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1952-12-01 第15回国会 参議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月一日(月曜日)    午前十時五十四分開会   —————————————   委員の異動 十一月二十八日委員林屋亀次郎君辞任 につき、その補欠として堀木鎌三君を 議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            伊藤 保平君            木内 四郎君    委員            黒田 英雄君            西川甚五郎君            小林 政夫君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            森 八三一君            松永 義雄君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵省銀行局長 河野 通一君    厚生政務次官  越智  茂君    厚生省児童局長 高田 正已君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    国民金融公庫総    裁       櫛田 光男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国民金融公庫法の一部を改正する法  律案内閣送付)   ————————————— 委院長 それではこれより委員会を開きます。  国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題に供します。前回に引続きまして質疑を続行いたします。本日は、前回小林委員より御要求のございました厚生省関係につきまして、厚生大臣の御出席を願つておりましたが、大臣予算委員会等の都合で出席不可能でございまして、越智政務次官が見えておられますので、最初に厚生省に対する質疑をいたしたいと存じます。
  2. 小林政夫

    小林政夫君 前回委員会で、愛知大蔵政務次官から、政府において母子福祉対策について考究中である、細かい点についてはまだ固まらない点もあるが、大体において大筋がきまり、そうしてこの国民金融公庫において五億の母子福祉に対する事業資金の供給も考えておるということであるが、これは大体政府の企図しておる母子福祉対策一環として考えておるのだという御説明があつたわけであります。厚生省当局においては母子福祉対策についてどの程度考えになつておるか。現在の段階において明らかにされる範囲において詳細に一応御説明を願いたいと思います。
  3. 越智茂

    政府委員越智茂君) 大臣の御要求がありましたが、丁度委員長の申されましたように予算委員会に出ておりますので、代りまして政府の所信を明らかにいたしたいと思います。  小林委員は常に母子福祉の問題につきまして、いろいろ御心配をされておることは政府として感謝いたします。国民金融公庫のほうへ繰入れました五億につきましては、皆さん承知通りでありますが、この公庫に繰入れました五億円は、御承知のように生業資金でありますので、母子福祉一環としては役立つのでありますけれども手続その他におきまして非常に面倒でありますので、そのほかに政府として考えておることは、第十三国会におきまして、衆議院議員提出といたしまして母子福祉貸付法案考えられておりましたと同時に、当時政府におきましても同様な考え方を以ちまして、政府並びに議会方面から非常に要望された趣旨に則りまして、議員考えておると同様な考え方を以ちまして五億六千万円ほどの要求補正予算でいたしておつたのであります。ところが御承知のような財政方面との関係によりまして、今回はその法案裏付ける五億六千万円程度の金が削られたのであります。併しながら国民要望は大いなるものがありますので、今回三十億円を国民金融公庫に繰入れをしまして、五億円を母子福祉に流用する、こういうことに相成つたのであります。そこで政府の今後の考え方につきましては、皆さんがお考えになつておると同様、衆議院におきまして、御承知であると存じますが、只今母子福祉貸付法案を小委員会審議いたしております。このほかに参議院におきましても、最近広範囲法案が提出されておりますが、これらいずれも結構な法案考えまして、昭和二十八年度には大体九億二千万円程度予算要求をいたしておるような次第であります。そこで政府母子福祉のいろいろな考え方につきましては、大いに皆さんの力を借りまして予算の獲得をいたし、物心両面福祉の増進を考えたいと思います。
  4. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、只今衆参両院において、厚生委員会において考えられておる母子福祉貸付法ですか、母子福祉関係したその法案が出て、来年、予算的な裏付が行なわれた場合における、この国民金融公庫の五億という事業資金とい守りものは、どういう関係になりますか。
  5. 越智茂

    政府委員越智茂君) 厚生省といたしましては、この五億円は別途に考えたいと思つております。
  6. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると、この五億の事業資金貸付については、国民金融公庫当事者に一任されるわけですか。
  7. 越智茂

    政府委員越智茂君) 厚生省連絡をとつてやります。
  8. 小林政夫

    小林政夫君 連絡をとるというとり方は、どういうふうにやられるのですか。いずれ各母子世帶は、各地に散在をしておる国民金融公庫の支所は大体府県に一カ所ぐらいありまして、代理貸をやつておりましようが、そういう所を通じての申込になるわけですか。その前に何か、事前に厚生省関係がこれを貸してやつてくれとかいうような口添えをされるということになるのか。その手続的なことはどういうふうに考えておられますか。
  9. 高田正已

    政府委員高田正已君) 私からお答え申上げます。只今金融公庫のほうといろいろ御相談を申上げておるところでございまして、まだ最後的な成案を得ておりませんが、大体の考え方といたしましては、実際の母子家庭貸付の申請をいたします。受付の窓口は御承知福祉事務所というものがございますので、あそこを窓口にいたしたい。更に町村役場というものは勿論これはタツチをいたしまするが、そういたしまして、それを府県に集めまして、そうして府県のほうが、福祉事務所なり、町村後髪あいろいろの調査に基きまして、府県貸付に、優先と申しまするか、優先順位と申しまするか、さようなものを意見を付けまして、公庫業務所に提出いたす。公庫のほうでは勿論これは公庫金融でございますから、決定権公庫がお持ちになるのが当然だと思います。その意見を十分に尊重してやつて頂くというふうなことに大体話がまとまりましたのでございます。
  10. 小林政夫

    小林政夫君 母子世帶は非常に生活困窮者が多いわけであり、女手で子供を抱えて日々の生活に追われておるということでありますと、相当こういうような途が開かれても、実際問題として、お母さんであられる婦人は事務能力も乏しいし、非常に手数のかかるような窓口をたくさん作られては、却つてこれだけのものを作つても、実際問題として利用に困るし、又少々やりかけても途中で手を上げるというようなことで、本来の趣旨に副わないような結果になるだろう。もう少しできるだけ手続を簡素化して、そして又早期に申込んだら、そう二ヵ月も三ヵ月もかかつてやつと金が下りて来る、借りられるというようなことでなしに、迅速に金を貸付けてもらえるというふうな工夫をして、大いに行政事務をやつて頂きたいと思います。この点について、そういう意味においてお考えを願つておるかどうか。
  11. 高田正已

    政府委員高田正已君) 御尤な御意見でございまして、その線に沿つて只今公庫と御相談申上げておるわけでございます。如何にしたら御意見のようにやつて行けるだろうかという点を御相談申上げたいと思つております。
  12. 小林政夫

    小林政夫君 それから大分そういう母子世帯であるが故に、なかなか国民公庫から御覧になつて、これは確実に返済能力があるか、いわゆるコンマーシヤル・べースに乗つた金融になるとは思わないのですがね。併し返すという誠意はあるだろうと思うけれども、実際問題として貸付ける場合に、躊躇されるような階層が多い。そういうことにおいては、これがスムースに出ることについて、ただ国民金融公庫当局に任しておくというだけで、果して融資の目的が達せられるかどうかということを危惧する。それについての心がまえ、又別途対策考えるというようなお気持があるかどうかということについて伺いたい。
  13. 高田正已

    政府委員高田正已君) 只今の点は公庫のほうでも十分、何と申しますか、御配慮を頂いておる点でございまして、従つて承知公庫業務所でございますか、全国に四、五十ヵ所あると思いますが、それらのものを通じて、この金融を行いますと、これらはいずれも御承知の営利的な金融機関、普通の金融機関でございますので、その点が非常に心配であるというお気持から、一つどものほうの行政系統と申しまするか、平素母子家庭の御面倒をみるという仕事をやつておりまするほうの系統で以て、ものを付受けて、そうして大体の意見を付けて、そうしてその意見によつてそれを十分に尊重して、自分のほうは金融をいたしたい、こういうふうなお気持でございまして、その辺のところは非常な御配慮を頂いておるのでございます。ただ御承知通り公庫金融は飽くまでも国民金融公庫法に基いた事業盆融でございます。従いましてこの公庫金融だけで母子家庭要望が全部満たされるかどうかという点につきましては、公庫金融の本質からいたしまして十分でない点が勿論ございます。従いまして政府も別の系統金融公庫研究をいたしておつたわけでございます。先ほど政務次官の御答弁のように国会のほうで非常にお進みになりまして、その法案が近く提出されるだろうと、私どもは予想をいたしておるような次第でございます。
  14. 小林政夫

    小林政夫君 それでは今の点について金融公庫側のほうから一つ、今厚生当局のほうの言われたお気持と間違いがないかどうか。どういうお気持でこのお金は貸付けられるのかということについて、一言お話を願いたいと思います。
  15. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) 母子家庭に対する貸付の問題でございますが、具体的な内容につきましては、只今厚生省のほうと御相談中でありますが、考え方、それから持運び方、その他取扱の基本的な心がまえ等につきましては、只今高田局長から申された通りでありまして、全然同じであり、スムースに早く皆さんの御期待に副うようなことをやつて行きたい、かように存じております。
  16. 小林政夫

    小林政夫君 櫛田さんのほうでは、併し事業資金で、確実に返済可能であるということを認めなければ、貸出はされんでしよう。
  17. 櫛田光男

    説明員櫛田光男君) 私ども金融は御承知通り小口事業資金をやつておりますから、母子家庭に対する貸付の場合におきましても、或いはいろいろなお仕事をなさるとかいつたような、或いはお仕事をされる計画を持つておられる、或いは今までされておるのを維持され、拡張されるといつたような着業、生業的な意味資金、それ以外のものは、これは如何ともいたし方ないのでございます。その点は厚生省のほうでもよく御承知でございます。地方の福祉事務所等においても、これに適格なるものを選ばれて、それで私のほうに御相談があるわけでございますから、その範囲内におきましては、先ほど申上げましたようにできる限りのことをいたしまして、円滑にやつて行きたいという腹がまえを持つておるわけでございます。御了承願いたいと思います。
  18. 小林政夫

    小林政夫君 大体わかりましたが、厚生省当局に、これは要望になりますが、今お聞きの通り公庫においては、やはり事業能力を持ち、而も返済可能なものでなければ出せない。従つて五億の折角国民金融公庫において母子世帶対象とした融資考えましても、それは母子世帯としては有能な世帶対象となる。この融資対象にならない母子世帶が相当多い。むしろ母子世帯の大部分はそうではないか。従つて衆参両院において議員立法でやろうと考えられておる線として、いわゆる技能習得資金とか育英資金であるとかいうような問題については、厚生省当局としても、十分恵まれざる母子世帯について深甚な同情を持つて、折角救われるよう努力を願いたい。大蔵当局予算の伴件う問題でもありますから、十分腹を据えて折衝をして、我々も及ばずながら援護射撃はいたしますから、十分やつて下さい。
  19. 木内四郎

    木内四郎君 ちよつと本案議事進行に関連して、政務次官に一言伺つておきたいと思うのですが、この法案のこの条文の書き方ですね。それから又提案理由説明を伺つて見ましても、今年の年末金融に際して大いに役立たせようという趣旨でできておるものだと思うのです。私どもとしますと、今小林委員から言われたような、いろいろな問題もあるし、又金額の点についても、ここに二十億と書いておるのは、二十億円くらいでは私は足らんと思いますけれども、こういう点についてはいろいろ意見はないのじやないのですけれども、我々としては成るべく早くこの法案を通して、そして年末の中小企業金融に少しでも役立たせるようにいたしたいと、こう考えておるのです。ところが本案が出てから、すでに十日近くもなるのに、衆議院のほうでは、こちらのほうへ送つて来ない。我々は送つて来られれば、今日にでもきめて、いろいろ問題はあるとしても、その点は後においていろいろ補正したりする機会はあるのですから、それはそれとして、この法案が若し衆議院から来れば、今日にでも片付けてしまおうというような心がまえを持つておるにもかかわらず、あなたがたのほう、と言つてはあれだけれども、多数を持つておる與党が、荏苒十日余りも引つかかつて、こちらへ廻してくれない。一日遅れれば一日遅れるだけ、この法案効力を失うわけです。そこで私は多数を持つておる與党が、早くこつちへ廻わしてくれることを期待しておるのです。その点についてあなたはどういうお考えを持つておるか。我々としてはこの遅れた責任をとるわけには行かないのです。これは非常に遅れたからして今年の年末金融に役立たなかつた、年末資金に対する効力の削減というか、それだけ減らされたことの責任を我々はとることができない。與党は多数を持つておるのだから、早くこつちへ送つて来てもらいたい。その点はどうでしよう。
  20. 越智茂

    政府委員越智茂君) 木内委員にお答えします。この法案審議に当りましては、各派共同提案になつております。参議院のほうが衆議院考えております以外の考え方をいたしておりますため……
  21. 木内四郎

    木内四郎君 その法案じやないのです。この国民金融公庫のこの法案のことを言つておるのです。
  22. 越智茂

    政府委員越智茂君) そうですか……。
  23. 木内四郎

    木内四郎君 あなたはまあ大蔵政務次官じやないというから、厚生省のほうの関係のかただけれども與党のかたですから、與党の心構えを……(笑声)こういう大事なものを荏苒放つておいてもいいかどうか……。
  24. 越智茂

    政府委員越智茂君) じや與党としてお答えいたします。お説の通りです。
  25. 木内四郎

    木内四郎君 それでは大いに善処して早く通ることを要望してやまないのです。
  26. 越智茂

    政府委員越智茂君) 善処します。わかりました。
  27. 木内四郎

    木内四郎君 與党議員責任として早く処理してもらいたい。
  28. 中川以良

    委員長中川以良君) 小林委員にお尋ねしますが、厚生省はよろしうございますか……、じや厚生省は有難うございました。  ほかに御質疑ございませんか。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 簡單に河野さんに一つ中小企業金融の問題ですが、商工中金に対して今度出すわけですが、何か商工中金のほうに機構のまあ整備とか何とかというようなことを考えておるようにお話がありましたが御説明のときに……。それでまあ中小企業金融に対しては、特別の金融機関を設けて、それでまあいわゆる国家資金を出してやらなければならない、これは我々も前から考えるのですが、今度の商工中金に対する出資ですが、関連して中小金融金融機構の問題をどういうふうに考えられておるか。殊に商工中金に対して具体的な政府考えができておるのなら一つお伺いしたい。
  30. 河野通一

    政府委員河野通一君) お答えいたします。先般予算委員会で御説明申上げました際に、金融機構の問題に若干触れておいたのでありますが、中小企業金融機構につきまして、現在考えております基本的な考え方は、いろいろ各方面要望がありますが、中小企業金融のための政府機関としてのものを雑多に幾つも作るということは適当でない、できるだけ既存の機構を十分に使つて行くという考え方で行く、併しそのために、例えば今お話商工中金等機構が、それを担うに若し仮に適当でないとすれば、これを改組する、改組して性格を、或る程度公けの性格を持たせることによつて生業資金を流がして行くというふうに考えて行つたらどうか、こういうふうな構想で現在検討を加えております。結論を先に申上げますと、甚だ恐縮でございますが、現在まだ結論に到達しておりません。考えられる方法は、できるだけ現在の商工中金は、御承知のように二つの点で性格がはつきりしておりますが、一つは純民間金融機関一つ。もう一つは、組合主義と申しますか、組合育成と申しますか、或いは協同化中小企業協同化組織化中心にして、それを金融的に裏付けるための機関である。従つて間接構成員に対する取引の問題はありますけれども組合を結成いたさない限りは、商工中金金融対象にならないというのが現状でございますが、そういうふうな二つの点について、第一点においては更にこれを、政治的な色彩を強くして、財政資金を積極的に流すのがいいのじやないかというのが一点。それから後者につきましては、飽くまで中小企業金融に対しましては、やはり協同化組織化中心にして進めるということは、これは重点として捨ててはならんことだと思いますが、そこでクローズしてしまわないで、或る程度重点重点として維持して行きたい、組合を結成しなければ、対象にならない狭い考え方を、必ずしもとる必要はないというふうな考え方が現在出て参つております。これは中小企業対策の基本的な考え方として、組合を結成し、組合を育成するということだけに対象を限るか、或いは若干そこを拡げたほうがいいかという問題に帰するわけでございまして、まだ結論が出ておりませんが、そういつた観点から、この問題を検討いたしております。  それからまあ御承知のように、今御審議を頂いております国民金融公庫が、いわば非常に零細な生業資金を供給するぱイプとしての生業金融機関であります。  それから一方では開発銀行でありますとか輸出入銀行等政府機関は、これは大きな企業対象にしての金融であります。勿論開発銀行も現在見返資金から引継ぎました中小企業設備資金の融通をやつておりますが、本来がやはり大きな企業中心にして金融をいたしておるようなわけであります。その中間の層を狙つて行くいわゆる中の企業に類する政府機関的な金融機関というものが現在ない、これはやはり現在の金融情勢から見ますると、やはりそこらあたりに、何らか財政資金を積極的に流すルートが、どうしても欲しいという観点に立ちまして、この問題を同工中金改組の問題とかみ合せて、現在検討いたしておるようなわけであります。  それから中小金融機構の問題につきましては、私どもはやはり中小金融というのは、財政資金をできるだけ流すということと、もう一つはやはりその中小企業信用力を保証するというところに、どうしても重点を置いて参らなければならんと考えております。信用力を保証いたしますために、現在ございます信用保証協会制度及び中小信用保険制度、この二つ制度を更に積極的に育成強化いたしまして、要すれば法律改正等によつて中小企業に対する信用力を付けて行く、これによりまして、政府機関からの資金を流すというだけでなく、一般民間金融機関からも中小金融に対する金融がうまく円滑に動いて行くように、それのためには今申上げましたような中小企業に対する信用力を付けて行くというふうな考え方考えて参らなければならん、そういつた考え方に立ちまして、現在この両者について、商工中金改組の問題と合せて、信用保険制度保証協会制度についても、強化について現在研究を加えておるという段階にあるわけであります。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私、まだもう少し質問したいのですが、ちよつと予算のほうがありますので、ほかの機会に、もう少し質問したいと思います。
  32. 小林政夫

    小林政夫君 国民金融公庫金利の問題ですが、折角主として商業者が借りても、闇で借りるよりは安いから、部分的には安いという人があるかも知らんが、大部分の側はもう少し金利を安くしてもらえないかという要望があるわけですが、この補正予算で見ると、国民金融公庫納付金ですか、納付金が二億数千万円という予算になつておりますが、金利引下げの余地があるかないか、一応お話を願いたいと思うのです。
  33. 河野通一

    政府委員河野通一君) のちほど詳しく国民金融公庫の総裁からお話があると思いますが、政府として考えております点を申上げておきたいと思います。お話のように中小金融については、ただ財政資金を、資金量を確保するというだけでなくて、金利もできるだけ引下げることが望ましいということは、全くその通りだと思います。併し金利が低いほうがいいというのは中小企業に限らず、全体の企業としてやはり金利を軽減するということを考えて参らなければならん、それらの関係において中小金融だけ金利を特に下げるということがいいか悪いかという問題は、相当検討を要するのじやないかと考えております。殊に国民金融公庫貸付期間は二年、三年という長い期間であります。一般の大企業に対する民間金融会社金利も、御承知のように長い貸付につきましてはやはり三銭、若干下りましたが三銭二、三厘、大体やはり一割一、二分程度になつております。その上に持つて参りまして、御承知のように非常に手数もなかなかかかります。危険率の点は非常に審査を嚴重にいたしておりますのと、非常に足を使つていろいろ御面倒を見ております関係で、そう貸倒れがたくさん出ておるわけじやございませんが、非常に手数がかかる、そういつた関係でコストも相当かかつております。それからお話のように二億数千万円の納付金というのが今予定されておりますが、政府からはいわば、非常に言葉は悪いですけれども、ただで出資をいたしております。従つて普通の場合には、概して或る程度配当というものが、政府の租税で集められた資金に対して或る程度配当というようなものが、言葉は悪いですけれども、あるのが普通です。それに代るべきものとして政府機関でありますから、税はとらない、或いは配当もとらない代り、それに代るべきものとして、納付金制度というものがあるわけです。二億が多いか少いかということもあるのですけれども、これは或る程度納付金ということがやはり当然起つて来て差支えないのじやないか、そういつた点を勘案いたしまして、全体の金利趨勢が御案内のようにだんだん今下つて参つておりますので、これらの点を睨み合せながら、今後におきましてできるだけ金利は安いほうがいいけれども、いろいろな金利のバランスをとりながら、そういつた点を調整を加えて参りたい、こういうのが只今考えであります。できますれば来年の見通し等考えました上で、或る程度金利引下げができれば、非常に結構だという気持は持つております。的確にまだ具体的な計画を持つまでには至つておりません。
  34. 松永義雄

    松永義雄君 私の質問したいことは国民金融公庫資金或いは運用部なら運用部から借りている金を、だんだん殖やして頂かなければならん。これは誰しもお考えになつていることで、ここで改めて聽取することはないのですが、これ又銀行局のほうでよく御承知のように、殖産金融お話、この間近県を廻つて来ました、どこの県におきましても、殖産金融に対してはもう徹底的な攻撃を加えておる。殊に或る知事のごときは、県内の議員関係しておつて困つたものだ、法律上これをどうかしたいと思つている、何かいい方法はないか。百姓は疊貯金というか、出資名義の下に百万円なら百万円預け入れる、貸すほうは貸すほうでべらぼうな高利で一たびその金を借りたら、そのまま倒産してしまう、中には県の議員まで借りておつて、もう四苦八苦の状況に入つておるといつたような話があつたのです。銀行局としては殖産金融に対して、どういうふうに考えられているのか。これをどういう方向に持つて行かれるか。相当これには勇気を要することと思うのですが、断乎として諸方面に対して遠慮することなく、これは実行してもらわなければならんと思うのです。大蔵省或いは銀行局のほうでどういう考えを持つておられるか。その方向についてはつきり一つお聞きいたしたい。
  35. 河野通一

    政府委員河野通一君) 殖産金融と申しますか、正規な金融会社の実情につきましては、たびたび国会衆議院参議院両者からいろいろ御鞭撻も受け御叱責も頂いておるわけであります。私どもこの問題につきましては、すでに一年以上非常に真剣にこれが対策研究いたし、実情についても調査いたして参つたのであります。この問題につきましては二つの点があるわけであります、一つ法律論として一体金融法規の中における地位をどういうふうに地位づけるかという問題が一つ、それから経済論としてこういつた金融組織が非常に伸びて参ります原因というものはどこにあるかという問題、二つ実はあるわけです。前者の法律論につきましては、非常に金融組織がいろいろ複雑な規定になつておりまして、態様は御承知のように幾つもあるわけです。例えば、保全経済会のような匿名組合のような形でやつておりますものもあり、株主金融のごとく、何と申しますか、株式を募集するという形でやつておりますものと、又物品の割賦販売業的な仕組で、実際は資金を預つて、その資金を或る一定の利子をつけて返すとか、そのほか非常にいろいろな形のものがあります。單純なるいわゆる貸金業者もある。これらの問題につきまして、私どもは公衆の利害に非常に密着しております関係もありまして、取扱いはできるだけ愼重に考えております。現在関係官庁と申しますか、法制局或いは法務省あたりと、実は連日この問題について会議をいたさせております。いつも調査中調査中ということで、少しも誠意が認められんということを、先般も私衆議院の大蔵委員会で非常に叱られたのでありますが、別に私どもはこれを放擲いたしておるわけではありません。非常に関心を持ち、真剣に検討を加えておるわけですが、何分にもまだ結論に到達しないのです。結局問題は、ただ大蔵省の私どもだけの法律論で解決しないわけで、法務省、法制局あたりと現在一生懸命に研究を加えておりますが、結論が出ましたならば、成るべく速かにはつきりした、この問題に対する態度をきめて参りたいという気持でおりますが、現在のところいつ頃までに結論が出るということを、なかなか申上げかねるような状態であります。事柄の性質上、非常に愼重を要する問題であり、而も余り荏苒日をおいて将来に禍根を残すようなことがあつてはいけない、この二つの点を十分頭の中におきながら、成るべく早い機会結論を出したい、出した以上は、その結論に向つて、公衆に対する迷惑を最小限度にとどめるように努力をいたしたい、さように考えておる次第であります。甚だ具体的な答弁ができないことを申訳なく思つておりますが、成るべく速かにそういうような態度をとりたい、さように考えておる次第であります。
  36. 松永義雄

    松永義雄君 これはやつぱり大蔵省のかたがたが鞭撻されるということは、背景において何か力を持つておるものがあるのですが、それに遠慮しているのではないかということも考えられるのです。我々としては、こうした極端な、極端すぎるくらいな、騙して金をとる、貸したら根こそぎ取上げてしまうといつたような、実に残酷な金融制度というものを絶対やめなければならん。そこで、いつか今年か去年でしたか、警視庁が一割五分までは暴利に触れないのだといつたような新聞記事が出ておつたのですが、政府としては、一体どのくらいの金利までがよくて、どのくらいから先は一体経済的に成り立つのであるか、成り立たんのであるか。そういうことをお考えになつておられるか。御意見を承わつておきたいと思います。
  37. 河野通一

    政府委員河野通一君) この問題につきましては、先般の国会に大蔵省といたしましては、或る法律案を御提案申上げたのであります。これは解散等のこともございまして、実は審議が終らないままになつてつたのであります。その法案は、第一点は、現在の貸金業者に対する取締の法律、これが実は法律があつて、大蔵省でこれを監習いたしておるような建前になつておりますけれども、事実上なかなか監督がむつかしい状態になつておる。むしろ監督をいたしておる建前になつてつて、何か大蔵省が見ておつて呉れるから大丈夫だろうというような印象を與えて、実際はそうでないような結果になつて、この点をむしろ利用されて、大蔵省公認であるとか、大蔵省の認可であるといつたような名目を使われて、却つて公衆を迷わすというような点もありましたので、むしろそういつた消極的な弊害を除くとい一名意味でそういつた大蔵省と余り関係をつけないようにしてしまいたいというのが一点、それからもう一点は、特に非常に高い金利をとつておる。どうもこれにつきましては、嚴罰を以て臨むというふうなことに考えておつたのであります。その高い金利と申しますのは、これはなかなか金融なり、社会の情勢から見まして、どの程度という絶対的な実は限界というものがないわけであります。現在まで私どもが大体指導いたして参つておりましたのは、いくら高くても日歩五十銭以上はいけないというのが私どもの考です。五十銭じや高過ぎるじやないかという議論は勿論ある。逐次これは下げて行くというので、ただ五十銭を越えて金利をとるということは、これはもう反社会的であるという観点から、これを抑えて行くというような考え方で、法案を御提出申上げたのですが、先ほど申上げましたように、この法案審議未了に終つたわけでありますが、この日歩五十銭という金利はまさに常識的に考えて高い、この金利は普通の取引において、これ以上とられることは、非常に法律上、民事上の関係から言つて五合が悪いというのと、罰則を以て、刑事的な制裁を以てこれに臨まなければならんほど反社会的なものというものとは、おのずからそこに差別があるわけであります。厳罰を以て臨みます場合におきましては、どうしてもやはり相当高い、不当に高い金利というものがはつきり出たという意味で規定を作つておるのであります。現在でも一体私どもは何か仮りにそういつた刑事制裁を以て、この法規に臨むといたしますならば、差当つてのところとしては、前国会に御提案申上げました程度のものでやるべきであるというふうに考えております。逐次社会情勢がだんだん落付いて行きますに従つて下げて参りたいものだ、現在ではかように考えております。
  38. 松永義雄

    松永義雄君 結局地方を廻つてみて、やはりどこの県でも言つておるのですが、国民金融公庫の金を殖やしてもらいたい、結局刑罰を以てこれを防ぐということも一つ方法ですが、経済的にこれを積極的にやる、国民金融公庫、これではとても足りないので、五倍ぐらいにしてもらわなければならんといつたようなことが、中小企業の寄合の席でそういう意見が出ておる。恐らく集まつて来ておるかたは、相当な企業家だろうと思うのですが、その人たちからの言葉でも、五倍ぐらいならどうにかなるといつたような、結局国民金融公庫にしつかりやつてもらいたいという結論になつておるのです。
  39. 小林政夫

    小林政夫君 金利の問題で遺家族の援護、国債を担保にしての貸出しの金利はいくらを予定しておるか。それから今の母子家庭に対する事業資金金利一般金利と同じであるか。
  40. 河野通一

    政府委員河野通一君) 詳細は厚生省からお話があるかと思いますが、現在私ども考えておりますのは、遺家族の公債を担保にいたしまする資金融資の金利は、大体八分程度と思います。それから母子家庭に対する今般の融資金利は、まだはつきり的確にきめておりません。それから御承知のように遺家族のほうはまあ公債について担保がございますが、この母子家庭に対しては普通担保がないわけで、大体更生資金でも考えたらどうかと……。具体的に申しますと、或いは年九分程度ではどうだろうか。勿論これでも金利負担が非常に重いので、その点はできるだけ低いほうが望ましいと思いますが、やはり諸般の他の類似の融資金利とのバランスというものも考えなければならないので、まあこれは確定いたしておりませんが、大体そういう心組みで今検討を加えております。
  41. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんでしようか。……ちよつと速記をとめて。    午前十一時四十一分速記小休止    —————・—————    午後零時一分速記開始
  42. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて……、本日はこれにて散会をいたします。    午後零時二分散会    —————・—————