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参考人(高
碕達之助君) 私一括して
外資の問題について御
説明申上げておきたいと思います。先ほど申上げます通り、私の主要なる任務は、
外資が得られれば、
外資を持
つて来るのが任務だと、こういうあれだ
つたものですから。そこでこれは
あとの工事
契約とも多少
関係があることと思いますが、昨年の暮に、この十一月に私
外資の問題の見通し、それからアメリカの
建設技術がどれだけ進んでおるかということを見るために、アメリカへ参りましたのですが、これは御
質問と
ちよつとピントが外れますけれ
ども、外国の
技術を
導入するという問題が、この間の
質問でありまして、まだここで
説明しておりませんから、それに関連して御
説明をさせて頂きます。私が感じますことは、現在
日本の
ダムの
建設というものにつきまして、私
どもが十年前に満洲でや
つておりましたときと比較をいたしますと、余ほど
技術が進んでおるようであります。アメリカへ参ります前に、この
日本の内地で
建設しております丸山とか、朝日の
ダムも見たのですが、なかなか進んでおるようでありますけれ
ども、一般的に申しますと、その新らしい機械が、或るものは非常に新らしいものがある、或るものはどうも旧式なものがある、何か
一つの機械の関連性がちつともとれていない。これを運転するのにも、そこに非常な無理がある。こう感じまして、どうしてもこの際、
佐久間の
ダムは他のほうの
ダムよりも非常に大きな画期的な工事でありますから、これに
一つアメリカの
技術を持
つて来て、うんと早くや
つて見ようじやないか、こう
考えたのであります。勿論、現在の
日本の
技術におきましても、かすに日にちを以てやれば、私は
日本の
技術は決して遅れていないと、必ずこれは、
ダムの
建設などできるという確信はありますけれ
ども、やはり早く上げることにつきましては、アメリカのものを持
つて来たいと、こういう感じで行
つたのであります。それで
技術を
導入しますについては、すでにアメリカの有名なる
会社で、モリソン・クルーゾンという
会社が鹿島組と連繋の
契約をして、ジヨイント・ベンチユアをして幾らか
仕事をしておるから、私はこの
会社に
一つよく頼
つて、持
つて来ようじやないかという感じで、私はアメリカへ参
つたのでありますが、なかなかモリソン・クルーゾン
会社も立派な
仕事をや
つておるのでありますが、私はアメリカから投資を受けるという必要もあるから、
銀行家の
意見も聞く必要がある、こう存じまして、現在世界
銀行のローンを引受けておりますところの——世界
銀行はこれは世界の
銀行でありますから、
一つ世界
銀行からのローンを、アメリカからのローンを引受けておりますフアースト・ボストンという
会社があります。その
会社の親
会社であるメロン
銀行というのがあります。メロン
銀行のフランク・デントンという責任者と会いましたところが、
自分はこういうことをや
つてみたいのだ、アメリカの
技術を
導入したいのだと言
つたところが、非常に結構なことだ、それについてはこういういいのがおると言
つて私に紹介してくれたのが、アトキンソンという
会社であります。その
会社はモリソンと比較いたしまするというと、信用
程度においては、つまり金力については大分劣
つておりますけれ
ども、そのや
つております
仕事はモリソンに負けないくらいの
仕事をたくさんや
つておる。そういうのでありまして、又その本人はもう六十七くらいの老人でありますが、非常な宗教家でありまして、お祖父さんの時代からや
つておる。今現在はその弟がや
つておる。こういう話で、これは信用するに足ると私は見たのでありますから、それと第一に話いたしましたことは、丁度私は今度はモリソン・クルーゾンと一緒になりたいと
思つているのだが、お前はそのモリソン・クルーゾンとジヨイント・ベンチユアにならないかと薦めたのであります。ところがあのアトキンソンの言うことには、モリソン・クルーゾンは非常にいい
会社だ、あの
会社と
一つ競争させてくれ、フエアー・プレイでやらしてくれ、
自分のほうは一緒にやるのは困るという申出でありまして、これは非常に面白い話だと思いまして、そのモリソン・クルーゾンと一緒に、又別にな
つてアトキンソンが
日本に来てくれるように話をしたのであります。そういうことから、
日本におきまして、このアメリカの
技術を
導入するのには、モリソン・クルーゾン、これはすでに鹿島組と連絡を取
つておりますが、そのほかに鹿島、大林というのが入
つて、三者がジヨイント・ベンチユアでやる。それから一方アトキンソンのほうは、
日本の
ダムの
建設について非常な経験を持
つておる熊谷、間というものと一緒にな
つて、これが
一つのジヨイント・ベンチユアである。こういうふうなことになりまして、そのほかに西松組という、これも非常に有力な
日本の
ダムの
建設についての権威者でありますが、その
人たちが中心になりまして、五つの有力な
会社が寄
つて、別に
一つのジヨイント・ベンチユアをやり、この三つのつまり組織ができたわけであります。そこで差当り
佐久間の
建設につきましては、この三つの相手方を相手といたしまして、実はアメリカ人と初めて
仕事をされるのだが、どういう方法でおやりになるか、又
日本ではジヨイソト・ベンチユアというものは初めてやるのだから、どういう方法でやるのだか、それをよく組織を作
つてもらいたい。それから今度
佐久間の
事業は非常にむずかしい
仕事であるから、どういうふうな方法でこれをおやりになるか、それを詳細に知らしてもらいたい。同時にその工事については大体見積りを、
参考見積りとしてどれくらいかかるかということを知らしてもらいたいという、この三つの要望を出しまして、相成るべくはこれを早く決定したいと
思つておりました。実は二月中にきめてしまいたい、こう
思つてお
つたのであります。ところがこの
佐久間のほうは、予想外に補償問題につきましては未解決の問題がありまして、現地におきましては、補償問題を未解決のままに
請負契約するなんということは甚だ不当だ、そういうことでは協力できない、こういうふうな空気が
相当に濃厚にな
つて参りましたものでありますから、一月の末以来、その方面に、現地の補償問題に、静岡県、愛知県、岐阜県と相協力いたしまして、その問題を解決しておるようなわけであります。一、二週間のうちに、成るべく早くこの問題を解決して、そうしてそれから後に
只今も申上げました
佐久間の
建設の
請負に入りたい、こう存じておりますわけでございます。
そこでそのときに私
外資の問題につきまして、アメリカへ参りましたときに、先ず世界
銀行に当
つたのであります。で世界
銀行のほうはすでにその前に二人の調査員を送
つておりまして、彼らの言うことには、どうも
日本に金を貸してもいいが、その返えす方法がはつきりつかなければ、
自分のほうは金を貸せないのであるから、お前のほうは電力を
開発してそれを幾らにどこへ売
つて、どういうような製品が出来て、どうなるかということがはつきりしておるか、こういう話であ
つたのでありますが、私はそれは
電源開発会社は現在の促進法によれば、電力を
開発するということが使命であ
つて、それからできたものをどういうふうに譲渡するとか、或いは賃貸するか、或いは電力を売るかということは、更に
政府が電力審議会の決議によ
つてきめるべきもので、
自分はその力がないのだから、
従つてそういう案は立てられない、そういうことを言
つたのであります。ところが向うの
総裁のブラツクという人が言いますことには、それはどうも一応君は実業人じやないか、実業人というものは、君でそういう案が立たんなどということは甚だ不都合だ、一応君でどういうふうにやるかということを君の
考えとして、これは
政府の案でなく、君個人の案でいいから、そういうものを
一つ出してみてくれないか、その上について考慮しようじやないか、こういうような話があ
つたのであります。そこで一体幾らくらい金を貸すというのだ、こういう
質問をしたのであります。
金額はどれくらい貸すだろうかということにな
つてみますというと、大体の
金額は一年に、世界
銀行として取扱
つている
金額は一億五千万ドルくらいある。そのうち特に
日本の電力というものは非常に興味があるから、それから割出して行けば、そう
日本側の言うように三億幾らということはとてもいけない、一年に三千万ドルか五千万ドルくらいで年々出すようにすればいい。一遍に出ない。そういうことにしたらどうか。それで結構だろう。こういうようなことから、これは極く非公式なプライベートの話でありますから、何とも申上げかねますが、そういう話があ
つたのであります。そこで先の二十億円乃至三十億円というあれでございますが、これはこういうことなんであります。アメリカから
技術を
導入して来る、その場合には、私はできるだけ
日本の機械を使うようにしたいと
思つておるのでありますが、
佐久間の
建設には非常に大きな機械が、曾
つてまだ
日本で使わないようなものがたくさん要るものですから、これは向うの
請負いの人に機械を持たして寄越したらどうか、その機械代は
電源会社で支払う、
電源会社の
所有にする、一応買おうじやないか、こういうことでやり、その
金額は機械代六百万ドルくらいになると思うのですが、それからそのほか彼らが人を五、六十人連れてきますから、これらの費用を払うというと、先ず一千万ドル以下の
金額になります。それくらいのものは、これは世界
銀行じやなくて、アメリカの
銀行で、
政府が
保証するというならば二年や五年待
つてもいい。これは払
つてもいいけれ
ども、できるだけドルを我々は借りておきたいのだ。というのは向うの
利息は安いものですから、四分以下であれば借りようじやないか、それくらいならできるだろう、その機械を買
つた場合、或いは向うから人を連れて来た場合や
つてやろうじやないか。大体こういう内諾を得ておるのであります。これを実行するや否やということはまだわかりませんけれ
ども、そういうわけでここへ二十億という
金額を挙げたのであります。甚だ冗長になりましたが、いろいろなことを一緒にお話しました。