○
説明員(塩崎潤君)
酒税法案について御
説明申上げます。
今回の
改正案は全文
改正でございますが、基本的な考え方は、現行の
酒税法が
昭和十五年にできました
法律でございまして、そのときの経済事情、或いは戦争中であつた
関係等におきまして、それらの事情によりまして、その
規定の仕方が現下の実情に合わない点があるというようなことも相当ありますので、この
法律を現下の情勢に即するような
酒税法にいたしたい、こういう意味におきまして
改正いたしたわけでございます。
改正の趣旨はそういうところにあるのでございますが、そのほかに大きな目的は、先ほどから
説明のございます減税でございます。それから只今局長からもお話がございましたが、
酒税法五十二条というものが若干
規定の不明確な点がございますので、これを
酒税の
保全及び
酒類業組合等に関する
法律のほうに譲りまして、
酒税法は主として
酒税の賦課徴収に関する
法律というふうにいたしたわけでございます。而もその根本的な考え方といたしまして、大体現行
制度におきますところの
酒税の賦課徴収の
制度は原則として維持する、根本は維持いたしますが、若干枝葉の点におきまして現下の情勢に即しない点を改めるというよう
なつもりで
改正いたしたわけでございます。前置はその
程度にいたしまして逐条的に簡単に御
説明申上げたいと思います。
第一章の総則でございますが、総則
関係におきましては主として定義が一番問題になるわけでございます。
第一条は
課税物件でございます。これは現在あります
酒類には
酒税を課するということを宣言いたした
規定でございます。現行もございます。
第二条は
酒類の定義及び種類、これも大体現行
制度を踏襲いたしております。
酒類というものはアルコール分一度以上の飲料、而もアルコール専売法の
規定の適用を受けますところの九十度以上のアルコールは除外いたして、アルコール専売法の適用を受けるということにな
つております。これも現行の
規定通りでございます。それから
酒類の分類でございますが、これも現在ありますところの九種類の種類というふうに分類いたしております。これも現在ある
程度でございます。
第三条は
酒税法に用いておりますところの用語の定義でございます。このうちで一番問題になりますのは、
酒類の定義でございますが、
現行酒税法は他の
外国の
酒税法と申しますか、
酒税に関しますところの税法と異なりまして、その
酒類の「たね」類と私どもは普通申しておりますが、
酒類を相当沿革的な、通俗的な用語によ
つて分類いたしまして、それをベースといたして、そして
課税いたしております。そのために製造
方法、原料等につきまして種々問題があるわけでございますが、今度の
改正におきましてもこの
酒類の種類ごとの定義は変えない。現下の酒造技術その他によりまして種々問題があるわけでございますが、今回の
改正案におきましては、この
酒類の種類の実質というものは変えない、こういうふうにいたしております。一号のアルコール、二号のエキス分、これは現在の
規定を明確化いたしたわけでございます。三号は清酒でございますが、これも現行税法で清酒とい
つております清酒をそのままと
つて来ております。四号は合成酒でございますが、合成酒の
規定につきましては、現在まで香味、色沢その他の性状が清酒に類似するものと、これを若干明確にいたしたつもりでございますが、その定義は変えておりません。濁酒、焼酎も大体変
つておりませんが、焼酎につきましては、従来の税法では何度までが焼酎であるかということが問題にな
つておつたわけでございますが、今回の
改正案におきましては、大体焼酎は常識的に考えましてアルコールが余りに高度で飲料にならないというものは焼酎というべきでなかろうと、而も焼酎の
税率がその嗜好の階級等によりまして若干、
酒類の種類と比べましてアルコール分等から見ると若干低目でございます。従
つて焼酎の定義というものはアルコール分によ
つてはつきりいたそうじやないかということで、四十五度以下のものを焼酎とい
つております。従いまして四十五度を超えるものは雑酒のほうに入る。飲料の上から申しまして、四十五度を超えるものはやはり飲料にはなりにくかろうということで、そういうことにいたしました。度数の高い焼酎というものは沖縄にあります泡盛でございますが、これが大体四十三度くらいでございます。この
程度に区切
つてもよかろう、こういう意味から四十五度にいたしました。そのほか製造
方法につきましては焼酎は変
つておりません。味醂、白酒、ビールも殆んど現行
通りでございます。ただビールに炭酸ガスを加えたものが新らしく今回の税法に入
つておりますが、ビールというものは、そもそも醗酵過程において炭酸ガスができるわけでございますが、逃げる炭酸ガスを捉えて又ガスを吹込むという
方法も行われております。これを
法律上明らかにいたしておきませんと雑酒になる危険性がありますので、これを
一つ明らかにいたしたわけでございます。十は果実酒でございますが、これも大体現行の
制度をそのまま原則として踏襲いたしておりますが、告示、政令等で明らかに
規定いたしておりますのは、エキス分の
制度を
法律に挙げたわけでございます。従来ならば大体アルコール分、エキス分とは相当政令等に譲られておつたわけでありますが、最近の
法律の制定の仕方、それから
税率等にも影響いたしますので、でき得る限りアルコール、エキス分等につきましても
法律に
規定すると、こういうふうにいたしておる次第でございます。十号の果実酒でございますが、イ、ロ、ハ、ニと、こういうふうにありますが、イ号につきまして、果実だけを原料といたしておりますものにつきましてはエキス分の制限はない。その他のアルコールを添加したり、加糖するものについてはエキス分の制限があるということにな
つておりますが、これは雑酒との
関係、アルコール分の高いものは雑酒と紛らわしくなる、而も雑酒の
税率とは雲泥の差がありますので、雑酒に類するような果実酒を加工するようなものはエキス分で押えて参る。果実そのままを原料とするものは、これは純粋の果実酒としてアルコール分の制限がないほうがいいだろう。而も現下の日本の情勢では果実酒でアルコール分が五度になるということはないということでこういう
規定をいたしたわけであります。雑酒は今申しました
酒類の種類以外の種類、今までの
規定に該当いたさないものは雑酒に入る、こういう趣旨でございます。それからその次の酒造年度、保税地域は現行
通りでございます。
第四条でございますが、類別及品目、これは現在政令の段階、或いは告示の段階で
規定いたしておりましたのを、同様な趣旨から第四条におきまして
法律において明らかにいたしたわけでございます。焼酎、味醂はそれぞれ甲類と乙類に分類する。焼酎甲類はいわゆる新式焼酎とい
つておりますが、新式機械によりまして、新式蒸溜機によりまして作り上げました焼酎でございます。焼酎乙類というのは、いわゆる旧式、或いは中間式と申しまして、旧来の古い蒸溜
方法によりますところの焼酎でございます。この二つは焼酎甲類のほうが純粋アルコールに近い、焼酎乙類のほうが若干雑味が残りましてアルコール分の純粋度が少いというふうな
関係があります。嗜好のクラスも違います。企業形態も異なりますので、これは
税率において区別いたしておるわけであります。味醂甲類、味醂乙類、これも大体現行の現定にある
制度でありますが、味醂甲類というのは本味醂と申しまして、御承知の
通り調味料として使われる飲料と申しますものでございます。味醂乙類のほうはいわゆる本直しと私ども称しておりますが、味醂甲類はアルコール分が少くてエキス分が非常に多い甘いものであります。味醂乙類は焼酎と本味醂の中間にあるようなアルコール分の多いエキス分の少いものであります。この味醂甲類、乙類は嗜好の階級も違いますので、
税率を区別いたしておりますので味醂を甲乙分けております。「雑酒は政令で定める品目に分ける。」雑酒も税法上の種類におきましては雑酒というものになるわけでございますが、まあそのほかにウイスキー、リキユール、それから甘味果実酒、まあたくさんあるわけでございます。これによりまして、まあ免許の
関係、それから
税率の
関係も違いますので、これは
一つ品目に又細かく区分けいたそう、現在のところは告示で区分けいたしてお
つたのですが、
法律でこれを挙げまして、その品目につきましては政令で定める、こういうふうにいたしております。
その次は第五条でございますが、これは級別でございます。御承知のように清酒につきましては、特級、第一級、第二級によりまして
税率が違うわけであります。合成酒は第一級、第二級とありまして
税率が違う、雑酒は特級、第一級、第二級と、こうな
つております。雑酒につきましては従来第一級、第二級、第三級及び第四級と、こう四級あつたわけでございますが、この四級の
制度に分けましたのは、
昭和十八年、戦争中におきまして原料の極めて、乏しいときに、極めて原材料の不十分なときに造りました、而も品質も必ずしもよくないというような雑酒につきまして、雑酒というものは大体ほかの種類の
酒類に比べまして
税率の高いものでございますが、まあそういうものに高い
税率を適用するのは酷であろう、この事情が戦後も続きまして雑酒の第四級につきましては若干ほかの
酒類の
税率に比べまして低目であつたわけであります。まあ最近原料の事情もよくなりましてまあだんだんいいものも出来上るように
なつたわけであります。而も雑酒につきましては、先ほど来申上げまするように原料につきましても又製造
方法につきましてもその制限が極めて少い、従いましてだんだんいい材料を使
つてその他の
酒類に似るような雑酒四級のものを造
つて参りますと、非常に
酒税の
負担が不公平になる、こういうような事情もございますので、今回におきましては、だんだん昔の税
負担というようなことを考えて雑酒のほうにつきましては四級
制度を三級
制度にする。で、名前を特級、第一級、第二級というふうに改めまして、品質の向上を図ろうじやないか、こういうふうにいたしておるわけであります。この級別につきましては、品質、嗜好等の
関係から考えまして現在や
つておりますが、
酒類審議会の諮問に応じまして
国税庁長官が決定いたす。現行
通りでございます。
その次は第六条、納税義務者でございますが、
酒税はいわゆる間接税でございまして、而も消費税でございますが、徴税の技術上の
理由から、小売業者のところ、或いは料理店で
課税するというようなことを昔からいたしておりません。従来
通りやはり製造者
課税の原則をと
つておるわけでございます。又
外国から持
つて参ります際には保税地域から引取るときに
課税する、こういうふうにいたしまして、引取人を納税義務者といたしております。
第二章の
酒類の製造免許及び
酒類の販売業免許でございます。
酒税につきましては昔から、古くから免許
制度が製造業者についてとられているわけでございますが、これは取締上の見地、その他種々の衛生上の見地なんかからも必要があつたと思いますが、
酒税保全の見地から製造免許
制度を明治何年からと
つておるわけでございます。今回もその製造免許
制度を維持しておるわけでございます。而もその免許は
酒類の種類ごとに、而も製造場ごとに従来渡しておりますので、その
制度はそのまま維持いたしております。ただ昔から第二項にございますが、制限不達石数というものがありまして余り小規模の製造業者が現われますと、取締上煩瑣でございますので、毎酒造年度におきますところの製造
見込石数が極端に小さいものはこれは免許を受けることができないというような
制度をと
つております。これにつきましては大体現行
制度を維持いたしております。清酒につきましては三百石、合成清酒につきましては三百石というふうに、大体現行
制度を維持いたしておりますが、ただ焼酎甲類につきましては、従来
酒税法におきまして焼酎甲類、乙類の区分がなかつたために、焼酎というものは制限不達石数が五十石であ
つたのでこれはそのときの
酒税法が大体旧式焼酎があるために、小規模の旧式焼酎業者のことを考えまして五十石といたしておつたわけだと思うのでございますが、今回は焼酎につきましては甲類と乙類と区別した、焼酎甲類につきましては何とい
つても大規模生産者のほうが支配的でございますが、これは三百石といたしております。雑酒、果実酒につきましては十石を三十石
程度に上げるこういうふうな
制度改訂をいたしておりますが、大体現行
制度を維持いたしておる、こういうわけでございます。その他兼業者が僅かほかの
酒類をやるような場合につきましては、この制限不達石数という
制度を適用しないというようなこともございますが、それもやはりその
制度を踏襲いたしております。
それからその次は酒母等の製造免許、これも
酒税保全上の見地から従来と
つておるものでございます。酒母、もろみ、こうじ、これも従来から製造につきましては免許
制度を採用いたしております。これも大体そのまま踏襲することにいたしております。
それから第九条は
酒類の販売業免許でございますが、これは
昭和十四年以来
酒税の
税率がだんだん高くなりまして、製造業者の免許
制度では
酒税保全が完全を期し得られませんので、
酒類の販売業者につきましては免許
制度を
酒税法におきましてと
つておるわけでございます。これも大体その
制度を維持いたすことにいたしております。
第十条は免許の要件でございますが、従来も免許の要件につきましては、
法律で或る
程度の免許を付与する場合の要件が掲げられてあつたわけでございますが、その
規定の仕方が若干抽象的に過ぎる面もございますので、今回は現在の税務の執行
状況で行われておりますところの付与の免許を拒否する場合の要件を明らかにいたしております。十二号を掲げております。現行
制度では僅か六号でございますが、それを明らかにする意味におきまして十二号というような免許要件を掲げております。例えば現行の税法では「資力不充分ト認メラルル者が
酒類ノ製造業又ハ販売業ノ免許ヲ申請シタルトキという
規定がございますが、資力不十分という解釈がなかなか面倒でございますので、例えばここにありまする
通り、禁治産者であるとか、免許申請前二年間において
国税等につきまして滞納処分を受けた者であるとか、資力不十分というような解釈を間違いのないように明らかにする、或る
程度なかなかこの点はむずかしいのでございますが、成るべく付与する場合の
条件を明らかにいたしておいたつもりであります。
第十一条は免許の
条件でございます。最近の
酒類の生産
状況は、御承知の
通り原料事情が非常によくなりまして、生産は殖えておりますが、製造設備能力というものは全体の酒の事情に対しまして相当余
つておるような
状況でございます。そういうような際に新らしい免許を受けるような人が、余りに大きな製造場を持つというようなことはいいか悪いか、そのいうようなかたがたが
酒税を又果して十分納められるかどうか、こんなような心配もありますので、
酒税の
保全上、
酒類の
需給の均衡を維持する必要がある場合には、石数に若干
条件を付することができる現行の
制度を踏襲しております。ただ現行の
制度はこの
規定の仕方より拡めておりますが、今度は
一つどういうことをやるかということを明らかにいたしまして、免許付与の際の
条件を改訂をいたしておるわけであります。
第十二条は
酒類の製造免許の取消でございますが、これは現行の
制度を明らかにしたよう
なつもりでございます。ただ現行にあるような
制度を踏襲いたしております。
十三条の酒母等の製造免許の取消、十四条の
酒類の販売業免許の取消、第十五条の免許取消の手続、それから第十六条の製造場又は販売場の移転の許可、第十七条の製造又は販売業の廃止、これはいずれも免許
制度に伴いまして現在ある
制度の
規定をおおむね明らかにいたしつつ
改正いたしたわけでございますが、
制度の根本精神は現行にある
通りであります。
第十八条は、こうじの販売業の開廃業等の申告義務でございますが、この
規定の
制度は現在ありません。併し御承知の
通り密造酒がなお現在でも相当横行いたしております。その元は相当こうじのほうから流れておる、こうじが自由に売られておることによ
つて密造ができるというような
条件もございますので、こうじの販売については免許
制度はいたさないのでございますが、販売業を開いたり廃止する際には
一つ政府に届出ておいてくれ、必要に応じては
政府がその
購入者等を通じて密造も取締れるんじやなかろうかというような
関係から、このこうじの販売業の開廃業に申告義務を入れて頂いたわけでございます。
第十九条の製造業又は販売業の
相続、この
相続の際には免許がそのまま引継ぐようなことを担保する意味で、現在ある
規定をそのまま採用いたしております。
それから第二十条の必要な行為の継続等、こういうような
制度がございますが、これも現在ある
制度でございます。
酒税法に基くところの免許
制度を取消した場合に、その取消後なお原料、製品がある、或いは半製品が存するときには、必要に応じてなお製造業、販売業を継続するというような現行の
制度をそのまま踏襲しておるわけであります。
第二十一条は、免許等の通知、これは免許を付与したときに通知するということは当然でありますが、現行税法では明らかにな
つておりませんので、これは通知で明らかにする、不許可にする際には不許可の通知もするというようなことにいたしまして、
規定の民主化を図つたつもりでございます。
第三章は
税率でございます。これが今回の
改正の一番大きな狙いでございますが、大体二割乃至三割
程度の
税率の
引下げをいたすわけでございます。で、
税率の考え方は先ほど局長から申された
通りでございます。或る
程度最終の
小売価格を考えつつ税
負担を考える。例えば焼酎については三百円くらいにすることによ
つて密造の駆逐ができるのではなかろうか。清酒につきましてはどの
程度、合成酒につきましてはどの
程度ということを考えてやつたわけでございます。而もまあ大体その
酒類につきまして
税率の
引下げの仕方を下を厚く、上のほうにつきましては薄くというふうにいたしましたのがこの
制度でございます。アルコール分につきましては、大体
酒税というものは、根本的に言えば、アルコール
課税だというような議論がありますように、アルコール分が一石当り幾らということを想定いたしておりまして、こちらの考えておりますところのアルコール分を超えるようなものにつきましては、一定額以上の
酒税の加算が行われるというような
制度は現行もありますが、この
制度は今回の
改正におきましても、大体踏襲いたしておるところでございます。雑酒につきましては、先ほども申上げました
関係から四級の
制度を三級の
制度に改めまして、おのおのの
税率を持
つております。
第四章は
酒税の徴収でございます。第二十三条にみなし移出という
規定がありますが、これも現行ある
制度でございます。
酒税というものは庫出税でございますが、庫から出なくともとらなければならない。これは消費税の本来から行きまして、酒を消費したものは、庫から出ないものでもとらなければならないという理論的な根拠がございますので、みなし移出
制度を設けております。例えて申上げますと、場内で飲用されたというようなときには、直ちにとるというような
規定がございますが、これも大体現行
制度にあるところでございます。
第二十四条は、移出石数等の申告、これは現在もある
制度でございますが、
酒税法におきましては、申告納税のように申告によりまして
税額を確定するような
制度じやございません。製造者から移出石数の申告が出ますれば、それに基きまして
税務署が切符を出しまして、そうして
税額が確定し、
酒類の製造者はその
税務署から出ました切符に基きまして、翌月末までに税金を納めなければならない。こういうことにな
つておりますが、そういう意味におきまして申告納税と若干異な
つておりますが、ともかくも申告でとるというようなことにいたしております。これは現行
制度通りでございます。
第二十五条は、
課税標準石数の決定通知でございますが、これも現在ある
制度でございまして、庫出石数を申告されたが、その石数が違つた際には、
税務署が調査して、その調査石数を決定して通知する。これは申告
所得税の更正決定に似たような
制度でございますが、これは庫出税の
制度からも当然であり、これも現行の
制度でございます。
第二十六条は納期でございます。
酒税の納期は、庫出の月の翌月末までとな
つております。この納期につきましては、最近生産が相当殖えて参りまして、その結果市場に商品がだぶつく、そのために相当決済が遅れまして、一部の業界からはその納期につきまして延ばしてくれというような要求もあるわけでございますが、この納期を延ばすことによりまして却
つて業界の決済が余計延びるというような傾向もございますし、
酒税もそのために
収入状況が悪くなるというようなこともありますので、納期は今回は延ばさない、やはり現行
制度通り一月にいたしております。その代りなお徴収猶予という
制度がございまして、それは第二十七条でございますが、
税額相当額の担保を出せば、第二十七条におきまして徴収猶予
制度がございます。この担保の種類の
範囲を若干拡めて、
酒類製造業者のかたがたに、担保を提供いたしまして一カ月だけ延ばすことを考えようじやないか、現在延ばしているかたがたがございますが、担保の種類が
国債等がなくなりました
関係で少くな
つておりますが、今度若干拡げまして、あとでも出て参りますが、製造業者の土地、それから火災保険に附した建物、又地方債を持
つていることを考えまして、担保の種類を拡げて、納税の円滑を図りたい、こういうふうに考えている次第であります。
第二十八条は、未納税移出又は引取、これも現在未納税移出と言いまして、これは間接税全般にある
制度でございます。庫出のときに
課税するのが製造
課税の本質でございますが、併し同じ製造業者の中で庫が動くような場合、或いは他の種類の製造業者の原料にな
つて他の種類の製造者の庫から出るときに、もう一遍
酒税が課せられるというようなときには、強いて
酒税をとらないでもいいじやないか、
酒税をとることによ
つて金融について問題を起すこともなかろということで、昔からある
制度でございますが、この
規定をどういう場合に承認を与えるかということが、現行の税法では若干不明確であつたわけでありますが、今回の
酒税法改正に当りましては、本法の沿革から見まして、こういう場合には未納税移出を認め、こういう場合は未納税移出をやらないというようなことを明らかにいたしたつもりでございます。
第二十九条は、
輸出免税でございますが、
酒税は消費税でございますし、内地消費だけに
課税すべきだという議論、或いは
輸出奨励の見地から
輸出用
酒類につきましては免税
制度をと
つておりますが、これは現行ある
制度でございますが、現行におきましては、
規定が若干不明確でございましたが、これも成るべく明らかにいたしまして
規定いたした次第でございます。
第三十条は、もどし入れ
酒類等の
酒税の
控除等、これも現在ある
制度でございます。製造者の庫を出まして、卸売業者、小売業者のところに出て行く、それが品質か何かの
関係で又製造業者のところに帰
つて来る。それが又製造者から再び直されて出て行くときに、又税金としてと
つたのでは、如何に庫出税でもひどかろうというので、これはそのときには
課税しない。又製造場から再び出たものが又再び帰りまして、級別低下で
税率が安くなるときには、税金も引いてやらなければいかんじやないかというようなこともありますので、もどし入れ
酒類等の
制度が現行の
制度に準じまして、
規定を明らかにして入れたわけでございます。
第五章は納税の担保でございます。担保については、先ほど申上げました担保徴収猶予のために担保
制度がありますと同時に、これは各国にもある
制度でございますが、カナダあたりでは特に極端にや
つております。製造
見込石数を毎酒造年度初めにと
つて、その担保の全額出しておけという
制度でございますが、日本の
酒類行政はそういうことをや
つておりませんが、これは滞納の虞れがある場合に、
酒税の特質から、殊に
酒税の税金が重い
関係から、或る一定の場合には担保を出せというようなことの権限が留保されております。そこでどういう場合に担保の提供を命ずるか、それから担保の提供に代えて、
酒類の保存を命じておくというような
制度もございますが、これは現行ある
制度をそのまま明らかにいたしたわけでございます。第三十一条の一号二号は、どういう場合に担保の提供を命ずる、これは未納税移出、
輸出免税というようなときには、一応免税いたしますけれども、例えば
輸出用
酒類なら、途中の段階で消費しなければならないという懸念もございますので、担保を出しておけという現行
制度にあります
制度をそのまま踏襲いたしております。そういうことがずつと書いてございます。
第三十二条は、担保の種類というふうにいたしております。これは現在政令がありますのも、事重要でございますので、
法律に挙げて来たわけでございます。一号、二号、三号、四号、五号、六号、七号、新らしい
制度は先ほど申上げました四号、五号、土地、火災保険に附した建物、その
制度と、二号の
国債及び地方債の
部分でございます。その他は現在ある
制度でございます。八号は「前各号の外、政令で定める」ということが現在ありますが、これをどういうふうに
規定いたしますか。その他の担保物件の
条件によりまして、必要なものがあれば
規定するということで考えておるわけでございます。
それから第三十三条は担保を出したが変えてくれという場合があるであろうというようなときに、担保の変換を認める。
それから第三十四条の担保の処分、滞納するときには、直ちに担保物件にかか
つて行くという
制度であります。これは
酒税保全ができませんので、先ず担保があれば、担保物にかかる。
国税滞納処分の例によ
つてや
つて行くという現行の
制度を踏襲いたしております。
第三十五条は保存
酒類の処分禁止、これも当然で、それは命じた以上は処分を禁止する。
第三十六条の
酒類の差押、これも担保として提供しておりました
酒類を差押えることができる現行の
制度を踏襲しております。
第六章は
酒類審議会、これは税法に出て来ますのは若干唐突な感じがいたすわけでありますが、先ほども申上げましたように、
酒類の級別等につきましては、現在の施行
状況から見て或る
程度官能によりまして級別決定をいたしております。これは役人だけで決定するということもできませんし、大かたの技術者の力を頂くわけでありますが、そのために
酒類審議会がある、而も同時に本国会におきまして私ども
提案さして頂いておりますところの
酒税の
保全及び
酒類業組合等に関する
法律におきましては、或る
程度酒類の
取引の
規制をいたす必要が起る場合もありますが、その
規制をいたす際に
大蔵大臣が諮問するというような機関として
酒類審議会があるわけでございますが、これを
酒税法に期待いたしておるわけでございます。これは現在は大
部分政令でございますが、今回におきましては、大
部分法律に持
つて参りました。設置、組織、運営、これも従来の
審議会
制度に見られるような構成とな
つております。
第七章は雑則でございます。
第四十条は、
利子税額、これは先ほど局長が申されましたように、新らしい
制度でございます。従来日本の
税制には
利子税という
制度はなかつたわけでございますが、アメリカ占領中に申告納税がとられましてから、
利子税の
制度ができて来たわけでございます。本来なれば間接税につきましては、滞納すれば直ちに差押えて行けば、
利子税というような問題もないということになるわけでございますが、なかなか税務行政の実際におきましては、滞納して一日目に直ちに差押えるということにはなかなか行かないわけであります。若干放つたらかしになることになります。そういたしますと、
法人税、
所得税になりますと、放つときましても
利子税がつくということになりまして、間接税には
利子税がつかん、こんなことで或る一部の業者におきましては、先ず
法人税を納めて、
利子税のない
酒税をあとにして、而も滞納した税金で設備を拡張するというような例もあつたようなこともありますので、
酒税につきましては極めて滞納が少なかつたわけでございますが、その他の間接税と平仄を合せまして、
利子税の
制度を設けたわけでございます。併し先ほども局長が申されましたように、徴収猶予
制度を持
つておるというようなものにつきましては、
法人税は徴収猶予につきましては、半分の二銭の
利子税をと
つておるのでありますが、間接税につきましては徴収猶予の本質が、
酒類代金の決済が遅れて金が入らないというようなことから徴収猶予をいたすというような建前から見て、この徴収猶予
制度につきましては、
利子税はとるべきではないということになりますので、これは
利子税はとらないという建前にいたしております。その点が
相続税や
法人税の徴収猶予
制度の際の
利子税と違う建前でございます。
第四十一条は、
酒類の検定でございます。これも現行ある
制度で、造石税のときには相当ものを言
つておつた
制度でございますが、何と申しましても、完全に税金を把握いたしますには、
酒類を製造したあとに
製造石数をがつちり押えておく、そのときにアルコール分及びエキス分を検定しておく、そうしますと、そのあとで庫出いたしましても、庫出石数が容易に確認できるようになるということでありまして如何なる
酒類につきましても、検定をするという
制度が昔からとられておるわけでございますが、それをそつくりそのまま踏襲いたしております。
次は四十二条は検定前の
酒類等の処分を禁止する、こういうことにいたしたのであります。
四十三条はみなし製造でありますが、みなし製造は現行ある
制度を踏襲いたしておるわけであります。でき上りました酒に新らしいものを混ぜますと、これは新たに
酒類を製造したものと認めて、でき上つたものの
性質によりましてその
酒類を判断いたす、こういうことになるわけでありますが、次のような場合にはいい。清酒の製造業者が、例えば
税務署長の承認を受けまして、腐敗しかか
つておつたようなものにアルコールを入れる、これは本来ならば新らしい清酒、でき上りました清酒にアルコールを混和いたしますと、他の
酒類になるわけであります。これは承認を受けましてアルコールを入れました際にはいいという現行
制度をそのまま踏襲いたしております。そういうように製造につきましては、免許の
関係、或いは
税率の
関係その他によりまして、そういうふうにやかましく取締
つております。四十三条の六項のように、ただ消費の直前において、例えばこれも政令で書くことにな
つておりますが、笑いぐさになるかも知れませんが、カクテルみたいなもの、カフエー、バーでカクテルを作る、これは
酒類を製造したということで少くとも
課税をされたのではおかしい、無免許製造で処罰されるのもおかしい。
課税済みの酒で消費の直前にカフェー、バーで客の求めに応じてやるものは製造と見ないのだということは、これはあ
つても昔から慣行でや
つておりましたものを、最近
法律の制定の仕方に応じまして
規定いたしたわけであります。
四十四条は、原料用
酒類及び酒母等の処分禁止でございますが、これも現在ある
制度でございます。酒母、もろみの製造業者が酒母、もろみを製造するときには、
税務署の承認を受けまして、酒母というのは大体もろみの一歩前、もろみというのは濁酒と殆んど同じものでございます。そういう
制度を現行の
制度に倣いまして作
つております。一項のほうは先ほど申上げませんでしたが、私どもは原料用アルコールと言
つておりますが、最近まで清酒の原料の米は少くて、清酒の製造に当りまして相当アルコールを混ぜておりますが、その際に原料用アルコールというものを他の業者から買うわけでありますが、その原料用アルコールというのは、今度の
酒税法によりますと、雑酒になる、アルコール分が大体八十八度になる、焼酎の原料になるわけでありますが、焼酎の原料として雑酒を作る。雑酒としての原料用アルコールを作るときには免許は要らん。当然焼酎の免許さえ持
つておれば、雑酒の免許は要らんということになるわけであります。これを原料用アルコールの製造場から出すときには、
税務署長の承認を受けなければなりません。原料用アルコールは承認を受ける、こういう今まである
制度を踏襲いたしております。
四十五条は、
密造酒類の所持等の禁止、これも密造酒の取締の見地から、密造酒を譲り渡し譲り受けしてはいかんという
制度を踏襲しております。
四十六条は記帳義務、四十七条は申告義務、これも現行においては非常に包括的な、
大蔵大臣は
酒類の製造業者、販売業者に対して、製造販売について申告を命ずることができるという考え方で、大
部分は政令に委任されておつたわけでありますが、今回はこれを成るべく明確化いたしまして、
法律に書いたような次第でございます。
四十八条は申告義務等の承継、四十九条は検査又は検定を受ける義務、これも現在ある
制度をそのまま踏襲いたしております。手続的な
規定でございます。
五十条も現行ありますところの承認
事項、これも大
部分政令に譲られましたものを
法律に持
つて来ます。当然のようなことも多いわけでございますが、
法律事項といたしたわけであります。
五十一条は
酒税証紙、これは新たにできました
制度でございます。御承知かも知れませんが、物品税で御承知の
通りサイダー、それから鞄等につきましては、物品税証紙を貼らしまして、脱税の取締に協力して頂いておるわけでございますが、最近雑酒等につきましても、相当密輸入品等がありまして、それから又一部の
酒類につきまして脱税等もありますので、物品税で行われますような証紙
制度を
酒税についても採用したらどうであろうか。殊に雑酒につきましては慣行がありますので、その
制度を採用いたしております。そのやり方は大体物品税と同様な
方法でや
つて頂きたい、こういうふうに思
つております。
それが五十一条、五十二条の
関係でございますが、五十三条は税務官吏の権限、これも現在の権限と同様であります。
それから第八章は罰則でございますが、大体罰則も現行の罰則を法務府と連絡をとりつつ採用いたしております。特に新らしく御
説明申上げるほどの値打のあるような罰則は私どもはないつもりでおります。大体現在あるような罰則を踏襲いたしまして、その
限度も殆んど変えておらないつもりでございます。
それからその次は附則でございますが、この
法律は只今のように
改正いたしまして賛成を頂ければ大体三月一日から、先ほどから局長も申されましたように三月一日から施行いたしたい、こういうふうに考えております。三月にいたしますことは来年度の
酒税の
収入も三月にいたしたほうが買控えの
関係もありますし、円滑に入るのではなかろうかというような考えを持
つておりますので、三月から施行する、而も従来の製造時期から考えても好都合であるというようなことも
理由にな
つておるわけでありますが、三月一日から施行いたす、こういうつもりでございます。三項、四項、五項あたりは、税法が変
つて従来免許を受けておつたものが、免許がとんでしまうとかいうような心配もございますので、従前の
酒税法によりまして免許をもら
つておつたものは、今回の
酒税法改正によ
つても当然免許は継続できるのだ、そういう意味で免許を受けたものとみなす、そういうような
規定を設けておるわけでございます。而も免許の
条件が不要の際に当該命令はなお当分の間効力を有するのだ、こういうわけでございます。ずつと六、七、八、九は経過的な
規定で、特に御
説明する必要はないわけでございます。問題は十七項でございます。その他は大体従来の
規定の
通りでございますが、先ほど局長からも御
説明がありました
通り、今回の
酒税法におきましては、現行の
酒税法にありましたところのいわゆる
指定販売業者制度、
加算税の
制度を、建前としてはやめております。従いまして従来製造業者を出るときに一部
課税し、
指定販売業者のところへ行く間に一部
課税され、
指定販売業者を出るときにその残りの
酒税について
課税する、いわゆる
加算税制度があつたわけでありまするが、今回はその
制度がなく
なつた、大
部分今回の減税によりまして、その
加算税額はなくなるわけでございますが、ただ中には今回の
税率のほうが従前の
基本税部分よりも高目のものがあるわけでございます。
それから清酒、合成酒、ビールともう
一つ三十五度の焼酎でございます。大
部分は今回の減税によりまして
加算税はなくな
つておるわけでございますが、一部
指定販売業者の面だけで見ればとり足らない部面があるわけでございます。本来ならば大体そういうときにはすでに低い税金が
課税されたものを製造場以外のところで持
つておりますれば、従来手持品
課税と称しましてストツク
課税をするわけでございますが、今回はそういうことをいたさない。これはやはり
指定販売業者のところで、もう一遍
課税するということにいたしたほうが……これは経過的に
指定販売業者の
制度は一年限り残すということにいたしておりますので、これは今回ストツク
課税しない、いきなり手持品
課税をして納期を設けてとるというわけじやなくて、
指定販売業者のところから出るときにその
不足分だけとるということにいたしておるのが十七項でございます。その次の十八項はその手続でございます。
十九項はこれは先ほど局長からも御
説明があつたと存じますが、
指定販売業者も
租税特別措置法にあります農村用に義務供出の完遂者に配給いたしますところの清酒等につきましては低目の、
軽減した
税率の酒が配給されるわけでございます。この
制度も一年間残すということにいたしますので、やはり一年間くらいは
基本税、
加算税的なものを経過的に残さなければならないだろうという意味で、十九項を設けたわけでございます。でございますから、現在の
指定販売業者は一年間存続する。そういたしますと、その
指定販売業者のところに、製造業者のところに庫出する
酒税は、今回の特殊用
酒類と私たちは申しておりますが、農村用に向いますところの安い
軽減酒類の
負担を考えまして、一応製造業者のところにて徴収するのは先ほど申上げました二十二条で
規定しておりますところの
税額の七割と、ただ焼酎につきましてはこれも先ほどから申上げておりますように、他の
酒類に比しまして若干本税におきまして低目に下げております。而も
措置法がございまして、
措置法におきましては二十度焼酎というのは、焼酎としては異例の焼酎を設けた、而も税金も若干低目でございますので、焼酎につきましてはそこまで
軽減しなくてもよかろうという趣旨から、焼酎は製造業者のところから出るときは八掛をと
つて行こう、そうして
指定販売業者のところに出て行く、こういうふうに考えております。従
つて農業用に出るときは七掛、八掛の酒が出るわけでございます。或いはまあ石炭鉱業とか
酒類製造業に従事しておるところに行くときもございますが、そういう特配用
酒類は七掛、八掛があるわけであります。一般
指定販売業者から一般用として出るときは、これはやはりなお七掛のものにつきましては、三割とり
不足、八掛のものにつきましては二割とり
不足でございますので、二十一項で一年間に、
指定販売業者から出るとき、このとれない分もとるというふうにいたしておるわけであります。まあ二十一項、二十二項はこういうふうなことが
規定してあります。二十二項におきましては一年間でやめることにな
つておりますので、
昭和二十九年三月一日に持越したものは、そこでストツク
課税をいたし、そうしてもう二十九年の三月一日以後はこの
指定販売業者に行くところのものは製造業者のところで
酒税の本来の状態に帰りまして、製造業者のところでとつた税金だけで済まそうということにいたしたい、こういうふうに考えております。
それから二十四項は
租税特別措置法の
改正でございます。この
改正の趣旨は先ほど申上げましたように、
酒税もこの
程度下
つたのだから特別用
酒類というものは要らんのじやなかろうか、而も最近の
状況ではなかなかその運用がむずかしい、特別な産業だけのものに安い酒を
供給する必要があるかないか、このあたり非常に問題でございます。この
程度税金を下げますれば、もう必要がないのじやないかという意見もあるわけでございますが、何分農家は、まだ米につきましては義務供出とな
つておりますので、こんなような
状況ではなお一年間ぐらいは継続をしたらどうだろうという趣旨で、なお現在あるところの
措置法を継続しておるのであります。ただ継続いたしますに際しましては、従来の
基本税、
加算税の額を変えまして、簡単な只今申上げました
改正後の
税額は清酒、合成酒、ビールにつきましては七掛、焼酎につきましては八掛でございますから、清酒、合成酒、ビールにつきまして三割だけ安い税金で、焼酎につきましては二割だけ安い焼酎が農村方面に流れる、こういうわけでございます。これは、横流しすると又とり返すという
制度は現行
通りの
制度でございます。それから又二十五条の二というのがそのうちにございますが、これは二十度焼酎の
制度を経過的に認めるというふうな
制度でございます。御承知の
通りに、焼酎というものは大体清酒とか合成酒とは違いましてアルコール分が高いものだというふうな常識的な概念がありますと同時に、そういう高いものはそのままでは飲めないので、九州あたりで行われておりますように、お湯を割
つて飲む。従
つてお湯を割
つたのちは、まあ二十度ぐらいだという考え方が片つ方あるようでございます。而も最近の密造酒というものは二十度前後のものが相当多い。而もその額というものは二百二、三十円で売られておるということを聞くわけであります。それで、密造酒対策として二十度焼酎を認めてやつたらどうかということが盛んに言われるわけでございますが、他の
酒類とのバランス上焼酎が二十度になりますとほかの
酒類との
関係、而も焼酎のアルコール分は相当高く、コストも簡単にできます
関係で安い。そういう
関係で簡単にこれを認めますれば、他の
酒類との税
負担の不権衡も起ります。而も焼酎というものは純粋なアルコールを水で薄めたようなものでございますので、容易に雑酒等に変り易いという性格を持
つておる、でなかなかこの取締が容易ではないわけでございます。従いまして従来そういう要求があ
つたのでありますが、私どももなかなか認めていなかつたわけでございます。従いまして現在では二十度の焼酎も出せる建前にな
つております。どうしても二十五度で計算されましたところの
税率が適用される、従いまして損得を計算いたしまして製造業者は出しておらないというような
状況であります。今回密造酒対策の声が大きいのでありますので当分のうち認めよう、併しこの出荷
方法につきましてはこの二十五度以上の特別用途
酒類やこの二十度焼酎につきましては若干の
規制をしたほうが
酒税収入の
関係、取締の
関係がいいのじやなかろうかと私ども考えております。その
税率は二十五度を本来なれば八掛にするということで足りるということを話もあるわけでございますが、それではやはり二十五度で出して水を割つたほうが税
負担が同じということになりますので、二十五度のものは二十年に割つたものを大体一割安目くらいの税金にして出したい、これによりまして清酒の製造業者が水を割
つて運ぶ運賃と量にかけまして出すか出さないかというようなことも私ども考えておるわけでございますが、まあそんなような考え方で経過的に二十度焼酎を認めておるわけでございます。二十五号は
酒税法の
関係の整理条文でございます。
二十六号は
印紙等模造取締法によりまして取締を
改正いたしまして焼酎を模造したような場合には処罰するということでございます。
二十七号は
大蔵省設置法でございますが、従来
酒類審議会の
制度の中に配給というような戦争時代の言葉、最近の言葉がごいざましたので、これを最近の
状況によりまして
供給に改めるというようなこと、それから行政協定に伴う臨時特例のうちの
法律番号を整理いたしましたのが二十八号、まあこんなふうな附則を設けておるわけでございます。
以上
相当大ざつぱでございましたが、今回の
酒税法の
改正案の趣旨を御
説明した次第でございます。