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政府委員(石田正君) どうも
小林先生からの
お話で、経過を詳細に
お話するような御
要求でございますが、その点は
一つ御勘弁願いまして、ただいろいろな
考え方があり得るのじやないか。それに対してどうしてこういうところへ話が落ちついたかということの要点だけ
お話さして頂きたいと思うのです。公債を一体発行するのがいいか悪いか、これは
一つの私問題であろうかと思います。でき得れば公債を発行しないで行くということが財政
方針として望ましい、こういうことは先ず
一般論として言えるのではないかと思うのです。
その次にいろいろ公債を発行して行かなければならんといつた場合に、一体それをどういう金額で、どういう消化方法を
考えるか、これ又重要な問題であろうと
考えるのであります。今度の
予算につきまして、特別減税公債が特に選ばれましたところの理由は、先ず第一に
資金的にこういう方法を用いなければならない、それも圧縮いたしましても大体三百億という見当が出て来た、これが第一の問題に対するお答えになるかと思うのでございます。それから第二の問題といたしましては、これは何と申しますか、
日本銀行へ引受けさせるということは、これは最も安易なる方法であろうと思います。併しそういうことはこれは財政を通ずるところのインフレを端的に表明するものであ
つて、そういうことは望ましくない、かようなことに相成ろうと思います。それから第三の方法といたしまして、今
小林先生から
お話がありましたごとく、金融機関に対してこれを持たせるという方法が
考えられるのではないか、これも私は
一つの常道であろうかと思います。現在の
状況から申しまするならば、遺憾ながら国債というものは大体金融機関その他特殊なものが持
つておるものでありまして、
一般のところにまだ出して引受けさせるというような
段階に戦後来ておらないわけであります。従いまして今度本年度から金融機関に対してこれを持たせるということを
考えたらどうかということは、
一つの筋として
考えられるところであろうと思います。又その附帯的問題といたしまして、そういたしますならば、これは今言つた条件等の問題におきまして
相当合理的なるものが
考えられるのではなかろうか、かようなことが言えるかと思うのであります。ただこの場合におきまして、金融機関だけを対象といたしまする場合に、一体どれだけの金額が金融機関として消化し得るかどうか。こういうことの算定がなかなかむずかしい面があろうかと思います。それから同時に金融機関でやるならば、何ぞ三百億に限らんや、もつと多くな
つてもよいのではなかろうか、かような議論も成り立ち得ると
考えるのであります。それで何が最も、何と申しますか理想的な形であろうかということになりますと、これは完全に
民間において消化し得るところのもの、これが最も理想的であろうと思います。戦前の
状況から申しますならば、国債はひとり金融機関というような特殊なものが持
つておるものではなくして、或いは法人なり或いは個人なりが別に持
つておる、これが常態でございます。それから又消化を図るにつきましても、そういうところを対象として図るというのがむしろ常道であろうかと思うのであります。この場合に、これは
産業投資特別会計法案の中におきましてもその思想が現われておるわけでございますが、この金額の点につきましては、先ず第一にてきめんに効果が上がる、どうしても
日本経済の再建上必要であるという方面に限りまして、先ず
資金の限度というものを搾りまして、これはまあ一応三百億という数字が出て来たわけでありますが、それをやるにつきましては、一遍に何と申しますか、
民間で本当に消化し得る方法を
考えたらどうか。これこそインフレにもならんし、問題にもならんのじやないか。そこでかねがね減税と結び付けるという案も
考えられていてその枠内で
考えるということが適当ではないかというような経緯によりまして、この特別減税公債というような形に
なつたわけであります。従いましてこれは何と申しますか本年度といたしましての新らしい試みでありまして、この結果がどうなるかということにつきましては、これは来年度内にその結果が現われて参るだろうと思います。それにつきましてこの公債というものが十分に消化されるということが一点、それから又それに伴
つて変な結果が起らないことが一点、この点は十分配慮いたさなければならないのでありまして、これは今の
状況は金利体系その他を見ましてもまだ本当に正常化の
段階が終
つておらん
段階であります。二十八年度と申しまするのは、先ほどの公社債等の上場等の問題もありますが、
相当有価証券
関係につきましていろいろな施策を講じて、更に一段と正常化を図らねばならない
段階であろうと我々は
考えておるわけでありますが、そういうこととも関連いたしまして、ヒの国債というものをどういう条件にするかということにつきましては、減税額のほうの問題もございますると同時に、表面利廻り等の
関係につきましていろいろとまあ苦心をいたした次第でございます。そうなりますると、減税額とのかみ合せにおきまして、この利廻りというものが
民間において消化できるであろうと思われるところの一体利率はどうなろうか。そうかとい
つてそうあまくしてもならない、
意見は千差万別でありますが、我々の立場といたしましては、併し
一般的な常識といたしましてどの辺のところがいいか、いろいろと苦労をいたしまして、又内部におきましてもいろいろ議論いたしました結果、結局今回提案いたしましたような形に
なつたわけであります。
それからなおもう一点先ほどの源泉選択の減税との
関係におきまして、例えば国債の配当については例えば免除をするというような方法も
考えられるのではないか、これも
お話の
通りだと思うのであります。併しながらこれは租税の
関係から申しまして先ほど主税局長から
お話のありましたごとく、税体系自体から言いますれば、どうも感心しないような味の残ることが止むを得ない
部分もございますると同時に、又今申しましたような工合に、国債の発行については減税をするのだというようなことだけが表てに現われるところの国債というものを発行するということは、これは租税体系等から言いまして、
相当重大問題ではなかろうか、従いまして以上稜々申上げましたような事情から申しまして、
一つの経過的な
意味におけるところのやり方というふうな
意味におきまして、その消化に関するところの条件等を
考えました次第でございます。