○
参考人(
白鳥義三郎君)
白鳥でございますが、毎度当
委員会におきましては、
弱小町村につきまして格段の御
配慮を頂きますことを厚く御礼を申上げます。
お
手許に
資料といたしまして
昭和二十七
年度新規財政需要に基く
財源不足額調、私のほうで調製いたしましたものをお配りしてございますが、それについて少しく御
説明を申上げて参りたいと思います。この
財源不足調は、
自治庁のほうで
調べたものの
項目を、私のほうでその
項目によりまして一々
算定したのでございまして、
従つてここに挙げてないもの等も相当
考えられるのでございますが、本日は主としてこの
部分についてお話を申上げて参りたいと思います。そのうちで
給与費の増でございますが、これが二十二億、私のほうでは
給与費の増が
ベース・アツプによりまして起るものと、そういうふうに
算定しておる。これにつきましては、かねて
自治庁のほうでは、大蔵省のほうと
共同で
町村の
吏員の
俸給等を
調べて、
町村吏員では
国家公務員よりも五百八十円ばかり、七十円でございましたか高いという
調査ができ上
つているということでございますが、私
たちのほうの
調べによりますと、そういうようなことにはな
つておらない。むしろ
町村吏員の
給与は非常に少いのでございます。これは八月の一日に約六百八十五の
町村に亘
つて調べたところによりますと、その
平均の
本俸の
給与額は僅かに七千二百四十円に過ぎないのでございまして、こういう低い
本俸のものが、どうして
国家公務員よりも五百何十円か高いという結果が出たのか、私はそれが納得ができないのでございます。勿論、
政府のほうの
調査も、それぞれ正当な理由があ
つてのこととは思いますが、併しその
調査方法がどこか間違いがあるのじやないかというようなことが、第一に気付くわけでございます。で、聞くところによりますと、
国家公務員のほうの
給与につきましては、どこどこの
学校を卒業した、それから
勤続年限何年だというようなことで、
本俸がきめられるということを聞いておるわけでございますが、
町村の
吏員といたしますと、そういうようなことだけで
給与の
算定ができない面がある、
国家公務員とは性質が違
つておるということを、この際特に御指摘申上げておきたいと思うのであります。で、その
勤務年数を
算定いたします場合に、官庁に勤めてお
つた者はそのままの
年限をとり、
民間の
会社にお
つた者は、その
勤続年限を半分として
計算するという
方法をと
つているということだそうでございますが、
町村の
吏員は
国家公務員と違いまして、
学校を出てすぐに
町村の
役場に入
つて来るということは少いのであります。
従つて何年間か
民間の
会社或いは
事業所等に勤めておりまして、それから入
つて来る、そういう者が大
部分なのでございます。その場合に
給与がたつぷりしておれば、それが動続
年限を
民間に勤めてお
つたのだから半分にするのだ、
計算するのだというふうなことも言えるのでございますが、もともと
平均の
給与が現在このせちがらい世の中で七千二百円にしかな
つていないような場合に、そういう
国家公務員と同じような
算定をして、そうして
給与を
計算するというようなことは、これはできつこない、そんなことをしたら、もうとんでもないことにな
つてしまうので、
従つて政府のほうでお
調べになりましたものが、
国家公務員の
基準に比較いたしますと、五百何十円高いというような結果が出て来るかも知れません。が併し、もともと
町村吏員の
給与の
算定を
国家公務員の
給与の
算定と同じにしなければならなというところに、大きな無理があるのではないか、それぞれの
特殊性を認めて頂けないというところに無理がありはしないかということを
考えるわけでございます。何といたしましても、
平均が人員にいたしまして私のほうで
調査しましたものが一万三千四百六十六人、この多数のものによ
つて平均給与を
調べてみますと、僅かに現在でも、こういう物価高の場合でも七千二百四十円に過ぎない。この
実態をとくとお
考え頂きまして、五百何十円引いてそうして
ベース・アツプをするのだというような、
町村吏員にと
つてはまさに苛酷な御
処置をおとりにならないように……。
従つてそういう無理な
平衡交付金の
算定をなさらないように、是非この際
皆様方のお力でそういう無理な
算定をしなくてもいいように
一つおとり運びを願いたいと
考える次第でございます。或いはこの
給与の増が二十二億というのが、私のほうで
見込んでおります二十二億が
自治庁のほうでどのように
算定しているのか私もまだ存じませんが、私のほうでは
平均二千円の二割の
給与増ということで
算定してございます。
それから次に二十六
年度十月の
改訂に当りまして、やはり同じように五百八十円
国家公務員より高いから、それだけは
財源として
処置を見ないのだということで昨
年度の
平衡交付金が増額に
なつたわけでございますが、その後もこの
財源につきましては何ら
自治庁のほうでは心配してはないのでございます。
従つてその分が、昨
年度の六カ月と今
年度の一カ年で十八カ月分を
調べますと、その
狂いが三十一億六千万に相当するのでございます。これが結局
町村財政をこれだけ圧迫して来たというのでございます。
それから年末
手当のほうが十四億三千万円、その
内訳の
計算等はそのお
手許に配付いたしました
資料の備考のほうに記載してございますので、御検討頂きたいと存じます。
その他共済、
健康保険或いは時間
外勤務等の
ベース・アツプに伴う増が九千四百万円、
合計いたしまして
給与だけの分だけで七十七億三千万円あるわけでございます。
そのほか
勤務地手当の
支給地区が
改訂になりましたもので、これは私のほうといたしますと
資料が非常に乏しいので誠に概算に過ぎないのでございますが、
自治庁のほうで大体これが二億ばかりあるという
計算にな
つているので、市のほうの分と
町村のほうの分を半々と見てここに一億と
計算してある次第でございます。
そのほか
物価騰貴によるもの等が三億五千万円、
町村の
教育委員会の
設置の
費用が二十億四千万円、なお、ここで
教育委員会のほうの
経費の
内訳について申上げますと、
自治庁のほうでは僅かにこの分を九億何千万円かを
見込んであるそうでございますが、私
たちのほうとは非常にそこのところに
計算の
狂いがあるようでございます。なお、この
資料もお
手許に配付してあると思いますが、このうちで
自治庁のほうでお
考えにな
つていらつしやる分と私のほうで
算定の違
つているところの主なところを申上げますと、これは
事務局の
費用でございます。これが一番
狂いが大きいと思うのでございますが、
自治庁のほうでは
指導主事というものについては何ら
予算措置を講じてないようでございますが、併し
地方に
教育委員会が発足いたしまして
人事権を持
つている以上は、
人事権と裏腹になる
指導権を獲得しなければこれは意味をなさないというふうに
考えている次第でございます。勿論これが各
町村にそれぞれ
指導主事を置くということは到底不可能でございますので、各郡に五各位ずつ
指導主事を置いて、それを
共同設置をする、郡内一円の
町村でその
職員を
共同設置するという
方法をとりまして進むように、私のほうとしても非常に努力を重ねている次第でございます。勿論、県のほうには従来小中
学校の
関係の
指導主事が各郡に相当配付してあるわけでございますが、併しもうこうい
つたような制度の変革によりまして、県の
教育委員会が持
つておる
指導主事というようなものは殆んど全部
町村に切替えねばならんのでございますので、
従つて私のほうといたしましてもできるだけ早く
町村の
教育委員会が
指導権を十分発揮し得るように慫慂を続けておる次第でございますので、是非この際この分は
自治庁の
算定から洩れておると存じますので、
皆様方の御
配慮によりまして、
町村にも
指導主事が
設置できるように何分の御
配慮を賜わりたいとお願い申上げる次第でございます。なお、そのほか旅費などについても多少
自治庁のほうとも違
つておるようでございますが、違いの主なもののもう
一つは
学校組合の
関係の
経費でございます。これが
自治庁のほうでは全然
算定をしていないのでございますが、この
学校組合のほうは、従来は御
承知の
通りに
学校組合の
管理者が全部これを運営して参
つたのでございますが、今度の施行によりまして
地方教育委員会に類似のものを殆んど全部の所ではこれを
諮問機関として
設置してあるわけでございまして、
従つてそれに附属する
教育長等も
人事権を発動しなければなりませんので、
教育長等も設けてございますし、是非これは他の
町村に設けられている
教育委員会と同じぐらいの
経費を
見込まなければならないというふうに
考えまして、ここに約三億の
経費を計上してある次第でございます。なお承わるところによりますと、
教育委員会の
職員等は、
役場の
吏員も、従来の
学事主任とか
学事係とかを廻せばいいのだから、これは増にならないという御見解をと
つていらつしやるそうでございますが、さて
教育委員会が
現実に発足いたしますと
事務が非常に殖えて参りまして、なお又
文部省等では
市町村の
教育委員会でも
事務員を五名乃至六名配当すべきであるというような
通牒も出しておりますし、県の
教育委員会等でもそういうように
教育委員会の
事務局の
従事員につきましては
通牒その他によ
つてしばしば慫慂して参
つて来ておりますので、
事務量の
増加と相待
つて、この
町村でも今までの
教育学事主事だけでは到底
事務が取り行えない。
従つて従来の
学事主任等も
事務局員に廻すことは勿論でございますが、更に一名或いは二名の
事務局員を殖やしているというのが
実情でございます。
従つてこれらに伴う
経費等が私のほうで
算定いたしましたのが、これが決定して無理な余計な
経費を
見込んであるということには夢更相成らないのでございまして、その間の
事情等もとくと御感得頂きまして然るべき御
処置を頂きたいと
考えている次第でございます。それが
教育委員会の
設置のほうの
費用が、以上いろいろと
申上げげましたが、それらを集計いたしまして二十億四千万円、その次に法令の改正によるものでございますが、
恩給の
特別措置等によりまして、従来
府県から
補助金をもら
つておりましたのが、
町村の
吏員の
恩給は全部
町村で賄うということに相成
つておりますので、そういう
関係でここに約五千万円でございます。
それから
地方税の
減収が三億二千万円と私のほうでは
見込んでおるわけでございます。なお
地方税の
減収があるか、或いは
却つて相当額の
増収になるのじやないかというような
見積りも
自治庁のほうでは立てられておるそうでございますが、私のほうの
考えによりますと、現在
町村税にいたしましても、或いは
固定資産税等にいたしましてもなかなか
増収にはならないというふうに
見込んでおる次第でございます、と申しますのは、
町村民税は御
承知の
通りに、
所得税に比例してかけている第一方式をと
つておるところがたくさんあるわけでございますが、
所得税になりますと、国全体といたしますれば、
自然増が相当
見込まれておるようでございます。それはたしかでございましよう。が、その
増収が
見込まれるので、
基礎控除額を
引上げておるわけでございますが、
基礎控除額を
引上げて減税するという
措置が二十六年にもとられましたし、今回も新たにとられるそうでございますが、そういうことになりますと一体
町村の
町村民税の
基準となるべき
所得税は果して
増収になるかどうかということは、余ほど検討を加えなければ、一概に国全体の
所得税が殖えるのだから、それに比例している
町村民税のほうも殖えるだろうという結論にはならないと
考える次第でございます。この間の具体的な
資料を持
つて参りませんことは誠に遺憾でございますが、御
承知の
通りに
町村におきます
所得税を納税しているものの大
部分は
農家でございます。
農家の
所得が、比較的
零細農が多いために非常に少いので、
従つて基礎控除額を
引上げられますと、その
基礎控除でもう
所得税がかからなくな
つてしまうかたが非常に多い。最近の実例でございますが、どの
町村でも
農家の納めておる
市町村民税とそれから
俸給生活者の納税しておる
市町民税とが非常に不均衡にな
つていることさえも言われておるくらいなんでございまして、
農家或いはその他の零細な
所得者の多い
町村におきましては、
基礎控除額の
引上げによりまして、
却つて増収にならずに激減して来るという現象があるわけでございまして、それらの点も十分お
調べの上で
市町村民税が
増収になると
自治庁のほうでは言
つていらつしやるのですか、どうですか。私
たちといたしますと、
市町村の税が
増収になるというようなことは、到底
考えられない次第でございます。
なお又
固定資産税につきましても、
固定資産の
評価をぐんぐん上げて来ているかどうかということなのでございますが、
固定資産税のほうの
基準が決して上
つて来てはおりません。と申しますのは、実は二十八
年度のことをすでに私のほうでは心配しているわけでございますが、先だ
つても私のほうの
固定資産の
評価委員から、家屋の
償却率を一年増すことによ
つて約二%ばかり価格が減
つて来る、
従つてそれだけ
減収になるから、来
年度の
予算を組む場合には、十分その点を
考えに入れてもらいたいという申込があ
つたわけでございます。勿論そのとき私といたしますと、二%くらい
減収になるだろうが、又一面新築する
部分もあるだろうから相殺されはしないかと言い返したのでございます。ところが新築が、私のほうで申しますと二%に相当するものが約四百軒ばかりにな
つてしまうのであります。この四百軒が新築されるということは、到底私
どもの町では期待はできませんので、これは
固定資産の
評価委員のほうからの申入を大
部分とりまして、来
年度の
予算は編成しなければならないだろうと実は今からすでに苦慮をしておる次第でございます。これは決して二十八
年度に
関係することだけでなしに、二十七
年度にも、二十六
年度に比較いたしますとそれだけの減があ
つたはずなのでございます。そういうことを
考えに入れますと、
自治庁のほうで相当多額の増を
見込んでいるそうでございますが、私のはうでは到底それをそのまま鵜呑みにするわけには行かない
実情にあるわけでございます。一体これはすぐに当面の問題とは関連いたさないことでございますが、
町村におきます
税収の
状況を
調べてみますと、どうも徴収の率が年々悪くな
つて来ているという
実情が明らかに感知されるのでありまして、これは自分のほうの町のことばかりでございませんので、どこでもどうも税の徴収率がだんだん悪くなるという現象があるようでございます。実は先だ
つても神奈川県のほうの二、三の
町村の
実情を
調べてみたのでございますが、それによりますと、昨年の丁度今頃なんでございますが、徴収率が約四カ
町村だけでございましたが、これは六一%、それが今
年度になりまして同じ時期に
計算いたしまして、四五%に減
つてしま
つているわけなんでございます。これは結局
町村といたしますと、
農家の農業経済がもう最盈期を過ぎまして、だんだん
農家のほうの経済が苦しくなるので、徴税の成績にまでこういうふうに及んで来ているのだということがはつきり言えるのじやないかと
考えている次第でございます。勿論私
たちといたしますれば今後格段の努力を重ねまして、会計の閉鎖日までには是非
予算に計上いたしただけの徴税率は確保するように努力いたす
考えでおりますけれ
ども、併し一面におきましてこういうように徴税の率がだんだん悪くな
つて来ているということは、取りも直さず
町村民の
財政的余力がなくな
つて来ている、経済力がそれだけ減
つて来ているということのはつきりした証拠の
一つになりはせぬかと
考える次第でございます。そうようようなことから
考えましても、
町村民税が昨年に比べまして何十億かの
増収になるということは、どうも私
たちといたしましては合点が行かないのでございます。なおこの点につきましたは、私
たちのほうでも十分今後
調査を進めたいと
考えている次第でございますが、こういうような
実情で、私
どものほうでは
資料に掲げておりますように、却
つて三億の
減収になるという
計算をしている次第でございます。以上の差引をいたしますと、百五億九千万円の
不足ということに集計が相成
つたような次第でございます。誠に
資料が整いませんで
説明が非常に不備でございますが、なお又御質問等でもございますれば存じ寄りを申上げたいと思います。