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1952-12-09 第15回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月九日(火曜日)    午前十一時一分開会   ━━━━━━━━━━━━━  出席者は左の通り。    委員長     油井賢太郎君    理事            堀  末治君            西郷吉之助君            中田 吉雄君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            宮田 重文君            館  哲二君            岩男 仁藏君   政府委員    自治庁次長   鈴木 俊一君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    自治庁財政課長 奧野 誠亮君   参考人    全国市長会代表    宇都宮市長   佐藤和三郎君    全国町村会代表    津田沼町長   白鳥義三郎君   ━━━━━━━━━━━━━   本日の会議に付した事件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (地方財政に関する件)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 只今から委員会を開催いたします。本日の議題にいたしましたのは地方財政に関する件でありますが、先般来政府の提出いたしました補正予算計数と、全国市長会或いは町村会調査による計数との開きが非常に大きな数字を示しております。それにつきまして、市長会並びに町村会代表の方々に今日は特に出席してもらいまして、政府との計数の上における相違点を明細に聞かしてもらつて、この委員会参考にいたしたいと思います。先般市長会においていろいろと承わつたのでありますが、今日は公式に代表として宇都宮市長佐藤和三郎君が出席いたしておりますが、この際、佐藤君に市長会代表いたしまして明確に計数の上において政府との相違の点を明らかにして頂きたい、かように存じておりますから、先ず佐藤和三郎君から只今の趣旨に従つて説明を願いたいと思います。
  3. 佐藤和三郎

    参考人佐藤和三郎君) 只今御紹介にあずかりました宇都宮市長佐藤和三郎であります。  私は先ず冒頭に、全国市長会代表いたしまして皆様方にお礼を申上げたいと存ずる次第でありますが、皆様方におかれましては、日頃地方自治の伸展のためにお力添えを願つておる点は、私ども非常に感謝いたしておる次第であります。現在の地方行政、殊に都市財政窮乏等につきまする地方財政につきまして幾多のお骨折りを賜わつておる点を深く感謝を申上げる次第であります。  今更申上げるまでもなく、地方財政窮乏に陥つているわけでありますが、殊に都市行政がどの程度になつておるかということにつきましてもすでに御承知のことかと存ずるのでありますが、その主なる原因を概説いたしますると、都市には財源が集中しておる、財政に余裕があるのではないかという、一応間違つた考えでありますが、さような認識が一部にあるということ。更に平衡交付金、それがために平衡交付金配分等に当りましては、その総額不足の皺寄せを都市に集中しておるということ。更に、都市は御承知通り府県又は町村にしましても、交通、文化、衛生、社会施設等都市的事業のための経費巨額に達し、戦前においてもこれがため地方債の六五%は都市起債であつたものが、最近に至りましては、その半ばにも達しない約二四%程度許可しかないというような状況であります。その結果、昨年においては、地方財政赤字処理のため特別融資が行われましたが、それにも拘わらず、都市行政は、財政においては約五十億にも及ぶ赤字となつて、今年度に繰越すほかはなかつた次第であります。右のごとき昨年度都市財政の後を受けて、本年度は、のちに述べますように、国の施策に基く増加経費物価値上げ等に伴う経費自然増のありますほか、年度の途中において地方教育委員会設置及び職員給与改訂等に要する新たな而も巨額に上る経費増加を余儀なくせられまして、本年度都市財政赤字は約三百九十八億にも達するように推算され、都市関係者としては深く憂慮いたしておる次第であります。  このたび全国市長会において、各市の財政実態について調査したのでありますが、その結果によりますると、お手許に一応配付してありまする資料第一の通りであります。昨年度支出額が千五百五億に対し、本年度における増加見込額は相当節約いたしてもなお三百十億円、これを合算いたしますと、本年度経費総額は千八百十五億円に達する見込であります。その主なものについて申上げまするならば、第一、消費的経費においては、職員給与改訂に要する経費増加が約七十六億、物価騰貴による一般物件費増加約二十一億円、国の行政施策に伴う増加約二十億円、公債費増加約九億円、又教育委員会設置に要する経費が約七億等であります。第二に、臨時事業費においては、公共事業費において八十五億、失対事業関係において約九億、単独事業関係において七十七億の増加となるわけであります。これに対して、収入の面では、第一に税収でありますが、自治庁平衡交付金計算では、昨年度に比して約百七十億を増して、七百七十億と計算されておりますが、実情は、経済情勢の変化によつて、昨年度に比して僅かに二十四億円を増加し、七百二十四億円を見込み得る程度であります。この内訳は、別表第二に示してありまする通りでありますが、その最も大きな相違点は、市民税における見積り過大であります。これを宇都宮市の例によりますると、これは別表三にありますが、この平衡交付金算定では、約二億三千万円程度税収見込んでおりますが、宇都宮市が、数日前に県庁に来て頂きまして、地方課の課員と共同調査をしたのでありまするが、その結果、本年度調定見込額は二億一千万、その調定額は全部徴収するとしても差引き二千万円即ち約一割の見積り過大となつておるのであります。細部についてはその表を御覧願いたいと存じまするが、これは県庁地方課吏員も成るほどこの通りになるということを了承されておるのでありまして、間違いのない数字であります。この事実だけで宇都宮市の本年度平衡交付金配分において約千五百万円不当に少くなる見込になるわけであります。  又静岡市の場合について見ますと、県において、法人及び個人の所得税額を頭から市町村毎に割当配分しておりまするが、静岡市に対する配分が実際を上廻るために、基準財政収入額源泉徴収分において百八十六万円、法人税割において一千百万円、合計一千二百八十六万円、即ち両者合して約一割七分の過大見積りとなつておるわけであります。  このような事実が重なつて平衡交付金計算上に見込んでおる税収入、即ち現在の地方財政計画都市収入見込額は、都市の実際徴収見込額に比して約四十六億の過大見積りとなつておるように存ぜられます。  次に、平衡交付金につきましては、主として右に述べました税収過大見積りと、都市財政実態に合わない算定方法の結果、本年度普通交付金の仮算定では、道府県では三十八億、町村は五十四億の増加を来たしておるわけでありまするが、反対に都市は逆に十八億の減少を示しておる。その結果、都市配分額は七十二億の僅少な額にとどまつたわけであります。  更に、地方債については、昨年度末の特別融資の配布が府県に比較して不十分であつたために、本年度に考慮されることと承知しておりまするが、現実においては、本年度地方債の総枠の増加にもかかわらず、都市分許可内定額は九十五億円の見込みで、昨年度に比し三十五億円の減額となつております。その他の収入合計五百七十六億円で、結局都市全体の収入見込額合計千四百六十七億円で、これを経費見込額の千八百十五億に比しますと、本年度は現在のままでは赤字は三百四十八億円に達し、これに前年度赤字繰越額五十億を加えるならば、三百九十八億に及ぶ見込であります。当初御承知通り自治庁におきましては、要求額五百二十億の要求をされておつたわけでありますが、その際におきまする市町村分は三百九十億を見込まれておつたよう承知しておるわけであります。これを今回の三百二十億に圧縮されたとするならば、その比例で計算すれば、市町村は少くとも百十七億となるべきであろうかと存ずるのでありますが、これを御承知通り八十五億にされたというだけでも、非常に不利益をこうむつておるわけでありますが、殊に市町村分に亘りましては、前年度赤字の八十億、水道整備に伴う費用四億、或いは自治体警察整備によるもの三億というようなことが、直接我々市町村関係を持つものが圧縮されたということは、非常な不利益を来たしておることもすでに御承知通りであります。  以上の実情から、本会といたしましては、都市に対する財源の補填といたしまして、平衡交付拾及び起債を合しまして三百九十億の財源措置方を要望して参つたのでありますが、結局政府措置としては、都市のみならず府県及び町村をも合して、平衡交付金二百億、起債百二十億という三百二十億の補正にとどまつたというわけであります。  私どもといたしましては、政府のこの措置地方財政の実際と著しく懸け離れておると申すほかはないのであります。この結果は、目下自治庁において推算中の平衡交付金及び起債補正額三百二十億の府県及び市町村間の配分は、伝えられるところによれば、府県への配分は二百十五億、市町村に対する配分平衡交付金六十億、起債が二十五億、合計八十五億となるように承知いたしておるわけであります。前に申しましたように、都市のみで三百九十八億の歳入不足が予想されておるのに、都市のみならず町村を併せて八十五億の財源措置が、如何に実情に比べまして僅少であるかということを十分御推察賜わり得ると存ずる次第であります。  以上のような次第でありまして、なお細かい数字等について知つている範囲におきましては、御質問にお答え申上げたいと存ずる次第でありまするが、いずれにせよ現在のベース・アツプその他におきましても、当然国家公務員並にペース・アツプして参らなければならぬと存じますし、それには殆んど現在財源といたしましてはないのでありまして、結局あらゆる事業を削つてベース・アツプをせざるを得ないというような立場に追込まれる虞れもあるわけであります。かような状況を十分御賢察の上、然るべく一つお骨折りを賜わりたいと存ずる次第であります。  甚だ漠然としておるかも知れませんが、以上を以ちまして御説明を終りたいと存じます。
  4. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 次に全国町村会代表として津田沼町長白鳥義三郎君に、資料について更に詳細なる御説明を本日は願いたいと思います。
  5. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 白鳥でございますが、毎度当委員会におきましては、弱小町村につきまして格段の御配慮を頂きますことを厚く御礼を申上げます。  お手許資料といたしまして昭和二十七年度新規財政需要に基く財源不足額調、私のほうで調製いたしましたものをお配りしてございますが、それについて少しく御説明を申上げて参りたいと思います。この財源不足調は、自治庁のほうで調べたものの項目を、私のほうでその項目によりまして一々算定したのでございまして、従つてここに挙げてないもの等も相当考えられるのでございますが、本日は主としてこの部分についてお話を申上げて参りたいと思います。そのうちで給与費の増でございますが、これが二十二億、私のほうでは給与費の増がベース・アツプによりまして起るものと、そういうふうに算定しておる。これにつきましては、かねて自治庁のほうでは、大蔵省のほうと共同町村吏員俸給等調べて、町村吏員では国家公務員よりも五百八十円ばかり、七十円でございましたか高いという調査ができ上つているということでございますが、私たちのほうの調べによりますと、そういうようなことにはなつておらない。むしろ町村吏員給与は非常に少いのでございます。これは八月の一日に約六百八十五の町村に亘つて調べたところによりますと、その平均本俸給与額は僅かに七千二百四十円に過ぎないのでございまして、こういう低い本俸のものが、どうして国家公務員よりも五百何十円か高いという結果が出たのか、私はそれが納得ができないのでございます。勿論、政府のほうの調査も、それぞれ正当な理由があつてのこととは思いますが、併しその調査方法がどこか間違いがあるのじやないかというようなことが、第一に気付くわけでございます。で、聞くところによりますと、国家公務員のほうの給与につきましては、どこどこの学校を卒業した、それから勤続年限何年だというようなことで、本俸がきめられるということを聞いておるわけでございますが、町村吏員といたしますと、そういうようなことだけで給与算定ができない面がある、国家公務員とは性質が違つておるということを、この際特に御指摘申上げておきたいと思うのであります。で、その勤務年数算定いたします場合に、官庁に勤めておつた者はそのままの年限をとり、民間会社におつた者は、その勤続年限を半分として計算するという方法をとつているということだそうでございますが、町村吏員国家公務員と違いまして、学校を出てすぐに町村役場に入つて来るということは少いのであります。従つて何年間か民間会社或いは事業所等に勤めておりまして、それから入つて来る、そういう者が大部分なのでございます。その場合に給与がたつぷりしておれば、それが動続年限民間に勤めておつたのだから半分にするのだ、計算するのだというふうなことも言えるのでございますが、もともと平均給与が現在このせちがらい世の中で七千二百円にしかなつていないような場合に、そういう国家公務員と同じような算定をして、そうして給与計算するというようなことは、これはできつこない、そんなことをしたら、もうとんでもないことになつてしまうので、従つて政府のほうでお調べになりましたものが、国家公務員基準に比較いたしますと、五百何十円高いというような結果が出て来るかも知れません。が併し、もともと町村吏員給与算定国家公務員給与算定と同じにしなければならなというところに、大きな無理があるのではないか、それぞれの特殊性を認めて頂けないというところに無理がありはしないかということを考えるわけでございます。何といたしましても、平均が人員にいたしまして私のほうで調査しましたものが一万三千四百六十六人、この多数のものによつて平均給与調べてみますと、僅かに現在でも、こういう物価高の場合でも七千二百四十円に過ぎない。この実態をとくとお考え頂きまして、五百何十円引いてそうしてベース・アツプをするのだというような、町村吏員にとつてはまさに苛酷な御処置をおとりにならないように……。従つてそういう無理な平衡交付金算定をなさらないように、是非この際皆様方のお力でそういう無理な算定をしなくてもいいように一つおとり運びを願いたいと考える次第でございます。或いはこの給与の増が二十二億というのが、私のほうで見込んでおります二十二億が自治庁のほうでどのように算定しているのか私もまだ存じませんが、私のほうでは平均二千円の二割の給与増ということで算定してございます。  それから次に二十六年度十月の改訂に当りまして、やはり同じように五百八十円国家公務員より高いから、それだけは財源として処置を見ないのだということで昨年度平衡交付金が増額になつたわけでございますが、その後もこの財源につきましては何ら自治庁のほうでは心配してはないのでございます。従つてその分が、昨年度の六カ月と今年度の一カ年で十八カ月分を調べますと、その狂いが三十一億六千万に相当するのでございます。これが結局町村財政をこれだけ圧迫して来たというのでございます。  それから年末手当のほうが十四億三千万円、その内訳計算等はそのお手許に配付いたしました資料の備考のほうに記載してございますので、御検討頂きたいと存じます。  その他共済、健康保険或いは時間外勤務等ベース・アツプに伴う増が九千四百万円、合計いたしまして給与だけの分だけで七十七億三千万円あるわけでございます。  そのほか勤務地手当支給地区改訂になりましたもので、これは私のほうといたしますと資料が非常に乏しいので誠に概算に過ぎないのでございますが、自治庁のほうで大体これが二億ばかりあるという計算になつているので、市のほうの分と町村のほうの分を半々と見てここに一億と計算してある次第でございます。  そのほか物価騰貴によるもの等が三億五千万円、町村教育委員会設置費用が二十億四千万円、なお、ここで教育委員会のほうの経費内訳について申上げますと、自治庁のほうでは僅かにこの分を九億何千万円かを見込んであるそうでございますが、私たちのほうとは非常にそこのところに計算狂いがあるようでございます。なお、この資料もお手許に配付してあると思いますが、このうちで自治庁のほうでお考えになつていらつしやる分と私のほうで算定の違つているところの主なところを申上げますと、これは事務局費用でございます。これが一番狂いが大きいと思うのでございますが、自治庁のほうでは指導主事というものについては何ら予算措置を講じてないようでございますが、併し地方教育委員会が発足いたしまして人事権を持つている以上は、人事権と裏腹になる指導権を獲得しなければこれは意味をなさないというふうに考えている次第でございます。勿論これが各町村にそれぞれ指導主事を置くということは到底不可能でございますので、各郡に五各位ずつ指導主事を置いて、それを共同設置をする、郡内一円の町村でその職員共同設置するという方法をとりまして進むように、私のほうとしても非常に努力を重ねている次第でございます。勿論、県のほうには従来小中学校関係指導主事が各郡に相当配付してあるわけでございますが、併しもうこういつたような制度の変革によりまして、県の教育委員会が持つておる指導主事というようなものは殆んど全部町村に切替えねばならんのでございますので、従つて私のほうといたしましてもできるだけ早く町村教育委員会指導権を十分発揮し得るように慫慂を続けておる次第でございますので、是非この際この分は自治庁算定から洩れておると存じますので、皆様方の御配慮によりまして、町村にも指導主事設置できるように何分の御配慮を賜わりたいとお願い申上げる次第でございます。なお、そのほか旅費などについても多少自治庁のほうとも違つておるようでございますが、違いの主なもののもう一つ学校組合関係経費でございます。これが自治庁のほうでは全然算定をしていないのでございますが、この学校組合のほうは、従来は御承知通り学校組合管理者が全部これを運営して参つたのでございますが、今度の施行によりまして地方教育委員会に類似のものを殆んど全部の所ではこれを諮問機関として設置してあるわけでございまして、従つてそれに附属する教育長等人事権を発動しなければなりませんので、教育長等も設けてございますし、是非これは他の町村に設けられている教育委員会と同じぐらいの経費見込まなければならないというふうに考えまして、ここに約三億の経費を計上してある次第でございます。なお承わるところによりますと、教育委員会職員等は、役場吏員も、従来の学事主任とか学事係とかを廻せばいいのだから、これは増にならないという御見解をとつていらつしやるそうでございますが、さて教育委員会現実に発足いたしますと事務が非常に殖えて参りまして、なお又文部省等では市町村教育委員会でも事務員を五名乃至六名配当すべきであるというような通牒も出しておりますし、県の教育委員会等でもそういうように教育委員会事務局従事員につきましては通牒その他によつてしばしば慫慂して参つて来ておりますので、事務量増加と相待つて、この町村でも今までの教育学事主事だけでは到底事務が取り行えない。従つて従来の学事主任等事務局員に廻すことは勿論でございますが、更に一名或いは二名の事務局員を殖やしているというのが実情でございます。従つてこれらに伴う経費等が私のほうで算定いたしましたのが、これが決定して無理な余計な経費見込んであるということには夢更相成らないのでございまして、その間の事情等もとくと御感得頂きまして然るべき御処置を頂きたいと考えている次第でございます。それが教育委員会設置のほうの費用が、以上いろいろと申上げげましたが、それらを集計いたしまして二十億四千万円、その次に法令の改正によるものでございますが、恩給特別措置等によりまして、従来府県から補助金をもらつておりましたのが、町村吏員恩給は全部町村で賄うということに相成つておりますので、そういう関係でここに約五千万円でございます。  それから地方税減収が三億二千万円と私のほうでは見込んでおるわけでございます。なお地方税減収があるか、或いは却つて相当額増収になるのじやないかというような見積り自治庁のほうでは立てられておるそうでございますが、私のほうの考えによりますと、現在町村税にいたしましても、或いは固定資産税等にいたしましてもなかなか増収にはならないというふうに見込んでおる次第でございます、と申しますのは、町村民税は御承知通りに、所得税に比例してかけている第一方式をとつておるところがたくさんあるわけでございますが、所得税になりますと、国全体といたしますれば、自然増が相当見込まれておるようでございます。それはたしかでございましよう。が、その増収見込まれるので、基礎控除額引上げておるわけでございますが、基礎控除額引上げて減税するという措置が二十六年にもとられましたし、今回も新たにとられるそうでございますが、そういうことになりますと一体町村町村民税基準となるべき所得税は果して増収になるかどうかということは、余ほど検討を加えなければ、一概に国全体の所得税が殖えるのだから、それに比例している町村民税のほうも殖えるだろうという結論にはならないと考える次第でございます。この間の具体的な資料を持つて参りませんことは誠に遺憾でございますが、御承知通り町村におきます所得税を納税しているものの大部分農家でございます。農家所得が、比較的零細農が多いために非常に少いので、従つて基礎控除額引上げられますと、その基礎控除でもう所得税がかからなくなつてしまうかたが非常に多い。最近の実例でございますが、どの町村でも農家の納めておる市町村民税とそれから俸給生活者の納税しておる市町民税とが非常に不均衡になつていることさえも言われておるくらいなんでございまして、農家或いはその他の零細な所得者の多い町村におきましては、基礎控除額引上げによりまして、却つて増収にならずに激減して来るという現象があるわけでございまして、それらの点も十分お調べの上で市町村民税増収になると自治庁のほうでは言つていらつしやるのですか、どうですか。私たちといたしますと、市町村の税が増収になるというようなことは、到底考えられない次第でございます。  なお又固定資産税につきましても、固定資産評価をぐんぐん上げて来ているかどうかということなのでございますが、固定資産税のほうの基準が決して上つて来てはおりません。と申しますのは、実は二十八年度のことをすでに私のほうでは心配しているわけでございますが、先だつても私のほうの固定資産評価委員から、家屋の償却率を一年増すことによつて約二%ばかり価格が減つて来る、従つてそれだけ減収になるから、来年度予算を組む場合には、十分その点を考えに入れてもらいたいという申込があつたわけでございます。勿論そのとき私といたしますと、二%くらい減収になるだろうが、又一面新築する部分もあるだろうから相殺されはしないかと言い返したのでございます。ところが新築が、私のほうで申しますと二%に相当するものが約四百軒ばかりになつてしまうのであります。この四百軒が新築されるということは、到底私どもの町では期待はできませんので、これは固定資産評価委員のほうからの申入を大部分とりまして、来年度予算は編成しなければならないだろうと実は今からすでに苦慮をしておる次第でございます。これは決して二十八年度関係することだけでなしに、二十七年度にも、二十六年度に比較いたしますとそれだけの減があつたはずなのでございます。そういうことを考えに入れますと、自治庁のほうで相当多額の増を見込んでいるそうでございますが、私のはうでは到底それをそのまま鵜呑みにするわけには行かない実情にあるわけでございます。一体これはすぐに当面の問題とは関連いたさないことでございますが、町村におきます税収状況調べてみますと、どうも徴収の率が年々悪くなつて来ているという実情が明らかに感知されるのでありまして、これは自分のほうの町のことばかりでございませんので、どこでもどうも税の徴収率がだんだん悪くなるという現象があるようでございます。実は先だつても神奈川県のほうの二、三の町村実情調べてみたのでございますが、それによりますと、昨年の丁度今頃なんでございますが、徴収率が約四カ町村だけでございましたが、これは六一%、それが今年度になりまして同じ時期に計算いたしまして、四五%に減つてしまつているわけなんでございます。これは結局町村といたしますと、農家の農業経済がもう最盈期を過ぎまして、だんだん農家のほうの経済が苦しくなるので、徴税の成績にまでこういうふうに及んで来ているのだということがはつきり言えるのじやないかと考えている次第でございます。勿論私たちといたしますれば今後格段の努力を重ねまして、会計の閉鎖日までには是非予算に計上いたしただけの徴税率は確保するように努力いたす考えでおりますけれども、併し一面におきましてこういうように徴税の率がだんだん悪くなつて来ているということは、取りも直さず町村民の財政的余力がなくなつて来ている、経済力がそれだけ減つて来ているということのはつきりした証拠の一つになりはせぬかと考える次第でございます。そうようようなことから考えましても、町村民税が昨年に比べまして何十億かの増収になるということは、どうも私たちといたしましては合点が行かないのでございます。なおこの点につきましたは、私たちのほうでも十分今後調査を進めたいと考えている次第でございますが、こういうような実情で、私どものほうでは資料に掲げておりますように、却つて三億の減収になるという計算をしている次第でございます。以上の差引をいたしますと、百五億九千万円の不足ということに集計が相成つたような次第でございます。誠に資料が整いませんで説明が非常に不備でございますが、なお又御質問等でもございますれば存じ寄りを申上げたいと思います。
  6. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 只今お二人から資料についての説明がありましたが、質疑に入る前に、この際自治庁としてこの計数に対し若し意見がありますなら、発表しておいてもらつたほうが、審議の都合上、都合がいいと思うのです。自治庁として如何ですか。
  7. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 細部に亘つて全国市長会、全国町村会からの資料の御説明を承わつてつたのでありますが、私ども自治庁といたしましては、今回の補正予算に関しましての地方団体の財源不足に対する措置としては、これらの事情につきまして考慮いたし得る限りの新たなる要素を勘案いたしまして、先般来御説明を申上げておりまするような数字政府として最終的な決定を見た次第でございまして、これらの市長会或いは町村会更に知事会等の御要望の数字につきましては、私ども承知いたしておるのでありまするが、給与の問題をどういうふうに見るかというようなこと、税収を如何ように見るか、或いは使用料、手数料等の雑収入をどういうふうに見込むかというようなこと、或いは節約を如何ように見るかというような点にやはり主たる問題があると思うのでございますが、これらにつきましては、すでに御説明を申上げたと存じまするので、特にこれ以上この際説明を申上げることはないかと思います。
  8. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) では、これより自治庁並びに市町村側の代表に対して委員の皆様から御質疑があればして頂きたいと思います。
  9. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 白鳥さんにお尋ねしますが、給与実態調査平均が七千二百四十で割出される調査の対象について、もう少しお伺いしたいと思います。
  10. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) これは私のほうで約一千の町村調査票をお配りいたしまして、その回答を求めたのでございます。その回答のございましたのが六百八十五でございます。これは全国的にばら撒きましたので、北海道のほうで十六、東北のほうで百二、関東のほうで百八というように、全国に亘つている次第でございます。又その規模別にいたしましても、人口一万以上の町村では、吏員の数で申し上ますと、一万以上の町村では三千四百三十人来ております。それから五千から一万の間の町村からは三千六百十三人の回答がございます。それから五千から三千の間の村では三千八百七十、三千以下の村のほうから二千五百五十三というように、ほぼ平均した数が参つていいるわけでございまして、これは別に私のほうから特にこういうところをというのでなしに、約一千の町村にこの資料の提出を求めまして、その回答を集めたのでございます。
  11. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 町村会事務局にその集計された結果はありますか。頂けるでしようか。
  12. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 後ほど集計いたしましたものをお届けいたします。
  13. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 自治庁にお尋ねしますが、この税収の住民税について、地方税法の三百十三條の課税の方式なんですが、所得額を対象にするものと、総所得を対象にするものと、二通りあるわけですが、全国的にこれはどういうふうにこの二つの方式を採用され、自治庁とされてはどういう指導をなされているか。更に三百十三條の第一項では「百分の二十をこえることができない。」、それから第二では、所得総額に対しては「百分の十をこえることができない。」ということになつていますが、課税標準よりその限度に近いような傾向になつているかどうかというようなことを御説明願いたい。
  14. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) このオプシヨンという採用の割合がございますが、今回の政府財政計画の修正におきます見込みとしましては、これは当初もそうでありますが、税額の五〇%がオプシヨン・ワン、あとの半分がオプシヨン・ツーという見方でございます。当初は税率としてはオプシヨン・ツーというものは五%というふうに見込んでおつたのでありますが、実績を考慮いたしまして、今回はこれを下げて四・五%に落しておる。さようなわけで、所得割といたしましては当初の計画と比較いたしまして二十二億の減収に立てておるわけであります。
  15. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この給与実態調査をされた際に、白鳥さんからお伺いしたのですが、前歴として、官公吏でない民間に勤めておつた者は、勤続年数を半分に見積るということになつているのですか、その関係を……。
  16. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 給与実態調査方法でありますが、これは昭和二十二年の凸凹調整というのを当時やつたわけでありますが、と申しますのは、各任免権者によつて、相当まあ自由裁量によりまして、大幅に上げたなどしたことがあるのでありますから、それを一定の規則によつて調整をしたわけでございます。それ以後の法規に基きますこの各種の変動等を、或いは昇給期間というようなものを基礎にした現在のあるべき国家公務員の理論上の給与はどうであるかということをまあ出しておるわけでございますし、今お話の学歴、或いは勤続年数ということにつきましても、国家公務員の場合において当てはめますところの規則に従つて一応基準を作つておるわけであります。そういうもの等を当てはめますと、市町村の場合においては五百七十六円、これは大蔵省の調査でも、その後の調査でも大体大同小異の結果が出たわけでございます。只今の官公歴以外の在職でありますが、例えば軍隊におきます在職、或いは会社等におきます在職等につきましても、これは一定の基準がございまして、たしか六割ではなかつたかと思いますが、さような基準で換算をして弾き出す建前になつておりますので、さような国家公務員の方式を当てはめて高い低いを調査した次第であります。
  17. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その点は先に白鳥氏が申されたように、そういう六割ぐらいですると、やはり町村吏員では、そういうかたの比重が多いから、低くなるのじやないかと思うのでありますけれども、その関係はどうですか。私も都市の、まあ大都市は前から若干優待されたというのは理解できるのですが、町村について二百幾らですか高いという結果に内訳がなつておるのですが、市町村全体としては五百七十六円、町村では百八十九円高いということになつておるのです。やはりそういう、先に申されたような官公吏以外の前歴というものが非常に低く見られるということによつてそういう結果になるのじやないかと思いますが、どうですか。その関係も含めて……。
  18. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) これは前に前職を持つておりました者が地方団体の吏員になりますという場合におきましては、これは町村にいたしましても、都市にいたしましても、まあその辺で余り大きな違いはないと思いますが、この学歴なんかの関係では、やはり比較的町村の場合は低いと思います。低いのでありまするけれども、相当のもう年輩になつておる、年齢に達しておるというようなことで、やはり或る程度の学歴に比して高い給与を出しておるというような例が或いはあるのではないかと思います。これは、さような根本に国家公務員一つ基準によつて地方公務員の給与の高い低いを測定することがいいかどうかというところにつきましては、これは御議論の分れるところであろうと思うのでありますけれども、一応政府としましては、財源措置をいたします場合に、やはりさような国家公務員について考えておりまするような基準地方に対する財源措置考えるのが適当であろうという、適当であろうと申しますよりも、そうするのほかはないと、こういうまあ考え方で財源措置をいたした次第でございます。
  19. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 他に御質疑はありませんか。
  20. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この予算の編成の方式で、町村も市のほうも共通だと思うのですが、前年度の三月頃に翌年度の一杯の予算を編成して、政府のように十一月に若干の補正をするというような形の予算編成の正攻法が、まあ財政難からとれんじやないかと思うのですが、どうなつていますか、その関係は。年度政府が幾らくれるかという見通しがついてようやく年度のしまいに……、これは全く予算にならんと思うのですが、一体その関係はどうなつていますか。
  21. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 町村予算の編成の実情を申上げますと、私のほうなんかでは、できるだけ資料を集めて、年度当初に、当初予算にできるだけの経費を盛るという建前をとつておりますので、比較的追加更正する額が少くございますが、併しそういうふうに、できるだけ国家の予算予算そのものの性質上から当然そうあるべきだとは考えておるのでございますが、起債にいたしましても、或いは平衡交付金等にいたしましても、これは年度当初においては確定した数字は得られないのでありまして、従つて、それらを勘案いたしまして、税収等においては、従来の徴税の成績等を十分組み入れまして予算を編成するわけでございますが、なお平衡交付金が確定し或いは起債がはつきり許可なつたというときに、改めて追加計上をいたしております。従つて、私のほうの町なんかでは、昨年までは追加更正予算を二回乃至三回やつて参りましたが、今年はすでに二回やりましたから、もう一回又追加更正をいたさなければならんかというふうに考える次第でございます。
  22. 佐藤和三郎

    参考人佐藤和三郎君) 只今関係につきましてお答え申上げますが、私どもの市の例を申上げますと、大体一月末に予算査定を始めるわけですが、殆んど手一杯の予算を組んでおります。大体年度の税は九割程度を取れるもの、収入があるものとして、手一杯に、而も起債も大体見通し、勿論その通りには参りませんが、やはり事業についてはこの程度頂戴したいというようなことでやつております。従つて補正される場合におけるものは、結局既定予算を削らざるを得ないということになるわけであります。その通り補助金が来ない或いは起債が来なければ、結局それを更正しなければならん。新らしい事業関係についての予算というものは結局既定予算を削つてつて行かなければならん。それだけに財源が非常に困つておるということになるわけであります。現在の状況からいたしましても、給与関係その他の一般経常的な費用を殆んども税収入で賄う程度にしかなつておらんという状況でありますので、要するに隠し財源、追加財源を持たないという状況でございますということを申上げておきます。
  23. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 御両氏にお尋ねしますが、地方公共団体らしい単独事業というものが今あるのですか、どうなんですか。
  24. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 誠に町村長といたしますと、辛いところを御質問頂きまして恐縮に存ずる次第でございますが、単独事業も、勿論自治体である以上は、そうして住民から重い税金をとり立てておる以上は、できるだけのことをしなければならんと考えておる次第でございますが、現在の町村財政事情から申しますと、なかなか思うに任せません。実は平衡交付金算定基準算定方式等につきましても、その点について非常に私、疑念を持つておるものでございますが、義務的な費用吏員を雇うとか、或いは委員会費用とか、そういうふうな、どうしても支出せなければならんほうの費用が非常に多額になつておりまして、而もこれが近年徐々に事業費のほうが圧縮されて義務的な行政費が嵩んで来る傾向にございます。従つて町村民の福利増進のための、私たちが独自に計画すべき公共事業が殆んどできないという情ない実情でございます。その点、誠に自治体の首長といたしますれば遺憾のことだと考える次第でございます。
  25. 佐藤和三郎

    参考人佐藤和三郎君) これは何と言いましても、単独事業関係については、市民のサービス関係からいたしましても、大幅に実は起債なりその他によつてつて行かなければ、又そうして頂きたい、こういうふうに私ども考えておるわけであります。自治財源だけではなかなかやり得ない状況があるわけであります。私どもの例を申上げますと、焼けております市庁舎の問題も、本年度自治庁の非常な御好意によつて、約三千万の起債を許されておるわけでありますが、県の建物を借りておるのが、漸く今日許されるようになつたよう状況でありまするが、かような点につきましても、本年度単独事業としては一億三千万、約一億四千万円程度のものとして予算に載つております。そのうち、起債の金額は五千七百万ということになつております。三千四百万だけ今年度起債を許されるというような状況でありまして、現在これらを著工しつつありますけれども起債をやはり頂かなければ、来年度恐らくは単独事業等に廻るか廻らないか、恐らくやるにしても僅かしか廻らない。どうしてもやらなければならん仕事が多々あるわけであります。これに対しましては、やはり起債の増額をお願いしなければならんという状況であります。
  26. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 市長にお尋ねしますが、先に白鳥氏が、最近どうも徴税に対する協力について十分でないということを、徴税が困難だということを申されたんですが、それは結局税金を納めても殆んど町村住民の全体の福祉に貢献するような積極的な単独事業ができないので、そういう役場の月給取に吸われてしまうというようなことは、税金を納めてもそれが福利として返つて来るならば出すのだということが影響しているのじやないかと思いますが、そういうことについてはどうお考えですか。
  27. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) この税収につきまして、朝鮮ブームのあとを受けました昨年等に比較いたしまして、若干苦しくなつておることは事実と存じまするけれども、併しながら全体といたしましては今回の政府補正計画におきましても若干の増を見込んでおるのでありますが、これはやはり税の種類によりましておのずからまあ事情が違つて来ると思うのであります。先ほど御指摘のありましたような所得割につきましては、今回の実績に基きまして若干の減収見込んでおるような次第でありまして、又半面、半面と申しますか、事業税につきましても、法人事業税等に関しましては、やはり政府も実際の状況に鑑みまして十二億余りの減収見込んでおります。個人所得税において三十四億からのそれぞれの実情を反映した財政計画の収入考えておるわけであります。今の所得割につきましての減収は、中田委員の仰せになりましたような、町村におけるサービスとの関連が余り明確でないから税収に対する意欲を失なつておるのではないかというようなお話でございますが、まあ単独事業につきましても本年度の当初計画におきましては九十億の増加見込んでおるわけでありまして、今回それを特に補正におきまして増額することはいたさなかつたのでありますが、さようなことでございまするし、又サービスということは必ずしもいわゆる単独事業に限られず、公共事業として、或いは学校の新設でございまするとか、道路の改築、その他、さようなものもやはり現実町村民の目に触れるサービスとして入るわけでありまするから、その点で特に甚だしい減収を惹き起す原因が見られるということに必ずしもならないのじやないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  28. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 御両氏にお尋ねいたしますが、政府は、地方公務員は国家公務員より給与単価が高いというので、そういう基準に基いて平衡交付金の増額分を二百億とされておるのですが、このたび国家公務員は二割だけで、人事院の勧告より非常に低いというようなことから、実際政府がそういう財政計画を立てられても、労働攻勢からいたしましてそれぞれ調整することが実際困難じやないか。特に市のほうにおきましては、特に町村平均は五百七十円であるが、市の一般職員国家公務員よりか九百九十二円も高い。警察吏員は七百三十四円高い。平均して八百九十八円高い。これだけを調整してやるということは実際不可能ではないか。そうすると結局いろいろな事業の繰延べとか、いろいろな形で或いは赤字を来年に繰越すとかというようなことで、政府措置を実際実施することは困難ではないか。ただでさえ低い給与実情にもかかわらず、平均いたしまして五百七十円も調整しながらベースアツプをやるということは困難じやないかと思いますが、それはどうでしようか。
  29. 佐藤和三郎

    参考人佐藤和三郎君) 只今の御質問にお答えする前に、只今の私の起債の金額は五千七百万と申しましたが、これは三千四百万の間違いでありました。御訂正を申上げます。一億四千万円の単独事業に関して起債の認証額は三千四百万でございます。  只今のお尋ねの点でありますが、都市職員のその職員に対するものが九百幾らということでありまするが、かような高額な国家公務員との差はあるとは、私のほうは完全な資料は今持つておりませんが、さような点はないと存じます。大体三百六十何円、三百七十円前後であつたと存じておりますが、現在正確に資料を持ちませんですが、大体千円近く国家公務員より上つておるということは現在は承知しておりませんことを付言いたしておきます。でありまするが、いずれにせよ多少国家公務員よりは都市職員のほうが上廻つておることは、これはあると思うのです。併し今度の国家公務員に準じてやはり当然これはやらねばならんと存じます。と申しますのは、先ほど町会の白鳥会長からも言われておりまするように、勤続年数が非常に多いのでありまして、勿論それに対しては扶養家族も多いわけでありまするが、かような点において国家公務員より余計であるわけでありまして、却つてそういうもののほうが生活に困つておる、都市のかたが困つておるという状況になるわけであります。やはり同じ二〇%の値上げをするという場合に三百九十八億の赤字を以てどうするかというようなことのお尋ねだろうと存じますが、これには、やはり先ほどお手許に差上げておりまする資料にありまするように、これは単独事業も勿論これは削らなければならんだろうし、それから公共事業関係も削らなければならん。それでなお又給与改訂を出すとするならば、大体それでも約二百億近くの、昨年度の五十億を加えておいて、二百億近くの赤字になる。こういの結論になります。結局はこれを上げないでおくというわけには参らんと思います。都市の中にはまだ前々回の給与のべ一ス・アツプもしないでおくという小さな市もたくさんあるのであります。併しそういうところで満足できるなら別でありますが、到底そういう三万足らずの田舎の町村と違います分が多いので、結局は赤字繰越しを増す以外に手はないのじやないか。これは放つておくわけには参らんと存じます。そこに我々市長会の悩みが現在あるわでありますことを御承知賜わりたいと存じます。
  30. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 只今の御質問にお答えいたします。私どもといたしますと、政府がどのような財政措置をお取りになりましても、町村財政赤字にならないようにできるだけの工夫をいたさなければなりませんので、経費の節減等できるだけのことはいたさなければならんと考えておる次第でございます。何しろ先ほども申上げました通りに、町村吏員平均給与は僅か七千二百円ぐらいの実情にあろのでございますから、他の国家公務員或いは他の労務者のほうが相当大幅の増俸をいたしますときに、町村吏員だけがその線に沿い得ないで減額しておくということは、私ども任命権者といたしましては誠に辛いのでございます。一、二の例で、全体がどうなつておるか、資料もございませんが、私の存じております一、二の調査実情を申上げまして苦衷を訴えたいと思うのでありますが、私の直ぐ近くの村で椎名村という所に参りますと、吏員の俸給を国家公務員と同じようにベース・アツプができない。そこでベース・アツプは年一回だけだという所がございます。なお細君のほうはこれは扶養家族に当然入れて扶養家族手当を出すべきであるが、細君は何か働けば実入りがあるだろうというので、村会のほうで議決をされまして、これを扶養家族の中に入れないような取極めをして実際の運営に当つておるわけでございます。恐らくこういうようなことは、人事院等に提訴されますならば、村長は当然それを改訂しなければならないのじやないかとも考えるのでございますが、村の財政が如何にもひどい、そのために当然上げなければならん定期的な昇給もできないし、或いは扶養家族もそういうようにして整理してしまうというような止むなき苦しい実情にあるということを、是非この際御認識を願いたいと思う次第でございます。昨年も五百何十円かを差引かれて財政計画をお立てになりましたために、多くの町村では、赤字を出すことは町村民に対して申訳ないというので、吏員の増俸を規定通りにやらずに過して来ておるわけでございます。そういうふうに何回も何回も苦しいところをやつて来ておりますので、従つて平均給与が七千二百円というようなところにあるわけでございます。勿論先ほど鈴木次長さんのほうから御指摘のありました通りに、町村吏員では小学校卒業程度の者も相当おります。学歴が低いので従つて平均給与が低いのじやないかというような御意見もございましたが、確かにそういつた面はあると思いますが、出身学校によつて給与調べて見ますと、小学校の卒業生で平均給与が六千六百四十七円、中学校の卒業生で七千六百十円、それから高等学校、専門学校の卒業生で八千五十円、大学の卒業生は僅か一名でございますので、これは何か特殊の事情があつたと見えまして、適当な数字は出ておりませんが、五千三百円、こういう実情にございます。こういうように非常に低いところにありますために、今回政府のほうで御決定になれば、財政の破綻を防ぐために止むなくそういうことをしなければならないのかも知れませんが、併し何人かの吏員を雇つて、そうして日々一生懸命に働いてもらつておる町村長といたしますと、これは実に身を切られるよりも辛いところでございます。給与全体が低いのだから、今更今回のベース・アツプのときに又そういうようなことをせよと言われてもなかなかで事ない、この実情一つお汲取りを願いたいと考える次第であります。
  31. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 学都宮の市長さんのほうから、平衡交付金配分が市のほうに非常に不利にやられておるのじやないかということを言われたのですが、自治庁のほうにお尋ねいたしますが、平衡交付金法ができてからの総額の府と市と町村配分の比率、大体そういうことについての御所見を一つお伺いしたいと思います。
  32. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 基準財政需要額がどう殖えて来ておるかというふうなことで申上げることが、財源として道、府県、市、町村間にどのように増強されておるかということにもなるんじやないかと思うのであります。市にありましては比較的二十六年度よりも二十七年度の伸び方が少かつたように思います。併し二十五年度を基礎にいたしまして、二十五年から二十七年度へかけてどのような割合で殖えて参つておるかということを調べて参りますと、市に関しまする基準財政需要額の伸びが一番大きいわけでございます。そういうような関係から今年は町村は比較的余計増額になつてつたけれども、市が比較的少ししか増額になつていない。そういう意味で都市全体は平衡交付金配分がきついんじやないかというふうな意見をいろいろ聞いておるわけであります。ただ平衡交付金基準財政需要額の算定も漸く三年目でありまして、たびたび改正いたしましたために変動を来たしまして御迷惑をかけておると思うのでありますが、大体安定をしておるような状態になつて来たんじやないかと思います。今申上げましたように、二十六年度と比較した場合は伸びは少い。併し二十五年度と比較した場合には一番伸びが多い。こういうことになつておるわけであります。
  33. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 二十五年度との比率はどうなつているのですか。
  34. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 手許資料を持つて来ておりませんので、あとで申上げたいと思いますが、基準財政需要額が二十五年度から二十七年度へかけましては、大都市が一・三〇、三割増し、都市が一・三五、三割五分増し、町村が一・一六、一割六分増し、こういうことになつております。ただ二十六年度を基礎にいたして見て参りますと、大都市が一・一七、都市が一・一二、町村が一・二〇、町村が一番多いということになつております。
  35. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 市町村は五百七十六円国家公務員より高いということになつておりますが、その内訳は、市と町村、並びに市では一般職員、警察職員と、内訳別に一つお知らせ願いたい。
  36. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) これはお手許に先般配付しましたと思うのでございますが、それの中に出ておるわけでありますが、市につきましては一般職員が九百九十二円、警察職員が七百三十四円になつております。平均いたしまして八百九十九円高いというのが二度目の調査数字であります。町村につきましては百九十八円高い。こういうことになつております。
  37. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この資料の中へ出ておりますか。
  38. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) それでありませんで、公務員の給与調査方法等を記載いたしました資料、これはお手許に御配付申上げたと思うのでありますが、ちよつと分厚いものであります。それの十一頁に今の数字がございます。
  39. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 自治庁にちよつと承わりますが、先ほど来、市町村の衷情を聞きましたが、政府側との相違点が多々ありますが、その一つとして税収入の問題ですが、今の市町村の方々の意見によつても、税収入は五億乃至三億減収になる。ところが政府側の考えでは、市町村だけで四十四億の増収になつて、足りないのは府県だけであるというふうな結果になつていますが、今、直接市町村の担当者として三億乃至五億が足りないというのと、自治庁側は市町村だけで四十四億増収になるというふうな考え方と、そこにもう根本的な非常な相違があつて、結果において政府側の言う通り三百二十億で足りるという結果になるでしようが、これは自治体といえども増収のものを減収というわけはないので、根本的な違いは自治庁側はどこにあると考えておりますか。
  40. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 税収見込につきましては、当初の計画に比しまして、今回どういう点をどういうふうに補正をいたしたかという点につきましては、過般自治庁の税務部長から御説明申上げたと思うのでございますが、その主たる点は、やはりこれもお手許資料を配付してございますと思いますが、その主たる差異の点は、旧法による税収を相当見込んでおるという点、それから電気ガス税等につきまして、電気料金、ガス料金の引上げに伴いまして、附加税が若干殖えはいたしましたけれども、なお総体といたしまして十一億何がしかの増収見込んでおります。先に申上げました旧法による税というのは、府県におきましては九億、市町村におきましては二十四億を見込んでおる次第であります。
  41. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今鈴木さんのお話がありましたが、細かい政府側の説明はこの前税務部長からも聞きましたが、一応あれは政府考え方としておいて、我々が考えると、現在でも炭労ストライキの悪化のためにこの間も鉱産税その他に関連して、炭労ストの関係上、そういう事態には大体二十億程度赤字が出るという陳情をこの間受けたのでありますが、政府のこういう考え方につきましては、勿論今の炭労ストなどということは予想していないので、そういうことは全然考えていない。併しこの電気、ガスについても、今日非常に国民は困つておるという現状であつて経済情勢は非常に変化して来ておる。而も好転はしていないが悪化しておつて、一般の国民は非常に困つておる際、やはり依然として四十四億市町村で殖えるという考えを堅持されるということは、事実において誤まりがある。この間は炭鉱関係だけでしたが、今日は全国の市町村のお話もやはり依然として足りないという事実、ああいう減収を来たす大きなストもあつて、実際に国民は困つておる。そういうふうな現状からいつて、依然としてやはりこの春以来のこの数字を固執して、市町村だけは四十四億も増収があるというような根本観念を固持されるということは、現下のストライキの情勢だけを見ても非常に無理があるのだということは、もう常識的に考えて明白だと思う。併し依然としてあの細かい数字を固執されるけれども、それはこの間大臣にも申上げたわけですが、平衡交付金地方起債は三百二十億の線の線を固執せんとする根本的な考えがあれば、そういうことも言われるけれども、一応それを離れて、実際の面において地方には減収を来たす社会情勢が出ておる。そういうことを無視して、依然としてやはり四十四億増収ということを固執されることは、あらゆる点で、理論的においても、実際上の面からいつても、私はそれは無理ではないか。かように思うのです。勿論我々としても、府県市町村合計すれば千数十億も不足を訴えておりますが、それが全部妥当だとは言い切れませんが、併し政府のこの考え方を見ても、依然としてこういう炭労のストライキの影響も甚大になつて来ておるから、それを無視してやはり四十四億の増収があるということを固執するということは、幼稚園ならいざ知らず、賢明なる政府としては、これは少し変化に応じてこの考え方を変えなければ事実に反すると私は思うのだが、その点はどうですか。
  42. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今最近の経済情勢がとみに悪化して参りまして、この新事態について税収を依然として補正計画を立てました当初通りのものを固執するかというような点についてのお尋ねでございますが、今回のこの二十七年度地方財政の計画を修正いたしますに当りましては、予想し得る限りの各種の要素というものは予想をいたしました上で財政上の要素としては考えたのでございますが、この炭労のスト或いは電産のストというようなものがかように長期に亘つて行われるということは、実は当初はかほどまでに深刻なものとなろうとは考えていなかつたことは事実でございます。併しながら特別交付金というようなもので、鉱産税等はやはり限定された特殊な地方団体におきまする問題でございまするから、さようなものにつきまして或る程度の徴税は可能であろうと考えておりまするが、併し根本におきまして、実はストが解決いたしましたならば、或る程度の経済的な立直りを又見て来るであろうと期待をいたしておりますが、併しそれにもかかわらず、年度末に至りましてかような甚だしい経済不況の深刻化というようなものが出て参りまして、当初のこの計画を何としても維持することが困難であるというようなことになりまするならば、これは地方団体に対しましてはできるだけ徴税の努力をしてもらい、一方歳出の節減ということをあらゆる経費について努力をして頂かなければならんと思いまするけれども、それにもかかわらず非常に深刻な新事態が生じて参つたというような場合におきましては、これは何らかの措置を講じなければならんような事態になろうかと思うのであります。併しながらこれは必ずしも比較にはならんと思いまするけれども、昨年におきましても実は非常に深刻な事態がございまして、例えば府県などが大変なことになるというような予想であつたのであります。さような考えが都道府県側に非常に強かつたのでありまするけれども、それにもかかわらず実際の二十七年度の例えば財政収入見込税収見込、決算見込から申しますると、二十六年度の決算見込におきましては、当初の計画に比して二百六億も増収になるというような事態があつたわけでございまして、それだから今年もそうなるというようなことは勿論申せませんのでありまするけれども、併しながらこれも最後のところで見ませんというと、結局見通しの問題でございますので、的確なことがわからないというよりほかない次第でございます。
  43. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 事務当局で、大臣でもありませんから、いろいろ追い詰めるとお気の毒に思いまするけれども、更に先ほど中田君も質問されておつたが、このべース・アツプの問題でも、常識的に考えて、自治体の当事者がそれを切下げてやるということが事実できるでしようか。そういうふうなことは法律的にも多少疑義があるのじやないかと私は思いますが、自治庁考えられて、常に終戦後困つておる地方団体の給与を、この実際に当てはまるかどうかは別問題としても、政府考えでは高いというので切下げて行くというようなことをやることが、今の弱い地方団体の当事者にできるでしようか。そういうようなことを押付けても、私は実際市長さんにしても、町村長さんにしても、現在一般的に経済状態が悪いときに、今までやつてつた給与政府考え方をよしとして切下げて、今この年末にさしかかつて、そうでなくても困つておるときに、さようなことが事実上市長なり町村長にできると考えられますか。私は法律的にも多少そこに疑義があると思うが、実際にそういうことを押し付けて市町村長が勤まるでしようか。実際の問題から言つても、自治庁地方団体の面倒を見ておられるのだが、そういうことは実際にやれると思われるのですか。その点伺いたい。
  44. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 給与につきましての問題でございますが、今回の三百二十億という不足財源につきましての政府措置は、勿論十分とは申し得ないことは申すまでもありませんけれども、まあそのような数字で補填をすることによつて、あとは地方団体として自主的な努力を願えば何とか切抜けられるのではないか、国家財政の苦しい際でもあるので、かようなことで一つ努力をしてもらいたいという考え方に立つて財源措置が行われたわけでございます。今の給与の問題でございますが、自治庁といたしましても、給与の問題につきましては、事柄が直接公務員の生活に響く問題でございまするから、これは相当慎重に考えなきやならんかと思つておりまするが、地方のあらゆる歳入について、一面において積極的な増収の努力をしてもらい、又給与費と言わず、その他の各種の経費について、例えば旅費とか物件費等につきましては、政府並の節約をしてもらうということで、今回もそれを見込んでおりますが、その他の点につきましても極力経費の節減を図つてもらう。又給与費につきましては直接の給与の切下げということを仮に行いませんでも、或いは欠員の不補充主義、或いは高給の人たちに相当の、一時は辛いが退職手当を出して、そして構成を変えるとかいうようなこと、或いは若干の昇給等につきましても或る程度の調整の措置を講ずるといつたようなことで、総体として努力をしてもらえば何とかやつて行けるのではないかというような考え方に今立つておるわけであります。ただこれを、給与の切換えをこの期に及んで直ちにすべて解決しようということになりますると、非常に無理がかかるわけでありますが、給与問題は実は昨年からのいろいろの問題でもございまするし、又今後にも残る問題でございまするから、相当長期に亘つて計画的に自主的な給与政策をとつてもらつて行く、これはひとり給与だけではありません。財政のしわ寄せを給与費だけにしようというような気持は私ども勿論ないのでありますが、全体についてさようなことで長期に亘つての合理的な運営方法考えて行けば、まあ何とかやれるのではないか。勿論非常に甚だしい経済的な不況に陥つて新事態が生ずるというような場合があれば別でありますけれども、通常の事態、或いは若干の横這いの事態になりましても何とかやつて行けるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  45. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 一応鈴木次長のお話もわかりますが、一つお願いしておきたいのは、例えば炭労ストその他を考えて、政府が立案された当時以後に起きた問題で、府県税、市町村税に影響を及ぼすような点についての数字を書面で出して頂きたいと思いまするが、そういうふうなことは自治庁はどう考えられますか。
  46. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) さような資料につきましての御要望の御趣旨はよく了承できるのでございますが、如何せん、まだ最近の新事態でございまするので、全国に亘つてのさような点も的確な資料を把握するということはいささか今日の状況では困難でございます。資料が整い次第自治庁といたしましても交付金の配分等に関しまして考えなければならん資料でございまするから、調査いたしまするが、今相当近い期間の間にお手許にお届けいたしますのは、或いは困難かと存じておる次第でございます。
  47. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 次に市町村代表のかたに承わりたいのですが、御承知のごとく地方財政の問題で、政府側から、府県については二十八億、市町村については三十一億の経費節減、合計六十億という数字を出しておるわけなんでありますが、この点について一つどの程度実際におやれになるのか承わりたいと思います。
  48. 佐藤和三郎

    参考人佐藤和三郎君) これは経費節減の面については、私は自分の個人の市の問題だけでございますが、予算は御承知通りどもは二月の市会にかけた本年度予算でありますが、約一年近くなつておりますが、その当時の需用費その他において、大体需用費関係でありますが、三割の減をやつておるのであります。非常にその後の物価指数等が上つておりますので、非常にやりにくいのでありまするが、そこまで実質的に実は現在やつて遂行しておるという状況でありまして、それ以外に、それと共に税の収入というものに対しては収税課方面を督励いたしまして、なお各課からも優秀な吏員を、暇にあかせてといつては甚だあれですが、それにも手伝いを願つて、応援を願つてつて参らなければ運用がつかないような状況でありまして、相当この点については窮屈でありますけれども、自分の世帯であります。かような意味で現在やつておるつもりであります。又やつております。
  49. 白鳥義三郎

    参考人白鳥義三郎君) 只今御質問の点でございますが、すでにもう財政難が慢性的になつておりますので、今まで経費節減は何回となく繰返して行なつて来たところでございます。そこで一、二の町村実情を御報告申上げますならば、中学校の一カ年の維持費は五万円くらいに見ておるところがある。そういうふうなところで経費の節減が果して可能かどうか、僅かそこでは三学級しかないのでございますが、僅か三学級の学校といえども、独立した中学校の一カ年間の需要費が五万円、これでは殆んど今まででさえも経費が十分ではないのでございますから、更にそういうようなところに向つて経費の節減をといつても、これは無理だと考えておる次第でございます。只今申上げましたのは最も経費の少い顕著な例でございます。私の町などではそういうようなところはございませんが、いずれにいたしましても今まで何回となく経費の節減は繰返してやつておるところでございまして、私のほうの町にいたしましても、吏員の高給者を四名この四月に整理をしたのでございます。従つて現在職員が非常に少くて弱つておるくらいでございますし、又消耗品、燃料費等につきましても常日頃節約に節約を加えて参つておりますので、すでに限度に達しておるのではないかというふうに見ております。いずれにいたしましても私たち住民の輿望を担つて町村財政をお預りしておる以上は、できるだけ節減を図つて行くことにつきましては今後といえども努力を重ねるつもりでございます。
  50. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 自治庁にお尋ねしますが、この春、地方財政計画をお立てになつた際に、七千五億ですか、六億の財政計画を組まれた際に、給与費では、県庁職員は四百六十二円、学校の先生が三百七十五円、市町村は五百七十六円、給与単価を調整した財政計画をお立てになつたのですが、それはどういうふうにして下ろされて行つたのですか。地方公共団体に通牒なんかを出されているのですか。或いは総務部長会議なんかを通じて定期昇給をずらすとかいうようないろんな方法で、なし崩しでやるようにしておられるのですか。通牒なんかを出されましたら、それはどういう通牒を出されてやつておられるかどうか。そして最近我々の聞くところによると、府県なんかでは定期昇給を非常にやつていないところが多いやに聞くのですが、そういうことと絡んでいるのですか。そういう点をお聞きしたい。
  51. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 地方公務員の給与は御承知のごとく、地方公務員法の現在の根本の建前から申しますれば、国家公務員給与でございますとか、他の地方団体の公務員の給与でありますとか、或いは生計費と民間の従業者の給与といつたような事情を考慮して定めるようになつているわけであります。国家公務員地方公務員と他の地方公務員と権衡を失しないようにしなければならないというようなことが、謳つてあるわけであります。かような建前でございまするので、自治庁といたしましては、給与自体につきましては技術的な援助、例えば給与準則に相当する給与條例を地方が作ります場合に、技術的な援助をいたすことはあるのでございますけれども給与それ自体を掴まえまして高いから下げなさいと、こういつたような通知は一切いたしておりません。ただ、今、御指摘の数字は、昨年の補正予算並びに今年の当初予算の際におきましてさような数字財源計算上の基礎にしたというだけでありまして、それは而も総体観察でございまするから、個々の自治団体においての給与がどのようになつているかということは、直接には人事委員会、或いは各任免権者の自主的に決定するところに属するわけでございます。
  52. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 御趣旨はわかりますが、併し予算が通過した場合には総務部長なんかをお集めになつて昭和二十七年度財政計画はこうなつている。そして給与についてはこういうふうな説明をなされることにおいて、やはり絶大な権限を持つておられる自治庁、そういうふうな調整をせぬと平衡交付金ももらえないかも知れないという畏怖というようなことで、まあ実際、事実上流されているのじやないかと思うのですが、私はやはり今あちこちで問題になつでいます定期昇給なんかが非常になされていないというのが、ずらすことによつて当初組まれた財政計画にマツチするような一つの手段ではないかというふうに考えるのです。それから各府県の定期昇給の実情についてお伺いしたいと思います。例えば裕福な県だと了承しているのですが、神奈川県の教組は今定期昇給について座り込みをやつておる。そういうことが各府県で起きているのですが、定期昇給なんかの実情等も併せてお伺いしたいと思います。
  53. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) この給与につきましては、先ほど申上げましたように、財政計画上、国家公務員のほうと比較して高いと思われるところを総体的に観察をいたしまして、国としては国家公務員と同じ基準においての財源措置しかできないと、こういう建前に今の内閣としては立つておるわけでございます。さような考え方で財源措置考えておるわけでございます。併しこれはあくまでも財源措置でございますから、交付金の単位費用算定等におきましてさようなものが基礎になつておるということでございまして、たださような算定の基礎の総体の、例えば枠の中において給与現実に行われますならば、地方団体としてはそれで現在の財政の切り盛りができるわけでございますから、具体的に給与費をどの程度適当の枠の中に収めて置くかということは、やはり各団体の自主的に決定するところであつて、然るべきところだろうと思うのであります。数を少くして比較的高い給与ということも考えられまするし、或いはその全体の構成が比較して少壮中堅の若い者ということになりますれば、これによつて給与総額において、絶対額におきましては比較的低くなると思います。さようなことで、具体的に給与の調整はいろいろの方法でできると思うのでありまして、只今お話の昇給につきましてでございますが、これは私どもも或るブロツクの県等におきましては、知事の申合せで昇給期を若干遅らしているというお話を承つております。神奈川県についての具体的な話は聞いておりませんが、本年当初以来さようなことでやつているところもあるようであります。ただ全体の財政計画といたしましては、昇給財源として五%やはり財政計画の上で見ておるわけでございまするが、併し今の自治体の給与に比較いたしますると、若平開きがあるわけでございまするから、さような自治体の給与考えつつ、如何に自主的な給与政策をとるかというところに、今地方団体の工夫と創意を期待しておるわけであります。
  54. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 全国的に見て定期昇給なんかは順調にやれているのですか。それの大体の動向はどうなんですか。
  55. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 今ここに具体的の資料はございませんが、ちよつと申上げましたように、これは九州ブロツクでございますが、ここでは知事の申合せ等で昇給期を若干遅したというような話を聞いておるのでございますが、特に詳しい調査はいたしておりませんので、これ以上ちよつと申上げる材料を持つていないことを甚だ遺憾に存じます。
  56. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 九州ブロツクの問題は私も聞いたのですが、それを申合せておいてほかの県の知事が破つて、あとの県の知事が笑いものになるということで、協定は破れたやに聞くのですが、それはどうなんですか。
  57. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 私どももさような話は聞いております。
  58. 油井賢太郎

    委員長油井賢太郎君) 本日はこの程度で散会いたします。    午後零時四十八分散会