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政府委員(山内隆一君)
只今の
駐留軍の
行為によるいろいろの
被害は遺憾ながら全国にたくさんありますことは非常に残念に思
つております。同時に
木下議員のお径我に対しましては衷心からお見舞申上げます。今の
お話順序不同に申上げたいと思いますが、件数は非常に多いのでありますが、実はこの件数を的確に全国押えるということは非常にむずかしくありまして、今ここに責任を持
つて何千件、何万件と申上げることは差し控えたいと思いますが、非常にたくさんございます。それが把握しにくいことは、
お話のようにちよつとした、まあ仮に女の方或いは年寄りの方、泣寝入りになるものがあ
つて、表面に現われて来ないもの、それからちよつと表面に出ましても、すく当事者同士で示談する。なかなか示談を好む傾向がありまして、ついその場で簡単に示談をしてしまうというようなものもございますので、それからその取扱いの官公署というものがいろいろに亘
つておりますので、そんなよりな
関係からもなかなかこの数量の把握が困難でございます。一番比較的正しいと思われるのは、警察報告を私
どもは基礎にして一応の計算等を立
つておりますけれ
ども、これとても必ずしも正確というわけに参りません。それから次の問題は、手続がなかなか複雑にな
つておりまして、この
仕事は府県
知事に一部委任をいたしております。
法律の上で……、そんな
関係での調査とか、或いはどれぐらいの
被害があるかというようなことの一応の算定等は府県
知事がやりまして、決定権は
知事はありまん。決定はもよりの調達局長が決定をする。併しこれも或る金額以上、今五十万以上と記憶しておりますが、それくらいになりますというと、本庁に協議することにた
つております。さようにしてきめられたものが府県
知事に通達されて、支払いはこれは府県
知事が支払
つておる。なおもつと第一線の手続からいえば、市町村長から府県
知事のほうへ出し、市町村長は一番大事な書類としては事故発生証明、これは警察署が作りますが、そういう事故発生の証明を警察から作
つてもら
つて、そうしてそれを附けて、勿論完全な書類からいえば、牛方の加害者の名前、階級、所属、そういうようなものを、まあいろいろありますが、とにかく市町村長から府県
知事に出して、府県
知事がもより調達局長に出す、極く例外の場合に本庁の協議にかける、かようなことにな
つて繁りまして、この問題を一番私
ども悩むのは、事の大小にかかわらず、軍のほうの担当者に対して公務上であるか公務外であるかということの決定を受けなければ、これはもう前提
条件であります。これを公務上であるという決定を受けないというと、今の手続で支払いができなくなります。併し公務外でありましても別に、例えば公務上ではないけれ
ども、向うに非常な手落ちで責任があ
つて、放
つておくことは非常に相済まんというようなときには慰藉料として
駐留軍が出す場合もあります。それから先方では出しませんが、
日本側として放
つておいては非常にお気の毒だというような場合には
見舞金として出す場合もあります。併し正式の手続
関係はどこまでも
損害補償という形になるわけであります。そんなような手続にな
つております。
それからこの具体的の問題で、まあ
木下議員の
お話の場合には、その現地の所轄の警察署が知
つておればこれが一番いいわけであります。とにかくその事故が、軍のトラックなり何かによ
つて起
つたということの証明を取
つて頂いて、そしてそれをまあ市町村長に出してもいいし、或いは手続等は市町村でも大体知
つておるはずでありますので、私のほうでその
場所を伺
つておきますれば、どんなような書類を
作つたらいいとか或いは手続をしたらいいというようなことは、なお
はつきり私は書いて
木下委員にお上げしてもいいかと思
つておりますが、今の
お話では十分
補償ができることと考えております。ただ書類作成等に少しややこしい手続がありますので、非常に恐縮に存じますが、そういう手続をと
つて頂いて
補償はするようにいたしたいと考えております。
で、私
どもの指導方針としては、泣寝入にはなることをできるだけなくするように、こういう手続があ
つて救済ができるということをできるだけ宣伝をするに努めておりますけれ
ども、なかなかまだ思うに任せない点があります。なお又示談ということにつきましても、必ずしも私
どもは示談を欲しておりませんので、余りいい加減な
条件で示談をしないようにという指導方針はと
つておりますが、何としても表面に現われないうちに
駐留軍の加害者と
本人との間にきめてしまいますと、どうも如何ともしがたい場合が多いので、非常に残念に思
つております。以上若し漏れておりましたら……。