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1953-03-12 第15回国会 参議院 大蔵委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十二日(木曜日)    午前十一時一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事      大矢半次郎君            伊藤 保平君            菊川 孝夫君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            平沼彌太郎君            小林 政夫君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            森 八三一君            野溝  勝君            松永 義雄君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 向井 忠晴君   政府委員    大蔵政務次官  愛知 揆一君    日本専売公社監    理官      今泉 兼寛君    大蔵省主計局法    規課長     白石 正雄君    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君    大蔵省理財局長 石田  正君    大蔵省理財局総    務課長     吉田 信邦君    大蔵省管財局長 阪田 泰二君    国税庁長官   平田敬一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○金融並びに租税一般に関する調査の  件(医師所得税に関する件) ○金管理法案内閣提出) ○社寺等に無償で貸し付けてある国有  財産の処分に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出) ○参考人の出頭に関する件 ○日本専売公社法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○関税定率法等の一部を改正する等の  法律案内閣送付)   —————————————
  2. 菊川孝夫

    理事菊川孝夫君) では只今から大蔵委員会を開会いたします。  木村委員から発言を求められておりますのでこれを許可いたします。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 君国税長官に伺いたいのですが、国税長官御存じのようにこれまでいわゆる税法上の減税というものをいろいろやつて来たけれども、まだ国民負担からいつて税金の高いことはもう御承知通りです。    〔理事菊川孝夫退席委員長着席〕 今高い現状において、税制上国民に対して実際に高いながら、せめてこの政府として或いは税務行政の上で申訳の立つようなことを行う余地は、税を公平にとるとこういう点がまあ最後に残された一つの具体的な、目下の非常に高い税金の下において国民に対して徴税を納得し得る一つ条件だと思うのです。ところが昭和二十七年度所得税確定申告に当りまして、医師並びに歯科医師社会保険収入所得金額算定に特別の措置を講じて優遇いたしましたために、ほかの納税者との権衡がとれないで非常な不公平が生じて不満の声が非常に高いのです。そういうことを我々聞きまして、これは非常に重大な問題だと思うのです。この前にもこねがまあ問題になつだんですけれども、又二十七年度確定申告に当りましても、そういう手心を加えたということを聞いておるのですが、医師歯科医師保険収入について手心を加えた事実が実際あるのかどうか。先ずこの点を伺いたい。
  4. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 課税の公平を期するということが非常に大事であることは私も全く御同感でございまして、税務行政の実行に当りましてもでき得る限りそういうことを実現できますように努めたいと考えておる次第でございます。今御指摘医師社会保険料社会保険診療収入に対しまする課税の問題につきましては、木村委員も御承知通り二十六年分につきましていつか国会でもお話申上げたかと思いますが、一点単価が非常に低い、それを上げるにいたしますると今度は組合員のほうの負担が殖えるか、或いは国庫の負担が殖えるかどちらかになるので、止むを得ず非常に低い一点単価で辛抱せざるを得ない、これはそういうそのほうの言い分なんでございますが、そういう事情がございまして、そういう事情の下におきましては、課税に当りましてもやはり所得の見方につきまして十分慎重を期する必要があるのではないか、こういう点が考えられまして、昭和二十六年分につきましてできる限り実情考慮に入れた扱いをする、こういうことでいたしたわけでございます。それでその結果といたしまして、お話通り若干地方的には問題になつた点もございましたので、私どもこの二十七年分につきましては、そういうことにつきましても私は率直に申上げまして、若干の程度でございますれば運用の妙と申しますか、運用上或る程度是認されることが確かに言い得るとも思うのでございまするが、その程度が行き過ぎますとこれはどうもやはり今御指摘のような点からいつても面白くないというので、二十七年分につきましてもこの問題を取上げて検討いたして見たのでございまするが、ところがさつき申上げました二十六年分のこの所得計算の際に考慮に入れました単価の問題、この問題が現在も依然未解決のままに残つておる、それでそういう情勢の下におきまして余りこの際理詰めで理窟通り徹底させますことは、これ又或る意味から行きますと実質的に公平感を得るかどうか問題ではなかろうかと、こういう意味で本年度におきましても大体二十六年分の方針を踏襲するということにいたしたのでございます。    〔委員長退席理事伊藤保平委員長席に着く〕  ただ御指摘通り率直に申上げまして地方的にも負担の不公平という声が他の納税者から出ておるような点もございますので、私どもといたしましては一刻も早くこの単価の問題を適正化してもらいまして、それで課税課税で飽くまでも税法に従いました実際に即する課税を行うことにいたしたい、そういうことで至急問題の根本的解決を図つてもらおう、こういう方向目下話を進めておるところでございます。そういうことによりましてこの問題を、お話のような趣旨で今後成るべく早く解決を図るようにして参りたいと考えておる次第でございます。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこが非常に問題があるわけです。単価問題を徴税の不公平によつてこれを調整しようというところに問題があるのであつて、この前もその点指摘したのです。これは私は根本的に言えば憲法違反になると思うのです。憲法八十四条違反にも私はなるんじやないかと思うのですが、八十四条に、御承知のように「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」と、この八十四条の精神はやはりこの課税標準算定については各税法において相当細かく規定してあるのであつて、又規定以外の事項でも便法を講じなければならんことがあるにしましても、その便法精神というのはやはり飽くまでも税務行政においては公平の原則を重んじなければならん、こういう建前になつていなければならないと思うのですよ。それをこの一点単価の問題が非常に政治的な単価の問題になつて来るのですが、それを医師会あたりと、我々の立場から見れば何か取引みたいなことをしたような形になつておるのです。これは一般国民がこのことを知つたら、これは非常に私は納税上悪影響を及ぼすと思うのです。一点単価の問題とそれから徴税上手心を加えるという問題はこれは別の問題です。これを結びつけることは間違いだと思うのです。飽くまでもこれは別に考えなければならん。その一点単価の問題を政府解決できないからといつて、それをほかの納税者との負担の不均衡の上に医師及び歯科医師会、そのほうの社会保険料収入査定をそれをうんと低く見積つて徴税するなんということは、私は根本的に課税の公平の原則違反するばかりでなく、先ほど国税長官は或る程度を超えればいかんと言いましたけれども程度を超えています。著しく超えていると思うのです。私はこれは至急そういう措置はおやめにならなければならないと思います。この点についてどうお考えですか。
  6. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 御指摘通り一点単価の問題と直接関係しておるわけではございませんが、ただやはり単価が非常に低いということになりますと収入が少い、費用に対しまして経費が非常に多くかかる、従つて所得計算する場合におきましてもできる限りそれに応じた、実情に応じました所得計算をしてもらいたい、そういう意味におきましてはやはり間接的に関係があるということはこれは私はやはり否定できないことであろうと存じます。そういう点を考慮いたしまして、今申上げましたようなことにいたしておるわけでございまするが、ただ問題は御指摘通り果して所得があるかないかという問題になつて参りますと、多数のお医者さんのことでございますので、全部これを調べるわけに参りません。でそこに問題がいろいろあるわけでございますが、私どもといたしましてはいずれにいたしましても、併し一点単価の問題は飽くまでもお医者さんが納得されるような一点単価にして頂きたい、それで課税課税でやはりそうなりますと、ほかのほうと権衡をとりました課税ができるのじやないかと思いますが、従いまして解決方向といたしましては御指摘通り一点単価の問題は飽くまでも公正なものにいたしまして、課税課税で飽くまでも実情に応じたものにしよう、そういう際におきまして、やはり私はさつき限界を超えるかどうか問題がございましたが、現物給与課税その他につきまして若干の斟酌を実際上いたしておりまするし、それが他の一般の人々に対しまして公平を失するということがない限度にやはりとどめなければならん、そういうことにつきまして配慮を加えました上で妥当な解決を図るようにいたしたい。大体将来の問題に対しましては私も木村さんのお考えに即応するような方向でできるだけこの問題の解決を図るようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 将来と言いますが、二十七年度確定申告においてはどうですか、その限度を超えないようにと言いますけれども、私たち聞くところによると、言うまでもなく所得税課税標準は特定の人について、まあ或る人には年間の総収入から、その収入を得るために要した必要経費を差引いて計算する、その収支計算の困難なものについては業種別階層別にモデルを選んで実額調査をいたしまして、そうして統計的に総収入と純所得比率を求めて、この比率を個々の人の総収入に当てはめて所得を算出する方法をとつている。ところで医師社会保険収入については実際の調査に基いた標準率は、内科医が四五%、それから外科医が五〇%、産婦人科医は五五%、それから耳鼻科医は五〇%、皮膚科医は五五%、眼科医が五五%、こうなつているわけです。ところが歯科医が五五%、併し二十七年度保険医療収入査定に当つては一律に三〇%で、頭からきめてかかる、こういうふうにしていると言われているのですが、それは事実なんですか。
  8. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 言われる通り収支計算が全部できる人につきましては何も標準率を用いる必要はないのでありますが、収支計算ができない人につきましては止むを得ず収入だけを調べまして、それに所得標準率を適用しまして所得を推定して調査しているということにいたしておることはお話通りでございます。その際におきまして今申上げましたように一点単価が低いので収入に対しまして費用が余計かかる、これは私やはり単価の問題がああいう事情になりました関係もありまして、これは妥当な、相当理由のあるところだと思います。従いましてそういう点を考慮に入れまして、普通の場合に比較しまして社会保険料の場合の標準はそういうふうに低くいたしております。これが果してこの低い制度でいいかどうか、一点単価の問題が改訂されますれば或いはそういう低くなくても済むのではないか。こう思いますが、その辺の問題がなかなか木村さんも御承知通りこの前の解決からいたしましてもはつきりいたしません関係上課税の問題におきましてもどつちかと申しますと、私ども非常にはつきりしなくて困つております。こういうのが実情でございます。併し実情といたしましては、今申上げましたように単価が低くて薬が上つて所得が比較的少い、この事実はやはり覆いがたいものがあると思いますので、そういう点を考慮に入れまして標準率も低くしている、これが現状でございます。ただ問題は今御指摘通り三〇%でございます。問題は果して三〇%でいいかどうか、これは問題がいろいろあろうかと思いますが、いずれにいたしましても理想といたしましてはやはりお医者さんの場合におきましても収入支出を厳密に計算いたしました方式で将来所得額をきめて行く、そういう人ではない場合におきましても飽くまでも適正な標準率で、やつて行くという方向に行きたいと思うのでございしますが、やはりお医者さんの意見を聞きますと、単価がやはりよほど無理で、今の単価では所得が少い、この実情はやはり或る程度覆いがたい事実だと思う次第でございまして、従いまして私ども今の状況の下においては止むを得ない処置だと考えます。今後におきましてはお話通り単価の問題は飽くまで適正なものにして頂きまして、それにおいて課税課税お話通り実際に即するようにして行きたいと考えておる次第でございます。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この税法上の負担の公平の原則に反するという考えにならないかどうか、その点について。
  10. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは率直に申上げまして三〇%の標準率と申しますか、所得率が実際の所得に合うか合わんかという問題になると思いますが、中には恐らくもう少し余計な人と、或いはそこまで来ない人も、或いは場合によつてはあるかも知れません。そういう点から行きますと、厳密に各人の所得税法通り計算した場合と若干の違いが私は率直に申上げまして来ておると思います。これを今後におきましては税法通り所得計算ができまするようにしたい。ただその場合におきましても木村さん御承知通り何から何まで厳重に行きますということはこれは実際上なかなかむずかしい問題でございまして、その他の場合におきましてもいろいろな点におきまして実際を考慮に入れまして妥当な標準率をきめておりますことは御承知通りでございます。そういう点も併せ両面から考えまして妥当なものに持つて行きたいと考えておる次第でございます。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はこの保険医が困つていいということを言つておるのじやないのです。保険医単価が低いために困つておる実情は何とか解決しなければならないということを自分は認めておるんです。そういう状態に追込んでおるのは単価の問題が解決しないからです。単価の問題が解決できないその尻ぬぐいを徴税負担の不均衡、これは言い換えればほかの大衆の犠牲においてこれを解決しようとしているところが問題なんですよ。こういう解決の仕方は政府の重大な責任の問題なんです。技術的には国税長官にこれを責めても無理かも知れません。私はこれは大きな政治的問題だと思うのですから、私は決して保険医がその社会保険その他によつて一点単価が低いために非常に赤字が出て困るという実情についてはこれは私は救済しなければならない、併しこういう形において救済するものではないと思います。解決を図るものではない。徴税負担の不均衡の上にこれを解決するということは、これは私は重大な問題だと思う。それでは芳しほかの場合、政府の支払いが適正でない場合ですね、いつでも徴税上手心を加えるかという、例えば公務員給与ベースが低い、公務員の要求する公務員給与ベースが低いという場合に、ではその給与ベース引上げ方の少い部分を徴税上の手心によつてこれを加減できるかというのですよ、その他の政府の支払についてもそういう問題が起り得ると思うのです。この医師及び歯科医師保険医についてのみこれを行うということは、この徴税負担原則はどうしても大きな矛盾です。これは私は税法上どうしても容認しがたい。政府が一点単価解決できないこの尻をここに持つて来ておるということは、これは私は断乎として排撃しなければならない。といつて、今のこの保険医をそのまま置いていいというわけではないのです。これは困つたものですが、ですから国税庁長官の悩みも私はわかるのですが、これはどうも私はこういう建前では絶対にいけない。殊に我々は大蔵委員会でこういうとがわかつたならば、これは容認できない。そういうことが、一般世間納税者にこのことがわかつたら一体どうしますか。わからないから騒ぎが大きくならないけれども、これは私は、重大な問題です。従つて、この二十七年の確定申告については、もうこれは終つたわけですか。
  12. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 重ねて申上げますが、私どもは一点単価を無理に低くするためにこういう方法を用いているとまでは考えておりません。ただ一点単価がお医者さんの納得するようなものになつていないということは、そういうふうに一般に言われていることは、これは私どもも認めざるを得ない。その結果が、木村委員お話通り、お医者さんが赤字があるという表現をお用いになりましたが、赤字があるということまでは考えませんが……。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 社会保険収入について。
  14. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 適正な方法について非常な御不満があつて経費の割合に収入が少くて困る。そのことは即ち所得率が低い、こういうことに結果においてなるのでございまして、従いまして、そういう結果が、この低い所得率を適用せざるを得なくなつている、それが、大きな意味から申しますと、或る程度実情に即している。その限界を超えているかどうかは問題でございまして、その辺になりますとなかなか簡単に結論は出ないと思いますが、大まかに行きまして、相当実情考慮してやつているということはこれはもう木村さんの御指摘通りでございます。そこで私どもといたしましては、そういう結果にならないように、税務の見地から言いますと結果になつて、そうなつておると思いますが、結果にならないように、単価の問題といたしまして、飽くまでも適正な単価をきめて行く。お医者さんの納得するような方法でやるべきである。この点については私も全く木村さんと同意見でございますので、御了承願いたいと思います。なお本年度につきましては、今申上げたような事情からいたしまして、十六日にこの申告期限が切れまして、現実に現地におきましてそのような方法で査収進めておりますので、二十七年分といたしましては、今の申上げましたことをそのまま据置くわけでございます。三十六年と大体同じにするということでございます。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 こういうことは法律で定めなくてよろしいのですか。
  16. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 所得が少いか多いかという問題は、これは私は法律の問題ではないかと思います。所得が幾らあるかという問題でありますので、その実態の把握の問題でございまして、把握する際に、今申上げましたようないろいろ問題があつて、その結果、今申上げましたような結果になつて来るということになつておると思うのであります。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この一律三〇%の線にとどめるということ、こういうことは法律に規定しなくていいのですか。
  18. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) これは勿論、本人が申告されたり、或いは所得調査いたしまして、非常に明瞭に所得はつきりしているような場合は、これは勿論標準によるべきじやないということは原則通りでございまして、ただはつきりしない場合におきまして標準による、この原則は別に変えてない考えでございます。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは大きな政治的な問題ですから大蔵大臣にもこれは聞きたいと思います。この一点単価の問題、社会保険費保障費ですか、そういうものの増加できない尻をこういう点でごまかしている点については、私はこの問題を取上げたのはこれで二度目です。ですから、二十六年度においてとの問題をすでに取上げている。それは確かに税法上不権衡である。併し一点単価の問題は解決がつかないから、止むを得ずこうなつたということはこの前も言われた。それなら今度なぜ改めて解決を図るようにしなかつたか。これは国税庁長官を責めても無理なんですけれども、一点単価の問題を解決しないで、そうしてそれを、医師会歯科医師会を……我々から見れば、何か政治的な闇取引をやつたような形が出て来ているのです。これは重大な政治問題として我々はやはり大蔵大臣にこの点は又改めて質問したいと思います。そこで今度は二十八年度確定申告についてはどうされるつもりでありますか、今後については。二十七年度についてはまあ今、国税庁長官は止むを得なかつたと言いますけれども、今後やはり私はこういう状態を恒常化してはいけないと思うのです。これは飽くまでも変則であると思うのですがね。今後の処置について、もう少し具体的なお考えがあつたら承わつておきたいのですが………。
  20. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 二十八年度以後につきましては実態を更によく調べまして実態通り課税をいたしたいという考えでございます。恐らく単価の改訂の問題にづきましても本格的に取上げまして根本的解決が図られるのではないか、ただこの問題は直接私ども所管ではございませんので厚生省のほうの政府委員からお聞きを願いたいと思います。    〔理事伊藤保平退席委員長着席
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はそういう考え方はよくないと思うのです。この問題は自分所管ではないといつて国税庁長官として、租税徴税の公平の原則はこれは侵されておるのですから、それについてはもう強硬にあなたは税法を守る建前からこれは闘わなければならない、厚生省と。所管外だからというような答弁ではいけない。これはむしろ原則を侵されておるということについては厳重に……二十六年度、七年度もこうであつたのでというのでは、これでは世間に対して相済まない。そういう意味であなたのほうから強硬に言うべきだと思う。管轄が違うので、社会保障の問題だから、又保険の問題だから、というような形ではいけないのではないかと思うが……。これは私が国税庁長官に言うまでもなく御存じだと思うが、その点はやはり強硬にやられたいと思う、
  22. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 私特に今形式張つたことを申上げましたが、実はそういう方向ですでに方針がきまつておりまして、厚生省から出て来ますれば木村委員に対して満足なる答弁があると確信いたしましたので申上げたのでございます。そこに至りますまでにつきましては勿論私どもやるべきことはやつておりますのでその点御了承を願いたいと思つておる次第でございます。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この点については厚生省側にも次の機会に質問したいと思いますので、その点は一つ……。
  24. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) ではいずれ改めて……。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは私は今日の質問はこれで打切ります。
  26. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは金管理法案について質疑をお願いいたします。
  27. 松永義雄

    松永義雄君 理財局長大臣のような気持で以てこれはお答え願いたいと思いますが、日本政府というか、政府というとおかしいが、大蔵省ドルと金といずれを重く見て行くかという点をお伺いいたします。
  28. 石田正

    政府委員石田正君) 大蔵省立場といたしまして金というものを私どもは大切に思つております。その理由は、日本の経済というものは対外交易をしなければ成立つて行かない、外国と通商をやつて行かなければ成立つて行かないという、いわゆる自給自足で以て済まし得るところの態勢でないということを根本的に考えました場合に、やはり対外的にその決済ということが常に大きな問題なのであります。その問題に関係いたしておりまするところの大蔵省といたしましては、金というものが何と申しましても現在におきまして無制限に決済手段を調達するところの役を果す。金を持つて参りまして、例えばアメリカに売りまするならばアメリカドルが入る、又場合によりましてイギリスへ持つて参りまして、そうしてポンドを調達するということも可能であろう、かようなことを考えまするならば、金というものは大切であろうと思うのであります。金を以ちまして直ちに決済するという意味ではございませんけれども、金を売ることによりまして対外決済手段が得られるという意味におきまして、金というものは大切であろうと思うのであります。  それから又ドルはどうかということでございますが、これは今いろいろな取引、対外取引の決済をいたしまする上におきまして、ドルならば文句なしに受取られる、こういう実情でございまして、対外決済手段としてドルが一番大切である。一番大切と申しますると語弊があるかもいたしませんが、トルであるならば対外決済手段といたしまして、どこでも拒否されることがない、こういう点におきましてこれは尊重すべきものであろうと思うのであります。即ち大蔵省が金なりドルなりを尊重いたしますることは、直接対外決済手段として使える、或いは如何なる対外決済手段も調達できる、こういう意味において尊重いたすべきものであろうと考える次第でございます。
  29. 松永義雄

    松永義雄君 ドルアメリカ内においても物価が騰貴してドルの価値というものは不動ではないのであります。而も曾つて。ポンドは世界を制覇した。今はドルが世界を制覇しつつある。だからドルの価値のことについては現在は争いはありませんけれどもドルは永久に世界を制覇するとは考えられない。ところが金のほうはこれはいつまでたつても私は金貨の価値は維持して行くだろうと思うので、それで金とドルをどつちを尊重するか、国際決済上どつちを尊重されて行くかということを聞いておる。でどちらを重く大蔵省としては見て行かれるか、これは生産に関係して来ますからそれでお聞きしておるわけです。
  30. 石田正

    政府委員石田正君) これはどちらを抽象的に重く見べきか、長い目で見て金のほうが対外決済手段としてこれは長続きがするであろうから金のほうを重要視すべきではないか、ドルのほうは今こそいいように思われるけれども、併し将来どうなるかわからんという危険もあるから、従つて金のほうを重く見べきではないかというふうな御議論かと思うのでありますが、私たちこれは要するに私たちの立場から申しまして、いわゆる金本位制と申します。か、そういうふうな貨幣制度の問題等をも考えまして、金というものが将来どうなるかということにつきましては、これはドルよりもこちらのほうが確実であるから金というものを一番大切にすべきであるということにつきましては、そう簡単に断定すべきものではないのではないだろうか、その点はよほど慎重に考うべきではないだろうか。我々はそう遠い将来のことを計ることはなかなか困難でありまするが、近き将来におきましてこれはどちらが大切かということにつきまして、こちらが大切であつて片方は大切でないんだというような考えを以て扱うことは避けるべきではないだろうか、と考えておる次第でございます。
  31. 松永義雄

    松永義雄君 その点について大蔵省は認識が浅いと思うのですが、フランスではフランの切下げ、或いはいろいろな国内情勢からフランス人は極めて多量な金の退蔵をやつておることは御承知通り約二十億ドルから三十億ドルくらいに達するだろう、こう言われておるので、現在金が世界的にどれくらい尊重されておるかということはもう統計の上にはつきりしておるわけです。ただ日本の情勢として如何にもドルを尊重して行けばいいように見えるのでありますけれども、世界的、及び経済の本質から言えば金を尊重して行かなければならない。ところがあなたのお話では、目下の情勢においても又先行はわからんのでどうなるかわからんからそれほどに金は重く見る必要はない。こういうふうなお考えなんですが、フランスの例をとつて見て、あの退蔵熱の強いのを見まして如何ですか。
  32. 石田正

    政府委員石田正君) フランスの例をお引きになつての御質問でございまして、数字等も御引用になりましたが、私率直に申しまして数量的な点につきましてははつきりお説のやつを肯定することも否定することもできません。ただ金が退蔵されておるということはこれは事実であろうと思います。仰せの通りだろうと思います。併しながらこのもとの原因はフランスにおきまして、要するにフランというものが不安である、フランに対するところの信用が失われておると言いますか、そういう点からいたしましてフランを持つているよりも金を持つてつたほうがよろしいというのが根本原因であります。他面におきましてドルをそれでは持つことをしないでおるかということになりますると、恐らくフランスのかたというのはやはり機会があればフランを放してドルを買いたい、こういうことをやつておられるだろうと思います。その額がそれではどれだけになるかということになりますると、これは私はよくわかりません。なおいろいろ退蔵問題につきましてフランス等に数字がございますが、これは金だけ持つておるのか、或いはドルの分まで含めましてそうして金という表現をしておりますかという点につきましては、向うから参りましたニュースその他を見る上におきまして、よほど気をつけて見なければならない点と思つておる次第であります。
  33. 松永義雄

    松永義雄君 どうも、私はドルを軽視しろということを言つておるのではない、金のほうを重視して行かなければならないのではないか、こういう意見を持つてつておるので、フランはたまたまドルと比較してお話しただけです。朝鮮戦乱のあとに一オンス三十五ドルですか、それが四十ドルとか五十ドルまで上つたといつてフランに関係なく、ドル関係なく戦争ということで金の価値が暴騰いたしておる。で、金を持つておることが一番確実だということが世界的な考え方なんです。その点もう一遍簡単に、朝鮮戦乱を問題として御判断を願いたいと思います。
  34. 石田正

    政府委員石田正君) これは金を持つておるほうが大切か、ドルを持つておるほうが大切かという点になりますと、これは抽象的には私は言えないのではないかと思います。そのときどきの具体的な場合を以て考えなければならない。特に日本といたして考えまする場合におきましては、やはり日本現状からいたしましてどちらを持つてつたほうが大切かということは、更に世界全般の問題も大切でありますけれども日本立場からいたしましても大切な点があると思います。例えて申しますると、今、日本で以て仮にドルを持つておる、それから金を持つておる、こういう二つの場合を考えまして、ドルで持つておりますと、これはドルの値が下つてしまう、金を持つておるならば値が下らない。従つて近い将来に例えばアメリカが一オンス三十五ドルでございますが、これが四十二ドルとか、或いは五十ドルとかいうことになるということが確実でありますならば、これはできるだけドルでなくして金で持つてつたほうがよろしいと、こういうことに相成ろうと思います。併しながら若しこの一オンス三十五ドルというものが変らないということを前提といたしまするならば、ドルで持つておりまするならば、これはドルを利用することができるわけであります。ドルを以ちまして物を買つて来るといううとは、直ちにできるというのみならず、ドルとして預金をしておるという場合におきましても、例えば定期預金として出しておるということでありまするならば、何がしか殖えるということはあるわけですが、金を持つておるという場合におきましては、これは金をただ持つておるというだけのことでありまして、何ら価値を生まないということになるわけでございます、又何らの働きがないということに相成るかと思うのであります。若し金をそれでは買つたけれども、それを以てすぐにドルに換えて、それで使つたらいいのではないかということになれば、これは金を持つておるよりもドルがいいということになるわけでしようが、それらのところは、やはり具体的のところは外貨で考慮しなければならないのでありまして、抽象的に金が大切だ。ドルよりも金が大切であるというふうなことからして、それを更に進めて現実に具体的な政策にまで押し及ぼすということになりますれば、これはよほど考えなければならない点ではないかと思います。
  35. 松永義雄

    松永義雄君 私は金を売つてドルに換えろという意味において、金とドルとの比較をしているのではないんで、現在ここで議案になつている金の増産ということについて問題としておるので、金の値打というものはドルより確実性があるから、殖やせる機会があればできるだけ金を殖やして行つたらいいのじやないかということを申しておるのであります。それで御承知通り金の値打についてはアメリカ、スターリング地域のほうで値上げを要求して、そうしてアメリカはこれを断つてそうしてそれがまあ直接関係があるかないか知りませんが、英連邦会議の上にそれが輸入制限といつたようなことに現われて来て、それが又日本にまで影響が来ておるといつたような状態で、この金の値打を上げるかどうかということは大きな問題なんで、金が如何に値打があるかという一つの大きな裏付になつておると思うのです。  それで更に聞きたいことは、金の自由販売のことなんです。問題はそこに急所があるわけなんですが、金の自由販売はすでに各国でも或るところでは行われておるんで、ただその日本みたいに金の生産量の少い国で、金を工芸品のほうに廻して、そうして政府の買上量が少くなるということはどんなものであろうかと、政府の買上量を多くして、そうして手持ちにしておくほうがいいのではないかという一つ考えを持つておりますが、御意見をお聞きしたい。
  36. 石田正

    政府委員石田正君) これは金の問題につきましては、対外決済手段とか、或いは貨幣との関係とかいう問題と同時に、又金も一つの物であるという面もございます。その金というのは二つの性格を持つておるところに一つの問題があろうと思うのでございます。それから又日本の金鉱業の実態、よその国におきまするところの金鉱業との比較におきまして日本の金山のコストが割合に高い、非常に経営がむずかしいと、こういう事態がございます。この三つの問題がございまして、金の問題というものは非常にむずかしい問題なのでございます。そこで今のお話は金というものは非常に大切なものであるから、それは全部政府が買つてつたらいいではないか。これも一つ考え方かと思います。併しながらそれにつきまして具体的な問題といたしまして、困難な点が起つて来るわけでございます。第一の問題といたしましては、これは国際通貨基金に日本といたしましては加入いたしておるわけでございます。その関係からいたしまして政府が買取るということにいたしまするならば、これは通貨用と申しますか、或いは対外決済用と申しますか、そういう関係で買取るということになるんでありまして、この点につきましては一オンス三十五ドルとそれから一ドルは三百六十円というものと、これから算定いたしました四百五円九銭というものの一%の範囲内でなければ買えないということに相成つたのでございます。この値段で買上げて金鉱業が収支償うということでありまするならば、これは誠に結構なことでありまして、そういうふうにすべきだと思います。併しながら現状におきましては金山のほうの関係から申しまして、そういう値段で全部政府に売上げたのではペイしないという問題があるのでございます。それならば補助金を出したらどうかということになるのでございますが、そういう意味における補助金を出すということは、これは少し通貨基金の関係で認められないのでございます。そういうことがございまするので、今の日本の金鉱業の現状と、それからして又日本政府が対外決済用として金の準備をいたして行きたいというこういう両面の要請を考慮いたしまして、今回提案いたしましたような法案の形において、その点を明らかにして参りたい。これが政府考え方なのでございます。
  37. 松永義雄

    松永義雄君 国際通貨基金で金の価格がきまつておるので、それで補助金を出すということは国際通貨基金の申合せに反するというので困るとこういうようなまあお話ですが、ところが金を生産する国では金のいわゆる通貨基金価値が安いために非常に困つて、そうして生産にも支障を来たすということはあなたのお話通りです。そこで或る国ですが、それはまあちよつと書いてあるんですが、まあ国はわかりますが、或る国では補助金を出しておる。それは国際通貨基金に触れない程度のまあ極く少量の必要生産費と言いますか、そういうものをまあ補助金として出しておる、或いは税金を負けておる、或いは運賃を安くしておるとかいつて、いろいろな方面から採金を奨励しておるのですが、一体そういつた考えをお持ちになれないかどうか、どうしても自由販売価格で高い金の闇、まあ世界的には闇価格、国内的には正当な価格でしようが、そういう価格を出さなければ日本の産金量は増加しない、こういうふうなお考えなのでしようか。
  38. 石田正

    政府委員石田正君) 今お話の点で、例えば鉄道の輸送運賃を制限するとか、或いは関税法のほうの関係につきまして、輸入する機械を免税にするかとか、そういうふうなことは我々はすでに或る程度講じておるわけであります。併しながら何と申しましても今お話のありましたカナダとか、或いは南阿とかいうところは、これは世界有数の産金国でございます。そういう国の非常に質のよいところの鉱脈を持つておるところでさえも、非常にやりにくいのでございまして、日本におきまして今お話がありましたような程度のことをやりましたのでは、これはなかなか金鉱業として成立ちがたいという事情がございます。それでこれは大蔵省自体の立場から言いますれば、とれました金は全部公定価格で買上げるということは一つ考え方として望ましいことでありますが、併しそれをやりまして金鉱山が成立たないということになりますならば、これは元も子もなくなるわけでございます。そこらの関係、或いは通貨の問題、或いは国際通貨基金との関係、それから金鉱業の実態というものを併せ考えて行かなければならないところに、やはり苦心を要するところであろうと考える次第でございます。
  39. 松永義雄

    松永義雄君 一応はあなたの一通りの理窟はそれとして通るとして、自由販売にすれば退蔵が行われはしないか、あなたのほうから言えば工芸関係者にそういう適正な方法で配分するのだということを法文にもちやんと書いてありますし、そういうふうに実行されるでありましようが、併し如何に厳重にまあ米の統制をやつてもやはり闇に流れるようなもので、而も金に対する要望というものは実に熾烈であることは、あなたよく承知通り、そこで大蔵大臣に聞きたいことは、昔三井がドル買いをやつた。金でなくてドルを尊重してドル買いをやつて、そうして日本を今日みじめな日本に導いて来た。そういつたようなことで金に対する要望というものはこれは世界的なものなんです。世界的な最近の現象は、ソ連にしても朝鮮戦乱の関係にしても、あらゆる場合の金に対する要望は、非常に何というか本質的なものがある。人間性の本質的なものがある。工芸品だといつてあなたは配給するのだから、あなたは間違いないと言われるでしようが、世界の国も皆そうなんでしよう。この闇価格の売買を認めておるわけではないんだ。ないんだけれども而もなおそれが行われるということは、日本だけは聖人が多いからそういうことは行われないだろうということは考えられますが、併しドル買いという前例があるのですからね、だから金に対するそういつた横流しとか、闇買いもする者がないとも言えないのですが、そういうものに対してはどういうふうに扱つて行くか。厳重なる態度を以て臨まれるか、法文の上においてはどういうふうになつておるかということをお聞きしたい。
  40. 石田正

    政府委員石田正君) これは現有私たちが金の全面的集中をいたしております。それからそれに基きましていわゆる配給ということをやつておるわけでございます。でこれによりましてもすでに相当の量というものは産業用として還元いたしておるわけでございます。ただこの配給のことをやつておりまする場合におきまして、価格のほうも抑えたりなどしてやつておるのでございますが、それでは金鉱山はどうしても成立たないという熾烈なる要望があるわけでございます。私たちが今申しましたような工合に、退蔵ということを認めるためにこういうことをするわけではございませんけれども、いわゆる官庁側におきまして一々その用途を調べましてそうしてやるという、この配給をやつて行くということにつきましては、非常に事務的におきましても手数がかかるのみならず、その間におきまして非常にまあ遅くなつたり、或いは例えばつい最近の例ではよその国では皆万年筆の先に金というものを使うというようなことを、使えないということで、とかく実情に副わない点も多いのではないかという点も心配しながら実はやつておるわけでございます。勿論これは私たちのほうのこういう法案を出しましたあとにおきまして、大蔵省といたしましては、この三分の一なら三分の一という政府の買上げのほうに主点を置きまして、あとはこれは通産省その他におきましてやつて頂くわけでございますが、この点におきましても、いわゆる退蔵というものを認めて行こうという意味においてやつておるのではございません。その点において、そういう意味から申しまして、それでは実際問題として退蔵が起ることは目に見えているじやないか、それをどうするのだと、こういうお話だと思います。この点につきましては報告を取ることによりまして、できるだけ実情把握に努めたいというふうに思つておるのでございますが、まあ退蔵と言いましても、どの程度かと申しますれば、大量の退蔵というものは起らないと思いますが、全然退蔵は起らないのかと、それをここで確約しろとおつしやいましても、ちよつとむずかしい点であろうと思いますが、併しそうむやみに退蔵というものは起らないのではないかと思います。従来の配給の実績等から申しまして、むやみに退蔵は起らないというふうに思つております。又そういうような事態でありますれば、これは当然再検討を要すべきものかと思うのであります。なお今お話で、三井のドル買いの場合の例もございましたが、これは三井がドルを買つたというふうなことを例にされまして、それと同じようなものを金でやるのではないかというふうなお話かと思います。併しながらこれは何と申しますか、ドル買いが行われた時分におきましては、統制等もなかつたのであります。それからまあドル買いと申しましても、これはその当時の実情から申しますれば、いわゆる円の価値下落と申しますか、そういうことが目先に見えるような危い状況の下に行われたのでありまして、その間の事情におきましても、今日とは多少違うものがあるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  41. 松永義雄

    松永義雄君 最後の御答弁については、これは刑法上の範囲等に関係して御質問することになるのですが、まあそういうことは今日の問題とは別ですから、ただ例としてお話したので、それだけ言つておきます。ただ金に対する要望が如何に強いかということですが、これは数字で本に書いてあることだけをここに並べて申上げたいのですが、一九五一年の下半期に、産金額が四億二千四百万ドルつたのに、それが準備に繰越されたものは僅か一千万ドルで、九割四分がどこかへ行つてしまつた、こういう数字になつております。それからアメリカですが、アメリカにしても、又世界的な貿易国ですが、貿易量は戦前に対して約二倍ぐらいになつている、ところが産金量は四割五分ぐらいしか最近は殖えておらない。それくらい金が不足しておるわけです。国際貿易上決済の上に、事実上ですよ、事実上、経済上それだけ不足しておる半面に、戦乱及び不安とか各国の通貨が動揺を来たしておるので、それから来る金の要求が非常に熾烈だという。従つて傘の価値が五十ドルまで上つて来た。三十五ドルといつて国際通貨基金が抑えているけれども、事実は五十ドルまで上つていて、そのために産金国がアメリカに対して、通貨基金の事実上の支配者であるアメリカヘ不平を持つて来て、金の価格を上げてくれないかといつて、世界的に悩んでおる。日本みたいな割合に産金の少いところはともかく、産金の多いところは悩んでおる。逆に我々日本のような産金量の少いところでは、金を大切にしなければならない。たまたまここで金の産金量が殖えたから、工芸品のほうに廻していいといつたような法案になつているようですけれども、今まで我慢して来たのですから、金を大切にして、金をできるだけ出すと同時に、出て来た金を大切にするといつた方向に向つて行かなければならんと思うのです。ドルに頼るということは、無論それは現在としては止むを得ないことでしよう。だからといつて日本の産金量を殖やす。日本の産金を大切にするということは、決してドルとは矛盾しないと思う。ドルの価値を尊重するということとは矛盾しないのであつて、金の産金量を殖やす方法をとつて行かなければならない、同時に退蔵を少くしなければならない。だから一方には産金に対して何らかの施策を講ずると同時に、退蔵というものを防いで行かなければならない。こういうまあ結論でございます。恐らくあなたがただつて同じ考え方を持つておるのではないか、こういうことなんですが、たまたま産金量が多いから工芸品のほうに廻していいといつて、何かこう退蔵の機会を自然に、利己的にあなたがそういうことをする意思のないことは、法文の上ではわかりますよ、けれどもそれでも経済の動きというものが、そういう穴ができつつあるということを考えて、一応防ぐには、他方に厳罰で処するという考えで以て退蔵を防いで行かなければならない。実は積極的に産金政策をとつて行かなければならない。こういうことになるので、結局ドルを尊重するか、金を尊重するかということになれば、現在としては金を尊重すべきときだ、ドルは何も禁止するわけじやないが、金も又尊重すべきことであるから、金政策というものを考えて行かなければならない。こういうふうなまあ私の考えなんです。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 提案理由の中で、最近は金の生産量が漸次上昇しつつあると言われますが、数字的な資料を一応要求しておいたのですが、どの程度に生産が殖えているか。
  43. 小林政夫

    ○小林政夫君 ついでに最近の生産量と、第三条によつてこの前の御説明では三分の一買上げるということですが、それによつてどのくらいか生産量がわかればそうなるわけですが、それとの関連をはつきりと……。
  44. 石田正

    政府委員石田正君) 大体戦前最高におきましては内地だけで金の産金量というものは二十トンを超えた事実があるのでございます。ところが終戦後に至りましてのその状況は非常に激減いたしております。昭和二十一年におきましては僅かに一トンを上廻るというような状況でございます。昭和三十四年におきましてはやつと二トン台、それから昭和二十三年に至りまして三トンぐらいになりました。それから二十四年に参りまして四トン台を記録いたしております。即ち昭和二十一年から二十四年までは大体一トンずつ上昇して参つたのでございます。ところが二十五年になりましてからはこれは四トン八百キロでございまして、その後の上昇率が鈍つております。二十六年になりましてから又二十五年に比して一トンほど殖えまして五トン八百キロというような数字になつております。二十七年はこれは七トンでございます。で、それではこれから先どうなるかということでございますが、二十八年といたしましては我々は一応九トン程度考えているのでございます。これは勿論現在すでに全面的に吸収いたしましたうちにおきまして三分の二を還元するということを実行いたしているのでございまして、そのことを一応ベースといたしまして大体九トン程度になるのではないか。これを若し逆に政府の買上量を多くいたしまして、そうして金鉱業のほうを傷めつけるというようなことが起りますれば、これはこれだけの量を達成できるかどうかはわからない、かように思つている次第でございます。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 併しながらですね。これまでの今の統計ですとだんだんと殖えて行くのですね。三十七年は特にまあ殖えているんですね。それで先ほどのお話ですと、このままでは産金業者が潰れちやつてとても成立つて行かないというお話があつて、そのためにこういう措置を講ずる必要があるとおつしやつたが、とにかく産金量はだんだん殖えているわけですね。殖えているんですよ。著しくは殖えていないけれども、そのお話とちよつと食い違うと思うのですがね。潰れていないのですよ。金鉱会社が皆んな潰れちやつたら産金はなくなるはずです。つまり徐徐にではあるが、こうして順調に殖えているんですから、今こういう措置を講じなければ産金業者は潰れちやう、それで産金がなくなるというようなそういう事態ではないのであつて、こういう措置を講ずれば特にまあ産金が有利になるだろうということは事実でしようけれども、そこのところは私は御答弁と事実と少し違つているのではないかと思います。
  46. 石田正

    政府委員石田正君) これは金山と言いますものは純粋に金だけを掘るところよりもむしろほかの鉱物と一緒にとるところが多いのであります。従いまして会社なり山なりが潰れておらんからそれだから困つていないのじやないかということはこれは如何かと思います。それから現実の問題といたしましても、資料に昭和二十七年におきまして五カ所ばかり中止鉱山が出ているのでございます。それから、だんだん年々殖えているのではないかということを申しますが、これは木村先生もよく御承知のごとく、終戦直前でございますが、太平洋戦争が始まりましてから金山の設備というものは少し加減したほうがよろしいという極端な思想から設備等を撤去する等の問題もございまし減つて来た。一番どん底へ持つて行きましてから殖えたのでございますが、戦前の二十トンを超えるようなやつが今後できるかできないかはわからないけれども、私は専門家でないから申しかねますけれども、併し専門家のかたがたのほうから申しますれば、この九トンというようなところまで仮に行きましても、それは戦前の半分以下なのであつて、これはまだ生産が非常に少いのだ。その理由は何かというとやはり苦しいからだ。こういうことを申されているのでありまして、この点はまあ我々といたしましても傾聴しなければいけないかと思つている次第でございます。
  47. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 戦前は内地で何トンぐらいですか。
  48. 石田正

    政府委員石田正君) 大体昭和十五年は三十六トンを上廻つております。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ああそうですか。今大蔵大臣が見えましたからあとで又……。
  50. 中川以良

    委員長中川以良君) 大蔵大臣に対する質疑をお願いいたします。  最初に社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律の一部を改正する法律案について御質疑を願います。
  51. 野溝勝

    ○野溝勝君 大臣にお伺いをいたします。大臣向井さんはすでに御承知のことでございますが、目下社会を騒がしております富士山払下事件、俗に言う富士山の山を食う事件、この事件でございますが、賢明なる大臣におかせられましては、幾多の委員会において同僚からの質問に対して慎重に考慮するという御所見であることを速記録を以て承知しております。併しこの問題は非常に重大な問題でありまして、例えば払下という問題でありますが、いやしくも日本的であると同時に世界的の冨士山を個人化するということに賛成するということでございますから、私有化に賛成することでございますから、大臣が慎重を期すると同時に、これ又社会の目も、世界の目もこれに向つておるわけであります。そこで先ず具体的に質問に入るのでございますが、今回本委員会において審議されておりまする社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律の一部を改正する法律案、先般来問題になつておりまする富士山の払下事件は、これは昭和三十二年法律第五十三号に基いて、静岡県富士富市から申請をしたものでありますが、この法律的根拠は大臣も御承知のごとく、こう規定されております。社寺等に無償で貸し付げてある国有財産の処分に関する法律昭和三十一年四月十二日法律第五十三号、第一条におきまして、「社寺上地、地租改正、寄附(地方公共団体からの寄附については、これに実質上負担を生ぜしめなかつたものに限る。)又は寄附金による購入(地方公共団体からの寄附金については、これに実質上負担を生ぜしめなかつたものに限る。)によつて国有となつた国有財産で、この法律施行の際、現に神社、寺院又は教会(以下社寺等という。)に対し、国有財産法によつて無償で貸し付けてあるもの、又は国有林野法によつて保管させてあるもののうち、その社寺等の宗教活動を行うのに必要なものは、その社等等において、この法律施行後一年内に申請をしたときは、社寺境内地処分審査会又は社寺保管林処分審査会に諮問して、主務大臣が、これをその社寺等に譲与することができる。」第二項で、「社寺境内地処分審査会及び社寺保管林処分審査会に関する規程は、勅令でこれを定める。」この第一条の末尾にありまするところの「社寺境内地処分審査会又は社寺保管林処分審査会に諮問して」と、これが今回の法律によつて削除されることになります。今問題になつておりまする富士宮市からの払下げ申請の処理は改正されんとする現行法によつて取扱われたものだと思います。そうすると、この審査会において富士宮市からの申請を承認したものを大臣がこれの譲与を認めるか、認めないかということは、大臣の決裁にあるのでございますが、この点を大臣考慮されておると思うのですが、若し今回の法律によつてこの審査会という諮問機関がなくなつた場合、大臣は前の諮問委員会の決定を飽くまで尊重して行こうとするのか、それを超越して本問題に関しましては慎重なる考慮を払うというのか、この点に対する見解を一つ明らかにしておいてもらいたいと思います。
  52. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 委員会の答申は十分尊重はするのですが、この際私はなお慎重に考慮してきめたいという意見でございます。
  53. 野溝勝

    ○野溝勝君 そこで大臣にお伺いするのでございますが、大臣はすでに耳にたこのできるほどこの陳情は受けておることと思うのでございます。先般大臣不在ではありましたが、阪田局長にもこの点を質しておきました。特に私はなぜ本問題を重要視するかというと、本問題には幾多の疑義があるという点が一つ。第二点におきましてはこれが単なる一国有林、一国有地としての払下問題というだけでなくて、この場所が而も国際的に重要な場所であるだけに、私はこの二つの点からこれを非常に重要視しておるものであります。  第一点の特に法理論的に疑義のあるという点はこの点でございます。該土地が富士宮市浅間神社より国に社寺譲地地租改正給付によつて国有となつた国有財産であること、第二点は昭和二十二年五月二日現在右神社に対し国有財産法によつて無償で貸付けてあることでございます。それから第三点は、右浅間神社において宗教活動を行うために必要な土地である、こういう内容でございます。然るに富士宮市浅間神社においては該土地を国に譲地した事実は全然ないようであります。勿論地租改正給付等の事実を見られておりません。次に冨士宮市浅間神社は国より大正十二年法律第四十三号によつて該土地を無償で借受けた事実はないのであります。又単独で使用していた事実もないのでございます。こういういずれの点より考察するも、法律の規定せる払下条件は具備されていないのであつて、冨士宮市浅間神社に対する払下は違法であるという見解が述べられております。特に管財局長にも申したのでございますが、この浅間神社、特に富士宮市から払下を申出でたる浅間神社境内国有地の問題でございますが、これと併行してこのそばにありまする静岡県駿東那須走村、これなども払下に対する内容について少しの違いはありますが、これも払下を要請してあるのでございます。特に富士宮市の払下の地域に対しましては、須走村と関係のある地域が相当あるのでございます。こういう点について須走村の同意を得ていない事実も、すでに富士山頂払下異議に関する静岡県駿東郡須走村からの上申書によつて当局はわかつておると思います。こういうように幾多の疑義を生んでおります。  第二の点は、大臣承知のごとく富士山が若し仮に私有地としてだんだんと払下になるなら、先には六万坪、今日は百何十万坪の払下を審査会がよいという返事をしたらしいのでございますが、かようなことになつて行きますならば、だんだんと八合目を食い、九合目を食い、七合目を食い、六合目を食い、だんだん食下つて来て、しまいには麓まで食つてしまつて、冨士の裾野も昔の源頼朝の巻狩のようになつてしまう、こうなつたのでは折角の日本的象徴といいましようか、世界的にも日本という国は忘れても富士山というものは忘れんという人もあるくらいですから、とにかくそれほど世界的に有名な日本国を象徴すべきこの地域を、将来私は単なる観光地とか、単なる国立公園の地域とかいうだけでなく、大臣日本の財政の逼迫から見ても、あらゆる点から考察いたしましても、日本は今後貿易の伸張と観光によつて日本収入を得る以外にないと言われたが、ドル稼ぎをするにはこの二つだと思います。積極的には貿易政策、消極的であるかも知れんけれども、私はこの観光によるドル稼ぎということを考えなきやならんと思います。そのときに、日本に多くの国立公園もありますが、世界に向つて説明をしなくても富士山を中心にする国立公園といえば、ああ、あれかということで私は観光客というものは富士国立公園目がけて殺到すると思います。それに対して単なる今の国立公園の状態では駄目だと思います。私はできるならば国家が計画性を持つた観光計画、世界的に名だたるところの富士を中心とする国立公園をモデルケースとして、これを仕上げる、この方面からも日本の財政を補つて行くというようなことに対して、私は重大なる問題だと考えておるのでございます。大臣の先ほどの御答弁によりますと、誠に大事な所であるから、慎重を期して行くということは、今日まで絶えず言われて来たのでございますが、その慎重は、如何なる方向に慎重ですか、もつと具体的に言いますならば、これらのことは深刻に考えて、将来、国として世界に恥かしくないような結論を出すように考えておるというふうに、私はとつていますが、それは主観的でございますから、大臣のもつと広汎なる、もつ高邁なる御所見を一つお伺いいたしまして、私はそれを聞けばもうこの質疑はこれで打切りたいと思います。
  54. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 富士山の重要性は、私も存じておりますし、今の御質問の中にありました御趣意はよくわかりました。慎重に考慮してきめますつもりでございます。
  55. 野溝勝

    ○野溝勝君 大臣の慎重という再答弁を聞いたのですが、それに対しては、私の質問に対し、重大なる関心を寄せておるからその趣旨に従つて慎重に善処する、こうとつて差支えありませんか。
  56. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 御趣旨はよくわかりました。その考えを以て慎重に考慮いたしたい。
  57. 野溝勝

    ○野溝勝君 どうも有難うございました。
  58. 中川以良

    委員長中川以良君) 本法律案につきまして、ほかに御質疑ございませんか。……別に御発言もないようでございまするから、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは、賛否を明らかにしてお述べを頂きます。……別に御発言もないようでございまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれこれより採決に入ります。社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  61. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致であります。(拍手)  よつて本案は原案通り可決すべきものと決定をいたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、本委員会における質疑、討論、表決の要旨を報告することとしてあらかじめ御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それから本院規則第七十二条により、委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名をお願いを申上げます。   多数意見者署名     菊川 孝夫  黒田 英雄     堀木鎌三   岡崎 真一     杉山 昌作  大矢半次郎     小林 政夫  木村禧八郎     伊藤 保平  野溝  勝     松永 義雄   —————————————
  63. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に金管理法案について質疑を続行いたします。
  64. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣にちよつと質問いたしたいと思いますが、先ほど国税庁長官に質問したのでありますが、こういう問題があるのです。二十七年度所得税確定申告に当りまして、医師及び歯科医師に対して、特別の保険所得査定標準率を適用するということをきめたわけです。その理由を伺いますと、保険医については、単価の問題ですね。一点単価がいろいろ問題になりまして、あの一点単価が非常に低い、単価が低いから、そういう保険医収入が少くて十分収支償わない、その点については、政府単価引上げに努力したけれども、依然として昭和二十六年以来問題になつていて解決がつかない、そこで昭和二十六年度においては、単価の引上げ困難のために、医師及び歯科医師に対して所得査定手心を加えたわけですね。それに対して、当時私はそれはそういう保険医の窮境を放つて置くわけに行かない、何か措置しなければならんけれども、これは単価の問題で解決すべきで、税金のとり方について、その収入査定について、一般の人と特に区別して安くこれを査定するということは、租税負担の公平の原則から言つて好ましくない、そこで飽くまでもこれは社会保険料医師に対する引上げですね、それによつて解決すべきであつて、税のほうで手加減することは一般納税上よろしくない。こういうふうに私は言つて反対したのですが、今度二十七年度確定申告においても、三〇%という、一律に低く査定するということをきめてある、この前の例もありますので、これは非常に他の人から不満があるわけです、なぜ医師だけについて特にそういうふうに所得査定に区別するか、まあ保険収入が安いからというのですけれども、よくわかるのです、わかるのですけれども、この点は租税負担の公平の原則から言つて、どうしても非常に悪いことで、他の印象もよくないから、一点単価の引上げができなかつた犠牲を税の徴収のほうのあれでこれを調整しておるということなんです。二十七年度単価が上らなければどうしてもしようがないかも知れませんが、又各医師によつて収入も違うのですし、査定率も違わなければならんわけです。歯科医もあり、眼科医もあり、内科、外科皆あるけれども、皆一律に三〇%、この点非常に不合理でありますので、この租税負担原則上こういうことはすべきでない、単価の引上げによつてこれは解決しなければならん。これは大きな政治問題であります。この点について、大蔵大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  65. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) お話は至極御尤もでございまして、三十八年度は税の手加減ということはやめる考えでおります。
  66. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  67. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういたしますと、そういう手加減をしないことになりますと、どうしても一点単価の引上げの問題が大きな問題になつて来る。そういう方向において努力される、こういうことでございますか。
  69. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) ほかの方法で以て今までの手加減のやり方を変えて行くことを今検討中でございます。
  70. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後に伺いたいのですが、二十七年度についてはどういうふうにされるか、それは原則としてやはりそれは大蔵大臣がよろしくないとお考えかどうか。
  71. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 三十七年度は今の手加減で行つておるのでございます。
  72. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その確定申告、十六日でそれが締切りになつております。
  73. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) そうなつております。この方法は余り賛成いたさないのであります。これからは、二十八年度に対してはこれはよしたい、ほかの方法でこれをやつて行きたいと思います。
  74. 中川以良

    委員長中川以良君) 金管理法案について御質疑をお願いいたします。大蔵大臣に対する御質疑だけお願いいたします。
  75. 松永義雄

    松永義雄君 詳しいことは先ほど理財局長に御質問をいたしまして、御答弁になりましたから、一、二点要点を二つに分けてお聞きしたいと思います。私の質問したい趣旨は、一九五一年の下半期に世界で産金額が四億二千四百万ドルつたにもかかわらず、そのうち金準備に繰入れられたものが僅かに二千万ドル、九割四分というものが工芸用その他非貨幣用途に消えてしまつておるのであります。なお世界の貿易量は戦前の二倍になつておるにもかかわらず、金貨幣金の産出量は最近四割五分に過ぎない。そのように金に対する需要が非常に大きい日本としては、貿易決済としてはドルで行うのがまあ最適だと考えられるのですが、その又先の最終決済方法は金であるということはこれは間違いないのであります。そこで今度それにつきまして御承知通り、国際通貨基金の一オンス三十五ドルに対して、英連邦並びに英連邦内の産金国がアメリカへ非常な抗議を申込んで、三十五ドルをもう少し上げてくれというような要求があつてアメリカがこれを聞かない。国際通貨基金を支齢しておるので、国際通貨基金としてはどうもアメリカの御機嫌を伺わなければ、一オンスの値段の変更ができないのだというのでそのまま据え置いているということで、逆に国際的金のやみ取引が熾烈に行われている。非常に猛烈に行われている。その数字は先ほど申上げたようなわけであります。従つて、この金に対する国際決済方法としてその要望が非常に強いのでありまして、先ほど一体日本ドルを尊重すべきか、それとも金を尊重すべきかということをお尋ねしたわけでありますが、ここに提出されております法案は、最近金が増産されたから工芸用に廻したいと、こういつた趣旨の法案が出ておるわけです。金は、日本は今の程度では極めて少量であつて、これはどうしても増産して行かなければならない。で、その方法についてお考えがあればお聞きしたい、こういうわけであります。
  76. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 御説の通り金は大事なものでございますが、政府として金を十分に保有するということも大事でしようけれども、同時に工芸用に使うことも必要なので、それで只今のように、これは厳重な理窟から出たものではないのでございますが、三分の一を政府が買つて、あとは最近の御審議を願つている法律では、工芸その他医療、いろいろの方面に使つてよろしいということにいたしたいと思います。
  77. 松永義雄

    松永義雄君 私の質問に対する答弁から少し横に行つているのですが、金の必要を説いて、金を増産しなければならないが、将来金の増産について大蔵省として何か考えがないかということを聞いておるのです。
  78. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 増産と言いますが、これは増産は無論いいのでございますが、大蔵省が補助をするとかいうふうな意味で増産を助けて行きたいということは只今考えておりません。
  79. 松永義雄

    松永義雄君 それでは私のほうから逆にお答えしたいと思うのですが、今度自由取引が金に向つて行われることになるのです。そうして金の国内的な価格、国際的な、やみ価格ではなくて、恐らく国際的なやみ価格に相応するような高い値段が出て来るかと思うのです。その際金の退蔵が起りはしないか。工芸用に政府がこれを払下げられるでしようが、それから先はどういうふうに流れて行くかわからないことになる。そうした金の横流れ、退蔵というものが行われはしないか。世界的なこの傾向に従つて、世界中が今金の退蔵をやつておる。それと同じようなことが日本でも行われはしないか。先ほども申上げましたが、フランス人はフランの切下げを恐れて二十五億ドルから二十億ドルの金の退蔵をしておる。世界的に金の退蔵をしている。そうした例もあるのでありまして、詳しいことは余り長くなりますから、一口に言えば、国内において金の退蔵が行われはしないかということを聞いておるのです。
  80. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 退蔵が行われるという御心配は、或る点までは御尤もでございます。ただ金が非常な勢いで上つて行くということの見通しも今ついていない、世界的についていないと私は思つております。それから日本の金の出方、どのくらいの数量が出ているということも大体わかりますことで、大蔵省はこの金の退蔵のないように措置をしたいと思つておりますが、同時にいろいろの事情から金を自由に売らせるということについても、或いは将来これをやめなければならない事情が起るかも知れない。それと相待つて退蔵というふうなことの起る傾向がある、こういうときには一つ適当な手段をとりたい、こう考えております。
  81. 松永義雄

    松永義雄君 先行き金の値上りは恐らくないだろう、こういうお話でありましたが、御承知通り金一オンス三十五ドルの公定価格が、朝鮮の戦乱によつて五十ドル乃至五十五ドルまで暴騰いたしたのであります。で、今日の情勢の見通しでありますが、そのことをまあ水掛論してもしようがありませんが、そうした前例を見ましても、上る傾向のある場合もあるということは考えられるのであつて、結論としまして、金の退蔵をしたいといつた要求は非常に強く、世界的に、且つ日本においても働いておるのではないか。そこでやめるかも知れないといつたようなお話がありましたが、どういうわけで自由取引をやめるということなのかよくわかりませんが、退蔵が行われたらやめると、こういうような話ですか。
  82. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 私が申しましたのは、国際的にやはり日本が金を自由に売つている分量が多い。即ちアメリカの三十五ドルにきめているのが無視されているというふうな点で、或る場合にこれについての国際通貨基金を扱つておるところからの行き方というようなものもないとは限らない。その点を私は考えたわけでございます。今の金の分量が、日本で出る金の分量がわかつております以上は、退蔵の傾向についてはじきに私はわかると存じております。その点について始終気を付けておれば、えらい勢いで退蔵されて行くというようなことは防ぎ得る、そういう意見でございます。
  83. 松永義雄

    松永義雄君 まあ揚げ足をとつてもどうかと思うのですが、通貨基金が問題にしているのは国際取引であつて、国内の自由取引は大して問題にしておらないのだと思います。それから退蔵はそれほどないという話ですが、こう熾烈な要望があるときに行われる危険があると思うのですが、その退蔵に対して厳罰に処する意思があるかどうか。
  84. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 只今厳罰に処するというふうなことは考えておりません。
  85. 松永義雄

    松永義雄君 御承知通り、あなたに対していや味を言うわけではないのですが、これは金でありませんが、御承知通り犬養内閣に変つたときですが、ドル買が非常に猛烈に行われて、そうして我々はドル買絶対反対の運動を起して、我々の同志数十人が堀留警察に検束された事実がある。ただ単にそうした警察に引張られるとかどうとかということでなくして、日本の財界のやり方というものがこうした不謹慎な、日本の国を思わないよりな利己的な個人的な取引をしたということが原因の一部となつて日本を今日このみじめな状態に導いたと私は断言し得るのであります。この経済の要望というものは、国の利害とか、法律を無視してまでも行う人がおるのでありまして、現在この金というものが如何に大切であるかということは先ほど申上げたところなんでありまして、この法案自体は素直に規定してあつて、退蔵をしろといつたような教唆的な規定は一つもありません。ありませんが、併し法はどこまでも空気のように万遍なく抑えて行くという規定はできないのであります。従つて一つのこうした規定をするときに、その結果として弊害が起きて来るということを考えなければならん。想像しておかなければならん。従つてそれを抑えるためにもとを切るわけには行かないから、そうした退蔵するような場合には、うしろのほうから厳罰に処するといつた規定を以てこれを消極的に防いで行かなければいけない。然るに退蔵に対して厳罰を以て処する、現在のこの情勢に対してその認識がないということも遺憾であると同時に、そういう規定のないということが、如何に大蔵省が現在の国際情勢に対する認識が薄いかということが断言されるのでありますが、一体この退蔵ということに対しては、どういうふうに大蔵省は臨んで行かれるか、改めて一つ聞いておきたいと思うのであります。
  86. 石田正

    政府委員石田正君) これは現在の実情とも関連すると思うのでございますが、現在いわゆる産業用に廻しまするところの金というものはすでにあるわけであります。最近におきましては大体三分の二というものを産業用として配給をいたすということで大蔵省は臨んでおるわけであります。これは主務官庁において配給をやつておるわけであります。それから取得価格というものを今すでに五百十五円で抑えているわけであります。ところがこの五百十五円というのが世界的に一番高いのです。どこの国に比べましてもこういう高い価格ではないのです。それでもやつて行けないというのが日本の金鉱業の悲しいかな実態なのでございます。そういう状況でございまして、これは国際的なお話もございましたが、国際的な意味から申しまして、退蔵用の金を買うということになりますと、これは自由にいたしました場合に一五百十五円より安くなるということは我我考えないのでありまして、或る程度、野放図に高くなるとは思いませんけれども、或る程度高くなるのではないかと思つておるのでありまして、そういう点から申しまして、この日本の金というものが、国際的な意味におきましても非常に割高でありまするので、非常に退蔵のために国際的なものが動くというようなことは先ず考えられない。国内におきましてこれは退蔵というのがどういう程度を以て退蔵とするのかということは、なかなかその判定はむずかしい問題であろうかと思うのであります。当面におきまして金鉱業というものが、若しこのままの状態で以て行きまして潰れてしまうというならば、もう如何に大切なものでありましても、金というものは日本では取れないということに相成つてしまいまして、やはりそこらを彼此勘案いたしまして、今度の提案をいたしましたわけでございます。我々は退蔵が行われることを欲するという意思もございませんし、又同時に退蔵がこれによつて大量に行われるということもないと、かように考えておる次第であります。
  87. 松永義雄

    松永義雄君 どうも理財局長答弁はおかしいと思います。世界価格が高いならそういう高い値段で買うものはない、若し外国のものが安いものであれば内地のものを買う必要はないだろうということになれば、先ず第一に、小さい金時計なんかが密輸入で行われておることは御承知通り、なお札の値打はどんなに高くても金の値打の価値からいつて、先ほど申出げましたように、三十五ドルが五十ドルになるのですから、そういうふうに暴騰して行くんですから、少々札は余計出しても金を買おうというものが情勢の如何によつては出て来るわけです。余り長くなつてもいけませんが、結論は、要するに工芸用に廻すような金はできるだけ少くする、政府の買上げを多くして、そうして自由取引の価格を上げて、そうして産金を奨励しなければならん、そう言われて、先ほど大蔵大臣も補助金は出せない、こう言われるから、それでは自由取引は幾らか値は大きくしても政府の買上げは余計して頂かたければならんのではないか。こういうふうに措置して行くと同時に、退蔵というものに対しては厳罰を以て臨む。退蔵に対して厳罰を以て臨んだからといつて産金には別に影響はない。政府はこれでは高くて、これ以上買う人がないくらい高い値段でお売りになるというなら、それだけで以て産金の役に立つので、やみ価格というか、そこまで引上げて、そうして産金を奨励しなければならんということはないはずなんであります。だから退蔵に対して厳罰に処しても決して悪いことではないということになるのであります。防ぎようがないから、止むを得ずそこまで追込まれて退蔵に対して厳罰に処するということを私は言つておるのであります。先ほどあなたがドルで買つたのはあれは金じやない、こう言われましたが、ドルであろうがポンドであろうが、買つたらいいからといつて、そういつた気持があつたということが重大であります。而もそういう気持が世界的に今横行しておる。日本だけが聖人ばかりでやらないということであるならば、それは問題はないのでありますが、一応立法の対策としては世界的情勢、人間の本性というものを対象として規定して行かなければならんのであるから、だから退蔵に対してはどういう考えを持つておるかということを聞いておるのでありまして、暫しここで金の退蔵が行われたといつたようなデマが飛ぶようなことがあつたら、我々はもうすでに信用しなくなつてしまいます。法律を作つて産金業者に対して産金の奨励をして金が必要だ、こう言つてこの法案を通しても、それがやみに流れて、そうして一部の利己的な退蔵に向つてつたら、我々は何のために一体政治をやつて行くかということになる。而も今世界情勢は非常に険悪なんであります。常識として険悪であります。何年平和が続いて行くか。何も戦争を求めるわけではありませんけれども、朝鮮戦乱だけでも三十五ドルが五十ドル乃至五十五ドルまで上つておる。フランが切下げになるからといつて金の退蔵が行われておる。こうした世界情勢の下において日本だけが退蔵を許して、そうして曾つてドル買を再現するようなことがあつたら、我々は一体何のために政治をやつておるかということになる。自分が警察官にならなければならないのかというところまで落ちて行かなければならん。だから退蔵それ自体は、或いは見ようによつては、大きな予算から見れば小さいことかも知れませんが、そうした気持が大切だ、心がまえが大切であると、前から大蔵大臣はうかうかしておられんということを言つておられる。この前もこの席で言つておられる。ところがそれに反するような政治を、裏面においてこうした法案において穴が出ておるといつたことを、それを防ぐことを考えられないということは、やはり大蔵大臣はうかうかしておられるのではないかということを私は言いたい。
  88. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣も時間もないようですから要点についてお伺いいたします。  只今松永委員からの御指摘は、ドル買というと奇異に感じますが、私は非常に御尤もなことがあると思うのです。大蔵大臣にお伺いしたいことは、この法律は成るほど産金を奨励するという意味ですけれども、実質は為替管理の緩和ということに私はなると思うのです。対外支払手段の金にしても、ドルにしても、外貨にしても、これを政府一つに統制しておつたわけです。その範囲を今度は緩和するということになるのですね。私はこういう法案が出て来た裏は、今度の日米通商条約が一つあるわけです。そこにおいてやはり為替管理の緩和というものが一つ問題になつていると思うのです。今度通商条約を結ばれますと、外国人は日本に来て営業の自由、居住の自由、いろいろ自由が得られます。そういう場合にドル買と言いますと、曾つて日本人がやつたが、外国人がこれを又買占めるという危険もないことはないのです。要するに為替管理の緩和になると思う。他面から見ると対外支払手段の統制の緩和です。それによつて起るところの日本の円価の維持、或いは対外支払手段の確保、こういう観点から大蔵大臣はどうこれをお考えになるか。その半面の対策を用意されておるか。これが一つ。  それからもう一つは、産金価格を引上げる意味で自由取引にするというのですけれども、これは要するに一ドル三百六十円、こういうところに日本のあれが結付いておる。それで金が商品であり又貨幣であるというところから二重価格を作らなければならんという矛盾がありますので、大体私は今の円価三百六十円というものが、実勢に副わない。購買市価が五百円とか言われておりますが、はつきり私は知りませんが、ともかく実勢にそぐわないのです。国内物価が高過ぎるのですね。にもかかわらず国内物価は実際は三百六十円じやないですね。金を買うときには三百六十円で買いますから、そこに商品としての金と、貨幣用としての金の価格の間に矛盾ができておる。私はどうしても日本の為替というものは、国際通貨基金に入つたのですけれども、実勢にそぐわない、こういう三百六十円では。そう思うがこの三点についてお伺いいたしたい。
  89. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 金の輸出入となりますと、今おつしやるように外国人が自由に持つて出ることはできないのです。あなたのおつしやるのは、日本で買つてつているということですか。
  90. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そればかりじやなくて、実際には密輸出というような……。
  91. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 密輸出はまあ取締らなければならんのですが、便宜上逆に御返事いたしますが、三百六十円は円が高過ぎるという御意見、それは物によつては或いは円が安いほうがいろいろの点で都合いいのでしようけれども、これは木村さんの御承知通り、三百六十円を崩したらどうなるかわからないくらいに私は心配しております。どうしてもこれは三百六十円というものは堅持して行くべきものだ、こう考えております。それで金の値段は、三百六十円と、それからアメリカの三十五ドルと両方で縛られておるわけです。それで世界中で、アメリカは別でしようが、金が高くなればいいという願望を持つてそれが果せない。日本も又その一員だろうというふうに考えております。それから日本政府の持つている金の分量を殖やして行くと、それが為替管理の緩和になるという意味でございますか。
  92. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今度は自由取引の分を多くしますと、それがいろいろな形で海外に出るということは、対外支払手段が、為替管理の網を逃げて行く機会を多く提供するという意味で為替管理の緩和となる、こういう意味です。
  93. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) それは今申しましたように、密輸入とか、或いは日本に来た人が買つて帰る。手荷物にして持つて行くという場合が想像されますが、そういう意味においては為替管理の緩和というほどに、日本で今出ます六トンの金の三分の二が自由に取引されるとしても、大きく響くものではないと考えております。
  94. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 要するに、私は貨幣用としての金の価格が縛られていて、商品としての金の価格が非常に高いので、そうして買うときには全部貨幣用として買つてしまうので、商品としての金の価格がコストより安く買われているのですね。そこで産金に支障を来たすという矛盾ですね、矛盾があるのです。その調整の問題なんですよ。ですから私は日本の為替が一般物価に対して割高になつて来る。ですから為替を私は切下げよ、そういう意味じやないです。飛躍しているのじやないです。そんなら国内物価をむしろ副うように下げるべきですよ。これは大蔵大臣考えていると思う。併し自由取引にしてはその精神にそぐはないですよ。そう思いますよ。その点少し矛盾があるのではないかと思います。
  95. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 矛盾がありますのは私も自覚しております。併しどうもやはり貨幣としては、外国のやつております三十五ドルというものを見て行かなくちやいけませんし、日本の産金を奨励するために自由価格を認めて金が出せるようにして行かなければならん。そういうふうに両方に縛られているので、これは事情止むを得ないものではないかと存じます。
  96. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は希望を申述べておきますが、実は日本の三百六十円をきめるとき、これは相当検討されたと思うのですけれども、これはいろいろ問題があつたわけです。併し通貨基金に入つたからといつて日本の為替についてすぐ変えたら日本で以て弊害があるということは、慎重に考えなければならん要素の一つですけれども、いやしくも国際通貨基金に入つたら、日本はあとそれに縛られて何とも言えないというのではいけないのじやないかと思う。これは大蔵大臣に申上げるまでもないと思いますけれども、やはり通貨基金の日本の為替のきめ方、それから又最近における金問題というものも非常に複雑なんでございますから、それからアメリカにおける金価格の問題もあるのです。そういうことについては、日本も国際的にやはり堂々と、日本が金の問題についても、為替の問題についても、十分私は政府が研究されて意見を述べ、そうして日本実情に合うような政治を行うところの心がまえを持つて行かなければならないのです。通貨基金に入つたから、三百六十円にしたからどうにもならん、こういう行き方ではいけないと思うのですが、その点余計なことのようですけれども、一言私の意見を申述べておきます。
  97. 向井忠晴

    ○国務大臣(向井忠晴君) 只今のお説は御尤もでございまして、これはやはり一つの経済外交の一端でもございます。いつも国際的にこういう問題を研究して必要な場合には発言するように心がけております。
  98. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに大蔵大臣に御質問ございませんか。大蔵大臣に御退席願いましてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは大蔵大臣外の質問を一つ御継続願います。
  100. 松永義雄

    松永義雄君 資料を一つ要求したいのです。産金一トンの生産費どれくらいかかるか、できるだけ細かく調べて頂くと。それから政府の買上げは幾らかということ、それから払下げ値段は幾らかということをお願いいたします。
  101. 石田正

    政府委員石田正君) これは私専門家でございませんけれども「通産省のほうに資料がございまして、これは各山元によつてそれぞれ違いますが、それはできるだけ整理いたしたものを通産省のほうから本委員会に御提出して頂きますように取計らいたいと思います。
  102. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  103. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。それから先般お諮りをしておきました明日の参考人は東京証券業協会の会長の遠山元一君、東京証券取引所理事長小林光次君、同理事田口真二君の五名に決定いたしましたので御報告申上げます。それでは二時まで休憩をいたします。    午後一時四分休憩    —————・—————    午後二時三十五分開会
  104. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは休憩前に引続き委員会を再開いたします。  先ず日本専売公社法の一部を改正する法律案について内容の説明を聴取いたします。
  105. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 今回の改正では、先般政務次官から改正の要綱について申上げました通り、専売公社の企業活動に弾力性を与えまして、その合理的な円滑な運営をなすことを目的としている次第でございます。  その具体的な内容は、第一点としまして、公社は予算の定めるところによりまして「大蔵大臣の認可を受けて、その業務に直接関連し、且つ、業務の運営に必要な事業に投資することができる。」という新らしい条項を加えたこと。第三点といたしましては、事業を企業的に経営することができるように、予測できない事態に順応いたしまして、予算に弾力性を与える、これが第二点でございます。それから第三点といたしましては、予算の流用、繰越の制度を改正いたしまして、公社の事業の円滑な遂行ができるようにした。第四点といたしましては、専売納付金の計算方法を改めまして、棚卸資産の増加額を控除しないことに改めた点でございます。第五点といたしましては、公社の業務にかかわる現金の取扱に関して若干の改正を加えた点。第六といたしましては、能率の向上による収入の増加又は経費の節減によつて生じました金額の一部を予算の定めるところによりまして、大蔵大臣の承認を受けて、特別の給与として公社の職員に支給することができるようにしたこと。  最後に、その他公社の予算の形式、内容、手続等につきまして若干の改正を加えた、これが改正の主立つた要点でございまするが、なお若干詳細各条に亘りまして逐条御説明申上げたいと考える次第であります。  先ず最初に、公社が新らしく、業務内容といたしまして、公社の業務に直接関連し、且つ、業務の運営に必要な事業に投資することができるという新らしい条項を加えた点でございまするが、この点は、二十八年度の予算といたしましては、これに必要な経費、目的、限度というものは予算には載せてございません。従つてこういつた投資は二十八年度においては現在予定はしておりませんので、三十九年度以降においてこういう事態が起きました際は、考慮せられる、こういうことに相成ろうかと考えております。どういつた点考えておりますかと申しますと、今小名浜でやつております加圧式製塩方法という塩の製造方法でございまして、海水から直接塩を取るという工場を公社直営で試験的に小名浜に作つておるわけでございますが、こういつたものが全般に普及して参るというような際に、そういつた工場の設備を民営に移す際に払下げるとか、或いはそれに必要な特許関係を払下げるとか、こういう問題が起きて来るんじやないか。それからもう一つ、合成塩のこれも公社の中央試験場で中間工業試験を今年から始めようということで入つております。こういつた問題も公社直接でやつたほうが適当であるか、或いはこれを民営に移したほうが適当であるかという問題等もまだ検討中でございまするが、将来これを民営に移すといつたような場合は、そういつた特許権なり、或いは工場の一部を現物出資するというようなことで投資の必要も起きて来るのではなかろうか、まあ考えられる点としては、現存そういう点を考えている次第でございます。  それから予算の弾力性を与えた点でございますが、現在現行法によりましても、予備費の条項の中に、この「予備費を使用して、なお事業のため直接必要とする歳出予算に不足を生じたときは、予算の定めるところに従い、専売品の売上量の増加により収入の見積をこえる収入相当する金額の一部を事業のため直接必要とする経費に使用することができる。」という条項がございまして、予備費を使つたあとでなお不足する場合は、そういつた収入の増をこういつた支出に充てることができる規定はございまするが、これはやはり予備費を使つてしまわないと、そういつた弾力条項が発動しないという現行の仕組になつております。これでは予備費にも限度がございますし、予備費を使つてしまわないとそういつた支出ができないということは非常に不便でございまして、仮に予備費を使つてしまつて、あとで災害その他の予備費本来の必要性が起きた場合には、すでに予備費がなくなつてしまう、こういう不都合な事態も生じまするので、今回はそういつた予備費は予備費として留保しておいても、事業の増加とか、経済事情の変動その他予測することができないような事態が起きた場合は、公社の予算は、収入の増加の一部分をこれに充てることができるということを予算総則で謳つております。従つてこの改正によりますると、予備費はそのままにして、専売収入その他があがつた場合は、必要な経費にこれを充てることができるという大幅の弾力性を与えることになつたわけでございます。  それから予算の内容、形式の問題でございまするが、これは現在は政令その他で規定しておるわけでございまするが、今回はこういつた予算の形式、内容は、予算の基本的な問題であるという観点から新らしくこれを立法事項といたしまして規定を設けたのが、三十四条の三、三十四条の四等でございます。それから三十四条の四の第六号という中に、先ほど投資の点について申上げましたが、ただ投資を無条件に一任するのではなくて、ここの第六号に「公社の投資の目的及び金額」ということを予算総則で謳つて、どういつた目的に投資するか、或いはどの程度の金額のものを投資するかということをやはり法律内容とした次第でございます。それから現存公社の予算の建て方は、国の予算と同じような、やはり歳入、歳出という文字を使つておりまするが、こういつた文字はやはり企業会計の収入、支出というふうに書いたほうがいいんじやないかということで、その使い方も収入、支出というふうに改めまして、なお現在款と項との款項に分けてあるわけでございまするが、この歳入予算についてみますると、款というのは二款になつております。専売事業の収入というのと、雑収入ということになつておりますし、歳出のほうは一款、一項でございまして、事業費と専売公社事業費ということになつておりまして、その歳入のほうも雑収入というのはほんの僅かな金額でございますし、歳出予算のほうは一款、一項になつている現況からいつても、款ということの多く必要がなかろうということで、款ということはなくしまして、項一本にしたわけでございます。  それから先ほどもちよつと申上げましたが、予備費の点につきましては、従来は予備費につきましても若干きつい制限を受けるやに見られるような文句で書いておつたわけでございます。即ち「専売品の売上量の増加その他予見し難い事由」というようなことで書いてありましたのを、今回は「災害の復旧その他予見することができない事由」というふうに多少ゆるやかな規定で、この予備費の支出ができるということに改めたわけでございます。  それから先ほどちよつと申上げましたが、この一般の弾力条項との関係において非常に今までは縛つてつたのを、予備費を使い切らなくても弾力条項を今度拡めまして、必要な経費は出し得ることにしたわけでございます。  それから追加予算とか暫定予算、こういつたことについては、少し字句その他は修正いたしましたが、余り内容的に重大な修正はございません。  次に予算の流用の問題でございまするが、現行法では大蔵大臣が指定する一定の経費以外は流用することができないという建前になつておるのを、今回はその建前を改めまして、原則として流用できる。流用できない費目は、大蔵大臣の承認を受けなければならんということで、従来の縛り方を主客転倒させまして、原則的に流用ができる。項の間の流用ができるという原則に改めたわけでございます。流用できない費目といたしましては、予算総則の五条に謳つてありまするところの役職員の給与、補助金及び交付金、更に交際費、これだけは大蔵大臣の承認を受けなければ流用ができないということに留保した次第でございまするが、それ以外の費目については、原則として項の間の流用はできるということで、公社の経理の弾力性を与えるというようにしたわけでございます。  それから予算の繰越でございまするが、現在は繰越明許費という費目がございまして、繰越のできるのは特定の費目だけに限つて繰越が認められておつたわけでございまするが、今回はもう一般的に繰越はできるという原則に改めまして、若干現在はまだ予定はいたしておりませんが、特に大蔵大臣の承認を受けなくちやならんということで、予算総則等でこれを留保するもの以外は、原則としてもう繰越使用ができるという建前をとつたわけでございます。但書で「予算で指定する経費の金額については、あらかじめ大蔵大臣の承認を受けなければならない。」という規定は必要ございまするが、現在の予算総則では、それではその費目はどれかということは何らまだ規定してございません。従つて現在はこういう規定がございませんから、規定がといいますか、そういつた費目を予算総則で挙げておりませんから、どの費用原則として、これはもう繰越ができるということになるわけでございます。  それから利益金の納付の条項でございまするが、現在は利益金の算定をする際に、棚卸資産の資産額というものは利益金から控除する建前になつております。例えば葉煙草のストックといつたようなものは、棚卸資産の増加額、例えば煙草、葉煙草等が原料費として相当増加したという場合も、これは控除して専売益金の算定の基礎にしないことになつておりまするが、今回はこの棚卸資産の増加額は控除しない建前に改めまして、それも益金の算定の基礎にするということにしたわけでございます。こういつた棚卸資産がストツクになつて、その年はストツクになるわけでございまするが、翌年は当然これはもう収入として入つて来るわけでございまするので、一般の企業会計の建前に従いまして、こういつたふうに改めた次第でございます。  それから次に現金の取扱でございまするが、現在現金の取扱につきましては「日本銀行の支店又は代理店その他大蔵大臣の指定するところの金融機関」というふうな規定はございまするが、ただ日本銀行及びその代理店以外に預け入れする場合の制限といたしまして、現金を安全に取扱うためとか或いは日本銀行の支店又は代理店を簡便に利用できないときとか、こういつた制限規定においたわけでございまするが、今回はそういつた一応の制限規定はとりまして、「業務上必要があるときは、政令の定めるところにより、郵便局又は銀行その他大蔵大臣が指定する金融機関に預け入れることができる。」というふうに若干条件そのものを緩和するように改めた次第でございます。  それから特別給与の問題でございまするが、能率の向上により、収入が予定より増加し、又は経費を予定より節減した場合においては、その収入の増加額又は経費の節減額の一部を、大蔵大臣の承認を受けて特別の給与として支給できるという項目を加えましたことは、これは先般、昨年の暮に仲裁裁定が下りまして、公社には賞与制度が今確立されていない。その賞与制度に代る制度として、こういつた益金の増といつたものがあつた場合については、やはり職員の努力に報いるために、その一部を業績賞与として職員に支給するのが適当であるという勧告がございましたので、それを政府といたしましては尊重いたしまして、こういつた制度を設けて将来公社職員がその企業努力によつて収入を増加した場合、そういつた収入の一部をいわば業績賞与として支給することができるという特別手当の制度を新たに設けた次第でございます。  あと若干字句その他の修正等はございまするが、大きな点としては、今申上げた次第でございまして、なお御説明で足りない部分は、御質問によつて答弁申上げたいと考えております。
  106. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今の法律案に対する質疑は一応あと廻しにいたしまして、午前中に引続きまして金管理法案につきましての質疑を続行いたします。
  107. 小林政夫

    ○小林政夫君 こういうふうに改正をして第三条の政府の買上げ、これを確実に三分の一は買上げ得るという確信が政府にあるかどうか、それを確かめる意味においても、一体今金鉱物の精煉又は採取をやつておる該当業者がどのくらいになつてつて、大体遺漏なく政府の所期する量が買上げられるか。
  108. 石田正

    政府委員石田正君) 第三条に該当いたしますところの会社は、要するに金山を経営いたしておる方々でございます。勿論その中には個人経営の小さなものもございまするが、殆んどその大部分を出しますところのものは、有名な鉱山会社が経営しておるというような関係でございまして、その信用程度等から申しまして、そういう確実に納付しないで、他に持つて行くという心配は先ずないのではないかというふうに思つております。併しながらそう思つただけで放置しておくという、何人も手をつけないことも如何かと考えておりますので、その点につきましては、第五条におきまして検査のために参ることもできる、それに先立ちまして報告もとることができる、こういうふうに思つております。それからなお、ここでは御承知のごとく、通産省のほうにおきましては、いろいろ鉱山局のほうにおきまして大体生産の量というものは漸次押えておりますので、そのほうからみましても御指摘のような心配は先ずないと考えてよろしいのではないか、かように考えておる次第でございます。
  109. 小林政夫

    ○小林政夫君 まあ心配がなければいいのですが、れつきとした金鉱山を持つて精煉等をやつておるところは問題ないのですが、相当中小企業者に類するものもあると思います。その金鉱物の精煉又は採取をやつておる業態について一応簡単にでもいいから説明してもらいたい。
  110. 石田正

    政府委員石田正君) 業態と申しますと、いわゆる経理内容とか何とか、そういうような意味でございましようか。
  111. 小林政夫

    ○小林政夫君 いや、そういう意味じやありません。
  112. 石田正

    政府委員石田正君) 先ほどの御質問とも関連するかと実は思うのでございますが、現在この金を採掘いたしておりますところのものは、これは数としては非常に多いのでございます。大体百二十八くらいと思つております。併しながら二十六年度中の実績をみましても、百キロ以上取つておりますところのものになりますと十一社くらいになつてしまうのでございまして、そういう点から申しまして、大部分のものは大きな業者が取つておる。個人経営で小さいものもございますが、これは数は多いけれども、大した量ではないというのが実態でございます。
  113. 小林政夫

    ○小林政夫君 そうすると、先ほどの二十八年度産金予定九トンということは、その三分の一のミトンを政府は買上げるのだという単純に算術計算をしていいわけですか。
  114. 石田正

    政府委員石田正君) これはやり方といたしましてはいろいろあろうと思います。要するに一つのプール計算をいたしまして、各社の出したものを取りまとめましてそうしてその三分の一だけ納付させる、こういう方法もあろうかと思います。併しながらこれは先ほど申しましたような工合に、大きいのも小さいのもございまするので、むしろ各業者ごとに三分の一ということでやつたほうがいいのではないだろうか、かように考えて、大体方向といたしましては、そういうことで実施いたしたい、かように考えております。これはキロ数等におきましては、小さな業者といたしましては僅かな量になるかと思いますけれども、併し金目のものでもございまするので、特に量が少いから三分の一が出て来ないとかいうような問題はないのではないかと、かように考えております。
  115. 小林政夫

    ○小林政夫君 大体二十八年度においては、三トン政府は買上げれば、第一条の目的の対外決済の準備に充てるためというふうなことで、必要にして十分であるということになるわけですか、
  116. 石田正

    政府委員石田正君) この点は先ほど来も松永先生その他からいろいろお話がございましたが、日本の産金量というのは九トンと申しましても、これをドルに換算いたしますと、一トンが百万ドルちよつとでございまして、全体の量から申しますれば、金額的に申しますると、日本の例えば輸出額或いは貿易外の収入額というものから比べますれば、ほんの微々たる数量にしかならないというのが実際でございます。従いましてその点から申しますれば、一面から申しますれば、全部買上げなければならんではないか、こういうふうなことも言えるかと思います。他面から申しますると、全部これは買えなくても、極端なことを言えば、とかくそれだけだと、どうこうということは差向きあるというわけでもない。そういう実態でございまするので、いわゆる対外決済のために準備をして行くほうがよろしいということは言えますけれども、じや、さて三分の二を放したらそれは非常に困るのだということもございませんし、同時に三分の一で十分かというと、三分の一どころじやなくて、全部買取りましても十分ということは言えない、そういう実態でございまするので、まあ金山の経営を維持しておつて、そうしてやはりその生産総量が殖えるという方向において考えるほうが、むしろ三分の一とかという比率の問題についてやかましく言うよりも、大局的においてはいいのではないか、そういう考え方の下にあるわけでございます。
  117. 小林政夫

    ○小林政夫君 次に、こういつた政府買上げ以外は自由にする、そうして自由価格だということについて先般旧法の審議の際に、いわゆる二重価格を布くについても、相当国際通貨基金等との関係でなかなかあなたのほうはそう簡単にできなかつたはずなんです。それが今度は思い切つて全部外すということについては、国際通貨基金等との話は一体どういうふうになつておるのか。なかんずくアメリカのほうは余り本来は賛成しないんじやないか。こういうふうな面がどういう話合いでこれだけの措置がやれるという状態に立至つたのか、諸外国の事情を併せて説明して下さい。
  118. 石田正

    政府委員石田正君) これは今朝来いろいろと御質疑がありまして、又大蔵大臣からもお答えした点もございまするが、大体一オンス三十五ドルということは、根本的に、いわゆる生産的な意味から申しますると無理だと思います。従いましてこれは日本ばかりでもない。各国ともに、アメリカが一オンス三十五ドルということを固持しておりまするが、そのために非常に困つておるのが実情でございます。そのために各国といたしましては、一方におきまして一オンス三十五ドルを改訂して、もつと金の価格を高くすべきであるということを強く主張しておるということが二面にございます。と同時に、それが実現せられないために、いわゆる貨幣用の金と、産業用の金というものを分けまして、産業用の金については別の価格を作る、又自由にするという措置を講じておる国が多いわけでございます。その間におきまして、通貨基金といたしましては、そういういわゆる第二の問題について、物を二つに分けて煩雑にするということは好ましくないということで初めは強く反対しておりましたが、今でも気持は反対だが、表向き或る程度容認するという態度で臨んでいるのが国際通貨基金の現情でございます。そこで日本といたしまして、先般、この前の法律を出しましたときには、まだ国際通貨基金に加入という点がはつきり出しておらん、それは特に米国等の援助も或る程度必要とするような事態でございました。これはいわゆる割当量、その他の問題につきまして相当デリケートな事情にあつたわけでございます。従いましてその問題が片付かないうちに余り進むということは如何かというふうなことからいたしまして、この前出しましたような法案の形をとつたわけであります。その後幸いにして日本は国際通貨基金に入りました。入つたから勝手なことをしていいということでは勿論ございません。それから又或る意味におきましては今日木村先生からお話のあつたような点もあろうかと思います。そこらは慎重に考えなければならんと思うのでありますが、併し入り得たということ、要するにこの前の法案というものを出しまして別に反対がなかつたということは、日本といえども貨幣用の金とそれから産業用の金とを分けて処理するということは認められたものと、かように考えておるわけでございます。そこで更に価格の点でございますが、この点につきましても、大蔵省といたしましては勿論現体制のままで行きますればこれに越したことはないと思つております。併しながらそういうことではなかなか金山のほうが成立たないという事情がございますので、いわゆる価格の五百十五円というところのものはこれは自由にいたそうというのが今度の案でございます。なおこの法案につきまして国際通貨基金との関係がどうなるか、我々はそういうことのためにこの法案の書き方につきましても、相当国際通貨基金のことを配意をして文字が使つてあると思います。それから又説明の中におきましても、相当金の量が殖えたからというような点におきまして、むしろ逆のような形、今のまま放置しておけば減つてしまうという面を出さずに、だんだん殖えて来たからこうするのだというふうに、言葉づかい等につきましては、これは少し国内的にはぴんとしないのではないかというような御懸念もあると思いますが、我々のほうといたしましては、そういう点を配意をいたしましていろいろこの作文をいたした次第でございます。そういう意味において、これから行きましても国際通貨基金から何ら異議が起らないということを希望いたしておるわけでございます。
  119. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめ  て。    〔速記中止〕
  120. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始め  て。
  121. 小林政夫

    ○小林政夫君 大体今の説明で安心しましたが、先回の法案のときから、その点が窮屈だと思つていたので、よく向うとの話合いがついておれば結構ですが、一つ参考のために聞いておきますが、国際通貨基金協定に加盟しておる国の金に対する措置、それを、主要国について例示的に一体アメリカはどういうふうにやつておるか、二重価格制を布いておるのと、日本のように政府買上げ以外は全部自由と、こういうふうにしておるのと、国別に知らせてもらいたい。
  122. 石田正

    政府委員石田正君) これは国別に国際通貨基金に加入いたしておりますところの全部の国について申上げることも非常に煩瑣でございますし、私どもわからないところもありますが、本大体大局的に申しますと、国際通貨基金協定の規定通り、及びその精神に則つて、そうしてこういうふうな二つに分けることをしないでやつておるのはアメリカだけだと思います。そのほかの国は多かれ少かれいわゆる二つに分けて、そうして適当にやつておるのが実情だろうと思います。
  123. 小林政夫

    ○小林政夫君 それで国際協定通りつておるのはアメリカだけで、二重価格制をとつておるのでも、自由価格の分と、前回まで現行法で日本がやつておるように一定の(公)政府買上金以外のものについても(公)を布いて多少の差を認めているというやり方と二つある。
  124. 石田正

    政府委員石田正君) これは私の記憶しておる限りでは、日本の現行法のように産業用のものについてやかましいことを言い、而も特に価格の点につきまして公定価格をとつておるところはないと思います。要するに日本がやりましたのは、いわゆる加入前でありまするので、ほかの国より何か話がありました場合に、これは四百五円ではないけれども、五百十五円ではなく、もつと低くやる余地もあるのだという態勢を示すという形において日本だけがやりました特殊な場合でありまして、大体よその国はこの新らしい法律案のラインであると思います。
  125. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  126. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて……。それでは只今の法律案に対する質疑は暫らくあと廻しにいたしまして、先ほどの日本専売公社法の一部を改正する法律案につきまする質疑を行います。
  127. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 先ほど御説明願つた順序で伺いますが、初めに二十七条の第二項ですが、これは先ほど投資はこういうものを考えておるというお話がありましたが、あれですと、大体現に専売公社でやつておる施設を現物出資するということでありますが、これとは逆に民間でやつておる事業に資金的に投資をするというふうなこともお考えになりますか。
  128. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) この法律では別に何らそういつた点について差別を設けてはございませんので、現物出資も或いは資金の投資も法律上は許されることになつておりまするが、この問題は実は国鉄法の改正その他の公社法の改正を大体揆を一にするということで、つい最近法規がきまつて規定になつたような次第でございまして、従つて二十八年度についてはこれは具体化さない、二十九年度以降において具体化する問題でございますので、その点はまだそういつた現物投資のほかに資金投資をやつたほうがいいか悪いかという政策上の問題でございますので、今後の研究問題として十分検討した上で将来の問題をきめたいと、こう考えております。
  129. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 それからいずれの場合でも投資となれば、これは株を代りにとることになると思いますが、大体政府が今まで民間事業に投資するようなときには株については配当を或る程度免除するというのですか、遠慮するというようなことをやつておるのが多いと思います。電源開発会社にしても然り、併し専売公社は、これは政府機関とはいうものの独立採算制というようなことで損益を主にしておる企業体でありますので、そういうふうな配当を遠慮するというようなことはしないだろうと思つておりますが、その点如何にお考えになつておりますか。
  130. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 今お申出の点につきましても、まだそういつた具体的な場合を実は考えてまだ検討しておりませんので、十分御趣旨のところは今後研究問題として、そういつた免除をするとかしないとかいうような点は今後の問題として御趣旨のような点も十分お聞きしまして検討することにいたします。
  131. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 それからこの場合投資だけ書いてあるのですが、実は専売事業に直接関係しておる塩の製造人或いは煙草の耕作人というものが、塩田を作る或いは煙草の乾燥室を作るというので相当固定的な資金を要する場合が非常に多い。或いは又流動資金としても石炭を買うとか、肥料を買うとかいうので、今日は資金的に塩業者にしても煙草の耕作者にしても非常に窮屈になつておる。投資をする場合にはそういうものに対する融資、固定資産に対する長い融資と、国家としてその年の葉煙草の代金で返せる程度の短期の融資ということも考えたらもつといいのじやないかと考えますが、その点如何ですか。
  132. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 融資の問題、これは研究問題でございますが、目下のところそこまで進んで公社として考えるという域は達しておりません。
  133. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 それは一つ今後そういう面もお考え頂いたらと思つております。次は四十三条の但書の問題です。この四十三条の但書によりますと、或いは四十三条の二と併せますと、予算は款項目、先ほどは款は作らんで項目だけだということでございますが、とにかくそういうふうな項目を作つて国会の審議を経るのだが、審議が済んでしまつたら、もうとたんに大蔵大臣の承認さえ得れば款項目を全部流用勝手たるべしと、こういうふうなことに解釈していいのですか。
  134. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 実は予算のほうが早くきまりまして、公社法のほうがあとから若干きまつたという時期的な関係も多少ございまするが、今おつしやいましたような法律建前になつておりまするので、流用は特定の経費について留保される以外はできるというふうに御解釈願いたいと思います。
  135. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 特定の経費について留保されるというのは、それは大蔵大臣の承認が留保されるので、国会との関係では、国会できめた款項目にかかわらず大蔵大臣の承認さえあれば勝手にできるということになるのではありませんか。
  136. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) おつしやる趣旨は誠に御尤もな御質問だと思うのでありまするが、実は公社の予算というものをどういう形式に持つて行くかというような問題とも関連しておるわけでありまして、従来とも予算は項において議決をお願いしておるわけでありますが、予算総則において、その項にかかわらず流用ができるという意味の規定を予算の上においても御決定を願つてつたわけであります。従いまして一応項においての議決はお願いしておるけれども、予算総則のそういう規定と関連いたしますと、或る程度自由にそれが流用が認められておるわけでありますので、そういう点を法律制度といたしましても今回確立したいということで、こういう規定を置いたわけであります。従いまして、その趣旨をもう一歩突き進めますならば、項における議決は無意味じやないか、こういう議論に発展する可能性は十分あるわけでありますが、これは又予算の形式として、然らばもう一歩突き進んだ形式を考えるか、こういう問題になりますが、只今のところ、そこまで突き進むことは如何であろうかということで、議決をお願いする点につきましては、一応項においてお願いをする、併しその実施上必要がある場合においては議決の趣旨を尊重いたしまして、できるだけ項において使いはするけれども、万止むを得ない場合においては流用して行くと、こういうふうに考えておるわけであります。
  137. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 次の四十三条の三についても同じことと思うのです。大体予算というものは款項目をきめて、それで予算の目的をきめるし、年々議決をして年度区分ということがやかましいはずなのですが、ところが今の四十三条の二で款項目流用は勝手たるべし、四十三条の三で、年度区分は繰越し勝手たるべしという今の課長のお話誠に御尤もだと思います。お話ですと、そこまで突つ込んでやるのはどうかと思つてこの程度にしたという御遠慮のあるお話つたのですが、むしろ僕はここまでやらなければならんということは、これは企業体の本体だと思うのであります。四年の専売公社或いは国鉄というものの実績から見て、ここまでやらなければならんということになつたということで、形式的に見ると国会の議決権をまるで軽視したようになつて非常におかしいので、それが本当なので、従つて僕は一歩進めて、そこまで使うのはどうかという遠慮をやめて、予算制度というものを根本的にやめたらどうか、予算制度をやめても専売については一般会計の歳入に専売益金というのがありますので、あの益金の参照書類として今日専売公社の予算として提出されるようなそれぞれの書類を出せば、もつとそのほうが実質的な書類になるので、ここに掲げてあるような従来の制度の予算を形式的にやるほうがむしろおかしいのじやないかというふうに思うのですが、如何ですか。
  138. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 誠にお説の通りでございまして、この点につきましては、私どもいろいろ検討して参つたわけでございますが、実はそういう点につきまして、国鉄、電電、専売という三つの公社につきましてこの現行の予算制度をどういうように持つて行くかということについて、一つの統一ある公社経理の基準法とでも言うべきものを制定すべきではなかろうかということにおいて検討して参つたわけでありますが、実はまだ十分結論に到達しなかつたわけであります。然るところ昨年電電公社が成立いたしまして、その経理関係につきましては、国鉄と専売と異なりましたような、今改正案をお願いしておるような趣旨の電電公社法が成立しておりますので、取りあえずその電電公社法と歩調を一にする程度の改正をこの際日本専売公社法及び国有鉄道法につきまして一応お願いいたしまして、なお総合的な公社の経理基準をどういうふうにするかというような予算制度につきましては、更に検討を加えた上におきまして、又適当な法的措置を講じようというふうに考えておる次第でございます。従いまして今回の案は或る程度、見ようによりましては、不徹底な案であるというようなお説は誠に御尤もでありまするが、これはすでに改正になりました点で、公社法と一応三公社について或る程度の統一を保つための部分的な改正を行なつたのである、かように御承知願いたいと思うのであります。
  139. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 御趣旨はよくわかりましたので、是非とも一つ三公社、今揃えるというような必要もありましようから、何でしようが、先ほど申上げましたような方向に更に一歩進められんことを私は期待を申上げておきます。  次に四十三条の十三でありますが、ここに書いてある総収益から総損失を控除した金額、これは先ほど配付いたされました書類でみますと、総収益というものは損益計算書の貸方に計上してあるものが出ている。併し損失というものは損益計算書の借方に計上してあるものになつている。従つて総収益から総損失を控除した金額というのは事業の純益金になる、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  140. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) さようでございます。
  141. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 そういたしますると、この純益金から左に掲げる金額を引いたものを国庫へ納めるのだということになりますから、そうすると、純益金のうちで国庫へ幾らか納めないものがあるわけです。それが即ち社内留保で、積立金になるというふうなことになるわけでございますか。
  142. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 大体そういうようなことになるわけであります。
  143. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 大体というのはどういうわけですか。
  144. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これはいわゆる純益金となりますものから、固定資産の増加に充てたものだけを差引きまして、そうしてその残りが国庫に納付されるということになるわけであります。
  145. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 従つて事業上の純益から幾ら幾らのものを社内留保にして、あとを、会社で言えば配当金に相当するわけで、国庫へ納める、こういうわけなんです。そこで国庫へ納める金額が、逆に言えば、公社に留保すべき金額について従来は損益運転資本の金額についても留保させたのだ。ところが今度はそれを改正している。今度の改正はその一点なんだが、損益運転資金に対する分については、社内留保にしないで国庫に納める、こういうことになつたわけです。つまりこの書類で拝見しますと、この改正によつて昭和二十八年度におきまして三十三億九千八百万円という国庫納付金が余計になつているわけです。こういうふうな同じ純益金を出すまでは一つも変つていない。ただそのうち幾らを国庫へ納めて、幾ら社内留保にするかということが改正になつているわけだが、こういうふうに国庫へ納めることをたくさんにした理由は、これは会計学の理窟からいつて、こういうふうにしたほうが利益金の措置として適当だからやつたのか、それとも一般会計の歳出、歳入の辻棲を合せるために特に三十三億という納付金が多くなるような趣旨で改正したのか、それを承わりたい。
  146. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) そもそも一応総収益から総損失を控除いたしましたいわゆる純益につきましては、これをそつくりそのまま国庫に納付させるということは或いは筋ではないか。若し固定資産その他の増加に充てるために資金が必要であるというような場合につきましては、別途資本の増加というような措置を講じまして、その経理を明らかにするということのほうが適当ではなかろうかというふうに考えるわけであります。併しながら事実上予算措置を通じまして固定資本の増加につきましては予算上統制をとつておりますので、その益金のうち固定資産の増加に充てられた分は、これは相当長期なものでありますし、これを又別個に資本の増加のような措置を更に講ずるというようなところまでやらなくても、一応予算を通じて統制もできるから、この点はまあ支障はないだろう。併し運転資本につきましては、これは必ずしも予算的な統制がきくともみえない問題が残りまするので、一応国の歳入として取るし、必要がある場合においては別途に又必要の措置を講ずる、その増加に充てるようにすることが適当ではなかろうかということでこのような改正をした次第であります。勿論その結果といたしまして、国の歳入は三十数億円の増加になりまして、これをまあ歳出の財源に充てておることは御指摘通りであります。
  147. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 大体わかりました。それから四十三条の十八ですが、この業務にかかる現金を国庫に預託しなければならないということがあります。今度の改正によつて国庫に預託しない、銀行等に預けることが多少緩和されるというふうな説明がさつきありましたのですが、むしろこれは公社のような取引をやつているところでは、国庫に納めるというようなことは非常に、私たちも承知しておりますけれども、時間もかかる、むしろ取引の円滑、公社が企業的にやるというようなためなら、国庫に預託なんて言わないで、銀行の当座預金にすることがもつと企業的であるが、そこまではお考えにならんのですか、どうか。
  148. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 公社の収益はその大部分が大体税金相当部分であるという建前から、預入れ等についてはやはり一般税金と同じような例にならいまして、預託関係はやはり国庫代理店で扱うというのが建前上適当じやないかということで、それ以外の支出金については今度他に日本銀行及びその代理店以外のものについても相当預入れができるように緩和した次第でございますが、預託金の関係は、やはり税金と大体似たような建物をとつて行くということは、現行法においても、今度の改正法においても大体同じように考えておる次第であります、。
  149. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 それから次は四十三条の二十一の新らしく加えた二項の問題でありますが、これはその次の日程に上つております印刷局特別会計法等の一部を改正する法律案、これが全部同じことの改定になつておりますので、管理官に伺うより、大蔵省主計局のほうでそれらの各法律と同時に頭に入れて考えて御答弁を願いたいと思います。ここで予定より増加し、又予定より節減したと言つておりますが、その予定は何を指しますか。
  150. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 一応予算のときにおいて予定したものというように考えております。
  151. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 予算のときに予定したというと言葉があやふやなのですが、それは予算金額の意味ですか。予算とは別に目標をきめますか。
  152. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 予算のときにおいて予定したと申しまするのは、予算のときにおいて諸般の事情考慮いたしまして予算を組んでおりますので、その組んでおいたとぎにおいて予定しておりますところの諸般の基準というものがあるわけでありますので、その基準よりも増加したという意味であります。
  153. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 具体的に言いますと、それじや専売関係で煙草の売上高が増加したというときには、予算で売上高が幾らということははつきり出て来ますが、その予算の二千億なら二千億の売上があつたときに予定した基準というのはどういうことを指しますか。
  154. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) それはその売上高として予定しておりますところの数字になります。
  155. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 それから経費についてはどうなるのですか。経費についても、例えば建築の経費である、旅費であるとか、いろいろなものがありましようが、それが旅費は幾ら、営繕費は幾らと予算に計上して組んである、この数字はよくわかつておりますが、今お話の予算の数字をきめたときの基準となるべきものは、例えば旅費についてはどういうふうになりますか。
  156. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 予算のときに予定されております数字が基準になるのであります。
  157. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 そうすると、結局予算数字ということになりはしませんか。
  158. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) それは予算数字に現われるものもあるかと思いますが、必ずしもそのものだというふうに言い切つていいかどうかにつきましては、言い切り得ないものもあるかと思うわけであります。
  159. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 どんなものがあるかね。
  160. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは能率の向上によつてどのように経費が節減になり、或いはどのように収入が増加したかということでありまするので、それを一定の基準から算定することになるわけであります。従いまして、これは予算数字そのものですぐに算定できるものかどうかというような点に問題があるかと思うわけであります。従いまして、それをどういう基準から算定するかという問題と関連いたしますので、直ちに予算数字そのものだと言い切ることができない部面が存在するかと考えられるわけであります。
  161. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 非常にこれは実際問題としてむずかしいと思います。今の口吻から私らの想像しているのは、能率の向上という文句があるから予算は数字だけじやないのだ、数字が動いていたときに能率の向上があつたかないかということを判定しなければならないのだという考えは誠に尤もだと思いますが、実際に煙草の売上が増加した、鉄道の運賃収入が増加したというときに、能率増進によつて一応一割殖えたのか、景気がよくなつて殖えたのかということをどうして判定しますか。
  162. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは非常に困難な問題でありますので、只今実は御満足の行くよりな答弁も用意していないわけでありますが、この法律が成立した暁におきましては、十分研究を重ねまして適当な基準を確立したいというふうに考えておるわけであります。
  163. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 それは確かに非常にむずかしいと思います。私たちも鉄道のことを伺い、或いは専売のことを伺い、更に印刷局その他企業者特別会計の内容を伺つてみまして非常にむずかしい問題と思います。思うからお尋ねするので、結局これは今日までのいろいろな交渉の経過からみますと、政府においては非常にそういうような各般の配慮をやつておられるだろうし、管理者側も又各般の非常に純粋な配慮をやつておられるだろうと思いますが、事給与、金に関するときにはいろいろな交渉において必ずしもそういうことになつていないのだ、結局は能率向上というようなやつは飾り文句で、結局売上高が殖えたから、さあ賞与を出してもらいたいというような問題、或いは歳出の残ができたから一つそいつを賞与として分けてもらいたいということに必ず落て来ると思うのだね。これは僕ははつきりそう申上げていいと思うのです。今の課長の答弁から言うと、非常にそこにアンビギユアスがある。非常にどうなるのかこうなるのかわからずにやつておる。そこらが結局この労働組合等との折衝では必ずあなたのほうが負けます、これは……。負けて売上高が現実に一割殖えたから、そのうちの何パーセントを賞与に出せ、経費が何割が少くなつたから、そのうちの幾分かよこせ、この問題に必ずなつて政府又は管理者は負けることと思います。言葉は悪いけれども……。それでその場合に、僕は予定より収入が増加したというときにはこれはいい。収入が増加すれば能率増進があつたとか、或いは無気がよくなつたとか、とにかく企業の経営としてはプラスになつておりますから、折角プラスになつたから、仮に努力によらないとしたつても、企業がそれだけプラスになるならば、それは従業員に分けるということは、これはあつて然るべきだと思う。経費のほうになりますと、経費の節減必ずしも事業のプラスにならん。事業量が減つたがために経費が節減される場合もあるでしようし、もつと悪い場合を考えると、修繕が鉄道の場合は非常に大きな問題だと思いますが、そういうところを当然善良な管理者であればやるべき修理をやつて、すぐ効能が出るか出ないかわからんから、修理を少し内輪にすることによつて予算は幾らも余らし得る。そういうことになつて来ると、収入が増加したときには僕は文句なしにやつて行くとも思われるけれども経費を節減したという場合には、能率増進というようなことを言つても、それは非常にむずかしくなると思いますので、一体そういうことについてどうお考えになつておりますか。
  164. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 誠に御趣旨の通りでありまして、そこの判定は非常に困難でありますが、やるべき修繕をなさずにおいて経費を節約したというようなことは、能率の向上によつて経費を節減したということにならないものと考えますので、筋としては、そういつたものは何ら条文においては予定していない問題だと、然らばそれをどういう具体的な場合に判断するかと、これは客観的な事実の判断の問題でありますので、それは何とか的確な方法を研究いたしましてやる以外にないわけでありますが、これは非常に困難であるということは考えております。そもそもこういつた条項を入れましたものは、昨年専売につきまして裁定をやりまして、益金が予定以上に殖えた場合においては、その一部を賞与に充てるということが適当であるという裁定がありましたので、この趣旨を尊重いたしまして、そうして何らかそういつた意味の特別の給与も出せるようにしたいと、これはやはり公社その他の企業体に弾力性を与えるという趣旨において、筋としては適当なものである、ただ、今までお伺いいたしましたように、具体的にどういうふうな出し方をするかということになりますと、非常にいろいろな問題がありまするので、私どもも法文化するに当りましては、いろいろ考えてみたわけでありまするが、併しなかなか適当な考えもできませんので、まあ御指摘を受ければ、いろいろなお今後研究すべき余地のあるような条文となつて現われておるわけでありまするが、具体的な運用につきましては、この点十分一つ検討されたいというふうに考えております。
  165. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 そこで私は今賞与を出すことは反対じやない、むしろ賛成なんです。賛成なんだが、この趣旨は結構なんだが、ただやり方として、今のお話にあつた裁定においては、収入が増加したとか、経費が減少したとかいうような分割した書き方はしていないので、益金が増加したときと書いてある。益金が増加したときというのは、収入が増したときもそうだし、経費が減つたときもそうだし、いずれにしても益金が増したというときには、必ず企業の台帳にはプラスになつておるわけです。だからこれを益金が増加したときというようにむしろ包括的に書けば、今私が申上げたような経費についての問題が起きて来ない。裁定は益金が増加したときと書いてあつて、その趣旨をとつてつたのだと言いながら、どういうわけで収入経費に分けたのか。
  166. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは大体趣旨といたしましては、やはり能率の向上により収入が予定より増加し、又経費が予定より節減されたという場合には、益金の増加となつて現われるだろうと、従つて結論的には同じことになるだろうということを考えておるわけでございます。ただ只今の専売公社の構成というようなものを考えますと、専売公社法において益金と観念されておりますものは、本当の企業体の益金であるのか、実は実体は税金の性質を有するものであるのか、その点も実体につきましては問題があるわけでございます。従いまして、こういう書き方をすることによつて、本当の企業努力による益金だという意味を表現しようということを考えておるわけでございます。従いまして、例えばこの条文をそのまま解釈いたしますれば、損金が十億最初予定せられておつた、併しそれが企業努力によつて損金が五億出たという場合においても賞与を出せるかという問題が起つて来るかと思うのでありまするが、それはおよそまだ損を出しておるというようなときに、これに特別の給与を出すというようなことは、普通の企業体においては考えられないことでありますから、そういつた場合においては出さないというような意味にこれは解釈したい、そういう意味におきまして、結論的にはやはり益金が増加をするということでなければ特別の給与は出さないものだというように考えておるわけであります。
  167. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 私そのお考え方は誠に結構なんでして、そのお考え方で、従業員が喜んで働けるように、不断のベースをもつと上ぐべし、又こういうようなことで企業の経済のプラスになつたときには思い切つてどんどん賞与を出すべし、これは私は大賛成なんです。ただこのやり方ですと、あなたがたが期待しておるような賞与にならん虞れが多分にあるので、それで私は今それを心配して伺つておるわけなんです。伺つてみますと、どうも私の心配を必ずしも拭い去つてくれるような御答弁がないので甚だ心許ないのですが、御趣旨は賛成なんです。私も賞与に反対ではないのです。出さしたいのです。出すときには、あなたがたのお考えになつておるように、そうして又従業員が喜ぶような恰好で是非とも出してやつてもらいたいと、こういう意味でございますからして、その点立法に当つては十分一つ考えを願いたいと思うのです。
  168. 小林政夫

    ○小林政夫君 今の専売の分で重大問題がある。これは向うが相当時間をかけて考えなければならん問題があるのです。
  169. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  170. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて……。
  171. 小林政夫

    ○小林政夫君 大体杉山委員から同じような質問があつたのですが、一番根本の問題は、この法律を改正して四月一日から施行するのですが、提案している予算はこの通り組んでないが、どうするのですか。
  172. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) どの点でございましようか。
  173. 小林政夫

    ○小林政夫君 この予算は改正法案通り組んでないです。例えば繰越明許費等を計上してあるのですね。
  174. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 繰越明許費は、現行法の改正前の法律によつて予算のほうは計上してありますが、この法律が成立することによりまして、事実上は繰越明許費はなくても支障はないということにはなるわけであります。併しこれは事実上繰越明許費がなくても繰越せるということになるわけでありますので、支障はないものと考えてこの法案を提案した次第であります。
  175. 小林政夫

    ○小林政夫君 それじや時間がかかる。そうなると、君のほうはそれでやれると思つているのですね。それではあとから指摘して行きたいと思います。いろいろと……。
  176. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今の法律案に対する質疑はあと廻わしにいたしまして、前に遡りまして、金管理法案についての質疑を続行いたします。
  177. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 只今手許に頂きました資料を見せて頂きましたが、我が国の政府の金保有量はわかりましたわけなんです。それで世界の今の金保有量というのは、これは金保有量ということは世界の金保有量と又関連して考えなければならん問題だろうと思うのですが、大体世界の主な金保有国の保有量というのは、アメリカ、フランス、イギリス、こういつた代表的な国の保有量というのはどういうふうになつておりますか。
  178. 石田正

    政府委員石田正君) 大体これは期日が多少違いますが、一九五二年の年中の数字として申上げたいと思うのでありますが、まあここで調べておりまするのは、量で申しませんで、金額で、米ドルで申上げる次第でございますが、大体アメリカが最も多くて三百三十五億ドル、それからカナダが八億八千三百万ドル、フランスが五億七千三百万ドル、それからまあスイスが割合に多いのでありますが、十四億ドルばかりでございます。それからベルギーが国柄の割合には多いのでありまして、これが七億一千八百万ドルというような数字に相成つております。そういうわけで、ソ連を除きますと世界全体としてどのくらいの量があるかと申しますると、大体三百六十一億ドルぐらいではないか。
  179. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それからこの連合軍に接収されました分は講和条約の発効に伴つてどういうふうに処理されるか。もう全然接収のしつ放しで向うへ持つて行かれるのですか。その処理は今後どうなるのでしようか。
  180. 石田正

    政府委員石田正君) これは金ばかりでございません。銀とか、白金とか、グイヤモンド等を合せまして、終戦直後進駐軍が接収を行なつたわけでございます。それでで残りましたものを、昭和二十六年六月末に日本政府に対しましてその保管を移したわけでございます。勿論処分権は向うにあるけれども、その保管だけは日本政府でやる。それが去年の四月に講和条約が発効されま直前でございます、その保管を依頼したものの処分権というものは全部日本側に任せるという指令が来ました。従いまして全体を合せますと、日本側においても処分することができる、逆に申しますれば、アメリカが更にそれを持つてつてしまうとか、何とかいう問題はございません。ただその処置をどうするかという問題はいろいろな多くの方面から接収をいたしましたそういうふうな事情を調べまして、そうしてその処置を最終的にきめるべく大蔵省の管財局におきまして、今その措置方を検討中でございます。
  181. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、この資料の三にありまする接収分というのは、そういう種類の金でございますか。
  182. 石田正

    政府委員石田正君) お話のような種類のものでございます。
  183. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に第一条の目的でございますが、「対外決済の準備に充てるため政府が金を買い上げることとするとともに、金の取引の実態調査することを目的とする。」、こういうような表現になつておりまするが、午前中の質疑応答を聞いておりますると、どちらかというと、今の日本の産金量というものは経営が成立たなくなつて、休んだり或いは廃鉱になるようなものが多いので、一つそれらの産金業が成立つようにするというところが本当の狙いではないのじないかというふうに聞いたのでございますが、真意はそこにあるのでございますか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  184. 石田正

    政府委員石田正君) この点につきましては、先ほど菊川先生お留守のときに小林先生からお話がありまして、国際通貨基金との関係を縷々申上げたのでございますが、現行法及びこの改正法を通じまして、国際通貨基金との関係がデリケートな状態にあるわけでございます。こういう改正をいたしまする場合に、そういう方面におきまして通りのいいやり方がいいのではなかろうか。これは内容の逐条説明の際にも申上げましたが、前段の「対外決済の準備に充てるため政府が金を買い上げることとするとともに、」という裏には、残りのものは自由にするということが含まれておるわけであります。第三条におきまして、或る質のものを買上げるということになると、あとはどうするということは書いてないが、自由に処分するということが出て来るということで、我々としては対外関係考慮いたしまして、こういうような構成をとりました次第でございます。
  185. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に第二条におきまして、主務省令で定める、或いは政令によつて政府に売却しなければならないよりな質と言いますか、量を定めることになつておりますが、すべてこういう重要な点、一番大事な点が私は第三条にあるだろうと思いますが、その第三条の一番大事な点、どれだけ売却しなければならないかということ、それから主務省令で定める政府に売却する方法等が一番大事な法案の骨子になるのじやないかと考えるのでありますが、そうした重要部分がすべて政令或いは省令で定めるということになりますと、法律案そのものが大事な部分を政令に委ねることになりまして、法律の形態がやや失われるのではないか、意義が失われるようなことになるのじやないかと思うのです。これではいつでも政令を改正できまずから誠に大蔵省或いは政府としては便利だと思います。ところが業者或いは経済界全般にとつて大蔵省の舵のとり方如何によつては金の買上げをいつでも左右できるようになつているということは、操作を非常に簡単にやり得るという結果になつて法律制定の意義がなくなるのではないか、こういうふうに私は考えるのでございますが、この点はどうでございますか。
  186. 石田正

    政府委員石田正君) これは現在の法律におきましても、今全部集中をいたしまして或る部分を還元するということになつておるわけであります。この場合におきまして、やはりその点は政令によりまして幾らの分を買上げなければならんというようなことはないのでありまして、御指摘のような点につきましては、肝心なことが骨抜きになつておるという御説もありましようが、法律論自体といたしましては許されるものではないかと思います。ただ実質論といたしましては、そういう大切なところは書いておくべきではなかろうか、これは御尤もなことではないかと思いますが、この点につきましても、私たちは現に要するに集中いたしておりますが、そのうち還元するものはほぼ三分の一ということになつております。これと本案と内容全体として同じでございますが、逆な書き方を法律でやつておるわけでございます。それは勝手に政府方針でやるということではなく、要するに率直に申しますと、大蔵省としてはできるだけ政府が勝手にやれないようにいたしたい、これは率直に申しまして……。主としてこの金山等を見ておりますところの通産省等におきましては、成るたけ自由にする分を多くしてもらつたほうが金山としては工合がよい、こういうふうな両方の立場がございますので、これは話合できますものでございまして、そうその何と申しますか、大きな幅が動くべきものではないと思います。もう一点、これは対外関係関係するのでございますが、私たちは大体三分の一というところで現行のままをずつと続けて行きたいと思つております。併しながら、この法案全体はいずれ国際通貨基金のほうへ行きまして問題にされる懸念も多分にありますが、そういう場合にはやはり余りはつきりどうするのだ、こうするのだということを言わないで、問題でも起りました場合におきましては、政府といたしましても適当に応酬し得る余地を作つておいたほうがよいのじやないかというふうな考えも実はあつて、こういうように相成りました次第でございます。
  187. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、この「金量のうちで政令で定める金量」というものは、差当つては政令案というものは、この法律案が通れば直ちに考えるのだというのですが、今当分どのくらいのものを政令できめられるのか。
  188. 石田正

    政府委員石田正君) 現在行政的措置としてやつておりますものは三分の一をそのまま使うつもりでおります。
  189. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それから次に「主務省令で定めるところにより、」というのは、主務省令の案というのはどういうことを考えておられるのか。
  190. 石田正

    政府委員石田正君) これは何と申しますか、手続的な規定を盛ることにいたしたいと思つております。まあ大体日本政府がみずから買上げると言いましても、いろいろ取扱手続等につきましては、造幣局を使うというものもございますし、それから又日本銀行に扱わせるというものもございますので、そういう細かい点につきまして規定をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  191. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 時間がないので急ぎますが、第四条に参りまして、第四条の規定による価格の範囲、「国際通貨基金協定第四条の規定による価格の範囲内で主務大臣が定める。」ということになつておるのでございますが、この法律が成立いたしますると、大蔵省の買上が一オンス幾らになる、それから一般市価はどのくらいになる、こういう想定をお話願いたい。
  192. 石田正

    政府委員石田正君) この政府が買上げまする分は現在一グラム四百五円で買つております。で、これは我々はその値段を変える意思は毛頭ございません。ただここに「国際通貨基金協定第四条の規定による」云々と書いてございますが、これは現在の四百五円と申しまするのは、一オンス三十五ドル、一ドル三百六十円というものから割出しますると、一グラムは四百五円九銭という半端が付くわけでございます、それから国際通貨基金では政府が買上をいたします場合に、その四百五円九銭から一%の幅の中でなければ政府は金の買上をしてはいけないということに相成つております。日本はそれに入つておりまするので、そういう関係はつきり定める意味で入れましたわけでございまして、現在の一グラム四百五円というのを変える意思は毛頭ございません。次に自由価格にいたしましたほうの部分につきまして、どういう一体価格が出て来るであろうかということでございます。この点につきましては、今金山のほうの立場から申しますると、今いろいろなことを考えまして、現行法の下におきましては五百十五円ということに相成つておるわけでございます。この一グラム五百十五円ではやり切れないというのが金山のほうの言つておるところでございまして、それが今度は自由価格に相成りまするので、どういう一体価格になるであろうかということにつきましては、これはなかなか需要と供給の関係から申しまして、どういう価格になるであろうかということを今ここで申上げることは非常に自信もございませんので御容赦を願いたいと思います。ただ私たちが調べておりまするところの、まあこれは何と申しますか、闇価格でございます。日本国内における現在の闇価格というのは、これはなかなか捕捉しがたいのでございまして、これはまあ財務局当局を通じまして調べておりますが、それによりますと、ところによつて区々でございます。例えば北海道と、それからして近畿地方を比べてみますると、北海道のほうがどういうものか非常に高くて、それから近畿地方は低いというような実情もございます。まあ併し全国各地区ごとに報告をとりましたのを合わせてみますると、大体六百二十円くらいに相成ります。これは単純なる算術平均でございます。
  193. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 将来この法律の実施に伴い、特に金が一般市販に出る場合に問題になるのは金の入歯の問題、歯科医の問題だと思うのでありますが、この法律、どうもよくわからんのでございますが、これは金の入歯に使う分も或る程度確保するということができるか、それともこれも自由販売で市場から獲得することになるか、その値段はどうなるか、その点を一つ……。
  194. 石田正

    政府委員石田正君) これは私たちも非常に関心を持つておる点でございまして、結局自由価格に相成りまするならば、供給者と需要者との間で以て値段がきまるというのが本筋であろうと思います。併しながら、これは供給者のほうを監督いたしておりまするのは、一般的に申しまして通産省でございます。それから歯科医のほうの関係に相成りますれば、これは厚生省が監督いたす責任があるわけでございまして、これは私たちのほうといたしましては、通産省、厚生省のかたによくお話いたしまして、そうして先ず第一に必要な量というものがなくならんということ、要するに確保できるということ、それからまあ値段につきましても、余りべら棒なことがないように、そういう点につきましてはそれぞれ御相談の上善処をお願いいたしたいということを申上げております。その点につきまして、通産省のほうといたしましても、それから厚生省のほうにいたしましても、この点につきまして、この法案に賛成して善処するということでございまするので、非常に困るような事態は起ることはないのではないか、かように考えております。なお価格が幾らになるかということにつきましては、これは全般的な価格がどうなるかということは今私はつきり申上げかねまするので、どういう価格になるかということはちよつと申上げかねる次第でございます。
  195. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この法律の題名というか、法律の名前は金管理法といつて誠にいかめしいような名になつておるが、三分の一だけは買上げて、あとは、而もそれは政令によつて三分の一にしたり、三分の一・五にしたり、今後これはできることになつております、政府方針如何によつては……。而もこの買上げたところの金塊を今度は処分するについては、処分する場合、場合によつてアメリカへ売る場合もあり得るだろうし、又は国内において金の入歯をするのが殆んど手に入らなくなる、もつとほかのほうの高級の時計であるとか、或いは鎖であるとか、そういうふうな装飾品方面に使われてしまつて、金の入歯なんというのはできなくなつてしまうというようになつた場合に、これを或る程度政府のほうから厚生省の手を通じて歯科医に配給するというようなことも、これはできるのですか、この法律、こういう点でちつとも明らかにされておらんように思うのですが、その点……。
  196. 石田正

    政府委員石田正君) これは実際の運用問題でございまして、私たちは要するに三分の二というものを鉱山業者の自由処分に委ねるということでありましても、今のような弊害はないものと一応考えておるわけでございます。併しながら、この法律の下におきまして、先ほど御指摘がありましたように、政令の定める金星ということでなくて、他面から申しまするならば、これは余裕があるというのでありまして、若し非常に重要な方面におきまして放出できない、こういう事態が起りました場合には、その必要なる量というものを三分の一にぴつたりすると申しますか、或いは何といいますか、三分の一に対して“分だけ必要量を確保すると申しますか、何かそういうふうな方法で、要するに必要な方面にその金が廻ると申しますか、そういう措置はこれは講じ得る余地がこの法律の中でできるものだというふうに考えております。我々はそういうふうなことをいたしますのは余り好ましくないと思いまするので、実質的に業者のかたの良識により、又それを監督いたしまする各官庁の良識によりまして、そういうようなことのないことを希望いたしまするけれども、万一の場合におきましては、そういう途もあり得るものと考えております。
  197. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この国会における原案が非常に理想的な状態に運営されることを期待して、そういう点の御答弁があるのでございますが、今夜の夕刊を見てみましても、国会におきましては、税務当局にそういう不正事項なんというのはないのかということを聞きますと、これはもう全然ございません、こういう御答弁、非常によくなつております。ままあるでしようかと言うが、今夜の夕刊を見ますると、大々的に税務署の不正、税務官吏の摘発をやつてつて、ほうぼう東京で主な連中が大分挙げられておるのですが、そういう工合でございまするので、これなんかは特に午前中の質問の際にも出て参りましたように、ブローカーが暗躍する余地が多分にあるというのは、嵩が小さくて値段が高いというものでございまするから、どうしてもこの余地が生まれて来るのじやないかと私は思う。従つて大きなブローカーの操作によりまして、今おつしやつた六百二十円何がしという現在のブラック・マーケットの値段が更に釣上げられて行く傾向になるのではないかと思うのでありますが、そうなつた場合には、あなたのほうではこの操作をする余地があるかどうか、そいつをもう少し下げさせるような方法があるのではないか、この金管理法を見て参りますと、その点がさつぱりわからんのでありまして、この三分の一は政令の定めるところによつて買上げる、この値段が国際通貨基金協定の第四条の規定の価格の範囲内ということで、あとは立入検査の問題と報告の問題だけでございまして、管理法としては、どうも管理法の形体をなさんのではないかと思うのでありますが、これは金買上法というような法律考えて差支えないので、金管理法という大げさな名前を打つて出すのはちよつとおこがましいような法律の内容だと思う。食糧管理法の何を見ましても、こんな管理法は初めてなので、ちよつとおかしいように思うのですが。
  198. 石田正

    政府委員石田正君) これは名前がおかしいというふうな御指摘がありまして、全般的に見まして、そういう御印象をお持ちになるのも無理からんかと思います。これは何と申しますか、なかなか将来を予測することは困難なことでございますが、今申しました退蔵というふうなことが非常に多くなるという場合におきましては、これは政府といたしましても決意を以て善後策を講じなければならんかと思います。併しながら今我々が聞いておりますところの状況におきましては、いわゆる正常な関係におきまして、需要というものが非常に急に、速かにこれが供給量を超えまして、非常に増大するということは先ずないのではないだろうか、早い話が、今実際において個別的に申しまして、一番たくさん消費しておるものは歯科医関係の金なんでございます。これが若し政府がみんなこの買上げたほうからそれだけ供給するというふうなことでもやれば、これはむしろ五百十五円が下つてしまつて、そして要するに鉱山業者としてはなお一応もつとひどいことになる、こういうふうなことを言つて心配している向きも実際においてはあるくらいなのでございます。従いまして私たちはまあそういうふうなことはないだろうということで、これは通産省とほかのお役所等のほうで申されますることも一応参考にいたしまして、そういう結論に達しまして、こういう法案を出したわけでございます。なお非常にそういうことが起つた場合におきましては、私は先ほど申上げましたような工合に、政府の買上量を殖やすとか、そして殖やしたものの還元とかいうふうなことはやり得る余地がある。大蔵省としてはそういう余地が残されておるものと解釈いたしております。
  199. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 買上げました金塊を、金の管理法ですから、これを買上げたものを管理することは調われなければならんと思うのでありますが、例えば戦前によくございました、アメリカヘ向けて日本の為替相場が下るために、これを維持するために金塊を送るということが行われたのであります。そ、いうことをやるのは、仮に政府が持つておるのでございまするから、それをやるのは法律に基いてやるのか、政府の行政措置としてやることになるのか、この管理法との関係一つお伺いしたいのですが、今はそういうことは考えられないと思いますが。
  200. 石田正

    政府委員石田正君) これは私たちは先ほど来ちよつと申上げたのでございますが、今の日本の貿易関係収入、或いは貿易外関係収入等の事情から申しますると、こういうふうな金というものを直ちに換貨いたしまして、ドルを獲得するとか、何とかいうふうな必要はないと思つております。然らばそういう実情が起つた場合にはどうなるかという御質問でございましようが、これは要するに政府といたしまして、こういうものの処分が必要であるということを認めました場合には、いわゆる海外へ輸出いたしまして、そうしてこれを換貨するということは行政措置としてあり得ると思います。なおこれは昨日御質疑がありまして、将来の貨幣制度との関係はどうかということでありましたが、これはそれらとの関係におきましては、或いはこういう金というものと将来の貨幣制度との関係におきまして、国外へ輸出するのではなくして、日本銀行へ通貨準備として引渡すと言いますか、売渡すと言いますか、そういうこともあり得ると思います。この点も別に法規によつてやるということではなく、行政手段としてやり得るもの、かように考えている次第でございます。この法律以外に今こういうことをやつておりますることは、どこでやつておりまするかと言いますると、金資金特別会計というものがございまして、その会計におきまして、これをやるわけでございます。現に売つたり、買つたりいたしているものであります。金資金特別会計が、ごこに掲げました金を或いはこれを何と申しますか、今の形が仮に続くということでありまするならば、いわゆる為替資金が足りませんために、これを外国へ輸出いたしましてドルに換えまして、そうして今御承知のように、外国為替資金特別会計というものがございますが、そちらに売払うということも、これは考えられないではないと思います。現実問題としては私は余りないと思いますけれども、そういうことも考えられると思います。それから又直ちに金資金特別会計の金というものは、日本銀行へ売払うというふうなこともあり得るものと思います。なお間違えましたが、今買取るほうの会計は、以前銀や何かを多少保有しておりまして、金資金特別会計というふうな名前でございませんで、貴金属特別会計というふうな名前になつております。
  201. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そういたしますと、今も御説明の通りに、買上げる場合には一グラム四百五円、それから闇相場はいろいろ調べて見ましたところ、六百三十円だとするならば、六百二十円の値打のあるものを二百二十円、二百十五円と叩いて、安い値段で政府は買上げる、強制買上見たいなことを……、はつきり申上げまして強制買上をやつておきながら、今度政府の経済政策の道具として、例えばあなたのおつしやつたように、これを輸出してドルを買うというようなことを行う。而もこの強制買上の率は政令に委ねてしまつて政府方針如何によつては延ばしたり、縮めたりできるということになりますと、その操作が時の政府方針如何によつてどうにでもなるということになつて、自由党の言つている自由経済政策は、法律によつて左右するならば別ですけれども、政令によつて政府の行政措置としてどんどんやり得るということになると、ちよつと自由正義と矛盾をそこに来たすのではないかと私は思いしますが、その点はどうなるのか、理論的に言つて……。
  202. 石田正

    政府委員石田正君) この法律の第一条に、政府の金を買上げることは「対外決済の準備に充てるため」にというふうに書いてあるのであります。要するに準備であります。従いまして、先ほど申上げましたごとく、これは買上げますが、差当り将来必要が起つた場合にやるのでありまして、これは準備であります。併しまあ日本の国際収支というものは非常に悪くなつて、どうしても出さなければならんということになれば、それを出しましても対外決済に充てるために政府が買うのでございますから、決してその何と言いますか、どんどん皇げてしまつて、あと勝手に処分するというふうなこととは違うのではないだろうかと思うのであります。それから次に、六百二十円を闇相場として買つているものを四百五円で買つて勝手に政府は民間から巻き上げているのではないかという趣旨のお話であつた、こう考えるのでありますが、これは政府が外国へ金を持つて参りまして売りました場合には四百五円より高く売れないのであります。要するに一ドル三百六十円という現在の為替相場が続きます限り、今後政府といたしましては四百五円以上のものを獲得することはできません。なお実際問題といたしまして、向うへ参りますためには運賃もかかります。保険料もかかります。それから又向うでも、例えばアメリカへ持つて参りまして、連邦準備銀行へ入れます場合には手数料もとられるわけであります。従いまして政府といたしましては、そういうことをいたしましたために、いわゆる得をするということは、これはないわけであります。
  203. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 最後によく話題を賑わしまして、そして実現性の有無については、これはどうかと思いますが、モナヒフ号とかいうロシアの軍艦が金塊を積んで日本海の海戦のときに沈んでいるのを引揚げるとか引揚げないとか言つてみたり、埋蔵の金塊が徳川幕府末期にもあつた。終戦当時にも埋蔵量があつて、一時騒いで新聞面を賑わして話題を提供したことがございますが、こういうものが仮に上つたような場合においては、これはこの法律の適用は全然受けないのですか。それはちよつと買上げるというわけにはいかんと思うのですが、ここには該当しないと思うのですが、該当しないと解釈してよろしうございますか。
  204. 石田正

    政府委員石田正君) 今引揚げますときにつきまして、これは法律論といたしまして無私物であるのかないのか、無私物であるなら取つてしまつてよろしいのか、それとも徳川なら徳川のものがこれはその後日本政府がその資格者であるから、これは日本政府のものであるのか、そこらの法律論はたびたび我々といたしましても耳にするのでありまして、その点の法律論というものは、私自信がございませんから御勘弁を願いたいと思うのです、併しこの法律関係いたしまして、こういうものが仮に何らかの形で上つて来た、而もそれが引揚げた人のものになつたと仮定いたしました場合には、この法律によりまして集中するということはございません。これは新らしい山から出ました金を集中しようというのでございまして、現に持つているところの金を集中しようというのではございませんので、その点はこの法律の適用外である、かように考えておる次第でございます。
  205. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  206. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。他に御発言もないようでございますから質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入りします。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もないようでございまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決をいたします。金管理法案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  209. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任を願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それから多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     松永 義雄  伊藤 保平     菊川 孝夫  黒田 英雄     森 八三一  小宮山常吉     杉山 昌作  西川甚五郎     小林 政夫   —————————————
  211. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは先ほど日本専売公社法の一部を改正する法律案に返りまして質疑を続行いたします。
  212. 松永義雄

    松永義雄君 簡単なんですが、特別給与というものは総裁も頂けるのですか。
  213. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 法律上は何も役職員について区別してはございませんが、お手許に差上げてあります今年の政府関係機関予算の予算総則では二十八年度は役員には出さないはずなんです。職員だけに出す建前になつております。    〔委員長退席理事伊藤保平委員長席に着く〕
  214. 松永義雄

    松永義雄君 この能率給みたいな形ですが、これは個人々々の能率を見て出すのですか。
  215. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 算定する場合は、いろいろな部門別或いはたまには個人というような関係算定の基準に入るかと思いますが、全般としてこれを出すか出さないか、それから全体の額をどりするかというような基準を外す際は公社全体としての成績というふうに考えておりますから、ただ個人が成績がよかつた、或いは特定の部門がよかつたというだけでは、この特別法の手当を出す出さないという問題は起きないわけであります。
  216. 松永義雄

    松永義雄君 それはわかつておりますが、実際に支給する場合はどうですか。全体額がきまつた上の配分関係は、これは公社の総裁に任して、公社の総裁がこれをどういう内容で配るかという問題は、非常に成績の挙つた部門に対しては厚く、或いはそうでない部門については薄くという問題は起きて来るかと思いますが、配分関係は大体公社の総裁に一任するという、こういう建前でございます。
  217. 松永義雄

    松永義雄君 「予算の定めるところ」というのはどういうことですか。
  218. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは予算は予算総則或いは甲号歳入歳出予算とありますので、その中においてきめられるわけでありますが、三十八年度につきましては、予算総則におきまして法律と大体同様の規定が行われておりますので、特別の予算の定め方はしていないわけであります。
  219. 松永義雄

    松永義雄君 公社の予算の立て方について先ほど来御質問があつたのですが、公社だからこういう予算の使い方ができるのであつて一般予算には勿論法律的には許されておらないと思うのですが、一般予算についてもこういうような規定をしてもよろしいのでしようか。
  220. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 一般公務員につきましては一般職の公務員の給与に関する法律がありまして、その法律の中において給与は規定されておるわけであります。印刷局、造幣局その他五つばかりの企業特別会計におきましては、この前の、休会前の国会におきまして一般職の職員の給与に関する法律の適用が外されまして、そうして給与準則で給与を規定するということになりましたので、その点に関する限りにおきましては三公社と同一の取扱いを受けることになつておりますので、これらのものにつきましては印刷局特別会計法等の一部を改正する法律案によりまして、この専売公社と同一の規定を設けるというようにしておるわけであります。
  221. 松永義雄

    松永義雄君 僕はそういう意味で質問したのではないのですが、予算の弾力性ということが書いてあるのですが、一体予算の弾力性ということは、公社が半官半民みたいなもので、政府機関ではあるけれども、性格が違うから弾力性を認めてもいいのだと、こういう規定になつておるのですが、一体この予算というものをそういうふうな自由な形にするということが、これは非常に学問的のことでしようが、どんなものかと思うのですが、どうでしようか。
  222. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは専売とか鉄道のような事業を経営しておりまする企業体につきましては、予算において収入を百、支出を百というように予定しておりましても、経済界の事情の変動によりまして、百が百五十にもなるというようなことも予定せられまするので、そういつた場合に収入が百五十にもなつて経費がどうしてもそれに伴うて増加するのに、一々予算の修正を受けなければその需要に応ぜられないというようなことでは、企業の運営上支障を来たすというように考えられますので、従いましてこういつたものにつきましては企業の運営に応ずるような弾力性を予算的にも与えるというような処置を講ずることが適当であろうと考えておるわけであります。
  223. 松永義雄

    松永義雄君 この公社という組織は恐らく初めてのような気がするのですけれども、どこかの国のまねをして規定をしたと、こういうことですか。
  224. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) これは昭和二十四年にアメリカにおきまする政府関係の企業体の例等を検討いたしました結果、従来国営事業として特別会計において運営せられておりました国有鉄道、専売というものにつきまして公社というものを設けまして、そうして企業に弾力性を与え、その実態に、実情に応ずるように運営ができるように設立せられたわけであります。
  225. 松永義雄

    松永義雄君 これは誰も知つていることですけれども、ともかく予算というものは国民の権利を守るためにこさえなければならないということは、何も私から申上げるまでもないのですが、公社だから緩めてというのですが、予算というものの性格というものが、御承知のようにとにかく政府機関の予算ですから、予算というものの原則を動かして行く、これで崩れたと、こういうふうに考えていいのですか。
  226. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 公社につきましては政府がその全額を出資しておりまして、そうしていわば国民税金によつてその企業を運営しておるわけでありまするので、従いましてその経費が適正に運営せられるように国として統制を及ぼすということは必要であります。従いまして政府関係機関としまして、予算的な統制も加えておりまするし、又各種の監督もしておるわけでありまするが、そういつた統制の半面におきまして又企業がその実情に応ずるように運営されて行くということも必要でありまするので、その点の調和をどのように図るかということが、こういつた公社関係に関する予算上の問題点であろうかと考えるわけであります。従いまして御趣旨のように自由自在に任せてしまえば、或る意味におきまして国民の利益が阻害せられるというような問題も考えられまするので、例えば給与というようなものにつきましては議会の議決を経た総額の範囲内においてこれを実施するというような統制を及ぼしておるわけでありまするので、その点についてもどの程度に弾力を与えるかというその具体的な個々の問題が起つて来るわけであります。で、筋といたしましては、今申しましたような両面の調和を図るような点に具体的な制度のきめ方をやつて行くという問題であろうかと考えられます。
  227. 松永義雄

    松永義雄君 もう一点。英米流の考え方をとつているのですから、いいとか悪いとな一言いかねるわけなんですが、ただ最後に一点お尋ねしたいのですが、全然違つたことですけれども、サイエンス、科学研究に対して利益金と言うか、売上金と言うか、どのくらい研究費というものを予算に立てておるのですか、そういうようなものはありますかどうか。
  228. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 二十八年度の予算において試験研究に必要なる経費といたしまして、煙草の試験研究に必要な経費三千五百万、それから塩の試験研究に必要な経費といたしまして二千万円余り、樟脳の試験研究に必要な経費といたしまして二千百万余り、この三つを計上しております。
  229. 松永義雄

    松永義雄君 それは利益金というか、税金みたいなものですが、利益金のどれくらい、何ぼくらいに当るのか、或いは売上金の何ぼくらいか、計数が出ていなければいいのですけれども、私の言いたいことは、電電公社、(「今の数字は違うよ、二十七年度だよ」と呼ぶ者あり)私の言いたいことは、電電公社をこの間視察に行つたのですよ、立派な研究所ができた、その研究費がどれくらいかということを聞いてみた。これも横町へ飛ぶのですけれども、特別償却とかいろいろ免税準備金を認められている各株式会社ですか、法人が割合に科学的研究に向けられる経費というものは少い、で、これも皆配当してしまう、極端に言えば。そういつたような現象です。先ず以て政府機関のほうから始めて、そうして研究費を殖やして行くということが必要じやないかというので実は聞いておるわけです。それで私の質問は終ります。
  230. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 大体ラウンド・ナンバーで申上げますと、一件に対して試験研究費が千五百分の一ぐらい、こういう状況になつております。
  231. 松永義雄

    松永義雄君 千五百分の一ですか、大分少いという感じを持つのですがね、煙草だからそういう研究費は要らん。又機械のものとは違うのだということになれば、それは又それぞれの専門的な考えもあつて割合も違つて来るでしようけれども……。
  232. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 今申上げた数字が一般の会社その他に対して非常に少いのじやないかというようなお考えが出ると思いますが、この益金という中には、ほかの会社の収入には見られない税金相当分というものが大幅に入つておりますので、ほかの会社の試験研究費というものと比較する際は一応そういつた税金相当分を除いた分で比較すれば、又その計数も大分違つて参りますので、そのあたりが大分一般の会社と違うところじやないかと考えております。
  233. 小林政夫

    ○小林政夫君 先ほどの、白石君はこれでやれるということを言うのですが、あつさり兜を脱げばいいのだけれども、余り強く言うものだからほじくらなければなりませんが、どうですか一体。
  234. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) 一応この予算総則の第三条には「日本専売公社法第三十四条の二の規定によつて年度に繰り越して使用することのできる経費は、別冊四号繰越明許費による」、こういう規定を現行法に基いて規定しておるわけであります。これは改正法律通りますとこの条項は削除になつておりますので、従いましてこの第二条の規定も自然にその効力を失うということになりますので、別に予算と矛盾するものとは考えておりません。で、事実問題といたしましてこの点はこの条項に関する限り翌年度まで法律の施行も延ばすということのほうが、或いは予算との関連におきましては適当ではないかという意見は出ると思うわけでありますが、これは電電公社法等につきましてはすでに予算の繰越しは自由にできるような規定になつておりますので、その点の調節を日本専売公社法との関係におきましても権衡を保つという意味においては、やはり三十八年度から繰越しを自由にするということが必要ではなかろうかというように考えまして、その法律の施行後なお二十八年度から行うというように規定したわけであります、で、予算のほうは別に予算にないような事項、或いは違反するような事項を規定しておるというようなことでなしに、予算は一応こういう規定をしておりまするけれども法律が削除になることによつて自然にその効力を停止するものというように考えまして矛盾しないものと考えております。
  235. 小林政夫

    ○小林政夫君 まあ実態的な関係はですよ、今度の改正法でやろうとしておられることをこの総則において書いて、おられるわけですから、又特に繰越明許についてはお説の通りの取扱いができるかも知れん、併しこの二十八年度提出されて、おる予算案というものは、やはり四月一日から施行する、同じ国会の意思が当然四月一日から施行される予算を審議するのに、一方は現行法でやり、改正すべき法律案も同じ施行期日であるにもかかわらずそれに符節を合せておらないということは甚だおかしいことであつて、益金の算入は改正法の要領でやつてある、又根本的に今度は歳入歳出予算という言葉を使わない、収入支出予算という言葉を使うにもかかわらず、一番見出しには歳入歳出予算計算書というものを出しておつたり、これはいろいろその書き方がちぐはぐになつておるということはおかしいじやないか。
  236. 白石正雄

    政府委員(白石正雄君) お説の点は誠に御尤もでありまして、この点におきましては、まあこの時期的に予算のほうを先きに決定いたしまして、そうして後に又法律案のほうを決定をしたというような関係上、形式的に議論をすれば面白くない点は御指摘通りであります。  なお繰越明許のほうにつきましては先ほども申上げたような考え方によりまして、一応実際上の方法としては支障なかろうということを考えたわけであります。  なお歳入歳出予算の問題につきましては附則の第二項のほうにおきまして読替規定をおきまして、そうしてその点が矛盾をしないように規定をしておるわけであります。
  237. 伊藤保平

    理事伊藤保平君) ほかに……。
  238. 森八三一

    ○森八三一君 先日副総裁に質問をいたしたときに、そういう点については公社の事業の運営上十分考慮すると申しますか、善処をするというような御答弁があつたので、気分の上では一応了承したわけでありますが、実際予算というものを立てて仕事が進められて行く程過において、そういう善処ということがどういう形において行われるかという具体的な問題を一つお伺いしたいと思います。それは勿論益金は殆んど大部分が税金であるわけでありまするが、非常に多くの益金が上つておるということは、必らずしも税金だけではなくて総裁以下公社諸君の非常な努力に負うところがあるわけであると思いまするが、更にこの非常に好調な情勢を将来に向つて進めて行くということにいたしますためには、相当額の外国煙草の駆逐をするとか、更に嗜好に合うように立派なものを生産して行くというようなことを十分考えて行かなければならない、それには何と申しましても、日本の葉煙草そのものが優秀であり、多数の生産者諸君にとつて経済的にも引合うような形において進められて行かなければならん。それには、他の物価等から勘案をして、これの賠償等については相当考慮を払つて行かなければならんのじやないかとこういうことを申上げまして、そうしてその趣旨は十分了承するので善処するとおつしやつたが、その善処は予算の面から申しまするというと、計画通りに進む限りにおいては製造費なり販売費を節約するということが行われるか、さもなくば益金を食い込むというようなことが行われなければ、年度の途中において賠償金に対する善処ということは具体的には考えられないと、こういうふうに思いますが、副総裁のおつしやつた善処ということは、具体的にどういう方法で、どういうふうに進められて行くのか、それを一つ御説明願いたいと思います。
  239. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 葉煙草の収納代金のきめ方について、現在予算で予定しているのは、大体二十七年度において買上げた価格を基礎として計上してあるわけでございまして、二十八年度については今後どういうふうに決定して行くかと、その点についてこの前副総裁のほうから、二十八年度の価格については十分そういつた適正な価格に決定するように善処したいと、こういう御答弁があつたように考えております。その点について、今そういつた場合に、二十八年度は三十七年度の価格をもつと引上げるような決定をみた際、どういつたふうな財源的措置をして行くかというような御質問であろうと思いますが、今御指摘になりましたような既定予算の中でのやり繰りという問題も、まあ今後の情勢如何でどういうふうになるかわかりませんが、場合によつてはこの流用も弾力条項で、今度の法律通りますれば、非常に自由にと言いますか、今までよりかは非常に楽にできるような恰好になつておりまするので、煙草事業費のうちでも、或いは塩、樟脳といつたような事業間の関係で、或いはそちらの方面から節約の余地ができだらば、このほうに廻すというようなことも或いはできて来るのではないか、或いは売上金額が今算定している以上に非常に伸びて、そのほうからの弾力条項で廻せる分も或いはできて来るのじやないかとも思つておりますが、まあ適切な価格を決定した以上、そういつた既定予算で賄い得るものは既定予算でこれを処理して参りまするが、既定予算ではどうしてもやり繰りがつかんという場合は、恐らくこれは国会に又お諮りして補正予算の形において増してもらうと、これ以外には手はないと思います。まあどういうふうに今後価格決定がなりまするか、まだ未決定ではありますが、適正な価格を決定した以上は、あらゆる点で努力いたしまして、その適正な価格で賠償できるような、収納金を払えるような措置は十分自信を持つて善処して参りたいと考えております。
  240. 森八三一

    ○森八三一君 適正な賠償額を決定した場合には、今お話のように既定の経費を十分節約する等の方法もあるとおつしやつておるが、最近の諸物価の情勢、給与の情勢等から考えれば、恐らくそんなに裕りのある支出予算を組んでいらつしやるわけではなかろうと思いますので、そういうことに最善の努力をして行かなければならんことはよくわかりますが、具体的な数字の上でそういう努力の結果余裕を曲ずるというようなことは恐らくないのではないか。若し今の諸般の経済事情に鑑みまして、努力をすればそういうような裕りが出て来るのだというように考えられるとするならば、現在の支出予算というものは非常にルーズなもので、まだまだ検討の余地大いにありと、こう理解しなければならんと思う。恐らくそういうことはなかろうと思うのです。そうするとこれは追加予算というか、補正予算というものを出さなければならんことは必至の情勢に私は置かれているのじやないかと思う。適正価格というものがどういうふうになるかわからんということは、一応の建前はそうであることは間違いありませんが、いろいろな諸般の経済情勢から言つて昭和一十七年度の賠償額で据え置くというのでは、これは恐らく耕作者の納得が得られないのではないかと思う。現に公務員にいたしましても、年末には特別の措置も講ぜられておるというようなこともあつたり、肥料その他にいたしましても、必ずしも非常に値段が下つておるということではないので、耕作に要する費用というものは、生産者の再生産を保証するということを考えて行けば、これはもう常識的に上つて行かなければならんというふうに考えるのでありますが、そういう場合に、昭和三十七年度の賠償実額で予算を組んでおられるということは、追加予算を組まなければならん必至の情勢にあると私は考えますが、そういうようにはお考えにはならんのかどうか、そうして又そういう場合に、今専売当局ではどの程度をお考えになつておるのか、おおむね事務的に考えられるものはどんなものか、勿論これは査定委員会その他があつて決定せられることはよく承知しておりまするが、当局としてどういうような心構えでおられるのか、それを一つお伺いしたいと思います。
  241. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 三十八年度の予算の組み方は、先ほど申上げた通り二十七年度の価格を一応基準といたしまして予算を組んでおるわけでありますが、二十八年度の収納予定価格はまだ決定を見ておりません。勿論いろいろな腹案はございまするが、この腹案を以て審議会のほうに二度ほどお諮りはしておりまするけれども、審議会の御意見等もありまして、まだそれに対する答申も出ておりませんので、今後審議会のほりをなお続開いたしまして、審議会の御意見等も十分参酌した上、公社のほうの総裁が決定いたすと、こういうことに相成ることと考えておりますが、今のところ成行きでどの程度の引上げになるか、或いは据え置き程度になるのか、その辺の見通しは現在のところまだ未決定、こういう状況でございます。
  242. 森八三一

    ○森八三一君 どうなるかということは、勿論未決の問題であることは、抽象的には理解いたしまするが、先日私の質問に対する副総裁の御答弁は、いろいろ米価等に関する関連その他の経済事情考えれば、昭和二十七年度の賠償に対して相当修正アップして行くようなことを考えなければ所期の目的を達することはならんと思うがどうか、という質問に対して、そういうようなことも思われるので十分善処をしたいという御答弁であつたと思います。といたしますれば、これは当然上るということが前提になつておるわけでございます。ところが今お話のように、追加予算を出すと、こうおつしやつておるが、大蔵大臣昭和二十八年度の予算については補正とか追加とかいうことは考えておりませんと、こうはつきり言い切つておられる。年度の途中でこれは起きて来る問題なんです。そこでただ抽象的に善処するということだけでは、具体的に取扱う場合に困る問題が起るのじやないかと思うのですが、そういう問題を一体どういうふうにお考えになるのか。ただここで、委員会で善処しますということで通つてしまえばいいんだということでは困るので、昭和二十八年度予算は補正、追加等はやらんということをはつきり言つておられる、ところが情勢は、追加補正をしなければどうしても所期の目的を達することにはならんということが又予見されておる、それをどういう方法で乗り切つて行かれるのか。結局そうすると、昭和二十七年度そのままで据え置くと、それは所期の目的を達成するためには非常にまずい恰好であるかも知れないが、それはいたしかたがないと、こういうふうに押切つてしまうという危険もあるわけでありますが、これはどうお考えになるかれその点をお伺いいたしたいと思います。
  243. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) これはまあ将来の問題でございまして、予算の建前は現行価格で組んでありますので、これが将来経済界の変動その他で非常な激変なりその他があつた場合、或いは給与その他のまあ関係で、或いは生産費の変動というような問題で、予測できないような状況ができれば、これは又予算の問題として起きて来る問題と思いますが、現在予見される状況では、現在御審議になつておる予算の程度で二十八年度は済ましたい、こう考えておるわけでありますが、併し先ほど申上げました通り、それで収まるか収まらないか、それからそう価格がなつた場合に、既定予算の以内で賄えるか賄われないかというような問題は、これは具体的にやはり、いつ、そういつた価格がきまるか、或いはどのような程度においてきまるかというような問題との関連でございまして、今日どの財源からそれを賄うか、どの程度引上げるかというような点は、まあ残念ながら今日の場合私からお答えできる段階でないことを非常に遺憾に思います。
  244. 森八三一

    ○森八三一君 今の御答弁は、非常に私理解しかねるのでございますが、それじや具体的な数字はお伺いいたしませんけれども、副総裁がああいうような非常に誠意のある御答弁をなさつたことは、今監理官もおつしやつたように、すでに公社なり大蔵省としては或る程度の腹案があつて、それを審議会に両二回ほど持出して審議をしたが、まだ結論には至つていない、こういうお話でございました。その審議会に審議を求められておるものは、具体的な数字はお伺いいたしません。昭和二十七年度のものと比べて同額であるのか上つておるのか、それをはつきりして頂きたい。
  245. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 審議会にかけて公社の原案としてお諮りしておるのは、二十七年度の価格をそのまま据え置くと、こういうような案でお諮りしておるわけです。
  246. 森八三一

    ○森八三一君 そうすると、先日副総裁のおつしやつた、私が米価等の事例を申上げて、最近における経済事情なり、特に生産品そのものが農産物でありまするので、他の農産物価等とも比較をいたしまして、昭和二十七年度を据え置くことは無理だと、これは或る程度考慮をすべきではないかということを申上げたのに対して、それは御尤もだから十分考慮善処をいたしたい、併し決定は審議会に附議をして決定をしてもらうが、そういう心積りだということをおつしやつたことは、これは出しておる原案が昭和二十七年度と同じだというなら、現に考慮はしておらんという結論になつてしまうのだが、これは一体どういうことなんですか。
  247. 今泉兼寛

    政府委員(今泉兼寛君) 現在の公社の立場をこれは私が代理するような恰好になりますが、現在の公社の考え方は、昭和二十七年度といろんな様相を比較した場合にそう変つておらないという見方から、二十七年度の価格を二十八年度もそのまま据え置くということで審議会のほうに原案をお諮りしておるわけでございまするが、折角こういつた審議会を設けて生産者の意見等も十分聞いた上で、最終的にはまあ公社の総裁がこれを決定するという仕組になつておりまするので、まあ原案は原案といたしまして、今後審議しておる過程において、公社なり或いは政府なりがなおこれが妥当だという線が出れば、又別の結論が出て来ようかと思います。恐らく公社の総裁としては、現在はそういう考え方で、原案は出したけれども、今後審議会の審議の状況、或いは経済界その他の変動の状況等を考えて、公社の原案通りつて行くのが適当かどうかという問題については十分検討をしたい、こういう意味でお答えしたんだろうと承知いたしております。
  248. 森八三一

    ○森八三一君 今日は副総裁がいらつしやいませんので、これ以上質問を監理官に申上げても、これは御答弁できないと思いますので、この程度で今日は打切つておきますが、ただこの次この公社法の審議に関連して御質問をいたしたいと思いますので、公社のほうで十分それまでに統一した御答弁を願うようにお願いを申上げておきます。それは先日の御答弁に関連して、昭和二十八年度の薬煙草の賠償額を昭和二十七年度と同額で一応審議会に提案をされておるということは、一体どういうことなのか、それは昭和二十七年末にすでに公務員等におきましても給与の改訂が行われておるという事実等を見ましても、当然多数の耕作農民諸君もそれにふさわしい程度の収益を増してやるということでなければバランスがとれんのではないかというように、この一点だけを見ても考えられる、そういうときに同額でやつておられる理由が、一体どういう理由か。それから審議会で然るべく審議をして公正妥当なものが発見されるであろうから、それに専売公社は従う、まあ一応形式的に出すということであれば、それが決定された場合に、追加、補正等のことがないという前提に立つた場合に、それを実施するときに具体的には予算上どういうようなやり繰りで善処をされるのか、そういう方針があるのかないのかということを一つこの次お答えを願うようにお願いをしておきます。
  249. 小林政夫

    ○小林政夫君 どうも最前附則の三項で寝覚めの悪いような恰好になつたので、ともかくまあ非常に遺憾であつたということは確かだね、それでまあ実態において動くから、一応まあそういう意味において、甚だこれも野党的に意地悪く出れば、これを以て組替えを要求して云々という手もあるけれども、まあまあ了承いたしておきますが、そうすると、法律を改正通りにやつた場合に、この総則の書き方が変つて来ると思うのですね、率直に言つて、例えば第七条等についても書き方は変つて来ると思いますが、まあこの法律を施行する場合に、総則のこれを書き変えた案を一遍出して下さい。そのほかの質問は次回にいたします。
  250. 伊藤保平

    理事伊藤保平君) それでは次は関税定率法等の一部を改正する等の法律案について質疑を行います。
  251. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ちよつと関税部長にお聞きしたいのは、最近の諸外国の関税政策というものが全般的に一体どういう傾向になつておるか、相当の関税障壁を設けるようになつておるように私は思うのでありますが、あなたのほうで正確に言つてどういうふうな傾向に進んでおるかという点を一つ。  それから、それに対処する我が国の対策をどういうふうに考えて、どういう方針でこの一部改正案を出して来られたか、即ち税収本位ということで考えておられるか、それとも国内産業保護を本位に考えて出したのか、この点をお伺いいたします。
  252. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 大変重大な問題でございますが、世界的な関税制度の方面の思潮の流れを極く大体申上げておきます。第三次世界大戦が終りまして、各国は一応戦後の経済を回復いたしますためにはどうしても関税その他の通商上の障壁を除虫しなければならない、非常にまあ理想主義的な傾向が一時できたわけであります。まあその結果、一九四七年十月ガットというようなものもできたわけであります。ただその後、当時遭遇いたしました世界情勢はその後次第にだんだん変つて参りまして、世界が又一つに冷たく分かれて来るという傾向にもなり、又他方米国に非常に富が集つて、アジアのほうはなかなか思うように回復しない、こういうような事情もありまして、その後次第にやはり輸入制限、或いは関税障壁を設けるというような傾向が最近ちよこちよこ出て参りました。ただこの傾向に対しましては、ガットの加入におきましても相当内部にやはり強い批判がございまして、例えばアメリカあたりが一昨年あたりからいろいろな物について関税を上げようというような議論に対して、ガットの内部においては相当アメリカに対する抵抗もございますし、又多少初めの理想主義的な空気が少くなりましたとはいえ、まだなお世界全体におきましては、やはり世界貿易の拡大ということをモットーとしなければならんというような空気もあるわけであります。この遍非常に複雑な情勢になつております。  我が日本の関税制度といたしましては、一昨年全面的に従来の関税制度を改正いたしまして、従価五〇%を最高とするということの現行の関税制度ができた。ただその際におきましては、日本は従来に比べて非常に低い関税をとることによりまして、そのままの姿でもつてガットの精神に合致し、ガットに加入できるであろうというような理想の下にできておるわけであります。従いまして世界の各国の関税率に比べますと、日本は比較的低関税の国にあるわけであります。今回私どもがここに関税率の改正につきまして君子提案いたしたのでありますが、この二年間の施行後の状況を見ますると、その後部分的にはちよこちよこ直したほうがいいようなものが大分出て参りました。今回改正案を審議いたします場合に、各省からいろいろ意見を求めたのでありまするが、四十数品目に亘りまして関税率の改正の要望がございました。その大部分は関税率引上げのほうの要望であつたわけであります。私どもといたしましては、国内的に、苦しそれで納得できるなら関税率の引上げを簡単にやつていいじやないかというようなお考えがちよつと浮かぶと思います。私どもといたしましては、当面やはり日本がガットに加入して行かなければならん、加入申請いたしまして、すでに相当程度軌道に乗りつつあるわけでありますこの際といたしまして、関税率を一般的に引上げいたしましてするということは、非常に外国の心証を害する虞れがある、ガット加入にも支障を来たさないとも言えないわけでありまして、いろいろ各省から関税引上げの要望がありましたけれども、私どもといたしまして外国に対しても十分説明がつくものだけにできるだけ限定しようということで、実はサントニンほか六品目について改正いたしております。その狙い所は今回いたしましたのは、いずれも国内の産業の保護という見地に立つて、必要な最小限度と思われるものの関税の改正であります。まあこういう趣旨でございます。
  253. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そこでその前に、資料も提出を願いましたサフラン、セメンシナこれらはサントニンの原料になるものでございますが、このサントニンの原料になる国内産のものを資料をもらいましたけれども、まだやはりこれだけでは十分と言えないのじやないかと私は思うのでありますが、というのは、どうもこれはちよつと古い観念が入り過ぎているかも知れませんが、サントニンが一番密輸の対象になつたというので、或る政党の政治資金までがサントニンの密輸によつて賄われているのではないかと言われた、デマかどうか知りませんが。ところが今度提出して頂いた資料を見ますると、まだ十分でないとするならば、もう少しこれ無税にしておくということのほうが、ただ一割やそこらかけたんでは大した影響はないと思うのです。なぜ今ガット加入の前に無税を一割ぐらいにかけるなら、どうせ保護するというなら、もう少し高くかけたほうがいいのではないか。将来ももつと上げて行く方針であるのかどうか、この点を一つお伺したい。
  254. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) サントニンの最近におきまする国内生産量と輸入日量につきましては、先般資料を差上げました。これ御覧頂きますと、昭和二十六年あたりは国内生産量が四・一トン、それに対しまして輸入量は百四十八キロというような割であります。それから二十七年になりますと、国内生産量は八・五トン程度でありまして、これに対して輸入量一・三トンという数字に相成ります。現在国内の需要量はどのくらいかと申しますと、大体におきまして年間六トン程度あるわけであります。現在在庫といたしましては、最近四・五トン程度あるわけであります。国内的には十分もうすでに国産で賄える。最近においてはぼつぼつ輸出の話まで出ているような次第であります。従いまして、こういうふうになつて来ますと、サントニンを無税とすることは実は工合が悪い、と申しますと、サントニンの輸入価格が大体一キログラムで十万円、それに対して国産のほうは十三万円、まあ三割開きがある。今回無税でありました従来の関税率を二割にいたす、これによりまして価格の点から国産品が圧迫を受けることのないように配慮いたしたわけであります、現在といたしましては、この一割程度の関税でありますれば、どうやら国産の保護の目的は達成されるというふうに考えます。
  255. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 二割で保護できるとおつしやいますけれども、今の御説明でも、この間の資料でもわかりますように、そうなつて来ると、我々の言つたよりも、あなたの考えでは余つているのだ、こういうことですな。ところが実際問題として卸屋に行つてみますると、量にいたしましても、なかなかサントニンの不足が多いのですね。それは配給の面、価格が高いために医者のほうで使うことをどちらかというと、成るべく使わんようにするか、量を多く入れないためにこれが効かないのでありますが、厚生省に聞いてみなければおわかりにならんと思うのですが、あなたのほうで税率をきめる場合には当然厚生省とお打合せになつたと思うのですが、今の十万円と十二万円の関係から三割上げて対等の立場に置かせるのだと、こういうあなたの御説明でございましたけれども、それでは国内の輸入価格と国外の生産原価と言いますか、これとのバランスをとるための税の引上げである、こういうふうに解釈してよろしうございますか。
  256. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 国内的には十分賄い得るにかかわらず、価格の面から輸入品のほうが安いという場合においては、その関税をかけるというのが関税の一つのプリンシプルになつているのであります。先ほど一キログラム輸入品が十万円と申しました。これはCIF価格であります。実際販売しますとチャージ、マージンが入るわけであります。大体二割程度にいたしますと、これによつて国内的にも十分需要を満たし得る程度の生産をサントニンの産業はやつて行けると、こういうわけであります。それから又品質の点を申上げますと、これは物理的にも薬理的にも或いは又臨床実験の上からいたしましても、国産のサントニンは最近は絶対に外国品に遜色がないという結論になつています。こういう産業はやはり日本で保護すべきであるというふうに考えています。
  257. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次にテレビと無線のやつですがね。これは将来このくらいのやつは日本でやらせなければ、大いに奨励して保護しなければならん問題だと思うのですが、これはどうもまだ上げようが低いように私は思うのでございますけれども、この点はどうですか、価格等から考えまして。
  258. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 成るほど御指摘通り現状において比較いたしますると、実はこの関税率は合わない、但し日本のテレビジヨン受像機の生産事業というのは最近発達したばかりでございまして、これから大量生産ということになりますと価格もどんどん下つてくるわけであります。従いまして現在の価格を基といたしまして関税率を算定いたしますと、今回提案いたしましたように遥かに高くなるのでありますが、それを如何に関税率を持つて行くことが妥当であろうか、次から次へと安くなることもございますから、やはり企業者のほうにも努力をさせなければならんわけでありますから、この程度の関税率の引上げにとめておるわけであります。ちよつと最近の価格を申上げますと、現在は輸入品の十七インチ、十七インチと申しますと対角線のところが十七インチ、或いは円いとすれば口経が十七インチ、その輸入品の十七インチの価格が、CIF価格が約百八十ドルになつております。そのまま円に換算しますと六万四千八百円になりますが、ただ我が国の周波数とアメリカの周波数が違いますので、アメリカのものを持つてきてもすぐそのまま使えない、これに一万五千円程度の改造費を必要といたします。それを加えますと一台あたり八万五、六千円見当の数字になるわけであります。国産のほうは現在十七インチ物の販売価格は十五万円でありますから、これをそのまま必要な保護関税率ということになりますと九八%ということになります。併し只今申上げたようにまだテレビジヨン受像機の生産というものは始つたばかりでありまして、これからどんどん下る見込みであります。三年後におきましては十七インチ物の十五万円というものが大体半分程度になるだろう、こういう見込みになつております。将来を見越しましてぬくぬくと業者が生産することによる弊害をなくするために、且つ又関税率の高さから申しましても、そう高くは持つて行けませんから、数年後の先を考えましてこの程度で以て精々生産の計画を立てさせる、こういうつもりであります。
  259. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一つお伺いしておきたいのは、日本からパキスタンなり、インドなり、アメリカなりに、こういう品物は買つてもらわなければならんというので、向うも関税を安くしてもらい、日本側に向うからバーター式ではないにしましても、大体に見合うような品物だけは関税率をうんと引下げる、こういうような交渉も従来もあつたと思うのでありますが、今そういう政策上とられておる品物はあるかないか、そういう折衝を今後する見込があるかないか、その点を一つお伺いいたしたいと思います。
  260. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) これは関税交渉の問題になりますと、現に実はやや軌道に乗りつつありますが、日本のガット加入問題と密接な関係があります。恐らく只今の状況で申しますれば、今年の秋から冬にかけまして関税交渉が開かれるのではないか、それに日本も招請を受けまして、ガット加入の第一歩を踏むわけであります。その際にお互いに、やはり日本といたしましては従来のガットの低い税率の均霑を受けます代りに、相手側から日本に対しても、その率を下げることを要求されることが予想されます。その点を十分に頭におきましてやつているわけであります。品目につきましては、これを駆引きに使うというようなことは絶対に考えておらないわけであります。まあいろいろ各省から御注文のあつた、品目によりますればどうもそう引上げをやることによつて日本のガット加入に対して非常に好意を持つている国に対して、具合悪い面もあつた品目も多々あります。そういうものはこの際御遠慮願うと共に、関税交渉の際におきましては、日本側といたしましてはそういう日本の国内情勢も頭に入れまして、或る程度以上には引上げないというような約束にすることができるのであります。今回の関税率の改正につきましては、別に関税交渉を予想して引上げるということはいたしておりません。
  261. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一つお伺いしたいのは、国内の産業を少し刺激を与える上におきまして、外国の優秀な品物が入つて来ますと、どうしてもこれと競争しなければならんという、つまり技術の改善等も促進されることになると思うのでありますが、最近端的に考えられるのは時計でございますが、時計が非常に密輸入が多い。安くて精巧であるから密輸して来ても、あのくらい危険を侵して、密輸などというものは半分ぐらいはもう危険率は覚悟して持つてくるだろうと、こう思うのであります。ところがそれにもかかわらず商売になるというので、密輸が行われるというように見て差支えないと思うのでありますが、それだけ日本の時計技術というものはどう考えても、時計ぐらいはせめて負けない、負けないというのは、アメリカでもスイスにはなかなか太刀打ちはできんらしいのでございますが、こういう方面、自動車は特に外国の自動車に乗るのと国内産の自動車に乗るのと、大分乗心地が違うのでありますが、そういうことは今の関税政策の上において考えておられる面があるのか、そういう政策をとり入れた関税率というものは、関税定率の中にとり入れられているかどうか、国内産業を刺激するために少し安くしておいてはやらしている、こういうふうな品物があるのかどうか、一つお伺いしたいと思うのですが、将来それが考慮されるかどうか。
  262. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 現在の関税率におきましては、生産を刺激するために特に関税を低くしている、或る程度関税率を低くしているというものはないように私どもは、品目が約九百以上ございますので、今一つ一つ当るわけに行きません。初め作りましたときには、特に刺激するために関税を低くしたというようなものはございません。
  263. 小林政夫

    ○小林政夫君 先ほど問題になつたガソリン税法案の関係があるので、ガソリン税について諸外国から関税を、諸外国の例えば英国、フランス、西独というのは何パーセントかけておりますか、ちよつとあとで書いて下さい。
  264. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 輸入関税ですか。
  265. 小林政夫

    ○小林政夫君 輸入関税です。
  266. 伊藤保平

    理事伊藤保平君) 本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時に開きます。    午後五時二十八分散会