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説明員(奧野
誠亮君)
昭和二十七年度分の
地方財政平衡交付金の
単位費用の
特例に関する
法律案には
単位費用の改正
部分だけを盛込んでおるわけですが、その
単位費用はどうして算出されておるかということだけを御了解願
つておいたほうがいいのじやないかと思うのであります。お手許に
単位費用算定要領というガリ版刷を配付しておりますので、それについて申上げておきたいと思います。前の
国会でも同様の問題がありましたので、十分御
承知かと思うのでありますけれ
ども、朗読程度に簡単に説明さして頂きたいと思います。
単位費用は、道
府県又は市
町村ごとに標準的条件を備えた地方
団体が、合理的且つ妥当な水準において地方行政を行う場合又は標準的施設を
維持する場合、その標準的施設と言いますのは、学校などにつきまして標準的な学校を
維持する場合などがその例であります。その場合における
経費の
所要額から補助金、負担金、手数料、使用料、分担金等のいわゆる特定財源の額を控除した額の測定単位当りの
費用を基礎として算定する。即ち標準的な
団体で特定の行政を行いますためにどれだけ
経費がかかるか、その
経費から特定財源を控除いたしますと地方税と
地方財政平衡交付金とで賄われるべき
経費の額が出て参るわけでありますので、この一般財源
所要額を人口でありますとか、生徒数でありますとかい
つた測定単位の数値で除して算定いたしましたものが
単位費用であります。従いまして逆にこの
単位費用に測定単位の数値、人口とか生徒数とかいうものを乗じますと、その行政における一般財源
所要額が算出されて参るということであります。
二、各行政項目ごとに想定する標準
団体又は標準施設は、おおむね左に掲げる条件を考慮して決定する。
一つは、測定単位の数値は原則として全国平均に近いものとする。例えば
府県の行政につきまして人口を測定単位としております場合は、平均的なところは百七十万でありますので、百七十万人の
府県を想定しておるわけであります。又は測定単位の
内容をなすものの種別により単位当り
費用に差のあるもので、そのうち一の種類を基礎とすることを適当とするものについては、それぞれについて標準的なものを定める。例えば高等学校の
経費は生徒数で算定しておりますが、高等学校の生徒には普通科の課程もあれば、工業科の課程、農業科の過程、いろいろございますが、一応普通科の課程の生徒一人当り幾ら金がかかるかというふうな
考え方で算定しておるわけでございます。
二番目は人口密度は、道
府県にあ
つては二百人以上、市
町村にあ
つては百五十人以上とする。
三、市
町村の標準
団体は原則として市とし、道
府県又は市
町村の行政権能が市
町村の種類により、差違のあるものについては、そのうちの一の種類により、
給与差については、一級地又は二級地による。同じように例えば、市
町村の衛生費を考えます場合でも、鼠族昆虫駆虫のような仕事につきましては、人口一万三千以上の
町村では
町村みずから実施しているのでありますが、一万三千未満の
町村では、そういうものは実施していないわけであります。
従つてそれらの地域においては、県が実施しているわけであります。そういうような差違のあるものにつきましては、やはり標準的な
団体においてそれを行な
つているか行な
つていないかということで決定をいたしまして、行な
つていないところは、それだけ数値を割滅にするというような補正を行う、補正系数を乗ずることによ
つて実体に合せるようなやり方をしているわけであります。
(四)番目は寒冷度又は積雪度により、特に
経費所要額の増額を必要としない地域とする。反面寒冷度、積雪度の激しいところは数値を補正いたしまして、
経費を割高にみるというようなやり方をするわけであります。
(五)番目は、測定単位の
内容をなすものの種別により、単位当り
費用に差のあるもので、(一)の後段によらないものは、それらの測定単位の平均的構成のものとする。例えば徴税費は、税額をと
つているわけでありますが、この税額千円当り幾ら金がかかるかという場合に、法人事業税でありますとか、遊興飲食税でありますとかいうようなものによ
つて徴税費のかかり工合は違うわけでありますけれ
ども、標準
団体におけるそれらの税目ごとの収入の構成がどうな
つているかということを平均的な構成を基礎にして徴税費を算出するというふうなやり方をして参
つているわけであります。
三、が当該行政項目につき、これに含まれる行政事務の
内容を検討し、その性質により細目に区分する。この場合行政事務の範囲は、法令に根拠のあるものと否とを問わず、広くこれを網羅するが、全額国庫負担による事務、全国には数件しか該当のないようないわゆる普遍性のない事務又は当該地方
団体の特殊性に基ずく事務等、普通交
付金の算定基礎に含まれることが適当でない事務については、これを除外する。
四、各行政項目の細目又は細節ごとに、標準
団体又は標準施設における合理的、且つ妥当な水準における行政費を算定する。合理的、且つ、妥当な水準を具体的に決定する方法は、行政の種類により、多岐に亙るが、一般的には、現在予測される地方財源の総体の規模を基礎として、おおむね左に掲げるところによるものとする。やはりあくまでも収入に見合
つた税額でありますので、地方財源の総体というものが当初
単位費用を決定いたします際には基礎にな
つて参
つたわけであります。
(一)が行政の範囲が比較的広汎で、測定単位とするもの以外の施設その他の行政対象で、各種細目行政の全部又は一部と密接な
関連があり、これらの
経費算定の指標となるものについては、全国平均的規模等を参考として、できる限りその規模を具体的に規定する。全国的には平均的な規模を参考にしているわけであります。
(ニ)番目は既定の法令又は具体的な行政指導令のあるものは、各省から通達等で保健所の規模としてはこういう程度が適当であるというようなやり方、又は社会福祉主事はこういう程度に設置しなければならない、こういうふうな例のありまするものは、できるだけこれを参酌し、或いは実績を調査し、職員の作業能率、その他を考慮して合理化する等の操作を加え、各行政の細目、細節ごとに職員の配置、構成、事務の分量、程度等を定めているわけであります。
(三)が各行政項目又は細節ごとに、前号によ
つて決定した職員数、事務の分量、施設の規模により、
人件費、物件費、施設の償却費等の一切の所要
経費を算定する。各
経費の算定要領は、左の
通りであり、この場合
経費の単価を共通にすべきものについては、政府
予算の例等を参考として定めた別表統一単価表によるものとする。別表に職員の
給与の単価は、どういう金額を基礎にしたのであるか、議会の
議員の報酬はどういう単価を基礎にしたかということを記載してあるわけであります。
その(1)として
人件費は本俸のほかそこに掲げてありまするようなものを含めまして、それぞれ統一単価表に記載したところによ
つて算定しております。
(2)番目は物件費は、備品費、消耗品費、印刷製本費等につきまして職員一人当りの単価を定めておりますので、それに
従つて計上することを原則にしているわけであります。
(3)が土木工作物、建物、その他の施設等投資的
経費については、原則として償却費を計上することとし、施設ことに再取得価格を計算し、これから、残存価格一割を控除したものを耐用年数で除して
所要額とする。例えば自動車が何台いるか、消防費などにつきましては、それを算定することが必要でありますが、消防自動車一台を買いますと十年なら十年使える。一台百五十万円といたしますと、一割の十五万円を控除いたしまして、差額の百三十五万円が十年間に必要な
経費だから、これを十で除しまして一年自動車一台当り十三万五千円という額を算入する、こういう計算の仕方をしているわけであります。投資的
経費につきましては、
只今申上げまするようなやり方をいたしまして、平均毎年どれくらいの額を必要とするかというような金額を算出しているわけであります。
五番目が各行政項目の細目又は細節ごとの行政費からその事務に伴う国庫支出金、使用料、手数料、分担金、負担金その他これらに類するいわゆる特定財源の収入額を算定の上、これを控除して一般財源
所要額を算出し、当該行政項目に含まれるすべての細目又は細節の一般財源
所要額の合算額を以て当該行政項目を一般財源
所要額とする。特定財源の収入額はおおむね左の要領によるものとする。
国庫支出金については、補助率又は負担率の定めあるものは、標準
予算における歳出額に対し、その補助率又は負担率により国庫支出金があるものとして算定する。
大体前述の補助額と補助率によ
つて算定した額とは合致するわけなんでありますが、必ずしもすべて合致しているとは限らないのでありますが、その場合にはやはり補助率で定められました額だけの国庫支出金があるものとした計算のしかたをと
つているわけであります。使用料、手数料、その他の収入は、地方公共
団体手数料令、その他の法令に金額の定めあるものはそれにより、その他は行政規模を考慮し、実績等を参酌して定める。
六、各行政項目ごとに算定した一般財源
所要額を当該標準
団体又は標準施設に属する測定単位の数値で除して当該行政項目の
単位費用とする。この場合において同一の
経費を二以上の測定単位で測定することとされているものについては、当該測定単位と当該行政項目に要する
経費との相関
関係の割合により、標準
団体又は標準施設の一般財源
所要額を分割し、その額をおのおのの測定単位の数値で除してそれぞれの測定単位の
単位費用とする。例えば
府県の土木費の中でその他の土木費という項目がございます。その他の土木費については、土木
関係に共通した職員に要する
経費でありますとか、或いは土木事務所に要する
経費でありますとか、或いは又建築行政に要する
経費でありますとか、或いは河川砂防に要する
経費とかいうようなものをこの項目で測定することにしているわけであります。ところが測定単位は人口と面積でございます。面積で測定しようとしておりまするのは、河川砂防に要する
経費でありまして、その他の
部分は人口で測定しようとしているわけであります。こういう場合に面積にどれだけウエートを持
つて行くかということは、全体の
経費の中で河川砂防に要する
経費をどの程度に見ているかというところから決定いたしまして、それだけの額を面積なり、人口なりによ
つて除して算定するという方法をと
つているわけであります。今回の改正は主として
給与の改訂が行われましたので、
只今申上げました標準
団体なり標準施設なりに配置されておりまする職員の
給与がそれだけ増額にな
つて参りますので、増額いたしまして、
単位費用を弾きましたわけであります。その結果の数字が改正
法律案にな
つているわけでありまして、それを金額的にみてみますと、二枚紙で本算定基準財政需要増加額見込額というものがございますので、これをみて頂きたいと思います。最初の頁が道
府県分で、その次のものが市
町村分であります。
給与改訂
関係分と上に見出しが付いておりますが、その下に交付
団体、不交付
団体とありますが、不交付というのは東京と大阪でございます。東京や大阪は基準財政需要額を増額いたしましても、なお基準財政収入額が大きいわけでありますので、平衡交
付金を東京や大阪に交付するような状況にはならないわけであります。従いましてこれらの
団体の基準財政需要額が相当殖えて参りましても
只今のところでは平衡交
付金の額には何らの
関係を持たないわけであります。交付
団体につきましては基準財政需要額が増額になりましただけ、平衡交
付金が原則として増額にな
つて行くということになるわけであります。
道路については、道路の面積を測定単位にして交付
団体では二億三千百八十四万八千円殖える。交付
団体でも若干殖えまして精々二億四千四百六十五万円殖える、これが
府県分の道路費の
単位費用を改正する結果、基準財政需要額に影響して参りまする数字であります。
橋梁費の欄は、これは
給与改訂が行われるからとい
つて直ちに橋梁費が増額になるわけのものでありませんので、
単位費用を改正しておりません。
従つて増額にな
つておらないわけであります。以下すべて同じような
考え方に基きまして計算をしているわけであります。
次に右側に
内容改訂分というのがございます。
内容改訂分のところで、数字の変わ
つておりまするのは、下の産業経済費の三の水産行政費、水産業の従業者数を以て測定いたしまして、交付
団体で七千三百五十九万六千円殖えるということにな
つておるわけでありますが、これは備考の二のところに書いてありますように、水産行政費の
内容改訂分は漁業調整
委員会選挙費及び選挙人名簿調整費を見込んだものであります。その他の行政費の欄で若干減がと
つておりますが、その
内容改訂分の滅は、漁業調整
委員会選挙人名簿調整費を「水産行政」に移し替えたことによるものである。即ち選挙人名簿調整費は従来からも地方
団体の負担であ
つたわけであります。それをその他の行政費で算定することにしてお
つたのでありますが、その他の行政費では測定単位が人口であります。漁業調整
委員会の選挙人名簿の調整費は水産業の従業者のいないようなところでは
経費を必要としないわけでありまして、ここで測定するよりは、水産の従業者で測定したほうがよろしいと考えますのでそちらのほうに移し替えたわけであります。それと漁業調整
委員会の選挙費は、従来は委託費で国から
経費を交付されてお
つたわけでありますが、今年度から全額地方負担に変りましたので、この欄で基準財政需要額を算定して行こうとしているわけであります。二頁目には市
町村分を書いてあるわけであります。市
町村分のところにも
内容改訂分としまして、真中頃に三の教育費、四のその他の教育費、人口が測定する分は交付
団体が八億三千五百二十四万九千円、不交付
団体で二億四千八百七十五万一千円、合わせまして、十億八千四百万円だけ増額にな
つているわけであります。これは市
町村ごとに教育
委員会が設置されることになりましたので、教育
委員会設置に要する
経費をその他の教育費の中に算入することにした結果であります。
それから下のほうの七のその他の行政費のうちの3、その他の諸費で交付
団体が二億九千九百七十六万八千円、不交付
団体が八千二百二万四千円、合計いたしまして三億八千百七十九万二千円増額にな
つております。教育
委員会の選挙が二年に一遍ずつ行われることになるわけであります。而もこれらはどの
団体でも常に同じ時期に行われるわけじやございませんで、将来やはり時期も食い違
つて来るだろうと思いますので、選挙費は毎年の額に引直して算入することに他の
部分についても行な
つておりますので、教育
委員会の
委員の選挙につきましても二年に一遍行われますので、所要
経費の二分の一を算入するという方式をと
つているわけであります。従いまして大体市
町村の教育
委員会の選挙費について市
町村で必要な
経費はこれの倍額の八億円足らずのものであるということにお考え頂けばよろしいわけであります。そういたしますると、交付
団体で
府県分が百二十一億八千七百万円増加になり、市
町村分が六十二億六千四百万円増加になる、こういう結果を招くわけであります。大体合せまして百八十数億円でありますので、今回
予算に計上されておりまする平衡交
付金の九二%の普通交
付金で間に合うだろうというふうに考えているわけであります。
次に
地方財政平衡交付金の一部を改正する
法律案に
関連する資料といたしまして、やはり二枚紙で算定方法を改正した場合の試算表を出しておりまするので、それを御覧頂きたいと思います。
右側から三番目のところに今申上げた大要は、見出しが各地方
団体に交付すべき普通交
付金の額の算定方法の改正に関する試算表という二枚紙でありますが、試算表の中で、按分方針が変
つた場合にどのように地方
団体間に増減するかという金額を示しているわけであります。
なお
法律案の算式を書いてありまするのは、非常にわかりにくいというふうに承わ
つておりますので、ちよつとそのことを簡単に御説明しておきたいと思います。当該地方
団体の財源不足額マイナス当該地方
団体の基準財政需要額にCの金額をかける算式であります。
下から二行目のところに財源不足額の合算額マイナス普通交
付金の総額と書いてありますが、要するに各地方
団体の財源不足額を合計いたして参りますと、普通交
付金の総額を超える。超えました差額だけはどこかで圧縮をしなければならないわけであります。この圧縮をしなければならない額を各
団体の財源不足額から控除するわけでありますが、どのように各地方
団体の財源不足額から控除するかといいますと、総額をそれぞれの
団体の基準財政需要額に按分して控除するわけであります。即ち一番下の行に基準財政需要額が基準財政収入額を超える
団体の基準財政需要額の合算額と書いてあります。この
関係地方
団体の基準財政需要額の合計額で以ちまして当該地方
団体の基準財政需要額を割
つた率を圧縮すべき額に乗ずるわけであります。言い換えれば、圧縮すべき額を各
団体の基準財政需要額に按分比例で割り付けている結果にな
つているわけであります。それを財源不足額から控除いたしまして、普通交
付金の総額に合致させるというふうにいたしているわけであります。以上で、御説明は終ります。
なお
只今申上げておりました資料がお手許にあるようでございますので申上げますと、北海道では
現行よりも改正案で行
つたほうが三千万円余り増加するというわけであります。青森も同様、要するに従来基準財政需要額の割合からいうと、財源不足額が大きく出てお
つた、そういう
団体は財源不足額が多か
つたものの中から財源不足に按分で減額されてお
つた額が多か
つたわけであります。今度は基準財政需要額に按分して減額するわけでありますので、そういう
団体の按分額は
現行法よりは少くなるという結果を来たすわけなんであります。その結果貧弱
団体が比較的有利になるということになるのであります。この結果減額になりまする
府県は神奈川県で二千五百万円余り、静岡で千四百万円余り、愛知県で七千三百万円余、京都で三千五百万円余、兵庫で八千三百万円、福岡五千六百万円、その他の
団体はみんな増加していくわけであります。
次に二項目に五大市の
関係を書いてありますが、五大市はやはり大体全体的に財源不足額そのものが少いわけでありますので、従来圧縮されてお
つたものは少か
つたのでありますが、改正案によりますとそれだけ減ぜられる額が多くなりまして、別に不利を受けるわけであります。
府県、市、
町村というふうに考えて参りますと、大体普通交
付金が
府県に二、市
町村に一くらいの割合で
府県に相当多く行
つたわけでありますから、その按分方針の改正では
府県が若干有利になる、市が不利になる、
町村が大同小異ということにな
つて来るわけであります。