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参考人(
小林光次君) 私
証券取引所の
小林でございます。最近の
証券界の
情勢につきまして簡単に申上げたいと思います。
第一に申上げたいのは、昨二月の、先月の九日の日に
取引所が、
公共性を持つところの
取引所が僅か一日でございまするが、休止をいたしましたことにつきましては各
方面に対して誠に申訳のない遺憾の次第であ
つたのであります。この点につきましてさだめし
新聞紙上におきまして御
承知のことと存じておりまするけれ
ども、
証券取引所が
昭和二十四年開所いたしました当時
取引所の
上場物件が五百六十
種類ほどであ
つたのでありまするが、
売買の
対象になるところの
株式の総数は約十二微弱であ
つたのであります。
売買高も従いまして百五十万
程度、多いときで二百五十万株くらいの
程度であ
つたのであります。その後
朝鮮事変の勃発によりまして
証券界も漸次好転をいたして参りまして
出来高も増強して参
つたのであります。昨年来急速に
証券界が賑
つて参りまして、大体昨年の下半期で六百五十万株
平均というような
工合に
なつてお
つたのであります。本年に入りましてからは一日の
売買出来高にいたしまして
平均千万株を突破いたして参
つたのであります。従いまして本月の一月は約六百
種類でありまして、そのうちの二百二十五
種類というものが
代表銘柄でございますが、これのいわゆる
ダウ式とい
つておりますが、この
平均価格が本年の一月五日に三百六十四円という
数字に
なつております。然るに僅か一カ月間の二月の二日の日には四百七十五円という百十円以上の
暴騰をいたしました。その原因といたしましては、いろいろの点がございまするけれ
ども、第一の点はどうしても
自分のことは
自分で守らなければならん、要するに再軍備というようなことが
一般の
対象に
なつてお
つたかと思われますので、
軍需工業関係株券が相当高く
なつている。それからなお
予算の
関係か何か存じませんが、多少インフレの
傾向がありはせんかというような見方が
大衆に浸透して参
つたのでありまして、そういう点と私
どもは
考えております。殊に一昨年以来
投資信託が非常な力を以て活躍をいたして参りまして、昨年末で
投資信託は約四百億を突破いたしております。最近では五百億
程度に
なつておると思いますが、まあネットといたしましては勿論解約もありますのでそう
なつておりません、かような
情勢で急速に
売買高が
増加いたしまして
東京の
証券取引所といたしますと、
上場株数が約四十七億八千万株というような
工合に
取引所開所当時から約四倍近いものに
増加いたして参
つたのであります。かような次第で
証券界といたしましては
受入態勢がまだできていなか
つた、なぜ
受入態勢ができていなか
つたかといいますと、これは本館を接収されておりまして、いろいろな点において
検討をいたしてお
つたのでありまするが、廊下で
事務をと
つておるというような
状態であ
つたために、ついに
受入態勢を困難に陥れた、そこに
労働基準法というような
関係がございまして、
売買を整理しなければなりません、かような
関係で一日休業いたした。これは誠に遺憾な次第であ
つたのであります。
なおかような事態で、最近になりましてから
場外取引の
売買が非常に
増加をいたしております。これは
場外は
東京証券取引所の
売買以外の問題ではありまするが、これは多少
資本金の小さい株で
取引所に
上場ができなか
つたという点がございましたので、こういう点で多少過当な騰貴に陥りやすい
傾向もあ
つたかと思いまするが、こういう点も多少
暴騰に拍車をかけたというようなこともあ
つたのであります。
多少
取引所が休止いたしましたというような
関係から、
一般の
人気が冷却をいたしました
関係の点もあ
つたのではないかしらと思いますが、丁度四百七十五円が高値となりまして、そこに非会員でありますところの
龍ケ崎証券と
大光証券という一社が
ちよつと不始末をいたしまして、こういう
関係が動機となりましたところに、先般
スターリン元帥の死去によりまして約百三十円ほどの
暴落があ
つたわけであります。即ち三百四十円まで
暴落をいたしまして、最近では三百七十円くらいまで引戻したような
状態に相成
つておるわけであります。かような点がございましたが、最近漸く
人気も落着きを取戻しまして、現在では五百万株乃至八百万株の
売買と
なつておるような
状態であります。
最近
新聞紙上におきまして大変賑わしておりました
株数が非常に
増加をいたしましたので、この機会におきまして五百株以上の
単価を
引上げたらどうかというような点も相当強か
つたようでありまするが、これは
戦前におきましては私
どもの
記憶によりますと約四百五、六十億の
有価証券と思
つておりまするが、その中で
財閥とか、或いは
財閥に類したものが二百五、六十億であ
つたと思います。従いまして
証券の
大衆化というものが極めて少なか
つた。然るに戦後におきまして
証券民主化を行いました結果、昨年三月三十一日のこれは
大蔵省の発表でございますから正確な
数字でございまするが、大体におきまして
個人の所有しておるところの
株式数は九五%にな
つたようであります。法人が約五%、この
個人の所有しておる九五%が
株数にいたしまして五七%持
つておるというようなふうに
証券の
民主化が図られております。
それから
東京証券取引所の
上場証券が六百
種類のうちで
株式の点においてどのくらいの、五百株以上と五百以下に分かれておるかということを調査いたしましたところ、八五%が五百株以下に
なつておる。一五%が五百株以上に
なつておる。それから
売買にいたしまして二千万株できましたときに約七五%が五百株以下の
売買であり、全
売買を
平均いたしますと三百七、八十株というような
状態に
なつておるのであります。従いまして五百株以上の
売買単位の
引上ということにつきましてはなかなか困難でございまして、丁度三等
列車には乗
つていかん、一、二等
列車に乗れという形になりますので、これは
取引所といたしましては、現在五百株以上の
単価引上をいたしませんで、ただ
売買の実質におきましてはなるべく五百株以上になるような自主的の方針はと
つておるというような
状態に相成
つております。かようなわけで現在は
売買の点におきましても極めて平穏に行
つておるような
状態であります。
この今回の
法案につきまして、
証券界ではいろいろお願いして参
つたのでありまするが、多分この
証券取引法のうちの一番の要点につきましては、
信用の
供与が七〇”ということが一番問題に
なつておることと思うのでございます。
取引所開設当時におきましては五五%の
信用の
供与に
なつてお
つたのであります。従いまして
信用取引の
売買が極めて不円滑に
なつてお
つたような
状態でして、
信用取引は大体
証券取引所の
売買の多いときで約四割、少いときに一割、大体
平均において二割
程度が
信用取引に相成
つておるのであります。
信用取引の一番の
増加をいたしましたときには約三十五億万に
なつております。現在では約十五億万円に減
つておりますが、これも余り投機的には
なつておりません。
信用取引が非常に窮屈でありまして、これは金の面が、
証券金融の面が非常に円滑に行
つておりません
関係上、大体多いときでマージンが一〇〇%乃至は一二〇%くらいにまで
引上げたというようなことで、非常にまずい点もございました。これは
大蔵御
当局にもお願いいたしまして、これを
一般の現状に、現実に照らしまして七〇%が誠に適当だというふうに
考えまして、
大蔵省にお願いを申上げておる次第でございます。この点は
是非とも
一つ御賛成をお願いいたしたいと思うわけであります。
その次に先ほど
委員長から
お話がございました
取引税法の問題でございますが、
取引税の問題につきまして、これは私の
記憶では、
昭和十二年にこの
取引税が、いわゆるその当時は
移転税と申しておりましたが、
移転税が創設されたと思
つております。その当時は万分の二と、万分の四、万分の八という三
種類に
なつてお
つた。ところが
戦時中におきまして、
臨時措置法というように
記憶しておりますが、そういう
関係からこれは十倍に相成
つたようなわけであります。私
どものほうの
考えといたしましては、これは
戦時中の
臨時措置法でありまするから、できる限りできたら元の
状態にそれを移して頂きたいというようなことで、
大蔵御
当局にお願い申上げておるようなわけでございます。
〔
理事大矢半次郎君退席、
委員長着席〕
先般
新聞紙上によりまして、閣議の決定によりますると、
業者が万分の八、それから顧客様のほうが万分の二〇ということに相成
つておるようでございます。この率はどういうふうな意味か私にはわかりませんが、我々のお願い申上げたいのは
臨時措置法であ
つたのでありますから、元の
状態にこれを返して頂けば非常に結構だろうというようなことを我々としてはお願い申上げております。これは然らばどうしてそういうことをお願い申上げますかというと、やはり
証券民主化ということを強力に進めて参りまして、先般
譲渡利得税の
廃止もお願いいたしてお
つたのでありますが、その
譲渡利得税くらい
証券の
民主化を阻害したものはございません。これは今度
廃止をして頂くようにこれをお願いするわけでございます。これに変えるということは、税の体系から申しますと大分違
つておるように見えますけれ
ども、併し国家といたしましては、やはり
予算の
関係もあると思いますので、これは新たに
取引税を創設されることは止むを得ないと
考えておりますけれ
ども、最近殆んど先ほど申しましたような
工合に九〇汚も
証券が
大衆化されたということを
考えますときには、
取引税というものもやはり成るべく安くして頂くということが
産業資金の調達或いは
資金の蓄積ということが盛んに提唱されているようでありますから、我々も戦後におきましてはこの点につきまして、最善の努力をして参
つたようなわけでございますので、
是非ともこの点につきまして若しでき得る限り御修正が願えますれば、我々誠に諒とするところでございます。そういう点について本日お願いする次第であります。あとは何か御
質問があ
つたらお答えするということに
一つお願いいたしたいと思います。