますが、只今お尋ねのように、格差ということを言われておるけれども、それは検討したかと、いうお話でございますけれども、これは実はまだやつておりません。と申しますのは、今やつと上期の収支が各社で揃いつつあります。これは極く最近に各社から出て参りますから、それを各費目が、如何ように計画と実施が食違つて来たかと申しますか、実際の実施がどうなつておるか、それが超過しておるとか、又不足しておるときに、どういう理由であつたかということを検討いたしませんと、今お尋ねの点は、はつきり出て参りません。ただ現案の決算で申しますれば、これは豊水の関係がございますので、これはむしろ一般的に各社とも相当利益がございますが、上期決算においては各社とも相当の利益に相成ると思いますが、具体的にそうした面を除外した格差というものがどの程度あるかということは、まだ実は検討いたしておらんのでございます。
  103. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 併しそれが今争議解決の最も大きな問題点としてデツド・ロツクに乗り上げておるのであつて、それをキヤツチしないで争議を円満解決に進めて行くということは、これは不可能じやないですか。今それを経営者側が一番よく主張しておるわけですが、それの実態を通産省としては早急につかんで、我々にも一つ示してもらいたいと、こう思うのでありますが、その点は如何でございますか。これが若しつかめないで、格差がある、格差があるということであれば、それは抽象論じやないかと、私はそう考えるわけですが……。
  104. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 只今の点は先ほど来申しましたように、我々が具体的に各費目で検討いたしませんと、四月にきめた料金でございますので、その後その料金が果して現実にどういうふうにアツプライズされているか、どういうふうに食違いで格差が出て来るかという点を検討いたしてますには、ただ実際上を見まして、各社の収益或いは費目の要素が違うということだけでは、直ちに出て参りませんので、これは御承知のように現実の利益が各社別にどういう比率であるかということであれば、これは割合簡単に出て参ります。各社の、例えば上期の利益はどの程度各社別にあるかというようなことでございますれば出て参りますが、ただ、今のお話のように、そうした臨時的なものを除いて、果してどの程度の格差があるのだというお尋ねだと思いますので、これは簡単に、これだけこの会社の間に格差があるのだということは、なかなか出て参りませんわけでございます。今争議が、経営者側で格差があつて自分のところでは払えないというようなことを主張している所もございますが、それらは各経営者として、自分の会社状況からいたしまして、この程度ということを申しているのだろうと思いますが、その辺の具体的な細かい点はまだ承知いたしておりません。
  105. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは重要なことであつて、恐らく私はこの電産の争議が、これから二カ月も三カ月も停電をやりながら続けられると私は考えられない。恐らく常識的な考えたつて、国民の輿論から言つても、解決しなければならん時期というものが、私はあることもおよそ見当が付くと思うのですね。その場合に、仮にそれじや格差付きで解決したというときですよ。その格差というものが公正妥当なものであつたかどうかということは、通産省ではまだ何らつかむ術がないとおつしるけれども、事業者の場合では、恐らくその解決のときには、そのものを出して私は解決しなければならんと、こう思うわけですね。そう思いますと、そこにそんなにタイム・ラツプが私はあろうとも考えませんし、あつて然るべきであろうとも考えられない。従つてこれは一つ、我々もこの委員会として、電産の争議解決には非常に期待を持つておりますし、又電気料金の査定に当つては、少くとも参議院の通商産業委員会では、最も熱心に私は内容の検討をやつた一人であり、委員皆さんもそうであつたわけです。従つてそういうような理論構成の点からも我々は考えたい点があるので、これは一つ早急に各社の格差が一体どれだけあるか、それを一つ資料としてこの委員会に御提出を願いたい、こういうふうに考えます。
  106. 石原武夫

    説明員石原武夫君) この争議解決は、お話のように早急に解決しなければならん問題でございますが、どの程度のところに妥結するかにつきましては、これは当時者間の話合い中労委の御斡旋の下に話合いによつてきめて行かれて然るべきじやないかと考えております。政府が、この会社はこの程度、この会社はこの程度というようなところまで立至るべきじやないのじやないか。これは当時者間の話合いで、殊に各企業での今後の問題でございますが、今まではこうであつても、今後の問題で見込があると思いますので、これは経営者の責任で解決をして頂きたいというふうに考えます。  それからなお資料につきましては、従いまして今私のほうで的確にこれこれの会社にこれだけの格差があるのだということは、ちよつと断定をすることは困難でございますし、それから早急にこういうものを出すということであれば困難でもございますし、又今当事者間で話合いをしている場合に、外部から見た案を示すということも、これも私は如何かと思います。会社の収支状況というものも、自身の資料でございますれば、できるだけ、早く揃いました際に、この席にお出しをいたしたいというふうに考えます。各その内容についてできる限りの御説明は申上げたいと思いますが、その臨時のものを全部集めて、これだけの格差があるという御説明を申上げることは、ちよつとすぐには困難じやないかというふうに考えます。
  107. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この四月のとき、大体年間の各費目別の予算というものは全部付けられて、原価構成の資料を私どもつているわけでありますから、それと実績との比較されたもの、それを出して頂ければ、私大体大綱は掴めると、こう思うわけです。で、それを一つ成るべく早く委員長のところをお出しを願いたい。実はその実績については前からお約束が、R・B当時からありまして、毎月出して頂くことになつておるのが、一回も出ていないわけですね。出ていないので、これはこの際是非一つ頂きたいと、こう考えます。それから先ほどの料金改訂のときには、その実績を全部織込んで修正して行くのであるといわれましたが、この前の料金改訂のときには、経費等は各社思い思いの数字を載せるということでなくて、やはりそれぞれ全部一つの規準が設けられておりまして、それでその基準によつて経費というものが搾られておつたのですね。従つて今後もそういう形態をとつて行かれるのか、或いは各社思い思いの形で完全な意味の独立採算のような形で料金の算定をするのか、この点もこういう企業者の問題が出て来るときには、非常に重要な問題でありますから、伺つておきたいと思います。
  108. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 只今のお尋ねは、只今のところすぐに料金改訂をする意思は勿論ございません。これは栗山委員も今すぐにということじやなくて、将来改訂する場合はどうだというお尋ねと思いますが、さような場合に、現在といたしましては、大体従来の料金算定方式を変える意思は現在のところ持つでおりません。ただ今のお話の中でも、大体各社の査定をいたします各費目は、同一の見方で査定をして行くという方向でございますので、さような方向で、今後も原則としていいと思います。ただ現在でも極く僅かなところでは、多少実情を勘案しておる点もございます。例えば規準外賃金の問題あたりは、一つの標準と過去の実績と両方睨合せて見るということを、これは経営者だけの問題だろうとは思いますが、さようなこともいたしておりますので、原則論としては、今のところは従来の料金算定方式を変えるという考えは持つておりません。なお今後料金の改訂の場合に際しまして、どう考えるべきかというようなことは、私はまだ今後検討する余地が或いはあるかも知れませんが、現在のところは、大体従来の方針でやつて行くというふうに考えております。
  109. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 料金改訂という意味は、料金の引上げのときも引下げのときも含むのであつて、その点は一つそういう筋道の問題だというふうに御理解を願いたいと思います。将来例えば東京電力等の非常にいいといわれておる会社でも、経費をできるだけ搾つてつて来た金というのは、やはりこれは需用家に還元すべきものであつて、料金の引下げに私は使つて行かねばならぬと思う。そういう意味において各企業が思い思いの経費を計上し、それで以て料金算定が行われて行くことは、これは恐らく料金の認可制をとつておる限りにおいては許されないと、私はそう考えておつたわけでありますが、今公益事業局長から私の意見と全く同じような意見を述べて頂きましたので、これは私異議がございません。従つてまあ今のようなことを申上げておりますと、企業の格差というものは理論上はそう大して出ないし、実際上も出ないように私は思うのです。にもかかわらず、なかなか話合いがつかないというのは、何かもう少し重要な問題が裏にあるのじやございませんか。
  110. 石原武夫

    説明員石原武夫君) 裏に何かあるかというお尋ねでございますが、これはどうも私その間の事情を存じませんので、何とも申上げかねると申しますか、そういうものがあるということは、全く承知をいたしておりません。ただいろいろ今電産の両当事者の間で話がなかなかつかないでおりますが、その点のうちの、経営者側の点についての今のお話じやないかと思いますが、中労委の裁定を見ましても、理論的にはこの調停案を今の料金の枠の内で認めるということは相当困難があるだろう、従つてこの調停案の実施に当つて労使とも協力してやれというような趣旨も書いてありますので、我々今の料金を作りましたほうの者から考えますると、今度の値上げは、もとより理論的には料金に入つておりませんので、賃金の引上げをするということは、そうやすやすと会社経営者としてもできることじやないのじやないかというふうに考えますので、さような意味でいろいろ経営者側として問題になつているのだろうと思いますが、裏の話というのは私はもとより存じません。
  111. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その料金に入つていないから問題になつていると言われるのですけれども、それはもう終戦後ずつとやつていて、別にいつでも引上げの枠が料金の中できめられておつてつて来たわけではないので、これは一つの慣例になつております。それから最近のマーケツト・バスケツト方式要求しているから、非常に怪しからんというような声も財界のほうにあるのですけれども、実際に過去の慣例から言つて組合要求が一〇〇%いつも貫徹して、それで賃金水準が引上げられているわけではないのでして、その辺は労働省のほうがよく御存じの筈だと思うのですが、そういう何と言いますか、概念的なやりとりだけをして、この争議を長引かしているということは、これは私は非常に好ましくないと思うのです。もう少し実質論に立帰つて、一日も早く争議解決するというような方法で……、これは聞くところによると、労働省、中労委、通産省ともお骨折りを願つているようですが、更に一つ格段の努力をせられて、努力をすると言つても、やはり労働争議ですから、労働法や労調法の枠を超えて干渉したり、弾圧してもらつては困りますが、それを尊重しながら、とにかく行政府としての責任を是非とも果してもらいたいと、こういう工合に一つお願いします。これは私の希望です。
  112. 島清

    島清君 私はもう時間がございませんので、もつとお聞きしようと思つて石炭問題から電気問題に移ろうと思つておるうちに、栗山一君がよろしいかというので電気のほうに移つてつて、随分私の質問をしたいと思いましたことが、時間の関係で非常になくなつちやつたわけですが、そこで私は時間の関係で省略するということとしますが、あとで私は懇談会を開いてもらつて、御相談をお願いしたいと思つておりますが、その前に私は労働省のほうにお聞きしたいと思つておりますことが一点あるのです。それは私たちが先ほどからお聞きしておりますることは、炭労ストライキと電産のストライキが起りまして、国民は非常に迷惑もし、且つ又この成りゆきを心配しておる。で、私たちは通産行政にタツチする者といたしまして、日本産業再建の上から非常に心配しておる。これを早く解決してもらうように、それぞれの行政官庁はそれぞれの法規的にきめられた機関のみに頼らずに、大局的な建前から、ただ喧嘩しておるもの同志が聞かんから、誰かが傷ついて倒れるであろうというような、こういう傍観者的な態度ではなくして、国民が非常に迷惑しておるのだからして、政府の役人として善処してもらいたい。そういう動きがあるかどうかというようなことについてお聞きしておるということが前提になるわけですが、只今労働省の山崎さんの話を聞いておりますと、いや、このストライキというものは、経済闘争であるのだから、何かそこらで話がつくだろう、ということになりますると、やつぱり中労委ということになるわけでしようが、中労委も折角努力してもらつて、更に電気関係に関する限りにおいては、石原さんあたりの努力によりまして、労政局長あたりと随分御懇談を数次に亘つて重ねられておるようでありまするからして、私たちはその善意なる努力に対して国民の期待に副うように、或る動き出しがあるであろうということを期待いたしまして、石原さんに私は質問をいたしませんが、労働省といたしましては、私は、今山崎さんが御答弁になつたようなことで、経済要求であり、それに応ずるか応じないかという経済闘争であるから、その何だか我々としては……というような非常に遠慮勝ちのようですが、私、石原さんの話を聞きますると、何か賀來さんのところでいろいろと数字など持つてつて会合しておられ、何か見出そうという動きがあるようだということは、要するに労働省といたしましては、或いはあなたの上の局長さんと、更にその上の大臣を含めて、一体この大きなストの問題について、どういう見解を持つて、どういうふうに善処せんとするのか、今あなたがおつしやつたように、或いは経済闘争なんだからして、まあ何とか、そう我々は、というような非常に消極的な考え方を以て、或いは誰かが傷つくのを如何にも待つておるかのごときというような態度を以て、それが労働省全体としての態度であるかどうかを一つお聞きしたい。
  113. 山崎五郎

    説明員(山崎五郎君) 先ほどの経済闘争と私お答えしたのは、私、或いは聞き違いの関係上、ああいうことを言つたかとも思われますが、私の受けた感じでは、このストライキは、政治闘争か、経済闘争か、という御質問の意味が含まれておつたと考えたものですから、私は経済闘争だと、こういうふうに考えておりますということを、申上げました次第であります。その点一つ誤解ないように。経済闘争だから、すべて放つておけ、自主的に解決すべきであるというので、何ら関心を示しておらない、こういうふうなことでありませんのです。政治闘争か、経済闘争か、こういうふうに私感じを受けたものですから、お答えいたしたのですから、どうぞその点……。  それから、島さんの第二の御質問ですが、どういう対象を……何も持つておらないか、こういうことなんですが、私、先ほどから対策は全然持つておらないとは申しておらないのですが、今すぐ解決になるような手は、労働省においては、石炭に関する限りはありません。先きに、私自身はそういうふうに考えておりますと、こういうことを申したわけであります。電産のことに関しては、先ほどから、石原局長からも御説明があつたようでありますが、電産の解決のためには、事務当局といたしましてはベストを尽して、この問題を一日も早く、一刻も早く解決するように、具体的に実は動いております。何か解決方法と申しますと、すぐ法的な根拠を以てというような、こういうふうなことは余り私どものほうでも考えておりませんが、先ほどから石原さんも申したように、解決はやはり中央労働委員会中山会長の御努力によりまして解決されるように、労働省といたしましても、懸命に動いております。石炭のことに関しては、先ほど私申したのでありますが、今こういうことをやると、こういうふうに解決されるのであろうというようなことは、残念ながら、或いは無能だと申されるかも知れませんが、現在のところ、それを見出すようなあれは実は持つておりません。ただ、それでは何ら打つべきような手はないものかと、こういうような西田委員の追究でありましたが、それはいろいろ、まああるのですが、ただ解決になるかならんかということについては、そういうことをすることがむしろ解決の促進にならないではないか、こういうふうに考えておりましたので、その対策を慎重に考えておるのであります。繰返して申すようでありますが、具体的には今直ちに解決方法として、こういう解決方法があるというようなことは申上げるようなあれがありません。
  114. 島清

    島清君 今、山崎さんにお答え頂いたのは、私もそれから先のことをお聞きしたがつたのでありますが、要するに西田君も、労使の底を抜いて、膝を交えて話合おうという空気ができておらん。その場合に何か膝を突き合せて話をさせようという努力をしようという、そういう考えがあるかどうか。今あなたのおつしやつたように、それじや、それすら考えておらんというようなことが、要するにあなたの上の局長、次官、大臣を含めての労働省全体の考え方であるかどうかということを私はお聞きしたいのですが……。
  115. 山崎五郎

    説明員(山崎五郎君) 今申上げましたのは、労働省全体と申しますと、どうもあれでありまして、私限りのことであります。労働組合課長として、私だけの程度であります。電産の問題と違いまして、石炭の問題はそつぽを向いてお互いに話合いする機会も持つていないではないかという点は、御指摘の通りでありますが、私のほうもこの点に関しては十分考えておりますが、労使双方に団体交渉を勧めましても、直ちに問題の解決に具体的に入るような要素は見出し得ない。電産のごとく交渉コースの問題、こういうような問題で、目下労使の間に対立を来たしておるのでなくして、交渉に入つても、直ちに要求そのものの額、或いは体系、要求の構成、こういうようなものに対して労使双方の懸隔が甚だ出ておりますので、今まで、ストライキに入るまでは、相当長い間団体交渉も持つたのでありますが、遺憾ながら解決点の曙光は全然見出し得なかつたというふうになつておりますので、今労使双方に団体交渉に入つてはどうかということをお勧めするのも、一つの労働省としての方法ではあると思いますが、これが直ちに労使双方の、それを喜んで受入れるような態勢にはない、こういうふうに私は考えております。併しそういうことを全然やらないということではなくて、そういうような態勢にはないと、こういうふうに見ております。かつて炭労ストライキに関しては、労働大臣が労使双方を呼んで交渉に入る、或いは第三者の調停なり、或いは斡旋なり、こういうことによつて解決するようにという勧告もあつたのでありますが、この点に関しては考えておらないことではなく、十分考えてはおりますが、解決とはちよつて離れておるのでありまして、この点に関しましては、決して考えてないことはないのですが、依然私はその時ではないと、こういうふうに考えております。
  116. 島清

    島清君 それは山崎さん、質問じやなくて、要するに私は現状の認識について、あなたと私と或いは異つておるかも知れませんが、例えば量るところによると、貯炭が過剰だつたので、これだけのストライキをやられても、いわゆる炭価が下がるよりいいのだと仮りに経営者が考えておる。ところが労働者は現に賃金値上げの要求をしなければ生活……憲法に保障されておるような生活に近ずくことができないというので、経済的な要求からストライキをやつておる。そうすると、経営者のほうが、資本家のほうが、そつぽを向くから、労働組合といたしましても、それは労働組合の掲げました要求の貫徹上、どうしてもこれを出させなければならないというので、他のいわゆる友誼団体に呼びかけて、いわゆる十何億かの資金カンパをもう決定しておる。そうしますと、一体何億かの資金カンパを集められるか、組合にも意思と意地がありますので、これから先のことは私はいろいろと……今ならば幹旋のしがいもあるが、後日になると、進んで来ると、どうも病膏肓に達するといいますか、手のつけられないような状態になりはしないか。而も中小企業者の諸君は年末を控えておる。我々も通商産業委員として年末中小資金対策をやつておりますけれども、併しこれも政策に伴うところのやりかたでなければならん。さあ、そういうことから国民の階層からは、非常に心配したところSOSが当せられる。こういうことに関してあなたたちが、最後的な見通しがつかんから、まあとにかく傍観しておるのだというようなことは、或いは現状に対する認識の相違から、そういう御答弁になるのかも知れませんけれども、私はもう一遍とくとお考えを頂いて、国民が心配しておること、更に労働組合等が資金カンパを決定して、他の友誼団体にも呼び掛けているのだという現状を、つぶさに御認識を頂いて、労働省として、それでよろしいかというような態度の一つの再考を煩わしたいと思うのです。  更に電気関係については、私はお聞きしようと思つておりましたが、専門家の栗山君からやつてくれたのですが、折角まあ労働省あたりもお話合いが随所になされているならば、やはり私が山崎さんに申上げたことは、このまま通産省の行政の担当官といたしましても、やはりそういうことを等しく憂えられていることだと思います。更にあなたたちからの呼掛けによつて中労委とか労働省あたりと話合いが進められていると、私は善意にそういうふうに考えておりまして、私たちは早急に何らか国民の期待に沿うような大きな動きがなされるであろうということを期待いたしまして、私はあとであなたたちのやつた動きによつて質問をすることに保留をいたしまして、今日は時間がありませんから、これで打切ります。
  117. 結城安次

    委員長結城安次君) それじや石炭電気共に通産省としてはできるだけ善処して、国民の憂いを解決するということに努力することをお願いいたします。  それから竹中委員から佐久局長に、石炭賃金表、比較表、こういうものが欲しいという要求がありますから、できましたならば、皆さまのお手許にお配り願いたい。  それから例の電気及びガスに関する臨時措置に関する法律、これは衆議院で提出されておりますので、これが向うの本会議次第、直ぐ来れば、これはできるだけ早く審議して頂きたいと思いますので、どうぞその場合には皆さんにお知らせを申上げますから、よろしくお願いいたします。
  118. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 国会の進めかたにもあるわけですが、我々野党として、緊急質問を許されたいとか、いろいろやつたところが、政府としては施政方針演説が終るまでは、口を緘して語らぬという態度なんだね。それだから、僕らも法案というものは、やはり来たるべき十一月二十四日施政方針演説が済んでから、すべて慎重審議をするようにお計らいを願いたい。従つて自然休会中は、調査案件をおやりになることは差支えありませんけれども、法律案を審議することについては留保いたします。
  119. 結城安次

    委員長結城安次君) あなたのほうのお話は伺つておきますが、官房長官からできるだけ早くやつて頂きたいという要求がありました。
  120. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 意思としては……。
  121. 結城安次

    委員長結城安次君) 皆様の御意見で動きますから、そういうふうな何がありますから、一つお含みおき願います。
  122. 島清

    島清君 私は質問を時間的都合で打切る前にお願いしておいたのですが、私は今正直なところ、三者を前に置いて申上げますけれども、担当官としての熱意が足りないように思うのです。国民の心配している度合に比較すると足りないように思う。ところが私たちは何かしら見えないところの、何と言いますか、圧力と言いましようか、何と申しましようか、そういうものがあつて、実は二君共、非常に内心は心配しておられながら、何か言えないような状態にあるのじやないか。そこで私はこういう大きな問題に対して、いわゆる政府のほうが只今のような御答弁状況では、誠に国民は不安に堪えないと思う。ですから、この問題を本委員会といたしましては、これをもつと掘り下げて、大臣など来て貰つて、或いは電気事業者のかたがた、労働組合の諸君に来て貰つて、私はそれを究明して、国民の不安に対して解答を与えなければならんと思うのです。ですから、これは何と申しましようか、そういうことは委員会の進めかたによりまして、公聴会と言いましようか、何と申しましようか、名称はどちらでもよろしうございますが、もつと広く関係者を集めて輿論を喚起して、そうしてその解決のほうに一つ私たちが大いに職責を果して行く、こういうふうな進めかたをして頂きたいと思うのです。
  123. 結城安次

    委員長結城安次君) 全く御同感ですから、今後のつまり運動、政府の動きによつて、或いは総括して急速に解決して頂くということになるかとも思いますから、その場合に又できるだけ御相談して、或いは理事のかたにお集り願つて相談して、どういうふうにするとか何とか、今後の運用方法は、あなたのほうも出ている筈なんだから相談しますから……今日は委員会ですから理事会で……。
  124. 島清

    島清君 委員会できめて下さい。
  125. 結城安次

    委員長結城安次君) 理事会を開いて相談をする……、
  126. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 先ほどあなたが言われました委員会を円満に運営することについては、私は全力を挙げて御協力を申上げますが、その代り先ほど申上げたように、法律案の審議等については、これは私個人の意見じやないのです。党としてもさような態度を決定しておりますので、一つこの委員会ですぐ取上げて審議に入るというようなことを御決定になる場合は、私どもとしての態度を保留しておきますから、慎重にお考え頂きたいと思います。
  127. 結城安次

    委員長結城安次君) かしこまりました。理事会で皆さんにお集り願つて皆さんでどうするかということをきめて、御相談の上で……。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後三時五十六分散会