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1953-03-10 第15回国会 参議院 大蔵委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十日(火曜日)    午前十一時一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            大矢半次郎君            木内 四郎君            伊藤 保平君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            小林 政夫君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            野溝  勝君            松永 義雄君            堀木 鎌三君   政府委員    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君    大蔵省主税局税    制第二課長   塩崎  潤君    大蔵省理財局長 石田  正君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省理財局証    券第一課長   飯田 良一君    大蔵省理財局証    券第二課長   小林 鎮夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員補欠選任の件 ○印刷局特別会計法等の一部を改正す  る法律案内閣送付) ○金管理法案内閣提出) ○小額通貨整理及び支払金端数計  算に関する法律案内閣提出) ○証券取引法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○証券投資信託法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○物品税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○砂糖消費税法の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○登録税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○国税徴収法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○納税貯蓄組合法の一部を改正する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) これより委員会を開会いたします。  先ず小委員辞任についてお諮りをいたします。昨日請願及び陳情に関する小委員岡崎真一君並びに大野幸一君より、それぞれ小委員辞任したい旨のお申出がございました。右申出通り両君辞任を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  つきましてはこの際右両君並びに去る二月六日委員辞任されました菊田七平君の補欠を選定いたしたいと存じまするが、前例によりまして委員長から指令をいたしますることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それでは請願及び陳情に関する小委員に、西川委員小林委員及び松永委員を御指名申上げます。
  5. 中川以良

    委員長中川以良君) 次に印刷局特別会計法等の一郎を改正する法律案金管理法案小額通貨整理及び支払金端数計算に関する法律案証券取引法の一部を改正する法律案証券投資信託法の一部を改正する法律案、右五条を一括議題とし、先ず政府より提案理由説明を聴取いたします。
  6. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 只今議題となりました印刷局特別会計法等の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  造幣局印刷局国有林野事業アルコール専売事業及び郵政事業の各特別会計に属する「公共企業体等労働関係法の適用を受ける職員に支給される給与は、その総額が予算で定められているのでありますが、この給与総額につきまして弾力性を与え、能率の向上により、収入が予定より増加した場合又は経費を節減した場合におきましては、その増加額又は節減瀬の一部を特別の給与として支給することができることとしようとするものであります。  第二に金管理法案につきまして、提案理由説明いたします。  従来、政府は、金につきまして全面的に価格及び配給統制を行い、新産金等はすべて強制的に買い上げると共に、国内産業、工芸、歯科用等に必要な加工用金は、政府保有金のうちから割当売却することとし、又政府の買入価格払下価格及び業者販売価格は、すべて政府が公定していたのであります。  併しながら最近金の生産量が漸次上昇し、加工用金に対する実需増加する傾向にあることにかんがみ、対外決済準備に必要な金以外の金につきましては、従来のような厳格な統制を続ける必要はなく、自由な価格で自由に取引できるようにし、以て金鉱業の育成に資すると共に金実需増加に応ずることが適当であると考えられるのであります。  この法律案におきましては、以上の趣旨によりまして、政府強制買上げをする金は、新産金のうち政令で定める割合のもののみとし、これに伴い割当制度加工用金売さばき業者等監督制度を廃止し、金の取引を自由といたしました。ただ、自由取引実施に伴い、国内及び国際の事情を考慮して金の取引実態把握に必要な報告を徴することにいたそうと考えるのであります。  第三は小額通貨整理及び支払金端数計算に関する法律案提案理由説明申し上げます。  最近における取引実情に鑑みますに、一円未満補助貨幣小額紙幣及び日本銀行券は、取引上殆んど利用されていない状態でありますので、これらの小額通貨整理すると共に、今後一円未満通貨発行を停止することとし、更にこれに伴い、現金支払の場合における端数金額計算基準を定めて取引円滑化を図る必要があると存ぜられます。  以上の理由によりまして、この法律案を提出した次第でありますが、次にこの法律案内容につきまして申し述べますと、  先ず、一円以下の臨時補助貨幣一円未満貨幣小額紙幣及び日本銀行券は、昭和二十八年七里二十一日限り通用を禁止し、翌日以後昭和二十九年一月三十日までの間に、日本銀行及び郵政官署において他の通貨と引き換えることと致しました。  引換に当り。小額通貨合計額一円未満端数があるときは、五十銭未満切り捨て、五十銭以上一円未満は、一円と引き換えることといたしました。  この措置に伴いまして、債務の弁済を現金支払により行う場合円位未満端数額支払上紛争を生ずる虞れがありますので、当事者間の特約がない限り、五十銭未満端数切り捨て、五十銭以上一円未満端数額一円として、計算することとしたのであります。  又、国又は公社等が収納し又は支払う場合についても、国庫出納金等端数計算法に同様の趣旨改正を加え、その他補助貨幣損傷等取締法臨時特例等関係法令の改廃を行うことといたしております。  第四に証券取引法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明申し上げます。  現行証券取引法は、施行以来、既に五時近くを経過いたし、その間経済の進展に応じ数回に亙り改正が行われて来たのでありますが、独立後のわが国の経済、特に最近の証券市場の実状にかんがみ、有価証券募集又は売出に関する届出制度を簡素化すると共に、証券業者に対する監督規定を整備し、合せて証券取引所機能公共性に顧みその設立免許を要するものとする等の必要があると考えられますので、この法律案を提出いたした次第であります。  その内容について申し上げますと、第一は、投資者保護に支障のない限りにおいて有価証券発行者の負担を軽減するため、有価証券募集又は売出に関する届出制度を簡素化したことであります。即ち担保附社債券等は、当分の間、募集又は売出届出を要しないものといたします外、大蔵省令届出を免除することができる有価証券が現在その額面又は発行価額総額において千万円までのものに限られておりましたのを、その額を引き上げ、五千万円といたしたのであります。  第二は、弱体業者の濫立を防ぎ、もつて投資者保護に資するため、証券業者登録拒否原因となるべき事項として、新たに、登録申請者が株式会社でない場合及び登録申請者の純財産額政令で定める資本の額の九割に満たない場合を追加し、又証券業者に対する監督を強化し、資力薄弱な証券業者顧客から適当な数量の有価証券を借り入れ又は預託を受けている場合には、これらの有価証券顧客に返還することを命ずる等の措置をとり得ることとしたのであります。なお、現行証券業者の信用の供与に関する規定につきましても、これを我が国実情に即せしめ、弾力性のある運用を図る余地を開いたのであります。  第三は、証券取引所機能公共性に顧みまして、証券取引所設立登録制度から免許制度に改め、又、証券取引所定款等を変更するときは、大蔵大臣認可を受けなければならないこととし、取引所監督規定を整備いたしたのであります。  最後に、証券投資信託法の一部を改正する法律案につきまして提案理由説明申上げます。  証券投資信託につきまして一昨年実施以来、相当の好成績を収めて参つておるのでありますが、その間の実施状況に鑑みまして、今後は一段と公益及び投資保護のため積極的な措置を講ずることが必要であると存ぜられますので、証券投資信託委託会社監督を強化する等のため、この法律案を提出した次第であります。  その内容でございますが、先ず、委託会社免許制を採用したことでございます。従来の登録制度におきましては、実質的に委託者として適格かどうかを審査し得ない憾みがありますので、免許制度を採用し、真に委託者として適格と考えられる者に限りまして免許をすることとした次第であります。なお現在登録済み委託会社につきましては、いずれも委託会社として適格と考えられますので、自働的に免許を受けたものとみなすことにいたしておるのであります。  次に、委託会社免許制度を採用しましたことに伴いまして、委託会社監督を整備強化し、委託会社の取締役が、他の会社の常務に従事し、又は事業を営もうとする場合には、大蔵大臣の承認を受けなければならないものとするほか、委託会社業務庭止等は、大蔵大臣認可を受けなければならないこととしたのでございます。更に、委託会社信託財産に重大な損失を生じせしめた場合等におきましては、大蔵大臣は、新たな信託契約の締結又は元本の追加信託をしてはならない旨を命じ又は免許の取消をすることができることといたしておるのであります。  なお、委託会社又は受託会社免許を取消された場合に、既存の信託契約を直ちに解約することが受益者に不利となるときは、当該信託契約に関する業務を他の委託会社等に引き継ぐことを命じ、又は当該委託会社が暫定的に当該信託契約を存続することを承認することができることとしたのでございます。  以上がこの五つの法律案提案理由並びに内容の概略であります。何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことを切望いたします。
  7. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今提案理由の御説明を聞きました金管理法案以下西律法案につきまして、内容の逐条的詳細なる説明を聴取いたします。
  8. 石田正

    政府委員石田正君) 先ず金管理法でございますが、第一条には目的が記してあるのでございます、これは前後二段に分れておりますが、前段で申してありまするところの趣旨は、従来金を全面的に集中いたしておつたのでございますが、これを改めまして、政府対外決済準備として必要な量のみ買上げることといたしました。それ以外のいわゆる加工金につきましては、その取引を自由にしようということが前段に書いてあるわけでございます。それから後段は、新産金一般的取引実態を調査するために、そのことができますような措置を講じたいという趣旨でございます。  それから第二条でございまして、この定義が従来の金管理法と違つておりまするところは、従来金鉱物という定義金地金というものだけの定義を下しておりまして、その間におきまして、若干疑義の生じやすい部分がございましたので、新たに第二項に粗金という概念を加えまして、そうして金鉱物粗金金地金、こういう三つのカテゴリーに分けることにいたしたのでございます。金鉱物とは金を含有するところの鉱物及びそれから製錬で得られるところのものを意味するのでございますが、それが相当の金を含有することになりまして、その品位が千分中一以上九百九十九未満の場合におきましては、これを粗金と言い、その純分が千分の九百九十九以上でありまする場合には、金地金という、というふうに規定いたしておるのでございます。  第三条は、以上のような定義に基きまして、金鉱物の製錬又は採取によりまして新たに粗金を取得いたしました者は、これは主として金鉱業者になるのでございますが、そういう人たち粗金を採取いたしました日の属する月の末日から三カ月以内に、その取得いたしました粗金中に含まれるところの金量の中で、政令で定める金量金地金に精製いたしまして、政府に売却するということでございます。尤もその金鉱業者の中で、金地金に精製するところの設備等を有しない関係上、造幣局に委託いたしまして、金地金といたしまして、政府に売却するということも勿論認められるという趣旨但書において書いてあるのでございます。それから第二項は今のように三カ月以内という期間が書いてございますが、災害その他止むを得ない事由がありまする場合におきましては、その申請によりまして売却期間の延長をすることができることといたしてある次第でございます。そこで第一項、第二項に関連いたしまして、新らしい、政府に売却いたしますべきところの金の地金の量というものはどのくらいかと申しますると、極く大ざつぱに申しまして、三分の一ということを予定いたしております。これは従来でも、現在のところでは三分の一だけ政府に保留いたしまして、そうして三分の二は加工金として還元するという建前をとつておるのでありまして、実質的から申しますならば、その点は変りがないわけでございます。それではその一項、二項でありまするところの三分の一を除いた三分の二はどうするかということにつきましては、何らの規定がないのでございまするが、これは要するに粗金又は金地金に精製いたしまして、金鉱業者産業用として他に売却することを一切自由にするということを、その裏に含んでおるわけでございます。  それから第四条の買入価格でございますが、これは今申しました大体三分の一のものを政府が買取りまするところの場合の価格、これの基準を示してあるのでございまして前回の場合におきましては、まだ国際通貨基金協定への加入が確定いたしておりませなんだので、その基準をこういうふうな意味では規定いたさなかつたのでありますが、現在我が国国際通貨基金協定に加入いたしておりますので、その第四条規定によりまして、その価格範囲内で主務大臣が定めるということにいたしたのでございます。更に砕いて申しまするならば、今アメリカのドルの値段というものは、一オンス三十五ドルということに相成つておりますが、この三十五ドルから一ドル三百六十円というもので計算をいたしますると。一グラムは日本の円で四百五円九銭に相成るわけであります。その一考の範囲内で以て政府が売買を高いところ、低いところでやつてよろしいという規定になつておるのでございまして、大体政府といたしましては今申しました四百五円九銭というような数字の九銭を切捨てまして、四百五円で依然買上げて参りたいと思つているのであります。これは従来と同じことでございます。第四条は第三条に対応するものでございまして、第三条の説明の場合に今の三分の一を除きました三分の二のものにつきましては、何ら三条に規定がないのでありますが、四条におきましても同様それに見合う規定がないのでございまして、これはその価格を自由にしようとする趣旨でございます。  それから第五条は、これは政府金地金を売却すべきところのもの、義務のあるところのものから、即ち主として金鉱業者がその売却義務を正確に履行しているかどうかということを確認いたしますたにめ、必要な報告を徴することができるというのが第一項でありまするし、第二項はその検査が行えるということを規定しておるのでありまして、第三項は第二項によるところの検査の場合におきまして、当該職員が身分を明らかにするところの関係規定いたしておるのでございます。それから第四項は、これは犯罪捜査という意味で以てやるのではないという念のための規定を盛つてあるわけでございます。  第六条はこれは金鉱業者から金地金又は粗金を買受けました向に対しまして報告を求めることができる規定でございます。即ち政府といたしましては、政府買上げる金以外の金につきまして、その取引状況を明らかにしておくことが通貨基金に対するところの関係、及び今後の施策上からいたしまして、必要を生ずる場合が考えられまするので、金鉱業者から、金地金又は粗金を買いましたものから報告を徴することができるようにいたしておる次第でございます。  第七条は、主務大臣及び主務省令所管区分を明らかにするため所用規定を設けたものであります。  八条、九条及び十条はこれは罰則規定でございまするので、省略させて頂きたいと思います。  附則の点でございますが、附則の中で主な点を申上げますると、第三項におきまして、例えば本法施行前に取得されましたところの金地金でまだ政府に納入されていないものにつきましては、やはり改正前の金管理法規定によりまして従来通り政府に売却させるということを規定いたしましたところの経過規定でございます。それから第四項は、これは所管事務範囲及び権限につきまして、大蔵省設置法及び厚生省設置法所用改正を加えたのでございますが、これは要するに大蔵省におきましては金地金配給ということがなくなりましたのでそれを削るということ、それからして厚生省につきましてはやはりそういう配給関係の点につきまして削除を行おう、かような次第でございます。一応金管理法につきましてはこの程度にとめさせて頂きます。  次に小額通貨整理及び支払金端数計算に関する法律に移らして頂きたいと思います。  第一条は、法律制定目的を示しておるのでございますが、その主眼といたしまするところは、最近におけるところの取引実情に即応い為しまして、すでに発行いたしました一円未満通貨整理し、今後一円未満額面通貨発行しないということを先ず第一条に規定いたしておるのでございます。ところでこの第一行目に「一円以下」と言いまして、臨時補助貨幣だけにつきまして一円というのが入つておりますが、これは現在通用しておりますところの一円黄銅貨につきまして、前回議員立法によりまして補助貨幣損傷等臨時特例というものが制定されまして、そうしていわゆる実質価値名目価格を超えておりまするようなものにつきましては、その鋳潰をいたしましても、罰則を適用しないという特別の法律が制定せられておるのでございます。こういう恰好の法律を長く残しておくことは如何かと思われまするので、この際併せてこの一円黄銅貨につきましても発行を停止することにいたしました。従いまして整理いたしまするならば、補助貨幣損傷等取締法それ自体の対象たるところの貨幣でなくなります。従いまして臨時特例は要らない、こういうことに相成りまするので、その点を併せて整理いたしたいというので、臨時補助貨幣だけにつきまして一円以下という一円を含めた次第でございます。それから第一条の後段でございまますが、一円未満通貨整理に伴いまして、それは発行も停止するのでございまするから、今後現金支払の場合におけるところの端数をどうするかということが問題になるのでありまして、その基準を定めようということが後段に記してあるわけでございます。  それから次に定義でございますが、これは今度整理いたしますところの小額通貨というものの内容を明らかにすることを目的といたしまして、大体四つの概念を用いております。第一は小額補助貨幣でございまして、これは第一項にありまするように、二つの法律に基くところの一円以下のものを記してあるのでありまして、この第三番目にありまするところの「臨時通貨法規定により政府発行した臨時貨幣のうち額面価格一円以下のもの」ということでここに一円というものを含ませて書いてございますが、これは第一条において説明いたしたものが含んであるわけでございます。それから第二項では、小額紙幣といたしまして、政府発行いたしますところの第一項にありまするところの硬貨ではない、即ち紙幣のほうの分を示しておるのでございます。第三は発行主体日本銀行でありますところの小額日本銀行券規定を設けたのであります。この政府発行いたしまするところの硬貨と、それから紙幣日本銀行発行しますところの紙幣、この三つのものを合せまして、第四項に全部含めまして、これを小額通貨という、というふうに定義をしたわけでございます。  そこで第三条以下が実態的な規定と相成るわけでございますが、第三条におきましては、この小額通貨を本年の七月三十一日以降、その通用を禁止いたしまして、そうしてそれからあとは八月一日からはその引き換えを行うということの原則規定しておるのでございます。通過後の禁止規定につきましては、本法施行後或る程度猶予期間を設けることが必要であると考えられまするので、大体これは四月に仮に施行いたしたといたしまするならば、大体四カ月の猶予期間を置こうということが第一項の趣旨でございます。それから第二項以下、四条から六条に至りますところの引換に関する根拠規定をここに設けた次第でございます。  第四条でございますが、これは引換請求に関するところの規定でございまして、原則的に引換期間につきましては、第一項に、本年の八月一日から来年の一月三十一日まで六カ月間を定めたのでございます。それから引揚者がこれから帰つて参りますことが考えられますが、その場合に持帰り金等につきましては、特段の規定を設ける必要があろうかというふうな意味で、第二項におきまして、その第一号でその規定を設けました。  それから、第二項に更に例外を設けましたのは、これは刑事裁判証拠品として押収したものなど、或いは警察官署拾得物といたしまして保管されているもの等につきまして、澗宜例外的な規定を設けたい、かように考えて第二号を置いておるわけでございます。それから、この第三項で「通用を禁止したる貨幣紙幣引換に関する件」というのがございますが、これは貨幣紙幣通用を禁止いたしました場合には、大体五年間の間に引換えを行うというふうな基本原則を書きましたところの法律でございますが、これは以上の一項、二項のような規定を設けたのに伴いまして、この規定を排除しようという意味で、更に三項をかかげた次第でございます。それから、なおこの第一項の但書のところで、五十銭未満端数額につきましては、これは引換請求権がないというふうな一応形にいたしておりますが、この五十銭未満につきまして、どういたしますかということにつきましては、更に第六条に規定があるわけでございまして、そこへ参りまして御説明をいたしたいと思います。それから、第五条でございますが、これは引換えの事務実施日本銀行に依頼しよう、こういうわけでございます。なお日本銀行の店舗も限られておりますので、郵政官署におきましても、その事務を扱つて頂きたいというのが第二項に相成つておるわけでございます。  第六条でございますが、これは小額通貨引換えを行う場合に、その合計額一円未満端数がある場合にはどうするかということでございます。これは一円未満端数金額につきましては、国庫出納金等端数計算法におきまして、五十銭未満は切捨てる、五十銭以上は切上げるという規定もございますが、その処理方法を勘案いたしまして五十銭以上については、一回限りこれを一円として引換えるということを規定いたした次第でございます。  第七条は、これは日本銀行が今のような引換えをいたしますると、第六条との関係で、五十銭以上の端数のつきますのについて一円を渡します関係上、日本銀行といたしまして損失を生ずる場合がございまするので、その場合につきましては、その差額損失に相当する額を政府が交付するということにいたした次第でございます。  第八条は、これは報告に関する規定でございます。  第九条は、これは小額通貨の未回収残高につきましては、その準備金にいわゆる債務がなくなりますところの部分につきまして、政府に納入を命ずるというところの規定でございます。なおこの小額紙幣につきまして、「大蔵大臣が定める金額」ということが第一項に書いてございますが、これはいわゆるこの引揚げとか、或いは先ほど申しましたような関係で例外を認めまする関係上、そういう金額を差引いた額だけ納入するというふうにいたした次第でございます。それから第二項は、これは日本銀行券関係でございまして、その点につきましては、日本銀行券発行高から一応未回収残額を落しますると同時に、第三項におきましては、特別の勘定を設けて区分整理する。そ為から又毎本銀行はその金額の中から引揚者等の場合におきまするところの例外の金額を除きましたものにつきまして政府に納入させる、かようなことにいたしておるのでございます。それから第五項につきましては、四項できめるもののほか、いわゆる第二項の規定によりまして除去いたしましたものに相当する財産の処理に関しまして、又政令で削除規定を設ける、こういう趣旨でございます。  それから第十条は、小額通貨整理いたしまするということの当然の帰結でありまして、政府は今後そういう一円未満通貨発行しないということを明らかにいたした次第でございまして、又日本銀行一円未満日本銀行券発行しないということにいたした次第でございます。  それから第十一条でございますが、これは債務の支払いを現金でやりまする場合に、小額通貨がございませんで、その端数額支払いを現金で行うところの基準を定めたわけであります。これは要するに特約がない場合には、第六条及び国庫出納金等端数計算法の例にならいまして、四十九銭までは切捨て、五十銭以上は切上げという原則規定いたしたのであります。それから第二項で国と公社とにつきまして適用を除外しておりますが、これは国庫出納金等端数計算法によりまして規定せられまするので、その関係をここに示した次第でございます。  次に附則でございますが、附則の第一項はこの法律は公布の日から施行するのに対しまして、十条、十一条及び雑則の第二項以下の規定小額通貨の流通禁止に伴う措置でございますので、八月一日から施行するということにいたしたのでございます。  附則の一項、三項、四項、この三つの項のものにつきましては、一円以下の小額通貨整理するのに伴いまして、補助貨幣損傷等取締法臨時特例、これは先ほど申しました通り、その必要がなくなりましたので、これを廃止する、それからこの附則の第四項のところで、併しこれは施行前に行われましたところのもの、これの罰則の適用の疑義をなくするために、第四項が設けられてあるわけであります。二項の一のほうの小額紙幣整理法でございますが、これは靖国神社のしるしがついたもので、大体すでに過去におきまして整理されましたところの小額紙幣に関する整理法でございまするが、その対象となりました五十銭、二十銭、十銭という三つの種類のものがあるわけでありますが、その中で以て引揚者の持帰り分等の引換えにつきましては、この新しい法律の対象たる小額紙幣と同様に取扱うというようなふうにすることが適当と認められましたので、先ず二項におきまして、小額紙幣整理法を廃止いたしますと同時に、第三項におきましてそれに伴うところの措置を記したというような次第でございます。  附則の第五項でございますが、これは簡易生命保険の保険料の中には、一円未満端数がある場合がありますので、その場合を如何にするかという処置を示したのでございます。昭和二十一年の九月三十日以前の契約におきましては、十銭二十銭というような小額のものを月掛けでめ納るというような例があるのでございまして、これについては一応の措置は講じておるのでございますが、その中でその処理がきまつてないところのものにつきましては保険料を一年分、即ち前金で出してもらうというふうなことにいたしたいということを記してあるわけでございます。それから、この但書のほうは、要するに、団体保険その他で一括して持つて参りまする場合には、一件一件でなくして、そのまとめて持つて来た総額について合算したところで四十九銭は切捨て、五十銭以上は切上げということをしようというのでございます。それから、第六項は、今の第五項の但書と合せて、そういう意味で一体をなすわけでございます。  第七項のところは、これは先ず第一条から四条まで二つの行に分れて書いてありますところの部分は、これは公団とか、商船管理委員会とか、閉鎖機関整理委員会というふうなものが廃止されたり、或いは清算結了をいたしましたのに伴いまして、この際条文の整理を行おうという趣旨でございます。それから、五条と書いてありますところのものでございますが、これは、入場税など税率の関係上課税標準のほうで一円未満端数額が生ずる間接税がございまして、そういう場合におきまして、端数を切捨てるということをいたしますると、徴收義務者に非常に不当な利得を得させるということが起り得まするので、そういう場合に別な規定を設け得るという余地を残そうというのが同条の趣旨でございます。それから、六条の二でございますが、これは、益金につきましては一円未満を切捨てる、それから欠損補填金については一円未満を切上げるということでございまして、要するに、国に対するところの益金のほうでは儲けておるのでありますから、益金のほうの場合につきましては一円未満を切捨てます。と同時に欠損補填金といたしまして損をしておるものに国が交付する場合には一円未満は切上げてやろうというふうなことで、まあ四十九銭切捨、五十銭以上切上げの例外を作ろうという趣旨でございます。それから、第七条の改正は、一円未満端数額受払いの例外規定を削除したものでございます。附則の三項及び国庫出納金等端数計算法の一部を改正する法律附則第二項を削除いたしましたのも、銭以下の支払いを認めていた経過規定を削除しよう、こういう趣旨でございます。  次に、附則の第九項のところでございますが、小額通貨整理に伴いまして、国、地方団体等、特定の団体におきまして郵便貯金の一部払戻しに一円未満端数のつくことを認めていたのでございますが、その元となつておりますところの郵便貯金法第三十六条第一項但書を削除しよう、こういうのが第九項でございます。  それから、附則の第十項は、政府契約の支払遅延防止等に関する法律の第八条、第二項によりますれば、政府契約の支払い遅延による遅延利息は特約ある場合においては銭位まで支払うことを認めておるのであります。ところが、実際問題としてはそういう実例もないのでございます。又大体同法の制定の趣旨が駐留軍関係等の巨額の契約の支払い促進を図ることを目的といたしたというような事情も考えまして、「特に定めのない限り、」ということで、例外規定がありまするのを削除いたしまして、百円未満切捨乏いう同法の原則のみを残すということにいたした次第でございます。  なお証券関係の二つの法律案につきましては、これは証券課長からそれぞれ逐条的に相当長くなりまするので、説明させて頂きたいと思います。
  9. 飯田良一

    説明員(飯田良一君) 証券取引法改正について逐条的にお話申上げたいと思いますが、割合に条文整理的な条文も多いことでございますしいたしますので、主な実質的な改正と思われる部分について申上げて参りたいと存じます。新旧対照表によりまして順次お話申上げたいと思います。  最初の証券投資信託の表現の問題、その他は字句の整理でございますので省略させて頂くことにいたしまして、第三条の改正でございますが、従来証券投資信託の受益証券につきましては、他に貸付信託法による貸付託信の受益証券等があるのでありますが、貸付信託の受益証券について免際をいたしておるにかかわらず、従来発行に関する届出を提出させておつたわけであります。今回同趣旨理由によりまして、証券投資信託の受益証券に関しましても、この法律の第二章、即ち届出関係規定を適用除外いたしたいという趣旨の条文改正でございます。  それから主要な改正といたしましては、次の第四条でございますが、従来有価証券発行に当りましての届出制度は、投資者保護のために非常に効果を示しておつたものと言えるのでございます。何分にも多額に発行される有価証券につきまして、相当詳細な、而も会社側にとつて相当な負担となります届出制度実施しておつたわけなのであります。その負担の割合に比較いたしまして、効果というものが必ずしも負担に比例して十分に認められるに至つておつたかというと、相当な議論があるわけなのでありまして、この際投資者保護の最小限度の線は確保いたしながらも、発行者の負担を成るべく軽減いたしますと共に、その利用価値を効率的に発揮するという方法を検討いたしたわけなのであります。先ず第一番の、有価証券募集又は売出に当つての届出義務範囲を縮小することを取上げたわけであります。従来有価証券募集又は売出に当りましては、一千万円以下の募集或いは売出し券面額のものは届出を免除し得ることになつておつたのでございますが、現在の経済情勢等に鑑みますと、やや低きに失するきらいがあると存ぜられますので、この際従来の一千万円とありますのを五千万円と改めまして、五千万円以下の有価証券につきまして大蔵省令規定いたしまして、適当な金額の募集又は売出の免除を図つて参りたいという趣旨にいたした次第でございます。  更に条文の順序が大分飛びますが、附則の第六項におきまして、「担保附社債券及び法令により優先弁済を受ける権利を保証されている」債券及び電力債等の社債券でありますが、こういうものにつきましては、「当分の間」届出を不要とするということにいたすわけでございます。この趣旨は、担保附債券等は現在の発行並びに消化の状況に顧みますと、一般大衆、一般投資者に対する関係というものは極めて稀薄である。即ちその消化の大部分が金融機関によつてなされておる。又かような社債券は反復継続して短期間の間に相当発行がなされておるというふうな状況、又これらの社債の発行会社は、すでに他の機会、即ち増資等によりまして、大蔵省に対する届出が他の機会においてなされているというようなことからいたしまして、目下のところ届出をとるには及ばないという見地から届出の免除をいたすということにいたしたわけであります。ただそういう趣旨からの免除でございますので、附則におきまして経過規定として「当分の間」ということによつて免除をいたすということになつておる次第であります。  それから先ほどの第四条へ戻りまして、但書における五千万円以下で、如何なる範囲大蔵省令で定めて参るかということにつきましては、目下研究中でございますが、大体有価証券発行その他の状況を勘案いたしまして、差当り三千万円以下程度規定して参るのがよろしいのじやないかというふうに考えております。  次に第五条の改正でございますが、届出義務範囲の縮小は以上の通りといたしまして、次に届出内容そのものに関しまして、従来の規定によりますと、法律を以ちまして二十項目に亘りまして詳細な規定をいたしておるわけでありまして、このために届出書の内容というものは相当詳細に過ぎる嫌いがあつたのでございます。この際といたしましては、その内容を極力簡素化して参りたい。而も有価証券の種類によりまして、即ちすでに取引所に上場されているような非常に、いわば一般公衆の理解が行届いておると、或いは未だ取引所に上場されておらない、いわば公衆に対して未知のものというふうな工合の区別をいたしまして、種類に応じてその内容を異らしめる方途を開きたいというような趣旨からいたしまして、法律届出内容を列挙することをやめまして、大蔵省令の定めるところによりまして、実情に合つた規定の仕方をいたして参りたいという趣旨の下に、条文の書換えが行われているわけでございます。なお添付書類につきましても、従来法律の、現行法の第三項におきまして添付書類の規定があるのでございますが、これも同様の趣旨から大蔵省令で適当に定めるということにいたして弾力性を持たせた次第でございます。  次に現行の第六条にございます届出に際する手数料の徴収、これは不必要と思いまするし、又増資を今後奨励して参るという趣旨から参りましても、この規定を削除いたすことにいたし、その代り新第六条といたしまして、従来有価証券取引所に上場されておりますものの新株の発行等につきましては、その上場しておる証券取引所にも届出書類の写の提出を求めまして、証券取引所においてもこれを公衆の縦覧に供する。従来は大蔵省のみにおいてこの縦覧が行われておつた機会を拡げまして、証券取引所においてもこれの閲覧を図るという趣旨から写しの取引所への提出ということを規定いたしたものでございます。  以下条文の整理が主なものでございますが、第十五条に参りまして、目論書の交付義務規定しておる条文があるのでございますが、その第二項におきまして、従来は証券業者証券業者同士で取引をする場合にも、従来の規定によりますと目論書の交付義務が発生しておつたわけでございますが、証券業者はいわば証券の専門家でありまして、投資者保護目的とする意味の目論書の交付義務を強制するものがないと認められますので、新第二項の但書によりまして、これらの証券業者間の売買におきます目論見書の交付を不要といたすことにいたしたわけであります。  次に第十八条の改正でございますが、現行届出書につきましては、有価証券届出義務者のみならず、これに署名又は記名、捺印、押印をしたもの、或いは技術者、鑑定人等として、これに意見を付したもの等の虚偽の記載の場合の連帯賠償責任の規定を置いておるのでございます。今までの施行の実績に鑑みましても、この規定を適用したケースは一件もないのでありますし、又政府に対する届出書である限り、その届出義務者自体において責任を負えば足りる、こういう見地から連帯賠償責任の規定を削除いたしまして、賠償責任は届出者のみに負わせるという趣旨改正を図つた次第でございます。従いまして十八条に列挙しております各号の規定が削除されるわけでございます。それに関連いたしまして十九条の規定は当然削除されるわけでございます。次に第二十四条規定でございますが、第二十四条は一旦大蔵省募集又は売出しに際して届出書の提出があつたものに対しまして、爾後事業年度毎にその経理内容の変化を示すところの有価証券報告書の提出が義務付けられておるわけでございますが、その有価証券報告書に関する規定を整備いたすことといたしたと同時に、先ほど届出書の写を有価証券の場合に上場証券取引所に提出すると同様の趣旨から、報告書の写の提出義務を課することにいたしましたのでございます。これは同条の第三項に新設された条文によつてでございます。  それから次に第二十五条でございますが、先ほども申上げましたように、有価証券届出書及び報告書は大蔵省において一般の縦覧に供しておるわけでございます。そのほかに上場有価証券取引所において縦覧の機会を与えるということにいたすほか、第二項によりまして発行者みずからその写を公衆の縦覧に供するという途を開いたわけでございます。第一項は従来通り大蔵省で縦覧に供するということ、第二項は会社の本支店において縦覧に供する規定、第三項は取引所において縦覧に供する規定でございまして、以上の規定によりまして成るべく広く公衆が届出書に直接接する機会を増して参りたいという趣旨規定を置いた次第でございます。  次に二十八条以下証券業者に関する規定改正でございますが、説明の便宜上あと廻しにいたしまして、第八十条の証券取引所に関する改正の問題に入りたいと思います。証券取引所に関する規定現行法におきましては、証券業者に関すると同様登録主義をとつておるのでございまして、即ち一定の形式的要件を具備した場合におきましては、自由に設立し得るという建前によつて出来上つておるのでございますが、証券取引所機能公共性ということに鑑みました場合において、自由設立を建前とする登録主義は必ずしも当を得ていない感がいたすのでありまして、この際、その組織が会員組織ということによつて自治に任す半面、設立自体につきましては政府によつて公共的見地から判断を下して参るということが是非必要であるという見地から、取引所設立登録主義から免許制度に改めたのでございまして、八十条以下は大体それに関連する条文の改正でございます。  第八十条は三、四、五、三項の追加を図つておりますが、これは条文の言わば整備でございまして、現行証券取引所法にあると同様の趣旨の当然の規定を盛り込んだのでございます。  主要な規定といたしましては第八十一条の改正でありまして、現行の第八十一条におきまして取引所設立登録主義をとつておるのに対しまして、「証券業者は、証券取引所設立しようとするときは、大蔵大臣免許を受けなければならないものといたしまして、免許の建前を明らかにしたものでございます。  八十二条以下はその手続規定でございます。  八十三条におきまして、免許申請の場合の審査の基準を掲げておるのでございますが、大体条文といたしましては現行八十五条にありますように、登録の審査の基準の場合と同様の趣旨基準が置かれておるのでございますが、要するに国民経済証券取引所設立が適当かどうかということを中心にいたして判断をして参るということになるわけでございます。  以下手続的な規定があるのでございまして、主要な規定といたしまして八十五条の二と申す規定がございます。「定款、業務規程又は受託契約準則」とあるのでございますが、定款は取引所の言わば憲法でございまして、業務規程は売買、俗に言う売買の仕方、売買の方法その他取引所の軍営の中心をなす部分であるという規定でありますし、又受託契約準則と申しますのは、ほかから委託を受ける場合の契約の準則を定めたものであつて、投資者に対して非常に密接な関係のあるものであります。これが取引所の実質的な規定として取引所において決定されて参るわけなのでありますがかような公共的性格を帯びる規程に対しまして、大蔵大臣認可を要件といたすことにいたしまして、公共的見地から、これに批判を加えるという趣旨規定を置いたわけでございます。なお、従来はこのような種類の規定届出制度をとつておつたわけでございます。  次に主要な条文といたしまして第百条の改正があります。第百条は取引所の役員の人数及び選任方法に関する規定でございますが、現行法におきましては、「役員は、定款の定めるところにより、会員がこれを選挙する。」という規定になつております。即ち会員が直接理事長、理事、監事を選挙する建前になつておるのでございます。従いまして事実上の運営といたしまして、広く一般より適格性のある幹部を求めるということよりも、証券業者の会員の間から便宜人を選ぶという傾向が非常に強かつたように思われるのでございます。この際、理事長に関する選任の規定を改めまして改正第二項のような規定といたした次第でございます。翼ち理事及び監事は一般の会員が選挙するのでございますが、理事長に関しましては、その選挙された理事が言わば間接選挙的に理事長を選任するということにいたしまして、少数の理事におきまして、最も適格性のある方を理事長として選挙し得るという途を開く趣旨規定を置いた次第でございます。なお更に取引所の運営に公共性を加味する趣旨を以ちまして、第三項におきまして、かような第二項の規定によつて選挙された理事長が、理事の過半数の同意を得た場合には、定款で定める数の理事を選挙する、あらかじめ定款で定めておきました定数の理事をみずから選任することができる。理事長において選任することができるという途を開いたのでございます。但しこれは取引所の定款において、特別の定めがある場合に限ることにいたしまして、法律を以て直接にそうしなければならないという強制は加えてはおらないのでございます。以上の趣旨規定によりまして、取引所の運営に当つて、公共的な機能の発揮が行われる一つの契機になることになろうかとも考えておる次第でございます。  それから第百十の改正でございますが、現行法におきましては、第百条以下数条に亙りまして、取引所有価証券の上場に関する規定を置いているわけでございます。現行法によりますと、取引所の内部におきます上場賢録の制度という制度があるのでございまして、取引所有価証券を上場するか否かは、上場登録を経たもの或いは上場登録を経ないで大蔵大臣の承認を経たという二種類の方法によつて上場が行われることになつておるのでございますが、これらはいわば取引所の内部の規定でございまして、政府といたしましては、その両者の如何にかかわらず、これを承認するということを以て足るものと考えまして、その内部の手続は取引所自体の手続に任せまして、法律上かような規定を削除いたすことといたしました次第でございます。  第百十一条におきまして、上場命令の規定が新たに新設されたわけであります。従来取引所に上場する株式につきましては、先ほど申上げた通り主として取引所並びに発行会社の意思に基いて上場が行われておるわけなのでありますが、ややもすれば、上場の適格性は実質的に十分に得られておるのにかかわらず、諸種の事由からその上場が遅延する場合が非常に多いのでございます。上場が遅延するがために取引所としての監理が十分に行われない、そのために種々好ましからざる事態が発生しておる事例があるのでございますが、この際、上場要件は実質的にすでに具備しておるのにかかわらず、理由なしに遅延しておるものに対しまして、政府の上場命令をなし得る規定を必要と考えて百十一条の改正を行なつた次第であります。但し、一般的にあらゆる株式について上場命令をなし得るものといたしますのは行過ぎかと思いますので、ここに掲げておりますように、現に証券取引所に上場されている株式の発行者が新たに発行する株式、いわゆる増資新株式のみに限つたわけでございます。増資新株式は、早晩取引所に上場されることがすでに明らかなものでありまするが、ただ従来の事例に徴すれば、ややもすればこれが遅延をする、その遅延をしておる間に不測の事態が起るということになるのでありまするので、この規定の存在によりまして、その上場の機会が非常に早まるという効果を狙つたものなのでございます。  それから百十二条、百十三条の規定は、現行の百十四条規定整理して掲げたものでありまして、特に問題はございません。  それから第百十八条の規定も従来の規定の条文整理を図つたのにとどまるものでございます。  第百三十四条へ参りまして、取引所の解散事由といたしまして、従来の登録の取消しに代えて設立免許の取消といたしましたことは、免許制度に改めたことによる当然の結果でございますが、更に第二項に参りまして、解散に関する総会の決議を大蔵大臣認可にかからしておるのでございます。これは申すまでもなく、免許主義をとりました当然の結果でありまして、設立免許によつて設立した取引所が任意に解散をするということでは困るのでありまして、その裏といたしまして自由に廃止することに対する制限を置いた次第でございます。  以下主として条文整理でございまして特に申上げることはありませんが、罰則規定につきまして改正をいたしておりますが、これは従来の証券取引法罰則がやや低きに過ぎましたので、現行の他の経済法令等の罰則と睨合せて釣合をとつて引上げるのがその趣旨でございます。  それから附則の点でございますが、第一項につきましては、これは施行の期日を政令で定める件でございまして特に申上げることはありません。第二項、第三項はあとで申上げます証券業者に関する経過的な規定でございまして、証券業者が後ほど申上げますように、株式会社のみに限定される経過となりますために、現在株式会社以外の合名会社、有限会社等の組織によつて業務を営んでおるものがありますために、これらのものに対して一年間に限り経過的な期間をおいたこと、並びに所要の読替え規定をおいたこと等でございます。それから第四項におきまして証券取引所に関する経過規定があるのでありまして、現に登録を受けて存在しておる証券取引所はそのまま新法第八十一条第二項による免許取引所とみなすという趣旨規定でございます。第五項は現に上場されておる有価証券、これにつきまして大蔵大臣の上場に関する承認があつたものとみなす、一カ月間に限りあつたものとみなしまして、その期間に切替えの準備をするという趣旨経過規定でございます。第六項につきましては、先ほど申上げましたように担保附社債券並びに電力債等の優先弁済を受ける権利を保証されておる社債、ゼネラル・モーゲージのついておる社債に関しましては、当分の間届出を免除する規定であります。それから第七項、第八項はこの改正法の規定によりますれば、今後発行に当つて届出が要らなくなる有価証券、従いまして届出が要らないのでありますから、その後引続き報告書を提出する義務もないはずの有価証券につきまして、改正前の法律によりまして届出がなされておるがために、そのまま引続き報告書の提出義務が残ることになりましては、権衡土如何かと存ずるので、爾後のものにつきましては報告書の提出が要らなくなるという趣旨の競走てございます。  以上大体申しました。証券業者と証券業協会に関する部分は他の担当課長から申上げることにいたします。
  10. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をちよつとやめて。    〔速記中止〕
  11. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。それでは二時から再開することにいたします。それまで休憩をいたします。    午後零時二十一分休憩    —————・—————    午後二時五十分開会
  12. 伊藤保平

    ○理事(伊藤保平君) これより午前に引続き大蔵委員会を開きます。  証券取引法の一部を改正する法律案について午前に引続き説明を聴取いたします。
  13. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) 証券取引法の新旧対照表に基きまして、第二十八条以下証券業者関係改正規定につきまして御説明いたします。  第二十八条から第三十一条までの関係の条文でございますが、これは証券業者登録要件を強化いたしましたことに関係いたしまする条文でございます。現在証券業者大蔵省に備えておりまする証券業者登録原簿に登録を受けますると、自由に開業ができる、こういう建前になつておるのでございまして、その登録を受けます際の要件が法律に定めてございますが、証券業者の弱体な者の出現を防止をいたしまして、内容の充実した会社に限りその登録を受け得るという建前におきましてその登録要件を強化をいたしたわけであります。二十八条に書いてございますのは、登録を受けまする証券業者ほ株式会社でなくてはならないことといたしておるわけでございます。現在ほその会社でありますると、個人でありまするとを問いませず、又会社でも如何なる種類の会社でもよろしいことになつておりますが、経営組織を強化いたしますることと、財産内容を明瞭に把握をし、監督を十分に行えるという建前におきまして、株式会社組織を適当と認めまして、株式会社組織に限ることにいたしたわけでございます。現在の登録を受けております証券業者につきましては、十八社ほど株式会社組織でない者がございまするが、これにつきましてはこの法律施行後、一年間を限りまして猶予期間をおきましてそのまま存続を認めることと規定をいたしております。二十九条はそれに関係いたしまする株式会社組織に関係いたしまして、直しました関係で、規定の整備をいたしました次第でございますが、三十条も同様でございます。  次に三十一条でございますが、ここは登録要件を更に強化をいたしました改正規定でございます。三十一条の一号、只今申上げました株式会社でない者を登録の拒否をいたすことにいたしました。ここにありますのは資本の額の最低限度をきめておるのでございますがこれは現行法におきましてもございましてそのまま引続いておるわけでございます。次の頁三号でございます。
  14. 小林政夫

    小林政夫君 ついでに金額で例えば今の第二号ですが、「政令で定めるものに満たない会社」とありますが、大体どういう程度を予定しておるかということも併せて御説明頂きたい。
  15. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) 第二号の点は、これは現に現行法に同様の規定がございまして、それによりまして現に政令で定めてございますものをそのまま受継ぐ関係でございますが、現にきめておりますものは引受けを営みます会社が資本金三千万円以上でございます。それから東京、大阪におきまする取引所の会員として営業いたしますものは一千万円、それから名古屋取引所におきまするものが五百万円、その他の地方取引所におきまする会員といたしまして営業いたしますものが三百万円、それから一般の地方の非会員会社と申しますが、取引所会員でないものにつきましては二百万円、こういうことになつております。  次の頁の三号でございますが、これは資産の合計額から負債の合計額を控除いたしました額、つまり純資本資産額が政令で定めた資本の九割に満たない会社、これを拒否する、こういうことでございます。これはたとえ登記簿上、資本といたしまして資本額を政令で定める額を持つておりましても、実際中身におきまして資産の充実してない会社がまま見受けられるわけでございますので、開業の際におきまする資産の充実を図つて、その後において事故の起らないという意味におきまして、開業期における資産の額を充実を図る意味におきまして純資本額資産額が九割を維持することを要件といたしたわけでございます。  次に四号以下の各号、八号まではこれは現に現行法を受けておるわけでございます。  次の九号でございますが、九号は取締役につきましての不適格と認められます例えば禁治産者とか刑罰を受けた者で、取締役又は監査役といたしまして不適格と認められる者を排除する規定でございますが、現在の規定は単にこの取締役に限られてございまして、実際上相談役とか顧問とかその他いろいろ名称がございまするが、そういう名称で実質上取締役と同じような支配力を会社に及ぼしている者がございまして、こういう者が同じように不適格であると認められまするときは、会社に対して非常に悪い影響を及ぼすわけでございますので、取締役と同様に、この不適格要件としてそういう取締役同様の扱いをすることといたしたわけでございます。  次に三十二条でございますが、これは単に免許の際届け出ました事項につきまして、その後変更がありましたときに省令によつて届出書を出すというだけの規定でございます。現在と余り変りございません。  次に三十三条の改正でございますが、これは三十三条以下三十七条、八条、九条一連の規定でございますが、証券業者監督に当りまして、支店、出張所等の営業所単位にこれをとらえまして、監督が十分行えるようにという意味を以ちまして規定をいたしておるわけでございまして、三十三条の第二項は登録を受けまして営業保証金供託いたしましたとをきに、その写しを大蔵省に提出いたしますとか、或いは供託金を納めないで営業してはいかんとか、そういつた意味規定を各取引所ごとに登録の際に準用することにいたしておるわけでございます。三十七条は、これも現在は証券業者が営業を開始したときには届出をするようにという規定でございまするが、それを各営業所ごとに分けまして、各営業所が登録を受けまして営業を開始いたしましたときには届出をするということにいたしたわけでございます。三十八条も同じような考え方が出ておりまして、営業所におきまして登録を受けましてから後に営業の開始をしない、或いは引続き三カ月以上営業を休んでおりました場合には、これの登録を取消すことができる、こういうふうに謳つておるわけでございます。三十九条の改正は、これは条文の整理をいたしたものでございますが、特に今の二項につきましては、これはやはり各営業所ごとに考えまして、「不正の手段により登録を受けた営業所又は代理店の登録(当該営業所が本店である場合には、当該証券業者登録)を取消すことができる。」ことといたしております。  第四十条の規定は、これは証券業者の営業用純資本と申しまして、流動性の資産の維持に関します規定でございます。それと負債総額に対する比率の一定の割合、現在は二十倍でございますが、その維持に関します規定でございますが、営業用純資本額が法律で定めた限度を下りまして、或いは負債総額の営業用純資本に対しまする比率、それは二十倍でございますが、これを超えました場合には、現在の規定では営業の停止を命じなくてはならないと、こう書いてあるわけでございまするが、営業用純資本額は、財産の大部分は有価証券でございまして、所有有価証券が相場の変動によりまして営業用純資本額というものが、万一或る一定の期限を定めまして、それが法定額を割つておりましても、直ちにその後において回復する、こういう事態もございますので、必ずしも固執するわけではなく「命じなければならない。」とありますのを、それぞれの業につきまして審査をいたしまして、必要なときに「命ずることができる。」と、こういうふうに考えておるのでございます。二項、三項はそういうふうに……。
  16. 小林政夫

    小林政夫君  「命じなければならない。」と「命ずることができる。」という、そういう書き方がありますが。
  17. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) 「命じなければならない。」ということで現行法にございますのは、そういう事態になりますと必ず営業停止をしなくてはなりませんので、必ず営業停止を命じられる、こういうことでございますが、「命ずることができる。」とあります場合には、必ずしも命じなくてもよく、その業者内容につきまして調べた上で命ずることもあり、命じないこともできる、こういうふうに分けることができるわけでございます。  それから四十一条でございますが、この業者の納めまする営業保証金につきましての規定でございまするが、その営業保証金は、現にこれは本店については十万円、支店と営業所については五万円納めることになつておるのでありますが、この納める場合の営業保証金を、金銭に代えまして有価証券を以て納めることができるようにということになつておりますが、その有価証券で納めまする場合には、国債、地方債、それから「特別の法律により法人の発行する債券若しくは社債券」、こうなつておりますが、そのうち「特別の法律により法人の発行する債券若しくは社債券」につきましては、営業保証金として特に適格なものという意味で、大蔵省令でここに定めて参りたい、こういうふうに考えておるのであります。  次に四十八条でございますが、これは証券業者が売買取引ができますると、直ちに売買報告書というものを作りまして顧客に交付しなければならんということを義務付けておりますが、その売買報告書は大蔵省令で現に様式を定めておるわけでございます。ところが様式までを定めますると、実際各業者によりまして事務を機械化する場合とか、いろいろ簡素化する必要も現に起つておりますので、そういつた場合に様式を定められておりますると、それに支障もある場合もございまするので、様式はこれを取りまして、単に省令で記載事項だけをきめるというふうに変えたわけでございます。それで投資者保護の点は十分欠けることはないと考えられるので、そういうふうにいたしたわけでございます。  次に、第四十九条でございますが、これは証券業者が証券の売買につきまして顧客に信用の供与と申しますか、金なり株なりを貸しまする場合、その貸付をいたしまする場合の額につきましての制限の規定でございます。で、これをこの現行の四十九条の規定を実際の取引実情に副うように改めることといたしましたわけでありまして、第一は、現に信用の供与の抑制、つまり顧客に対しまする売買した証券の時価を元といたしましてその貸付額の割合をきめるといつた規定の仕方を改めまして、担保権の提供をするという形といたしまして、各取引の種類ごとに適当な担保権を提供させることができるように改めました。次にその率でございまするが、現在は信用の供与は百分の五十五を超えてはならんということになつておりまして、従いまして百分の百から百分の五十五を引きました百分の四十五の額だけは顧客が提供する、こういうことになつておるのでございまするが、その範囲を更に拡げまして、百分の三十を下らない範囲において大蔵大臣がその率をきめることができることといたしました。これはその率につきまして証券市場状況によりましては弾力性のある運営ができるようにということの途を開くべきであるということでいたしたわけでございます。なお、その規定の中に「大蔵省令で定めるところ」と入れましたのは、信用供与を伴わない取引でございましても、こういう金銭の預託を命ずることが適当であると認められるものもございますので、そういつた場合に備えて入れたわけでございます。  次に、五十一条でございまするが、これは証券業者顧客から有価証券を預りまする場合に、他の人から預つたものと一緒にして混同して担保に提供し、又は貸付をしてはならんという規定でございます。これは現在各項に分れて規定いたしてありますものを一本にまとめて規定をしただけでございまして、内容は同様でございます。  五十四条の五項の改正は、これは条文整理に伴いますものでございます。  次に、五十五条の二の改正でございますが、これは現在の五十五条は、証券業者が営業のやり方なり財産経理上に照しまして、過当な数量、数の多過る量の売買取引をしたり、或いは不健全な方法によつて売買取引をしたりする場合に、そういうことをしてはならん、禁止を命ずることの規定でありますが、この規定の中に新たに有価証券の借入なり預託なりをいたしますにつきましても併せて規定をいたしたわけでございます。証券業者はその業態上顧客から有価証券を預りましたり借入をいたすということが非常に多いわけでございまするが、その借入なり預かりなりをいたしまする場合に、不当な対価、例えば高利な金を払つて借入れますとかいうふうなことをいたしますとか、或いはいろいろ有利な条件等によりましてその株を預かるということは、あとでその債務の弁済ができないような危険なこともございます。そこでそういうことを考えまして、不健全な方法によりまする有価証券の借入れ、預託等を禁止し又は財産の内容等に対しまして過当な数量の有価証券の借入れを受けることを禁止し得るような途を開くために規定を設けたわけでございます。なおそれと共に、そのあとの方におきまして、新らしい有価証券の借入れをしてはならない、又預託を受けてはならない、又現に預かつている株の一部又は全部を返還を命ずることができるという途を開いたわけでございます。  次に第五十六条でございまするが、これは証券業者の使つておりまする外務員に関しまして、現在届出をいたすことになつていますが、その届出事項のうちに、その外務員が使われておりまする店の営業所の名前を届出るようにいたしまして監督を十分やり得るような方法をとつたわけでございます。  次に第五十九条でございますが、証券業者が法令に違反をいたしました等の場合におきまして、その証券業者に対しまして営業の停止を命じたり或いは登録の取消し、つまりそれで営業ができなくなるわけでございまするが、そういう行政処分を命ずる規定でございまするが、その際に、先ほどちよつと触れましたように証券業者の個々の営業所をとらえまして、支店なりその他の出張所等の営業所につきましてそれぞれのその営業を取消しをする。又営業の停止といたしましても、全部の営業停止ではなく、その営業の一部の停止も命じ得るようにいたしたい。例えば証券業者といたしましては証券の引受の業務とか売買の業務、或いは取引所におきまする売買の取継業務とか各種のかような業務を営んでおるのが実情でございまするので、その中に特にそういう違反等がありましたもの、将来そういう営業をとめる必要があるといつたものを、そういう営業の一部を抜き出しまして取消しを命ずるような規定をいたしたわけでございます。  次の六十二条の改正は、これは会社組織のものに限りましたのに伴いました条文整理関係でございます。六十九条も同様でございます。  それから第七十三条、削除とございますのは、現在の七十三条は証券業協会に所属をいたしまする協会員に対しまして協会が会員権の停止と除名といつた処分をいたしました場合、大蔵大臣がこれを審査をするという旨の規定でございまするが、この規定は協会よりも重いところ、むしろ重要なところの取引所につきましても現にそれは規定は設けてございませんし、又協会の処分等が特に本人に対しまする関係におきましてそう大きな影響を与えるものとも考えませんわけでございまして、こういう事例は今までございませんものでありまするし、そういつた関係を考慮いたしましてこの規定を取ることにいたしたわけでございます。  以上が証券業に関係いたしまするところの改正規定説明の大要でございます。
  18. 伊藤保平

    ○理事(伊藤保平君) 続いて証券投資信託法の一部を改正する法律案、これにつきまして内容の御説明を願います。
  19. 小林鎮夫

    説明員小林鎮夫君) 投資信託法の改正に関しまして御説明を申上げます。投資信託法の改正は、これは主なる点は委託会社につきまして登録制度に代えて免許制度をとりましたことと、その委託会社に対しまする監督規定を整備したことのこの二点でございます。以下、新旧対照表につきまして各条について申上げます。  第二条の第三項でございますが、これは委託会社免許制の採用に伴いまして委託会社定義をここで規定いたしたわけでございます。  第四条は、これは証券投資信託契約というものは委託会社以外は契約ができないということでございまして、これも委託会社免許制に直しましたのに伴いまして現行規定改正をいたしたわけでございます。二の資本額の規定は商法の言葉と合しただけでございます。  次に第五条の次の頁、二十五条の第七項でございます。元本の追加信託をすることができる証券投資信託の受益証券につきまして、その受益証券に記載をいたしまする事項を新らしく定めたわけでございます。元本の追加信託ができる投資信託と申しまするのは、普通オープン型と申しておりまするが、一つの投資信託の契約を以ちましてあとからその元本を追加をいたしまして元本を殖やすことができる投資信託でございます。こういう型のものが現に一社やつておる会社がございます。そういう形の投資信託の受益証券につきましては、それに応じまして受益証券の記載事項を変える必要がございますので、そこで一号と二号で新らしく規定をいたしたわけでございまして、一号では追加信託をすることができる元本の限度額、あとから追加信託をすることができる元本は幾らか、例えば最初五億でありますとその後において例えば百億までできるということでありますと、百億が限度でございますが、そういう限度額をきめるわけでございます。二号は、その受益証券につきましてその後発行する時までに追加信託をいたしました信託元本の額が幾らあるか、受益証券の総口数を規定いたしたわけでございます。  第二章は委託会社免許についてでございます。現在委託会社登録につきましては規定もございますが、これは免許制を採用するに伴いまして改めたわけでございます。  第六条は委託会社となろうとする会社免許を受けなければならないということにいたしております。    〔理事伊藤保平君退席、黒田英雄君委員長席に着く〕  二項、三項は免許を受けます場合の手続に関しまして規定をおいたわけでございます。  第七条は免許基準につきまして規定を設けたのでございます。第七条の第一項は積極的な基準と申しまするか、こういう場合には免許をしなくてはならんという場合を規定いたしました。第二項は消極的と申しますか、こういう場合には免許をしてはならないという基準を設けたわけでございます。第一項の免許基準は一号、二号でございますが、一号は免許申請者の人的構成及び有価証券への投資の経験及び能力、証券市場状況等に照らし、当該免許申請者が証券投資信託委託者としての業務を行うにつき十分適格性を有するものであること、これは免許申請者の役員の構成、その役員の経歴とか人格とか業務の能力といつた、その役員の構成と、それから有価証券への投資の経験がどうか、能力があるかどうか、或いはその際におきまする証券市場状況はどうであるかということに鑑みまして適格性のある場合につきまして、これがあるかどうかを審査いたしましてあればそれを免許をする、こういうことでございます。二号はその委託者としての業務を営みます場合に、収支の採算の見込はどうであるか、収支採算の見込が良好なものであることを条件といたしております。見込がない場合でありますると、後に至りまして途中で会社の解散等のことになりますると受益者の利益を害しまするためにあらかじめそういうことのないようにという意味規定をおいておるわけでございます。次に二項の免許を与えてはならない場合でございます。これは一号が免許申請者の資本金の額が五千万円以上の株式会社でなければならん、その五千万円以上の株式会社に限つておるわけであります。それから三号以下も現在登録制度をとつておりますが、登録をしてはならない要件として掲げてありますものがございまするが、それと同じものを引継いでをるわけでございます。第二号は免許申請者が罰金等の刑に処せられた場合、三号は証券取引法規定により証券業者登録を取消された場合、四号はその取締役のうちにその不適格の者がある場合等であります。  第八条は、次の頁でございますが、免許を与えない場合には審問を行わなければならん旨を規定しております。免許を与えない場合には審問をいたしまして、免許を与えない旨の理由を示してその旨を免許を与えない場合には通知をする、こういう意味規定をおいたわけでございます。  次に第九条でございますが、これは免許申請の際に届出ました事項につきまして変更があつた場合に変更の登録をいたしまする規定でございます。現在ある規定につきまして若干の修正をしたのであります。  次に第三章の委託会社業務でございますが、この章は全然改正はございません。現在の条文通りでございます。  六枚めくりましたあとで、第四章監督規定でございます。第四章の監督規定に若干の条文の追加と改正をいたしております。  第一は第二十条の二で、役員の兼職の制限でございます。委託会社の常務に従事いたします取締役につきまして、他の会社の常務に従事したり他の営業を営もうという場合には大蔵大臣の承認を受けなければならないといたしております。これは現在金融機関におきましては同様の規定がございまして、その業に専念をさせる趣旨規定がおいてあるわけでございまして、委託会社といたしましても大衆の資金を預かりまして営業する会社でございますので、金融機関と同様に考えまして役員につきましてその業務に専念せしめるという趣旨を以ちましてこの規定をおいたわけであります。第二十条の三は委託会社につきまして免許制度を採用いたしますに伴いまして、委託会社の廃業とか解散とかいう場合にこれは自由に勝手にやめたり解散をしてしまつては困りますので、そういう場合におきまして認可を受けるというふうにしておるわけでございます。  第二十条の四は委託会社の合併をいたしまする場合に普通の商法で規定いたしまするところの債権者に対する公示期間がございますが、その期間を、商法では二カ月以上でありますが、これを一カ月に短縮ができるということにいたしております。これは金融機関等にもその例がございまするが、委託会社の方でも早く安定せしめたいという意味におきまして商法の特例をおいたのであります。二項の場合も合併の場合の株式併合に際しまして、株主に対しまする公示期間の短縮の規定でございまして同様の趣旨でございます。  次は第二十一条でございますが、これは委託会社なり受託会社に対しまする資料の徴收を命じたり検査をいたしたりすることができる旨の規定でございますが、現行法には受託会社受託会社とは大体信託会社でございますが、受託会社に対しましてその業務なり信託をいたしました財産を調べることの規定がございませんので、新たに受託会社業務なり信託財産に関しましても検査をいたすことができるように改めたわけでございます。  次に第二十二条でございますが、これは委託会社につきまして免許の際に調べまするような要件がございまするから、免許の際に、免許を受けることができないような要件に該当いたしましたときに、その取消をする。二項は免許の際にその要件に該当しなかつたということがあとでわかつたときに、その免許の取消をする、こういう場合の規定でございます。  次に二十三条でございますが、これは委託会社なり委託会社の役員等につきまして、法令違反その他の事故が、ございましたときに、必要な監督上の規定につきまして規定を設けておるわけでございまして、一号は委託会社が、法律なり或いは証券取引法それから投資信託法に基きまする命令等、それからそれに基きます行政処分等に違反をいたしましたり、又は信託契約に違反をいたしました場合、その他資産内容が悪くなりました場合、委託会社の株式の運用の指図が適正を欠きまして、信託財産に重大な損失を生ぜしめる、こういつた場合におきまして必要であると認めまするときはそれぞれ適当な処分をすることができるということといたしまして、次にイロハと分けて書いてあるのであります。イは新しい信託契約を結ぶこと砥禁止する、或いはオープン型の先ほど申上げました元本追加信託のできる信託契約につきましては、その追加をしてはならないという旨を命ずる規定であります。  ロは信託約款の信託契約の解約を命ずる、或いは信託約款の適当な変更を命ずる、それからその信託契約を他の委託会社に引継ぐことを命ずるということであります。  ハは信託会社免許の取消をする処分でございます。二号は、これは委託会社法律に違反いたしました場合、法律信託契約に違反いたしました場合、又は取締役がそういう法律等に違反いたしました場合に、その違反した取締役につきまして解任を命ずる。又取締役につきまして、免許の際に調べまするような不適格な要件がわかつた場合解任を命ずるという規定でございます。二項三項はそういう処分をいたします場合の手続に関しまする規定でございます。  次に第二十三条の二は信託契約の引継を命じます場合に関する規定でございます。これは委託会社免許の取消をされた場合、或いは受託会社がその免許の取消をされたり、又は信託業務を営むことについての認可が取消された、こういつた委託会社受託会社としての業務を営むことができなくなつた場合におきまして、その会社がやつております信託契約をどういうふうに処置するかということにつきまして、これはあらかじめ、他の委託会社なり受託会社の同意を得ました上で、その信託契約をそれぞれ他の委託会社受託会社に引継ぎを命ずることができることに規定をいたしたわけでございます。そこで第二項以下はそういつた他の委託会社なり受託会社につきまして、同意を得まして引継ぎができればよろしうございまするが、そういう同意の得られない場合におきましては、その信託契約を解約をする、こういうことになりますると、証券市場状況によりましてはその受益者にとつて不利になる場合もございますので、そういつた場合におきましては、その委託会社につきましてあらかじめ申請を受けまして、一定の条件を付しまして、暫定的に委託会社業務を取扱うことができるように定めたものでございます。  次に第五章雑則、第二十五条の二でございますが、これは委託会社免許を受けましてから六カ月以内に委託会社とならないときにはその免許の効力を失うことといたしまして、いつまでも免許を受けたままで開業をしないという状態では免許趣旨が立ちませんので、この規定を設けたのであります。二項におきましては、この法律規定によりまして認可を受けました、例えば約款等がございますれば、その六カ月以内に認可を受けた事項を実行いたしませんときに、その認可の効力を失)規定でございます。  次に第二十六条はこれは条文の入換えによります整理でございます。あと第六章は委託会社につきまして免許制をとりましたこと、或いは監督規定を整備いたしましたことに伴いまする罰則規定の整備でございます。  なお附則といたしまして、この新旧対照表には附則が記載してございませんが、本文の方に附則が書いてございますが、現在証券投資信託委託会社として登録をされております会社が七社ございますが、この会社につきましては改めて免許の手続をいたす必要がないと考えられますので、附則規定によりまして、この規定による免許を受けたものとみなすことといたしておるわけでございます。  それから役員の兼業につきましては、附則の三項におきまして、「この法律施行の際、現に改正前の証券投資信託法(以下「旧法」という。)第七条第一項の規定により登録されている会社は、新法第六条第一項の規定による免許を受けたものとみなす。」とございまして、現在登録を受けております会社につきまして、改めて免許申請の手続によることなく、本法のこの規定によりまして免許を受けたものとみなすわけでありまして、これは現にあります会社につきましてはそれぞれ委託会社として適格であるものと認められますので、こういう規定を設けたわけでございます。  次に四項でございますが、これは委託会社の常務に従事いたします取締役につきまして、他の会社の常務に従事し、事業を営む場合におきまして、承認を得ることといたしましたことに伴いまして、現にそういう他の会社の常務に従事し又は事業を営んでおる者につきまして、この法律施行の日から六カ月間はこの規定の適用をいたさないというように猶予期間を設けた規定であるのでございます。以上でございます。
  20. 黒田英雄

    委員長代理(黒田英雄君) それでは物品税法の一部を改正する法律案砂糖消費税法の一部を改正する法律案、揮発油税法の一部を改正する法律案登録税法の一部を改正する法律案国税徴収法の一部を改正する法律案納税貯蓄組合法の一部を改正する法律案、以上六法律案を一括して議題として御質疑を願いたいと思います。
  21. 小林政夫

    小林政夫君 まあ物品税については政令案がないので質問する段階ではないのでありますが、ただ一点伺つておきますが、今度の大きな改正として、従来製造者課税であつたものを小売課税にするということについて、一応提案理由説明によると、流通機構が完備したというようなことに意義付けてありますが、一体第一種とされたものについてこの業態等から考えてどういうような基準で以て小売課税をするか。もう少しその点についての説明を詳細にやつて頂きたい。
  22. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 物品税のような消費税におきましては、理論的にまあ一応申しますれば、消費の段階にできるだけ近い所でこの種の消費税は課税すべきものであるということがまあ一般的に言われておるように思います。併し消費の段階にまあできるだけ近い小売という段階で課税するものにつきましては一いろいろその関係業者のかたの数が多いのでありまして、その意味におきまして徴税の費用が余計かかるとか、そういつた意味関係もございまして、便宜そうした製造者の課税においてかけるということが従来しばしば行われて参つたのでありまして、物品税につきましても二十二年の改正におきまして、それまでは小売課税、卸売課税の両方があつたのでありますが、それを二十一年の改正におきまして従来ありました小売課税、製造課税、その両者を合せて全部製造課税に持つて行く方式をとつたのであります。爾来数年間そうしてやつて参つたのでありますが、今度改正しようとしております貴石、半貴石、金属製品等につきましては、どうもその実施の結果を見て参りましても、大体製造課税とすることにおいて無理があるのじやないかということを痛感しております。物品税ができましたその当時におきましてもこれらの物品はいずれも小売課税でやつて参つたのでありますが、どこに無理があるかという点になりますと、先ず第一に貴石、半畳石、金属製品というような品物について見ますと、大体製造という概念におきましてなかなかはつきりつかみにくい点もあるように思います。貴石のようなものになりますと、特にそれがはつきりするわけでございますが、貴石の製造ということが、まあ石を切る、あの辺がまあ貴石の製造だと思つておりますが、従いまして、大体入つて来た例えばダイヤモンドが転々するという場合におきましては、もうこれは製造の過程にはないわけでありまして、従いまして、普通の商品の転々と違いまして、この方がまあ消費に照応されるという恰好を取つておりませんものですから、従いまして、まあ製造という過程におきまして、従来課税の実績を見て参りますと、大体輸入の場合だけがいわば一種とみなす、製造のような形にして保税地域から引取られるときだけが製造にみなされまして、課税されて来たといつたような姿を取つております。それから貴金属の製品等につきましても、特に従来は金の使用等についていろいろな制限もあつたせいもあろうと思いますが、古金を使いましてこれを製造して行く場合に、結局は形を変えるということが一つの製造になるわけでございます。その辺がなかなか分散した形においてなされておるのでございますから、つかみにくいというところが非常にあるように思つております。今後そうした美術品などを作るために金が放出されますので、この方につきましては一応その動いて行く姿が或る程度つかめるように思いますが、どうも結局こういう品物につきましても、問屋で製造という過程があるというよりも、結局かざり職をやつていらつしやる方の所が製造所になるような姿に今までもなつておりましたし、今後もなると思いますが、そういうふうになりますと「かざり」職をやつていらつしやる職人の方が製造者、これが使用人という恰好になつていればその製造者は別になるのですけれども、一種の請負でも委託加上になる、これは又別なんですが、結局製品の課税関係相当高い性質もございますが、同時に「かざり」職の人などが比較的地位が問屋に比べると弱いというような関係で、結局その人達へ課税の負担が行つてしまうというような問題が一つ考えられます。又そういう人達の仕事場或いは住所等なんぞにつきましても、結局表へ出て仕事するという性格のものではございませんから、なかなか税務署として、そこに若し悪意があつた場合におきましては、相当捕捉しにくいという問題もあるのではないか。同時に金或いは貴金属製品、貴石、こういつたものは消費という過程が普通の消耗品の消費と性格が違いますものですから、やはり転々されて売買される。むしろその都度やはり課税して行くべき性格のものではないか。こういうようなところを順々に考えて参りますと、結局一番初め物品税ができましたときに、この種の物を製造課税にしたというのはやはり相当意味があつた。結局小売課税に持つて行くことによりまして、却つていろいろな意味において摩擦も多いという点も考えられますが、その代り製造課税の場合ですと、まあ税率も五割程度の高い税率にしなければなりません。これは製造者価格が課税の標準になりますから、小売のほうへ持つて行けば、いろいろ調べてみますと二割程度の税率ですむ。そういうようなことを考えますと、小売のほうが却つて業者の数が多くて面倒じやないかという御懸念もあるようでございますが、結局小売のかたのほうならば大部分のかたが店舗を持つていらつしやる。従つて、おのずからどこでどういう売買といつたようなものもわかり易い。中にはいわゆる「かばん」屋とか言いまして、店舗を持たない方もおありになるというお話も伺つておりますが、いろいろ調べてみますと、その中には二種類あるようでございまして、店舗を持つておりながら、いわゆる「かばん」屋的な得意先をお廻りになつていらつしやる。これは呉服屋なんかに見ると同じような姿じやないかと思いますが、これは店を持つていらつしやるかた、純粋の「かばん」屋というだけのものは東京辺では少いという話を聞いておりますが、併しこの面につきましても、おのずから所得税の課税とかいろいろな問題でつかまる、いろいろわかる面もございますから、結局「かざり」屋さんに課税の形をとるか、小売屋さんに課税の形をとるかということを考えて参りますと、やはりこの種の品物の性格からいいまして、小売課税の方が適当じやないか、かような結論を得て今回の提案になつた次第であります。
  23. 小林政夫

    小林政夫君 第一種の今の真珠等は今おつしやつた基準にはまりますか。
  24. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 真珠につきましては、現在は大体御木本さんが大部分でございまして、あすこで一応課税ということになつておりますが、結局現在は真珠そのものが製造の過程の形においては課税しておりませんで、結局やはり或る程度真珠製品として加工したその段階において課税しておる、こういう格好をとつております。
  25. 小林政夫

    小林政夫君 そうするとこの書き方もおかしい。
  26. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) それは現行法の話でございます。現行法においては真珠そのものには課税しておらない、真珠製品にだけ課税しておる。今度の小売課税におきましては、小売の段階においては真珠だけ買われた場合においても課税する。併し大部分は真珠製品として買われるじやないか。この意味において、品物の性質からいいましても、大体貴石、半貴石、真珠と同じように扱える性質のものじやないか。かように考えてこれを小売課税に入れたわけであります。  なお現在は製造課税になつておりますために、真珠という姿においてよりもこれは結局真珠製品になるという現状に考えまして、現行法では製造課税でありますが故に真珠には課税しないで、真珠製品には課税する。併し小売課税になりますと、結局消費者に移るわけでございますから、真珠だけで消費者に移る場合は非常に例外的な場合だと思いますが、この場合におきましても、やはり小売課税としておきますと、結局真珠だほ買つてあとで真珠の加工だけを依頼するという段階が考えられますので、小売になるが故にこれはやはり真珠というものを入れておく必要があろう。かように考えて改正案を提出しましたような次第であります。
  27. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、述べられた第一種にした基準を要約すると、メーカーと販売者とを対比した場合に、事業能力において販売業者のほうが上であるというもの、おおむねその言葉に尽きると思うのですが、非常にメーカーが数が多くて、中小業者或いは職人的なもの、こういうようなものによつて製造されるものである、メーカーよりも販売業者のほうが非常に上だと認められるようなものが大体小売課税になる、そういうふうに要約して考えていいですか。
  28. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) まあ上だとか下だということは少し私の説明が悪かつたと思いますが、結局従来の経験に鑑みまして、メーカーという姿において課税するやり方はどうもうまく行つていないと言いますか、無理もありますしうまく行つていない点がある。たしかに数から言えば小売業者の数の方が恐らく私は多いと思つております。併し小売業者のほうが何と言いましても、表へ出ると言いますか、その姿になりますから、従つて、課税においてもその方が容易に手数もかからないでできるのではないか。それから概括的に言いましても、課税標準が違うのですから当り前の話ですが、その税率が二割ともなればこの種の税金としてはそう高い税率とは言えんじやないかというようなことから考えましてやはり小売課税がいいじやないかとかように考えております。
  29. 小林政夫

    小林政夫君 今のような標準で行くと、一応今この二種の方に入れられているが、性質上第一種に入れた方が勿論望ましいというようなものも見受けられるようですが、多少この選択の基準において混淆があるように見受けるのですが、どうですか。
  30. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今のような選択から言いますと、もつと同じように小売へ持つて行つていいものがあるのじやないかという御意見のようでありますが、我々も見まして或る種類のものにつきましてはかなり似たような種類のものがないとは言い切れないと思つております。例えば身辺用細貨の中にございます、まあいわばまがいの真珠の首飾りのようなものはまさに非常によく似ているのでございますから。但し、今度この程度の種類のものを小売課税にするにつきましても、実は関係業者のかたから相当いろいろな強い批判があることは或いはお聞き及びだと思いますが、そういうような点も勘案いたしまして、そう急に一度にいろいろな酒類のものを拡げるというのも如何かと、で、この際としましては、税率の高い、従つて是非ともそのような意味からしましても、小売課税にする方が適当であるといつたように考えられましたものを特に選びまして、これらの品物は父音から小売課税でやつていた、そういうようないきさつも考えまして、一応の限定された姿において小売課税を実施しよう、かように考えた次第でございます。
  31. 小林政夫

    小林政夫君 では私は爾余の問題は政令ができてからにいたします。
  32. 野溝勝

    ○野溝勝君 一、二点お伺いいたします。原則的にはこういう消費税などに対しましては撤廃できることなら撤廃を我々は叫び、且つ又その実行を願いたいと思つておるのであります。併し、今回のこの物品税法の一部改正法律案は、理由にあります通り、税制改正の一環としてこの法案を出した、物品税の負担軽減をする、こういう趣旨でありますが、これは実にこの趣旨内容とは私は矛盾しておると思う。実際に消費者の負担、それから物品税に対しての徹底的な軽減を図るというのでありましたならば、順位というものをやはりきめてかからなければならん。ただ無計画的に天ばね主義というような考え方は、これは私は負担軽減の妙味としては妙味ではないと思うのであります。特に現下の財政状態からみて相当の財源になつておる。相当の財源になつておるものを軽減するということにつきましては、それは相当困難もあつたかと思うのであります。だが全く国民は直接税で相当の負担を負い、更にかような間接税で又そのしわ寄せを国民に転嫁されるというようなことで、国民大衆はこの物品税反対、特に最近に至りまして大きく国民運動が展開されたことは当局も御存じのことと思まいす。あらゆる中小企業の大会におきましても、この題目を唱えて決議されております。然るにまあその声にいささか応じたと言えば言えないこともないのでありますが、それなら私はどういう物品が国民生活に直結し一番必要なものか、又それを考えなければならんかという点に対象をおかなければならんと思うのであります。渡辺主税局長は就任早々でございますから、過去の大蔵委員会における速記録を十分御覧になつておらないと思うのでありますが、今日までの大蔵委員会における委員の意見というものは、物品税に関する限り、奢侈品税はこれはいたし方ないが、日常生活に関係あるものに対しては、撤廃乃至は徹底的に軽減しろということを高く叫んでおつたのであります。そういう私自身も強く叫んでおりましたから、今までの速記録を一つ御覧願いたいと思います。然るに、折角政府の考えられたこの法律案内容を見ると、誠に想像とは少し反しておると思います。一体、この物品税率のうち、化粧品などはばかにこれは待遇を受けているのですが、何かこれは政治的な意味でもあつたのですか。更に申上げますならば、金庫のごときものも、何もそんなに国民生活に必要なものじやない。犬の毛皮のごとき、猫の毛皮のごとき、羊毛皮のごとき、こういうものまでもこれは入れてある。贅沢品と生活品とごちやごちやになつておる。勿論甲乙丙丁戊己なんという、別には扱つているらしいのでございますが、どうもそのよなものは、私どもの生活からみると、私は理論的に、何ら物品税を軽減しなければならんというような根拠は余りないと思う。娘たちの生活必需品だと言えば、それもまあ理窟にならんことはない。沼棒にも三分の理窟はあるのでございますから、どうでもそういう意味においては理由がつく。併し生活上からの理論体系は私は成しておらんと思う。そういう点で、この率の算定基準の根拠を先ず第一に当局からお伺いしたい。
  33. 小林政夫

    小林政夫君 関連して。今の根拠については、特に著しい変化のあつたもの、現行法と改正法といま野溝委員の言われた率の変つておるもの、これについて一つ一品々々説明をしてもらえれば幸いと思います。対照表もありますから、対照表によつてやつて下さい。
  34. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 物品税の税率につきまして、これが是非五十以上でなければならない、是非これは四十でなければならないといつたように、個々の点につきましてはなかなかいわゆる二一天作の五式に割切れないということは、その税の性格から、いいまして止むを得ない事情じやないかと思つております。併し野溝先生のおつしやいまするように、おのずからやはり常識的に奢侈的な性格の強いものにつきましては、その税率が高く、然らざるものにつきましてはその税率が低いということは、これはやはりおのずから考えられるところでありまして、今回の改正におきましても、大体その線に沿いまして、同時にいろいろな各方面の御批判をも伺いまして、今度の立案をした次第でございます。なお最初野溝先生の御質問の方に簡単にお答えしました上で小林先生の御質問により、全体について簡単に申上げたいと思いますが、化粧品につきましては、今度率を一割から五分に下げましたのは、従来一割として同じ化粧品の中でも必需の程度が高かろうと思われる種類のものだけを選びまして、そしてこれを一割から五分に下げたわけでございます。従いまして従来三割の税率になつております品物につきまして、それは白粉とか口紅とかそういう種類のものでございますけれども、これは従来に据置いてございます。従いまして下りましたのはクリーム、それからポマード、これが主たるものでございまして、この種のものにつきましては、現在においては大体どなたも、女のかたならクリームを使い、男ならポマードを使うだろう、そうした一般的な性格を持つていることに顧みまして、これは一応一割から五分に下げて行こうと考えたわけでございます。  次に御指摘になりました金庫でございますが、これは個人の使用の分も確かにございますが、同時に事務的な事務用品であるという性格が多分にあるものでありまして、事務用品的な性格のものはむしろこれを課税の外においたらいいじやないかという議論も一部にあるわけでございますが、それではどの程度のものを以て事務用品と考えるかという点につきましては、なかなか区分のしにくい点がございます。大型の金庫だけが事務用品として考えていいのか、或いは小型のものでもどうか、そういうような点もございますし、そうした事務用品的な性格が強いという意味におきまして、金庫の課税は課税外にこれを区分して持つて行く点には困難がありますから、税率において一割から五分に下げたらいいだろうという考え方で下げた提案をしたわけでございます。  なおもう一つ犬毛皮、猫毛皮の毛皮類の問題でございますが、これは現行の税率一割がそのまま据置いてございまして、別に変更はございません。  もう一つ先生何かおつしやいましたか、御指摘になつたでしようか。野溝先生、毛皮ともう一つ何か御指摘になつたでしようか。
  35. 野溝勝

    ○野溝勝君 まあ挙げるものは双眼鏡でも何でもあるが。
  36. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) それでは次に小林先生の御指摘に従いまして、各品種の上り下りしたものについて一応御説明申上げたいと思います。  第一種の品物として載つて参りましたものにつきましては、先ほど申しました通りでありますが、第三種の品物でございますが、先ず写真機が従来乙で入つておりまして、四割の税率になつておりましたが、今度丙に下げました。写真機、双眼鏡の類を三割の税率、一割引下げたわけでございます。物品的な感覚からいいまして、特に写真機をこういうふうに下げて参りました理由は、結局蓄音器とか楽器等との権衡を一応考えたということが正面の大きな理由であるというふうに申して差支えないと思います。なおついでに通産省側からは、非常にこの写真機、双眼鏡、光学的な機械につきましての物品税の税率の引下げも、これは通産省のほうの感覚からしまして、引下げて欲しいという非常に強い要請がありました。結局それは最近における日本の光学機械が相当世界的に地位を占めている。勿論輸出いたしますと、これは輸出免税になりますから、物品税は課税になりませんが、併し何とかしてこれを合理化し、大量生産することによりまして、輸出のコストを下げたい。そのためには物品税をできるだけ安くすることによりまして、国内市場を大きく確保したいと、こういうような通産省の要請がございました。ただ私どもの方としましては、そうした通産省の要請をそのまま受入れることは物品税の性格からしてちよつと適当でないと思いましたが、蓄音器、楽器その他と勘案しまして、写真機につきましても四割よりも三割がいいだろうというので一応下げた次第であります。双眼鏡につきましては同じ光学機械であるという意味におきまして、写真機と合せまして一応の処置をした次第でございます。  それから次にネオン変圧器を今度はネオン管と区分しまして、乙から丁のほうへ入れまして、三十四の「照明器具及びネオン管用変圧器」というふうに移したのでございますが、ネオン管変圧器はいろいろ調べて参りますと、普通の変圧器とネオン管用変圧部の中にはそう大きな区別がないといいますか、ネオン管に取付ける場合においてそれがネオン管変圧器であり、他のものに取付けると、それはもうネオン管変圧器でなくなるという性格のもののようでございます。そのような意味におきまして、ネオン管に取付ければネオン管変圧器、然らざればそうでない、他にも転用できるといつたような性格を考えまして、これはネオン管と同じような四割の税率にしておくのはそこに無理があろうというので、一応丁類に入れた次第でございます。  それから次に喫煙用ライター、これを従来三割の課税から二割の課税に引下げた次第でございますが、喫煙用ライターにつきましては、これも一面輸出の振興の意味から何とか課税を低くして欲しいという要請がありましたが、それとは別個に我々の方といたしましては、現在喫煙用具が三割の課税に全部なつておりますので、これとむしろライターは同じ取扱をすべき性格のものじやあるまいかというので、ライターを喫煙用具と一緒のところへ持つて行く意味におきまして、二割に引下げた次第でございます。  それから次にレコードを三割から二割に引下げておりますが、これは蓄音器、レコード、従来は同じ税率で課税しておりましたが、いろいろな議論があるのでございますが、レコードにつきましては、これは消耗的な性格を持つている。蓄音器は一台買えば相当長く使えますが、レコードはあとから、あとから買うものだといつたようなことを考えまして、消耗度の点も考慮しまして、これは一側下げた二割が適当であろうと考えた次第でございます。  それからコーヒーをその次に二割から一割に下げてございますが、コーヒーにつきましては、現在三割五分の関税がかかつておりましてここにコーヒー乃至それの入つております品物の全部は、これが国内製品は殆んどございません。全部輸入品ばかりでございます。従つてこの関税を三割五分そのまま据え置くか、或いはこれを少し引下げるということについてもいろいろな要請があるわけでございますが、関税率のほうは、これはまあ将来関税交渉の一つの種と言つてはどうかと思いますが、種にもなりますし、まあこれを引下げることにつきましては、将来関税交渉をする場合の種がなくなつてしまう。従いまして相手の場合によりましてはこれは引下げるわけには行かない、ところが三割五分の関税がかかり、更に二割の物品税がかかるということになりますと、ほかのほうの同じような清涼飲料とかいろいろな関係もございますが、そういうものとの均衡から見まして負担がいささか高きに失しようという意味から行きまして、関税定率等の場合からしまして、この際二割を一割に引下げたわけでございます。  それから時計につきまして二割を一割に引下げたわけでございますが、時計につきましてもいろいろの議論があつたわけでございますが、時計も或る意味におきまして殆んど一般的に普及しておるその姿というものを見まして、これも或る程度必需的な性格が強かろうという意味におきまして二割から一割に引下げたわけであります。  それからあと化粧クリームにつきましては先ほど申しましたし、金庫についても先ほど申上げた通りであります。化粧下、化粧水は現在一割になつております。これはまあ多少クリーム、ポマードなどと違いますが、それを一割に残しましては、化粧品関係が何といいますか、三本になりまして、三割のものと、一割のものと、五分のものになる。こういうような関係になりまして、いささか煩雑に過ぎよう、量的に見ましてもそれほど大きなものでもないというので、或る意味において化粧水、化粧下ということになりますと、クリーム、ポマードとは多少感覚が違うかと思いますが、併し余り煩雑な税率になるのも如何かと、その意味におきまして同じように取扱つた次第であります。  それから金庫については先ほど申上げましたが、それからタイルその他、これがやはり一割から五分に引下つておりますが、これはまあかなり建築用のものでございまして、いささか奢侈的といつたような感覚とどうもうまく合わないところもございますし、現在課税しておりますのも擬似大理石とか、或いはタイル、こういうようなものでございますので、これも一応一割から五分に下げたのであります。  それからラヂオ、或いはラヂオの真空管、この点につきましてはいろいろ議論したわけでございますが、最近におけるラヂオの普及度というものを考えまして、とにかくこれは一面におきまして、普通に極く普及しております五球以下のラヂオは、これは一割から五分に下げる、ただオールウエーブとか、或いは六球以上のラヂオにつきましては、これは逆に従来の一割から二割に引上げる。こういうふうに区分しまして、一般の普及度の高い、或いは一般に普及させる必要があろうと思われるラヂオを中心にしたのでございまして、これは一割から五分に引下げる、その代りオールウエーブ、或いは六球以上のラヂオにつきましてはこれを二割に引上げる、かような措置をとつたわけであります。  それから乗用三輪自動車及び自動自転車でございます。これの一番課税対象として数の多いのはスクーターであります。かなり多くの部分が商店などにおける貨物運搬などに相当使われておるようであります。そういうような点を考えまして、これはやはり一割から五分に下げる必要があろう。  それから果実エッセンスでございますが、これはまあいろいろな種類がございますが、合成のものもあれば果実から取つたものもありますが、現在課税しておりますものは、油性のものを除きまして水に溶ける溶解性のものだけを課税しておるのですが、油性のものと溶解性のものとの差異とかいろいろな点につきまして議論があるわけでありまして、果実エッセンス、そんなものに課税することがおかしいじやないかという御批判も一部にはあるわけでありますが、そんな点も考えましてこれも一割から五分に引下げた。  それから敷物類、これはリノリユーム、花筵類ですが、これらも余り贅沢な絨毯とか何とかいうものと全然性格が違うわけでありますので、これも一割から五分に下げる。  それから紙及びセロフアンは、これも現在は百分の五になつておりますが、これについての課税もいろいろの議論があるわけでありまして、一応大蔵省においてはなかなか、やめたらいいじやないかという議論もあるのでありますが、税収の面から行きまして必ずしもそうは行かないというので、これは百分の三に下げる。  それから口中剤、これは薬局法に則りまして作つておるものが大部分でありまして、言わば薬局法の見地からすると課税か否かといつたような議論もありますので、この際としては一割から五分に下げる。  それからあと第三種につきましては、サッカリンにおきまして現在の税率が一キログラム千円になつておりますが、これを三百円に引下げました。これはまあ一時砂糖などが非常に不足している時代におきましては、サツカリン、ズルチン等におきまして相当需要も多かつた故もあると思いますが、値段もかなり高かつたのでございますが、最近におきましては砂糖の供給が樋沢になりましたために、又砂糖の価格もそう高くないということの故に、千円の税率を以てしてはサッカリン、ズルチン等は到底産業として成つて行けない。そこでまあ現在のサッカリン、ズルチン等の市価というものも考えまして、大体三百円程度ならよかろうという結論を出した次第であります。  以上簡単でありますが、各品目につきまして私のほうでそれを動かした一応の理由を御説明申上げました次第であります。
  37. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 一つ一つのものについての御説明を承わつたのですが、大体それを貫く方針があると思うのですが、それをされた基準の主なるものは何と何ですか。
  38. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 先ほども申しましたように、物品税の性格からいたしまして、計数的にぴたりと税率が出て来る性格のものではないことは御了承願えると思うのでありますが、併し何と申しましてもやはり実用品的な性格の強いものについての税率はこれは安くする、そうでない品物の税率は高くするという観点を以ちましてそして現在のそれぞれの品物についての税率をもう一遍ずつと見直してみたのでございます。そうしてこれはどうもいささか課税の中に入つて来ること自体においてまあいろいろ議論があろう。従いまして同じ課税するといたしましても、やはりこれはできるだけ低い税率に持つて行くべきではないか。これが主として一割から五分に下げました種類については大体そういうことが言い得ると思つております。まあ勿論その中にラヂオといつたような多少性格の違つたものもございますが、この分につきましては、先ほども言いましたように、普及の必要とかいうものを考えまして、高級ラヂオと、そうでないラヂオとを分けるということによりましての考え方がそこに一つ入つておるわけでございます。なお従来四割であつた品物、或いは三割であつた品物、或いは二割であつた品物につきまして、それぞれ一割ずつ引下げたという点につきましては、これと同じような種類の性格のもので権衡が果してこれでいいだろうかという点を考慮いたしまして、そして先ほども申しましたように、一応の理由をそこに見付け得るも一のにつきまして操作をした、かような次第でございます。
  39. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 一体まあ一応そういう基準だとおつしやればその基準なんでしようが、問題は物品税は成るべくなくして行こうという方向に第一に行つているのかどうか、それが一点です。  それから実際にまあそういう今言われた標準からもそうでしようが、これを需要する国民生活の上から何か基準を持たなければならないという点、二点だけお伺いしたい。
  40. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 物品税につきましてはいろいろな御批判もございますが、少くとも現在におきまして、なお且つ相当高い税率で以て課税されております奢侈的な性格のある品物についての物品税の課税というものは、消費税の体系の上からしまして残つていい性格のものじやないかというふうに思つております。ただ現在の姿で以てそのままでいいかどうかという点につきましては、これは財源の裕りさえあれば或いは整理していいものもあるんじやないか。これはただ本年度のような財源の状態でございますと、この程度の負担調整以外には止むを得ないのじやないかと、かように考えております。    〔委員長代理黒田英雄君退席、理事大矢半次郎委員長席に着く〕  それから国民生活の結付きにおきましては、やはりどこまでも実用品的な性格の強いもの、これはむしろ整理ができれば整理すべきもの、整理ができなくてもできるだけこれは負担は軽くする、割合に奢侈的性格の強いものの税率はこれは高くする。かような原則はどこまでも維持すべきものである、かように考えております。
  41. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと関連して聞きたいのですが、物品税の今度の改正基準なんですが、先ほど通産省からの話で、輸出面で考慮する、こういうお話でした。輸出面ではそういうことを考えておられないのですか。内地品が競争に耐えかねて、関税率を上ぐべきところであろうけれども、関税はまあこの際いろいろな事情から上げられない。併し物品税を下げればそれだけ安くなるから外国品と競争ができるといつたような考えは織込んではないでしようか。
  42. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 輸入面の問題になりますと、松永先生の御指摘になりましたのは、内地のほうの品物のコストが高い、従つて輸入に押される。これはどこまでも関税のほうでやつて参りませんと、物品税の税率を下げて見ましても、結局国外から入つて来る物品税も同じように下げざるを得ないわけでありますので、その面からいたしますと、どうも余り効果が期待できないのじやないか。これについては一つ我々ぶつかつておる実例がございます。それは物品税でございませんでしたけれども、砂糖消費税の問題なんでございます。御承知のように鹿児島とか高知とか、あの辺で白下糖とか黒糖を作つておりますが、これがなかなか生産者の採算が合わないというので、千八百円の税率を数年前に一遍に四百円に引下げたわけでございますが、ところがその非常に低い税率をやはり利用しまして、砂糖の値段としてはそれで下り得たのですが、今度はインドとかフィリピンとか、或いはそういう方面の砂糖がその税率によつてどんどん入つて来る。従いまして値段は下りましたが、少くとも鹿児島とか高知辺の生産者にとりましては、自分のほうの懐は値段が下つたということの故に、その人たちの目から見れば、結局まあ元も子もなくなつた。消費者の眼から見ればこれは別なんですが、そういうような姿になつて参りますので、今度はまあ砂糖消費税等におきましては多少姿を変えまして、樽入黒糖、樽入白下糖、特にあの辺の地区において作られております製造方法というものに重点を置きまして、そういうものについてだけ四百円にして、同じ黒糖でありましても、そういう姿でないものについてはこれを八百円にするといつたような措置をとりたいと思つて御提案申上げているのですが、どうも物品税におきましてこれを下げて見ましても、国外からの競争という問題になりますと、結局同じような立場に立つものでございますから、逆に利用される場合が相当ございまして、なかなかこの面から国内産業保護しようということは困難ではないか、かように考えております。
  43. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 今国民生活の実態と実生活と結付いているということが一つの標準だと、一つの物品の同じ価格というものが、非常に幅が広いのですね。そういうものが一体その品種の上で考えられるのだろうかどうかという問題があるのです。結局それがいつも価格そのものが標準にならない場合には、国民生活と結付いている実態を、消費面から国民生活の生活水準と睨み合せて考えるような考慮がもつと入るべきものじやないかという気がするのですね。今新らしく五十五からら五十六まで下げられたものでも、これを見ますと、ものによつては何というか、非常に我々自身から言うと、これは無論その物の価格が高い安いができて来ますから、それによつての問題は起つて来ますが、税金自身としてもこの幅でいいんだろうかということが十分考えられるような気がするのですが、そういう点についてどうお考えになるか、そうして調査されたことがあるか。
  44. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 我々のほうといたしましてもできるだけの調査はしたつもりでございます。ただ、今お話にございましたような点につきましては、この物品税法の作り方が、法律におきまして一応品目の大綱をきめまして、これは昔の税法である故もあろうと思いますが、政令におきまして更にこれにつきまして相当細かい内容をやはり区分してございますことは御承知の通りであります。又その同じ、例えば漆器の製品、陶磁器の製品のようなものにつきましても、値段の高いものもあれば非常に値段の安いものもあるわけでございますので、従いましてそれらにつきましてはそれぞれ課税限度が定められておりまして、それにつきましても今回再検討を加えておるわけでございまして、従いまして一見しますと、まあこんなものがこんなところにあるわというふうにお考えになるものもありはせんかと思いますが、それらのものにつきましてはそれぞれ課税の最低限度が定められておりまして、相当高級品でありませんと課税しないということになつてございますので、政令のほうのそれらの措置と併せ御覧願いますと、まあ大体こんなところになるのじやないかというふうに我我としては一応の結論を出しておるわけでございます。
  45. 野溝勝

    ○野溝勝君 これは先ほども小林さんさんからも、又今堀木さんも関連してお話だつたのですが、政令のあれを見ないと、質問の順位も立ないのですが、いずれまあそれを見た上で継続したいと思います。ただ我々はどうしても割切れんのは、これは私ばかりじやない、皆、委員は同じだと思うんですが、一般にこれで見ると、この算定基準の分析が実際あいまいなんですよ。まあいわば何と言いますかね、目分量というかな、まあ私はその程度のことだと思う。今の説明を聞いてもそんなふうなことらしいや。それで科学的にといつてもなかなか面倒です。それはよくわかりますが、なにせどうしても割切れんのは、まあ税金の量が少くても、大衆生活に必要でないようなものは大体やつばり減税になつておる。私はこの点が割切れんので、特にまあずつと前から問題になつておりました紙のごときものは、板紙、和紙、これは私どもは盛んに廃止を説いているが、これが依然として残つておる。ところがこれは相当税金の量になるからというわけで、私は税金の量になるからといつて大衆の消費生活を脅やかすことはよろしくないと思う。もつとほかのほうから取つたらいいんじやないですか。それから更に国民生活に必要なものであるところの文房具類、果実エッセンス類、こんなものは徹底的に減税して、やめていいと思うんですよ。そういう点が明らかになつておらないんですね。それでいわば、これはまあその表現が悪いかも知れませんが、私は口が悪いからお許し願いたいと思うのですが。味噌もくそも一緒というような状態で、これじや折角政府が減税をしたと言つてもどこのクラスが有難いかというとね。金庫クラスとゴルフ・クラスと、それから化粧品クラス、これが一番有難がる。ほかのクラスは与よつとぱつとしないですね。まあそういう点で一つ改めてその政令が出た上において又一つ十分に質疑したいと思います。
  46. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 物品税を課さないもので考慮するものはありませんか。
  47. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) まあいろいろ検討はしてみているのでございますが、一つの話題になるものとしましては恐らく織物関係で、現在の物品税の権衡からしまして相当課税していいものがあるのじやないか、こういうお議論は私は一つあり得ると思つております。今回もいろいろ検討してみたのでございますが、まあこの際としては取上げるのもどうだろうかというので、これは今回の改正案には入つておりません。なおごの法律のほうに載つておりまして、今まで政令に載つていなかつたものにつきまして、二、三政令事項として新らしく課税に取入れたいというものがございますが、これはいずれ政令案で提出いたしたいと思つております。
  48. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) それでは物品税は本日はこの程度にいたしまして、次に物品税以外の各税について御質疑があられるかたはお願いしたいと思います。
  49. 小林政夫

    小林政夫君 先ず砂糖消費税の問題について、今までの第四条の四を削つて、担保を提供せずして今まで一カ月ですか、徴収猶予ができておつたのを今度やめにするのでね、これはどういう理由か伺いたい。
  50. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 今御指摘になりました第四条の四でございますが、これは砂糖の販売統制が行われておりました当時に、日本砂糖統制会社というのがございまして、その日本砂糖統制会社のほうの必要といいますか、結局資金の回収までの間に、そうした姿にあるのですから、特別に期間がかかるといつたところを頭に置きましてその面の必要から出た規定でございまして、まあ現在そういう統制会社もなくなりましたので、普通の事業の場合におきましてはそうした特殊な延納の規定は必要はあるまいというので削る、かようなわけであります。
  51. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると従来この規定は今の統制会社にだけ適用されておつたのですか、如何ですか。
  52. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 従来統制会社だけに適用された規定でございます。
  53. 小林政夫

    小林政夫君 それからこの租税特別措置法に、なぜ二十五条の三というようなものを租税特別措置法に持つて行つたのですか。
  54. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) これはちよつと速記をとめて頂きたいと思います。
  55. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  56. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 速記を始めて。
  57. 小林政夫

    小林政夫君 第十一条の第一項の第三号で新しく育児食について「乳児ノ食用ニ供セラルル物品ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ謂フ」のを入れたのですが、これはどういうものを定めようとしておるのですか。
  58. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 育児食に使つた砂糖は砂糖消費税を免除する或いは消費税に相当する交付金を交付する、この規定関係規定でございますことは御承知の通りであります。振返つて調べてみますと、結局二十三年の改正にこの規定が入つておりますが、これは当時におきましてミルクが配給制度になつておりました。それでところがそのミルクがなかなか思うように手に入らない。配給するだけの十分なミルクがない。そこで当時いわゆる育児食なるものを農林省が作りまして、そこでミルクの代用品としてこれを配給していた事例がございます。でミルクに対して砂糖の消費税を免除している。従つてその代用品なるが故に育児食に対する砂糖税も免除しろ、こういうのでこの改正規定が入つたのだと思つております。その後ミルクの配給制度がなくなり、従いましてミルクの需要供給も殖えまして、従つてこの配給制度による育児食というものは、実はその意味もまあなくなつてしまつた。ところが、一応法文の上では育児食と残つている。それではこの育児食とは何ぞやが問題になるのでありまして、或る方面からこれこそ育児食だと言つて品物を持つていらつしやいまして、これに対する砂糖消費税を免除しろというこういう要請があるわけでありますが、なかなかどれが育児食という点を、出発が出発だけにいろいろむずかしい、きめかねる問題があるのであります。そこで、そのことこの育児食というのを削つてしまつたらいいじやないかというのも、実は私どもの部内にはあつたわけですが、厚生省といろいろ交渉してみますと、厚生省としましては、やはりこの育児食という名前において特に乳児用の非常にまあお湯などにも溶けやすい、同時に栄養価もあるまあビスケット様のものを、これは是非砂糖消費税を免除して欲しい、非常に強い要請があるわけであります。そこで厚生省のほうといろいろ話合いまして、それじや育児食という一応の法文があるのだから、これを現行のままにしておきますと、ただ解釈だけの問題になりまして、行政庁の解釈だけの問題になりまして、従つてこれが育児食だと言われた場合、いや育児食じやない、行政上の紛議も相当あるわけであります。従いましてこの際といたしまして、この問題を一応新らしく取上げまして、厚生省の要請している乳児用のそうした品物をこれを厚生省のほうで案を出して頂くことになつておりますが、いろいろな規格、成分等につきましてそれぞれの専門の技師のかたが、これが乳児用としては推奨できる、そういつたものを一応政令できめまして、そしてこれに該当するものがこれが育児食だ。従つてその製造に使われる砂糖消費税はこれは免除しよう、こういうようにいたしますことが、一番行政的にも摩擦もなくなりますし、或いはこの育児食という規定が法文に入れられた趣旨にも合致できるのじやないか、かように考えまして、現在のままで裸のままで育児食と書いておきますと、非常に紛議の的だけにしかなりませんので、今度一応乳児の食用に供せられる品物で命令で定めるもの、命令におきましては厚生省の意見を聞きまして一応の規格、成分等をきめまして、その規格に合致したものが育児食だ、かように措置して行こう、その意味におきましてこの改正をいたしたいと思つておるわけであります。
  59. 小林政夫

    小林政夫君 砂糖について私はそれだけですが………。
  60. 松永義雄

    松永義雄君 砂糖が安いとさつまいもが困るという話が前からあつたのですが、砂糖の税金を二割上げると、幾らかさつまいもの価格に対して保護されるということになるのですか。
  61. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) まあさつまいもといいますと、すぐにさつまいもの関係というよりも、結局さつまいもで以て、澱粉を作ります。澱粉で飴を作ります。その飴が結局砂糖の競争品になるわけでありまして、従いまして砂糖の値段が安いと、おのずから飴の値段が安い、飴の値段が安ければ、澱粉、澱粉の値段が安ければ、さつまいも、こういうような因果関係がございまして、御承知のようにさつまいもから飴がずいぶんできておりますので、従いまして砂糖の値段が上れば、それに応じて飴の値段が相当上る。従つてさつまいもの値段にも響いて来る、こういう影響は十分あろうと思つております。
  62. 松永義雄

    松永義雄君 そこでまあ併し数字的にどういうようになるかちよつとわかりかねるでしようけれども、さつまいもの買上げ法案を作ろうとしたら、大蔵省の反対でできなかつた。さつまいもの安いのは、何も砂糖ばつかりから影響が来るのではないかと思いますけれども、それにしても曾て農林委員会で砂糖及びさつまいもの価格、澱粉等について論議されたことがあつたのですが、どうも大蔵省がさつまいもその他何か二、三点あつたようですが、麦と同じように一定値段で買上げて、価格の維持を図るという農林省の要求に対して、大蔵省はこれに反対だという新聞記事が出ておつたのです。まあ砂糖の値段が上れば、飴も澱粉の値段もそれにつれて上る。従つてさつまいもの価格も維持されるということになろうかと思うのですが、それがどういう関係で、どういう状態になつておるかということをちよつと聞いてみたわけなんです。
  63. 小林政夫

    小林政夫君 次はガソリン税、先ず第一に税収を今年二十八年度、百五十八億見込んでおられますが、これは一キロリッターが一万一千円だから、それで割つて見れば、すぐ何キロリッターということが出るわけですが、業種別に、トラック業者で幾ら、乗用者で幾ら、それから工場、或いはゴム工場とか、或いは漁船というようなガソリンの消費者別の使用キロリッターと、同時に税収がわかりますか。
  64. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 揮発油につきましては、経済安定本部、今経済審議庁になつておりまするが、ここにおきまして一応の割当の計画はございます。従いましてこの割当計画表でよろしうございますれば、これはあとで……。税金は結局これにかければ数字が出ますから、この二十六年、二十七年、二十八年の一応の計画はございますので……。これが実績としてどういう姿になつておるかという点につきましては、多少の疑問があろうと思いますが、これでよければ参考資料として提出いたします。
  65. 小林政夫

    小林政夫君 二十八年度の百五十八億三千一百万円を見積られた基礎は、この経済審議庁の割当計画によつて見積られたのならば、その資料で結構です。
  66. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 私のほうといたしましては、この割当だけで数字を出したわけではございませんので、割当の参考にいたしますと同時に、最近における税収の納付とかそういうものを基礎といたしまして計算したわけでございまして、そうそのものずばりといつた恰好で、これから出ているといつたわけではないことは御了承願いたいと思います。
  67. 小林政夫

    小林政夫君 それでは二十六年、二十七年については……、二十七年度というとまだ日にちが残つておりまするから、実績というのは出しかねるでしようけれども、経済審議庁の割当表と、実績のわかるものについては実績、これは大蔵省でわからなければ、どこでわかりますか、経済審議庁でわかりますか。
  68. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 揮発油の購入につきましては、従来は切符の制度をとつております。従いまして、その切符が更に横流しされるかされないかということは別にすれば、切符の発給先で一応の実績が推定できるわけでありますが、最近にはその切符制度がございませんので、一応現在としては、外貨割当の参考資料として、大体自動車部門でどのくらい使うか、どの部門にどのくらい使うかということから積算しまして、総額幾らくらい要るといつた程度の資料でございますので、それが実績とどこまで結付くかということになりますと、非常にまあ結付きの線は薄いのじやないか。そのような意味におきまして、極く大ざつぱに、大体どういう部門においてどのくらい使われるということは、これは今の積算の基礎でかなりわかると思いますが、そこの細かい計算になりますと、ちよつと現在のところでは少し無理じやないか。我々のほうも、大蔵省といたしましても、結局揮発油が保税地域なり、製造所から引取られるときに課税いたしておりまして、それが卸売、小売を経ましてどういう部門に売られて行くかという点につきましては、直接関係がございませんものでございますから、その関係の統計調査を持つておりませんので、実績に結付いてどういうふうに使われているかという点につきましての数字は遺憾ながら持合せがございません。
  69. 小林政夫

    小林政夫君 当委員会においては、この揮発油税の軽減に対する請願を都度願意妥当なものと認めて、軽減方を政府へ伝達いたしておりますが、一万一千円から一向に下らない。どういう理由ですか。
  70. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 揮発油税につきましても、いろいろ検討しているのでございますが、何と申しましても、減税財源に一応の限度がございますものでございますから、従いましてその減税財源の限度内におきまして最も必要度の強かろうと思われる面を中心に減税して参るものでございますから、今度の据置におきましても、何と申しましても、一番大きな減税となつておりますのは所得税でございまして、そういうような意味からいたしまして、遺憾ながら揮発油税を減税するまでに至らないというので、現在の提案といたしましては、揮発油税は現行の税率に据置く、かように相成つておるわけであります。
  71. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、揮発油税としては、本年度の予算に、二十八年度予算に計上されておる百五十八億程度のものが入ればいいという考えであるか。税収のみの点からいつて考えるならば、百五十八億程度のものが確保されるならばいいのだという考えだとすると、これで行くと約百四十万リッターくらい使えば百五十八億になるわけで、ところが実際の業界等における見通しでは少くとも百九十億リッターくらいには、三十八年度に使えるであろう。そうすると、二百九億くらいの税収になるだろう。その百五十八億と二百九億との差額は割引いてもらつてもいいのじやないか、こういう意見も言うのであります。その点についてはどうお考えになつておりますか。
  72. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 先ほどの揮発油の問題については、その消費量は国内の需要の場合かと思いますが、同時に外貨割当の問題もございまして、業界において百九十億と言つておりますのが、果してどういうことになりますか、なかなか現在としてはちよつと見通しが困難じやないかというふうに思つております。一応歳入というのは、昨日も小林先生のお話があつたように見積りでございますので、これだけ確実に収入がある、二百億確実に収入があるということになれば、これはまあ問題は別でございますが、現在の状況におきましてはまあ大体この程度だろう。安定本部の数字などは、むしろ我々の見積りよりも控え目のような数字も片方に出ているわけでございまして、我々のほうといたしましてはそれをも見、最近の状況をも見まして大体この程度の収入見積りをしておくのが適正であろうと考えるのでございまして、ちよつと現在の状況におきまして、この税率で二百億まで増収になろうというふうには到底考えておりません。まあその程度の増収になるようでしたら幾らでも処理財源としては考えようがあつたと思いますが、現在といたましては大体この程度の税収が妥当であろうとかように考えております。
  73. 小林政夫

    小林政夫君 御承知のごとく只今建設委員会へかかつておる議員提案による法案があるわけであります。あれは当委員会としては好ましからざるものだということを言つておるわけですね。ああいう法案が消えない限りは、我々としてもこの揮発油税を軽減するということにはにわかに賛成できないが、一応ああいうものがなくなつた形において、この二十八年度の決算で実際やつてみた。ところがやはり百九十万リッターぐらいは使つた、そして予算では百五十八億見積つたが二百億からあつたという場合において次の二十九年度において考慮する意思ありや否や。
  74. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 主税局庁としまして今、次の国会に減税案を出す意思ありやということはいささかどうも答弁がいたしかねることを御了承願いたいと思つております。そのときの情勢によりまして揮発油税を軽減できれば軽減いたしますし、或いは歳出等の関係からしまして、或いは他のより緊急な軽減の必要があるというようなものが出て参ります場合とかいろいろなことが予想されますので、今にわかに揮発油税を軽減するということを申上げることはできないと思つております。なお、御参考にちよつと申上げますと、現在の日本の揮発油税の税率を従価に換算してみますと、日本は四割五分ぐらいでございます。これはイギリスでは十四割二分、それからフランスが十三割九分、ドイツが七割六分、アメリカが一番低うございまして二割七分と、こういう税率になつておりまして、まあよその国でもつと高いからもうこれでいいじやないかという意味では全然ございませんが、ただ一応御参考のためにだけそういうことを申上げさして頂いたのであります。これは税抜きの小売価格に対する税金の割合でございます。
  75. 小林政夫

    小林政夫君 そうするとあなたのほうで信用ができる消費数量百九十万リッターが過大だということであれば、一体どういう点で、この税収を見込むときにどこの資料を基礎として大体この程度をこの年度には消費するだろうというふうにお考えになりますか。
  76. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 私のほうは六月—十月と申しますか予算編成当時における最も新らしい資料、それを一応年間換算いたしまして、そうして安定本部の割当計画というふうなものも見まして、そうしてその実績に対して七%、安定本部のほうの数字は六・六という増加の数字になつておりますけれども、まあそれを彼此勘案いたしまして七%程度増加というのを見込んだわけでございまして、やはりこういう歳入におきましては或る程度課税の実績というものを基礎にしながら伸びを見て行くというのが一番確実な数字であろう、かように考えて積算した次第でございます。
  77. 小林政夫

    小林政夫君 委員長にこの法案の取扱についてお願いしたいのですが、一応建設委員会に現在かかつておる……
  78. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  79. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 速記を始めて。
  80. 小林政夫

    小林政夫君 国税徴収法ですが、郵便局において還付を行わせるのですが、予算書を見ると国税庁から郵政事業特別会計への繰入金が十億三百三十四万八千円計上されておる。この額とそれから例の租税払戻し予算の三十億でしたか、これとの関係はどうなんでか。
  81. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 広い意味における払戻金が二つに分れまして、そうして国税局、税務署が直接支払います分を租税払戻金として計上し、郵便局を経由して払出します分を郵政事業のほうの特別会計の分に払込み分として計上してある、かような次第でございます。
  82. 小林政夫

    小林政夫君 そうするとこの三十億と十億とを加えたものが二十八年度の払戻予算総額ということになるわけですか。
  83. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) さようでございます。
  84. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると説明書あたりはおかしいと思うのです。予算の説明書にはそう書いてないのだが、三十億ですね。例えば二十八年度予算の説明書の主計局で出しておるものの六頁に租税払戻金三十億とだけ計上しておるのだが、本来ならばその十億三百三十四万八千円を加えたものをここに書かなければいかんと思うのです。
  85. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) その関係は私はつきり聞いておりませんので、或いは間違つた説明をするといけませんから、関係のほうに別途よく説明するように伝えて後刻御答弁申上げたいと思います。
  86. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後五時十分散会