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政府委員(
渡邊喜久造君) 各種の
税率の盛り方はなかなかむずかしいものでございますことはもうよく御承知の
通りだと思
つております。今度の
考え方といたしましては、一つは酒全体の
税率が高いということが、何と申しましても
密造を相当多くしておる一つの原因だと思
つております。それで私も戦前まで
執行官庁にお
つたわけでございますが、どうしても
密造をなくして行くためには、片方で
税率を下げて、そうして正規の酒の
値段を下げるということと、片方で相当やかましい
取締を繰返してやる、この二つがまあ合せて行われなければとても効果は上らない、これはまあ
伊藤さんもさだめてさようにお
考えだと思いますが、そういう
趣旨におきまして
酒税全体も下げて参
つたのですが、その間におきまして、やはり最近における
清酒、
合成酒、
焼酎、まあそうい
つた全体の需給
関係も
考えて多少考慮に入
つておると思います。それから同時に
焼酎のような安い酒が片方で
密造の
焼酎もできて行く、こんなこともございますので、従いまして割合にまあ所得の少ない人が飲む酒、これが
密造酒は大体そつちのほうでございますから、そういうふうなものは
税率の引下げの割合を多くする、そうでないものは
税率の引下げの割合を少くする、かような
考え方で進んで参
つたわけでございます。それで最初の御質問の
清酒と
合成酒の、バランスの点でございますが、いろいろな
考え方が実はあるようでございます。過去の
清酒、
合成酒の
値段を比較して見ましても、開きが割合に少か
つた時期と、それから相当大きく開いた時期とまあいろいろあるわけでございまして、現在
考えて
おりますのは、小売価格にしまして、お手許に差上げてあります要綱では
清酒が四百四十五円それから
合成酒の二級が三百三十円と
なつて
おります。尤もその節いろいろ御説明申しました
機会に、現在その中にはコストの引下げが相当入
つておりまして、この分は現在検討して
おりますが、多少動くかも知れない、併しまあ五円以上動くことは先ずないというふうに
考えていますということを申上げておきましたが、大体現在までの検討の結果では、
清酒が四百四十五円、それから
合成酒の二級は三百三十五円、百十円くらい、これが現在の値開きでございますが、大体その辺に落ち着くのじやないだろうかということを実は
考えて
おります。
清酒と
合成酒との
関係につきましては相当デリケートな
関係がございまして、我々のほうとしましても慎重に今最後の
値段がどうなるかということについて検討いたしておるところでありますが、大体今
考えている、今申上げました
程度のところに落ち着くのじやないだろうか、これも最終的な話ではないことを御了承願いたいと思います。まあそういうところを一応頭に置きまして、そうしてコストの引下げの
関係なども
考えて
税率を検討して参りますと、大体絶対額では片方が、
清酒のほうが一升で六十五円、それから
合成酒のほうが六十二円とい
つたくらいの引下げをや
つたら丁度いいだろう、ただ元が少し
金額が違いますものですから、割合としますと、二割二分四厘と二割六分一厘、かように
なつたわけでありますが、大体狙
つておりますのは、
市場の値打としまして、最近における需給なども
考えまして、
現行の百十円の開きをそのます持たせておいたらいいじやないか、いろいろ
議論はあるところでありますが、まあ私どものほうとしましては大体そういう見当を付けまして、
税率につきましても一応の結論を出した、こういうわけでございます。なお
ビールでありますが、
ビールの点につきましては、実はいろいろ
議論も多うございます。
アルコール分だけと
つてみますと、
ビールは御承知のように
アルコール分が非常に少いのでありまして、
考え方によりましては、この
アルコール分の少い
ビールにこんなに高い税金はどうか、恐らく
アルコールの度数から計算してみますと、
ビールが一番
税率が高い、併し酒というものは勿論
アルコールで飲むわけではございませんから、まあ消費対象としての
ビールというものの存在を
考えまして、一応
税率は盛
つてあるのですが、ただいろいろ比較してみましても、最近におきまして
ビールは割合に所得の多いものが飲むのだろうということに一応の前提を置いてお
つたせいだと思いますが、これは今度
ビールと
清酒とを同じような割合で引下げましても、昭和九、十年ぐらいの当時に比べますと、
清酒の二級のほうは
税率で五百倍ですが、
ビールのほうは七百六十倍になります。で、
ビールのほうの
税率全体が戦後割合に高いままに放置されていたということも否めないのじやないか、そこで特にこの際
ビールに重点をおいて引下げるつもりは別にございませんが、やはり引下げの割合としましては、
清酒と同じ
程度の引下げ方をしたらいいのじやないだろうか、かように存じまして、一応こうした
税率の結論を出したわけであります。