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政府委員(今泉兼寛君) 今回の改正では、先般政務次官から改正の要綱について申上げました
通り、専売公社の企業活動に弾力性を与えまして、その合理的な円滑な運営をなすことを目的としている次第でございます。
その具体的な内容は、第一点としまして、公社は予算の定めるところによりまして「
大蔵大臣の認可を受けて、その業務に直接関連し、且つ、業務の運営に必要な事業に投資することができる。」という新らしい条項を加えたこと。第三点といたしましては、事業を企業的に経営することができるように、予測できない事態に順応いたしまして、予算に弾力性を与える、これが第二点でございます。それから第三点といたしましては、予算の流用、繰越の制度を改正いたしまして、公社の事業の円滑な遂行ができるようにした。第四点といたしましては、専売納付金の
計算方法を改めまして、棚卸資産の増加額を控除しないことに改めた点でございます。第五点といたしましては、公社の業務にかかわる現金の取扱に関して若干の改正を加えた点。第六といたしましては、能率の向上による
収入の増加又は
経費の節減によ
つて生じました金額の一部を予算の定めるところによりまして、
大蔵大臣の承認を受けて、特別の給与として公社の職員に支給することができるようにしたこと。
最後に、その他公社の予算の形式、内容、手続等につきまして若干の改正を加えた、これが改正の主立
つた要点でございまするが、なお若干詳細各条に亘りまして逐条御説明申上げたいと
考える次第であります。
先ず最初に、公社が新らしく、業務内容といたしまして、公社の業務に直接関連し、且つ、業務の運営に必要な事業に投資することができるという新らしい条項を加えた点でございまするが、この点は、二十八
年度の予算といたしましては、これに必要な
経費、目的、
限度というものは予算には載せてございません。
従つてこうい
つた投資は二十八
年度においては現在予定はしておりませんので、三十九
年度以降においてこういう事態が起きました際は、
考慮せられる、こういうことに相成ろうかと
考えております。どうい
つた点を
考えておりますかと申しますと、今小名浜でや
つております加圧式製塩
方法という塩の製造
方法でございまして、海水から直接塩を取るという工場を公社直営で試験的に小名浜に作
つておるわけでございますが、こうい
つたものが全般に普及して参るというような際に、そうい
つた工場の設備を民営に移す際に払下げるとか、或いはそれに必要な特許
関係を払下げるとか、こういう問題が起きて来るんじやないか。それからもう
一つ、合成塩のこれも公社の中央試験場で中間工業試験を今年から始めようということで入
つております。こうい
つた問題も公社直接でや
つたほうが適当であるか、或いはこれを民営に移したほうが適当であるかという問題等もまだ検討中でございまするが、将来これを民営に移すとい
つたような場合は、そうい
つた特許権なり、或いは工場の一部を現物出資するというようなことで投資の必要も起きて来るのではなかろうか、まあ
考えられる点としては、現存そういう点を
考えている次第でございます。
それから予算の弾力性を与えた点でございますが、現在現行法によりましても、予備費の条項の中に、この「予備費を使用して、なお事業のため直接必要とする歳出予算に不足を生じたときは、予算の定めるところに従い、専売品の売上量の増加により
収入の見積をこえる
収入に
相当する金額の一部を事業のため直接必要とする
経費に使用することができる。」という条項がございまして、予備費を使
つたあとでなお不足する場合は、そうい
つた収入の増をこうい
つた支出に充てることができる規定はございまするが、これはやはり予備費を使
つてしまわないと、そうい
つた弾力条項が発動しないという現行の仕組にな
つております。これでは予備費にも
限度がございますし、予備費を使
つてしまわないとそうい
つた支出ができないということは非常に不便でございまして、仮に予備費を使
つてしま
つて、あとで災害その他の予備費本来の必要性が起きた場合には、すでに予備費がなくな
つてしまう、こういう不都合な事態も生じまするので、今回はそうい
つた予備費は予備費として留保しておいても、事業の増加とか、経済
事情の変動その他予測することができないような事態が起きた場合は、公社の予算は、
収入の増加の一部分をこれに充てることができるということを予算総則で謳
つております。
従つてこの改正によりますると、予備費はそのままにして、専売
収入その他があが
つた場合は、必要な
経費にこれを充てることができるという大幅の弾力性を与えることに
なつたわけでございます。
それから予算の内容、形式の問題でございまするが、これは現在は政令その他で規定しておるわけでございまするが、今回はこうい
つた予算の形式、内容は、予算の基本的な問題であるという観点から新らしくこれを立法事項といたしまして規定を設けたのが、三十四条の三、三十四条の四等でございます。それから三十四条の四の第六号という中に、先ほど投資の点について申上げましたが、ただ投資を無
条件に一任するのではなくて、ここの第六号に「公社の投資の目的及び金額」ということを予算総則で謳
つて、どうい
つた目的に投資するか、或いはどの
程度の金額のものを投資するかということをやはり
法律内容とした次第でございます。それから現存公社の予算の建て方は、国の予算と同じような、やはり歳入、歳出という文字を使
つておりまするが、こうい
つた文字はやはり企業会計の
収入、支出というふうに書いたほうがいいんじやないかということで、その使い方も
収入、支出というふうに改めまして、なお現在款と項との款項に分けてあるわけでございまするが、この歳入予算についてみますると、款というのは二款にな
つております。専売事業の
収入というのと、雑
収入ということにな
つておりますし、歳出のほうは一款、一項でございまして、事業費と専売公社事業費ということにな
つておりまして、その歳入のほうも雑
収入というのはほんの僅かな金額でございますし、歳出予算のほうは一款、一項にな
つている現況からい
つても、款ということの多く必要がなかろうということで、款ということはなくしまして、項一本にしたわけでございます。
それから先ほ
どもちよつと申上げましたが、予備費の点につきましては、従来は予備費につきましても若干きつい制限を受けるやに見られるような文句で書いてお
つたわけでございます。即ち「専売品の売上量の増加その他予見し難い事由」というようなことで書いてありましたのを、今回は「災害の復旧その他予見することができない事由」というふうに多少ゆるやかな規定で、この予備費の支出ができるということに改めたわけでございます。
それから先ほどちよつと申上げましたが、この
一般の弾力条項との
関係において非常に今までは縛
つてあ
つたのを、予備費を使い切らなくても弾力条項を今度拡めまして、必要な
経費は出し得ることにしたわけでございます。
それから追加予算とか暫定予算、こうい
つたことについては、少し字句その他は修正いたしましたが、余り内容的に重大な修正はございません。
次に予算の流用の問題でございまするが、現行法では
大蔵大臣が指定する一定の
経費以外は流用することができないという
建前にな
つておるのを、今回はその
建前を改めまして、
原則として流用できる。流用できない費目は、
大蔵大臣の承認を受けなければならんということで、従来の縛り方を主客転倒させまして、
原則的に流用ができる。項の間の流用ができるという
原則に改めたわけでございます。流用できない費目といたしましては、予算総則の五条に謳
つてありまするところの役職員の給与、補助金及び交付金、更に交際費、これだけは
大蔵大臣の承認を受けなければ流用ができないということに留保した次第でございまするが、それ以外の費目については、
原則として項の間の流用はできるということで、公社の経理の弾力性を与えるというようにしたわけでございます。
それから予算の繰越でございまするが、現在は繰越明許費という費目がございまして、繰越のできるのは特定の費目だけに限
つて繰越が認められてお
つたわけでございまするが、今回はもう
一般的に繰越はできるという
原則に改めまして、若干現在はまだ予定はいたしておりませんが、特に
大蔵大臣の承認を受けなくちやならんということで、予算総則等でこれを留保するもの以外は、
原則としてもう繰越使用ができるという
建前をと
つたわけでございます。但書で「予算で指定する
経費の金額については、あらかじめ
大蔵大臣の承認を受けなければならない。」という規定は必要ございまするが、現在の予算総則では、それではその費目はどれかということは何らまだ規定してございません。
従つて現在はこういう規定がございませんから、規定がといいますか、そうい
つた費目を予算総則で挙げておりませんから、どの
費用も
原則として、これはもう繰越ができるということになるわけでございます。
それから利益金の納付の条項でございまするが、現在は利益金の
算定をする際に、棚卸資産の資産額というものは利益金から控除する
建前にな
つております。例えば葉煙草のストックとい
つたようなものは、棚卸資産の増加額、例えば煙草、葉煙草等が原料費として
相当増加したという場合も、これは控除して専売益金の
算定の基礎にしないことにな
つておりまするが、今回はこの棚卸資産の増加額は控除しない
建前に改めまして、それも益金の
算定の基礎にするということにしたわけでございます。こうい
つた棚卸資産がストツクにな
つて、その年はストツクになるわけでございまするが、翌年は当然これはもう
収入として入
つて来るわけでございまするので、
一般の企業会計の
建前に従いまして、こうい
つたふうに改めた次第でございます。
それから次に現金の取扱でございまするが、現在現金の取扱につきましては「
日本銀行の支店又は代理店その他
大蔵大臣の指定するところの金融機関」というふうな規定はございまするが、ただ
日本銀行及びその代理店以外に預け入れする場合の制限といたしまして、現金を安全に取扱うためとか或いは
日本銀行の支店又は代理店を簡便に利用できないときとか、こうい
つた制限規定においたわけでございまするが、今回はそうい
つた一応の制限規定はとりまして、「業務上必要があるときは、政令の定めるところにより、郵便局又は銀行その他
大蔵大臣が指定する金融機関に預け入れることができる。」というふうに若干
条件そのものを緩和するように改めた次第でございます。
それから特別給与の問題でございまするが、能率の向上により、
収入が予定より増加し、又は
経費を予定より節減した場合においては、その
収入の増加額又は
経費の節減額の一部を、
大蔵大臣の承認を受けて特別の給与として支給できるという項目を加えましたことは、これは先般、昨年の暮に仲裁裁定が下りまして、公社には賞与制度が今確立されていない。その賞与制度に代る制度として、こうい
つた益金の増とい
つたものがあ
つた場合については、やはり職員の努力に報いるために、その一部を業績賞与として職員に支給するのが適当であるという勧告がございましたので、それを
政府といたしましては尊重いたしまして、こうい
つた制度を設けて将来公社職員がその企業努力によ
つて収入を増加した場合、そうい
つた収入の一部をいわば業績賞与として支給することができるという特別手当の制度を新たに設けた次第でございます。
あと若干字句その他の修正等はございまするが、大きな点としては、今申上げた次第でございまして、なお御説明で足りない部分は、御質問によ
つて御
答弁申上げたいと
考えております。