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1952-12-19 第15回国会 参議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十九日(金曜日)    午前十一時二十分開会   ━━━━━━━━━━━━━  出席者は左の通り。    委員長     油井賢太郎君    理事            西郷吉之助君            中田 吉雄君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            宮田 重文君            岡本 愛祐君            館  哲二君           小笠原二三男君            原  虎一君            吉川末次郎君            岩男 仁藏君            岩木 哲夫君   衆議院議員            鈴木 直人君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    国家地方警察本    部次長     谷口  寛君    国家地方警察本    部総務部長   柴田 達夫君    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁税務部長 後藤  博君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    自治庁財政課長 奧野 誠亮君   参考人    警 視 総 監 田中 榮一君   ━━━━━━━━━━━━━   本日の会議に付した事件 ○町村警察維持に関する責任転移の  時期の特例に関する法律案衆議院  提出) ○地方財政平衡交付金法の一部を改正  する法律案内閣送付) ○昭和二十七年度分の地方財政平衡交  付金単位費用特例に関する法律  案(内閣送付)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 只今から委員会開会いたします。  本日は昨日に引続きまして、町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案を先ず議題に供しまして、そのあとで本多国務大臣出席皆さんのほうから要求されておりますので、国務大臣が参りましたならば、附加価値税が今年の十二月三十一日を以てこの前の特例である期限が切れますから、その後の経過をどういうふうにするかということについて皆さんに御質疑をして頂くことになつております。更に又平衡交付金関係の二法律案につきましても、その後引続き今日はやる予定になつておりますから御了承おき願いたいと思います。  先ず警察法関係議題に対しまして質疑がありましたならばお述べを願いたいと思います。
  3. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案でありますが、これは提案者たる自由党においても予算関係なんかについては国警といろいろ協議されたと思いまするが、提案者に伺いますが、又国警長官のほうからも自治体警察のほうにこれは勿論自治体に関する問題でありますから、御相談が当然あつたと思いまするが、その点については如何ですか、伺いたいと思います。
  4. 鈴木直人

    衆議院議員鈴木直人君) 提案者といたしましては、これを提案いたします場合に、すでに住民投票の終つているものが大部分であり、更に町村会議決乃至直接請求の終つておるものも若干ありましたような関係で、直接現地町村に問合せる余裕もありませんでしたし又自治体警察を代表するということになりますか、そういうような全国の連合会というような方面にお聞きする必要もあろうかとは思いましたが、先ほども申上げましたような事情も、すでに意思決定できまつておるような事情もありましたので、その方面には聞きませんでした。そうして主としてこれを吸収するその辺の国警側に対して予算的に支障がないか、そうしてその他の運営上においてどうであろうかということを問合せただけであります。その結果その方面は差支えないということでありましたので、提案をいたした事情でございます。
  5. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私のほうといたしましても、この法案が成立をいたしました暁に、これに関係をお持ちであろう町村の意向というものはあらかじめこちらからは積極的に聞いてはおりません。ただ非常に陳情と言いますか、請願と言いますか、国会側にしておられるのと同様に私のほうにも或いは文書或いはわざわざ遠くから出て来られて、是非こういう案が国会提案をされるということであるから、その際は自分らのほうも中に入るように予算都合をつけてもらいたいという強い要望があつたことは、私は承知をいたしておるのであります。私のほうといたしましては、この法案が成立いたしましても、この法案によつて責任転移の時期を繰上げるかどうかということは、更にその町村会議決を経るわけでありますから、その議決を待つてこちらに書類が参る、それによつて決定をすればよろしい。予算といたしましてはこれに該当するであろう全部の町村がその議決によつて繰上げなければならないという旨を申請をして来られましても、予算上の都合はつくと、かように考えておりまするので、積極的に当該町村に対しまして見込みはどうかということまでは照会もしておりませんし、調査もいたしておりません。さようなことを御了承願いたいと思います。
  6. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今までの経過はわかりましたが、私はこういう問題は、今日警察国警自警並びに保安隊海上警備隊というようないずれも国内治安機関がありますので、これらの問題につきましては、やはり特に国警なり、自警なりの関係は極めて密接な関係でなければならんと思いますので、かかる自治体の多数のものが今度国会提案されて、根本法より早く移管がされるというふうな場合には、やはり自治体連合協議会ですか、こういうようなものの代表者東京警視庁協議されておるのでありますから、そういう方面ともよく欠くるところのないような関連を持つてつて頂くことが、特に治安機構でありますからこの際必要だ、かように思いますが、今国警長官お話だといろいろ話はわかりましたが、今後ともこういう問題については特に私は昨日、一昨日の予算委員会でも総理にも要望したのでありますが、国警自警並びに保安隊なんか、こういうふうなものがばらばらになつてはいかんから、相互に密接な関連を法的にも持つように考えて頂きたい、というのには、総理も非常に賛成でありましたが、私は如何なる問題でも万が一にでも円満を欠いたり、感情の行違いが生じてもいかんと思いますので、こういうふうな多勢の自治体警察がたとえ法律従つてやることでありましても、当該団体間に関連を持つて、十分なる了解の下にやつて頂くことが私は必要であると思いますので、今日は警視総監もお見えになつておられますから、この問題につきまして所見がありましたらこの際伺いたいと思います。
  7. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 今回町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案議員提出の議案として国会提案されたのでありますが、自治警察側意見といたしましては、すでに町村におきまして、町村民自由意思によつて、その維持するかしないかということがすでに態度として決定いたしております。ただその時期を繰上げるのでありますからして、自治体警察側といたしましては、これに対して何ら意見を申述べる必要はなかろうと思います。従いまして私どもといたしましては或いは一定の期間に町村予算編成の場合においていろいろの支障を来しまするので、又その治安維持に従事する警察官のいろいろな職務執行に際しまして、身分の不安というようなものから来る執行上の支障というものを考えますれば、或いは時期を早く繰上げて頂いたほうが適当ではなかろうかということも考えております。ただ問題は、これは別に法律上の問題とか、そういう問題でないのでありまして、やはり全国的に自治体警察連合協議会というものが現在あり、而も自治体警察のいろいろな財政的或いは運営の面におきまして終始連絡をいたしまして、これを通じまして、国家地方警察なり、その他の関係機関と常に密接な連絡をしておつたわけであります。従いまして法律的に自治体警察として自治体警察連合協議会のほうに或いは自治体警察公安委員会連合会のほうに正式の連絡の必要は勿論これはなかろうかと考えております。併しながら将来いやしくも国家治安機構として、国家地方警察自治体警察という二本建のものが現存する際国家地方警察自治体警察が常に有機的に又はその精神面におきましてもぴつたり融合いたしまして、両者の緊密がなければ国内治安維持というものは不可能だと思つております。かような点から考えまして、自治体警察連合協議会といたしましては、少くとも自治体に関する警察制度の変更の問題でありますから、事前に事実問題として何らかの連絡があつたほうがこれはお互いに今後の治安維持を緊密な連絡の下に実行する、治安確保を実行する上において最も必要な要諦になると思います。ところが実際問題といたしましては私どもは正式に知つておりません。ただ情報としましてそれぞれの自治体警察から今度こういうことになつた、或いは県の自治体連合協議会或いは警察区の連合協議会から情報として我々は知つておるのであります。又新聞の記事として一応知つておるのでありまして、私どもは正式に何らそれに関しまして交渉を受けたこともございませんし、連絡を受けたこともございません。この点は私どもとしましては道義的な問題であります。決して自治体警察連合協議会にそれを連絡しなければならないという義務は全然ございません。併しながら治安確保お互いに緊密になすべき意味においてはお互い連絡して然るべきものではないかということでありまして、この点だけは連合会意見として申上げます。
  8. 原虎一

    原虎一君 斎藤国警長官にお伺いしますが、これだけの町村自治体警察が若しこの法案が通過いたしますと、来年の一月から三ヶ月間これに要する予算都合つく、こういうふうな御答弁つたようですが、一体それは国が負担すべき経費はどのくらいになるのでありますか。この表によりますと、人員は、警察吏員が九百五十名でその他のものが二百二十七名、予算関係はどういうふうになつておりますか。
  9. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 私からお答えいたします。前回次長から御答弁がございましたのですが、これらの町村が一月から三月まで正式の予算の増額なしにやつて参るという場合に要しまするところの経費は、大体次のごとくであります。合計一千二百三十九人、これは警察官がそのうち大部分を占めるのでございますが、一千二百三十九人の人件費としまして、俸給、扶養手当勤務地手当、この給与に当る額並びにこの人に伴うところの若干の旅費、庁費等活動費、こういうものを合せまして一月から三月までに約五千万円ばかりの所要額があると存じております。
  10. 原虎一

    原虎一君 この五千万円の所要額というのは、この町村現行予算であるかどうか、この点をお伺いしたい。現行給与、それで一切の費用をそのまま見積つたものであるかどうか。
  11. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 給与額の基本は只今補正予算にお願いしておりますところのべースが改訂されるものとして、べース改訂後の給与額によつております。
  12. 原虎一

    原虎一君 そういたしますと、別に一月から国警に移したところで警察吏員待遇というものは急に変化する、上昇するというわけではないのですね。要するに三月一ぱいまでは、簡単に言いますれば、今の町村自治体警察と同様な待遇で行くと、そう解釈してよろしいのですか。
  13. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 全体としてはさように御解釈をお願いします。個個の警察官といたしましては、その警察官身分国警に代るわけでございます。その場合には、警察官採用以来国警に勤務していたものといたしまして、現在受けているであろうところの給与額ということで人事院の承認を受けまして、一般的にこれは準則的に昨年以来承認を受けている方式があるのでございますが、それによりまして支払を受けることになります。全体といたしましては、大体町村の当時に受けておつたと同様の待遇を受けられるというふうに御了解願つて差支えないと思います。
  14. 原虎一

    原虎一君 経費約五千万円というのはどういうところから捻出されておるのですか。
  15. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) これも前回次長から全体的にお話がございましたのでありますが、重ねて申上げますと、国警といたしましては、六万五千人の警察官及び一般職員の定員をとつております。これにつきましての年々の減耗に対しまして減耗の補充をいたしておるのでございますが、御承知通り募集採用等におきましては、六カ月前に募集をいたしまして採用を決定いたしまして、六カ月間の教養をいたすことになつております関係上、毎年生じますところの減耗に対しましてあらかじめ予測をたてて、これを募集するというようなことからいたしまして、どうしても過員を生じませんようにやや控え目に募集をするというような関係上、欠員をできるだけ生ぜしめないという方針をとつておりましても、なおかつ極く僅かのこれは厳密に申上げますと、千分の七・幾つというような数になつておりますが、常時平均いたしまして、約五百人ばかしの欠員がある。この欠員予算をこれに充当いたしまして、本年の四月から十二月までの欠員分を合計いたしますというと、約五、六千万の余剰額を生ずるかとも思います。その経費を財源といたしまして、一、三月の間の大体人件費を中心とした経費を何とか賄つて行ける、かようなわけであります。
  16. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) ほかに御質疑ございませんか。別に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。
  18. 石村幸作

    石村幸作君 討論前に暫時休憩、懇談したいと思います。
  19. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 暫時休憩という申出がありますが、よろしうございますか。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 休憩もいいが、先ほど来理事会等である種の成案を得て、党としてお互い立場で了承し合つていることを又この段階になつてどうにかしようということなどでの休憩であれば、お互い委員会における委員同志の信義に悖ることなので続行して頂きたい。この期に及んで何をやろうとしておるか。事務的には、手続ははつきりできているはずです。このことで若しもこういう小さな法案そのもので紛糾するようなことがあれば、他の一切の関係法案についても円滑な審議はなつて行けない。大局的な立場に立つてです。お互いに折れ合つてある種の措置をしているものを、尚又多数をかりて何とかしようというようなことであれば我々としては断乎反対します。
  21. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 小笠原委員の説御尤もでございますが、理事会でどういう話になつたのか、どういうことなのか、我々はわかつていない。だから休憩をしてそれを聞きたい。本会議に入つていたから我々は相談を受けていない。だから理事会でどういうような御相談ができたのか、どういう経緯であるのか、私どもはすべて議員に一任した覚えはない。ともかく相談をして来て頂いて、それを我々は報告を受けて、それから相談を又改めてここでするということもあり得ましようし、どういう経緯でどういう相談ができたのかわかつていない。ともかく休憩をして頂いてよく聞いて賛成なら賛成する、こういうことなんです。
  22. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  23. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 速記を始めて。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら討論中にお述を願います。速記をとめて。    〔速記中止
  24. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 速記を始めて。
  25. 宮田重文

    宮田重文君 只今提案になつております町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案に対する修正案を特に提案したいと思います。この維持をしないことに決定した町村のうち住民投票が非常に十二月に入つてから投票日があるというようなところが数カ町村ありまして、如何にもそれはこの法案と何らかの形において便乗して行くというような気持はないではありましようが、そういうことにも考えられるような見方も出て来るわけでございます。それで現地においては無論必要に迫られ、できるだけ早い機会にこの責任転移機会をそういう住民投票によつて結果づけられたところはしてもらいたいというお気持もあり、我々としては、そういう気持は勿論あるわけですが、併しそういうものに対してもなお慎重を期する面がないではない、こう考えられるので、取りあえず十月三十一日までに決定したものに対して適用するというようなことに修正をいたしたい、そこで「昭和二十七年五月二十一日から昭和二十七年十二月二十日まで」を「昭和二十七年五月二十一日から昭和二十七年十月三十一日まで」に、「昭和二十七年十二月二十日までに国家公安委員会を経て」を「昭和二十七年十二月二十五日までに国家公安委員会を経て」に改める。こういうふうな修正案提案したのであります。
  26. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 他に御発言はございませんか。別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 御異議ないものと認めまして、それではこれより採決に入ります。  町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案について採決いたします。先ず討論中にありました宮田君の修正案議題に供します。宮田提出修正案賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  28. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 多数であります。よつて宮田提出修正案は可決されました。  次に修正にかかる部分を除いて、衆議院送付による法案全部を採決いたします。衆議院送付の案に御賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  29. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 多数であります。よつて町村警察維持に関する責任転移の時期の特例に関する法律案は多数を以て修正議決されました。  なお本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本法案内容、本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二条によりまして委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とせられますかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     西郷吉之助  岡本 愛祐     石村 幸作  岩男 仁藏     宮田 重文  館  哲二     高橋進太郎
  31. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 御署名洩れはございませんか。御署名洩れはないと認めます。暫次休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩    ——————————    午後二時八分開会
  32. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 午前に引続き委員会を開きます。
  33. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 自治庁にお尋ねいたしたいのでありますが、先の十三国会において修正可決された道府県税のうちの入場税に関することで学校及び社会教育法社会福祉事業法、その他更生保護事業法等の諸団体及びこれらを後援する団体が行う催物については当該都道府県の認可を得てこれを免税することができるということに対する政令が、先だつて府県へ具体的なことが流されたそうでありますが、その結果各府県でそれの解釈についていろいろの解釈が両面にあつて、折角この条文を修正した趣旨が活きる解釈をとる府県と、そうでないという解釈がある府県とがあつて、非常にややこしいので、わからないので、というようなことで、当時この修正案は事実上衆議院から先に提案いたしましたが、それぞれの政党において協議の結果衆議院先議で廻したのであつて、これらの修正に参画しておる我々といたしましては、当初の趣旨と或いは違つた解釈自治庁が勝手に持つて、その解釈の下に政令が流されておるのではないかという虞れを持つておるのでありますが、要するにこれらの諸団体が行う催物の中には、映画演劇演芸演奏運動競技展覧会、その他が含まれると思われておるのに、映画を含まれておらないやの解釈をとる人も一部あるようでありますが、この際これについて明らかに一つ考え方をおつしやつて頂きたい。希望は、要するに我々が修正をいたした希望点演劇演奏演芸も、映画も、理論付けるところは同じ催物である、映画だけが別に違つた催物であるという解釈は成立たないから、演劇演芸演奏等催物として入る以上は当然映画も含まれるべきである、映画を切離した別の催しだという、いわゆる催物解釈の中には、別に離すことが私は困難だと見ておるのであります。であるので、当然映画がその催物展覧会その他の催物の中に入る、催物とは演劇演芸演奏映画、これはもう全部入る。若しこれがアマチユア映画なら入るというのであつたら、それはアマチユアとかプロとか言わなければならないのであつてアマチユア映画なら入るので、プロ映画は入らんというようなことが理論付けられるということは一つもないのであるから、当然私は展覧会その他の催物の中に映画が入つておるものだという考え方で今日まで来ておつたところが、あなたのほうの政令において両様の解釈が起つているというので、中央の社会福祉事業関係のほうに、各府県からばらばらの通知があつて私は初めて気が付いたのであります。そういうようなことはいけないから、アマチユア映画は入るのだがプロ映画は入らんということも理論づけられないので、催物の中には演劇演奏が入るならば当然映画催物の中に入る。映画だけの催物が別の催物というのなら、これは別の催物映画とか、この種の催物映画、こう言わなければならんのであるが、そういつたことが明確を欠いておる。要するに立法者趣旨映画が入つておるということを前提としての修正案でありますから、自治庁においてもその解釈に立つて一つこの際この会で明らかに述べて頂きたい、こう思うわけです。
  34. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今岩木委員のお尋ねの点でございますが、立法の御意図がどういう辺に存したかということについて御趣旨はよくわかつたのでございますが、ただ現行法地方税法の七十八条第一項の、御指摘になりました「学生、生徒、児童又は当該催しに参加することを業としない者が行う演劇演芸演奏運動競技」云々というこの表現でございますが、これはやはりその頭にあります業としない者ということが主体になつて従つて直接その舞台等に出て人が行うというふうな感覚から、恐らく演劇演芸演奏という、演奏者がそこに必らずおる、演ずる者がおるようなものが、例示になつておると思うのであります。入場税の中で実は一番主体を占めますものは映画でありまして、八〇数%というものはこれは映画でございますから、若しこの第一項の非課税の規定を設けまする際に、さような直接演ずる人がそこに出ない映画というようなものも非課税の中に含めるのだという趣旨であつたといたしまするならば、必ずや映画という入場税の中で最も主体を占めますものが一番例示の先に来る、何らかその表現がなけりやならない筋合いではないかと思うのであります。これは当時の立案に関係いたしました事務当局の者などの見解をいろいろ質してみますというと、やはり映画というものを含めない趣旨であつたと、かように私ども聞いておるのであります。第一項はさよう趣旨であろうと思うのでございますが、前回国会におきまして御修正になりまして、第二項が附け加つて参りましたために、第二項におきましては業とする者が参加する場合であつても、かようになつて参りましたので、第一項を振返つて如何よう解釈するかという問題がむずかしくなつて来たと思うのであります。実はこの点に関しましては自治庁部内におきまして或いは関係地方財政審議会その他の政府機関の間におきまして、目下慎重に考慮、研究中でございまして、いずれはつきりいたしましたことを御答弁申上げたいと存じまするが、第一項の規定の趣旨は大体以上申上げたようなことで従来運用されて来ておつたと思うのでございまして、第二項の業とする者が参加する場合に如何ように解釈するか、映画というものには業とする、業としないという者が直接画面に現われまするものを分類いたしますると、まあ業としない者というのは風景的な映画或いは文化映画くらいしかないわけでございますから、そういう分け方を一体とり得るものかどうか。御指摘のようにそういう分け方はおかしいというお考えもあろうと思いまするし、その辺のところ実は政府におきましても更に慎重に研究をいたして結論を出したいと思つておりますが、岩木委員の御見解のほどは只今拝聴いたしまして、それらの点も参考にいたしまして研究いたしたいと考えております。
  35. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 私の意見をも参考として善処を含む研究が遂げられることの意味を聞きましたから、よい結果を待つわけでありますが、重ねて私が申添えておきたいことは、映画というものは個人演劇を画面に集約したものであつて、例えば連鎖劇のごとき場合は映画とその当人も出て来る、こういつた場合もあり得るので、そういつた連鎖劇という表現はない。併しながら場合によつては将来連鎖劇というものはあり得るかもわからない。昔はよくあつたわけで、個人の演芸を画面に集約したものが映画である。而も通常一時間一万円ならこれは実費主義に六千円で貸されて、そして映画に出た俳優が前後挨拶するといつたのも、挨拶的演芸をするとか或いは音楽を奏でるとか或いは歌謡曲を歌うといつた場合などは、これはやはり全体的な興行である。そういう角度から見まして、業とする者が行う催物を認めるという意見から見て、展覧会その他の催物に私は映画は包摂されておるものという強い解釈を持つておりますので、ここで今議論をしても仕方ないかわかりませんが、よろしくその当時立法立案者は今鈴木次長はそういう入つておらない趣旨だとおつしやいましたがそうでない。私はこの委員会の議事録を見てもわかりますように、必ずこの発言映画演劇という言葉を使つております。でありますから、その当時の立法立案者は私たち衆議院側と協調してこの案を出す場合においては必ずその意図を含んでおると私たちはそういうように解釈しておるのでありますから、その辺をよくして頂きたい。若し違うというのであるならばこれは一つミス・プリント的な解釈による修正案を出さなければならない。決して意図に外ずれた、ミスしたということの解釈をとらざるを得ない。そういう無駄な手数をかけて又議論することもおかしいと思うのでありますので、特に私は附け加えておきたいと思うのは、結局各府県の条例がその通り、私の発言にありました通り一年二、三回くらいな限度で催すのが希望であるということで、これが普通の企業の映画興行者には何ら影響がないということは、もう一つは、観覧層が映画を見に行く場合には、現在例えば浅草へ映画を見に行くための目的を持つて行く映画観覧層と違う意味は、恐らくP・T・Aとか、社会福祉事業団体が事前にそれぞれの団体とか家庭に割付け的に切符を売るので、切符があるので止むを得ず慈善興行だから見に行こうというので、一般の見に行こうという映画欲望者の観覧層とは違つておるから、而も年二回乃至三回を条件としている、そういう意図などから見て一般企業方面にも私は殆んど影響がない。而もこれがために非常に気の毒な社会福祉事業、児童福祉法及び学校の科学設備或いは学校給食の補助にもしたい、当時そう申してあつて、これがために利益金を以てどんちやん飲み廻るとか又金を懐に入れるとか、そういう意図でないのでありますから、やはり大きな目的の政治性を一つ広義に、善意に解釈して頂いて是非これは入れるような御指導といいますか、そういう工合に善処ある協議を進めて頂きたいということを特にお願いしまして、首を長くして待つております。
  36. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今特に強い御意見の、御要望の開陳がございまして、十分御意見を拝聴し、慎重に審議いたしたいと存じておりますが、ただ一点立法関係者の点に触れました前回発言は、この第二項の第十三国会の御修正の際のことを申したのではございませんので、第一項の際のことについて申したのでございます。それからなお入場税をかような場合に取るか、取らないかということと、いわゆる業者と申しますか、興行業者との間の一つの均衡という問題も実際の問題としてはあろうかと存じまするので、それらの点も私どもといたしましては十分研究いたしたいと、かように考えておりまするが、全体の御趣旨につきましては一つ十分慎重に考慮いたして行きたいと考えております。
  37. 石村幸作

    石村幸作君 この機会自治庁当局にお伺いしたいのでありますが、去る十三回国会における地方税法の一部改正に伴いまして、百十四条の二の三項、即ち国際観光ホテル整備法の規定によつて登録を受けたホテル又は旅館における外客の飲食及び宿泊については来る来年の一月から遊興飲食税を免除されることとなつたのでありますが、その実施の細目については総理府令で定められることになつていたのでありますが、その総理府令がすでに先般公布された由で、それによりますと、右の外客については出入国管理令第四条第一項各号に掲げた者で、その本邦在留期間が百八十日以内である者のうち観光を主たる目的とする者及び寄港地上陸又は通過、上陸する者に限るということになつておるようでありますが、そこでこの総理府令のうち次の二点について当局の御意見をはつきり伺つておきたいと思うのであります。  第一は在留期間が百八十日以内となつている点でありまして、出入国管理令によりますと、旅券面において外客に許可された在留期間は、例えばバイヤーについては一律に三年となつております。又学術の研究というような旅行者に対しては一律に一年ということになつておるのであります。けれども、これは単に旅券の面での最大の在留期間を定めたのに過ぎないのでありまして、これらの者でも或いは三ヶ月或いは半年で帰国する者も勿論少くないのでありまして、従つてこうした者でも実際の在留期間が百八十日以内の者は当然ここに言う外客の中に含めるべきものと考えられるのであります。即ちここで言う百八十日以内とは実際の在留期間を意味すると解釈するのが当然と考えられる。  次に第二は観光を主たる目的とする者の解釈でありますが、我が国に来訪する外客を見ますと、旅行面の用務は或いは貿易或いは芸術乃至学術上の研究というようなことになつておりましても、その殆んどすべては我が国の観光をも兼ねているのが実情なのであります。従つてこれらの者も当然本税の免除対象のうちに加えるものと考えるのでありまして、若し厳密に旅券面に記載された用務のみを根拠としてバイヤーや学術研究のための来訪者を除外するならば、同じ登録ホテルに宿泊した者であつても、一方の者は遊興飲食税を免除されるにかかわらず、他方の者は本税の軽減さえ受けられないといつたような矛盾を生ずる結果となるのでありまして、かくては多くの外客に不快の念を与える虞れが多分にあるのみでなく、場合によりましてはそのホテルなり旅館なりが非常な疑惑の目を以て見られる。折角外客接遇の上の隘路を打開し、本邦を訪れる外客の日本観光意欲を大いにそそろうという立法の精神が全く失われて、却つて対日感情の悪化を招くような好ましからない事態を生ずることともなるのでありまして又特に出入国管理令第四条第一項各号に掲げる者で、というのは同条同項各号に列記してあります即ち投資だとか、貿易、観光、学術、芸術、音楽、宗教、まあこういうふうにあらゆる種類の用務の者を指差すことになります。従つてそれらの人々の中で観光を主として日本国内を旅行する者が即ちここに言う観光を主たる目的とする者、ということに解釈するのが至当ではないかと考えるのであります。  このように見て来ますと、我々としては地方税改正の根本精神に則つて、国際観光ホテル整備法によつて登録を受けたホテル又は旅館を利用する外客については、実際の在留期間が百八十日以内で且つ実際に観光を主として本邦内を旅行する者に対しては、ここに言う観光を主たる目的とする者と見なし、本税の免除措置をすべきものである、こんなふうに解釈してよいと思うのであります。以上の在留期間の点と、この主なる目的、この二点について将来疑義がないように、又この文面ではつきり見れば疑義がないようであるけれども、疑義が生ずる虞れもあるように考えられるので、この際明確にしておく必要があると思つてお伺いする次第であります。
  38. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 只今の御質問に対してお答えいたします。第一点の百八十日以内の解釈の問題でありますが、出入国管理令を見ますると、在留期間の最高限を個々の人についてきめるようになつております。従いまして、例えばバイヤーでありましても三年にはなつておりますが、三年以内のバイヤーもあるということになるのでございます。旅券の上で六ヶ月以内の期限の者は勿論入るわけであります。ただ一年の期限の者で、例えば六ケ月で帰る場合も私はあると思うのであります。従つてそういう者はやはり含めていいのではないか、こういう考えを現在持つております。具体的に一体どういうふうにして指導したらいいかという問題があるのでありますが、その辺までいつてもいいのじやないかという気持があるのであります。それから第二の点は観光を主目的とするというのは、私は反対に明らかに観光を主目的としない者は入らないと、こういうふうに反対のほうを強く、明らかに反対の観光でないということがわかるような場合以外は大体観光と見てよいのではないか、そういうように実際運営するのが実情に合つているのじやないかと、こういうふうに考えておる次第であります。
  39. 石村幸作

    石村幸作君 大体解釈立法の衝に当つたども解釈によく納得できるように思うのであります。だだもう一つ念を押しておきたいことは、先ほども申上げたのでありますが、この観光を主たる目的とするそこに御説明にもお苦しみのような言葉だつたが、総理府令の細目に、「出入国管理令第四条第一項各号に掲げた者で」としてあるので、これはさつき申上げたように一項から十六にまで亙つていろいろな種類が書いてある。その中に観光客というのもある。ただ観光客だけを、法的にはつきり明確な意味で観光客というだけだつたら、この各号に掲げた者云々は要らないので、特にここに各号に掲げた、いわゆる列記してある、いろいろの種類を目的としたことを列挙してあるその人たちで、国内を歩くときに観光を主としたというのがいわゆるここの観光を主たる目的とする者、というように今の御答弁がやはり聞えますが、そういう意味で解釈していいと思いますが、如何ですか。
  40. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 私はこの条文は観光客のみに限つておるのではなくて、もつと広い意味にだろうと思つております。それから観光を主たる目的とするというのは外見的に非常に捕捉が困難だろうと思います。従つて外見的に見ましても観光を主たる目的としないような者を除くというような解釈のほうが至当であるのじやないか、こういうふうに解釈しております。
  41. 石村幸作

    石村幸作君 よく納得できました。
  42. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) これでよろしうございますか。
  43. 石村幸作

    石村幸作君 よろしうございます。   ━━━━━━━━━━━━━
  44. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) では引続き平衡交付金の一部改正等、平衡交付金単位費用特例に関する法律案につき資料も出ておりますから、御質疑がありましたら御質疑を願いたいと思います。暫時休憩します。    午後二時三十六分休憩    ——————————    午後二時四十一分開会
  45. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 休憩前に引続き開会いたします。資料につき自治庁から説明をするということでありますから。
  46. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 昭和二十七年度分の地方財政平衡交付金単位費用特例に関する法律案には単位費用の改正部分だけを盛込んでおるわけですが、その単位費用はどうして算出されておるかということだけを御了解願つておいたほうがいいのじやないかと思うのであります。お手許に単位費用算定要領というガリ版刷を配付しておりますので、それについて申上げておきたいと思います。前の国会でも同様の問題がありましたので、十分御承知かと思うのでありますけれども、朗読程度に簡単に説明さして頂きたいと思います。単位費用は、道府県又は市町村ごとに標準的条件を備えた地方団体が、合理的且つ妥当な水準において地方行政を行う場合又は標準的施設を維持する場合、その標準的施設と言いますのは、学校などにつきまして標準的な学校を維持する場合などがその例であります。その場合における経費所要額から補助金、負担金、手数料、使用料、分担金等のいわゆる特定財源の額を控除した額の測定単位当りの費用を基礎として算定する。即ち標準的な団体で特定の行政を行いますためにどれだけ経費がかかるか、その経費から特定財源を控除いたしますと地方税と地方財政平衡交付金とで賄われるべき経費の額が出て参るわけでありますので、この一般財源所要額を人口でありますとか、生徒数でありますとかいつた測定単位の数値で除して算定いたしましたものが単位費用であります。従いまして逆にこの単位費用に測定単位の数値、人口とか生徒数とかいうものを乗じますと、その行政における一般財源所要額が算出されて参るということであります。  二、各行政項目ごとに想定する標準団体又は標準施設は、おおむね左に掲げる条件を考慮して決定する。一つは、測定単位の数値は原則として全国平均に近いものとする。例えば府県の行政につきまして人口を測定単位としております場合は、平均的なところは百七十万でありますので、百七十万人の府県を想定しておるわけであります。又は測定単位の内容をなすものの種別により単位当り費用に差のあるもので、そのうち一の種類を基礎とすることを適当とするものについては、それぞれについて標準的なものを定める。例えば高等学校の経費は生徒数で算定しておりますが、高等学校の生徒には普通科の課程もあれば、工業科の課程、農業科の過程、いろいろございますが、一応普通科の課程の生徒一人当り幾ら金がかかるかというふうな考え方で算定しておるわけでございます。  二番目は人口密度は、道府県にあつては二百人以上、市町村にあつては百五十人以上とする。  三、市町村の標準団体は原則として市とし、道府県又は市町村の行政権能が市町村の種類により、差違のあるものについては、そのうちの一の種類により、給与差については、一級地又は二級地による。同じように例えば、市町村の衛生費を考えます場合でも、鼠族昆虫駆虫のような仕事につきましては、人口一万三千以上の町村では町村みずから実施しているのでありますが、一万三千未満の町村では、そういうものは実施していないわけであります。従つてそれらの地域においては、県が実施しているわけであります。そういうような差違のあるものにつきましては、やはり標準的な団体においてそれを行なつているか行なつていないかということで決定をいたしまして、行なつていないところは、それだけ数値を割滅にするというような補正を行う、補正系数を乗ずることによつて実体に合せるようなやり方をしているわけであります。  (四)番目は寒冷度又は積雪度により、特に経費所要額の増額を必要としない地域とする。反面寒冷度、積雪度の激しいところは数値を補正いたしまして、経費を割高にみるというようなやり方をするわけであります。  (五)番目は、測定単位の内容をなすものの種別により、単位当り費用に差のあるもので、(一)の後段によらないものは、それらの測定単位の平均的構成のものとする。例えば徴税費は、税額をとつているわけでありますが、この税額千円当り幾ら金がかかるかという場合に、法人事業税でありますとか、遊興飲食税でありますとかいうようなものによつて徴税費のかかり工合は違うわけでありますけれども、標準団体におけるそれらの税目ごとの収入の構成がどうなつているかということを平均的な構成を基礎にして徴税費を算出するというふうなやり方をして参つているわけであります。  三、が当該行政項目につき、これに含まれる行政事務の内容を検討し、その性質により細目に区分する。この場合行政事務の範囲は、法令に根拠のあるものと否とを問わず、広くこれを網羅するが、全額国庫負担による事務、全国には数件しか該当のないようないわゆる普遍性のない事務又は当該地方団体の特殊性に基ずく事務等、普通交付金の算定基礎に含まれることが適当でない事務については、これを除外する。  四、各行政項目の細目又は細節ごとに、標準団体又は標準施設における合理的、且つ妥当な水準における行政費を算定する。合理的、且つ、妥当な水準を具体的に決定する方法は、行政の種類により、多岐に亙るが、一般的には、現在予測される地方財源の総体の規模を基礎として、おおむね左に掲げるところによるものとする。やはりあくまでも収入に見合つた税額でありますので、地方財源の総体というものが当初単位費用を決定いたします際には基礎になつてつたわけであります。  (一)が行政の範囲が比較的広汎で、測定単位とするもの以外の施設その他の行政対象で、各種細目行政の全部又は一部と密接な関連があり、これらの経費算定の指標となるものについては、全国平均的規模等を参考として、できる限りその規模を具体的に規定する。全国的には平均的な規模を参考にしているわけであります。  (ニ)番目は既定の法令又は具体的な行政指導令のあるものは、各省から通達等で保健所の規模としてはこういう程度が適当であるというようなやり方、又は社会福祉主事はこういう程度に設置しなければならない、こういうふうな例のありまするものは、できるだけこれを参酌し、或いは実績を調査し、職員の作業能率、その他を考慮して合理化する等の操作を加え、各行政の細目、細節ごとに職員の配置、構成、事務の分量、程度等を定めているわけであります。  (三)が各行政項目又は細節ごとに、前号によつて決定した職員数、事務の分量、施設の規模により、人件費、物件費、施設の償却費等の一切の所要経費を算定する。各経費の算定要領は、左の通りであり、この場合経費の単価を共通にすべきものについては、政府予算の例等を参考として定めた別表統一単価表によるものとする。別表に職員の給与の単価は、どういう金額を基礎にしたのであるか、議会の議員の報酬はどういう単価を基礎にしたかということを記載してあるわけであります。  その(1)として人件費は本俸のほかそこに掲げてありまするようなものを含めまして、それぞれ統一単価表に記載したところによつて算定しております。  (2)番目は物件費は、備品費、消耗品費、印刷製本費等につきまして職員一人当りの単価を定めておりますので、それに従つて計上することを原則にしているわけであります。  (3)が土木工作物、建物、その他の施設等投資的経費については、原則として償却費を計上することとし、施設ことに再取得価格を計算し、これから、残存価格一割を控除したものを耐用年数で除して所要額とする。例えば自動車が何台いるか、消防費などにつきましては、それを算定することが必要でありますが、消防自動車一台を買いますと十年なら十年使える。一台百五十万円といたしますと、一割の十五万円を控除いたしまして、差額の百三十五万円が十年間に必要な経費だから、これを十で除しまして一年自動車一台当り十三万五千円という額を算入する、こういう計算の仕方をしているわけであります。投資的経費につきましては、只今申上げまするようなやり方をいたしまして、平均毎年どれくらいの額を必要とするかというような金額を算出しているわけであります。  五番目が各行政項目の細目又は細節ごとの行政費からその事務に伴う国庫支出金、使用料、手数料、分担金、負担金その他これらに類するいわゆる特定財源の収入額を算定の上、これを控除して一般財源所要額を算出し、当該行政項目に含まれるすべての細目又は細節の一般財源所要額の合算額を以て当該行政項目を一般財源所要額とする。特定財源の収入額はおおむね左の要領によるものとする。  国庫支出金については、補助率又は負担率の定めあるものは、標準予算における歳出額に対し、その補助率又は負担率により国庫支出金があるものとして算定する。  大体前述の補助額と補助率によつて算定した額とは合致するわけなんでありますが、必ずしもすべて合致しているとは限らないのでありますが、その場合にはやはり補助率で定められました額だけの国庫支出金があるものとした計算のしかたをとつているわけであります。使用料、手数料、その他の収入は、地方公共団体手数料令、その他の法令に金額の定めあるものはそれにより、その他は行政規模を考慮し、実績等を参酌して定める。  六、各行政項目ごとに算定した一般財源所要額を当該標準団体又は標準施設に属する測定単位の数値で除して当該行政項目の単位費用とする。この場合において同一の経費を二以上の測定単位で測定することとされているものについては、当該測定単位と当該行政項目に要する経費との相関関係の割合により、標準団体又は標準施設の一般財源所要額を分割し、その額をおのおのの測定単位の数値で除してそれぞれの測定単位の単位費用とする。例えば府県の土木費の中でその他の土木費という項目がございます。その他の土木費については、土木関係に共通した職員に要する経費でありますとか、或いは土木事務所に要する経費でありますとか、或いは又建築行政に要する経費でありますとか、或いは河川砂防に要する経費とかいうようなものをこの項目で測定することにしているわけであります。ところが測定単位は人口と面積でございます。面積で測定しようとしておりまするのは、河川砂防に要する経費でありまして、その他の部分は人口で測定しようとしているわけであります。こういう場合に面積にどれだけウエートを持つて行くかということは、全体の経費の中で河川砂防に要する経費をどの程度に見ているかというところから決定いたしまして、それだけの額を面積なり、人口なりによつて除して算定するという方法をとつているわけであります。今回の改正は主として給与の改訂が行われましたので、只今申上げました標準団体なり標準施設なりに配置されておりまする職員の給与がそれだけ増額になつて参りますので、増額いたしまして、単位費用を弾きましたわけであります。その結果の数字が改正法律案になつているわけでありまして、それを金額的にみてみますと、二枚紙で本算定基準財政需要増加額見込額というものがございますので、これをみて頂きたいと思います。最初の頁が道府県分で、その次のものが市町村分であります。給与改訂関係分と上に見出しが付いておりますが、その下に交付団体、不交付団体とありますが、不交付というのは東京と大阪でございます。東京や大阪は基準財政需要額を増額いたしましても、なお基準財政収入額が大きいわけでありますので、平衡交付金を東京や大阪に交付するような状況にはならないわけであります。従いましてこれらの団体の基準財政需要額が相当殖えて参りましても只今のところでは平衡交付金の額には何らの関係を持たないわけであります。交付団体につきましては基準財政需要額が増額になりましただけ、平衡交付金が原則として増額になつて行くということになるわけであります。  道路については、道路の面積を測定単位にして交付団体では二億三千百八十四万八千円殖える。交付団体でも若干殖えまして精々二億四千四百六十五万円殖える、これが府県分の道路費の単位費用を改正する結果、基準財政需要額に影響して参りまする数字であります。  橋梁費の欄は、これは給与改訂が行われるからといつて直ちに橋梁費が増額になるわけのものでありませんので、単位費用を改正しておりません。従つて増額になつておらないわけであります。以下すべて同じような考え方に基きまして計算をしているわけであります。  次に右側に内容改訂分というのがございます。内容改訂分のところで、数字の変わつておりまするのは、下の産業経済費の三の水産行政費、水産業の従業者数を以て測定いたしまして、交付団体で七千三百五十九万六千円殖えるということになつておるわけでありますが、これは備考の二のところに書いてありますように、水産行政費の内容改訂分は漁業調整委員会選挙費及び選挙人名簿調整費を見込んだものであります。その他の行政費の欄で若干減がとつておりますが、その内容改訂分の滅は、漁業調整委員会選挙人名簿調整費を「水産行政」に移し替えたことによるものである。即ち選挙人名簿調整費は従来からも地方団体の負担であつたわけであります。それをその他の行政費で算定することにしておつたのでありますが、その他の行政費では測定単位が人口であります。漁業調整委員会の選挙人名簿の調整費は水産業の従業者のいないようなところでは経費を必要としないわけでありまして、ここで測定するよりは、水産の従業者で測定したほうがよろしいと考えますのでそちらのほうに移し替えたわけであります。それと漁業調整委員会の選挙費は、従来は委託費で国から経費を交付されておつたわけでありますが、今年度から全額地方負担に変りましたので、この欄で基準財政需要額を算定して行こうとしているわけであります。二頁目には市町村分を書いてあるわけであります。市町村分のところにも内容改訂分としまして、真中頃に三の教育費、四のその他の教育費、人口が測定する分は交付団体が八億三千五百二十四万九千円、不交付団体で二億四千八百七十五万一千円、合わせまして、十億八千四百万円だけ増額になつているわけであります。これは市町村ごとに教育委員会が設置されることになりましたので、教育委員会設置に要する経費をその他の教育費の中に算入することにした結果であります。  それから下のほうの七のその他の行政費のうちの3、その他の諸費で交付団体が二億九千九百七十六万八千円、不交付団体が八千二百二万四千円、合計いたしまして三億八千百七十九万二千円増額になつております。教育委員会の選挙が二年に一遍ずつ行われることになるわけであります。而もこれらはどの団体でも常に同じ時期に行われるわけじやございませんで、将来やはり時期も食い違つて来るだろうと思いますので、選挙費は毎年の額に引直して算入することに他の部分についても行なつておりますので、教育委員会委員の選挙につきましても二年に一遍行われますので、所要経費の二分の一を算入するという方式をとつているわけであります。従いまして大体市町村の教育委員会の選挙費について市町村で必要な経費はこれの倍額の八億円足らずのものであるということにお考え頂けばよろしいわけであります。そういたしますると、交付団体府県分が百二十一億八千七百万円増加になり、市町村分が六十二億六千四百万円増加になる、こういう結果を招くわけであります。大体合せまして百八十数億円でありますので、今回予算に計上されておりまする平衡交付金の九二%の普通交付金で間に合うだろうというふうに考えているわけであります。  次に地方財政平衡交付金の一部を改正する法律案関連する資料といたしまして、やはり二枚紙で算定方法を改正した場合の試算表を出しておりまするので、それを御覧頂きたいと思います。  右側から三番目のところに今申上げた大要は、見出しが各地方団体に交付すべき普通交付金の額の算定方法の改正に関する試算表という二枚紙でありますが、試算表の中で、按分方針が変つた場合にどのように地方団体間に増減するかという金額を示しているわけであります。  なお法律案の算式を書いてありまするのは、非常にわかりにくいというふうに承わつておりますので、ちよつとそのことを簡単に御説明しておきたいと思います。当該地方団体の財源不足額マイナス当該地方団体の基準財政需要額にCの金額をかける算式であります。  下から二行目のところに財源不足額の合算額マイナス普通交付金の総額と書いてありますが、要するに各地方団体の財源不足額を合計いたして参りますと、普通交付金の総額を超える。超えました差額だけはどこかで圧縮をしなければならないわけであります。この圧縮をしなければならない額を各団体の財源不足額から控除するわけでありますが、どのように各地方団体の財源不足額から控除するかといいますと、総額をそれぞれの団体の基準財政需要額に按分して控除するわけであります。即ち一番下の行に基準財政需要額が基準財政収入額を超える団体の基準財政需要額の合算額と書いてあります。この関係地方団体の基準財政需要額の合計額で以ちまして当該地方団体の基準財政需要額を割つた率を圧縮すべき額に乗ずるわけであります。言い換えれば、圧縮すべき額を各団体の基準財政需要額に按分比例で割り付けている結果になつているわけであります。それを財源不足額から控除いたしまして、普通交付金の総額に合致させるというふうにいたしているわけであります。以上で、御説明は終ります。  なお只今申上げておりました資料がお手許にあるようでございますので申上げますと、北海道では現行よりも改正案で行つたほうが三千万円余り増加するというわけであります。青森も同様、要するに従来基準財政需要額の割合からいうと、財源不足額が大きく出ておつた、そういう団体は財源不足額が多かつたものの中から財源不足に按分で減額されておつた額が多かつたわけであります。今度は基準財政需要額に按分して減額するわけでありますので、そういう団体の按分額は現行法よりは少くなるという結果を来たすわけなんであります。その結果貧弱団体が比較的有利になるということになるのであります。この結果減額になりまする府県は神奈川県で二千五百万円余り、静岡で千四百万円余り、愛知県で七千三百万円余、京都で三千五百万円余、兵庫で八千三百万円、福岡五千六百万円、その他の団体はみんな増加していくわけであります。  次に二項目に五大市の関係を書いてありますが、五大市はやはり大体全体的に財源不足額そのものが少いわけでありますので、従来圧縮されておつたものは少かつたのでありますが、改正案によりますとそれだけ減ぜられる額が多くなりまして、別に不利を受けるわけであります。府県、市、町村というふうに考えて参りますと、大体普通交付金府県に二、市町村に一くらいの割合で府県に相当多く行つたわけでありますから、その按分方針の改正では府県が若干有利になる、市が不利になる、町村が大同小異ということになつて来るわけであります。
  47. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  48. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) では速記を始めて下さい。
  49. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ちよつとお尋ねをしますが、今御説明を受けたもので、財源不足額の府県と大都市のはわかつたが、市町村は合計すると財源は幾らですか。
  50. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 只今申上げた按分方針の改正による結果の移動の問題でありますか。
  51. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 各地方団体に交付すべき普通交付金の額の算定方法の改正に関する試算表というやつですね。
  52. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) わかりました。
  53. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それの都道府県の分と五大市のやつはわかつたんですが、市町村の財源不足が合計すればわかる。
  54. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 府県で一番下に書いてありますように、三億九千万円ほど殖えて来るわけであります。それから大都市では一億円ほど減額になつて来るわけであります。他の部分が大体市から減額になるものだというふうに考えて頂きたいと思います。これも若干増減があるわけでありますが、一律的な計算の仕方をいたしますると、そういう結果になつて来るわけであります。町村は数千万円あるかも知れません。大体大同小異であるというふうに考えて頂きたいと思います。
  55. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それはわかります。この表の三番目に財源不足額Cとあるのです。これで三角で百十六億四千七百五十七万四千円ですか、これが財源不足額ですか。
  56. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今の頂いた表で減ずべき額とあります。Dですね、Aかけると細かい数字は何をとるという意味ですか、〇、〇一五九四〇六〇七一六三というのは。
  57. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 現在財源不足額が普通交付金の総額に合つていませんで、大体九七%前後になつているわけであります。仮決定の結果は今度交付金が増額になるわけでありますけれども、その差額までに見分けることができませんので、恐らく三%くらいの不足額がでて来るだろうと思います。そうしますと、三十数億円だけが財源不足額からでしたか、それを基準財政需要額の総額で除した率がこの率であります。
  58. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうするとその九七%云々というのは、この普通交付金の原稿の下に書いてあるCかける〇・九六七七、これです。それはわかりますが、今言つた減ずべき額のAかけるというその非常に細かい数字です。それは要するに按配するために逆算したものに過ぎませんか。
  59. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 二頁目の註の一番最後のところに書いてあるわけですが、その細かい率は二千四百億円でもつて、財源不足額の総額千百八十八億円余りから普通交付金の額となわます千百五十億円を差つ引いたものを割つた率であります。これはいずれも仮決定のときの数字を基礎にしておるわけであります。千百八十八億円というものは普通交付金総額の千百五十九億円の九七%にしかならないわけであります。  要するにこれだけの差額の三十数億円だけの財源不足額のほうが超過しておるわけであります。これを交付団体の基準財政需要額の三割、二千四百億円で割つた率が御指摘の率でございます。
  60. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうするとこの法律案のほうの標式、これですか。
  61. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) そうです。
  62. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうするとこれは乗けるのはどれに乗けるのですか。割つたのは当該数値をどの基準財政需要額に乗けるのですか。
  63. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) その通りであります。
  64. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それを不足額から引くと、こういうわけですか。
  65. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 仰せの通りであります。
  66. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それがこういうふうになる、こういうわけですね。
  67. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) では本日はこの程度で散会いたします。    午後三時十二分散会