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1953-03-02 第15回国会 参議院 通商産業・経済安定連合委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月二日(月曜日)    午後二時十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。   通商産業委員    委員長     結城 安次君    理事            栗山 良夫君            境野 清雄君    委員            古池 信三君            小滝  彬君            左藤 義詮君            黒川 武雄君            山本 米治君            加藤 正人君            西田 隆男君   経済安定委員    委員長     三好  始君    理事            山田 佐一君    委員            山川 良一君            永井純一郎君            佐々木良作君   政府委員    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君    常任委員会専門    員       桑野  仁君   参考人    電源開発株式会    社総裁     高碕達之助君    電源開発株式会    社理事     間島 達夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電源開発問題に関する件   —————————————
  2. 結城安次

    委員長結城安次君) 只今から通商産業経済安定連合委員会を開会いたします。  本日は前回に引続きまして、電源開発問題につき調査いたします。前回委員会におきましては、電源開発株式会社の概況につき御説明を聴取し、佐久間地点開発に関するセメント工場経営に関する事項、及び佐久間請負工事入札に関する事項につき質疑の中途で終つております。本日は前回に御出席願えなかつた碕総裁もお見えになつておりまするので、総裁から簡単に会社重要事項につき御説明願つてから、間島理事よりセメント経営に関する提出資料の御説明を伺い、そのあと前回質疑の継続に入りたいと思います。
  3. 高碕達之助

    参考人(高碕達之助君) 高碕達之助でございます。前回委員会には私丁度先約がございまして出席できなくて甚だ遺憾に思つております。  大体会社計画につきましては副総裁から御報告申上げたと思いまするが、只今委員長の御下命によりまして、簡単に会社重要事項と申しますか、方針につきまして一言述べさして頂きたいと思います。  昨年の九月会社創立いたしまして以来、私実は電源につきましては全然素人でありましたが、素人ながら、この会社総裁を引受けました第一の目的は、国家の出資している金でありますから、この金をできるだけ節約をして、且つ国民の要望である電源開発を一日も早くいたしたい、これがその目的を完成するのに私の今までの経験を生かしたい、こう存じたのが一つであります。第二に、私は終戦後、いろいろアメリカとの折衝をいたしておりました関係上、外資導入が必要なものとすれば、外資導入についても私も努力をいたしてみたい、この二つの私の任務を考えまして、今日までこの会社総裁を引受けてやつておるようなわけであります。  前回質問になりました、このセメント事業及び佐久間請負ということについての問題につきまして、概略私の只今までにやりましたことについて御報告いたしまして、あとはそれぞれ間島理事なり永田理事から御質問に応ずることにいたしたいと思います。  先ずセメント事業につきましては、電源開発会社が現在政府から御命令を受けております開発をいたしますにつきましても、大体一キロワットに一トンのセメントが要るとしても、かれこれ二百万トン以上のセメントが必要であります。佐久間地点におきましても、大体五十万トンから五十二、三万トンのセメントが必要だ、こういうことでありまして、一時セメントをこんなにたくさん使うなら、自分が自給したらどうかというふうな意見がありましたけれども、私はセメントセメント業者の手によつて供給されるというのが原則であるから、自給するということは万やむを得ないときにやる、が、この仕事をよく研究して置く必要かある、こう私は感じたのであります。  それは、大体電源開発に要します資材の一番大きなものはセメントでありまして、これに使います金額が非常に大きなものであります。これをセイヴするということは初めに申しました会社目的に一番重要だと存じたのであります。それで佐久間を引受けますにつきまして、従前このほうの開発をやろうとしておつた中部電力に話を聞いてみますというと、中部電力佐久間に対するセメントはどういう操作をしておるかということを聞いてみますというと、丁度この濱名湖の北岸に石灰石の資源があるから、それを材料としし磐城セメントセメントの新工場建設しておる。それに或る程度出資をするか、或いは投資をするか、或いは前貸をするか、或いは保証をするかということをして、これを確保をしたい、こういうふうな話を承つたのであります。それで私はいろいろ考えました結果、この磐城セメントというものを調べてみますというと、過去におきまして、昭和二十五年のダム建設いたしましたセメントの約二十%を供給をしておる。これは相当大きなものだから、これを一つ利用することも必要だろうとこう存じまして、磐城人たちといろいろ折衝いたしましたのでありますが、その折衝原則といたしましては、できるだけこの電源開発会社の金は使わない方針をとる。むしろ電源開発会社の信用を利用してやつて行こうじやないか、で、電源開発会社資金というものは政府出資でありますから、これは非常に金利が安いというふうなことの考えから、できたものが安い金利のもので作るということになれば、これはほかのほうに迷惑をかける。従つて電源開発会社は或る一つ保証をして、できるだけ安い金利を使いますけれども普通一般金利で普通の銀行から借財せしめるということにしたらいいだろう。  第二の要点はこれの技術に或る程度監視するようにせにやいかんから、技術についても発言権を持つようにしなきやならん。  第三の要点は、この生産原価をできるだけ切りつめさすということについて、生産原価についても発言権を持たすようにして、そうして債権を確保するために、或る一定の時期はその保証したところの工場については、電源会社所有に帰属せしめる、そうしてこの経営専門家にやつてもらう、専門家である磐城セメントにやつてもらつて、それだけの監視をするというだけの権利を持つて行きたい。  こういう原則契約をするように理事に諮つたのであります。理事はその原則によつてこの契約を締結したように聞いております。そこで大体その当時の算盤でみますというと、原価が約四千二、三百円で一トンがあがる、尤もこれには金利なり、それから償却なり、税金等を加算しておりませんですから、これを加算して大体六千円近くであがる。そうすると、市価が八千円とすれば、ここに二千円の開きがあるから、その半分はこれを委任契約者に支払うこととしようじやないか、半分はつまり電源会社でとるということの方針であつたらばいいだろうと、こういうような原則でこの仕事を始めたのであります。  なお詳細については間島理事から御説明をいたします。
  4. 結城安次

    委員長結城安次君) 次に間島理事からセメント製造業経営に関する資料について御説明願います。
  5. 間島達夫

    参考人間島達夫君) 私が主に経理を担当しております理事間島でございますどうぞよろしく。  この間お配りいたしました資料二つございますが、その中に附帯事業としてのセメント製造業経営に関する件、これを一つ御覧になりながらお聞き願いたいと思います。  この前段のほうには今総裁からお話申上げました、なぜ私のほうが磐城と提携して、あの濱松工場委託経営するということになつたかということが書いてあるのであります。これは重複いたしますので省略さして頂きたいと思いますが、私ども磐城とこれからお話いたしますような契約を一月に契約いたしましたが、勿論これは対通産省のあれで認可事項になつておりますので、それは認可があつたら効力を発生する、こういう條件になつておるわけでございまして、現在のところまだ認可を得ておりません。認可申請中でございます。その含みでお聞き取り願いたいと思います。  もう一つお配りいたしました資料の中で契約書の写がございますが、皆様なかなかおわかりにくいと思いまして、ここに大綱を書きましたのですが、一応読むような形で御説明申上げたいと思いますのでさよう御了承願いたいと思います。工場売買並びに工場経営委託等に関する基本契約要綱、これは工場建設と、それを電源会社に譲渡する事項をまとめてそこに書いたものであります。  磐城セメント会社は静岡県引佐郡井伊谷村、これは金指町からその北のほう二キロ半くらいの所にございます村でございますが、そこに一万八千坪くらいの敷地を確保いたしまして、月産概算二万二千トンの製造工場建設する予定をしております。これは一月の末に起工式をやりまして、現在整地中でございますが、それを建設が終つたときに、これは大体来年の四月頃になる見込でございますが、その出来上つたときに私のほうの会社が、これ々建設原価で譲り受ける。こういうことにしまして、それから磐城工場建設のため銀行から資金借入に当つては、私のほうが連帯保証をする。こういうことにいたしております。大体十七億五千万円以内でこの工場はできるわけでございますが、その間に銀行借入金利息がつきますが、大体その利息を含めて、どんなにかかつても二十億くらいで出来るだろう、こういう予定でありますので、大体建設原価金利を含めまして、建設原価二十億で譲受けよう。こういうことにしておるわけでございます。なお銀行から借りますわけですが、この金額は今まで磐城自分で出しました資金は引くということになつておりますので、大体十五億見当銀行から借りれば、工場建設は完了できるのではないかと考えております。そうして銀行から借りて、私のほうは連帯保証をいたしますけれども、その工場石灰石鉱業権、それは磐城井伊谷村に持つております白岩という原石がございますが、その鉱業権担保に入れる。工場鉱業権担保に入れる、そういうことにしておるのでございます。  それから二番目は出来上つた工場は私のほうで譲り受ける。つまり私のほうが所有権を得るわけでございますが、それの経営はどうするかということが、その第一のところに謳つてあるわけでございます。電源所有なつ工場経営磐城に委託する。これは委託経営になるわけでございますが、磐城はその委託経営実費で引受ける、こういうことにしております。従つて磐城自分のほうで以て原料の採掘をやり、それから燃料資材、それから運転資金の借入れも自分で調達するわけでございます。要するにセメント製造の一切の経営をするわけでございます。私のほうではそれに対して原料燃料にかかつただけのものを磐城に払う。こういうことになつたわけでございます。なお電源会社では、この実費計算を正確にしてもらうために、経理職員を常にそこに派遣常駐させまして、精密に計算をするわけでございます。従いまして原価計算磐城がこれだけかかつたということを、そのまま鵜呑みにするのではなくて、私どものほうの職員も一緒に計算して正確な数字を出す。こういうことにしているわけでございます。そういたしまして、この工場は月二万二千トンでございますが、この二万二千トンは毎月累積されて五十三万トンに達するまでは私どもは優先的に使う。主といたしまして佐久間の、天龍川水系佐久間地点秋葉地点ダム用セメントに使う、こういうことにしているわけでございます。それでは仮りに四年間ほどこの建設がかかるといたしまして、百万トン以上できるわけでございますが、そのうち五十三万トンを私どもが使いまして、その残りはどうするかといいますと、磐城原価で売る、こういうようにしてあるわけでございます。従つて磐城はそれを市場販売いたすのは自由である、こういうことにいたしたわけでございます。  それから第三項にはこの私のほうの天龍川水系秋葉佐久間建設終つたあとは、工場はどうするか、先ほどちよつと総裁からも御説明があつたと思うのでありますが、磐城に売戻すわけでございます。電源磐城に対する工場譲受代金から、毎月分割でこの譲受代金を払つて行くのでありますが、ダム建設が終りましたときに、私のほうの取得原価、先ほど仮りに二十億円と申上げましたが、二十億から毎月払いました工場譲受代金を引きまして、その残額、それを以て磐城に売戻しをする。磐城はこれを買戻す、こういうことにしているわけでございます。従つてこの工場売買、売戻しにつきましては磐城も一銭も損得もない。私のほうも一銭の損得もないというような恰好になつておるわけでございます。それから磐城のほうに毎月工場譲受代金といたしまして分割で払つて参りまして、磐城はそれを何に使うかと申しますと、磐城はそれで銀行から借りた、つまり私のほうが連帯保証をして銀行からの借入金を、それで返えすこういうことになつているわけでございます。  なお私のほうで一番心配しておりますのは、このセメントが一体ダム建設に向くのか向かないのかという、こういう問題がございますが、これについてはこの横にちよつと書いておりませんが、私のほうの技術家を、指導する技術家工場に派遣いたします。そして試験をいたしまして、これはダムに向くか向かないかどうかということについて検査をする。それから技術指導、これは玄人に対して技術指導というのは語弊があるかも知れませんが、要するに品質の管理をしたい、そういうことをやりまして、なお且つこのダムにこのセメントが向かないということがはつきりしましたときには、私のほうではこの基本契約を解除いたします。元の白紙に返す、磐城セメントは使わない、こういうことにしたいと考えておるわけでございます。  それが大体契約要綱でございますが、参考といたしまして、それじや一体こうした恰好磐城セメント工場を私のほうで委託経営をやりました場合、どのくらい節約できるかということが参考のところに書いてあるわけでございます。工場のほうを単に濱松工場と言つておりますが、濱松工場でできるセメント原価というものは、この工場が出来上りますのは来年の四月でございますので、なかなか正確な計算はできませんので、磐城のほうで推計をしてくれました数字をそこに並べたわけでございます。私のほうでもほかの工場といろいろ原価を照合して見ましたが、大体間違いないのじやないかというような気がいたしまして、この資料にも書いたような次第でございます。次に書いてございますのは、セメントトン当り、わかりやすく言いますれば、トン当りセメント原価をそこに書いているわけでございます。原料費、これは石灰石だとか粘土、石膏、スラグ、そういうものを入れまして六百四十四円、トン当り値段が六百四十四円、燃料費二千四十円、これは石炭でございます。八千円くらいの石炭を使うということにいたしますと、トン当り二千四十円くらいにつく。セメント原価の中で燃料費が非常に大きな要素になつておるわけでございます。それからその次が材料費でございまして、五百五十一円これはロータリー・キルン、窯を直す材料だとか、修繕用材料もそこにぶち込んでおるわけです。これが五百五十一円。労務費として四百九十一円。この工場は大体工場長以下三百人くらいで運営するということになつておりますのですが、それらの給与その他賞与を入れまして、トン当り四百九十一円ということになつておるのでございます。それから工場のその他の経費といたしまして四百七十四円計上いたしております。それはこの中に工場の持つ固定資産、これは土地磐城が入つておるのですが、私達のほうで申しますのは「うわもの」だけでございますから、土地固定資産税は入つておりませんが、こういうような工場固定資産税、それから修繕費のようなものが入つております。合計いたしますと、四千二百円。先ほど申上げました原価が四千二、三百円というのはこのことでございます。この四千二百円は、こういうことになるわけであります。この四千二百円は工場放れ値段でございまして、積込んだそのときの値段は四千二百円になつておりますので、これを仮に天龍川佐久間開発地帯まで運ぶにはトン当り運賃四百円ということで、これは二俣線と飯田線九十七キロでございますが、鉄道でばら積みで持つて行つた場合の運賃が四百円でございます。それから減価償却費、これをトン当り八百円に見ておりますが、これはラウンド・ナンバーにいたしましたために、少し余計に見ております。減価償却基礎数字は大体二十億ということで定率法をとつております。それから工場建設資金利子、これは工場建設資金として借りたものの、これは工場建設終つたあと利息の負担する額でございます。これが二十億で日歩三銭の計算で出しましたものが大体七百円、これも少し大目に見てございます。そういたしますと工場放れの原価運賃減価償却費とその建設資金利子を加えますと、六千百円になるわけでございます。そこで先ほど総裁ちよつとお話しいたしました磐城にまあ多少色を付けると申しますか、そういう恰好で出すものは、この六千百円とそのときの時価、現在まあ大体八千四百円くらいで時価で手に入るだろう、この八千四百円の時価相場時価から六千百円を引きました残りの二千三百円、その半分を磐城にやるわけでございますが、これが丁度その半分でございますから、千百五十円になるわけでございます。そういたしますと六千百円にこの千百五十円を加えました七千二百五十円、これが私のほうの実際のセメント原価になるわけでございます。そういたしますと、仮に佐久間渡しで八千二百円で市場から入るといたしますと、時価よりも千百五十円安いものが使えるという恰好になりますので、仮にこれを佐久間秋葉で五十三万トンを使いますと、千百五十円掛ける五十三万で、約六億円の節約になる勘定でございます。先ほどお話しいたしましたように、政府の尊い出資でございますので、できるだけ節約をしよう、今の時価計算いたしましても六億の節約になるということが、この契約をいたしました根本の趣旨でございますと同事に、それと共にセメントの量が確保できるということでございます。この二点に大きな意味があると思いますので、契約をいたしたわけでございます。なお今皆様がたから御賛同が出るかと思いますので、末尾にちよつと書き加えましたのですが、それでは原価時価よりも高くなつたらどうするかという問題でございますが、これは恐らくないだろうと思つて、こういう契約をしたのでありますが、万が一そういう場合にはどうするかというと、その原価時価の差額は、磐城全額負担とすると、こういうことに了承が付いておるのでございまして、私どもといたしましては、うまく行けば、非常に節約ができるし、悪く行つて市場並セメントが手に入る、こういう恰好になりますが、甚だ簡単でございますが一応私の説明はこれで終りまして質問にお答えいたします。
  6. 結城安次

    委員長結城安次君) 次に高碕総裁及び間島委員に対する質問でございますが、御意見のおありのかたは順次御発言を願います。
  7. 西田隆男

    西田隆男君 この前の委員会でも、このセメントの問題を私聞きましたのですが、提出された資料契約書等を見てみますと、表面上は、今間島さんから御説明されたように、電源開発株式会社のほうが得の行くような契約内容條文はなつております。この中にあります契約の第十四條、今あなたが説明されましたダム建設に適応するセメントがこの工場でできるかできんかという問題。恐らくこの第十四條は、万一の場合を慮んぱかつてお書きなつたと思いますが、これは甚だ言い過ぎかもわかりませんが、磐城セメントというセメント会社の実態を私が聞いているところによりますと、日本でいわゆる一流の優秀なセメントのメーカーではないように私は聞いているのです。従つてこの十四條の條文が、ただ最悪の場合を考慮して書かれた條文だとばかりには受取れない。従つてですよ、この十四條の條文を適用しなければ、活さなければならないというような問題が出たときには、折角電源開発会社計画されているセメント入手ということが根底からこわれてしまて二つ発電所ダム工事セメントう。従つ入手の点において、非常な困難が生ずる慮れがあるということが考えられる。これが第一点。  それからここに出されております資料では、私はセメント製造工程はよく知りません。知りませんが、いい原石があつていい設備がされて、そしていい石炭が使われて、そして技術一流技術ならば、いいセメントができると、常識的にこれを判断しているのですが、従つて十七億二千万円の建設資金を借りて造られる磐城セメントは、新設工場というものの内容というものが、資料を出されんと、ちよつとこの契約書だけでは、果して適当であるかどうかということを判断するに困るわけであります。私が、これも聞いたところですが、この前の委員会でも、栗山君から話があつたようでありますが、過去において、何とかセメントというのがセメント契約しておつた。或る程度所要資材は買入れておつたのではないかという話が出ていたし、新設セメント工場に使われる主なセメント製造の機械が、新規にどこで造られたものを買われるのか、それが又果してそこの建設をやる上において、あなたがお考えになつているような一流セメントができるのかどうかというような、技術的な点の保証がなされない限り、私は相当にこれは危険性があると思います。  又、もう一つの点は、この説明書によりますと、五十三万トン、千百五十円で六億の得があるというのは、これは尤もです。計数的に出ますが、少くとも日本全体のセメントの需給、それから海外輸出関係セメントの質の問題等々から考えて、セメントというものは何年間もストックができるものではない、従つて新設セメント工場。月二万二千トンの工場を造るとすれば、その工場で生産されたセメントがスムースに売れるか売れないかなどは、セメント工場には非常に大きな問題です。その消費先がはつきり電源開発株式会社に三カ年間は、逆に言えば優先して使われるのだ、お得意さんはきまつているのだという建前で造られるセメント工場は、これは算盤に乗らない、営業利益というものは相当に見込まなければならないので、そういう点を勘案して考えますと、仮にダム工事に使われる適当なセメントができるとすれば、必ずしもそこに契約されている契約書は、あなたの言うように六億電源開発株式会社が儲かるのだという単純な数字による利潤、算盤だけでは解決がつかない。もつと深く掘り下げて、契約される場合には、当然考えられなければならない問題であると思います。言葉を換えてもつと極端に言えば、十七億五千万円の借入金連帯保証はしなくても、販路は必ず俺のところで三年間お前のところのを使うのだということをおつしやることだけでも、これは或る程度契約をすることも不可能ではない。こういうふうに私は考えるが、この点について私の考え方が間違つているならば、あなたの御意見一つ伺いたい。
  8. 間島達夫

    参考人間島達夫君) 御質問にお答えしたいと思いますが、或いは抜けたところは、御指摘願いたいと思います。  第一の点でございます。磐城セメントで造つているセメント品質が悪い、従つてダム用に向かない慮れがあるのじやないかという点につきましては、私どもかねてから非常に調査研究いたしまして、従来どのくらいのものを磐城セメントダム用に、電力用に使われているかという調査をいたしたわけでございます。現に私どものほうの北上川の猿ケ石、胆沢という所で、ダム建設をやつているのであります。そこで磐城セメントを使つておりました。それから東北地方では主に磐城セメントのものを使つておりますのですが、二十五年の実績から申しまして、電力の全消費セメントのうち磐城セメントのものが約二〇%を占めております。これは相当権威ある数字からそういうことが出ておりますので、今の磐城セメントの作つておりますセメントダム用に向かないという結論は、私どもは持つておらないわけでございますから、新設の工場でも、ダム用セメントができることについては、何ら心配がないと思つておりますのですが、契約に入れましたのは、法律のああいう建前から申しますと、あらゆる場合を考えまして規制をいたしたわけでございます。その点は一つさよう御了承願いたいと思うのであります。  なお磐城の新らしい工場の機械でございますが、先ほど古い工場というお話がございましたですが、磐城が今度濱松工場に使います機械は昭和二十六年の一月に新らしく川崎重工に注文を出しております。これは私が注文書の本物を見せてもらつたわけでございまして、これはセメント工場として一番主要な機械でございますロータリー・キルン二本、それとあといろんな粉砕機、これを注文を出しております。大体ロータリー・キルンはでき上つているそうでございまして、工場ができれば据付ができることになつております。なおこれは余計なことかも知れませんけれども磐城では昭和二十五年にあそこの真田という技師長をアメリカに派遣いたしまして、いろいろセメントの機械についての研究視察をやらしたのでございますが、そのかたが帰つて来てから、川崎重工に注文を出した、こういうことになつておりますので、あそこの主要機械は全部新らしいものであるということは申上げられると思うのであります。  それから私どものほうで今の市場価格を基礎にいたしまして、六億くらいは市場価格より安いものが使えるというお話を申上げましたのですが、勿論市場価格というのは時の需給関係で動きますので、じや必ず六億出るかということは私も現在のところ実は確信がないのでございます。ただ現在の状態におきまして、今後二、三カ年間のセメントの需給関係というものを考えますると、大体需要のほうが生産よりも多い、そういう観点から申しますと、少くも今の市場価格は横這い、或いは下手すると高くなるのじやないか、こういうふうに考えておりますので、あのセメント工場を私ども経営委託させることによつて、非常なる損失をもたらすということはないように思つております。  それから販路の点でございますが、磐城がなぜ濱松工場建設計画したかと申しますと、大体中京地区、東海地区にセメント工場がないのでございます。田原に小野田の工場がございますが、これは四千五百トンくらいの非常に小さいものである。そこに目をつけまして、磐城がそこに建設計画をしましたのは新しいもので、これが恐らく東海地区に販路を求めれば、相当市場性が出るのじやないかというのが磐城さんの計画でございまして、勿論私のほうで優先的に使う。残り磐城さんがそういつた東海地区にこれから販路を拡張して、つまり市場を開拓するわけでございます。私どものほうでそれだけ使いますので、市場を開拓するに必要な数量というのはそれだけ減殺されるわけでありますが、恐らく磐城さんは市場の開拓ができるのじやないか、こう考えておるわけであります。若し御質問の趣旨にポイントが外れておりましたら、御質疑によりまして私再びお答えさして頂きたいと思います。
  9. 西田隆男

    西田隆男君 大体それでわかりましたがね。あなたのお話、高碕総裁のお話を聞いておりますと、この資料にもそういうふうな意味合いで表現されておるようですが、電源開発会社のほうが能動的に磐城セメントに働きかけて、十七億五千万円の建設資金の借入の保証をするというふうに受取れますが、電源開発会社のほうから磐城セメントのほうに話しかけたんですか、磐城セメントのほうから建設資金の問題についての話があつたのですか。どつちが先なんですか。
  10. 高碕達之助

    参考人(高碕達之助君) これは私が御説明申上げます。先ほど冒頭に申上げました通りに、こちらから電源開発会社のほうから磐城セメントに申出たのであります。
  11. 西田隆男

    西田隆男君 これは、電源開発会社附帯事業としてセメント工場経営する、こういうことに大体なるのだと思うのですが、高碕さんがおつしやる十七億五千万円という建設資金を俺のほうで連帯保証してやろうと言われても、磐城セメント資金の手当が十分できるものであれば、そうお願いしますということはないと思うのですがね。磐城セメントのほうに建設資金の調達について相当の困難性がなけらねば、ここに書いてある契約書のようなものは、普通の契約じやちよつとできにくいというのが我々の考えておる常識です。従つて委託経営となるのですが、附帯事業として電源開発会社がやるのに、実際は委託経営とは言いながら、ただ経理の人間を形式的に入れることと品質の管理のために人間を入れる、これも極めて形式的なことになると思うのですが、入れることによつて経営されておるような形式的なものが、電源開発会社附帯事業として果して適当であるかないかということが問題になると思うのです。我々は電源開発促進法を審議する過程において、電源開発株式会社の行なう附帯事業というものは、そういうものは全然考えていなかつた。これは許可事項認可事項ですから、当談官庁がどういうふうな裁断を下すかわかりませんけれども、この点に私は一点疑問を持つております。それと今建設資金連帯保証という点をめぐつて、いろいろよこしまといいますか、間違つたといいますか、デマが飛ばされる慮れもあるし、二、三聞いてもおりますから、こういう点を一つ国会を通じて国民が間違つた考え方を持たないで済むように、はつきり、詳細に一つ委員会を通じて御説明を頂きたいと思います。  それからもう一つ、さつきの第一回目の質問で私申上げましたように、いろいろセメント工場建設に関して、土地なんか問題じやないですね。他の資材ですね。資材とか材料とかいうものが昔の安い原価で買われておつたというようなものが、高く評価されるという、これじやないと思いますがね。十七億五千万円の限度において保証されるという意味合いのように思いますから。そういう問題に関連していろいろデマが飛んでおるようですから、そういう点も一つこの委員会を通じて詳細に御説明願いたい。
  12. 間島達夫

    参考人間島達夫君) 順序を変えて、逆ですが、一番最後にお聞きになつた点からお答え申上げます。建設原価十七億五千万円ですが、これは昭和二十六年の一月に川崎重工に注文いたした、こう申上げたと思うのですが、それから又多少物価が上りまして、仮りに現在注文いたしまするとかなり高いものになる。普通から申しますると、二万二千トンの能力の工場を建てますには約二十六億、一万トン大体十三億くらいの建設費がかかる、こういうことになつておりますので、その点でこの工場は割合に今までよりは安くできるということをちよつと申上げます。  この建設原価でございますが、私のほうは工場経理職員なり玄人を出しまして建設費にごまかしのないようにしたいと、こう考えております。これは契約書の中にも謳つてございます。さつき要綱を申上げるときにちよつと申忘れましたので、附加えて御説明申させて頂きたいと思います。  それから磐城の金融力の問題でございますが、磐城は私は仮りにやればおそらく借入金はできると思うのでございます。併し磐城の場合には、磐城単独で借りるというその場合には、おそらく長期のものは借りられないのじやないか、こう考えております。磐城は現在社債を出す会社一つでございますが、おそらく社債前貸とか増資前貸というような形でなければ借りられない、それが仮りに私のほうが連帯保証ということになりますると、比較的長期のものが借りられるという利点が磐城にあるわけでございます。でございますから、私のほうで呼び出さなければ、磐城は勿論単独でこの工場建設し、建設資金の調達を自分でやるということになつたと思うのでございますが、たまたま私のほうとこういう関係になりましたので、私のほうが連帯保証するということで、長期のものが比較的短日月に借りやすくなつたという利点、それがやはり磐城さんの狙いじやなかろうかと私は考えております。  それから附帯事業の点でございますが、これは促進法の二十三條に、会社目的を達成するに必要な事業ができるということになつております。勿論この事業を営みますには、主務官庁の認可が要るわけでございます。従つてこの目的を達成するに必要な事業というのは、一体何であるかということは、いろいろ問題があるか思うのでございますが、私のほうはダム建設にはセメントは非常に大きな要素を占めるという意味で、こういうもののあれは附帯事業のうちに入れてもよろしいのじやないかという考え方で話を進めたわけでございます。これは余計なことかも知れませんが、御参考に、戦争中朝鮮電業会社の水豊ダムを作りますときに、これは量の確保の問題もあつたかと思うのでありますが、小野田さんと提携いたしましてセメント工場をやはり委託経営の形でやられたことがある。当時セメントが統制に入りまして、なかなか入手し難くなつたのですが、運よくそういう関係で水豊ダム建設に非常に支障なくやられたという話を聞いておりますが、この場合に本当に当てはまるかどうかわかりませんが、そういう例がありますので、私ども附帯事業として考えてよろしいのじやないかこういうふうに考えたわけでございます。
  13. 栗山良夫

    栗山良夫君 今の西田君の御質問ちよつと関連して、而も私疑問に思つておる点がありますから、お答えを願いたいと思います。  実は磐城セメント開発会社との関係が今の問題になつておりますが、私は磐城セメントと、それから今言われておる濱松工場の生立ちとの関係をどの程度お調べになつておるかという点を伺いたい。この今話に出ております磐城セメント濱松工場というのは、私の記憶では昔冨士セメントと称せられたもので、社長はたしか現参議院議員の山内卓郎君の会社だと思うのでありますが、この会社が出発をいたしましてから、これは山内君から直接聞いたことを記憶しておるのでありますが、すでに主要機械も入れて組立てに入る段取りになつて、金融に非常に困つて難航しておるという話を聞いたことがございます。従つて冨士セメントがあすこに工場の敷地を買収いたしまして、工場建設に着工して磐城に合併いたしましたのか、売却いたしましたのか、私は売却と聞いておりますが、その経過をどういう工合に御調査になつておるかということ。それから磐城へ肩替りいたしましたときの主要設備の内訳或いはそのときの、取得されたときの対価というものは簿価上どうなつておるかというような点、それから磐城セメントが冨士セメントをそういう工合に取得いたしましたあと磐城セメント自体であの濱松工場経営について、どういう構想をもつてつたのか、その辺のところを当然お調べになつておると思いますのでお話を願いたいと思います。
  14. 間島達夫

    参考人間島達夫君) 今冨士セメント関係の御質問がございましたが、調べたところだけをお答え申上げます。冨士セメントは今お話がございましたように山内卓郎が社長をいたしまして、四千万円の会社で、金指町にセメント工場を作るべく計画を立てられたのでありますが、ロータリー・キルンその他の機械が入つても、資金の調達が行詰りまして、どうしても工場が建てられない。たまたま磐城にその話がありまして、合併しようということになつたの昭和二十五年の八月だと思うのであります。そこで磐城セメントでは合併の契約をいたしまして、合併を実行いたしましたのは二十五年の暮だと思うております。なおあそこにロータリー・キルンその他全部屋外に野ざらしになつてつたのでありますが、それを全部合併の結果、磐城が引取つたわけであります。引取りまして、磐城ではこれを磐城の各工場に分散活用したわけであります。  それでは今度の新しい工場濱松工場にどういうものを持つて行つたか、こういう御質問の趣旨だと思いますので申上げますと、今度の濱松工場に持つて参りますのは、非常に些末な機械でございまして、例えて申しまするとコンベヤーとかコンプレツサー、それから電動機、配電盤、それから鉄材のようなものを転用いたしまして、価格にいたしまして約四千万円ほどのものを、今度の濱松工場に転用する。一番大きなロータリー・キルンは現在磐城セメントの栃木工場で使つております。これは昨年度の磐城さんのカレンダーに載つておりますが、そこに転用しております。濱松工場にはそういう主要機械は一つも使つておらない、こういうことでございます。そういうことで今買収、合併と言われましたが、冨士セメント磐城関係は共同合併の関係でございます。
  15. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、昭和二十五年の暮に合併をいたしまして、そうしてすでに野ざらしになつてつて、主要機械は各工場に分散したというのでありますが、そうしますと、磐城としては開発会社から話があるまでは、あの工場の再建をするという意思はなかつたのですか。
  16. 間島達夫

    参考人間島達夫君) 再建と申しますと、冨士セメントの再建でございますか。
  17. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうです。
  18. 間島達夫

    参考人間島達夫君) その関係ちよつと私申忘れましたのでお話いたしましよう。冨士セメントと合併いたしまして、その後磐城さんでは一時岐阜のほうに機械を転用して工場を造る計画をお立てになつたようですが、その後計画を変更しまして、現在金指町から北二キロ半のところに建てるという計画を立てた。従つて機械は……、勿論工場敷地は冨士セメント計画した敷地でなしに、それから二キロ半離れたところに計画する、こういうことになつております。無論原石山は冨士セメントが目をつけておられたと同じ原石山ではないかと思います。
  19. 永井純一郎

    永井純一郎君 少しお尋ねをしたいのですが、私前に来ておらないので或いはすでに質疑が行われたことに亘るかも知れませんが、そういう点はできるだけ簡略にお願いしても結構でございます。  一つはこういう附帯事業が、これができるかどうかはまだ許可事項だか或いは認可事項だかわかつておらないようですが、このセメント事業ができるとして、これはこういうふうに磐城と特別の契約をしないで、会社がみずからやる場合は、もつと安くできるか、その点をちよつと伺いたい。
  20. 間島達夫

    参考人間島達夫君) 私のほうがやりますと、結局磐城よりは高くなると思うのでございます。仮に機械を新しくこれから注文いたしますと、先ほど申上げましたように、一万トンの能力のものは十三億ということが現在の常識になつておりますので、二万トンと申しますと二十六億かかるわけでございます。従つて政府出資を得たものでやるといたしまして、金利がかからないといたしましても、磐城のこの工場を使うよりは高くなるということは確実だと思います。
  21. 永井純一郎

    永井純一郎君 それは私も会社経営はよくわかりませんが、磐城がいろいろ機械を持つておるのは、安いときに買つた機械だからという意味になるのですか。
  22. 間島達夫

    参考人間島達夫君) そうでございます。御質問の通りだと思うのでございますが、磐城が川崎重工と話をいたしましたのは、二十五年の暮頃から話をいたしたのでございます。まだ物価が今日ほど上昇しておらない時代でございますので、非常に安くできた、こういうことでございます。
  23. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでは次に、この前もらつた資料外資導入三十億乃至四十億を見込んでおるというふうに書いてあるのですが、これはどういう根拠でこの三十億乃至四十億の外資が見込んであるのか知りたいと思うのです。
  24. 間島達夫

    参考人間島達夫君) そうしますと、この前十九日でございますか、皆さんにお配りいたしました国会説明参考資料の一番お終いのところでございますね。
  25. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうです。国会説明参考資料というわけですね。
  26. 高碕達之助

    参考人(高碕達之助君) 私一括して外資の問題について御説明申上げておきたいと思います。先ほど申上げます通り、私の主要なる任務は、外資が得られれば、外資を持つて来るのが任務だと、こういうあれだつたものですから。そこでこれはあとの工事契約とも多少関係があることと思いますが、昨年の暮に、この十一月に私外資の問題の見通し、それからアメリカの建設技術がどれだけ進んでおるかということを見るために、アメリカへ参りましたのですが、これは御質問ちよつとピントが外れますけれども、外国の技術導入するという問題が、この間の質問でありまして、まだここで説明しておりませんから、それに関連して御説明をさせて頂きます。私が感じますことは、現在日本ダム建設というものにつきまして、私どもが十年前に満洲でやつておりましたときと比較をいたしますと、余ほど技術が進んでおるようであります。アメリカへ参ります前に、この日本の内地で建設しております丸山とか、朝日のダムも見たのですが、なかなか進んでおるようでありますけれども、一般的に申しますと、その新らしい機械が、或るものは非常に新らしいものがある、或るものはどうも旧式なものがある、何か一つの機械の関連性がちつともとれていない。これを運転するのにも、そこに非常な無理がある。こう感じまして、どうしてもこの際、佐久間ダムは他のほうのダムよりも非常に大きな画期的な工事でありますから、これに一つアメリカの技術を持つて来て、うんと早くやつて見ようじやないか、こう考えたのであります。勿論、現在の日本技術におきましても、かすに日にちを以てやれば、私は日本技術は決して遅れていないと、必ずこれは、ダム建設などできるという確信はありますけれども、やはり早く上げることにつきましては、アメリカのものを持つて来たいと、こういう感じで行つたのであります。それで技術導入しますについては、すでにアメリカの有名なる会社で、モリソン・クルーゾンという会社が鹿島組と連繋の契約をして、ジヨイント・ベンチユアをして幾らか仕事をしておるから、私はこの会社一つよく頼つて、持つて来ようじやないかという感じで、私はアメリカへ参つたのでありますが、なかなかモリソン・クルーゾン会社も立派な仕事をやつておるのでありますが、私はアメリカから投資を受けるという必要もあるから、銀行家の意見も聞く必要がある、こう存じまして、現在世界銀行のローンを引受けておりますところの——世界銀行はこれは世界の銀行でありますから、一つ世界銀行からのローンを、アメリカからのローンを引受けておりますフアースト・ボストンという会社があります。その会社の親会社であるメロン銀行というのがあります。メロン銀行のフランク・デントンという責任者と会いましたところが、自分はこういうことをやつてみたいのだ、アメリカの技術導入したいのだと言つたところが、非常に結構なことだ、それについてはこういういいのがおると言つて私に紹介してくれたのが、アトキンソンという会社であります。その会社はモリソンと比較いたしまするというと、信用程度においては、つまり金力については大分劣つておりますけれども、そのやつております仕事はモリソンに負けないくらいの仕事をたくさんやつておる。そういうのでありまして、又その本人はもう六十七くらいの老人でありますが、非常な宗教家でありまして、お祖父さんの時代からやつておる。今現在はその弟がやつておる。こういう話で、これは信用するに足ると私は見たのでありますから、それと第一に話いたしましたことは、丁度私は今度はモリソン・クルーゾンと一緒になりたいと思つているのだが、お前はそのモリソン・クルーゾンとジヨイント・ベンチユアにならないかと薦めたのであります。ところがあのアトキンソンの言うことには、モリソン・クルーゾンは非常にいい会社だ、あの会社一つ競争させてくれ、フエアー・プレイでやらしてくれ、自分のほうは一緒にやるのは困るという申出でありまして、これは非常に面白い話だと思いまして、そのモリソン・クルーゾンと一緒に、又別になつてアトキンソンが日本に来てくれるように話をしたのであります。そういうことから、日本におきまして、このアメリカの技術導入するのには、モリソン・クルーゾン、これはすでに鹿島組と連絡を取つておりますが、そのほかに鹿島、大林というのが入つて、三者がジヨイント・ベンチユアでやる。それから一方アトキンソンのほうは、日本ダム建設について非常な経験を持つておる熊谷、間というものと一緒になつて、これが一つのジヨイント・ベンチユアである。こういうふうなことになりまして、そのほかに西松組という、これも非常に有力な日本ダム建設についての権威者でありますが、その人たちが中心になりまして、五つの有力な会社が寄つて、別に一つのジヨイント・ベンチユアをやり、この三つのつまり組織ができたわけであります。そこで差当り佐久間建設につきましては、この三つの相手方を相手といたしまして、実はアメリカ人と初めて仕事をされるのだが、どういう方法でおやりになるか、又日本ではジヨイソト・ベンチユアというものは初めてやるのだから、どういう方法でやるのだか、それをよく組織を作つてもらいたい。それから今度佐久間事業は非常にむずかしい仕事であるから、どういうふうな方法でこれをおやりになるか、それを詳細に知らしてもらいたい。同時にその工事については大体見積りを、参考見積りとしてどれくらいかかるかということを知らしてもらいたいという、この三つの要望を出しまして、相成るべくはこれを早く決定したいと思つておりました。実は二月中にきめてしまいたい、こう思つてつたのであります。ところがこの佐久間のほうは、予想外に補償問題につきましては未解決の問題がありまして、現地におきましては、補償問題を未解決のままに請負契約するなんということは甚だ不当だ、そういうことでは協力できない、こういうふうな空気が相当に濃厚になつて参りましたものでありますから、一月の末以来、その方面に、現地の補償問題に、静岡県、愛知県、岐阜県と相協力いたしまして、その問題を解決しておるようなわけであります。一、二週間のうちに、成るべく早くこの問題を解決して、そうしてそれから後に只今も申上げました佐久間建設請負に入りたい、こう存じておりますわけでございます。  そこでそのときに私外資の問題につきまして、アメリカへ参りましたときに、先ず世界銀行に当つたのであります。で世界銀行のほうはすでにその前に二人の調査員を送つておりまして、彼らの言うことには、どうも日本に金を貸してもいいが、その返えす方法がはつきりつかなければ、自分のほうは金を貸せないのであるから、お前のほうは電力を開発してそれを幾らにどこへ売つて、どういうような製品が出来て、どうなるかということがはつきりしておるか、こういう話であつたのでありますが、私はそれは電源開発会社は現在の促進法によれば、電力を開発するということが使命であつて、それからできたものをどういうふうに譲渡するとか、或いは賃貸するか、或いは電力を売るかということは、更に政府が電力審議会の決議によつてきめるべきもので、自分はその力がないのだから、従つてそういう案は立てられない、そういうことを言つたのであります。ところが向うの総裁のブラツクという人が言いますことには、それはどうも一応君は実業人じやないか、実業人というものは、君でそういう案が立たんなどということは甚だ不都合だ、一応君でどういうふうにやるかということを君の考えとして、これは政府の案でなく、君個人の案でいいから、そういうものを一つ出してみてくれないか、その上について考慮しようじやないか、こういうような話があつたのであります。そこで一体幾らくらい金を貸すというのだ、こういう質問をしたのであります。金額はどれくらい貸すだろうかということになつてみますというと、大体の金額は一年に、世界銀行として取扱つている金額は一億五千万ドルくらいある。そのうち特に日本の電力というものは非常に興味があるから、それから割出して行けば、そう日本側の言うように三億幾らということはとてもいけない、一年に三千万ドルか五千万ドルくらいで年々出すようにすればいい。一遍に出ない。そういうことにしたらどうか。それで結構だろう。こういうようなことから、これは極く非公式なプライベートの話でありますから、何とも申上げかねますが、そういう話があつたのであります。そこで先の二十億円乃至三十億円というあれでございますが、これはこういうことなんであります。アメリカから技術導入して来る、その場合には、私はできるだけ日本の機械を使うようにしたいと思つておるのでありますが、佐久間建設には非常に大きな機械が、曾つてまだ日本で使わないようなものがたくさん要るものですから、これは向うの請負いの人に機械を持たして寄越したらどうか、その機械代は電源会社で支払う、電源会社所有にする、一応買おうじやないか、こういうことでやり、その金額は機械代六百万ドルくらいになると思うのですが、それからそのほか彼らが人を五、六十人連れてきますから、これらの費用を払うというと、先ず一千万ドル以下の金額になります。それくらいのものは、これは世界銀行じやなくて、アメリカの銀行で、政府保証するというならば二年や五年待つてもいい。これは払つてもいいけれども、できるだけドルを我々は借りておきたいのだ。というのは向うの利息は安いものですから、四分以下であれば借りようじやないか、それくらいならできるだろう、その機械を買つた場合、或いは向うから人を連れて来た場合やつてやろうじやないか。大体こういう内諾を得ておるのであります。これを実行するや否やということはまだわかりませんけれども、そういうわけでここへ二十億という金額を挙げたのであります。甚だ冗長になりましたが、いろいろなことを一緒にお話しました。
  27. 永井純一郎

    永井純一郎君 大体このいきさつがわかりましたが、そうすると結局電源開発事業におきまして、外資導入するという場合、これは労力もたくさんあるし、セメントもあるのですから、結局機械を入れるということ、それからその関係技術者というよりほかには、電源開発について外資を入れるという方法は、世界銀行から金を借りてもないわけんですね。
  28. 高碕達之助

    参考人(高碕達之助君) これは世界銀行から日本が外貨を借りますときには、これはアメリカから機械を買うとかアメリカから物を買うとかということとは、全然離れての話でありまして、いま先き申上げましたのは、アメリカの銀行から一時借りるという場合には、機械を買うまい、借りるわけでありますから、世界銀行のほうには、これはアメリカから買わなくても、日本で例えばセメントも供給できる、労力も供給できるというようなこと、又鉄材も供給できる。その場合には、向うからドルを借りるということは、ドルによつて我々の機械代金も払わなければならん。ドルによつて食糧も払わなければならん。労力、鉄材というものもいろいろな問題から言えば、日本の事情も或る程度考慮しなければならんから、そういう場合に我々はドルを使いたいのだ。こういう説明をいたしておりますから、必ずしも電源開発に使わなければならんというわけでもないわけなんです。間接的のものであります。そういうふうに御解釈を願いたいと存じます。
  29. 永井純一郎

    永井純一郎君 そういうことであれば、このアトキンソンだとかモリソンですか、といつたようなそういう会社を入札に参加させることは要らないのじやないですか。なぜそういう外国、特に米国の請負業者を何とかいう、ジヨイント・ベンチユアという制度を先ほどからおつしやつていましたが、そういう新らしい制度によつて使わなければならんかということがわからないのです。
  30. 高碕達之助

    参考人(高碕達之助君) これはアメリカの技術導入するということが主眼であります。それから只今外貨の問題と結びつけますと、世界銀行で借入れます金につきましては、今御説明申上げました知りでありますが、世界銀行から借ります金額というものはおのずから限度がありまして、私は少くともこの電源開発会社というものを引受けてやります以上は、この資金の見通しというものを三段五段につけておく必要があるのではなかろうか、こう考えておるのであります。従いまして仮に世界銀行で僅かしか借りられなかつたという場合には、アメリカのつまり、昔我々は外資を電力で補充したことがありました。それにはフアースト・ボストンなどああいう連中がやつたのでありますが、そういう連中によつて推薦を受けておる人と、同じ外国の技術導入すれば、そういう連中によつて推薦を受けた人なれば、あとの話が進めやすい、これは私の考えであります。そう私は信じておるわけであります。
  31. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうすると、私がもう一つ伺いたいのは、この前アメリカに総裁がいらつしやいまして、外資の問題でいろいろ御相談があつたようですが、その際やはりモリソンだとかアトキンソンだとかいう米国の請負会社というものがそういう機械を持つて来る、そういうものを結局買取るために必要なドルを中心にして貸そう、そういうことであれば貸そう、結局そういうことになるのではないか、この際の僅かばかりの外資は……。
  32. 高碕達之助

    参考人(高碕達之助君) それは全然別の問題であります。これは私は日本に帰りまして以来、どれくらいのものを持つて来るかということを聞いたものでありますが、それでそのくらいのものは、お前のほうで仮に仕事契約してやるということになれば、それは金を貸すだろう、それはこちらのほうでもバンク・アメリカン、メロン・バンクもある、これは簡単に貸そうじやないかということになつておりまして、アメリカはこの問題については殆んど触れておりませんでした。主としてアメリカに行きましたときには、いろいろ世界銀行の問題と同時に、将来日本外資を保持する場合には、日本の証券が昔のように売れるだろうか、利息は高くちや困る、利息を安くして四分ぐらいの利息で売るような方法はないか、こういうようなことをやつてつたわけでありますが、併し私はそのときの感じでは、つまりそういうふうにしておいたほうが非常に楽だ。アメリカの利率を持つて来たほうが非常に楽だ。こういう感じがいたしました。
  33. 永井純一郎

    永井純一郎君 もう一つ総裁にお尋ねしたいと思いますのは、外資の問題について渡米されるときには、恐らく政府といろいろ相談もして行かれたと思うのです。で私ども外資の問題について考えるのは、特に日本の基礎産業の復興だとか、開発については、できるだけこれは今のうちに安いコストで特に電源開発等はやつておく必要があるわけです。ところがこれを極く事務的に進めて行くときには、到底そういうことは私は不可能だと思うのです。日本の場合は、特に電源開発についてはそうだと思うのです。で、アメリカの開発原価というものは、年々下つているようですが、我が国のほうは、今後だんだんこれから着手するものは非常に高くなつて行く。そこで外資導入というものは、総裁なり、或いは政府のものがやる。いろいろ相談をするときには、向うの一銀行家の意見などで折衝をしておつては、これはもう当然、何と言いますか、コンマーシャル・ベースによるもの以外の話は出て来んと思うのです。そこで総裁が、外資導入の問題は一番自分の重要な仕事だと、まあその通りだと思いまするが、ここで政府といろいろ相談をして行かれるときに、単に取引としてのみ、これをやるならば、もうろくなことは、私は結果が……、立派な総裁がおられても答が出て来ないと思うのです。政府との相談は、渡米などをされるときには、私の言いたいのは、可なりいわゆる政治借款的なものが考えられない限りは、有利な、質のいい外資は私は入つて来ない。そういう点一体一番重要な電源開発事業について、総裁政府はどういう話合をして、この前は渡米されたのか。コンマーシャル・ベースの上に乗つての話ならば、もう別に行かなくたつて、ガーナーさんとか、何とかいうことはわかつていると思うのです。その間政府開発会社とは、一体どういう話合をしておるのか、その辺を少し総裁から承わりたいと思います。
  34. 高碕達之助

    参考人(高碕達之助君) 私も今の御質問のような感じがいたします。これはどこまでもコンマーシャル・ベースであれば、そういう大きな金は得られない。相当政治的の問題がなければならんかと存じますが、私はそういう問題には一切関与いたしませんで、どこまでもコンマーシャル・ベースでどの程度で行くかということについて、私の調査をいたしました結果でございます。
  35. 永井純一郎

    永井純一郎君 それで私は総裁に希望を申上げると言いますか、非常に重要な使命を帯びられまして、高碕さんがその責任の地位におられるわけでありますから、私ども国会の立場としましては、政府が非常にぼんやりしておると私は思う。是非総裁のようなかたから政府を鞭撻して、この外資導入の問題は、もう少しうまく行くように、私は先ほど申上げるようにうまく行くように、そうして高碕さんあたりが外資の問題について渡米される際には、十分に政治的と言いますか、単に先ほど言うような取引ではなくして、もつと大きな使命を帯びて渡米ができるようなふうに政府がしなくちやいかんと、そういうふうに、今後総裁としては政府に当つて頂くようにして、開発事業を担当して行くべきだ、こういうふうに思いますので、私は決して総裁にどうこう言つているのでなくて、政府が悪いと、政府がぼんやりしていると、そういう意味で、政府と話合を外資の問題については今後して頂けるようにお願いをしまして、私の質問を終りたいと思います。
  36. 栗山良夫

    栗山良夫君 私ちよつと急ぐ用事が他にありますので、誠に恐縮ですけれども発言を許して頂きたい。セメント工場の問題は、これはやはり主務官庁の認可事項になつておりますので、主務官庁の意見を、ここへやはりおいで願つてお聞きしたいと思うのです。特に今話題に出ました冨士セメント磐城との合同のときには、現通産大臣の小笠原三九郎郎氏も確かその話題に上つてつたように私は記憶しておるわけです。だからまあ非常によく御存じだろうと思うわけです。従つてそういうような点もありますので、是非一つ通産当局の意見をここで伺いたい、こう考えております。わけてもこの附帯事業の問題は、少くとも開発促進法を国会で我々が審議いたしましたときは、提案者はさような意味の附帯事業というものは一言も言及しておりません。これは附帯事業の場合は、例えて申しますると、当時福田君の説明によりますと、大きな河川の土地収容などをやりましたときに、そこの住民諸君のために酪農農業を行うとか、或いはその他の林業経営を行うとか、そういつたような意味の附帯事業をやりたいということが中心でございまして、物品を購入するための、単価を下げるために工場経営を行うとかいつたような意味のことはいささかも言及されていないわけであります。従つて附帯事業そのものの性格というものも、こういう大きな、どちらかと申しますれば、これは国家事業でありますから、国家事業はそういうことを行なうということについては、いろいろと御議論もあろうかと思います。又セメント業界としての御意見もあろうと思います。いろいろな問題がありますので、是非とも一つ通産当局の意見を聞くように緊急にされたい。それから開発関係のことは、その他にもお聞きしたい点がたくさん残つているわけでありますから、引続いて誠に御厄介でありますけれども開発会社のほうの責任者並びに通産当局の責任者においで願つて、更に問題点を一つお聞き申上げたいと考えるわけであります。それだけちよつとお願い申上げておきます。
  37. 結城安次

    委員長結城安次君) 皆さんにお諮りいたしますが、この前電源開発促進法を審議するときに、その他の附帯事業というときには、大分議論も活溌にありました。そのときにはこれだけ拡張されるような話は全く栗山委員のおつしやる通り少しも聞いておらなかつた。皆さんも御同感だろうと存じます。ですから今後こういうふうなつまり附帯事業を、電源開発に関するすべてのものが附帯事業をやり得ると、非常に広汎な考えのようになりまして、これはとんでもない大きな仕事に行くのではないかと存じますので、通産大臣のお考え、又直接監督になつておる公益事業局長のお考え等もこの次には、今日衆議院の関係で来られないそうでありますから、この次にそういう点はもう一遍いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 結城安次

    委員長結城安次君) それではさよう取計らいます。  それでは続いてそれ以外の本日の話について御質疑を続行いたします。速記止めて。    〔速記中止〕
  39. 結城安次

    委員長結城安次君) 速記を始めて下さい。  連合委員会はこれで閉じます。参考人の方々いろいろ有難うございました。    午後三時三十一分散会