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説明員(
佐久間彊君) 今回の総
選挙に当りまして、
自治庁といたしましては
選挙執行の面におきまして
選挙法の大幅の
改正が行われましてから
解散があり、総
選挙が行われます
期間が非常に短くありました
関係と、なお又
教育委員会の
選挙、或いは
国民審査がほぼ同時に行われたというような
関係で、
選挙事務の上におきましては非常に複雑且つ多忙であ
つたのでありますが、それらの間に処しまして
全国の各
選挙管理委員会が
法規に従いまして過誤のないように
選挙事務を執行いたしますように
指導をいたすごとに特に努めて
参つたのであります。それと一面、
只今警察のほうから
お話もございましたが、
独立後
最初の
選挙でありますので、特に
選挙の
公明化を図らなければならないということで、
民間からもそういう気運が澎湃として起
つて参りましたときでありますので、
閣議の御
方針に従いまして、
自治庁といたしましては、
民間の
運動に協力するということに努めて
参つたのであります。それらの結果、幸いにいたしまして平穏に総
選挙も終ることができたのであります。併しながらこれを振返
つて見ますると、
選挙の
制度の面におきまして、或いは又その
運営の面におきまして、なお今後
検討すべき点も少なからずあると思われるのでありまして、本日は
お話もございましたので、現在までのところ、どういうような点が今後
制度の
改正について問題になるであろうかというようなことを申上げて見たいと思うのであります。実は私
どもといたしましては、
地方の各
選挙管理委員会の
意見を、
先般来承わ
つて、それを元にいたしまして、
検討を始めておるのでございまするが、まだ
地方側の
意見も十分練れて来てはおりませんし、私
どもの
検討もまだ十分尽しておりませんので、本日はこれまでのところ、各
地方の
選挙管理委員会等から承わ
つております
意見の中で、比較的多くの
地方において開かれます
意見を、若干拾い上げてお
手許にお配りをいたしたのであります。なおもつと詳細な
地方側の
意見等は、
只今資料を整理をいたしておりまするので、後日又御覧に入れることができるかと存じております。この印刷物の中で
都道府県とか、或いは
関東、
信越というようなふうに書いてございますのは
都道府県の
選挙管理委員会が
全国的な
組織を持
つておるわけでありますが、それが各
ブロツクごとに又
支会を設けておりまして、
ブロツクごとに
改正意見を
検討し、それを又
全国の
会議で
検討するというようなことにな
つておるわけでありますが、この
関東、
信越というようなのは、その
ブロツクごとの
支会の
意見ということであります。なお各
都道府県といいますのは、各
都道府県を通じての
意見でございます。
五大市につきましては、
五大市のやはり
選挙管理委員会が
連合会を
作つて、そこで共同いたして
検討をいたしておりますので、それの
意見でございます。一は
選挙を
直前に控えての
改正はやめてもらいたいという
意見であります。これは
全国の
選挙管理委員会の
会議を開きました際も、この
意見が強く出たのでございますが、今度の
選挙が、七月の三十日に
選挙法の大幅な
改正がございまして、それに基きまして私
どもとしましては命令、政令でありますとか、
府令でありますとか、或いは関連した告示なり
通牒等を
準備をいたさなければならないわけでありまするが、そうしてこの上で更に
改正の
趣旨を
全国の各
市町村の
事務担当者まで
周知徹底させる必要があり、更に
一般の
選挙民にもその
改正の
趣旨をよく啓蒙する必要があるわけでございまするが、何分にも七月の末に法律が
通りまして、一月足らずの間に
解散があり、
選挙ということになりましたので、私
どもといたしましては全力を挙げて
準備をいたしたのでありまするが、それの各
市町村までの
周知徹底の点、或いは
改正法の
解釈の
疑義につきましての統一を
指導するというような点につきまして、なお遺憾な点があ
つたように思うのであります。従いまして
改正をして頂くにつきましては、どうか
十分改正法の
趣旨を末端まで
周知徹底せしめるだけの
期間を与えて頂きたいというのが、
全国各
都道府県の
意見でもあるわけでありまして、私
どもも今度実際
事務を執行いたしまして、その点は痛感をいたしておるのであります。一例を申上げますと、
選挙法改正の
選挙法令集をこれも印刷をいたしまして各
市町村の
事務担当者まで配付をいたさなければならないのでありまするが、それがやつと
解散間際にでき
上つたというような
状況であ
つたのであります。
その次は
別表第一の
選挙区及び
議員数を再
検討すること、これも
かなりの
府県から出ておるわけでありますが、これは
別表第一にきめました当時から人口その他の
事情も変化をいたして参りましたので、それに応じて再
検討をして頂きたいということであります。
その次は実施可能の
選挙につき
記号式投票制度を採用すること、これも
かなりの
府県からこういう
意見が出ておるわけでありますが、
現行法によりましてこの開票の際に
投票の効力につきまして有効か無効か紛わしい問題が今回もあちこちで起
つておるようでありまするが、それらの点につきまして実際の衝に当りました
選挙管理委員会からは従来から一部にいろいろ言われておりました
記号式の
投票制度を実施可能のものから漸次採用することを考えて頂きたいという
意見が出ておるのであります。
その次は
立候補制限を受ける
公務員が
立候補した場合は直ちに
退職の
効果を生ずるものとしてもらいたい。これは
全国府県皆通じてこういう
意見が出ておるのでありまするが、これは現在
公職選挙法の第八十九条におきまして公務の
立候補制限の
規定があるわけでありまするが、その
規定によりまして
立候補を
制限されました
公務員が
公職の
候補者となります場合には現在の
公務員の職をやめなければならないわけでありまするが、その申出をいたしましてから五日間の
期間があるわけであります。で、これを
立候補いたしましたならば当然、或いは直ちに五日間というような余裕を置かないで
退職の
効果が生ずるようにすることによ
つて、こういう問題についての
手続を簡略にして行きたい。これは実際にこんなことで問題の起りましたのがちよいちよいあるようでございまして、こういう
意見が多く出ておるのであります。
その次の
個人演説会の問題と、十四章の二の問題は
選挙運動の
関係の問題でありまするが、
選挙運動につきましては実は今回の総
選挙につきまして先ほど申上げましたように大幅な
改正が行われた直後でございましたので、これにつきましてはあちこちでいろいろな疑問が起り、又その
照会等も私
どものほうへ
参つたのでありまするが、
選挙が終りましてからも、この
選挙運動の
関係の分につきましては各県でいろいろな
意見が出ております。それらを見てみますと、必ずしも県によ
つて意見が同じではないのでありまして、又非常に細かい点になりまするので、本日はそのうちの比較的大きな、そうして又大体各
府県同じような
意見を
言つております
個人演説会の問題と、十四章の二の問題をここへは掲げたのでありまして、それ以外のいろいろな
意見につきましてはなおよく
検討をいたしまして、又必要がありますれば申上げるということにいたしたいと思
つておるのであります。
個人演説会は自由に
開催できるようにすることというのが各
都道府県と
五大市から
意見が出ておるのでありますが、これは過般の
改正におきまして
個人演説会につきましては
相当詳細な規制が新たに加えられたのでありまして、そのうち例えば
個人演説会は六十回しか
開催ができない、又その回数を確認するためにいろいろな
手続が要るというようなことになり、更に又この
個人演説会を
制限をいたしました
関係上、一体或る
演説が
個人演説会ということになるのか、或いは
演説会ではない単なる
演説ということであるのかというような
解釈上の
疑義も
相当出て参
つたという点もあります。一方この六十回の
制限も実際問題といたしましては殆んど六十回も短かい
選挙運動期間中にはできなか
つたというようなことを耳にいたしておるのであります。なお又今回の
選挙を通じて見ますと、非常に
個人演説会が盛況でありまして、これらの
個人演説会につきましてはむしろ自由に
開催ができるようにしたほうが今申上げましたようないろいりな点から考えましていいのではないかというので、この非常に強い
要望意見が出ておるのであります。
それからその次は第十四章の二の
規定でございますが、これは御
承知のように
前回の
改正におきまして特にこの
衆議院議員の
選挙だけに
適用のある特例ということで新らしい
規定が設けられたのでございまするが、これにつきましては
衆議院議員の
選挙についてこのような特例を
規定することが
公職選挙法の体系上如何であろうかというような点もあり、且つその
規定をせられました内容から見てみましても或いはこの政党の
政治活動を
制限するというような点、或いはその
機関紙等の
制限というような点につきましてもさような
制限は要らないのじやないかという
意見が
相当に強いのであります。
その次は連座
制度を拡充強化すること、これは
公明選挙連盟、或いはそこに書いてありますような
府県から強く
意見が出ているのでありますが、これにつきましてはいろいろな内容といたしましては
相当きつい連座
制度を考えているものもございまするし、又それほどでないものもあるわけでありまして、内容は一様ではないわけでありまするが、とにかく連座
制度をもう少し強化をしてもらいたいというのが通じての
意見であるわけであります。例えば二百五十一条におきまして
選挙運動を総括主宰した者がそこに列挙いたしておりまする
買収等の罪を犯して刑に処せられました場合には当選人の当選が無効になるというような
規定がございますが、但書がついておりまして当選人が
選挙運動を総括主宰した者の選任監督について
相当の注意をしたとき等におきましてはこの限りでないということにな
つておるのでありまするが、この但書を削
つてもらいたいというような
意見でありまするとか、更にその同条の第二項におきましては出納責任者が報告書提出の義務
違反の罪を犯して検挙せられましたときには、当選が無効になるという
規定がございまするが、これを出納責任者につきましても
買収等の罪を犯した場合にも拡張すベきではないかというような
意見、或いは又この
選挙運動を総括主宰した者というものが、実際上はこれははつきりしない場合があるのでありまして、総括主宰した者と出納責任者というものを一体にしてはどうかというような
意見、或いは又更に強く
選挙運動員というものを法定をいたしまして、その
運動員が一定の罪を犯して刑に処せられました場合には、当選無効にしたらどうかという強い
意見もあるのでありますが、要するに
公明選挙を
推進する、或いは
違反をなくすというような見地から、連座
制度をもう少し強化してもらいたいという
意見であるのであります。
以上私
どものほうへ
地方から出ました
意見のうちから、比較的多数のもので主なものを幾つか拾い上げてございますが、
自治庁といたしましてもこのような
地方の
意見を十分に
検討をして参りたい、かように考えておる次第でございます。