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1953-02-23 第15回国会 参議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十三日(月曜日)    午後二時四十六分開会   —————————————   委員の異動 二月二十三日委員林屋亀次郎君辞任に つき、その補欠として稻垣平太郎君を 議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君    委員            黒田 英雄君            西川甚五郎君            平沼彌太郎君            杉山 昌作君            松永 義雄君            堀木 鎌三君            稻垣平太郎君   政府委員    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君    大蔵省理財局長 石田  正君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○産業投資特別会計法案内閣送付) ○製造たばこ定価決定又は改定に  関する法律の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○米国日援助物資等処理特別会計法  を廃止する法律案内閣送付) ○一般会計歳入財源に充てるため  の緊要物資輸入基金からする一般会  計への繰入金に関する法律案内閣  送付) ○解散団体財産収入金特別会計法を廃  止する法律案内閣送付) ○設備輸出為替損失補償法の一部を改  正する法律案内閣送付) ○国有財産法第十三条の規定に基き、  国会議決を求めるの件(内閣送  付) ○酒税法案内閣送付) ○酒税保全及び酒類業組合等に関す  る法律案内閣送付)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今より委員会を開きます。  本日は産業投資特別会計法案製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案米国日援助物資等処理特別会計法を廃止する法律案国有財産法第十三条の規定に基き、国会議決を求めるの件、一般会計歳入財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案解散団体財産収入金特別会計法を廃止する法律案、並びに設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案、右七案について提案理由説明を聴取いたします。
  3. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 只今議題となりました産業投資特別会計法案ほか六件の提案理由説明を申上げます。先ず、産業投資特別会計法案につきまして、その提案理由説明申上げます。  我が国経済の再建、産業開発及び貿易振興に必要な資金につきましては、政府は、従来から財政資金により積極的にこれが確保図つて参つたのでありますが、今回新に産業投資特別会計を設置し、財政投資の一層の充実強化に資することとした次第であります。  この会計におきましては、米国日援助見返資金特別会計資産並びに一般会計日本開発銀行及び日本輸出入銀行に対する出資金を承継してこれを資本とし、これが運用による収入金と、特別減税国債発行による収入金とを主要財源として投資を行うことといたしているのであります。  昭和二十八年度予算におきましては、特別減税国債収入金三百億円を含め七百億円の財源を以て、日本開発銀行日本輸出入銀行及び電源開発株式会社に対する資金供給を予定し、重要基礎産業に対する投資に特に意を用いております。  次に、この法律案の概略について申上げますと、この会計歳入は、特別減税国債発行による収入金出資貸付金からの収入金等とし、歳出は、出資金貸付金国債償還費等とすることとするほか、この会計予算及び決算に関し必要な事項を規定しております。  なお、この会計の設置に伴い、米国日援助見返資金特別会計法を廃止する等、関係法律について所要の規定整備を図つております。  次に、製造たばこ定価決定又は改正に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  この法律案は、日本専売公社製造たばこ最高価格を定めている価格表改正を内容としたものであります。その概要を申しますと、まず、日本専売公社昭和二十八年四月から新たに発売することとなつている両切紙巻たばこ富士」の最高価格決定することであります。「富士」は、外国たばこに対して、高級たばこの需要を充足するとともに、たばこ専売益金増加を図るため発売するのであります。従つて品質も優秀なものでありますので、外国たばこ小売価格及び「ピース」との品質差等を考慮して、十本当り六十円といたしました。次に、「朝日」、「ピース」、「光」、「桃山」及び「日光」の最高価格を、昭和二十六年に値下げを行なつた現在の小売価格に一致させることとし、又現在製造及び販売を廃止している「いこい」、「ハッピー」、「きんし」及び「のぞみ」の最高価格を、日本専売公社製造たばこ価格表から削除することといたしました。  第三に、米国日援助物資等処理特別会計法を廃止する法律案について申上げます。  この特別会計は、昭和二十五年に米国日援助物資等の取得及び処分等に関する政府経理を明確にするために設置せられたのでありますが、その後昭和二十六年七月一日以降米国の対日援助は打ち切られ又同年九月一日以後は軍払下物資の払下も打切りとなつたのに伴いまして、昭和二十七年度におきましては、未収金回収残存物資処分等清算事務の段階に入りおおむねその目的も達成することができましたので、同年度限り特別会計を廃止いたしまして、その資産及び負債一般会計に引き継ぐこととするため、必要な措置規定いたそうとするものであります。  第四に、一般会計歳出財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案について申上げます。  緊要物資輸入基金特別会計におきましては、一般会計から繰り入れられた二十五億円の緊要物資輸入基金を以つて国際的取極めによつて日本国に割り当てられた稀少物資等の取得及び売払を行なつて来たのでありますが、その運用実情に顧み、昭和二十八年度におきましては一般会計財源に充てるため基金から十五億円を一般会計へ繰り入れることとしようとするものであります。  なお、将来情勢が変化いたしまして、政府輸入に待たなければならない事態が増大いたしました場合の基金運用に支障なからしめるため一時借入金をなし得る制度を併せて設けようとするものであります。  第五に、解散団体財産収入金特別会計法を廃止する法律案について、申上げます。  解散団体財産収入金特別会計は、旧解散団体財産管理及び処分等に関する政令第三条の規定により、国庫に帰属した財産に関する収入金経理を明確にするため、昭和二十五年度に設けられたのでありますが、昨年七月団体等規正令が廃止されましたので、今後は解散団体の指定も国庫に帰属する財産も生じないこととなり、現在の解散団体財産管理及び処分の状況に鑑み、この特別会計を存置して一般会計区分経理をする必要はないものと認められるに至つたのであります。  以上の理由によりまして、昭和二十七年度限り解散団体財産収入金特別会計を廃止し、この会計に属する資産及び負債は、一般会計に引き継ぎ、その後の経理一般会計において行うことといたしたいのであります。  なお、資産及び負債の引継の時期は、現金並びに昭和二十七年度分未収金及び未払金につきましては、この会計昭和二十七年度出納完結の日とし、その他の財産につきましては、この法律施行の際といたしたいのであります。  第六に、設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案について申上げます。  設備輸出為替損失補償法設備本邦から輸出する者が外国為替相場の変更に伴つて受ける損失を補償する制度を確立することにより、本邦経済の維持及び発展に寄与する重要物資輸入確保に貢献する設備輸出の促進を図ることを目的としたものでありますが、最近における我が国輸出貿易実情に鑑み、設備輸出中心とする輸出振興は、一段とその重要性を加えていると認められますので、今回設備輸出為替損失補償法の一部を改正し、政府設備輸出者に対して締結する為替損失補償契約適用範囲を拡張することといたすものであります。  次に改正の要点を申上げます。  まず第一に、政府設備輸出者に対して為替損失補償契約を締結することができる対象は、現行法では、重要物資輸入市場国際収支上有利な地域に開拓し、又は国際収支上より有利な地域へ転換することに役立つと認められる場合等に限定しておりますが、これをすべての設備輸出に拡張したことであります。  第二に、最近の設備輸出実情を見ますと、契約時から代金の回収時までの期間が極めて長期に亘るものが多く、又日本輸出入銀行法の一部改正により日本輸出入銀行設備輸出に対する融資期限が延長されるので、これに合わせるため政府が締結できる補償契約期間限度を現在の五年から七年に延長することといたしました。  第三に、補償契約対象の拡張により補償契約締結額の増大が予想されますので、政府が締結する補償契約締結総額限度を現在の百億円から二百億円に引き上げることといたしました。  最後に、国有財産法第十三条の規定に基き国会議決を求めるの件につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  日光国立公園及び中部山岳国立公園については、その景観を保護し、環境を利用して自然生活を享愛できるよう施設整備充実を図つて来たのでありますが、今般栃木県上都賀郡日光町及び長野県南安曇郡上高地に所在する農林省所管企業用財産である国有林野の一部について、国立公園計画に基く集団施設地区として総合的な管理運営を図る必要が生じたのであります。  即ち、この両区域は、それぞれ日光国立公園及び中部山岳国立公園中心地でありまして、その景観は極めてすぐれ、専ら国民のレクリエーシヨン及び外客の観光等、大衆的に利用されておるものでありまして、その利用者は毎年激増の一途を辿つておる現状であります。従つて、今後公共福祉用財産としてこの集団施設地区施設を更に整備充実することは、その利用価値を増し、国立公園事業目的達成のため、最も適切な措置と認められますので、これら農林省所管国有林野厚生省所管公共福祉用財産とすることについて、国有財産法第十三条の規定により提案した次第であります。  以上がこの六つの法律案及び議決案提案した理由でございます。何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことをお願い申上げます。
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは酒税法案及び酒税保全及び酒類業組合等に関する法律案につきまして質疑を行います。
  5. 伊藤保平

    伊藤保平君 この間主税局長ちよつと簡単にお尋ねしたかと思うのですが、今度の要綱の中に示されております最終価格ですね、「概ね」と書いてあるのですが、あれはもう大分近寄つて参りましたが、あれは最後的なものですか、初めから考慮なさいますおつもりですか、お尋ねいたします。
  6. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) お答え申上げます。只今の点につきましては、大体まあ一応の見通しも、そろそろ法案につきましては、一応衆議院のほうの委員会は済みましたので、本日の本会議提案されるはずになつております。従いまして我々のほうといたしましても、まあ衆議院の本会議における議決があり、参議院の議決があれば、何とかして三月一日から施行したいとその意味におきまして、価格の点につきましても、至急計数整理を進めるように現在勿論やつておりますが、更に最後の仕上げをしたいと、かようなつもりでもつて今計数整理を続けております。最終価格につきましては、大体この間お手許に差上げております資料では、清酒二級は四百四十五円、これは四百四十五円に何とか落ち着くことになり得るのではないかと思つていますが、ただまあ合成酒の二級のほうは三百三十円となつておりますが、これは三百三十五円ぐらいになりまして、清酒二級と合成酒二級との間の値差は百十円ぐらいになるのではなかろうか。それから焼酎は大体そこにあります三百円ぐらい。それからビールにつきましては百五円といいますと、コストは一本について五円七十銭引下がるわけになります。その後の計数整理して参りますと、どうも五円七十銭は無理じやないか、或いは百六、七円ぐらいになりはせんかというふうに思つておりますが、いずれもまだ最後的なものではございません。現在計数整理しておる過程におきましての、現在としての一応の見通しというのが今申上げました程度の数字になるのじやないかということだけが、現在申上げ得るところでございますので、御了承願いたいと思います。
  7. 伊藤保平

    伊藤保平君 まあ質問の時にすぐに意見がまじるのもどうかと思うのですけれども、どうも清酒の三種類をどういうふうに割当てられるか知りませんが、清酒で十五円、それから合成酒焼酒で十八円と、税の下る以外に、コストマージンで下げられるというように、まああれだと拝見できるのですね。「概ね」とありますけれども、どうもだんだん実際調べて見るというと、少しきつ過ぎはしないかという感じが今するのです。それからまあこれは酒が二割八分ぐらい……まあ四割も三割も、酒の殖え方がそう殖えないと思うのですが、その殖え方に丁度掛けてみると、つまり利潤の全額は三割か四割殖えると、だから片方のマージンもそれだけ殖やしていいという普通のそろばんだけでは出るのですがね。併し五百五十万石内外の酒も、一挙に七、八百万石にというと相当酒も戦前に近寄つて来ておるのですから、今までのように稀少物資の時代は通り越していると思うのです。その際に、一挙にこれだけ、百五十万石も殖やして、それを一年中に……。酒は御承知のように一年生産で一年消費ですから、割合生産販売上の駈引きがしにくいと思うのです。ほかの製品と違いまして、ストックはできませんし、そういうものをすつかり売り尽して、そうしてそれを転嫁し、て回収して、それで酒税を完納させますということでは、私は少しゆとりを或る程度してやらんというと、経費が相当今度は嵩むと思うのでありますが、まあ人件費が、今年は殖えても多少節約できましようが、やはり皆ベース・アツプしておりましようから……。そのほか運賃にいたしましても……。第一成るたけ売ろうとすると非常な宣伝費がかかると思う。それで生産費だけのことを御覧になつておるのじやないかと思うのでありまして、その後の一年間の販売自体経費というものはどういうふうに見ているか、それは相当見てやらんというと、まああれだけの大きな石数、又大きな税を上げる上においては、少しはやはりそういう点を見ないというと私はうまく行かないのじやないか、それですでにもうメーカーのほうが大分弱気であります。販売側から今年は逆に大分圧迫も出るようでありますから、そうするとますますいろいろな経費がかかつて来ると思います。これは正常ならざる税だと言つてしまえばそれつきりですけれども、やつぱり次の時に影響すると思うのですが、自然、税の上にも影響しましたら相済まんことだと思うのですが、まだ最後の御決定なつておりませんければ、どうかもう少し一つ寛大に、寛大と言つて無理な寛大じやないのですが、或いは少しきつ過ぎると思うのですが、私は前途は悲観しているのです。だから決して寛大という意味じやないけれども、余り切りつめたものでなく、少しの潤いを持たすようにお願いいたしたいと希望申上げて、かようにお尋ねするのですけれども。
  8. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 我々のほうも、まあ当然のことでございますが、業者かたがた立場と、それから消費者のほうのかたがた立場と、この両者をできるだけ見合いまして、その間においてできるだけ適当と認められる線を出して行きたいということを念願としております。やはり消費者価格が相当下るということが、酒の消費増加を期待できるもとでございますから、税金が下りましても消費者価格が下らないということになりますと、そこに消化できる酒の量はおのずから限度が出てくるわけでございます。と申しまして、無理に、業者のかたの利害関係を無理に圧迫して、そうしてただ消費者価格を下げたらいいというつもりは毛頭ございません。従いまして何と申しましても、例えば清酒について言えば、米のほうの値段から言えばこれは多少上つておりますが、アルコール値段はまあ相当下つて行くことが期待できるのじやないか。合成酒につきましても、やはりこれは合成酒焼酎共通でございますが、最近における原料の値下り、それによるアルコール値下りというものが相当期待できるのじやないか。それともう一つは、やはり造石数が殖えるということによる間接的な経費引下げでございます。これもまあ種類によつて違いますから一概には申せませんが、これもやはり相当期待すべきものじやないだろうか、こういうような点を中心にいたしまして、生産者価格をどのくらいにきめるべきかという点を今考えております。  それから流通過程であります卸売、小売関係につきましては、やはり仕入価格が減れば、小さくなれば、やはり一本当りの売買によつて得るマージンといいますか、それは、或る程度減るのが本当じやないだろうか。逆の場合も考えられまして、例えば仕入価格が、増税とかいろいろな関係で値が上りましたときに、現在のマージンをそのまま据え置く。これはもう恐らく無理だと誰もおつしやるでしようし、従いましてやはり仕入価格が減れば具体的には資金関係などいろいろありますが、それから考えましても、やはり減るべきものじやないだろうか。ただ仕入価格に対するマージン割合でございますが、これは過去におきまして、仕入価格上つた時に、絶対額は或る程度上げて参りましたが、仕入価格に対する割合は、値段だけで、動かない経費があるというような理窟でもつて、割合は或る程度ずつ下げて参りましたから、丁度それを逆に行く関係としまして、割合は或る程度やはり上げて行くべきではないか。絶対額は或る程度下つてもいいじやないか。それは今お話になりました運賃とかその他の事情を考慮しましても、そういう問題がやはり結論的に出て来るのではなかろうかということを予想しております。ただ非常にむずかしい問題でありますので、我々のほうとしましても慎重に考慮しておりまして、近く或る程度計数が出ましたら、業者のほうの御意見もよく聞いた上で最後の結論を出したい、かように考えております。
  9. 伊藤保平

    伊藤保平君 非常に結構なんですが、振合いがわからんからはつきり言えませんけれども、どうもアルコールは下つておりますけれども、そのほかでは清酒のようなものはコストが下つておらんと思います。そこが見通しが違うと思うのですが、なお再御調査願つてもいいと思うのです。それからこういうことになりますと、これは販売側は殖えて行くだけそう人件費も要らずしてやつて行けると思います。宣伝費もかかりません。ただ回収が遅れたような場合のはね返りがあるでしよう。併しメーカーはそれだけ売ろうと思えば相当宣伝費が要るということは事実だと思うのですが、これは水掛論になるので……来年の今頃になつたらはつきりすると思うのですが、この点はもう少し……余り無理のないところにお願いしたい、かように考えております。
  10. 松永義雄

    松永義雄君 昭和二十八年度租税及び印紙収入予算説明の二十二ページ、戻移入する酒類の再移出による税額繰入見込額という戻移入という意味はどういうことですか。
  11. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 酒につきましては、何と申しましても非常に酒の価格の中で占める税額が多いものでございますから、今度のように相当大幅な税率引下げをやりますと、丁度三月一日に減税が施行される場合に当りましては、その三月一日におきまして、それまでに業者が一応製造場から出しておりまして、大体卸とか小売手許にある分でございますが、これは一応製造場のほうに戻しまして、そうして又再移出するということを考えておるのであります。従いまして前に一遍課税なつております税金の分は、これは減になります。そして三月一日になつてもう一遍出す分が増になるという関係で、結局は税金としましては三月一日以後の酒は安くなるわけでございますが、本年度分として、二十七年度分として減収が立ちまして二十八年度分として増収が立つ、個々の技術的な関係からしまして、あとのほうへ二十八年度分として増収の立つ分がここに計上してございます三十八億、かように考えておるわけでございます。
  12. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると、一遍課税対象なつたものが、法律が出て、そうして税率が下るという当てがつくと、早速又元へ戻つて、そうして三月一日以後の安い税金負担に切り替えよう、こういう考えなんですが、これは合法的な脱税を奨励しているようなものではないかと思うのです。
  13. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 我々のほうでは別に合法的な脱税とも考えておりませんのでございますが、現在の普通の制定におきましても、例えば酒が通常の姿において市場に出て参りまして、そしてそれが何らかの理由によりまして一遍製造場に返る、こういう場合におきましては、出た時に税金課税しましたその税金は、あとで出て行く酒の税金から差引くとか、或いは若しその製造場から、すぐには新らしく酒が出る見込みがないというような状態でございますれば、その税金を返すとか、そういう実は方式がとられております。同じような意味におきまして、この時期におきまして一遍高い税率の酒が製造場へ戻つて来る、そうして又新らしく出て行く。戻つて来た時は、古い税金を払つておりますから、その高い税率税金を差引きまして、又出て行く時には新らしい安い税率の酒として出て行く。これはまあ何と申しましても、酒の税率そのものが酒の値段の中で現在におきまして非常に高い部分を占めておりまして、その税金の故に、大部分価格の変動が起きるということの故に、特に酒についてはそうした措置が一般的にきめられてもございまするので、この機会にはこういうふうな措置をとるのがいいのじやないかと、実は二十五年の十二月に同じように酒の税率が下りました時におきまして、まあ大体こういう措置によりまして一応酒の税金負担価格の調整を実はやつたわけでございまして、酒の税率がこれほど酒の価格の中に大きな部分を占めておりませんですと又違つた考え方はあり得ると思いますが、現在ですと七割くらいも税金であるものでございますから、やはり酒についてはこういう特殊なことを考える必要があろうか、かように考えております。
  14. 松永義雄

    松永義雄君 それは酒の税金所得税とは税種が違うからと言えばそれまででしようけれども、年度内に儲けた金を加算すると高度の税率がかかつて来るから、翌年度に廻して、翌年度所得と平均させればそれだけ税率が低くなるということもできそうな感じがするのですが、酒だけを保護するという意味ちよつとわからないのですがね。
  15. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 繰返して申すようで非常に恐縮でございますが、まあ酒だけ保護するといつたような観点よりも、何と申しましても酒の税率が非常に高い。従つて価格の中で占めている税金割合も非常に大きい。今度まあ、例えば現在五百二十五円である清酒二級が四百四十五円になつたとしましても、八十円ほど値段が下るわけでございますが、その中で税金の分だけで六十五円下る。今若し先ほど申したような数字できまつたとしますれば、それでこの六十五円の負担をそのままにしておきますことは、恐らく新らしく出て来ます酒が全部安い酒ですから、その間に出ている酒は非常に値段が高く、消化しにくい。恐らくこういう処置を講ずることを考えませんと、二月におきましては酒の出荷は値下りを見越しまして殆んどとまつてしまうのじやないかというふうに思つております。従いまして、恐らく若し政府におきましてこういう処置を講じないとしますれば、恐らく三月においては税金が下るということを見越しまして、一月、二月におきましては酒が殆んど製造場から出なくなつてしまうという問題が懸念されるわけでございまして、そうしますとまあ市場における酒の流通関係が非常に困難になりまして、まあ酒が製造場から引取りませんければ御指摘のような問題はもう全然ないわけでございますから、恐らくは製造場からの引取りが全然なくなつてしまう、そうしますと二月において消費すべきものまでも恐らく用心のために引取りがなくなる、末端におきまして酒がなくなるような事態が、極端な場合には予想されるわけでありまして、それでは酒の供給が非常に不円滑になる、三月になつた途端にどさつと製造場から出て来るということになりますと、そこにいろいろまあ経済的なトラブルもできて来ようかと、かように考えますので、どちらにいたしましても、まあ減税を見越しますれば相当の酒の引取りの手控えも当然考えられるわけでございまして、それが極端になりまして三月一日の直前においては、どこの小売店へ行つても酒がなかなかないというようなことになつても面白くないと思いますので、便宜こういうふうなこともやはり考えざるを得ないのではないか、かように考えております。
  16. 松永義雄

    松永義雄君 これはそうした極端な場合が起るということは自由販売制度であるから起る弊害かと考えますが、たばこの場合だと、値が上る或いは値が下るといつた場合に、たばこの小売店がそういつた思惑をやれば専売局から叱られるのじやないですか。
  17. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 専売関係につきましては私余り詳しいことを知りませんから、本当に確信のある御答弁はできませんが、専売関係におきましても、この値下げの場合におきましては、一応高い値段小売店の持つておるものは専売局が買戻しまして、そうして新らしく改良された値段によつて売れるような値段でもつてもう一遍売戻す、こういう形式をとりまして小売業者が、これは又極端にはつきりもう値段がそこで以て切替わりますから、小売業者が特別の損失をこうむらんような措置を講ずるようにしていると思います。
  18. 松永義雄

    松永義雄君 たばこのほうはその方面のかたにお聞きするとしまして、酒の中へ水を割るということは、一体これは法律上どういうことになるのですか。
  19. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 酒の中に水を入れるということ自身だけでは我我のほうでは不正には見ておりません。ただ問題はそれぞれの公安価格におきましては、例えば特級酒なら特級酒のときはアルコール分が何度以上あつて、エキス分が何度以上あるという一応の規格がきめてございます。これは公安価格のある酒につきましてはいずれも一応そういうような規定がございますが、水を割りましてその規格から外れるようなことになりますと、公定価格違反のような問題が出て参りますが、水をただ割るというだけでは我我のほうでは不正と見ておりません。
  20. 松永義雄

    松永義雄君 製造場では一定の率があるから一応その率に従つて酒を作ると思うですが、併し販売になるというと、まあ何箇所でも何箇所でも水を割ると、終いに飲むところは酒を飲むのか水を飲むのかわけがわからなくなる、ですから、ああいつたことは、元できまつておるのが末端へ行くというと、全くその割合が外れてしまう、そういつた一体販売というものは、これは販売だから止むを得ないというのですか、何かそこに監督の規定があつて、元の製造の純清酒というか、そのままで売らなければならないということになつておるのですか。
  21. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 販売の段階におきまして水を割るか割らないかというような問題も、昔は随分やられた問題でございますが、最近におきましては清酒につきましてはそういうようなこともあるものかと思いますが、瓶詰売りの関係が非常に普及して参りまして、従いましてときには更に瓶詰のままでいたずらをする場合が絶対にないとは申せませんが、大体において瓶詰、王冠附きの瓶詰になつておりますために、余りそうした極端な事例はないのじやないかというように思つております。  なお、これが政府の取締関係といたしましては、先ほど申しましたように一応の公定価格制度によりまして、アルコール分なりエキス分に応じて規格がきまつておりますので、最近におきましては一時言われました金魚酒というような名前の、ああいう極端な薄い酒というものは殆んど市場にはもう出ていないのじやないか、同時に又消費者のほうにおかれましても、そういう悪い酒についてはもう買い手がつかないというのが大体実情でありまして、それほど極端な事例がそこにあるとは我々のほうでは考えておりません。
  22. 松永義雄

    松永義雄君 一級酒の中にいいのと悪いのとあると、こう言うのですけれども、一体一級酒を決めるときにはどういう標準によるのでしようか。
  23. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 一級酒、特級酒を決めますのは、先ず一つの規格といたしましてはアルコール分とエキス分、この二つをいわば分析して見れば、そこに答えが出るうようなものの一つの制限がございます。これはそちらのほうの関係からおのずから一級酒の資格ありや否やということが出て参るわけでございますが、併し酒というものは単純にアルコール分が高いからとか、或いはエキス分が多いからというだけでは、製品的な値打としましてはすぐにそれだけで決まるものではありませんで、やはり醸造技術がそこに強く働きまして、いい酒でなければ、よしアルコール分が高うございましても、エキス分が多くてもいい酒ではない、こういうことになるわけでございます。従いまして現在我々のほうでやつておりますところでは酒類審議会というのがございまして、そこに技術者のかたが相当大勢おります。なお委員外ではありまするが、酒について相当業者のかたとか、いろいろ練達したかたの意見も参考にいたしまして、いわば品評会でやると同じような形式で、きき酒をずつとやつております。従いまして先ず第一の条件としましては、アルコール分、エキス分が規定の規格以上あるということが第一、第二にはそうした酒のきき酒について熟達した人のきき酒を経まして、そうしてこれは一級酒の十分資格ありというものだけを一級酒に一応承認しまして、それを一級酒として売出すことを認めているわけでございます。ただそういうものでございますから、一級酒の中にも非常にいい一級酒と、それから一級酒としては、いわば線のぎりぎりの一級酒とがないとは言えないわけでございまして、従いまして同じ一級酒の中でもいい酒もあり、悪い酒もあるということもあり得ると思いますが、併しおのずからその線の幅はそう広いものではございませんから、そう極端にいい一級酒があり、極端に悪い一級酒があるというような事態であるとは思つておりません。
  24. 松永義雄

    松永義雄君 きき酒というのは、中立の立場からきき酒をなさるのでしようけれども、呑むほうの側から見た酒の味というものは、客観的に見て非常に一級酒として悪いというか、非常に差があるというようなものが販売されているような話ですが、そういつた客観的な消費者側の考え方というものは、一級酒の標準をきめる時に参考にされるのですか、どうですか。
  25. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 消費者といいましてもなかなかむずかしいものですから、消費者の特に代表のかたがきき酒に参加するということはちよつといたしておりませんが、併しいわば販売業者のかたは、まあそういう製造者からいい酒を買つて参りますれば、販売業者としては売りいいわけでございますし、それから悪い酒であれば、どうしてもこれは卸しとか小売の段階に参りまして一級酒としては売りにくい。まあいわば消費者と共通した立場があるわけでございますので、きき酒などによりまして級別をきめる場合におきましては、販売業者のかたで多年この仕事を扱つておるかたの意見は、きき酒の形において取入れる。こういうことにしております。恐らくそれによりまして消費者のほうの嗜好というものが或る程度そこに反映して来るのじやないか、かように考えております。
  26. 松永義雄

    松永義雄君 米の二十万石の増量、米を酒につぶすということですが、主税局のほうではそれ以上に米が酒の増加のために要求されておつたと、こう言うのですが、主税局としては食糧政策というものを考えて、そういう要求をされるのでしようか。それとも単純に価格政策か、或いはその他の理由からそういつた要求をされるのか。
  27. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 主税局といたしましては、食糧の事情というものを全然無視した要求は当初からいたさないつもりでおります。ただまあ、我々のほうの観点からいたしますと、やはり酒が大きな税源であるということ、同時に酒造業のほうで持つている施設というようなものに限りまして、そうして一応今年としては、例えば百万石なら百万石といつた程度酒造米として配給して欲しいという要求はするわけでありますが、併し、農林省のほうが総合的に主食の全体の需給関係を見ておりまして、従いまして業者のほうで話合いまして、我々のほうとしましても農林省のほうの総合的な判断による主食の需給関係というものも、いろいろ説明を聞けばわかりますので、両者の意見の一致したところによりまして今年は九十四万石の割当ということが決定した次第でございます。
  28. 松永義雄

    松永義雄君 これはまあ理財局かどとかよそに対する質問かも知れませんが、とにかく食用に供され得る植付面積を減らして、そして酒を造るための米の耕作にどれだけの面積を廻すということになれば、それだけ外国から高い米を輸入しなければならん結果になつて来る。従つて又補給金もそれだけ殖えるという結果になつて来る。で、こうしたものに対する見方は、国の力の全体から観察すべきことだと思うのですけれども、現状の日本の下において、産業投資特別会計法という法律が出て来て、そうして経済の再建、産業開発貿易振興などという特別の法案すら出て来るのでしようが、そういつた情勢の下において、一体酒の税を殖やしたりビールの税を殖やしたりするということは適切でないように考えるのです。まあ、あなたに御質問すべきものか、大臣に質問すべきかどうかと思うのですが、一応あなたにお聞きして、後日大臣に質問したいと思います。
  29. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現在のまあ主食の需給関係からいたしまして、相当量輸入量に待たなければならんということははつきりした事実でございます。従いましてそういうような事態におきまして、なお且つ酒或いはビールのための主食の配給を増加させるのがいいか悪いかという点につきましては、これはまあいろいろ意見があり得ると思いますし、総合的な観点からしての御答弁は或いは別の大臣なり政府委員から答弁をしてもらうべきではないかと思いますが、我々のほうといたしましてもやはりそうした総合的な判断を無視して要求しているわけではございませんが、いろいろな観点からしまして、財政上やはり相当ここに税源を求めるという希望はあるわけでございまして、総合的な観点からして割当が許される場合におきましては、やはりそう極端に多きを希望いたしませんが、或る程度増加は希望いたすわけでございまして、今回はそうした希望が或る程度総合的な判断の上にかなえられたものと思いますが、その結果といたしまして、現在考えられているような結論になつたわけでございまして、総合的な判断の上からして、どういうようにこういう程度のものが許されるかということは、これは別途関係の者から説明して頂きたいと思います。
  30. 松永義雄

    松永義雄君 もう一言聞きますが、戦争中に遊興飲食税を上げて、そうして戦費に廻したということに対して、こんな金で戦争なんかやつたつて勝てるものかというような議論が各方面から出ていた。この産業開発のために収入を挙げて、そうしてそれが産業開発とか、日本の復興とかいうことに廻されるかどうか知りませんが、廻されるにしても、何か割り切れぬものが出て来るような感じがする、これは大蔵大臣に聞こうと思いますが、その前こ……。
  31. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) ただ一言、これだけ今までの説明の時に行届いておりませんので附加えさして頂きたいと思いますが、今度の税率引下げ、それから価格引下げに際しましては、従来密造酒として相当市場に出ている、こういうものを正規の酒に置き直したい、こういう考え方が多分に入つているわけでございます。従いまして従来密造の故につぶされていたものが、相当正規のほうへ廻つて来るとしますれば、広い意味においての酒に使われているものがそう殖えなくても、正規の酒としては殖えるということもあるわけだと思います。そのような点もやはり一つは今度の値下げ、その代り増石した計画に入つていることだけをちよつと附加えさして頂きたいと思います。
  32. 松永義雄

    松永義雄君 密造米の中で、自家用とそれから販売用と二種類あろうと思いますが、販売のために悪用されている米の量はどれくらいなんですか。
  33. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 密造の石数の見積りは実は非常に困難でございまして、我々のほうとしましてもいろいろな推計をしておりますが、はつきりした数字は実は掴みかねております。販売のほうの密造はどちらかと申しますと、焼酎のほうに割合に多いのでございまして、それから米を潰してのいわゆる濁酒のほうは、販売の分もないとは言えませんが、割合にまあ販売以外のいわば自家用に使われているのが多いというのが一般的な傾向だとは思つております。大体密造の酒がどれくらいあるか、いろいろな数字がありますが、一応まあ百五十万石ぐらいはあるんじやないだろうかというふうには考えておりますが、併しそれらの中には焼酎も入つておりますし、それから米による濁酒も入つておる、これがもつと多いじやないかという意見と、まあそんなにあるだろうかという意見もあるんですが、実は我々のところも一応の推計を見ている程度でありまして、余り適確な数字は、そのことの性格からしまして、掴み得ないことを遺憾としております。
  34. 松永義雄

    松永義雄君 昔からよく言われていることで、くどいようですけれど、例えば秋田とか東北地方で農家が酒を作つて税務署と喧嘩をして殺傷沙汰まで起きていることなんですけれども、農家の自家用に使つている米を取上げるために農家を圧迫するという結果になつても構わないということですか。
  35. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 農家の自家用に使つている米を取上げて圧迫になつているということを、別に我々のほうとしては特に意識して考えているわけではありません。ただ酒の密造ということは財政の確保の見地からしまして、これは何とかしてやはりやめてもらうべき性格のものだというふうには思つております。従いましてそれでは何で密造ができて行くかというゆえんを尋ねて行けば、一つは税金が相当高い、従つて正規の酒の値段も相当高いということがどうしても一つの原因でございますので、片方においては税金引下げ、その値段引下げることによりまして、それからどうしても或る程度の取締りがそれに随伴しなければなりませんが、その両方が相待ちまして、農家の密造だけではありません、むしろ都市における販売用の密造のほうが重点的にいえば先ず第一に行くべきものだと思いますが、そうしたものをも含めての密造を漸次なくして行くように我々は努力して行くべきだと、かように考えます。
  36. 松永義雄

    松永義雄君 農家、殊に東北地方の密造というものは法律があるから悪いということであつて、農家経済のほうからみるというと妥当性を帯びているくらい農家が収支が償わないというか、米の買入価格が安いというのか、再生産に必要なる価格を見込んでの米の買上げをやつているのかどうかという問題に触れるんですけれども、その農家の経済をこう危くするほどに圧迫して行つて、そうして東北のいい米を使つて、そうして金持だけがいい酒を呑んで、税金などは知れたものだと言う階級にのみ酒を飲ませるという結果になれば、これ又農業政策の上から非常に大きな誤りだと思います。自家用に使う米はこの程度ならば別に法に触れないというようなことは考えられないですか。
  37. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 農村における自家用酒の醸造を許しまして、それに対してはまあ課税しないというような措置ができないかというふうな御質問だと思いますが、現在の状況によりますと、さような措置は遺憾ながらちよつととり得ない、結局酒に対しまして財政の上からいいましても、とにかく千四百億以上の財源をそこに求めるわけでございまして、農家における自家用酒の製造を認めますれば、恐らくそれが相当大きな影響を持ちまして、酒の税というものは可なり大きく崩れて行く危険が多分にあるように思つております。この問題は可なり古くから議論はされておりますが、財政当局といたしましては、やはりこれだけの大きな税金を酒に依存する限りにおきましては、ちよつとそれを実行するだけの気持がないと申上げざるを得ないと思います。
  38. 松永義雄

    松永義雄君 これでやめますけれども、農家の供出の場合においては、食う米までも出してそうして供出して、そうしてあとでは高い米を買つて、闇米を買つて食べなければならないという状態まで追い詰められたときもあつた、そのように農家は国家のために奉仕しているのです。一杯の酒でも飲んで、明日の労働のために元気を出そうと思つて酒を買いに行けば、とにかく税金を払わなければならん、消費税を払わなければならんという結果になれば、農家というものはいつまでたつたつて浮かばれないということになるのです。これは酒の税金のほうから解決すべきことじやないかも知れないけれども、併しほかで見合うということを考えなければ農家は助からないと思うのであります。
  39. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 農村経済をどういうふうにして維持し、更に建直して行くかという問題は、大きな観点においてやはり解決されて行くべきものだと思つております。酒の問題だけでなかなか解決しにくい問題だと思つておりますが、なお酒に関する問題だけ見ますれば、今度の改正におきましても、一応配給酒としまして税率清酒合成酒等におきましては、普通の自由販売酒に比べまして三割方低い税率のものを一応配給することを考えております。これで問題が全部解決されるとも思つておりませんが、併し一応酒の税と言いますか、その限りにおきましてはこうした配給酒を、これは主として農村を対象に考えておりますが、その辺の努力によりまして、一応農家のそうした気持に対しましては、できるだけのまあこれに対応する手段は講じたい、かようには考えております。
  40. 松永義雄

    松永義雄君 現在配給酒というのはどの方面に配給されているのですか。
  41. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 配給酒の制度に戦争中から起きまして戦後も引続いてなされておりまして、その当時におきましては各家庭に対しましても配給の制度があり、同時に農村とか或いは鉱山とか炭鉱とか、そうした重要産業に対しまして、酒のまあ特配といつたような意味における制度があつたわけでございますが、その後需給関係が大分変つて参りまして、原則としてはもう自由販売酒が普通の酒であるといつたような状態になつておりますので、現在におきましての配給酒の配給されます対象は、殆んど大部分が農村でございまして、農村以外の配給は殆んど問題にならん程度の数量でございます。
  42. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 ちよつと一、二伺つて見たいのですが、今度の衆議院での酒税法の修正案を今頂戴したのですが、恐らくはこれは委員会で全会一致できまつたということを聞いておりますし、本会議も通過してこつちに来るものと思うのですが、この中で附則の十九と二十一項中の修正でございますが、大体その卸販売業に指定販売業と、そうでない販売業と設けられておりますのは、税率に加算税と本税とがあつた結果であろうと思うのです。卸の販売としては変態であるわけでありまして、これはいつか卸というものは一つになるものであろう、又そういうふうに初め当局もお奨めがあつたように思うのですが、今回原案においては三月一日から一年間現行のままを据置くということになつておるのでありまして、これは指定販売業者のいろいろな制度、その他の現状に鑑みられまして、そういうふうになつたものと思うのでありまして、まあこれは止むを得ないことのように思うのですが、更にこれをもう一年延ばして三十年の二月の二十九日ですか、八日ですか、二月の二十八日まで延びるということになつておるのでありまして、これに対して当局としては、積極的に無論御賛成はなかつたものと思うのでありますが、政府のお考えはどうであつたのですか。
  43. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 政府といたしましては、結局今申上げましたように指定販売業者制度はもともとが配給酒が一般的でありまして、自由販売酒が例外的にできた時代であります。従つて自由販売酒は当時のいわば闇で売られております酒の値段などに一応見合いまして、従つて大体闇ではこれくらいで酒が動いているとか、従つてむしろその闇の酒の動きを見まして、大体これくらいの値段までのものにして自由販売酒という制度を作つたらいいじやないかという時代におきまして、そこに従来の税率を基本税率とし、自由販売酒だけ高く売つてもいいという意味税率を加算税率としまして、そして現在の二本建ての税率ができていることは、これは黒田委員の御承知の通りであります。又同時にその二本建ての税率ができました時に、加算税率をどこの段階において課税するかという問題から出発しまして、当時は公団があつて、まあ公団の段階において加算税率課税しよう、それが公団がなくなりますに伴いまして、その代りとして指定販売業者という制度ができたことは、これ又黒田委員の御承知の通りであります。それで政府といたしましては、すでに配給酒、自由販売酒の区別がもう殆んどなくなりまして、大部分が自由販売酒であるという一つの事実と、それから又税率そのものが相当下つて参りまして、若し、例えば今度の税率引下げなどにおきましても、この引下げ部分を全部加算税率のほうで引下げたとすれば、殆んど加算税率の残らんといつたようなものも種類によつてはあるのでありまして、この二つの事実を見まして、もう基本税の税率、加算税の税率というものはなくしまして、もう一本の税率にしてしまおう、同時に指定販売業者制度は全国的に相当根強くできておりますから、これを一挙になくしてしまうということにつきましては、相当経済的な混乱も生れるということが危惧されるわけでございますので、やはり或る程度の経過的な期間を置く必要があろう、これは政府といたしましても、同じような考え方を持つているわけでございます。で、政府といたしましては、従いまして将来はこれをやめようという、併しすぐに例えば今度の法律の施行の機会におきましてそれをやめてしまうというのは、これは適当でない。で、結局それではどの程度の猶予期間を置こうかというのが、御指摘になりました問題の焦点でございますが、政府としましては、大体一年あれば問題は解決できるのじやないか、かように存じまして、明年の二月末にこの区別がなくなるといつたような案を提案したわけでございます。衆議院とされまして、その経過的な期間は一年ではまだ短か過ぎる、従つてやはり二年くらいは少くとも必要である、かように考えられたものと思います。御指摘のように委員会におきましては、二年という修正がなされたわけでありまして、政府といたしましては、原案を出す時におきまして、まあ一年で大体いい、特にまあ二年でなければならんというふうには、実はまだ考えておりませんが、衆参両院がそういうふうな御修正になれば、それで問題はきまるわけでございます。現在としましてどうかと言われますと、政府としては一年でいいと少くとも考えていたということを申し上げておるわけでございます。
  44. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 政府の考えはわかりましたが、これは私も一年ならば大体整理がつくのじやないかと思われるのですが、大体この指定卸売業者というものが残つているということは、今度の酒税保全及び酒類業組合等に関する法律案によりまして、卸の販売組合を作る場合においては、指定販売業者も、それから普通の卸売業者も一つの組合になると思うのですが、さようになつたときに、組合員が各々一票の権限となつておりますので、指定販売業者よりも、そうでない卸売業者のほうが数においては非常に多いと思うのであります。そうしますというと、酒類の需給の規制等に関する協定などを作ります場合において、いろいろ感情上面白くない結果を生ずる虞れはありはしないかということを心配するのですが、まあ一年であればそこのところはやや緩和して来ると思うのですが、これが二年になるというと、どうもそういうことが、面白くない結果が起つて来はしないかということを憂慮するのでありますが、若しこれがこういうふうにきまりましたときに、法律的にでも、法律できまるのですから当然でありますが、これはもう二年で絶対に延びるものでないというふうに政府は、法律できまるのですから、そうお考えになるのは当然ですが、政府から延ばすようなことは勿論ありますまいが、そういうことをお考えになりますか。それはちよつと委員会においても当分のうちという議論が大分あつたということを聞いておるのでありまして、当分になるというと、これは相当長くなるのが今までの慣例ですから、そういう趣旨からこれを先ず二年ということになつたとすれば、非常に憂慮すべき結果があると思うのですが、その点に関してどうですか。
  45. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) まあ衆議院委員会の意向を私は余り忖度して申上げることはいささか僭越だと存じますから、衆議院の意向がどうであるということは、ちよつと私としては何とも申上げかねますが、政府といたしましては、大体一年でまあ整理は大丈夫できるだろうと思つて原案を出したわけでございます。それが更にいろいろな観点から憂慮されて二年になつたというわけのものでございますが、少くとも政府が新らしい提案をしまして、衆参両院を通過して二年ときまつた場合に、それを延ばすという提案をすることはちよつと考えられないのじやないだろうかというふうに考えております。
  46. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 その点は大体わかりました。それ以上はどうも。……  それから配給酒は当分のうちということになるようですが、これはおよそいつ頃までやられる予定ですか。
  47. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 配給酒の問題は多少我々も指定販売業者制度とは違つた観点で実はものを考えておりまして、従いまして例えば指定販売業者の一年限りの規定は今度の改正法の附則に入れておきましたが、配給酒の問題はこれを租税措置法のほうに特に実は規定しておきまして、多少規定の恰好におきましても書いておいた次第でございます。衆議院でもいろいろ説明申上げました際におきましても、配給酒の制度につきましては、とにかく今年は相当価格の点につきまして大きな変化があり、又生産の数量といいますか、消費を期待している数量にも相当従来と比べまして大きな変化があるわけでございますので、取りあえずの措置として配給酒は一年間これをやることにいたしますが、今年一年の推移を見まして、若し必要があればこの規定は或いは更に国会議決を経て延ばして頂くようなことになるかも知れないというふうに御説明は申上げておいたわけでございます。それで衆議院としましては、それでは当分のうちということにしておいたほうがいいんだろうというお考えだと思います。我我のほうで一年間と期限をきつておりましたのを、当分のうちと委員会では修正されたわけでございます。従いまして時期の問題につきましてはこれもまあ一応のはつきりした点については委員会の意向も一応忖度以上に出ませんが、いろいろ委員会などで御議論申上げている過程から、若し推測することが許されるとしますれば、一応密造の問題などとも結びついておりますから、その辺なども考慮しながら、配給酒の制度をやめてもいい時期というので、まあこれが二年になりますか三年になりますか、現在としましてすぐにこれについて大体何年くらいで結末がつくかということは、ちよつと私としましてまだ見通しができかねるような状態であります。その意味において恐らく委員会としても当分のうちというふうに修正された、こういうふうに思います。
  48. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 配給酒が二年以上も続くということになつた場合には、指定販売業者というものがなくなつた場合に、そのときには配給酒を安い税で生産者が売られることと思うのですが、その手続きはどういうふうになるのですか
  49. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現在我々のほうで考えておりますのは、切符が販売業者の手に移ります。その販売業者の手へ集つた切符を製造業者のほうに持つて参りまして、製造業者のほうの庫出しの場合におきまして、その切符に対応する配給酒である場合におきましては、安い税率として税金を納めればよい、こういうふうな制度にしますれば、強いて指定販売業者という制度がなくても、配給酒の制度は運営できるのじやないか、かように考えております。
  50. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 もう一つ、十四条の酒類販売業者の取消しができる規定のうちにはないようですが、販売業者販売する石数に何らの制限がないのですか。少しでも売つておれば……。それは事実販売しない場合は取消されるのですか。極く僅かのものを売つても、それは取消しができないことになるのですか。
  51. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 考え方としましては、まあ看板はかけていましても、実際は酒の販売を全然やつていないという事態を考えているわけでございまして、一応看板をかけており、それで酒類販売をしている、それがその数量について、全然ない場合でなければ一応この規定には該当しないと考えております。
  52. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 免許には制限石数はあるのじやありませんか。
  53. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 新らしく酒類販売を免許しようといたしますときにおきましては、大体そこの販売業者はどれくらいの販売をなし得るかどうかというような点を考慮しまして、余り僅かな量しか販売できない、従つて販売業者としての経営が殆んど困難であろうというような事態におきましては、販売免許をしないということはやつてありますが、販売業者の免許をいたしましたうちにおきまして、その数量が減つたということによつて免許の取消しは行なつておりません。
  54. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 第四十三条の二項ですが、「前項第一号の規定の適用を受けて、清酒アルコールその他の物品を加えた酒類は、清酒とみなす。」ということで、新たに製造したとは見ないのですか。この文中の、その他の物品というのは薬品みたいなものですか。
  55. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) この規定は現行の酒税法と全然同じの規定をそのまま引移した規定でございまして、適用におきましても、現行の、現在やつておりますことをそう変つていることをやろうとは考えておりませんが、現在この規定を使つてやつておりますのは、例えば醸造の過程におきまして、まあ腐りかけたと言つておりますが、腰が弱くなりまして、放つておけば腐つてしまうというような酒ができる場合、アルコールを入れましたり、その他薬品を入れまして、それを救助するような場合がございます。そういうような場合にそのできた品物を清酒とみなして課税し、商品として売らせて行くというのが現在の建前でございまして、大体それと同じようなことをこの規定においてやつて行きたい、さように考えております。
  56. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 酒税保全のほうの法律もいいのですか。
  57. 中川以良

    委員長中川以良君) どうぞ。
  58. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 酒税保全及び酒類業組合等に関する法律案について、酒類業組合とすれば、酒類業が各地にたくさんおありになるようですから一向差支えないものだろうと思いますが、卸業者などは県によつては一つ、指定販売業者が一つ、そうでないのが一つというようなところも随分あるように思うのですが、そういう場合に勿論税務署の管轄区域でできないことは明瞭でありますが、これをやろうと思うときにはどうするか。或いはよその県と一緒に合併して幾つかになる、或いは国税局管内で一つの単位組合になるとか、そういうことになるように思うのですが、それは大蔵大臣の認可を得るのに単位組合の数の制限というようなものはないですか。
  59. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現在機械的に数をどうこう制限するということは実はまだ考えておりませんが、併し組合である限りにおきましては、一人二人の者がまあ組合を作るということは、おのずから組合であるのに適当でないということが結論的に出て来るのじやないかとは思います。従いまして御指摘のような場合におきましては、例えば国税局管内に一つの組合を作るといつたようなことも考えていいんじやないかというふうに思います。そういうことを一応予想いたしましたものでございますから、第七条におきましては、一応原則的には税務署の管轄区域というものを以て一つの組合の単位に考えておりますが、政令で定めるところによりまして、大蔵大臣の承認を受けたときは特別の区域によることができる。例えば県単位によるというのも一つの考え方でございます。更に今の御指摘のように県単位ではたまたま二人で組合になつてしまうというような場合におきましては、これじやまあ県単位ではまだ小さ過ぎるから、少くとも国税局単位にしたほうがよかろうということが出て来るわけだと思つております。ビールのごときは、御承知のように全国で三社でありますから、若し作るとすれば全国単位の組合以外には作れないのではないかと思いますが、そういうようなことも考えまして、一応七条に但書を作つた次第であります。
  60. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  61. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。  委員長からちよつとお尋ねいたしたいのでありますが、実はこの正月に大蔵委員会といたしまして関西のほうを視察に参つたのでありますが、その際にいろいろ調査の結果、一つ特に政府当局に要望いたしたいと思つたことがあるんでございます。その点は、すでに委員には出張報告として御報告申上げておりまするが、それは丁度灘のほうで酒の関係のいろいろ調査をいたしたのでありまするが、その際に実は醸造用の酒樽の問題でございまするが、やはり酒樽というものは杉の赤味でもつて、昔ながらのあの樽でなければならんというふうに思つておりましたところが、最近はあの杉の赤味の樽がいい味を出すんだということは科学的には立証されないんで、むしろいい酒を経済的に作るのには琺瑯タンクがいいんだというお話なんであります。それでいろいろ、伺つて見ますると、少くも木の樽のときには大体目減りが六%ぐらいある、琺瑯タンクになると二%ぐらいで済むんである、四%の節約になるということがはつきりわかつているそうであります。これを考えて見ますると、百万石を醸造いたしまするのに、酒が従来よりも四%余計に売れるわけでありまするから、国家の税の収入といたしましても、少くも一カ年に二十三億一千万円かが余計に入る、又これに対して業者のほうもやはりそれだけ余計売れるんであるから、いわゆる品質の向上におけるサービスも、又将来は安い酒を大衆に供給するということも可能になるんだろうと思うのであります。ただここに難点がございまするのは、この琺瑯タンクに設備を替えるところの資金の問題にあるようであります。これは只今百万石の琺瑯タンクを作るのには三十九億六千万円か要るというような計算になつておるようでありますが、これは考えますると約二年足らずで以て償却ができるような勘定に私はなると思うのでありまして、これは酒の合理化の面から申しましても、この資金の斡旋をしてやるべきではないかと思うのでありまするが、これらの点につきまして主税局のほうではすでに陳情等もお受けになつておると思いますが、どういうような御見解でおられるか、一応政府側のお話を承わりたいと思うのであります。  それからなお、企業の合理化の法律によりまして、企業の合理化を促進いたしまするためにいろいろな方途が講ぜられておりまするが、機械の償却年次の短縮化等もやつておりますので、こういう意味から申しますると、この琺瑯タンクのいわゆる償却が二十年ですか、二十年の耐用年数になつておるようでございますが、これを五年なり三年なりに縮めるというようなことも考えられるかどうか、この点も一応一つ御所見を承わりたいと思うのであります。
  62. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 委員長の今の御質問は、問題を二つに分けて御答弁申上げるほうがいいのではないかと思います。一つは琺瑯タンクの資金の問題につきまして、政府として、例えばその斡旋等についてどういうふうな考え方をしているかという点について、先ずお答えを申上げておきます。  琺瑯タンクが現在の酒造の上におきましては、いわばこれが順次一般化さるべきものでありまして、昔のような杉樽のようなものでございますと、欠減の点から考えましても面白くありませんし、まあその他いろんな面からしまして今後の酒造、酒の醸造は、琺瑯タンクを中心になさるべきものであるということにつきましては、我々も全然同じような意見を持つております。従いまして、従来におきましてもこの琺瑯タンクの施設のための金融につきましては、いろいろ我々も斡旋につきまして努力いたしまして、過去におきましても商工中央金庫を通じまして、相当の資金が貸出されていることがあります。ただまあこの問題につきましては二つの面で酒造業者のほうから希望が出ているのですが、一つは商工中金における貸出しの手続きに非常に手間がとれるということと、それからもう一つはその金利がもつと安くならないものであるか。商工中金の貸出しにつきまして手間がとれる問題につきましては、丁度商工中金としましては、琺瑯タンクの貸出しを始めたばかりでございまして、取扱物件として新らしいものでございますから、その事情が或る程度調査し、呑み込めるまでにつきましては、やはり相当まあ調査も必要だというので、過去におきましては相当の時間を要したわけでありますが、大体その性格もわかつたようでございますので、今後におきましては、商工中金としましてもより迅速なる貸出しをなし得るであろうというようなことを言つておるのを聞いております。ただまあ金利の点につきましては、商工中金のいろんな採算のペースもございますので、商工中金におきましてそう安い金利の金を出すということにつきましては、かなり困難があるようでございます。そこで現在におきましては、業者のかたは開発銀行のほうに、この金の融資を或る程度商工中金以外に開発銀行のほうで相当の金の貸出しができないだろうか、という点についていろいろ交渉をしているようであります。政府といたしましても、国税庁或いは我々といたしましても、この点については更に開発銀行のほうとも十分話合いまして、できれば何とかその辺からも金が出ることについても努力して見たい、かように考えております。  それから第二の点は、現在琺瑯タンクの償却、税法上の耐用年数が二十年になつております。この点を更にもつと短縮するように考えられないだろうかという御質問についてお答え申上げたいと思いますが、この点につきましては、恐らく物理的に考えますれば、まあ二十年という耐用年数がそう無理な耐用年数とも思われませんが、併しそれは一応物理的だけの観点でございまして、経済的に考えた場合に果してどうかという問題がもう一つそこにあるわけでございますので、この点については政府としましても慎重に考慮して行きたいと考えております。
  63. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今のお話のなかに、商工中金がいろいろ今まで出しているというお話でございましたが、更に今開発銀行のほうからも出るということでございまするが、なおこれは長期信用銀行あたりが融資の対象とならないでございましようか、どうですか。
  64. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) ちよつと今の私の答弁、訂正させて頂きたいと思います。開発銀行と申しましたのは間違いでございまして、長期信用銀行であります。長期信用銀行のほうへ業者のかたが融資について申入れをしているということを聞いておりました。その点につきまして、国税庁としまして、或いは我々としまして、長期信用銀行の人たちとも十分よく話合いをする、これを開発銀行と申しましたのは思い違いでございますから、訂正させて頂きます。
  65. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質問ございませんか。
  66. 伊藤保平

    伊藤保平君 今のに少し敷衍して、私はこのタンクのことは以前から言うておつたので、漸く去年から融資の話がよくなつたことは感謝しておるのですが、委員長の言われる通り、もう少し保護的にやつて頂きたいので、今委員長の言われた欠減数字、大体業者も一分くらい、三十石入のタンクで一分というと三斗ですね、三斗ほどが消えてしまうと思うのですが、木の桶だと七分乃至八分、石数にすると、三石から二石四斗くらい消失してしまう、大変なことです。税収入が一本で三、四万空に消えるのです。タンクの代金は最近は十二万円ぐらいしておる。少し大きなタンクになると十三万円ぐらいするでしよう。そうすると少々の融資ぐらいがあつてもやりきれない。相当御配慮願つておるようですけれども、仮に一石五斗違いますと税金にしますと三、四万円違つて来るでしよう、そういうのがありますから、何とかもう少し多く且つ有利に融資を願いたい。私が今までやかましく願つておつたが、大体最近までは酒を造る量が少いものですから、大体従来の分で何とか間に合つてやつて行けたと思うのですが、本年のようにこう急激に酒が殖えて来ると、貯蔵の桶、即ちタンクが足りないと思うのです。今年なんかの殖え方では恐らく地方の二十石入の中くらいの桶を平均して、酒からいうと平均して二万本ぐらい必要だと思います。先ほどのお話には八億円の融資で自己資金を少し混ぜても漸く一万本しか新調ができない、こういうことになつておるので、今年だけでもまだ一万本くらい足りないと思う。この木桶を金属のタンクに変えることは非常に生産的な、政府としては直ちに自然収入になることですから、もう少し積極的に方策を講じて頂きたい。これは国家のために全く無駄なのですから、空に消えるものを救うことですから、重ねて私からも一つお願いしておきたいと思います。
  67. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十七分散会